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特許7043528特に衛星のような宇宙飛行体の、特にアンテナ用のアンテナ反射器用のモジュラーインターフェースシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-18
(45)【発行日】2022-03-29
(54)【発明の名称】特に衛星のような宇宙飛行体の、特にアンテナ用のアンテナ反射器用のモジュラーインターフェースシステム
(51)【国際特許分類】
   B64G 1/66 20060101AFI20220322BHJP
   B64G 1/22 20060101ALI20220322BHJP
   H01Q 1/28 20060101ALI20220322BHJP
【FI】
B64G1/66 C
B64G1/22
H01Q1/28
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019572760
(86)(22)【出願日】2018-05-31
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-08-27
(86)【国際出願番号】 FR2018000152
(87)【国際公開番号】W WO2019002702
(87)【国際公開日】2019-01-03
【審査請求日】2021-04-07
(31)【優先権主張番号】1756210
(32)【優先日】2017-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】517310463
【氏名又は名称】アリアングループ・エス・ア・エス
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】フロリアン・ルボルニュ
【審査官】諸星 圭祐
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-354200(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0164319(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0198093(US,A1)
【文献】国際公開第2010/112601(WO,A1)
【文献】欧州特許出願公開第02818734(EP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0191925(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0025745(US,A1)
【文献】特開昭59-077703(JP,A)
【文献】米国特許第04550319(US,A)
【文献】米国特許第04222368(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64G 1/22
B64G 1/66
H01Q 1/12
H01Q 1/28
H01Q 15/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
宇宙飛行体の、特に衛星のアンテナ反射器と、前記宇宙飛行体のプラットフォームとの間にインターフェースを形成するよう意図されたモジュラーインターフェースシステムであって、
前記プラットフォームの一部を形成する機械的要素(6)に対して機械的に接続されるよう構成されたインターフェース部(5)と、
第1の端部(7A)に、第一に前記第1の端部(7A)と対向する第2の端部(7B)に設置された前記インターフェース部(5)と、第二に複数のリンク(9)それぞれとの間の機械的接続部を形成するよう構成された少なくとも三つの足(8)を有する多脚構造体(7)であって、各リンク9は、それが関連付けられる前記多脚構造体(7)の前記足(8)の一つに接続される、多脚構造体(7)と、
前記アンテナ反射器(2)の背面(3B)に対して機械的に接続されるよう構成された前記リンク(9)と
を備えることを特徴とするモジュラーインターフェースシステム。
【請求項2】
前記リンク(9)のそれぞれと前記多脚構造体(7)の関連する前記足(8)との間に、ねじ込み式接続部を備えることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記インターフェース部(5)と前記多脚構造体(7)との間に、ねじ込み式接続部を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記インターフェース部(5)は、前記プラットフォームの一部を形成する前記機械的要素(6)に機械的に接続されると共に所定のポジションにおいて確実にセットできるよう構成されたボールジョイント(10)を備えることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項5】
前記リンク(9)のそれぞれは、前記アンテナ反射器(2)の背面(3B)に対して機械的に接続されるよう構成された略平坦なブラケット(13)と、前記ブラケット(13)に対して交差方向に設置されるロッド(14)と、を備えることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項6】
前記リンク(9)のそれぞれは、前記リンク(9)の前記ブラケット(13)と前記ロッド(14)との間に接続部を形成するボールジョイント(15)を備え、前記ボールジョイント(15)は所定のポジションにおいて確実に固定することができることを特徴とする請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記リンク(9)のそれぞれは、その面の一方(13A)に、前記アンテナ反射器(2)の背面(3B)に接続されるよう意図された複数の矢じり(18)を有することを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項8】
少なくとも一つのダンパー要素を備えることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項9】
宇宙飛行体の、特に衛星の、特にアンテナのアンテナ反射器であって、
請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の少なくとも一つのモジュラーインターフェースシステム(1)を備え、前記モジュラーインターフェースシステム(1)の前記リンク(9)は、前記アンテナ反射器(3)の背面(3B)に対して機械的に接続されることを特徴とするアンテナ反射器。
【請求項10】
前記アンテナ反射器(3)の背面(3B)に機械的に接続された複数のモジュラーインターフェースシステム(1)を備えることを特徴とする請求項9に記載のアンテナ反射器。
【請求項11】
少なくとも一つのアンテナ反射器と、少なくとも一つのプラットフォームと、を備える宇宙飛行体、特に衛星であって、
前記アンテナ反射器(2)と宇宙エンジンの前記プラットフォームとの間にインターフェースを形成する、請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の少なくとも一つのモジュラーインターフェースシステム(1)を備え、
前記モジュラーインターフェースシステム(1)の前記リンク(9)は前記アンテナ反射器(2)の前記背面(3B)に対して機械的に接続されており、
前記モジュラーインターフェースシステム(1)の前記インターフェース部(5)は、前記プラットフォームの一部を形成する機械的要素(6)に対して機械的に接続されていることを特徴とする宇宙飛行体。
【請求項12】
前記機械的要素(6)は保持・解放機構であることを特徴とする請求項11に記載の宇宙飛行体。
【請求項13】
前記機械的要素(6)は展開アーム(20)であることを特徴とする請求項11に記載の宇宙飛行体。
【請求項14】
前記アンテナ反射器(2)の前記背面(3B)に対して機械的に接続されたモジュラーインターフェイスシステム(1)のセットを備え、前記モジュラーインターフェイスシステム(1)のセットは、前記アンテナ反射器(2)と前記プラットフォームとの間の単独のインターフェースを構成することを特徴とする請求項11ないし請求項13のいずれか1項に記載の宇宙飛行体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、宇宙飛行体の、特に衛星の、特にアンテナ用のアンテナ反射器用のモジュラーインターフェースシステムと、一つ以上のそうしたモジュラーインターフェースシステムを備えたアンテナ反射器とに関する。
【背景技術】
【0002】
これに限定されることなく、本発明は、より具体的には、例えば大型アンテナ反射器などの通信衛星のアンテナ反射器に適用される。このようなアンテナ反射器は、概して、(電波を反射する)反射面を備えた(シェルと呼ばれる)剛性構造体と、シェルを空間で保持するのを助けると共に衛星との接続に貢献する、反射面後方の補強手段とを備える。
【0003】
より具体的には、中実シェルアンテナ反射器の大部分は、次の三つの要素のアセンブリに基づいている。
・電波との機能的インターフェースを形成する反射面を備えたシェル
・打ち上げ時に反射器を(衛星の)プラットフォーム上で保持できるようにするだけでなく、(展開アームおよびモーターによって)軌道上でのその展開を可能にするインターフェース要素
・プラットフォームのインターフェース要素と反射面を備えたシェルとの間の構造的接続を可能にする後部構造体
【0004】
このようにして製造された反射器は、常に、多くの部品基準、特定の一回限りの設計および複数のアセンブリを必要とする。
【0005】
したがって、特にコストを削減するために、アンテナ反射器の簡素化が求められている。
【0006】
簡素化を達成するための技術的解決策および関連技術は、少なくとも次の問題のいくつかに対する解決策を生み出すことができる必要がある。
・プラットフォームのさまざまなインターフェース要件(インターフェースポイントの数、位置、剛性の仕様など)を満たすためにアセンブリのモジュール性を提供すること
・多面の適合性を保証すること
・適切な特性を伴って機械的、熱的、機能的性能を保証すること
・簡素化された工業化および開発を可能にすること
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、こうしたアンテナ反射器の簡素化に貢献することである。それは、宇宙飛行体の、特に衛星のアンテナ反射器と、宇宙飛行体のプラットフォームとの間のインターフェースを形成することを目的としたモジュラーインターフェースシステムに関する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、上記モジュラーインターフェースシステムは、
・上記プラットフォームの一部を形成する機械的要素に対して機械的に接続されるよう意図されたインターフェース部と、
・第1の端部に、第一に第1の端部と対向する第2の端部に設置されたインターフェース部と、第二に複数のリンクそれぞれとの間の機械的接続部を形成するよう構成された少なくとも三つの足を有する多脚構造体であって、各リンクは、それが関連付けられる多脚構造体の足の一つに接続される多脚構造体と、
・アンテナ反射器の背面に機械的に接続されるよう意図された上記リンクと
を具備する。
【0009】
本発明によって、モジュラーインターフェースシステムは、モジュール性を提供することに加えて、以下で説明するように、多くのその他の利点を有する。
【0010】
有利なことには、モジュラーインターフェースシステムは、
・上記リンクのそれぞれと、多脚構造体の関連する足との間のねじ式接続部および/または、
・インターフェース部と多脚構造体との間のねじ式接続部
を備える。
【0011】
さらに、有利なことには、
・インターフェース部は、プラットフォームの一部を形成する上記機械的要素に機械的に接続されるよう意図され、かつ、所定のポジションにおいて確実に固定(セット)できるボールジョイントを備え、かつ/または
・上記リンクのそれぞれは、アンテナ反射器の背面に機械的に接続されるよう意図された、略平坦な形状のブラケットと、当該ブラケットに対して交差方向に(好ましくは略直交するように)設置されたロッドとを備える。
【0012】
加えて、好ましくは、上記リンクのそれぞれは、ブラケットとリンクのロッドとを接合するボールジョイントを備え、ここで上記ボールジョイントは所定のポジションにおいて確実に固定(セット)できる。
【0013】
さらに、有利なことには、上記リンクのそれぞれは、アンテナ反射器の背面に接続されるよう意図された、その面の一つに複数の矢じりを有する。
【0014】
加えて、有利なことには、モジュラーインターフェースシステムは少なくとも一つのダンパー要素を備える。
【0015】
本発明はまた、宇宙飛行体の、特に衛星の、特にアンテナ用のアンテナ反射器に関する。本発明によれば、アンテナ反射器は、上述したもののような少なくとも一つの、好ましくは複数のモジュラーインターフェースシステムを備える。
【0016】
本発明はまた、少なくとも一つのアンテナ反射器および少なくとも一つのプラットフォームを備えた宇宙飛行体、特に衛星に関する。
【0017】
本発明によれば、上記宇宙飛行体は、アンテナ反射器と宇宙エンジンのプラットフォームとの間にインターフェースを形成する、上述したもののような少なくとも一つのモジュラーインターフェースシステムを備え、このモジュラーインターフェースシステムの上記リンクはアンテナ反射器の背面に機械的に接続され、かつ、モジュラーインターフェースシステムの上記インターフェース部はプラットフォームの一部を形成する機械的要素に機械的に接続される。
【0018】
好ましい実施形態では、上記宇宙飛行体は、アンテナ反射器の背面に機械的に接続されたモジュラーインターフェースシステムのセットを備え、このモジュラーインターフェースシステムの上記セットは、アンテナ反射器とプラットフォームとの間の唯一のインターフェースを構成する。したがって、それは慣習的な後部構造体を備えていない。
【0019】
加えて、第1実施形態では、上記機械的要素は保持・解放機構であり、一方、第2実施形態では上記機械的要素は展開アームである。
【0020】
添付図面によって、本発明がどのように実施できるかを理解することが容易になる。これらの図面では、同一の参照数字は類似の要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】好ましい実施形態によるモジュラーインターフェースシステムを備えたアンテナ反射器の背面の概略平面図である。
図2】好ましい実施形態によるモジュラーインターフェースシステムを備えたアンテナ反射器の背面の概略斜視図である。
図3】モジュラーインターフェースシステムの斜視図である。
図4】モジュラーインターフェースシステムの概略側面図である。
図5】ボールジョイントが取り付けられたモジュラーインターフェースシステムのインターフェース部の概略図である。
図6】モジュラーインターフェースシステムの高さを調整できる可能性を示す二つの重ね合わせた図である。
図7】リンクの斜視図である。
図8】アンテナ反射器の表面用に設計された、特定の方法でモジュラーインターフェースシステムを設置する可能性を示す図である。
図9】アンテナ反射器の壁にリンクを取り付ける例を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
モジュラーインターフェースシステム1(以下、「システム1」)は、図1および図2に示すように、アンテナ反射器2の上に設置されるよう意図されている。このアンテナ反射器2は、(図示していない)宇宙飛行体の、特に衛星のアンテナの一部を形成する。
【0023】
このアンテナ反射器2は、(電磁波を反射することができる)反射面または反射性面が取り付けられた剛構造体(またはシェル)3を含む。以下の説明では、アンテナ反射器2について、シェル3の二つの面3Aおよび3B、すなわち反射面である前面と呼ばれる面3Aおよびこの前面3Aと反対側の面であってかつ一つ以上のシステムを受けるよう意図された背面と呼ばれる面3Bについて言及する。
【0024】
これに限定されるわけではないが、システム1は、より具体的には、衛星のアンテナ反射器2と衛星のプラットフォームとの間にインターフェースを形成するよう意図される。本発明の文脈において、衛星または宇宙飛行体の「プラットフォーム」という用語は、衛星または宇宙飛行体の構造的部分を意味すると理解される。
【0025】
図1および図2に示す特定の実施形態では、シェル3はそれぞれ四つおよび五つの(モジュラーインターフェース)システム1を有する。もちろん、それは異なる数のシステム1を備えることが可能である。
【0026】
本発明によれば、各(モジュラーインターフェース)システム1は、特に図3および図4に示すように、
・宇宙飛行体の、特に衛星の上記プラットフォームの一部を形成する機械的要素6(図2および図4)に機械的に接続されるよう意図されたインターフェース部5と、
・第1の端部7Aに、第一に第1の端部7Aと対向する第2の端部7Bに設置されたインターフェース部5と、第二に複数のリンク9それぞれとの間の機械的接続部を形成するよう構成された少なくとも三つの足8を有する多脚構造体7(各リンク9は、それが関連付けられる多脚構造体7の足8の一つに取り付けられ、したがって各足8はリンク9に接続される)と、
・以下で説明するように、アンテナ反射器2のシェル3の背面3Bに取り付けられるよう意図された上記リンク9と
を具備する。
【0027】
これらのさまざまな要素(インターフェース部5、多脚構造体7、リンク9)は、以下で説明するように、機械的ヒンジおよびジョイントによって一つに組み立てられ、組み立て中、システム1のモジュール性に不可欠なクリアランスおよび自由度を提供する。
【0028】
特に図3に示す実施形態では、システム1は、特定の実施形態ではシステム1の回転対称軸線となることができる長手方向軸線と呼ばれる軸線X-Xを中心として形成される。
【0029】
さらに、(それに対してインターフェース部5が接続される)上記機械的要素6は、例えば以下のものであってもよい。
図2に示すような展開アーム20。この展開アーム20は、アンテナ反射器2を格納位置から展開位置へと動作させることができる展開デバイスの一部を形成することができる。
・アンテナ反射器2をプラットフォームに対して適切なポジションにおいて、特に打ち上げ時の格納位置で保持するための(図示していない)保持・解放機構
【0030】
特定の実施形態において、インターフェース部5は、図5に示すようなボールジョイント10を備える。このボールジョイント10は、上記プラットフォームの一部を形成する機械的要素6に機械的に接続されるよう意図され、かつ、所定のポジションにおいて確実に固定(セット)することができる。このボールジョイント10は、軸線L(それに沿って機械的要素6(または機械的要素6に接続される部分)がインターフェース部5に接続される)が長手方向軸線X-Xに対して(非ゼロ)角度αを有することを可能にする。
【0031】
ボールジョイント10を備えたインターフェース部を得るには以下を使用できる。
・角度調整用のボール・ソケットブラケット。このボールジョイントは、アンテナ反射器2が組み立てられるとき、接着剤の充填、溶着、ねじおよびボルト、リベット留めまたはスラグの使用によって所定のポジションにおいて確実に固定(セット)される。ボールジョイント10は、慣例的な機械加工プロセスによって、あるいは材料の付加による付加層製造(Additive Layer Manufacturing)(ALM)形式の製法、すなわち3Dプリンティングによって製造することができる。
【0032】
スラグの使用は金属ラグなどのスラグの設置を含んでいてもよく、これは一方の部品が他方に対して移動するのを防止する。
【0033】
図3に示すように、特に、多脚構造体7は複数の足8を備える。これらの足8は、長手方向軸線X-Xの周りに角度的に割り当てられ、端部7Bに一つに接続され、そして長手方向軸線X-Xから端部7Aに向かって広がる。
【0034】
好ましくは、多脚構造体7の端部7Bには、インターフェース部5を収容するための円形開口(図では認識できない)が形成される。
【0035】
各足8は、図3に示すように、端部7Aにタブ12を有する構造体11(概して細長い形状)を備える。タブ12は構造体12の平面に対して湾曲した部分であり、プレート12の平面は長手方向軸線X-Xに対して概ね直交している。
【0036】
図示される例では、多脚構造体7は四つの足8を備える。好ましくは、安定性の理由から、構造体7は少なくとも三つの足を備える。だが、3または4よりも多い数の足もまた可能である。
【0037】
さらに、特に図7に示すように、各リンク9は、特にその質量を低減するために、好ましくは開口を備えた概ね円形の略平坦なブラケット13を備える。このブラケット13は、以下で説明するように、面13A(図9)によってアンテナ反射器2のシェル3の背面3Bに機械的に接続されるよう意図され、そしてロッド14は、例えば、上記ブラケット13(図9)に対して概ね直交するように、このブラケット13の面13Bに設置される。
【0038】
システム1はまた、多脚構造体7に関連付けられた各リンク9と足8との間、より具体的にはロッド14とタブ12との間に、ねじ式接続部を備えることができる。このねじ式接続部を使用することで、システム1は、図6の上部の位置P1における(ブラケット13とプレート12との間の)高さH2に関して、そして図6の下部の位置P2における(ブラケット13とプレート12との間の)高さH3に関して図示されるように、ブラケット13と、関連するプレート12との間の可変高さを使用して、軸線X-Xに沿って、すなわち背面3Bに対して概ね半径方向に可変高さを有することができる。
【0039】
したがってシステム1の高さは、個別に検討するかあるいは互いに連携して、すなわち
・多脚構造体7とリンク9との間のねじ込み式/ボルト式接合によって、
・そしてまた多脚構造体7の特定の構成によって、
いくつかのレベルに調整することができる。
【0040】
さらに特定の実施形態では、リンク9のそれぞれは、図7に示すように、ブラケット13の上面13Bにボールジョイント15を備え、これは、ブラケット13とリンク9のロッド14とを接続し、ロッド14を位置合わせすることを可能にする。このボールジョイント15を使用することで、ロッド14を、図7に角度β0で示すように、ブラケット13の基本平面に対して略直交する軸線16に対して特定の角度位置となるように固定(セット)することができる。所望の角度位置になるとすぐに、ボールジョイント15を所定のポジションにおいて確実に固定(セット)できる。アンテナ反射器2のシェル3は、特に、例えば図8に示すように、問題の任務の要件のための特定の形状であってもよい。特定の場合において、形状は、その受け面と同様、システム1の、シェル3との整列が大きな影響を受けるようなものである。
【0041】
(ボールジョイント15を使用した)リンク9の角度調整能力は、図8に角度β1およびβ2で表されるように、それらが表面の形状に(特に局所的な垂線に)適合することを可能にする。
【0042】
特定の実施形態において、リンク9のボールジョイント15は、ALM方式の製造プロセスによって製造される。代替案の一つは、ねじ込まれるかあるいは結合されたアセンブリを使用して、慣習的なボールジョイント15をリンク9に統合することである。
【0043】
ボールジョイント15は、アンテナ反射器2を組み立てるときに、接着剤の充填、溶着、ねじおよびボルト、リベット留めまたはスラグの使用によって、適当なポジションにおいて確実に固定(セット)される。
【0044】
図8に異なる高さHAおよびHBで示すように、異なるリンク9に関して、タブ12とブラケット13との間に異なる高さが存在してもよい。
【0045】
角度のある部分に適応するために、多脚構造体7はリンク9間の高さの違いを含むように改変することも可能である。
【0046】
リンク9はアンテナ反射器2のシェル3に対して、さまざまな慣習的手法で取り付けることができる。
【0047】
だが、特定の実施形態では、各リンク9は、図9に示すように、ブラケット13の面の一つに、アンテナ反射器のシェル3の背面3Bに接続されるよう意図された(面13Bと対向する)面13Aに、(例えばハイパージョイントタイプの)複数の矢じり18を有する。
【0048】
これらの矢じり18は、図9に矢印Cで示すように、スキン強化材19を経てシェル3の材料内に挿入される。ブラケット13に確実に結合されるこれらの矢じり18は、したがって、適切な特性を伴って、シェル3に対する安定的な取り付けを可能にする。
【0049】
シェル3は、CFRP(炭素繊維強化ポリマー複合材料)タイプの薄いサンドイッチシェル、CFRPタイプの厚いサンドイッチシェル、CFRPタイプの膜、あるいは代替的にCFRPタイプのモノリシックシェルであってもよい。
【0050】
加えて、システム1は少なくとも一つのダンパー要素(図示せず)を含む。このダンパー要素(ジョイント、スプリング、金属ブレードなど)により、アセンブリの剛性を低減することができ(したがってシステム1とシェル3との間の力の伝達を制御および最適化することができ)、しかも動的なストレス(特に打ち上げ段階での振動)が発生した場合に減衰を利用することができる。
【0051】
アンテナ反射器2の機械的および熱的性能がこうして保証される。特に、
・アンテナ反射器2の質量は、以下で説明されるように、後部構造体がないために低減され、
・機械的性能(剛性、力の伝達など)は、
・接着剤の充填、溶着、ねじ止め、リベット留めあるいはスラグの使用によるジョイントとヒンジとの取り付け、
・少なくとも一つのダンパー要素の取り付け、
・多脚構造体7および多数のリンク9による力の拡散(多数のリンク9による最適化は、例えば三脚から四つ以上の足を持つデバイスに変更することにより可能である)
によって提供され、
・熱安定性性能は、例えば次のような特定の低CTE(熱膨張係数)材料を使用することで最適化できる。
・INVARタイプの金属合金
・CFRP(炭素繊維強化ポリマー)複合材料
【0052】
さらに、工業化に関して、全てのシステム1には、部品標準化および製造作業の削減という利点がある。
【0053】
システム1にクリアランスおよび自由度を挿入することにより部品の標準化が許容され、これにより、使用されるインターフェース手段への適応が可能になり、かつ、さまざまな表面との適合性が実現される。標準化により工業化(一般的な範囲および文書化)の簡素化もまた可能になる。
【0054】
特に、
・以下で説明するような後部構造体の除去によって、
・矢じり18(図9)を使用した取り付けによって
製造作業数の削減も実現される。
【0055】
好ましい実施形態では、アンテナ反射器2またはこのアンテナ反射器2を含む問題の宇宙飛行体(特に衛星)は、そうした(モジュラーインターフェース)システム1のセットを備え、それらは全て、図1および図2に示すように、アンテナ反射器2のシェル3の背面3Bに機械的に接続される。システム1のこのセットは、アンテナ反射器2と宇宙飛行体のプラットフォームとの間の唯一のインターフェースを構成し、言い換えれば、慣習的な後部構造体は使用されない。
【0056】
システム1は互いに独立している。各システム1の独立性により、アンテナ反射器2のシェル3の背面3B上に、所望の任意の方法でシステムを配置することができる。したがってシステム1は、多種多様なインターフェース構成に適応可能である。
【0057】
このシステム1のセットには多くの利点があり、特にアンテナ反射器2に関する次の主な利点がある。
・アンテナ反射器2のコストの全体的な削減
・正当化の労力および製造作業(結合、ドレープ成形、組み立てなど)の期間および回数を最小限に抑えることによるアンテナ反射器2の配送サイクル時間の短縮
・部品点数の削減および標準化によるアンテナ反射器2の簡素化
・必要な性能の達成を保証しながらのアンテナ反射器2の質量の削減
【0058】
全てのシステム1には次の利点もある。
・それらは、宇宙飛行体のプラットフォームとのさまざまなインターフェース要件(インターフェースポイントの数、位置、剛性など)を満たすアセンブリのモジュール性を提供する。
・それらは、複数の放物線形状および表面の実質的な成形により、幅広い直径に適応することで、複数表面適合性を保証する。
・それらは、特に低い重量バジェット、熱機械的環境への耐性、そして表面プロファイルの安定性および精度への低い影響によって、機械的、熱的および機能的性能を保証する。
・それらは工業化および使用の簡素化を可能にする。
【符号の説明】
【0059】
1 モジュラーインターフェースシステム
2 アンテナ反射器
3 剛構造体(シェル)
3A 前面
3B 背面
5 インターフェース部
6 機械的要素
7 多脚構造体
7A 第1の端部
7B 第2の端部
8 足
9 接続リンク
10 ボールジョイント
11,12 構造体
13 ブラケット
13A,13B 面
14 ロッド
15 ボールジョイント
16 軸線
18 矢じり
19 スキン強化材
20 展開アーム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9