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特許7043609オルガニルオキシ基含有オルガノポリシロキサンをベースとする架橋性化合物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-18
(45)【発行日】2022-03-29
(54)【発明の名称】オルガニルオキシ基含有オルガノポリシロキサンをベースとする架橋性化合物
(51)【国際特許分類】
   C08L 83/06 20060101AFI20220322BHJP
   C08K 3/013 20180101ALI20220322BHJP
   C08K 5/098 20060101ALI20220322BHJP
   C08K 5/51 20060101ALI20220322BHJP
   C08K 5/5419 20060101ALI20220322BHJP
   C08K 5/544 20060101ALI20220322BHJP
   C09D 183/06 20060101ALI20220322BHJP
   C09D 183/07 20060101ALI20220322BHJP
   C09D 7/63 20180101ALI20220322BHJP
【FI】
C08L83/06
C08K3/013
C08K5/098
C08K5/51
C08K5/5419
C08K5/544
C09D183/06
C09D183/07
C09D7/63
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020538901
(86)(22)【出願日】2018-06-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-07-01
(86)【国際出願番号】 EP2018064471
(87)【国際公開番号】W WO2019228643
(87)【国際公開日】2019-12-05
【審査請求日】2020-09-10
(73)【特許権者】
【識別番号】390008969
【氏名又は名称】ワッカー ケミー アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Wacker Chemie AG
【住所又は居所原語表記】Hanns-Seidel-Platz 4, D-81737 Muenchen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シンドラー,ボルフラム
【審査官】西山 義之
(56)【参考文献】
【文献】特表2005-506432(JP,A)
【文献】特開2010-084062(JP,A)
【文献】特表2017-528571(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00-101/14
C08K 3/00- 13/08
C09D183/00-183/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A) オルガニルオキシ基を含み、式(I)の単位で構成されるオルガノポリシロキサン
(ORSiO(4-a-b-c)/2 (I)
[式中、
Rは同一であっても異なってもよく、脂肪族炭素-炭素多重結合を含まない一価のSiC結合した置換されていてもよいヒドロカルビル基を表し、
は同一であっても異なってもよく、脂肪族炭素-炭素多重結合を有する一価のSiC結合した置換されていてもよいヒドロカルビル基を表し、
は同一であっても異なってもよく、酸素原子によって割り込まれてもよい一価の置換されていてもよいヒドロカルビル基を表し、
aは0、1、2又は3であり、
bは0又は1であり、及び
cは0、1、2又は3であり、
ただし、式(I)においてa+b+cの合計は3以下であり、cは少なくとも1つの単位において0以外である。]
(B) 式(II)の有機ケイ素化合物
(RO)SiR (4-d) (II)
[式中、
は同一であっても異なってもよく、エーテル基、エステル基、(ポリ)グリコール基又はトリオルガニルオキシシリル基、又は芳香族基により置換されていてもよい1~7個の炭素原子を有する一価のSiC結合した脂肪族ヒドロカルビル基を表し、
は同一であっても異なってもよく、水素原子又は酸素原子により割り込まれてもよい一価の置換されていてもよいヒドロカルビル基を示し、
dは2、3又は4である。]、及び/或いはそれらの部分加水分解物、
(C)塩基性窒素を含み、式(III)の有機ケイ素化合物
(RO)SiR (4-e) (III)
[式中、
は同一であっても異なってもよく、塩基性窒素を含む一価のSiC結合した基を表し、
は同一であっても異なってもよく、水素原子又は酸素原子によって割り込まれてもよい一価の置換されていてもよいヒドロカルビル基を示し、
eは2又は3である。]、及び/或いはそれらの部分加水分解物、並びに
(D) 式(IV)の有機ケイ素化合物
(RO)SiR (4-h) (IV)
[式中、
は同一であっても異なってもよく、エーテル基、エステル基、(ポリ)グリコール基又はトリオルガニルオキシシリル基によって置換されていてもよい、少なくとも8個の炭素原子を有する一価のSiC結合した脂肪族ヒドロカルビル基を表し、
は同一であっても異なってもよく、水素原子又は酸素原子によって割り込まれてもよい一価の置換されていてもよいヒドロカルビル基を表し、
hは2又は3である。]、及び/或いはそれらの部分加水分解物
を含む架橋性組成物。
【請求項2】
前記オルガノポリシロキサン(A)が、式(V)の実質的に直鎖状のオルガニルオキシ末端のオルガノポリシロキサンである、請求項1に記載の架橋性組成物。
(OR3-f Si-(SiR-O)-SiR (OR3-f (V)
[式中、
R、R、及びRはそれぞれ同一であっても異なってもよく、上記の定義の1つを有し、
gは30~5000であり、及び
fは0、1又は2であり、
ただし、式(V)においてfは少なくとも1つの単位で0以外である。]
【請求項3】
前記オルガノポリシロキサン(A)が、(MeO)MeSiO[SiMeO]200-2000SiMe(OMe)、(MeO)MeSiO[SiMeO]200-2000SiVi(OMe)、(MeO)ViSiO[SiMeO]200-2000SiVi(OMe)、(MeO)MeSiO[SiMeO]200-2000SiViMe(OMe)、(MeO)ViMeSiO[SiMeO]200-2000SiViMe(OMe)又は(MeO)ViMeSiO[SiMeO]200-2000SiVi(OMe)である、請求項1又は2に記載の架橋性組成物。
【請求項4】
前記有機ケイ素化合物(D)が、少なくとも2個の炭素原子を有する少なくとも1つの基Rを有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の架橋性組成物。
【請求項5】
前記有機ケイ素化合物(D)が、ヘキサデシルトリメトキシシラン、ヘキサデシルトリエトキシシラン、n-オクチルトリメトキシシラン、n-オクチルトリエトキシシラン、イソオクチルトリメトキシシラン若しくはイソオクチルトリエトキシシラン及び/又はそれらの部分加水分解物である、請求項1~4のいずれか一項に記載の架橋性組成物。
【請求項6】
成分(B)と成分(C)の重量比が2:1~1:2の範囲にある、請求項1~5のいずれか一項に記載の架橋性組成物。
【請求項7】
(A) 式(I)の単位から構成されるオルガノポリシロキサン、
(B) 少なくとも1つのメチル又はエチル基Rを有する式(II)の有機ケイ素化合物及び/又はそれらの部分加水分解物、
(C) 塩基性窒素を含み、式(III)の有機ケイ素化合物及び/又はそれらの部分加水分解物、
(D) 少なくとも1つのエチル基Rを有する式(IV)の有機ケイ素化合物及び/又はそれらの部分加水分解物、
任意選択的に(E)充填剤、
任意選択的に(F)触媒、
任意選択的に(G)安定剤、
任意選択的に(H)添加剤及び
任意選択的に(J)可塑剤
を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の架橋性組成物。
【請求項8】
(A) ビニル基Rを有する式(V)のオルガノポリシロキサン、
(B) 少なくとも1つのメチル又はエチル基Rを有する式(II)の有機ケイ素化合物及び/又はそれらの部分加水分解物、
(C) 塩基性窒素を含み、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン及びN-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシランから選択される式(III)の有機ケイ素化合物及び/又はそれらの部分加水分解物、
(D) 8~16個の炭素原子を有するアルキル基R及び少なくとも1つのエチル基Rを有する式(IV)の有機ケイ素化合物及び/又はそれらの部分加水分解物、
任意選択的に(E)充填剤、
任意選択的に(F)触媒、
(G)安定剤、
任意選択的に(H)添加剤、並びに
(J)可塑剤
を含む、請求項~7のいずれか一項に記載の架橋性組成物。
【請求項9】
全ての構成成分を任意の順序で互いに混合することを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の架橋性組成物を製造する方法。
【請求項10】
請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物を架橋して製造される成形体。
【請求項11】
コーティングである、請求項10に記載の成形体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オルガニルオキシ基を含むオルガノポリシロキサンをベースとする架橋性組成物、特にセルフレベリング性を有するものを含む、低粘度を有するもの、それらを製造する方法、及びそれらの使用、特にコーティングとして、又は液体塗布膜としての使用に関する。
【背景技術】
【0002】
水を排除すると保管可能であるが、水が入るとエラストマーに加硫される一成分(RTV-1)シーラントは古くから知られている。これらの製品は、大量に使用され、例えば、建設業では、継ぎ手又はファサード継ぎ手を連結するためのシーラントとして使用され、又は弾性コーティングとして塗布され得る。これらの混合物は、例えばOH基のような反応性置換基又はアルコキシ基のような加水分解性基を有する、シリル基で末端化されたポリマーをベースとする。さらに、これらのシーラントは、充填剤、可塑剤、架橋剤、触媒、及び添加剤を含むことができる。この点に関して、例えば、EP-A763557号、EP-A1865029号及びEP-A1042400号を参照することができる。アルコキシ-RTV-1組成物は、それらの中性及び無臭架橋、並びに他の中性系と比較して、異なる基材に対する非常に良好な接着性のために好ましい。このようなアルコキシ-RTV-1組成物は、ペースト様シーラントだけでなく、反応性コーティング材料としても興味深い。これらの配合物は、通常、ブラシ又はローラーを用いて塗ることが可能であるか、又は例えば無気噴霧によって噴霧可能でなければならない。ここでの課題は、良好な加工品質及び粘度を、安定な硬化及び十分な機械的特性の保証と組み合わせることである。粘度を調整する最も簡単な方法は溶媒を加えることである。しかし、溶媒は、VOCとしてのその可燃性又は他の理由から望ましくない。低粘度ポリマーは通常、脆く脆弱な組成物をもたらすか、又はレオロジー活性を有する補強充填剤を用いてさらに相殺しなければならない。1つの妥協は、例えば官能性アルコキシシランのような反応性希釈剤であるが、これは、一般に、硬化に非常にはっきりと影響するか、又は加硫物の脆弱化にもつながる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】欧州特許出願公開第763557号明細書
【文献】欧州特許出願公開第1865029号明細書
【文献】欧州特許出願公開第1042400号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
次にその目的は、オルガニルオキシ基を含むオルガノポリシロキサンをベースとした架橋性組成物を提供することであり、これにより、溶媒又は非反応性可塑剤を使用する必要がなく、安定な硬化及び良好な機械的特性と同時に極めて低く容易に調整される粘度を実現することが可能となる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の主題は、
(A) オルガニルオキシ基を含み、式(I)の単位で構成されるオルガノポリシロキサン
(ORSiO(4-a-b-c)/2 (I)
[式中、
Rは同一であっても異なってもよく、脂肪族炭素-炭素多重結合を含まない一価のSiC結合した置換されていてもよいヒドロカルビル基を表し、
は同一であっても異なってもよく、脂肪族炭素-炭素多重結合を有する一価のSiC結合した置換されていてもよいヒドロカルビル基を表し、
は同一であっても異なってもよく、酸素原子によって割り込まれてもよい一価の置換されていてもよいヒドロカルビル基を表し、
aは0、1、2又は3であり、
bは0又は1であり、及び
cは0、1、2又は3であり、
ただし、式(I)においてa+b+cの合計は3以下であり、cは少なくとも1つの単位において0以外である。]
(B) 式(II)の有機ケイ素化合物
(RO)SiR (4-d) (II)
[式中、
は同一であっても異なってもよく、エーテル基、エステル基、(ポリ)グリコール基又はトリオルガニルオキシシリル基、又は芳香族基により置換されていてもよい1~7個の炭素原子を有する一価のSiC結合した脂肪族ヒドロカルビル基を表し、
は同一であっても異なってもよく、水素原子又は酸素原子により割り込まれてもよい一価の置換されていてもよいヒドロカルビル基を示し、
dは2、3又は4、好ましくは3又は4、より好ましくは3である。]、及び/或いはそれらの部分加水分解物、
(C)塩基性窒素を含み、式(III)の有機ケイ素化合物
(RO)SiR (4-e) (III)
[式中、
は同一であっても異なってもよく、塩基性窒素を含む一価のSiC結合した基を表し、
は同一であっても異なってもよく、水素原子又は酸素原子によって割り込まれてもよい一価の置換されていてもよいヒドロカルビル基を示し、
eは2又は3、好ましくは3である。]、及び/或いはそれらの部分加水分解物、並びに
(D) 式(IV)の有機ケイ素化合物
(RO)SiR (4-h) (IV)
[式中、
は同一であっても異なってもよく、エーテル基、エステル基、(ポリ)グリコール基又はトリオルガニルオキシシリル基によって置換されていてもよい、少なくとも8個の炭素原子を有する一価のSiC結合した脂肪族ヒドロカルビル基を表し、
は同一であっても異なってもよく、水素原子又は酸素原子によって割り込まれてもよい一価の置換されていてもよいヒドロカルビル基を表し、
hは2又は3であり、好ましくは3である。]、及び/或いはそれらの部分加水分解物
を含む架橋性組成物である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本発明の文脈では、「オルガノポリシロキサン」という用語は、ポリマー、オリゴマー、及び二量体シロキサンを包含することを意図している。
【0007】
架橋性組成物は、縮合反応によって架橋することができる組成物であることが好ましい。
【0008】
本発明の文脈において、「縮合反応」という名称は、あらゆる先行する加水分解工程をも包含することを意図している。
【0009】
基Rの例は、メチル、エチル、n―プロピル、イソプロピル、1―n―ブチル、2―n―ブチル、イソブチル、tert―ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert―ペンチル基、n―ヘキシル基などのヘキシル基、n―ヘプチル基などのヘプチル基、n-オクチル基、及び2,2,4―トリメチルペンチル基のようなイソオクチル基などのオクチル基、n―ノニル基などのノニル基、n―デシル基などのデシル基、n―ドデシル基などのドデシル基、n―オクタデシル基などのオクタデシル基などのアルキル基;シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル基、及びメチルシクロヘキシル基などのシクロアルキル基;フェニル、ナフチル、アントリル及びフェナントリル基などのアリール基;o-、m-、p-トリル基、キシリル基及びエチルフェニル基などのアルカリル基;並びにベンジル基、α-及びβ-フェニルエチル基などのアラルキル基である。
【0010】
置換された基Rの例は、メトキシエチル、エトキシエチル、エトキシエトキシエチル基又はポリエチレングリコール基若しくはポリプロピレングリコール基のようなポリオキシアルキル基である。
【0011】
基Rは、好ましくは、脂肪族炭素-炭素多重結合を含まず、ハロゲン原子、アミノ基、エーテル基、エステル基、エポキシ基、メルカプト基、シアノ基又は(ポリ)グリコール基によって置換されていてもよい1~18個の炭素原子を有する一価のヒドロカルビル基を含み、より好ましくは、脂肪族炭素-炭素多重結合を含まない1~12個の炭素原子を有する一価のヒドロカルビル基、より具体的にメチル基を含む。
【0012】
基Rの例は、ビニル基及び1-プロペニル基のような直鎖又は分枝1-アルケニル基、並びに2-プロペニル基のようなアルケニル基である。
【0013】
基Rは、好ましくは、脂肪族炭素-炭素多重結合を有し、ハロゲン原子、アミノ基、エーテル基、エステル基、エポキシ基、メルカプト基、シアノ基又は(ポリ)グリコール基によって置換されていてもよい1~18個の炭素原子を有する一価のヒドロカルビル基を含み、より好ましくは1~12個の炭素原子を有し、脂肪族炭素-炭素多重結合を有する一価のヒドロカルビル基、及びより具体的にはビニル基を含む。
【0014】
基Rの例は、R及びRについて述べた一価の基である。
【0015】
基Rは、好ましくは、酸素原子によって割り込まれていてもよい1~12個の炭素原子を有する一価の置換されていてもよいヒドロカルビル基を含み、より好ましくは1~6個の炭素原子を有するアルキル基、より具体的にはメチル又はエチル基、及び非常に好ましくはメチル基を含む。
【0016】
本発明に従って使用されるオルガノポリシロキサン(A)は、b及びcが0以外である少なくとも1つの単位を有する式(I)の単位で構成されることが好ましい。
【0017】
本発明に従って使用されるオルガノポリシロキサン(A)は、好ましくは実質的に直鎖状のオルガニルオキシ末端のオルガノポリシロキサンであり、より好ましくは式(V)のものである。
(OR3-f Si-(SiR-O)-SiR (OR3-f (V)
式中、
R、R、及びRはそれぞれ同一であっても異なってもよく、上記の定義の1つを有し、
gは30~5000であり、及び
fは0、1又は2、好ましくは1であり、
ただし、式(V)においてfは少なくとも1つの単位で0以外である。
【0018】
式(V)に明記されていないが、本発明に従って使用される式(V)のオルガノポリシロキサン(A)は、それらの調製から生じる、少ない割合の分枝、好ましくは全てのSi単位の最大500ppmまでの分枝を含むことができ、より具体的には分岐を含まない。
【0019】
式(I)及び(V)には明記されていないが、本発明に従って使用されるオルガノポリシロキサン(A)は、それらの調製から生じる、少ない割合のヒドロキシル基、好ましくは全てのSi結合基の最大5%までのヒドロキシル基を含むことができる。
【0020】
オルガノポリシロキサン(A)の好ましい例は、(MeO)MeSiO[SiMeO]200-2000SiMe(OMe)、(MeO)MeSiO[SiMeO]200-2000SiVi(OMe)、(MeO)ViSiO[SiMeO]200-2000SiVi(OMe)、(MeO)MeSiO[SiMeO]200-2000SiViMe(OMe)、(MeO)ViMeSiO[SiMeO]200-2000SiViMe(OMe)又は(MeO)ViMeSiO[SiMeO]200-2000SiVi(OMe)であり、(MeO)MeSiO[SiMeO]200-2000SiVi(OMe)又は(MeO)ViSiO[SiMeO]200-2000SiVi(OMe)が特に好ましく、より具体的には(MeO)ViSiO[SiMeO]200-2000SiVi(OMe)である。
【0021】
本発明に従って使用されるオルガノポリシロキサン(A)は、いずれの場合も25℃で、好ましくは1000~10mPas、より好ましくは1000~10mPas、特に1000~50000mPasの粘度を有する。
【0022】
オルガノポリシロキサン(A)は市販の製品であるか、及び/又は混合前にケイ素化学内で一般的な方法により調製及び単離することができる。
【0023】
基Rの例は、R及びRについて述べた一価の基である。
【0024】
基Rは、エーテル基、エステル基、(ポリ)グリコール基又はトリオルガニルオキシシリル基、又はエーテル基、(ポリ)グリコール基又はトリオルガニルオキシシリル基により置換されていてもよい1~7個の炭素原子を有する一価の脂肪族ヒドロカルビル基又はエーテル基、エステル基、(ポリ)グリコール基又はトリオルガニルオキシシリル基により置換されていてもよい芳香族ヒドロカルビル基を含み、より好ましくは1~7個の炭素原子を有するアルキル基又は1~7個の炭素原子を有するアルケニル基又は芳香族ヒドロカルビル基を含み、より具体的にはメチル基及びビニル基を含む。
【0025】
基Rの例は、水素原子並びにR及びRについて述べた一価の基である。
【0026】
基Rは、好ましくは酸素原子によって割り込まれていてもよい、1~12個の炭素原子を有する一価の置換されていてもよいヒドロカルビル基、より好ましくは1~6個の炭素原子を有するアルキル基、より具体的にはメチル又はエチル基、非常に好ましくはエチル基を含む。
【0027】
本発明の組成物に使用される有機ケイ素化合物(B)は、好ましくは少なくとも1つのメトキシ又はエトキシ基を有するシラン及び/又はそれらの部分加水分解物、より好ましくはテトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン又は1,2-ビス(トリエトキシシリル)エタン及び/又はそれらの部分加水分解物、より具体的にはテトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン又はビニルトリエトキシシラン及び/又はそれらの部分加水分解物、非常に好ましくはメチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン又はビニルトリエトキシシラン及び/又はそれらの部分加水分解物、特に好ましくはビニルトリエトキシシラン及び/又はその部分加水分解物である。
【0028】
部分加水分解物(B)は、部分的同一加水分解物、すなわち、式(II)の1種の有機ケイ素化合物の部分加水分解物であってもよく、また、部分的共加水分解物、すなわち、式(II)の少なくとも2種の異なる有機ケイ素化合物の部分加水分解物であってもよい。
【0029】
本発明の組成物に使用される化合物(B)が式(II)の有機ケイ素化合物の部分加水分解物である場合、最大10個のケイ素原子を有するものが好ましい。
【0030】
本発明の組成物において任意に使用される架橋剤(B)は、商業的に慣用の製品であるか、及び/又はケイ素化学内で既知の方法によって調製することができる。
【0031】
本発明の組成物は、いずれの場合も100重量部のオルガノポリシロキサン(A)に基づいて、好ましくは0.5~15.0重量部、より好ましくは0.5~10.0重量部、より具体的には1.0~5.0重量部の量の成分(B)を含む。
【0032】
基Rの例は、式HNCH-、HN(CH-、HN(CH-、HN(CHN(CH-、HN(CHN(CH-、HN(CHNH(CHNH(CH-、HCNH(CH-、CNH(CH-、HCNH(CH-、CNH(CH-、HN(CH-、HN(CH-、H(NHCHCH-、CNH(CHNH(CH-、シクロ-C11NH(CH-、シクロ-C11NH(CH-、(CHN(CH-、(CHN(CH-、(CN(CH-及び(CN(CH-の基である。基Rは、好ましくは、HN(CH-、HN(CHN(CH-、HCNH(CH-、CNH(CH-、又はシクロ-C11NH(CH-基、より具体的にはHN(CHN(CH-基を含む。
【0033】
基Rの例は水素原子であり、基Rについて述べた例でもある。
【0034】
基Rは、好ましくは、酸素原子によって割り込まれてもよい、1~12個の炭素原子を有する一価の置換されていてもよいヒドロカルビル基を含み、より好ましくは1~6個の炭素原子を有するアルキル基、より具体的にはメチル又はエチル基を含む。
【0035】
有機ケイ素化合物(C)は、好ましくは、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、又はさらに3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン若しくは3-アミノプロピルメチルジエトキシシランのN-アルキル若しくはN,N-ジアルキル誘導体又はそれらの部分加水分解物であり、記載されたN-アルキル基は、好ましくはメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、シクロヘキシル又は種々の分枝若しくは非分枝ペンチル基若しくはヘキシル基である。
【0036】
化合物(C)は、より好ましくは、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン又はN-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシランであり、より具体的にはN-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン又はN-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシランである。
【0037】
本発明の組成物に使用される化合物(C)は商業的に慣用される製品であるか、及び/又はケイ素化学内で既知の方法によって調製することができる。
【0038】
本発明の組成物は、いずれの場合も100重量部のオルガノポリシロキサン(A)に基づいて、好ましくは0.5~15.0重量部、より好ましくは0.5~10.0重量部、より具体的には0.5~5.0重量部の量の成分(C)を含む。
【0039】
本発明の組成物において、成分(B)と成分(C)の重量比は、好ましくは2:1~1:2の範囲であり、より好ましくは3:2~2:3の範囲である。
【0040】
基Rの例は、少なくとも8個の炭素原子を有する、R及びRに対して特定される一価の脂肪族基である。
【0041】
基Rは、好ましくはエーテル基、エステル基、(ポリ)グリコール基又はトリオルガニルオキシシリル基で置換されていてもよく、少なくとも8個の炭素原子を有する一価の脂肪族ヒドロカルビル基を含み、より好ましくはエーテル基、エステル基、(ポリ)グリコール基又はトリオルガニルオキシシリル基で置換されていてもよく、8~18個の炭素原子を有する一価の脂肪族ヒドロカルビル基を含み、より具体的には8~16個の炭素原子を有する脂肪族ヒドロカルビル基を含み、非常に特に好ましくは8~16個の炭素原子を有するアルキル基を含む。
【0042】
基Rの例は、水素原子及びR及びRについて述べた一価の基である。
【0043】
基Rは、好ましくは酸素原子によって割り込まれていてもよい、1~12個の炭素原子を有する一価の置換されていてもよいヒドロカルビル基を含み、より好ましくは1~6個の炭素原子を有するアルキル基、より具体的にはメチル又はエチル基、非常に好ましくはエチル基を含む。
【0044】
有機ケイ素化合物(D)は、好ましくは少なくとも2個の炭素原子を有する少なくとも1つの基Rを有する。
【0045】
本発明の組成物に使用される有機ケイ素化合物(D)は、好ましくはヘキサデシルトリメトキシシラン、ヘキサデシルトリエトキシシラン、n-オクチルトリメトキシシラン、n-オクチルトリエトキシシラン、イソオクチルトリメトキシシラン若しくはイソオクチルトリエトキシシラン及び/又はそれらの部分加水分解物であり、より好ましくはn-オクチルトリエトキシシラン又はイソオクチルトリエトキシシランである。
【0046】
部分加水分解物(D)は、部分同一加水分解物、すなわち、式(IV)の1種の有機ケイ素化合物の部分加水分解物であってもよく、また部分共加水分解物、すなわち、式(IV)の少なくとも2種の異なる有機ケイ素化合物の部分加水分解物であってもよい。
【0047】
本発明の組成物に使用される化合物(D)が式(IV)の有機ケイ素化合物の部分加水分解物である場合、最大10個のケイ素原子を有するものが好ましい。
【0048】
本発明の組成物に任意に使用される化合物(D)は商業的に慣用の製品であるか、及び/又はケイ素化学内で既知の方法によって調製することができる。
【0049】
本発明の組成物は、いずれの場合も100重量部のオルガノポリシロキサン(A)に基づいて、好ましくは5~100重量部、より好ましくは10~80重量部、より具体的には20~50重量部の量の成分(D)を含む。
【0050】
成分(A)、(B)、(C)及び(D)に加えて、本発明の組成物は縮合反応によって架橋することができる組成物において現在までに使用されてきた全てのさらなる物質を含むことができ、そのようなさらなる物質の例としては、(E)充填剤、(F)触媒、(G)安定剤、(H)添加剤及び(J)可塑剤が挙げられる。
【0051】
充填剤(E)の例は、非補強充填剤であり、これらは最大50m/gのBET比表面積を有する充填剤であり、例えば非被覆炭酸カルシウム、被覆炭酸カルシウム、石英、珪藻土、ケイ酸カルシウム、ケイ酸ジルコニウム、ゼオライト、金属酸化物粉末、例えばアルミニウム、チタン、鉄又は亜鉛酸化物及び/又はそれらの混合酸化物、硫酸バリウム、石膏、窒化ケイ素、炭化ケイ素、窒化ホウ素、若しくはガラス粉末及びポリマー粉末、例えばポリアクリロニトリル粉末である。補強充填剤(これらは50m/gを超えるBET比表面積を有する充填剤である)の例は、熱分解的に生成されるシリカ、沈降シリカ、カーボンブラック、例えばファーネスブラック及びアセチレンブラック、並びに高いBET比表面積の混合ケイ素-アルミニウム酸化物である。さらに、アスベスト、又はポリマー繊維のような繊維充填剤を使用することも可能である。記載された充填剤は、例えばオルガノシラン及び/又はオルガノシロキサン、ステアリン酸誘導体による処理によって、又は水酸基のアルコキシ基へのエーテル化によって、疎水化されていてもよい。
【0052】
充填剤(E)を使用する場合は、それらは好ましくは未処理の炭酸カルシウム、親水性の熱分解的に生成されたシリカ、又は疎水性の熱分解的に生成されたシリカである。
【0053】
本発明の組成物が充填剤(E)を含む場合、その関与する量は、いずれの場合も100重量部のオルガノポリシロキサン(A)に基づいて、好ましくは10~500重量部、より好ましくは10~200重量部、非常に好ましくは50~200重量部である。
【0054】
触媒(F)としては、縮合反応により架橋することができる組成物において現在までに使用されてきた全ての硬化促進剤を使用することが可能である。任意に使用される触媒(F)の例は、有機スズ化合物、例えば、ジ-n-ブチルスズジラウレート及びジ-n-ブチルスズジアセテート、ジ-n-ブチルスズオキシド、ジオクチルスズジアセテート、ジオクチルスズジラウレート、ジオクチルスズオキシド、並びにこれらの化合物とアルコキシシラン及び有機官能性アルコキシシラン、例えば、テトラエトキシシラン及びアミノプロピルトリエトキシシランとの反応生成物であり、好ましいのは、ジ-n-ブチルスズジラウレート、ジオクチルスズジラウレート、ジブチルスズオキシド及びジオクチルスズオキシドとテトラエチルシリケート加水分解物又はアミノプロピルシランとの混合加水分解物との反応生成物、特に好ましくはテトラエチルシリケート加水分解物中のジ-n-ブチルスズオキシドである。
【0055】
本発明の組成物が好適な触媒(F)を含む場合、その関与する量は、いずれの場合も100重量部のオルガノポリシロキサン(A)に基づいて、好ましく0.01~3重量部、より好ましくは0.05~2重量部である。
【0056】
安定剤(G)の好適な例は、リン酸、ホスホン酸、ホスホン酸アルキルエステル、及びリン酸アルキルエステルである。
【0057】
本発明の組成物が好適な安定剤(G)を含む場合、その関与する量は、いずれの場合も100重量部のオルガノポリシロキサン(A)に基づいて、好ましくは0.01~100重量部、より好ましくは0.1~30重量部、より具体的には0.3~10重量部である。
【0058】
添加剤(H)の例は、顔料、染料、匂い物質、酸化阻害剤、電気特性に影響を及ぼすための薬剤、例えば導電性カーボンブラック、難燃剤、光安定剤、殺菌剤、熱安定剤、捕捉剤、例えばSi-N含有シラザン又はシリルアミド、共触媒、チキソトロープ剤、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール又はそのコポリマー、有機溶媒、例えばアルキル芳香族、パラフィン油、及び成分(A)とは異なる任意の所望のシロキサンである。
【0059】
好ましくは、有機溶媒(H)は、本発明の組成物を製造するために使用されない。
【0060】
本発明の組成物が添加剤(H)を含む場合、その関与する量は、いずれの場合も100重量部のオルガノポリシロキサン(A)に基づいて、好ましくは0.01~100重量部、より好ましくは0.1~30重量部、より具体的には0.3~10重量部である。
【0061】
任意に使用される可塑剤(J)の例は、1013hPaの圧力下で室温で液体であり、トリメチルシロキシ基で終結され、特に25℃で20~5000mPaの範囲の粘度を有するジメチルポリシロキサン、1013hPaの圧力下で室温で液体であり、T、D、及びM単位と称されるSiO3/2単位、SiO2/2単位、及びSiO1/2単位から実質的になるオルガノポリシロキサン、並びに高沸点炭化水素、例えば、実質的にナフテン単位及びパラフィン単位からなるパラフィン油又は鉱油である。
【0062】
任意に使用される可塑剤(J)は、好ましくはトリメチルシリル末端基を有する直鎖状ポリジメチルシロキサンを含む
【0063】
本発明の組成物が可塑剤(J)を含む場合、その関与する量は、いずれの場合も100重量部のオルガノポリシロキサン(A)に基づいて、好ましくは10~300重量部、より好ましくは10~1500重量部、より具体的には10~50重量部である。好ましくは、本発明の組成物は可塑剤(J)を全く含まない。
【0064】
本発明の組成物は、好ましくは、
(A) 式(I)の単位から構成されるオルガノポリシロキサン、
(B) 少なくとも1つのメチル又はエチル基Rを有する式(II)の有機ケイ素化合物及び/又はそれらの部分加水分解物、
(C) 塩基性窒素を含み、式(III)の有機ケイ素化合物及び/又はそれらの部分加水分解物、
(D) 少なくとも1つのエチル基Rを有する式(IV)の有機ケイ素化合物及び/又はそれらの部分加水分解物、
任意選択的に(E)充填剤、
任意選択的に(F)触媒、
任意選択的に(G)安定剤、
任意選択的に(H)添加剤及び
任意選択的に(J)可塑剤
を含む組成物である。
【0065】
本発明の組成物は、より好ましくは、
(A) b及びcが0以外である少なくとも1つの単位を有する式(I)の単位から構成されるオルガノポリシロキサン、
(B) 少なくとも1つのメチル又はエチル基Rを有する式(II)の有機ケイ素化合物及び/又はそれらの部分加水分解物、
(C) 塩基性窒素を含み、式(III)の有機ケイ素化合物及び/又はそれらの部分加水分解物、
(D) 少なくとも1つのエチル基Rを有する式(IV)の有機ケイ素化合物及び/又はそれらの部分加水分解物、
任意選択的に(E)充填剤、
任意選択的に(F)触媒、
任意選択的に(G)安定剤、
任意選択的に(H)添加剤及び
任意選択的に(J)可塑剤
を含む組成物である。
【0066】
本発明の組成物は、非常により好ましくは、
(A) Rがビニル基である式(V)のオルガノポリシロキサン、
(B) 少なくとも1つのメチル又はエチル基Rを有する式(II)の有機ケイ素化合物及び/又はそれらの部分加水分解物、
(C) 塩基性窒素を含み、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン及びN-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシランから選択される式(III)の有機ケイ素化合物及び/又はそれらの部分加水分解物、
(D) 8~16個の炭素原子を有するアルキル基R及び少なくとも1つのエチル基Rを有する式(IV)の有機ケイ素化合物及び/又はそれらの部分加水分解物、
任意選択的に(E)充填剤、
任意選択的に(F)触媒、
(G)安定剤、
任意選択的に(H)添加剤、並びに
(J)可塑剤
を含み、成分(B)と成分(C)の重量比が好ましくは2:1~1:2の範囲にある、組成物である。
【0067】
本発明の組成物は、より具体的には
(A) 化合物(MeO)MeSiO[SiMeO]200-2000SiVi(OMe)、(MeO)ViSiO[SiMeO]200-2000SiVi(OMe)、(MeO)MeSiO[SiMeO]200-2000SiViMe(OMe)、(MeO)ViMeSiO[SiMeO]200-2000SiViMe(OMe)及び(MeO)ViMeSiO[SiMeO]200-2000SiVi(OMe)から選択されるオルガノポリシロキサン、
(B) 化合物テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン及び1,2-ビス(トリエトキシシリル)エタンから選択される有機ケイ素化合物又はそれらの部分加水分解物、
(C) 塩基性窒素を含み、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン及びN-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシランから選択される有機ケイ素化合物及びそれらの部分加水分解物、
(D) 8~16個の炭素原子を有するアルキル基R及び1つのエチル基Rを有する式(IV)の有機ケイ素化合物及び/又はそれらの部分加水分解物、
任意選択的に(E)充填剤、
(F)触媒、
(G)安定剤、
任意選択的に(H)添加剤、並びに
(J)可塑剤
を含み、成分(B)と成分(C)の重量比が好ましくは2:1~1:2の範囲にある、組成物である。
【0068】
さらにより特に好適な実施形態では、本発明の組成物は、
(A) 化合物(MeO)MeSiO[SiMeO]200-2000SiVi(OMe)及び(MeO)ViSiO[SiMeO]200-2000SiVi(OMe)から選択されるオルガノポリシロキサン、
(B) 化合物テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン及びビニルトリエトキシシランから選択される有機ケイ素化合物、及びそれらの部分加水分解物、
(C) 塩基性窒素を含み、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン及びN-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシランから選択される有機ケイ素化合物、及びそれらの部分加水分解物、
(D) 8~16個の炭素原子を有するアルキル基R及び1つのエチル基Rを有する式(IV)の有機ケイ素化合物、及び/又はそれらの部分加水分解物、
任意選択的に(E)充填剤、
(F)触媒、
(G)安定剤、
任意選択的に(H)添加剤、並びに
(J)可塑剤
を含み、成分(B)と成分(C)の重量比が好ましくは2:1~1:2の範囲にある、組成物である。
【0069】
別の非常に好適な実施形態では、本発明の組成物は、
(A) (MeO)ViSiO[SiMeO]200-2000SiVi(OMe)
(B) ビニルトリエトキシシラン、及びそれらの部分加水分解物、
(C) 塩基性窒素を含み、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン及びN-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシランから選択される有機ケイ素化合物、及びそれらの部分加水分解物、
(D) 1つのn-オクチル又はイソオクチル基R及び1つのエチル基Rを有する式(IV)の有機ケイ素化合物、及び/又はそれらの部分加水分解物、
任意選択的に(E)充填剤、
(F)触媒、
(G)安定剤、
任意選択的に(H)添加剤、並びに
(J)可塑剤
を含み、成分(B)と成分(C)の重量比が好ましくは3:2~2:3の範囲にある組成物である。
【0070】
本発明の組成物は、好ましくは成分(A)から(J)以外のさらなる成分を含まない。
【0071】
本発明の組成物は、好ましくは、組成物の総重量に基づいて10重量部以下の量の有機溶媒を含み、より好ましくは有機溶媒を含まない。
【0072】
本発明の組成物が少量の有機溶媒を含む場合、関与するものは、好ましくは加水分解及び/又は縮合反応において形成されるアルコールである。
【0073】
本発明の組成物の個々の構成成分は、いずれの場合も1種類のそのような構成成分、又は少なくとも2種の異なる種類のそのような構成成分の混合物を含むことができる。
【0074】
本発明の組成物は、液体又は粘性混合物を含み、好ましくは低粘度組成物である。
【0075】
本発明の組成物は、25℃、せん断速度25l/秒でプレート/コーンシステムを用いてDIN EN ISO 3219に従ってそれぞれ測定して、好ましくは50000mPas未満、より好ましくは25000mPas未満、より具体的には15000mPas未満の粘度を有する。
【0076】
本発明の組成物は、全ての構成成分を任意の順序で互いに混合することによって調製することができる。
【0077】
本発明のさらなる主題は、個々の成分を任意の順序で混合することによって本発明の組成物を製造する方法である。
【0078】
この混合は、周囲の大気の圧力、換言すれば、約900~1100hPaの下で室温で行われる。しかし、所望であれば、この混合は、より高い温度、例えば35~100℃の範囲の温度で行うこともできる。さらに、揮発性化合物又は空気を除去するために、例えば30~500hPaの絶対圧のような減圧下で、時々又は連続的に混合を行うことが可能である。
【0079】
好ましくは、成分(A)、(B)、(C)、(D)及び任意に可塑剤(J)、好ましくはトリメチルシリル末端オルガノポリシロキサンを混合する。これは、大気圧下又は減圧下で行うことができる。その後、充填剤(E)と混合し、比較的高い回転速度で比較的強い剪断でミキサーで分散を行うことが可能である。これは一般に、揮発性化合物、空気、及び充填剤の水分と成分(B)及び(C)との反応生成物を除去するために、減圧下で行われる。安定剤(G)又は添加剤(H)のようなさらなる成分を充填剤(E)の前又は充填剤(E)と一緒に加えてもよい。触媒(F)を用いる場合は、最後に均一に撹拌する。これは一般に、液体又は低粘度組成物を気泡のない状態にするために、減圧下で行われる。
【0080】
空気の通例の含水量は、本発明の組成物を架橋するのに十分である。本発明の組成物の架橋は、好ましくは室温で達成される。所望であれば、例えば-20~15℃又は30~60℃のような室温より高い又は低い温度で、及び/又は空気の通常の含水量を超える濃度の水を用いて架橋を実施してもよい。水又は含水物質を直接混和することも可能である。
【0081】
架橋は、好ましく100~1100hPaの圧力、より具体的には周囲大気の圧力、換言すれば約900~1100hPaの圧力で行われる。
【0082】
本発明のさらなる主題は、本発明の組成物を架橋することによって製造される成形物である。
【0083】
本発明の成形物は、好ましくはコーティングである。
【0084】
本発明の組成物は、水を排除して貯蔵可能であるが、水が入ると室温でエラストマーに架橋する組成物を使用することが可能なあらゆる目的に使用することができる。
【0085】
本発明の組成物は、例えば、コンクリート、木材、鋼、及びアルミニウムのためのコーティング材料として顕著に適している。コーティングは、ブラシ若しくはローラーによって、又は噴霧、例えば無気噴霧によって塗布することができる。この場合のシーリング化合物は、0.5mm~2mmの層厚で、1つの層に直接塗布するか、又は上下に2つ以上の層に塗布することが好ましい。さらに、これらは挿入された不織布を用いて2層方法で処理することもできる。組成物は、ここでは水平又は垂直に使用することができる。弾性保護コーティングは、特に日光、雨水、淡水又は塩水への曝露に対して耐性がある。さらに、保護コーティングは高い熱安定性も有する。
【0086】
本発明の組成物は、それらが生産しやすく、非常に高い保存安定性によって区別されるという利点を有する。
【0087】
さらに、本発明の組成物は、それらが塗布中に非常に良好な取り扱い品質を有し、そして多数の用途にわたって優れた処理特性を示すという利点を有する。
【0088】
さらに、本発明の組成物は、特に溶媒又は他の希釈剤を含む配合物と比較して、硬化時に比較的高い収縮率を示さないという利点を有する。
【0089】
本発明の組成物は、異なる気候条件下でも効果的に硬化するという利点を有する。したがって、架橋は、周囲温度及び大気湿度とより無関係である。同時に、十分に迅速に本発明の組成物は内部強度(凝集)を発現させ、これは、例えば基材中の収縮又は運動の結果として、部分的に加硫された組成物が破裂又は気泡を形成する(該組成物がそのシーリング機能を失うであろう)のを防止する。
【実施例
【0090】
特に記載のない限り、以下の実施例は、周囲大気の圧力、換言すれば、約1000hPa、かつ室温で、換言すれば、約23℃で、及び/又は追加の加熱又は冷却を行わずに室温で成分を組み合わせたときに生じる温度で、及び約50%の相対的な大気湿度で実施する。さらに、部及びパーセントの数字は、特に指定のない限り、全て重量による。
【0091】
0.5cm~1cmの厚さで塗布したホイルについて、硬度HBの新たに削った鉛筆を用いて、一定間隔で浅い角度で表面に接触させることにより、スキン形成時間を測定する。この場合、鉛筆をゆっくりと持ち上げ、微細なスキンが持ち上がった時に鉛筆の先端から材料がぶら下がり続けなくなったら、その時間を記録する。1日後、表面の粘着性と加硫物の引裂強度をもとに加硫の品質を追加試験する(フィンガーネイルテスト)。
【0092】
粘度及びチキソトロピーの測定は、DIN EN ISO 3219に従った回転式粘度計で行う。まず、高せん断応力下で、続いて低せん断応力下で粘度を測定する。測定は、プレート/コーンシステム上で25℃、測定素子CP25/2で行う。予備調整は0.5 1/秒で1分間とする。その後、25 1/秒で1分間、続いて0.5 1/秒でさらに1分間測定する。評価は、20の測定点からの平均化によって行う。
【0093】
機械的な値は、S2試験片についてISO37に従って測定した。
【0094】
ショアA硬度はISO868に従って測定した。
【0095】
[実施例1]
ジメトキシビニルシリル末端基を有し、8000mPa・sの粘度のポリジメチルシロキサン500g、25重量%のトリメトキシメチルシラン及び75重量%のオクチルホスホン酸から構成されたオクチルホスホン酸混合物3.0g、ビニルトリエトキシシラン20g、及びN-アミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン15gを、実験室用遊星型ミキサー中で、約300rpm、200~300hPaの圧力で3分間均質化する。次いで、平均粒径2μmの粉砕した非被覆大理石粉347g及び比表面積150m/gの親水性の焼成シリカ10gを900~1100hPaの圧力でゆっくりと混合し、800rpm、200~300hPaの圧力で8分間分散させる。こうして得られた流動性混合物を、イソオクチルトリエトキシシラン100gと、ジ-n-ブチルスズオキシド1.4g及びテトラエトキシシラン1.1gを反応させて得たスズ触媒2.5gとで300rpmで、200~300hPaの圧力で3分間活性化し、攪拌して気泡を除去する。
【0096】
このようにして製造された組成物の一部をカートリッジに保持するために分配し、さらなる試験の前に23℃及び50%の相対大気湿度で24時間保存し、製造された組成物の残りの部分を内部被覆アルミニウムチューブに分配し、乾燥キャビネット内で70℃で4週間保存した。
【0097】
得られた組成物は、その後、スキン形成時間及び加硫について上述したように調査する。
【0098】
表面は、手の指又は人差し指の背部を用いた簡単な試験によって粘着について試験する。手指が遅れずに再び離れる場合は、評価は陽性である。結果を表1に示す。
【0099】
[実施例2]
実施例1に記載した手順を、イソオクチルトリエトキシシランの代わりに、イソオクチルトリメトキシシラン100gを使用する変更を加えて、繰り返す。
【0100】
結果を表1に示す。
【0101】
[実施例3]
実施例1に記載した手順を、イソオクチルトリエトキシシランの代わりに、ヘキサデシルトリメトキシシラン100gを使用する変更を加えて、繰り返す。
【0102】
結果を表1に示す。
【0103】
[比較例C1]
実施例1に記載した手順を、イソオクチルトリエトキシシランの代わりに、イソパラフィン炭化水素100g(印加点>90℃、粘度3.5cSt/25℃)を溶媒として使用するという修正を加えて、繰り返す。
【0104】
結果を表1に示す。
【0105】
【表1】
【0106】
[実施例4]
ジメトキシビニルシリル末端基を有し、8000mPa・sの粘度のポリジメチルシロキサン500g、25重量%のトリメトキシメチルシラン及び75重量%のオクチルホスホン酸から構成されたオクチルホスホン酸混合物3.0g、ビニルトリエトキシシラン20g、及びN-アミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン15gを、実験室用遊星型ミキサー中で、約300rpm、200~300hPaの圧力で3分間均質化する。次いで、平均粒径2μmの粉砕した非被覆大理石粉347g及び比表面積150m/gの親水性の焼成シリカ10gを900~1100hPaの圧力でゆっくりと混合し、800rpm、200~300hPaの圧力で8分間分散させる。こうして得られた流動性混合物を、イソオクチルトリエトキシシラン50gと、ジ-n-オクチルスズオキシド0.9g及びテトラエトキシシラン2.1gを反応させて得たスズ触媒5.0gとで300rpmで、200~300hPaの圧力で3分間活性化し、攪拌して気泡を除去する。
【0107】
こうして製造した組成物を、実施例1に記載されたようにカートリッジに分注し、保管した。
【0108】
その後、得られた組成物を、スキン形成時間、加硫、及び表面粘着性について上記のように調べる。
【0109】
さらに、組成物を23℃及び50%の相対大気湿度で14日間架橋し、機械的特性及びショア硬度をそれぞれISO37及びISO868に従って測定する。結果を表2に示す。
【0110】
[実施例5]
実施例4に記載した手順を、イソオクチルトリエトキシシラン50gの代わりにイソオクチルトリエトキシシラン100gを混合する修正を加えて、繰り返す。結果を表2に示す。
【0111】
[実施例6]
実施例4に記載した手順を、イソオクチルトリエトキシシラン50gの代わりにイソオクチルトリエトキシシラン200gを混合する修正を加えて、繰り返す。
【0112】
結果を表2に示す。
【0113】
[比較例C2]
実施例4に記載した手順を、イソオクチルトリエトキシシランを混合しない修正を加えて、繰り返す。
【0114】
結果を表2に示す。
【0115】
[比較例C3]
実施例4に記載した手順を、イソオクチルトリエトキシシランの代わりにテトラエトキシシラン100gを触媒と混合する修正を加えて、繰り返す。
【0116】
結果を表2に示す。
【0117】
[比較例C4]
実施例4に記載した手順を、イソオクチルトリエトキシシランの代わりにSiO含有率が約40重量%のオリゴマー化テトラエトキシシラン100gを触媒と混合する修正を加えて、繰り返す。
【0118】
結果を表2に示す。
【0119】
【表2】