(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-18
(45)【発行日】2022-03-29
(54)【発明の名称】表面張力調整剤を含む化粧用インク組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/81 20060101AFI20220322BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20220322BHJP
A61K 8/49 20060101ALI20220322BHJP
A61K 8/60 20060101ALI20220322BHJP
A61K 8/29 20060101ALI20220322BHJP
A61Q 1/02 20060101ALI20220322BHJP
C09D 11/38 20140101ALI20220322BHJP
【FI】
A61K8/81
A61K8/34
A61K8/49
A61K8/60
A61K8/29
A61Q1/02
C09D11/38
(21)【出願番号】P 2020541404
(86)(22)【出願日】2019-02-01
(86)【国際出願番号】 US2019016220
(87)【国際公開番号】W WO2019152758
(87)【国際公開日】2019-08-08
【審査請求日】2020-07-28
(32)【優先日】2018-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100209495
【氏名又は名称】佐藤 さおり
(72)【発明者】
【氏名】ヴィラロボス・リンゲス、ジャネット
(72)【発明者】
【氏名】レイブ、トーマス・エリオット
(72)【発明者】
【氏名】リンサー、マシュー・ジョゼフ
(72)【発明者】
【氏名】ホジドン、トラヴィス・カイル
(72)【発明者】
【氏名】スタール、アジェイ
【審査官】田中 雅之
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-122236(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0028709(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0039115(US,A1)
【文献】特表2013-539488(JP,A)
【文献】特表2016-516845(JP,A)
【文献】国際公開第2017/100150(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
B01F 17/00-17/56
C08K 3/00-13/08
C08L 1/00-101/14
C09D 11/00-13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.1~45活性重量%の、100nm~2,000nmの粒径分布D50を有する粒子材料と、
b.アルカリ膨潤性エマルションポリマー、疎水変性アルカリ膨潤性エマルションポリマー、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるレオロジー変性剤と、
c.ポリマー分散剤と、
d.C1~C16アルコール、C5~C18ジオール、及びこれらの混合物からなる群から選択さ
れる、表面張力調整剤と、を含み、
ナイアシンアミド、イノシトール、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1種以上のスキンケア活性物質を更に含む、化粧用インク組成物。
【請求項2】
前記表面張力調整剤が、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、2-メチル-1-プロパノール、2-メチル-2-プロパノール、ファルネソール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール、フェノキシエタノール、2-フェニルフェノール、4-ヒドロキシ安息香酸メチル、4-ヒドロキシ安息香酸エチル、4-ヒドロキシ安息香酸プロピル、4-ヒドロキシ安息香酸ブチル、4-ヒドロキシ安息香酸イソブチル、クロロキシレノール、2-メチル 5-シクロヘキシルペンタノール、トリクロサン、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,2-デカンジオール、3-[(2-エチルヘキシル)オキシ]-1,2-プロパンジオール、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の化粧用インク組成物。
【請求項3】
前記表面張力調整剤が、1,2-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオール、エタノール、ファルネソール、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1又は2に記載の化粧用インク組成物。
【請求項4】
0.60未満のタン(デルタ)を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の化粧用インク組成物。
【請求項5】
前記粒子材料が、700nm~900nmの粒径分布D90を有する、請求項1
~4のいずれか一項に記載の化粧用インク組成物。
【請求項6】
前記粒子材料が、二酸化チタンを含む、請求項1
~5のいずれか一項に記載の化粧用インク組成物。
【請求項7】
20~30活性重量%の保湿剤を更に含む、請求項1~
6のいずれか一項に記載の化粧用インク組成物。
【請求項8】
a.1~45活性重量%の粒子材料と、
b.0.30活性重量%超の、(メタ)アクリレートポリマー、(メタ)アクリレートコポリマー、及びこれらの混合物からなる群から選択されるレオロジー変性剤と、
c.0.01~1活性重量%のポリマー分散剤と、
d.0.1~5活性重量%の、C1~C16アルコール、C5~C18ジオール、及びこれらの混合物からなる群から選択さ
れる表面張力調整剤と、
e.10~30活性重量%の保湿剤と、
を含む化粧用インク組成物。
【請求項9】
前記表面張力調整剤が、C6~C12ジオール又はC15アルコールである、請求項8に記載の化粧用インク組成物。
【請求項10】
20mN/m~45mN/mの表面張力を有する、請求項
8又は9に記載の化粧用インク組成物。
【請求項11】
25℃で測定した0.1秒
-1の剪断速度で500cP超の第1の動的粘度と、25℃
で測定した1,000秒
-1の剪断速度で100cP未満の第2の動的粘度とを有する、請求項
8~10のいずれか一項に記載の化粧用インク組成物。
【請求項12】
前記粒子材料が、200nm~350nmの粒径分布D50を有する、請求項
8~
11のいずれか一項に記載の化粧用インク組成物。
【請求項13】
a.二酸化チタンを含む粒子材料と、
b.(メタ)アクリレートポリマー、(メタ)アクリレートコポリマー、及びこれらの混合物からなる群から選択されるレオロジー変性剤と、
c.ポリマー分散剤と、
d.0.1~5活性重量%の、C1~C16アルコール、C5~C18ジオール、及びこれらの混合物からなる群から選択さ
れる表面張力調整剤と、
を含
み、
前記二酸化チタンが、シリカ、アルミナ、及びこれらの組み合わせから選択されるコーティング成分で実質的にコーティングされる、化粧用インク組成物。
【請求項14】
前記表面張力調整剤が、1,2-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオール、エタノール、ファルネソール、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項13に記載の化粧用インク組成物。
【請求項15】
0.30活性重量%超のレオロジー変性剤を含む、請求項1
3又は1
4に記載の化粧用インク組成物。
【請求項16】
前記ポリマー分散剤が、2,500~4,000ダルトンの重量平均分子量を有する、請求項1
3~1
5のいずれか一項に記載の化粧用インク組成物。
【請求項17】
20mN/m~45mN/mの表面張力を有する、請求項1
3~1
6のいずれか一項に記載の化粧用インク組成物。
【請求項18】
0.60未満のタン(デルタ)を有する、請求項1
3~1
7のいずれか一項に記載の化粧用インク組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
インクジェット印刷用途のためのインク組成物、より具体的には、熱及び/又は圧力インクジェットのプリントヘッドを介した高周波印刷にとって安定かつ好適であると同時に、皮膚の欠陥の被覆及び様々なタイプの皮膚における耐久性を提供することができる、粒子材料と表面張力調整剤とを含む化粧用インク組成物が本明細書に記載される。
【背景技術】
【0002】
ほとんどの印刷用途は、文書作成又は写真印刷のために白色基材上に印刷するように設計されている。このような用途では、黒色インクは、主に、3つ以上の有色インクと組み合わせて使用される。安定な黒色インクと有色インクとの配合は、十分に理解されている。例えば、分子染料は、一般に、担体に可溶性である場合、時間がたっても沈降しないことが知られている。加えて、顔料系黒色インクは、一般に、低粘度担体に懸濁するのに十分小さい粒径を利用するものであり、ストークスの法則及びブラウン運動の両方を活用して粒子を懸濁した状態で維持する。しかし、これらのインクは不透明度が非常に低く、その理由は、染料であればもともと透明であるためであり、顔料系黒色インクであれば、懸濁するのに十分小さいだけでなく、可視光を散乱させるのに必要な粒径よりもはるかに小さい粒径を使用するものであるためである。不透明化を目的とした場合に最適な光散乱は、光の波長の半分で生じる。可視光スペクトルは約400~約700nmの範囲であるので、不透明化のために最適な粒径は、約200~約350nmである。これは、一般に約50nm未満のサイズの粒子を含み、民生用印刷用途で使用される、安定した黒色顔料系インクの粒径よりも著しく大きい。
【0003】
化粧用印刷用途では、インクは、皮膚の欠陥を被覆する及び/又は隠すために十分に不透明でなければならないことが知られている。しかしながら、不透明度を達成するために必要な粒径及びレベル、並びにこのようなインクを作製するために使用される大きな及び/又は高密度の粒子の重力による沈降に起因して、噴射させることができかつ不透明で安定な化粧用インクを処方することは困難である。長年にわたって、インクジェット印刷業界は、インクジェットプリンタカートリッジ及びノズル技術に適合する安定した白色インクを作製しようと試みてきた。しかしながら、現在最も安定な白色インクであっても、静置した場合には時間とともに粒子の沈降を示す。このようなインクの製造業者は、粒子を再分散させるために毎日又は毎週激しく振盪すること、及び/又は使用中にこれらのインクを再循環させることを推奨している。
【0004】
粒子の懸濁安定性に加えて、化粧用インクはまた、様々なタイプの皮膚において耐久性がなければならない。化粧用インク中の粒子が、皮膚の欠陥を被覆するのに有効なものであるためには、皮膚上に付着し、その場で留まらなければならない。皮膚の表面特性は、ヒト個体において、そして、人によって異なり得るので、これは難しい。人の頬における水の接触角は、皮脂生成のレベルが人によって異なること及び/又はスキンケア技術にばらつきがあることにより、0から110度まで幅があり得ることが知られている。結果として、化粧用インクは、広がり方が異なり、異なる速度で乾燥し、皮膚上で異なる耐久性を有し、したがって、人によって異なる被覆を提供する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、皮膚の欠陥を隠す及び/又は被覆するために様々なタイプの皮膚に対し使用することができる不透明なインクジェット化粧用インク組成物が必要とされている。特に、不透明性を提供することができる粒子を含み、皮膚上での濡れ性を増加させ、乾燥時間を減少させる表面張力を有するが、依然として安定している化粧用インク組成物が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
化粧用インク組成物は、(a)約1~約45活性重量%の、約100nm~約2,000nmの粒径分布D50を有する粒子材料と、(b)アルカリ膨潤性エマルションポリマー、疎水変性アルカリ膨潤性エマルションポリマー、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるレオロジー変性剤と、(c)ポリマー分散剤と、(d)C1~C16アルコール、C5~C18ジオール、及びこれらの混合物からなる群から選択される表面張力調整剤と、を含む。
【0007】
化粧用インク組成物は、(a)約1~約45活性重量%の粒子材料と、(b)約0.30活性重量%超の、(メタ)アクリレートポリマー、(メタ)アクリレートコポリマー、及びこれらの混合物からなる群から選択されるレオロジー変性剤と、(c)約0.01~約1活性重量%のポリマー分散剤と、(d)約0.1~約5活性重量%の、C1~C16アルコール、C5~C18ジオール、及びこれらの混合物からなる群から選択される表面張力調整剤と、(e)約10~約30活性重量%の保湿剤と、を含む。
【0008】
化粧用インク組成物は、(a)二酸化チタンを含む粒子材料と、(b)(メタ)アクリレートポリマー、(メタ)アクリレートコポリマー、及びこれらの混合物からなる群から選択されるレオロジー変性剤と、(c)ポリマー分散剤と、(d)約0.1~約5活性重量%の、C1~C16アルコール、C5~C18ジオール、及びこれらの混合物からなる群から選択される表面張力調整剤と、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本明細書は、本発明を具体的に指摘し、明確に請求する特許請求の範囲をもって結論とするが、本発明は、添付図面と併せてなされる以下の説明から、より良好に理解されることが考えられる。
【
図1】本明細書に記載の化粧用インク組成物の付着に使用するためのパーソナルケアデバイスの分解図である。
【
図2】本明細書に記載の化粧用インク組成物を収容するカートリッジの分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書で使用するとき、「活性重量%」及び「重量%(活性)」は、組成物において水に溶解又は懸濁させた固形成分の量を指す。
【0011】
本明細書で使用するとき、「周囲条件」とは、摂氏約23度(℃)の温度及び相対湿度(RH)50%を指す。
【0012】
本明細書で使用するとき、「耐久性のある」とは、迅速に乾燥し、皮膚上での摩耗に耐える能力を説明する、組成物特性を指す。
【0013】
本明細書で使用するとき、「粒径分布D50」は、分布の50パーセントがそれよりも小さな粒径を有する直径を指す。
【0014】
本明細書で使用するとき、「粒径分布D90」は、分布の90パーセントがそれよりも小さな粒径を有する直径を指す。
【0015】
本明細書で使用するとき、「分離」とは、サンプルの上部に透明な流体層が形成されることを指し、この透明な流体層の下のサンプル中の粒子の均一性については考慮しない。分離は、粒子の沈降及び/又はシネレシスを含み得る。
【0016】
本明細書で使用するとき、「沈降」とは、重力により(ストークスの法則に従って)組成物中の粒子が容器の底部に落下することを指す。粒子の沈降は、粒子のサイズ及びその経時的な凝集によって影響され得る。
【0017】
本明細書で使用するとき、「静的保管」とは、組成物の分析又は付着の前に、激しい又は持続的な振動、撹拌、又は混合のいずれも行わない組成物の保管を指す。
【0018】
本明細書で使用するとき、「シネレシス」は、相分離、すなわち、弱いコロイドゲルの場合、ゲルからの液体の抽出又は排出を意味する。シネレシスを呈している組成物中の粒子は、透明な流体層の下で依然として均一に懸濁している。
【0019】
本明細書で使用するとき、「ポリマー分散剤のレオロジー変性剤に対する比」は、ポリマー分散剤の活性重量%をレオロジー変性剤の活性重量%で除した比を指す。
【0020】
本明細書で使用するとき、「貯蔵弾性率」又は「G’」は、組成物の弾性部分を表す、貯蔵エネルギーの尺度を指す。
【0021】
本明細書で使用するとき、「損失弾性率」又は「G’’」は、組成物の粘性部分を表す、熱として消散されるエネルギーの尺度を指す。
【0022】
本明細書で使用するとき、「添加時の重量パーセント(weight percent as added)」は、組成物に添加されたときの活性物質+水の合計量を指す。
【0023】
本明細書で使用するとき、「ゼータ電位」は、化粧用インク組成物の界面動電位(electrokinetic potential)を指す。
【0024】
本明細書で使用するとき、冠詞「a」及び「an」は、請求される又は記載される材料、例えば、「レオロジー変性剤」又は「活性物質」の1つ以上を意味すると理解される。
【0025】
本明細書における全ての重量、測定値、及び濃度は、特に指定のない限り、周囲条件で測定される。
【0026】
本明細書で使用するとき、百分率、部、及び比は全て、特に指定のない限り、化粧用インク組成物の総重量に基づく。列挙された成分に関するとき、このような重量は全て、特に指定のない限り、組成物への添加時のレベルに基づく。
【0027】
化粧用インクは、不透明さをもたらして皮膚の欠陥を被覆するために、人間の目で視覚的に知覚可能であるのに十分大きな粒子を含む白色又は淡色の粒子材料を必要とする場合がある。しかしながら、視覚的に知覚可能であるのに十分大きな粒径を有する粒子材料を含む化粧用インク組成物を印刷することは、現在のインク、プリンタ、及び/又はカートリッジにとって課題であり得る。これらの課題は、まず大きく、高密度の粒子の沈降によって、そして次に、カートリッジ内に沈降粒子が詰まることによって引き起こされる。粒子が均一に懸濁した状態を維持するためには、激しく、繰り返し再混合することが必要であるので、自動混合又は手動振盪のいずれかによる再混合は、消費者による家庭内又は手持ち式での印刷目的には適さない場合がある。
【0028】
加えて、化粧用インクは、皮膚上で広げて皮膚の欠陥を十分に被覆することができ、かつ多種多様な皮膚のタイプにおいて耐久性がなければならない。しかしながら、これは、皮膚の表面特性のばらつきのために困難であり得る。化粧用インクの表面張力が高すぎる場合、化粧用インクは、皮膚上でビーズ状になって、適切に広がらない場合があり、このことは、皮膚の欠陥を被覆する化粧用インクの能力に影響する。驚くべきことに、化粧用インク組成物中に特定の表面張力調整剤を含めることにより、粘度を低下させたり、粒子の懸濁安定性を損なうことなく、皮膚上での被覆及び耐久性を改善できることが見出された。具体的には、TiO2などの粒子材料と、アルカリ膨潤性エマルション(alkali swellable emulsion、「ASE」)ポリマー、疎水変性アルカリ膨潤性エマルション(hydrophobically modified alkali swellable emulsion、「HASE」)ポリマー、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるレオロジー変性剤と、ポリマー分散剤と、C1~C16アルコール、C5~C18ジオール、及びこれらの混合物からなる群から選択される表面張力調整剤と、を含む化粧用インク組成物は、粘度及び長期粒子懸濁安定性を維持しながら、様々なタイプの皮膚上での被覆及び耐久性を提供できることが見出された。また、化粧用インク組成物を付着させるためのパーソナルケアデバイスも本明細書に記載される。
【0029】
化粧用インク組成物
化粧用インク組成物は、粒子材料、レオロジー変性剤、ポリマー分散剤、及び表面張力調整剤を含み得る。理論に束縛されるものではないが、表面張力調整剤は、粒子の懸濁を損なう恐れのある組成物の粘度低下を引き起こすことなく、化粧用インク組成物が様々なタイプの皮膚を濡らすことができるように、化粧用インク組成物の表面張力を低下させることができると考えられる。
【0030】
粒子の凝集と化粧用インク組成物の粘度とを調整して、粒子の沈降を阻害することができ、これによって、熱及び/又は圧力インクジェットのプリントヘッドを介した高周波印刷機能を妨害することなく、既報のものを超える粒子懸濁安定性が提供されることも見出された。このことの1つの利点は、印刷前及び/又は印刷中に、粒子を再分散させるために、消費者によって又は自動化された機械的プロセスによって化粧用インク組成物を振盪及び/又は撹拌する必要がほとんど又は全くない点である。これにより、消費者が粒子を再分散するために追加の工程を実施する必要がなく、並びに/又は印刷装置、カートリッジ、プリンタサービスステーション、及び/若しくはドッキングステーション内の自動化システムを含む撹拌若しくは回転システムの必要性を排除することができるので、化粧用インク組成物をよりユーザフレンドリーなものにすることができる。一態様では、製品の保管期限内にわたって粒子が懸濁した状態を保持することができるので、使用前及び/又は使用中に粒子を再分散させるために化粧用インク組成物を撹拌する必要も振盪する必要もない。
【0031】
理論に束縛されるものではないが、粒子の凝集を最小化及び/又は防止するためにポリマー分散剤を使用し、そして、二次構造を導入し、粘度を構築して、弱いコロイドゲル中に粒子を懸濁させるためにレオロジー変性剤を使用して、化粧用インク組成物を安定化させることができると考えられる。コロイドゲルは、印刷されていないときに粒子を懸濁液中に保持する(したがって、粒子沈降を阻害する)のに十分に強く、ただし印刷中に崩壊するのに十分に弱いものとすることができる。理論に束縛されるものではないが、表面張力調整剤のヒドロキシル基及びアルキル鎖の両親媒性は、コロイドゲルを著しく破壊することなく、表面活性に若干の影響を与えることができると考えられる。
【0032】
一態様では、化粧用インク組成物は、スキンケア組成物であってよい。化粧用インク組成物は、正確にかつ実質的に皮膚の欠陥のみに付着させたときに、色素沈着過剰などの皮膚の欠陥を隠す又はカモフラージュすることができる。
【0033】
一態様では、化粧用インク組成物は、任意の表面、好ましくはヒトの皮膚及び/又は毛髪を含むケラチン性表面上に噴射させることができる。
【0034】
化粧用インク組成物は、非ニュートン性であってよく、これは、化粧用インク組成物が、剪断依存性粘度及び/又は粘弾性特性を有し得ることを意味する。化粧用インク組成物は、インクジェット装置のカートリッジとプリントヘッドとの間をインクが移動する流体吐出条件下でずり減粘効果を示すことができる。化粧用インク組成物が噴射されると、剪断速度が増加し得、その結果、粘度が低下する。したがって、化粧用インク組成物は、粒子を沈降させずに保管することができ、更に、粘度及び粒径は、化粧用インク組成物を依然として印刷可能なものとするものである。
【0035】
一態様では、粒子材料は、親水性であってよい。粒子材料をより親水性にするために、粒子材料を1種以上の成分で実質的にコーティングしてもよい。本明細書で使用するとき、「実質的にコーティングされる」とは、粒子材料の少なくとも約25%、好ましくは約50%超、より好ましくは約75%超、最も好ましくは約90%超の表面を被覆することを意味し得る。粒子材料を性質上親水性にすることができる好適なコーティング成分としては、シリカ、アルミナ、ポリエチレングリコール(PEG)12ジメチコーン、フィチン酸、グリセロリン酸ナトリウム、及びこれらの組み合わせを挙げることができる。粒子材料は、当該技術分野において既知の技術を使用して、1種以上のコーティング成分で実質的にコーティングされ得る。親水性粒子材料を使用することの1つの利点は、親水性粒子材料はより容易に水に分散させやすいという点である。一態様では、粒子材料は、シリカ及び/又はアルミナで実質的にコーティングされたチタン及び/又は酸化鉄であってよい。
【0036】
好適な粒子材料は、顔料;封入顔料;マイカ;粘土;混合金属酸化物顔料;酸化鉄、二酸化チタン、酸化亜鉛、水酸化アルミニウム、酸化鉄、及びこれらの組み合わせなどの金属酸化物;窒化ホウ素;シリカ;タルク;塩基性炭酸鉛;ケイ酸マグネシウム;バライト(BaSO4);炭酸カルシウム;真珠光沢;天然着色剤並びに合成モノマー及び合成ポリマー着色剤を含む着色剤;D&C及びFD&Cのブルー、ブラウン、グリーン、オレンジ、レッド、イエローなどとして指定される、アゾ染料、インジゴイ染料ド、トリフェニルメタン染料、アントラキノン染料、及びキサンチン染料などの染料;レーキと呼ばれる、承認済着色添加剤の不溶性金属塩;並びにこれらの組み合わせを含み得る。
【0037】
一態様では、粒子材料は、二酸化チタン、酸化鉄、及びこれらの組み合わせを含み得る。一態様では、二酸化チタン及び/又は酸化鉄は、水に容易に分散することができる。一態様では、水に容易に分散しなくなる恐れがあるので、化粧用インク組成物において使用する前に二酸化チタン及び/又は酸化鉄を疎水処理しない。好適な粒子材料としては、KOBO Products Inc(South Plainfield,NJ)から入手可能な二酸化チタン及び酸化鉄のスラリー、又は等価物を挙げることができる。
【0038】
一態様では、化粧用インク組成物は、白色顔料を含む。
【0039】
一態様では、化粧用インク組成物は、白色の外観を有することができる。あるいは、化粧用インク組成物は、赤色及び/又は黄色がかった白色の外観を有することができる。
【0040】
皮膚の欠陥を隠す及び/又はカモフラージュするのに十分な不透明度のため、粒子材料の典型的なレベルは、約30活性重量%であり得る。一態様では、化粧用インク組成物は、約15活性重量%超、あるいは約20活性重量%超、あるいは約30活性重量%超の粒子材料を含み得る。一態様では、化粧用インク組成物は、約1~約45活性重量%、あるいは約3~約30活性重量%、あるいは約5~約25活性重量%、あるいは約8~約18活性重量%の粒子材料を含み得る。
【0041】
粒子材料は、約100nm~約2,000nm、あるいは約150nm~約1,000nm、あるいは約200nm~約450nm、あるいは約200nm~約350nmの粒径分布(Particle Size Distribution、PSD)D50を有する粒子を含み得る。一態様では、粒子材料は、約2μm未満、あるいは約1μm未満のPSD D90を有する粒子を含み得る。一態様では、粒子材料は、約700~約900μmのPSD D90を有する粒子を含み得る。理論に束縛されるものではないが、粒子が大きすぎる場合、当該粒子がカートリッジのマイクロ流体チャネルを詰まらせ、印刷を妨げる恐れがあると考えられる。当業者であれば、許容可能な粒径は、プリントヘッドのダイ構造に応じて変化し得ることを理解するであろう。一態様では、粒子材料は、詰まりを引き起こすことなく、カートリッジのマイクロ流体チャネル及び/又はプリントヘッドを通って粒子が移動することができるものである限り、任意のPSDを含み得る。粒径分布は、以下に記載の粒径分布法に従って測定することができる。
【0042】
粒子材料は、約1.1~約5.0、あるいは約1.5~約4、あるいは約2~約3の屈折率を有し得る。
【0043】
粒子材料は、約1.5~約6g/mL、あるいは約2~約4g/mLの密度範囲を有し得る。
【0044】
化粧用インク組成物は、レオロジー変性剤を含み得る。レオロジー変性剤は、化粧用インク組成物を撹拌する必要がほとんど又は全くないように、粒子が均一に懸濁した状態を維持することによって、沈降を防止するのに有用であり得る。
【0045】
レオロジー変性剤の1つの好ましい群は、ASEポリマーである。ASEポリマーは、親水性(メタ)アクリル酸モノマー及び疎水性(メタ)アクリレートエステルモノマーをバランスよく含有し、大量の固形分を液体形態で供給することができる。ASEポリマーは、低pHから高pHへの変化(中和)に依存して、増粘をトリガーする。「トリガー」は、水に可溶性である(メタ)アクリル酸と、水に可溶性ではない(メタ)アクリレートエステルとの比を約50:50にすることによってポリマーに組み込まれる。酸が中和されていない場合(低pH)、ポリマーは水に不溶性であり、増粘しない。酸が完全に中和されると(高pH)、ポリマーは可溶性になり、増粘する。ASEポリマーは低pH(5未満)で供給され、最大固形分35%にて供給時の低粘度(100cP未満)を維持する。約7以上のpHに曝された場合、ASEポリマーは可溶化し、膨潤し、体積排除を通して組成物を増粘する。増粘の程度は、ポリマーの分子量に相関し得る。ASEポリマーは、その性能が吸水及び膨潤に依存するため、分子量が非常に大きくなる傾向があり、これにより効率的に増粘することができる。ASEポリマーが示すレオロジープロファイルは、典型的には、急激にずり減粘するというものであり(擬塑性)、したがって、ASEポリマーは、非常に低い剪断速度で高粘度を構築するのに非常に適している。ポリマーの分子量、並びに酸及びエステルモノマーの種類及び量を操作することによって、異なるレオロジー特性を達成することができる。
【0046】
一態様では、ASEポリマーの親水性モノマーは、(メタ)アクリル酸及びマレイン酸を含み得る。一態様では、ASEポリマーの疎水性モノマーは、(メタ)アクリル酸とC1~C4アルコールとのエステル、特に、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、及びメチルメタクリレートを含み得る。
【0047】
一態様では、ASEポリマーは、10~90重量%の親水性モノマーA及び10~90重量%の疎水性モノマーBから合成することができる。親水性モノマーA及び疎水性モノマーBの構造を以下に示す。
【0048】
【化1】
(式中、R
1及びR
2は、独立して、水素又はメチルであり、
R
3は、C
1~C
4アルキルである)。
【0049】
本明細書に記載の化粧用インク組成物に使用するのに好適なレオロジー変性剤の更に別の群は、HASEポリマーである。これは、疎水性アクリル酸エステル及び/又はビニルエステルモノマーをポリマー組成物に付加することによって、ASEポリマー化学において構築された三級ポリマーである。HASEポリマーは、それらのASEに対応する部分のpH依存性の挙動を保持しているが、水の吸収だけでなく、疎水性物質の会合(hydrophobe association)を介した増粘もする。会合型増粘(すなわち、組成物中の任意の疎水性部分との会合)として知られるこの機序は、より広範な剪断レベルにわたって性能特性を付与し、ASE及びセルロース系組成物などの体積排除増粘剤で可能なものよりも広範なレオロジー特性を可能にする。
【0050】
HASEポリマーの、親水性及び疎水性モノマーは、ASEポリマーに関して記載したものと同じであってよい。HASEポリマーの会合性モノマーは、強い疎水性特性を示すモノマーであってよい。好ましい会合性モノマーは、(メタ)アクリル酸とC8~C22アルコールとのエステルである。
【0051】
一態様では、HASEポリマーは、10~90重量%の親水性モノマーA、10~90重量%の疎水性モノマーB、及び0.01~2重量%の会合性モノマーCから合成することができる。会合性モノマーCの構造を以下に示す。
【0052】
【化2】
(式中、R
4は、水素又はメチルであり、
R
5は、C
8~C
22アルキルであり、
nは、0~50の整数である)。
【0053】
あるいは、HASEポリマーは、10~90重量%の親水性モノマーA、10~90重量%の疎水性モノマーB、及び0.01~2重量%の会合性モノマーDから合成することもできる。会合性モノマーDの構造を以下に示す。
【0054】
【化3】
(式中、R
6は、水素又はメチルであり、
R
7は、C
8~C
22アルキルである)。
【0055】
一態様では、会合性モノマーは、ステアレス-20メタクリレート、ベヘネス-25メタクリレート、ビニルネオデカノエート、及びこれらの組み合わせからなる群から選択することができる。一態様では、HASEポリマーの合成において、1つを超える会合性モノマーを使用することができる。
【0056】
一態様では、ASE及びHASEポリマーは、架橋剤を含み得る。架橋剤は、少なくとも2つのエチレン性不飽和部分、あるいは少なくとも3つのエチレン性不飽和部分を含有し得る。好適な架橋剤としては、ジビニルベンゼン、テトラアリルアンモニウムクロリド、アリルアクリレート、メタクリレート、ジアクリレート、グリコール及びポリグリコールのジメタクリレート、ブタジエン、1,7-オクタジエン、アリル-アクリルアミド、アリル-メタクリルアミド、ビスアクリルアミド酢酸、N,N’-メチレン-ビスアクリルアミド、ポリオールポリアリルエーテル、例えば、ポリアリルサッカロース及びペンタエリスリトールトリアリルエーテル、並びにこれらの混合物を挙げることができる。架橋剤は、約25~約5,000ppm、あるいは約50~約1,000ppm、あるいは約100~約500ppmのレベルで存在し得る。
【0057】
レオロジー変性剤の別の群は、疎水変性エチレンオキシド系ウレタン(hydrophobically-modified ethylene oxide-based urethane、HEUR)ポリマーである。ASE又はHASE型のレオロジー変性剤とは異なり、HEURポリマーは非イオン性であり、あらゆるpHで可溶性である。この可溶性は、水溶性であり、ポリマー構造の大部分を構成する、ポリマーのエチレンオキシド主鎖によるものである。したがって、HEURポリマーが構造を付与するには、組成物中の疎水性部分がエチレンオキシド主鎖と相互作用する必要がある。化粧用インク組成物は、HEURポリマーを含み得る。あるいは、化粧用インク組成物は、疎水性部分をほとんど又は全く含まず、HEURポリマーを含まない。
【0058】
レオロジー変性剤は、(メタ)アクリレートポリマー、(メタ)アクリレートコポリマー、及びこれらの混合物であり得る。レオロジー変性剤は、ASEポリマー、HASEポリマー、及びこれらの組み合わせからなる群から選択することができる。好適なHASEポリマーとしては、ACULYN(商標)Excel、ACRYSOL(登録商標)TT615、Aculyn(商標)22、Aculyn(商標)88(全てDow Chemical Company(Lake Zurich,IL)から入手可能)、並びにこれらの組み合わせを挙げることができる。好適なASEポリマーとしては、Rheovis(登録商標)1125(BASF Corporation(Charlotte,NC)から入手可能)、ACULYN(商標)33、ACULYN(商標)38(いずれもDow Chemical Company(Lake Zurich,IL)から入手可能)、並びにこれらの組み合わせを挙げることができる。化粧用インク組成物は、ASEポリマーを含んでいてよい。あるいは、化粧用インク組成物は、HASEポリマーを含んでいてもよい。
【0059】
レオロジー変性剤は、界面活性剤、アミンオキシド、及び/又はセルロースエーテルからなるものではない。
【0060】
化粧用インク組成物の第1の動的粘度が、25℃で測定された0.1秒-1の剪断速度で約500cP超、好ましくは25℃で測定された0.1秒-1の剪断速度で約1,100cP超となるものである限り、化粧用インク組成物は任意の量のレオロジー変性剤を含むことができる。化粧用インク組成物は、約0.30活性重量%超、あるいは約0.40活性重量%超、あるいは約0.50活性重量%超のレオロジー変性剤を含み得る。化粧用インク組成物は、約0.30~約1活性重量%、あるいは約0.30~約0.80活性重量%、あるいは約0.40~約0.50活性重量%のレオロジー変性剤を含み得る。活性重量%は、標準的な高性能液体クロマトグラフィー質量分析(High Performance Liquid Chromatography-Mass Spectrometry、HPLC-MS)技術を使用して測定することができる。レオロジー変性剤のレベルをこの範囲内で維持することの1つの利点は、粒子を組成物中に懸濁できるように、化粧用インク組成物の粘度を上昇させることができるというものである。粒子は、25℃で約11日間以上、あるいは25℃で約30日間以上、あるいは25℃で約90日間以上、あるいは25℃で約300日間以上懸濁可能である。理論に束縛されるものではないが、この範囲を下回るレオロジー変性剤のレベルでは、粒子が十分に懸濁しない場合があり、沈降が生じる場合があると考えられる。レオロジー変性剤のレベルが高すぎる場合、化粧用インク組成物の粘度が、噴射に影響を及ぼし得る点まで増加する場合がある(すなわち、化粧用インク組成物は、効率的な印刷に十分にずり減粘しない場合がある)。
【0061】
一態様では、化粧用インク組成物は、(NaOHのようなアルカリ塩塩基(alkali salt base)と比較して)中性の無機塩を実質的に含んでいなくてもよい。理論に束縛されるものではないが、塩化カルシウム又は塩化ナトリウムなどの中性無機塩は、化粧用インク組成物のイオン強度を増大させる場合があり、内部構造を損ない、安定性に影響を与える恐れがあると考えられる。HASE及び/又はASEポリマーは、高pHで高分子電解質になることが知られている。pHが上昇すると、HASE及び/又はASEポリマーにおけるカルボン酸を中和することができ、ポリマー鎖上にイオン基を生成して、静電反発力を生じさせることができる。これらの静電反発力は、ポリマーを膨張させ、組成物中に内部構造を形成させることができる。無機中性塩は、この静電反発力を遮蔽する場合があり、HASE及び/又はASEポリマーの構造を変化させ、ひいては、安定性の促進におけるその有効性を変化させる場合があると考えられる。
【0062】
化粧用インク組成物は、ポリマー分散剤を含む。ポリマー分散剤は、粒径を制御するように作用することができ、化粧用インク組成物において低粘度を維持するのに役立ち得る、低分子量の直鎖状又は分枝鎖状ホモポリマー又はコポリマーであってよい。ポリマー分散剤は、化粧用インク組成物の粘度を大幅に増加させることはない。本明細書で使用することができるポリマー分散剤の例としては、1種以上の親水性モノマー及び任意選択で疎水性モノマーから得られるポリマーを挙げることができる。
【0063】
親水性モノマーの非限定的な例としては、スチレンスルホン酸、アルファ,ベータ-エチレン性不飽和炭酸、アルファ,ベータ-エチレン性不飽和炭酸の誘導体、アクリル酸、アクリル酸の誘導体、メタクリル酸、メタクリル酸の誘導体、マレイン酸、マレイン酸の誘導体、イタコン酸、イタコン酸の誘導体、フマル酸、フマル酸の誘導体、及びこれらの組み合わせを挙げることができる。
【0064】
疎水性モノマーの非限定的な例としては、スチレン、スチレンの誘導体、ビニルトルエン、ビニルトルエンの誘導体、ビニルナフタレン、ビニルナフタレンの誘導体、ブタジエン、ブタジエンの誘導体、イソプレン、イソプレンの誘導体、エチレン、エチレンの誘導体、プロピレン、プロピレンの誘導体、アクリル酸のアルキルエステル、メタクリル酸のアルキルエステル、及びこれらの組み合わせを挙げることができる。
【0065】
ポリマー分散剤は、また、ポリオキシエチレン基、ヒドロキシル基、アクリルアミド、アクリルアミド誘導体、ジメチルアミノエチルメタクリレート、エトキシエチルメタクリレート、ブトキシエチルメタクリレート、エトキシトリエチレンメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート、ビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルアルコール、アルキルエーテル、これらの任意の塩、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるモノマーを含み得る。
【0066】
ポリマー分散剤は、酸形態であってよい。ポリマー分散剤は、酸形態の塩であってもよい。塩の非限定的な例としては、水素、アルカリ金属、アンモニウムイオン、有機アンモニウムイオン、ホスホニウムイオン、スルホニウムイオン、オキソニウムイオン、スチボニウムイオン、スタノニウムイオン、ヨードニウムイオン、他のオニウムイオン、及びこれらの組み合わせのオニウム化合物を挙げることができる。
【0067】
一態様では、ポリマー分散剤は、ポリアクリル酸又はその塩、例えば、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、及びこれらの混合物であり得る。一態様では、ポリマー分散剤は、Darvan(登録商標)811D(RT Vanderbilt Holding Company Inc.(Norwalk,CT)から入手可能)などのナトリウポリアクリレート、約3,500ダルトンの重量平均分子量を有するアンモニウムポリアクリレート、例えば、Darvan(登録商標)821A(RT Vanderbilt Holding Company Inc.から入手可能)、及びこれらの組み合わせであり得る。
【0068】
ポリマー分散剤は、約20,000ダルトン未満、好ましくは約10,000ダルトン未満、より好ましくは約5,000ダルトン未満の重量平均分子量を有し得る。化粧用インク組成物は、約1,000~約20,000ダルトン、あるいは約1,000~約10,000ダルトン、あるいは約2,000~約5,000ダルトン、あるいは約2,500~約4,000ダルトンの重量平均分子量を有するポリマー分散剤を含み得る。重量平均分子量は、ASTM法D5296-11(2011年9月1日)に従って標準的な高性能サイズ排除クロマトグラフィーよって測定することができる。
【0069】
一態様では、ポリマー分散剤は、フィルム形成ポリマーではない。理論に束縛されるものではないが、ポリマー分散剤は、低分子量であるのでフィルムを形成しないと考えられる。
【0070】
化粧用インク組成物は、約0.01~約1活性重量%、あるいは約0.10~約0.85活性重量%、あるいは約0.20~約0.75活性重量%、あるいは約0.30~約0.65活性重量%のポリマー分散剤を含み得る。理論に束縛されるものではないが、ポリマー分散剤は、粒子の周囲に負の表面電荷を作り出すことによって、粒子材料の凝集、ひいては粒径を制御することができると考えられる。したがって、ポリマー分散剤は、プリンタのカートリッジ及びノズルと適合する粒径を維持するのに役立つことができる。理論に束縛されるものではないが、0.01活性重量%未満のポリマー分散剤を含む化粧用インク組成物は、十分な粒径制御を有していない可能性がある、及び/又は粘弾性率が高すぎてマイクロ流体を確実に再補充することができない場合があると考えられる。
【0071】
ポリマー分散剤のレオロジー変性剤に対する比は、約1未満であってよい。ポリマー分散剤のレオロジー変性剤に対する比は、約0.10~約0.75、あるいは約0.30~約0.65であってよい。理論に束縛されるものではないが、ポリマー分散剤のレベルがレオロジー変性剤のレベルよりも高い場合、レオロジー変性剤は、粒子を懸濁させるために必要な内部構造を構築することができない場合があると考えられる。ポリマー分散剤の、レオロジー変性剤に対する比が低すぎる場合には、凝集が十分に制御されず、粒径が、プリンタのノズルを通り抜けられないほど大きくなる場合があるので、印刷が困難になる。
【0072】
安定性は、ポリマー分散剤のレベルに反比例し、レオロジー変性剤のレベルに正比例すると考えられる。
【0073】
化粧用インク組成物は、表面張力調整剤を含み得る。一態様では、表面張力調整剤は、C1~C16アルコール、C5~C18ジオール、及びこれらの組み合わせであり得る。本明細書で使用するとき、「C1~C16アルコール」は、1個のヒドロキシル基、約1~約16個の炭素原子を含み、更に炭素、水素、ハロゲン、及び/又は酸素の原子のみを含む、非イオン性分子を指す。本明細書で使用するとき、「C5~C18ジオール」は、2個のヒドロキシル基、約5~約18個の炭素原子を含み、更に炭素原子、水素原子、及び/又は酸素原子のみを含む非イオン性分子を指す。C1~C16アルコール及び/又はC5~C18ジオールは、飽和、不飽和、直鎖状、環状及び/又は分枝鎖状であってよい。一態様では、C1~C16アルコール及び/又はC5~C18ジオールは、カルボン酸部分を含んでいなくてもよい。
【0074】
C1~C16アルコール表面張力調整剤の非限定的な例としては、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、2-メチル-1-プロパノール、2-メチル-2-プロパノール、ファルネソール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール、フェノキシエタノール、2-フェニルフェノール、4-ヒドロキシ安息香酸メチル、4-ヒドロキシ安息香酸エチル、4-ヒドロキシ安息香酸プロピル、4-ヒドロキシ安息香酸ブチル、4-ヒドロキシ安息香酸イソブチル、クロロキシレノール、2-メチル5-シクロペンペンタノール、トリクロサン、及びこれらの組み合わせを挙げることができる。
【0075】
C5~C18ジオール表面張力調整剤の非限定的な例としては、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオール、1,8-オクタンジオール、2-メチル5-シクロペンタノール、1,2-デカンジオール、3-[(2-エチルヘキシル)オキシ]-1,2-プロパンジオール、及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0076】
一態様では、表面張力調整剤は、C6~C12アルコールを含み得る。一態様では、表面張力調整剤は、1,2-ヘキサンジオールと1,2-オクタンジオールの混合物(Symrise,AG(Branchburg,NJ)からSymDiol(登録商標)68として市販)を含み得る。一態様では、表面張力調整剤は、C15アルコール、例えば、ファルネソール(Symrise,AG(Branchburg,NJ)から市販)を含み得る。一態様では、表面張力調整剤は、エタノールを含み得る。
【0077】
化粧用インク組成物は、約0.1~約5活性重量%、あるいは約0.50~約3活性重量%、あるいは約1~約2活性重量%の表面張力調整剤を含み得る。あるいは、化粧用インク組成物は、約0.005~約3活性重量%の表面張力調整剤を含み得る。
【0078】
化粧用インク組成物中にこのような表面張力調整剤を含めることの1つの利点は、化粧用インクの粘度及び安定性を維持しながら表面張力を低下させることができる点である。別の利点は、防腐効果を提供することができる点である。防腐剤は、例えば、化粧用インク組成物が皮膚由来の細菌で汚染された場合に、化粧用インク組成物中の微生物の増殖を防止するのに役立つことができる。
【0079】
アルキルアミンオキシドなどの界面活性剤は、水性組成物の表面張力を低下させることが知られている。理論に束縛されるものではないが、本明細書に記載の化粧用インク組成物では、界面活性剤は、粘度を低下させる場合があり、その結果、化粧用インク製剤の粒子懸濁安定性を低下させ得るような方法で、粒子材料、レオロジー変性剤、及び/又はポリマー分散剤と相互作用し得ると考えられる。加えて、いくつかの界面活性剤は、皮膚にとって刺激性であり、スキンケア用途には許容できない場合がある。
【0080】
化粧用インク組成物は、約20mN/m~約45mN/m、あるいは約30mN/m~約40mN/mの表面張力を有し得る。化粧用インク組成物の表面張力が45mN/m超である場合、化粧用インク組成物は、いくつかの皮膚のタイプにおいてビーズ状になる場合があり、許容可能な湿潤及び/又は耐久性をもたらさない場合があることが見出された。皮膚上でビーズ状になる化粧用インク組成物が多すぎる場合、液滴は乾燥するときにそのサイズが収縮する場合があり、この縮小は、液滴の付着パターン、及び皮膚の欠陥を被覆する化粧用インク組成物の能力に影響を与える。加えて、皮膚上で化粧用インク組成物がビーズ状になると、乾燥速度が増加し得、これにより、組成物が乾燥するのに十分に長い時間待たずにユーザーが当該組成物に触れた場合に、こすれて汚れる可能性がある。化粧用インク組成物の表面張力が20mN/m未満である場合、毛管現象によってチャンバに再補充することがより困難になる場合があることから、化粧用インク組成物を印刷することが困難になる場合があることが見出された。加えて、表面張力が低下するにつれて、レイリー不安定性が増加し得、その結果、落下位置の誤差が増加し、落下位置の精度が低下する。
【0081】
化粧用インク組成物は、25℃で測定した0.1秒-1の剪断速度で約500cP超の第1の動的粘度と、25℃で測定した1,000秒-1の剪断速度で約100cP未満の第2の動的粘度とを有し得る。化粧用インク組成物は、25℃において0.1秒-1の剪断速度で、約500cP~約10,000cP、あるいは約1,100cP~約8,000cP、あるいは約1,600cP~約6,000cP、あるいは約2,000cP~約5,000cPの第1の動的粘度を有し得る。化粧用インク組成物は、25℃において1,000秒-1の剪断速度で、約10cP~約100cP、あるいは約20~約80cPの第2の動的粘度を有し得る。粘度は、以下に記載の粘度試験法に従って測定することができる。この範囲内に第1及び第2の動的粘度を有することの1つの利点は、当該化粧用インク組成物は、高剪断速度において、ニュートン性インクと同様の粘度に低下し得るが、印刷されていないときに粒子を懸濁させるのに十分な粘度を依然として維持することができる点である。
【0082】
理論に束縛されるものではないが、0.1秒-1の剪断速度は保管条件を代表するものであり得、一方、1,000秒-1の剪断速度は印刷条件を代表するものであり得ると考えられる。
【0083】
化粧用インク組成物は、25℃において1,000秒-1の剪断速度で測定したときの化粧用インク組成物の第2の動的粘度よりも約70%高い、あるいは約80%高い、あるいは約90%高い、あるいは約95%高い、25℃において0.1秒-1の剪断速度で測定された第1の動的粘度を有し得る。化粧用インク組成物は、25℃において1,000秒-1の剪断速度で測定したときの化粧用インク組成物の第2の動的粘度よりも約25倍高い、あるいは約35倍高い、あるいは約50倍高い、あるいは約80倍高い、25℃において0.1秒-1の剪断速度で測定された第1の動的粘度を有し得る。
【0084】
化粧用インク組成物は、温度依存性の粘度を有し得る。約70℃の高温において1000秒-1の剪断速度では、より低い粘度が観察された。
【0085】
化粧用インク組成物は、約2~約10、あるいは約3~約8、あるいは約4~約6の貯蔵弾性率(G’)を有し得る。理論に束縛されるものではないが、化粧用インク組成物のG’が約10超である場合、組成物の弾性が高すぎるので、介入なしにはプリントヘッドにおけるアイドル時間後のデキャップ又は起動が困難になる場合があると考えられる。貯蔵弾性率は、以下に記載の振動歪み掃引法に従って測定することができる。
【0086】
化粧用インク組成物は、約1~約5、あるいは約1.8~約4、あるいは約2~約3の損失弾性率(G’’)を有し得る。損失弾性率は、以下に記載の振動歪み掃引法に従って測定することができる。
【0087】
損失弾性率の貯蔵弾性率に対する比又はタン(デルタ)は、流体中の弾性の程度についての有用な表現である。この場合、それは、化粧用インク組成物に固有の安定性の尺度であり得る。G’’がG’よりも高いとき、タン(デルタ)は約1よりも大きく、粘性の優勢な流体挙動を示す。G’がG’’よりも高いとき、タン(デルタ)は約1よりも小さく、弾性の優勢な流体挙動を示す。
【0088】
化粧用インク組成物は、約1のタン(デルタ)を有し得る。あるいは、化粧用インク組成物は、約1未満、好ましくは約0.6未満のタン(デルタ)を有し得る。理論に束縛されるものではないが、タン(デルタ)が約0.6未満であるとき、粒子沈降を最小限に抑える及び/又は防止することができると考えられる。化粧用インク組成物は、約0.2~約1、あるいは約0.4~約0.6のタン(デルタ)を有し得る。
【0089】
化粧用インク組成物は、約-20以下、あるいは約-30以下、あるいは約+20超、あるいは約+30超のゼータ電位を有し得る。化粧用インク組成物は、約-20以下、又は約+20超のゼータ電位を有し得る。この範囲のゼータ電位を有することの1つの利点は、粒子の表面電荷を増加させることができるので、粒子の凝集が防止される点である。ゼータ電位は、以下に記載のゼータ電位試験法に従って測定することができる。
【0090】
化粧用インク組成物は、約7.5超の未希釈pHを有し得る。化粧用インク組成物は、約7.5~約9.0、あるいは約7.5~約8.5の未希釈pHを有し得る。理論に束縛されるものではないが、約7.5よりも低いpHでは、シネレシスがより速い速度で生じ得ると考えられる。より低いpHでは、レオロジー変性剤のカルボン酸とカルボン酸塩との間の平衡がプロトン化酸の方に移動し得るので、粒子を懸濁させるために利用可能ではなくなると考えられる。pHが上昇するにつれて、負のゼータ電位が大きくなるので、粒子の凝集が防止されると考えられる。化粧用インク組成物は、pH条件を調整するための緩衝剤を含み得る。緩衝剤は、任意の塩基性賦形剤であってよい。一態様では、緩衝剤は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、及びこれらの混合物などの強塩基であり得る。化粧用インク組成物の未希釈pHは、当業者に既知の標準的な方法によって測定することができる。
【0091】
化粧用インク組成物は、少なくとも0.2の不透明度を有し得る。一態様では、化粧用インク組成物は、約0.2~約1、あるいは約0.25~約0.8、あるいは約0.3~約0.5の不透明度を含み得る。
【0092】
化粧用インク組成物は、粒子沈降を実質的に含んでいなくてよい。粒子沈降を実質的に含まないとは、化粧用インク組成物のサンプルの上部と底部との固形分重量%の差が、配合後4日目に周囲条件で5%未満、あるいは約3%未満、あるいは約1%未満であることを意味し得る。粒子沈降は、以下に記載の粒子沈降試験法に従って測定することができる。
【0093】
化粧用インク組成物は、粒子凝集を実質的に含んでいなくてもよい。粒子凝集を実質的に含まないとは、化粧用インク組成物が示す粒子成長が、周囲条件で1ヶ月間あたり約25nm未満、あるいは約15nm未満、あるいは約10nm未満であることを意味し得る。凝集速度は、一定期間にわたって、以下に記載の粒径分布法に従って粒径を測定することによって求めることができる。
【0094】
化粧用インク組成物は、25℃で配合後11日目に約10%未満、あるいは約5%未満、あるいは約2%未満、あるいは約1%未満の分離を有し得る。一態様では、化粧用インク組成物は、25℃で配合後11日目に約4mm未満、あるいは約2mm未満、あるいは約1mm未満、あるいは約0.50mm未満の分離を有し得る。分離は、以下に記載の分離試験法に従って測定することができる。
【0095】
化粧用インク組成物は、約1ヶ月間、あるいは約3ヶ月間、あるいは約6ヶ月間、あるいは約12ヶ月間、あるいは約18ヶ月間、あるいは約24ヶ月間の保管期限を有し得る。本明細書で使用するとき、「保管期限」とは、振盪も撹拌も必要とせずに、周囲条件で、粒子が化粧用インク組成物中に均一に懸濁されたままであり得る時間の量を意味する。
【0096】
化粧用インク組成物は、化粧用インク組成物中の他の成分の担体又はシャーシとして保湿剤を更に含み得る。一態様では、好適な保湿剤は、ポリアルキレングリコール及びその誘導体を含み得る。一態様では、例示的な分類の保湿剤は、3つ以上のヒドロキシル基を有する多価アルコールを含み得る。好適な多価アルコールとしては、プロピレングリコール;ソルビトール、ヒドロキシプロピルソルビトール、エリスリトール、トレイトール、ペンタエリスリトール、キシリトール、グルシトール、マンニトール、ヘキサントリオール(例えば、1,2,6-ヘキサントリオール)、グリセリン、エトキシル化グリセリン、プロポキシル化グリセリン、及びこれらの混合物を挙げることができる。一態様では、保湿剤は、プロピレングリコールである。
【0097】
他の好適な湿潤剤としては、2-ピロリドン-5-カルボン酸ナトリウム、グアニジン、グリコール酸及びグリコール酸塩(例えば、アンモニウム及び四級アルキルアンモニウム)、乳酸及び乳酸塩(例えば、アンモニウム及び四級アルキルアンモニウム)、ヒアルロン酸及びその誘導体(例えば、ヒアルロン酸ナトリウムなどの塩誘導体)、尿素、ピログルタミン酸ナトリウム、水溶性グリセリルポリ(メタ)アクリレート潤滑剤(例えば、Hispagel(登録商標)、BASF(Ludwigshafen,Germany)から入手可能)、及びこれらの混合物からなる群から選択されてよい。
【0098】
化粧用インク組成物は、約1~約40活性重量%、あるいは約5~約35活性重量%、あるいは約10~約30活性重量%、あるいは約15~約25活性重量%の保湿剤を含み得る。あるいは、化粧用インク組成物は、約20~約30活性重量%の保湿剤を含み得る。
【0099】
理論に束縛されるものではないが、約20活性重量%以上のレベルでは、保湿剤は、化粧用インク組成物が印刷されていないときのノズル及び/又はカートリッジの乾燥及び/又は詰まりを防止するのに役立ち得ると考えられる。一態様では、保湿剤のレベルは、皮膚上での化粧用インク組成物の迅速な乾燥時間を促進するために、約30活性重量%未満である。
【0100】
化粧用インク組成物は、単独で、又は皮膚科学的に許容可能な担体の存在下で送達され得る。本明細書で使用するとき、「皮膚科学的に許容可能な担体」という語句は、担体がケラチン性組織への局所塗布に好適であり、良好な審美的特性を有し、化粧用インク組成物の任意の追加成分と適合性があり、及び/又は有害な安全性若しくは毒性の懸念をいずれも引き起こさないことを意味する。一態様では、化粧用インク組成物は、皮膚上での使用に安全である。一態様では、化粧用インク組成物は、アルキド、セルロース、ホルムアルデヒド、フェノール樹脂、ケトン、ゴム樹脂、及びこれらの組み合わせを含まないが、その理由は、このような成分はヒトの皮膚上での使用に適合しない場合があるためである。一態様では、化粧用インク組成物は、低アレルゲン性であり得る。水は、最も一般的な担体であり、通常は他の担体と組み合わせて使用される。担体は、多種多様な形態であってよい。非限定的な例としては、単純な溶液(例えば、水又は油ベース)又はエマルションが挙げられる。皮膚科学的に許容可能な担体は、エマルションの形態であり得る。エマルションを、連続水相(例えば、水中油型及び水中油中水型)、又は連続油相(例えば、油中水型及び油中水中油型)を有するものとして概ね分類してもよい。油相は、シリコーンオイル、非シリコーンオイル(炭化水素油、エステル、エーテル等)、及びこれらの混合物を含み得る。例えば、エマルション担体としては、水中シリコーン型エマルション、水中油型エマルション、及び水中油中水型エマルションなどの連続水相エマルション、並びに油中水型エマルション、及びシリコーン中水型エマルション、及びシリコーン中水中油型エマルションなどの連続油相エマルションを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0101】
化粧用インク組成物は、水、好ましくは脱イオン水を含み得る。化粧用インク組成物は、化粧用インク組成物の約40重量%~約75重量%、あるいは約55重量%~約70重量%、あるいは約60重量%~約68重量%の水を含み得る。
【0102】
加えて、化粧用インク組成物は、所望により、抗真菌成分及び/又は抗菌成分を含み得る。抗真菌成分及び/又は抗菌成分の例としては、メチルイソチアゾリノン及びメチルクロロイソチアゾリノンなどのイソチアゾリノンを挙げることができる。
【0103】
化粧用インク組成物は、皮膚を調整及び/又は改善するのに有用な、安全かつ有効な量の1種以上のスキンケア活性物質(「活性物質」)を含み得る。「安全かつ有効な量」とは、有益な効果を誘導するのに十分であるが、深刻な副作用を避けるのに十分に低い(すなわち、当業者の判断において妥当なリスク対効果のバランスを提供する)化合物又は組成物の量のことを意味する。安全かつ有効な量の活性物質は、化粧用インク組成物の約1×10-6~約25重量%、あるいは約0.0001~約20重量%、あるいは約0.01~約10重量%、あるいは約0.1~約5重量%、あるいは約0.2~約2重量%であり得る。
【0104】
好適なスキンケア活性物質としては、ビタミン(例えば、ナイアシンアミド、ナイアシンニコチン酸、及びニコチン酸トコフェロールなどのB3化合物;パンテノールなどのB5化合物;レチノイド、レチノール、酢酸レチニル、パルミチン酸レチニル、レチノイン酸、レチンアルデヒド、プロピオン酸レチニル、及びカロテノイド(プロビタミンA)を含むビタミンA化合物並びにビタミンAの天然及び/又は合成アナログ;ビタミンE化合物、又はソルビン酸トコフェロール及び酢酸トコフェロールを含むトコフェロール;アスコルビン酸塩、脂肪酸のアスコルビルエステル、及びアスコルビン酸誘導体、例えば、アスコルビン酸リン酸マグネシウム及びアスコルビン酸リン酸ナトリウム;アスコルビルグルコシド及びアスコルビルソルベートを含むビタミンC化合物);ペプチド(例えば、10個以下のアミノ酸を含有するペプチド、その誘導体、異性体、及び金属イオンなどの他の分子種との錯体);糖アミン(例えば、N-アセチル-グルコサミン);日焼け止め剤;油調整剤;日焼け活性物質;抗ニキビ活性物質;落屑活性物質;抗セルライト活性物質;キレート剤;皮膚美白剤;フラボノイド;プロテアーゼ阻害剤(例えば、ヘキサミジン及び誘導体);非ビタミン酸化防止剤及びラジカルスカベンジャー;サリチル酸、育毛調整剤;抗しわ活性物質;抗皮膚萎縮活性物質;鉱物;フィトステロール及び/又は植物ホルモン;チロシナーゼ阻害剤;N-アシルアミノ酸化合物;イノシトール;保湿剤;植物抽出物;並びに前述の活性物質のいずれかの誘導体;並びにこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。本明細書で使用される「誘導体」という用語は、示されていないが当業者であれば理解すると考えられる、基本化合物のバリエーションである構造体を意味する。例えば、ベンゼンから水素原子を取り除いて、メチル基に置き換えたものである。
【0105】
一態様では、化粧用インク組成物は、過酸化水素及び/又は過酸化ベンゾイルを含む過酸化物を含み得る。
【0106】
一態様では、化粧用インク組成物は、ナイアシンアミド、イノシトール、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるスキンケア活性物質を含み得る。
【0107】
一態様では、化粧用インク組成物は、ラテックスポリマーバインダー及び/又はフィルム形成ポリマーを実質的に含まない。一態様では、化粧用インク組成物は、約10%未満、あるいは約1%未満、あるいは約0.1%未満のラテックスポリマーバインダー及び/又はフィルム形成ポリマーを含む。理論に束縛されるものではないが、ラテックスポリマーバインダー及び/又はフィルム形成ポリマーは、これらのポリマーが蒸発後に固化し、不可逆的にノズルを塞ぐ場合があるので、印刷を困難にする恐れがあると考えられる。
【0108】
一態様では、化粧用インク組成物は、約10%~約30%の固形分を含み得る。一態様では、化粧用インク組成物は、40%未満の固形分を含む。理論に束縛されるものではないが、例えばプレ塗料又は塗料などにおいて40%超の固形分レベルでは、高レベルの固形分が不可逆的なノズル詰まりを引き起こし得るので、印刷が困難になり得ると考えられる。
【0109】
一態様では、化粧用インク組成物は、水、あるいは石鹸及び水で除去可能であり得る。
【0110】
パーソナルケアデバイス
一態様では、本明細書に記載の化粧用インク組成物は、手持ち式パーソナルケアデバイスを使用して皮膚に塗布することができる。例示的なパーソナルケアデバイスは、皮膚を分析し、皮膚の欠陥を特定し、特定された皮膚の欠陥上に、皮膚の欠陥を隠す及び/又はカモフラージュするために化粧用インク組成物を付着させることができる。
【0111】
一態様では、パーソナルケアデバイスは、少なくとも1枚の皮膚の画像を撮影するように構成されたセンサと、グレースケールでの画像の平均バックグラウンド明度値(グレースケールでの明度値は、本明細書では「L値」と称される)を算出するように構成されたプロセッサとを備え得る。更に、同じ画像から個々のピクセル又はピクセル群について局所的なL値を算出することができる。次いで、プロセッサは、局所的なL値をバックグラウンドL値と比較して、皮膚の欠陥を特定することができる。皮膚の欠陥が特定されたら、プロセッサは、1つ以上のノズルを作動させて、化粧用インク組成物を皮膚の欠陥上に噴射及び分配することができる。
【0112】
皮膚の欠陥は、局所的なL値とバックグラウンドのLとの間の差の絶対値(この差は、測定されたデルタL(「ΔLM」)として定義される)が、予め設定されたデルタL(「ΔLS」)よりも大きい皮膚領域である。バックグラウンドのLは、画像内の任意の場所で事前設定又は算出され得る。ノズルが化粧用インク組成物を噴射する場所で画像を撮影してよい。バックグラウンドのLは、複数の局所的なLの算術平均、中央値、又は平均値であり得、これは、算出が、画像における局所的なLの全て又はそのサブセットを含み得ることを意味する。
【0113】
図1は、パーソナルケアデバイス40の分解図を示す。パーソナルケアデバイス40の物理的スペーサ42は、皮膚表面18の真上にある。物理的スペーサ42は、設定された所定の高さαを有し、これにより、スペーサが皮膚表面18と接触したとき、機械的要素及び電気的要素は全て、皮膚表面18から既知の距離にある。一態様では、高さαは、約1mm~約20mm、あるいは約3mm~約15mm、あるいは約4mm~約10mmである。
【0114】
パーソナルケアデバイス40に関連する機械的要素及び電気的要素としては、光源44、センサ46、カートリッジ52に取り付けられているカートリッジダイ57に埋め込まれているノズルアレイ20を挙げることができるが、これらに限定されない。カートリッジダイ57は、シリコン、ガラス、機械加工可能なガラスセラミック、サファイア、アルミナ、プリント配線板基板(例えば、液晶ポリマー、ポリイミドなど)で作製されてよく、その内部にノズルアレイ20を形成してもよい。ノズルアレイ20は、線形構成、複数の列を有する配置、オフセット配置、正弦波状の配置、湾曲した配置、円形状の配置、のこぎり歯状の配置、及びこれらの組み合わせであってよい。これらの要素は全て、任意の装置ハウジング41内に囲い込まれていてよい。
【0115】
光源44は、センサ46が比較的一定の照明を有するように、物理的スペーサ42内の皮膚表面18の領域を照射し得る。バックグラウンド照明は、皮膚表面18を持ち上げる物理的スペーサ42の部分としてセンサ46に影響を及ぼし、バックグラウンド光源及び光源44からの照明を逃すことができる。照明のわずかなずれは、提供された光源44について補正することができ、それによって、比較的一定のバックグラウンド照明が提供される。一態様では、物理的スペーサ42は、不透明であってよい。光源44は、LED、白熱光、ネオン管ベース、又は任意の他の市販されている照明源であり得る。光源44は、一定の照明又は調整可能な照明を有することができる。例えば、調整可能な光源は、背景照明が過剰に明るいか、又は暗い場合に有用であり得る。
【0116】
センサ46は、皮膚表面の領域の視覚的特性を得ることができる任意の構成要素であってよい。センサの非限定的な例としては、光学センサ、画像捕捉装置、分光光度計、表面下の特徴を測定し得る、可視スペクトル内の波長及び可視スペクトルの上下の波長のためのフォトニック測定装置、並びにこれらの組み合わせを挙げることができる。画像捕捉装置は、単純なカメラ又はデジタルCMOSカメラチップなどの様々な市販の装置のいずれかであり得る。一態様では、画像捕捉装置はカメラであってよく、画像を撮影し、当該技術分野において既知の標準グレースケールに変換することができる。明暗を測定する任意の数字目盛は、「グレースケール」とみなされ得ることが理解される。更に、本明細書で使用される場合、「グレースケール」は、線形スケール、又は1つのバンド、又は1つの視覚属性であるよう意図されている。例えば、1つの「グレースケール」視覚属性は、特定の視覚色を定義するための単一波長又は狭い波長であり得る。1つの「グレースケール」視覚属性の別の例は、RGBの混合物からの純黒色、灰色、又は白色画像などの、画像を構成する各ピクセルについて平均化された波長数値の混合であり得る。
【0117】
センサ46は、皮膚表面18及び/又は皮膚表面18の画像のL値を測定することができ、それを解析のために画像捕捉ライン48を介してプロセッサ50に送ることができる。画像は、局所的なL値、バックグラウンドL値、又はこれらの両方について解析され得る。グレースケール変換は、プロセッサ50の解析処理能力の範囲内で実施することができる。ΔLMを決定するための、バックグラウンドのLの局所的なLに対する比較は、市販のプログラマブルチップ、又は他の市販の処理装置であり得るプロセッサ50内で実施する。
【0118】
プロセッサ50は、通常、中央処理装置(「CPU」)と称される。CPUは、例えばラップトップコンピュータ、携帯電話、電気かみそりなどの消費者向け電子機器で見られるもののような単一のプログラマブルチップであり得る。CPUは、特定用途向け集積回路(ASIC)、制御器、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、集積回路、マイクロ制御器、マイクロプロセッサ、プロセッサなどを含み得る。CPUはまた、キャッシュメモリ、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、及びスタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)などとしてCPUに内蔵されるか、又は例えば、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、スタティックRAM、フラッシュメモリ(例えば、コンパクトフラッシュ(登録商標)若しくはスマートメディアカード)、ディスクドライブ、ソリッドステートディスクドライブ(SSD)としてCPUに外付けされるかのいずれかのメモリ機能を備えてもよく、又はインターネットクラウドストレージを備えていてもよい。パーソナルケアデバイスに繋がっているか又は無線で通信するリモートCPUが使用され得ることが予想されるが、本明細書では、パーソナルケアデバイス内のローカルCPUを例示する。
【0119】
画像は、続けて、又は好ましくは継続して撮影され得る。画像捕捉装置は、毎秒少なくとも4フレーム、あるいは少なくとも毎秒100フレーム、あるいは少なくとも毎秒200フレーム、あるいは少なくとも毎秒600フレームの速度で画像を撮影することができる。
【0120】
CPUは、毎秒100フレーム、あるいは毎秒200フレーム超、あるいは毎秒600フレーム超の速度で処理することができる。
【0121】
画像解析の結果は、プロセッサ50に予めプログラムされた基準と比較したとき、皮膚表面18を所望のとおり処理することができる。例えば、算出されたΔLMが所定のΔLSを超えている場合、カートリッジライン51を介してプロセッサ50からカートリッジ52に信号を送り、ノズルアレイ20における1つ以上のノズル21を噴射させ、化粧用インク組成物を分配する。
【0122】
カートリッジ52、光源44、センサ46、プロセッサ50、並びに存在し得る他の機械的要素及び電気的要素への電力は、1つ以上の電線55を介して電力素子54によって供給され得る。電力素子54は、オン及びオフにすることができ、これが次に、パーソナルケアデバイス40のどこにでも位置し得るが、ここではデバイスカバー58上に示されている電源スイッチ56を介して、パーソナルケアデバイス40をオフ及びオンにする。電力素子54は、電池、再充電可能電池、電気化学コンデンサ、二重層コンデンサ、超コンデンサ、ハイブリッド電池-コンデンサシステム、及びこれらの組み合わせを介して、エネルギー貯蔵機能を含んでもよい。
【0123】
図2は、カートリッジキャップ62及びカートリッジ本体64を含むカートリッジ52の分解図を示す。カートリッジ本体64は、典型的には、カートリッジ本体64内に囲い込まれ、ノズル噴き出し口68を画定する、スタンドパイプ66を含み得る。任意のフィルタ70は、過度に大きな粒子及びその他の破片をノズルアレイ20の外に保持することに役立ち得る。フィルタ70及びノズルアレイ20は、ノズル噴き出し口68の両側に存在し得る。化粧用インク組成物74は、カートリッジ本体64内に収容され得る。発泡体コア72は、カートリッジ64に少なくとも部分的に充填してよく、化粧用インク組成物74の背圧を調節するのに役立つ。背圧は、ブラダ(図示せず)及び当該技術分野に既知の他の方法を介して調節することができる。ここに示される発泡体コア72は、フィルタ70を通ってスタンドパイプ66へ、そして、ノズルアレイ20内への化粧用インク組成物74の流れを調節するのに役立つ方法の一例にすぎない。コネクタ78は、電力及び信号をノズルアレイ20に提供し得る。化粧用インク組成物74は、圧電手段、熱手段、機械的圧送手段、又はこれらの組み合わせによってカートリッジ52から吐出され得る。
【0124】
本明細書で使用するための例示的なカートリッジとしては、米国特許出願公開第2002/0167566号に記載されているカートリッジを挙げることができる。
【0125】
バックグラウンドのL値に使用する画像と、局所的なL値に使用する画像との間には、技術的な差異はなく、その差異は、画像の解析におけるものである。したがって、L値、及びΔLM値を算出するために、画像がプロセッサに継続的に送信される。「送信される」とは、好ましくは、各画像について1ピクセル当たり少なくとも4ビットのデータが転送されることとして理解され、好ましくは、この4ビット(又はそれ以上)のパケットデータが、各局所的なL値の算出に使用される。
【0126】
バックグラウンドLが処置期間中に一度算出され、その値が処置期間を通じて再利用され得ることが理解される。あるいは、処置プロセスが続く限り、継続的に再算出することが可能である。更に、バックグラウンドのLの再計算を開始するために予めプログラムされたトリガーが存在していてもよい。また、バックグラウンドのLは、現在のバックグラウンドのLに使用するためにプロセッサメモリから読み出してもよい。
【0127】
ΔLMが所定の値を超えている場合、化粧用インク組成物は、皮膚の欠陥の少なくとも一部上に付着され得る。具体的には、ノズルのアレイを介して化粧用インク組成物を付着させることができ、ノズルのアレイの長さに沿って、かつノズルアレイの噴射範囲において、局所的なLを算出することができる。個々のノズルを噴射させて、化粧用インク組成物を付着させてもよく、又は複数のノズルを同時に噴射させてもよい。ΔLMの大きさ及び皮膚の欠陥のサイズに基づいて、ノズルのアレイに沿って噴射させるノズルの数を調整することができる。更に、ΔLMに基づいてノズル噴射の頻度を調整することができ、ΔLM値が大きくなるのに応じて、より多くの液滴を連続で噴射することができる。
【0128】
パーソナルケアデバイスは、化粧用インク組成物を、約0.1μm~約60μm、あるいは約1μm~約50μm、あるいは約5μm~約40μmの平均直径を有する液滴として付着させることができる。好ましくは、化粧用インク組成物は、別個の液滴の不連続なパターンとして色調の欠陥に塗布され得る。
【0129】
化粧用インク組成物は、典型的な消費者印刷用途とは異なる微小電気機械システム(micro-electro-mechanical system、MEMS)を有するカートリッジから印刷することができる。典型的な印刷インクは約10cP未満の粘度を有することから、典型的なチャンバ高さ及びノズルプレート厚さは約25~約50μmであることが知られている。一態様では、カートリッジは、約10~約20μm、好ましくは約12~約17μmのチャンバ高さ及びノズルプレート厚さを含み得る。理論に束縛されるものではないが、チャンバ高さ及びプレート厚さが短くなるほど、粘性の低下を最小限に抑えるのに役立ち得ると考えられる。加えて、ほとんどの消費者印刷用途は、10kHz以上での印刷に最適化されるので、インク処方及びマイクロ流体は急速な再補充を達成するように設計される。しかしながら、本明細書に記載の化粧用インク組成物をこの周波数範囲で操作した結果、空気の吸い込みによるストリーミング及び/又はデプライミングが生じる場合がある。
【0130】
化粧用インク組成物は、以下の起動シーケンスを使用して印刷することができる:基材を約600ms未満で約60℃に加熱し、約300~約1000Hzの周波数で約100~約500回の突発的な噴射でノズルを噴射させ、次いで、連続的な4Hzの噴射で低剪断状態を維持する。ノズルを異なるアルゴリズムで起動させることも可能であるが、化粧用インク組成物がその粘稠な静止状態から流動状態に遷移しない可能性が高い。
【0131】
また、化粧用インク組成物を皮膚上に付着させる方法も本明細書に記載される。化粧用インク組成物を皮膚上に付着させる方法は、
a.1つ以上のノズル及び当該1つ以上のノズルと動作可能に関連付けられたカートリッジを備えるパーソナルケアデバイスを提供する工程であって、当該化粧用インク組成物が当該カートリッジ内に配置されている工程と、
b.当該化粧用インク組成物を皮膚の一部上に付着させる工程であって、当該化粧用インク組成物を不連続な液滴パターンで付着させる工程と、
を含み得る。
【0132】
より具体的には、化粧用インク組成物を皮膚上に付着させる方法は、
a.ノズルのアレイを備えるパーソナルケアデバイスを提供する工程と、
b.バックグラウンドの明度(L)値を提供する工程と、
c.皮膚の処理画像を取得し、当該処理画像内の個々のピクセル又はピクセル群の少なくとも1つの局所的なL値を計算する工程と、
d.当該局所的なL値を当該バックグラウンドのL値と比較する工程と、
e.当該局所的なL値と当該バックグラウンドのL値との間の差の絶対値が予め設定されたデルタL値よりも大きい皮膚の偏差を特定し、当該皮膚の偏差を当該化粧用インク組成物で処理する工程と、
を含み得、
当該インク組成物は、約100nm~約2,000nmの粒径分布D50を有する粒子材料と、好ましくは約5,000ダルトン未満の重量平均分子量を有するポリマー分散剤と、アルカリ膨潤性エマルションポリマー、疎水変性アルカリ膨潤性エマルションポリマー、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるレオロジー変性剤と、C1~C16アルコール、C5~C18ジオール、及びこれらの混合物からなる群から選択されるレオロジー変性剤と、
を含む。
【0133】
実施例及びデータ
以下のデータ及び比較例を含む実施例は、本明細書に記載の化粧用インク組成物を例示するのに役立つように提供される。例示される組成物は、例証目的のためだけに提供され、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなくそれらの多くの変更が可能であることから、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。本明細書における全ての部、百分率(%)、及び比は、別途指定されない限り、重量基準である。
【0134】
表面張力試験
化粧用インク組成物の表面張力及び安定性に対する表面張力調整剤の影響を評価するために処方を調製した。実施例1~6を、以下に記載する手順に従って作製した。実施例1は、表面張力調整剤を含有しない対照である。実施例2、3、及び4は、それぞれ、表面張力調整剤の1,2-ヘキサンジオール/1,2-オクタンジオール、エタノール、及びファルネソールを含有する化粧用インク組成物を示す。実施例5及び6は、表面張力調整剤として、それぞれC12/C14アミンオキシド又はウンデシレノイルフェニルアラニンを含有する比較例である。
【0135】
実施例1~6を、以下の処方に従って作製した。添加時の重量パーセントを示す。
【0136】
【表1】
1KOBO Products,Inc(South Plainfield,NJ)によって供給。
2Dow Chemical Company(Lake Zurich,IL)から入手可能。
3Vertellus Agriculture & Nutrition(Indianapolis,IN)から入手可能。
4Ashland Specialty Chemical(Wilmington,DE)から入手可能。
5Dow Chemical Company(Lake Zurich,IL)から入手可能なポリアクリレート。
61,2-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオール、Symrise AG(Branchburg,NJ)から入手可能。
7Aaper Alcohol & Chemical Co(Shelbyville,KY)から入手可能。
8Symrise AG(Branchburg,NJ)から入手可能。
9P&G(Kansas City,KS)から入手可能。
10ウンデシレノイルフェニルアラニン(Seppic(Fairfield,NJ)から入手可能)をDI水に添加し、AMP-Ultra(登録商標)PC 2000(Angus Chemical(Buffalo Grove,IL)から入手可能)でpHを7超に調整することにより、ウンデシレノイルフェニルアラニンの5重量%混合物を作製した。
【0137】
表面張力及びレオロジーを最初に測定し、次いで、安定性の測定を実施するまで、サンプルを50℃にて密封ガラスジャーで保管した。以下の表は、各実施例の表面張力、粘度、G’、G’’、タン(デルタ)、及び分離を示す。粘度は、以下に記載の粘度試験法に従って測定した。タン(デルタ)は、以下に記載の振動歪み掃引法に従って測定された貯蔵弾性率及び損失弾性率を用い計算した。分離は、以下に記載の分離試験法に従って測定した。分離は、50℃で15日後の分離のmmとして表2に記録する。
【0138】
【0139】
驚くべきことに、いくつかの表面張力改質剤では、化粧用インク組成物の表面張力を低減できるものの、粘度を低下させることにより安定性が損なわれ、内部構造が粒子を懸濁するには不十分なものであることを示す顕著な分離が生じることが判明した。理論に束縛されるものではないが、プロピレングリコールなどの保湿剤は、親水性が高すぎて表面張力を十分に低減できないと考えられる。
【0140】
表面張力調整剤を含有しない実施例1(対照)は、50mN/mの表面張力を有していた。実施例1は、粒子を懸濁させるのに十分な粘度を構築することができたが、50mN/mの表面張力を有する化粧用インク組成物では、様々なタイプの皮膚を濡らすことができない場合があり、結果として、印刷の耐久性及び/又は被覆が不十分になる恐れがあると考えられる。撹拌を必要とせずに安定性が最大化されるように、粘度を維持しながら、約45mN/m未満の表面張力を有することが望ましい。
【0141】
Symdiol(登録商標)68(実施例2)、C8ジオール、及びファルネソール、C15アルコール(実施例4)を添加した場合、サンプルの表面張力は40mN/m以下に低下したが、粘度は対照と比較して増加した。加えて、実施例2及び4のタン(デルタ)は、それぞれ0.48及び0.52であり、これは、粘弾性特性が印刷に好適であったことを示す。
【0142】
C2アルコールであるエタノールを添加した場合(実施例3)、サンプルの表面張力は45.4mN/mに低下したが、対照と比較して粘度は増加した。加えて、実施例3のタン(デルタ)は0.48であり、これは、粘弾性特性が印刷に好適であったことを示す。エタノールの揮発性により、表面張力は経時的に増加する可能性があると考えられる。
【0143】
C12/C14アミンオキシドを添加した場合(実施例5)、表面張力は37.7mN/mに低下したが、粘度も対照と比較して低下した。同様に、ウンデシレノイルフェニルアラニンを添加した場合(実施例6)、表面張力は42.0mN/mに低下したが、粘度も対照と比較して低下した。理論に束縛されるものではないが、C12/C14アミンオキシド及びウンデシレノイルフェニルアラニンは、化粧用インク組成物の弱いコロイドゲル構造を破壊し、その結果、粘度を低下させると考えられる。加えて、実施例6は、0.64のタン(デルタ)を有し、50℃で高レベルの分離が観察された。
【0144】
実施例1~6を、以下の手順に従って作製した。
【0145】
まず、相Aの成分を適切なプレミックス容器内で合わせ、30分間混合した。相Bの成分を主容器に添加した。IKA(登録商標)(Staufen IM Breisgau,Germany)から入手可能なデジタルEurostar 400(登録商標)などのプロペラ羽根を備えるミキサ又は等価物を用いて、混合物が均質になるまで低速で相Bを混合した。相B混合物のpHを測定した。次いで、プレミックス容器の内容物を主容器に移し、30分間混合した。水の約10%を相Bから回収し、プレミックス容器を洗浄するために使用し、次いで、混合しながら主容器に添加した。相Cを主容器に添加した。混合速度を高速に上げ、混合を10分間継続した。次いで、相Dを主容器に滴下し、20%KOHを添加することにより、pHを7.5~8.5の間で維持した。均質性を確保し、混合物を容器に注ぎ入れ、ラベルを付け、使用まで周囲条件で保管する。
【0146】
表面張力法
EZ Pi張力計(Kibron(Parrish、FL))又は等価物を使用して、ASTM1331-14(2015年1月公開)に従って、表面張力を測定する。DI水を使用して製造業者の指示に従って、計器を較正する。測定を行い、値をmN/mで報告する。
【0147】
粘度試験方法
レオメーターを使用し、剪断速度の関数として、粘度を測定する。好適なレオメーターは、Ares M(TA Instruments(New Castle,DE)から入手可能)又は等価物を含み得る。まず、サンプル及び標準を分析前に室温で平衡化する。試験前に、50mm、2度のコーン及びプレートをゼロに合わせる。サンプルが25℃±0.5℃である間、サンプルを試験する。異なる剪断速度におけるずり減粘特性及び粘度を測定するために、0.1~1000s-1の範囲にわたって剪断掃引測定を実施する。
【0148】
振動歪み掃引法
振動歪み掃引は、レオメーター(TA Instruments(New Castle,DE)から入手可能なARES-G2など)又は等価物を使用して測定される。
【0149】
サンプル及び標準を、分析前に周囲条件で平衡化させる。レオメーターを、オペレータマニュアルに開示されているとおり較正する。0.05mmのギャップを有する25℃の40mm 316SST(APS熱破断)平行プレートを用いて、0.0001~1の歪み範囲にわたって6.28rad/sの固定角周波数で振動歪み掃引測定を実施して、貯蔵及び損失弾性率を決定する。
【0150】
粒径分布試験法
レーザー散乱粒径分布分析器を使用して、粒径分布を求める。好適なレーザー散乱粒径分布分析器としては、Horiba LA-950V2(Horiba,Ltd.(Kyoto,Japan)から入手可能)を挙げることができる。この方法では、ミー及びフラウンホーファーの散乱理論の原理を使用して、液体中に懸濁している粒子のサイズ及び分布を計算する。結果は、通常、ボリュームベースで表示される。この方法の顔料への適用は、フローセル法を用いて開発されている。
【0151】
サンプルバイアル瓶の底部に残留物がないことを確実にするために、Vortex Genie 2で30秒間ボルテックスすることによってサンプルを調製する。200mLの脱イオン(DI)水を機器のリザーバに添加し、ブランクサンプルとして分析する。使い捨てマイクロピペットを用いて、透過率が100から90+/-2%に低下するまで、十分なサンプルを機器内の脱イオン水中に分注した(約250μL)。結果をD50又はD90として報告する。
【0152】
粒子沈降試験法
粒子沈降を以下のとおり測定する。皿の重量を測定するために、アルミニウム皿を秤量する。サンプルバイアル瓶の上部、中央部、又は底部からの1グラムのサンプルアリコートを皿に加え、秤量して湿潤重量を決定する。「上部」は、バイアル瓶内のサンプルの表面を意味する。「中央部」は、バイアル瓶の中央を意味する。「底部」は、バイアル瓶の底部を意味する。サンプルのアリコートの入った皿を100℃のオーブン内に1時間入れて、揮発物を蒸発させる。皿を取り出し、再度秤量して乾燥重量を得る。固形分重量%を以下の等式によって計算する:(乾燥重量-皿重量)/(湿潤重量-皿重量)。
【0153】
ゼータ電位試験法
Brookhaven Instruments Corporation(Holtsville,NY)から入手可能なNanoBrook ZetaPALS Potential Analyzerなどのゼータ電位分析器又は等価物を使用して、ゼータ電位を測定する。
【0154】
サンプルを脱イオン水で0.1g/mLに希釈することによって、ゼータ電位試験サンプルを調製する。Smoluchowskiゼータ電位モデルを用いて、ゼータ電位分析器で5回及び10サイクル、ゼータ電位を測定する。標準(BIZR3)を測定した後、ゼータ電位分析器のセルに1mLの試験サンプルをロードする。pHの関数としてゼータ電位を測定する。
【0155】
分離試験法
8ドラム(1oz.、25mm×95mm)のスクリューキャップガラスバイアル瓶にサンプル組成物を55mmの高さ(バイアル瓶の底部から液体組成物の上部まで測定した高さ)まで充填することによって、分離を測定する。バイアル瓶を密閉し、制御された温度チャンバ内に入れる。バイアル瓶は、測定を実施するまで静的保管装置内で保持する。各時点で、激しく又は長時間撹拌せずに、バイアル瓶をチャンバから慎重に取り出し、分離についての任意の視覚的兆候について観察し、分離のタイプをシネレシス又は沈降として記録する。分離の量は、サンプル上の透明な流体のmm数をデジタルキャリパーで測定することによって求められる。
【0156】
組み合わせ
A.1~45活性重量%の、100nm~2,000nmの粒径分布D50を有する粒子材料と、アルカリ膨潤性エマルションポリマー、疎水変性アルカリ膨潤性エマルションポリマー、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるレオロジー変性剤と、ポリマー分散剤と、C1~C16アルコール、C5~C18ジオール、及びこれらの混合物からなる群から選択される表面張力調整剤と、
を含む、化粧用インク組成物。
B.当該表面張力調整剤が、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、2-メチル-1-プロパノール、2-メチル-2-プロパノール、ファルネソール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール、フェノキシエタノール、2-フェニルフェノール、4-ヒドロキシ安息香酸メチル、4-ヒドロキシ安息香酸エチル、4-ヒドロキシ安息香酸プロピル、4-ヒドロキシ安息香酸ブチル、4-ヒドロキシ安息香酸イソブチル、クロロキシレノール、2-メチル5-シクロヘキシルペンタノール、トリクロサン、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオール、1,8-オクタンジオール、2-メチル5-シクロヘキシルペンタノール、1,2-デカンジオール、3-[(2-エチルヘキシル)オキシ]-1,2-プロパンジオール、及びこれらの混合物からなる群から選択される、段落Aに記載の化粧用インク組成物。
C.前記表面張力調整剤が、1,2-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオール、エタノール、ファルネソール、及びこれらの混合物からなる群から選択される、段落Aに記載の化粧用インク組成物。
D.0.60未満、好ましくは0.55未満、更により好ましくは0.50未満のタン(デルタ)を有する、段落A~Cのいずれかに記載の化粧用インク組成物。
E.前記ポリマー分散剤が、5,000ダルトン未満、好ましくは2,000~5,000ダルトン、より好ましくは2,500~4,000ダルトンの重量平均分子量を有する、段落A~Dのいずれかに記載の化粧用インク組成物。
F.0.30活性重量%超のレオロジー変性剤を含む、段落A~Eのいずれかに記載の化粧用インク組成物。
G.0.1~5活性重量%、好ましくは0.5~3活性重量%、より好ましくは1~2活性重量%の表面張力調整剤を含む、段落A~Fのいずれかに記載の化粧用インク組成物。
H.当該粒子材料が、150nm~1,000nm、好ましくは200nm~450nm、最も好ましくは200nm~350nmの粒径分布D50を有する、段落A~Gのいずれかに記載の化粧用インク組成物。
I.当該粒子材料が、700nm~900nmの粒径分布D90を有する、段落A~Hのいずれかに記載の化粧用インク組成物。
J.当該粒子材料が、顔料、金属酸化物、着色剤、染料、粘土、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、段落A~Iのいずれかに記載の化粧用インク組成物。
K.当該レオロジー変性剤が、アルカリ膨潤性アクリルポリマーエマルションである、段落A~Jのいずれかに記載の化粧用インク組成物。
L.20mN/m~45mN/m、好ましくは30mN/m~40mN/mの表面張力を有する、段落A~Kのいずれかに記載の化粧用インク組成物。
M.ナイアシンアミド、イノシトール、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1種以上のスキンケア活性物質を更に含む、段落A~Lのいずれかに記載の化粧用インク組成物。
N.20~30活性重量%の保湿剤を更に含む、段落A~Mのいずれかに記載の化粧用インク組成物。
O.25℃で測定した0.1秒-1の剪断速度で、1,100cP~10,000cP、好ましくは1,500cP~8,000cP、より好ましくは2,000cP~5,000cPの第1の動的粘度を有し、25℃で測定した1,000秒-1の剪断速度で10~100cP、好ましくは20~80cPの第2の動的粘度を有する、段落A~Nのいずれかに記載の化粧用インク組成物。
P.7.5~9.0の未希釈pHを有する、段落A~Oのいずれかに記載の化粧用インク組成物。
【0157】
本明細書において範囲の両端として開示される値は、列挙される正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。むしろ、特に指示がない限り、それぞれの数値範囲は、列挙される値及びその範囲内の任意の整数の両方を意味するものとする。例えば、「1~10」として開示されている範囲は、「1、2、3、4、5、6、7、8、9、及び10」を意味するように意図されている。
【0158】
本明細書にて開示された寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。その代わりに、特に指示がない限り、このような寸法はそれぞれ、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図されている。例えば、「40mm」と開示された寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。
【0159】
相互参照される又は関連する全ての特許又は特許出願、及び本願が優先権又はその利益を主張する任意の特許出願又は特許を含む、本願に引用される全ての文書は、除外又は限定することを明言しない限りにおいて、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いかなる文献の引用も、本明細書中で開示又は特許請求される任意の発明に対する先行技術であるとは見なされず、あるいはそれを単独で又は他の任意の参考文献(単数又は複数)と組み合わせたときに、そのような発明全てを教示、示唆又は開示するとは見なされない。更に、本文書における用語の任意の意味又は定義が、参照することによって組み込まれた文書内の同じ用語の意味又は定義と矛盾する場合、本文書におけるその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0160】
本発明の特定の実施形態を例示及び説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を行うことができる点は当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を添付の特許請求の範囲に網羅することが意図されている。