(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-18
(45)【発行日】2022-03-29
(54)【発明の名称】航空機乗客用の個別座席の配置
(51)【国際特許分類】
B64D 11/06 20060101AFI20220322BHJP
A47C 9/00 20060101ALI20220322BHJP
【FI】
B64D11/06
A47C9/00 Z
(21)【出願番号】P 2019531810
(86)(22)【出願日】2017-12-14
(86)【国際出願番号】 EP2017082768
(87)【国際公開番号】W WO2018109066
(87)【国際公開日】2018-06-21
【審査請求日】2020-11-26
(32)【優先日】2016-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】513096624
【氏名又は名称】サフラン シーツ
(74)【代理人】
【識別番号】100099793
【氏名又は名称】川北 喜十郎
(72)【発明者】
【氏名】ホワイト, ジェレミー
(72)【発明者】
【氏名】サンダム, ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】シール, リチャード
(72)【発明者】
【氏名】シュライビ, オマール
【審査官】米澤 篤
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0298798(US,A1)
【文献】米国特許第8348195(US,B2)
【文献】米国特許出願公開第2014/0361585(US,A1)
【文献】国際公開第2015/061688(WO,A2)
【文献】米国特許出願公開第2016/0297530(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0210393(US,A1)
【文献】特開2001-253283(JP,A)
【文献】特表2015-511557(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0241247(US,A1)
【文献】特表2009-534248(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0246981(US,A1)
【文献】特表2004-537459(JP,A)
【文献】国際公開第2003/013903(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64D 11/06
A47C 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機客
室内に設置される、2つの座
席の第1セッ
ト及び2つの座
席の第2セッ
トを含む個別座席の配
置であり、各座
席は軸を有し且つ着座位置と伸長位置との間で変換可能であり、前記配
置が長手方向
軸を有する個別座席の配
置であって、
第1セッ
トの第1座
席は第2セッ
トの第1座
席に向かい合って位置付けられ、
第1セッ
トの第2座
席は第2セッ
トの第2座
席に向かい合って位置付けられ、
第1セッ
トの第1座
席及び第2座
席は前記配
置の前記長手方向
軸の方向に向かって内側を向いており、
第2セッ
トの第1座
席及び第2座
席は前記配
置の前記長手方向
軸とは反対に向かって外側を向いていることを特徴とし、
前記配
置が更に、
2つの座
席の第1セッ
トと2つの座
席の第2セッ
トとの間に位置付けられた第1中央コンソー
ル及び第2中央コンソー
ルを備え、
第1中央コンソー
ルは、互いに反対を向く2つの方向に開口し、且つ第1セッ
トの第1座
席及び第2セッ
トの第1座
席にそれぞれ関連付けられた第1足領
域及び第2足領
域を有し、
第2中央コンソー
ルは、互いに反対を向く2つの方向に開口し、且つ第1セッ
トの第2座
席及び第2セッ
トの第2座
席にそれぞれ関連付けられた第1足領
域及び第2足領
域を有
し、
前記配置は前記長手方向軸に沿って複数並べて用いられ、
前記長手方向軸に沿って隣接する2つの前記配置の一方の第1セットの第1座席と前記2つの前記配置の他方の第2セットの第1座席とがダブルモジュールにより構成され、
前記ダブルモジュールが、
前記2つの前記配置の一方の第1セットの第1座席と前記2つの前記配置の他方の第2セットの第1座席とが互いに反対方向を向くように前記2つの前記配置の一方の第1セットの第1座席及び前記2つの前記配置の他方の第2セットの第1座席をそれぞれ受容する第1ハウジング及び第2ハウジングと、
前記2つの前記配置の一方の第1セットの第1座席と前記2つの前記配置の他方の第2セットの第1座席との間に延在するシェルとを有することを特徴とする配
置。
【請求項2】
各中央コンソー
ルにおいて、前記複数の足領
域が、前記配置の前記長手方向
軸に沿って、少なくとも部分的に重なり合っていることを特徴とする請求項1に記載の配
置。
【請求項3】
同一セッ
ト内の前記座
席の間を分離するために、前記長手方向
軸に沿って延在する中央仕切
りを備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の配
置。
【請求項4】
前記中央仕切
りは、展開位置と片付け位置との間の格納式であることを特徴とする請求項3に記載の配
置。
【請求項5】
前記片付け位置では、前記中央仕切
りが前記2つの中央コンソー
ルの間の隙
間に少なくとも部分的に収納されることを特徴とする請求項4に記載の配
置。
【請求項6】
前記中央仕切
りが一体に作られていることを特徴とする請求項4又は5に記載の配
置。
【請求項7】
第1セット及び第2セッ
トの横並びの座
席を隔てるために、前記中央仕切
りが2つの部
分で作られることを特徴とする請求項4~6のいずれか一項に記載の配
置。
【請求項8】
前記中央仕切
りが前記配置の複数の支
柱に機械的に連結されることを特徴とする請求項4~7のいずれか一項に記載の配
置。
【請求項9】
さらに、第1セッ
トを第2セッ
トから隔てるために、前記配
置の前記長手方向
軸に垂直な方向に延びる横方向仕切
りを備えることを特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載の配
置。
【請求項10】
前記横方向仕切
りは、展開位置と片付け位置との間で格納式の2つの部
分で作られ、該2つの部分は、各セッ
トの第1座席又は各セッ
トの第2座席を別々に分離することを特徴とする請求項9に記載の配
置。
【請求項11】
前記片付け位置では、前記横方向仕切
りの各部
分が中央コンソー
ルに形成された隙
間に少なくとも部分的に収納されることを特徴とする請求項10に記載の配
置。
【請求項12】
前記横方向仕切
りが複数のスクリー
ンを備え、各スクリー
ンが前記配
置の1つの座
席に関連付けられることを特徴とする請求項9~11のいずれか一項に記載の配
置。
【請求項13】
さらに、1つのスクリー
ンを担持する少なくとも1つの支持
体を備え、該支持
体が支
柱に対して回転可能に取り付けられ、前記スクリー
ンが前記支持
体に対して回転可能に取り付けられることを特徴とする請求項1~12のいずれか一項に記載の配
置。
【請求項14】
通
廊に沿って延在する少なくとも1つの側面仕切
りを備え、該側面仕切
りが前記座
席と該座席に対応する中央コンソー
ルとの間の通
路を閉じる手
段を有することを特徴とする請求項1~13のいずれか一項に記載の配
置。
【請求項15】
前記側面仕切
りが複数の支
柱によって担持されることを特徴とする請求項14に記載の配
置。
【請求項16】
前記複数の支
柱は、特に、前記座
席に関連付けられたマルチメディアシステム用の電力やデータの信号を運ぶ電気的ビームが通過できるように中空であることを特徴とする請求項15に記載の配
置。
【請求項17】
各座
席が座
席の背もたれの周りに位置付けられたシェ
ルに関連付けられることを特徴とする請求項1~16のいずれか一項に記載の配
置。
【請求項18】
-中央座席グルー
プと、
-前記中央座席グルー
プの両側に位置する2つの側面座席グルー
プとを備え、
各側面座席グルー
プが通
廊によって前記中央座席グルー
プから分離されている航空機客
室であって、
前記中央座席グルー
プが前記請求項1~17のいずれか一項に規定された4座
席の配
置を少なくとも1つ備える航空機客
室。
【請求項19】
前記少なくとも1つの4座
席の配
置が前記中央座席グルー
プの一端に位置することを特徴とする請求項18に記載の航空機客
室。
【請求項20】
前記側面グルー
プが、とりわけ、中央コンソー
ルに関連付けられた2座
席モジュールの繰り返しにより形成されることを特徴とする請求項18又は19に記載の航空機客
室。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空機乗客用の個別座席(個別式座席)の配置に関する。
【0002】
「ビジネスクラス」タイプの航空機座席は、「着座」位置から乗客が眠るための略水平な面(睡眠面)を座席が画定する「伸長(倒した)」位置まで、快適な異なる位置を乗客に提供する。
【0003】
背もたれを大きく傾斜させる「リラックス」位置のような快適な中間位置も提示される。一般に、このような位置は、背もたれを水平軸を中心に枢動させて座席の軸に垂直になるように傾斜させることによって得られる。その結果、乗客は、異なる位置の間を移行する間、座席に留まっていることができる。
【0004】
寝台は、一般に、背もたれ、座席、レッグレスト及びフットレストで構成され、これら後者のものは、座席に固定されるか、若しくは座席の運動学に関係し得る。
【0005】
特定の「ビジネスクラス」の航空機客室座席配置によると、航空機の長手方向に沿って前後に配置された2つの座席の間に設けられた通路を介して、全ての乗客用の通廊(通路)に直接アクセスすることができる。乗客は、特に、座席が「伸長」位置にあるときに他の乗客の邪魔をすることなく容易に座席を離れることができる。
【0006】
いくつかの実施形態では、座席は2つの長手方向列に沿って配置され、同一横列の座席は傾斜軸を有し、即ち、これらの座席は、配置の長手方向軸に対して非ゼロ角度を形成する。
【0007】
文献US2007/246981は、同一横列の座席が配置の長手方向軸(長手軸)の方向に向かって内側を向いた、即ち、これら座席の軸が座席の前方で航空機の長手方向軸と交差する、いわゆる「へリングボーン」ハの字状構成を記載する。
【0008】
文献WO03/013903に記載された、いわゆる「逆へリングボーン」構成においては、同一横列の座席が、長手方向軸の外側に向けられている、即ち、これらの座席の軸は、座席の後方で航空機の長手方向軸と交差する。そのため、乗客は客室の通廊の方に向いている。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、航空機客室内に設置されることを意図した個別座席の配置を提供することによって、既存構成のモジュール性を向上することを目的とし、この配置は、2つの座席の第1セット及び2つの座席の第2セットを含み、各座席は、軸を有し、かつ着座位置と伸長位置との間で変換可能である。この配置は、長手方向軸を有し、
-第1セットの第1座席は、第2セットの第1座席に向かい合って(対向して)位置付けられ、
-第1セットの第2座席は、第2セットの第2座席に向かい合って(対向して)位置付けられ、
-第1セットの第1座席および第2座席は、配置の長手方向軸に向かって内側を向いており、
-第2セットの第1座席および第2座席は、配置の長手方向軸とは反対に向かって外側を向いていることを特徴とする。
また、この配置は、さらに、
-第1セットの座席と第2セットの座席との間に位置付けられた第1中央コンソール及び第2中央コンソールを備え、
-第1中央コンソールは、互いに反対を向く2つの方向に開口し、且つ第1セットの第1座席及び第2セットの第1座席にそれぞれ関連付けられた第1足領域及び第2足領域を有し、
-第2中央コンソールは、互いに反対を向く2つの方向に開口し、且つ第1セットの第2座席及び第2セットの第2座席にそれぞれ関連付けられた第1足領域及び第2足領域を有することを特徴とする。したがって、本発明によると、座席配置の構成における大幅なモジュール性を有しつつ、航空機客室において多様な位置を乗客に提供することができる。
【0010】
一実施形態によると、各中央コンソールでは、複数の足領域が配置の長手方向軸に沿って少なくとも部分的に重ね合わさっている。
【0011】
一実施形態によると、この配置は、同一セットの座席の間を分離するために、長手方向軸に沿って延在する中央仕切りを含む。このような構成は、2つのモジュールの座席を対面させて製作することを可能にする。
【0012】
一実施形態によると、中央仕切りは、展開位置と片付け位置との間の格納式である。
【0013】
一実施形態によると、片付け位置では、中央仕切りは、2つの中央コンソールの間の隙間に少なくとも部分的に収納される。一実施形態によると、中央仕切りは一体に作られる。
【0014】
一実施形態によると、中央仕切りは、2セットの座席のうちの横並びの座席を隔てるために2つの部分で作られる。
【0015】
一実施形態によると、中央仕切りは、配置の複数の支柱に機械的に連結される。一実施形態によると、この配置は、さらに、第2セットの座席に対して第1セットの座席を隔てるために、配置の長手方向軸に垂直な方向に延在する横方向仕切りを備える。
【0016】
一実施形態によると、横方向仕切りは、展開位置と片付け位置との間の2つの格納式部分で作られ、この2つの部分は、各セットの第1座席または各セットの第2座席を別々に分離させるためのものである。一実施形態によると、片付け位置では、横方向仕切りの各部分は、対応する中央コンソールの隙間に少なくとも部分的に収納される。
【0017】
一実施形態によると、横方向仕切りは、複数のスクリーンを備え、それぞれのスクリーンが配置の1つの座席と関連付けられている。
【0018】
一実施形態によると、配置は、さらに、1つのスクリーンを担持する少なくとも1つの支持体を含み、この支持体は、支柱に対して回転可能に取り付けられ、スクリーンは、この支持体に対して回転可能に取り付けられる。
【0019】
一実施形態によると、配置は、通廊に沿って延在する少なくとも1つの側面仕切りを含み、この側面仕切りは、座席と、対応する中央コンソールとの間の通路を閉じる手段を含む。
【0020】
一実施形態によると、側面仕切りは、複数の支柱によって担持される。
【0021】
一実施形態によると、これらの支柱は、特に、座席に関連付けられたマルチメディアシステム用の電力やデータの信号を運ぶ電気的ビームが通過できるように中空である。
【0022】
一実施形態によると、各座席は、座席背もたれの周りに位置付けられたシェルに関連付けられる。
【0023】
本発明は、さらに、
-中央座席グループと、
-中央座席グループの両側に位置する2つの側面座席グループとを備え、
-各側面座席グループが、通廊によって中央グループから分離されている航空機客室であって、中央グループが上記に規定された4座席配置を少なくとも1つ含む航空機客室に関する。
【0024】
一実施形態によると、少なくとも1つの4座席配置は、中央座席グループの一端に位置する。このような配置は、中央グループの一端に複数の足領域を組み込むモジュールを設置する必要を避けることによって、客室内の省スペース化が図れる。
【0025】
一実施形態によると、側面グループは、とりわけ、1つの中央コンソールに関連付けられた2つの座席のモジュールを繰り返すことによって形成される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
当然ながら、本発明の各種特徴、変形例および/または実施形態は、それらが互いに不適合でない若しくは互いを除外しない範囲内において、様々に組み合わせて互いを関連付けてよい。本発明は、添付されている図面を参照する図示によって与えられ、非限定的例によって提示される実施形態を含む以下の詳細な説明を読むと、より良く理解され、他の特徴や利点が明らかとなるであろう。これらの実施形態は、本発明の理解とその実施の提示を完全なものにするために、また、該当する場合は、その定義に貢献するために用いることができる。ここで、
【
図1a-1d】
図1a-
図1dは、「映画モード」と称される、本発明に係る座席の配置の第1実施形態を例示する斜視図である。
【
図2】
図2は、本発明に係る複数の背中合わせ座席配置を提供するために使用することができるダブルモジュールの斜視図である。
【
図3a-3g】
図3a-
図3gは、「オフィスモード(デスクモード)」と称される、本発明に係る座席の配置の第2実施形態を例示する斜視図である。
【
図4a-4f】
図4a-
図4fは、乗客数に応じて選択することのできる本発明に係る配置の異なる構成を例示する上面図である。
【
図5a-5j】
図5a-
図5jは、異なる座席数を有する本発明に係る異なる航空機客室構成を例示する。 なお、図面において、各種実施形態に共通する構造および/または機能要素は、同じ参照符号を有する。そのため、別段の規定がない限り、そのような要素は、同一の構造、寸法および材料特性を有する。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1aから
図1dおよび
図3aから
図3gは、航空機客室内に設置するための個別座席の配置を示す。この配置10は、2つの座席13.1、13.2の第1セット11及び2つの座席13.3、13.4の第2セット12を含む。各セット11、12では、座席(13.1と13.2はセット11であり、13.3と13.4はセット12である)は、互いに横並びに位置する。
【0028】
各座席13.1~13.4は、その座席の水平面と対称面との交差に対応する軸X1を有する。各座席13.1~13.4は、好ましくは、特に航空機が停止、離陸及び着陸段階の間に使用される位置に対応する「着座」位置と、乗客が眠るための略水平な面(睡眠面)を座席13.1~13.4が画定する「伸長(倒した)」位置との間で変換可能である。各座席13.1~13.4は、これら2つの両極端な位置の間の、前述のリラックス位置である中間位置にもなり得る。
【0029】
配置10には、航空機客室の軸X3に沿って延びる(
図5aから
図5j参照)あるいはこの軸X3に平行な長手方向軸X2がある。その代わりに、軸X2が客室の軸X3に対して略垂直であるか、あるいはある角度をなしてもよい。長手方向軸X2は、同一セット11(又は12)の座席13.1と13.2(または13.3と13.4)との間を通る。この軸X2は、配置10の対称面に位置し得る。
【0030】
より具体的には、第1セット11の第1座席13.1は、第2セット12の第1座席13.3に向かい合って(前方において対向して)位置付けられ、第1セット11の第2座席13.2は、第2セット12の第2座席13.4に向かい合って(前方において対向して)位置付けられる。また、第1セット11の第1座席13.1と第2座席13.2は、配置10の長手方向軸X2に向かって内側に向けられている。第2セット12の第1座席13.3と第2座席13.4は、配置10の長手方向軸X2とは反対に向かって外側へ向いている。
【0031】
好ましくは、座席13.1、13.2、13.3、13.4のそれぞれの軸X1は、配置10の長手方向軸X2に対して略同じ角度をなす。同一セット11、12の複数の座席のそれぞれの軸X1は、略一点で配置10の長手方向軸X2と交差する。
【0032】
したがって、第1セット11の座席13.1、13.2のそれぞれの軸X1は、略一点で座席13.1、13.2の前で長手方向軸X2と交差し、一方、第2セット12の座席13.3、13.4のそれぞれの軸X1は、略一点で座席13.3、13.4の後ろで長手方向軸X2と交差する。
【0033】
その代りに、同一セット11、12の座席のそれぞれの軸X1を、長手方向軸X2に沿って互いに対してずらしてもよく、それにより、同一セット11、12の座席のそれぞれの軸は、異なる点で長手方向軸X2と交差する。
【0034】
各座席13.1、13.2、13.3、13.4は、ベースモジュール15の対応するハウジングに組み込まれている。このベースモジュール15は、座席13.1~13.4の一方側に位置するアームレスト16と、座席13.1~13.4の他方側に位置するクッション17とを含む。クッション17は、好ましくは、座席13.1~13.4が伸長位置にあるとき、座席13.1~13.4の就寝面(睡眠面)の延長上に位置付けられることを意図した、睡眠(睡眠面)を最大にするためのクッションである。アームレスト16は、対応する座席13.1~13.4が着座位置にあるときに乗客が肘を休めることができる起立位置と、伸長位置にある座席13.1~13.4の延長上にアームレスト16が位置する降下位置との間の可倒式アームレストであり得る。
【0035】
各座席13.1~13.4は、さらに、隣接する配置10の座席13.1~13.4を隔てるために、各座席の背もたれの周りに位置付けられ、とりわけ
図1bに見られるシェル20にも関連付けられる。同一セット11(または12)の座席13.1と13.2(または13.3と13.4)のそれぞれのシェル20は、一体に作ることができる。いくつかの配置10を前後に位置付ける場合、第1セット11の座席13.1(または13.2)および同一長手方向列に沿って位置付けられる第2セット12の隣接する座席13.3(または13.4)は、ダブルモジュール23により得ることができる。
図2に例示されるように、ダブルモジュール23は、座席13.1と13.3(または13.2と13.4)を互いに反対を向く2つの方向に向けるために、座席13.1と13.3(または13.2と13.4)を受容する2つのハウジング24.1、24.2を含む。一方の座席13.1(または13.2)を長手方向軸X2の方へ向け、他方の座席13.3(または13.4)を長手方向軸X2の外方へ向ける。同一モジュール28に設置された両方の座席13.1と13.3(または13.2と13.4)のそれぞれの軸X1は、好ましくは、互いに略平行である。シェル20は、ダブルモジュール23の2つの座席13.1と13.3(または13.2と13.4)との間に延在する。また、ダブルモジュール23では、伸長位置にある座席13.1と13.3(または13.2と13.4)のそれぞれの背もたれは、長手方向Yにおいて少なくとも部分的に重なる。
【0036】
さらに、配置10は、第1の座席セット11と第2の座席セット12との間に位置付けられた第1中央コンソール27.1および第2中央コンソール27.2を含む。これらの中央コンソール27.1、27.2のそれぞれは、とりわけ乗客が物を置くことのできる平坦な上面28を有する。
【0037】
第1中央コンソール27.1は、互いに反対を向く2つの方向に開口し、かつ第1セット11の第1座席13.1および第2セット12の第1座席13.3にそれぞれ関連付けられた第1足領域30.1と第2足領域30.2とを有する。そのため、第1足領域30.1は、第1セット11の第1座席13.1が伸長位置にあるとき、第1セット11の第1座席13.1の延長上に位置する。反対側の第2足領域30.2は、第2セット12の第1座席13.3が伸長位置にあるとき、第2セット12の第1座席13.3の延長上に位置する。
【0038】
同様に、第2中央コンソール27.2は、互いに反対を向く2つの方向に開口し、かつ第1セット11の第2座席13.2および第2セット12の第2座席13.4にそれぞれ関連付けられた第1足領域30.3と第2足領域(フットレスト領域)30.4とを有する。そのため、第1足領域30.3は、第1セット11の第2座席13.2が伸長位置にあるとき、第1セット11の第2座席13.2の延長上にある。反対側の第2足領域30.4は、第2セット12の第2座席13.4が伸長位置にあるとき、第2セット12の第2座席13.4の延長上にある。
【0039】
各中央コンソール27.1、27.2において、足領域30.1と30.2(または30.3と30.4)は、長手方向軸X2に沿って少なくとも部分的に重なり合っている。そのため、同一の中央コンソール27.1(または27.2)の2つの足領域30.1と30.2(または30.3と30.4)と交差する、長手方向軸X2に垂直な少なくとも1本の直線が存在する。より具体的には、足領域30.1~30.4は、
図1aに示されるように、対応する座席13.1~13.4に向かって開口する複数のハウジング31と、各ハウジング31内に位置して乗客が足を休めることができる略水平なフットレストクッション32とで構成される。
【0040】
中央コンソール27.1、27.2内に作られるハウジング31は、それぞれ、底部33によって境界が定められ、同一中央コンソール27.1、27.2内に形成される2つのハウジング31のそれぞれの底部33は、長手方向軸X2に対して傾斜した共通壁34によって相互接続されている。
【0041】
モジュールとしての特徴を有するために、中央コンソール27.1、27.2は、有利なことには、互いに独立している。しかし、ある変形例として、中央コンソール27.1、27.2を一体形成して1つの単品としてもよい。
【0042】
さらに、中央仕切り37は、長手方向軸X2に沿って延在して、同一セット11、12の座席13.1、13.2(または13.3と13.4)の間を分離する。
図1cに例示されるように、このような構成によると、2つの対面式座席モジュール、即ち、座席13.1と13.3によって形成される第1モジュールと、座席13.2と13.4によって形成される第2モジュールとを創出することができる。以下に更に詳細に説明されるが、特に
図5a及び
図5bに例示されるように、航空機客室内の側面グループ(サイドグループ)62の座席において繰り返すことができるのは、これらの対面式座席モジュールである。
【0043】
中央仕切り37は、有利なことには、展開位置と片付け位置(列位置)との間の格納式である。片付け位置では、中央仕切り37は、
図3dに示されるように、2つの中央コンソール27.1、27.2の間の隙間(空間)38に、少なくとも部分的に収納される。
【0044】
中央仕切り37は、一体に若しくは2つの部分37.1、37.2で作られ、2つの座席セット11、12のうちの横並びの座席13.1、13.2(または13.3、13.4)を別々に隔てる。ある特定の実施形態では、中央仕切り37は、複数の支柱40に機械的に連結される。実際には、配置10は、座席13.1~13.4に関連付けられたマルチメディアシステム用の電力やデータの信号を運ぶ電気的ビーム(電気配線の束)が通過できるように、上下方向に延伸する中空の支柱40を含む。したがって、以下に説明するように、これらの支柱40が存在することを生かして、配置10の中央仕切り37および他の仕切りを固定する支持体として支柱40を使用することができる。
【0045】
このために、中央仕切り37を担持する支柱40は、中央仕切り37の各部分37.1、37.2が上下方向に、ある位置から他の位置へ移動できるように滑動部(slide)を含み得る。その代りとして、中央仕切り37の移動は、横方向への移動、回転、またはこれらの動きの組合せであり得る。
【0046】
さらに、横方向仕切り43は、配置10の長手方向軸X2に垂直な方向に延在して、2つの座席セット11、12の間を分離する。
【0047】
図1dの実施形態では、横方向仕切り43が複数のスクリーン44を備え、各スクリーン44は、配置10の1つの座席13.1~13.4に関連付けられている。そのため、横方向仕切り43は、その表面の各々に2つのスクリーン44を備える。前に述べたように、支柱40は、横方向仕切り43に対する支持構造体としての機能を果たし得る。特定の構成では、横方向仕切り43は、支柱40を覆って隠す形状をなし得る。
【0048】
横方向仕切り43は、好ましくは、
図3dに示される位置に対応する展開位置と、片付け位置(列位置)との間の格納式であり得る2つの部分43.1、43.2で作られる。
【0049】
図3fに示されるように、片付け位置では、横方向仕切り43の各部分43.1、43.2は、対応する中央コンソール27.1、27.2に形成された隙間(空間)45内に少なくとも部分的に収納される。横方向仕切り43の各部分43.1、43.2は、ある位置から他の位置に移動するために、上下方向軸に従って(軸周り)に回転可能であり、この軸に従って(軸に沿って)スライド可能である。
【0050】
実際には、対応する部分を受容する隙間45は、展開位置にある横方向仕切り43の延在方向に対して傾斜しており、
図3eに示されるように、まず上下方向軸を中心として横方向仕切り43を回転させて、横方向仕切り43の部分43.1,43.2を対応する収納隙間45と合わせ、次に、
図3fに示されるように、部分43.1、43.2を上下方向下方に押して、収納隙間45の内部に貫通させる必要がある。収納隙間45の長さが、対応する横方向仕切り43の部分43.1、43.2が展開位置にあるときの横方向仕切り43の部分43.1、43.2の長さより短い場合、伸縮自在な横方向仕切り43を使用することができるであろう。
【0051】
図4aから
図4fに例示されるように、配置10は、乗客にさまざまな心地良い快適さ(アメニティ)をもたらすことができる大幅なモジュール化を提供する。
【0052】
したがって、
図4aに示されるいわゆる「ソロ」モードでは、中央仕切り37および横方向仕切り43全てを展開することによって各乗客を隔てることができる。
図4bに示されるいわゆる「ダブル」モードでは、中央仕切り(中央壁)37の部分37.2を退避させることによって、二人の乗客は、逆ハの字状座席構成で横並びに配置されて話をすることができる。
【0053】
図4cに示される「均等」モードでは、中央仕切り37の他方の部分37.1を退避させることによって、二人の乗客は、ハの字状の座席構成になって横並びで話をすることができる。
【0054】
図4dに示されるいわゆる「ツイン」モードでは、横方向仕切り(横方向壁)43の部分43.2を退避させることによって、二人の乗客は、互いに対面して話をすることができる。
【0055】
図4eに示されるいわゆる「トリオ」モードでは、横方向仕切り43の部分43.2のみならず、中央仕切り37の部分37.2も退避させることによって、3人の乗客が話をすることができる。
【0056】
図4fに示されるいわゆる「四人部屋」モードでは、中央仕切り37のみならず、横方向仕切り43も完全に退避させることによって、その配置の四人の乗客が話をすることができる。従前に指摘したように、横方向仕切り43に設けられているスクリーン44を使用することができる。こうすることで、
図1aから
図1dの映画実施形態に対応する。
【0057】
その代わりとして、
図3aから
図3gの「オフィス」実施形態では、スクリーン44を担持する支持体48が設けられている。各支持体48は、対応する支柱40に対して回転可能に取り付けられ、スクリーン44は、支持体48に対して回転可能に取り付けられる。
【0058】
スクリーン44を片付け位置から使用位置に移動させるには、
図3cに示されるように、支持体48を、対応する座席13.1~13.4の方へ回し、次に、支持体48上のスクリーン44を回動させて所望の方向に向ければよい。逆の操作をすると、スクリーン44を使用位置から、
図3eに示されるように、スクリーン44が中央仕切り37に略平行な面に延在する片付け位置に移動させることができる。座席13.1~13.4にそれぞれ関連付けられたタブレット(棚)51を設けることも可能である。各タブレット51は、
図3gに示されるように、対応する中央コンソール27.1、27.2の上面28の延長上にあって、その中央コンソール27.1、27.2から突出する使用位置と、
図3fに示されるように、対応する中央コンソール27.1、27.2の内部ハウジングに収納される片付け位置との間において、対応中央コンソール27.1、27.2に対して移動可能である。
【0059】
特に
図1bおよび
図3bに見られるように、配置10は、それぞれ通廊に沿って延在する2つの側面仕切り54.1、54.2を有する。各側面仕切り54.1、54.2は、座席13.1~13.4と、該座席に対応する中央コンソール27.1、27.2との間の通路56を閉じる閉じ手段55を含む。この閉じ手段55は、例えば、側面仕切り54.1、54.2の2つの部分の間を平行移動で移動可能に取り付けられたドア、あるいは蝶番を中心として回動可能に取り付けられたドアで構成され得る。有利なことには、側面仕切り54.1、54.2は、対応する支柱40によって担持される。
【0060】
上記から分かるのは、
図1aから
図1dの「映画」構成から、
図3aから
図3gの「オフィス」構成へ切り替えるために、ベースモジュール15、中央コンソール27.1、27.2およびシェル20は維持し、配置10の上部部分(中央仕切り37、横方向仕切り43、スクリーン支持体48)のみを修正して、航空会社が課す構成仕様に配置10を適合させたことである。したがって、基本的な共通要素(ベースモジュール15、中央コンソール27.1、27.2及びシェル20)から得られる座席構成の設計において、大幅なモジュール化がなされた。
【0061】
図5aから
図5jは、実現可能な異なる航空機客室構成59を示す。これらの構成は、中央座席グループ61と、中央座席グループ61の両側に位置する2つの側面座席グループ62とによって形成される。この場合、2つの側面座席グループ62は、航空機64の壁に近い。
【0062】
中央座席グループ61は、通廊63によって側面座席グループ62のそれぞれから分離される。
【0063】
図5aの実施形態では、客室59には28個の乗客座席がある。中央座席グループ61は、本発明に係る4座席13.1~13.4の配置10の繰り返しを含む。中央座席グループ61は、その端に、座席13が客室59の軸X3から離れるように向けられた(英語における「逆ハの字(シェブロン)状」または「逆へリングボーン」配置の)2座席の端部セット(端部アセンブリ)65を2つ有する。
【0064】
側面グループ62は、とりわけ、中央コンソール27.1(または27.2)に関連付けられた2つの座席13.1と13.3(または13.2と13.4)を有するモジュールの繰り返しで形成され、この繰り返しは、配置10の半分の繰り返しに相当する。
【0065】
図5bの実施形態は、端部セット65が軸X1に向かって内側に向いている(英語における「ハの字(シェブロン)状」または「へリングボーン」配置の)座席13を有することを除いては、
図5aの実施形態と同様である。
【0066】
図5cの実施形態では、中央座席グループ61は、本発明に係る4座席13.1~13.4の配置10で始まってハの字状配置が続き、
図5aおよび
図5bの2つの従前の構成の場合のように足領域を組み込んだモジュール66を設置する必要を避けることによって、省スペースとなる。さらに、複数の側面座席グループ62は、それぞれ、壁64の方を向き壁64に沿って延在する一列の座席13によって形成される。
図5dの実施形態では、30座席あり、4座席13.1~13.4の配置10が中央座席グループ61の最初と最後に位置する。側面座席グループ62は、中央コンソール27.1(または27.2)に関連付けられた2座席13.1と13.3(または13.2と13.4)セットを含む。
図5eの実施形態では、32座席あり、4座席13.1~13.4の配置10が中央座席グループ61の最初に二度繰り返されている。複数の側面座席グループ62は、それぞれ、壁64の方を向き壁64に沿って延在する一列の座席13によって形成される。
【0067】
図5fの実施形態は、4座席13.1~13.4の配置10が中央座席グループ61の最初と最後に位置することを除いては、
図5eの実施形態と同様である。
【0068】
図5gの実施形態では、30座席あり、4座席13.1~13.4の配置10が中央座席グループ61の最後に位置し、残りの座席13は、逆ハの字状構成となっている。側面座席グループ62は、中央コンソール27.1(または27.2)に関連付けられた2座席13.1と13.3(または13.2と13.4)のセットを含む。
【0069】
図5hの実施形態では、32座席あり、4座席13.1~13.4の配置10が中央座席グループ61の最後に位置し、残りの座席13は、逆ハの字状構成となっている。複数の側面座席グループ62は、異なる傾斜角度を有するハの字状の座席13によって形成される。
【0070】
図5iの実施形態では、32座席あり、4座席13.1~13.4の配置10が中央座席グループ61のハの字状に構成された座席13セットの背後に位置する。複数の側面座席グループ62は、それぞれ、壁64の方を向き壁64に沿って延在する一列の座席13によって形成される。
【0071】
図5jの実施形態では、32座席あり、4座席13.1~13.4の配置10が中央座席グループ61の逆ハの字状に構成された座席13セットの背後に位置する。複数の側面座席グループ62は、それぞれ、壁64の方を向き壁64に沿って延在する一列の座席13によって形成される。
【0072】
本発明は、他の輸送手段、例えば、バス、電車又は船舶に設置される座席についても実施し得る。当然ながら、本発明は、上記に記載され、単に例として提供されている実施形態に限定されない。本発明は、当業者が本発明の範囲内において考え得る各種改変、代替形態、及び他の変形例、並びにとりわけ、別個にまたは組み合わせてなされ得る上記に記載された異なる動作モードの任意の組合せを含む。