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▶ マグナ エクステリアーズ インコーポレイテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-18
(45)【発行日】2022-03-29
(54)【発明の名称】2つのヒンジのインモールドアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/16 20060101AFI20220322BHJP
   B29C 45/26 20060101ALI20220322BHJP
【FI】
B29C45/16
B29C45/26
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2019552165
(86)(22)【出願日】2018-03-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-04-16
(86)【国際出願番号】 US2018023589
(87)【国際公開番号】W WO2018175602
(87)【国際公開日】2018-09-27
【審査請求日】2020-12-15
(31)【優先権主張番号】62/474,369
(32)【優先日】2017-03-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518410146
【氏名又は名称】マグナ エクステリアーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100196221
【弁理士】
【氏名又は名称】上潟口 雅裕
(72)【発明者】
【氏名】リンドバーグ ブレインドン アール
(72)【発明者】
【氏名】パルパート ロス ジェイ
【審査官】▲高▼村 憲司
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-148778(JP,A)
【文献】特開平10-162889(JP,A)
【文献】特開平11-010676(JP,A)
【文献】特開平07-137179(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0228603(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第105643873(CN,A)
【文献】特開2002-094255(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/00 - 45/84
B29C 33/00 - 33/76
E05D 1/00 - 9/00
B60H 1/03 - 3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース部材と、該ベース部材に回転可能に接続される上側アームと、該ベース部材に回転可能に接続される下側アームと、を有する4-バー運動学的リンクであって、
ベース部材の面上に形成された少なくとも2組の複数の開口を有し、複合材料で形成された前記ベース部材と、
本体から延びる2つのタブと該2つのタブの間を延びるヒンジピンとを備えた該本体を有し、複合材料で形成された前記上側アームであって、該ヒンジピンが、前記ベース部材の前記複数の開口の前記少なくとも2組のうちの1つを通って回転可能に延び、該本体、ヒンジピン、及び2つのタブが、単一部分として互いに一体的に形成され、該ヒンジピンが、該ベース部材の該複数の開口の該少なくとも2組のうちの該1つを通して形成される前記上側アームと、
本体から延びる2つのタブと該2つのタブの間を延びるヒンジピンとを備えた該本体とを有し、複合材料で形成された前記下側アームであって、該ヒンジピンが、前記ベース部材の前記複数の開口のための前記少なくとも2組のうちの別の1つを通って回転可能に延び、該本体、ヒンジピン、及び2つのタブが、単一部分として互いに一体的に形成され、該ヒンジピンが、該ベース部材の該複数の開口の該少なくとも2組のうちの該別の1つを通して形成される前記下側アームと、
を含むことを特徴とする4-バー運動学的リンク。
【請求項2】
複数の開口の前記少なくとも2組の各1組が、全てが前記ベース部材内に形成された左側開口、右側開口、及び中央開口を含むことを特徴とする請求項1に記載の4-バー運動学的リンク。
【請求項3】
前記ベース部材は、該ベース部材を空気偏向器に接続するための複数の装着開口を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の4-バー運動学的リンク。
【請求項4】
前記ベース部材は、0.5%の成形収縮値を有するポリアミド材料で形成され、前記上側アーム及び下側アームは、0.5%よりも大きい成形収縮値を有するポリブチレンテレフタレート材料で形成されることを特徴とする請求項1に記載の4-バー運動学的リンク。
【請求項5】
前記ポリアミド材料は、ガラス繊維充填材を有するポリアミド複合材料の33重量%ガラス繊維充填材を有し、前記ポリブチレンテレフタレート材料は、ガラス充填材を有する前記ポリブチレンテレフタレートの20重量%ガラス繊維充填材を有することを特徴とする請求項4に記載の4-バー運動学的リンク。
【請求項6】
前記ベース部材は、1/8’’bar,in/inでの0.003の成形収縮値を有するポリアミド材料で形成され、前記上側アーム及び下側アームは、1/8’’bar,in/inでの0.004よりも大きい成形収縮値を有するポリブチレンテレフタレート材料で形成されることを特徴とする請求項1に記載の4-バー運動学的リンク。
【請求項7】
前記ポリアミド材料は、ガラス繊維充填材を有する該ポリアミド材料の33重量%ガラス繊維充填材を有し、前記ポリブチレンテレフタレート材料は、ガラス充填材を有する該ポリブチレンテレフタレート材料の20重量%ガラス繊維充填材を有することを特徴とする請求項6に記載の4-バー運動学的リンク。
【請求項8】
前記下側アームの前記本体は、装着開口を有し、前記上側アームの前記本体も、装着開口を有することを特徴とする請求項1に記載の4-バー運動学的リンク。
【請求項9】
4-バー運動学的リンクを形成する方法であって、
少なくとも180度回転可能な回転プラテンと該回転プラテンに対して開放位置と閉鎖位置間で移動することができる少なくとも1つの直線移動可能プラテンとを有する回転ツールを与える段階と、
回転ベース部材形成面、回転上側アーム形成面、及び回転下側アーム形成面を有する第1の形成領域と、回転ベース部材形成面、回転上側アーム形成面、及び回転下側アーム形成面を有する第2の形成領域とを前記回転プラテン上に与える段階と、
直線ベース部材形成面、直線上側アーム充填材面、直線下側アーム充填材面を有する第1の形成領域を前記少なくとも1つの直線移動可能プラテン上に与える段階であって、該少なくとも1つの直線移動可能プラテンが、直線ベース部材形成面、直線上側アーム形成面、及び直線下側アーム形成面を有する第2の形成領域を含む前記与える段階と、
前記少なくとも1つの直線移動可能プラテンの前記第1の形成領域に接続された少なくとも1つの第1のショット注入ポートと、該少なくとも1つの直線移動可能プラテンの前記第2の形成領域に接続された少なくとも1つの第2のショット注入ポートとを与える段階と、
溶融材料の第1のショットと溶融材料の第2のショットとを与える段階と、
前記少なくとも1つの直線移動可能プラテンを前記少なくとも1つの回転プラテンに向けて移動し、該回転プラテンの前記第1の形成領域と該少なくとも1つの直線移動可能プラテンの前記第1の形成領域とによって定められる閉鎖キャビティである第1のベース部材成形キャビティを生成し、かつ該回転プラテンの前記第2の形成領域と該少なくとも1つの直線移動可能プラテンの前記第2の形成領域とによって定められる閉鎖キャビティである第1のアーム部材成形キャビティを生成する段階と、
溶融材料の前記第1のショットを前記少なくとも1つの第1のショット注入ポートを通して前記第1のベース部材成形キャビティの中に注入し、溶融材料の該第1のショットからベース部材を形成する段階と、
前記少なくとも1つの直線移動可能プラテンを前記少なくとも1つの回転プラテンから離して移動することにより、前記第1のベース部材成形キャビティ及び前記第1のアーム部材成形キャビティを開放する段階であって、前記形成されたベース部材が、該回転プラテンの前記第1の形成領域の前記回転ベース部材形成面の面上に留まる前記開放する段階と、
第1の形成領域及び前記形成されたベース部材が前記少なくとも1つの直線移動可能プラテンの前記第2の形成領域と位置合わせした状態になるように、前記少なくとも1つの回転プラテンを軸線の周りに回転させる段階と、
前記少なくとも1つの直線移動可能プラテンを前記少なくとも1つの回転プラテンに向けて移動し、該回転プラテンの前記第2の形成領域と該少なくとも1つの直線移動可能プラテンの前記第1の形成領域とによって定められた閉鎖キャビティである第2のベース部材成形キャビティを生成し、かつ該回転プラテンの該第1の形成領域と該少なくとも1つの直線移動可能プラテンの該第2の形成領域とによって定められた閉鎖キャビティである第2のアーム部材成形キャビティを生成する段階であって、前記形成されたベース部材が、該第2のアーム部材成形キャビティ内に閉じ込められる前記生成する段階と、
溶融材料の前記第2のショットを前記少なくとも1つの第2のショット注入ポートを通して前記第2のアーム部材成形キャビティの中に注入して上側アーム部材及び下側アーム部材を形成する段階であって、溶融材料の該第2のショットが、前記回転上側アーム形成面と前記直線上側アーム形成面とに接触してその間に流入し、溶融材料の該第2のショットが、前記ベース部材内の上側の組の開口を通って流れて上側アームのヒンジピン部分を形成し、溶融材料の該第2のショットが、前記回転下側アーム形成面と前記直線下側アーム形成面とに接触してその間に流入し、溶融材料の該第2のショットが、該ベース部材内の下側の組の開口を通って流れて下側アームのヒンジピン部分を形成する前記形成する段階と、
前記4-バー運動学的リンクを形成するための前記第2のアーム部材成形キャビティ内で溶融材料の前記第2のショットを硬化する段階であって、溶融材料の該第2のショットが収縮し、それによって前記上側アームの前記ヒンジピンを前記ベース部材内の前記上側の組の開口内で自由に回転させるように該上側アームの該ヒンジピンと該ベース部材内の該上側の組の開口との間にクリアランスを生成し、かつ前記下側アームの前記ヒンジピンを該ベース部材の前記下側の組の開口内で自由に回転させるように該下側アームの該ヒンジピンと該ベース部材内の該下側の組の開口との間にクリアランスを生成する前記硬化する段階と、
前記少なくとも1つの直線移動可能プラテンを前記少なくとも1つの回転プラテンから離して移動し、前記4-バー運動学的リンクを取り出す段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項10】
溶融材料の前記第1のショットは、0.5%の成形収縮値を有するポリアミド材料であり、溶融材料の前記第2のショットは、0.5%よりも大きい成形収縮値を有するポリブチレンテレフタレート材料であることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記ポリアミド材料は、ガラス繊維充填材を有する該ポリアミド材料の33重量%ガラス繊維充填材を有し、前記ポリブチレンテレフタレート材料は、ガラス充填材を有する該ポリブチレンテレフタレート材料の20重量%ガラス繊維充填材を有することを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記ベース部材は、1/8’’bar,in/inでの0.003の成形収縮値を有するポリアミド材料で形成され、前記上側アーム及び下側アームは、1/8’’bar,in/inでの0.004よりも大きい成形収縮値を有するポリブチレンテレフタレート材料で形成されることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記ポリアミド材料は、ガラス繊維充填材を有する該ポリアミド材料の33重量%ガラス繊維充填材を有し、前記ポリブチレンテレフタレート材料は、ガラス充填材を有する該ポリブチレンテレフタレート材料の20重量%ガラス繊維充填材を有することを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
溶融材料の前記第1のショットを前記少なくとも1つの第1のショット注入ポートを通して前記第2のベース部材成形キャビティの中に注入し、溶融材料の該第1のショットから第2のベース部材を形成する段階、
を更に含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項15】
ベース部材と、該ベース部材に回転可能に接続される上側アームと、該ベース部材に回転可能に接続される下側アームと、を有する4-バー運動学的リンクであって、
前記ベース部材の面から延びる2つの上側ヒンジピンと、前記ベース部材の面から延びる2つの下側ヒンジピンとを有し、複合プラスチックで形成された前記ベース部材であって、該ベース部材の2つの上側ヒンジピン及び2つの下側ヒンジピンが、単一部分として互いに一体的に形成される前記ベース部材と、
本体から延びる2つのタブと該2つのタブの各々を通って延びるピボット開口とを備えた該本体を有し、複合材料で形成された前記上側アームであって、各ピボット開口が、前記ベース部材の前記2つの上側ヒンジピンのうちの一方を受け入れ、該本体及び2つのタブが、該上側アームの該開口が該ベース部材の該2つの上側ヒンジピンのそれぞれ1つの周りに形成されるように単一部分として互いに一体的に形成される前記上側アームと、
本体から延びる2つのタブと該2つのタブの各々を通って延びるピボット開口とを備えた該本体を有し、複合材料で形成された前記下側アームであって、各ピボット開口が、前記ベース部材の前記2つの下側ヒンジピンのうちの一方を受け入れ、該本体及び2つのタブが、該下側アームの該開口が該ベース部材の該2つの下側ヒンジピンのそれぞれ1つの周りに形成されるように単一部分として互いに一体的に形成される前記下側アームと、
を含むことを特徴とする4-バー運動学的リンク。
【請求項16】
前記ベース部材は、該ベース部材を空気偏向器に接続するための複数の装着開口を更に含むことを特徴とする請求項15に記載の4-バー運動学的リンク。
【請求項17】
前記ベース部材は、0.5%の成形収縮値を有するポリアミド複合材料で形成され、前記上側アーム及び下側アームは、0.5%よりも大きい成形収縮値を有するポリブチレンテレフタレートで形成されることを特徴とする請求項15に記載の4-バー運動学的リンク。
【請求項18】
前記ポリアミド複合材料は、ガラス繊維充填材を有する該ポリアミド複合材料の33重量%ガラス繊維充填材を有し、前記ポリブチレンテレフタレートは、ガラス充填材を有する該ポリブチレンテレフタレートの20重量%ガラス繊維充填材を有することを特徴とする請求項17に記載の4-バー運動学的リンク。
【請求項19】
前記ベース部材は、1/8’’bar,in/inでの0.003の成形収縮値を有するポリアミド複合材料で形成され、前記上側アーム及び下側アームは、1/8’’bar,in/inでの0.004よりも大きい成形収縮値を有するポリブチレンテレフタレートで形成されることを特徴とする請求項15に記載の4-バー運動学的リンク。
【請求項20】
前記ポリアミド複合材料は、ガラス繊維充填材を有する該ポリアミド複合材料の33重量%ガラス繊維充填材を有し、前記ポリブチレンテレフタレートは、ガラス充填材を有する該ポリブチレンテレフタレートの20重量%ガラス繊維充填材を有することを特徴とする請求項19に記載の4-バー運動学的リンク。
【請求項21】
前記下側アームの前記本体は、装着開口を有し、前記上側アームの前記本体も、装着開口を有することを特徴とする請求項15に記載の4-バー運動学的リンク。
【請求項22】
前記空気偏向器は、車両バンパー、能動グリルシステム構成要素、スポイラー、歩み板、車輪格納部ダム、リフトゲート、車両ドア、トランク蓋、エンジンフード、及び窓調節器の群から選択された1つであることを特徴とする請求項3又は16に記載の4-バー運動学的リンク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願への相互参照〕
この出願は、2017年3月21日出願の米国仮特許出願第62/474,369号の利益を主張するものである。上記出願の開示は、引用によって本明細書に組み込まれている。
【0002】
本発明は、一般的に、4-バー運動学的リンケージアセンブリを作るためのインモールド工程に関し、より具体的には、本発明は、空気偏向器のための4-バー運動学的リンクに関する。
【背景技術】
【0003】
ガラス充填式及び他の構造的プラスチックの出現と共に、別のものに対して部品上で移動可能であるアセンブリがヒンジなどのために作られている。典型的に、部品は、別々に注入成形され、次に、最終移動可能構造体を提供するために押し込みヒッチピンなどのような他の構成要素を使用して製造後組み立てされる。1つのそのような構成要素は、時に4バーリンケージアセンブリとも呼ばれる4-バー運動学的リンクである。4バーリンケージアセンブリは、物体を移動するための多くの水平及びz軸空間を有することなく垂直に物体を移動することが望ましい様々な用途に使用することができる。自動車分野では、4バーリンケージアセンブリは、エア・ダム、スポイラー、風よけ、及び車輪格納ダムのような空気偏向器を動かすのに有用である。4バーリンケージはまた、拡張及び後退位置間を移動する移動可能歩み板に使用される。
【0004】
4-バー運動学的リンクのアセンブリは、別々の部品を製造する4つまでの別々の注入成形ツールを必要とする可能性がある。これらの部品は、構造変動を有し、かつ組み立てるのに労働集約的である。別々の部品は、各部品をそれが出荷及び取り扱われる時に追跡するシステムを必要とする。部品は、次に、追加の機器、床空間、労力を必要とする成形後組み立てされ、かつより多くの組み立て変動を含む可能性がある。現在使用されている段階は、ベース部材2、上側アーム4、及び下側アーム6で形成された多重部分4-バー運動学的リンク1を示す図2の従来技術部分に示されている。上側アーム4及び下側アーム6は、ベース部材2、上側アーム4、及び下側アーム6の開口を通って摺動する別々のヒンジピン8、8’又はダボを使用してベース部材2にピボット的に接続される。多重部分4-バー運動学的リンク1の異なる部分は、別々の成形ツールを使用して又は別々の工程によって別々に形成される。構成要素の全ては、単一部分ブラケットが手によって又は手動ツールを用いて組み立てられ、それによって追加の労力、時間、及びコストを必要とする組み立て段階9中に多重部分ブラケット1に組み立てられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、成形組み立てにおいて組み立て時間、エラー防止手段、成形後組み立て、及び機器の低減を可能にする4-バー運動学的リンクの設計に対する必要性が当業技術に残っている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、複合材料で形成されたベース部材を有し、ベース部材の面上に形成された少なくとも2組の複数の開口を有する4-バー運動学的リンク構成要素に関する。ベース部材は、4-バー運動学的リンクを空気偏向器本体に接続するのに使用され、又はそれは、必要とされる特定の構成に応じて車両本体に直接に接続するのに使用することができる。
【0007】
4-バー運動学的リンクは、複合材料で形成された上側アームを更に含み、上側アームは、本体から延びる2つのタブと2つのタブの間を延びるヒンジピンとを備えた本体を有する。ヒンジピンは、ベース部材の2組の複数の開口のうちの一方を通って回転可能に延びる。本体、上側アームの2つのタブ内のヒンジピンは,全てが単一部分として互いに一体的に形成され、ヒンジピンは、上側アームをベース部材に対してヒンジピンの周りにピボット回転させるためにベース部材の少なくとも2組の複数の開口のうちの1つを通して形成される。
【0008】
4-バー運動学的リンクは、複合材料で形成された下側アームを更に含み、下側アームは、本体から延びる2つのタブと2つのタブの間を延びるヒンジピンとを備えた本体を有する。ヒンジピンは、ベース部材の2組の複数の開口のうちの別の一方を通って回転可能に延びる。本体、下側アームの2つのタブ内のヒンジピンは,全てが単一部分として互いに一体的に形成され、ヒンジピンは、下側アームをベース部材に対してヒンジピンの周りにピボット回転させるためにベース部材の少なくとも2組の複数の開口のうちの別の1つを通して形成される。これに加えて、下側アーム及び上側アームの各々の両方は、本体を通して形成された装着開口を有し、4-バー運動学的リンクが、車両及び空気偏向器に接続された時にアクチュエータを使用して移動することができる4バーリンク機構を生成するように、上側及び下側アームが別の物体にピボット的に接続されることを可能にする。
【0009】
本発明を適用する更に別の分野は、以下に提供する詳細説明から明らかになるであろう。詳細説明及び特定の例は、本発明の好ましい実施形態を示すものであるが、単に例示目的を意図しており、本発明の範囲を限定するように意図していないことを理解しなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明は、詳細説明及び添付図面からより完全に理解されることになるであろう。
【0011】
図1A】本発明の第1の実施形態による4-バー運動学的リンクの概略及び4-バー運動学的リンクを形成する方法の概要を示す図である。
図1B】本発明の第2の実施形態による4-バー運動学的リンクの概略及び4-バー運動学的リンクを形成する方法の概要を示す図である。
図2】従来技術ブラケット及び構成要素の概略図である。
図3A】本発明の第1の実施形態による4-バー運動学的リンクの後面等角投影図である。
図3B】本発明の第1の実施形態による4-バー運動学的リンクの側面等角投影図である。
図3C】本発明の第1の実施形態による4-バー運動学的リンクの後面斜視図である。
図4】本発明の第2の実施形態による4-バー運動学的リンクの構成要素の後面斜視図である。
図5A】本発明の第3の実施形態による方法を使用して4-バー運動学的リンクを生成するための回転ツールの側面概略図である。
図5B】直線移動可能プラテンの上面概略図である。
図5C】回転プラテンの上面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
好ましい実施形態の以下の説明は、本質的に単なる例示であり、本発明、その用途、又は使用を限定することを決して意図していない。
【0013】
ここで図1Aを参照すると、本発明の第1の実施形態による4-バー運動学的リンク10の概略及び4-バー運動学的リンクを形成する方法の概要が示されている。これに加えて、図3A図3B、及び図3Cは、4-バー運動学的リンク10及び構成要素をより詳細に示している。4-バー運動学的リンク10は、少なくとも2組の複数の開口を有する複合材料で形成されたベース部材12を含み、各1組は、ベース部材12の左側壁を通して形成された左側開口14、14’と、ベース部材12の右側壁を通して形成された右側開口16、16’と、ベース部材12の中央リブを通して形成された中央開口18、18’とを含む。各1組では、左側開口14、14’、右側開口16、16’、及び中央開口18、18’は、ヒンジピン(後述)が少なくとも2組の複数の開口の各組を通して回転可能に形成されることを可能にする目的で全てが位置合わせされる。同じく3つの開口(すなわち、左、右、及び中央)を説明するが、ベース部材12のサイズ又は特定な用途の設計基準に応じて各組に使用される開口の数を増減することは本発明の範囲内である。
【0014】
ベース部材12はまた、図3Bに模式的に示す空気偏向器22にベース部材12を接続するための複数の装着開口20を含む。接続は、適切な機械的ファスナ、溶接、接着剤、又は他の接続を用いて行うことができる。空気偏向器22が描かれているが、空気偏向器22が4-バー運動学的リンク10によって移動可能な何らかの他の構造体であることは本発明の範囲内である。例えば、空気偏向器22は、車両バンパー、能動グリルシステム構成要素、スポイラー、歩み板、車輪格納部ダム、リフトゲート、車両ドア、トランク蓋、エンジンフード、窓調節器、又は4バーリンケージ移動から利益を受けると考えられるあらゆる他のタイプの自動車構造体とすることができる。
【0015】
4-バー運動学的リンク10はまた、複合材料で形成された上側アーム24を含む。上側アーム24は、本体26から延びる2つのタブ28、28’と2つのタブ28、28’の間を延びるヒンジピン30とを備えた本体26部分を有する。ヒンジピン30は、ベース部材12の少なくとも2組の複数の開口のうちの1つを通って回転可能に延びる。本体26、ヒンジピン30、及び2つのタブ28、28’は、単一部分として互いに一体的に形成され、ヒンジピン30は、ベース部材12の少なくとも2組の複数の開口のうちの1つを通して形成される。上側アーム24の本体26はまた、本体26を通って延びる装着開口32又はチャネルを有する。装着開口は、上側アーム24を別の物体に固定又は回転方式で接続するのに使用される。
【0016】
4-バー運動学的リンク10はまた、複合材料で形成された下側アーム34を含む。下側アーム34は、本体36から延びる2つのタブ38、38’と2つのタブ38、38’の間を延びるヒンジピン40とを備えた本体36を有する。ヒンジピン40は、ベース部材12の少なくとも2組の複数の開口の別の1つを通って回転可能に延びる。本体36、ヒンジピン40、及び2つのタブ38、38’は、単一部分として互いに一体的に形成され、ヒンジピン40は、ベース部材12の少なくとも2組の複数の開口のうちの1つを通して形成される。下側アーム34の本体36はまた、本体36を通って延びる装着開口42又はチャネルを有する。装着開口42は、下側アーム34を固定又は回転方式で別の物体に接続するのに使用される。
【0017】
以下でより詳細に説明するように、4-バー運動学的リンク10は、構成要素の手動組み立ての必要なく成形ツール内で形成される。これは、従来技術の組み立てと比較した場合に、4-バー運動学的リンク10を生成するコストにおいて有意な節約を提供する。しかし、成形ツール内で4-バー運動学的リンク10を形成するためには、上側アーム24及び下側アーム34は、上側アーム24及び下側アーム34をベース部材12にピボット的に接続させることになるようにベース部材12に接続しなければならない。これは、異なる収縮速度を有する溶融材料の2つの異なるショットを使用することによって成形工程中に達成される。上側アーム24に関して、これは、ヒンジピン30が自由に回転することができるようにヒンジピン30と、ベース部材12の左側開口14、右側開口16、及び中央開口18との間にクリアランス又はギャップ31が形成されることを可能にする。下側アーム34に関して、収縮速度は、ヒンジピン40が自由に回転することができるようにヒンジピン40と、ベース部材12の左側開口14’、右側開口16’、及び中央開口18’との間にクリアランス又はギャップ41が形成されることを可能にする。
【0018】
ここで図1Bを参照すると、本発明の第2の実施形態による4-バー運動学的リンク100の概略及び4-バー運動学的リンクを形成する方法の概要が示されている。これに加えて、図4は、4-バー運動学的リンク100及び構成要素をより詳細に示している。4-バー運動学的リンク100は、図1A図3A図3B、及び図3Cに示す4-バー運動学的リンク10を用いた変形であり、従って、類似の構造は、100だけ異なる参照番号で示されている。4-バー運動学的リンク100は、複合プラスチックで形成されたベース112部材を含む。ベース部材112は、ベース部材112の面から延びる2つの上側ヒンジピン144、144’と、ベース部材112の面から延びる2つの下側ヒンジピン146、146’とを有する。ベース部材112、2つの上側ヒンジピン144、及び2つの下側ヒンジピン146は、単一部分として互いに一体的に形成される。
【0019】
4-バー運動学的リンク100は、複合材料で形成された上側アーム124を更に含み、上側アーム124は、本体126から延びる2つのタブ128、128’と2つのタブ128、128’の各々を通って延びるピボット開口148、148’とを備えた本体126を有する。各ピボット開口148、148’は、ベース部材112の2つの上側ヒンジピン144、144’のうちの一方を受け入れる。本体126及び2つのタブ128、128’は、上側アーム124の開口148、148’がベース部材112の2つの上側ヒンジピン144、144’のうちのそれぞれの1つの周りに形成されるように単一部分として互いに一体的に形成される。
【0020】
4-バー運動学的リンク100は、複合材料で形成された下側アーム134を更に含み、下側アーム134は、本体136から延びる2つのタブ138、138’と2つのタブ138、138’の各々を通って延びるピボット開口150、150’とを備えた本体136を有する。各ピボット開口150、150’は、ベース部材112の2つの下側ヒンジピン146、146’のうちの一方を受け入れる。本体136及び2つのタブ138、138’は、下側アーム134の開口150、150’がベース部材112の2つの下側ヒンジピン150、150’のそれぞれの1つの周りに形成されるように単一部分として互いに一体的に形成される。
【0021】
上述の両方の実施形態で4-バー運動学的リンク10、100を形成するのに使用される溶融材料に関して、ベース部材12、112は、溶融材料の第1のショットを使用して形成され、一方で上側アーム24、124及び下側アーム34、134は、溶融材料の第2のショットを使用して形成される。本発明の一実施形態では、溶融材料の第1のショットは、約0.5%の成形収縮値を有するポリアミド材料であり、溶融材料の第2のショットは、約0.5%よりも大きい成形収縮値を有するポリブチレンテレフタレート材料である。成形収縮値という用語は、ポリマーの加工の冷却段階中のポリマーの体積収縮の割合百分率である。本発明の一例示的実施形態では、ポリアミド材料は、ガラス繊維充填材を有するポリアミド複合材料の約33重量%ガラス繊維充填材を有し、ポリブチレンテレフタレート材料は、ガラス充填材を有するポリブチレンテレフタレートの約20重量%ガラス繊維充填材を有する。本発明の別の実施形態では、溶融材料の第1のショットは、1/8’’bar,in/inで約0.003の成形収縮値を有するポリアミド材料で形成され、溶融材料の第2のショットは、1/8’’bar,in/inで約0.004よりも大きい成形収縮値を有するポリブチレンテレフタレート材料である。この実施形態では、ポリアミド材料は、ガラス繊維充填材を有するポリアミド材料の約33重量%ガラス繊維充填材を有し、ポリブチレンテレフタレート材料は、ガラス充填材を有するポリブチレンテレフタレート材料の約20重量%ガラス繊維充填材を有する。適切なポリアミド材料の例は、BASFコーポレーション 1609 Biddle Avenue、Wyandotte、MI 48192によって製造されたUltramid(登録商標) 8233G HS BK-102ポリアミド 6である。適切なポリブチレンテレフタレート材料の例は、BASFコーポレーション 1609 Biddle Avenue、Wyandotte、MI 48192によって製造されたUltradur(登録商標) B 4300 G4 PBT(ポリブチレンテレフタレート)である。しかし、他の適切なポリアミド及びポリブチレンテレフタレート材料を使用することは本発明の範囲内である。
【0022】
図5Aは、上述の実施形態のいずれかにより4-バー運動学的リンク10、100をモールド内で生成するための回転ツール200の概略側面図である。回転ツール200は、4-バー運動学的リンク10、100を形成する方法の一部として使用され、かつ4-バー運動学的リンク10、100が回転ツール200の外部の追加組み立ての必要なく回転ツール200内で形成されることを可能にするいくつかの段階を含む。
【0023】
回転ツール200には、少なくとも180度回転可能であるが同じく360度回転することもできる回転プラテン202が設けられている。回転ツール200はまた、回転プラテン202に対して開放位置と閉鎖位置間を移動することができる少なくとも1つの直線移動可能プラテン204、206を含む。少なくとも1つの直線移動可能プラテン204、206は、互いに独立に移動して異なる成形面変動を与えることができる2つのプラテンを有するように描かれている。より多くの又は少ない数のプラテンを使用することは本発明の範囲内である。
【0024】
図5Cは、回転ベース部材形成面210、回転上側アーム形成面212、及び回転下側アーム形成面214を有する第1の形成領域208と、回転ベース部材形成面218、回転上側アーム形成面220、及び回転下側アーム形成面222を有する第2の形成領域216とを含む回転プラテン202の詳細を示す平面図である。
【0025】
図1Aに示すベース部材12に左側開口14、14’、右側開口16、16’、及び中央開口18、18’を形成するために、第1の形成領域208及び第2の形成領域216は、2つの形成領域の回転ベース部材形成面210、218を横切って延長及び後退位置間を移動することができるピンであるベース部材ピン224、224’を含む。溶融樹脂がベース部材12、112に注入された時に、それは、ベース部材ピン224、224’の周りに成形してベース部材12、112に開口を生成することになる。
【0026】
図1Aに示す上側アーム24の装着開口32及び下側アーム34の装着開口42を形成するために、第1の形成領域208及び第2の形成領域216は、上側装着開口ピン226、226’及び下側装着開口ピン228、228’を含む。上側装着開口ピン226、226’は、回転上側アーム形成面212、220を横切って延長及び後退位置間を移動する。下側装着開口ピン228、228’は、回転下側アーム形成面214、222を横切って延長及び後退位置間を移動する。溶融樹脂が注入された時に、各装着開口が、それぞれ上側装着開口ピン226、226’又は下側装着開口ピン228、228’の周りに形成されることになる。
【0027】
図5Bは、直線ベース部材形成面234、直線上側アーム充填材面236、及び直線下側アーム充填材面238を有する第1の形成領域232を有する少なくとも1つの直線移動可能プラテン204、206の平面図を示している。少なくとも1つの直線移動可能プラテン204、206は、直線ベース部材形成面242、直線上側アーム形成面244、及び直線下側アーム形成面246を有する第2の形成領域240を含む。
【0028】
図5Aを再度参照すると、少なくとも1つの直線移動可能プラテン204、206は、少なくとも1つの直線移動可能プラテン204、206の第1の形成領域232の中に溶融材料の第1のショットを注入するための少なくとも1つの第1のショット注入ポート248を含む。少なくとも1つの直線移動可能プラテン204、206の第2の形成領域240の中に溶融材料の第2のショットを注入するための少なくとも1つの第2のショット注入ポート250も存在する。使用される溶融材料のタイプは上述している。
【0029】
ここで図5A図5B、及び図5Cを参照して、回転ツール200を使用して4-バー運動学的リンク10、100を形成する段階を説明する。第1の段階中に、少なくとも1つの直線移動可能プラテン204、206は、少なくとも1つの回転プラテン202に向けて移動され、そのためにこの2つが当接して第1のベース部材成形キャビティ252を生成し、これは、回転プラテン202の第1の形成領域208と少なくとも1つの直線移動可能プラテン204、206の第1の形成領域232とによって定められた閉鎖キャビティである。同じくこの移動する段階は、第1のアーム部材成形キャビティ254を生成する段階を含み、これは、回転プラテン202の第2の形成領域216と少なくとも1つの直線移動可能プラテン204、206の第2の形成領域240とによって定められた閉鎖キャビティである。
【0030】
次に、本方法は、少なくとも1つの第1のショット注入ポート248を通して溶融材料256の第1のショットを第1のベース部材成形キャビティ252の中に注入する段階と、溶融材料256の第1のショットからベース部材12、112を形成する段階とを含む。溶融材料256の第1のショットは、両方とも第1の形成領域208の回転上側アーム形成面212と回転下側アーム形成面214とが、両方とも第1の形成領域232のそれぞれ直線上側アーム充填材面236と直線下側アーム充填材面238とによって遮断又は充填されるので、第1の形成領域208の回転ベース部材形成面210と第1の形成領域232の直線ベース部材形成面234との中にのみ流入するように制限される。直線上側アーム充填材面236及び直線下側アーム充填材面238の両方は、溶融材料256の第1のショットの流れを充填又は遮断し、かつ溶融材料256の第1のショットを第1の形成領域208の回転ベース部材形成面210と第1の形成領域232の直線ベース部材形成面234とに閉じ込めるように構成された充填材部分である。溶融材料256の第1のショットは、次に、硬化されてベース部材12、112を生成する。
【0031】
次に、本方法は、少なくとも1つの直線移動可能プラテン204、206を少なくとも1つの回転プラテン202から離して移動することにより、第1のベース部材成形キャビティ252及び第1のアーム部材成形キャビティ254を開放する段階を含む。形成されたベース部材12,112は、回転プラテン202の第1の形成領域208の回転ベース部材形成面210の面上に留まる。
【0032】
次に、本方法は、第1の形成領域208及び形成されたベース部材12、112が少なくとも1つの直線移動可能プラテン204、206の第2の形成領域240と位置合わせした状態になるように、少なくとも1つの回転プラテン202を軸線Aの周りに回転させる段階を含む。次に、本方法は、少なくとも1つの直線移動可能プラテン204、206を少なくとも1つの回転プラテン202に向けて移動する段階と、回転プラテン202の第2の形成領域216と少なくとも1つの直線移動可能プラテン204、206の第1の形成領域232とによって定められた閉鎖キャビティである第2のベース部材成形キャビティ260を生成する段階と、回転プラテン202の第1の形成領域208と少なくとも1つの直線移動可能プラテン204、206の第2の形成領域216とによって定められた閉鎖キャビティである第2のアーム部材成形キャビティ262を生成する段階とを含み、形成されたベース部材12、112は、第2のアーム部材成形キャビティ262内に閉じ込められる。
【0033】
次に、本方法は、溶融材料258の第2のショットを少なくとも1つの第2のショット注入ポート250を通して第2のアーム部材成形キャビティ262の中に注入して上側アーム部材24、124及び下側アーム部材34、134を形成する段階を含む。
【0034】
ベース部材12を形成する時に、溶融材料の第2のショット258は、回転上側アーム形成面212と直線上側アーム形成面244とに接触してその間に流入し、溶融材料の第2のショット258は、ベース部材12内の左側開口14、右側開口16、及び中央開口18である上側の組の開口を通って流れて上側アーム24の30ヒンジピン部分を形成する。溶融材料258の第2のショットも、回転下側アーム形成面214と直線下側アーム形成面246とに接触してその間に流入することになり、溶融材料258の第2のショットは、ベース部材12内の左側開口14’、右側開口16’、及び中央開口18’であるベース部材12内の下側の組の開口を通って流れて下側アーム34のヒンジピン40部分を形成する。
【0035】
ベース部材112を形成する時に、ヒンジピンは、既にベース部材112の一部として形成されており、従って、溶融材料258の第2のショットは、図1Bに示す上側ヒンジピン144、144’及び下側ヒンジピン146、146の面の周りを単に流れることになる。
【0036】
次に、本方法は、4-バー運動学的リンク10を形成するための第2のアーム部材成形キャビティ262内で溶融材料258の第2のショットを硬化させる段階を含む。この段階中に、溶融材料258の第2のショットは収縮し、それによって上側アーム24のヒンジピン30をベース部材12内の上側の組の開口の周りで自由に回転させるように上側アーム24のヒンジピン30とベース部材12内の上側の組の開口との間にクリアランス(上述して図3Bに示す)を生成する。同じく生成されるのは、下側アーム34のヒンジピン40をベース部材12内の下側の組の開口内で自由に回転させるための下側アーム34のヒンジピン40とベース部材12内の下側の組の開口との間のクリアランス(上述して図3Bに示す)である。
【0037】
ベース部材112を形成する時に、ヒンジピンは、既にベース部材112の一部として形成されており、従って、溶融材料258の第2のショットは、図1Bに示す上側ヒンジピン144、144’及び下側ヒンジピン146、146の面の周りを単に流れることになる。
【0038】
次に、本方法は、溶融材料256’の第1のショットを少なくとも1つの第1のショット注入ポート248を通して第2のベース部材成形キャビティ260の中に注入する段階と、溶融材料256’の第1のショットから第2のベース部材を形成する段階とを含む。この段階は、溶融材料258の第2のショットが第2のアーム部材形成キャビティ262の中に注入されている間の第2のベース部材の同時形成を可能にする。
【0039】
本方法の最終段階は、少なくとも1つの直線移動可能プラテン204、206を少なくとも1つの回転プラテン202から離して移動する段階と、完成した4-バー運動学的リンク10、100を取り出す段階とを含む。この段階の後で、回転プラテン202は再度回転され、上述の段階に従って溶融材料の第2のショットを受け入れるために待機する第2のベース部材を有することになる第1のアーム部材成形キャビティ254を再形成するように、形成された第2のベース部材を移動して位置合わせすることができる。
【0040】
当業者は、本発明の広範な教示を様々な形態に実施することができることを以上の説明からここで認めることができる。従って、本発明をその特定の実施例に関して説明したが、図面、明細書、及び以下の特許請求の範囲を精査すると他の修正が当業者に明らかになると考えられるので、本発明の真の範囲はそのように限定すべきではない。
【符号の説明】
【0041】
112 ベース部材
124 上側アーム
126、136 本体
144、144’ 上側ヒンジピン
148、148’ ピボット開口
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5A
図5B
図5C