(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-18
(45)【発行日】2022-03-29
(54)【発明の名称】半磁性ボビンを使用する高調波フィルタ
(51)【国際特許分類】
H01F 37/00 20060101AFI20220322BHJP
H05B 6/36 20060101ALI20220322BHJP
H05B 6/10 20060101ALI20220322BHJP
【FI】
H01F37/00 A
H01F37/00 M
H01F37/00 E
H05B6/36 E
H05B6/10 371
(21)【出願番号】P 2019555079
(86)(22)【出願日】2017-12-11
(86)【国際出願番号】 IB2017001781
(87)【国際公開番号】W WO2018130872
(87)【国際公開日】2018-07-19
【審査請求日】2019-12-18
(32)【優先日】2016-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519226447
【氏名又は名称】ネグレッテ・ヘルナンデス、ホアキン・エンリケ
【氏名又は名称原語表記】NEGRETE HERNANDEZ,Joaquin Enrique
【住所又は居所原語表記】Cruz Del Sur 100,Col. Prado Churubusco,Coyoacan,Cuidad de Mexico,04230 Mexico,Mexico
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】ネグレッテ・ヘルナンデス、ホアキン・エンリケ
【審査官】秋山 直人
(56)【参考文献】
【文献】実開昭49-029417(JP,U)
【文献】実開昭54-061242(JP,U)
【文献】米国特許第05253261(US,A)
【文献】特開2002-170723(JP,A)
【文献】特開昭59-104900(JP,A)
【文献】実開昭58-097154(JP,U)
【文献】特開平04-361511(JP,A)
【文献】特開平08-203751(JP,A)
【文献】特開2010-073447(JP,A)
【文献】実開平07-006641(JP,U)
【文献】実開昭55-020173(JP,U)
【文献】実開昭60-094803(JP,U)
【文献】実開昭57-022210(JP,U)
【文献】実開昭55-156406(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 37/00
H05B 6/36
H05B 6/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のコアラインリアクトル組立体と、
前記コアラインリアクトル組立体の各々の中空コアを通過する管と、
閉ループを形成するために
前記管の第1の端部および第2の端部に接続されたポンプと、を備える流体加熱システムであって、
各コアラインリアクトル組立体は、複数の半磁性ボビンと各半磁性ボビン周りのワイヤの巻線とを備え、
前記複数の半磁性ボビンの各々は、
ある長さおよび2つの端部を有する非金属中央セクションと、各端部に配設された非金属フランジとを備え、
前記非金属中央セクションは、中空コアを備え、前記中空コア
へのアクセスを提供するために各端部に配設された開口部を有し、
各非金属フランジは、前記中空コア
へのアクセスを提供するために各端部にある前記開口部と一致するようにサイズ設定され構成される開口部を有し、各非金属フランジは、前記非金属中央セクションから離れるように配設された一部分を有し、少なくとも1つの非金属フランジは、前記非金属中央セクションから離れるように配設された前記一部分内に配設された少なくとも1つの貫通穴を有するものであり、
前記管は、
前記第1の端部および
前記第2の端部を有し、前記管は、流体が前記管を通過することを可能にするように構成されるものであり、
前記ポンプは、流体を、前記管を通し、前記複数のコアラインリアクトル組立体の各々の中空コアを通して圧送することができるものである、
流体加熱システム。
【請求項2】
前記複数のコアラインリアクトル組立体を上下に垂直に積み重ねるためのラックをさらに備える、請求項
1に記載の流体加熱システム。
【請求項3】
加熱された流体を貯蔵するための容器をさらに備える、請求項
1に記載の流体加熱システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示は、コアリアクトルにおいて使用するための半磁性ボビンおよび半磁性ボビンを含むコアリアクトルに関する。より詳細には、本開示は、高温に耐えることができると同時に、渦電流効果を回避することができる、コアリアクトルにおいて使用される半磁性ボビンに関する。これらの特性は、電力品質に悪影響を及ぼさす、電力を節約する半金属透過性ボビンの使用から得られる。
【背景技術】
【0002】
[0002]配電システムは、線形および非線形の負荷に電気を供給する。非線形負荷は、配電システムを飽和させる高調波電流周波数を生成する。例として高調波電流を生成する典型的な機械は、とりわけ、電子スイッチモード電源、電池充電器、調整可能なスピードモータドライブ(ASD)、順変換装置、無停電電源(UPS)、電子安定器を有する高効率蛍光灯、および暖房、換気、および空調システム(HVAC)である。
【0003】
[0003]高調波電流周波数は、システム内の電流の増大、電圧の全高調波歪みレベルの増大、電力係数の低下、電力損失の増大、配電機器の信頼性の低下、および負荷間の電磁的互換性の低下を含む、多くの問題を配電システム内に生み出す。高調波電流周波数はまた、たいてい渦電流によって引き起こされるヒステリシス損を被る電気モータなど、異なる電気機器にも問題を生み出す。これらのヒステリシス損の結果、モータコアの加熱が増大し、これによってモータの寿命が短縮し、また振動が加えられ、ノイズレベルが増大する。高調波電流周波数によって生み出され、これに関連する他の問題は、当業者によく知られている。
【0004】
[0004]前述の問題は、よく認識されており、IEEE規格519-1992、電力システムにおける高調波抑制のための推奨実施事項および要件(Recommended Practices and Requirements For Harmonic Control in Electrical Power Systems)などの規格に見出される、高調波抑制のための責任分担の基礎となる。詳細には、上記の規格は、次を推奨する:(1)システム内に投入される高調波電流の量に対する制御は、最終使用用途で行われ、(2)電圧歪みに対する制御は、高調波電流の投入が妥当な範囲内にあると想定して、ユーティリティであることが多い、システムインピーダンスに対する制御を有するエンティティによって行使される。
【0005】
[0005]高調波電流およびその影響を解消するために、いくつかのシステム、そのための構成要素およびデバイスが、当技術分野で開発されてきた。これらのシステム、構成要素、およびデバイスの例は、とりわけ、空気コアリアクトル、鉄コアリアクトルを含む電力システムラインリアクトル、共振L-Cフィルタ、シリアルラインACチョーク、アクティブフィルタ、ハイブリッドフィルタ、シャントパッシブフィルタ、直列パッシブフィルタ、ジグザグ変圧器、および変圧器負荷タップチェンジャを含む。
【0006】
[0006]電力システムリアクトルは、多くの場合、パッシブ高調波フィルタを生み出すために抵抗器およびコンデンサと組み合わせて使用される。これらの周波数電力システムリアクトルは、通常、鉄コアまたは空気コアである。パッシブ高調波フィルタは、通常、電源ラインと電気接地との間に配設された、いくつかの並列に接続された直列の共振回路からなるように設計される。各パッシブ高調波フィルタは、抑制されることが望まれる、特有の望ましくない高調波電流周波数に同調され、したがって、望ましくない高調波周波数が送電網まで進行できないようにする。より高い高調波周波数をフィルタ除去するために、ハイパスフィルタが、一般的に使用される。
【0007】
[0007]
図1に示されるような従来技術の同調されたパッシブ高調波フィルタは、送電網および/または同じネットワークに接続された他の非線形負荷からの高調波によって、これらの同調されたパッシブ高調波フィルタの設計された高調波インピーダンスが低く、それによって高調波電流を適切にフィルタ除去することが難しくなることにより、過負荷になりやすくなり得る。この問題は、ディレイラー機構を実施することによって部分的に解決されているが、これらの機構は、依然として大きな問題を有している。たとえば、ディレイラーは、これらの設計が、電気ネットワークの取り込まれた高調波を取り扱うように適切に実施されていないために温度上昇することが多い。従来技術は、同調されたパッシブ高調波フィルタの改良された設計および使用を広く説明してきた。この従来技術の例は、たとえば、米国特許第3,555,291号の
図1および米国特許第5,444,609号の
図3および
図5に示される。これらの図は、従来技術の同調され、直列同調されたハイパス高調波フィルタを示す。フィルタ要素の各々は、解消することが望まれる特有の高調波周波数に同調される。これらの従来技術の機構のほとんどはまた、詳細には、配電システムから高調波を取り込むことを回避するように設計され、これは、本開示の
図2に示されるような電力デカップリングリアクトルを配電システムの電力相エネルギーラインと直列にして加えることによって、ローカル設備電気システムを送電網から絶縁する効果を有する。
【0008】
[0008]他の従来技術の機構は、詳細には接地線ではない線形電気負荷に給電するのに使用するために高調波を配電システムから取り込むように設計される。この従来技術の例は、米国特許出願公開第2012/0313728号の
図1A、1B、2、3、4、5、および6に示される。これらの実施形態では、線形電気負荷は、同調されたパッシブ高調波フィルタシステムの一部であり、高調波を捕捉すると記載されており、さらに、線形負荷の非限定的な例として、一定(時不変の)の機械的負荷にトルクをかけるAC誘導モータ、ならびに抵抗照明および加熱要素であり得ることも記載されている。このシステムの主な欠点は、電気ユーティリティからの取り込まれた総高調波電流値が常に変化し、そのため給電された線形電気負荷は、これが、取り込まれた総高調波電流を使用し、駆動する唯一の電気経路であるために、高調波電流の極めて大きい最大ピークを受け入れることができなければならないことである。開示されたシステムの別の欠点は、現代の工業設備のほとんどが非線形負荷の幅広い用途を特徴としながら、この給電システムの効果的な使用は、少数の線形負荷に限定されることである。さらに、別の欠点は、線形電気負荷のインピーダンスは、そのいかなる変更もパッシブ高調波フィルタを離調させ、それによって、対処するように設計された特有の高調波電流を取り込むのに高調波フィルタを使用できなくするので、一定である必要があることである。
【0009】
[0009]従来技術には電力システムリアクトルおよびパッシブ高調波フィルタの多くの設計が存在するという事実にかかわらず、これらは数多くの欠点を被っている。
図2に示されるような同調されたパッシブ高調波フィルタシステムは、詳細には、配電システムから高調波を取り込むことを回避するように設計され、したがって、非常に大きい高電力リアクトル、
図2の要素210を配電エネルギーラインと直列にして加えることによってローカル設備の電気システムを送電網から絶縁する。
図2に示されるように、ほとんどの時間、大電流は従来のパッシブ高調波フィルタによって処理されるため、空気コアリアクトル110が通常、使用の選択肢として選択される。しかし、空気コアリアクトルは、ワイヤの大きなコイルから作製された非常に大きなユニットである。空気コアリアクトルはまた、屋外の大きなアルミニウム構造体上に置かれなければならない(鋼構造体は、ユニットの磁性性能に影響を及ぼす可能性があるため、これらは使用できない)。空気コアリアクトルは、非常にコストもかかり、そのメンテナンス、検査、および点検修理は、複雑である。
【0010】
[00010]
図2に示されるようなパッシブ高調波フィルタが鉄コアリアクトル110を備えて作製される場合、リアクトルは、リアクトルを通る高調波電流の流れが多すぎると、過負荷になりやすく、飽和し得る。これは、特に高周波数電流の場合に当てはまり、その結果、リアクタンスが低下する。したがって、磁性コアが飽和する前に多くの磁束が磁性材料内に生成される可能性があり、コイルは空気コアに立ち戻る。加えて、コアに沿った渦電流の流れによって引き起こされることになる鉄コアの過熱によって、鉄コアリアクトルが容易に損傷を受けることは珍しいことではない。したがって、
図2に示されるような従来の同調されたパッシブ高調波フィルタは、送電網に流れる高調波電流を取り込まず、その結果、このエネルギーを最終顧客の利益となるように利用する機会が失われている。
【発明の概要】
【0011】
[00011]したがって、当技術分野において、それほど大きいユニットではない高調波フィルタを提供する必要性が存在する。
【0012】
[00012]また、当技術分野において、屋外の大きな構造体上に置かれる必要がない高調波フィルタを提供する必要性も存在する。
【0013】
[00013]また、当技術分野において、それほどコストがかからない高調波フィルタを提供すると共に、メンテナンス、検査、および点検修理をより容易にする必要性も存在する。
【0014】
[00014]加えて、コアに沿った渦電流の流れによる、鉄コアリアクトルなどのコアの過熱によって容易に損傷されない高調波フィルタを提供する必要性が存在する。
【0015】
[00015]さらに、送電網で流れる高調波電流を取り込み、その結果このエネルギーを利用する機会を提供する高調波フィルタのコアリアクトルを提供する必要性も存在する。
【0016】
[00016]さらに、リアクトルを通って送電網の流れから取り込まれた高調波電流が多すぎる場合でも容易に過負荷にならず、飽和しない、高調波フィルタを提供する必要性も存在する。
【0017】
[00017]これらおよび他の必要性は、本開示の高調波フィルタによって満たされる。本開示の高調波フィルタは、半磁性コアが空気よりも高い透過性コアを有するために空気コアリアクトルより小さくなるなどの多くの利点を提供する。よりコンパクトなサイズにより、空間の使用が改良され、その結果好都合でクリーンな設置が得られる。本開示の高調波フィルタはまた、強磁性コアの望ましくない特性(渦電流損失、ヒステリシス、飽和など)を解消する。
【0018】
[00018]半磁性コアリアクトル周りのいかなる鋼構造体も、コイルのインダクタンス値にほとんど影響を与えない。半磁性コアは、磁束によって飽和されず、したがってリアクタンス値に何の変化もない。半磁性コアは、屋内設備に設置され得る。
【0019】
[00019]本開示の高調波フィルタは、そのサイズおよび重量により、高圧、超高圧、および/または大電流の用途に対する優れた選択肢を提供する。本開示の高調波フィルタはまた、コンダクタのアンペア容量(電流を運ぶコンダクタの能力)の増大の要求も減少させ、コアに沿った渦電流の流れがないことによって内部冷却においてより良好である。
【0020】
[00020]加えて、本開示の高調波フィルタは、空気コアリアクトルおよび鉄コアリアクトルの同じ電気能力可能選択肢と比較して、少ない材料の部品数、ワイヤ、および作業時間によって極めて簡易化された製造を提供する。その結果、本開示の高調波フィルタは、空気コアリアクトルおよび鉄コアリアクトルの同じ電気能力可能選択肢と比較して、製造コストの低減と共により容易なメンテナンス、検査、および点検修理を提供し、それによって長い使用期間にわたって信頼高く、故障のない作動を提供する。
【0021】
[00021]また、本開示の高調波フィルタは、送電網から取り込まれた常に変化する総高調波値を、フィルタに電気構成要素を加える必要なく、適切に処理することができる。その結果、加熱器は、高度の効率性を維持する。
【0022】
[00022]本開示の高調波フィルタは、非線形負荷によって生成されたライン側の高調波電流を低減することによって総システムパフォーマンスを改良し、省エネを生み出すと共に、非線形負荷の寿命を増大させ、さらに、最終ユーザ設備によって生成される高調波電流の存在にかかわらずいつでも使用され得る。本開示の高調波フィルタは、電力システムから取り込まれた高調波電流を作用源として使用し、ゼロコスト加熱プロセスを伴う100%無害の電磁誘導加熱器を提供する。
【0023】
[00023]本開示は、コアリアクトルにおいて使用するための半磁性ボビンであって、長さおよび2つの端部を有する非金属中央セクションと、ここにおいて中央セクションは中空であり、各端部に配設された開口部を有する、各端部に配設された非金属フランジと、ここにおいて各フランジは、各端部にある開口部と一致するようにサイズ設定され構成される開口部を有し、各フランジは、中央セクションから離れるように配設された部分を有し、少なくとも1つのフランジは、中央セクションから離れるように配設された部分内に配設された少なくとも1つの貫通穴を有する、を有する。好ましくは、中央セクションは、実質的に円筒状の形状であり、この周りにワイヤの巻線を受け入れるように設計され構成される。好ましくはまた、中央セクションの中空は、ここを通る管、ケーブル、または覆われた複数のワイヤを受け入れるように設計され構成される。さらに好ましくは、各フランジは、実質的に円形の「プレート様」構成のものであり、巻線を中央部分の長さに限定するために止め具として作用するように設計され構成される。各フランジの開口部は、好ましくは、ここを通る管、ケーブル、または覆われた複数のワイヤ、より好ましくは中央セクションの中空を通過するその管、ケーブル、または覆われた複数のワイヤを受け入れるように設計され構成される。また、少なくとも1つの貫通穴は、好ましくは、中央セクション周りの巻線の入口点および出口点を提供するように設計され構成される。好ましくは、非金属中央セクションおよび非金属フランジは、わずかに多孔性、または非多孔性であってよいセラミック材料から構成される。非金属材料は、樹脂、粘土/れんが、セメント、ナイロン、アミド、または任意の他の非金属材料から作製され得る。好ましくはセラミックであり、その理由は、渦電流がないことによって中央セクションまたはフランジが加熱されないためである。コアが金属材料の場合、これは、誘導加熱器として作用し、すなわちコアは、生成され、それによって故障を引き起こしやすい熱を受け取ることになる。特性/材料性質の点から、ボビンは、(1)渦電流がなく、または不在であるためにそれほど加熱されないということから、前述の樹脂、粘土/れんが、セメント、ナイロン、アミド、ナイロン/アミド複合物、およびセラミックによって提供された非金属高温絶縁材料、ならびに(2)材料が完全に非磁性またはわずかに磁性である場合に非磁性と通常理解される、非磁性材料であるべきである。知られているように、磁場は、一般的にはガウス単位で測定され、たとえば、典型的な冷蔵庫磁石は、約50ガウスの磁場を有し、地核は、約25ガウスの磁場を有し、地表は、約0.25~0.60ガウスの磁場を有する。好ましくは、100%非磁性である、すなわち、上記で示されたように、約50ガウス以下の材料が使用されるべきである。
【0024】
[00024]本開示の半磁性ボビンは、任意のインダクタンスおよびアンペア容量値に合わせて設計され得るコアラインリアクトル(直列インダクタとしても知られている)において用途を見出す。本開示の半磁性ボビンはまた、高調波フィルタおよびパッシブ高調波フィルタにおいて、AC送電網システムからの非常に大きい高調波電流を取り込み、安全に処理し、それと同時にフィルタが設置されている最終ユーザの工業設備において生成される高調波電流を、接続された電気負荷に関係なく停止させ、フィルタ除去する用途を見出す。したがって、これらの高調波電流は、数学的に付加され、最終消費者の利益となるように使用されることが可能であると共に、フィルタを直接接地接続することによって高調波電流を解消することもできる。
【0025】
[00025]本開示は、任意のインダクタンス値に合わせて設計され得るラインリアクトル(直列インダクタ)を生み出すために有用である半磁性ボビンを提供する。本開示はまた、交流回路のための改良された高調波フィルタ、特に配電システムおよび工業設備自体から高調波電流を取り込む従来の同調された高調波フィルタに関連する典型的な問題を克服する、改良されたパッシブフィルタを提供するために有用である、半磁性ボビンを提供する。本開示は、これらの電流を数学的に付加するために有用であり、これらを最終ユーザの利益になるように使用する、半磁性ボビンを提供する。
【0026】
[00026]本開示のさらなる特徴、利点および詳細は、図の以下の説明から明らかになる。図中、同じ番号は同じ要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】[00027]直列デカップリングインダクタを有さない、従来技術の典型的な高調波フィルタの簡易化された概略回路図。
【
図2】[00028]直列デカップリングインダクタを有する、従来技術の典型的な高調波フィルタの簡易化された概略回路図。
【
図3A】[00029]本開示によるボビンの斜視図。
【
図3B】[00030]本開示によるボビンの断面図。
【
図4】[00031]本開示の1つの実施形態による半磁性コアラインリアクトル組立体の斜視図。
【
図4A】[00032]本開示の
図4による半磁性コアラインリアクトル組立体の断面図。
【
図4B】[00033]
図4Aに示されるような半磁性コアラインリアクトル組立体の「A」-「A」の線を通る上部切断図。
【
図4C】[00034]
図4Aに示されるような半磁性コアラインリアクトル組立体の概略回路図。
【
図4D】[00035]
図4Aに示されるような半磁性コアラインリアクトル組立体のシンボル。
【
図5A】[00036]本開示の1つの実施形態による半磁性コアタッピング(tapping)ラインリアクトル組立体の断面図。
【
図5B】[00037]
図5Aに示されるような半磁性コアタッピングラインリアクトル組立体の上面図。
【
図5C】[00038]
図5Aに示されるような半磁性コアタッピングラインリアクトル組立体の概略回路図。
【
図6A】[00039]本開示の別の実施形態による半磁性コア変圧器組立体の断面図。
【
図6B】[00040]
図6Aに示されるような半磁性コア変圧器組立体の上面図。
【
図6C】[00041]
図6Aに示されるような半磁性コア変圧器組立体の概略回路図。
【
図7A】[00042]本開示の別の実施形態による半磁性コア絶縁変圧器組立体の断面図。
【
図7B】[00043]
図7Aに示されるような半磁性コア絶縁変圧器組立体の上面図。
【
図7C】[00044]
図7Aに示されるような半磁性コア絶縁変圧器組立体の概略回路図。
【
図8A】[00045]本開示の別の実施形態による半磁性コア降圧変圧器組立体の断面図。
【
図8B】[00046]
図8Aに示されるような半磁性コア降圧変圧器組立体の上面図。
【
図8C】[00047]
図8Aに示されるような半磁性コア降圧変圧器組立体の概略回路図。
【
図9A】[00048]本開示の別の実施形態による半磁性コア昇圧変圧器組立体の断面図。
【
図9B】[00049]
図9Aに示されるような半磁性コア昇圧変圧器組立体の上面図。
【
図9C】[00050]
図9Aに示されるような半磁性コア昇圧変圧器組立体の概略回路図。
【
図10】[00051]本開示による、半磁性コアラインリアクトルを使用する電気3相のためのパッシブ高調波フィルタデバイスの実施形態の電気概略図。
【
図11A】[00052]本開示による半磁性コアラインリアクトル組立体の斜視図。
【
図11B】[00053]
図11Aに示されるような半磁性コアラインリアクトル組立体の側部断面図。
【
図11C】[00054]
図11Aに示されるような半磁性コアラインリアクトル組立体の上部断面図。
【
図12】[00055]
図11Aによる半磁性コアラインリアクトル組立体を使用する流体加熱システムの図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
[00056]
図1は、従来技術のパッシブ高調波フィルタ組立体100を示す。
図1では、パッシブ高調波フィルタ組立体100は、送電網101とローカル設備電気システム102との間に配設される。多くの場合、パッシブ高調波フィルタ組立体100は、パッシブ高調波フィルタ回路130を生み出すために、複数の直列接続されたコアリアクトル110およびコンデンサ120を備える。
図1では、パッシブ高調波フィルタ回路130電力システムリアクトルは、鉄コアまたは空気コア110であることができる。パッシブ高調波フィルタ組立体100は、通常、電源ライン140と電気接地150との間のいくつかの並列接続されたパッシブ高調波フィルタ回路130からなるように設計されており、各パッシブ高調波回路130は、抑制されることが望まれる特有の望ましくない高調波電流周波数に同調される。より高い高調波周波数をフィルタ除去するために、ハイパスパッシブ高調波フィルタ130を使用することが一般的である。詳細には、同調されたパッシブ高調波フィルタ130は、その設計された低い高調波インピーダンスにより、入力部101および/または同じネットワークに接続された他の非線形負荷を介して送電網から取り込まれた高調波電流によって過負荷になりやすくなり得る。これにより、適切なフィルタ除去が難しくなる。この問題は、ディレイラー機構の実施によって部分的に解決されているが、これらは、依然として大きな問題を有している。
【0029】
[00057]
図2は、
図1の従来技術の同調されたパッシブ高調波フィルタ組立体100の欠点を克服するように意図された、よく知られているパッシブ高調波フィルタ組立体200を示す。パッシブ高調波フィルタ組立体200は、詳細には、配電システムからあらゆる高調波を取り込むことを回避するように設計され、こうしてローカル設備電気システムを送電網から絶縁する。この絶縁は、複数の電力デカップリングリアクトル210を配電システム電源ライン140と直列にして加えることによって達成される。パッシブ高調波フィルタ組立体200のフィルタ除去能力は、最終ユーザの場所において生成される内部高調波を捕捉する、同調されたパッシブ高調波フィルタ130によって主に左右される。電力デカップリングリアクトル210は、送電網から流れるいかなる高調波電流もローカル設備電気システム内に取り込まないように十分なインピーダンスを提供する。
図1に関して先に述べられたように、パッシブ高調波フィルタ組立体100が、送電網と直列の電力デカップリングリアクトル210を有さない場合、望ましくない取り込まれた高調波電流は、たとえば、鉄コアリアクトル110において、これらを通る電流が多すぎる場合に飽和を生み出し、その結果、コアに沿った渦電流の流れによる深刻な加熱問題によって損傷を生じさせ、さらに、上記で留意された欠点も被ることになる。ほとんどの時間、大電流が従来のパッシブ高調波フィルタ組立体130によって処理されることになるため、空気コアリアクトル110が通常、使用の選択肢となる。空気コアリアクトルは、非常に大きく(ワイヤの大きなコイルから作製される)、屋外の大きなアルミニウム構造体上に置かれる必要がある(鋼構造体は、ユニットの磁性性能に影響を及ぼす可能性があるため、これらは使用できない)という点で、本開示によって対処される欠点の多くを有する。さらに、これらは、コストがかかり、メンテナンス、検査および点検修理が複雑である。パッシブ高調波フィルタ130がその代わりに鉄コアリアクトル110を備えて作製される場合、リアクトルはこれらを通って流れる高調波電流が多すぎると過負荷になりやすく、飽和する可能性があり、この結果、リアクタンスの低下を生じさせる可能性があり、多くの磁束が、磁性コアが飽和する前に磁性材料に生成される可能性があり、コイルは空気コアに立ち戻る。上記で述べられたように、パッシブ高調波フィルタ組立体200は、送電網を流れる高調波電流を取り込まず、したがってこのエネルギーを最終消費者の利益となるように利用する機会が失われている。
【0030】
[00058]
図3Aは、本開示によるボビンの1つの実施形態であり、
図3Bは、この実施形態の断面図である。この実施形態は、円筒状の半磁性コア310と、円筒状の半磁性コア310に接合される2つの平坦な円形フランジ320とを有するボビン300を有する。半磁性コア310は、耐高温非磁性材料から作製される。しかし、半磁性コア310は、とりわけ、楕円、三角形、円形などの異なる形状を有することができる。種々のコアサイズおよび種々の材料、とりわけ、耐熱、耐水、および耐湿の非磁性セラミック、セメント、樹脂などの非磁性材料がすべて、さまざまな用途に適している。ボビン300はまた、中心穴330と、複数のフランジ穴340とを含み、その機能は、他の図を併用して説明される。半磁性コア310は、従来技術で開発された電気構成要素のほとんど、すなわちラインリアクトル(インダクタ)
図4A~4C、タッピングラインリアクトル
図5A~C、変圧器
図6A~C、絶縁変圧器
図7A~C、降圧変圧器
図8A~C、昇圧変圧器
図9A~C、およびとりわけ当業者に適用可能であることが理解されるジグザグ変圧器(図示せず)に対して本開示の改良を提供するためのベースコアとして使用される。コア310は、所望の場合、高調波電流を解消するための用途に使用され得る。上記で述べられた電気構成要素の製造に必要な巻線410(たとえば
図4Aを参照)は、銅、アルミニウムから、または他のよく知られている電気絶縁磁性ワイヤで製作され、コイル巻き機を使用して半磁性コア310周りに巻き付けられることが可能であり、このコイル巻き機はボビンを回転させ、その間、巻線を導くためにワイヤが横方向に前後に動かされる。ドット法に従うインダクタおよび変圧器の当業者のために、巻線の開始はドット420によって示される(たとえば
図4Aを参照)。変圧器内のドットマーキングは、すべての時間瞬間において対応する極性の終端部を示す。上記で説明される巻線構成は、終端方法、タッピング方法、または他の接続方法を任意の他の電気システム構成要素に提供することができる。半磁性コア310の目的は、上記で述べられた構成要素のインダクタンス値を固定し、それらの相互の結合を強めるためであり、これは、本開示のさまざまな実施形態においてボビン300によって達成される。
【0031】
[00059]
図4および4Aはそれぞれ、実施形態の1つの態様による半磁性コアラインリアクトル組立体400の斜視図および断面図である。
図4では、巻線410は、巻線410の入口点430および出口点440それぞれにおいて半磁性コアラインリアクトル組立体400を出入りする。
図4では、巻線は磁石ワイヤである。
図4Bは、
図4Aに示されるような半磁性コアラインリアクトル組立体400の上部切断図である。
図4Cは、
図4Aに示されるような半磁性コアラインリアクトル組立体400の概略回路図である。
図4Dは、
図4Aに示されるような半磁性コアラインリアクトル組立体400のシンボル回路
図450である。シンボル回路
図450は、半磁性コア310と、半磁性コア310周りに巻き付けられた巻線410とを備える。
【0032】
[00060](当業者によって認識されるように直列インダクタである)半磁性コアラインリアクトルの
図4、4A、4B、4C、および4Dは、(a)任意の標準化されたワイヤゲージシステム(すなわち米国ワイヤゲージ規格(AWG:American wire gauge))を使用して適切なコンダクタアンペア容量サイズのワイヤを選択することによって任意の電流容量に、(b)任意の許容された測定システムによってインダクタ値を測定することによって任意のインダクタ値に、および(c)前述の電気値を満たすように任意の長さのコアサイズに合わせて設計され同調され得る。半磁性コアラインリアクトル組立体400を生産するために半磁性ボビン300を使用する任意の電気的およびまたは工業的技術が、高電流の流れおよびこの電流の流れによって生成される高温を処理することができ、それにより、磁性ではない非金属コアの使用によって、渦電流効果を回避する。
【0033】
[00061]以下は、(a)任意の多セクションシャントパッシブフィルタ内の同調リアクトル要素(すなわち単一同調されたフィルタおよび/または一次、二次、またはn次のハイパスフィルタのための、電力システムから捕捉されるよう意図される高調波電流の共振回路を生み出すために特有の周波数に同調されたもの)として、又は(b)立て続けのコンデンサの切り替えを回避するために並列のコンデンサバンクステップ間の電流を限定するためのACチョークリアクトル(挿入されたインピーダンス)としての、
図4、4A、4B、4C、および4Dの半磁性コアラインリアクトル400の使用の非限定的な例である。半磁性ボビン300を備えて生み出された半磁性コアラインリアクトル400は、選択された周波数または周波数の帯域における高調波電流のほとんどを捕捉するために、選択され同調された周波数または周波数の帯域において非常に低いインピーダンスおよび
高いQファクタ「Q」を有する。
【0034】
[00062]
図5Aは、本開示の別の実施形態による半磁性コアタッピングラインリアクトル組立体500である。半磁性コアタッピングラインリアクトル組立体500は、巻線410の各層410A、410B、および410Cから出現する複数のタッピング、ここでは3つのタッピング510、520、および530を有することが、半磁性コアラインリアクトル400とは異なる。
図5Bは、
図5Aに示されるような半磁性コアタッピングラインリアクトル組立体500の上面図である。
図5Cは、
図5Aに示されるような半磁性コアタッピングラインリアクトル組立体500の概略回路
図540である。概略回路
図540は、3つのタッピング510、520、および530を伴って半磁性ボビン300周りに巻き付けられた巻線410を備える。
【0035】
[00063](当業者によって認識されるように直列タッピングインダクタである)半磁性コアタッピングラインリアクトル500は、(a)任意の標準化されたワイヤゲージシステム(すなわち米国ワイヤゲージ規格(AWG))を使用して適切なコンダクタアンペア容量サイズのワイヤを選択することによって任意の電流容量に、(b)任意の許容された測定システムによってインダクタ値を測定することによって任意のインダクタンス値に、(c)前述の電気値を満たすように任意の長さのコアサイズに、または(d)巻線に沿った任意の数のタッピング接続に合わせて設計され同調され得る。半磁性コアタッピングラインリアクトル500のコアとして作用する半磁性ボビン300を使用する任意の電気およびまたは工業技術が、高電流の流れおよびこの電流流れによって生成される高温を処理することができ、磁性ではない非金属コアの使用によって、渦電流効果を回避する。
【0036】
[00064]半磁性コアタッピングラインリアクトル500の使用例は、任意の多セクションシャントパッシブフィルタ内の同調リアクトル要素(すなわち単一同調されたフィルタおよび/または一次、二次、またはn次のハイパスフィルタのための、電力システムから捕捉されるよう意図される高調波電流の共振回路を生み出すために特有の周波数に同調されたもの)と、フィルタ除去されるシステムのいくつかの電気構成要素とこれらを接続するための任意の数のタッピング接続とを含む。これらの実施形態は、いかなる特定の種類の接続にも左右されず、したがって多くの接続方法が可能である。半磁性ボビン300を使用する半磁性コアタッピングラインリアクトル500は、選択された周波数または周波数の帯域における高調波電流のほとんどを捕捉するために、選択され同調された周波数または周波数の帯域において非常に低いインピーダンスおよび高いQファクタ「Q」を有する。
【0037】
[00065]
図6Aは、本開示の別の実施形態による半磁性コア変圧器組立体600である。巻線410と、巻線の入口点430および出口点440とを有することに加えて、
図6Aの半磁性コア変圧器組立体600は、第2の巻線610と、第2の巻線開始点620と、第2の巻線610の入口点630および出口点640とを
それぞれ含む。第2の巻線610は、巻線410より小さいゲージワイヤのものである。
図6Bは、
図6Aに示されるような半磁性コア変圧器組立体600の上面図である。
図6Cは、
図6Aに示されるような半磁性コア変圧器組立体600の概略回路図である。この実施形態は、半磁性ボビン300(図示せず)の周りに巻き付けられた巻線410と、巻線410の周りに巻き付けられた第2の巻線610とを有する。巻線410、610は鉄コアを有さないため、この実施形態は、緩く結合された巻線410、610を利用する。緩く結合された回路は、同調比によって特徴付けることはできない。そうではなく、これらは、自己インダクタンスおよび相互インダクタンスによって特徴付けられる。ワイヤゲージは、
図6Aに示されるように、巻線410、610間で異なり得る。半磁性コア変圧器組立体600を作製するために、相互電圧、結合係数、相互結合を有するインダクタ、および考慮される他の技術面が存在し、巻線の開始部は、両方のインダクタの2つの端部のいずれか一方に置かれてよく、その結果、異なる極性および結合効果を達成するさまざまな構成が得られることが、当業者によって理解されるであろう。
【0038】
[00066]半磁性コア変圧器組立体600は、(a)任意の標準化されたワイヤゲージシステム(すなわち米国ワイヤゲージ規格(AWG))を使用して適切なコンダクタアンペア容量サイズのワイヤを選択することによって任意の入口電圧または出口電圧および電流容量に、(b)任意の許容された測定システムによってインダクタ値を測定することによって任意のインダクタ値に、(c)前述の電気値を満たすように任意の長さのコアサイズに、(d)任意の巻き数に、(e)任意の作動周波数に、および(f)2つまたはそれ以上の相互に結合された巻線を作製するためにコアの長さに沿った適切な巻線に合わせて設計され得る。半磁性コア変圧器組立体600のコアとして半磁性ボビン300を使用する任意の電気および/または工業技術が、高電流の流れおよびこれらの電流の流れによって生成される高温を処理することができ、それにより、磁性ではない非金属コアの使用によって、渦電流効果を回避する。
【0039】
[00067]半磁性コア変圧器組立体600の使用例は、変圧器または変流器を含む。
【0040】
[00068]
図7Aは、本開示の別の実施形態による半磁性コア絶縁変圧器組立体700である。巻線410と、巻線の入口点430および出口点440とを有することに加えて、
図7Aの半磁性コア絶縁変圧器組立体700は、第2の巻線710と、第2の巻線開始点720と、第2の巻線710の入口点730および出口点740とをそれぞれ含む。
図7Aに示される実施形態では、第2の巻線710は、巻線410と同じゲージワイヤのものである。
図7Bは、
図7Aに示される半磁性コア絶縁変圧器組立体700の上面図である。
図7Cは、
図7Aに示されるような半磁性コア絶縁変圧器組立体700の概略回路図である。この実施形態は、半磁性ボビン300(図示せず)の周りに巻き付けられた巻線410と、巻線410の周りに巻き付けられた第2の巻線710とを有する。巻線410、710は鉄コアを有さないため、この実施形態は、緩く結合された巻線410、710を利用する。上記で留意されたように、緩く結合された回路は、同調比によって特徴付けることはできない。そうではなく、これらは、自己インダクタンスおよび相互インダクタンスによって特徴付けられる。
図7A~7Cでは同じように概略的に示されているが、ワイヤゲージは、巻線410と第2の巻線710との間で異なり得る。
図7A~7Cに示されるコア絶縁変圧器は、1:1の変圧比を有する。半磁性コア絶縁変圧器組立体700を作製するために、相互電圧、結合係数、相互結合を有するインダクタ、および考慮される他の技術面が存在し、巻線の開始部は、両方のインダクタの2つの端部のいずれか一方に置かれてよく、その結果、異なる極性および結合効果を達成するさまざまな構成が得られることが、当業者によって理解されるであろう。
【0041】
[00069]半磁性コア絶縁変圧器組立体700は、(a)任意の標準化されたワイヤゲージシステム(すなわち米国ワイヤゲージ規格(AWG))を使用して適切なコンダクタアンペア容量サイズのワイヤを選択することによって任意の入口電圧または出口電圧および電流容量に、(b)任意の許容された測定システムによってインダクタ値を測定することによって任意のインダクタ値に、(c)前述の電気値を満たすように任意の長さのコアサイズに、(d)任意の巻き数に、(e)任意の作動周波数に、および(f)2つまたはそれ以上の相互に結合された巻線を作製するためにコアの長さに沿った適切な巻線に合わせて設計され得る。半磁性コア絶縁変圧器組立体700のコアとして作用する半磁性ボビン300を使用する任意の電気およびまたは工業技術が、高電流の流れおよびこれらの電流の流れによって生成される高温を処理することができ、磁性ではない非金属コアの使用によって、渦電流効果を回避する。
【0042】
[00070]絶縁変圧器の使用の例は、複数のドライブ(デルタ-ワイ絶縁変圧器による1つのドライブ、デルタ-デルタ絶縁変圧器による第2のドライブ)を供給する絶縁変圧器を含み、これらのドライブは、主に5次および7次の高調波が打ち消されるために効果的な12パルス高調波フィルタ作動を生み出す。
[00071]
図8Aは、本開示の別の実施形態による半磁性コア降圧変圧器組立体800である。巻線410と、巻線の入口点430および出口点440とを有することに加えて、
図8Aの半磁性コア降圧変圧器組立体800は、第2の巻線810と、第2の巻線開始点820と、第2の巻線810の入口点830および出口点840とをそれぞれ含む。
図8Aに示される実施形態では、第2の巻線810は、巻線410と同じゲージワイヤのものである。
図8Bは、
図8Aに示されるような半磁性コア降圧変圧器組立体800の上面図である。
図8Cは、
図8Aに示されるような半磁性コア降圧変圧器組立体800の概略回路図である。
図8Cでは、いずれもライン440に参照されるライン430とライン840との間の電圧は、わずかな電圧の低下、たとえば127Vから110Vを示している。この実施形態は、半磁性ボビン300(図示せず)の周りに巻き付けられた巻線410と、巻線410の一部の周りに巻き付けられた第2の巻線810とを備える。巻線410、810は鉄コアを有さないため、この実施形態は、緩く結合された巻線410、810を利用する。上記で留意されたように、緩く結合された回路は、同調比によって特徴付けることはできない。そうではなく、これらは、自己インダクタンスおよび相互インダクタンスによって特徴付けられる。
図8A~8Cでは同じように概略的に示されているが、ワイヤゲージは、巻線410と第2の巻線810との間で異なり得る。
図8A~8Cの特別な接続のコア降圧変圧器により、わずかな電圧の低下が得られる。半磁性コア降圧変圧器組立体800を作製するために、相互電圧、結合係数、相互結合を有するインダクタ、および考慮される他の技術面が存在し、巻線の開始部は、両方のインダクタの2つの端部のいずれか一方に置かれてよく、その結果、異なる極性および結合効果を達成するさまざまな構成が得られることが、当業者によって理解されるであろう。
【0043】
[00072]
図9Aは、本開示の別の実施形態による半磁性コア昇圧変圧器組立体900である。巻線410と、巻線の入口点430および出口点440とを有することに加えて、
図9Aの半磁性コア昇圧変圧器組立体900は、第2の巻線910と、第2の巻線開始点920と、第2の巻線910の入口点930および出口点940とをそれぞれ含む。
図9Aに示される実施形態では、第2の巻線910は、巻線410と同じゲージワイヤのものである。
図9Bは、
図9Aに示されるような半磁性コア昇圧変圧器組立体900の上面図である。
図9Cは、
図9Aに示されるような半磁性コア昇圧変圧器組立体900の概略回路図である。
図9Cでは、いずれもライン440に参照されるライン930とライン440との間の電圧は、たとえば208Vから220Vの昇圧を示している。この実施形態は、半磁性ボビン300(図示せず)の周りに巻き付けられた巻線410と、巻線410の一部の周りに巻き付けられた第2の巻線910とを備える。巻線410、910は鉄コアを有さないため、この実施形態は、緩く結合された巻線410、910を利用する。上記で留意されたように、緩く結合された回路は、同調比によって特徴付けることはできない。そうではなく、これらは、自己インダクタンスおよび相互インダクタンスによって特徴付けられる。
図9A~9Cでは同じように概略的に示されているが、ワイヤゲージは、巻線410と第2の巻線910との間で異なり得る。
図9A~Bに示される特別な接続により、昇圧が得られる。半磁性コア昇圧変圧器組立体900を作製するために、相互電圧、結合係数、相互結合を有するインダクタ、および考慮される他の技術面が存在し、巻線の開始部は、両方のインダクタの2つの端部のいずれか一方に置かれてよく、その結果、異なる極性および結合効果を達成するさまざまな構成が得られることが、当業者によって理解されるであろう。
【0044】
[00073]半磁性コアの降圧変圧器組立体800または昇圧変圧器組立体900は、(a)任意の標準化されたワイヤゲージシステム(すなわち米国ワイヤゲージ規格(AWG))を使用して適切なコンダクタアンペア容量サイズのワイヤを選択することによって任意の入口電圧または出口電圧および電流容量に、(b)任意の許容された測定システムによってインダクタ値を測定することによって任意のインダクタ値に、(c)前述の電気値を満たすように任意の長さのコアサイズに、(d)任意の巻き数に、(e)任意の作動周波数に、および(f)2つまたはそれ以上の相互に結合された巻線を作製するためにコアの長さに沿った適切な巻線に合わせて設計され得る。半磁性コアの降圧変圧器組立体800または昇圧変圧器組立体900のコアとして作用する半磁性ボビン300を使用する任意の電気および/または工業技術が、高電流の流れおよびこれらの電流の流れによって生成される高温を処理することができ、それにより、磁性ではない非金属コアの使用によって、渦電流効果を回避する。
【0045】
[00074]降圧変圧器および昇圧変圧器は、負荷に対する電圧のわずかな低減または昇圧を必要とする用途で使用される。たとえば、ローパスブロードバンドフィルタでは、降圧変圧器は、フィルタラインリアクトル出力部における電圧を、そのフィルタコンデンサにおける電圧が許容可能であるレベルまで下げるために使用される。また、例として、商業用空調システムおよび工業用空調システムでは、昇圧変圧器は、208Vから230Vまたは240Vの昇圧に使用され、降圧変圧器は、その反対に、すなわち電圧を低下させるために使用される。昇圧変圧器は、照明システムに関して、110Vから120Vおよび240Vから277Vに昇圧するために使用される。降圧変圧器と昇圧変圧器の両方は、すべてのタイプの加熱システムおよび誘導モータの電圧補正のために使用される。供給電圧が常に正常値を上回り、または下回り、降圧変圧器または昇圧変圧器の使用が必要となる用途は、数多く存在する。
【0046】
[00075]非線形負荷において生み出された高調波電流が負荷から流れて送電網に戻り、したがって、外部配電システムケーブルが、すべてのローカルゾーンの最終ユーザによってその異なる設備において生み出された総高調波電流を集めることを当業者は把握している。
図2に関連して説明される従来技術のシステムは、高調波電流が最終ユーザの設備まで伝搬することを防止するために使用されてきた。しかし、これらの従来技術のシステムは、たとえば非伝搬高調波電流によって失われた電力を利用しないなどの上記で述べられた欠点を有する。
【0047】
[00076]本開示の別の実施形態は、送電網ケーブル内に流れる高調波大電流を効率的に捕捉し、最終ユーザ設備において生成された有害な高調波電流を効果的に解消する新しい技術システムである。さらに、捕捉された高調波電流は、それと同時に電子式需要メータによって登録されたローカルの総エネルギー消費に有利な影響を与えるために使用され、したがって最終ユーザによって消費される電気エネルギーに支払われるコストを大きく低減することができる真の電力品質および節約システムを生み出す。
【0048】
[00077]
図10は、上記で説明された本開示の実施形態の電力品質および節約システムの概略全体図である。
【0049】
[00078]
図10の例示的な実施形態は、上記の
図2を併用して説明された、従来技術の従来の同調された高調波フィルタに関連する典型的な技術問題を克服するように設計される。
図10の例示的な実施形態は、
図4~4Dを併用して説明された実施形態による半磁性コアラインリアクトル組立体400を各共振L-Cフィルタ内に置くことを伴う。
【0050】
[00079]
図10は、基本周波数(たとえば50または60ヘルツ)を有する交流によって励磁化される3相コンダクタ1021、1022、および1023のセットを提供する3相分配ステップダウン変圧器1002に
直接接続された、3相AC送電網システム1001を示す。3相コンダクタ1021、1022、および1023の各相に直接接続される積算電力量および需要電気メータ1004、並びに少なくとも1つの高調波電流生成負荷1030、少なくとも1つの線形負荷1032、及びパッシブ高調波フィルタ1006A、1006B、および1006Cが、
それぞれ示される。少なくとも1つの線形負荷1032が電力係数補正を必要とする場合、個々の電力係数コンデンサバンクがそれぞれ1つに位置することができる。電力係数コンデンサが外のプラント床のモータ上に、モータ制御中心内に、および主電力バスの外側に位置する場合、可能性のある共振効果の深刻度は低くなる。これは、電力ケーブルが、共振を減衰させるのに十分な抵抗を電気回路に導入するのに十分な長さであることを想定する。
【0051】
[00080]パッシブ高調波フィルタ1006A、1006B、および1006Cは、3相コンダクタ1021、1022、および1023それぞれのセットと接地との間に接続されて示される。特にパッシブ高調波フィルタ1006Aを参照すれば、一揃えの共振LCフィルタ1008、1009および1010が示され、これらの各々は、詳細には、相1021において流れる、選択された望ましくない高調波電流を捕捉しフィルタ除去するように同調される。共振LCフィルタ1008は、詳細には、3次高調波電流をフィルタ除去するように設計されてよく、共振LCフィルタ1009は、詳細には、5次高調波電流をフィルタ除去するように設計されてよく、共振LCフィルタ1010は、特定のシステムの必要性に従って、7次、9次、11次、13次などの主要な高調波周波数をフィルタ除去するのに必要とされる任意の数の個々の共振LCフィルタを示すことができる。また
図10には、よく知られているハイパスフィルタ1011が示されており、このハイパスフィルタは、特定のシステムの必要性に従って、存在する共振LCフィルタによってフィルタ除去される、選択された望ましくない高調波電流を上回る任意の高調波電流周波数をフィルタ除去するように設計される。
【0052】
[00081](共振LCフィルタ1009および1010として同様に設計され、それによって以下の説明が共振LCフィルタ1009および1010にも関連する)共振LCフィルタ1008を参照し、本実施形態によれば、共振LCフィルタ1008はまた、コンデンサ1008Cと直列になった熱磁気コンタクタ1008Dを含む。また、コンデンサ1008Cは、
図4~4Dを併用して説明された実施形態による、
図10では要素1008Aとして示された半磁性コアラインリアクトル組立体400と直列である。1008Bにおいて示される抵抗器は、半磁性コアラインリアクトル1008AのDC抵抗を表わし、共振LCフィルタ1008の「Q」ファクタを
最大限にするために、半磁性コアラインリアクトル1008Aの構造内できるだけ小さく作製される。熱磁気コンタクタ1008D、コンデンサ1008C、および半磁性コアラインリアクトル1008Aのそれぞれの値およびアンペア容量能力は、フィルタ除去される必要がある特定の高調波電流に従って選択される。熱磁気コンタクタ1008Dは、算出された最大電流能力が異常な過電流事象によって超えられた場合に電流制限するために使用される。
【0053】
[00082]
図10の例示的な実施形態による共振LCフィルタ1008、1009、および1010を参照すれば、特定のシステムの必要性に従って、7次、9次、11次、13次などの主要な高調波周波数をフィルタ除去するために必要とされる任意の数の個々の共振LCフィルタを備えることができる。
【0054】
[00083]ハイパスフィルタ1011を参照し、
図10に示される例示的な実施形態によると、
ハイパスフィルタ
1011は、抵抗器1011Fおよびコンデンサ1011Eと直列になった熱磁気コンタクタ1011Dを備え、抵抗器1011Fはまた、半磁性コアラインリアクトル1011Aと直列になったコンデンサ1011Cおよび抵抗器1011Bの組み合わせに対して並列である。抵抗器1011Bは、半磁性コアラインリアクトル1011AのDC抵抗を表わし、ハイパスフィルタ1011の「Q」ファクタを
最大限にするために、半磁性コアラインリアクトル1011Aの構造内でできるだけ小さく作製される。全体の前述の電子構成は、コンデンサ1011Eと直列である。熱磁気コンタクタ1011D、コンデンサ1011Cおよび1011E、半磁性コアラインリアクトル1011A、および抵抗器1011Fは、フィルタ除去される必要がある特定の高調波電流に従って選択されたそれぞれの値およびアンペア容量能力を有する。熱磁気コンタクタ1011Dは、算出された最大電流能力が異常な過電流事象によって超えられた場合に電流制限するために使用される。
【0055】
[00084]残りのパッシブ高調波フィルタ1006Bおよび1006Cは、パッシブ高調波フィルタ1006Aと同じ仕様、構成要素、および特徴を備えて作製されることが理解されるであろう。唯一の相違は、パッシブ高調波フィルタ1006Bおよび1006Cがコンダクタ1022および1023それぞれに接続されることである。
【0056】
[00085]半磁性ボビン300を備えて作製され、
図4~4Dを併用して説明された実施形態による半磁性コアラインリアクトル組立体400を使用する
図10の例示的な実施形態は、選択された周波数または周波数の帯域における高調波電流のほとんどを捕捉するために、選択され同調された周波数または周波数の帯域において非常に低いインピーダンスおよび
高いQファクタ「Q」を有する。したがって、
図10の例示的な実施形態は、最終ユーザの設備が位置するユーティリティローカルクラスタ電力ゾーンにおいて流れる総高調波電流のための効率的なシャント経路として作用し、それと同時に、最終ユーザローカル設備において高調波電流がいくらかでも発生する場合、そのための効率的なシャント経路を生み出す。
図10の例示的な実施形態がなければ、これらの高調波電流は、上記とは異なり配電網システムに沿って自由に流れることになる。
【0057】
[00086]選択された高調波を捕捉することにより、
図10の例示的な実施形態は、異なる電流の流れ方向(異なる電気符号)を有する電流を捕捉し、数学的に付加する。付加された高調波電流は、コンダクタ1021、1022、および1023のそれぞれに対する内側高調波電流Ih1021、Ih1022およびIh1023と、コンダクタ1021、1022、および1023のそれぞれに対する外部から取り込まれた高調波電流IH1021、IH1022、IH1023とが合わさって、生成され、それにより総高調波電流IHT1021、IHT1022およびIHT1023をもたらすものであり、これらの総高調波電流は、電気接地まで駆動される。したがって、これは、外部システムの電力網1001に投入され得る、生成された任意の内側高調波電流を自動的に打ち消し、妨げる。この点において、取り込まれた外部の高調波電流IH1021、IH1022、およびIH1023は、ユーティリティ積算電力量および需要電気メータによってすでに測定され、これらを生成したそれぞれの最終ユーザの各々に登録されていることに留意することが重要である。したがって、例示された実施形態のシステムは、無駄になっていた電気(これについて従来はこれを生じていた各最終ユーザに帰属され課金されていた)を別の形で「取り込む」。
【0058】
[00087]電力ユーティリティ会社は、2つの電気量、すなわち消費される総蓄積エネルギー(キロワット-時)および所与の期間に使用される最大需要電力(キロワット)において、工業の最終ユーザエネルギー消費に対して課金している。現代の工業電子積算電力量および需要電気メータ1004は、コンピュータ精度の時間分割およびデジタルサンプリングに基づいており、ユーティリティ電力システム1001上に投入される基本的な電流および高調波電流の正確な測定値を与える。
【0059】
[00088]この実施形態によって、外部高調波電流および存在する場合の内部高調波電流を捕捉し、付加することにより、電子積算電力量および需要メータ1004によって適切に登録されたローカルエネルギー消費に良好な影響が与えられる。存在する場合の、内部で生成された高調波電流Ih1021、Ih1022およびIh2023ならびに取り込まれた外部高調波電流IH1021、IH1022、およびIH1023の合計の結果、電子積算電力量および需要メータ1004によってサンプリングされる電流正弦波の形状が変更されて、総蓄積エネルギー消費(キロワット-時)と、特に所与の期間の最大需要電力(キロワット)との両方を低下させる。電子積算電力量および需要メータ1004が、任意の時間に実際の電流正弦波形状を正確に測定しサンプリングし、最も重要なことに、送電網1001に投入されて戻る高調波を正確に考慮することを言及することが重要である。このようにして、送電網1001に投入される総高調波電流は、抑制される選択された高調波電流に対して数学的に負(抽出高調波電流)である。
【0060】
[00089]
図10の例示的な実施形態のパッシブ高調波フィルタは、最終ユーザ設備によって生成された高調波電流の存在にかかわらず、いつでも使用され得る。最終ユーザは、遅かれ早かれユーティリティ会社が行わなければならない高調波電流廃棄を解消する仕事を行っている。上記で述べられたように、
図10の例示的な実施形態は、最終ユーザ設備が位置するユーティリティクラスタ電力ゾーンからのみの高調波電流を取り込む点において非常に効果的である。2つ以上の例示的な実施形態がこのクラスタ電力ゾーンに設置された場合、取り込まれた高調波電流は、設置された例示的な実施形態の数によって等しく分割される。
【0061】
[00090]この技術が、種々のユーティリティクラスタ電力ゾーンにおいて慎重に検討され計画された省エネプログラムによって展開される場合、ユーティリティ会社は、その主要プラント負荷において最小限の総高調波電流の抑制を取り扱い、こうしてコストがかかり、巨大な高調波フィルタを購入する必要性を低減し、コンダクタのアンペア容量の増大(コンダクタが電流を運ぶ能力)の要件を低減し、変圧器の過熱を低下させ、接地された3相または4ワイヤシステム内の高い中性電流を低減し、配電システムおよびその補助装置全般の寿命を劇的に増大させる。上記で説明されたように、
図10の例示的な実施形態が広範囲に適切に展開される場合、これは、ユーティリティシステム全体にかかる電圧歪みレベルを制限するのに役立つ。通常、最終ユーザによって投入された高調波電流は、システムインピーダンスを抜けてユーティリティ供給源に向かって流れて電圧歪みを発生させる。最終ユーザによって投入された高調波電流を解消することにより、電圧歪みは、大きく低減され得る。この方法は、IEEE規格519-1992によって提案された歪みレベル全体を制御する提案された基本方法に従うものである。したがって、この実施形態は、非線形負荷によって生成されたライン側高調波電流を大幅に低減することによって、最終ユーザの総電力システムパフォーマンスを改良し、現実的な最終ユーザの省エネプログラムを生み出す。
【0062】
[00091]
図11Aは、本開示による半磁性コアラインリアクトル組立体11000であり、
図11Bおよび11Cは、
図11Aに示されるような半磁性コアラインリアクトル組立体の側断面図および上部断面図それぞれを示す。
図11Aに示される実施形態は、半磁性ボビン300と、半磁性コアリアクトル(
図4~4Dを参照)を生み出すために半磁性ボビン300の周りに巻き付けられた巻線410と、半磁性ボビン300の中心穴330を通って挿入され、中心揃えされて、中心穴330と磁気金属管11100との間に空隙11300を生み出す、磁気金属管11100とを有する。磁気金属管11100は、磁気金属管11100と同じ磁気金属材料から作製された管11200の内部構造を有し、循環流体が磁気金属管11100を通って圧送されるときに流体乱流を生み出し、また、管11200の内部構造を取り囲む循環流体との連続的な物理的接触を生み出す。
【0063】
[00092]先に述べられたように、半磁性コアラインリアクトル組立体11000の一部として半磁性ボビン300を使用する任意の電気およびまたは工業技術が、高電流を処理し、これらの流れる電流によって生成される高温を回避し、磁性ではない非金属コアの使用によって、半磁性ボビン300における渦電流効果も回避する。
図11A~Cの半磁性コアラインリアクトル組立体11000のコアラインリアクトルは、高調波電流の共振回路を生み出すために特有の周波数に同調された任意の多セクションシャントパッシブフィルタ内の同調リアクトル要素として使用され得る。したがって、リアクトル要素は、選択された周波数または周波数の帯域における、電力システムからの高調波電流のほとんどを捕捉することができる。
【0064】
[00093]半磁性ボビン300は、磁気金属管11100と管11200の内部構造との間の分離に渦電流効果を誘導して、これらのすべてにおいて非常に高い温度を生み出し得る。したがって、循環流体は、効果的に加熱され得る。空隙11300の存在により、生成された非常に高い温度は半磁性ボビン300には最小限しか伝えられず、そのためこれは、循環流体を加熱する連続的な作用サイクルについて上記で述べられた電気的利点のすべてを維持する。
【0065】
[00094]
図12は、複数の半磁性コアラインリアクトル組立体11000を使用する完全な流体加熱システム12000である。
図12は、アルミニウムラック構造体12100への渦電流誘導を回避するためにアルミニウムラック構造体12100内にラック構造で積み重ねられた複数の半磁性コアラインリアクトル組立体11000を使用する閉ループ流体加熱システムを示す。加熱流体として作用する流体(図示せず)は、ポンプ12105によって圧送され、加熱流体は、これを貯蔵するためにステンレス鋼容器12106に戻される。加熱流体が必要とされるとき、これは、望まれる任意の用途に合わせてステンレス鋼容器12106から簡単に取り出される。一例は、シャワー用の加熱水であることができる。
【0066】
[00095]通常、石油、石炭および/または天然ガス、都市ガスおよびプロパンなどの燃料ガスは、生成ステーションおよび工場内の蒸気および加熱水の生成のための熱源として燃焼される。
【0067】
[00096]
図12に示される実施形態は、電力システムから取り込まれた高調波電流を作用源として使用し、ゼロコスト加熱プロセスを伴う、100%無害の電磁誘導加熱器である。
【0068】
[00097]これら実施形態は、さまざまな改変および代替の形態が可能であるが、その特有の実施形態が、例として図に示され、本明細書に詳細に説明されている。しかし、特有の実施形態の本明細書の説明が、開示される特定の形態に本開示を限定することを意図するのではなく、その反対に、本発明は、付属の特許請求の範囲によって定義されるような本開示の範囲内に入るすべての改変形態、等価物、および代替物を含むものであることを理解されたい。本開示のいくつかの実施形態は、従来技術のフィルタと比べて、内側および外側の高調波電流をよりフィルタ除去できるフィルタを提供する。他の実施形態は、従来技術のフィルタより安価で小さいフィルタを提供する。本開示の1つまたは複数の実施形態のこれらおよび他の利点は、本開示の実施形態の前述の詳細な説明および図に基づいて当業者に明らかになるであろう。
【0069】
[00098]以下に、出願当初の特許請求の範囲に記載の事項を、そのまま、付記しておく。
[1] コアリアクトルにおいて使用するための半磁性ボビンであって、
ある長さおよび2つの端部を有する非金属中央セクションと、各端部に配設された非金属フランジとを備え、
前記非金属中央セクションは、中空コアを備え、前記中空コアにアクセスを提供するために各端部に配設された開口部を有し、
各非金属フランジは、前記中空コアにアクセスを提供するために各端部にある前記開口部と一致するようにサイズ設定され構成される開口部を有し、各非金属フランジは、前記非金属中央セクションから離れるように配設された一部分を有し、少なくとも1つの非金属フランジは、前記非金属中央セクションから離れるように配設された前記一部分内に配設された少なくとも1つの貫通穴を有する、半磁性ボビン。
[2] 前記中央セクションが、実質的に円筒状の形状である、[1]に記載の半磁性ボビン。
[3] 前記中央セクションが、その周りにワイヤの巻線を受け入れるように設計され構成されている、[1]に記載の半磁性ボビン。
[4] 前記中央セクションの前記中空コアが、前記中空コアを通る管、ケーブル、または覆われた複数のワイヤを受け入れるように設計され構成されている、[1]に記載の半磁性ボビン。
[5] 各フランジが、実質的に円形のプレート様構成を有する、[1]に記載の半磁性ボビン。
[6] 各フランジが、巻線を中央部分の長さに限定するために止め具として作用するように設計され構成されている、[1]に記載の半磁性ボビン。
[7] 各フランジの前記開口部が、前記開口部を通る管、ケーブル、または覆われた複数のワイヤを受け入れるように設計され構成されている、[1]に記載の半磁性ボビン。
[8] 前記少なくとも1つの貫通穴が、好ましくは、前記中央セクション周りのワイヤの巻線のための入口点および/または出口点を提供するように設計され構成されている、[1]に記載の半磁性ボビン。
[9] 前記非金属中央セクションおよび前記非金属フランジが、セラミック材料から構成されている、[1]に記載の半磁性ボビン。
[10] 前記セラミック材料が、多孔性または非多孔性である、[9]に記載の半磁性ボビン。
[11] 非金属材料が、樹脂、粘土、セメント、ナイロン、およびアミドからなる群から選択される、[1]に記載の半磁性ボビン。
[12] 前記半磁性ボビンが、約50ガウス未満の磁場を有する、[1]に記載の半磁性ボビン。
[13] 前記半磁性ボビンが、約25ガウス未満の磁場を有する、[1]に記載の半磁性ボビン。
[14] ワイヤの前記巻線が、コアラインリアクトル組立体、コアタッピングラインリアクトル組立体、コア変圧器組立体、コア絶縁変圧器組立体、コア降圧変圧器組立体、およびコア昇圧変圧器組立体からなる群から選択された構成を提供する、[3]に記載の半磁性ボビン。
[15] 流体加熱システムであって、
[1]に記載の複数の半磁性と、各非磁性ボビン周りのワイヤの巻線とから各々のコアラインリアクトルが構成される、複数のコアラインリアクトル組立体と、
前記コアラインリアクトル組立体の各々の前記中空コアを通過する管と、ここで前記管は、第1の端部および第2の端部を有し、前記管は、流体が前記管を通過することを可能にするように構成されるものであり、
閉ループを形成するために前記第1の端部および前記第2の端部に接続されたポンプと、ここで前記ポンプは、流体を、前記管を通し、前記複数のコアラインリアクトル組立体の各々の中空コアを通して圧送することができるものであり、
を備える、流体加熱システム。
[16] 前記複数のコアラインリアクトル組立体を上下に垂直に積み重ねるためのラックをさらに備える、[15]に記載の流体加熱システム。
[17] 加熱された流体を貯蔵するための容器をさらに備える、[15]に記載の流体加熱システム。