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特許7043595エンボスエフェクト顔料及び表面修飾エンボスエフェクト顔料を含有するマニキュア組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-18
(45)【発行日】2022-03-29
(54)【発明の名称】エンボスエフェクト顔料及び表面修飾エンボスエフェクト顔料を含有するマニキュア組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/26 20060101AFI20220322BHJP
   C09C 3/08 20060101ALI20220322BHJP
   A61Q 3/02 20060101ALI20220322BHJP
   A61K 8/19 20060101ALI20220322BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20220322BHJP
   A61K 8/86 20060101ALI20220322BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20220322BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20220322BHJP
   A61K 8/55 20060101ALI20220322BHJP
   A61K 8/02 20060101ALI20220322BHJP
【FI】
A61K8/26
C09C3/08
A61Q3/02
A61K8/19
A61K8/81
A61K8/86
A61K8/34
A61K8/37
A61K8/55
A61K8/02
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2020521961
(86)(22)【出願日】2018-10-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-01-07
(86)【国際出願番号】 EP2018078505
(87)【国際公開番号】W WO2019077021
(87)【国際公開日】2019-04-25
【審査請求日】2020-06-12
(31)【優先権主張番号】17001718.0
(32)【優先日】2017-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】502099902
【氏名又は名称】エッカルト ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Eckart GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】110002620
【氏名又は名称】特許業務法人大谷特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シリング クリスティン
(72)【発明者】
【氏名】ゲブハルト アン-カトリン
(72)【発明者】
【氏名】シュミット ウルリッヒ
(72)【発明者】
【氏名】ストラック オリヴァー
【審査官】松井 一泰
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-502839(JP,A)
【文献】特表2007-513893(JP,A)
【文献】特表2019-516672(JP,A)
【文献】特開平03-074472(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0007713(US,A1)
【文献】特表2009-503208(JP,A)
【文献】特表2010-513619(JP,A)
【文献】仏国特許出願公開第02939678(FR,A1)
【文献】国際公開第2017/008068(WO,A1)
【文献】特開平09-227340(JP,A)
【文献】特開2006-176456(JP,A)
【文献】特開2009-102300(JP,A)
【文献】特開平11-158039(JP,A)
【文献】特表2013-506667(JP,A)
【文献】特表2017-503767(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0209790(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00- 90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を含むマニキュア組成物:
a)回折要素による周期的なパターンを有するエンボス構造を有する小板形体の金属基材であって、前記金属基材はPVD法によって製造された金属基材含むエンボスエフェクト顔料であって、前記金属基材は前記金属基材に対して80重量%~100重量%の元素金属含有量を有し、及び前記エンボスエフェクト顔料は表面修飾のためのリーフィング添加剤で処理されている、エンボスエフェクト顔料;
b)バインダーとしての少なくとも1つの炭化水素樹脂;及び
c)少なくとも1つの溶媒若しくは溶媒混合物
【請求項2】
前記表面修飾のためのリーフィング添加剤は以下から成る群から採用される、請求項1に記載のマニキュア組成物:
下記一般式のリン酸エステル:
(R-O)-P(O)(OR(3-x) (I)
又は、下記一般式のホスホン酸エステル及び/若しくはホスホン酸:
R-P(O)(OR)(OR) (II)
又は、下記一般式の脂肪酸:
R’-COOH (III)
又は、下記一般式の有機官能性シラン:
R”-Si(OR (IV)
式中、x=1~3であり、及びR、R’、R”、R、R、R、及びRラジカルは以下の通り定義される:
R=C~C20の範囲の炭素鎖を有する直鎖状若しくは分枝状アルキルラジカル;
R’=C12~C26の範囲の炭素鎖を有する直鎖状若しくは分枝状アルキルラジカル;
R”=C~C24の範囲の炭素鎖を有する直鎖状若しくは分枝状アルキルラジカル;
=H、C~C 範囲の炭素鎖を有する直鎖状及び/若しくは分枝状アルキルラジカル(x=1の場合のRは同一であっても異なっていてもよい);
=R=H、C~C 範囲の炭素鎖を有する直鎖状及び/若しくは分枝状アルキルラジカル(R及びRは同一であっても異なっていてもよい)及び
=C~C 範囲の炭素鎖を有する直鎖状及び/若しくは分枝状アルキルラジカル。
【請求項3】
前記表面修飾のためのリーフィング添加剤は以下から成る群から採用される、請求項1に記載のマニキュア組成物:
下記一般式のリン酸エステル:
(R-O) -P(O)(OR (3-x) (I)
又は、下記一般式のホスホン酸エステル及び/若しくはホスホン酸:
R-P(O)(OR )(OR ) (II)
又は、下記一般式の脂肪酸:
R’-COOH (III)
又は、下記一般式の有機官能性シラン:
R”-Si(OR (IV)
式中、x=1~3であり、及びR、R’、R”、R 、R 、R 、及びR ラジカルは以下の通り定義される:
R=C ~C 20 の範囲の炭素鎖を有する直鎖状若しくは分枝状アルキルラジカル;
R’=C 12 ~C 26 の範囲の炭素鎖を有する直鎖状若しくは分枝状アルキルラジカル;
R”=C ~C 24 の範囲の炭素鎖を有する直鎖状若しくは分枝状アルキルラジカル;
=H、C ~C の範囲の炭素鎖を有する直鎖状及び/若しくは分枝状アルキルラジカル(x=1の場合のR は同一であっても異なっていてもよい);
=R =H、C ~C の範囲の炭素鎖を有する直鎖状及び/若しくは分枝状アルキルラジカル(R 及びR は同一であっても異なっていてもよい)及び
=C ~C の範囲の炭素鎖を有する直鎖状及び/若しくは分枝状アルキルラジカル。
【請求項4】
前記表面修飾のためのリーフィング添加剤は以下から成る群から採用される、請求項1に記載のマニキュア組成物:
下記一般式のリン酸エステル:
(R-O) -P(O)(OR (3-x) (I)
又は、下記一般式のホスホン酸エステル及び/若しくはホスホン酸:
R-P(O)(OR )(OR ) (II)
又は、下記一般式の脂肪酸:
R’-COOH (III)
又は、下記一般式の有機官能性シラン:
R”-Si(OR (IV)
式中、x=1~3であり、及びR、R’、R”、R 、R 、R 、及びR ラジカルは以下の通り定義される:
R=C ~C 20 の範囲の炭素鎖を有する直鎖状若しくは分枝状アルキルラジカル;
R’=C 12 ~C 26 の範囲の炭素鎖を有する直鎖状若しくは分枝状アルキルラジカル;
R”=C ~C 24 の範囲の炭素鎖を有する直鎖状若しくは分枝状アルキルラジカル;
=H、C ~C の範囲の炭素鎖を有する直鎖状及び/若しくは分枝状アルキルラジカル(x=1の場合のR は同一であっても異なっていてもよい);
=R =H、C ~C の範囲の炭素鎖を有する直鎖状及び/若しくは分枝状アルキルラジカル(R 及びR は同一であっても異なっていてもよい)及び
=C ~C の範囲の炭素鎖を有する直鎖状及び/若しくは分枝状アルキルラジカル。
【請求項5】
前記表面修飾のためのリーフィング添加剤は以下から成る群から採用される、請求項1に記載のマニキュア組成物:
下記一般式のリン酸エステル:
(R-O) -P(O)(OR (3-x) (I)
又は、下記一般式のホスホン酸エステル及び/若しくはホスホン酸:
R-P(O)(OR )(OR ) (II)
又は、下記一般式の脂肪酸:
R’-COOH (III)
又は、下記一般式の有機官能性シラン:
R”-Si(OR (IV)
式中、x=1~3であり、及びR、R’、R”、R 、R 、R 、及びR ラジカルは以下の通り定義される:
R=C ~C 20 の範囲の炭素鎖を有する直鎖状若しくは分枝状アルキルラジカル;
R’=C 12 ~C 26 の範囲の炭素鎖を有する直鎖状若しくは分枝状アルキルラジカル;
R”=C ~C 24 の範囲の炭素鎖を有する直鎖状若しくは分枝状アルキルラジカル;
=H、C ~C の範囲の炭素鎖を有する直鎖状及び/若しくは分枝状アルキルラジカル(x=1の場合のR は同一であっても異なっていてもよい);
=R =H、C ~C の範囲の炭素鎖を有する直鎖状及び/若しくは分枝状アルキルラジカル(R 及びR は同一であっても異なっていてもよい)及び
=C ~C の範囲の炭素鎖を有する直鎖状及び/若しくは分枝状アルキルラジカル
【請求項6】
前記表面修飾のためのリーフィング添加剤は式(I)のリン酸エステルであり、R=C12~C18及びR=Hである、請求項2に記載のマニキュア組成物。
【請求項7】
前記エンボスエフェクト顔料に使用される前記表面修飾のためのリーフィング添加剤は、ラウリルホスホン酸メチルエステル、ラウリルホスホン酸エチルエステル、ラウリルホスホン酸(R=12)、若しくはモノセチルリン酸エステル、ジセチルリン酸エステル(R=16)、及びそれらの混合物から成る群からの1つである、請求項2に記載のマニキュア組成物。
【請求項8】
エンボス構造を有する小板形体の前記金属基材は、5,000~20,000回折要素/cmを有する、請求項1~7のいずれかに記載されるマニキュア組成物。
【請求項9】
エンボス構造を有する小板形体の前記金属基材は、アルミニウム、銅、クロム、鉄、及びそれらの合金から成る群から採用される金属である、請求項1~8のいずれかに記載されるマニキュア組成物。
【請求項10】
エンボス構造を有する小板形体の前記金属基材はアルミニウムである、請求項に記載のマニキュア組成物。
【請求項11】
前記炭化水素樹脂は、クマロン-インデン樹脂、ポリスチレン含有樹脂、ホルムアルデヒド樹脂からポリ縮合により誘導される樹脂、及びそれらの混合物から成る群から採用される、請求項1~10のいずれかに記載されるマニキュア組成物。
【請求項12】
前記炭化水素樹脂はポリスチレン含有樹脂である、請求項11に記載のマニキュア組成物。
【請求項13】
前記炭化水素樹脂は全有機バインダーの80重量%~100重量%を占める、請求項1~12のいずれかに記載されるマニキュア組成物。
【請求項14】
炭化水素樹脂の含有量は、全マニキュア組成物に対して25重量%~63重量%の範囲内である、請求項1~13のいずれかに記載されるマニキュア組成物。
【請求項15】
前記炭化水素樹脂は、1,000~2,000g/molの範囲の第1平均分子量Mw及び4,000~5,900g/molの範囲の第2平均分子量Mwを有する少なくとも2つの異なる炭化水素樹脂から成り、それらの重量比は1:1~1:10である、請求項1~14のいずれかに記載されるマニキュア組成物。
【請求項16】
前記炭化水素樹脂は、1,200~1,600g/molの範囲の平均分子量Mw及び4,500~5,500g/molの範囲の平均分子量Mwを有する少なくとも2つの異なる炭化水素樹脂から成り、それらの重量比は1:1~1:10である、請求項15に記載のマニキュア組成物。
【請求項17】
溶媒として、イソプロパノール、酢酸エチル、及び酢酸ブチルの混合物を含み、イソプロパノール、酢酸エチル、及び酢酸ブチルの前記溶媒混合物は全溶媒の70重量%~100重量%を占める、請求項1~16のいずれかに記載されるマニキュア組成物。
【請求項18】
以下の工程を含む、請求項1~17のいずれかに記載のマニキュア組成物の製造プロセス:
i)前記エンボスエフェクト顔料を溶媒中分散物中でリーフィング添加剤によって表面修飾する工程;
ii)前記炭化水素樹脂を溶媒若しくは溶媒混合物中に溶解する工程;及び
iii)i)による分散物をii)によるインダー溶液と混合し及び均質化する工程。
【請求項19】
工程i)は以下の工程を含むプロセスによって実行される、請求項18に記載のプロセス:
i)-1.エンボス構造を有する小板形体の金属基材を含む前記エンボスエフェクト顔料を少なくとも1つの溶媒中に懸濁させる工程;
i)-2.前記表面修飾のためのリーフィング添加剤を、工程iからの懸濁液に添加し、そうして得られた懸濁液を撹拌する工程;及び
i)-3.工程i)-2.で得られた表面修飾エンボスエフェクト顔料を前記溶媒から分離する工程。
【請求項20】
以下の工程を含む、天然若しくは合成指爪をコーティングするためのプロセス:
記天然若しくは合成指爪を請求項1~19のいずれかに記載のマニキュア組成物でコーティングした後、前記マニキュア組成物を乾燥させる工程。
【請求項21】
前記マニキュア組成物を、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、及びそれらの混合物から成る群からのバインダーに基づく溶媒系クリアコートでコーティングすることを特徴とする、請求項20に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面修飾エフェクト顔料、及びその製造プロセス、及び前記表面修飾エフェクト顔料を含むマニキュア組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、レインボー効果を有するエンボスアルミニウム顔料を含有するマニキュア等の化粧品組成物が開示されている。しかしながら、炭化水素樹脂に基づくバインダーは開示されていない。
【0003】
特許文献2には、金属光沢を有する粒子を、マニキュア組成物の総重量に対して≧2重量%の割合で含むとともに、テクスチャ化剤を含む、ミラー効果を有するマニキュア組成物が開示されている。特許文献2は、表面修飾エフェクト顔料を開示していない。さらに、この知的財産は、回折エフェクト顔料を開示していない。
【0004】
特許文献3には、アルミニウム小板を含み鏡様の外観を有するマニキュアについて記載されている。特許文献3によれば、このマニキュアは、指爪上での鏡様効果を達成可能にするために、フィルム形成剤として分子量>56,000g/molのニトロセルロースを含んでいる必要がある。この知的財産は、回折エフェクト顔料を開示していない。
【0005】
特許文献4には、PVDアルミニウム顔料を化粧品組成物の総重量に対して0.05~5.0重量%の色素沈着レベルで含み、及び少なくとも1つのリーフィング添加剤を含む、化粧品組成物が開示されている。使用されるリーフィング添加剤は、長鎖リン酸エステル若しくは複数の長鎖リン酸エステルの混合物である。しかしながら、ほとんどのマニキュアにおいて、このリーフィング効果は十分に発現されない。さらに、この知的財産は、回折エフェクト顔料を開示していない。
【0006】
特許文献5には、少なくとも1つのスチレン/マレイン酸無水物コポリマーを高グロスフィルム形成剤として含み、少なくとも1つのエポキシ樹脂を共フィルム形成剤として含み、少なくとも1つの反応性成分及び少なくとも1つの溶媒を含む、ニトロセスロース非含有マニキュア組成物が記載されている。このニトロセスロース非含有マニキュア組成物は、ニトロセスロース含有マニキュア組成物に匹敵する若しくはそれより良好な接着特性を有すると言われている。特許文献5に開示されている唯一の着色剤は、エフェクト顔料としての真珠光沢顔料である。
【0007】
特許文献6には、種々の干渉層でコーティングされていてもよい、レインボー効果を有する基本的に回折性の金属エフェクト顔料が開示されている。この顔料は、種々の線密度を有する。
【0008】
特許文献7には、75μmを超えるメジアン径d50を有する回折金属エフェクト顔料の製造が記載されている。
【0009】
特許文献8には、濃い色のエンボス金属エフェクト顔料が開示されている。
【0010】
エンボス金属エフェクト顔料はこのように既知であり、マニキュアにおいても使用されている。しかしながら、マニキュアにおけるレインボー効果は、なお改善が必要である。
【0011】
本発明に従い表面修飾されたエフェクト顔料は、例えば特許文献9に開示されているように全てのマニキュア系において良好な結果を示すわけではないことが分かってきた。しばしば、リーフィング効果は適用時若しくはその後に失われ、それに伴いエフェクト顔料の光学特性が十分には発現されないという影響が生ずる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】国際公開第2005/055965号
【文献】欧州特許出願公開第1462085号
【文献】欧州特許出願公開第1299066号
【文献】欧州特許出願公開第1796794号
【文献】欧州特許出願公開第2248514号
【文献】米国特許第6692830号
【文献】欧州特許第1901870号
【文献】欧州特許第2598578号
【文献】欧州特許第1796794号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、改善されたレインボー効果及び改善された彩度を有するエンボスエフェクト顔料を含む、マニキュア組成物を提供することである。さらに可能ならば、光輝もまた改善されるべきである。
【0014】
さらなる目的は、本発明のマニキュアの製造プロセスを提供することである。
【0015】
また、角質物質をマニキュアでコーティングするプロセスも提供される。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の基礎をなす前記目的は、以下を含むマニキュア組成物を提供することにより達成される:
a)回折要素による周期的なパターンを有するエンボス構造を有する小板形体の金属基材であって、前記基材はPVD法によって製造されている金属基材と、任意で前記基材に適用された少なくとも1つのコーティングと、を含むエンボスエフェクト顔料であって、前記基材は前記基材に対して80重量%~100重量%の元素金属含有量を有し、及び前記エフェクト顔料は表面修飾のためにリーフィング添加剤で処理されている、エンボスエフェクト顔料;
b)バインダーとしての少なくとも1つの炭化水素樹脂;
c)少なくとも1つの溶媒若しくは溶媒混合物;及び
d)任意でさらなる補助剤。
【0017】
本発明のマニキュア組成物の好ましい実施形態は、従属請求項2~12に見ることができる。
【0018】
本発明の基礎となる前記目的はまた、以下の工程を含む本発明のマニキュア組成物の製造プロセスによっても達成される:
i)前記エフェクト顔料を溶媒中分散物中でリーフィング添加剤によって表面修飾する工程;
ii)前記炭化水素樹脂を溶媒若しくは溶媒混合物中に溶解する工程;
iii)i)による分散物をii)によるバインダー溶液と混合し及び均質化する工程;及び
iv)任意で、さらなる溶媒若しくは溶媒混合物を補充する工程。
【0019】
本プロセスの好ましい実施形態は、従属請求項14に見ることができる。
【0020】
また、前記目的は、以下の工程を含む、天然若しくは合成の指爪をコーティングするためのプロセスの提供によって達成される:
a)前記天然若しくは合成指爪を請求項1~13のいずれかに記載のマニキュア組成物でコーティングした後、このマニキュアを乾燥させる工程;及び
b)任意で、その後前記マニキュアをクリアコートでコーティングする工程。
【0021】
本プロセスの好ましい実施形態は、従属請求項16に見ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明のマニキュア組成物:
本発明は、エフェクト顔料のリーフィング効果を優れた態様で可能にし、かつ維持する、マニキュア組成物に関する。
【0023】
本発明のこのマニキュア組成物は以下を含む:
a)回折要素による周期的なパターンを有するエンボス構造を有する小板形体の金属基材であって、前記基材はPVD法によって製造された金属基材と、任意で前記基材に適用された少なくとも1つのコーティングと、を含むエフェクト顔料であって、前記基材は前記基材に対して80重量%~100重量%の元素金属含有量を有し、及び前記エフェクト顔料は表面修飾のためにリーフィング添加剤で処理されている、エフェクト顔料;
b)バインダーとしての少なくとも1つの炭化水素樹脂;
c)少なくとも1つの溶媒若しくは溶媒混合物;及び
d)任意でさらなる補助剤。
【0024】
少なくとも1つの表面修飾エフェクト顔料を含む本発明のマニキュア組成物は、ほとんどの市販のマニキュア組成物とは対照的に、好ましくはニトロセルロース若しくは酢酸酪酸セルロースを含まない。本発明のマニキュア組成物の適用及び乾燥後の視覚的外観は、相当程度まで前記少なくとも1つの表面修飾エンボスエフェクト顔料により決定される。
【0025】
本発明のマニキュア組成物は、少なくとも1つの表面修飾エンボスエフェクト顔料を、好ましくは各場合のマニキュア組成物の総重量に対して0.2重量%~7.0重量%の範囲、さらに好ましくは0.3重量%~5.0重量%の範囲、より好ましくは0.35重量%~3.0重量%の範囲、及び最も好ましくは0.4重量%~2.0重量%の範囲の割合で含む。
【0026】
本発明のマニキュア組成物では、前記エンボス表面修飾エフェクト顔料は好ましくは、適用されたマニキュアの表面にアレンジしている。本発明によれば、「表面にアレンジする」とは、その表面修飾エフェクト顔料が、マニキュアベース上で及び/又はマニキュア組成物/空気若しくはマニキュア組成物/上塗り界面から、ワニス化される基材の方向においてこの界面に隣接するマニキュア組成物の3分の1にあるということを意味する。好ましくは、前記表面修飾エフェクト顔料は、前記マニキュア中で浮いており、及びマニキュア表面において整列される。前記表面修飾エフェクト顔料はしたがって、本発明のマニキュア組成物において際立ったリーフィング特性を示す。
【0027】
表面修飾エフェクト顔料のこれらの際立ったリーフィング特性に起因して、本発明によれば、それらの視覚的外観が主に、マニキュアベースに添加された少なくとも1つの表面修飾エフェクト顔料によるものである、マニキュア組成物の製造が可能である。したがって、エンボスエフェクト顔料のレインボー効果が、そして彩度もまた、はるかに良好に発現される。
【0028】
さらなる実施形態では、達成されるべき光学効果に応じて、さらなる表面修飾、好ましくは非回折エフェクト顔料を、マニキュア組成物に添加することもまた可能であり、この場合、表面修飾顔料及びエフェクト顔料の双方は、互いに異なっていてよい。従来の有機及び/若しくは無機顔料を本発明のマニキュア組成物に添加することも同様に可能である。
【0029】
エンボスエフェクト顔料:
本発明によれば、本発明のマニキュア組成物は、回折要素による周期的なパターンを有するエンボス構造を有する小板形体の金属基材であって、前記基材はPVD法によって製造されており及び線密度が5,000~20,000本/cmである、金属基材と、任意で前記基材に適用された少なくとも1つのコーティングと、を含むエフェクト顔料であって、前記基材は前記基材に対して80重量%~100重量%の元素金属含有量を有する、エフェクト顔料を含有する。
【0030】
本発明によれば、前記エンボス構造は、回折要素による周期的なパターンを有する。周期的なパターンとはここでは、前記回折要素の最小単位に関係する。この周期的回折構造は好ましくは5,000~20,000回折要素/cm、より好ましくは9,000~18,000回折要素/cm、及び最も好ましくは12,000~16,000回折要素/cmを有する。この範囲内では、回折格子の既知の原理により、主に可視光(波長約400~800nm)が回折要素で回折され、その結果、観察者はレインボー効果を知覚する。しかしながら、IR放射及び/若しくはUV放射の画分を回折することもまた可能である。
【0031】
本質的に周期性が入射光の回折波長を決定する。具体的には、これは、例えば、米国特許第6,692,830号から推定できるように、既知の式によって算出することができる。
【0032】
有用な回折要素としては、例えば、対称三角形、非対称三角形、種々多様な異なる形体の溝、矩形関数、円、波線、円錐、円錐台、ピンプル、角柱、角錐、角錐台、円柱、半球等、及びこれらの幾何学的形体及び主体の組み合わせが挙げられる。
【0033】
顔料表面に平行に配置された1以上の表面を有する幾何学的主体、例えば円錐台、角錐台、円柱、若しくは矩形関数は、これらの表面に起因してより高い反射能力を有する。
【0034】
顔料表面に基づく斜めの側面を有する幾何学的主体は、レインボー効果を向上させる。斜めの側面とは、前記基材に対して5°~89°、好ましくは15°~84°、なおさらに好ましくは27°~80°、なおさらに好ましくは43°~74°の角度を有する側面を意味すると理解される。好適な幾何学的主体は、例えば、円錐、円錐台、角錐、角錐台等である。
【0035】
円錐台の場合には、例えば、顔料表面に平行な上面での反射及び側面でのレインボー効果の向上の両方が存在する。同様に、角錐台の場合には、上面での反射と斜めの側面上でのレインボー効果の向上の両方が存在する。
【0036】
円錐台若しくは角錐台の場合には、顔料表面に対して平行ではなくむしろ顔料表面に対して斜めの態様で、上面を配置することも可能であることが理解されよう。
【0037】
エンボス及び/若しくは成形によって小板形体の金属基材の表面上に配置された幾何学的主体によって、エフェクト顔料のレインボー効果及び/若しくは反射能力を向上することができ又はレインボー効果の反射に対する相対的比率を変更することができる。
【0038】
例えば、前記幾何学的主体はセクションに分けるか又は別の方法で互いに混合することができる。例えば、波状構造上に幾何学的主体を追加で配置するというように、幾何学的形体及び幾何学的主体を重ね合わせの態様で配置することもできることは言うまでもない。
【0039】
本発明のさらなる変形形態では、小板形体の金属基材表面上に、エンボス及び/若しくは形状化セクションと並んで、非エンボス若しくは非形状化の、及びしたがって滑らかなセクションを存在させることも可能である。この方法でもまた、レインボー効果の反射に対する相対的な比率を変更することが可能である。
【0040】
好ましくは、小板形体の金属基材の表面全体に、好ましくはエンボスされた、回折構造が備えられている。しかしながら、金属エフェクト顔料表面の一部分だけが、好ましくはエンボスされた、回折構造を備えていること、又は回折構造へと形状化されていることも可能である。金属エフェクト顔料表面の好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも75%、及び最も好ましくは少なくとも90%が、回折構造をもってエンボスされているか、又は回折構造へと形状化されている。
【0041】
特に好ましい実施形態では、回折構造は、波状の、例えば正弦関数の、線、円錐、若しくは円錐台を含むかそれらからなる。極めて好ましい実施形態では、回折構造は正弦関数の線を含むかそれらから成るが、それはこの形状は、第一に特にエンボスが容易であり、第二に非常に顕著な回折効果をもたらすためである。これらの正弦関数の線の場合には、回折構造は好ましくは小板形状の金属基材上の全体においてエンボスされている。
【0042】
好ましい実施形態では、本発明のマニキュア組成物は、エンボス構造を有する小板形体の金属基材を含むエフェクト顔料を含有し、前記金属はアルミニウム、銅、クロム、鉄、若しくはそれらの合金から成る群から採用される。
【0043】
より好ましくは、エンボス構造を有する小板形体の前記金属基材は、特に良好な反射性を与え及びPVD法によって容易に製造されるアルミニウムで構成される金属を含有するかその金属から成る。
【0044】
はっきりと知覚され得る効果を達成できるようにするために、回折構造、好ましくは線構造は、好ましくは特定の最小深さを有し、それは回折の物理的効果がそうでなければ不適切にしか発現されない可能性があるためである。したがって、前記回折構造は好ましくは、(国際公開第2005/055965号により「山から谷まで」として測定された)深さを少なくとも40nm、好ましくは40nm~600nm、及びより好ましくは50nm~400nm、及び最も好ましくは100nm~250nmとすべきである。
【0045】
600nmを超えると、この構造はもはや全体的安定性を有さない。40nmを下回ると、前記回折効果の発現が不十分となる。
【0046】
小板形体の金属性エンボス基材はPVD法により製造される。
【0047】
好ましくは、小板形体の前記彫刻金属基材は、平均厚さh50(メジアン)が20nm~80nmの範囲、より好ましくは30~60nmの範囲である。
【0048】
メジアンh50は好ましくは、国際公開第2004/087816号(24及び25頁)に記載されたSEM法により決定される。
【0049】
20nm未満では、基材は暗すぎる可能性があり、及びエンボス構造を得るために必要とされる必要な機械的強度を失うおそれがある。
【0050】
80nmを超えると、金属基材は厚すぎて必要な光輝及び隠蔽力が得られない。
【0051】
回折構造の深さはしたがって、小板形状の金属基材の平均層厚さh50を超えることができる。
【0052】
エンボス構造を有するエフェクト顔料のメジアン径d50は、5~120μmの範囲内、好ましくは10~75μmの範囲内、及び最も好ましくは15~40μmの範囲内である。
【0053】
ここではd50は、レーザー回折法によって、当業者には慣用のやり方でサイズ分布(フラウンホーファー回折)の体積平均累積アンダーサイズ曲線として決定される。これは、測定機器としてHoriba製のHoriba LA-950機器を用いて行われる。
【0054】
サイズ分布関数の累積頻度分布のh50は、分析されたエフェクト顔料の50%が報告された特定値と等しいかそれより小さいサイズを有するということを示している。
【0055】
5μm未満では、顔料粒子当たりの回折構造の数が少なすぎて効果的なレインボー効果が得られない。120μmを超えると、エフェクト顔料が大きすぎて、合成若しくは天然指への適用後のマニキュア製剤において指基材に対して十分に平面平行の態様で配列されない。配向性が劣る場合には、異なって配列されたエフェクト顔料粒子によって発光された回折光の重ね合わせの部分的消光に起因して、レインボー効果及び彩度も同様に歪められる。
【0056】
金属エフェクト顔料が化粧製剤において使用される場合、それらは特定の純度要求、例えばEU Cosmetic Regulation 1223/2009又はFDA21CFR パート73を満足する必要がある。
【0057】
例えば、小板形状の金属基材としてアルミニウム小板が使用されるならば、これらは好ましくは、各場合のアルミニウム小板の総重量に対するアルミニウム含有量が≧97重量%、さらに好ましくは≧98重量%、より好ましくは≧99重量%、及び最も好ましくは≧99.7重量%である。好ましい実施形態では、アルミニウム小板はまた、水銀含有量が好ましくは≦1ppm、ヒ素含有量が好ましくは≦2ppm、鉛含有量が好ましくは≦10ppm、カドミウム含有量が好ましくは≦1ppm、バリウム含有量が好ましくは≦10ppm、クロム含有量が好ましくは≦20ppm、ニッケル含有量が好ましくは≦20ppm、銅含有量が好ましくは≦20ppm、コバルト含有量が好ましくは≦20ppm、アンチモン含有量が好ましくは≦2ppm、セレン含有量が好ましくは≦10ppm、及び亜鉛含有量が好ましくは≦20ppmである。
【0058】
特に、アルミニウム小板は、水銀含有量が好ましくは≦1ppm、ヒ素含有量が好ましくは≦2ppm、鉛含有量が好ましくは≦10ppm、及びカドミウム含有量が好ましくは≦1ppmであることが好ましい。
【0059】
小板形状の金属基材として銅小板が使用される場合、これらは好ましくは、各場合の銅小板の総重量に対して、銅含有量が≧95重量%、さらに好ましくは≧96重量%、より好ましくは≧97重量%、及び最も好ましくは≧98重量%である。好ましい実施形態では、銅小板はまた、水銀含有量が≦1ppm、ヒ素含有量が好ましくは≦3ppm、鉛含有量が好ましくは≦20ppm、カドミウム含有量が好ましくは≦15ppm、バリウム含有量が好ましくは≦10ppm、クロム含有量が好ましくは≦20ppm、ニッケル含有量が好ましくは≦20ppm、コバルト含有量が好ましくは≦20ppm、アンチモン含有量が好ましくは≦2ppm、及びセレン含有量が好ましくは≦10ppmである。
【0060】
小板形状の金属基材として金青銅小板が使用される場合、これらは好ましくは、各場合の金青銅小板の総重量に対して、銅含有量が70重量%~95重量%の範囲、亜鉛含有量が<5重量%~<30重量%の範囲、アルミニウム含有量が0.01重量%~≦1.5重量%の範囲、スズ含有量が0.001重量%~≦0.5重量%の範囲である。好ましい実施形態では、金青銅小板はまた、水銀含有量が好ましくは≦1ppm、ヒ素含有量が好ましくは≦3ppm、鉛含有量が好ましくは≦20ppm、カドミウム含有量が好ましくは≦15ppm、バリウム含有量が好ましくは≦10ppm、クロム含有量が好ましくは≦20ppm、ニッケル含有量が好ましくは≦20ppm、コバルト含有量が好ましくは≦20ppm、アンチモン含有量が好ましくは≦2ppm、及びセレン含有量が好ましくは≦10ppmである。
【0061】
一実施形態では、本発明のマニキュア組成物は、エフェクト顔料として、さらなる光学活性コーティングを有さない回折要素を有する金属性の小板形体の彫刻金属基材を含有する。
【0062】
この基材は好ましくはアルミニウムで構成される。
【0063】
さらに好ましい実施形態では、本発明に従って使用されるべき小板形体の金属性のエンボス基材は、本発明に従って必要とされるコーティング以外に、リーフィング添加剤によるさらなるコーティングを有さない。この場合、空気下で自然に形成する金属酸化物層、例えば酸化アルミニウム層は、コーティングとみなさない。
【0064】
この場合、エフェクト顔料は、エンボス構造、好ましくは線構造がエンボスされている、金属性の層のみから成る。こうしたエフェクト顔料は、さらなるコーティングを有さないことに起因してそれらの合計厚さが最小であるため、特に好ましい。こうした顔料は、マニキュアに特に効果的に組み込むことができる。
【0065】
このようなエフェクト顔料の製造は、例えば、欧州特許第643745号若しくは欧州特許第1901870号に記載されている。
【0066】
こうした顔料は、例えばEckart America製のMetalure(登録商標) Prismatic及びSilverdream Prismaticの商品名で市販されている。
【0067】
本発明のさらなる実施形態では、小板形体の彫刻金属基材、好ましくはアルミニウム基材は、以下で構成される少なくとも1つの層パッケージを含有する光学活性コーティングを有する:
A)<1.8の屈折率を有する低屈折層;及び
B)2.0を超える屈折率を有する高屈折層。
【0068】
これらの層もまたPVD法によって製造されるのが好ましい。
【0069】
低屈折層は好ましくは、SiO、Al、B、若しくはMgFから成る。
【0070】
この実施形態において存在する高屈折コーティングは、少なくとも1つの金属酸化物、金属水酸化物、及び/若しくは金属酸化物水和物で構成されるかそれらを含む少なくとも1つの高屈折層を含んでいてよく、金属イオンは好ましくはTi、Fe、Sn、Mn、Zr、Sr、Ba、Ni、Ag、Zn、Cu、Cr、及びCoから成る金属の群から選択され、及びさらに好ましくはTi、Fe、Sn、Zr、Zn、及びCrから成る金属の群から選択され、及び特に好ましくはTi及びFeから成る金属の群から選択される。
【0071】
さらなる実施形態では、高屈折金属硫化物、例えばMoSを使用することも可能である。
【0072】
さらなる実施形態では、任意で存在する高屈折コーティングは、少なくとも1つの金属酸化物、金属水酸化物、及び/若しくは金属酸化物水和物を含む層の代わりに又はそれらに追加して、少なくとも1つの半透明金属層を含んでもよい。半透明金属層の金属は、Ag、Al、Cr、Ni、Au、Pt、Pd、Cu、Zn、及びTiから成る群から選択されてよく、好ましくはAg、Au、及びCuから成る群から選択されてよい。半透明金属層は言うまでもなく、上記に挙げた金属の合金若しくは混合物も含み得る。半透明金属層の平均厚さは好ましくは、1nm~30nmの範囲内、より好ましくは4nm~26nmの範囲内、及びより好ましくは7nm~21nmの範囲内である。
【0073】
さらなる実施形態では、小板形体の彫刻金属基材、好ましくはアルミニウム基材は、PVD法により両側に適用された、好ましくは低屈折率の層のみを有する。このような層は、エフェクト顔料の光学活性に寄与することは意図されておらず、単にエフェクト顔料に機械的安定性を付与することのみ意図されている。このようなエフェクト顔料は、例えば国際公開第2000/34395号に記載されている。
【0074】
例えば、対応するコーティングを有するエンボスエフェクト顔料は、SpectraFlair(登録商標)の商品名でViavi(米国カリフォルニア州、サンタローザ(Santa Rosa))により供給されている。
【0075】
このようなエフェクト顔料のさらなる例は、以下の層構造を有する。
Al/SiO/Al/SiO/Al
Cr/MgF/Al/MgF/Cr
MoS/SiO/Al/SiO/MoS
Fe/SiO/Al/SiO/Fe
【0076】
このようなエフェクト顔料の製造については、例えば米国特許第6,749,777号に記載されている。
【0077】
これらのエフェクト顔料において、色印象は、回折構造による回折の影響だけではなく、さらに追加のコーティングの干渉現象の影響も受ける。これは、純粋なレインボー効果の「妨害」をもたらし得る。本発明の文脈では、それでもなお得られる効果はまた「レインボー効果」と記述される。
【0078】
さらなる実施形態では、小板形体の金属性のエンボス基材は、好ましくは主にナノ金属の形態の金属と、金属酸化物との混合層から成り、前記金属及び金属酸化物は同じ金属を有する。このようなPVDエフェクト顔料は、欧州特許第2598578号(特許文献8)に記載されており、これらの顔料の反射が非常に低いという点で注目に値する。これらは視覚的に黒色のエフェクト顔料であるが、それにもかかわらず、それらのエンボスに起因してレインボー効果を有する。ここで想定される金属は好ましくはアルミニウム若しくはクロムである。このようなエンボスエフェクト顔料の平均厚さは、40~130nmの範囲内である。
【0079】
さらなる実施形態では、コーティングを有する小板形体の金属基材に基づく、マニキュア組成物中で使用すべき本発明の表面修飾エフェクト顔料は、好ましくは20nm~4000nmの範囲、さらに好ましくは30nm~3000nmの範囲、より好ましくは70nm~2000nmの範囲、及び最も好ましくは230nm~1300nmの範囲の平均合計厚さh50を有する。平均合計厚さは、表面修飾エフェクト顔料の完全平均厚さ、即ち小板形体の金属基材 プラス 任意のコーティング プラス 表面修飾を意味すると理解される。
【0080】
リーフィング添加剤:
本発明の必須の構成要素は、表面修飾エフェクト顔料のリーフィング特性が非常によく発現されるマニキュアの提供である。
【0081】
小板形体の金属基材の表面修飾のための好ましいリーフィング添加剤は、リン酸エステル含有、ホスホン酸含有、脂肪酸含有、及び/若しくはシラン含有化合物、又はそれらの混合物から成る群から採用される少なくとも1つの化合物である。
【0082】
好ましい実施形態では、使用される表面修飾のために使用可能なリーフィング添加剤は、下記一般式のリン酸エステル:
(R-O)-P(O)(OR(3-x) (I)
並びに/又は、下記一般式のホスホン酸エステル及び/若しくはホスホン酸:
R-P(O)(OR)(OR) (II)
から成る群からのものである。
【0083】
この場合、x=1~3であり、及びR、R、R、及びRラジカルは以下の通り定義される:
R=C~C20の範囲の炭素鎖を有する直鎖状及び/若しくは分枝状アルキルラジカルであり、及び
=H、C~C、好ましくはC~Cの範囲の炭素鎖を有する直鎖状及び/若しくは分枝状アルキルラジカルであり、x=1の場合のRは同一であっても異なっていてもよく、R=R=H、C~C、好ましくはC~Cの範囲の炭素鎖を有する直鎖状及び/若しくは分枝状アルキルラジカルであり、R及びRは同一であっても異なっていてもよい。
【0084】
式(I)のリン酸エステルにおいて、xは、好ましい実施形態では1若しくは2であり、この際モノ及びジリン酸エステルの混合物も可能である。Rはさらに好ましくはC10~C20、及び特に好ましくはC12~C18、及び極めて好ましくはC12~C16である。さらに好ましい実施形態では、R=C12~C18及びR=Hである。
【0085】
さらに好ましい実施形態では、エンボスエフェクト顔料の表面修飾のために使用される添加剤は、ラウリルホスホン酸メチルエステル、ラウリルホスホン酸エチルエステル、ラウリルホスホン酸(R=12)、若しくはモノセチルリン酸エステル、ジセチルリン酸エステル(R=16)から成る群からのホスホン酸、ホスホン酸エステル、及びリン酸エステル;並びにそれらの混合物である。
【0086】
リーフィング添加剤としては、モノセチルリン酸エステル、ジセチルリン酸エステル(R=16)、及びそれらの混合物が最も好ましく使用される。
【0087】
表面修飾のために使用可能な脂肪酸は下記一般式の脂肪酸であってよく:
R’-COOH (III)
式中、R’ラジカルは、C12~C26の範囲、好ましくはC14~C24の範囲、さらに好ましくはC16~C22の範囲、及び特に好ましくはC18~C20の範囲の炭素鎖を有する、直鎖状若しくは分枝状アルキルラジカルである。
【0088】
好ましい実施形態では、本発明のマニキュア組成物中で使用可能なエフェクト顔料の表面修飾は、C12~C20の範囲、好ましくはC14~C18の範囲の炭素鎖を有する線状非置換アルキル部分R’を有する脂肪酸を用いて達成される。
【0089】
粉砕によって得られる金属エフェクト顔料に対して、当該エフェクト顔料はPVD法により製造されるため、それらはいずれの脂肪酸も含有しない。したがって、脂肪酸もまた、表面修飾としてエンボスエフェクト顔料に適用されなければならない。
【0090】
表面修飾のために使用可能なシランは、下記一般式のシランであってよく:
R”-Si(OR (IV)
式中、R”及びRラジカルは好ましくは以下の通り定義される:
R”=C~C24の範囲、好ましくはC10~C22の範囲、特に好ましくはC12~C18の範囲の炭素鎖を有する直鎖状及び/若しくは分枝状アルキルラジカルであり、及びR=C~Cの範囲、好ましくはC~Cの範囲、及び特に好ましくはC~Cの範囲の炭素鎖を有する直鎖状及び/若しくは分枝状アルキルラジカルである。さらなる実施形態では、アルキルラジカルR”は、-OH、-OCH、-OC、-NH、C~Cの範囲の炭素鎖を有する直鎖状及び/若しくは分枝状アルキルラジカルから成る群から選択される少なくとも1つの置換基を含んでもよい。
【0091】
マニキュア系中に導入される前の分離工程において、エンボスエフェクト顔料が添加剤でコーティングされることが特に好ましい。
【0092】
エンボスエフェクト顔料の表面修飾のための本発明のプロセスは、以下の工程を含む:
i.エンボス構造を有する小板形体の金属基材を含むエンボスエフェクト顔料を少なくとも1つの溶媒中に懸濁させる工程;
ii.任意で昇温状態で、工程iからの懸濁液にリーフィング添加剤を添加し、そうして得られた懸濁液を攪拌する工程;
iii.工程iiで得られた表面修飾エフェクト顔料を溶媒から分離し、及び任意で乾燥させる工程。
【0093】
ここで使用される溶媒は、第一に本発明のマニキュア系に対し最大の適合性を有し及び生理的に適合性があり、及び第二にリーフィング添加剤を十分に溶解可能である、溶媒である。
【0094】
リン酸エステル、ホスホン酸エステル、ホスホン酸、若しくは脂肪酸がリーフィング添加剤として使用される場合、好ましい溶媒は酢酸エチル及び酢酸ブチル及びそれらの混合物であり、及び極めて好ましくは酢酸ブチルである。
【0095】
前記任意の昇温状態は、添加剤の溶媒中へのより良好な溶解性に役立ち、及び好ましくは40~100℃の範囲、若しくは溶媒の沸点まで、及びより好ましくは50~90℃の範囲である。
【0096】
使用されるリーフィング添加剤が有機官能性シランである場合、これは好ましくは、ゾルゲル反応によってエンボスエフェクト顔料の表面に適用される。ここで使用される溶媒は好ましくはエタノール、イソプロパノール、若しくはそれらの混合物である。好適な量の水及び酸性及び/若しくは塩基性触媒を溶媒に加えることも、任意で可能である。前記水は、シランのアルコキシ基のより良好な加水分解をもたらす。
【0097】
表面修飾のためのリーフィング添加剤は好ましくは、各場合に使用されるエンボスエフェクト顔料の総重量に対して、5重量%~50重量%の範囲、より好ましくは10重量%~40重量%の範囲、及び最も好ましくは15重量%~35重量%の範囲の量で使用される。
【0098】
ここで特定される添加剤の量は出発物質を基準としているため、既にコーティング済みのエンボスエフェクト顔料における添加剤の実際の量はより少ない場合がある。例えば、50重量%の量の場合に、添加剤の全てが顔料表面上に吸収され得るわけではないからである。したがって、エンボスエフェクト顔料を含む本発明のマニキュア中では、より少ない量のリーフィング添加剤が見られ得る。
【0099】
しかしながら、出発物質における極めて多量の添加剤の効果は非常に高く、及びエフェクト顔料表面の添加剤による密なコーティング。
【0100】
本発明のさらに特に好ましい実施形態では、コーティングプロセスにおいて、エンボスエフェクト顔料の表面修飾のために使用されるリーフィング添加剤は、式(II)の少なくとも1つホスホン酸エステル及び/若しくはホスホン酸であり、その合計量は各場合のエンボスエフェクト顔料の総重量に対して10重量%~50重量%の範囲、より好ましくは15重量%~45重量%の範囲、及び最も好ましくは20重量%~40重量%の範囲である。
【0101】
ホスホン酸エステル及び/若しくはホスホン酸が上記特定量未満の場合には、エフェクト顔料のリーフィングの発現が不十分となる。ホスホン酸エステル及び/若しくはホスホン酸が上記特定量を超えると、過度に大量のホスホン酸エステル及び/若しくはホスホン酸が最終のマニキュア組成物中に導入されてしまう可能性ある。
【0102】
エフェクト顔料がマニキュア系に導入される前の分離工程において、それらのエフェクト顔料をホスホン酸エステル及び/若しくはホスホン酸でコーティングすることが、ここでは特に好ましい。
【0103】
特に好ましい実施形態では、本発明によるプロセスにおいて使用されるリーフィング添加剤は、式(I)の少なくとも1つのリン酸エステルであり、式中、各Rは、好ましくはC10~C20、より好ましくはC12~C18を有する線状アルキルラジカルであり、及びR=Hであり、それらの合計量は使用されるエンボスエフェクト顔料の総重量に対して、15重量%~40重量%の範囲、さらに好ましくは20重量%~35重量%の範囲である。
【0104】
さらに好ましい実施形態では、小板形体の金属性エンボス基材に基づくエンボスエフェクト顔料の表面修飾のために使用されるリーフィング添加剤は、少なくとも1つの脂肪酸であり、それらの合計量は、各場合に使用されるエフェクト顔料の総重量に対して、好ましくは5重量%~40重量%の範囲、より好ましくは10重量%~38重量%の範囲、及び最も好ましくは20重量%~35重量%の範囲である。
【0105】
さらに好ましい実施形態では、小板形体の金属性エンボス基材に基づくエンボスエフェクト顔料の表面修飾のために使用されるリーフィング添加剤は、少なくとも1つのシランであり、それらの合計量は、各場合に使用されるエンボスエフェクト顔料の総重量に対して、好ましくは5重量%~39重量%の範囲、さらに好ましくは10重量%~35重量%の範囲、より好ましくは15重量%~32重量%の範囲、及び最も好ましくは18重量%~30重量%の範囲である。
【0106】
表面修飾のための出発物質として使用すべき特定の物質の量が、様々なエフェクト顔料タイプについてそれぞれ上述した、本発明の表面修飾エンボスエフェクト顔料に対して若しくは種々のエフェクト顔料/添加剤の組み合わせに対して特定された量未満の場合には、エフェクト顔料のリーフィングの発現が不十分となる。各ケースにおいて特定された添加剤の量を超えると、過度に大量の添加剤が最終のマニキュア組成物中に導入され、その中で厄介な影響を引き起こす可能性がある。
【0107】
出発濃度範囲の上述した高い方の基準値においては、エンボスエフェクト顔料の表面は既に飽和されているために、使用されるリーフィング添加剤の一部はその表面に付着しないことになる。しかしながら強烈なリーフィング効果はそのような場合に限って期待されることになるため、高度且つ均質な被覆のためには、明確な過剰量をも含みうる十分な量の添加剤を提供する必要がある。
【0108】
当然、リーフィング添加剤の量は、エンボスエフェクト顔料の比表面積とともに低減させることができ、及びその逆も成り立つ。非常に大きな及び/若しくは厚みのあるエンボスエフェクト顔料の場合には、より小さな比表面積が存在する。厚みのあるエンボスエフェクト顔料は特に、金属性のエンボス基材がさらなる層でコーティングされているものの場合において得られる。
【0109】
本発明によれば、「合計量」とは、その出発物質が、少なくとも1つのリン酸エステルのみ、又は少なくとも1つのホスホン酸若しくはホスホン酸エステルのみ、又は少なくとも1つのリン酸エステルと少なくとも1つのホスホン酸との混合物、又は異なるホスホン酸の混合物、又は異なる脂肪酸の混合物、又は異なるシランの混合物であるかどうかにかかわらず、出発リーフィング添加剤材料の完全な量を意味するものと理解される。
【0110】
本発明に従いリーフィング添加剤で表面修飾されたエンボスエフェクト顔料は、本発明のマニキュアだけでなく、他の化粧製剤においても使用され得る。当該表面修飾エフェクト顔料は、マニキュア組成物及び特に本発明のマニキュア組成物におけるそれらの優れたリーフィング特性について、注目に値する。
【0111】
バインダー:
本発明のマニキュア組成物は、少なくとも1つの炭化水素樹脂をバインダーとして含み、前記バインダーは好ましくは、各場合のマニキュア組成物の総重量に対して、25重量%~64重量%の範囲、さらに好ましくは25重量%~60重量%の範囲、さらに好ましくは28重量%~55重量%の範囲、より好ましくは29重量%~50重量%の範囲、及び最も好ましくは35重量%~43重量%の範囲の、バインダー固体含有量を有する。
【0112】
バインダー含有量が25重量%未満の場合、適用されたマニキュアにおいて、エフェクト顔料から生ずる良好な光学効果はもはや見られない。
【0113】
63重量%を超えると、エフェクト顔料の光学品質は同様に低下し、本発明のマニキュア組成物の粘度は次第に高すぎとなる。
【0114】
炭化水素樹脂とは、触媒としての塩化アルミニウム若しくは硫酸の存在下での炭化水素(オレフィンを除く)のそれ自身との反応を通して形成する合成樹脂を意味すると理解される(https://www.spektrum.de/lexikon/chemie/kohlenwasserstoffharze/4959参照)。それらの構造に応じて、前記炭化水素樹脂は、石油樹脂、コールタール樹脂、及びテルペン樹脂の3つのグループに分けられる。クマロン-インデン樹脂はコールタール樹脂の最も重要なグループである。キシレンとホルムアルデヒドとの反応生成物、キシレン-ホルムアルデヒド樹脂もまた、前記炭化水素樹脂の1つに数えられる。好ましい実施形態では、芳香族炭化水素樹脂を含むマニキュア組成物が使用される。
【0115】
さらに特に好ましい芳香族炭化水素樹脂は、主に乃至全体的に異なる精製スチレンモノマーの重合によって得られる、樹脂である。好ましくは、ここでのスチレンモノマーは光学的に大いに透明(「無色透明(water-clear)」)である。
【0116】
前記炭化水素樹脂は、塗料及び印刷インクに使用される樹脂の特定のグループである。
【0117】
この特殊な樹脂の部類は、ごく一般的な意味で単に炭化水素に基づく樹脂を全く含まない。
【0118】
炭化水素樹脂は、既知の態様で、ガソリンの熱分解(熱分解油)からの高沸点留分若しくはガソリンの熱分解からのイソプレン非含有C留分を塩化アルミニウムの存在下で加熱することによって製造される。前記炭化水素樹脂は、ほとんどの有機溶媒、例えばエステル、エーテル、ハイドロクロロカーボン、及び芳香族化合物に可溶である。
【0119】
理論に拘泥されるものではないが、本発明者らは、極性のバインダーを使用した場合、好適な添加剤でコーティングされたエフェクト顔料がなお部分的にバインダーによって湿潤され、及びしたがって所望されるリーフィング効果を示さないのではないかと考えている。それに対して、本発明のマニキュア組成物における樹脂は通常、マニキュア組成物に対して非極性であり、及びしたがってエフェクト顔料を湿潤させない。結果として、エンボスエフェクト顔料は、リーフィング効果をより発現させることができる傾向にある。
【0120】
通常、「炭化水素樹脂」とは、2000g/mol未満のモル質量を有する非常に低分子量のポリマーを意味するものと理解される。それに対して意外なことに、本発明によると、より高分子量のモル質量を有する炭化水素樹脂もまた使用され得るということが分かった。
【0121】
本発明のマニキュア組成物は好ましくは、800~6500g/molの範囲、好ましくは900~6000g/molの範囲、若しくは1200~5500g/molの範囲の平均分子量(Mw)を有する炭化水素樹脂をバインダーとして含む。平均分子量Mwはポリスチレン標準物質を用いたゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)によって決定された。
【0122】
好ましい実施形態では、本発明のマニキュア組成物は、1,000~2,000g/molの範囲の第1平均分子量Mw及び4,000~5,900g/molの範囲の第2平均分子量Mwを有する少なくとも2つの異なる炭化水素樹脂を含み、これら2つの異なる炭化水素樹脂の重量比は1:1~1:10、好ましくは1:1~1:8、より好ましくは1:1~1:4、及び最も好ましくは1:1~1:2である。
【0123】
特に好ましい実施形態では、本発明のマニキュア組成物は、1,200~1,600g/molの範囲の第1平均分子量Mw及び4,500~5,500g/molの範囲の第2平均分子量Mwを有する少なくとも2つの異なる炭化水素樹脂を含み、これら2つの異なる炭化水素樹脂の重量比は1:1~1:10、好ましくは1:1~1:8、より好ましくは1:1~1:4、及び最も好ましくは1:1~1:2である。
【0124】
好ましくは、これらの混合物は、主に乃至全体的に異なる精製スチレンモノマーの重合によって得られる、芳香族炭化水素樹脂に関する。
【0125】
本発明のマニキュア組成物は、バインダーとして、例えば、それぞれEastman製の、Kristalex F100 Hydrocarbon Resin、Kristalex 5140 Hydrocarbon Resin、Kristalex 3070 Hydrocarbon Resin、Kristalex 3085 Hydrocarbon Resin、Kristalex F115 Hydrocarbon Resin等の炭化水素樹脂を含み得る。これらは、主に乃至全体的に異なる精製スチレンモノマーの重合によって得られる、樹脂である。
【0126】
好ましくは、本発明のマニキュア組成物は、バインダーとして、炭化水素樹脂、Kristalex F100 Hydrocarbon Resin及びKristalex 5140 Hydrocarbon Resinを含む。
【0127】
特に好ましい実施形態では、本発明のマニキュア組成物は、全有機バインダーの80重量%~100重量%、さらに好ましくは90重量%~99重量%、及び特に好ましくは95重量%~100重量%を構成する量で、炭化水素含有樹脂を含有する。
【0128】
マニキュアにおける炭化水素樹脂の、バインダーの主構成成分としての使用は、本発明者の知識にとって普通ではない。炭化水素樹脂は通常、マニキュアの非常にまれな構成成分であり、及び、それらが使用される場合には、それらは他のバインダーと共に比較的少ない割合で使用される。
【0129】
さらなる実施形態では、したがって、本発明のマニキュア組成物は、追加のバインダーを実質的に含有せず、含有される場合には、ニトロセルロース、ポリエステル樹脂、ポリビニル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、若しくは酢酸酪酸セルロースの群からのバインダーを含有する。これらのバインダーは、各場合の炭化水素樹脂及び追加のバインダーの総重量に対して好ましくは10重量%未満、さらに好ましくは5重量%未満、及びより好ましくは1重量%未満、及び最も好ましくは0.1重量%未満の割合で存在する。これらのバインダーはむしろ、真に強いレインボー効果の達成を妨害することが分かってきた。
【0130】
理論に拘泥されるものではないが、本発明者らは、上述のバインダーを含有するマニキュア組成物において、それらのより強い極性に起因してこれらがエフェクト顔料を少なくとも部分的に湿潤し、及びしたがって、これらのリーフィング特性はより劣るのではないかと考えている。
【0131】
溶媒:
本発明のマニキュア組成物は好ましくは、特定の溶媒を含有する。本発明のマニキュア組成物に付加され得る溶媒は、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、若しくはイソプロパノールである。
【0132】
好ましくは、本発明のマニキュア組成物は、溶媒としてイソプロパノール、酢酸エチル、及び酢酸ブチルの混合物を含有する。
【0133】
より好ましくは、本発明のマニキュア組成物は、イソプロパノール、酢酸エチル、及び酢酸ブチルの溶媒混合物を、マニキュア組成物における全溶媒に対して70重量%~100重量%、さらに好ましくは75重量%~98重量%の量で含有する。
【0134】
これらの好ましい溶媒が、バインダー若しくはエフェクト顔料分散物によって導入されるか否かは、ここでは重要ではない。
【0135】
さらに好ましい実施形態では、この溶媒混合物においては、酢酸ブチルの割合は、全溶媒に対して30重量%~60重量%、及びより好ましくは35重量%~55重量%である。
【0136】
さらに特に好ましい実施形態では、イソプロパノールの割合は、各場合における全溶媒に対して20重量%未満、好ましくは15重量%未満、及びさらに好ましくは10重量%未満である。
【0137】
本発明のマニキュア組成物における過度に高い割合のイソプロパノールは、エフェクト顔料の視覚的外観の低下につながる。これはおそらくマニキュアの適用後の過度に急速な乾燥に起因している。
【0138】
本発明のマニキュア組成物は、ごく簡単なやり方でヒト若しくは合成の指爪及び/若しくは足指爪に適用可能である。適用中、それらの良好なレベリングは注目に値し、及び続く乾燥後に、ヒト若しくは合成指爪及び/若しくは足指爪上で均質なフィルムを形成する。
【0139】
好ましい実施形態では、本発明のマニキュアは、各場合におけるマニキュア全体の重量に対して50重量%~70重量%、好ましくは55重量%~68重量%、及びより好ましくは57重量%~65重量%の溶媒を含有する。
【0140】
溶媒含有量が55重量%未満の場合、マニキュアの粘度の過度に著しい上昇が存在し、エフェクト顔料は最適な配向をとることができず、このことがレインボー効果の低下をもたらし、ついには効果の喪失に至る。
【0141】
溶媒含有量が70重量%を超えると、マニキュアの粘度の減少が大きすぎて、マニキュアの指爪への適用の際の制御性が劣ることとなる。
【0142】
さらなる構成成分:
本発明のマニキュア組成物は1以上のさらなる構成成分を追加で含有してもよい。ここでは特に、可塑剤及び酸化防止剤が挙げられる。
【0143】
使用される可塑剤は、例えば、グリコール類及びそれらの誘導体、例えばジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、若しくは追加でジエチレングリコールヘキシルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールブチルエーテル、エチレングリコールヘキシルエーテル、グリコールエステル類、プロピレングリコールの誘導体、及び特にプロピレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールジアセテート類、ジプロピレングリコールブチルエーテル、トリプロピレングリコールブチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、及びジエチレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールブチルエーテル、若しくはそれらの混合物であってよい。
【0144】
また、使用される可塑剤として、特にカルボン酸のエステル、例えばクエン酸エステル類、特にクエン酸トリメチル、クエン酸トリブチル、クエン酸トリメチルアセチル、クエン酸トリブチルアセチル、クエン酸トリ-2-エチルヘキシルアセチル、又はフタル酸エステル類、特にフタル酸ジメトキシエチル;又はリン酸エステル類、特にリン酸トリクレシル、リン酸トリブチル、リン酸トリフェニル、リン酸トリブトキシエチル類、又は酒石酸エステル類、特に酒石酸ジブトキシ;アジピン酸エステル類、炭酸エステル類、セバシン酸エステル類;安息香酸ベンジル、リシノール酸ブチルアセチル、リシノール酸グリセリルアセチル、グリコール酸ブチル、樟脳、グリセロールトリアセテート類、N-エチル-o,p-トルエンスルホンアミド、オキシエチレン化合物、例えばオキシエチレン油、特に植物油、例えばヒマシ油、炭化水素油、及びそれらの混合物が挙げられ得る。
【0145】
好ましい可塑剤は特に炭化水素油である。
【0146】
全マニキュア組成物における可塑剤の重量割合は好ましくは0重量%~15重量%、さらに好ましくは1重量%~10重量%、及びより好ましくは5重量%~10重量%の範囲である。
【0147】
本発明のマニキュア組成物は、1以上の酸化防止剤を追加で含有してもよい。
【0148】
「酸化防止剤」とは、本発明のマニキュアの構成成分、特に前記炭化水素バインダーを酸素、熱、オゾン、及び/若しくはUV照射の効果から保護する化合物を意味すると理解される。1以上のこの種の化合物を使用することが可能である。
【0149】
この種の化合物の例として、IRGANOX(登録商標)1010、IRGANOX(登録商標)565、IRGANOX(登録商標)1076(BASF製)、又はイオウ含有酸化防止剤、例えば亜鉛ジブチルジチオカルバメート(PERKACIT ZDBC(Performance additives Italy S.p.A製))が挙げられる。
【0150】
酸化防止剤は、全マニキュア組成物に対して、好ましくは0重量%~5重量%の範囲、さらに好ましくは0.05重量%~1重量%の範囲の量で使用される。
【0151】
さらなる添加剤:
本発明のマニキュア組成物は、当業者には既知であるような慣例的なさらなる添加剤を追加で含有してもよい。
【0152】
この種のさらなる添加剤は、例えば、沈降防止剤、防腐剤、油、ワックス、フリーモエティ捕捉剤(free-moiety scavengers)、湿潤添加剤、分散助剤、湿潤助剤、消泡剤、香料、中和剤、増粘剤、UV遮蔽剤、保水剤、ビタミン、タンパク質、及びそれらの混合物である。
【0153】
リーフィング添加剤とは異なり、これらのさらなる添加剤は、この組成物の配合中まではマニキュア組成物に添加されず、また事前にエンボスエフェクト顔料に別個に添加されない。
【0154】
さらなる実施形態では、本発明のマニキュア組成物は好ましくは、いかなる沈降防止剤も含有しない。意外なことに、沈降されたいずれの表面修飾エフェクト顔料も概して、沈降防止剤を添加しなくても単純に振盪するだけで再分散させることができる。
【0155】
本発明のマニキュア組成物は好ましくは、DIN53211に従うDINフローカップ(DIN 4mm)を用いて測定された粘度が10秒~16秒である。
【0156】
好ましい実施形態では、本発明のマニキュア組成物は、好ましくは11,000~16,000本/cmの線密度の線である、回折要素による周期的なパターンを有するエンボスアルミニウムPVDエフェクト顔料を含有する。これらのエンボスアルミニウムPVDエフェクト顔料は好ましくは、リーフィング添加剤としてのラウリルホスホン酸メチルエステル、ラウリルホスホン酸エチルエステル、ラウリルホスホン酸(R=12)、又はモノセチルリン酸エステル、ジセチルリン酸エステル(R=16)、及びそれらの混合物でコーティングされている。使用されるバインダーはスチレンモノマーに基づく芳香族炭化水素樹脂であり、及び使用される溶媒はイソプロパノール、酢酸エチル、及び酢酸ブチルの混合物であり、この溶媒混合物はマニキュア組成物の全溶媒の70重量%~100重量%を占める。
【0157】
さらに好ましい実施形態では、本発明のマニキュア組成物は、14~40nmの範囲、好ましくは15~35nmの範囲の平均厚さh50を有するアルミニウムPVDエフェクト顔料を含有し、及びまた、少なくとも2つの異なる芳香族炭化水素樹脂、及び溶媒としてのイソプロパノール、酢酸エチル、及び酢酸ブチルの混合物を含有し、この溶媒混合物はマニキュア組成物中の全溶媒の70重量%~100重量%を占める。この場合もまた、使用されるリーフィング添加剤は好ましくはリン酸セチルエステル若しくはラウリルホスホン酸である。
【0158】
プロセス:
本発明はさらに、以下の工程を含む、本発明のマニキュア組成物の製造プロセスを提供する:
i)前記エンボスエフェクト顔料を溶媒中分散物中において添加剤によって表面修飾する工程;
ii)前記炭化水素樹脂を溶媒若しくは溶媒混合物中に溶解する工程,
iii)i)による分散物をii)によるバインダー溶液と混合し及び均質化する工程。
【0159】
工程ii)における前記炭化水素樹脂の溶媒中への溶解は好ましくは、1つの溶媒若しくは少なくとも2つ、好ましくは3つの溶媒の混合物において行われる。より好ましくは、使用される溶媒混合物はイソプロパノール、酢酸エチル、及び酢酸ブチルの混合物である。
【0160】
酢酸ブチルは好ましくは単独溶媒として使用される。
【0161】
さらに好ましい実施形態では、さらなる破壊可能性のある溶媒をマニキュア中に導入しないように、工程i)における溶媒も同様にイソプロパノール、酢酸エチル、及び酢酸ブチル、若しくはこれらの混合物から成るであろう。
【0162】
ここでは、既に上記で議論された下記のプロセスに従い工程i)を行うことが好ましい。
【0163】
エンボスエフェクト顔料の表面修飾のための本発明のプロセスは、以下の工程を含む:
i.エンボス構造を有する小板形体の金属基材を含む前記エンボスエフェクト顔料を少なくとも1つの溶媒中に懸濁する工程;
ii.前記リーフィング添加剤を、任意で昇温状態で、工程iからの懸濁液に添加し、及びそうして得られた懸濁液を攪拌する工程;及び
iii.工程iiで得られた表面修飾エンボスエフェクト顔料を前記溶媒から分離し及び任意で乾燥させる工程。
【0164】
金属性のエンボスエフェクト顔料の選択において、イソプロパノール、酢酸エチル、及び酢酸ブチル、又はそれらの混合物の好ましい群からの溶媒中のそれらの元の分散物中に存在するものを選択することがさらに好ましく、それは、前記金属エフェクト顔料分散物の前記溶媒も同様に、複雑な再湿潤工程が使用されない限り、本発明のマニキュア中に少量導入されるためである。
【0165】
特に単一層エンボス金属エフェクト顔料、特に単一層エンボスアルミニウムエフェクト顔料が使用される場合、PVD法により製造されるこれらのエフェクト顔料は粉末として凝集する傾向があるため、それらは常に分散物中におかれる。
【0166】
本発明は同様に、以下の工程を含む、天然若しくは合成指爪をコーティングする方法を提供する:
a)前記天然若しくは合成指爪を本発明のマニキュア組成物でコーティングした後、このマニキュアを乾燥させる工程;及び
b)任意でその後、前記マニキュアをクリアコートでコーティングする工程。
【0167】
前記クリアコートの適用は、前記マニキュアの研磨抵抗をかなり増大させる。前記マニキュアにおけるエフェクト顔料の顕著なリーフィング効果に起因して、前記マニキュアは当然比較的低い研磨抵抗を有する。
【0168】
工程a)は同様に、非常に均一な表面を確立するために、天然若しくは合成指爪をクリアコートによりコーティングすることにより先行され得る。この作用過程はその指爪が高い粗さを有する場合には望ましい。
【0169】
工程b)におけるその後のクリアコートによるコーティングは、本発明のマニキュアと同じクリアコート若しくは異なるクリアコートにより行うことができる。しかしながら、エフェクト顔料は本発明のマニキュアの所望の効果を覆い隠してしまうおそれがあるため、このクリアコートはエフェクト顔料を全く含有しない。
【0170】
しかしながら、工程b)におけるクリアコートは、従来の着色顔料若しくは染料を含有し得る。具体的には、金属性のPVDアルミニウム顔料との若しくは湿潤粉砕により製造され及び20以上100nm未満のh50を有する薄いアルミニウムエフェクト顔料との組み合わせにおいて、非常に視覚的に魅力的な効果を達成することが可能である。この場合には、エフェクト顔料で顔料化された本発明のマニキュア組成物は、好ましくは工程a)後に鏡面光沢を有する。
【0171】
さらなる実施形態では、本発明のマニキュア組成物は、本発明のマニキュア組成物の研磨抵抗を高めるために、低粘度UV硬化クリアコートで上塗りされてもよい。
【0172】
溶媒系クリアコートを使用することも好ましく可能である。理論に拘泥されるものではないが、前記クリアコートは好ましくは、本発明のクリアコートの炭化水素樹脂と微小な程度でしか相互作用しない極性バインダーに基づく。特に好ましい実施形態では、これらのクリアコートはポリビニルブチラール(PVB)、ポリビニルピロリドン(PVP)、若しくはそれらの混合物等のバインダーに基づく。
【0173】
また、前記クリアコートは好ましくは、本発明のマニキュアの非極性炭化水素樹脂を(部分的に)溶解しない溶媒を含有する。例えば、この目的のためにイソプロパノールを使用することが好ましく可能である。さもなければ、リーフィングエフェクト顔料もまた再び部分的に溶解され得、及びそれらの配向は破壊され得、このことは鏡面光沢効果の破壊につながる。
【0174】
意外にも、これらの好ましいクリアコートは、本発明のマニキュア上で非常に良好な接着強度を有する。
【0175】
本発明のエンボス表面修飾エフェクト顔料:
本発明のさらなる目的は、改善されたレインボー効果を有し及び改善された彩度及び改善された光輝も有するマニキュア組成物において使用するためのエンボスエフェクト顔料を提供することである。
【0176】
本発明は同様に、PVD法によって、及び下記一般式のリン酸エステルで構成されるリーフィング添加剤によるコーティングによって製造された、エンボス構造を有する小板形体の金属基材を含むエンボスエフェクト顔料に関し:
(R-O)-P(O)(OR(3-x) (I)
式中、x=1若しくは2、R=C12~C20の範囲の炭素鎖を有する直鎖状及び/若しくは分枝状アルキルラジカル、及びR=Hである。
【0177】
好ましくは、このエンボスエフェクト顔料は、アルミニウムで構成される金属基材を有する単一層エフェクト顔料である。さらに好ましくは、前記エンボス構造は、5,000~20,000本/cmの線密度を有する線である。波線構造は特に製造が容易であるため、前記線は好ましくは波線(「正弦関数の」)である。
【0178】
本発明によれば、この好ましいエンボスエフェクト顔料は、モノセチルリン酸エステル、ジセチルリン酸エステル(R=16)、及びそれらの混合物から成る表面修飾のためのリーフィング添加剤で処理される。
【0179】
さらに好ましい実施形態では、前記エンボス表面修飾エフェクト顔料は、以下の工程を含むプロセスにおいて製造される:
i.エンボス構造を有する小板形体の金属基材を含むエンボスエフェクト顔料を少なくとも1つの溶媒中に懸濁する工程;
ii.リーフィング添加剤を、任意で昇温状態で、工程iからの懸濁液に添加し、及びそうして得られた懸濁液を撹拌する工程;及び
iii.工程iiにおいて得られた表面修飾エンボスエフェクト顔料を、前記溶媒から分離し及び任意で乾燥させる工程。
【0180】
ここで、リーフィング添加剤は、基材の総量に対して、15重量%~50重量%の範囲内で使用される。
【0181】
安定なリーフィング効果をもたらすためには過剰の添加剤が必要である。
【0182】
本発明のさらなる側面では、上述したエンボス表面修飾エフェクト顔料はまた他のマニキュアにおいて使用されてもよい。
【0183】
本発明のさらなる側面においては、上述のエンボス表面修飾エフェクト顔料はさらなる化粧用途において使用されてもよい。これらの例としては、ボディーパウダー、フェースパウダー、プレス若しくはルースパウダー、パウダークリーム、アイメークアップ、例えばアイシャドウ、マスカラ、アイライナー、液体アイライナー、アイブローペンシル、リップバーム、リップスティック、リップグロス、リップライナー、ヘアスタイリング組成物、例えばヘアスプレー、ヘアムース、ヘアゲル、ヘアワックス、ヘアマスカラ、永続的若しくは半永続的ヘアダイ、一時的ヘアダイ、又はスキンケア組成物、例えばローション、ゲル、エマルションが挙げられる。
【0184】
ここで、本発明の表面修飾エフェクト顔料は、各用途に好適な、原料、補助剤、及び活性成分と組み合わされる。化粧製剤における本発明の表面修飾エフェクト顔料の総濃度は、各場合の製剤の総重量に対して、リンスオフ製品についての0.001重量%とリーブオン製品についての40.0重量%との間であり得る。
【0185】
側面:
本発明の第1の側面1)は、以下を含むマニキュア組成物に関する:
a)回折要素による周期的なパターンを有するエンボス構造を有する小板形体の金属基材であって、前記基材はPVD法によって製造されている、金属基材と、任意で前記基材に適用された少なくとも1つのコーティングと、を含むエンボスエフェクト顔料であって、前記基材は前記基材に対して80重量%~100重量%の元素金属含有量を有し、及び前記エフェクト顔料は表面修飾のためにリーフィング添加剤で処理されている、エンボスエフェクト顔料;
b)バインダーとしての少なくとも1つの炭化水素樹脂;
c)少なくとも1つの溶媒若しくは溶媒混合物;及び
d)任意でさらなる補助剤。
【0186】
一側面2)では、本発明は、側面1に従うマニキュア組成物に関し、前記リーフィング添加剤は、下記一般式のリン酸エステル:
(R-O)-P(O)(OR(3-x) (I)
及び/又は、下記一般式のホスホン酸エステル及び/若しくはホスホン酸:
R-P(O)(OR)(OR) (II)
又は、下記一般式の脂肪酸:
R’-COOH (III)
又は、下記一般式の有機官能性シラン:
R”-Si(OR (IV)
から成る群から採用され、
式中、x=1~3であり、及びR、R’、R”、R、R、R、及びRラジカルは以下の通り定義される:
R=C~C20の範囲の炭素鎖を有する直鎖状若しくは分枝状アルキルラジカル;
R’=C12~C26の範囲の炭素鎖を有する直鎖状若しくは分枝状アルキルラジカル;
R”=C~C24の範囲の炭素鎖を有する直鎖状若しくは分枝状アルキルラジカル;
=H、C~C、好ましくはC~Cの範囲の炭素鎖を有する直鎖状及び/若しくは分枝状アルキルラジカル、(Rは、x=1の場合、同一であっても異なっていてもよい);
=R=H、C~C、好ましくはC~Cの範囲の炭素鎖を有する直鎖状及び/若しくは分枝状アルキルラジカル(R及びRは同一であっても異なっていてもよい);及び
=C~Cの範囲の炭素鎖を有する直鎖状及び/若しくは分枝状アルキルラジカル。
【0187】
一側面3)では、本発明は、側面2に従うマニキュア組成物に関し、前記添加剤は式(I)のリン酸エステルであり、式中、R=C12~C18及びR=Hである。
【0188】
一側面4)では、本発明は側面2及び3のいずれかに従うマニキュア組成物に関し、前記基材若しくはコーティングの表面修飾のために使用される前記添加剤は、ラウリルホスホン酸メチルエステル、ラウリルホスホン酸エチルエステル、ラウリルホスホン酸(R=12)、及びそれらの混合物、又はモノセチルリン酸エステル、ジセチルリン酸エステル(R=16)、及びそれらの混合物である。
【0189】
一側面5)では、本発明は、先行する側面のいずれかに従うマニキュア組成物に関し、エンボス構造を有する小板形体の前記金属基材は、アルミニウム、銅、クロム、鉄、及びそれらの合金から成る群から採用される金属である。
【0190】
一側面6)では、本発明は、側面5に従うマニキュア組成物に関し、エンボス構造を有する小板形体の前記金属基材はアルミニウムである。
【0191】
一側面7)では、本発明は、先行する側面のいずれかに従うマニキュア組成物に関し、エンボス構造を有する小板形体の前記金属基材は、5,000~20,000回折要素/cmを有する。
【0192】
一側面8)では、本発明は、側面6)に従うマニキュア組成物であって、アルミニウムで構成される小板形体の前記彫刻金属基材は、いずれの光学活性のコーティングも有さない。
【0193】
一側面9)において、本発明は、側面1~6に従うマニキュア組成物に関し、アルミニウムで構成される小板形体の前記彫刻金属基材は、以下で構成される少なくとも1つの層パッケージを含有する光学活性のコーティングを有する:
A)<1.8の屈折率を有する低屈折層;及び
B)2.0を超える屈折率を有する高屈折層。
【0194】
一側面10)では、本発明は、先行する側面のいずれかに従うマニキュア組成物に関し、小板形体の前記彫刻金属基材は、20nm~80nmの範囲の平均厚さh50を有する。
【0195】
一側面11)では、本発明は、先行する側面のいずれかに従うマニキュア組成物に関し、小板形体の前記彫刻金属基材は、5~120μmの範囲のメジアン径d50を有する。
【0196】
一側面12)では、本発明は、側面11)に従うマニキュア組成物に関し、前記エンボスエフェクト顔料は、15~40μmの範囲のメジアン径d50を有する。
【0197】
一側面13)では、本発明は、側面1~4のいずれかに従うマニキュア組成物に関し、小板形体の前記彫刻金属基材は、主にナノ金属の形体の金属と金属酸化物との混合層から成り、前記金属及び前記金属酸化物は同じ金属を有し、及びアルミニウム及びクロムから成る群から採用される。
【0198】
一側面14)では、本発明は、先行する側面のいずれかに従うマニキュア組成物に関し、前記炭化水素樹脂は、クマロン-インデン樹脂、ポリスチレン含有樹脂、ポリ縮合によりホルムアルデヒド樹脂から誘導される樹脂、及びそれらの混合物から成る群から採用される。
【0199】
一側面15)では、本発明は、側面14に従うマニキュア組成物に関し、前記炭化水素樹脂は、主に乃至全体的に異なるスチレンモノマー、特に大いに光学的に透明なスチレンモノマーの重合によって得られる、ポリスチレン含有樹脂である。
【0200】
一側面16)では、本発明は、先行する側面のいずれかに従うマニキュア組成物に関し、前記炭化水素樹脂は、全有機バインダーの80重量%~100重量%を占める。
【0201】
一側面17)では、本発明は、先行する側面のいずれかに従うマニキュア組成物に関し、前記炭化水素樹脂は、1,000~2,000g/molの範囲の第1平均分子量Mw及び4,000~5,900g/molの範囲の第2平均分子量Mwを有する少なくとも2つの異なる炭化水素樹脂から成り、それらの重量比は1:1~1:10である。
【0202】
一側面18)では、本発明は、側面17に従うマニキュア組成物に関し、前記炭化水素樹脂は、1,200~1,600g/molの範囲の平均分子量Mw及び4,500~5,500g/molの範囲の平均分子量Mwを有する少なくとも2つの異なる炭化水素樹脂から成り、それらの重量比は1:1~1:10である。
【0203】
一側面19)では、本発明は、先行する側面のいずれかに従うマニキュア組成物に関し、前記炭化水素樹脂の含有量は、全マニキュア組成物に対して25重量%~63重量%の範囲内である。
【0204】
一側面20)では、本発明は、先行する側面のいずれかに従うマニキュア組成物に関し、溶媒として、イソプロパノール、酢酸エチル、及び酢酸ブチルの混合物を含み、イソプロパノール、酢酸エチル、及び酢酸ブチルの前記溶媒混合物は、全溶媒の70重量%~100重量%を占める。
【0205】
一側面21)では、本発明は、側面20に従うマニキュア組成物に関し、イソプロパノールの割合は全溶媒に対して20重量%未満、好ましくは15重量%未満である。
【0206】
一側面22)では、本発明は、先行する側面のいずれかに従うマニキュア組成物であって、さらなる補助剤として、可塑剤、酸化防止剤、沈降防止剤、防腐剤、油、ワックス、フリーラジカル捕捉剤、湿潤添加剤、分散助剤、湿潤助剤、消泡剤、香料、中和剤、増粘剤、UV遮蔽剤、保水剤、ビタミン、タンパク質、及びそれらの混合物を含む、マニキュア組成物に関する。
【0207】
一側面23)では、本発明は、以下の工程を含む、側面1~22に従うマニキュア組成物の製造プロセスに関する:
i)前記エンボスエフェクト顔料を溶媒中分散物中でリーフィング添加剤によって表面修飾する工程;
ii)前記炭化水素樹脂を溶媒若しくは溶媒混合物中に溶解する工程;
iii)i)による分散物をii)によるバインダー溶液と混合し及び均質化する工程;及び
iv)任意でさらなる溶媒若しくは溶媒混合物を補充する工程。
【0208】
一側面24)では、本発明は、側面23に従うプロセスであって、工程i)は以下の工程を含むプロセスによって行われる、プロセスに関する:
i.エンボス構造を有する小板形体の金属基材を含む前記エンボスエフェクト顔料を少なくとも1つの溶媒中に懸濁する工程;
ii.前記リーフィング添加剤を、任意で昇温状態で、工程iからの懸濁液に添加し、及びそうして得られた懸濁液を撹拌する工程;及び
iii.工程iiで得られた表面修飾エンボスエフェクト顔料を前記溶媒から分離し、及び任意で乾燥させる工程。
【0209】
一側面25)では、本発明は、以下の工程を含む、天然若しくは合成指爪をコーティングするためのプロセスに関する:
a)前記天然若しくは合成指爪を側面1~22のいずれかに従うマニキュア組成物でコーティングした後、このマニキュアを乾燥させる工程;及び
b)任意でその後、前記マニキュアをクリアコートでコーティングする工程。
【0210】
一側面26)では、本発明は、側面25に従うプロセスであって、前記マニキュアが、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、及びそれらの混合物から成る群からのバインダーに基づく溶媒系クリアコートでコーティングされることを特徴とする、プロセスに関する。
【0211】
一側面27)では、本発明は、PVD法により及び下記一般式のリン酸エステルで構成されるリーフィング添加剤でコーティングすることにより製造される、エンボス構造を有する小板形体の金属基材を含むエンボスエフェクト顔料に関し:
(R-O)-P(O)(OR(3-x)
式中、x=1若しくは2、R=C12~C20の範囲の炭素鎖を有する直鎖状及び/若しくは分枝状アルキルラジカル、及びR=Hである。
【0212】
一側面28)では、本発明は、側面27に従うエンボスエフェクト顔料に関し、前記金属基材はアルミニウムから成り、及び前記エンボス構造は、5,000~20,000本/cmの線密度を有する線である。
【0213】
一側面29)では、本発明は、側面27及び28のいずれかに従うエンボスエフェクト顔料に関し、前記金属性のエンボス基材の表面修飾のために使用される前記リーフィング添加剤は、モノセチルリン酸エステル、ジセチルリン酸エステル(R=16)、及びそれらの混合物である。
【0214】
一側面30)では、本発明は、側面27~29のいずれかに従うエンボスエフェクト顔料に関し、前記リーフィング添加剤は、以下の工程を含むプロセスにより適用され:
i.エンボス構造を有する小板形体の金属基材を含む前記エンボスエフェクト顔料を少なくとも1つの溶媒中に懸濁する工程;
ii.前記リーフィング添加剤を、任意で昇温状態で、工程iからの懸濁液に添加し、及びそうして得られた懸濁液を撹拌する工程;及び
iii.工程iiで得られた表面修飾エンボスエフェクト顔料を前記溶媒から分離し、及び任意で乾燥させる工程、
及び前記リーフィング添加剤は、基材の全量に対して、15重量%~50重量%の範囲内で使用される。
【0215】
さらなる側面31)では、本発明は、側面27~30に従う表面修飾されたエンボスエフェクト顔料の、ボディーパウダー、フェースパウダー、プレス若しくはルースパウダー、パウダークリーム、アイメークアップ、例えばアイシャドウ、マスカラ、アイライナー、液体アイライナー、アイブローペンシル、リップバーム、リップスティック、リップグロス、リップライナー、ヘアスタイリング組成物、例えばヘアスプレー、ヘアムース、ヘアゲル、ヘアワックス、ヘアマスカラ、永続的若しくは半永続的ヘアダイ、一時的ヘアダイ、又はスキンケア組成物、例えばローション、ゲル、エマルションから成る群から採用される、さらなる化粧用途における使用に関する。
【実施例
【0216】
以下の実施例は、本発明のさらなる説明に役立ち、及びなんら制限するものではない。全ての百分率は、重量百分率である。用語NVC(非揮発性含有量)、固体の割合、及び固体含有量は、交換可能に使用できる。
【0217】
I.本発明の表面修飾エフェクト顔料の製造
実施例1:
1Lのジャケット付き反応器中に、市販のMetalure Prismatic H-50550AE(酢酸エチル中分散物、固体含有量:5.05重量%、D50(Horiba LA-950)=約50μm、ECKART America製)のPVDアルミニウムエフェクト顔料分散物198gを下記の表1に従う溶媒中に、200rpm/分で分散させ及び80℃に加熱した。その後、下記の表1に従うリン酸セチルエステル添加剤(CAS番号:3539-43-3、Hostaphat CC100、Clariant製)を、分散に使用された溶媒(AE)20g中に溶解し、前記アルミニウムエフェクト顔料分散物に加えた。80℃で6時間撹拌した後、この混合物を冷却してブフナー漏斗でろ過した。表面修飾されたPVDアルミニウムエフェクト顔料を5~25%分散物として得た。これらに酢酸エチルを補充し、5%のNVCを有する顔料分散物を得た。
【0218】
実施例2~10:
幾つかの場合に、使用されるPVDアルミニウムエフェクト顔料を市販のSilverdream Prismatic H-50720(酢酸エチル中分散物、固体含有量:7.05重量%、D50(Horiba LA-950)=約20μm、ECKART America製)とし、及び幾つかの場合に、使用される添加剤をラウリルホスホン酸(略称:LPS)とし、及び使用される溶媒を酢酸エチル(AE)ではなく酢酸ブチル(BA)としたこと以外は、実施例1と同様の手順を行った。使用される物質に関する詳細、それらの量、及び吸収温度は下記の表1に見ることができる。
【0219】
顔料分散物を得るために吸引ろ過によって分離された生成物の最終的な補充において使用される溶媒及び確立される分散物の非揮発性物質含有量(NVC)は、表2及び表3の第4及び3列において見ることができる。
【0220】
比較例1:ここでは、彫刻波線格子(線密度:12,500本/cm)を有する市販の非コーティングPVDアルミニウムエフェクト顔料分散物Metallic Prismatic H-50550AEを使用した。
【0221】
比較例2:ここでは、彫刻波線格子(線密度:12,500本/cm)を有する市販の非コーティングPVDアルミニウムエフェクト顔料分散物Silverdream Prismatic H-50720を使用した。
【0222】
【表1】
【0223】
II.本発明のマニキュア組成物の製造
IIa.本発明のマニキュアクリアコートの製造:
好適に撹拌された容器中で、70重量%のバインダー溶液BM1を製造した。この目的のために、最初に30gの酢酸ブチル85/15を仕込み、そこに70gのバインダー、Kristalex F100 Hydrocarbon Resin(Mw=約1,300g/mol、Eastman製)を、Dispermat CNf2ディソルバー(Getzmann GmbH製)を用いて攪拌及び冷却(12℃)しながら添加し、その後この混合物を3,000~4,000rpm/分でさらに30分間攪拌した。
【0224】
別の好適に攪拌された容器中で、60重量%のバインダー溶液BM2を製造した。この目的のために、最初に40gの酢酸ブチル85/15を仕込み、そこに60gのバインダー、Kristalex 5140 Hydrocarbon Resin(Mw=約4,900g/mol、Eastman製)を、Dispermat CNf2ディソルバー(GetzmannGmbH製)を用いて攪拌及び冷却(12℃)しながら添加し、その後この混合物を3,000~4,000rpm/分でさらに30分間攪拌した。
【0225】
上記のバインダー溶液の不揮発性物質含有量(バインダー固体含有量)を、DIN EN ISO 3251:2008に従い決定した。
【0226】
比較ネイルクリアコート:International Lacquers製の非顔料化Nail Polish Base 18840ネイルクリアコートを比較ラッカーとして用いた。このネイルラッカーは、バインダーとしてニトロセルロースを含有し、及び溶媒として酢酸エチル、n-酢酸ブチル、及びプロパン-2-オールを含有した。
【0227】
IIb.本発明の顔料化マニキュア組成物の製造
実施例11に従う本発明のマニキュア組成物を製造するために、最初に5.49gのBM1及び12.84gのBM2を仕込み、それらの全体を攪拌によってよく分散させた。次いで、2.08gの実施例1からの表面修飾PVD顔料を添加した後、2.04gのイソプロピルアルコール、3.27gのN-酢酸ブチル85/15、及び0.87gの酢酸エチルを添加し、及び前記マニキュアをよく分散させた。
【0228】
実施例11~20に従うマニキュア組成物を実施例11と同様に製造したが、個々の構成成分の量は、下記の表2に挙げた全マニキュア組成物に対する量的比率(それぞれ重量%)が得られるように選択した。
【0229】
比較例3~12として、下記の表3に従う規定量の各表面修飾エンボスPVDアルミニウムエフェクト顔料(実施例1~10による)及び非表面修飾エンボスPVDアルミニウムエフェクト顔料(比較例1及び2)を同様に最初に提供し、及び比較マニキュアに導入した。
【0230】
さらなる比較例として、比較例1及び2からの添加剤により表面修飾されていないエフェクト顔料をそれぞれ、本発明のマニキュア(比較例14及び15)及び比較ネイルクリアコート(比較例16及び17)に導入した。
【0231】
正確な量(重量%)は下記の表2及び3に見ることができる(比較例13はない)。
【0232】
【表2】
【0233】
【表3】
【0234】
【表4】
【0235】
III.マニキュア組成物の光学特性の特製決定
IIIa.彩度の決定(25°ジオメトリ)
本発明のマニキュア組成物及び比較例からのマニキュア組成物の視覚的外観を決定するために、スパイラルアプリケータ(K Control Coater model 623、Erichsen製)を用いて各マニキュア組成物をコントラストチャートに湿潤フィルム厚さ100μmにて適用した後、室温で乾燥させた。リーフィング特性の間接的測定として、こうして適用されたマニキュア組成物の彩度(25°ジオメトリ)を、BYK Mac機器(BYK Gardner製)によって分析した。
【0236】
この値はマニキュア適用において少なくとも5つの異なる部位で決定した。以下の表5には、彩度(25°ジオメトリ)についてそれらの値から形成された平均が示されている。
【0237】
この比色分析パラメータは前記顔料のリーフィング効果が上昇するのに伴い増加すると考えられるため、エンボスPVD顔料のリーフィング特性の間接的指標とみなすことができる。
【0238】
IIIb:レインボー効果及び光輝:
レインボー効果の品質を、アプリケータドローダウン時に0(レインボー効果無し)~10(優れたレインボー効果)のスケールにより視覚的に評価した。市販されている比色計を用いた、回折プロセスに基づくエンボスエフェクト顔料の光学効果の測定はほぼ実施不可能であり、及びしたがって視覚的評価がここでは好ましい。
【0239】
さらに、光輝についても、従来の比色計を用いて測定された値は同様にあまり意味があるとは言えず、同じグレードシステムによって同様に評価した。
【0240】
【表5】
【0241】
IV.結果:
全ての発明実施例1~10は、市販のマニキュア系における対応する比較例と比較してより高いレインボー効果を有する。その差は、d50が約20μmのエンボスPVD顔料(実施例7~10)の場合に特に大きい。これらの実施例では、2つの塗料系の光輝及び彩度において同様にはっきりとした差が見られる。より粗いエンボスPVD顔料の場合には、同様に彩度値がより高くなる傾向が明らかであるが、光輝においては全く改善が見られなかった。
【0242】
50が約20μmであるエンボスPVD顔料については、Hostaphat CC100(セチルリン酸エステル)でコーティングされた実施例が、ラウリルホスホン酸によりコーティングされた実施例と比較して、最良の結果を与える傾向があった(参考、実施例7及び8と、実施例8及び10)こともわかった。しかしながらより粗いエンボスPVD顔料については、この傾向は明らかではない。
【0243】
すべての場合において、添加剤前処理なしで使用されたエンボスPVD顔料は、比較マニキュア系及び発明マニキュア系(比較例1及び2)の両方において、レインボー効果及び光輝に関して劣っている。添加剤処理によって導入されたエンボスPVD顔料のリーフィング効果が魅力的なレインボー効果の発現に不可欠であることは明らかである。