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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-18
(45)【発行日】2022-03-29
(54)【発明の名称】ドア、特にスパイラルドア
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/58 20060101AFI20220322BHJP
   E06B 9/56 20060101ALI20220322BHJP
   E06B 9/68 20060101ALI20220322BHJP
   E06B 9/15 20060101ALI20220322BHJP
   E06B 9/17 20060101ALI20220322BHJP
【FI】
E06B9/58 Z
E06B9/58 A
E06B9/56 A
E06B9/68 Z
E06B9/15 E
E06B9/15 G
E06B9/17 W
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2020509105
(86)(22)【出願日】2018-07-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-11-05
(86)【国際出願番号】 EP2018067968
(87)【国際公開番号】W WO2019034323
(87)【国際公開日】2019-02-21
【審査請求日】2020-04-15
(31)【優先権主張番号】102017118959.9
(32)【優先日】2017-08-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】515337659
【氏名又は名称】ゾイスター コマンデイトゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フィッシャー, イェルク
【審査官】鳥井 俊輔
(56)【参考文献】
【文献】実開平04-092999(JP,U)
【文献】特開2005-133438(JP,A)
【文献】特開2007-247306(JP,A)
【文献】特表2006-514186(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102005056032(DE,A1)
【文献】特表平09-510760(JP,A)
【文献】特表2009-511792(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/17
E06B 9/56-9/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
閉扉位置から出発して開扉運動の過程で多層巻取位置へと運動可能なドアリーフ(20)と、前記ドアリーフ(20)の側縁部(22)の領域で開扉運動を案内する螺旋状案内軌道区域(32)を有する案内装置(30)とを備えたドア(10)において、
前記ドアリーフの開扉運動時に先導する区域(24)に取り付けられて前記ドアリーフを前記多層巻取位置へと引き寄せる軟質引張要素(40)を備え、
前記軟質引張要素(40)は一方で前記ドアリーフの前記先導する区域(24)に取り付けられ、他方で前記多層巻取位置において前記ドアリーフ(20)を螺旋状に周回させることになる回転可能な巻取軸装置(50)に取り付けられていることを特徴とするドア。
【請求項2】
前記多層巻取位置において前記ドアリーフ(20)は相互に離間した層を有する巻取体の態様で配置されていることを特徴とする請求項1に記載のドア。
【請求項3】
前記軟質引張要素(40)がベルト、バンド、チェーンまたはロープであることを特徴とする請求項1又は2に記載のドア。
【請求項4】
前記巻取軸装置(50)は相対回転不能に巻取軸(52)に配置されるベルトプーリ(55)を有し、前記軟質引張要素(40)は開扉運動の過程で前記ベルトプーリに巻き取り可能であることを特徴とする請求項に記載のドア。
【請求項5】
前記巻取軸装置(50)を駆動するドア駆動装置を備えることを特徴とする、請求項1乃至4の何れかに記載のドア。
【請求項6】
閉扉位置のとき前記軟質引張要素(40)は略螺旋状の引張軌道(42)上で案内されており、前記引張軌道の推移は前記案内装置の前記螺旋状案内軌道区域(32)の推移を実質再現していることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載のドア。
【請求項7】
前記軟質引張要素(40)は、回転可能に支承される多数の転向ローラ(45)上で案内されており、前記転向ローラは前記軟質引張要素(40)用に略螺旋状の引張軌道(42)を提供するように配置されていることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載のドア。
【請求項8】
前記転向ローラ(45)は、前記ドアリーフ(20)の前記側縁部(22)の領域において、前記案内装置(30)の案内条溝(34)の前記ドアリーフから離れた方の側で保持されていることを特徴とする請求項に記載のドア。
【請求項9】
前記ドアリーフの前記側縁部(22)から突出して前記案内装置(30)内に係合し且つ回転可能に前記ドアリーフ(20)に取り付けられる多数の案内要素(25)は、前記ドアリーフの開扉運動の過程で、案内条溝(34)として形成される前記螺旋状案内軌道区域(32)内で案内されていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載のドア。
【請求項10】
前記軟質引張要素(40)は前記ドアリーフの、開扉運動過程時に先導する前記案内要素(26)に取り付けられていることを特徴とする請求項に記載のドア。
【請求項11】
前記ドアリーフ(20)は少なくとも部分的に軟質なカーテン(28)であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載のドア。
【請求項12】
前記案内装置(30)は、前記案内条溝(34)を備えた案内板を有することを特徴とする請求項又はに記載のドア。
【請求項13】
前記案内装置(130、230)は、前記案内条溝(134、234)から離れた方の側でレール壁(132、232)によって閉鎖された案内レールを有することを特徴とする請求項又はに記載のドア。
【請求項14】
前記案内レールは、前記案内条溝(134、234)と前記レール壁(132、232)との間に配置され場合によっては螺旋状に周回する走行面(140)を前記ドアリーフの案内要素(125)用に有し、及び前記軟質引張要素用及び/又は前記ドアリーフの案内要素用の転向ローラ(145、245)を有することを特徴とする請求項13に記載のドア。
【請求項15】
前記ドアリーフは、互いにヒンジ結合される多数の形材を備えた外装材であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載のドア。
【請求項16】
閉扉運動時に先導する縁部に、弾性変形可能な安定化要素(300)が配置されており、前記安定化要素では、閉扉方向とは逆方向での前記安定化要素(300)の変形に対して反作用する復元力が、閉扉位置のとき前記ドアリーフに対して横方向の前記安定化要素(300)の変形に対して反作用する復元力よりも小さいことを特徴とする請求項1乃至15のいずれか1項に記載のドア。
【請求項17】
ドアの開扉方法であって、
螺旋状案内軌道区域(32)を有する案内装置(30)によってドアリーフがその側縁部領域で案内される間、ドアリーフ(20)の先導区域に取り付けられる軟質引張要素(40)によって前記ドアリーフが閉扉位置から多層巻取位置へと引き寄せられる工程を有
略螺旋状の引張軌道(42)上で前記ドアリーフ(20)を前記多層巻取位置へと引き寄せるとき、前記軟質引張要素(40)は多数の転向ローラ(45)上で案内され、及び巻取軸装置(50)に巻き取られる、開扉方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、閉扉位置から出発して開扉運動の過程で多層巻取位置もしくは開扉位置へと運動可能なドアリーフと、ドアリーフ側縁部の領域で開扉運動を案内する螺旋状案内軌道区域を有する案内装置とを備えたドア、特にスパイラルドアに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のドアは例えば、ガレージやホールエントランスを閉鎖し工場建屋間の通路を閉鎖するのに利用し、あるいは工場建屋の内部でさまざまな領域を分離するのにも利用することができる。
【0003】
閉扉位置においてドアリーフはふつう例えば垂直平面に配置されており、閉鎖すべき開口部の床にドアリーフの下縁部が当接し、ドアリーフが開口部を閉鎖する。ドアリーフは閉扉位置から出発して開扉運動過程時に重力方向とは逆に上方に開扉位置へと運動可能である。開扉運動の過程でドアリーフは多層巻取体へと巻き取られる。ドアリーフが多層巻取体の態様で配置されることになる開扉位置を以下で「多層巻取位置」と称する。多層巻取体は、閉鎖すべき開口部の上縁部を形成するまぐさの背後にふつう配置される巻取軸を螺旋状に周回することができる。これにより、開扉位置においてドアリーフを省スペースで収納することが確保される。
【0004】
ドアリーフは、ドアリーフ運動方向に対して垂直に延びるヒンジ軸に関して互いにヒンジ結合される多数の形材を備えたいわゆる外装材の態様に形成しておくことができる。エントランスの侵入防止封鎖やドア開口部の迅速開扉が最重要ではない場合、ドアリーフは軟質帯状カーテンの態様に形成し、例えばPVC製とすることができる。
【0005】
特許文献であるヨーロッパ特許公報 0 531 327号に述べられたロールアップドアでは、開扉位置においてドアリーフはその側縁部が、螺旋状案内軌道区域を備えた案内レール内で受容され、案内レールによって支えられる。ロールアップドアリーフの個々の形材間にヒンジ結合を実現するために形材はそれぞれ隣接する形材に近い方の形材縁部にいわゆる差込形材の態様の係合機構を装備している。
【0006】
従来のスパイラルドアやロールアップドアでは、ドアリーフを開扉位置に動かす押動力は代表的には外装材の最も下の形材でドアリーフに導入される。例えば押動力は駆動装置からチェーンまたは歯付ベルトによって外装材の最も下の形材に伝達され、ドアリーフは重力に逆らって上方に開扉位置へと移動される。それに加えてドアリーフの少なくとも片側に側部が設けられ、循環するチェーンまたは循環する歯付ベルトがこの側部内に配置されている。このようなドアでは動力伝達が垂直方向で直線的に起きる。そのことからドアリーフの側方に相応するスペースが必要となる。
【0007】
別のスパイラルドアやロールアップドアでは、押動力は伸縮式片持ち材を利用して外装材の開扉運動時に先導する形材に導入される。外装材の開扉運動時に先導する縁部に連結される螺旋状片持ち材の巻取軸から離れた方の末端が形材の螺旋状経路に追従する。しかしこのようなドアリーフガイドはきわめて費用がかかり、加えるべき強いトルクのゆえに伸縮ユニットと駆動装置が過大に寸法設計されねばならないのでやはり所要スペースが大きくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記諸問題に鑑み本発明の課題は、駆動装置や案内装置の所要スペースが低減し、開扉位置と閉扉位置との間をドアリーフが精確かつ確実に運動可能なドア、特にロールアップドアまたはスパイラルドアを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題は請求項1に記載したドアによって解決される。有利な諸構成は従属請求項に明示されている。本発明に係るドアは、ドアリーフの開扉運動時に先導する区域、特に先導縁部、に取り付けられてドアリーフを多層巻取位置へと引き寄せる軟質引張要素を有する。
【0010】
軟質引張要素は例えばドアリーフの先導縁部に固着され、ドアリーフを閉扉位置から重力に逆らって多層巻取位置へと引き寄せ、この巻取位置においてドアリーフは巻取軸を複数回周回して多層巻取体の態様で配置されている。互いにヒンジ結合される複数の形材を備えた外装材としてドアリーフが形成されている場合、軟質引張要素は開扉時に先導する形材、例えばその側縁部、に取り付けておくことができる。ドアリーフが帯状カーテンとして形成されている場合、軟質引張要素はカーテンの開扉時に先導する縁部、もしくはそこに配置されるカーテン補強材の片側、に取り付けておくことができる。
【0011】
軟質引張要素は、例えばベルト、ロープ、ワイヤロープ、バンド、Vベルト、チェーンまたはケーブル等のロープ要素またはベルト要素であるのが好ましい。軟質引張要素は、転向ローラの走行面で繰り出され及び/又はベルトプーリに巻き取られるように形成しておくことのできる例えばフラットベルト等のベルトであるのが好ましい。
【0012】
本発明は、開扉運動時に先導するドアリーフ区域に動力を導入することによって、最も下の形材に動力を導入する循環チェーン等の垂直方向動力伝達ユニットがドアリーフの側方に必要でなくなるとの認識に帰着する。これによりドアの側部はスペースをごく節約して実施することができる。さらに、ドアリーフへの動力伝達がドアリーフの「上側」縁部に移動することによって、ドアリーフの下側領域でのスペース節約のゆえにクラッシュメカニズムはいっそう容易に実現することができる。
【0013】
開扉運動時に先導するドアリーフ区域で動力が導入されるスパイラルドアやロールアップドアでは、開扉運動過程時に押動点は、案内軌道区域の螺旋状推移のゆえに、ドアリーフ巻き取り時に半径方向で外から内へと移動する。それゆえに、伸縮片持ち材を備えたスパイラルドアでは複雑で潜在的に故障し易いメカニズムと大きく寸法設計された駆動装置が必要となることがある。本発明は、ドアリーフを巻取位置へと引き寄せるベルト等の軟質引張要素がその可撓性のゆえに螺旋状に狭まる軌道に沿って問題なく推移することができ、軟質引張要素を利用した場合複雑なメカニズムや大きく寸法設計された駆動装置が必要でないとの認識にも依拠している。軟質引張要素はむしろ、ドアリーフの案内軌道の推移にかかわりなくこの案内軌道に沿って巻取位置へとドアリーフを引き寄せることができ、ドアリーフへの動力導入領域と、例えばベルトとして実施される引張要素を開扉運動の過程で巻き取ることになるベルトプーリ等の貯蔵機構との間で、案内軌道の螺旋状推移に追従することができる。
【0014】
本発明に係るドア、特にスパイラルドアでは、多層巻取位置においてドアリーフは、相互に離間した層を有する巻取体の態様で配置されているのが好ましい。換言するなら、多層巻取体の個々の巻取層は単純なシャッターの場合とは異なり相当接しないのが好ましい。これにより、巻き取り繰り出し時にドアリーフが破損するリスクは低減させることができる。例えば、巻取体の2つの隣接巻取層は開扉位置において1cm以上、特に5cm以上の離間距離を有する。案内装置の螺旋状案内軌道区域の隣接回旋は相応に離間させておくことができる。
【0015】
ドアリーフを開扉する確実な開扉メカニズムは、軟質引張要素が一方でドアリーフの先導区域に取り付けられ、他方で巻取位置においてドアリーフを螺旋状に周回させることになる回転可能な巻取軸装置に取り付けられていることによって提供することができる。
【0016】
回転可能な巻取軸装置は、ドアリーフ運動方向に対して垂直に延びる巻取軸を含むのが好ましく、この巻取軸はドアリーフで閉鎖すべき開口部の上方に、及び/又は閉鎖すべきドア開口部のまぐさの背後に、配置しておくことができる。軟質引張要素は、それを巻取軸装置に巻き取ることができるように巻取軸装置に固着しておくことができる。
【0017】
本発明の好ましい一実施形態において、軟質引張要素の前端はドアリーフの先導区域に固着され、軟質引張要素の前端とは反対側の後端は巻取軸装置に固着されている。巻取軸装置が回転すると、軟質引張要素は巻取軸装置に巻き付けられ、その際にドアリーフの先導区域で引き寄せられ、ドアリーフは螺旋状案内軌道区域に沿って巻取位置へと動くことができる。
【0018】
軟質引張要素を巻取軸装置に確実に巻き取りかつ繰り出すことは、開扉運動の過程で軟質引張要素を巻き取ることのできるベルトプーリによって確保することができる。このベルトプーリは相対回転不能に巻取軸装置の巻取軸と結合されているのが好ましく、巻取軸と一緒に回転する。ベルトプーリは軟質引張要素用のガイドを有することができる。例えば、ベルトプーリの幅は軟質引張要素の幅に適合されている。一実施形態においてベルトプーリは巻取軸から環状に突出する2つの鍔部を有し、鍔部の間で軟質引張要素は巻き取ることができる。
【0019】
ベルトプーリは巻取軸の側縁部区域に固着されているのが好ましい。例えば、多層巻取体が開扉位置で巻取軸の周りに巻き取られたとき多層巻取体から側方に突出することになる巻取軸縁部区域にベルトプーリは配置されている。これにより、軟質引張要素は開扉運動の過程でベルトプーリに巻き取ることができ、ドアリーフ巻取体の生成が妨げられたり邪魔されたりすることはない。
【0020】
これに関連して付記しておくなら、ドアは両側に(つまりドア開口部の右側にも左側にも)、各1つの螺旋状案内軌道区域を備えた案内装置を有し、ドアリーフを多層巻取位置へと引き寄せる少なくとも1つの軟質引張要素がドアリーフの各側に配置されているのが好ましい。例えば、第1軟質引張要素は開扉運動時に先導するドアリーフ区域の第1側に取り付けられ、第2軟質引張要素は開扉運動時に先導するドアリーフ区域の第2側に取り付けられている。これによりドアリーフの両側で対称的動力導入が可能であり、ドアリーフは一様に、交錯のリスクなしに、多層巻取位置へと引き寄せることができる。その場合、巻取軸装置は巻取軸の相反する2つの縁部区域に2つのベルトプーリを備えた巻取軸を有することができる。
【0021】
ドアリーフを動かすために少なくとも1つのドア駆動装置を設けておくことができる。ドア駆動装置は、巻取軸装置を駆動して巻取軸装置をその軸の周りで回転させるように構成しておくことができる。幾つかの実施形態においてドア駆動装置は、少なくとも部分的に巻取軸の内部に配置される管形駆動装置である。例えば、ドア駆動装置は巻取軸内に配置される管形モータである。管形駆動装置の利点として、巻取軸の側方で駆動ユニット用に必要となるスペースが小さくなり、コンパクトで省スペースな構造態様を提供することができる。
【0022】
代替的に、ドア駆動装置は軸線方向で巻取軸にフランジ接合される差込形駆動装置等の駆動装置とすることができる。代表的には、軸線方向で巻取軸に配置されるドア駆動装置は管形駆動装置よりも強いトルクを提供でき、このような駆動装置は例えば大型ドアにおいて利用されることがある。
【0023】
軟質引張要素は開扉運動過程時に略螺旋状の引張軌道上で案内されるのが好ましい。考えられる第1実施形態において軟質引張要素は例えば案内装置の螺旋状案内軌道区域によって案内され、この案内軌道区域によってドアリーフも案内される。
【0024】
特に好ましい実施形態では、軟質引張要素は螺旋状引張軌道上で案内され、この引張軌道の推移は案内装置の螺旋状案内軌道区域の推移を実質再現している。例えば、軟質引張要素用の螺旋状引張軌道はドアリーフを案内する螺旋状案内軌道区域と並んで、例えば側方にずれて、推移している。こうして軟質引張要素はドアリーフを衝突なしに螺旋状案内軌道区域に沿って多層巻取位置へと引き寄せることができる。螺旋状引張軌道の回旋は案内軌道の回旋の間に配置しておくこともできる。
【0025】
軟質引張要素は、回転可能に支承される多数の転向ローラ上で案内され支えられ、転向ローラは軟質引張要素用に略螺旋状の引張軌道を提供するように配置されているのが好ましい。軟質引張要素は、それが外側で転向ローラのローラ面上で案内されているとき、略螺旋状に配置されている。例えば、転向ローラの回転軸は概ね螺旋軌道上に配置されており、この螺旋軌道の推移は螺旋状案内軌道区域の推移に概ね一致し、及び/又は実質的にこれと平行にまたはこれからずらして配置され、例えば案内軌道の回旋の間を延びている。
【0026】
軟質引張要素、例えばベルトは、隣接する2つの転向ローラの間をそれぞれ直線的に走る。それゆえに、螺旋状引張軌道を形成する転向ローラが多ければ多いほど、ドアリーフの開扉位置において生じる軟質引張要素の螺旋状推移はいっそう「円形」となる。
【0027】
幾つかの実施形態において、略螺旋状の引張軌道上で軟質引張要素を案内する転向ローラは10個以上、特に20個以上設けられている。例えば、巻取軸を中心として半径方向外方に放射状に延びる直線に沿って2個または3個以上(もしくは“n”個)の転向ローラが配置されており、これら2個または3個以上(もしくは“n”個)の転向ローラがそれぞれ螺旋状引張軌道の渦巻に付設されている。その場合、螺旋状引張軌道に沿って案内される軟質引張要素によってドアリーフは2層または3層以上(もしくは“n”層)の巻取層へと引き寄せることができる。
【0028】
引張軌道の推移に沿って隣接する2個の転向ローラは巻取軸に関して60°未満、特に45°未満の角度に配置しておくことができる。例えば、それぞれ6個以上、特に8個以上の転向ローラが引張軌道の1つの渦巻に付設され、巻取軸を中心とする弧に沿って配置されている。これらの弧は一定した半径を有する円弧、または転向ローラごとに徐々に減少する半径を有する弧とすることができる。これに関連して指摘しておくなら、螺旋状軌道とは一般に、巻取軸を中心とする複数の回旋内を推移して巻取軸との距離が回旋ごとに減少する案内軌道のことである。螺旋は必ずしも円形螺旋や丸形螺旋ではない。弧状区域が長円形のように略直線的に延びる区域によって互いに結合されたEP 0 531 327 B1による長円形螺旋を利用することも考えられる。
【0029】
それぞれ45°の隣接角で配置される各8個の転向ローラを有する螺旋状引張軌道の渦巻が3つの場合、例えば、螺旋状引張軌道を提供する転向ローラの総数は24個となる。別の実施形態では24個前後の転向ローラを設けておくことができる。
【0030】
ドアリーフが閉扉位置にて、軟質引張要素の少なくとも一部はベルトプーリから繰り出され、螺旋状引張軌道に沿って多数の転向ローラの外側ローラ面上を推移する。ドアリーフは実質垂直に配置されており、案内装置の螺旋状案内軌道区域内に係合しないか僅かに係合するだけである。
【0031】
ドアリーフ開扉運動過程時にドアリーフは軟質引張要素によって螺旋状案内軌道区域に沿って引き寄せられ、この区域の推移は軟質引張要素の螺旋状引張軌道の推移に実質一致することができる。軟質引張要素はベルトプーリに巻き取ることができる。
【0032】
ドアリーフの開扉位置のとき、軟質引張要素の少なくとも一部がベルトプーリに巻き取られているので、少なくとも巻取軸から離れた方の外側転向ローラ上では軟質引張要素が案内されていない。その代わりに、ここでドアリーフの側縁部に設けられる案内要素が案内装置の螺旋状案内軌道区域内に係合する。
【0033】
本発明の特に好ましい一実施形態では、ドアリーフ側縁部の領域において多数の転向ローラは案内装置の案内条溝のドアリーフから離れた方の側で保持されている。案内条溝は少なくとも一部で螺旋状に形成され、螺旋状案内軌道区域を形成することができる。軟質引張要素は案内条溝内に係合するドアリーフ案内要素に固着しておくことができる。これにより、ドアリーフは適切かつ厳密に軟質案内要素によって螺旋状案内条溝に沿って引き寄せることができる。
【0034】
案内装置に沿ってドアリーフを厳密かつ円滑に案内することは、ドアリーフの側縁部から突出して案内装置内に係合する多数の案内要素によって確保することができる。その際、案内要素は回転可能にドアリーフの側縁部に取り付けておくことができ、例えばローラ要素またはピン要素として形成しておくことができる。
【0035】
本発明の特に好ましい一実施形態では、ドアリーフの案内要素はドアリーフ開扉運動過程時に螺旋状案内軌道区域内で案内される。この目的のため螺旋状案内軌道区域は螺旋状案内条溝として形成しておくことができ、案内条溝の条溝幅は案内要素の幅に適合させておくことができる。案内要素が案内条溝から滑り出るのを防止するために、案内条溝に通される案内要素区域はそれぞれ幅広にしておくことができる。
【0036】
螺旋状案内軌道区域は案内板に形成される螺旋状案内条溝によって形成しておくことができる。案内板はレーザ処理されて案内条溝を備えた板とすることができ、ローラ要素として形成されるドアリーフ案内要素がこの案内条溝内を走行する。転向ローラなしの考えられる第1実施形態では、軟質引張要素も案内装置の案内条溝内で案内される。しかしそのことから、摩擦によって軟質引張要素の摩耗が強まることがある。それゆえに本発明の好ましい1実施形態では、案内条溝の推移を再現する引張軌道を軟質引張要素用に提供するように配置される多数の転向ローラが設けられている。
【0037】
軟質引張要素は開扉運動過程時に先導するドアリーフ案内要素に取り付けられているのが好ましい。軟質引張要素は特に、先導するドアリーフ案内要素の、案内装置の案内条溝に通される区域に取り付けられている。軟質引張要素と転向ローラは案内装置の案内板の背後で保護され、例えば、案内板に形成される案内条溝のドアリーフから離れた方の側に配置されているのが好ましい。これにより、軟質案内要素の破損は防止でき、ドアリーフを案内条溝に沿って一様に案内することが可能となる。
【0038】
先に既に言及したように、案内装置は、レーザ加工で製造されるのが好ましい案内条溝を備えた案内板を有することができる。付加的にまたは代替的に、案内装置は案内条溝から離れた方の側をレール壁によって閉鎖された案内レールを有し、特に、異形化されまたは押出し形材として実施される鋼製レール、アルミニウム製レール及び/又はプラスチック製レールを有することができ、このレールは場合によっては螺旋状に推移している。ドアリーフ案内要素用及び/又は軟質引張要素用の平滑な支台面を提供すると同時に厳密な案内条溝によってドアリーフ運動の精確な案内を確保するために、案内レールはG形レールとして実施しておくことができ、また案内条溝とレール壁との間に配置され場合によっては螺旋状に周回するドアリーフ案内要素用走行面を有することができる。付加的にまたは代替的に、引張要素用転向ローラを設け、及び/又は固定軸を中心に回転可能なドアリーフ用案内ローラを設けておくことができ、この案内ローラは場合によっては、C形レールとして実施される案内レール内に受容しておくことができる。
【0039】
特に望ましいと実証されたのは、走行面が案内条溝から出発してレール壁の方向に延び、レール壁の前で距離を置いて終了していることである。その場合、走行面とレール壁との間には、場合によってベルトとして実施される引張要素用の転向ローラを収容するのに十分なスペースがなお残っている。
【0040】
螺旋状に推移する軟質引張要素を介した動力伝達はさまざまな種類のドアリーフと組み合わせることができる。
【0041】
幾つかの実施形態においてドアリーフは、少なくとも部分的に軟質なカーテン、好ましくは帯状プラスチックカーテンである。このカーテンは必ずしも完全に軟質なのではなく、複数の軟質区域を有することができ、これらの区域の間に、例えば耐風保護に利用できる補強材を配置しておくことができる。このカーテンは少なくとも部分的にポリカーボネート(PC)製軌道要素で構成することができる。軽量のドアリーフは迅速に開扉することができ、安価に製造可能、輸送可能である。例えばドアは、例えばホールの2つの区域間の通路を閉鎖できる高速ドアとして形成しておくことができる。軟質カーテンとして形成されるドアリーフは実質平らな位置から多層巻取位置へと、そして再び平らな位置へと、繰り返し曲げることができる。その際、カーテンの安定化形材に連結されるヒンジバンドをカーテンの側縁部に配置しておくことができる。
【0042】
特に好ましい一実施形態においてドアリーフはアルミニウムとポリカーボネート製諸要素とから成る外装材として形成されている。
【0043】
ドアの安定性と侵入防止性は、ドアリーフが、例えばヒンジまたはヒンジバンドを介して互いにヒンジ結合される多数の剛性形材を備えた外装材であることによって向上させることができる。例えば、ドアはスラット外装材を備えたロールアップドアまたはスパイラルドアとして形成されている。形材のヒンジ結合子のゆえにドアは平らな位置から多層巻取位置へと、そして再び平らな位置へと、移動させることができる。
【0044】
ドアリーフが剛性形材と可撓性カーテンとの組合せ体から成る実施形態のドアも本発明の枠内で考えられ、可撓性カーテンは特に、閉扉運動時に先導するドアリーフ縁部の領域に設けておくことができる。
【0045】
本発明のどの実施形態でも、閉扉運動時に先導するドアリーフ縁部に弾性変形可能な安定化要素を設けておくことができ、この安定化要素では、閉扉方向とは逆方向での安定化要素の変形に対して作用する復元力は閉扉位置のとき閉扉要素に対して横方向、特に略垂直な方向での安定化要素の変形に対して反作用する復元力よりも小さく、閉扉運動の過程で安定化要素が物品または人間に衝突したとき損傷リスクがこうして低減される。
【0046】
対応する安定化要素がヨーロッパ特許公報1604091号に述べられている。このヨーロッパ特許公報の開示内容は弾性変形可能な安定化要素の実施に関してここで明確に参照することによって本明細書に取り入れられる。それによれば安定化要素は、主面を閉扉方向に対して垂直に整列させてエラストマー材料に埋め込まれる板ばねを有することができる。
【0047】
他の観点によれば本発明はドア、特にロールアップドアまたはスパイラルドアを開扉する方法に関する。本発明に係る方法によればドアリーフは軟質引張要素によって閉扉位置から多層巻取位置へと引き寄せられる。引張要素はベルトとして形成しておくことができる。軟質引張要素はドアリーフ開扉時に先導するドアリーフ区域に取り付けられている。その側縁部の領域でドアリーフは螺旋状案内軌道区域を備えた案内装置によって案内することができる。
【0048】
本発明の好ましい一実施形態では、ドアリーフを多層巻取位置へと引き寄せるとき軟質引張要素は略螺旋状に推移する引張軌道上で案内される。軟質引張要素の螺旋状引張軌道はドアリーフの螺旋状案内軌道区域の推移を再現することができる。こうして、軟質引張要素は衝突することなく螺旋状案内軌道区域に沿って多層巻取位置へとドアリーフを引き寄せることができる。
【0049】
軟質引張要素は多数の転向ローラ上で案内されるのが好ましく、これらの転向ローラは、軟質引張要素が外側で転向ローラの繰出し面上で案内されているとき引張要素が略螺旋状に配置されているように配置されている。例えば、転向ローラの回転軸は螺旋軌道上に配置されており、螺旋軌道の推移は螺旋状案内軌道区域に実質一致させることができ、及び/又は実質的にこれと平行にまたはこれからずらして配置されている。
【0050】
開扉運動の過程で軟質引張要素は、回転する巻取軸装置に巻き取られるのが好ましい。特に、巻取軸装置がベルトプーリを含み、このベルトプーリに軟質引張要素が巻き取られる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
以下、図面を参考に本発明を説明する。発明上重要ではあるが明細書で明確には強調していないすべての細部に関して図面を参照するよう明確に指示する。
図1】本発明に係るドアの部分領域の略図である。
図2図1のドアリーフを案内する案内装置の略図である。
図3図2の案内装置を有する図1の本発明に係るドアの部分領域の略図である。
図4】本発明に係るドアの略図である。
図5】本発明の他の実施形態による案内装置の略断面図である。
図6】本発明の第3実施形態による案内装置の略断面図である。
図7図5による案内装置の略図である。
図8図6による案内装置の略配置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0052】
図4は本発明に係るドア10、例えばスパイラルドアまたはロールアップドアを略図で示し、ドア開口部を閉鎖するドアリーフ20を備えている。図4はドアリーフ20を閉扉位置で示しており、この位置においてドアリーフはドア開口部を閉鎖し、実質垂直に配置されており、ドアリーフ下縁部は閉鎖すべきドア開口部の床に接している。
ドアリーフ20は重力方向とは逆に開扉位置へと動かすことができ、この開扉位置でドアリーフ20は多層巻取体の態様で多層巻取位置に配置されている。ドアリーフの破損を防止しかつ閉扉位置から開扉位置へと厳密な案内を可能とするために、個々の巻取層は巻取位置において及び/又は開扉運動過程時に相接触しないのが好ましい。
【0053】
ドアリーフ20は開扉運動過程時に先導するドアリーフ区域24と開扉運動過程時に追走するドアリーフ区域とを有する。さらにドアリーフが2つの側縁部22を有し、この側縁部でドアリーフ20がそれぞれ案内装置30によって案内されており、この案内装置は案内条溝または案内レールを有することができる。図4に示す閉扉位置においてドアリーフはその側縁部22の領域で案内装置30の略垂直に延びる案内軌道区域内で案内されており、これらの案内軌道区域は破線で示唆してあるだけである。案内装置30が螺旋状案内軌道区域32を有し、多層巻取位置へと動かすときドアリーフの側縁部22はこの螺旋状案内軌道区域内で案内される。螺旋状案内軌道区域32は図4にやはり破線で示唆してある。
【0054】
多層巻取位置においてドアリーフ20は多層巻取体の態様で巻取軸装置50を取り囲む。巻取軸装置50はドア開口部の上方及び/又はドア開口部のまぐさの背後で実質水平に延びる巻取軸を有することができる。巻取軸装置50は、例えば管形モータとして形成しておくことのできるドア駆動装置によって駆動することができる。
【0055】
図1は、図4に例示した本発明に係るドア10の上側部分領域の略図である。その際、ドアリーフ20を案内する案内装置30は明瞭性向上に配慮して図1では省いてある。案内装置30は図2に別途図示してある。図3図1の本発明に係るドア10の上側部分領域とそこに取り付けられた図2の案内装置30とを示す。
【0056】
図1図3には開扉運動過程時のドアリーフ20が示してあり、この開扉運動中にドアリーフは上方に多層巻取位置へと移動される。これに加えて、ドアリーフ20を多層巻取位置へと引き寄せるベルト等の軟質引張要素40がドアリーフ20の先導区域24に取り付けられている。
【0057】
図1に示す実施形態においてドアリーフ20は部分的に軟質のカーテン28として形成されており、このカーテンはドアリーフ運動方向に対して垂直に延びる補強材を有することができ、これらの補強材は耐風保護に利用できる。ベルトは、開扉運動過程時に先導するドアリーフ補強材の側縁部区域に取り付けておくことができる。側縁部はヒンジバンドとして実施され、ヨーロッパ特許公報 16 002 133.3号に述べられたような補強材に固着されている。
【0058】
軟質引張要素40は螺旋状引張軌道42に沿って多数の転向ローラ45によって案内されている。螺旋状引張軌道42の推移は螺旋状案内軌道区域32の推移に実質一致しており(図2参照)、ドアリーフ開扉運動過程時にドアリーフ20の先導区域24はこの案内軌道区域に沿って案内される。
【0059】
図1に示す実施形態では、螺旋状引張軌道42に沿って軟質引張要素40を案内する転向ローラ45が20個以上設けられている。代替的実施形態において軟質引張要素40は一貫した螺旋軌道上で、例えば案内装置30の螺旋状案内軌道区域32上で、すべらせながらでも案内することができる。しかし、ヒンジバンド22のヒンジ軸と同軸に延びる回転軸に関して回転可能であるのが好ましい転向ローラ45によって軟質引張要素40を案内すると、軟質引張要素40の摩耗と、ドアリーフを開扉位置へと引き寄せるのに必要な引張力が低減する。
【0060】
転向ローラ45は、2つまたは3つ以上の回旋を有する螺旋軌道上にその回転軸が実質的に位置するように配置しておくことができる。軟質引張要素用に円形螺旋を再現する軌道を転向ローラ45によって提供できるように、6個または8個以上の転向ローラが各回旋に付設されているのが好ましい。僅かな間隔で配置される転向ローラの数が多いことから、螺旋状引張軌道42は円形螺旋として形成されるのが好ましい螺旋状案内軌道区域32に特別近似することになり、これによりドアリーフの案内を向上させ、所要の引張力を低減させることができる。
【0061】
図1に示すように、軟質引張要素40は一方でドアリーフ20の先導区域24に、他方で巻取軸装置50の巻取軸52で相対回転不能に保持されるベルトプーリ55に、取り付けておくことができる。ベルトプーリ55は、交差や交錯のリスクなしに軟質引張要素40をベルトプーリ55に巻き取りかつそこから繰り出すことができるように軟質引張要素に適合されている。図1には巻取軸52の反対側末端に選択的に配置される第2ベルトプーリも示してあり、ドアリーフを開扉位置に動かすとき選択的第2軟質引張要素はこの第2ベルトプーリに巻き取られる。第2軟質引張要素によってドアリーフへの対称的動力導入が確保される。
【0062】
管形駆動装置として形成されて巻取軸52を駆動するドア駆動装置は巻取軸52内に配置しておくことができる。代替的に、巻取軸52の軸線方向延長部内に配置されて例えば嵌着式駆動装置として形成されるドア駆動装置を設けておくこともできる。
【0063】
図2は案内装置30の螺旋状案内軌道区域32の略図である。螺旋状案内軌道区域32は案内プレートに設けられる螺旋状案内条溝34として形成しておくことができる。ドアリーフの案内要素25は案内条溝34内に係合しもしくはこれに通すことができ、ドアリーフは螺旋状案内条溝34に沿って多層巻取層へと案内することができる。図3に示すように螺旋状案内軌道区域32はドアリーフ20の片側に、その中央穴に巻取軸装置50を通すように配置されている。
【0064】
図1で特に良好に認めることができるように、ドアリーフの案内要素25はドアリーフ20の側縁部22で突出する回転可能なピン要素またはローラ要素である。図3に示すように、これらの案内要素25は案内装置30の案内条溝34に通すことができ、案内要素の前側区域は案内装置30の案内プレートと側壁との間の空隙内で受容されている。この空隙内で軟質引張要素用転向ローラ45も回転可能に保持しておくことができる。転向ローラ45は例えばドアリーフ20の側縁部22の領域において案内装置30の螺旋状案内条溝34のドアリーフから離れた方の側で保持されている。
【0065】
図1にさらに示すように、軟質引張要素40は、案内条溝34に通される区域で、ドアリーフの開扉運動過程時に先導する案内要素26に取り付けられている。
【0066】
図3から認めることができるように、多層巻取位置においてドアリーフ20は相互に離間した層を有する巻取体の態様で配置されている。開扉位置におけるドアリーフの層間隔は螺旋状案内条溝34の隣接回旋の間隔に実質一致している。ヒンジバンド22は案内プレートのカーテンに近い方の側に配置されており、引張要素は案内プレートのカーテンから離れた方の側に配置されている。
【0067】
図4に符号300で示すように、本発明のどの実施形態でも、閉扉運動時に先導するドアリーフ縁部の領域に弾性変形可能な安定化要素を設けておくことができ、この安定化要素では閉扉方向とは逆方向での安定化要素の変形に対して反作用する復元力は閉扉位置における閉扉要素に対して横方向、特に略垂直な方向での安定化要素の変形に対して反作用する復元力よりも小さい。これにより、ドアリーフ閉扉運動時に物品が破損し及び/又は人間が損傷するリスクは防止することができ、同時にドアリーフ平面に垂直な方向で十分な安定化作用は達成可能である。
【0068】
対応する安定化要素の利用は特に、少なくとも閉扉位置のとき下側のドアリーフ領域が変形を可能とする可撓性カーテンの態様で実施されているとき有利であることを実証した。閉扉位置のとき下側の領域が可撓性カーテンとして実施されたドアリーフでは、開扉運動時に先導するドアリーフ区域に軟質引張要素を本発明により連結することも、閉扉運動時に先導する領域でのドアリーフの安定性に配慮することなく駆動装置をドアリーフに連結できるので、特別有利に利用することができる。
【0069】
図5に示す本発明の実施形態では、案内装置は異形鋼板またはアルミニウム押出し形材またはプラスチック押出し形材として実施される案内レールを有し、この案内レールはG形レールとして実施されている。この案内レールもしくは案内形材内で、ドアリーフ120に取り付けられる案内ローラ125は受容しておくことができ、そのローラ軸が案内条溝134に通されている。案内レール130は運動軌道に対して垂直に延びる図5に示す切断面において案内条溝134を除き閉じて実施されており、案内条溝134から離れた方の側に配置されるレール壁132を有する。
【0070】
案内条溝から出発してレール壁132の方向に延びる実質平らなまたは螺旋状に周回する走行面140が案内レール130に設けられている。この走行面140はドアリーフ120の運動方向と略平行に延在し、ドアリーフ120に取り付けられる走行ローラ用の支台として役立つ。開扉運動または閉扉運動の間、走行ローラ125は案内レール130の走行面140上を転動する。
【0071】
走行面140のレール壁132に近い方の縁部とレール壁132との間に例えば、保持器126を介してドアリーフ120に固着されるベルト等の引張要素用の転向ローラ145が示してある。図5に示す実施形態の代わりに、個別の転向ローラ145を省いて、走行面140を介して引張要素の案内を行うことができる。本発明の両方の実施形態では、走行面140によって案内ローラ用および場合によってはベルト用の平滑な支台面が創成される。このことは静かなドア走行にとって有利である。
【0072】
図6に示す本発明の実施形態は、走行面140を省いて固定回転軸の周りを回転可能な案内ローラ245が案内レール230内で受容されていることによって、図5で説明した実施形態と実質的に相違している。この案内ローラは引張要素を案内するのに役立ち、引張要素用保持器としても同時に役立つドアリーフ滑り要素を案内するのにも役立つ。図5図6に示す案内レールは、既に触れたように異形鋼板として実施しておくことができ、あるいは押出し形材として製造しておくこともできる。
【0073】
図5図6を基に例示的に説明した本発明の実施形態では、案内要素および転向ローラの配置はさまざまに選択することができる。案内要素と転向ローラはドアリーフ運動方向に対して垂直な方向で互いにずらして配置しておくことができる。案内ローラは二重の機能を有し、引張要素の案内とドアリーフの案内とに同時に利用することができる。
【0074】
図7aには、図5に示す実施形態における案内レール130の推移が部分的な斜視図で示唆してある。図7bはベルト160として実施される引張要素用の転向ローラ145が案内レール130の内部に配置されていることを概略示す。
【0075】
図8a図6に示す案内レールを略斜視図で示す。案内ローラ245は、一方でベルトとして実施される引張要素用の転向ローラとして機能し、他方でドアリーフ運動の案内に役立つことによって二重の機能を引き受ける。案内ローラが案内ベルト用受容部を有し、この受容部は張り出した各鍔部によって両側を限定される。案内ベルトが受容部内で受容されたなら、案内ベルトとその両側に配置される鍔部装置はドアリーフ運動案内用の平らな支台面を形成する。図8bは案内レール230内部での案内ローラ245の考えられる配置を概略示す。
【0076】
帯状カーテンの態様のドアリーフの代わりに、互いにヒンジ結合される多数の形材を有する外装材の態様に形成したドアリーフを設けておくことができる。
【0077】
ドアがさらに有することのできる制御機構はドアリーフ運動を制御し、及び/又は、例えばドアリーフ運動経路中の障害物をセンサが検出するときドアリーフ運動を停止させるのに役立つ制御信号を発生する。
【0078】
本発明は、図面を基に説明した実施形態に限定されていない。むしろ本発明に係る開扉メカニズムは、多層巻取位置にドアリーフが移動可能である別種類のドアにおいても利用可能である。さらに、ドアリーフを開扉位置に引き寄せるベルト等の複数の軟質引張要素を有することができる。本明細書では特にドアリーフを開扉する開扉運動を述べてきた。その逆に、ドアリーフは当然同様に再び閉鎖可能であり、軟質引張要素の引張応力が弱まるとドアリーフは重力の働きで閉扉位置へと戻ることができる。
【符号の説明】
【0079】
10 ドア
20 ドアリーフ
22 ドアリーフの側縁部
24 ドアリーフの先導区域
25 案内要素
26 先導する案内要素
28 軟質カーテン
30 案内装置
32 螺旋状案内軌道区域
34 案内条溝
40 軟質引張要素、特にベルト
42 螺旋状引張軌道
45 転向ローラ
50 巻取軸装置
52 巻取軸
55 ベルトプーリ
120 ドアリーフ
125 案内ローラ
126 保持器
130 案内レール
132 レール壁
134 案内条溝
140 走行面
145 転向ローラ
230 案内レール
232 レール壁
234 案内条溝
245 転向ローラ
300 安定化要素
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7a
図7b
図8a
図8b