(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-18
(45)【発行日】2022-03-29
(54)【発明の名称】卵内注射機械と共に使用する検卵及び卵再配置装置
(51)【国際特許分類】
A01K 43/00 20060101AFI20220322BHJP
G01N 21/17 20060101ALI20220322BHJP
G01N 29/04 20060101ALI20220322BHJP
【FI】
A01K43/00
G01N21/17 A
G01N29/04
(21)【出願番号】P 2019531550
(86)(22)【出願日】2017-08-25
(86)【国際出願番号】 US2017048532
(87)【国際公開番号】W WO2018039511
(87)【国際公開日】2018-03-01
【審査請求日】2020-07-27
(32)【優先日】2016-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519064665
【氏名又は名称】ベーリンガー インゲルハイム アニマル ヘルス ユーエスエイ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100171675
【氏名又は名称】丹澤 一成
(72)【発明者】
【氏名】レスリー クリストファー デイヴィス
【審査官】大澤 元成
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-516601(JP,A)
【文献】米国特許第05017003(US,A)
【文献】特開平08-198426(JP,A)
【文献】特開2002-207013(JP,A)
【文献】特開平06-308098(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0082759(US,A1)
【文献】特表2002-538794(JP,A)
【文献】米国特許第06149375(US,A)
【文献】特表2010-519136(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0221093(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第103791326(CN,A)
【文献】特表2005-532046(JP,A)
【文献】国際公開第03/096028(WO,A1)
【文献】特表2010-522539(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0149033(US,A1)
【文献】特表2004-520068(JP,A)
【文献】国際公開第02/083848(WO,A1)
【文献】特表2011-501654(JP,A)
【文献】国際公開第2009/039520(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 43/00
G01N 21/17
G01N 29/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検卵及び卵再配置装置であって、
a.ユーザインターフェースと、
b.入口、卵の検卵区域、卵の集結区域、及び出口と、
c.複数の卵を保持する
卵トレイを受け取って搬送できるように構成された支持体と、
d.前記
卵トレイを前記入口から前記検卵区域、前記卵の集結区域、及び前記出口に搬送するための1又は2以上の搬送手段と、
e.前記複数の卵にエネルギを向けるための検卵エネルギ手段と、
f.前記複数の卵を通過するエネルギを検出して、前記伝達されたエネルギを信号に変換するエネルギ検出手段と、
g.前記信号から1又は2以上の卵の少なくとも1つの状態を決定するための信号処理手段と、
h.1又は2以上の可撓性カップを備えた作業アームを備えて、卵を
、当該卵の状態に基づいて持ち上げる及び再配置するためのロボットであって、前記
卵トレイが前記検卵区域にある間に、
当該ロボットの動作範囲により、前記作業アーム及び
1又は2以上の可撓性カップが複数の卵の何れかを持ち上げることができるように前記装置に取り付けられたロボットと、
i.各々が前記ユーザインターフェースに電気的に接続されたロボット制御装置、電気制御装置、及び空気圧制御装置と、
前記卵トレイの下方を摺動して前記卵トレイと係合して、前記卵トレイを前記出口に向かって横方向に移動させるように構成された4つのフィンガプッシャと、を備え、
前記4つのフィンガプッシャが前記卵トレイの下方を摺動するとき、4つのフィンガは可撓的かつ枢動的に後退し、第1組の2つのフィンガが前記卵トレイの縁部を通り越した後、前記第1組の2つのフィンガはそれらの休止位置まで枢動し、前記第1組の2つのフィンガがそれらの休止位置に戻った後、前記4つのフィンガプッシャは方向を反転して前記第1組の2つのフィンガを前記卵トレイと係合させ、それによって前記卵トレイを前記卵の集結区域から前記出口へ移動させる、
ことを特徴とする装置。
【請求項2】
卵トレイが前記装置の前記入口に積載されて前記検卵区域内に移動されるとき、前記検卵エネルギ手段は、前記卵に検卵エネルギを向け、
前記卵を通過するエネルギは、前記検出手段によって検出され、前記信号処理手段によって少なくとも1つの状態信号に変換され、
前記状態信号は前記ロボット制御装置に送信され、それに応答して、前記ロボット制御装置は、前記ロボットに指令して前記信号処理手段によって決定された選択状態にある卵を持ち上げ及び再配置させ
る、
請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記エネルギは可視光であり、前記検出手段はカメラである、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記エネルギは音波であり、前記検出手段は音響センサである、請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記エネルギは赤外光であり、前記検出手段は赤外光を検出できるカメラである、請求項2に記載の装置。
【請求項6】
前記エネルギは電磁放射であり、前記検出手段は前記電磁放射を検出できるセンサである、請求項2に記載の装置。
【請求項7】
請求項1又は2に記載の前記装置を使用して、卵を検卵し、卵を取り出し、及び卵を再配置するための方法であって、
a.卵の取出し及び再配置の対象となる卵の状態を選択するステップと、
b.前記装置内に検卵すべき複数の卵を含む
卵トレイを積載するステップと、
c.前記
卵トレイを前記卵の検卵区域に移動するステップと、
d.前記卵に検卵エネルギを向けるステップと、
e.前記卵を通過するエネルギを検出するステップと、
f.前記検出されたエネルギを状態信号に処理するステップと、
g.前記ロボット制御装置に前記状態信号を送信するステップと、
h.前記ロボットの
1又は2以上の可撓性カップを移動させて前記選択された状態の各卵と接触させるステップと、
i.前記
1又は2以上の可撓性カップと前記選択された
状態の卵とが可逆的に互いに連結されるように、準大気圧の圧力を加えるステップと、
j.前記
選択された状態の卵を再配置区域に移動させるステップと、
k.前記
選択された状態の卵を前記
1又は2以上の可撓性カップから解放するために大気圧に戻すステップと、
l.前記選択された状態
のすべての卵が再配置されるまで、卵を持ち上げる及び再配置するプロセスを繰り返すステップと、
m.前記選択された状態の卵を欠いている前記卵トレイを前記卵の集結区域に移動させるステップ
であって、当該卵トレイを移動させるステップは、適切な空気圧信号及び/又は電気信号に応答して前記卵トレイを把持し及び解放するように構成された空気圧アクチュエータによって行われ、前記空気圧アクチュエータは、前記卵の検卵区域と前記卵の集結区域との間で前記空気圧アクチュエータを横方向に移動させるように構成された、空気圧シリンダに動作可能に接続されている、ステップと、
前記卵トレイを前記卵の終結区域から前記出口に向かって移動させるステップであって、前記4つのフィンガプッシャが前記卵トレイの下方を摺動して前記卵トレイと係合して、前記トレイを前記装置出口に向かって横方向に移動させる、ステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項8】
前記
卵トレイを
前記装置に可逆的に繋がれた下流の卵内注入機械に引き渡すステップをさらに備える、請求項
7に記載の方法。
【請求項9】
前記4つ
のフィンガプッシャが前記
卵トレイの下方を摺動すると、前記
4つのフィンガは可撓的かつ枢動可能に後退し、前記第1組の2つのフィンガが前記
卵トレイの前記縁部を通り越した後、前記
第1組の2つ
のフィンガはそれらの休止位置まで枢動する、請求項
7に記載の方法。
【請求項10】
前記
第1組の2つのフィンガがそれらの休止位置に戻った後、前記4つのフィンガプッシャは方向を反転し、前記第1組の2つのフィンガが前記
卵トレイと係合して前記
卵トレイを前記卵の集結区域から前記装置出口へ移動させる、請求項8記載の方法。
【請求項11】
前記装置の前端部に対して前記4つのフィンガプッシャが最遠位の運動範囲に達すると、前記
4つのフィンガプッシャは、方向を反転して第2組の2つ
のフィンガが前記
卵トレイを通り越すまで移動する、請求項
10に記載の方法。
【請求項12】
前記第2組の2つのフィンガが前記
卵トレイを通り越すと、前記プッシャは、方向を反転して、前記第2組の2つのフィンガが前記
卵トレイと係合し前記
卵トレイを前記装置の出口を通って移動させる、請求項
11に記載の方法。
【請求項13】
前記
卵トレイを下流の前記卵内注入装置に引き渡すステップをさらに備える、請求項
12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本出願は、2016年8月25日出願された米国仮特許出願第62/379,337号の利益を主張し、その開示内容全体が参照により本明細書に援用される。
【0002】
(参照による援用)
以下に引用される全ての参考文献は、その開示内容全体が参照により本明細書に援用される。
【0003】
(技術分野)
本発明は、自動検卵及び卵再配置装置、ならびに鳥卵の検卵及び再配置に使用する方法に関する。
【背景技術】
【0004】
家禽業では、生きた(生存)家禽卵と生きていない(非生存)家禽卵を区別することが知られている。「検卵(candling)」は、そのような技術の一般的な名称である。孵化予定の卵は、通常、透明な(不受精の)、腐敗した、及び死んだ卵(総称して「非生存卵」)を識別するために検卵を行う。非生存卵は、汚染の危険性及び卵内ワクチン接種の費用を低減するために取り除かれる。自動化された卵取出し装置が知られているが(例えば、米国特許第7,083,208号)、現在のシステムは吸引カップのアレイを使用する傾向があり、非生存卵をその後の利用のために別々の場所に置くこと(例えば、その後の販売のために卵箱を未受精卵で満たすこと)が実現困難になる。さらに、家禽業は、効率的、低コストかつ生存卵への汚染の危険性を低減する、生存卵と非生存卵とを分ける改良された方法を絶えず探している。従って、本出願人は、非生存卵を卵箱の中を含む特定の場所に置くことができる、改良された自動検卵及び卵再配置装置の開発に努めてきた。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、改良された検卵及び卵再配置装置の成功した技術に基づいており、本技術は、孵化場トレイを含む卵搬送体から個々の卵を素早く識別し、取り出し、及び再配置する。従って、本発明の目的は、複数の混合した生存卵及び非生存卵から、非生存卵を素早く識別し、取り出し、及び再配置することができる、検卵及び卵再配置装置を提供することである。その優れた識別能力の結果として、装置は、生きている/生存できる卵を選択する及び再配置するためにも使用できることが想定される。
【0006】
いくつかの実施形態では、装置は、複数の生存卵及び非生存卵を含む卵搬送体/孵化場トレイを受け取るように構成されている。装置は、トレイを装置の長さに沿って移動するように構成されたトレイ搬送手段を備えている。トレイが装置内に受け取られた後、搬送手段は、トレイを検卵位置に移動させる。装置は、複数の卵に光を向けるように構成された検卵光源を備えている。装置は、卵を通過できる光を検出するための手段も備えている。いくつかの実施形態では、検出手段は、複数の卵を通過した光を受け取るように構成されたカメラである。カメラは、適切な処理手段に電気的に接続されて、卵を通過する光に関する情報を処理して、どれが生存卵でどれが非生存卵かを決定できるようになっている。
【0007】
非生存卵が処理手段によって特定されると、この情報はロボットアーム制御手段に伝達され、ロボット制御手段は、アームに指令して、複数の卵から非生存卵を取り出す。アームは吸引カップを備え、吸引カップは、卵と解放可能に係合して、アームがある場所から卵を持ち上げ、卵を別の場所に落とすか又は置くことができるように構成されている。いくつかの実施形態では、アームは、孵化場トレイから非生存卵を持ち上げ、それらを後の使用に備えてカートンに直接落とす。非生存卵が取り出されると、トレイは、装置の出口部分に移動する。いくつかの実施形態では、装置は、卵内注射装置に可逆的に取り付けられるように構成され、卵内注射装置は、複数の注射装置を含み、卵が複数注射装置のうちの1つの真下に存在する場合にのみ、条件に応じてワクチン及び/又は他の薬剤を伝達するように構成することができる。
【0008】
従って、検卵及び卵再配置装置は、孵化場トレイを搬送するための手段と、卵に可逆的に吸引力を供給するための真空システム及び真空システムに機械的かつ動作可能に結合されて個々の卵に可逆的に吸引力を加えるように構成されたロボットアームを含む卵持上げ手段と、卵に光を向けるように構成された光源と、卵を通過する光を受けるように構成された視覚カメラと、カメラによって収集された情報を処理、保存、及び伝達するように構成されたコンピュータと、装置の構成部品に動作を指令するように構成された少なくとも1つのコンピュータ制御装置と、を最小限備えている。
【0009】
いくつかの実施形態では、卵持上げ手段はロボットであり、ロボットは、可撓性の吸引カップと、吸引カップが卵と接触しているときに吸引カップ内部で空気圧を上下させ得るように構成された空気圧回路と、台座と、台座に連結されかつ台座に関する第1の軸の周りに旋回できる第1のアームと、第1のアームに連結されかつ第1の軸と平行で第1の軸から離間した第1のアームに関する第2の軸の周りに旋回できる第2のアームと、内部にワイヤを収容してワイヤを第2アームから台座に運ぶ配線部とを含む。配線部は、台座から突出して第1の軸と交差するように設けたダクト支持部と、ダクト支持部に接続されかつダクト支持部に対して第1の軸の周りに旋回できる第1の結合部と、第2のアームに接続されかつ第2アームに関する第2の軸の周りに旋回できる第2の結合部と、第1の結合部及び第2の結合部に接続されたダクトとを含む。第1の結合部には、第1の軸に関して所定の角度をなす第1の接続部が設けられる。第2の結合部には、第2の軸に関して所定の角度をなす第2の接続部が設けられる。ダクトは第1の端部及び第2の端部を有する。第1の端部は第1の接続部に接続されている。第2の端部は第2の接続部に接続されている。概して、本発明を実施する際には、適切な任意のロボットアーム、例えば、米国特許公開第2014/0109712号(Epson)に記載されたロボットアームが使用でき、その開示内容全体は参照により本明細書に援用されている。
【0010】
いくつかの実施形態では、卵持ち上げロボットは、第1の及び第2の通路と流体連通する第1の及び第2の通路を有する真空発生器と、ロボット式卵持上げアームの末端に位置決めされた可撓性カップとを含み、可撓性カップは、真空発生器の第2の通路と流体連通する内部を有する。真空発生器は、空気圧制御弁の作動時に第2の通路内に準大気圧(真空)を発生させる。制御弁は、電気式、空気圧式又は油圧式アクチュエータを含む、適切な任意のアクチュエータによって作動させ得る。可撓性カップは、準大気圧が真空発生器の第2の通路を介して可撓性カップ内部に供給されるとき、卵と係合して着座した関係で卵を保持するように構成されている。
【0011】
いくつかの実施形態では、可撓性カップは、ロボットアームの垂直中空軸に動作可能に接続された吸引カップマウントに取外し可能に固定されている。可撓性カップの内部にスクリーンを配置することができ、異物が真空発生器の通路内に入るのを防ぐように構成することができる。
【0012】
いくつかの実施形態では、卵搬送体(例えば、孵化場トレイ)から卵を取り出すための装置は、フレームと、加圧空気源と、少なくとも1つのロボットアーム式卵持上げ装置を備えるプラットフォームとを含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、卵持上げ装置を清浄し及び/又は消毒する方法は、可撓性カップを清浄溶液の浴槽に浸すステップと、真空ハウジングの第1の通路に空気流を強制的に通すことによって真空カップの内部に真空を生じさせるステップとを含み、汚染物質は、第2の通路を通って上方に引き寄せられて組立品から出る。
【0014】
いくつかの実施形態では、卵再配置装置は、卵内注入機械に、限定されるものではないが、例えば、INTELLIECT(登録商標)及びOVOJECTOR(登録商標)に適合可能である。さらに他の実施形態では、卵再配置装置は、卵搬送体内の空きスペースを生存できる卵で満たすように構成できる、追加の卵持ち上げロボットを備えることができる。そのような実施形態では、後続の卵内注入機械を、卵が存在するときだけワクチン又は他の流体を伝達するように構成する必要はなく、その理由は、卵搬送体の全体が生存できる卵で占められて注射の準備ができているからである。
【0015】
いくつかの実施形態では、検卵及び卵再配置装置は、ワクチン接種前に、孵化の17日+12時間から19日+12時間の間のいつでも、生産ラインから透明な卵を取り出すことができる。「透明な」卵は、本明細書では、完全に不受精、早期死亡(1~5日での懐胎停止)及び最も早い中期死亡(6~11日での懐胎停止)として定義され、透明でない卵は、本明細書では、遅い中期死亡(11~14日での懐胎停止)、遅い死亡(15日での懐胎停止)、汚染、及び生存しているとして定義される。理想的な実施形態では、検卵及び卵再配置装置は、不受精、早期死亡、最も早い中期死亡、遅い中期死亡、遅い死亡、汚染、及び生きている間で識別することができ、しかも装置は、すべての生きていない/生存できない卵を再配置することができる。このようにして、生きている/生存できる卵だけが卵搬送体中に残り、その後の注射のために適切な卵内注入機械に提供される。
【0016】
特定の実施形態では、装置は、透明な卵を識別して再配置する点で少なくとも99.9%正確であり、生存できる卵を再配置しない点で100%正確である。透明な卵は、取り出し中に無傷のままであり、再販に備えて卵のカートンに自動的に再配置することができる。
【0017】
従って、本発明の目的は、従来公知のあらゆる製品、プロセス、又は方法について権利を出願人が保留し、ここで権利放棄を開示するように、従来公知のあらゆる製品、製品を作るプロセス、又は製品を使用する方法を本発明の範囲に含まないことである。本発明は、従来公知のあらゆる製品、プロセス、又は方法について権利を出願人が保留し、ここで権利放棄を開示するように、米国特許商標庁(35 USC§112、第1パラグラフ)又は欧州特許庁(EPC第83条)の記述要件及び実施可能要件に合致しない製品、プロセス、製品を作ること、又は製品の使用方法を本発明の範囲に包含することを意図しないことに留意されたい。
【0018】
上記及び他の実施形態は、以下の詳細な説明に示されるか又は明らかになり、これらに包含される。
【0019】
以下の詳細な説明は、例示的であり、本発明を記載された特定の実施形態だけに限定することが意図されておらず、添付の図面と併せて最もよく理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の実施形態による検卵及び卵再配置装置の側面図である。
【
図2】
図1の装置の様々な構成部品を示す内部立面図である。
【
図3】
図1の装置において、卵再配置ロボットを除去した内部立面図である。
【
図4】卵搬送体を
図1の装置の長さに沿って積載区域から検卵ステーションまで搬送するように構成されたアクチュエータ及び軌道の詳細図である。
【
図5】生存できる卵の集結区域から
図1の装置の出口まで卵搬送体を搬送する可動台の詳細図である。装置は、
図7及び
図8に示す後続の適合性のある卵内注射装置に可逆的に接続できるように構成されている。
【
図6】
図1の検卵及び卵再配置装置に可逆的に接続するように構成された、適合性のある卵内注射機械の詳細図である。
【
図7】適合性のある卵内注射機械に接続された
図1の装置の詳細図である。
【
図8】適合性のある卵内注射機械に接続された
図1の装置の側面図である。
【
図9A】本発明の実施形態によるロボット卵再配置装置の側面図である。
【
図9C】
図9Bの卵再配置装置の詳細な側面図であり、真空発生器と電気及び空気圧回路とを示す。
【
図10】清浄/消毒液の浴槽に浸された
図9Aの卵再配置装置の可撓性真空カップを示す説明図である。
【
図11】ロボットアームが複数の可撓性カップに機械的に接続された卵再配置装置の実施形態を示す説明図であり、各カップは、それ自体の真空発生器と電気及び空気圧回路とに動作可能に接続されている。この形態の卵再配置装置は、一度に複数の卵を取り出して再配置することができる。
【
図12】真空発生器及び卵取出し装置のアレイの拡大図である。
【
図13】真空発生器ベースに取り付けられた複数の真空発生器の拡大図である。
【
図14】42個の卵取出し装置ヘッド530の拡大図である。
【
図15】6個の卵取出し装置ヘッド540に注目した説明図である。
【
図16】1個の卵取出し装置ヘッド525を備え、大判卵トレイを受け取るように構成された装置の実施形態を示す説明図である。随意的な卵受取りトレイ800も示されている。
【発明を実施するための形態】
【0021】
この開示、特に特許請求の範囲及び/又は段落において、「備える(comprises)」、「備えた(comprised)」、「備えている(comprising)」などの用語は、米国特許法によるものと同じ意味を有し、例えば、「含む(includes)」、「含んだ(included)」、「含んでいる(including)」などの意味を有することができ、「基本的に・・から成り(consisting essentially of)」及び「基本的に・・から成る(consist essentially of)」のような用語は、米国特許法によるものと同じ意味を有し、例えば、明示的に記述されていない要素は許容するが、先行技術で見出されるか又は本発明の新規な又は基本の特徴に影響を与える要素を除外することに留意されたい。
【0022】
別段の定めがない限り、本明細書で使用するすべての技術用語及び科学用語は、この開示が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。「a」、「an」、及び「the」のような単数形の用語は、明らかに別段の定めがない限り、複数の参照事項を含む。同様に、「又は」という用語は、明らかに別段の定めがない限り、「及び」のような用語を含むことを意図している。最後に、「約」は、「±10%」という通常の意味である。
【0023】
本発明は、以下において、好ましい実施形態が示された添付の図面を参照してより完全に説明される。しかしながら、本発明は、多くの異なる形態で具体化することができ、本明細書に記載された実施形態に限定されると解釈すべきではない。むしろ、これらの実施形態は、この開示が詳細かつ完全でありかつ本発明の範囲を当業者に十分に伝達できるように提示されている。
【0024】
本明細書で言及された全ての刊行物、特許出願、特許、及び他の参考文献は、その開示内容全体が参考として援用されている。
【0025】
図面において、線、層、及び領域の厚さは、明確にするために誇張することがある。ある要素が他の要素の「上に」あるといわれる場合、他の要素の上に直接存在できること又は介在要素が存在できることを理解されたい。対照的に、ある要素が「直接」別の要素の「上に」あるといわれる場合、介在要素は存在しない。ある要素が別の要素に「接続される」又は「取り付けられる」といわれる場合、他の要素に直接接続される又は取り付けること、又は介在要素が存在できることを理解されたい。対照的に、ある要素が別の要素に「直接接続される」又は「直接取り付けられる」といわれる場合、介在要素は存在しない。本明細書では、「上方」、「下方」、「垂直」、「水平」などの用語は、説明の目的のためだけに使用される。
【0026】
本発明の実施形態による検卵及び卵再配置装置は、様々な種類及び大きさの卵(例えば、生存/生存している、透明な、不受精の、死んだ等の卵)を区別して再配置するために、及び様々な卵処理技術(例えば、卵内接種/注射、卵内ウイルス培養など)と組み合わせて利用できる。本発明の実施形態による検卵及び卵再配置装置は、限定されないが、鶏卵、七面鳥卵、アヒル卵、ガチョウ卵、ウズラの卵、キジの卵、外来鳥の卵を含む何らの種類の鳥卵に利用することができる。
【0027】
図1~
図10を参照すると、本発明の実施形態による検卵及び卵再配置装置10が示されている。図示した検卵及び再配置装置10は、積載区域1内に卵搬送体7(例えば孵化場トレイ)を受け入れるように構成された一組の外側積載レール15を含む。外側レール15、内側レール17、及び支持部材16は、集合的にテーブル又は棚を形成し、これは、装置の輸送を容易にするために折畳み式とすることができる。支持部材16は、支持部材ロッド18(図示せず)に可逆的に取り付くように構成されており、支持部材ロッド18はテーブルをその水平位置又は非折畳み位置に支持する。積載区域1で装置に入った後、卵搬送体7は、検卵ステーション100に搬送され、そこで生存できない卵が取り出されて再配置され、次に、残りの生存できる卵が集結場所200に輸送される。最後に、卵は、装置から搬出され、理想的には適合性のある卵内注射機械に直接搬入される。
【0028】
積載区域1の近く又はそれに隣接してユーザインターフェース・タッチスクリーン50が設けられており、取付け手段52によって装置に取り付けられている。スクリーン50は、装置10の全ての機械的及び電気的機能に電気的に接続され、それらを制御することができる。
【0029】
装置10の上には、カメラ156を収容するための筐体155があり、カメラ筐体155は、卵搬送体/孵化場トレイ7内に入っている複数の卵5を通過する光を受けるように構成されている。カメラが捕えた光はカメラ内でデジタル情報に変換され、デジタル情報は、卵再配置装置101の動作を制御するプロセッサ又は制御装置によってアクセス可能である。卵が装置10を通って搬送される際に、様々なパネルが卵を封じ込めて保護し、このパネルとしては、入口パネル20と、上面にカメラ筐体155が取り付けられ光又はカメラ156が通過できる開口部157を有する検卵ステーションの頂板145と、生存できる卵の集結区域200の頂板228が含まれる。パネル145は、水平フレーム部材146及び垂直フレーム部材147に固定されて支持されている。同様に、パネル228は、湾曲フレーム部材229に固定されて支持されている。他のパネルは後続の図に示されており、全てのパネル及び支持構造は、日常的に変更することができる(例えば、不透明材料は透明又は半透明材料に交換することができ、金属材料は複合材料/合成材料に交換することができる)。
【0030】
ロボット制御装置180のキャビネットドア160の真上の空間内には、消毒流体タンク170及び卵再配置ロボット101が装置フレームの水平部分に取り付けられる。ロボット101は、卵搬送体7の中に入っている複数の卵5の何れかを持上げて再配置することができるが、依然として可撓性の卵再配置カップ145を清浄化するために消毒タンク170の中に伸び入れることができるように配置する必要がある。もしくは、ロボットは、
図1に示すように取り付ける代わりに、上方から吊り下げることができる。ロボット制御装置キャビネット160の右側には、電気制御装置280及び空気圧制御装置281を収容するキャビネット260がある。適切な導管及び電気的接続部が含まれ、ユーザはインターフェース50を用いて装置の全ての状態を制御することができる。
【0031】
レール15を用いて「積載テーブル」に入る卵搬送体7が示されている。搬送体は、次に検卵区域100に、次に生存できる卵の集結区域200に、そして最後に出口区域300に案内される。搬送体7は、出口区域300から、適合性のある卵内注射機械400に搬送又は移送される。卵搬送体の移送構成部品/可動台303(留め手段304、306を備えている)及び装置結合手段305により、検卵及び卵再配置装置10は、適合性のある卵内注射機械400に可逆的に接続できるように構成されている。固定手段310は、装置10を卵内注射機械400に可逆的にロック又は固定できるように構成されている。最後に、装置10は、持ち運ぶことができるが、所望の位置に移動されると安定するように構成されている。ロック可能なキャスタ80及び制動手段85は、装置が必要とする移動性及び安定性機能を与える。
【0032】
次に、
図1の装置の頂部の筐体及びフレーム部分を除去して示す内部立面図である
図2を参照する。外側レール15は、内側レール17と共にテーブル又は棚を形成し、これは、図示の水平位置から垂直な貯蔵/輸送位置まで折畳み可能にできる。テーブル又は棚が折畳み可能である場合、支持部材16は、支持部材ロッド18(図示せず)に可逆的に取り付くように構成され、支持部材ロッド18は、卵の検卵区域100のフレームに枢動可能に取り付けることができ、結果としてロッド18は、テーブルを支持するために接続するように延びることができる。頂部の筐体及びフレーム部分を除去した状態で、卵平箱(flat)/搬送体7は、卵平箱/トレイ可動台191に隣接して示され、可動台191は、卵平箱/搬送体7と可逆的に係合して、卵平箱/搬送体7を卵の検卵区域100から生存できる卵の集結区域200まで移動させるように構成されている。
【0033】
図2に示すように、卵平箱可動台191は、エアシリンダ195及びエアシリンダ193が貫通する2つの開口部を備えている。エアシリンダ195及び193は、前方の移送シリンダ190に動作可能に接続されて、移送シリンダ190が空気圧で作動すると、シリンダ195及び193は横方向に移動するようになっている。作動時、シリンダ195は平箱と係合するので、シリンダ195が横方向に動くと平箱も移動するようになっている。このように、シリンダ195は、格納式フックのように機能し、卵平箱の背後に延びるとシリンダ190が作動して、卵平箱を軌道に沿って引っ張る。シリンダ193は、ロボットが識別された卵を取り出している間にのみ作動し、シリンダ193は、取り除くべき卵が識別されたときに関連して、平箱及び卵が、卵の取り除きによって所定位置から出ないように平箱を固定するようになっている。取り除かれる最後の卵がロボット及び吸引カップによって取り出されると、シリンダ193は引っ込み、卵平箱は、シリンダ195の作用によって軌道に沿って引っ張ることができる。従って、この実施形態では、シリンダ193の唯一の目的は、卵の取出し時に平箱をサイドレールに引き付けて/押し付けて、平箱7が、このステップ中に移動しないようにすることである。平箱が移動すると、卵が検卵ステップに決定された位置に対して位置が変わり、ロボット制御装置は、取り除く卵の適切な座標を保持できなくなる可能性がある。
【0034】
装置の一般的な動作時、ユーザは、複数の卵を搬送する平箱7を、レール15及び17によって形成された棚の上に載せる。平箱7が十分遠くに移動して卵の検卵区域100に入ると、把持シリンダ193が作動して平箱7と可逆的に係合する。次に、可動台191は、シリンダ190の長さに沿って移動し、平箱7を卵の検卵区域100から生存できる卵の集結区域200に移動させる。トレイが集結区域200に配置されると、把持シリンダ193は平箱7から外れ、可動台は卵の検卵区域100の開始点又は入口にある開始位置に戻ることができ、次に入ってくる平箱7と係合できる状態になる。このような様式で、卵平箱7は、レール15の左端部で装置内に連続的に供給され、卵の検卵区域100に押し込まれ、可動台191及び把持シリンダ193によって捕まえられて、シリンダ190によって生存できる卵の集結区域200に移動する。
【0035】
平箱7が生存できる卵の集結区域200にある状態で、可動台303は、シリンダ302に沿って、平箱の下方で、平箱7がまさに到着した検卵区域100に最も近い平箱の端部まで移動する。可動台303が平箱7の下方を移動している間、可動台303に枢動可能に接続された可動台フィンガ304、306は、卵平箱7と物理的に接触して下方に枢動する。換言すると、フィンガ304、306は、平箱7の下方を摺動する際に平箱7によって押し下げられる。このように、フィンガは、卵平箱7の下方を移動する際に枢動して後退するように構成され、さらに平箱7の下面を通過した後にその初期位置に戻るように構成されている。特定の実施形態では、可動台303は、第1組のフィンガ306が平箱の下面を通過してその初期位置に戻るまで、平箱7の下方を移動する。次に、可動台303は、横方向移動の方向を反転し、結果としてフィンガ306が平箱7と係合して、平箱を生存できる卵の集結区域200から装置の出口に向かって(すなわち、待機中の卵内注射機械400に向かって)移動させる。可動台は、シリンダ302に沿って終点に到達すると(例えば
図2に示すように)、再度方向を反転し、第2組のフィンガ304を平箱7の下面から外れた位置に至らせ、4つのすべてのフィンガ304、306は、それらの伸びた(すなわち初期又は休止)位置にある。この時点で、シリンダ302が可動台303を移動させ、結果的に前方フィンガ304が移動して平箱7と係合する。次いで、可動台303は、
図2に示す位置に移動し、これにより平箱7は、装置10の端部まで移動し(
図3に示す)、装置から離れるか又は待機中の第2の装置に載り、例えば
図8に示す卵内注射機械400内に入る。
【0036】
図3は、
図1の装置の内部立面図であり、卵再配置ロボットが除去され、卵平箱7は最遠位位置で示されており、装置から搬出されて待機中の二次装置に移ることができる状態になっている。筐体及び頂部フレーム部分が除去され、複数の開口部187を有する検卵光シュラウド108が見える。
図1から
図10に示す実施形態では、装置10は検卵光源を備え、光源は、シュラウド108の下方に位置決めされ、シュラウド108において複数の開口部187を通して照らすように構成されている。本出願人は、驚くべきことに、検卵する際の忠実度/精度は、開口部を通して検卵光を導くことによって、著しく改善できることを見出した。必然的に、穴187は、トレイ/平箱7内に保持された複数の卵の位置と並ぶように構成されている。また、
図3には安定部材88が示されており、それは、脚部87と、安定部材88の伸縮を可能にするように構成された格納式空気圧シリンダ89とを有する。本発明を実施する際、適切な任意のこのような支持手段を使用することができる。最後に、この図からロボットアーム支持体102を見ることができ、並びに装置10に沿って最遠位位置に示される卵トレイ7及び卵トレイ可動台303も見ることができる。この位置では、トレイ7は、下流の何らかの装置、例えば
図8に示す卵内注射機械によって支持することが必要である。検卵及び再配置装置10、及び何らかの下流側の装置の両方は、互いに可逆的に接続されるように構成する必要がある(例えば、
図5から
図8参照)。
【0037】
図4は、空気圧シリンダ190の拡大図を示し、空気圧シリンダ190は、可動台テーブル182を開始位置/近位位置から終了位置/遠位位置まで横方向に移動させるように構成されている。卵平箱可動台181(
図3に示す)は、卵平箱搬送体シリンダ195を卵平箱把持部シリンダ193に動作可能に接続する。シリンダ195及び193は、それぞれ大きさが異なる取付けスペーサ196、194を有することができ、ロボットが卵を取り出して再配置すると同時に、把持ロッド187は卵トレイ7と係合するように延びてこれを「把持」するように構成されている。この実施形態に示すように、可動台テーブル182の上にはハードウェア取付け開口部186が存在できる。シリンダ190は、シリンダエンドキャップ197(すなわち、ロッドレスシリンダ190の取付け点)を用いて装置に取り付けられ、調整可能ストロークリミッタブロック183、198は、様々な範囲の運動要件を満たすためにシリンダ190に沿った任意の地点に配置することができる。ショックアブソーバ185(例えば、空気クッション又は油圧クッション)は、ベース182が最近位位置又は最遠位位置に移動するとき(すなわち、ストロークリミッタブロックが実装エンドキャップ197に当たるとき)の衝撃を軽減するように構成され、調整可能ハードストップ184は、リミッタブロック183用の絶対的ハードストップ位置を与えるように構成される。調整可能性及び衝撃吸収性の特徴により、装置10は、限定はされないが、異なる大きさの卵平箱7を含む様々な条件に合うように構成できる。さらに、装置10は、適切な空気圧接続部及び電気接続部を含み、ユーザが、シリンダ190、195及び193の態様を含む装置の全ての態様を制御することを可能にする。最後に、装置の電気的及び空気圧的特徴部は、ユーザインターフェース50を介して制御可能である。
【0038】
図5は、装置10の可動台303及びその枢動により格納可能なフィンガ304、306の詳細図であり、フィンガ304、306は、卵搬送体を、ロッドレスシリンダ302に沿って、生存できる卵の集結区域200から
図1の装置の出口まで横方向に搬送する。装置は、
図7及び
図8に示す後続の適合性のある卵内注射装置400と可逆的に接続可能であるように構成されている。装置10の入口にレール15及び17がテーブルを形成するのと同じ方法で、可動台レール305及び外側レール307は、卵トレイ/平箱7用のテーブル又は支持体を形成する。レール305及び307は、下流の卵内注射機械400の対応する相手部品と一致するように構成されている。同様に、可動台303は、下流の卵内注射機械の構成部品と適合性があり、結果として卵トレイ7は、検卵及び卵再配置装置10から卵内注射機械400に安全かつ効率的に引き渡されるように構成されている。装置間の接続手段310(例えばドローラッチ、プルラッチなど)は、それ自体が装置10のフレームに取り付けられた取付け手段311(例えばブラケット、ブレース、フランジなど)に取り付けられる。図示のように、各ドローラッチ310は、ハンドル313及びフック312を含む。フックは対応するフック受け部401(
図6参照)に結合し、受け部401は、卵内注射機械400のフレームに取り付けられる。
【0039】
図6は、対応する検卵及び取除装置10の構成部品を受け入れ及び/又はこれらに結合するように構成される卵内注射機械400の構成部品を示す。卵内注射機械を移動させるのに使用するハンドル420と、検卵及び取除装置ヘッド10からのフック312を受け入れてこれに可逆的に取り付くように構成されたフック受け部401とが示されている。可動台受けレール416は、装置レール305と整列するように構成され、検卵装置可動台303は、車輪412を備える卵内機械可動台410まで移動することができる。
【0040】
図7は、装置10が卵内注射機械400に接続したときの、対応する構成部品の交わり及び/又は接続を示す。接続手段310及びフック受け部401は、装置同士を互いに物理的に接続し続けるのに十分であり、対応する構成部品は、装置10から卵内機械400への卵トレイ7の受け渡し又は交換を可能にして助長するように構成されている。
図7では、可動台303は最遠位位置に示され、卵トレイ/平箱7を卵内注射装置400の入口に押し込んでいる。同様に(すなわち、可動台303のように)プッシャフィンガを備えることができる可動台410は、卵トレイ7を卵内機械の最初の部分からこの機械の次の部分に移動させるように構成される。
図8は、卵内注射機械400に接続された検卵及び卵再配置装置10を示し、本明細書では総称して卵の検卵、再配置、及び注射システム600と呼ぶ。特定の実施形態では、卵内注射機械400は、各々がDavid Smith (Profilax))に付与された米国特許第7,430,987号、米国特許第7,721,674号、又は米国特許第8,201,518号に記載されている通りである。
【0041】
図9Aから
図9E及び
図10は、検卵及び卵再配置ロボットアーム101の詳細を提示する。ロボットアームの例は、Epsonの米国特許公開第2014/0109712号に記載されている。Epson公報にさらに詳述されているように、ロボット101は水平多関節ロボットである。ロボットアーム支持部102には台座110がボルト等で固定されている。台座110の上端には第1のアーム120が連結されている。第1のアーム120は、台座110に対して垂直方向に沿って延びる第1の軸A1の周りで旋回することができる。台座110の内側には、第1のアーム120を旋回させる第1のモータ111と、第1の減速機112とが組み込まれている。第1の減速機112の入力軸は、第1のモータ111の回転軸に結合されている。第1の減速機112の出力軸は、第1のアーム120に結合されている。従って、第1のモータ111が駆動されてその駆動力が第1の減速機112を介して第1のアーム120に伝達されると、第1のアーム120は、台座110に対して、水平平面内で第1の軸A1の周りに旋回する。第1のモータ111は、その回転量に応じたパルス信号を出力する第1のエンコーダ113を備える。第1のエンコーダ113からのパルス信号に基づいて、台座110に対する第1のアーム120の運動(旋回量)を検出できる。第1のアーム120の先端には第2アーム130が連結されている。第2アーム130は、第1のアーム120に対して、垂直方向に沿って延びる第2の軸線A2の周りに旋回可能である。このロボット又は他の機能的に等価なロボットの他の詳細は、例えばロボット製造業者からの商品パンフレットで容易に入手可能である。
【0042】
図9Aに示すように、ロボットアーム101には様々な空気圧回路及び電気回路が装着され、これによりアーム101は、卵を持ち上げて再配置することができる。検卵及び卵再配置装置10のアーム101は、鳥卵を含む球形及び卵形の物体を持ち上げて解放するように構成された可撓性/エラストマーのカップ140を含む。カップ140は、カップマウント146によって中空軸147に結合されている。ロボットアーム101は、軸147を垂直方向に上下に移動させ、それによりカップが卵と接触し、卵を持ち上げ、及び卵を選択された位置に移動させるように構成されている。本発明を実施する際に、軸147が中空でありかつカップ140に準大気圧を可逆的に付与し得るように空気用導管として機能するように構成されている限り、任意の適切な長さ及びタイプの軸147を使用することができる。この準大気圧により、可撓性カップ140が円形及び卵形の物体を持ち上げることができる。ユーザインターフェース50により、ユーザは、ロボット101に電気的に接続されかつロボットの機能の全ての態様を制御するように構成されたロボット制御装置180を制御することができる。
【0043】
真空発生器132は、ロボットの第2のアーム130に取付け板134を用いて取り付けられており、導管149、軸147、及びカップマウント146を用いてカップ140に流体連通する。発生器132は、真空発生器の空気圧制御弁135の開閉に応じて、カップ140に準大気圧圧力を可逆的に供給するように構成されている。図示のように、弁135は電気アクチュエータであり、これは電気制御装置280からの電気信号に応答して空気圧弁135を開閉するように構成されている。他の実施形態では、弁は、電気的作動ではなく、空気圧力又は油圧力によって開放することができる。弁135が開くと、空気圧供給ライン133からの空気圧は、弁135を通り、導管139(ベンチュリ用の空気圧供給ライン)を通って真空発生器132に入り、排気口/消音器132mから出ることができる。導管139を通って消音器から出る加圧空気の流れは、ベンチュリ効果を生み出し、それにより導管149内に準大気圧が生成される。この準大気圧はカップ140に伝わり、カップ140が再配置すべき卵に押し付けられて準大気圧が加えられると、卵は、負圧によってカップ140に密封的に保持される。ロボット101が卵を所望の新しい位置に移動させると、ワイヤ137に沿って送られる電気信号が弁135を閉じ、それによって一時的に準大気圧を解放して卵を解放する。接続点136は、ワイヤ137を切断及び接合する必要なしに所定の弁135の交換を容易にする。
図9Dに示すように、空気弁ベースポーテッドアルミニウムブロック129は、構成部品への、弁135への及び弁135からの空気流を案内する。
【0044】
図9Eに示すように、可撓性カップ140は、取付け点「P」、真空通路144、柔軟下側リップ141、フィルタスクリーン142、及び半剛性の二重ベローズ143を備える。当業者であれば、本発明を実施する際に他の適切な可撓性吸引カップを使用できることを理解できるはずである。
【0045】
図10に示すように、装置10は、所定量の清浄/消毒溶液を入れるためのリザーバ/タンク170を備えることができる。ロボットアームは、ユーザが選択した又は予めプログラムされた間隔で、軸147及び可撓性カップ140をタンク170の中に浸す。空気圧制御装置及び真空発生器132の作用によって負圧が加えられ、カップ140を通して溶液が軸147内に引き込まれる。次に、溶液は、軸147及び導管を消毒/清浄するのに十分な期間だけ軸147及び導管を通って循環する。
【0046】
卵の持ち上げ及び再配置サイクルは、再配置すべき各々の卵がトレイ7から取り出されてその所望の位置(例えば、卵のカートン、箱、かご、トレイ、容器など)に置かれるまで繰り返される。生存できない卵が取り出されると、生存できる卵のみを含むトレイ7は、検卵区域100から生存できる卵の集結区域200に移動する。この場合、空きスペースは、手動で又は別のロボットアームによって、生存できる卵で満たすこと(満たさないこと)ができる。
【0047】
従って、実施形態では、卵の持ち上げ及び再配置サイクルは、装置10によって以下のステップに従って実行することができる。
【0048】
1.生存できない卵の位置を表す情報を取得して保存する。
2.卵位置情報をロボット制御装置に伝達する。
3.ロボット制御装置により、カップ140を再配置すべき生存できない卵と接触させるためにはどのような動作が必要かを決定する。
4.ロボット制御装置は、ロボット101に命令して、アーム120を軸線A2の周りに、アーム130を軸線A1の周りに、及び軸147を垂直方向に運動させ、再配置すべき生存できない卵を持ち上げる。
5.軸147を十分に下方に移動させてカップ140が再配置すべき生存できない卵に接触すると、電気制御装置280は、弁135に開くように指示し、導管133からの加圧空気が弁135を通って導管139に流入し、真空発生器132に流入できるようにする。
6.真空発生器132を通過して消音器から流出する加圧空気が導管149内に負圧を発生させ、負圧が、カップ140と再配置すべき卵との間の空気に準大気圧を発生させ、それによって卵を一時的にカップに保持する。
7.ロボット制御装置は、ロボット101に命令して、軸147を垂直方向に、アーム120を軸線A2の周りに、及びアーム130を軸線A1の周りに運動させて、卵を新しい位置に移送する。
8.電気制御装置160は、弁135に閉じるように指示し、カップ140と卵との間の空気を大気圧に戻るようにして、それにより卵をカップ140から解放する。
9.サイクルは、全ての生存できない卵がトレイから取り出されて再配置されるまで繰り返される。
【0049】
カップ140を消毒容器170の中に移動させて空気を前後に通過させて消毒剤溶液がカップを清浄にすることによって、カップ140は、常に清浄にすることができる。また、溶液は、軸147及び様々な導管に引き込まれて、軸及び導管を清浄にすることができる。
【0050】
後述するように、異なる卵取出し装置「ヘッド」をモジュール方式でロボットに取り付けて、異なる孵化場のニーズに適応させる(例えば、異なる種類の卵トレイに適応させる)ことができる。
【0051】
42個の卵取出し装置ヘッド
図11に示すように、卵の取り出し及び再配置装置は、吸引カップ140のアレイに機械的かつ動作可能に結合されたロボット101を備えることができる。図示のように、各吸引カップ140は、独立したアクチュエータ504に機械的に結合され、これによって移動可能である。各アクチュエータ504は卵取出し装置ベース500に取り付けられ、このベースはロボット101の軸147に取り付けられる。
図14に示すように、軸147は、軸取付け手段520を用いて卵取出し装置ベース500に結合することができる。取付け手段は、円筒軸を卵取出し装置ベース500に取り付けるためにセグメント化された環状のリングシステム、又は他の任意の機械的に適切な手段とすることができる。各吸引カップ140は、導管(図示せず)を介して個々の真空発生器132と流体連通しており、導管は、各吸引カップ140を対応する真空発生器132と流体的に接続する。各導管は、空気管受け部508に密封可能に接続可能である。さらに、各アクチュエータ504は、ロボット101に動作可能に接続され(例えば電気アクチュエータ用のワイヤを介して、又は空気圧アクチュエータ用の空気導管を介して)、その結果、吸引カップ140とアクチュエータ504との各組合わせ(総称して「卵取出し装置」又は510と呼ぶ)は、個別に制御されて卵を取り出して再配置することができる。独立型アクチュエータ504は、汚染の危険性を低減して、バイオセキュリティを改善する(すなわち、各吸引カップ140は、生存できない卵と接触するだけである)という追加の利点をもたらす。さらに、各吸引カップ140は、それ自体が独立して制御可能な真空発生器132を有するので、悪い卵を選び出しているカップ140だけが真空を発生させ、二次汚染の危険性を減少させる。真空発生器132は、真空発生器バンクベース514に取り付けたバンク512として(図示するように)取り付けることができ、このベースは、ロボット101に取り付けることができる。点線で示すように、ロボット101の反対側に、別のベース514(これに取り付けられた真空発生器132のバンクを有する)が存在する。最後に、
図11から
図14に開示された実施形態は、移動/サイクル毎に0から42個の卵を取り出して再配置することができる。こうして、
図11から
図14に示した装置は、42個の卵取出し装置510のアレイを含み、1回の移動について42個の卵(例えば生存できない卵)を持ち上げる、取り出す、及び再配置することができる。従って、この装置は、2回の移動で84個の卵平箱を処理することができる。図示されていないが(図面を単純化するため)、装置は、真空発生器を卵取出し装置510に接続するための適切な空気導管及び/又はワイヤを備えている。
【0052】
6個の卵取出し装置ヘッド
別の実施形態では、卵の取出し及び再配置装置は、移動毎に6個の卵取出し装置ヘッド540を備えることができる(
図15)。42個の卵取出し装置ヘッド530に類似して、各卵取出し装置510は、独立して制御可能であり、装置は、移動/サイクル毎に0から6個の卵を取出して再配置できる。
【0053】
1個の卵取出し装置ヘッド
さらに別の実施形態(
図16)では、装置は、
図1から
図4に示す装置に類似し、1個の卵取出し装置ヘッド525を備えることができ、大判トレイ(例えば、150個の卵トレイ)に対応するように構成されている。この実施形態では、サイクル時間は、必然的に、サイクル毎に取り出し及び再配置すべき卵の数に依存する。しかしながら、この構成には、製造費用の削減、保守要件の低減、及び簡素さの向上などいくつかの利点がある。さらに、
図1から
図4に示す実施形態と同様に、
図16に示した実施形態は、取り出された卵を正確に再梱包することができる。このような場合、受取りトレイ800は、装置が受取りトレイを取り出された卵で満たし得るように位置決めすることができる。受取りトレイが取り出された卵(例えば生存できない卵)で一杯になると、装置は一杯になった受取りトレイを排出し、空の受取りトレイ800を受取り位置に置くことができ、こうして再梱包プロセスを継続することができる。
【0054】
好都合には、各卵取出し装置ヘッド(例えば、1個の卵、6個の卵、42個の卵など)は、各孵化場のニーズに基づいて、何らかの卵平箱構成とともに使用できる。
【0055】
本発明が開示されているが、本出願人は、装置の様々な構成要素に関する多くの機械的に合理的な構成を想定している。
【0056】
本発明は、以下の非限定的な特許請求の範囲に記載される。
【符号の説明】
【0057】
1 積載区域
7 卵搬送体
10 検卵及び再配置装置
50 スクリーン
100 検卵区域
101 卵再配置ロボット
156 カメラ
200 卵の集結区域
300 出口区域
400 卵内注射装置