(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-18
(45)【発行日】2022-03-29
(54)【発明の名称】3Dプリンタおよび生成的製造プロセス
(51)【国際特許分類】
B22F 12/84 20210101AFI20220322BHJP
B22F 3/16 20060101ALI20220322BHJP
B22F 10/14 20210101ALI20220322BHJP
B22F 12/55 20210101ALI20220322BHJP
B29C 64/165 20170101ALI20220322BHJP
B29C 64/393 20170101ALI20220322BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20220322BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20220322BHJP
B33Y 50/02 20150101ALI20220322BHJP
【FI】
B22F12/84
B22F3/16
B22F10/14
B22F12/55
B29C64/165
B29C64/393
B33Y10/00
B33Y30/00
B33Y50/02
(21)【出願番号】P 2020542370
(86)(22)【出願日】2018-06-28
(86)【国際出願番号】 EP2018067367
(87)【国際公開番号】W WO2019154528
(87)【国際公開日】2019-08-15
【審査請求日】2020-10-05
(31)【優先権主張番号】102018102753.2
(32)【優先日】2018-02-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】514326904
【氏名又は名称】エクスワン ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110003029
【氏名又は名称】特許業務法人ブナ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ミュラー,アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ベドナーズ,マーティン
【審査官】松村 駿一
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-532218(JP,A)
【文献】国際公開第2015/151832(WO,A3)
【文献】米国特許出願公開第2016/0318251(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22F 12/84
B22F 3/16
B22F 10/14
B22F 12/55
B29C 64/165
B29C 64/393
B33Y 10/00
B33Y 30/00
B33Y 50/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1構築空間(B1)と、これに隣接する第2構築空間(B2)とにおいて1つ以上の3次元部品を層状に形作るように構成され、
第1構築空間(B1)に第1コーティング装置(3)が割り当てられ、第2構築空間(B2)に第2コーティング装置(13)が割り当てられ、それぞれの構築空間に、固化される構築材料の均一な構築材料層の形態で構築材料を供給するために、それぞれ第1構築空間(B1)を横切る第1方向(H1)と第2構築空間(B2)を横切る第1方向(H1)に実質的に平行である第3方向(H3)にそれぞれ移動可能であり、
第1構築空間(B1)の先に塗布された構築材料層の部分領域および第2構築空間(B2)の先に塗布された構築材料層の部分領域に流動性の処理剤を制御された方法で出力するために、第1及び第3方向(H1、H3)に対して角度をつけて配置された第2方向(H2)において第1構築空間(B1)及び第2構築空間(B2)を横切って移動可能である共通の印刷装置5を有し、
第1コーティング装置(3)の出力領域が、第1方向(H1)に垂直な方向において完全に第1構築空間(B1)に及んでおり、
第2コーティング装置(13)の出力領域が第3方向(H3)に垂直な方向に完全に第2構築空間(B2)に及んでおり、
第1方向(H1)に沿って第1構築空間(B1)を横切る第1コーティング装置(3)によって移動する距離(S1)は、第2方向(H2)に沿って第1構築空間(B1)を横切る印刷装置(5)によって移動する(単一の)距離(S21)
より少なくとも1.2の係数まで大きく、
第3方向(H3)に沿って第2構築空間(B2)を横切る第2コーティング装置(13)によって移動する距離(S3)は、第2方向(H2)に沿って第2構築空間(B2)を横切る印刷装置(5)によって移動する(単一の)距離(S22)
より少なくとも1.2の係数まで大きく、
第1構築空間(B1)を横切る第1方向(H1)における第1コーティング装置(3)の移動と、第2構築空間(B2)を横切る第3方向(H3)における第2コーティング装置(13)の移動とが、第1構築空間(B1)を横切る第2方向(H2)における印刷装置(5)の移動と第2構築空間(B2)を横切る第2方向(H2)における印刷装置(5)の移動の少なくとも一方と時間的に重なるように、および/または、第1コーティング装置(3)による第1構築空間(B1)への構築材料の供給と第2コーティング装置(13)による第2構築空間(B2)への構築材料の供給とが、第1構築空間(B1)および第2構築空間(B2)の少なくとも一つの先に塗布された構築材料層への流動性の処理剤の制御された出力と時間的に重なるよう、第1コーティング装置(3)、第2コーティング装置(13)および共通の印刷装置(5)を制御するよう構成された制御装置(C)をさらに備える、3Dプリンタ(10)。
【請求項2】
印刷装置(5)が第1方向(H1)に変位可能なプリントヘッド(7)を備え、制御装置(C)が、第1構築空間(B1)の構築材料層と第2構築空間(B2)の構築材料層を選択的に印刷するため、第1及び第2構築空間(B1,B2)を横切って第2方向(H2)に複数回プリントヘッドを移動させるように構成され、および/または
印刷装置(5)が、第1方向(H1)に変位可能なプリントヘッド(7)を備え、制御装置(C)が、プリントヘッド(7)が完全に蛇行するパターンで第1及び第2構築空間(B1,B2)を横切って移動するように、第1構築空間(B1)の構築材料層と第2構築空間(B2)の構築材料層を選択的に印刷するため、第1及び第2構築空間(B1,B2)を横切って第2方向(H2)に複数回プリントヘッドを移動させるように構成され、および/または
印刷装置(5)が、第1方向(H1)に変位可能なプリントヘッド(7)を備え、制御装置(C)が、プリントヘッド(7)が、U字形経路またはS字形経路に沿って、完全に蛇行するパターンで第1及び第2構築空間(B1,B2)を横切って移動するように、第1構築空間(B1)の構築材料層と第2構築空間(B2)の構築材料層を選択的に印刷するため、第1及び第2構築空間(B1,B2)を横切って第2方向(H2)に複数回プリントヘッドを移動させるように構成され、および/また
は
第1コーティング装置(3)および第2コーティング装置(13)がそれぞれ双方向コーティング装置として構成され、および/または印刷装置(5)が双方向印刷装置として構成される、請求項1に記載の3Dプリンタ(10)。
【請求項3】
第1構築空間(B1)と第2構築空間(B2)が実質的に同じ形状と大きさを有し、および/または
第1構築空間(B1)と第2構築空間(B2)が第2方向(H2)に見て交互に配置され、および/または
第1構築空間(B1)および第2構築空間(B2)がそれぞれ長方形に形成され、および/または
第1構築空間(B1)および第2構築空間(B2)がそれぞれ2つの長辺および2つの短辺を有する長方形に形成され、第1および第2構築空間(B1、B2)は互いに隣接する2つの長辺を有するように配置され、および/または第1方向(H1)および第3の方向(H3)がそれぞれ第1構築空間の長辺と第2構築空間の長辺に対して実質的に平行であり、および/または
印刷装置のプリントヘッド(7)の出力領域が第2方向(H2)に垂直な方向および/または第1方向(H1)に延びており、および/または
第2方向(H2)に垂直な方向および/または第1方向(H1)におけるプリントヘッド(7)の出力領域が第1構築空間(B1)より短く、および/または第1コーティング装置(3)によって移動される距離(S1)よりも短く、および/または
第2方向(H2)に垂直な方向および/または第1方向(H1)におけるプリントヘッド(7)の出力領域が、実質的に第1構築空間(B1)の半分の大きさまたはそれよりも小さく、および/または実質的に第1コーティング装置(3)が移動する距離(S1)の半分の大きさまたはそれよりも小さく、および/または
第2方向(H2)に沿って第1構築空間(B1)を横切って印刷装置(5)により移動する単一の距離(S21)は1.0mから1.4mであり、および/または
第2方向(H2)に沿って第2構築空間(B2)を横切って印刷装置(5)により移動する単一の距離(S22)は1.0mから1.4mであり、および/または
第1コーティング装置(3)、第2コーティング装置(13)および共通の印刷装置(5)が第1及び第3方向に見て、共通の第1側から、第1および第2構築空間を横切って、第1及び第3方向に見て、反対側の第2側に移動するよう制御装置(C)を構成し、それによって粒状物質および流動性の処理剤をそれぞれ分配し、そして、その後任意に第1コーティング装置(3)、第2コーティング装置(13)および共通の印刷装置(5)が第2側から第1側に戻り、それによって粒状物質および/または流動性の処理剤をそれぞれ再び分配し、および/または
第1コーティング装置(3)、第2コーティング装置(13)およびプリントヘッド(7)が第1及び第3方向に見て、共通の第1側から、第1および第2構築空間を横切って、第1及び第3方向に見て、反対側の第2側に移動するよう制御装置(C)を構成し、それによって粒状物質および流動性の処理剤をそれぞれ分配し、そして、その後任意に第1コーティング装置(3)、第2コーティング装置(13)およびプリントヘッド(7)が第2側から第1側に戻り、それによって粒状物質および/または流動性の処理剤をそれぞれ再び分配する、請求項1または2に記載の3Dプリンタ(10)。
【請求項4】
第2構築空間(B2)に隣接して配置された第3構築空間(B3)と、第3構築空間(B3)に割り当てられ、固化される構築材料の均一な構築材料層の形態で構築材料を第3構築空間(B3)に供給するために、第1方向(H1)に実質的に平行な第4方向(H4)に沿って第3構築空間(B3)を横切って移動可能な第3コーティング装置(23)とをさらに備え、
3Dプリンタが第3構築空間(B3)に1つ以上の3次元部品を層状に形作るように構成され、
共通の印刷装置(5)は、第3構築空間(B3)の先に塗布された構築材料層の部分領域に流動性の処理剤を制御された方法で出力するため第3構築空間(B3)を横切って第2方向(H2)に移動可能であり、
第3コーティング装置(23)の出力領域が第4方向(H4)に垂直な方向において完全に第3構築空間(B3)に及んでおり、
第4方向(H4)に沿って第3構築空間(B3)を横切って第3コーティング装置(23)が移動する距離が、第2方向(H2)に沿って第3構築空間(B3)を横切って印刷装置(5)が移動する(単一の)距離以上であり、
制御装置(C)は、関連する構築空間を横切るコーティング装置のそれぞれの移動が、構築空間(B1、B2、B3)の少なくとも1つを横切る第2方向(H2)における共通の印刷装置(5)の移動と時間的に重なるように、および/または関連するコーティング装置によるそれぞれの構築空間への構築材料の供給が構築空間(B1、B2、B3)の少なくとも1つに先に塗布された構築材料層への流動性の処理剤の制御された出力と時間的に重なるよう、第1コーティング装置(3)、第2コーティング装置(13)、第3コーティング装置(23)および共通の印刷装置(5)を制御するように構成される、請求項1~3のいずれか一項に記載の3Dプリンタ(10)。
【請求項5】
3Dプリンタの第1構築空間(B1)内で、少なくとも1つの3次元部品を、および第1構築空間(B1)に隣接して配置された3Dプリンタの第2構築空間(B2)内で、少なくとも1つの3次元部品を製造するための生成的製造プロセスであり、
前記第1構築空間(B1)を横切って第1方向(H1)に移動して各層を塗布する第1コーティング装置(3)を用いて、第1構築空間(B1)内に、重なり合った粒状の構築材料の層を形成し、
第1方向に実質的に平行な第3方向(H3)に第2構築空間(B2)を横切って移動して各層を塗布する第2コーティング装置(3)を用いて、第2構築空間(B2)内に、重なり合った粒状の構築材料の層を形成し、
第1構築空間(B1)内の先に塗布された構築材料層の部分領域と第2構築空間(B2)内の先に塗布された構築材料層の部分領域に、それぞれの構築材料層の選択的な固化に寄与する、流動性の処理剤を制御された方法で出力するため、第1及び第3方向(H1、H3)に対して角度をつけて配置されている第2方向(H2)に第1構築空間(B1)及び第2構築空間(B2)を横切って移動する共通の印刷装置(5)を用いて、第1構築空間(B1)内のそれぞれの部分領域に複数の隣接する構築材料層を選択的に印刷し、第2構築空間(B2)内のそれぞれの部分領域に複数の隣接する構築材料層を選択的に印刷し、
第1コーティング装置(3)の出力領域が第1方向(H1)に垂直な方向に完全に第1構築空間(B1)に及んでおり、
第2コーティング装置(13)の出力領域が第3方向(H3)に垂直な方向に完全に第2構築空間(B2)に及んでおり、
第1方向(H1)に沿って第1構築空間(B1)を横切る第1コーティング装置(3)が移動する距離(S1)は、第2方向(H2)に沿って第1構築空間(B1)を横切る印刷装置(5)が移動する(単一の)距離(S21)
より少なくとも1.2の係数まで大きく、
第3方向(H3)に沿って第2構築空間(B2)を横切る第2コーティング装置(13)が移動する距離(S3)は、第2方向(H2)に沿って第2構築空間(B2)を横切る印刷装置(5)が移動する(単一の)距離(S22)
より少なくとも1.2の係数まで大きく、
第1構築空間(B1)を横切る第1方向(H1)の第1コーティング装置(3)の移動と第2構築空間(B2)を横切る第3方向(H3)の第2コーティング装置(13)の移動が、第1構築空間(B1)を横切る第2方向(H2)の共通の印刷装置(5)の移動と第2構築空間(B2)を横切る第2方向(H2)の共通の印刷装置(5)の移動の少なくとも一方と時間的に重なるように実施され、および/または、第1コーティング装置(3)による第1構築空間(B1)への構築材料の供給と第2コーティング装置(13)による第2構築空間(B2)への構築材料の供給が第1構築空間(B1)および第2構築空間(B2)の少なくとも一方の先に塗布された構築材料層への流動性の処理剤の制御された出力と時間的に重なるよう実施される、生成的製造プロセス。
【請求項6】
共通の印刷装置(5)が第1方向(H1)に変位可能な共通のプリントヘッド(7)を備え、共通のプリントヘッド(7)は、第1構築空間(B1)の構築材料層と第2構築空間(B2)の構築材料層を選択的に印刷するため、第1及び第2構築空間(B1,B2)を横切って第2方向(H2)に複数回移動し、および/または
共通の印刷装置(5)が、第1方向(H1)に移動可能な共通のプリントヘッド(7)を備え、共通のプリントヘッドは、完全に蛇行するパターンで第1および第2構築空間(B1、B2)を横切って移動するように、第1構築空間(B1)の構築材料層と第2構築空間(B2)の構築材料層を選択的に印刷するため、第1及び第2構築空間(B1,B2)を横切って第2方向(H2)に複数回移動し、および/または
共通の印刷装置(5)が、第1方向(H1)に移動可能な共通のプリントヘッド(7)を備え、共通のプリントヘッドは、U字形経路またはS字形経路に沿って完全に蛇行するパターンで第1および第2構築空間(B1、B2)を横切って移動するように、第1構築空間(B1)の構築材料層と第2構築空間(B2)の構築材料層を選択的に印刷するため、第1及び第2構築空間(B1,B2)を横切って第2方向(H2)に複数回移動し、および/また
は
第1コーティング装置(3)および第2コーティング装置(13)がそれぞれ双方向コーティング装置として動作し、および/または印刷装置(5)が双方向印刷装置として動作し、および/または
第1構築空間(B1)と第2構築空間(B2)が実質的に同じ形状と大きさを有し、および/または
第1構築空間(B1)と第2構築空間(B2)が第2方向(H2)に見て交互に配置され、および/または
第1構築空間(B1)および第2構築空間(B2)がそれぞれ長方形に形成され、および/または
第1構築空間(B1)および第2構築空間(B2)がそれぞれ、2つの長辺および2つの短辺を有する長方形に形成され、第1および第2構築空間(B1、B2)は互いに隣接する2つの長辺を有するように配置され、および/または第1方向(H1)および第3方向(H3)がそれぞれ第1と第2構築空間(B1、B2)の長辺に対して実質的に平行であり、および/または
印刷装置のプリントヘッド7の出力領域が第2方向(H2)に垂直な方向および/または第1方向(H1)に延びており、および/または
プリントヘッド(7)の出力領域が第2方向(H2)に垂直な方向および/または第1方向(H1)において第1構築空間(B1)より短く、および/または第1コーティング装置(3)によって移動する距離(S1)よりも短く、および/または
プリントヘッド(7)の出力領域が第2方向(H2)に垂直な方向および/または第1方向(H1)において第1構築空間(B1)の実質的に半分の大きさまたはそれよりも小さく、および/または第1コーティング装置(3)によって移動する距離(S1)の実質的に半分の大きさまたはそれよりも小さく、および/または
第2方向(H2)に沿って第1構築空間(B1)を横切って印刷装置(5)により移動する単一の距離(S21)は1.0m~1.4mであり、および/または
第2方向(H2)に沿って第2構築空間(B2)を横切って印刷装置(5)により移動する単一の距離(S22)は1.0m~1.4mであり、および/または
第1コーティング装置(3)、第2コーティング装置(13)およびプリントヘッド(7)が第1及び第3方向に見て、共通の第1側から、第1および第2構築空間を横切って、第1及び第3方向に見て、反対側の第2側に移動され、それによって粒状物質および流動性の処理剤をそれぞれ分配し、そしてその後任意に第1コーティング装置(3)、第2コーティング装置(13)およびプリントヘッド(7)が第2側から第1側に戻り、それによって粒状物質および流動性の処理剤をそれぞれ再び分配する、請求項5に記載の生成的製造プロセス。
【請求項7】
前記少なくとも1つの三次元部品が、鋳造型または鋳造中子であり、および/または
前記粒状の構築材料は砂粒子を含む、請求項5または6に記載の生成的製造プロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1あるいは請求項7の前文に記載の3Dプリンタおよび請求項5あるいは請求項13の前文に記載の生成的製造プロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
様々な生成的製造プロセス(および結果として、様々なタイプの3Dプリンタ)が知られている。
【0003】
一部の生成的製造プロセスは、以下の共通のステップを有する:
(1)最初に、粒状材料を構築フィールドの表面全体に塗布して、未固化の粒状材料層を形成する。
(2)未固化の粒状材料塗布層は、例えば、結合剤などの処理剤を選択的に印刷することによって、所定の部分領域で選択的に固化される。
(3)ステップ(1)および(2)を繰り返して、所望の部品を製造する。この目的のため、部品が層状に構築される構築プラットフォームは、例えば、新しい層を塗布する前に、それぞれ1層分の厚さだけ低くしてもよい(あるいは、コーティング装置および印刷装置を、例えば、それぞれ1層分の厚さだけ高くしてもよい)。
(4)最後に、ゆるい、未固化の粒状材料で支持され囲まれている製造済み部品を取り出すことができる。
【0004】
1つまたは複数の部品が製造される構築空間は、例えば、いわゆる構築ボックス(「ジョブボックス」とも呼ばれる)によって画定されてもよい。このタイプの構築ボックスは、上方向に開口し、垂直方向に延びる周壁構造(例えば、4つの垂直な側壁によって形成される)を有してもよく、例えば、上から見て長方形となるように形成されてもよい。高さ調整可能な構築プラットフォームは、構築ボックスに収容することができる。この点において、構築プラットフォームの上方および垂直周壁構造の間の空間は、例えば、構築空間の形成に少なくとも寄与し得る。構築空間の上部領域は、例えば、構築フィールドと呼ばれる場合がある。そのような構築ボックスの例は、例えば、独国特許出願公開第102009056696号明細書に記載されている。
【0005】
コーティング装置(「リコータ」とも呼ばれる)を有するコーティング装置配置は通常、上記のステップ(1)で使用される。3Dプリンタで使用するための様々なコーティング装置配置が知られており、これを用いて、表面全体に均一な層の形態で、粒状構築材料を構築フィールド(構築面または構築領域とも呼ばれる)に塗布することができる。
【0006】
コーティング装置配置の1つのタイプは、ローラ(つまり、「ローラコーティング装置」)を使用し、まず一定量の粒状構築材料をローラの手前に置き、次にローラを構築フィールドを横切って(例えば、水平に)移動させて、均一な層の形態で、粒状構築材料を構築フィールドに塗布する。この点において、ローラは、移動方向とは反対方向に回転することができる。このタイプのコーティング装置配置は、小さな構築フィールド用、およびコーティング装置が及ぶ短い距離用に特に適している。
【0007】
別の種類のコーティング装置配置(いわゆる「容器コーティング装置」、例えば「スロットコーティング装置」を有するコーティング装置配置)は、構築フィールドを横切って(例えば、水平に)変位可能であり、構築フィールドへの粒状構築材料を出力する開口部につながる粒状構築材料を収容する内部キャビティを画定する容器を有するコーティング装置を使用する。コーティング装置は、例えば、長方形の構築フィールドの長さまたは幅に及び、またはカバーするように、延びていてもよい。その後、開口部は長手方向スロットとして設けてもよい。そのため、コーティング装置は、構築フィールドを横切って(例えば、水平に)移動することが可能であり、同時に構築フィールドへ開口部から粒状構築材料を出力することができ、そのため構築フィールドの表面全体に均一な層を塗布することができる。このタイプのコーティング装置の一例は、例えば、独国特許出願公開第102014112454号明細書に記載されている。
【0008】
上記のステップ(2)において、例えば、先に塗布された構築材料層のサブエリアに、制御された方法で処理剤を塗布する、プリントヘッドを有する印刷装置を使用してもよい。
処理剤は、サブエリアの構築材料層の固化に寄与する。例えば、処理剤は、例えば多成分結合剤の結合剤成分などの結合剤であり得る。
【0009】
本出願の意味の範囲内の粒状構築材料は、少なくとも1種類の粒状材料(例えば砂(の粒子)、例えば鋳物砂、および/または金属粒子および/または合成材料の粒子)を含む構築材料として理解され得る。構築材料には、複数の異なるタイプの粒状材料、例えば新しい砂と再生砂の混合物、細かい砂と粗い砂の混合物、または2つの異なるタイプの砂の混合物なども同様に含めることができる。さらに、構築材料は、少なくとも1つの液体成分、例えば結合剤成分、例えば活性剤、および/または1つ以上の固体および/または液体添加剤を含むことができる。構築材料が結合剤成分を含む場合、フラン樹脂などの別の結合剤成分を、先に塗布された構築材料層上に印刷装置によって選択的に印刷して、この層を所定の領域内で固化させることができる。製造される部品、例えば、鋳造金型または鋳造中子に応じて、この目的のために特別に準備された構築材料組成物が、使用され得る。この点において、構築材料組成物は、使用される部品の数、ならびに構築材料(混合物)内に含まれる部品のそれぞれのタイプおよびそれぞれの割合によって規定され得る。
【0010】
請求項1あるいは請求項7の前文に記載の3Dプリンタの例は、国際公開第2016/030405号明細書から知られている。例えば、当該文献の
図1を参照。そこに示された3Dプリンタは、同時に2つの構築ボックスを受領することができ、そのため2つの構築ジョブ(=割り当てられた構築空間内における1つ以上の部品の生成的製造)を並行して実行することができる。2つの構築空間は、長方形となるように形成され、それぞれの短辺に沿って隣り合うように配置されている。構築ボックスまたは構築空間はそれぞれ長方形の長辺に垂直に沿って割り当てられたコーティング装置を有し、長方形の短辺に垂直に沿う共通の印刷装置は、第1および第2構築空間の両方に働く。国際公開第2016/030405号明細書によると、上記のコーティング装置および共通の印刷装置の配置により、1つまたは複数の構築ジョブを迅速に行うことができる。当該文献の5頁目から6頁目にまたがる段落、および13頁目の最終段落を参照。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、請求項1に記載の3Dプリンタ、請求項7に記載の3Dプリンタ、請求項5に記載の生成的製造プロセス、および請求項13に記載の生成的製造プロセスを提供する。さらなる発明の実施形態は、それぞれの従属請求項に記載されている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の様々な例示的な実施形態によれば、3Dプリンタおよび生成的製造プロセスが提供され、それによって、適切な品質の部品が適切な時間に合理的な努力で製造され得る。本発明の様々な例示的な実施形態によれば、適切な品質の部品を容易に、確実に、かつ迅速に製造することができる。
【0013】
本発明の一態様によれば、3Dプリンタは、たとえば、砂粒子を含む粒状の構築材料の構築材料層を互いに重なり合って形成し、そのそれぞれの部分領域で(厚さ方向に)隣接するいくつかの構築材料層を(製造される部品のそれぞれの断面に応じて)選択的に固化することで、構築空間に、例えば鋳造金型または鋳造中子などの3次元部品を層状に構築するように構成される。例えば、構築空間は、構築プラットフォームにより少なくとも共形成/共開発されてもよく、またはその上に配置されてもよい。すなわち、3Dプリンタは、その上に1つまたは複数の部品が建てられる構築プラットフォームを備えてもよい。
さらに、構築空間は、上述の構築ボックスによって形成/規定されてもよい。すなわち、3Dプリンタは、例えば、上述の構築ボックスを備えてもよい。3Dプリンタは、固化される構築材料の均一な構築材料層の形態で構築材料を構築空間に供給するため、構築空間を横切って第1方向(例えば第1水平方向)に移動可能なコーティング装置、および先に塗布された構築材料層の部分領域に流動性の処理剤を制御された方法で出力するため、構築空間を横切って第2方向(例えば第2水平方向)に移動可能な印刷装置から構成されており、それはその選択的な固化に寄与する。例えば、コーティング装置は、いわゆる「容器コーティング装置」(上記参照;構築空間を横切って(例えば水平に)移動でき、粒状の構築材料を収容する内部キャビティを画定する容器を備え、粒状の構築材料を構築フィールドまたは構築空間に出力するための開口部で開口するコーティング装置)として構成されてもよく、例えば、いわゆる「スロットコーティング装置」として、その開口部は長く延びるスロットとして構成される。3Dプリンタはさらに、時間的に重なり合う方法で構築空間を横切って移動するように、および/または重なり合う方法で、構築材料を構築空間に供給するか、または先に塗布された構築材料層の部分的な領域に制御された方法で流動性処理剤を出力するようにコーティング装置および印刷装置を制御するように構成された制御装置を含む。
【0014】
例示として、本発明によれば、請求項1の前文に記載のタイプの3Dプリンタにおいて、構築空間を横切る印刷装置の移動と、構築空間を横切るコーティング装置の移動を重ね合わせることで、および/または、構築空間への構築材料の供給と、先に塗布された層への流動性の処理剤の出力を重ね合わせることで、構築ジョブに要する時間を短縮することができる。
【0015】
換言すれば、本発明によれば、印刷装置によって実行される印刷動作と、コーティング装置によって実行されるコーティング動作を、例えば、可能な限り、部分的に並列化するように構成された制御装置を提供することによって、3Dプリンタの性能および出力を向上させることができる。したがって、本発明によれば、常に印刷またはコーティングが実行される従来技術とは異なり、印刷プロセスとコーティングプロセスが互いに重なり合う。すなわち、従来技術では、コーティングプロセスと印刷プロセスは時間的に分離され、それぞれに続く。印刷プロセスとコーティングプロセスがどの程度並列化されているか、あるいはどの程度重なっているか、そして印刷プロセスとコーティングプロセスが最終的にどの程度お互いに並列化されているかは、とりわけ、それぞれの用途に依存する。
換言すれば、本発明によれば、印刷およびコーティングは、構築空間内で部分的/一時的に同時に/並行して行われる。例えば、コーティング装置が層を塗布し始め、コーティング装置が十分に移動した後、または層が第1方向に十分に塗布された後、層の第1セクション(いわゆるプリントセクション、例えば 「最初のクロスストリップ」)は、「コーティング装置の後方」またはその後ろで印刷できるため、完全な層の完成を待つ必要はない。
この目的のために、印刷装置は、例えば、第1方向にセグメント化されたプリントヘッドを有してもよく、そのセグメント(例えば、プリントセクションまたは印刷ストリップごとに1つのセグメント)は、構築空間を横切って第2方向に別々に移動可能であり、または第1方向に変位可能なプリントヘッドを有してもよい(下記参照)。したがって、一般に、印刷装置は、第1方向に見て、順に配置され連続して処理される複数のプリントセクションで、構築空間または先に塗布された層に選択的に印刷するように構成されてもよく、それぞれのプリントセクションは印刷装置によって第2方向に沿って通る。しかし、代替的に、コーティング装置はまた印刷装置の後方で動作してもよく、すなわち、印刷装置は、既に完全に塗布された層の印刷を開始してもよく、例えば、層の第1セクション(第1プリントセクションに相当する)、または十分に大きな領域が印刷装置によって完全に処理された後、コーティング装置が新たな層の塗布を開始してもよい。すなわち、「新しく」印刷された第1プリントセクションのコーティングをしてもよい。
【0016】
例えば、制御装置は、20%以上、例えば25%以上、例えば30%以上、例えば35%以上、例えば40%以上、例えば45%以上、例えば50%以上、例えば55%以上、例えば60%以上の重なりの度合いがあるように、コーティング装置と印刷装置を制御してもよい。例えば、重なりの度合いは以下のように計算されてもよい:
tB,D/tB*100、ここで、tBは層をコーティングまたは塗布するのに要する時間(すなわち、コーティング装置が構築空間を横切って移動する時間)であり、tB,Dは、印刷とコーティングの両方にかかる時間、またはコーティング装置と印刷装置が時間的な重なりとともに構築空間を横切って移動する時間(例えば、構築空間を横切って印刷装置の個々の走行の間に可能な旋回セクションを含むが、コーティング装置を進めるために印刷装置が2つの個々の走行の間に静止している/休止している間の印刷装置の可能な待機期間/停止期間を除く)である。例えば、印刷装置が(連続して)コーティング装置の後方で動作する場合には、重なり度合いは、例えば、印刷の開始(印刷装置が第2方向に構築空間を通過するためにそこに到達した時)からの残りのコーティング時間を総コーティング時間(1層分)で割った商から計算することができる。例えば、コーティング装置が印刷装置の後方で動作する場合には、重なり度合いは、例えば、コーティング開始(コーティング装置が第1方向に構築空間を通過するためにそこに到達した時)からの残りの印刷時間を総コーティング時間(1層分)で割った商からから計算することができる。
【0017】
一実施形態によれば、3Dプリンタにおいて、印刷装置は、第1方向に変位可能なプリントヘッドを含んでもよく、例えば、プリントヘッドが構築空間を横切って、例えば、U字形経路(2つの個々の走行で構成される)またはS字形経路(3つの個々の走行)に沿って、一般的に蛇行パターンで(双方向性プリントヘッドの場合)移動するように、構築材料層を選択的に印刷する(または構築材料層を選択的に固化する、または層のそれぞれの部分領域を印刷する)ため、制御装置はプリントヘッドを複数回(オフセットして)構築空間を横切って第2方向に移動させる。この目的のために、印刷装置は、例えば、第1方向に延び、プリントヘッドが移動可能に取り付けられるプリントヘッドキャリアを構成してもよく、ここで、プリントヘッドキャリアは順番にリニアガイドに取り付けられてもよく、例えばその2つの端部側に取り付けられてもよく、これに沿って、プリントヘッドキャリアは、構築空間を横切って第2方向に移動可能になっている。この点において、プリントヘッドを第1方向に移動させることにより、複数のプリントセクション、例えば複数のプリントストリップが形成されてもよく、例えば、これらのプリントセクションは、第1方向に見て互いに平行に、かつ、交互に配置されてもよい。この点において、制御装置は、例えば、第1方向に見てエッジ部でプリントセクションを重ね合わせるように構成されていてもよい。
【0018】
例示として、この実施形態によれば、重なりの潜在性が効果的に使用され得る。例えば、例示として、第1プリントストリップ/プリントセクションの印刷は、コーティング装置が第1方向に十分に遠くまで、すなわち第1方向に第1プリントストリップ/プリントセクションの延長部を越えて移動するとすぐに開始されてもよく、または逆にコーティング装置は第1プリントストリップ/プリントセクションが印刷された後、印刷装置が完全に構築空間(または残りのプリントセクション)を移動する前に、構築空間を横切って移動されうる。
【0019】
代替的または追加的に、3Dプリンタの一実施形態によれば、第1方向に沿って構築空間を横切ってコーティング装置によって移動される距離は、第2方向に沿って構築空間を横切って一旦移動する際に印刷装置によって移動される距離以上であってもよい。
したがって、構築空間を横切って第1方向へのコーティング装置の単一の移動は、構築空間を横切って第2方向への印刷装置の単一の移動以上である。換言すれば、第1方向の構築空間の寸法は、第2方向の構築空間の寸法以上であってもよい。したがって、構築空間は、上面図で2つの長辺および2つの短辺を有する正方形または長方形であり得る。後者の場合、コーティング装置の経路は長辺に対応し、(単一の)印刷装置の経路は短辺に対応する。
【0020】
例示として、この実施形態によれば、重なりの潜在性は、例えば上記の実施形態と組み合わせて、特定の効果的な方法で使用されてもよい。換言すれば、第1方向に見たときに、印刷領域が次々と配置されるプリントセクションに分割されることが好ましい。
【0021】
コーティング装置および印刷装置の配置が、構築フィールドを横切ってコーティング装置によって移動される距離が、構築フィールドを横切って印刷装置によって移動される距離以上となるように選択される場合、すなわち、国際公開第 2016/030405号明細書に記載の配置の逆である場合、または、(第1方向に沿って)コーティング装置によって横断される第1構築空間の距離または延長部が、(第2方向に沿って)印刷装置によって横断される構築空間の距離または延長部以上となる場合、それにより、様々な実施形態によれば、コーティング装置はより長い距離(少なくともより短いものではない)を走行し、それによりそれ自体がより短い距離(少なくともより長いものではない)に及ぶことができるので、製造されるべき部品の適切な品質が、例えば、合理的なコストおよび/または合理的な複雑さで保証されることが可能であり得る。この点に関して、コーティング装置が部品の品質に影響を与えることなく(例えば、出力構築材料をストロークさせるためのコーティング装置ブレードのような、コーティング装置、またはコーティング装置部品の歪み結果として)コーティング装置が及ぶことのできるそれぞれの長さ/距離は、実際には(特に合理的なコストおよび/または合理的な複雑さで)制限されていることを考慮に入れるべきである。一方、1つの、そして同一の構築空間に対して複数のコーティング装置を使用することは、(特に2つのコーティング装置の間に)均一な層を塗布することがもはや不可能であるか、または少なくとも非常に困難であるかもしれないため、問題となる可能性がある。
【0022】
さらに、本発明の発明者らは驚くべきことに、コーティング装置をより長い距離(少なくとも短いものではなく)にわたって移動させることは、必ずしも全体の製造時間を長くする必要はないが、コーティング装置の比較的長い距離と実行時間を利用して、印刷プロセスとコーティングプロセスとを効果的な方法で重ね合わせたり、「並列化」したりすることができることに気付いた。
【0023】
上述のように、印刷装置のプリントヘッドは、例えば、第1/長手方向に沿ってセグメント化されていてもよく、または第1/長手方向に沿って構築フィールドの一部のみを覆っていてもよいが、第1方向に変位可能に構成されていてもよく、プリントヘッドまたはそのセグメントは、コーティング装置が構築空間を横切る完全な経路を作る前であっても、コーティング装置が第1方向に十分な距離を移動した後であっても、第2方向に(第1プリントセクションに沿って)構築フィールドを横切って移動される。換言すれば、本発明者らは、前記配置を有する印刷とコーティングの2つのプロセスの間に特に大きな重なりの可能性があることを認識している。したがって、本発明者らは、この点での偏見(コーティング装置を短い方向に沿って移動させること)を克服し、重なりの潜在性が特定の効果的な方法で使用される場合、逆の配置を用いた場合よりも、同等の条件下で、前記配置を用いてさらに短い製造時間を達成することができる。
【0024】
代替的または追加的に、一実施形態によれば、3Dプリンタにおいて、コーティング装置は双方向コーティング装置として構成されてもよく、および/または印刷装置は双方向印刷装置として構成されてもよい。すなわち、コーティング装置は、構築空間を横切って(それぞれの場合には第1方向の)往復走行中に、均一な層の形態で構築材料を出力するように構成されていてもよい。この目的のために、コーティング装置は、例えば、(第1方向に)開口部の両側にストローク部材(例えば、コーティング装置ブレード)を有する容器コーティング装置として構成されてもよく、例えば、そのそれぞれの角度は、迎え角/傾斜角などは調整可能である。例えば、ストローク部材は、開口部からの出力された構築材料をストロークするように適合された下向きのストローク面を有することができ、それにより、出力された粒状材料を平坦化および/または圧縮する。適切なコーティング装置は、例えば、独国特許出願公開第102014112469号明細書に記載されており、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0025】
例示として、この実施形態によれば、構築作業に必要な時間をさらに短縮することができ、3Dプリンタの性能および出力をさらに向上させることができる。
【0026】
代替的または追加的に、3Dプリンタの一実施形態によれば、 コーティング装置の出力領域(例えば、コーティング装置の開口部および/またはスロット)は、第1方向に垂直な方向および/または第2方向に完全に及んでいてもよく、および/または
印刷装置の1つのまたは複数のプリントヘッドの出力部分(例えば、プリントヘッドの複数の印刷ノズルによって形成されている)は、第2方向に垂直な方向および/または第1方向に延びていてもよく、および/または
プリントヘッドの出力領域は、第2方向に垂直な方向および/または第1方向において、(その方向において)構築空間よりも短く、および/またはコーティング装置によって移動される距離よりも短く、例えば、実質的にコーティング装置によって移動される距離の半分の大きさまたはそれよりも小さくてもよい。例えば、プリントヘッドの出力領域の長さは、第1方向において、第1方向における構築空間の長さの65%以下、例えば60%以下、例えば55%以下、例えば50%以下、例えば45%以下、例えば40%以下、例えば35%以下であってもよい。例えば、プリントヘッドの出力領域の長さは、第1方向において、第1方向における構築空間の長さの10%以上、例えば15%以上、例えば20%以上、例えば25%以上、例えば30%以上であってもよい。例えば、第1方向におけるプリントヘッドの出力領域の長さは、第1方向における構築空間の長さの65%~10%の範囲、例えば60%~15%の範囲、例えば55%~15%の範囲であってもよい。
例えば、プリントヘッドの出力領域は、第1方向において、それぞれのプリントセクション(上記参照)の延長部以上、例えば、それぞれのプリントセクションよりもわずかに大きく、例えば20%大きく、例えば15%大きく、例えば10%大きく、例えば5%大きくなるように設定されてもよい。この場合、プリントヘッドの全てのプリントノズルがプリントセクションを印刷するために必要なものではなく、例えばプリントヘッドのエッジ部分に配置されているものが必要なものではない。
【0027】
代替的または追加的に、3Dプリンタの一実施形態によれば、
第1方向と第2方向とが交差して、それによって角度、例えば実質的に90°の角度を形成してもよく(実質的とは、例えば±25°、例えば±20°、例えば±15°、例えば±10°、例えば±5°を意味してもよい)、および/または
構築空間は、平面視において、例えば2つの長辺および2つの短辺を有する長方形に形成されてもよく、ここで、例えば、第1方向が、構築空間の長辺に対して実質的に平行であり(実質的とは、±10°、例えば、±5°の偏差を意味し得る)、および/または
コーティング装置によって移動される距離は、第2方向に沿って構築空間を横切って印刷装置によって移動される単一距離よりも、例えば少なくとも1.2の係数まで、例えば少なくとも1.3の係数まで、例えば少なくとも1.4の係数まで、例えば少なくとも1.5の係数まで大きくてもよく、および/または
第2方向に沿って構築空間を横切る印刷装置によって移動される単一距離は1.0mから1.4m、例えば1.2mであってよい。
【0028】
代替的または追加的に、3Dプリンタの一実施形態によれば、制御装置は、コーティング装置および印刷装置、例えばプリントヘッドを、第1方向に見て、同じおよび/または共通の、第1側から出発し、構築空間を横切って、第1方向に見て、反対側の、第2側に移動させるように構成されてもよく、それにより、粒子材料および流動性の処理剤をそれぞれ分配することができる。次に任意に、コーティング装置および印刷装置は、第2側から第1側に戻って移動してもよく、それにより、(例えば、コーティング装置が双方向に動作している場合)粒子材料および流動性の処理剤をそれぞれ再び分配することができる。これらのプロセスは例えば、数回繰り返されてもよい。
【0029】
プリントヘッドおよび/または印刷装置は、例えば、コーティング装置から離れた垂直方向に配置されていてもよく、別の平面、例えば水平面内で移動可能であってもよい。
【0030】
例えば、制御装置は、コーティング装置よりも高速でプリントヘッドおよび/または印刷装置を変位/移動させるように構成されてもよい。
【0031】
例えば、コーティング装置および印刷装置および/またはプリントヘッドは互いに機械的に分離されてもよく、および/または別々に移動可能であってもよい。例えば、コーティング装置は第1方向に移動可能であってもよく、その間プリントヘッドおよび/または印刷装置が同時に第2方向に移動可能であってもよい。
【0032】
例えば、コーティング装置は、コーティング装置が取り付けられたキャリッジによって、コーティング装置のリニアガイド構造に沿って移動可能であってもよい。
【0033】
それぞれの部分領域における複数の隣接する構築材料層の選択的な固化は、例えば、結合剤の噴射、すなわち、(粒状の)構築材料を結合剤で/を使用して(選択的に)接着させることによって、達成されてもよい。
【0034】
本発明の第1の態様に従って上述した原理はまた、いわゆるマルチコンストラクションスペース3Dプリンタ、例えば2つ、3つ以上の隣接する構築空間を有する3Dプリンタに適用することができ、特に好適である。
【0035】
本発明のさらなる第2の態様によれば、第1構築空間およびそれに隣接する第2構築空間に(例えば、そこから離れて配置された)1つ以上の3次元部品を層状に構築するように構成された3Dプリンタ(マルチコンストラクションスペース3Dプリンタ)が設けられ、ここで、第1構築空間には第1コーティング装置が割り当てられ、第2構築空間には第2コーティング装置が割り当てられており、固化される構築材料の均一な構築材料層の形態で構築材料をそれぞれの構築空間に供給するため、第1構築空間を横切る第1方向(例えば、第1水平方向)と、第2構築空間を横切る第1方向に実質的に平行な第3方向に(例えば、第3水平方向)(実質的とは、±10°、例えば、±5°の偏差を意味し得る)にそれぞれ移動可能である。それぞれの構築空間は、例えば、関連する構築プラットフォームの上に配置されてもよく、および/または、場合によって関連する構築ボックス(上記参照)とともに、そのようなプラットフォームによって(共)形成/定義されてもよく、それぞれのコーティング装置は、例えば、容器コーティング装置(上記参照)、例えばスロットコーティング装置によって形成されてもよい。例えば、第1と第2コーティング装置は、別々におよび/または互いに独立して動作可能であってもよい。
3Dプリンタは、さらに、第1構築空間および第2構築空間を横切って、第1及び第3方向に対してある角度(例えば、それぞれ実質的に90°の角度)で配置された第2方向(例えば、第2水平方向)に移動可能であり、第1構築空間の先に塗布された構築材料層の部分領域および第2構築空間の先に塗布された構築材料層の部分領域に流動性の処理剤を制御された方法で出力するための共通の(すなわち、2つの構築空間によって共有される、または両方の構築空間に提供する)印刷装置を備えている。3Dプリンタはさらに、第1構築空間を横切る第1方向における第1コーティング装置の移動と、第2構築空間を横切る第3方向における第2コーティング装置の移動が、第1構築空間を横切る第2方向における印刷装置の移動と、第2構築空間を横切る第2方向における印刷装置の移動のうちの少なくとも1つと時間的に重なるように、および/または、第1コーティング装置による第1構築空間への構築材料の供給と、第2コーティング装置による第2構築空間への構築材料の供給が、第1構築空間および第2構築空間の少なくとも一方の構築材料層への流動性の処理剤の制御された出力が時間的に重なっているように、第1コーティング装置、第2コーティング装置、および共通の印刷装置を制御するように構成された制御装置を構成する。例えば、制御装置は、第1構築空間および/または第2構築空間を横切って第1コーティング装置および第2コーティング装置を実質的に横並び/並列/同時に移動させるように構成されてもよい(実質的にとは、例えば、90%以上、例えば、95%以上の時間の重なりがあることを意味してもよい)。
【0036】
換言すれば、本発明のこの態様によれば、部分的に/同時に一時的に/平行に第1構築空間でコーティングし、第2構築空間でコーティングし、第1および第2構築空間の一方で印刷することが可能である。これは、共通の印刷装置により行われる印刷動作と、2つのコーティング動作とが並行して行われることを意味する。この目的のために、第1の態様の記述と同様に、印刷装置は2つのコーティング装置の後方で動作してもよく、または2つのコーティング装置は印刷装置の後方で動作してもよい。例えば、共通の印刷装置は、第1方向に見て交互に配置され、後から順に処理される複数のプリントセクションにおいて、第1構築空間と第2構築空間とを選択的に印刷するように構成されていてもよく、それぞれのプリントセクションは、印刷装置によって第2方向に沿って移動され、第1と第2構築空間の両方を横切って延びている。
【0037】
したがって、上述した重なりの原理は、2つ(またはそれ以上;構築空間の数は必要に応じて拡張可能であると理解すべきである)の隣接する構築空間に適用することができ、部品の節約またはコスト削減を達成するために、(すべての構築空間に提供する)共通の印刷装置および2つのコーティング装置(および/または構築空間ごとに1つのコーティング装置)により実現することができる。
【0038】
例えば、制御装置は、この実施形態にもよれば、20%以上、例えば25%以上、例えば30%以上、例えば35%以上、例えば40%以上、例えば45%以上、例えば50%以上、例えば55%以上、例えば60%以上の重なりの程度があるように、第1コーティング装置、第2コーティング装置、および共通の印刷装置を制御してもよい。
重なりの程度は例えば、下記のように計算することができる:
tB,D/tB*100、ここで、tBは、2つ/全ての構築空間においてコーティングに要する時間(すなわち、第1コーティング装置および第2コーティング装置が層をコーティングするためにそれぞれの構築空間を横切って移動する間の時間)であり、tB,Dは、印刷およびコーティングの両方が行われる時間、および/または、時間的に重なるよう、(例えば、構築空間を横切る印刷装置の単一の移動の間の可能な旋回セクションを含む)コーティング装置および印刷装置が構築空間を横切って移動する間の時間である。例えば、印刷装置がコーティング装置の後方で動作する場合には、重なり度合いは、例えば、印刷の開始(印刷装置が第2方向に構築空間を横切って移動するためにそこに到達した時)からの残りのコーティング時間を総コーティング時間(第1及び第2構築空間に完全な層が塗布されるまで)で割った商から計算することができる。例えば、コーティング装置が印刷装置の後方で動作する場合には、重なりの度合いは、例えば、コーティング開始(第1コーティング装置と第2コーティング装置が第1方向にそれぞれの構築空間横切って移動するためにそこに到達した時点)からの残りの印刷時間を総コーティング時間で割った商から計算することができる。同様に、重なりの程度は、第3コーティング装置を備えた第3構築空間、第4コーティング装置を備えた第4構築空間、第5コーティング装置を備えた第5構築空間などの場合も計算できる。
【0039】
本出願のこの態様によれば、3Dプリンタの性能および出力は、適切な部品の品質を維持しながら、妥当なコストでさらに向上させることができる。
【0040】
一般に、第1の態様について記載されていることは、マルチコンストラクションスペース3Dプリンタにも当てはまる。
【0041】
この点において、3Dプリンタ(マルチコンストラクションスペース3Dプリンタ)の一実施形態によれば、
印刷装置は第1方向に変位可能なプリントヘッドを備えてもよく、制御装置が、例えばプリントヘッドが、例えばU字形経路またはS字形経路に沿って、完全に蛇行するパターンで第1および第2構築空間を横切って移動するように、第1構築空間の構築材料層と第2構築空間の構築材料層を選択的に印刷するために、第1と第2構築空間を横切って、(オフセット/変位した方法で)第2方向に複数回(交互に)プリントヘッドを移動させるよう構成されており、(印刷装置は、例えば、第1態様に記載されたように構成されていてもよく、プリントヘッドキャリアは、第1および第2構築空間を横切って、第2方向にリニアガイドに沿って移動可能であってもよい)、および/または
第1方向に沿って第1構築空間を横切る第1コーティング装置によって移動される距離は、第2方向に沿って第1構築空間を横切る印刷装置によって移動される(単一の)距離以上であってもよく、例えば、少なくとも1.2の係数まで大きくてもよく、および/または第1方向における第1構築空間の寸法は、第2方向における第1構築空間の寸法以上であってもよく(第1態様について詳細に記載されているように、この配置は、最終的には、部品の品質、コスト、複雑さ、および製造プロセス全体の持続時間に関して有利であり)、および/または
第3方向に沿って第2構築空間を横切る第2コーティング装置によって移動される距離は、第2方向に沿って第2構築空間を横切る印刷装置によって移動される(単一の)距離以上であってもよく、例えば、少なくとも1.2の係数まで大きくてもよく、および/または第3方向における第2構築空間の寸法は、第2方向における第2構築空間の寸法以上であってもよく(第1態様について詳細に記載されているように、この配置は最終的に部品の品質、コスト、複雑さ、および製造プロセス全体の持続時間に関して有利であり)、および/または
第1コーティング装置および第2コーティング装置はそれぞれ双方向コーティング装置として構成されてもよく、および/または共通の印刷装置は双方向印刷装置として構成されてもよい。
【0042】
代替的または追加的に、例えば、3Dプリンタ(マルチコンストラクションスペース3Dプリンタ)の一実施形態によれば 、
第1構築空間と第2構築空間は、実質的に同じ形状と大きさを有していてもよく、および/または
第1構築空間と第2構築空間は第2方向から見て交互に配置されていてもよく、および/または
第1構築空間および第2構築空間はそれぞれ、例えば、2つの長辺および2つの短辺を有する長方形に形成されてもよく、第1構築空間および第2構築空間は互いに隣接する2つの長辺を有するように配置され、および/または第1方向および第3方向は、それぞれ第1構築空間の長辺および第2構築空間の長辺に対して実質的に平行であり(実質的にとは、この点において、±10°、例えば、±5°の偏差を意味し得る)、および/または
第1コーティング装置の出力領域は、第1方向に垂直な方向におよび/または第2方向に完全に第1構築空間に及んでいてもよく、および/または
第2コーティング装置の出力領域は、第3方向に垂直な方向におよび/または第2方向に完全に第2構築空間に及んでいてもよく、および/または
印刷装置のプリントヘッドの出力領域は、第2方向に垂直な方向および/または第1方向に延びていてもよく、および/または
プリントヘッドの出力領域は第1構築空間よりも短くてもよく、および/または第1コーティング装置によって移動される距離よりも短くてもよく、例えば、第2方向に垂直な方向および/または第1方向に、実質的に半分以下の大きさであってもよく(この態様にも同様に適用される第1様態に関する他の記載を参照のこと)、および/または
第2方向(H2)に沿って第1構築空間を横切って印刷装置が移動する単一の距離は、1.0m~1.4m、例えば1.2mであってもよく、および/または第2方向に沿って第2構築空間を横切って印刷装置が移動する単一の距離は、1.0m~1.4m、例えば1.2mであってよく、および/または
制御装置は、第1コーティング装置、第2コーティング装置および共通の印刷装置、例えばプリントヘッドを、第1及び第3方向に見て、共通の、第1側から、第1および第2構築空間を横切って、第1及び第3方向に見て、反対側の、第2側に移動させ、それによって粒状物質および/または流動性の処理剤を分配するよう構成されていてもよく、その後、任意に、第1コーティング装置、第2コーティング装置および共通の印刷装置、例えばプリントヘッドを、第2側から第1側に戻って移動させ、それによって粒状物質および/または流動性の処理剤を再び分配するように構成されていてもよい。
【0043】
共通のプリントヘッドは、例えば、第1コーティング装置と第2コーティング装置から距離を置いて垂直方向に配置されてもよく、また別の平面、例えば水平面内で移動可能であってもよい。
【0044】
共通のプリントヘッドは、例えば、制御装置によって、それぞれコーティング装置よりも高速(例えば、最高速度および/または平均速度)で移動されてもよい。
【0045】
例えば、一実施形態によれば、3Dプリンタ(マルチコンストラクションスペース3Dプリンタ)は、第2構築空間に隣接して配置された第3構築空間と、第3構築空間に固化される構築材料の均一な構築材料層の形態で構築材料を提供するため、第3構築に割り当てられ、第1方向に実質的に平行な第4方向に沿って第3構築空間を横切って移動可能な第3コーティング装置をさらに含む。例えば、3Dプリンタは第3構築空間において1つ以上の3次元部品を層状に構築するように構成されていてもよい。
共通の印刷装置は、例えば第3構築空間の先に塗布された構築材料層の部分領域に流動性の処理剤を制御された方法で出力するために、第3構築空間を横切って第2方向に移動可能であってもよい。第3コーティング装置の出力領域は、例えば第4方向に直交する方向に第3構築空間に完全に及んでいてもよい。第4方向に沿って第3構築空間を横切る第3コーティング装置によって移動される距離は、例えば第2方向に沿って第3構築空間を横切る印刷装置によって移動される(単一の)距離以上であってもよく、例えば、少なくとも1.2の係数まで大きくてもよく、および/または第4方向に沿って第3構築空間の寸法は、例えば第2方向に沿って第3構築空間の寸法以上であってもよい(第1態様について詳細に記載されているように、この配置は最終的には部品の品質、コスト、複雑さ、および製造プロセス全体の持続時間に関して有利である)。制御装置は、例えば、関連する構築空間を横切るコーティング装置のそれぞれの移動が構築空間の少なくとも1つを横切る第2方向への共通の印刷装置の移動と時間的に重なるように、および/または関連するコーティング装置によるそれぞれの構築空間への構築材料の供給が少なくとも1つの構築空間の先に塗布された構築材料層への流動性の処理剤の制御された分配と時間的に重なるように、第1コーティング装置、第2コーティング装置、第3コーティング装置、および共通の印刷装置を制御するように構成されていてもよい。
【0046】
このような3つの構築空間と3つのコーティング装置を有する3Dプリンタ(マルチコンストラクションスペース3Dプリンタ)については、1つの構築空間と1つのコーティング装置を有する3Dプリンタ、または2つの構築空間と2つのコーティング装置を有する3Dプリンタについての上記の情報が同様に適用される。
【0047】
第3構築空間は、例えば、第1および/または第2構築空間と同様に構成されていてもよい。第3コーティング装置は、例えば、第1および/または第2コーティング装置と同様に構成されていてもよい。第3コーティング装置は、例えば、双方向コーティング装置として構成されていてもよい。共通の印刷装置は、例えば、双方向印刷装置として構成されていてもよい。例えば、第1構築空間、第2構築空間および第3構築空間は実質的に同じ形状および大きさを有していてもよい。第1構築空間、第2構築空間および第3構築空間は、例えば、第2方向に見たとき、交互に配置されていてもよい。第1構築空間、第2構築空間および第3構築空間はそれぞれ、例えば、2つの長辺および2つの短辺を有する長方形に形成されてもよく、第1および第2構築空間は互いに隣接する2つの長辺を有するように配置され、および第2および第3構築空間は互いに隣接する2つの長辺を有するように配置され、および/または、例えば、第1方向、第3方向および第4方向は第1構築空間の長辺および/または第2構築空間の長辺および/または第3構築空間の長辺に対して実質的に平行である(実質的にとは、この点において、例えば、±10°、例えば、±5°の偏差を意味し得る)。制御装置は、第1コーティング装置、第2コーティング装置、第3コーティング装置および共通の印刷装置、例えばプリントヘッドを、第1、第3、及び第4方向に見て、共通の、第1側から、第1、第2および第3構築空間を横切って、第1、第3及び第4方向に見て、反対側の、第2側に移動させ、それによって粒状物質および/または流動性の流処理剤を分配するよう構成されていてもよく、その後、任意に、第1コーティング装置、第2コーティング装置および共通の印刷装置、例えばプリントヘッドを、第2側から第1側に戻って移動させ、それによって粒状物質および/または流動性の処理剤を再びそれぞれ出力するように構成されていてもよい。
【0048】
印刷装置は、例えば、第1方向に変位可能なプリントヘッドを構成してもよく、例えば、プリントヘッドが、第1、第2および第3構築空間を横切って、例えば、U字形経路またはS字形経路に沿って、一般的に蛇行するパターンで移動するように、第1構築空間の構築材料層、第2構築空間の構築材料層、および第3構築空間の構築材料層を選択的に印刷するために、制御装置は、第1、第2、および第3構築空間を横切って(連続的に)第2方向に複数回/反復的に(変位した/オフセットした方法で)プリントヘッドを移動させるように構成されてもよい(印刷装置は、例えば、第1態様に記載されたように、プリントヘッドキャリアが、第1、第2および第3構築空間を横切って、第2方向のリニアガイドに沿って移動可能であるように構成されていてもよい)。
【0049】
共通のプリントヘッドは、例えば、第1コーティング装置、第2コーティング装置及び第3コーティング装置から離れた垂直方向に配置されていてもよく、別の平面、例えば水平面内で移動可能であってもよい。例えば、共通のプリントヘッドは、制御装置によって、それぞれのコーティング装置よりも高速(例えば、最高速度および/または平均速度)で移動可能であってもよい。
【0050】
言うまでもなく、3Dプリンタ(マルチコンストラクションスペース3Dプリンタ)は、例えば、第4構築空間と第4コーティング装置、またはn個の構築空間とn個のコーティング装置により補足/拡張されてもよく、nは自然数である。
このような4つ以上の構築空間と4つ以上のコーティング装置を有するマルチコンストラクションスペース3Dプリンタについては、1個、2個および/または3個の構築空間とコーティング装置を有する3Dプリンタについての上記の情報が同様に適用される。
【0051】
例えば、コーティング装置(例えば、第1コーティング装置および/または第2コーティング装置および/または第3コーティング装置)と共通の印刷装置または共通のプリントヘッドは互いに機械的に分離されてもよく、および/または別々に移動可能であってもよい。例えば、コーティング装置(例えば、第1コーティング装置および/または第2コーティング装置および/または第3コーティング装置)はそれぞれの方向(例えば、第1方向および/または第3方向および/または第4方向)に移動可能であってもよく、その間印刷装置および/またはプリントヘッドが第2方向に同時に移動可能である。
【0052】
コーティング装置(例えば、第1コーティング装置および/または第2コーティング装置および/または第3コーティング装置)は、例えば、1つ以上のコーティング装置が取り付けられた1つ以上のキャリッジによってコーティング装置のリニアガイド構造に沿って移動可能であってもよい。
【0053】
コーティング装置(例えば、第1コーティング装置および/または第2コーティング装置および/または第3コーティング装置)は、例えば、それぞれ割り当てられた構築空間を横切って同時に(例えば、平行に、例えば、並んで)および/または一緒に移動可能であってもよい。コーティング装置(例えば、第1コーティング装置および/または第2コーティング装置および/または第3コーティング装置)は、例えば、それぞれ割り当てられた構築空間を横切って同じ速度で移動可能であってもよい。それぞれ割り当てられた構築空間を横切るコーティング装置(例えば、第1コーティング装置および/または第2コーティング装置および/または第3コーティング装置)の移動は、例えば、同時に開始および/または終了してもよい。
【0054】
例えば、コーティング装置(例えば、第1コーティング装置および/または第2コーティング装置および/または第3コーティング装置)は、機械的に結合および/または接続されていてもよい。
【0055】
構築空間における1つ以上の3次元部品の層状の構築は、例えば、そのそれぞれの部分領域における複数の隣接する構築材料層の選択的な固化、例えば、結合剤の噴射、すなわち、(粒状の)構築材料の結合剤と共に(選択的に)付着させることによって、達成されてもよい。
【0056】
本発明のさらなる第3態様によれば、3Dプリンタ(例えば、第1態様による3Dプリンタ)の構築空間内で、少なくとも1つの3次元部品、例えば鋳造型または鋳造中子を製造するための生成的製造プロセスが提供される。そのプロセスは以下からなる:それぞれの層を塗布するため構築空間を横切って第1方向に移動されるコーティング装置を用いて、重なり合う粒状の構築材料の層、例えば砂粒子を含む層を形成し、選択的な固化に寄与する、先に塗布された構築材料層の部分領域に流動性の処理剤を制御された方法で出力するために、構築空間を横切る第2方向に移動される印刷装置を用いて1つ以上の隣接する構築材料層をそれぞれの部分領域に選択的に印刷する。このプロセスでは、コーティング装置と印刷装置が時間的に重なるように構築空間を横切って移動させ、および/またはコーティング装置と印刷装置が時間的に重なるように構築材料と流動性の処理剤をそれぞれ構築空間に供給する。
【0057】
換言すれば、印刷とコーティングを一時的に同時に行われ、すなわち印刷プロセス(層の選択的な印刷)とコーティングプロセス(層のコーティング)はプロセス内で部分的に並行して行われる。例えば、第1方向にまだ完全に塗布されていない層は、印刷装置を用いて印刷されることができ、すなわち印刷プロセスはコーティングプロセスが完了する前に開始することができ、または代替的に、先に塗布された層が完全に印刷される前に(次の)コーティングプロセスを開始することができる。それぞれの層の選択的な印刷は上述されているように第1方向に見て交互に配置され、交互に処理されるプリントセクションを形成されることにより実施されることができ、それぞれのプリントセクションについて、印刷装置は構築空間を横切って第2方向に沿って移動される。
【0058】
実施形態によれば、生成的製造プロセスにおいて:
印刷装置は、第1方向に変位可能なプリントヘッドを構成してもよく、例えば、プリントヘッドが、U字形経路またはS字形経路に沿って、一般的に蛇行するパターンで構築空間を横切って移動するように、構築材料層を選択的に印刷するために、構築空間を横切って第2方向に複数回(変位した方法で)プリントヘッドを移動させるように構成されてもよく、および/または
コーティング装置が第1方向に沿って構築空間を横切って移動する距離は、第2方向に沿って構築空間を横切って一旦移動する際に印刷装置によって移動される距離以上であり得る(例えば、層のコーティングおよび/または形成は、プリントセクションの印刷が第2方向に沿って行われる距離以上の距離に沿って行われてもよい。)および/または
双方向コーティング装置がコーティング装置として使用されてもよく、および/または粒状構造材料が第1方向に移動の間および第1方向へ戻る移動の間コーティング装置により分配されてもよく、および/または双方向印刷装置が印刷装置として使用されてもよく、および/または流動性の処理剤が第2方向に移動の間および第2方向へ戻る移動の間に印刷装置により分配されてもよく、および/または
コーティング装置およびプリントヘッドは、第1方向に見て、共通の、第1側から出発して、構築空間を横切って、第1方向に見て、反対側の、第2側に移動されるように構成されてもよく、それにより粒状材料および流動性の処理剤をそれぞれ分配するよう構成されてもよく、その後、任意に、コーティング装置およびプリントヘッドを、第2側から第1側に戻って移動させ、それにより粒状物質および/または流動性の処理剤を再びそれぞれ分配するように構成されていてもよい。
【0059】
代替的または追加的に、生成的製造プロセスの一実施形態によれば、
コーティング装置の出力領域は、第1方向に垂直な方向におよび/または第2方向に完全に構築空間に及んでいてもよく、および/または
印刷装置のプリントヘッドの出力領域は、第2方向に直交する方向および/または第1方向に延びていてもよく、および/または
プリントヘッドの出力領域は、第2方向に垂直な方向および/または第1方向において、構築空間よりも短く、および/またはコーティング装置によって移動される距離よりも短く、例えば、実質的に半分の大きさまたはそれよりも小さくてもよく、および/または
第1方向と第2方向は交差してもよく、それにより角度、例えば実質的に90°の角度を形成することができ、および/または
構築空間は、平面視において、例えば2つの長辺および2つの短辺を有する長方形に形成されてもよく、例えば第1方向が構築空間の長辺に対して実質的に平行であり、および/または
コーティング装置によって移動される距離は、第2方向に沿って構築空間を横切って印刷装置によって移動される単一距離よりも、例えば少なくとも1.2の係数まで大きくてもよく、および/または
第2方向に沿って構築空間を横切って印刷装置によって移動される単一距離は1.0m~1.4m、たとえば1.2mであってよい。
【0060】
本発明のさらなる第4態様によれば、3Dプリンタ(例えば、第2態様による3Dプリンタ)の第1構築空間内で、少なくとも1つの3次元部品、例えば鋳造型または鋳造中子、および第1構築空間に隣接して配置された3Dプリンタの第2構築空間内で、少なくとも1つの3次元部品、例えば鋳造型または鋳造中子を製造するための生成的製造プロセスが提供され、この方法は、以下からなる。
それぞれの層を塗布するため第1構築空間を横切って第1方向に移動される第1コーティング装置を用いて、第1構築空間内に、重なり合う粒状の構築材料の層、例えば砂粒子を含む層を形成し、
それぞれの層を塗布するために第1方向に実質的に平行な第3方向に第2構築空間を横切って移動される第2コーティング装置を用いて、第2構築空間内に、重なり合う粒状の構築材料の層、例えば砂粒子を含む層を形成し、そして
第1構築空間内の先に塗布された構築材料層の部分領域と、第2構築空間内の先に塗布された構築材料層の部分領域に、それぞれの構築材料層の選択的な固化に寄与する、流動性の処理剤を制御された方法で出力するため、第1及び第3方向に対して角度をつけて配置された第2方向に第1構築空間及び第2構築空間を横切って移動した共通の印刷装置を用いて、第1構築空間内のそれぞれの部分領域に複数の隣接する構築材料層を選択的に印刷し、第2構築空間内のそれぞれの部分領域に複数の隣接する構築材料層を選択的に印刷する。
この点について、このプロセスにおいて、第1構築空間を横切る第1方向の第1コーティング装置の移動と、第2構築空間を横切る第3方向の第2コーティング装置の移動は、第1構築空間を横切る第2方向の共通の印刷装置の移動と第2構築空間を横切る第2方向の共通の印刷装置の移動の少なくとも一方と時間的に重なるように実施され、および/または、第1コーティング装置による第1構築空間への構築材料の供給と、第2コーティング装置による第2構築空間への構築材料の供給は、第1構築空間および第2構築空間の少なくとも一方の先に塗布された構築材料層への流動性の処理剤の制御された分配と時間的に重なるよう実施される。
【0061】
換言すれば、本発明のこの態様によれば、第1構築空間でのコーティング、第2構築空間でのコーティング、第1および第2構築空間の一方での印刷を一時的に同時に行うことができる。すなわち、共通の印刷装置で行われる印刷プロセスと、2つのコーティングプロセスは並行して行われる。
【0062】
生成的製造プロセスの実施例によれば、
共通の印刷装置は、第1方向に変位可能な共通のプリントヘッドを構成してもよく、例えば、プリントヘッドが、U字形経路またはS字形経路に沿って、一般的に蛇行するパターンで第1及び第2構築空間を横切って移動するように、第1構築空間の構築材料層と第2構築空間の構築材料層を選択的に印刷するために、第1及び第2構築空間を横切って第2方向に複数回共通のプリントヘッドを移動させるように構成されてもよく、および/または
第1方向に沿って第1構築空間を横切る第1コーティング装置によって移動される距離は、第2方向に沿って第1構築空間を横切る印刷装置によって移動される(単一の)距離以上であってもよく、例えば少なくとも1.2の係数まで大きくてもよく、および/または
第3方向に沿って第2構築空間を横切る第2コーティング装置によって移動される距離は、第2方向に沿って第2構築空間を横切る印刷装置によって移動される(単一の)距離以上であってもよく、例えば少なくとも1.2の係数まで大きくてもよく、および/または
第1コーティング装置および第2コーティング装置は、それぞれ双方向コーティング装置として動作してもよく、および/または印刷装置は、双方向印刷装置として動作してもよく、および/または
第1構築空間と第2構築空間は実質的に同じ形状と大きさを有していてもよくおよび/または
第1構築空間と第2構築空間は、第2方向に見て交互に配置されていてもよく、および/または
第1構築空間および第2構築空間は、それぞれ例えば、2つの長辺および2つの短辺を有する長方形に形成されてもよく、第1構築空間および第2構築空間は互いに隣接する2つの長辺を有するように配置され、および/または第1方向および第3方向はそれぞれ第1および第2構築空間の長辺に対して実質的に平行であり、および/または
第1コーティング装置の出力領域は、第1方向に垂直な方向におよび/または第2方向に完全に第1構築空間に及んでいてもよく、および/または
第2コーティング装置の出力領域は、第3方向に垂直な方向におよび/または第2方向に完全に第2構築空間に及んでいてもよく、および/または
印刷装置のプリントヘッドの出力領域は、第2方向に垂直な方向におよび/または第1方向に延びていてもよく、および/または
プリントヘッドの出力領域は、第2方向に垂直な方向および/または第1方向において第1構築空間よりも短く、および/または第1コーティング装置によって移動される距離よりも短く、例えば、実質的に半分の大きさまたはそれよりも小さくてもよく、および/または
第2方向に沿って第1構築空間を横切って印刷装置により移動される単一の距離は1.0mから1.4m、例えば1.2mであってもよく、および/または
第2方向に沿って第2構築空間を横切って印刷装置により移動される単一の距離は1.0mから1.4m、例えば1.2mであってよく、および/または
第1コーティング装置、第2コーティング装置および印刷装置は、第1及び第3方向に見て、共通の、第1側から、第1および第2構築空間を横切って、第1及び第3方向に見て、反対側の、第2側に移動されていてもよく、それによって粒状物質および流動性の処理剤をそれぞれ分配し、その後任意に、第1コーティング装置、第2コーティング装置および印刷装置は、第2側から第1側に戻って、それによって粒状物質および/または流動性の処理剤をそれぞれ再び分配するように移動されてもよい。
【0063】
本発明の追加の特徴および利点は本明細書に組み込まれる添付図面、ならびに以下の詳細な説明によって例示または詳細に説明され、それらは本発明の特定の原理を説明するのに役立つ。
【0064】
以下、本発明を各種の実施形態により、図を参照してさらに詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【
図1】本発明の第1の実施形態による3Dプリンタの概略図である。
【0066】
【
図2】第1の実施形態による3Dプリンタの別の概略図である。
【0067】
【
図3】本発明の第2の実施形態による3Dプリンタの概略図である。
【0068】
【
図5】本発明の第3の実施形態による3Dプリンタの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0069】
以下の詳細な説明では、本明細書に組み込まれ、本発明を実施することができる特定の実施形態が例示として示されている添付の図を参照する。この点で、「上」、「下」、「前」、「後」などの方向を指す用語は、説明されている図の方向に関して使用される。実施形態の構成部品は多くの異なる向きに配置され得るため、異なる方向を示す用語は例示として機能し、決して限定的ではない。本発明の保護範囲から逸脱することなく、他の実施形態を使用することができ、構造的または論理的な変更を行うことができることを理解されたい。本明細書で説明される様々な例示的な実施形態の特徴は、別段の定めがない限り、組み合わせられてもよいことは言うまでもない。したがって、以下の詳細な説明は、制限的な意味で理解されるべきではなく、本発明の保護範囲は、添付の特許請求の範囲によって定義されるものとする。
【0070】
この説明では、「接続」、「取付」、「結合」などの用語を使用して、直接および間接的接続の両方、直接または間接的取付、ならびに直接または間接的結合が説明され得る。
【0071】
図において、同一または類似の部材には、必要に応じて同一の参照番号が付されている。
【0072】
図1および
図2はそれぞれ本発明の第1の実施形態による3Dプリンタ1の概略図である。
【0073】
図1に示すように、3Dプリンタ1は第1の実施形態によれば、図示しない構築プラットフォームの上に配置された、例えば高さ調節可能となるよう形成された、構築空間B1を備える。この点において、構築空間B1は周囲が自由/制限されていなくてもよく(この場合、構築プラットフォームに塗布された層および/またはそれらの縁部領域は、周囲の構築空間を規定してもよく)または、いわゆる構築ボックス、例えば固定式または可動式の構築ボックスによって形成されてもよい垂直壁構造によって制限されていてもよい。
平面図では、構築空間B1はここでは例として2つの長辺と2つの短辺を有する長方形に形成されている。
【0074】
3Dプリンタ1は、たとえば、砂粒子を含む粒状の構築材料の構築材料層を互いに重なり合って形成し、そのそれぞれの部分領域で隣接するいくつかの構築材料層を選択的に固化することにより、構築空間B1に、例えば鋳造金型または鋳造中子などの少なくとも一つの3次元部品を層状に構築するように構成される。
【0075】
この目的のために、3Dプリンタ1は、全面に固化される構築材料の均一な構築材料層の形態で構築材料を構築空間に供給するために構築空間B1を横切って第1方向H1に移動可能なコーティング装置3と、先に塗布された構築材料層の部分領域に流動性の処理剤を制御された方法で出力するために、構築空間B1を横切って第2方向H2に移動可能な印刷装置5とから構成され、この処理剤はその選択的な凝固に寄与する。第1方向および第2方向は、ここでは例として、90°の角度で交差する。
【0076】
例として、ここでは、コーティング装置3は、容器コーティング装置の形態で、および/または双方向コーティング装置として構成されており、第1方向(
図1)への移動中だけでなく、第1方向(
図2)への戻りの移動中の両方とも、固化される構築材料の構築材料層を均等に塗布することができる。容器コーティング装置3は、コーティング装置の出力領域が第2方向に構築空間に完全に及んでいる/わたるように、構築空間B1の全体に横切って第2方向H
2に延びる開口部および/またはスロット(図示しない)から構成されている。さらに、コーティング装置3は、構築空間B1を横切って第1方向H
1にリニアガイド(図示しない)に沿って移動可能である。適切なコーティング装置は、例えば、独国特許出願公開第102014112469号明細書または国際公開第2016/030375号明細書に記載されており、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0077】
一例として、ここでは、印刷装置5は、第2方向への移動(
図1の最も下部の、横向きの矢印)と、第2方向への戻りの移動(
図1の中央、横向きの矢印)の両方の間に、構築材料層またはそのプリントセクションを選択的に印刷することができる双方向印刷装置として構成されている。印刷装置5のさらなる詳細は以下に記載する。
【0078】
第2方向の構築空間B1の延長部はS2と記載されており、ここでは長方形の短辺側に対応し、第1方向の構築空間B1の延長部はS1と記載されており、ここでは長方形の長辺側に対応する。このように、本実施形態によれば、長辺に沿ってコーティングが行われ、短辺に沿って印刷が行われる。すなわち、第1方向H1に沿って構築空間B1を横切ってコーティング装置3が移動する距離S1は、第2方向H2に沿って構築空間B1を一旦横切って移動する際に印刷装置5が移動する距離S2よりも大きい。
【0079】
3Dプリンタ1は、コーティング装置3および印刷装置5と接続および/または通信し、コーティング装置3および印刷装置5を、時間的に重なり合うように構築空間B1を横切って移動するように、および/または重なり合う方法で構築空間B1に構築材料を供給するか、または先に塗布された構築材料層に制御された方法で流動性の処理剤を分配するように制御するよう構成された制御装置Cをも備えている。ここで、例えば、重なりの程度は、30%以上、例えば40%以上、例えば50%以上の値に設定することができる。
【0080】
このために、印刷される層は、第1方向に見たときに交互に配置された複数のプリントセクション(ここでは3つ)に分割され、(第2方向にそれぞれ)印刷装置5により交互に処理されるため、印刷装置5は、第2方向H2に構築空間を全体として複数回横切って移動する。
【0081】
この例示的な実施形態によれば、印刷装置5は、例えばキャリア構造体9に沿って、第1方向H1に変位可能なプリントヘッド7を備え、それ自体は、構築フィールドB1を横切って第2方向H2に(図示しない)リニアガイドに沿って変位可能である。この点において、制御装置Cは、ここでは(ミラー反転された)S字形の経路および/または第2方向に3つの平行な個別の経路を有する経路に沿って、プリントヘッド7が構築空間B1を横切って全体的に蛇行するパターンで移動するような方法で、構築材料層の選択的印刷のため構築空間B1を横切って第2方向H2に、プリントヘッド7を変位/オフセットさせた状態で複数回移動させるように構成されている。ここで、プリントヘッド7および/またはその出力領域は、第1方向H1に長く延びるが、第1方向における構築空間B1の延長部S1よりも短く形成されており、例えば、延長部S1の30%~40%の長さを有していてもよい。
【0082】
以下、本実施形態の3Dプリンタ1の操作原理について、
図1及び
図2の全体図を用いて説明する。
【0083】
まず、
図1に示されるように、コーティング装置3は、構築空間B1に、固化される構築材料の均等な構築材料層の形態で構築材料を供給するために、
図1に示される位置(「下」)を起点として、構築空間B1を横切って第1方向H
1に移動する。コーティング装置が構築空間B1を横切って完全に通過する前、およびコーティング装置3が
図2に示す位置(「上」)に到達する前に、例えばコーティング装置3が構築空間B1の第1方向の中心に実質的に到達したとき、コーティング装置3によって塗布された構築材料層の第1の/下のプリントセクションに流動性の処理剤を制御された方法で分配するために、プリントヘッド7は、
図1に示す位置(「右下」)を起点として、構築空間B1を横切って第2方向H
2(
図1の下、横向きの矢印H2)に移動し、そしてこれは層および/またはプリントセクションの選択的な固化に寄与する。この点において、プリントヘッド7の移動は、リニアガイド(図示しない)に沿ってキャリア構造体9を移動させることによって行われる。これに関連して、プリントヘッド7の移動は、基本的に、コーティング装置3が第1プリントセクションを通過した時点で開始することができる。プリントヘッド7は、キャリア9に対して中心に位置するように第1方向H
1に変位させた後、構築材料層の第2/中間プリントセクションに流動性の処理剤を制御された方法で分配するため、プリントヘッド7は再びキャリア9によって構築空間B1を横切って第2方向H
2に移動する(
図1中部、横向きの矢印H2)。そして、プリントヘッド7をキャリア9に対して上面に位置するように第1方向に再び変位させた後、構築材料層の第3/上側プリントセクションに流動性の処理剤を制御された方法で分配するため、プリントヘッド7は再び構築空間B1を横切って第2方向H
2に移動する(
図1上部、横向きの矢印H2)。記載されたプリントヘッド7の移動および変位の間、コーティング装置3は、層の塗布を完了するため第1方向に移動し続ける。したがって、プリントヘッドはコーティング装置3の「後方」で動作し、制御装置Cはコーティング装置3および印刷装置5およびプリントヘッド7をそれぞれ、構築空間を横切って共通の、第1/下側、第1方向に見て(
図1参照)、反対側の、第2/上側、第1方向に見て(
図2参照)、に移動させるように構成されてもよく、それにより、粒状材料および流動性の処理剤をそれぞれ分配することができる。
【0084】
コーティング装置3によって塗布された層が印刷装置によって完全に移動した後、および/または選択的に印刷された後、次の層の塗布および選択的印刷を行うことができる。この目的のため、コーティング装置3は、
図2に示す位置(「上」)を起点として、構築空間B1に固化する構築材料の均一な構築材料層の形態で構築材料を供給するため、構築空間B1を横切って(上から下へ)第1方向H
1に移動することができる。コーティング装置が構築空間B1を横切って完全に移動する前、およびコーティング装置3が
図1に示す位置に到達する前に、コーティング装置3によって塗布された構築材料層の第1の/上のプリントセクションに流動性の処理剤を制御された方法で分配するために、プリントヘッド7は、
図2に示す位置(「左上」)を起点として、構築空間B1を横切って第2方向H
2(
図2の上、横向きの矢印H
2)に移動する。次に、プリントヘッド7をキャリア9に対して中心に位置するように第1方向に再び変位させた後、構築材料層の第2/中間プリントセクションに流動性の処理剤を分配するため、プリントヘッド7は再び構築空間B1を横切って第2方向H
2(
図2の中間、横向きの矢印H
2)に移動する。
そして、プリントヘッド7をキャリア9に対して下面に位置するように第1方向に再び変位させた後、構築材料層の第3/下側プリントセクションに流動性の処理剤を制御された方法で分配するため、プリントヘッド7は再び構築空間B1を横切って第2方向H
2(
図2の下、横向きの矢印H
2)に移動する。プリントヘッド7を移動、変位させる間、コーティング装置3は、次の層の塗布を完了するため第1方向に移動し続ける。
したがって、プリントヘッド7は再びコーティング装置3の「後方」で動作し、制御装置Cはコーティング装置3および印刷装置5を第2側から第1側に戻すように構成され、それにより、 粒状物質と流動性の処理剤をそれぞれ分配する。
図1および
図2に示すシーケンスは、必要に応じて何度でも繰り返すことができる。
【0085】
図3は、本発明の第2の実施形態による3Dプリンタ10の概略図である。
【0086】
以下では、第1の実施形態の3Dプリンタ1と同様または同一の特徴についての説明を一部省略し、追加または代替的な特徴の説明に重点を置く。
【0087】
図3に示すように、3Dプリンタ10は、さらに第2構築空間B2を備えており、ここでは、例として、第1構築空間B1と同様に構成され、同じ形状およびサイズを有している。この点について、2つの構築空間B1およびB2は、2つの長方形の長辺側が互いに隣接して配置されている。また、3Dプリンタ10は、第2コーティング装置13を備えており、ここでは例として、第1コーティング装置3(双方向容器コーティング装置)と同様に構成され、第2構築空間B2を横切って第3方向H
3に沿って移動可能に構成されている。2つの方向H
1およびH
3は、ここでは、例として、互いに実質的に平行であるとともに、長方形の長辺側に平行であり、いずれの場合にも実質的に90°の角度で第2方向H
2と交差する。第1の実施形態とは対照的に、第2の実施形態による層の選択的印刷は、例えば、2つのプリントセクションとともに/2つのプリントセクション内で実行される。第2方向における第1構築空間B1の寸法S
21は、第2方向における第2構築空間B2の寸法S
22と実質的に等しく、第1方向における第1構築空間B1の寸法S
1は、第3方向における第2構築空間B2の寸法S
3と実質的に等しく、ここで、S
21はS
1よりも小さく、S
22はS
3よりも小さい。寸法S
21、S
22は、長方形の短辺に対応してもよく、寸法S
1、S
3は、長方形の長辺に対応してもよい。ここで、プリントヘッド7は、U字形の経路または第2方向に平行な2つの単一距離を有する経路に沿って移動され、プリントヘッド7および/またはその出力領域は、例えば、延長部S
1および/またはS
2の45%-60%の長さを有していてもよい。
【0088】
また、3Dプリンタ10は、第1構築空間B1と隣接する第2構築空間B2に1つ以上の3次元部品を層状に形作るように構成されており、そのために、第1構築空間B1に第1コーティング装置3が割り当てられ、第2構築空間B2に第2コーティング装置13が割り当てられており、それぞれの構築空間に、固化される構築材料の均一な構築材料層の形態で構築材料を供給するため、それぞれ第1構築空間B1を横切る第1方向H1と第2構築空間B2を横切る第3方向H3にそれぞれ移動可能である。3Dプリンタはさらにここでは共通の印刷装置として機能する印刷装置5を含み、第1構築空間B1の先に塗布された構築材料層の部分領域および第2構築空間B2の先に塗布された構築材料層の部分領域に流動性の処理剤を制御された方法で分配するために、この印刷装置5は、2つの構築空間によって分割され、第1構築空間B1および第2構築空間B2を横切って第2方向H2に移動可能(繰り返し、オフセット的に)である。
【0089】
ここで、制御装置Cはさらに第2コーティング装置13に接続され、第1構築空間B1を横切る第1方向H1における第1コーティング装置3の移動と、第2構築空間B2を横切る第3方向H3における第2コーティング装置13の移動が、第1構築空間B1を横切る第2方向H2における共通の印刷装置5の移動と第2構築空間B2を横切る第2方向H2における共通の印刷装置5の移動の少なくとも一方と時間的に重なるように、および/または、第1コーティング装置3による第1構築空間B1への構築材料の供給と第2コーティング装置13による第2構築空間B2への構築材料の供給が、第1構築空間B1および第2構築空間B2の少なくとも一つの先に塗布された構築材料層への流動性の処理剤の制御された分配と時間的に重なるように、第1コーティング装置3、第2コーティング装置13および共通の印刷装置5を制御するように構成されている。
【0090】
3Dプリンタ10の動作原理は、3Dプリンタ1のそれと同様であり、詳細は以下の通りである。
【0091】
まず、第1コーティング装置3及び第2コーティング装置13は、それぞれの構築空間に固化される構築材料の均等な構築材料層の形態で構築材料を供給するために、
図3に示す位置(「下」)を起点として、それぞれ第1構築空間B1及び第2構築空間B2を横切って、それぞれ第1方向H
1及び第3方向H
3に移動する。この点において、2つのコーティング装置3,13は、それぞれの構築フィールドを横切って実質的に同期して、または実質的に完全に平行に移動してもよい。2つのコーティング装置3,13がそれぞれの構築空間を完全に横断する前であっても、例えば、コーティング装置3,13が第1方向にそれぞれの構築空間の中心に実質的に到達したとき、コーティング装置3によって塗布された構築材料層の第1/下のプリントセクションにおよびコーティング装置13によって塗布された構築材料層の第1/下のプリントセクションに、流動性の処理剤を制御された方法で分配するため、
図3に示す位置(「右下」)を起点として、プリントヘッド7は、第2方向H
2に、第2と第1構築空間を横切って(前述の順序で)連続して移動し(「下」に対して、
図3の横向きの矢印H2)、この処理剤は、それぞれの層および/またはそれぞれのプリントセクションの選択的固化に寄与する。次に、プリントヘッド7をキャリア9に対して上側に位置するように第1方向H
1に変位させ、各構築材料層の第2/上のプリントセクションに流動性の処理剤を制御された方法で分配するため、プリントヘッド7は再びキャリア9によって第1及び第2構築空間を横切って(この順序で)第2方向H
2に移動する(上に対して、
図3の横向きの矢印H
2)。プリントヘッド7の記載された移動及び変位の間、第1および第2コーティング装置3,13は、それぞれ第1及び第3方向にさらに移動して、それぞれの層の塗布を完了させる。したがって、プリントヘッドは、第1および第2コーティング装置3,13の「後方」で動作し、制御装置Cは、第1コーティング装置3、第2コーティング装置13、および共通の印刷装置5およびプリントヘッド7をそれぞれ、第1方向に見て(
図3参照)、共通の第1/下側から、構築空間を横切って、第1方向に見て、反対側の、第2/上側に移動させるように構成されており、それにより、粒状材料および流動性の処理剤をそれぞれ分配する。
【0092】
コーティング装置3、13によって塗布された層が印刷装置5によって完全に横断および/または選択的に印刷された後、次の層の塗布および選択的印刷がそれぞれの構築空間で行われ得る。この目的のために、第1及び第2コーティング装置3は、それぞれの構築空間に、固化する構築材料の均一な構築材料層の形態で構築材料を供給するため、それぞれの構築空間を横切って、第1方向H
1及び第3方向H
3において、しかし今度は上から下に向かって、再び移動することができる。それぞれのコーティング装置がそれぞれの構築空間を完全に横断し、コーティング装置3,13が
図3に示す位置に到達する前であっても、第2方向H
2の「右上」の位置を起点として、プリントヘッド7は、それぞれの構築材料層の第1/上のプリントセクションに流動性の処理剤を制御された方法で送達するため、2つの構築空間を横切って(
図3の上、横向きの矢印H
2に対して)移動させられる。次に、プリントヘッド7は、キャリア9に対して下側に位置するように第1方向に再び変位/オフセットされ、次いで、流動性の処理剤を制御された方法でそれぞれの構築材料層の第2/下のプリントセクションに分配するため、プリントヘッド7は、2つの構築空間を横切って(
図3の下、横向きの矢印H2に対して)第2方向H
2に再び移動する。 プリントヘッド7を移動、変位させる間、コーティング装置3,13を第1方向にさらに下方に移動させて、次の層のそれぞれの塗布を完了させる。したがって、プリントヘッド7は再びコーティング装置3、13の「後方」で再び動作し、制御装置Cは、第1コーティング装置3、第2コーティング装置13、および印刷装置5を第2/上側から第1/下側に戻すように構成され、それにより、 粒状物質と流動性の処理剤をそれぞれ分配する。記載されたシーケンスは、この点で必要に応じて何度でも繰り返すことができる。
【0093】
図4および
図5はそれぞれ、本発明の第3の実施形態による3Dプリンタ100の概略図を示す。
【0094】
以下では、3Dプリンタ10(または3Dプリンタ1)の特徴と類似または同一の特徴についての記述を一部省略し、追加または代替的な特徴の記述に重点を置く。
【0095】
図4および
図5に示すように、3Dプリンタ100は、例として、第1構築空間B1および第2構築空間B2と同様に構成され、同じ形状および大きさを有する第3構築空間B3をさらに備える。合計で3つの構築空間B1、B2およびB3は、それらの長方形の長辺側が互いに隣接して配置される。さらに、3Dプリンタ100は、例として、ここでは、第1及び第2コーティング装置3,13(双方向容器コーティング装置)と同様に構成され、第3構築空間B3を横切って第4方向H
4に沿って移動可能な第3コーティング装置23を備える。方向H
1、H
3、H
4は、例として、ここでは、互いに実質的に平行であるとともに、長方形の長辺に平行であり、いずれの場合にも、第2方向H
2と実質的に90°の角度で交差している。第2の実施形態と同様に、各層の選択的印刷は、例として、第3の実施形態による2つのプリントセクションとともに/2つのプリントセクション内で実行される。第2方向における構築空間の寸法は実質的に同じであり、第1、第3および/又は第4方向における構築空間の寸法も実質的に同じであり、第2方向におけるそれぞれの寸法は、第1、第3および/又は第4方向におけるそれぞれの寸法よりも小さい。
第2方向における寸法は、長方形の短辺に対応してもよく、第1、第3および/または第4方向の寸法は、長方形の長辺に対応してもよい。言うまでもなく、3Dプリンタは、
図5の構築空間B3の右側及びその隣に(図示された構築空間と同じ向きで)配置され得る1つ以上の追加の構築空間によって補完されてもよく、これらの構築空間は、それぞれが、関連する別個のコーティング装置を有していてもよく、さらに、共通の印刷装置によっても機能することができる。
【0096】
3Dプリンタ100は、各構築空間B1、B2、およびB3のそれぞれに1つ以上の3次元部品を層状に形作るように構成されており、そのために、各構築空間に別個のコーティング装置が割り当てられている。3Dプリンタはまた、ここでは共通の印刷装置として機能する印刷装置5を備え、印刷装置5は、すべての構築空間B1、B2およびB3によって共有され、それぞれの構築空間の先に塗布された構築材料層の部分領域に流動性の処理剤を制御された方法で吐出するため、すべての構築空間B1、B2およびB3を横切って第2方向H2に(反復的に、変位した/オフセットした方法で)移動可能である。
【0097】
制御装置Cは、ここではさらに第3コーティング装置23に接続されており、関連する構築空間を横切るコーティング装置のそれぞれの移動が、構築空間の少なくとも1つを横切る第2方向H2における共通の印刷装置5の移動と時間的に重なるように、および/または、関連するコーティング装置によるそれぞれの構築空間への構築材料の供給が、構築空間の少なくとも1つの先に塗布された構築材料層への流動性の処理剤の制御された分配と時間的に重なるように、コーティング装置3、13、23および共通の印刷装置5を制御するように構成されている。
【0098】
なお、3Dプリンタ100の動作原理は、3Dプリンタ10のものと同様であってもよい。この点において、
図4および
図5において、一方で印刷装置5が、他方でコーティング装置3、13、23が第1方向における異なる側に配置されており、それぞれの層の塗布および選択的印刷の前には、印刷装置5とコーティング装置3、13、23が第1方向において共通の側に配置されなければならないことに留意すべきである。あるいは、
図4から始めて、コーティング装置を下方に移動させることにより、コーティング装置3,13,23によって、それぞれの構築空間に層を塗布することができる。そして、印刷装置5のプリントヘッド7が、
図4に示す位置を起点として、2本の点線矢印H
2と点線接続線で示されるように、構築空間を横切ってU字状に蛇行することにより、各構築空間において選択的に層を印刷することができる。この点において、印刷装置5の後方にあるコーティング装置3、13、23は、印刷装置5が十分に走行するとすぐに、例えば、印刷装置5が上側の、第2プリントセクションの選択的印刷を開始したとき/後、選択的印刷が完了する前に、既に新しい層の塗布を開始することができる。
【0099】
本発明に従った3Dプリンタおよび本発明に従った生成的製造プロセスのさらなる実施形態を以下に記載する。
【0100】
1.砂粒子を含む粒状の構築材料の構築材料層を互いに重なり合って形成し、そのそれぞれの部分領域で隣接する複数の構築材料層を選択的に固化することで、構築空間に、例えば鋳造金型または鋳造中子などの3次元部品を層状に構築するように構成され、固化される構築材料の均一な構築材料層の形態で構築材料を構築空間B1に供給するために構築空間B1を横切って第1方向H1に移動可能なコーティング装置3、および先に塗布された構築材料層の部分領域に流動性の処理剤を制御された方法で出力するため構築空間B1を横切って第2方向H2に移動可能であり、この処理剤はその選択的な凝固に寄与する、印刷装置5を備え、コーティング装置3および印刷装置5を、時間的に重なり合うように構築空間B1を横切って移動するように、および/または重なり合う方法で構築空間B1に構築材料を供給し、先に塗布された構築材料層の部分領域に制御された方法で流動性の処理剤をそれぞれ分配するように制御するように構成された制御装置Cを備えた3Dプリンタ。
【0101】
2.印刷装置5が第1方向に変位可能なプリントヘッド7を備え、制御装置Cが、例えばプリントヘッド7が例えばU字形経路またはS字形経路に沿って、完全に蛇行するパターンで構築空間B1を横切って移動するように、構築材料層を選択的に印刷するために、構築空間B1を横切って第2方向H2に複数回プリントヘッド7を移動させるように構成されている上記1に記載の3Dプリンタ。
【0102】
3.コーティング装置3が第1方向H1に沿って構築空間B1を横切って移動する距離S1が、第2方向H2に沿って構築空間B1を横切って一旦移動する際に印刷装置5によって移動する距離S2以上である上記1または2に記載の3Dプリンタ。
【0103】
4.コーティング装置3が双方向コーティング装置として構成されている、および/または印刷装置5が双方向印刷装置として構成されている上記1から3のいずれか1項に記載の3Dプリンタ。
【0104】
5.コーティング装置3の出力領域は、第1方向H1に垂直な方向および/または第2方向H2に完全において構築空間に及んでおり、および/または 印刷装置のプリントヘッド7の出力領域は、第2方向H2に直交する方向および/または第1方向H1に延びている、および/または プリントヘッド7の出力領域は、第2方向H2に垂直な方向および/または第1方向H1において、構築空間B1よりも短く、および/またはコーティング装置によって移動される距離よりも短く、例えば、実質的にコーティング装置3によって移動する距離の半分の大きさまたはそれよりも小さくてもよい上記1から4のいずれか1項に記載の3Dプリンタ。
【0105】
6.第1方向H1と第2方向H2は交差し、それにより角度、例えば実質的に90°の角度を形成する、および/または構築空間B1は、平面視において、例えば2つの長辺および2つの短辺を有する長方形に形成され、例えば、第1方向H1が構築空間B1の長辺に対して実質的に平行である、および/または コーティング装置3によって移動される距離S1は、第2方向H2に沿って構築空間B1を横切って印刷装置5によって移動される単一距離S2よりも、例えば少なくとも1.2の係数まで大きい、および/または 第2方向H2に沿って構築空間B1を横切って印刷装置5によって移動される単一距離S2は1.0mから1.4m、たとえば1.2mである上記1から5のいずれか1項に記載の3Dプリンタ。
【0106】
7.制御装置Cは、コーティング装置3および印刷装置5、例えば請求項2のプリントヘッド7を、第1方向に見て、共通の、第1側から、構築空間を横切って、第1方向に見て、反対側の、第2側に移動させるように構成されており、それによって粒状物質および流動性の処理剤をそれぞれ分配させ、その後、任意に、コーティング装置3および印刷装置5が、第2側から第1側に戻って、それによって粒状物質または流動性の処理剤をそれぞれ再び分配するように移動させられる上記1から6のいずれか1項に記載の3Dプリンタ。
【0107】
8.第1構築空間B1と、これに隣接する第2構築空間B2に1つ以上の3次元部品を層状に形作るように構成されており、第1構築空間B1に第1コーティング装置3が割り当てられ、第2構築空間B2に第2コーティング装置13が割り当てられ、それぞれの構築空間に、固化される構築材料の均一な構築材料層の形態で構築材料を供給するため、それぞれ第1構築空間B1を横切る第1方向H1と第2構築空間B2を横切る第1方向H1に実質的に平行である第3方向H3にそれぞれ移動可能であり、第1構築空間B1の先に塗布された構築材料層の部分領域および第2構築空間B2の先に塗布された構築材料層の部分領域に流動性の処理剤を制御された方法で分配するため、第1及び第3方向H1、H3に対して角度をつけて配置された第2方向H2において第1構築空間B1及び第2構築空間B2を横切って移動可能である共通の印刷装置5を有し、第1構築空間B1を横切る第1方向H1における第1コーティング装置3の移動と第2構築空間B2を横切る第3方向H3における第2コーティング装置13の移動が第1構築空間B1を横切る第2方向H2における印刷装置5の移動と第2構築空間B2を横切る第2方向H2における印刷装置5の移動の少なくとも一方と時間的に重なるように、および/または、第1コーティング装置3による第1構築空間B1への構築材料の供給と第2コーティング装置13による第2構築空間B2への構築材料の供給が、第1構築空間B1および第2構築空間B2の少なくとも一つの先に塗布された構築材料層への流動性の処理剤の制御された分配と時間的に重なるように、第1コーティング装置3、第2コーティング装置13および共通の印刷装置5を制御するように構成されている制御装置Cによって特徴づけられる3Dプリンタ。
【0108】
9.印刷装置5が第1方向H1に変位可能なプリントヘッド7を備え、制御装置Cは例えばプリントヘッド7が、例えばU字形経路またはS字形経路に沿って、完全に蛇行するパターンで第1及び第2構築空間B1,B2を横切って移動するように、第1構築空間B1の構築材料層と第2構築空間B2の構築材料層を選択的に印刷するため、第1及び第2構築空間B1,B2を横切って第2方向H2に複数回プリントヘッドを移動させるように構成され、および/または第1方向H1に沿って第1構築空間B1を横切る第1コーティング装置3によって移動する距離S1は、第2方向H2に沿って第1構築空間B1を横切る印刷装置5によって移動する(単一の)距離S21以上であってもよく、例えば、少なくとも1.2の係数まで大きくてもよく、および/または第3方向H3に沿って第2構築空間B1を横切る第2コーティング装置13によって移動する距離S3は、第2方向H2に沿って第2構築空間B2を横切る印刷装置5によって移動する(単一の)距離S22以上であってもよく、例えば、少なくとも1.2の係数まで大きくてもよく、および/または 第1コーティング装置3および第2コーティング装置13がそれぞれ、双方向コーティング装置として構成され、および/または印刷装置5が双方向印刷装置として構成される上記8に記載の3Dプリンタ。
【0109】
10.第1構築空間B1と第2構築空間B2が実質的に同じ形状と大きさを有し、および/または 第1構築空間B1と第2構築空間B2が第2方向H2に見て交互に配置され、および/または 第1構築空間B1および第2構築空間B2がそれぞれ、例えば2つの長辺および2つの短辺を有する長方形に形成され、第1および第2構築空間B1、B2は互いに隣接する2つの長辺を有するように配置され、および/または第1方向H1および第3方向H3がそれぞれ第1構築空間の長辺と第2構築空間の長辺に対して実質的に平行であり、および/または第1コーティング装置3の出力領域が第1方向H1に垂直な方向および/または第2方向H2に完全に第1構築空間B1に及んでおり、および/または第2コーティング装置13の出力領域が第3方向H3に垂直な方向および/または第2方向H2に完全に第2構築空間B2に及んでおり、および/または印刷装置のプリントヘッド7の出力領域が第2方向H2に垂直な方向および/または第1方向H1に延びており、および/またはプリントヘッド7の出力領域が第2方向H2に垂直な方向および/または第1方向H1において第1構築空間B1より短く、および/または第1コーティング装置3によって移動する距離よりも短く、例えば、実質的に半分の大きさまたはそれよりも小さく、および/または第2方向H2に沿って第1構築空間B1を横切って印刷装置5により移動する単一の距離S21は1.0mから1.4m、例えば1.2mであり、および/または第2方向H2に沿って第2構築空間B2を横切って印刷装置5により移動する単一の距離S22は1.0mから1.4m、例えば1.2mであり、および/または 第1コーティング装置3、第2コーティング装置13および共通の印刷装置5が第1及び第3方向に見て、共通の、第1側から、第1および第2構築空間を横切って、第1及び第3方向に見て、反対側の、第2側に移動するよう制御装置Cを構成し、それによって粒状物質および流動性の処理剤をそれぞれ分配し、そしてその後任意に第1コーティング装置3、第2コーティング装置13および共通の印刷装置5が第2側から第1側に戻り、それによって粒状物質および流動性の処理剤をそれぞれ再び分配するように移動させる上記8または9に記載の3Dプリンタ。
【0110】
11. 3Dプリンタの構築空間内で、少なくとも1つの3次元部品、例えば鋳造型または鋳造中子を製造するためそれぞれの層を塗布する方法であり、構築空間B1を横切って第1方向H1に移動するコーティング装置3を用いて、各層を塗布し、例えば砂粒子を含む粒状の構築材料が重ね合わされた層を形成し、先に塗布された構築材料層の部分領域に流動性の処理剤を制御された方法で出力するため、構築空間B1を横切る第2方向H2に移動される印刷装置5を用いて1つ以上の隣接する構築材料層をそれぞれの部分領域に選択的に印刷し、その処理剤はその選択的な固化に寄与する生成的製造プロセスであって、コーティング装置3と印刷装置5が時間的に重なるように構築空間B1を横切って移動し、および/またはコーティング装置3と印刷装置5が重なる方法でそれぞれ構築材料を構築空間B1に供給し、流動性の処理剤を先の塗布された構築材料層の部分領域に分配することを特徴とする生成的製造プロセス。
【0111】
12.印刷装置5が第1方向H1に変位可能なプリントヘッド7を備え、例えばプリントヘッド7がU字形経路またはS字形経路に沿って完全に蛇行するパターンで構築空間B1を横切って移動するように、構築材料層を選択的に印刷するために構築空間B1を横切って第2方向H2に複数回プリントヘッド7が移動され、および/またはコーティング装置3が第1方向H1に沿って構築空間B1を横切って移動する距離S1が第2方向H2に沿って構築空間B1を横切って一旦移動する際に印刷装置5によって移動される距離S2以上であり、双方向コーティング装置がコーティング装置3として使用され、および/または粒状構造材料が第1方向に移動の間および第1方向へ戻る移動の間にコーティング装置3により分配され、および/または双方向印刷装置が印刷装置5として使用され、および/または流動性の処理剤が第2方向に移動の間および第2方向へ戻る移動の間に印刷装置5により分配され、および/またはコーティング装置3およびプリントヘッド7が、第1方向に見て、共通の、第1側から出発して、構築空間を横切って、第1方向に見て、反対側の、第2側に移動され、それにより粒状材料および流動性の処理剤をそれぞれ分配され、その後、任意に、コーティング装置3およびプリントヘッド7を第2側から第1側に戻って移動させ、それにより粒状物質および流動性の処理剤を再びそれぞれ分配する上記11に記載の生成的製造プロセス。
【0112】
13.コーティング装置3の出力領域が、第1方向H1に垂直な方向におよび/または第2方向H2において完全に構築空間に及んでおり、および/または 印刷装置のプリントヘッド7の出力領域は、第2方向H2に直交する方向および/または第1方向H1に延びており、および/または プリントヘッド7の出力領域は、第2方向H2に垂直な方向および/または第1方向H1において、構築空間B1よりも短く、および/またはコーティング装置によって移動される距離よりも短く、例えば、実質的にコーティング装置3によって移動する距離の半分の大きさまたはそれよりも小さく、および/または第1方向H1と第2方向H2はそれぞれ交差し、それにより角度、例えば実質的に90°の角度を形成し、および/または構築空間B1は、平面視において、例えば2つの長辺および2つの短辺を有する長方形に形成され、例えば、第1方向H1が構築空間B1の長辺に対して実質的に平行であり、および/または コーティング装置3によって移動される距離S1は、第2方向H2に沿って構築空間B1を横切って印刷装置5によって移動される単一距離S2よりも、例えば少なくとも1.2の係数まで大きく、および/または 第2方向H2に沿って構築空間B1を横切って印刷装置5によって移動される単一距離S2は1.0mから1.4m、たとえば1.2mである上記11または12に記載の生成的製造プロセス。
【0113】
14.3Dプリンタの第1構築空間B1内で、少なくとも1つの3次元部品、例えば鋳造型または鋳造中子、および第1構築空間B1に隣接して配置された3Dプリンタの第2構築空間B2内で、少なくとも1つの3次元部品、例えば鋳造型または鋳造中子を製造するための方法であり、第1構築空間B1を横切って第1方向H1に移動される第1コーティング装置3を用いて各層を塗布し、第1構築空間B1内に、重ね合わされた粒状の構築材料の層、例えば砂粒子の層を形成し、第1方向H1に実質的に平行な第3方向H3に第2構築空間B2を横切って移動される第2コーティング装置3を用いて各層を塗布し、第2構築空間B2内に、重ね合わされた粒状の構築材料の層、例えば砂粒子の層を形成し、第1構築空間B1内の先に塗布された構築材料層の部分領域と、第2構築空間B2内の先に塗布された構築材料層の部分領域に、それぞれの構築材料層の選択的な固化に寄与する、流動性の処理剤を制御された方法で分配するため、第1及び第3方向H1、H3に対して角度をつけて配置された第2方向H2に第1構築空間B1及び第2構築空間B2を横切って移動した共通の印刷装置5を用いて、第1構築空間B1内のそれぞれの部分領域に複数の隣接する構築材料層を選択的に印刷し、第2構築空間B2内のそれぞれの部分領域に複数の隣接する構築材料層を選択的に印刷する生成的製造プロセスであって、第1構築空間B1を横切る第1方向H1の第1コーティング装置3の移動と、第2構築空間B2を横切る第3方向H3の第2コーティング装置13の移動が、第1構築空間B1を横切る第2方向H2の共通の印刷装置5の移動と第2構築空間B2を横切る第2方向H2の共通の印刷装置5の移動の少なくとも一方と時間的に重なるように実施され、および/または、第1コーティング装置3による第1構築空間B1への構築材料の供給と、第2コーティング装置13による第2構築空間B2への構築材料の供給が、第1構築空間B1および第2構築空間B2の少なくとも一方の先に塗布された構築材料層への流動性の処理剤の制御された分配と時間的に重なるよう実施されることを特徴とする生成的製造プロセス。
【0114】
15.共通の印刷装置5が第1方向H1に変位可能な共通のプリントヘッド7を備え、プリントヘッド7が、例えばU字形経路またはS字形経路に沿って、完全に蛇行するパターンで第1及び第2構築空間B1,B2を横切って移動するように、第1構築空間B1の構築材料層と第2構築空間B2の構築材料層を選択的に印刷するため、第1及び第2構築空間B1,B2を横切って第2方向H2に複数回共通のプリントヘッド7を移動させ、および/または第1方向H1に沿って第1構築空間B1を横切る第1コーティング装置3によって移動する距離S1は、第2方向H2に沿って第1構築空間B1を横切る印刷装置5によって移動する(単一の)距離S21以上であってもよく、例えば、少なくとも1.2の係数まで大きくてもよく、および/または第3方向H3に沿って第2構築空間B1を横切る第2コーティング装置13によって移動する距離は、第2方向H2に沿って第2構築空間B2を横切る印刷装置5によって移動する(単一の)距離S22以上であってもよく、例えば、少なくとも1.2の係数まで大きくてもよく、および/または 第1コーティング装置3および第2コーティング装置13がそれぞれ、双方向コーティング装置として動作し、および/または印刷装置5が双方向印刷装置として動作し、および/または第1構築空間B1と第2構築空間B2が実質的に同じ形状と大きさを有し、および/または第1構築空間B1と第2構築空間B2が第2方向H2に見て交互に配置され、および/または第1構築空間B1および第2構築空間B2がそれぞれ、例えば2つの長辺および2つの短辺を有する長方形に形成され、第1および第2構築空間B1、B2は互いに隣接する2つの長辺を有するように配置され、および/または第1方向H1および第3方向H3がそれぞれ第1と第2構築空間B1、B2の長辺に対して実質的に平行であり、および/または第1コーティング装置3の出力領域が第1方向H1に垂直な方向および/または第2方向H2において完全に第1構築空間B1に及んでおり、および/または第2コーティング装置13の出力領域が第3方向H3に垂直な方向および/または第2方向H2において完全に第2構築空間B2に及んでおり、および/または印刷装置のプリントヘッド7の出力領域が第2方向H2に垂直な方向および/または第1方向H1に延びており、および/またはプリントヘッド7の出力領域が第2方向H2に垂直な方向および/または第1方向H1において第1構築空間B1より短く、および/または第1コーティング装置3によって移動する距離よりも短く、例えば、実質的に半分の大きさまたはそれよりも小さく、および/または第2方向H2に沿って第1構築空間B1を横切って印刷装置5により移動する単一の距離S21は1.0mから1.4m、例えば1.2mであり、および/または第2方向H2に沿って第2構築空間B2を横切って印刷装置5により移動する単一の距離S22は1.0mから1.4m、例えば1.2mであり、および/または 第1コーティング装置3、第2コーティング装置13およびプリントヘッド7が第1及び第3方向に見て、共通の、第1側から、第1および第2構築空間を横切って、第1及び第3方向に見て、反対側の、第2側に移動され、それによって粒状物質および流動性の処理剤をそれぞれ分配し、そしてその後任意に第1コーティング装置3、第2コーティング装置13およびプリントヘッド7が第2側から第1側に戻り、それによって粒状物質および流動性の処理剤をそれぞれ再び分配する上記14に記載の生成的製造プロセス。
【0115】
16.第1構築空間B1と、これに隣接する第2構築空間B2に1つ以上の3次元部品、例えば鋳造型または鋳造中子、を層状に同時に形作るように構成されており、第1構築空間B1に第1コーティング装置3が割り当てられ、第2構築空間B2に第2コーティング装置13が割り当てられ、それぞれの構築空間に、固化される構築材料の均一な構築材料層の形態で構築材料を供給するため、それぞれ第1構築空間B1を横切る第1方向H1と、第2構築空間B2を横切る、第1方向H1に実質的に平行である第3方向H3に移動可能であり、第1構築空間B1の先に塗布された構築材料層の部分領域および第2構築空間B2の先に塗布された構築材料層の部分領域に流動性の処理剤を制御された方法で出力するため、第1及び第3方向H1、H3に対して角度をつけて配置された第2方向H2において第1構築空間B1及び第2構築空間B2を横切って移動可能である共通の印刷装置5を有し、第1方向H1に沿って第1構築空間B1を横切る第1コーティング装置3によって移動する距離S1は、第2方向H2に沿って第1構築空間B1を横切る印刷装置5によって移動する(単一の)距離S21以上であり、例えば、少なくとも1.2の係数まで大きく、および/または第3方向H3に沿って第2構築空間B2を横切る第2コーティング装置13によって移動する距離S3は、第2方向H2に沿って第2構築空間B2を横切る印刷装置5によって移動する(単一の)距離S22以上であり、例えば、少なくとも1.2の係数まで大きく、および/または 第1構築空間B1および第2構築空間B2がそれぞれ、平面視において、2つの長辺および2つの短辺を有し、第1および第2構築空間B1、B2は互いに隣接する2つの長辺を有するように配置され、および/または第1方向H1および第3方向H3がそれぞれ第1構築空間の長辺と第2構築空間の長辺に対して実質的に平行である3Dプリンタ。
【0116】
特定の例示的な実施形態の前述の説明は、例示および説明のために提示されてきた。網羅的であること、または開示された正確な形態に限定することは意図されておらず、ここにおいて本明細書に開示された教示に照らして、様々な修正および変形が可能であることが理解されるべきである。保護の範囲は、添付の特許請求の範囲及びこれに準ずるものによって定義される。