IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ロックウェル・コリンズ・インコーポレーテッドの特許一覧

特許7043525スーパーキャパシタを充電及びバランスさせるためのシステム及び方法
<>
  • 特許-スーパーキャパシタを充電及びバランスさせるためのシステム及び方法 図1
  • 特許-スーパーキャパシタを充電及びバランスさせるためのシステム及び方法 図2
  • 特許-スーパーキャパシタを充電及びバランスさせるためのシステム及び方法 図3
  • 特許-スーパーキャパシタを充電及びバランスさせるためのシステム及び方法 図4
  • 特許-スーパーキャパシタを充電及びバランスさせるためのシステム及び方法 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-18
(45)【発行日】2022-03-29
(54)【発明の名称】スーパーキャパシタを充電及びバランスさせるためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/02 20160101AFI20220322BHJP
【FI】
H02J7/02 H
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2019570812
(86)(22)【出願日】2018-06-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-08-27
(86)【国際出願番号】 US2018039092
(87)【国際公開番号】W WO2018237320
(87)【国際公開日】2018-12-27
【審査請求日】2020-12-23
(31)【優先権主張番号】15/630,172
(32)【優先日】2017-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505347433
【氏名又は名称】ロックウェル・コリンズ・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】アルテモース,ジョージ
【審査官】鈴木 大輔
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第03/032464(WO,A1)
【文献】特開2009-244171(JP,A)
【文献】特開2015-100176(JP,A)
【文献】国際公開第2014/156564(WO,A1)
【文献】特開2003-115423(JP,A)
【文献】特開2009-289766(JP,A)
【文献】特表2014-524228(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00-7/12
7/34-7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スーパーキャパシタシステムであって、
DC電源と、
クロック発生器と、
DC共通バスと、
複数のスーパーキャパシタユニットであって、前記複数のスーパーキャパシタユニットの全てが電気的に直列に接続され、前記複数のスーパーキャパシタユニットのそれぞれが1つ以上のスーパーキャパシタを含み、バランス回路を介して前記DC共通バスに結合されている、前記複数のスーパーキャパシタユニットと、を含み、
前記バランス回路は、前記DC共通バスを介して、高電荷のスーパーキャパシタユニットから低電荷のスーパーキャパシタユニットに電流を流すことによって前記複数のスーパーキャパシタユニット内の前記1つ以上のスーパーキャパシタの電荷をバランスさせるように構成され、
前記DC電源は、前記DC共通バスに直接接続されており、
前記バランス回路は少なくとも第1のスイッチと第2のスイッチとを含み、各スイッチは前記クロック発生器によって提供されるクロック信号によって制御され
前記クロック発生器は、前記第2のスイッチからの前記クロック信号の第2の位相とオーバーラップしない、前記第1のスイッチからの前記クロック信号の第1の位相を提供するように構成される、スーパーキャパシタシステム。
【請求項2】
前記第1のスイッチと前記第2のスイッチとはMOSFETトランジスタである、請求項1に記載のスーパーキャパシタシステム。
【請求項3】
前記第1のスイッチと前記第2のスイッチとはバイポーラ接合トランジスタである、請求項1に記載のスーパーキャパシタシステム。
【請求項4】
前記複数のスーパーキャパシタユニットの各バランス回路は、前記DC共通バスに容量結合されている、請求項1に記載のスーパーキャパシタシステム。
【請求項5】
前記複数のスーパーキャパシタユニットの各バランス回路は、変圧器を介して前記DC共通バスに結合されている、請求項1に記載のスーパーキャパシタシステム。
【請求項6】
前記複数のスーパーキャパシタユニットに電荷を供給するように構成されたDC充電器電源をさらに含む、請求項1に記載のスーパーキャパシタシステム。
【請求項7】
前記DC充電器電源は、前記複数のスーパーキャパシタユニットの前記1つ以上のスーパーキャパシタの定格電圧に等しい最大電圧を有する、請求項に記載のスーパーキャパシタシステム。
【請求項8】
前記複数のスーパーキャパシタユニットの前記それぞれは、さらにハウジングを含み、
前記ハウジングは、前記1つ以上のスーパーキャパシタと前記バランス回路とを含むように構成されている、請求項1に記載のスーパーキャパシタシステム。
【請求項9】
前記複数のスーパーキャパシタのそれぞれにおける前記1つ以上のスーパーキャパシタは並列に電気的に結合されて、仮想スーパーキャパシタを形成する、請求項1に記載のスーパーキャパシタシステム。
【請求項10】
複数のスーパーキャパシタユニットの各バランス回路は、前記スーパーキャパシタユニットのすべてが同じ電荷を有するまで、前記DC共通バスを介して、電流が高電荷のスーパーキャパシタユニットから低電荷のスーパーキャパシタユニットに流れるように構成されている、請求項1に記載のスーパーキャパシタシステム。
【請求項11】
複数のスーパーキャパシタユニットを充電及びバランスさせる方法であって、
複数のスーパーキャパシタユニットを、バランス回路を介してDC共通バスに結合することであって、前記複数のスーパーキャパシタユニットの全てが電気的に直列に接続され、前記複数のスーパーキャパシタユニットのそれぞれは、1つ以上のスーパーキャパシタを含む、前記結合することと、
前記複数のスーパーキャパシタユニットの各バランス回路を、前記DC共通バスを介して、高電荷のスーパーキャパシタユニットから低電荷のスーパーキャパシタユニットに電流を流すことによって、前記複数のスーパーキャパシタユニットの前記電荷をバランスさせるように構成することであって、DC電源が、前記DC共通バスに直接接続されており、各バランス回路は少なくとも第1のスイッチと第2のスイッチとを含み、各スイッチはクロック発生器によって提供されるクロック信号によって制御され、前記クロック発生器は、前記第2のスイッチからの前記クロック信号の第2の位相とオーバーラップしない、前記第1のスイッチからの前記クロック信号の第1の位相を提供するように構成される、前記構成することと、
を含む、方法。
【請求項12】
前記第1のスイッチと前記第2のスイッチとはMOSFETトランジスタである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1のスイッチと前記第2のスイッチとはバイポーラ接合トランジスタである、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
DC充電器電源から前記1つ以上のスーパーキャパシタユニットに電荷を供給することをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記クロック発生器が、
発振回路と、
前記発振回路からクロック入力信号を受信するカウンタと、
前記カウンタに連結された第1のD型フリップフロップと、
前記カウンタに連結された第2のD型フリップフロップと、
を含み、
前記第1のD型フリップフロップの出力が第1のバッファに供給されて前記クロック信号の前記第1の位相を提供し、前記第2のD型フリップフロップの出力が第2のバッファに供給されて前記クロック信号の前記第2の位相を提供する、請求項1に記載のスーパーキャパシタシステム。
【請求項16】
前記カウンタが、4ビット、8進法のジョンソン・カウンタである、請求項15に記載のスーパーキャパシタシステム。
【請求項17】
前記第1のD型フリップフロップの出力が前記第2のD型フリップフロップのリセットに連結され、前記第2のD型フリップフロップの出力が前記第1のD型フリップフロップのリセットに連結されて、前記クロック信号の前記第1の位相が、前記クロック信号の前記第2の位相とオーバーラップしないことを確実にする、請求項15に記載のスーパーキャパシタシステム。
【請求項18】
前記クロック入力信号が800kHzである、請求項15に記載のスーパーキャパシタシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願には、電池を充電及びバランスさせるためのデバイス及び方法を対象としたB/E Aerospace,Inc.による以下の先行特許出願がその全体において参照により組み込まれている。米国特許第8,058,844号、発明の名称「Low Power Battery System」(2011年11月15日発行)。
【背景技術】
【0002】
多くの電子システムにおいて、予期しない停電から保護することが必要とされている。エネルギー貯蔵が必要な用途に対してスーパーキャパシタが広く使用されるようになっている。従来のキャパシタと比べて、スーパーキャパシタはエネルギー密度が優れている。電池と比べて、スーパーキャパシタは、取得できるピーク放電電流が大きいことが多く、損傷を伴わずに十分に放電され得る。スーパーキャパシタの制約の1つは、その最大定格電圧であり、典型的に2.7Vである。多くの用途で必要とされる電圧は2.7Vよりも高く、たとえば12V~24Vである。この要求を満たすために、多くのスーパーキャパシタを直列に接続することによってスーパーキャパシタのバンクを形成する場合がある。N個のスーパーキャパシタが直列に接続されているならば、バンクの定格電圧はN×2.7Vとなる。たとえば、N=5であるならば、5個のスーパーキャパシタのバンクの定格は13.5Vとなる。任意の電子部品のパラメータの場合と同様に、スーパーキャパシタの実際の静電容量には製造公差がある。スーパーキャパシタの場合、静電容量の許容範囲は典型的に±10%または±20%である。すなわち、スーパーキャパシタの公称上の仕様が100F、±20%である場合、実際の静電容量は80F~120Fの間の何らかの値であり得る。この許容範囲は、直列に接続したスーパーキャパシタのバンクの充電及び/または放電に関してはかなり大きい。一般的に、単一の充電回路を用いて、バンク内の一番上の(最も正の)スーパーキャパシタ内に電流が供給される。スーパーキャパシタは直列であるため、同じ電流がすべてのスーパーキャパシタ内に流れて、それらを充電させる。理想的には、充電プロセスは次の方程式によって記述される。
【0003】
V=It/C (1)
ここで、Vは各スーパーキャパシタ上の電圧、Iは充電電流(一定であると仮定)、tは経過時間、Cは静電容量である。
【0004】
したがって、直列ストリングでは、すべての静電容量が等しい場合、すべてのキャパシタ電圧も同様に等しい。しかし実際には、このような偶発的な状況は、製造公差による静電容量値のミスマッチがあるために起きない。たとえば、あるスーパーキャパシタの値が20%高くて、別のスーパーキャパシタの値が20%低い場合、充電サイクル中の任意の時点における電位差は40%となる。この結果、直列バンクの両端の総電圧を測定することで充電プロセスを制御して、所定の限度に達した時に充電が終了する場合、問題を生じさせ得る。たとえば、5つのキャパシタのバンクを13.5Vまで充電する場合を考える。単純に総電圧をチェックすることで充電を制御して、この電圧が13.5Vに達した時に終了する場合、平均値は2.7Vに等しいが、直列キャパシタの一部の電圧は2.7Vよりも小さく、他の電圧は2.7Vよりも大きい場合があり得る可能性が非常に高い。これは非常に重大な問題である。なぜならば、個々のスーパーキャパシタは、電圧が2.7Vを超えると修復できないほどに損傷を受ける可能性があるという意味で「寛容ではない」と言われているからである。この問題は知られており、問題に対処するためにいくつかの予防ステップが広く用いられている。たとえば、充電プロセスをより低い電圧で終了させる場合がある。前述の例では、これは13.5Vの代わりに12Vにすることであり得る。この技術によって、個々のスーパーキャパシタに対する損傷が防がれ得るが、最大可能なエネルギー蓄積量が実現しないという不都合がある。蓄積エネルギーは次の方程式で与えられる。
【0005】
W=1/2CV2 (2)
ここで、Wはエネルギー(ジュール)、Cは静電容量(ファラッド)、Vはキャパシタ電圧(ボルト)である。
【0006】
単一の充電器を用いて直列ストリングに充電電流を供給する一方で、バランス回路を加えて、すべてのスーパーキャパシタ上の電圧を強制的に等しくする場合がある。この技術は広く用いられており、この機能を得るために多くの回路が利用できる。典型的に、これらの回路は個々のスーパーキャパシタ電圧を測定し、外部シャント抵抗器をターンオンして最も高い電圧のスーパーキャパシタを放電して、最終的にすべての電圧を最も低い電圧と強制的に等しくする。
【0007】
バンク全体に対して単一の充電器を用いる代わりに、各スーパーキャパシタに対して別個の絶縁されたまたは浮遊した充電器を用いる場合がある。各充電器によって1つのスーパーキャパシタをフル電圧(2.7V)まで充電する。
【0008】
スーパーキャパシタは多くの点でリチウムイオン電池と類似しているが、リチウムイオン電池の方がはるかに広く用いられている。リチウムイオン電池を充電及びバランスさせることに特化した多くの技術が開発されており、低コスト集積回路などが挙げられる。スーパーキャパシタと同様に、リチウムイオン電池も過充電に関しては「寛容ではない」。リチウムイオン電池の定格電圧は2.7Vではなく4.0V付近である。さらに、リチウムイオン電池には、深放電になってはならないというさらなる問題がある。深放電とは、ゼロボルト付近まで放電されている状態のことである。一般的に、リチウムイオン電池は過充電されると(>4V)、熱暴走に陥って発火または爆発する場合がある。深放電を受けると(0V付近)、回路が短絡する場合があり、再充電できなくなり、その結果、使用できなくなる。
【0009】
リチウムイオン電池をバランスさせるための方法及び装置が以下の文献に記載されている。米国特許第8,058,844号、発明の名称「Low Power Battery System」(2011年11月15日発行)。この文献は、その全体において参照により本明細書に組み込まれている。主な制約は、非常に低い電圧(たとえば、ほぼ1.5V未満)では動作しないことである。このことは、リチウムイオン電池には受け入れられるが、スーパーキャパシタには受け入れられない。スーパーキャパシタは、0Vまで完全に放電される可能性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
例示的な実施についての前述の概要及び以下の詳細な説明は、本開示の教示の典型的な態様に過ぎず、限定するものではない。
【0011】
電池バランシング及び充電システムによって、単一の供給源を用いて直列接続の蓄電池を充電することができる。スーパーキャパシタセルを用いるシステムの場合、スーパーキャパシタから利用できるエネルギーを最大にして、かつシステムの寿命を延ばすために、個々の電池をバランスさせる必要があることが多い。ある実施形態では、本明細書で説明するシステムによって、0Vまで動作する駆動回路が提供される。
【0012】
ある実施形態では、電池バランシング及び充電システムによって、単一の供給源を用いて直列接続の蓄電池を充電することができる。開示したシステムのある実施形態を、入力電圧のドロップアウト(典型的に電力出力が数百ワットで、50~100ミリ秒の時間)中に動作する電源において用いてもよい。スーパーキャパシタはこのような電源に対してとても適している。なぜならば、スーパーキャパシタの電力密度は従来のキャパシタの電力密度よりもはるかに大きいからである。この結果、完成ユニットの重量及びサイズを著しく節約することができる。
【0013】
一態様では、スーパーキャパシタシステムであって、共通バスと、複数のスーパーキャパシタユニットであって、複数のスーパーキャパシタユニットのそれぞれが1つ以上のスーパーキャパシタを含み、バランス回路を介して共通バスに結合されている、複数のスーパーキャパシタユニットと、を含み、各バランス回路は、共通バスを介して、高電荷のスーパーキャパシタユニットから低電荷のスーパーキャパシタユニットに電流を流すことによって、複数のスーパーキャパシタユニット内の1つ以上のスーパーキャパシタの電荷をバランスさせるように構成され、各バランス回路は少なくとも第1のスイッチと第2のスイッチとを含み、各スイッチはクロック信号によって制御されている、スーパーキャパシタシステムが開示されている。
【0014】
第2の態様では、複数のスーパーキャパシタユニットを充電及びバランスさせるための方法であって、複数のスーパーキャパシタユニットを、バランス回路を介して共通バスに結合することであって、複数のスーパーキャパシタユニットのそれぞれは、1つ以上のスーパーキャパシタを含む、結合することと、各バランス回路を、共通バスを介して、高電荷のスーパーキャパシタユニットから低電荷のスーパーキャパシタユニットに電流を流すことによって、複数のスーパーキャパシタユニットの電荷をバランスさせるように構成することであって、各バランス回路は少なくとも第1のスイッチと第2のスイッチとを含み、各スイッチはクロック信号によって制御されている、構成することと、を含む方法が開示されている。
【0015】
第3の態様では、スーパーキャパシタ電荷バランス回路であって、第1の端子と第2の端子とを有するスーパーキャパシタと、共通バスと、スーパーキャパシタの第1の端子に電気的に結合された第1の端子、共通バスに電気的に結合された第2の端子、及び第1のクロック信号に電気的に結合された制御端子を有する第1のスイッチと、共通バスに電気的に結合された第1の端子、スーパーキャパシタの第2の端子に電気的に結合された第2の端子、及び第2のクロック信号に電気的に結合された制御端子を有する第2のスイッチと、を含み、第1のクロック信号の位相は、第2のクロック信号の位相とオーバーラップしない、スーパーキャパシタ電荷バランス回路が開示されている。
【0016】
添付図面は、明細書に取り入れられてその一部を構成しているが、1つ以上の実施形態を例示し、説明とともにこれらの実施形態について説明している。添付図面は必ずしも一定の比率では描かれていない。添付のグラフ及び図に例示された任意の値または寸法は単に例示を目的としており、実際のまたは好ましい値または寸法を表す場合もあるしそうでない場合もある。該当する場合には、一部または全部の特徴を、基礎をなす特徴の説明を助けるために例示しないことがある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】いくつかの実施形態によりスーパーキャパシタバランシングシステムをスーパーキャパシタユニットの直列接続と接続する状態を例示するブロック図である。
図2】いくつかの実施形態によるDC結合された充電器を伴うスーパーキャパシタバランシングシステムの概略図である。
図3】いくつかの実施形態によるAC結合された充電器を伴うスーパーキャパシタバランシングシステムの概略図である。
図4】いくつかの実施形態によるスーパーキャパシタバランシングシステムのクロック発生器回路の機能図である。
図5】いくつかの実施形態によるクロック発生器回路の典型的なタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
添付図面に関連して以下で述べる説明は、開示した主題の種々の例示的な実施形態を説明することを目的としている。具体的な特徴及び機能について、例示的な各実施形態に関連して説明しているが、当業者には明らかであるように、開示した実施形態をそれら具体的な特徴及び機能をそれぞれ伴わずに実施してもよい。
【0019】
明細書の全体に渡って「一実施形態」または「実施形態」に言及した場合、実施形態に関連して説明した特定の特徴、構造、または特性は、開示した主題の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、明細書の全体に渡っていろいろな場所で語句「一実施形態では」または「実施形態では」が現れても、必ずしも同じ実施形態を指すものではない。さらに、特定の特徴、構造、または特性を1つ以上の実施形態において任意の好適な方法で組み合わせてもよい。さらに、開示した主題の実施形態はその変更及び変形にも及ぶことが意図されている。
【0020】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で用いる場合、文脈から明らかにそうでないと示される場合を除いて、単数形「a」、「an」、及び「the」には複数の指示対象が含まれることに注意されたい。すなわち、特に明白な規定のない限り、本明細書で用いる場合、用語「a」、「an」、「the」などは「1つ以上」という意味を伝える。さらに、当然のことながら、用語たとえば「左」、「右」、「一番上」、「一番下」、「前方」、「後方」、「側面」、「高さ」、「長さ」、「幅」、「上方」、「下方」、「内側」、「外側」、「内部」、「外部」などは単に、基準点を説明するために本明細書で用いる場合があり、必ずしも本開示の実施形態を何らかの特定の方向または構成に限定するわけではない。さらに、用語たとえば「第1」、「第2」、「第3」などは単に、本明細書で開示した複数の部分、コンポーネント、ステップ、動作、機能、及び/または基準点のうちの1つを特定するものであり、同様に必ずしも本開示の実施形態を何らかの特定の構成または方向に限定するわけではない。
【0021】
さらに、用語「およそ」、「約」、「近似の」、「わずかな変化」、及び同様の用語は一般的に、20%、10%、または好ましくは5%(ある実施形態では)のマージン内の特定した値を含む範囲、及びそれらの間の任意の値を指す。
【0022】
一実施形態に関して説明する機能はすべて、後述するさらなる実施形態にも適用できることが意図されている。ただし、特に明記がある場合、または特徴もしくは機能がさらなる実施形態と適合しない場合を除く。たとえば、所与の特徴または機能が、一実施形態に関しては明白に説明されているが、代替的な実施形態に関しては明白に述べられていない場合、当然のことながら、発明者は、その特徴または機能を代替的な実施形態に関して実施しても、使用しても、または実施してもよいことを意図している。ただし、特徴または機能が代替的な実施形態と適合しない場合を除く。
【0023】
図1は、いくつかの実施形態によりスーパーキャパシタバランシングシステムをスーパーキャパシタユニットの直列接続と接続する状態を例示するブロック図である。図1において、スーパーキャパシタ充電及びバランシングシステム100が例示されている。スーパーキャパシタ充電及びバランシングシステム100にはチャージバランサー102が含まれ、これは一連のスーパーキャパシタ104と接続されていてもよい。特定のスーパーキャパシタ104a、104b、または104c上の充電レベルを、各スーパーキャパシタ104両端の電荷負荷をバランスさせるために、スーパーキャパシタごとに変えてもよい。各スーパーキャパシタ104には1つ以上の別個のスーパーキャパシタが含まれ、これらが平行に接続されて仮想スーパーキャパシタを形成していてもよい(挿入図110に示す)。各スーパーキャパシタ104は、種々の直列及び/または並列な組み合わせで配設されたスーパーキャパシタパックに含まれていてもよい。
【0024】
チャージバランサー102は、スーパーキャパシタ104の相対電圧レベルを比較して、高い電圧のスーパーキャパシタからのエネルギーを用いて低い電荷のスーパーキャパシタ104を補償することによって動作してもよい。たとえば、各スーパーキャパシタ104は約2.7ボルトの電圧レベルを維持しているが、1つのスーパーキャパシタの電圧が2.7ボルト未満である場合、すべてのスーパーキャパシタがほぼ同じ電圧レベルになるまで、2.7ボルトのスーパーキャパシタから電圧が低いスーパーキャパシタへ電流が流れてもよい。これは、スーパーキャパシタのプラス端子106がそれぞれ抵抗器を通して共有バスに結合され、スーパーキャパシタのマイナス端子108が接地されていた場合には、単純な回路になったであろう。しかし、スーパーキャパシタ104が直列に接続され、したがって、スーパーキャパシタの低側が接地されていない場合には、同じ効果はキャパシタ結合を通して実現され得る。
【0025】
図2に、本開示のいくつかの実施形態によりスーパーキャパシタ202の直列接続に充電及びバランシングを与えるための回路200を例示する。スーパーキャパシタ202は、入力電圧ノード204と接地ノード206との間に接続されている。充電器電源208によって、充電電圧がノード204とノード206との間のスーパーキャパシタ202に供給される。回路200には1つ以上のチャージバランサー212が含まれる。いくつかの実施形態では、チャージバランサー212の数はスーパーキャパシタ202の数に等しい。
【0026】
以下の説明では、チャージバランサー212のうちの1つ(スーパーキャパシタC1用)について詳細に述べる。チャージバランサー212には、トランジスタ214a及び216aと、抵抗器218a及び220aと、キャパシタ222a、224a、及び226aとが含まれていてもよい。図2に例示した実施態様では、トランジスタ214a及び216aはMOSFETSとして示しているが、他のタイプの電子制御されたスイッチング素子(スイッチ)を用いてもよい。いくつかの実施態様では、トランジスタ214a及び216aはバイポーラ接合トランジスタであってもよい。トランジスタ214aは、そのドレイン/ソース経路がスーパーキャパシタC1の「+」ノード(ノード204)とノード228aとの間に接続されている。トランジスタ216aは、そのドレイン/ソース経路がノード228aとノード230a(すなわち、スーパーキャパシタC1の負のノード)との間に接続されている。第2のスーパーキャパシタ(たとえば、C2)のスーパーキャパシタ「+」端子はノード230aに接続されている。
【0027】
いくつかの実施形態では、トランジスタ214aのゲート(G)端子を、たとえば負荷サイクルが50%よりやや小さい矩形波(たとえば、約100KHz)によって駆動してもよい。
【0028】
方形波をクロック発生器232によって発生させてもよい。トランジスタ214aが作動すると(たとえば、ゲート駆動が正であるとき)、各トランジスタからの出力は、それに電力を供給するスーパーキャパシタの電圧に等しいピークツーピーク振幅を伴う方形波である。トランジスタ出力はすべて、キャパシタ226(たとえば、1ufの値)を介して共通バス(共有バス240)に接続されている。
【0029】
いくつかの実施形態では、各トランジスタ216aのゲート(G)を、たとえば負荷サイクルが50%よりやや小さい矩形波(たとえば、約100KHz)によって駆動してもよい。いくつかの実施形態では、クロック発生器232は二相クロック回路である。典型的なクロック発生器232を図4に示し、後述する。
【0030】
いくつかの実施形態では、ダイオードD10a及びD20aは、トランジスタ214a及び216aの内部にそれぞれあってもよく、またトランジスタ214a及び216aと逆平行に接続してもよい。
【0031】
いくつかの実施形態では、キャパシタ222a及び224aはそれぞれ、値が約0.01ufであってもよい。いくつかの実施形態では、抵抗器218a及び220aはそれぞれ、値が10KΩであってもよい。しかし、実際の値は用途に応じて変わってもよい。たとえば、いくつかの実施形態では、これらのコンポーネントの値は最大のスーパーキャパシタ電圧に依存してもよい。キャパシタC226aの値は、クロック周波数におけるC226aのインピーダンスが低く(1Ω未満に)なるようにバランシング電流の関数であってもよい。動作中に、すべてのスーパーキャパシタ202(たとえば、C1、C2、C3、C4、及びC5)の電圧が正確に等しい場合には、各トランジスタの方形波は同一のピークツーピーク電圧を有し、電流は流れない。しかしあるキャパシタの電荷が他よりも低い場合、その方形波も低くなり、したがって、充電が高いスーパーキャパシタから充電が低いスーパーキャパシタへ共有バスを通って電流が流れる。いくつかの実施形態では、トランジスタ214及び215のオン抵抗RDS(ON)は10mΩ(0.01Ω)未満であってもよい。
【0032】
充電及びバランシング回路200は高効率(すなわち、ほぼ100%)である。
【0033】
いくつかの実施態様では、充電エネルギー源は、共有バスに直接結合されたDC源であってもよい。共有バスでは、充電エネルギー源が一連のスーパーキャパシタに直接分配されてもよく、その結果、充電及びバランシング機能が同時に行われる。これは従来技術におけるプロセスとは異なっている。従来技術では、充電器は電流を最も正のスーパーキャパシタの(+)側に供給し、バランス回路は直列要素の間で電荷を再配分するためにのみ用いられる。この結果、問題が起きる場合がある。たとえば、充電器はターンオンされているが、バランス回路は接続されていないか、またはターンオフされているか、または十分な電流通過機能がない場合には、直列スーパーキャパシタが適切にバランスされ得ない可能性がある。この結果、最小のスーパーキャパシタ(すなわち、静電容量が最も小さいキャパシタ)が過充電されて、その結果、損傷を受ける場合がある。充電プロセス(バランシングなし)では、同じ充電電流が充電器から各直列スーパーキャパシタを通って流れる。方程式(1)に従うと、各スーパーキャパシタを流れる電流(I)は同一であるため、各スーパーキャパシタの電圧はその静電容量(C)に反比例している。したがって、たとえば、ある静電容量が平均の静電容量よりも20%低い場合、その電圧は平均電圧よりも20%高い。
【0034】
図3に、本開示の他の実施形態によりスーパーキャパシタの直列接続に充電及びバランシングを与えるための回路300を例示する。図3において、スーパーキャパシタ充電及びバランシングシステム300には、AC結合された充電器が含まれていてもよい。スーパーキャパシタ充電及びバランシングシステム300には、チャージバランサー302、充電回路304、一連のスーパーキャパシタ306、クロック発生器308、及び充電器電源310が含まれていてもよい。
【0035】
いくつかの実施形態では、充電器電源310の出力は0V~2.7Vの範囲であってもよく、また出力を充電回路304に接続してもよい。
【0036】
いくつかの実施形態では、充電電源310は、スーパーキャパシタの1つとして電気的に作用する(すなわち、構成内で電圧が最も高いスーパーキャパシタとして開始する)。したがって、すべてのスーパーキャパシタが充電されてほぼ同じ電圧レベルになるまで、電流が充電電源310からスーパーキャパシタ306まで流れてもよい。充電回路304には、トランジスタ312及び314と、抵抗器322及び324と、キャパシタ316、318、及び320とが含まれていてもよい。図3に例示した実施態様では、トランジスタ312及び314をMOSFETとして示している。他の実施態様では、トランジスタ312及び314はバイポーラ接合トランジスタであってもよい。トランジスタ312及び314を、クロック発生器308の対応する相出力によって駆動してもよい。抵抗器322は、トランジスタ312のゲート(G)とソース(S)とを橋渡しする。抵抗器324は、トランジスタ314のゲート(G)とソース(S)とを橋渡しする。トランジスタ314のソース(S)をスーパーキャパシタ直列ストリングの接地端子に接続してもよい。トランジスタ312はそのドレイン/ソース経路が、充電器電源310とトランジスタ314のドレイン(D)との間に接続されていてもよい。トランジスタ314はそのドレイン/ソース経路が、トランジスタ312のソース(S)と接地との間に接続されていてもよい。
【0037】
チャージバランサー302には、トランジスタ326a及び328aと、抵抗器330a及び332aと、キャパシタ334a、336a、及び338aとが含まれていてもよい。トランジスタ326aはそのソース/ドレイン経路が、ノード340aとスーパーキャパシタのプラス端子342との間に接続されていてもよい。トランジスタ328aはそのソース/ドレイン経路が、スーパーキャパシタの負端子344とノード340との間に接続されていてもよい。
【0038】
AC結合された共有バスによって、平均よりも電圧が高いスーパーキャパシタから平均よりも電圧が低いスーパーキャパシタに電荷が伝達される。このトポロジによって、従来技術の回路では達成できない非常に高い効率が得られる。AC結合された充電器によって、スーパーキャパシタを並列に(直列ではなくて)充電することができ、その結果、過充電を防ぐ傾向がある。
【0039】
他の実施形態では、キャパシタ結合されたバランス回路の代わりに変圧器結合されたバランス回路を用いてもよい。たとえば、図2の挿入図回路に、チャージバランサー212内で結合キャパシタ226の代わりに変圧器250を使用する状態を例示する。
【0040】
一実施形態では、充電器電源310の出力電圧はスーパーキャパシタ306のタイプに基づいてもよい。最大出力電圧はスーパーキャパシタの定格電圧に等しくてもよい。スーパーキャパシタの定格電圧が2.7ボルトであるとき、出力電圧は2.7ボルトに等しくてもよい。
【0041】
次に、図4及び図5を参照して、たとえば図2の充電及びバランシング回路200とともに利用可能なクロック発生器232、またはたとえば図3の充電及びバランシング回路300とともに利用可能なクロック発生器308について開示する。
【0042】
図4は、いくつかの実施形態によるスーパーキャパシタバランシングシステムのクロック発生器回路400の機能図である。この回路では、適切なクロック信号を形成するために種々の回路機能を用いてもよい。これらの回路機能は協同して、図2の典型的なチャージバランサー212、図3のチャージバランサー302、及び図3の充電回路304を駆動し得る二相クロックを形成してもよい。図5に、図4に例示した回路に見られ得る種々の信号を示すチューニングダイアグラム500を例示する。
【0043】
次に図4を参照して、クロック402には、クロック信号404を発生させる発振回路(当該技術分野で知られている)が含まれていてもよい。クロック402が発生させるクロック信号404の正確な周波数は重要でない場合があるが、いくつかの実施形態では、クロック信号404は約800kHzであってもよい。クロック信号404によって、カウンタ406のクロック入力(CLK)が駆動されてもよい。カウンタ406は、たとえば、8つの十分にデコードされた出力を伴う4ビット、8進法のジョンソン・カウンタ(Johnson Counter)であってもよい。このようなカウンタの例は、数ある製造業者の中でもTexas Instrumentが製造販売するCD4022Bである。カウンタ406は、いわゆる「ワンホット」コーディングを伴う8つの出力信号(出力0~出力7)を生成する。すなわち、単一の出力のみが高く(1)、他のすべては低い(0)。図5に、カウンタ406の8つの出力信号502~516の例を例示する。フリップフロップ408及び409は、非同期セットリセット機能を伴う良く知られたDタイプのフリップフロップであってもよい。このようなフリップフロップの例は、数ある製造業者の中でもTexas Instrumentsが製造販売するCD4013Bである。いくつかの実施形態では、カウンタ406のOut0はフリップフロップ408のクロック入力(C)を駆動してもよく、カウンタ406のOut1はフリップフロップ410のセット入力(S)を駆動してもよく、カウンタ406のOut4はフリップフロップ410のクロック入力(C)を駆動してもよく、カウンタ406のOut5はフリップフロップ408のセット入力(S)を駆動してもよい。フリップフロップ408及び410のD入力(D)は、低(0)レベルに接続してもよい。このような構成によって、非重複の高(1)レベルを伴う2つのクロック信号(図5にφ1(520)及びφ2(522)として例示する)を生成してもよい。フリップフロップ408の出力(Q)をドライバ/バッファ410内に送って、φ1信号414を形成してもよい。フリップフロップ410の出力(Q)をドライバ/バッファ412内に送って、φ2信号416を形成してもよい。
【0044】
タイミング図500では、クロック位相の非重複の高(1)レベル(たとえば、出力信号520及び522に示す)を強調している。この2つのクロック位相の態様は、図2及び図3の各バランス回路内のペアトランジスタ(スイッチ)が同時に伝導するのを防ぐのに役立つ場合がある。加えて、図4のフリップフロップ408及び410を交差結合構成で示す(たとえば、各デバイスの「Q」出力は他方のデバイスのリセット(R)入力に結合されている)。これらのデバイスを交差結合すると、たとえば、任意の時点で(特に始動中に)両方のQ出力が高(1)になることが防がれる場合があり、各対の1つのトランジスタのみが一度に起動されることが確実になる。
【0045】
本明細書では、説明の便宜上、ディスクリート回路について説明したが、本開示は、たとえば、単一のカスタムもしくはセミカスタムな集積回路またはゲートアレイとして実施してもよい。
【0046】
前述の回路実施形態のうちのいずれかを小さい回路基板上に構成してもよいし、または前述したようにモノリシックデバイスとして構成してもよく、さらにスーパーキャパシタ(たとえば、図3の306)のハウジングの内側に取り付けてもよい。その結果、回路が物理的に小さくなり、重量が軽くなり、及び非常に低コストになるのは有益であろう。
【0047】
ある実施形態について説明してきたが、これらの実施形態は単に一例として示しており、本開示の範囲を限定することは意図していない。実際に、本明細書で説明した新しい方法、装置、及びシステムを種々の他の形態で具体化することができ、さらに、本明細書で説明した方法、装置、及びシステムの形態における種々の省略、置換、及び変形を本開示の趣旨から逸脱することなく行うことができる。添付の特許請求の範囲及びその均等物は、本開示の範囲及び趣旨に含まれるような形態または変形に及ぶことが意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5