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特許7043571検体センサおよびセンサ制御装置を含むシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-18
(45)【発行日】2022-03-29
(54)【発明の名称】検体センサおよびセンサ制御装置を含むシステム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/1495 20060101AFI20220322BHJP
【FI】
A61B5/1495
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2020198224
(22)【出願日】2020-11-30
(62)【分割の表示】P 2017184435の分割
【原出願日】2010-02-26
(65)【公開番号】P2021037353
(43)【公開日】2021-03-11
【審査請求日】2021-01-04
(31)【優先権主張番号】61/290,847
(32)【優先日】2009-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】61/165,499
(32)【優先日】2009-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】61/155,893
(32)【優先日】2009-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】61/238,461
(32)【優先日】2009-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】61/155,889
(32)【優先日】2009-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】61/155,891
(32)【優先日】2009-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500211047
【氏名又は名称】アボット ダイアベティス ケア インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ABBOTT DIABETES CARE INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】ウド ホス
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー アレン トマス
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー ヴィー マクガロー
(72)【発明者】
【氏名】フー レー
【審査官】門田 宏
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2008/0287762(US,A1)
【文献】特表2008-508971(JP,A)
【文献】特開2007-271622(JP,A)
【文献】特開2003-028826(JP,A)
【文献】特表2005-518527(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/145 - 5/1495
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インビボグルコースセンサの製造方法であって、
インビボグルコースセンサのロットを準備する工程であって、各インビボグルコースセンサが少なくとも1つの膜層と少なくとも1つの活性センシング層とを有しているステップと、
前記インビボグルコースセンサのロットの1つのサンプルのグルコース応答をテストし、そのロットの較正パラメータを決定するステップと、
前記インビボグルコースセンサの物理的特性を破壊的に決定するステップであって、前記物理的特性が、前記インビボグルコースセンサの少なくとも1つの膜層の厚さ、前記インビボグルコースセンサの少なくとも1つの活性センシング層の活性センシング領域の表面積、および前記インビボグルコースセンサの少なくとも1つの活性センシング層の活性センシング領域の体積の少なくとも1であるステップと、
前記インビボグルコースセンサの少なくとも1つの物理的特性に基づいて前記ロットの較正パラメータを調整することによって、前記インビボグルコースセンサのためのセンサ固有較正パラメータを付与するステップと、を備えている、
ことを特徴とするインビボグルコースセンサの製造方法。
【請求項2】
前記物理的特性が自動的に決定される、
請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記物理的特性が光学スキャナを使用して決定される、
請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記ロットの1つのサンプルのグルコース応答をテストするステップが、インビトロテストである、
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項5】
前記インビボグルコースセンサに付与されたセンサ固有較正パラメータを、前記インビボグルコースセンサのメモリにロードするステップを更に備えている、
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項6】
前記インビボグルコースセンサに付与されたセンサ固有較正パラメータを、前記インビボグルコースセンサのパッケージの中に提供するステップを更に備えている、
請求項1ないし5のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項7】
前記インビボグルコースセンサの第2の物理的特性を決定するステップをさらに備え、
前記インビボグルコースセンサのセンサ固有較正パラメータを付与するステップが、前記インビボグルコースセンサの物理的特性および前記インビボグルコースセンサの第2の物理的特性に基づいて、前記ロットの較正パラメータを継続的に調整するステップを備えている、
請求項1ないし6のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項8】
前記物理的特性が前記インビボグルコースセンサの少なくとも1つの膜層の厚さであり、前記第2の物理的特性が前記インビボグルコースセンサの活性センシング領域の表面積である、
請求項7に記載の製造方法。
【請求項9】
前記物理的特性が前記インビボグルコースセンサの少なくとも1つの膜層の厚さであり、前記第2の物理的特性が前記インビボグルコースセンサの活性センシング層の活性センシング領域の体積である、
請求項8に記載の製造方法。
【請求項10】
前記ロットの物理的特性の平均値を決定するステップと、
前記インビボグルコースセンサの物理的特性を、前記ロットの物理的特性の平均値と比較し、訂正ファクタを決定するステップと、をさらに備え、
前記インビボグルコースセンサのセンサ固有較正パラメータを付与するステップが、前記訂正ファクタを使用して前記ロットの較正パラメータを調整するステップを備えている、
請求項1ないし9のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項11】
前記物理的特性が、前記インビボグルコースセンサの少なくとも1つの膜層の厚さであり、前記訂正ファクタが、前記ロットの物理的特性の平均値で割られた前記インビボグルコースセンサの物理的特性として定義され、前記インビボグルコースセンサのためのセンサ固有較正パラメータを付与するステップが、前記インビボグルコースセンサのための訂正ファクタで前記ロットの較正パラメータを割ることによって前記ロットの較正パラメータを調整するステップを備えている、
請求項10に記載の製造方法。
【請求項12】
前記物理的特性が、前記インビボグルコースセンサの少なくとも1つの活性センシング領域の表面積であり、
前記訂正ファクタが、前記ロットの物理的特性の平均値で割られた前記インビボグルコースセンサの物理的特性として定義され、
前記インビボグルコースセンサのためのセンサ固有較正パラメータを付与するステップが、前記インビボグルコースセンサのための訂正ファクタを乗じた前記ロットの較正パラメータによって、前記ロットの較正パラメータを調整するステップを備えている、
請求項10に記載の製造方法。
【請求項13】
前記ロットの較正パラメータが前記ロットの平均感度であり、前記センサ固有較正パラメータがセンサ固有感度である、
請求項1ないし12にいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項14】
前記ロットのインビボグルコースセンサの各々が、ワイヤセンサと、白金作動電極および銀/塩化銀参照電極を含む複数の電極と、を備えている、
請求項1ないし13のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項15】
前記インビボグルコースセンサが、近位部分と、カバーレイ材料と該カバーレイ材料に形成されたウェルとを有する遠位部分とを備え、前記遠位部分は、ユーザーの体液と接触するように位置決めされている、
請求項1ないし14のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項16】
前記少なくとも1つの膜層が干渉物質除去層と、グルコース流緩和層とを備えている、
請求項1ないし15のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項17】
内部への空気および湿気の侵入を減少させるように構成されたハウジング内に前記インビボグルコースセンサをパッケージするステップをさらに備え、前記ハウジングが、トレイとフタとを有し、該トレイ及びフタが前記ハウジングの占有されない容積を減少させるように構成されている、
請求項1ないし16のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項18】
前記トレイが剛性構造体と、径方向外方に延び前記フタに係合するように構成されたリップとを有し、前記トレイが接着面を有する可撓性シートを備えている、
請求項17に記載の製造方法。
【請求項19】
ドリフトプロファイルからドリフト訂正ファクタを決定するステップと、
前記ドリフト訂正ファクタを前記インビボグルコースセンサに付与するステップとをさらに備えている、
請求項1ないし18のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項20】
前記ドリフト訂正ファクタを前記インビボグルコースセンサのメモリにロードするステップをさらに備えている、
請求項19に記載の製造方法。
【請求項21】
前記ドリフト訂正ファクタは、前記インビボグルコースセンサのロットに関連している、 請求項19又は20に記載の製造方法。
【請求項22】
前記インビボグルコースセンサが、前記センサ固有較正パラメータとドリフト訂正ファクトとを使用して、グルコースを決定する、
請求項19、20および21のいずれか1項に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本願は、「検体測定センサおよびその製造方法(Analyte Measurement Sensors and Methods for Fabricating the Same)」という発明の名称で2009年2月26日に出願した米国仮特許出願第61/155,889号、「検体測定センサおよびその製造方法(Analyte Measurement Sensors and Methods for Fabricating the Same)」という発明の名称で2009年2月26日に出願した第61/155,891号、「検体測定センサおよびその製造方法(Analyte Measurement Sensors and Methods for Fabricating the Same)」という発明の名称で2009年2月26日に出願した第61/155,893号、「検体測定センサおよびその製造方法(Analyte Measurement Sensors and Methods for Fabricating the Same)」という発明の名称で2009年3月31日に出願した第61/165,499号、「検体測定センサおよびその製造方法(Analyte Measurement Sensors and Methods for Fabricating the Same)」という発明の名称で2009年8月31日に出願した第61/238,461号、および「持続検体測定システムとともに使用するための埋入可能な検体センサおよびその包装方法(Implantable Analyte Sensors for Use with Continuous Analyte Measurement Systems and Methods for Packaging the Sensors)」という発明の名称で2009年12月29日に出願した第61/290,847号の優先権を主張し、その各開示は、すべての目的で、その全体を参照することにより、取り込まれる。
【技術分野】
【0002】
本発明は、持続検体モニタリングに関する。さらに具体的には、本発明は、インビボ利用の間に使用者が較正をする必要がないインビボセンサを備えた、持続検体モニタリングを提供するための方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
持続血糖モニタリング(CGM)システムは、典型的には、被験体の血糖値モニタリングの包括的な概念を提供する。1型または2型の糖尿病と診断された患者にとって、このようなシステムの利点は明白である。市販のCGMシステムは、典型的には、数日間から約1週間に及ぶ期間にわたり、経皮的に、または皮膚を通して刺入したグルコースセンサを使用し、その間、潜在的な血糖エクスカーションを調節する目的で、即時の血糖値情報がモニタリングされ、患者に任意の必要な補正処置を取らせる。典型的なグルコースセンサは、バッチまたはロットで製造され、各使用(意図される3日間、5日間、7日間または幾らかの他の所定の期間)の後、廃棄され、新しいセンサと交換される。
【0004】
さらには、現存するCGMシステムは、指先に針を刺して採血する検査法(finger prick test)を行って血中グルコース濃度を決定し、決定された濃度情報を用いて定期的にセンサ較正を修正することを包含する、グルコースセンサの定期的な較正を必要とし、とりわけ、製造したセンサ間の感度変動、および経時によるセンサの安定性のドリフトを保証しなければならない。センサ較正のための頻繁なインビトロ血糖検査は、それに関連する実際に感知される痛みに加えて、患者にとって不便である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、インビボ使用の間に、使用者またはシステムによってセンサ較正を行う必要がない、持続検体モニタリング・システムで使用するためのインビボセンサを提供することは望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
改善されたインビボ検体センサ、改善されたセンサの製造方法、および改善されたセンサの使用方法を提供する。実施の形態は、使用者による装置のインビボ配置の後、使用者が較正する必要がない検体モニタリングを提供する、例えば、血糖値モニタリング装置などのインビボ検体モニタリング装置、方法、システム、製造プロセス、および製造後の保管プロセスなどの製造後のプロセスを含む。
【0007】
装置の全寿命期間にわたって臨床的に有意な量を超えて変化しない、および/または、予測可能な安定性プロファイルおよび/または感度を有する、安定性プロファイルおよび/または感度プロファイルを示す装置および方法の実施の形態が提供される。
【0008】
実施の形態は、製造プロセスを含む。例えば、実施の形態は、1つまたは複数の検体センサロットの製造の間に、(例えば、経験的に、統計的にまたは理論的に)決定され、かつ、例えば、製造した1つ以上のセンサロットについてメモリまたは適切な記憶装置に記録された(および/またはロット自体のセンサにコードされた)1つ以上のロットに配置された、例えば装置感度などの較正因子またはパラメータを含む。較正因子は、間質液に由来する、それらから得られた検体データ(例えば、センサから得られた、アンペアで測定された電流信号)を血糖値データ(例えばmg/dL単位)に適合させることを含め、センサを標準値に適合させるために、センサが活性な検体のモニタリングのために使用者の体内に配置される際に、装置によって使用されうる。例えば、実施の形態は、与えられた同一および/または異なるロットに由来するセンサを含み、かつ、同一の較正因子が使用され、その較正因子は、例えば、前のロットに由来する履歴データを使用して、所定のセンサロットの製造前に決定される。
【0009】
実施の形態は、センサロットおよびそれに由来するセンサを含み、ここで、センサは、同一および/または異なる製造ロットが割り当てられ、かつ、同一の較正因子が使用され、その較正因子は、所定のロットのすべてを含めた1つ以上の製造に対して実質的に同時期に、例えば製造に関して即時に、決定される。
【0010】
実施の形態は、センサロット内および/またはセンサロット間のセンサ感度変動係数(CV)が極めて低いセンサ製造ロットを含む。例えば、CVは、約5%以下であり、例えば、約3%以下、例えば、約2%以下、例えば、約1%以下である。ある特定の実施の形態では、極めて低いCVは、少なくとも1つ以上の堅牢な製造プロセスによって達成される。
【0011】
使用者による較正の必要がない検体モニタリング装置および方法はまた、センサの全寿命期間にわたり、所定の使用者における、極めて高いセンサ安定性を有する実施の形態も含む。例えば、使用者におけるセンサ安定性プロファイルは、センサ寿命にわたり、臨床的および/または統計的に有意な量を超えて変動しない。例えば 安定性は、約5%を上回って変動しなくてもよく、例えば、約3%以下、例えば、約2%以下、例えば、約1%以下である。
【0012】
上述のように、実施の形態は、製造ロット内および/または製造ロット間の、流束限界膜(flux limiting membrane)の厚さにおける極めて低い変動性/高い正確さを有するインビボ検体モニタリング装置を含む。製造技術および方法は、センサの製造ロットまたはバッチ内のセンサ間の感度の変動係数(CV)が約5%以下、例えば3%以下、例えば約2%以下、例えば約1%以下になるように、制御された、実質的に均一な膜厚を有する、センサ作用電極の再現可能な活性センシング領域を提供する。
【0013】
実施の形態は、例えば、製造ロットまたはバッチにわたるセンサ感度を制御するため、例えばセンサ作用電極の領域および/または膜厚の制御を提供する、インビボ製造技術および方法を含む。作用電極表面(例えば、活性なセンシング領域)におけるグルコース濃度は膜の厚さに比例し、感度は作用電極の面積に比例することから、センサの作用電極の膜厚および領域(例えば、活性領域)の選択的および正確な制御により、使用者またはCGMシステムによる較正を必要としないセンサが製造されうる。
【0014】
加えて、本開示のさらなる態様では、潜在的な生物付着または疑わしい生物付着が最小限になり、インビボ較正を必要とするようなセンサのインビボ安定性への悪影響を与えないように、検体センサのグルコース限界膜は、インビボに位置付ける、または配置する場合に、生物的適合性を提供する。例えば、検体センサは、1つの実施の形態では、約2%~約3%以下の変動、例えば、約1%~約2%以下の変動を示し、あるいは、さらなる態様では、インビボ使用の間に、センサのセンシング期間(例えば、3日間、5日間、7日間、14日間以上)にわたり、インビボセンサ感度安定性において約1%未満の変動しか示さず、使用者またはシステムに基づく較正を必要としないであろう。
【0015】
実施の形態は、センシング化学がセンサの作用電極にもたらされる、検体センサの再現可能な活性領域(active region)を含む。作用領域は、約0.01mm2~約1.5mm2以下の寸法範囲、例えば、約0.0025mm2~約1.0mm2以下、または例えば、約0.05mm2~約0.1mm2以下の寸法範囲を有しうる。実施の形態はまた、空隙またはウェルを備えたセンサの再現可能な活性領域を含む。活性領域の空隙/ウェルは、約0.01mm2~約1.0mm2の寸法範囲、または例えば、約0.04mm2~約0.36mm2の寸法範囲を有していてもよい。空隙/ウェルの寸法は、センサの活性領域の形状(したがって、大きさ)を、少なくとも部分的に画成する。空隙/ウェルの形状は、同一の所望の体積および/または表面積を達成するように変動させて差し支えない。例えば、空隙/ウェルの高さは、徐々に増加または減少しうる。加えて、空隙/ウェルの表面積は、先細りになるように、または例えば、三角形の形状、楕円形の形状などを含めた、他の変化をするように成形されうる。
【0016】
実施の形態は、センサ遠位部の正確な寸法を備えた、再現可能なセンサ構成をさらに含む。センサの導電層の幅は、センサ遠位部の基板の幅の影響を受けうる。センサの活性領域は、約0.0025mm2~約3mm2の範囲、例えば、約0.01mm2~約0.9mm2の範囲でありうる。
【0017】
実施の形態は、実質的に一定の幅を有し、互いに直角(例えば、センシング層と導電層が直交の関係性)であることを条件とした、例えば、ストリップなどの形態のセンシングおよび導電層を備え、センサ遠位部の長さおよび幅に沿って実質的に一定の活性領域を形成する、検体センサをさらに含む。
【0018】
さらには、実施の形態はまた、臨床的に有意でないCVを有し、使用者が開始する、またはCGMシステムに基づいた較正を必要とせずに、インビボセンサの耐用年数の間に正確な即時の血糖値モニタリングを報告する、センサの所望の活性領域を正確に画成し再生するために、センサ本体から過剰または望ましくない材料を除去、トリミング、修正、またはアブレーション処理する、例えば、レーザーアブレーション法などの正確なレーザー工程を含む。
【0019】
実施の形態は、例えば、保管の間のセンサ安定性の低下を最小限に抑えるために、インビボ使用前に包装したセンサに、制御された、および/または最小限の悪い環境影響しか有さないセンサ包装を含む、製造後およびインビボ使用前の貯蔵技術をさらに含む。例えば、実施の形態は、水蒸気透過率(MVTR)を約0.5mg/日以下、例えば、約0.46mg/日以下、例えば、約0.4mg/日以下に維持するセンサ包装技術を含む。乾燥剤材料は、センサの保管寿命の間(例えば、約0~約24ヶ月、例えば、0~約18ヶ月)に、実質的に安定な環境を維持するために、センサ包装上、内、内部、またはセンサ包装とともに提供されうる。
【0020】
実施の形態は、予測可能な、かつ安定なインビボセンサ感度を提供し、インビボ使用の間にセンサ較正を行う必要性または要件を排除する、すなわち、この間に使用者および/またはCGMシステムによる較正をしなくてよい、インビボ応答における被験体内、および被験体間の変動を補償する方法が提供される、インビボグルコースセンサを含む。
【0021】
実施の形態は、工場補正を必要とせず、さらに、使用者またはシステムが行うまたは実行するセンサ較正を要件としないインビボセンサをさらに含む。すなわち、ある特定の態様では、製造したインビボセンサは、製造後およびインビボ使用の間の実質的に安定な感度プロファイルを含む特性を示す。例えば、インビボセンサの使用の間に存在しうる酸素、アセトアミノフェンまたはアスコルビン酸などの干渉物は、センサの明確に定義された、再現可能な活性領域、センサの幾何学的形状、およびセンサ保管寿命の間の緊密に制御された製造後の環境に加えて、センサ膜材料(例えば、低酸素透過性を有する膜)、センシング化学(例えば、酸素などの干渉物による影響を最小限にしか有しないように設計または選択する)の注意深い選択によって最小限に抑えられうる。
【0022】
例えば、各被験体について演繹的に決定され、かつ、使用の間にインビボセンサから受信した信号に適用された安定性プロファイルに基づいて、センサ感度がインビボ使用の間に補償または修正されるように、フィードバック・アルゴリズムは、CGMシステムにおいてプログラム化されるか、またはプログラム可能であって差し支えなく、それによって、各インビボ環境間(例えば、インビボセンサを使用する各被験体間)の血中グルコース濃度に対する、間質における変動を提供または補償する。このようなアルゴリズムまたはルーチンは、事前のインビボセンサフィードバック信号に基づいて生成または決定されて差し支えなく、CGMシステムにおいてプログラム化されるかまたはプログラム可能(およびその後に修正可能)であり、インビボ使用の間にセンサから受信する信号に適用されうる。
【0023】
上述した方法では、本開示の実施の形態は、例えば、限定はしないが、使用者が開始する、または使用者ベースの較正の必要のない、システムベースの較正の必要のない、工場ベースの較正の必要のない、システムのみが較正を行う必要がある(例えば、1つ以上の較正ルーチンを自動的に行うまたは実行する)、または、センサのインビボ使用の間に、センサ寿命にわたり、単一の使用者が開始する較正または感度確認のみを必要とする、インビボセンサ、ならびに、インビボセンサを採用し、それを製造および包装する、CGMシステムを提供する。
【0024】
本開示のさまざまな態様、特徴および実施の形態の詳細な説明は、以下に簡潔に説明する添付の図面に関して本明細書に提供される。図面は実例であって、必ずしも縮尺にしたがっておらず、一部の構成要素および特徴は明確性の目的で誇張されている。図面は本開示のさまざまな態様または特徴を例証しており、本開示の1つ以上の実施の形態または実施例の全体または一部を例証している場合がある。特定の構成要素または特徴を参照するために1つの図面において用いられる参照番号、文字、および/または記号は、別の図面において、同様の構成要素または特徴を参照するために使用される場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本開示の1つの態様に従った検体センサの平面図。
図2】本開示の別の態様に従った検体センサの平面図。
図3】1つの態様におけるインビボ使用の間の間質液と流体接触(fluid contact)する図1の検体センサの尾部または遠位末端の平面図(A);1つの態様における図3Aに示す遠位末端における、検体センサの線Bにおける側面断面図(B)。
図4】本開示の別の実施の形態に従った検体センサの構成。
図5】1つの態様における検体センサの平面図(A)および断面図(B)。
図6】別の態様における検体センサの平面図(A)および断面図(B)。
図7】さらに別の態様における検体センサの平面図(A)および断面図(B)。
図8】さらに別の態様における検体センサの平面図(A)および断面図(B)。
図9】1つの態様に従った両面のある検体センサの上面図(A)、底面図(B)および断面側面図(C)。
図10】1つの態様に従った両面のある検体センサの上面図(A)、底面図(B)および断面側面図(C)。
図11】1つの態様に従ったセンサのセンシング層のレーザー・トリミングの前の検体センサの上面図(A)、断面側面図(B)および端面図(C)。
図12】1つの態様に従ったセンサのセンシング層のレーザー・トリミング後の図11A~11Cの検体センサの上面図(A)、断面側面図(B)および端面図(C)。
図13】別の態様に従ったセンサのセンシング層および作用電極層のレーザー・トリミング前の検体センサの上面図(A)、断面側面図(B)および端面図(C)。
図14】別の態様に従ったセンサのセンシング層および作用電極層のレーザー・トリミング後の図13A~13Cの検体センサの上面図(A)、断面側面図(B)および端面図(C)。
図15】センサのセンシング層および作用電極層さらに別の態様におけるセンサのセンシング層および作用電極層のレーザー・トリミング前の検体センサの上面図(A)、断面側面図(B)および端面図(C)。
図16】さらに別の態様に従ったセンサのセンシング層および作用電極層のレーザー・トリミング後の図15A~15Cの検体センサの上面図(A)、断面側面図(B)および端面図(C)。
図17】本開示の1つの態様の包装されたセンサ組立体の1つの実施の形態の分解斜視図。
図18図17の包装されたセンサ組立体の1つの実施の形態の組立斜視図。
図19図17の包装のトレイ要素の側面(A)、底面(B)および端面(C)図。
図20】本開示の1つの実施の形態における検体センサの作用電極の上面図(A);図20Aの線Bにおける断面図(B);図20Aの線Cにおける断面図(C)。
図21】本開示の1つの実施の形態における図20Aに示した作用電極へのセンシング層の施用段階を示す図。
図22】本開示の1つの実施の形態に従った検体センサに関連する、典型的な経時変化する感度ドリフトプロファイル。
図23】既知のグルコース濃度を有するビーカー溶液に応答する、本開示の1つ以上の方法に従って製造したセンサロットに由来する16個の検体センサの感度変動。
図24】1つの態様における図23と連動して記載される同一のロットに由来するセンサの応答。
図25】本開示の1つ以上の実施の形態に従って製造した検体センサに基づいたクラーク・エラー・グリッド。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本開示を説明する前に、この開示は、記載される特定の実施の形態に限定されず、当然ながら、変化しうることが理解されるべきである。本開示の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されることから、本明細書で用いられる専門用語は、単に特定の実施の形態を説明する目的であって、限定されることは意図されていないことも理解されるべきである。
【0027】
数値範囲が提供される場合には、介在する数値のそれぞれは、文脈に他に明確に記載されない限り、下限値の単位の10分の1まで、その範囲の上限値と下限値の間およびその規定された範囲内にある任意の他の規定された値または介在する値が、本開示に包含されることが理解される。これらの狭い範囲の上限および下限値は、独立して、狭い範囲に含まれて差し支えなく、この狭い範囲も本開示に包含され、規定した範囲において明確に除外された制限を受ける。規定した範囲が1つまたは両方の限界値を含む場合には、この含まれている限界値の一方または両方を除外する範囲も、本開示に含まれる。
【0028】
当業者には明白なように、この開示を読む際には、本明細書に説明および例証される個別の実施の形態のそれぞれは、本開示の範囲または精神から逸脱することなく、他の幾つかの実施の形態のいずれかの特性とは容易に分離されうる、 またはそれらと組み合わされうる、個別の要素および特性を有する。
【0029】
本開示の実施の形態は、体液中の、例えばグルコースなどの少なくとも1つの検体を検出する、方法および装置に関する。実施の形態はグルコース、ケトン、乳酸など、体液中の検体のインビボ検出用の検体センサを備えた検体モニタリング・システムを使用する、1つ以上の検体濃度の連続的および/または自動のインビボモニタリングに関する。実施の形態は、完全に埋入可能な検体センサおよび、センサの一部のみが皮下に配置され、センサの一部は、例えば、制御装置、送信機、受信機、トランシーバー、処理装置などとの接続のために皮膚上に残る、経皮性の検体センサを含む。センサの少なくとも一部は、例えば、約3日間以上、約5日間以上、約7日間以上、約10日間以上、約14日間以上などの期間にわたり、または例えば、センサのセンシング化学配合(formulation)などのセンサ特性によって決定されるセンサ寿命に基づいて、患者の間質液における検体の濃度のモニタリングを目的として患者の皮下に配置されるように構成されて、正確なセンシング結果、および/または、センサ包装および/または保存条件、またはそれらの組合せを提供して差し支えない。この説明の目的では、半連続的なモニタリングおよび連続的なモニタリングは、別に記載されない限り、互換的に用いられる。
【0030】
実施の形態は、検体センサを含む。センサ応答は、入手され、血中または他の流体中の検体濃度に関連付けられ(correlated to)および/または変換されうる。ある特定の実施の形態では、検体センサは、グルコース濃度を検出するため、間質液と接触して配置されて差し支えなく、この検出されたグルコースは患者の血流におけるグルコース濃度を推論するのに用いられうる。検体センサは、静脈、動脈、または身体の体液を含む他の部位に挿入可能でありうる。本開示の検体センサの実施の形態は、数分間、数時間、数日間、数週間、数ヶ月、またはそれより長い範囲でありうるセンシングまたはモニタリング期間にわたり、検体濃度を実質的に連続的にモニタリングし、検体に関する信号(例えば、センシングの期間に対応するグルコース測定値に変換される、処理前または処理後の信号)を発生するように構成される。
【0031】
モニターされうる検体としては、限定はしないが、アセチルコリン、アミラーゼ、ビリルビン、コレステロール、絨毛性ゴナドトロピン、クレアチンキナーゼ(例えばCK-MB)、クレアチン、クレアチニン、DNA、フルクトサミン、グルコース、グルタミン、成長ホルモン、ホルモン、ケトン体、乳酸、酸素、過酸化物、前立腺特異抗原、プロトロンビン、RNA、甲状腺刺激ホルモン、およびトロポニンが挙げられる。例えば、抗生物質(例えば、ゲンタマイシン、バンコマイシンなど)、ジギトキシン、ジゴキシン、乱用薬物、テオフィリン、およびワルファリンなどの薬物の濃度もまた、モニターされうる。1つ以上の検体をモニターする実施の形態では、検体は、同時に、またはそれぞれ異なった時間にモニターされて差し支えない。
【0032】
センサまたはセンサシステムの実施の形態は、インビボ使用の間の較正を必要としない、持続血糖モニタリング・システムなどの検体モニタリング・システムに使用するためのインビボ検体センサを含む。さらに具体的には、ある特定の態様における工場の較正システムは、例えば、インビトロにおけるフィンガー・スティック・グルコース試験またはYSI試験などの任意の基準検体試験(reference analyte tests)、およびインビボ使用の間の使用者による基準試験の結果を使用するインビボ・センサデータに関連する較正を必要としない検体センサを備えた、インビボ検体モニタリング・システムを含む。工場較正システムを含み、および/または使用者による較正システムを含まない、本システムの利点は、定期的なインビトロにおけるフィンガーテストのグルコース試験の必要性を排除し、使用の間のインビボセンサの読み取りにおけるエラーの潜在的な起源を低減することによって、使用者にとっての不都合を低減することを含めて、明白である。
【0033】
実施の形態は、各製造センサロット内および/またはセンサロット間のセンサごとの再現性を含めた特性を提供するインビボセンサをさらに含む。本明細書に記載する典型的なセンサロットは、同一の材料および方法を用いる製造プロセスの間に、同一の製造装置を使用して製造されるインビボセンサのバッチを含む。本実施の形態は、センサ安定性プロファイル(例えば、同様または同一のセンサ感度、保管寿命特性など)を含めて、非常に類似した、または同一のセンサ特性を有する製造センサロットを含む。例えば、センサロットは、基板または非導電材料、電極用の導電材料、センシング化学組成物、ならびに、厚さ、大きさおよび他の物理的および/または化学的特性などのセンサ膜特性を含めて同一の材料から製造されることに加え、同一の製造装置および方法を用いて製造されるように合理化された、2つ以上のセンサ、例えば、約1,000以上、約5,000以上、または約10,000以上(または他の適切な、ロットまたはバッチにおいて製造可能なセンサ数)のインビボセンサを含みうる。本明細書で定義されたセンサロットは、単に典型的な目的のためであって、ロットとして製造されるセンサ数は、主として、センサを製造する装置によって支持される生産量によって制約される。この目的を達成するために、本開示の実施の形態に従って、センサロットは、本明細書の典型的な実施の形態のインビボセンサのおよそ1,000個より多くてもよい。
【0034】
インビボセンサの実施の形態は、製造後の保管寿命安定性を有し、それによって、インビボ使用前のセンサ感度の低下を排除することを含めて最小限に抑え、保管寿命安定性における変動を最小限に抑えるか、または有意でなくするか、またはゼロにする。実施の形態は、例えば、保管の間およびインビボ使用前のセンサおよび/またはセンサシステムの有効性を維持するために、安定な保管寿命環境を提供するための、乾燥剤および/または他の材料を使用する、センサおよび/またはセンサシステムの包装を含む。
【0035】
センサの実施の形態は、センサ感度の被験体間および被験体内の変動性を最小限に抑えるため、インビボ使用の間のセンサ応答の変動を調整または補償する、データ処理技術および/または信号補償を実行する検体モニタリング・システムに使用されうる。これらの実施の形態は、センサからのスプリアス信号または過渡信号が検出される初期の埋入期間のセンサ信号の早期の信号減衰の保証を含みうる。
【0036】
実施の形態は、較正コードまたはパラメータをさらに含み、これは、製造プロセスの一環として、検体モニタリング・システムのデータ処理装置に、または、センサ自体に、例えば、バーコード、レーザータグ、RFIDタグ、またはセンサに提供される他の機械で読み取り可能な情報、または、較正コードまたはパラメータ情報が導き出されうるセンサの物理的構成(例えば、センサ本体の表面における形成または圧入の、例えば、高さ、幅、外周、半径、表面積、体積のうちの1つ以上、またはそれらの1つ以上の組合せを含めた寸法に基づいた構成、センサ本体の表面における形成または圧入の配置など)として、1つ以上のセンサ製造プロセスの間に生成または決定され、コード化またはプログラム化されて差し支えなく、それによって、センサのインビボ使用の間の使用者が開始するセンサ較正が除去される、またはセンサ使用の間のインビボ較正の頻度が軽減される。較正コードまたはパラメータがセンサ自体に提供される実施の形態では、センサの使用前または使用開始時に、較正コードまたはパラメータが検体モニタリング・システムのデータ処理装置に自動的に送信または提供されうる。
【0037】
例えば1年を超えるなど、約1日から約1年以上にわたる期間、所定の製造業者によって製造されたすべての検体システムを含めた、同一および/または異なるロットに由来する複数の検体システムは、同一の較正コードを含みうる。
【0038】
実施の形態は、センサ製造の間に決定される較正コードまたはパラメータが、センサ固有またはロット固有であって差し支えなく、決定の際に、検体モニタリング・システムのデータ処理装置に自動的に、または手動で提供されうる、センサおよびセンサシステムを含む。例えば、特定の製造センサについて決定した較正コードまたはパラメータは、インビボ使用の前に、使用者が手動でコードまたはパラメータを検体モニタリング・システムのデータ処理装置に入力することを必要とするように、センサ包装に提供されうる。
【0039】
上述し、下記にさらに詳細に説明するように、本開示の検体センサの実施の形態は、作用電極のグルコースセンシング層および/またはグルコース限界膜を備えた、センサの活性領域を調節する技術および手順で製造したセンサを含む。例えば、本開示の実施の形態に従った検体センサは、(1)センサの再現可能な活性領域 、(2)均一なセンサ膜厚および組成、(3)安定な活性酵素、および(4)予測可能な生物的適合性を提供する。例えば、作用電極に対するグルコースの流束はセンサ膜の厚さに比例することから、実質的に均一な膜厚で製造したセンサは、使用者によるインビボ較正を必要としない、すなわち、工場較正されうる、または製造後およびインビボ使用の間に較正の必要がない、センサを提供する。
【0040】
全般的なセンサ構造
図1は、本開示の1つの態様に従った検体センサの平面図を例証している。図1を参照すると、1つの実施の形態では、検体センサ100は、近接部110および遠位部120を有するセンサ本体を具備する。センサ100の遠位部120の遠位末端126は、使用者の皮膚表面を通じた経皮的配置に適したまたは妥当な幅を有しうる。例えば、1つの態様では、遠位部120は、使用者の皮膚層下に挿通するための遠位端126を画成するため、約2mm以下、または約1mm以下、または約0.5mm以下、または約0.3mm以下、または約0.25mm以下の幅を有するように寸法化されて差し支えない。
【0041】
ある特定の態様では、図1に示すように、導電材料は、センサ100に配置される。導電材料は、電極121a、121b、121c、伝導性経路122a、122b、122cおよび接点123a、123b、123cのうち1つ以上を具備しうる。1つの実施の形態では、1つ以上の電極121a、121b、121cは、センサ100の遠位部120の遠位末端126の近くに配置される。このように、1つ以上の電極121a、121b、121cは、例えば、対象とする検体の体液を検出および測定するために、間質液と流体接触して、使用者の組織に埋入される。検体センサによって発生した信号は、伝導性経路122a、122b、122cを通じて、最終的には下記の送信回路に伝達される。1つ以上の電極121a、121b、121cは、1つ以上の作用電極、1つ以上の対電極、1つ以上の参照電極、またはそれらの組合せを1つ以上含みうる。1つの実施の形態では、センサ100は、3つの電極、例えば、作用電極、対電極、および参照電極を含みうる。しかしながら、他の実施の形態は、参照することによってその開示が本明細書に援用される、米国特許出願第61/247,519号、および同第12/393,921号の各明細書に記載されるように、それ以上または以下の数の電極を含むこともできる。さらなる実施の形態では、多数の作用電極がセンサに提供されて差し支えない。図1の電極121a、121b、121cは、隣り合った構成で示されているが、しかしながら、他の電極構成を使用してもよく、限定はしないが、積層された構成が挙げられる。さらには、本開示に従ったセンサの実施の形態は、限定はしないが、平面センサ、ワイヤセンサ、積み重なった、または積層電極を有するセンサ(例えば、電極が絶縁または基板材料によって隔てられている場合)、ならびに、基板上に、同一平面上に隣り合って配置された電極を有するセンサを含む。
【0042】
適切な導電材料としては、限定はしないが、ポリマー厚膜結合剤におけるランプブラックカーボン、ガラス状炭素、グラファイト、銀、塩化銀、白金、パラジウム、イリジウム、白金イリジウム、チタニウム、金などが挙げられる。導電材料は、スパッタリング、エバポレーション、印刷、または押出成形を含めたさまざまな技術によってセンサに施用することができ、または、基板は、レーザーアブレーション、またはフォトリソグラフィーを使用してパターン化することもできる。ある特定の態様では、例えば、センサに施用する導電材料として金を使用する場合、金材料の厚さは、およそ40nm~120nmの範囲、例えば、およそ50nm~80nm、例えば、およそ60nmの範囲でありうる。材料の寸法の典型的な範囲を上述したが、本開示の実施の形態は、規定した範囲より大きいまたは小さい他の寸法も意図しており、本開示の範囲は上記の典型的な寸法に限定されると解釈されるべきではない。
【0043】
図2は、本開示の別の態様に従った検体センサの平面図を示している。図2は、図1のセンサ100の別のセンサ構成を例証している。1つの実施の形態では、図2に示す検体センサ200は、近位部210および、遠位端226を備えた遠位部220を具備する。センサ200の遠位部220および遠位端226の寸法は、1つの態様では、図1と併せて上にさらに詳細に説明したように、使用者の皮膚表面を通じた経皮的配置を促進するように構成される。
【0044】
ある特定の態様では、図2のセンサ200は、電極221、伝導性経路222a、222b、222cおよび接点223a、223b、223cの1つ以上を形成する、センサ200上に配置された導電材料も具備する(図1と併せて上にさらに詳細に説明したように)。図2の電極221は、各電極の導電材料は互いに積層され、不伝導の誘電体層によって隔離される、積層された構成で示されているが、しかしながら、上述のように、他の構成であってもよく、限定はしないが、隣り合った構成も使用して差し支えない。他の実施の形態では、電極、伝導性経路、および/または接点は、センサ本体の両側に提供される。他のセンサ設計および電極構成もまた本開示の範囲内で提供され、限定はしないが、平面およびワイヤセンサおよび積層、隣接、およびねじった電極構成が挙げられる。他の典型的なセンサおよび電極の構成は、とりわけ、米国特許第6,175,752号、同第6,134,461号および同第6,284,478号の各明細書、および米国特許出願公開第2007/0135697号明細書から入手することができ、これらは、参照することによってすべての目的において本明細書に援用される。
【0045】
図3Aは、1つの実施の形態における、図1の検体センサ100の遠位部120の遠位端部126を例証している。1つの態様では、センサ100の遠位端部126は、少なくともある程度、使用者の皮下および/または経皮的組織に配置され、間質液などの体液と接触するように適合される。センサ100は、1つの態様において、例えば、ポリエステル系材料またはポリイミドなどのポリマー材料から製造した基板102を具備しうる。
【0046】
再び図3Aを参照すると、1つの態様において、検体センサ100は、作用電極121a、対電極121b、および参照電極121cを備える。伝導性経路122a、122b、122cは、それぞれの対応する接点123a、123b、123cを有する電極121a、121b、121c間の電気的接続を提供する(図1)。例えば、以下に詳細に説明する酵素および随意的な電子移動剤など、検体の検出に使用されるセンシング層112は、少なくとも作用電極121aに施用される。センシング材料(例えば、作用電極に施用される成分の1つ以上がない、例えば、酵素および/または随意的な電子移動剤がない)は、1つ以上の他の電極に施用されうる。少なくともセンサ100の遠位端部126は、生体適合性の膜114で覆われうる。
【0047】
図3Bは、1つの態様における、センサ100の遠位端部126の断面図を例証している。図示するように、1つの実施の形態では、センサ100は、誘電体または基板102、および、基板102に施用された、ガラス状炭素、グラファイト、銀、塩化銀、白金、パラジウム、白金イリジウム、チタニウム、金、またはイリジウムなどの導電層でありうる、随意的な第1の層116を備える。層116は、スパッタリングまたはエバポレーション法を使用する接着層でありうる。ガラス状炭素、グラファイト、銀、塩化銀、白金、パラジウム、白金イリジウム、チタニウム、金、またはイリジウムなどの導電材料を含む作用電極121aは、一部の実施の形態では、基板102の接着層116上に施用されうる。他の実施の形態では、導電材料は、接着層116上のある領域にのみ施用されて作用電極121aを形成して差し支えなく、もしくは、接着層116上の作用電極121aの領域より大きい領域に施用することもでき、あるいは、接着層116全体にわたり施用されてもよい。作用電極121aの端縁は、例えば、過剰の材料または別の成形材料の除去など、端縁を修正するレーザーアブレーションなどの手法によって正確に画成されうる。導電材料を施用する同様の技法およびレーザーアブレーションもまたトレース122a、122b、122c、対電極121b、参照電極121c、または導電材料がセンサに施用される任意の他の領域の形成または提供に関連して用いられて差し支えない。
【0048】
ある特定の実施の形態では、参照電極121cは、例えば、スクリーン印刷、押出成形または電解析出または電気めっきなどを用いて、銀/塩化銀でコーティングされうる。ある特定の態様では、センサに施用する金などの導電材料の厚さは、およそ40nm~120nmの範囲であって差し支えなく、例えば、およそ50nm~80nmであり、例えば、およそ60nmである。さらには、1つの態様では、第1の層116は、およそ10nm~30nmの範囲であって差し支えなく、例えば、およそ20nmである。
【0049】
図3Bを再び参照すると、1つの態様では、カバーレイ材料118がセンサ100の遠位端部126に施用されうる。1つの実施の形態では、カバーレイ材料118は、電極121a、121b、121cにのみ施用される。さらに他の実施の形態では、カバーレイ材料は、作用電極121a、または実質的に基板102全体に施用される。カバーレイ材料118は、一部またはすべての電極をカプセル化し、環境絶縁および電気絶縁を提供するために使用されて差し支えない。ある特定の態様では、カバーレイ材料118は、例えば、限定はしないが、例えばポリイミドまたはポリエステル系材料などの光画像形成性の材料を含みうる。すなわち、ある特定の実施の形態では、ポリマーまたはカバーレイ材料118は、例えば、センサ化学などの利用に対する接点および/またはセンサ電極の露光など、ポリマー部分を除去可能にする、光画像形成性でありうる。本開示のある特定の態様では、コーティングポリマーまたはカバーレイ材料118の一部は、パターンを形成するようにマスクされ、次に、センサのさらなる処理のために、ポリマーコーティングの一部を除去するために露光および現像されうる。ある特定の態様では、コーティングポリマーは、レーザーアブレーション、化学研磨などの他の方法によって除去されてもよい。また、センサ製造プロセスの間に除去するために、ポリマーまたはカバーレイ材料118の目標とする特定領域に、二次フォトレジストを使用して差し支えない。
【0050】
ある特定の態様では、例えば作用電極121aなど、電極の1つ以上を露光するのに十分な深さまで、例えばフォトエッチングなどのフォトリソグラフィー技術を使用して、空隙またはウェルなどの開口部120が、カバーレイ材料118に創出または画成されうる。フォトリソグラフィー技術は、ある特定の実施の形態では、露光後に、露光部分がそれぞれ可溶性または不溶性になる、ポジティブまたはネガティブ・フォトレジストを使用する。可溶化部分は、露光後、洗い出しまたは現像、エッチングおよびストリップの工程を経て除去される。露光工程は、ある特定の態様では、マスクの露光工程が生じる前に、マスクアライナのビジョン機構に特有の金属層の基準機能を使用して、現存する金属層に対し、(X、Y)または(X、Y、θ)段階を経てフォトマスク(例えば、カバーレイ材料118上)を整列させる、正確なマスクアライナを使用する。マスクの露光工程は、フォトマスクの所望の部分を、例えば、フォトマスクの曝露部分の溶解性を変化させる紫外線に露光する。フォトマスクは、ある特定の実施の形態では、石英、ガラスまたはポリエステルなどの紫外線波長において透明な材料でできている。
【0051】
次に、作用電極121a上に開口部120として示される、形成された空隙またはウェルに、検体との反応に用いられるセンシング層112が配置される。ある特定の実施の形態では、1つ以上のセンシング層成分が、1つ以上の他の電極に堆積されうる。さらに図3Bに示されるように、生体適合性の膜114はセンサ100の遠位端部126を取り囲む。他の実施の形態では、生体適合性の膜114は、経皮的配置用に構成されたセンサ100の全部を取り囲むことができる。
【0052】
本開示のある特定の態様では、1つ以上の電極を部分的にまたは完全に覆う、1つ以上の電極の上に配置されたカバーレイ材料118は、例えば、非導電性のポリマーを含みうる。適切な絶縁材料としては、限定はしないが、ポリエチレンテレフタレート、パリレン、フッ素化ポリマー、ポリウレタン、ポリイミド、他の不伝導のポリマー、ガラスまたはセラミックが挙げられる。絶縁材料は、さまざまなコーティング方法によって電極にコーティングされて差し支えなく、限定はしないが 化学または物理気相成長法、ホットローラー積層、スプレーコーティング、ディップコーティング、スロットダイ押出成形、直接被覆、または他のコーティング技術が挙げられる。一部の実施の形態では、絶縁コーティングは、電極から部分的または選択的に剥ぎ取られ、電気活性表面が露光される。一部の実施の形態では、絶縁基板(例えば、誘電材料)および電極は、積層された幾何学的配置で配列することができる(すなわち、電極間に絶縁基板が配置される)。別の実施の形態では、電極は、参照することによってその開示が本明細書に援用される、米国特許第6,175,752号明細書に記載されるように、隣り合った幾何学的配置で配列されてもよい。
【0053】
図4Aおよび4Bは、本開示の別の実施の形態に従った検体センサの構成を示している。さらに具体的には、図4Aはセンサ基板本体の平面図を示し、図4Bは、皮膚層を通じて、間質液と流体接触した、経皮的配置のための屈曲または角度のある部分を伴って構成されたセンサ本体を例証している。図4Aにさらに示されるように、さまざまな電極、伝導性経路および接点の配置/構成は、図1および2に示す実施の形態と比較して、異なりうる。しかしながら、皮下および/または経皮的配置ように構成された図4Aに示すセンサの遠位端部は、図3Aおよび3Bに示す較正および/または配置と同様または同一でありうる。
【0054】
図4Aおよび4Bを参照すると、1つの実施の形態では、センサ400は、近位部410、遠位部420、および中間部425を備える。中間部425は、遠位部420からの位置および/または方向に対して所定の角度で提供されうる。例えば、中間部425は、遠位部420から横方向にずれるか、または、ねじれていてもよい。この目的を達成するために、中間部425と遠位部420の間にギャップが画成されうる。ギャップは、中間部425および遠位部420の主軸が互いに平行状態を保つように、その長さに沿って一定の間隔を有していてもよく、またはその長さに沿って可変間隔を有しうる。
【0055】
さらには、図4Bに示すように、センサ400の近接部410は、中間部425および/または遠位部420に対して所定の位置および/または方向に提供されうる。このように、第2のギャップは、センサ本体400の近接部410と中間部425の間に画成されて差し支えなく、ここで、近接部410の少なくとも一部が中間部425から横方向にずれる。中間部425および中間部425と近位部410および遠位部420の間の対応するギャップは、中間部425が、センサ挿通の間に使用した鋭い挿通体(例えば、導入針)の除去、およびその後の皮膚層下へのセンサ挿通または配置後の使用者または患者からの導入針または鋭い挿通体の除去または抜去の補助に使用されるように、構成されて差し支えない。
【0056】
さらに図4Aおよび4Bを参照すると、ある特定の態様では、図4Aおよび4Bのセンサ400も、センサ400上に配置されて、使用者の皮膚表面を通じた経皮的配置を促進するように構成された遠位端部426に1つ以上の電極421を形成する導電材料(図1と併せて上にさらに詳細に説明した)、伝導性経路422a、422b、422cおよび接点423a、423b、423cを備える。1つの実施の形態では、導電材料は、センサ400の中間部425には配置されない。限定はしないが、図1および2に関する配置および構成など、電極421、伝導性経路422a、422b、422cおよび接点423a、423b、423cのさまざまな他の構成および/または配置もまた本開示の範囲内に含まれ、例えば、センサの伝導性経路422a、422b、422cおよび接点423a、423b、423cの同一平面上または同軸上の配置または配向、および、センサのねじれ電極または積み重ね電極または積層電極の対応する電極、または、基板の両側または両表面に提供された電極を含む両面センサ構成が挙げられる。
【0057】
センサの活性領域
ある特定の実施の形態では、本開示に従ったインビボセンサは、作用電極の再現可能な活性領域を有する。すなわち、各製造センサでは、活性領域(作用電極におけるセンシング化学の領域として画成)のパラメータまたは特性は、活性領域の変動係数(CV)が、センサロット内のセンサ間で約5%未満、例えば約3%未満、例えば約1%未満になるように再現可能である。これは、活性領域が正確に画成された、インビボセンサ製造の間の製造プロセスの制御および規定された手順によって達成されうる。
【0058】
センサの活性領域の再現性は、1つの態様において、活性領域、すなわち、製造センサ内のセンシング要素と接触する作用電極領域の実質的に一定の寸法(幅、長さ、半径および厚さ)を維持することによって、センサ間の変動感度を最低限に抑える。
【0059】
ある特定の実施の形態では、作用電極の活性領域は、製造プロセスの間に、(例えば、使用する膜ポリマーロットの粘度または透過性、またはロットに使用する酵素の活性に関する)値の大きさまたは範囲、あるいは、例えば、センサロット毎における製造精度に影響を及ぼす(従って、再現性に影響を及ぼす)パラメータに関連するそのような値の変動が、決定、理解、分析、または別に習得されるまで、不定であってもよい。例えば、作用電極および酵素/センシング層ポットの領域は、上述のパラメータに関する値が決定、理解、分析、または別に習得されるまで、作用電極の最終的な所望の活性領域よりも大きくて差し支えなく、その時点において、作用電極の活性領域は所望の大きさまたは幾何学的形状にトリミングされうる。トリミング法は以下に記載するレーザー形の方法の1つであって差し支えなく、例えばスキャナ、固定ビーム、またはアブレーションマスクを介して送達または提供される、例えば、紫外線(UV)、赤外線(IR)レーザー、または短パルスが挙げられる。
【0060】
図5Aおよび5Bは、それぞれ、本開示の1つの態様における検体センサの平面図および断面図を例証している。さらに具体的には、図5Aおよび5Bは、少なくとも、作用電極の導電層504の少なくとも一部と同程度またはそれより大きくなるように寸法化されたセンシング層を含む、検体センサ構成を示している。さらに具体的には、図5Aおよび5Bを参照すると、センサ500は、1つの実施の形態において、基板の長さ502の少なくとも一部に沿って延在し、センサの作用電極を形成する導電層504を有する基板502を備える。導電層504は、同一または異なる大きさおよび/または形状でありうる近位部および遠位部を備えていて差し支えなく、例えば、基板502の長さに沿って延在し、幅または半径寸法WCを有するより広いまたは大きい遠位部504bで終わる、狭い近位部504aを備えうる。
【0061】
ある特定の実施の形態では、導電層504は、全体の長さにわたり実質的に一定の幅を有するように製造されて差し支えなく、広い近位部および狭い遠位部などを有していてもよい。遠位部504bは、任意の適切な形状を有して差し支えなく、限定はしないが、円形(図示するように)、卵形、直線的、または他の同等の形状などが挙げられる。導電層504の遠位部504bにはセンシング層506が配置される。この場合も、センシング層506は、任意の適切な形状および領域寸法を有していてよく、導電材料の遠位部504bの一部または全体が覆われうる。図に示すように、センシング層506は、1つの態様において、遠位部504bと実質的に同一の円形形状を有し、周縁が遠位部504bの外縁を超えて延在するように、遠位部504bよりも大きい(または少なくとも同等の大きさである)幅/半径寸法WSを有する領域を有する。
【0062】
センシング材料506の領域にかかわりなく、センサの活性領域510は、遠位の導電性部分504bの領域によって決定されうる。このように、活性領域510の寸法は、導電層504の遠位部504bの領域を変動させることによって変動されうる。作用電極の導電層504の寸法に応じて、対応するセンシング層の領域は可変でありうるが、図示するように、センシング層は、上述のように作用電極を形成する、対応する導電層504の領域と少なくとも同等の大きさの活性領域を有する。
【0063】
ある特定の実施の形態では、センシング層WSの幅/半径は、約0.05mm~約1.0mmの範囲であって差し支えなく、例えば、約0.1mm~約0.6mmであり、導電層WCの幅/半径は、約0.1mm~約1.0mmの範囲であり、例えば、約0.2mm~約0.6mmであり、それに伴って得られた活性領域は、約0.0025mm2~約1.0mm2の範囲であり、例えば、約0.01mm2~約0.36mm2である。
【0064】
図5Aおよび5Bをさらに参照すると、ある特定の実施の形態において、絶縁/誘電体層508は、導電層504の近位部504aの少なくとも一部に配置または積層される。追加の導電および誘電体層も提供されて差し支えない。
【0065】
図6Aおよび7Aは、正確に形成された活性領域を有する、それぞれのセンサの挿通先端または尾部の上面図を例証しており、図6Bおよび7Bは 、それぞれ図6Aおよび7Aの線B-Bに沿った、それぞれのセンサの断面側面図である。図6Aおよび6Bを参照すると、センサ600は、基板の長さの少なくとも一部に沿って延在してセンサの作用電極を形成する、導電層604を有する基板602を具備する。導電層604は、基板602の遠位端610の近くで終わって、このように、「フィンガー」構成を提供して差し支えない。あるいは、導電層604aは、図に示すように、センサ600の遠位端610まで延在しうる。1つの態様では、作用電極604は、基板602の幅より小さい幅WCを有し、基板の側端612から選択した距離だけ延在し、この距離は、側端612のそれぞれから等距離であっても異なっていてもよい。導電層604の長さの一部にセンシング層606が配置され、このセンシング層は、この実施の形態に示すように、導電層の長さと実質的に直角であり、基板602の側端612から側端612まで延在する、連続的なストリップ/バンドを提供する。センシング層606は、作用電極604の一部または全長に及びうる、幅WSを有する。図示するように、活性領域614は、作用電極604およびセンシング層606の重複部分によって画成される。
【0066】
図6Aおよび6Bを参照すると、本開示のある特定の態様では、センシング層の幅WSは約0.05mm~約5mmの範囲であって差し支えなく、例えば、約0.1mm~約3mmであり、導電層の幅WCは約0.05mm~約0.6mmの範囲であって差し支えなく、例えば、約0.1mm~約0.3mmであり、得られる活性領域は、約0.0025mm~約3mmの範囲、例えば、約0.01mm~約0.9mmの範囲である。
【0067】
センシング層606と導電層604の直交の関係性は、交差または重複部分をもたらし、直線的な多角形の構成を有する活性領域614を生じる。しかしながら、本開示の範囲内において、活性領域の任意の適切な形状が形成または提供されて差し支えない。活性領域614の寸法は、センシングおよび導電層のそれぞれの幅の大きさのうち一方または両方を変動させることによって変化させてもよい。再び図を参照すると、絶縁/誘電体層608は、少なくとも、導電層604の近位部に配置または積層される。
【0068】
図7Aおよび7Bを参照すると、別の実施の形態では、センサ700は、基板の長さに沿って延在し、センサ700の作用電極を形成する、導電層704(ある特定の実施の形態では、幾つかの導電層の最初の層であって差し支えなく、それぞれ、作用電極、対電極、および参照電極のそれぞれ1つに対応する)を有する基板702を備える。本開示の実施の形態では、それぞれの電極の導電層704は、作用電極、対電極および参照電極のそれぞれの導電層が基板702上に隣り合って配置または提供されるように、基板702上の同一の面に提供されうる。1つの態様では、作用電極を形成する導電層704は、基板702の長さの少なくとも一部に延在し、この実施の形態では基板702の幅に広がるように示される、幅の大きさWCを有する遠位部を少なくとも備える。
【0069】
導電層704の長さの一部には、実質的に直角であり、基板702の側端712から側端712まで延在する連続的なストリップ/バンドを提供する、センシング層706が配置される。1つの態様では、センシング層706は、作用電極704の幅WC(ならびに基板702の幅)よりも狭い、定義された幅WS を有しうるが、作用電極および/または基板と実質的に同一であるか、またはそれより広くてもよい。ある特定の実施の形態では、センシング層の幅WSは、約0.05mm~約5mmの範囲であって差し支えなく、例えば、約0.1mm~約3mmであり、導電層WCの幅、すなわち、基板の幅は、約0.1mm~約1mmの範囲であり、例えば、約0.2mm~約0.5mmであり、それに伴って得られた活性領域は、約0.005mm2~約5mm2の範囲であり、例えば、約0.02mm2~約1.5mm2である。
【0070】
この場合も、図に示すように、センシング層706と導電層704の直交の関係性は、結果的に、直線的な多角形構成を有する活性領域714を画成する交差または重複部分を生じる。しかしながら、本開示の範囲内において、任意の適切な形状が提供されて差し支えない。活性領域714の寸法は、この事例では、導電層の幅の大きさWCと同一である、センシング層の幅の大きさWSおよび/または基板の幅の大きさを変動させることによって変動しうる。さらに図に示されるように、絶縁/誘電体層708が導電層704の少なくとも近位部に配置または積層されうる。
【0071】
ある特定の実施の形態に従って、上述のように正確に画成された活性領域を有する検体センサは、再現可能に製造される。さらに具体的には、手法の1つは、センシング要素のストリップ/バンドを、導電層の長さに直角に、提供、堆積、印刷、またはコーティングすることを含み、ここで、導電層は典型的には作用電極として機能する。この手法は、シートまたはウェブからセンサを個片切断/切断する前に行われうる。特に、製造プロセスがウェブ形の場合、センシング層材料の体積は、隣接したセンサ上に連続的な方法(ストリッピング)で提供される。「センシング・ストリップ」は、センシング・ストリップの幅の大きさが導電材料の幅の大きさに対して直角である、少なくとも、単一のセンサの導電層の幅全体にわたって一定の幅を有するような方法で提供されうる。
【0072】
センシング材料の長さは、導電層の幅の一端または両端を超えて延在して差し支えない。ある特定の態様では、センシング・ストリップが提供される導電層の一部はまた、センサの基板の幅全体に延在するか(図7A)、または、基板の側端の一方または両方の近くで終わる、または後退する(図6A)、一定の幅を有する。導電層の長さは、センサの基板の遠位端までセンサ全長に延在して差し支えなく(図7A)、または、基板の遠位端から近位の規定された距離で途切れていてもよく(図6A)、後者の構成は「フィンガー」構成と称される。
【0073】
実質的に一定の幅を有し、互いに実質的に直角に提供されたセンシングおよび導電層/ストリップの両方を有する、活性領域の交差形式は、センサの長さおよび幅の両方に沿って実質的に一定である。このような実施の形態では、活性領域は、センサ間で再現可能な方法で提供するのが容易でありうる、直線的な多角形を有する。
【0074】
図8Aおよび8Bは、センサの活性領域がセンサ電極(例えば、作用電極)上の誘電体層(例えば、カバーレイ)内の空隙またはウェルによって画成され、センシング要素で満たされた、本開示のさらに別の態様における検体センサのそれぞれ平面図および断面図を示している。図面を参照すると、1つの実施の形態では、センサ800は、基板の長さの一部に沿って延在し、センサの作用電極を形成する導電層804を有する基板802を備える。導電層804は、基板802の長さの大部分に延在し、幅または半径寸法WCを有する広いまたは大きい遠位部804bで終わる、狭い近位部804aを備えうる。ある特定の態様では、導電層804は、全長にわたり実質的に一定の幅を有していて差し支えなく、広い近位部および狭い遠位部などを具備しうる。遠位部804bは、任意の適切な形状を有していて差し支えなく、限定はしないが 直線的、卵形、円形、または他の同等の形状が挙げられる。導電層804には、図8Bに示すように、導電層804の遠位部804b上に配置された空隙またはウェル810を有する、誘電体層808が配置される。誘電体層808は基板802aを周端縁812までオーバーレイするように示されているが、誘電体層808の外縁部は適切な境界を有しうる。空隙810内にはセンシング材料806が配置され、センサの活性領域を画成する。実施の形態は、空隙810の先端またはその上に配置されうる、グルコース流制限層、干渉層、生体適合層などをさらに備える。例えば、実施の形態は、空隙/ウェルの寸法に近づけるように寸法化され、センサ800の他の部分には積層されない、誘電体層808を具備する。
【0075】
図8Aおよび8Bを再び参照すると、センサの空隙/ウェル810の側壁、および活性領域806の形状は、任意の適切な形状を有していて差し支えなく、限定はしないが、円形(図示するように)、卵形、直線的などが挙げられる。空隙810の領域寸法は、半径寸法DV(円形空隙の場合)に基づいて決定され、幅および長さ寸法(直線的な空隙の場合)は、センサの活性領域806の所望の領域に基づいて選択される。よって、活性領域806の寸法は、製造プロセスの間に空隙810の領域を変動させることによって変動しうる。加えて、図8Aおよび8Bに示す1つの実施の形態における画成された、再現可能な空隙/ウェル810は、インビボセンサのグルコース限界膜の厚さを画成しうる。 例えば、再び図3Bを参照すると、1つの実施の形態では、作用電極121a上の所定の活性センシング領域を画成または曝露するために除去するカバーレイ材料118の一部は、さらに、活性センシング領域112上に配置されるグルコース限界膜の厚さも画成しうる。
【0076】
空隙810の領域は、導電性の遠位部804bよりも小さいように例証されているが、ある特定の実施の形態では、後者の領域と同等の大きさであって差し支えない。しかしながら、ある特定の実施の形態では、導電性の遠位部より大きくはない。さらに、空隙810/活性領域806は、導電性の遠位部804bの内部領域の中央に配置されるように例証されているが、本開示の範囲内において、空隙810/活性領域806の一部は、中央に配置されるのではなく、導電性の遠位部804bの領域内でオフセットされてもよい。ある特定の実施の形態では、活性領域の面積は、約0.01mm2~約1.0mm2の範囲にあり、例えば、約0.04mm2~約0.36mm2である。
【0077】
図8Aおよび8Bの実施の形態における活性領域は、誘電材料808内の空隙810の面積にに応じて決まることから、誘電材料を使用する製造技術は、非常に正確な施用、ならびに、誘電材料を施用する正確な技術を支持し、内部に空隙の形成を提供する。例えば、光画像形成性のポリマー材料は、誘電材料用途に使用して差し支えなく、これは、溶液から、または、光画像形成性のフィルムおよび光リソグラフィ法によって内部に形成される空隙を使用するロール・プレス法によって、基板/導電材料上に配置される。
【0078】
正確なセンサ寸法
図9A~9Cは、それぞれ、1つの態様に従った両面のある検体センサの上面、底面および断面側面図を例証しており、ここで、誘電体の両面は導電材料を備える。図9A~9Cを参照すると、例えば、センサの尾部の遠位部など、センサ900の両面性の埋入可能な部分の実施の形態が例証されている。特に、図9Aおよび9Bは、それぞれ、尾部900の上面および底面図を提供し、図9Cは、図9Aの線C-Cに沿った同一の断面側面図を提供する。
【0079】
図面を参照すると、1つの態様では、センサ尾部900は、基板902の上面の表面積全体を実質的に覆う、上面の導電層904aを有する基板902(図9C)を含む。すなわち、導電層904aは、遠位端912に及び、側端914aから側端914bまでの基板全体の幅にわたる、実質的に基板の全長に延在する。同様に、底部導電層904bは、基板の尾部900の底部側全体を実質的に覆う。さらに図示するように、導電層の一方または両方は、遠位端912の近くで終わって差し支えなく、および/または、基板902の幅よりも短い幅を有してもよく、ここで、前記幅は基板の側端914a、914bからの選択した距離を終結させ、この距離は等距離であって差し支えなく、あるいは、側端のそれぞれから変動してもよい。
【0080】
1つの態様では、上部または底部導電層の1つ、ここでは、上部導電層904aは、センサの作用電極として作用するように構成されて差し支えなく、一方、対向する導電層、すなわち底部導電層904bは、参照電極および/または対電極として構成されうる。ある特定の実施の形態では、作用電極は、2つの作用電極を備えた単一のセンサを提供するようにセンサの両側に配置されて差し支えない。参照電極または対電極として構成された導電層904bを有する実施の形態では、両方ではないが、第3の電極は、随意的に、センサの近位部の表面領域(図示せず)に提供されうる。例えば、導電層904bは、センサの埋入不可能な近位部に存在する参照電極および第3の導電層(図示せず)として構成されて差し支えなく、センサの対電極として機能しうる。
【0081】
再び図を参照すると、導電層/作用電極904aの長さの遠位部には、センシング要素906が配置される。少量のセンシング材料のみが検体の酸化または還元を促進することが必要とされることから、センサ尾部の遠位端またはその近くにセンシング層906を配置することで、必要とされる材料の量が低減される。センシング層906は、センサの活性領域を画成する作用電極904aとセンシング層906の重複部分または交差を有する基板の側端914a、914b間に、それらに対して実質的に直角に、連続的なストリップ/バンドの状態で提供されうる。センシング層906と導電層904の直交の関係性に起因して、活性領域は直線的な多角形構成を有する。しかしながら、任意の適切な形状が提供されて差し支えない。活性領域914の寸法は、センシングおよび導電層のそれぞれの幅の大きさのいずれかまたは両方を変動させることによって変動されうる。センシング層906の幅WSは、作用電極の全長、またはその一部のみを覆って差し支えない。導電層の幅WCは、この実施の形態における尾部の基板幅の影響を受けることから導電層と基板の間のレジストレーションまたは解像度の不一致が除去される。ある特定の実施の形態では、センシング層の幅WSは約0.05mm~約5mmの範囲であり、例えば、約0.1mm~約3mmの範囲であり;導電層の幅WCは、約0.05mm~約0.6mmの範囲であり、例えば、約0.1mm~約0.3mmの範囲であり、約0.0025mm2~約3mm2の範囲、例えば、約0.01mm2~約0.9mm2の範囲の得られた活性領域を有する。
【0082】
電極を再び参照すると、ある特定の実施の形態では、同一の材料および方法が、上部および底部電極の作製に使用されうるが、異なる材料および方法も使用して差し支えない。図9A~9Cの例証する実施の形態のように、基板の対向する側に配置された作用電極および参照電極を有するある特定の実施の形態では、それぞれの電極を形成するために、2つ以上の異なる種類の導電材料を使用して差し支えない。
【0083】
それぞれの電極のための導電材料の選択は、一部には、センサ電極におけるセンシング層のメディエータの所望の反応速度に基づいている。ある特定の実施の形態では、対電極/参照電極におけるレドックスメディエータの反応速度は、例えば、対電極/参照電極における反応速度を増大させるために適用電位よりも高い過電圧または電位を必要とするであろう対電極/参照電極の材料の選択によって制御される。例えば、一部のレドックスメディエータは、銀/塩化銀(Ag/AgCl)または金電極よりも炭素電極で速く反応しうる。
【0084】
したがって、ある特定の態様では、図9A~9Cに示すセンサの実施の形態は、センサの参照電極を集合的に形成するために、底部導電層904bの遠位部上に配置されたAg/AgClなどの材料の導電層910の二次層を有する、チタニウム、金炭素または他の適切な材料などの材料を含む、実質的に完全な長さの導電層904a、904bを備えたセンサ構成を提供する。センシング層906と同様に、導電材料910は、基板の側端914a、914bの間に、それらに実質的に直角に連続的なストリップ/バンドに提供されうる。層910は、センシング層906の近くの基板902上(だが基板の反対側)に配置されて示されているが、層910は、参照電極904aの尾部900上の任意の適切な位置に配置されて差し支えない。例えば、図10A~10Cに示すように、参照電極1008bの二次導電材料1010は、センシング層1006と一致する、および/またはセンシング層1006よりも遠位にあってもよい。
【0085】
図を再び参照すると、絶縁/誘電体層908a、908bは、電極の近位部、すなわち、経皮的配置の際に皮膚の外部に一部残る電極部分を絶縁するために、少なくともセンサ本体部分(図示せず)の上のセンサ900の各側に配置されうる。作用電極904a上に配置された上部の誘電体層908aは、遠位側に延在して差し支えないが、センシング層906部分の上には延在せず、または、ある特定の実施の形態では、一部を覆ってもよいが、センシング層906のすべてではない。あるいは、図10A~10Cに示すように、センサの作用電極側の上の誘電体層1008aは、図10Cに最良に示されるように、誘電体層1008aが導電層1004a上に互いに隔てられた少なくとも2つの部分を有するように、センシング層1006より先に提供されうる。次に、2つの部分の間の空間にセンシング材料1006が提供される。
【0086】
センサの底面電極/参照電極上の誘電体層に関しては、センサの尾部に任意の適切な長さで延在して差し支えない、すなわち、一次および二次導電層の両方の全長またはそれらの一部に延在しうる。例えば、図10A~10Cに示すように、底部誘電体層1008bは、二次導電材料1010の底部表面積全体にわたって延在するが、一次導電層1004bの長さの遠位端1012の近くで終了する。側端基板1002に沿って延在する少なくとも二次導電材料1010の末端は、最初に、誘電体層1008bによって覆われるが、センサの個片切断の後、二次導電層1010は、基板1002の側端に沿って曝露され、このように、稼働使用時にインビボ環境に曝露されることに留意されたい。図10A~10Cにさらに示すように、底部誘電体層1008bは、ある特定の実施の形態において、二次導電層1010の近くで終了する、ある長さを有しうる。
【0087】
さらに、1つ以上の検体流束調節層および/または干渉物質除去層(interferent-eliminating layer)および/または生体適合層として機能しうる1つ以上の膜が、1つ以上の最外部層としてセンサの周りに提供されてもよい。ある特定の実施の形態では、検体のセンシング層への拡散または流束速度を調節するために、図9Cに示すように、第1の膜層916が、作用電極904aのセンシング要素906上に単独で提供されうる。単一の要素/材料上に膜層が提供される実施の形態では、他の材料/要素に使用するものと同一のストリップ構成および方法を用いて、そのようにするのが適切でありうる。ここでは、膜材料916のストリップ/バンドは、センシング ストリップ/バンド906の幅よりも広い幅を有しうる。
【0088】
それがセンサの活性領域への検体の流束を制限するように作用し、したがって、センサ感度に寄与することから、膜916の厚さの調節は重要である。すなわち、再現可能な検体センサの製造は、実質的に一定の膜厚を含む。ストリップ/バンドの形態における膜916の提供は、厚さの調節を促進する。センサ尾部の残りの表面領域を覆う第2の膜層918もまた、生体適合性のコンフォーマルコーティングとしての役割をし、センサ全体に滑らかな端縁を提供するために、提供されうる。他の実施の形態では、図10Cに示すように、単一の均質な膜1018が、センサ表面領域全体に、または少なくとも遠位尾部の両側にコーティングされうる。センサの遠位端および側端をコーティングするため、膜材料には 、その後、センサ前駆体の個片切断を施さなければならないことに留意されたい。
【0089】
ある特定の実施の形態では、センサロット上への非常に正確な膜コーティングは、幾つかの方法で達成されうる。膜がセンサの個片切断工程の後に施用される場合には、膜は、例えば、スプレーコーティングまたはディッピング法で施用して差し支えない。ディッピング法の場合には、センサロットにわたる膜配合物の粘度の調節は、例えば、浸漬浴(dip bath)の温度を下げることによって制御される。あるいは、センサは、粘度を直接決定することができ、出口速度などのディッピング・パラメータを制御して、センサロットにわたる粘度変化を計上することができる、浸漬浴に取り込んで差し支えなく、それによって、原料成分(例えば、センサ複合材料)の潜在的な製造過程の変動にかかわらず、実質的に同一の浸漬厚さを保つ。
【0090】
ある特定の実施の形態では、他の検出器または測定装置またはシステムを使用して、施用した膜の厚さをモニタリングし、工程パラメータを調整して、センサロットにわたる厚さ変動性の低さを確実にしてもよい。例えば、検出器または測定装置またはシステムは、測定または検出された情報に基づいて、低い厚さ変動性を維持するように、センサロットに対する調整がなされ、製造の間に各センサロット内の最小限のまたは有意でないセンサ間の変動を生じうるように、膜および/または下地(underlying)電極の1つ以上の厚さを測定、検出、または決定することができる、例えば、レーザー変位検出器、短い波長で操作するものを含めた共焦点レーザー変位検出器、容量検出器、および他の検出器または測定装置から選択して差し支えない。本開示の態様では、膜厚に関する前述の測定または検出は、各センサについて行って差し支えなく、厚さの許容差範囲外にあることが測定または検出された膜厚を有するセンサは(センサ間の変動の耐性基準に基づいて規定または決定されるように)、製造プロセスの間に廃棄、またはインビボ使用に不適切であるとタグ化または通知されうる。
【0091】
センサ製造プロセス-両面センサ
センサ上のセンシング要素の提供の精度の改善、したがって、得られた活性領域の精度の改善は、センサ間の感度変動性を大幅に低減し、インビボ使用の間のセンサの較正の必要性を大幅に排除しうる。さらに、本方法は、誤った低い読み取りを生じうるその場(in situ)における環境条件の影響を極めて受けにくいマイクロ寸法化した尾部を備えた、現在利用可能なセンサよりも小さいセンサ完成品を提供する。
【0092】
対象とする方法のバリエーションでは、本センサの製作において、1つ以上の工程を行うために、ウェブ系の製造技術が用いられ、その工程の多くは、参照することによりその全体がすべての目的において取り込まれる、米国特許第6,103,033号明細書にされている。製造プロセスを開始するため、基板材料の連続的なフィルムまたはウェブが提供され、必要に応じて熱処理される。ウェブは、個別のセンサ前駆体を画成する事前の切り込みまたはミシン目を有していてもよい。次に、上述のさまざまな技術の1つ以上によって、ウェブの両側に提供された作用および参照(または対/参照)電極トレースを備えた、さまざまな導電層が基板ウェブ上に形成される。
【0093】
また、前述のように、第3の随意的な電極トレース(例えば、対電極として機能しうる)が、センサ前駆体の近位の本体部分に提供されてもよい。前駆体センサの尾部領域に提供される「第1の」伝導性経路は、最終的なセンサ構成の尾部の所望または所定の幅よりも大きい幅の大きさを有する。伝導性経路の前駆体の幅は、約0.5mm~約3mmの範囲の幅を含めた、約0.3mm~約10mmの範囲であって差し支えなく、またはもっと狭くてもよく、例えば、約2mm~約3mmである。ある特定の実施の形態では、一次導電層は、センサ前駆体の尾部に沿って任意の適切な長さまで遠位側に延在して形成されうるが、必要なセンサ尾部長さを最小限に抑えるために、少なくとも、完成したセンサの意図される遠位端まで延在することが好ましい。
【0094】
次に、用いる場合には、センシング層および二次導電層が、基板または基板ウェブのそれぞれの側の一次導電層に形成される。上述のように、これらの層のそれぞれは、一次導電層/センサ尾部の長さに対して直角に配置されたそれぞれの材料のストリップまたはバンドに形成されうる。単一の連続的な沈着工程に伴い、センシング・ストリップの平均幅は、基板ウェブに沿って実質的に一定であり、最終的にはセンサ間で一定である。二次導電層(例えば、参照電極におけるAg/AgCl)は、提供される場合には、同様の技術を用いて、連続的な直交するストリップ/バンドに形成されうる。センサ上に材料のさまざまなストリップ/バンドを提供する方法の1つは、インクジェット印刷法(例えば、Scienion Inc.社製造、BioDot Inc.社流通の圧電式インクジェット)を用いて、センシング要素/材料の堆積、印刷またはコーティングによるものである。これらの材料を施用する別の方法は、参照することによってその開示のすべてが、すべての目的において取り込まれる、「正確な流体分配方法および装置(Precise Fluid Dispending Method ans Device)」という発明の名称の米国特許出願第61/165,488号明細書にさらに詳細に記載される高精度ポンプ(例えば、ピストン駆動または蠕動運動によって駆動するもの)および/またはフットニードル(footed needle)によるものである。それぞれのストリップ/バンドは、センサの個片切断前に連続して整列させたセンサ前駆体のウェブ上、または、センサが1つ以上のストリップ/バンドの提供前に互いに個片切断された複数のセンサ/電極上に提供されうる。
【0095】
実質的に一定の幅を有し、互いに実質的に直角に提供されるセンシングおよび導電層/ストリップの両方を有する、その交差が形成する活性領域もまた、センサの長さおよび幅の両方に沿って実質的に一定である。このような実施の形態では、活性領域(ならびに、参照電極を形成する一次および二次導電層の交差領域)は、センサ間で再現可能な方式で提供するのが容易でありうる、直線的な多角形を有するが、しかしながら、任意の適切な活性領域の幾何学的形状を生じる、層の任意の相対配置が用いられて差し支えない。
【0096】
センサ前駆体、すなわち、基板材料(ならびに、提供される場合には、個片切断時における基板上の導電材料およびセンシング材料)のテンプレートは、すり割り、せん断、押し抜き、レーザー個片切断などを含めた任意の便利な切断または分離手順を用いて、互いに個片切断されうる。これらの切断方法も非常に正確であり、センサの活性領域が、ある程度センサの幅(すなわち、基板尾部)に依存する場合には、センサ間の非常に正確な寸法を有することをさらに確実にする。さらには、最終的なセンサユニットの意図される寸法または境界を超えて延在する幅および/または長さ寸法を伴って提供される各材料(すなわち、一次および二次導電材料、センシング要素、誘電材料、膜など)を用いて、材料の解像およびレジストレーションに伴う問題は、一緒に除去されない場合でも、最低限に抑えられる。
【0097】
最終的な個片切断された両面性のセンサ構造は、次の範囲の寸法を有する:約400μm~約150μmの範囲の幅を含む約600μm~約100μmの幅;約6mm~約4mmの範囲の長さを含む約10mm~約3mmの尾部長さ;および、約300μm~約150μmの範囲の厚さを含む約500μm~約100μmの厚さ。このように、センサの埋入可能な部分は、従来のセンサよりも幅ならびに断面において約20%~約80%縮小される。大きさの縮小は、隣接した組織および血管におけるセンサの埋入および衝撃の際に出血および塞栓形成を最小限に抑え、それによって、センサのセンシング要素への検体の側方拡散に対する障害を最小限に抑える。
【0098】
センサ製造プロセス
上述のように、同一のセンサバッチまたはロット内における(または同一の規格に作られたすべてのセンサを用いた)センサ感度の変動を最小限に抑える少なくとも1つ因子は、センサ間の活性領域の寸法(領域、幅、長さ、および/または半径など)を維持することを含みうる。したがって、本開示の態様は、正確に画成された活性領域を有する検体センサを含む。この精度は、センシング層の実質的に同一の幾何学的形状/形状および寸法を維持することによって達成される。現時点における実践では、センシング層を施用する方法(例えば、インクジェット印刷法による、または高精度ポンプおよび/またはフットニードル(footed needle)による)は、結果的に、センシング層の幾何学的形状/形状および寸法に著しい変化を生じる。
【0099】
ある特定の実施の形態では、センサごとに実質的に同一の活性領域を有する検体センサを作製する方法およびプロセスが提供される。ある特定の態様は、意図される活性領域の所望の寸法および表面積を達成するために、センシング層および/または導電層の一部を除去する工程を含む。任意の適切なサブトラクティブ法を使用して、目的とする材料方法を除去してもよい。このような方法の1つは、レーザーを使用して、目的とする材料をアブレーション処理またはトリミングする工程を含む。
【0100】
一般に、レーザーアブレーションシステムは、動力供給(例えば、パルス発生器を備えた)、レーザー媒質、およびビームデリバリーサブシステムを具備する。動力供給パルス発生器は、用いられる場合には、選択されたパルス繰り返し率でパルス化されたレーザー出力を発生させる。ビームデリバリーサブシステムは、トリミングする材料に対しレーザーパルスを位置付け、光サブシステムは光サブシステムの領域内のスポットにレーザーパルスの焦点を合わせるための少なくとも1つのビーム偏向器を具備する。
【0101】
ある特定の態様における非常に正確な検体センサの作製のためのビームデリバリーシステムは、固定作用領域を通じてスキャナに送達されるレーザービームを誘導する、1つ以上の可動鏡を備えたスキャナシステム(走査ヘッドシステム)を具備する。このようなスキャナシステムは、ビームの焦点を平面上に合わせる役割をする平面視野対物レンズ(fθレンズ)を備えていてもよい。あるいは、VarioScan(ScanLab社(ドイツ国所在)製)などの高速集束レンズは、ビームの焦点を3次元空間に合わせるために使用されうる。さらなる構成は、例えば少なくとも1つのスキャナ軸と垂直に、部品を1つ以上の軸において動かす、モーション・プラットフォームに接続された1つ以上の軸において動くスキャナを使用して差し支えない。第2の軸は、独立して、または、スキャナが部品を製作するために、モーション・システムと呼応して動く、可能なコンピュータ数値制御(CNC)がなされる協調的方法で動作して差し支えない。
【0102】
別のビームデリバリーシステムは、部品が典型的にX、Yおよび/またはシータにおいて動き、光学素子は固定された状態のままである、固定ビームデリバリーシステムを含む。別の態様では、固定ビームシステムは、例えば第1の軸と垂直に、1つ以上の軸において動く、機械加工される部品を保持するステージに対して、1つ以上の軸において動くように構成されうる。また、上述の固定ビームデリバリーシステムとスキャナシステムの組合せも使用して差し支えない。
【0103】
さらに別の態様では、マスク投影システムを使用して、マスクの開口領域を通じて材料が除去されうる。各レーザーパルスは、パルスエネルギー、レーザー波長、パルス幅、頻度(または繰り返し率)およびスポット半径を有する。これらのパラメータは、目的とする材料の種類、密度および厚さ、ならびに、除去/トリミングされる材料の要素、領域、または層の大きさに基づいて選択される。本発明のセンサ製造用途では、選択される波長は、小さいスポットサイズ、狭い許容差、高い吸収、およびトリミングのコースに沿って低減または排除された熱影響域(HAZ)という所望の短波長の利益を生じるのに十分に短い。
【0104】
1つの態様では、過剰の材料のトリミングまたはアブレーション処理に紫外線(UV)レーザーが用いられる。製造プロセスに使用するUVレーザーとしては、第三高調波および第四高調波を有する、エキシマレーザーおよびダイオード励起固体レーザーなどの400nm未満の紫外線波長を有するレーザーが挙げられる。ある特定の実施の形態では、約10nm~約380nmの範囲のUV波長が用いられる。特定の実施の形態では、使用するUVレーザーの波長は約355nmより短く、およびさらに具体的には、約266nm~約355nmの範囲である。比較的短い波長を使用することから、目的とする材料のアブレーションは、熱反応ではなく、むしろ光化学反応によって生じる。アブレーションは実質的に熱伝導または熱衝撃を伴わないので、アブレーション処理する材料または任意の下地(underlying)層または基板材料に亀裂などの深刻な損傷を生じない。このように、このタイプのアブレーションは、しばしば、「低温アブレーション」と称される。また、低温アブレーションを用いて、アブレーション処理された表面は、実質的に、材料の再沈着または再固化がない。
【0105】
ある特定の実施の形態では、約100 ナノ(10-9)秒(ns)より短いパルス幅および約20~約80キロヘルツ(KHz)の繰り返し率を有するレーザーを、これらのセンサの製造に使用することができる。本発明の1つの特定の実施の形態では、レーザーアブーションは、超高速レーザーを用いて行って差し支えない。「超高速レーザー」とは、約10ピコ(10-12)秒(ps)より短い、フェムト(10-15)秒(fs)の範囲に近い持続時間を有するパルスからなるレーザーのことを指す。これらのレーザーは、UVレーザーを使用した単一光子のアブレーション機構とは異なる多光子の機構を使用してアブレーション処理する。このように、直線光吸収の要件は、UVから近赤外(IR)スペクトルに至る波長を使用することができる超高速レーザーには適用しない。この目的に適した工業用の超高速レーザーの一例は、、800fsのパルス幅およびおよそ200KHzの繰り返し率を有する、米国カリフォルニア州ペタルマ所在のRaydiance社製造の1552nmレーザーである。
【0106】
本開示の態様に従った検体センサの製造プロセスと併せて使用するUVレーザーの例としては、ダイオード励起固体レーザーなどのネオジムYAG(Nd:YAG)(1064nm)レーザー、第三高調波または第四高調波発生パッケージを備えたYAGレーザー、XeFエキシマレーザー、193nmの波長を有するフッ化アルゴン(ArF)レーザー、および152nmの波長を有するフッ素(F2)レーザーが挙げられる。米国ニューハンプシャー州ペラム所在のPhotomachining社、米国カリフォルニア州ロサンジェルス所在のTamarack Scientific社、米国ニューハンプシャー州ナシュア所在のResonetics Corporation、および英国オックスフォード所在のExitech Limited社などの供給業者によって機械に組み込まれた、米国カリフォルニア州サンタクララ所在のCoherent,Inc.社から市販されるエキシマレーザーは、特に、使用されうる。
【0107】
さらなる態様では、1064nmの波長を有するファイバーレーザーまたはダイオード励起固体レーザーを使用して、センサ製造プロセスの間に過剰の材料をトリミングまたはアブレーション処理してもよい。
【0108】
材料のトリミングに必要とされるレーザー放射の強度(流束量)は、アブレーション処理する材料に応じて決まる。レーザー強度を調整することによって、電極材料をアブレーションすることなく、センシング材料の全体の厚さをアブレーション処理することができ、あるいは、場合によっては、基板をアブレーションすることなく、センシングおよび導電材料の両方をアブレーション処理することが可能である。あるいは、コーティングの厚さは、アブレーション前に見積もりしてもよく、レーザーの強度および/またはパルス数は、見積もられた厚さを適切にアブレーション処理するように調整することができる。特に、各材料は、特定のパルス幅において材料をアブレーション処理するのに必要とされる流束量を特徴づける、その材料自体のレーザー誘起光破壊(LIOB)閾値を有する。本発明に適したレーザーの流束量もまた、アブレーションの目的とされる層または層の厚さに従って選択することができる。さらには、材料を通じて完全にアブレーション処理するのに必要とされるパルス数を、所定のエネルギーまたは流束量に対して計算することができる。言い換えれば、下地(underlying)層の1つ以上をアブレーションすることなく、トリミング1つ以上の標的とされるまたは選択される層に対して適切な強度を有するレーザーが用いられうる。例えば、UVレーザーは、存在する場合には、下部導電層または任意の介在層をアブレーションすることなく、センサのセンシング層をトリミングするように調整されて差し支えない。あるいは、さらなる例によれば、レーザーは、センシングおよび導電層の両方の深さまたは厚さに対して、しかしながら、導電層の下で、トリミングするように調節されうる。
【0109】
1つの態様では、センシング層の表面積の大きさおよび/または幾何学的形状/形状が、作用電極の下地(underlying)導電材料の表面積の大きさおよび/または幾何学的形状/形状と適合するように、センシング層からの材料が除去される。導電材料およびセンシング材料の両方の寸法が、センサ活性領域の意図される表面積の周辺を超えて延在する別の態様では、両方の層の部分は、所望の寸法に至るまで、アブレーション処理/トリミングされうる。さらに別の態様は、所望の活性領域に作用するように、センシング層および下部導電層の小部分またはくさびのみを除去することを含む。以下に説明する3種類の典型的なセンサの各々は、最初に、アブレーション前またはトリミング前の構成(それぞれ、図11A~11C、13A~13C、および15A~15Cを参照)、次に、アブレーション後またはトリミング後の構成(それぞれ、図12A~12C、14A~14Cおよび16A~16C参照)について示されている。
【0110】
特に図11A~11Cおよび図12A~12Cを参照すると、例証されるセンサ1100は、基板の長さの少なくとも一部に沿って延在してセンサの作用電極を形成する導電層1104を有する基板1102を備える。導電層1104は、基板1102の長さの大部分に延在し、幅または半径寸法WAを有する幅広いまたは大きい遠位部1104bで終わる、狭い近位部1104aを備える。ある特定の態様では、導電層1104は、全長にわたり一定の幅を有していて差し支えなく、あるいは、幅広い近位部および狭い遠位部を有しうる。遠位部1104bは、任意の適切な形状を有していてもよく、限定はしないが、円形(図示するように)、卵形、直線的、または他の適切な形状が挙げられる。
【0111】
この実施の形態では、遠位部1104bのみが、センサの活性領域の表面積 寸法(幅/長さまたは半径)を画成するように意図される。すなわち、WAは、意図される活性領域1110の所望の幅または半径を画成する(図12A~12C)。導電層1104の遠位部1104bにわたり、センシング層1106が配置される。好ましくは、センシング層1106は、ある形状を備える、または、下部導電層1104の幾何学的形状および寸法に厳密にまたは実質的に厳密に等しいまたは適合する、幾何学的形状および表面積を有する。これは、コンピュータ制御された デジタルカメラを用いて、または顕微鏡による外観検査によって、自動的に検証されうる。
【0112】
しかしながら、図11A~11Cに示すように、完全にまたはある程度、その境界または周辺が下部導電層1104の境界または周辺を超えて延在するように、過剰量のセンシング材料1106が提供されるべきであり、過剰の材料マージン1105は、上述のレーザー法によってトリミングされて、図12A~12Cに示すように、所望の活性領域1110の形状および寸法を提供しうる。センサ1100は、さらに、導電層1104の近位部1104aの少なくとも一部に配置または積層された絶縁または誘電体層1108を備える。絶縁/誘電体層1108、ならびに、追加の導電および誘電体層は、典型的には、上述のレーザー・トリミングの前に提供される。
【0113】
上記方法および技術に従って製造された別のセンサが、アブレーション前の構成における図13A~13C、およびアブレーション後の構成における図14A~14Cに例証されている。センサ1300は、基板の長さの少なくとも一部に沿って延在してセンサの作用電極を形成する、導電層1304を有する基板1302(これは、幾つかの導電層の最初の層であって差し支えなく、各センサ電極について1つの層が存在する)を備える。導電層1304は、上述の導電層1104(図11A~11C)(およびそれらの任意の前述のバリエーション)と同様の構成を有し、基板1302の長さの大部分に延在し、幅広いまたは大きい遠位部1304bで終わる、狭い近位部1304aを有する。しかしながら、図13Aおよび14Aに示すように、例えば、遠位部1304bは、センサの意図される活性領域1310の表面積(WA×LA)より大きく(図14A~14C)、この実施の形態では、正方形または長方形の形状を有する。
【0114】
導電層1304の遠位部1304bの上には、センシング層1306が配置される。図11A~11Cの大きい、予めトリミングされたセンシング層1106とは異なり、センシング層1306は下部導電層1304より小さいが、依然として、意図される活性領域1310の所望の量より大きい。このように、センシング層1306の寸法、ならびに導電層1304bの寸法は、意図される活性領域1310を超えて延在する。上述の本開示の実施の形態のレーザー技術を使用し、過剰の材料マージン1305は、図14A~14Cに示すように、所望の活性領域1310の形状および寸法を提供するようにトリミングまたはアブレーション処理されうる。導電層1304の近位部1304aの少なくとも一部に配置または積層された絶縁/誘電体層1308も示されている。
【0115】
上述の方法および技術に従って製造された別のセンサが、アブレーション前の構成について図15A~15Cに、およびアブレーション後の構成について図16A~16Cに例証されている。図示するように、センサ1500は、基板の長さの少なくとも一部に沿って延在し、センサの作用電極を形成する、導電層1504(これは、幾つかの導電層の最初の層であって差し支えなく、各センサ電極について1つの層が存在する)を有する基板1502を具備する。導電層1504は、上述の導電層ならびに論述したバリエーションと同様の構成を有し、基板1502の長さの大部分に延在し、幅広いまたは大きい遠位部1504bで終わる、狭い近位部1504aを有する。導電層1504の遠位部1504bの上には、下部導電層1504と同様の幾何学的形状を有するが、下部導電層1504よりも小さい表面積を有するセンシング層1506が配置される。意図される活性領域1510(図16A~16C)の大きさは導電材料1504とセンシング材料1506の重複する表面積に応じて決まることから、導電層がセンシング層の周辺を超えて延在するか否か、またはその逆であるか否かは重要ではないであろう。このように、2つの層のそれぞれが少なくとも、意図される活性領域1510と同等の大きさの表面積を有する限り、一方または両方の層の過剰の材料1505は、トリミングまたは除去されて正味の重複する表面積を提供し、したがって所望の活性領域を提供しうる。この実施の形態では、導電層1504およびセンシング層1506の両方の表面積は、図16A~16Cに示すように、活性領域1510の意図される表面積より大きい。
【0116】
上述のレーザー技術を使用して、一方または両方の層の任意の過剰の材料1505をトリミングまたはアブレーション処理して、所望の活性領域1510の表面積を提供してもよく、ここで、除去すべき過剰の材料1505の形状は、トリミング方法を促進するための任意の適切な形状でありうる。例えば、図15Aおよび16Aに示すように、各層のおよそ4分の1は、層の一要素またはくさび1505を除去することによってトリミングされている。一部の実施の形態では、除去すべき過剰の材料は、両層の周辺内に排他的に存在しうる。特定のレーザー切断の形状が不適切な場合には、その後、最短の必要な道筋に沿ってレーザー・トリミングすることが好ましいであろう。上述のセンサ実施の形態と同様に、絶縁/誘電体層1508は、近位導電部分1504aの少なくとも一部に配置または積層された。追加の導電および誘電体層は、本明細書に記載されるように提供されて差し支えない。
【0117】
記載するある特定の実施の形態では、所望の活性領域の半径または幅/長さ寸法(WA、LA)は約0.1mm~約1.0mmの範囲であり、好ましくは約0.2mm~約0.6mmであり、得られた表面積の範囲は約0.05mm2~約0.5mm2であり、好ましくは約0.08mm2~約0.15mm2である。
【0118】
上述のように、本開示のさまざまな実施の形態に従って、本明細書に記載の製造プロセスおよび手順は、センサロット内またはバッチにおける最小限のセンサ間の感度変動を有する再現可能な検体センサを生じる、明確に画成された活性領域および実質的に一定の膜寸法(例えば、厚さ)を提供する。したがって、実質的に安定な保管寿命プロファイルに加えて、最小限の感度変動は、インビボ使用の間のセンサ較正の必要性の排除をもたらす。ある特定の実施の形態では、製造したロット内および/またはロット間のセンサは、約5%以下の変動係数(CV)を有するように提供されて差し支えなく、例えば約4.5%以下、例えば約4%以下、例えば約3%以下であり、ある特定の実施の形態では1~3%のCVが達成される。
【0119】
センサ包装
本開示の実施の形態は、センサがインビボ使用の前に曝露されうる、周囲空気の環境影響、特に湿度に、センサが実質的に影響されないように、すなわち、センサの保存寿命の間に、センサ特性の変動、およびセンサの安定性の低下を最小限に抑え、使用者に基づいた較正の必要性を取り除くため、インビボ検体センサを包装する工程を有してなる。
【0120】
本開示の態様では、対象とするセンサは、個別に包装される(が、工場において、取り外し可能な包装内に2つずつまたはまとめて包装されてもよく、その包装は、封入したセンサが使用されるまで、すなわち、使用者の体内に埋入されるまで取り外されるべきではない)。取り外し可能な包装は、1つ以上の要素、部品または材料を含みうる。
【0121】
包装は、トレイおよび蓋またはカバーを有する、2要素の筺体構造を備える。トレイは、センサの保存寿命にわたる、配送、取り扱い、および保管の間に、センサを保護するための比較的剛性の構成を有しうる。1つの実施の形態では、トレイは、そこを通じてセンサが受け入れられ、回収される開口部、および、センサを保持する空間または区画を提供する、閉じられた、または受け入れ可能な部分を有する。1つの態様では、パッケージ内の空気量を最小限に抑えると同時に、包装内のセンサの動きを最小限に抑えるために、トレイは、パッケージの未占有の体積を最小限に抑える形状および大きさを有する。さらには、トレイは、センサおよび任意の他の包装された内容物の形状に適合させて 、封入包装内の過剰な体積を排除するために、内面に起伏があってもよい。トレイはまた、他の包装などに適合するように、外面に起伏があってもよく、対応するカバーまたは蓋と嵌合する、外側に延在する端またはへりを有していてもよい。
【0122】
1つの態様では、包装用のカバーまたは蓋は、少なくともトレイの開口部にわたって延在し、パッケージが未開封の間、実質的に気密封止を提供する。1つのバリエーションでは、カバーは、少なくともその周囲に接着剤面を有する、比較的可撓性のあるシートなどであり、このカバーは、トレイの開口部の周りに延在する端縁またはへりに容易に施用され、そこから剥ぎ取られる。別の実施の形態では、カバーは、トレイの開口部との密嵌状態(tight-fit)を提供するように構成された周辺部を備えた、実質的に平面的な構造を有する比較的剛性の蓋である。特に、蓋は、トレイを備えたスナップ式の閉鎖を提供するために、トレイの開口部の形状に適合した形状を有する、起伏のある周辺部を有していて差し支えない。この実施の形態では、射出成形したポリマーなど、トレイに使用するのと同一の材料を、蓋の形成に使用して差し支えない。
【0123】
別の実施の形態では、包装は、2つの嵌め合い部分の間に、例えばリビングヒンジなどのヒンジを有する、2等分した嵌め合い部分のいずれかまたは単一の要素から作られた貝殻構造を有しうる。2等分した半分または部分は、類似した構造であって差し支えなく、例えば、互いに鏡像体であるか、または、可変の形状、大きさ、および/または体積を有していてもよい。2等分した半分または部分は、比較的剛性であって差し支えなく、それらの接触する端縁の周りに接着剤によって、またはスナップ式の嵌め合い構造によって閉鎖状態が保持されうる。
【0124】
任意の実施の形態では、包装は、空気および水分が検体センサを備えた筺体内部に入るのを阻止または抑止する材料でできていてもよい。さらに、例えば、トレイまたは1つ以上のパッケージ筺体部分などの包装は、検体センサ内の試薬を保護し、それによってセンサの保存寿命および/または所望の使用寿命、すなわち、使用する場合にセンサが包装材料から取り出された後の期間を維持または延長するため、包装内の適切なまたは所望の湿度レベルの維持に役立つ乾燥剤材料を含むための空間または区画を備えていてもよい。乾燥剤は、センサ包装の全般的なプロファイルを最小限に抑え、乾燥剤材料によるセンサ試薬の汚染の危険性を最小限に抑える形態であって差し支えない。
【0125】
本開示の実施の形態はまた、1つずつ、またはアレイ形式またはセット配置で集合的に、検体センサを包装する方法も含み、この方法は、本包装内にセンサを提供する工程を有してなる。ある特定の方法は、さらに、乾燥条件下でセンサを封止する工程を含む。
【0126】
センサロットの製造の際のセンサ間の感度またはセンサロット間の感度の公称変化でさえも、工場で較正されたセンサまたは工場補正を必要としないセンサは、センサの保存寿命の間の環境曝露に起因して、製造後に感度のドリフトを被りうる。使用前、すなわち約6~約18ヶ月またはそれ以上でありうる、それらの保存寿命の間に、センサが暴露されうる、周囲空気の環境影響など、特に湿度の影響を最小限に抑えるため、対象とするセンサは、工場において、取り外し可能な滅菌包装内に個別に包装され(しかしながら、2つずつまたはまとめて包装されてもよい)、これは、封入したセンサが使用されるまで、すなわち、使用者の体内に埋入されるまで取り出されない。
【0127】
取り外し可能な包装は、1つ以上の筺体要素および/または材料を含みうる。1つの実施の形態では、図17および18に示すように、センサ包装筺体1700は、トレイ1702および蓋またはカバー1704およびその内部に収容される乾燥剤1706を具備する。上述の1つ以上の実施の形態に従って製造した検体センサを備えた、検体センサ組立体1705は、包装1700内に気密封止されるが、ここで、前記検体センサは、取り出されるまでは(例えば、センサ挿通の開始など)、センサインサータに典型的には動作可能に装着され、センサインサータは、センサをインサータ内に維持する随意的な安全要素(例えば安全ピン)を有する。本開示は、本明細書に例証および論述されたものに加えて、包装1700およびそのさまざまな要素のバリエーションを提供する。追加の情報は、参照することによってすべての目的においてその開示が援用される、「センサの挿通のための検体センサおよび装置(Analyte Sensor and Apparatus for Insertion of the Sensor)」という発明の名称で2010年2月1日に出願した米国特許出願第12/981,129号明細書で確認することができる。
【0128】
1つのバリエーションでは、図19A~19Cに示すように、トレイ1702は、センサの保存寿命にわたり、配送、取り扱い、および保管する間に、封入したセンサ組立体1705(図17および18にのみ示す)を保護するため、比較的剛性の構造を有する。トレイ1702は、そこを通じてセンサ1705が受け入れられ、回収される、開口部または側部1708、および、内部にセンサ組立体1705および乾燥剤1706がそれぞれ保持された、容器または区画1710a、1710bを提供する閉鎖部分または筺体1710を有する。トレイ筺体1710は、パッケージ1700内の空気量を最小限に抑えるため、パッケージの未占有の体積(すなわち、センサ組立体1705または乾燥剤1706によって占有されていない空間)を最小限に抑える形状および大きさを有しうる。特に、筺体1710は、封入したセンサ組立体1705および、例えば乾燥剤1706などの任意の他の包装された内容物の形状に適合させて、封入した包装内の過剰な体積をさらに排除し、かつ、包装内に封止された後にセンサ組立体1705および乾燥剤1706の動きを最小限に抑えるため、内面に起伏があってもよい。トレイ筺体1710は、外側の包装(図示せず)内などに嵌め合い係合するまたは入れ子にするため、外面に起伏があってもよい。筺体1710は、透明または不透明でありうる。トレイ1702は、対応するカバーまたは蓋1704と係合するための閉鎖部分1710から半径方向外向きに延在する端またはへり1712を有していてもよい。トレイ1702のこれらの特徴および目的を達成するのに適した材料は、ポリプロピレンなどの射出成形ポリマーである。
【0129】
包装カバーまたは蓋1704は、トレイ1702の開口部1708を覆い、パッケージ1700が未開封の密閉条件にある間、実質的に気密封止を提供しうる。1つのバリエーションでは、カバー1704は、少なくともその周囲に接着剤面を有する、比較的可撓性のあるシートなどであり、トレイの開口部1708の周りの端縁またはへり1712に容易に施用され、そこから剥ぎ取られる。このカバーのバリエーションに適した材料としては、アルミ箔、ポリエチレンフィルムなど、あるいはこれらの材料の2つ以上の積層複合材が挙げられる。別のバリエーションでは、カバーは、トレイの開口部1708との密嵌状態を提供するように構成された周辺部を備えた、実質的に平面的な構造を有する比較的剛性の蓋であってもよい。特に、蓋は、トレイを備えたスナップ式の閉鎖を提供するために、トレイの開口部の内側の周辺部に適合させた形状を有する、起伏のある周辺部を有していて差し支えない。このバリエーションでは、例えばポリプロピレンなどの射出成形したポリマーなど、トレイの製造に使用する材料を、蓋の形成に使用して差し支えない。
【0130】
別の実施の形態では(図示せず)、包装は、嵌合形式で組み合わされた、少なくとも2つの比較的剛性の要素を有しうる。例えば、包装は、例えばリビングヒンジなどのヒンジを介して、互いに(開口部および閉鎖部)相互接続した、可動の貝殻構造を有しうる。2等分した半分または部分は、類似した構造であって差し支えなく、例えば、互いに鏡像体であるか、または、可変の形状、大きさ、および/または体積を有していてもよい。2等分した半分または部分は、好ましくは比較的剛性であり、それらの接触する端縁の周りに接着剤によって、またはスナップ式の嵌め合い構造によって閉鎖状態が保持されうる。
【0131】
任意の実施の形態では、検体センサ包装は、水分および蒸気が検体センサを備えた筺体内部に入るのを阻止または抑止する材料でできていてもよい。例えば、図17および18の包装1700の水蒸気透過率(MVTR)は、典型的な大きさのセンサ/インサータについてのトレイおよび蓋の必要寸法から判断して、約0.5mg/日以下、例えば、約0.46mg/日未満でありうる。
【0132】
比較的最小限のMVTRの維持に加えて、例えば、トレイ1702または1つ以上のパッケージ筺体部分などの包装は、検体センサ内の試薬を保護し、それによって、センサの保存寿命および/または所望の使用寿命、すなわち、センサ1705が包装材料から取り出された後の期間を維持または延長するために、包装内の適切な湿度レベルの維持に役立つ乾燥剤材料1706を含めるための空間または区画1710bを備える。乾燥剤1706は、ある形態であって差し支えなく、センサ包装1700の全般的なプロファイルを最小限に抑え、かつ、乾燥剤材料によるセンサ試薬の汚染の危険性を最小限に抑える体積を有する。ある特定の実施の形態では、図17および18に示すように、乾燥剤材料1706は、錠剤、ブロックまたはシートなどの単一の固体形態、例えば、厚い紙などの形態で存在する。他の実施の形態では(図示せず)、乾燥剤は、サシェ内に包装された粒状の形態または、ゲル状の小袋の形態でありうる。乾燥剤1706の単一の要素は、乾燥剤材料がセンサ組立体1705上に散らばるのを防ぐために、医薬品等級のコーティング材でコーティングされてもよい。乾燥剤の質量は、さまざまな因子に応じて決まり、限定はしないが、包装のMVTR、包装された要素の水分、保存温度および湿度などが挙げられる。対象とする乾燥剤は、典型的な周囲保存条件における約17.5%以上の吸収能、すなわち、約25℃および約30%のRH、および約90.0%以上の安全率を有しうる。本発明とともに使用する適切な乾燥剤材料としては、例えば、シリカ・ゲル、硫酸カルシウム、塩化カルシウムおよび分子篩が挙げられる。センサ/インサータ組立体を有する包装に適したこのような乾燥剤の例としては、例えば、Multisorb Technologies社(米国14224ニューヨーク州バッファロー、ハーレムロード325所在)製造の2.6gのシリカ・ゲル錠剤および10gのシリカ・ゲルパックが挙げられる。
【0133】
対象とする乾燥した包装は、センサの保存寿命(例えば、約18ヶ月)および使用寿命(例えば、約3~約30日間以上、例えば、3日間~約14日間、例えば、3日間~約10日間 例えば、3日間~約7日間)にわたり、周囲空気(実質的に典型的な保存温度、湿度および大気圧条件、すなわち、約25℃、60%の相対湿度および19.0mbar)からの負の環境影響に実質的に影響されない、これらの時間枠をも延長しうる、埋入可能な検体センサの提供を可能にする。ある特定の実施の形態では、センサ保存寿命は、最大で約24ヶ月以上に延長され、センサ使用寿命は約3日間~最大で約14日間以上に延長されうる。
【0134】
本包装構造によって、センサ、特にセンサの検体試薬材料にもたらされる保護に起因して、センサの感度は公称変化にのみさらされ、したがって、使用者に基づいた較正は必要とされなくて差し支えない、すなわち、センサは工場較正のみを必要とする。さらには、センサロットが、最初からセンサ間の感度の十分に極小の変動で再現可能な場合には、本包装を用いて包装されたセンサの、製造の間または後、あるいはインビボ使用の間のセンサ特性の較正または調整は必要とされなくてもよい。
【0135】
本開示はまた、持続検体モニタリング・システムのための埋入可能な検体センサを包装する方法も含む。1つの方法では、センサまたはセンサ/インサータ組立体は、第1の包装要素に配置され、第2の包装要素は第1の包装要素に封止される。封止は、接着剤または2つの要素の熱融着によって達成されうる。図17および18のトレイカバーの実施の形態1700では、例えばセンサ組立体(センサおよびインサータ)1705は、乾燥剤1706と一緒にトレイ1702に配置され、その後、例えば、トレイの周辺部1712の周りに熱および圧力を印加することによって、カバーまたは蓋1704がトレイ1702に気密封止される。
【0136】
既定のチャネル長を用いた感度調節
図20Aは本開示の1つの実施の形態における検体センサの作用電極の上面図を例証しており、図20Bおよび20Cは、それぞれ、図20Aの作用電極の線BおよびCにおける断面図を例証している。図20A~20Cを参照すると、作用電極2000は、1つ以上のチャネル2040を備えうる。ある特定の態様では、チャネル2040は、作用電極2000に施すセンシング材料の位置および量を規定するのに用いられる。作用電極2000のチャネル2040の長さLおよび数は、センサの感度を決定しうる。ある特定の実施の形態では、チャネル2040はカバーレイ材料2030に刻まれ(図20B参照)、作用電極2000の導電層2020の上に施される。論じたように、一部の実施の形態では、導電層2020は金を含んでもよく、作用電極2000の導電層2020は、センサの基板の長さ2010の少なくとも一部の上に形成される。
【0137】
図20A~20Cを参照すると、ある特定の実施の形態では、ウェル2050がカバーレイ材料2030に刻まれ(図20C参照)、チャネル2040に接続される。ウェル2050は、センシング層の施用に使用することができ、したがって、センシング層がウェル2050内に配置され、ある特定の実施の形態では、センシング層が毛管現象によってチャネル2040を満たす。センシング層がチャネル2040を満たし、次いで乾燥した後、電極は線Bに沿って切断され、ウェル2050が除去され、センシング層で満たされたチャネル2040のみが残る。他の実施の形態では、ウェル2050を使用する代わりに、センシング層は、直接、チャネル2040上に配置されてもよい。
【0138】
図21A~21Dは、1つの実施の形態における、図20Aの作用電極へのセンシング層の施用のさまざまな段階を例証している。図21A~21Dを参照すると、1つ以上のチャネル2040(図20A)およびウェル2050が作用電極2000のカバーレイ材料2030内に刻まれる(図21A)。センシング層は、ウェル2050内に堆積され、チャネル2040は、図21Bに示すように、毛管現象によってセンシング層で満たされる。堆積後、1つの実施の形態では、センシング層はチャネル2040へ、およびウェル2050の端縁へと移動し、図21Cに示すように、ウェル2050の周辺部の周りに環状に乾燥する。センシング層がチャネル2040の端縁に移動すると同時に、センシング層が乾燥する際にチャネル2040の導電性の領域の実質的にすべてを覆うように、チャネル2040が十分に狭くなるように、チャネル2040は、幅が狭くなるように構成される。図21Dに示すように、作用電極は、次に切断されて、ウェル2050が除去され、作用電極上にセンシング層で満たされたチャネル2040のみが残される。
【0139】
このように、本開示のある特定の態様では、インビボ検体センサは、その上に提供されるセンシング層を備えた導電性の基板(例えば、金を用いた)を画成するチャネル、および、チャネルを満たし、チャネルを所望の寸法(長さなど)にトリミングしてセンサ感度を制御する(例えば、センシング層によって覆われた導電性の金基板の領域を正確に画成することによる)技術を含みうる。
【0140】
全般的なシステムおよびアルゴリズム
さらなる態様では、プログラミングまたは実行可能命令は、使用の間に、インビボセンサに時間的に変化する調整アルゴリズムを提供するため、例えば、データ処理装置、メモリ要素、通信要素などを備えた、例えば、電子機器組立体、および/または受信機/制御装置ユニットを具備する、検体モニタリング・システムのデータ処理装置に提供または保存されうる。すなわち、1つの実施の形態では、インビボで使用した検体センサのレトロスペクティブ統計分析および対応するグルコース濃度のフィードバックに基づいて、規定のまたは解析された曲線またはデータベースが生成され、これは、時間ベースであり、1つ以上のインビボセンサパラメータに追加の調整を提供して、安定性プロファイルにおける潜在的なセンサドリフト、または他の因子を補償するように構成される。
【0141】
例えば、初期のセンサ挿通または経皮的配置から測定したある特定の期間、インビボセンサ感度が低下する場合には、センサ感度は、所定の期間(例えば、限定はしないが、最初のセンサ挿通から1日または2日間)にわたり、定常状態のレベルに近づきうる。したがって、例えば、変動する時間ベースの調整基準または因子を有する参照テーブルなどのデータベースは、例えば、最初のインビボセンサ挿通から開始して約24時間~約36時間など、所定の製造後の期間、参照テーブルから保存された調整パラメータを適用して、初期の24または36時間の期間(または統計的に決定されうる幾らかの他の適切な期間)の予想される感度変動について修正または別に補償されうるように、電子機器組立体および/または受信機/制御装置ユニットのデータ処理装置に提供またはプログラム化されうる。このように、ある特定の実施の形態では、インビボ使用の間、CGMシステムによって、検体センサによる自動実行のための感度調整スケジュールを生成または決定するために、センサ挙動は、製造の間に、試験および/またはセンサの特性化を統計的に推定されうる。
【0142】
図22は、本開示の1つの実施の形態に従った検体モニタリング・システムに使用するための検体センサに関する、典型的な時間的に変化する感度ドリフトプロファイルを例証している。図22に示すように、時間的に変化するパラメータβ(t)は、インビボ使用の間のセンサ挙動の解析に基づいて定義または決定され、時間的に変化するドリフトプロファイルは、図22に示すように決定され、ここで、定義された時間的に変化するパラメータ β(t)は、各製造センサを用いてコード化またはプログラム化されて差し支えなく、例えば、センサから得られた信号に時間変化パラメータβ(t)を適用するために、例えば受信装置など、検体モニタリング・システムのデータ処理装置に自動的に提供される。
【0143】
すなわち、1つの態様では、例えば、図22に示すようなセンサドリフトプロファイルを使用して、検体モニタリング・システムは、センサドリフトプロファイルに基づいてセンサ感度について補償または調整するように構成されうる。ある特定の態様では、センサ感度に対する補償または調整は、センサデータが検体センサから受信される際に、補償または調整またはその両方が自動的におよび/または反復して行われるように、検体モニタリング・システムの受信装置または制御装置またはデータ処理装置にプログラム化されうる。代替となる実施の形態では、調整または補償アルゴリズムは、対応する機能またはルーチンの使用者による開始または活性化の際に、検体センサ感度プロファイルに対する調整または補償が行われる、または実行されるように、使用者によって(自己開始性または自己実行性ではなく)開始または実行されてもよい。
【0144】
図23は、上述の方法に従って製造したセンサロットに由来する16個の検体センサの、インビトロ試験に応答した感度変動を例証している。さらに具体的には、16個の検体センサを、グルコース濃度の既知の溶液を用いたインビトロ試験条件(例えば、ビーカー内)で試験し、センサ応答を決定した。図23を参照すると、およそ4時間にわたり、16個のセンサのそれぞれが、グルコース濃度の漸増に対し、実質的に一貫性のある応答または感度を示したことが観察される。すなわち、同一の製造したセンサロットの16個のセンサのそれぞれが、同一の既知のグルコース濃度に対して、非常に類似した様式で応答した。例えば、再び図23を参照すると、16個のセンサのそれぞれについてのプロットで示された各段階は、グルコース濃度の増加(X軸に示す期間にわたり)および、Y軸に示すグルコース濃度の増加に対するセンサ応答に関係している。
【0145】
言い換えれば、図23をさらに参照して、既知のグルコース濃度を有するビーカー内で試験した16個のセンサのそれぞれが、互いに比較してほぼ同一のまたは非常に類似した、ビーカー溶液におけるグルコース濃度に対する応答(すなわち、各センサによって発生した電流信号)を示したことがわかる。既知のグルコース濃度レベルに基づいたビーカー溶液中で試験した16個のセンサの結果または応答が図24に示されている。すなわち、図24を参照すると、上記方法に従って製造した16個のセンサは、上述のようにインビトロで試験する場合、ビーカー溶液におけるグルコース濃度の漸増に対する16個すべてのセンサの信号応答が、実質的に一貫している、図24に示す応答または特性を示したことが分かる。すなわち、インビトロで試験した16個のセンサの変動係数は、およそ5%未満であり、さらに具体的には、およそ3%であることが実験結果から観察することができる。インビトロで試験した16個のセンサと同一の製造ロットに由来するセンサを、糖尿病状態を有する被験体におけるインビボでさらに試験または使用し、その結果を、図25と併せて、以下に説明および例証する。
【0146】
図25は、上述した本開示の1つ以上の実施の形態に従って製造した検体センサに基づいたクラーク・エラー・グリッドである。さらに具体的には、上述の1つ以上の実施の形態に従って製造した24個のセンサに由来するデータを、5日間を2サイクル(例えば、合計約10日間)、各センサを装着した12名の糖尿病の被験者に基づいて得た。本明細書に記載される実験結果は、1つの較正因子またはパラメータを24個のセンサのそれぞれに適用することによる模擬的な工場補正を含み、較正因子は遡及的に決定されたことに留意されたい。
【0147】
24個のセンサから得られたデータは、下記表において、得られたデータ点の87.4%はクラーク・エラー・グリッドのゾーンA(臨床的に正確)に存在し、得られたデータ点の11.9%はクラーク・エラー・グリッドのゾーンB(臨床的に許容できる)に存在することをさらに示している。
【0148】
【表1】
【0149】
センサロットにおけるすべてのセンサにとって単一の較正因子を使用することは、クラーク・エラー・グリッドのゾーンAとBを合計して、およそ99.3%の精度を提供する。前述の内容およびセンサの製造ロットに由来するセンサの上述の結果に基づいて、糖尿病の被験体におけるセンサ応答およびインビボセンサ応答を決定するためのビーカー試験から得られた結果は、非常に類似した特性を示し、工場補正の結果が臨床的に許容できるセンサ精度になるように、予測可能なセンサ感度を生じる。したがって、上述の実施の形態に従って製造したセンサは、ある特定の実施の形態におけるインビボ使用の間の使用者によるセンサの較正開始の必要性をなくすように、最小限のまたはごくわずかな感度変動しかもたらさないことが分かる。
【0150】
本実施の形態は、製造する1つのセンサロット内のサンプルセンサの選択数、例えば、センサが1,000個以上のセンサロットに由来する10サンプルのセンサ、または、センサが1,000個以上のセンサロットに由来する16サンプルのセンサ、または、センサが1,000個以上のセンサロットに由来する25サンプルのセンサなどに基づいた正規化曲線または傾斜(または定義可能な関数関係)の決定も含む。センサロットの定義されたサンプルサイズを用いて、センサロットに由来する各サンプルセンサの特性またはパラメータが決定され、これには、例えば、1つまたは多数の点における膜の厚さ、または、例えば、センサ上に画成された活性領域の表面積、体積、高さ、長さ、および/または形状(例えば、1つまたは多数の点で測定して、凹面、凸面、平面または傾斜しているなど)などの活性なセンシング領域の寸法を含まれる。その後、ある特定の実施の形態では、これらの特性の平均値は、例えば、決定する測定値の平均化によって決定されてもよく、例えば、センサロットのサンプルセンサの平均膜厚、膜表面における1つ以上の点における平均膜厚、センシング領域の平均表面積、またはセンシング領域の平均寸法および/または活性領域表面上の1つ以上の点における平均表面積厚さなどである。さらに、ある特定の実施の形態では、センサロットのサンプルセンサに由来する、これらの測定または決定したパラメータまたは特性の変動係数(CV)も決定される。加えて、各センサロットのサンプルセンサの感度も決定されうる。
【0151】
上述のサンプルセンサ特性の決定に基づいて、実施の形態は、サンプルセンサが許容される基準または範囲内にある特性を示すか否かを決定するため、サンプルセンサの各決定値または特性の受容される数値またはレベルに対して、決定した特性を比較することを含む。例えば、サンプルセンサの感度の平均値を、5%未満、または3%未満などの変動係数を有するセンサ感度と関連付けられた所定の感度と比較して差し支えない。比較結果が許容される平均感度値を示す場合は、センサロット全体が受け入れられ、サンプルセンサに基づいて決定された平均感度値がセンサロット内の各センサに与えられる。
【0152】
ある特定の実施の形態では、センサロット内の各センサ(サンプルセンサ以外)は、センサの1つ以上の点における膜厚などの特性を測定または決定するために、非破壊的に試験されて差し支えなく、活性領域の表面積/体積などの物理的特性を含めた他の特性も測定または決定されて差し支えない。このような測定または判定は、例えば、光学スキャナまたは他の適切な測定装置またはシステムを使用して自動的に行われてもよく、決定されたセンサロット内の各センサのセンサ特性は、各センサに与えられた較正パラメータまたはコードの可能な修正のため、サンプルセンサに基づく対応する平均値と比較される。例えば、センサ感度として規定された較正パラメータでは、感度は、膜厚にほぼ反比例し、したがって、例えば、センサとして同一のセンサロットに由来するサンプルセンサの平均膜厚よりもおよそ4%大きい測定された膜厚を有するセンサでは、1つの実施の形態におけるそのセンサに与えられた感度は、サンプリングされたセンサ(sampled sensor)から決定された平均感度を1.04で割った値である。同様に、感度はセンサの活性領域にほぼ比例することから、同一のセンサロットに由来するサンプリングされたセンサの平均活性領域よりおよそ3%低い測定した活性領域を有するセンサでは、そのセンサに与えられた感度は、平均感度に0.97を掛けた値である。与えられた感度は、センサの各試験または測定についての多数の連続的な調整によって、サンプリングされたセンサに由来する平均感度から決定されうる。ある特定の実施の形態では、各センサの試験または測定は、活性なセンシング領域の膜厚および/または表面積または体積に加えて、膜の一貫性または質感の測定をさらに含みうる。
【0153】
ある特定の実施の形態では、センサロットの各センサは、例えば、光学または他の適切な測定装置またはシステムを使用して、例えば、限定はしないがセンサの1つ以上の位置における膜厚、膜の一貫性および/または質感、例えば活性領域の幾何学的形状を含めた活性領域の大きさ、表面積、体積、および/または寸法などの特性を決定するために、独立して解析または試験されて差し支えなく、光学的にまたは別の方法で測定されて差し支えなく、各センサの測定パラメータのそれぞれは、データベースまたはストレージ媒体に保存された所定の数値または数値範囲と比較され、ここで、所定の数値または数値範囲は、測定したセンサの測定数値が所定の数値または数値範囲に対応する場合に、センサ特性が、例えば、約5%以内、約3%以内、または約1%以内などの許容される変動係数(CV)以内であるとみなされるように、許容されると考えられる数値または数値範囲に対応する。特定のセンサに与えられた感度は、このように、ロットのサンプリング(すなわち、例えば、感度を決定するためのセンサロット内の各センサのサンプリング)を用いて感度を決定することなく、決定される。あるいは、これらの測定から決定される感度は、例えば、製造の間に検証手順の一環として、センサロットサンプルの平均感度とともに確認されうる。
【0154】
実施の形態は、記憶素子または記憶装置に保存されるデータベースまたは参照テーブルまたは別の方法として、CGMシステムの受信装置または送信装置にプログラム化したまたはプログラム可能な、最初のセンサ挿通から測定した各時間についての適切な調整または修正値を伴うように構成され、その後、センサの最初のインビボ使用から開始する、時間変化するドリフトプロファイルをさらに含み、参照テーブルにおける対応する値は回収され、センサ出力データがモニターされるグルコース濃度を代表するように、適用されるかまたは別の方法でセンサ感度に含まれる。
【0155】
ある特定の実施の形態では、較正パラメータまたはコードは、検体センサに物理的に接続した電子機器組立体の記憶装置またはデータ処理装置に負荷またはプログラム化される。較正パラメータまたはコードのプログラミングまたは負荷は、例えば、電子機器組立体の1つ以上のCOMポートへの有線または無線接続を使用したシリアル・コマンドによって達成されうる。インビボ使用の間、1つの実施の形態では、受信機/制御装置ユニットは、電子機器組立体に問い合わせし、検体センサからの測定した未加工のセンサ信号を対応するグルコース値に変換するのに使用する電子機器組立体のメモリ装置または記憶装置に負荷またはプログラム化された較正パラメータまたはコードを取り出すように構成される。あるいは、センサ電子機器は、この変換を行うためのプログラミングを含んでもよい。
【0156】
センサがドリフトを示す(例えば、センサ感度が、ある特定の時間にわたり、予想されるパーセンテージをドリフトする)ある特定の実施の形態では、ドリフトプロファイルは、センサ信号に適用されうるドリフト修正因子を決定して、グルコース測定値(mg/dL)を得るために、モニタリング・システムのアルゴリズムによって定義されて差し支えない。少なくとも一部には、低い製造変動係数(CV)を生じる製造プロセスの高い再現性に起因して、単一のドリフト修正因子は、所定のセンサ製造ロットまたはバッチのすべてのセンサに使用されうる。
【0157】
したがって、本明細書の実施の形態に従った所定の製造ロットの各センサの感度は実質的に同一であることから、工場で決定された感度または較正パラメータは、このようなロットのすべてのセンサに提供して差し支えなく、すなわち、単一の較正アルゴリズムが所定のロットのすべてのセンサに使用されうる。1つの実施の形態では、この較正コードまたはパラメータは、モニタリング・システムのソフトウェアに、例えば、1つ以上の処理装置などにプログラム化されるか、プログラム可能である。例えば、工場で決定された較正パラメータまたはコードは、使用者にセンサを提供し、手動または自動で(例えば、バーコードおよびリーダーなどを介して)較正アルゴリズムにアップロードされて差し支えなく、または、検体モニタリング・システムのメモリ装置または記憶装置にあらかじめ格納される。センサ信号の較正は、システムの適切なハードウェア/ソフトウェアを使用して実行されうる。
【0158】
記載される方法では、本開示のさまざまな実施の形態に従って、インビボ使用の間に使用者がセンサ較正を行う必要がない、上述の方法で製造した検体センサを備えた持続検体モニタリング・システムが提供される。ある特定の態様では、検体センサは、少なくとも無視できるセンサ間の変動しか有さず、高度に再現可能であり、製造後および使用者に配置される前に実質的に安定なセンサプロファイルを示す。
【0159】
さらに、本開示の検体センサの実施の形態は、潜在的なインビボ変動を最小限に抑えるために、インビボ使用の間に決定される予測可能な感度ドリフトを含み、それによって、所定のセンサドリフトプロファイルのCGMシステムのデータ処理装置または受信装置においてプログラム化したまたはプログラム可能な1つ以上の定義されたアルゴリズム(製造の間にまたは使用の間にプログラム化した)が 、使用者の較正の必要性を排除するためにCGMシステムに対する修正または調整に適用される。このようなCGMシステムに対する修正または調整は、センサ安定性プロファイルに対する調整および、インビボ使用の間にセンサから報告されるグルコース値の精度が臨床的に許容できる範囲内に維持されるように、演繹的に、またはCGMシステムによって即時に決定される修正または調整プロファイルまたはテンプレートを適用するために、検体モニタリング・システムにおいてプログラム化したまたはプログラム可能な1つ以上のフィードバック・アルゴリズムを含みうる。このように、本開示のある特定の態様では、インビボセンサ使用の間に確認された血中グルコース濃度に対する間質のグルコース濃度の比における臨床的に有意な人間間の変動は、CGMシステムにおいてプログラム化された1つ以上のフィードバック・アルゴリズムまたはルーチンによって補償されうる。1つの態様では、1つ以上のフィードバック・アルゴリズムまたはルーチンは、検体モニタリング・システムの特定の使用者に関連する分析されおよびプロファイル化された情報が、検体モニタリング・システムのメモリ装置または記憶装置、あるいは他の場所に保存され、使用中にインビボセンサからの信号に使用または適用されるように、それぞれ特定の被験体または使用者について回収、分析およびプロファイル化されたインビボセンサ応答を含みうる。
【0160】
したがって、ある特定の実施の形態では、使用者またはシステムに基づく較正を必要としないインビボセンサは、製造の間または後にセンサ特性の変動を最小限に抑えることによって提供されて差し支えなく、これは、例えば、センサの画成された再現可能な活性領域を提供し、センサ膜厚および酵素安定性を調節し、さらには、相対湿度を調整することによって実質的に安定な製造後の環境を提供して、保管寿命の間に安定なセンサプロファイルを維持し、および構造体を包装し、例えば、製造後およびインビボ使用の前に実質的に負の環境影響に影響されない保存条件を提供することにより、達成される。
【0161】
1つの実施の形態では、検体センサは、
基板、
前記基板の少なくとも一部に配置された導電層、および
少なくとも前記導電層の遠位部の上に実質的に直角に配置されたセンシング層
を具備して差し支えなく、ここで、
センシング層の面積は、少なくとも、導電層の遠位部の面積程度である。
【0162】
導電層の遠位部は、導電層の近位部の幅よりも大きい幅を有しうる。
【0163】
導電層の遠位部は、基板の遠位端の近くで終了して差し支えない。
【0164】
別の実施の形態では、検体センサを製造する方法は、導電層の遠位部全体の上にセンシング層を配置する工程を含みうる。
【0165】
さらに別の実施の形態では、検体センサは、
基板、
前記基板の少なくとも一部に配置された導電層、および
前記導電層の少なくとも一部の上に実質的に直角に配置されたセンシング層
を具備して差し支えなく、ここで、前記センシング層の幅は実質的に連続的である。
【0166】
センシング層は、センシング材料のストリップまたはバンドを含んでいてもよい。
【0167】
導電層は、基板の遠位端にまで及びうる。
【0168】
導電層は、基板の遠位端の近くで終了しうる。
【0169】
1つの態様では、センサ間の感度変動は実質的になくてもよい。
【0170】
別の実施の形態では、検体センサを製造する方法は、センシング層を、実質的に一定の幅を有するストリップに配置する工程を含みうる。
【0171】
さらに別の実施の形態では、複数の検体センサを製造する方法は、
基板を提供し、
前記基板上に導電層を配置し、ここで、前記導電層は複数の電極を形成し、
前記センシング層を、複数の電極上の実質的に一定の幅を有するストリップに配置し、ここで、前記ストリップは、複数の電極のそれぞれに対して実質的に直角であり、
前記基板を複数のセンサ内へと個片切断する、
各工程を含みうる。
【0172】
さらに別の実施の形態では、検体センサは、
基板、
前記基板の少なくとも一部に配置された導電層、
前記導電層の上に配置され、内部にに空隙またはウェルを有する誘電体層、および
前記空隙内に配置されたセンシング層
を具備しうる。
【0173】
空隙は、導電層の遠位部に位置してもよい。
【0174】
実施の形態は、定義された活性領域内に、および/またはセンサの遠位部に沿って、可変寸法を有する空隙またはウェルを含む。限定されない典型的な例として、空隙またはウェルは、円形の形状の中心が空隙の周囲部分と比較して深くなるように、円形の形状の中心に向かって徐々に変化する深さを有した、実質的に円形に成形されて差し支えなく、深さは、実質的に一定でありうるか、または、空隙またはウェルの周囲部分が円形の形状の中心と比較して相対的に深くなるように、円形の形状の中心から離れるにつれて徐々に変化してもよい。
【0175】
実施の形態はまた、円形、長方形、三角形または適しているであろう他の幾何学的形状を有する空隙またはウェルも含みうる。このような幾何学的形状のそれぞれは、空隙の幾何学的形状、寸法または長さに応じて、空隙またはウェルの体積、表面積、高さを含めた、1つ以上の寸法における変化をさらに含みうる。
【0176】
別の実施の形態では、検体センサを製造する方法は、
基板を提供し、
前記基板上に導電層を配置し、
前記導電層上に誘電体層を配置し、ここで、前記誘電体層は内部に空隙を有し、
センシング材料を前記空隙内に配置する、
各工程を含みうる。
【0177】
さらに別の実施の形態では、検体センサは、
長さおよび幅を有する埋入可能な部分を備えた基板、
基板の第1の側面の全体の長さおよび幅の上に配置された第1の伝導性経路、
基板の第2の側面の全体の長さおよび幅の上に配置された第2の伝導性経路、および
活性領域を画成する第1の伝導性経路の少なくとも一部の上に配置されたストリップを形成するセンシング材料、
を具備して差し支えなく、ここで、
前記センシング材料のストリップは基板の長さに対して実質的に直角である。
【0178】
基板は、移植不可能な部分をさらに備えていてもよく、センサは、移植不可能な部分の少なくとも一部の上に配置された第3の伝導性経路をさらに備える。
【0179】
第1の伝導性経路は、作用電極として機能して差し支えなく、第2の伝導性経路は、少なくとも、参照電極として機能する。
【0180】
第3の伝導性経路は、対電極として機能しうる。
【0181】
さらには、少なくとも1つの膜がセンシング材料の上に配置されてもよい。
【0182】
第1の膜は、センシング材料への検体の流束を調節しうる。
【0183】
第1の膜は、基板の埋入可能な部分の長さに対して実質的に直角に配置されたストリップの形態でセンシング材料上に配置されうる。
【0184】
第2の膜は、少なくとも基板の埋入可能な部分の上に、コンフォーマルコーティングを提供しうる。
【0185】
第2の伝導性経路は基板の埋入可能な部分の第2の側面の全表面領域を覆う一次層、および、前記一次層の少なくとも一部の上に配置されたストリップの形態の二次層を含んでもよく、ここで、前記二次層は基板の長さに対して実質的に直角である。
【0186】
基板幅は、約0.05mm~約0.6mmの範囲であって差し支えなく、ここで、センシング材料の幅は、約0.05mm~約5mmの範囲である。
【0187】
活性領域は、約0.0025mm2~約3mm2の範囲でありうる。
【0188】
さらには、誘電体層は、第1の伝導性経路の少なくとも一部の上に配置されうるが、センシング材料の少なくとも上面上には配置されない。
【0189】
誘電体層は、2つの間隔を空けた部分に提供されて差し支えなく、センシング材料は間隔を空けた部分間に配置される。
【0190】
別の実施の形態では、導電層とセンシング層の重複領域によって画成された、所望の表面積を有する活性領域を有する、検体センサを製造する方法は、
導電材料を基板表面に配置して導電層を形成し、
前記導電層の少なくとも一部の上にセンシング材料を配置してセンシング層を形成し、
少なくとも前記センシング層の一部を除去して活性領域の所望の表面積を提供する、
各工程を含んで差し支えなく、ここで、
導電層とセンシング層の重複領域は、少なくとも、活性領域の所望の表面積と同等の大きさである。
【0191】
センシング層は、前記導電層の遠位部において前記導電層と重複しうる。
【0192】
センシング層の表面積は、少なくともセンシング層の一部を除去する前に、導電層の遠位部の表面積より大きくなりうる。
【0193】
導電層の遠位部の表面積は、少なくともセンシング層の一部を除去する前に、センシング層の表面積より大きくなりうる。
【0194】
センシング層の表面積と導電層の遠位部の表面積は、少なくともセンシング層の一部を除去する前に、実質的に同等であってもよい。
【0195】
センシング層の表面積と導電層の遠位部の表面積は、少なくともセンシング層の一部を除去した後に、互いに異なっていてもよい。
【0196】
センシング層の表面積と導電層の遠位部の表面積は、少なくともセンシング層の一部を除去した後に、実質的に同一であってもよい。
【0197】
センシング層の端の形状とおよび導電層の遠位部の形状は、少なくともセンシング層の一部を除去した後に、実質的に同一であってもよい。
【0198】
センシング層部分のみが除去されてもよい。
【0199】
除去されたセンシング層の端部は、前記導電層の遠位部の端を囲みうる。
【0200】
さらには、本方法は、導電層部分を除去して活性領域の所望の表面積を提供する工程を含みうる。
【0201】
除去される導電層部分は、センシング層の端を囲みうる。
【0202】
除去されるセンシング層部分と除去される導電層部分は重複してもよい。
【0203】
センシング層部分および導電層部分は、同時に除去されうる。
【0204】
センサの製造の際に、検体センサの較正は行わなくてもよい。
【0205】
除去段階は、レーザー・トリミングを含みうる。
【0206】
使用するレーザーのパルス出力は、紫外線の範囲の波長を含みうる。
【0207】
波長は、約266nm~約355nmの範囲を含みうる。
【0208】
使用するレーザーは、超高速レーザーでありうる。
【0209】
使用するレーザーは、ダイオード励起固体レーザーでありうる。
【0210】
使用するレーザーは、ファイバーレーザーでありうる。
【0211】
1つの態様では、製造された複数の検体センサは、実質的なセンサ間の感度変動を含まなくてもよい。
【0212】
別の実施の形態では、持続検体モニタリング・システムとともに使用するための埋入可能な検体センサを提供する方法は、
センサのためのバッチ較正を行い、
前記バッチ較正したセンサを、乾燥剤を含む、気密封止された筺体内に包装する、
各工程を有していて差し支えなく、ここで、前記筺体は比較的低い水蒸気透過率を有する。
【0213】
さらには、本方法は、包装されたセンサを乾燥する工程をさらに含んでもよく、ここで、センサバッチ内におけるセンサ感度の変動係数は10%以下である。
【0214】
センサバッチ内におけるセンサ感度の変動係数は、インビトロで5%以下でありうる。
【0215】
センサバッチ内におけるセンサ感度の変動係数は、インビボで10%以下でありうる。
【0216】
さらには、本方法は、包装されたセンサを保管する工程を含んでもよく、ここで、センサを保管する包装内部の条件は約30%のRHを含み、乾燥剤は少なくとも約17%の吸収能を有する。
【0217】
包装されたセンサを保管する周囲条件は、約25℃および約30%のRHを含んで差し支えなく、ここで、乾燥剤は少なくとも約90.0%の安全率を有する。
【0218】
実施の形態は、予測可能な保存寿命感度ドリフトを有するセンサを含む。
【0219】
実施の形態は、実質的に保存寿命感度ドリフトを有しないセンサを含む。
【0220】
実施の形態は、予測可能なインビボ感度ドリフトを有するセンサを含む。
【0221】
実施の形態は、実質的にインビボドリフトを有しないセンサを含む。
【0222】
実施の形態は、センサから乾燥剤を区画化することを含む、センサ包装工程を含む
別の実施の形態では、持続検体モニタリング・システムとともに使用するために同一の製造ロットから埋入可能な検体センサを提供する方法は、
センサバッチを較正し、ここで、センサ間の感度における変動係数が約5%であり、
前記バッチ較正したセンサを、それぞれ、乾燥剤を含む、気密封止された筺体内に個別に包装し、ここで、前記筺体は比較的低い水蒸気透過率を有する、
各工程を含みうる。
【0223】
実施の形態は、包装されたセンサを保管する工程を含み、ここで、包装されたセンサを保管する周囲条件は、約25℃および約30%のRHを含んで差し支えなく、乾燥剤は、少なくとも約17.5%の吸収能を有しうる。
【0224】
包装されたセンサを保管する周囲条件は、約25℃および約30%のRHを含んで差し支えなく、ここで、乾燥剤は、少なくとも約90.0%の安全率を有する。
【0225】
実施の形態は、
基板、
前記基板の少なくとも一部に配置された導電層、
前記導電層上に配置された、内部に空隙を有する誘電体層、および
前記空隙内に配置されたセンシング層を備えた検体センサ
を備え、ここで、
前記導電層と接触した前記センシング層の領域は、センサロット内で、およそ5%未満のセンサ間変動係数を有する。
【0226】
実施の形態は、センサロット内で、およそ3%未満の変動係数を含む。
【0227】
実施の形態は、導電層と接触したセンシング層の領域上に配置された膜をさらに含み、ここで、前記膜は、センサロット内で、およそ5%未満のセンサ間変動係数を有する規定厚さを有する。
【0228】
実施の形態は、実質的に均一な厚さを有する、導電層と接触したセンシング層の領域上に配置された膜を含む。
【0229】
実施の形態は、実質的に均一な分布(uniform distribution)を有する、導電層と接触したセンシング層の領域上に配置された膜を含む。
【0230】
実施の形態は、低い酸素透過性を有する膜を含む。
【0231】
実施の形態は、センサの活性領域を実質的に画成する、導電層と接触したセンシング層の領域を含む。
【0232】
実施の形態は、導電層の遠位部に位置する空隙を含む。
【0233】
実施の形態は、検体センサの作用電極.の少なくとも一部を画成するセンシング層と接触する導電層を含む。
【0234】
実施の形態は、ガラス状炭素、グラファイト、銀、塩化銀、白金、パラジウム、白金イリジウム、チタニウム、金または、イリジウムのうち1種類以上を含む導電層を含む。
【0235】
実施の形態は、光画像形成性のポリマー材料を含む誘電体層を含む。
【0236】
実施の形態は、導電層および前記基板の少なくとも一部に配置された光画像形成性のフィルムを含む誘電体層を含む。
【0237】
実施の形態は、光リソグラフィ法によって形成された空隙を含む。
【0238】
実施の形態は、空隙に配置されたグルコース流制限層、干渉層または生体適合層のうち1つ以上をさらに含む。
【0239】
実施の形態は、約0.01mm2~約1.0mm2である、導電層と接触したセンシング層の領域を含む。
【0240】
実施の形態は、約0.04mm2~約0.36mm2である、導電層と接触したセンシング層の領域を含む。
【0241】
実施の形態は、実質的に一定な、基板上の導電層と接触したセンシング層の表面積を含む。
【0242】
実施の形態は、実質的に一定な、誘電体層に形成された空隙の寸法を含む。
【0243】
別の実施の形態では、検体センサは、
遠位部を有する基板、
前記基板の遠位部の少なくとも一部に配置された導電層、
前記導電層上に配置された、前記空隙の位置が、前記基板の遠位部および前記空隙内に配置されたセンシング層と一致するように内部に空隙を有する誘電体層
を備え、ここで、
前記導電層と接触した前記センシング層の領域は、センサロット内でおよそ5%未満のセンサ間変動係数を有し、
前記基板の遠位部は、所定の時間、間質液との流体接触を維持する。
【0244】
実施の形態は、約3日間以上の所定時間を含む。
【0245】
実施の形態は、所定の時間、間質液と流体接触する検体センサの作用電極の少なくとも一部を画成する、導電層と接触したセンシング層の領域を含む。
【0246】
実施の形態は、導電層と接触したセンシング層の領域上に配置された膜をさらに備える検体センサを含み、ここで、前記膜は、センサロット内でおよそ5%未満のセンサ間変動係数を有する規定厚さを有する。
【0247】
実施の形態は、実質的に均一な厚さを有する、導電層と接触したセンシング層の領域上に配置された膜を含む。
【0248】
実施の形態は、実質的に均一な分布を有する、導電層と接触したセンシング層の領域上に配置された膜を含む。
【0249】
実施の形態は、センサロットにおけるセンサ間で実質的に一定な、基板上の導電層と接触したセンシング層の表面積を含む。
【0250】
実施の形態は、センサロットにおけるセンサ間で実質的に一定な、誘電体層に形成された空隙の寸法を含む。
【0251】
実施の形態は、空隙に配置されたグルコース流制限層、干渉層または生体適合層のうち1つ以上をさらに含む。
【0252】
本開示の実施の形態の構造および操作方法における、さまざまな他の改変および変更は、本開示の範囲および精神から逸脱することなく、当業者には明らかであろう。本開示は、ある特定の実施の形態に関して説明しているが、特許請求の範囲に記載される本開示は、このような実施の形態に過度に限定されるべきではなく、以下の請求項が本開示の範囲を定義し、したがって、特許請求の範囲およびそれらの等価物の範囲内の構造および方法にも及ぶことが意図されていることが理解されるべきである。
【参照による取り込み】
【0253】
以下の特許、特許出願、および/または公報は、すべての目的において、参照することによって本明細書に援用される:米国特許第4,545,382号;同第4,711,245号;同第5,262,035号;同第5,262,305号;同第5,264,104号;同第5,320,715号;同第5,509,410号;同第5,543,326号;同第5,593,852号;同第5,601,435号;同第5,628,890号;同第5,820,551号;同第5,822,715号;同第5,899,855号;同第5,918,603号;同第6,071,391号;同第6,103,033号;同第6,120,676号;同第6,121,009号;同第6,134,461号;同第6,143,164号;同第6,144,837号;同第6,161,095号;同第6,175,752号;同第6,270,455号;同第6,284,478号;同第6,299,757号;同第6,338,790号;同第6,377,894号;同第6,461,496号;同第6,503,381号;同第6,514,460号;同第6,514,718号;同第6,540,891号;同第6,560,471号;同第6,579,690号;同第6,591,125号;同第6,592,745号;同第6,600,997号;同第6,605,200号;同第6,605,201号;同第6,616,819号;同第6,618,934号;同第6,650,471号;同第6,654,625号;同第6,676,816号;同第6,676,819号;同第6,730,200号;同第6,736,957号;同第6,746,582号;同第。6,749,740号;同第6,764,581号;同第6,773,671号;同第6,881,551号;同第6,893,545号;同第6,932,892号;同第6,932,894号;同第6,942,518号;同第7,167,818号;および同第7,299,082号の各明細書;米国特許出願公開第2004/0186365号;同第2005/0182306号;同第2007/0056858号;同第2007/0068807号;同第2007/0227911号;同第2007/0233013号;同第2008/0081977号;同第2008/0161666;および2009/0054748号の各明細書;米国特許出願第12/131,012号;同第12/242,823号;同第12/363,712号;同第12,698,124;および12/981,129;および米国仮特許出願第61/149,639号;同第61/155,889号;同第61/155,891号;同第61/155,893号;同第61/165,499号;同第61/230,686号;同第61/227,967および61/238,461号の各明細書。
図1
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