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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-18
(45)【発行日】2022-03-29
(54)【発明の名称】物品を形成するための装置および方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/106 20170101AFI20220322BHJP
   H01B 17/26 20060101ALI20220322BHJP
   H01B 19/00 20060101ALI20220322BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20220322BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20220322BHJP
   B29C 64/393 20170101ALI20220322BHJP
   B33Y 50/02 20150101ALI20220322BHJP
   B29C 64/241 20170101ALI20220322BHJP
【FI】
B29C64/106
H01B17/26 Z
H01B19/00 301
B33Y30/00
B33Y10/00
B29C64/393
B33Y50/02
B29C64/241
【請求項の数】 29
(21)【出願番号】P 2020554519
(86)(22)【出願日】2019-04-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-19
(86)【国際出願番号】 US2019025110
(87)【国際公開番号】W WO2019195129
(87)【国際公開日】2019-10-10
【審査請求日】2020-12-03
(31)【優先権主張番号】15/946,999
(32)【優先日】2018-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519431812
【氏名又は名称】ヒタチ・エナジー・スウィツァーランド・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】HITACHI ENERGY SWITZERLAND AG
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ペリゴ,エリオ・アルベルト
(72)【発明者】
【氏名】マーフィー,キャスリン・エフ
(72)【発明者】
【氏名】グール,シェリフ
(72)【発明者】
【氏名】カドコ,ジョナ
(72)【発明者】
【氏名】ヘトリッチ、マシュー
(72)【発明者】
【氏名】ツァント,ニコラウス
(72)【発明者】
【氏名】カーシャ,クシシュトフ
(72)【発明者】
【氏名】マチジアク,ルカシュ
(72)【発明者】
【氏名】セクラ,ロベルト
(72)【発明者】
【氏名】マリノフスキ,ルカシュ
(72)【発明者】
【氏名】ロックス,イェンス
【審査官】関口 貴夫
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0031798(US,A1)
【文献】米国特許第05348986(US,A)
【文献】特開2001-322177(JP,A)
【文献】特開昭61-151909(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107081922(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/00-64/40
H01B 17/26
H01B 19/00
B33Y 10/00、30/00、50/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
添加剤製造を用いて製品を形成するための方法であって、
(a) 第1の回転ステージを用いて物体を水平軸の周りに連続的に回転させることを備え、前記物体は、前記回転中にエネルギ硬化性液体配合物の槽に部分的に浸漬され、前記方法はさらに、
(b) 前記物体の回転速度を制御して、前記物体上の所望の回転位置で未硬化の液体配合物の副層の所望の径方向厚さを達成することと、
(c) 所望の回転位置で前記物体の上にエネルギ投与量を供給するようにエネルギ源を向けることとを備え、前記エネルギ投与量は前記副層を硬化および凝固させるように構成され、前記方法はさらに、
硬化した液体配合物層の所望の径方向厚さが達成されるまで(a)、(b)および(c)を繰返すことを備える、方法。
【請求項2】
前記製品をバルク型ブッシングとして形成することをさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記硬化した液体配合物層は非導電層であり、
(d)前記非導電層の少なくとも一部の上に導電層を形成することをさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記製品をコンデンサブッシングとして形成することをさらに備える、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記硬化した液体配合物層の所望の径方向厚さを達成した後に、移送機構が前記槽から前記物体を取出すことと、
前記物体を前記水平軸の周りに回転させることと、
前記非導電層の前記少なくとも一部の上に前記導電層を塗布することとをさらに備える、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記導電層の材料は、前記第1の回転ステージによる連続回転中に前記エネルギ投与量の供給の回転下流側で追加される、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
第2の非導電層の所望の径方向厚さが達成されるまで(a)、(b)および(c)を繰返すことをさらに備える、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
所望の数の交互の非導電層および導電層が達成されるまで(d)、(a)、(b)および(c)を繰返すことをさらに備える、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
選択された導電層の前記水平軸に沿った長さを変化させることをさらに備える、請求項3に記載の方法。
【請求項10】
前記槽内の前記物体の所望の浸漬程度を維持するように直線ステージを操作することをさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記エネルギ投与量が与えられる前記水平軸に沿った長さを変化させることをさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記エネルギ源の出力を変化させて、回転体ではない前記製品の形状を達成することをさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記製品に張出部を形成することをさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
(a)、(b)および(c)を繰返して前記製品にウェザーシェッドを形成することをさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
添加剤製造を用いてブッシングを形成するための方法であって、
(a) 第1の回転ステージを用いて物体を回転軸の周りに回転させることと、
(b) 光硬化性の非導電性液体配合物副層を前記物体に塗布することと、
(c) 所望の回転位置で前記物体の上にエネルギ投与量を供給するようにエネルギ源を向けることとを備え、前記エネルギ投与量は前記副層を硬化および凝固させるように構成され、前記方法はさらに、
硬化した液体配合物層の所望の径方向厚さが達成されるまで(a)、(b)および(c)を繰返すことと、
(d) 前記非導電層の少なくとも一部の上に導電層を形成することと、
所望の数の交互の非導電層および導電層が達成されるまで(a)、(b)、(c)および(d)を繰返すこととを備え、
前記ブッシングはコンデンサブッシングである、方法。
【請求項16】
選択された導電層の前記回転軸に沿った長さを変化させることをさらに備える、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記回転軸に沿って前記エネルギ投与量が与えられることによって前記回転軸に沿った長さを変化させることをさらに備える、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記エネルギ源の出力を変化させて、回転体ではない前記ブッシングの形状を達成することをさらに備える、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
装置であって、
プロセッサによって読取可能であり、前記プロセッサが実行するプログラム命令を格納する非一時的なコンピュータ読取可能記憶媒体を備え、前記プログラム命令は、
(a) 第1の回転ステージを用いて物体を水平軸の周りに連続的に回転させるプログラム命令を備え、前記物体は、前記回転中にエネルギ硬化性液体配合物の槽に部分的に浸漬され、前記プログラム命令はさらに、
(b) 前記物体の回転速度を制御して、前記物体上の所望の回転位置で未硬化の液体配合物の副層の所望の径方向厚さを達成するプログラム命令と、
(c) 所望の回転位置で前記物体の上にエネルギ投与量を供給するようにエネルギ源を向けるプログラム命令とを備え、前記エネルギ投与量は前記副層を硬化および凝固させるように構成され、前記プログラム命令はさらに、
硬化した液体配合物層の所望の径方向厚さが達成されるまで(a)、(b)および(c)を繰返すプログラム命令を備える、装置。
【請求項20】
前記硬化した液体配合物層は非導電層であり、前記プロセッサによって読取可能な前記非一時的なコンピュータ読取可能記憶媒体はさらに、前記プロセッサが実行する、(d)前記非導電層の少なくとも一部の上に導電層を追加するプログラム命令を格納する、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記プロセッサによって読取可能な前記非一時的なコンピュータ読取可能記憶媒体はさらに、前記プロセッサが実行する、前記硬化した液体配合物層の所望の径方向厚さを達成した後に前記槽から前記物体を取出すように移送機構に指示するプログラム命令と、前記物体を前記水平軸の周りに回転させるプログラム命令と、前記非導電層の前記少なくとも一部の上に前記導電層を塗布するプログラム命令とを格納する、請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記プロセッサによって読取可能な前記非一時的なコンピュータ読取可能記憶媒体はさらに、前記プロセッサが実行する、前記第1の回転ステージによる連続回転中に前記エネルギ投与量の供給の回転下流側で前記導電層の材料を追加するプログラム命令を格納する、請求項20に記載の装置。
【請求項23】
前記プロセッサによって読取可能な前記非一時的なコンピュータ読取可能記憶媒体はさらに、前記プロセッサが実行する、第2の非導電層の所望の径方向厚さが達成されるまで(a)、(b)および(c)を繰返すプログラム命令を格納する、請求項20に記載の装置。
【請求項24】
前記プロセッサによって読取可能な前記非一時的なコンピュータ読取可能記憶媒体はさらに、前記プロセッサが実行する、所望の数の交互の非導電層および導電層が達成されるまで(d)、(a)、(b)および(c)を繰返すプログラム命令を格納する、請求項23に記載の装置。
【請求項25】
添加剤製造を用いてブッシングを形成するための方法であって、
プロセッサがプログラム命令を実行することにより、
(a) 第1の回転ステージを用いて物体を回転軸の周りに回転させることと、
(b) 光硬化性の非導電性液体配合物副層を前記物体に塗布することと、
(c) 所望の回転位置で前記物体の上にエネルギ投与量を供給するようにエネルギ源を向けることとを備え、前記エネルギ投与量は前記副層を硬化および凝固させるように構成され、さらに、
硬化した液体配合物層の所望の径方向厚さが達成されるまで(a)、(b)および(c)を繰返すことを備え、
前記ブッシングはバルク型ブッシングである、方法。
【請求項26】
ブッシングであって、
導体と、
前記導体の周りに配置されて前記導体を絶縁するように動作する光硬化性の非導電性配合物と
前記非導電性配合物の周りに配置された導電層とを備え
前記導電層は光硬化性の導電性配合物を備える、ブッシング。
【請求項27】
前記ブッシングはバルク型ブッシングである、請求項26に記載のブッシング。
【請求項28】
前記非導電性配合物は、前記導体を円筒状に取囲む少なくとも1つの非導電層の形態で配置される、請求項26に記載のブッシング。
【請求項29】
互いを取囲む複数の交互の非導電層および導電層をさらに備え、前記ブッシングはコンデンサブッシングである、請求項28に記載のブッシング。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、概して、添加剤製造を用いた物品の形成に関し、特に、添加剤製造プロセスを用いた、たとえばコンデンサブッシング、バルク型ブッシングまたは他の物品などの物品の形成に関するが、これらに限定されない。
【背景技術】
【0002】
背景
たとえば変圧器用および他のデバイス用のコンデンサブッシングは、関心領域であり続けている。既存のシステムの中には、一定の用途に対してさまざまな短所、欠点および不利点を有するものがある。たとえば、一部のコンデンサブッシング構成では、コンデンサブッシングの製造がより短期間で行なわれる場合がある。したがって、この技術分野におけるさらなる寄与が必要とされ続けている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
概要
本発明の一実施形態は、添加剤製造を用いて製品を形成するための固有の方法である。別の実施形態は、添加剤製造を用いてコンデンサブッシングまたはバルク型ブッシングを形成するための方法である。別の実施形態は、固有の装置である。他の実施形態は、コンデンサブッシングおよびバルク型ブッシングを含む製品のための装置、システム、デバイス、ハードウェア、方法、および組合せを含む。本願のさらなる実施形態、形態、特徴、局面、利益、および利点は、説明およびそれとともに提供される図面から明らかになるであろう。
【0004】
本明細書中の説明は添付の図面を参照し、それぞれの図全体にわたって同様の参照番号は同様の部分を指す。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】本発明の実施形態に従う、添加剤製造プロセスを用いてコンデンサブッシングなどの物品を製造するためのシステムの非限定的な例のいくつかの局面を概略的に示す図である。
図2】本発明の実施形態に従う、添加剤製造を用いてたとえばコンデンサブッシングなどの製品を形成するための方法の非限定的な例のいくつかの局面を示すフローチャート図である。
図3】本発明の実施形態に従う、硬化される非導電性液体配合物の副層を示す、形成される物品の拡大図のいくつかの局面を概略的に示す図である。
図4】本発明の実施形態に従う、添加剤製造プロセスを用いて形成された物品の非限定的な例のいくつかの局面を概略的に示す図である。
図5】本発明の実施形態に従う、図4の物品の断面図の非限定的な例のいくつかの局面を概略的に示す図である。
図6A】本発明の実施形態に従う、たとえば電場勾配を提供するために回転軸に沿った導電層の長さが変化する添加剤製造プロセスを用いて形成された物品の非限定的な例のいくつかの局面を概略的に示す図である。
図6B】本発明の実施形態に従う、たとえば電場勾配を提供するために回転軸に沿った導電層の長さが変化する添加剤製造プロセスを用いて形成された物品の非限定的な例のいくつかの局面を概略的に示す図である。
図6C】本発明の実施形態に従う、たとえば電場勾配を提供するために回転軸に沿った導電層の長さが変化する添加剤製造プロセスを用いて形成された物品の非限定的な例のいくつかの局面を概略的に示す図である。
図7A】本発明の実施形態に従う、物品の形状が回転体ではない添加剤製造プロセスを用いて形成された物品の非限定的な例のいくつかの局面を概略的に示す図である。
図7B】本発明の実施形態に従う、物品の形状が回転体ではない添加剤製造プロセスを用いて形成された物品の非限定的な例のいくつかの局面を概略的に示す図である。
図8A】本発明の実施形態に従う、物品の形状が回転体ではない添加剤製造プロセスを用いて形成された物品の非限定的な例のいくつかの局面を概略的に示す図である。
図8B】本発明の実施形態に従う、物品の形状が回転体ではない添加剤製造プロセスを用いて形成された物品の非限定的な例のいくつかの局面を概略的に示す図である。
図9A】本発明の実施形態に従う、硬化した非導電性部分が空隙によって互いに分離されている添加剤製造プロセスを用いて形成された物品の非限定的な例のいくつかの局面を概略的に示す図である。
図9B】本発明の実施形態に従う、硬化した非導電性部分が空隙によって互いに分離されている添加剤製造プロセスを用いて形成された物品の非限定的な例のいくつかの局面を概略的に示す図である。
図9C】本発明の実施形態に従う、硬化した非導電性部分が空隙によって互いに分離されている添加剤製造プロセスを用いて形成された物品の非限定的な例のいくつかの局面を概略的に示す図である。
図10A】本発明の実施形態に従う、螺旋の形態の単一の連続的な導電層を使用する添加剤製造プロセスを用いて形成された物品の非限定的な例のいくつかの局面を概略的に示す図である。
図10B】本発明の実施形態に従う、螺旋の形態の単一の連続的な導電層を使用する添加剤製造プロセスを用いて形成された物品の非限定的な例のいくつかの局面を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
例示的な実施形態の詳細な説明
本発明の原理についての理解を促進するために、図面に示される実施形態を以下で参照し、具体的な文言を用いてそれらを説明する。しかしながら、それによる本発明の範囲の限定は意図されていないことが理解されるであろう。説明する実施形態における変更およびさらなる修正、ならびに本明細書で説明するような本発明の原理のさらなる適用はいずれも、本発明が関連する当業者にとって通常想起されるように企図されている。
【0007】
図1を参照して、添加剤製造プロセスを用いて、コンデンサブッシングなどの物体、たとえば物品12を製造するためのシステム10の非限定的な例のいくつかの局面が、本発明の実施形態に従って概略的に示されている。コンデンサブッシングの形態では、物品12は、たとえば、その中心に円筒導体14を有する変圧器ブッシングまたは別の種類のコンデンサブッシングまたはバルク型ブッシングであってもよい。他の実施形態では、導体14は円筒形でなくてもよく、むしろ他の形状を使用してもよい。たとえば、他の実施形態では、導体14は、円筒の円形断面形状の代わりに六角形のおよび/または他の断面形状を有する。さまざまな実施形態において、導体14は中実であってもよいし、中空であってもよいし、一部が中実で他の部分が中空であってもよい。物品12は、たとえば、変圧器、スイッチギアおよび/または他の電気系統部品においてまたはそれらとともに用いる、低圧、中圧もしくは高圧電気系統または配電系統などの電気系統の使用のためにまたは当該電気系統の一部として構成されてもよい。他の実施形態では、物品12は、たとえばコンデンサブッシング以外の別の種類の製品であってもよい。システム10は、コントローラ16と、回転ステージ18と、第1の生産ステーション22に配置されたエネルギ源20とを含む。エネルギ源20は、光硬化性ポリマー、モノマー、オリゴマーおよび/もしくは他の液体配合物を硬化させるために用いられてもよく、ならびに/または溶融のために用いられてもよく、ならびに/または反応トリガを提供するために用いられてもよく、ならびに/または他の目的で用いられてもよい。
【0008】
いくつかの実施形態は、材料塗布システム26を有する第2の生産ステーション24を含む。そのような実施形態は、たとえば、生産作業が第1の生産ステーション22および第2の生産ステーション24によって交互に行なわれ得るように、形成される物品12(および、いくつかの実施形態では回転ステージ18)を物品12の製造時に第1の生産ステーション22と第2の生産ステーション24との間で移動させるように構成された移送機構28を含んでもよい。いくつかの実施形態では、移送機構28はまた、形成される物品12(および、いくつかの実施形態では回転ステージ18)を、たとえば洗浄、乾燥および/または他の作業などの他の製造作業を行なうために他の生産ステーションに移動させるように構成されてもよい。他の実施形態は、代替的に、たとえば材料塗布システム26の代わりに、生産ステージ22における材料塗布システム30を含んでもよい。第2の生産ステーション24が第1の生産ステーション22の上に配置される実施形態では、第1の生産ステーション22の汚染を避けるために遮蔽部32が位置決めされてもよい。
【0009】
コントローラ16はプロセッサ34を含み、プロセッサ34は、プロセッサによって読取可能であり、プロセッサ34が実行するプログラム命令38を格納する非一時的なコンピュータ読取可能記憶媒体などのメモリデバイス36に結合されている。いくつかの実施形態では、メモリデバイス36は、たとえば有線接続または無線接続または光学接続によってダウンロードすることによって、プロセッサによって読取可能であり、プロセッサが実行するプログラム命令38を格納する別の非一時的なコンピュータ読取可能記憶媒体からプログラム命令38を取得してもよい。
【0010】
コントローラ16は、回転ステージ18、エネルギ源20、材料塗布システム26、移送機構28に、および、そのように装備された実施形態では材料塗布システム30に通信するように結合される。物品12の生産時、コントローラ16、たとえばプロセッサ34は、プログラム命令38を実行して、本明細書に記載されるさまざまな行為を行なう。
【0011】
図2も参照して、添加剤製造を用いてたとえばコンデンサブッシングなどの製品12を形成するための方法の非限定的な例のいくつかの局面を示すフローチャート100が本発明の実施形態に従って示されている。プロセスフローはブロック102で始まる。
【0012】
物品12の製造開始時に、たとえば円筒形であってもなくてもよい導体14などのマンドレルを回転ステージ18に装着する。回転ステージ18は、平面として見た図1に対して垂直に延びる水平回転軸40の周りにマンドレルおよび形成される物品12を回転させるように動作する。
【0013】
ブロック103において、たとえば、非導電層50を形成するための配合物46の所望の特性を維持するために、および/または導電層52を形成するための導電材料の所望の特性を維持するために(配合物46、非導電層50および導電層52は以下に説明する)、生産ステーション22における、およびいくつかの実施形態では生産ステーション24における環境条件が所望のレベルを達成するように制御されて当該所望のレベルで、たとえば所望の許容帯域内で安定化される。たとえば、いくつかの実施形態では、生産ステーション22において、およびいくつかの実施形態では生産ステーション24において、周囲ガス組成、湿度、温度および圧力が所望のレベルを達成するように制御されて当該所望のレベルで安定化される。生産ステーション24におけるレベルは生産ステーション22におけるレベルと同一であってもなくてもよい。周囲湿度、温度および圧力は、たとえば加湿器、加熱器および冷却器などの設備によって制御および安定化されてもよい。周囲ガス組成は、とりわけ、生産ステーション22における、およびいくつかの実施形態では生産ステーション24における所望のガス組成を維持するための、たとえば、ボンベ入りガス、ガス分離モジュール、通気口、フィルタ、大気リサイクル装置、および/または他の手段を使用することによって制御および安定化されてもよい。いくつかの実施形態では、環境条件はプロセッサ34によって制御(および安定化)されてもよい。他の実施形態では、環境条件は人間の介入を伴ってまたは伴わずに1つ以上の他のプロセッサまたはコントローラによって制御(および安定化)されてもよいし、人間の入力によって制御(および安定化)されてもよい。
【0014】
ブロック104において、プロセッサ34はプログラム命令38を実行して、形成される物品12を水平軸40の周りに回転させる。図1の見え方では、回転は反時計回り方向42である。一形態では、回転は一定の角速度または速さで連続的である。他の実施形態では、回転は間欠的であってもよく、および/または角速度もしくは速さが変化してもよい。回転中に、形成される物品12は液体配合物46の槽44に部分的に浸水または浸漬される。液体配合物46は、ポリマー、モノマーおよび/またはオリゴマーであってもよいし、ポリマー、モノマー、オリゴマーまたはそれらの組合せを含有する液体配合物であってもよい。さまざまな実施形態において、液体配合物46は光開始剤を含んでもよい。液体配合物46は、たとえば光エネルギなどの適切な種類および量のエネルギの印加によって固体状態に硬化されてもよい。たとえば、いくつかの実施形態では、液体配合物46は光硬化性であり、すなわち、電磁放射または光の特定の波長/周波数を用いる光誘導硬化を受ける。したがって、硬化した液体配合物46は固体である。一形態では、液体配合物46は非導電性であり、すなわち絶縁性である。他の実施形態では、液体配合物46は導電性であってもよい。
【0015】
光硬化性液体配合物の形態では、液体配合物46は、たとえば、ある実施形態では紫外光の、または他の実施形態では青色光の、または他の実施形態では1つ以上の他の周波数の光のエネルギ投与量によって硬化されてもよい。いくつかの実施形態では、液体配合物46は、赤外放射または赤外光のエネルギ投与量によって硬化可能であってもよい。いくつかの実施形態では、液体配合物46は、SiOおよび/またはAlおよび/または1つ以上の他の材料などの固体粒子または添加剤を含んでもよい。
【0016】
いくつかの実施形態では、直線ステージ45を用いて、形成される物品12の槽44内の所望の浸漬程度を維持してもよい。他の実施形態では、液体配合物46の槽44内の高さは、たとえばフロート弁およびポンプなどの図示しない手段によって維持されてもよい。
【0017】
形成される物品12を槽44内で回転させると、ある量の液体配合物46が物品12上に連行される。液体配合物は、形成される物品12に沿って平均膜厚(径方向厚さ)Hを達成し、液体配合物46に硬化エネルギ投与量を提供するエネルギ源20によって硬化される。上述のように、エネルギ源20によって提供されるエネルギ投与量は電磁放射であってもよく、当該電磁放射は、1つ以上の特定の波長、ある波長範囲、または別個の波長と波長範囲との組合せを有してもよい。非限定的な例は、ある実施形態では紫外光の、または他の実施形態では青色光の、または他の実施形態では1つ以上の他の周波数の光のエネルギ投与量を含む。さらに他の実施形態では、液体配合物46は赤外放射または赤外光のエネルギ投与量によって硬化可能であってもよい。
【0018】
図3も参照して、液体配合物46の膜または副層の厚さHが示されている。膜または副層の厚さH、すなわち径方向厚さは、形成される物品12の半径R、形成される物品12の回転速度(すなわち角速度)、ならびに液体配合物46の密度および粘度によって変化する。たとえば、以下の式1を用いて径方向厚さHを近似してもよい。
【0019】
【数1】
【0020】
式中、μは液体配合物46の液体粘度であり、Ωは物品12の回転速度または角速度であり、ρは液体配合物46の液体密度であり、gは重力加速度であり、Rは形成される物品12の半径であり、Hは形成される物品12の外側の液体配合物46のコーティング平均厚さ(径方向厚さ)である。所望の径方向厚さHの合理的な近似に達すると、回転速度または角速度を調整して径方向厚さを微調整し、所望の径方向厚さHを達成してもよい。したがって、いくつかの実施形態では、システム10は硬化前に液体配合物46を塗布して配合物46の所望の径方向厚さHを達成するが、硬化のための所望の径方向厚さHを達成するためにスクレーパブレード、ローラまたは他の機械的手段を用いない。他の実施形態では、他の手法を使用して所望の径方向厚さHを得てもよい。いくつかの実施形態では、スクレーパブレードまたはローラまたは他の特徴もしくは手段を使用して所望の径方向厚さHを得てもよい。他の実施形態では、液体配合物46は、たとえば、所望の径方向厚さHを得るためにスクレーパブレード、ローラまたは他の手段を用いてまたは用いずに、形成される物品12の上に液体配合物46をブラッシング、スプレーコーティングまたは滴下することによって、形成される物品12に液体配合物46を塗ることによって塗布されてもよい。
【0021】
ブロック106において、プロセッサ34はプログラム命令38を実行して、形成される物品12の回転速度を制御し、たとえば、式1ならびに角速度および径方向厚さHの較正に基づいて、物体上の所望の回転位置で未硬化の液体配合物46の副層の所望の径方向厚さHを達成する。制御される回転速度は、たとえば添加剤製造によって、形成される物品12に非導電(絶縁)層および導電層が追加されるにつれて増加する形成される物品12の半径に対処するための調整を含んでもよい。いくつかの実施形態では、たとえば、いくつかのバルク型ブッシングにおいては、非導電層のみが塗布されてもよい。
【0022】
ブロック108において、プロセッサ34はプログラム命令38を実行して、たとえば、液体配合物46の径方向厚さHが所望の値である所望の回転位置で物体の上に硬化エネルギ投与量を供給するようにエネルギ源20を向ける。硬化エネルギ投与量は、たとえば副層48などの所望の径方向厚さHの副層を硬化および凝固させるように構成された当該硬化および凝固に十分なエネルギ投与量である。液体配合物46の任意の副層の径方向厚さは、たとえば0.02mmから3.0mmの範囲であってもよい。すなわち、0.02mmから3.0mmの範囲の径方向厚さを有する膜または液体副層が硬化されて液体配合物46の固体副層48になってもよい。他の実施形態では、膜および副層の径方向厚さはこの範囲外であってもよい。一形態では、エネルギ源20はデジタル光プロセッサであるか、またはデジタル光プロセッサを含む。他の実施形態では、エネルギ源20は、たとえば、発光ダイオード(LED)の1つ以上のバンクもしくはアレイ、ラインレーザおよび/または他のレーザなどの1つ以上のレーザ、および/またはランプ、および/または1つ以上の他の好適な放射光/エネルギ源などの、液体配合物46の所望の径方向厚さHを硬化させる放射エネルギを出力可能ないずれの光/エネルギ源であってもよい。いくつかの実施形態では、エネルギ源20によって生成される放射エネルギを、マスク、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)、光学フィルタおよび/またはレンズを通してルーティングすることによって変換、増強および/または制御して、非導電副層48および非導電層50(液体配合物46の層50は以下で説明する)の所望の外形、そして最終的に成形物品12の所望の外形が得られる。エネルギ源20は、ある実施形態では紫外光、または他の実施形態では青色光、または他の実施形態では1つ以上の他の周波数の光に関して放射エネルギを提供するように構成されてもよい。さらに他の実施形態では、赤外放射または赤外光が用いられてもよい。
【0023】
いくつかの実施形態では、プロセッサ34は、水平回転軸40に沿ってその出力を変化させるようにエネルギ源20を向けるプログラム命令を実行する。たとえば、エネルギ源20は、エネルギ投与量が与えられる水平軸に沿った長さを変化させてもよい。したがって、水平回転軸40に沿った1つの硬化した液体配合物46副層48または層50の長さは、水平回転軸40に沿った別の硬化した副層48または層50の長さとは異なってもよい。また、いくつかの実施形態では、プロセッサ34は、たとえば、水平回転軸40に沿った硬化部分が生成されて、未硬化部分によって水平回転軸40に沿って離間され得ることによって、(たとえば、図9A~9Cに示されるように)物品12が空隙によって互いに分離された硬化した非導電性部分を有し、かつ張出部を有するように、水平回転軸40に沿った所望の部分のみを硬化させるようにエネルギ源20を向けるプログラム命令を実行する。硬化部分および未硬化部分の水平回転軸40に沿ったサイズまたは長さは、特定の用途の必要性によって異なり得る。さらに、いくつかの実施形態では、プロセッサ34はプログラム命令を実行して、たとえばエネルギ源20がオンにされたときおよびオフにされたときにエネルギ源20を制御する、またはたとえばパルス幅変調の形態でエネルギ源20の出力を変調するなど、エネルギ源20の出力を選択的に制御して、たとえば図7A図7B図8Aおよび図8Bに示されるように、回転体ではない物品12の形状を達成する。
【0024】
図4および図5も参照して、ブロック110において、プロセッサ34はプログラム命令38を実行して、硬化した非導電性液体配合物46層50の所望の径方向厚さ54が達成されたか否かを判断する。たとえば、いくつかの実施形態における非導電層50の径方向厚さおよび/または1つ以上の非導電副層48の径方向厚さは、画像分析(たとえば、2Dおよび/もしくは3D画像および/もしくは映像処理による)、機械的ならびに/または光学的な物理学的測定によって求めることができる。いくつかの実施形態では、層50の所望の径方向厚さ54が達成されたか否かを判断するために、層50の副層48の数に各副層48の厚さを掛けてもよい。達成されていない場合、プロセスフローはブロック104に戻り、ブロック104~108のプロセスを繰返し、硬化した配合物46層50の所望の径方向厚さが達成されるまで、最初の副層48の上に1つ以上の副層48を積み重ねる。達成されている場合、プロセスフローはブロック112に進む。いくつかの実施形態では、液体配合物46の硬化した非導電層50は、硬化した非導電性液体配合物46の単一の副層48で形成されてもよいが、他の実施形態では、硬化した非導電性液体配合物46の複数の副層48を積み重ねて、硬化した非導電性液体配合物46の単層50を達成してもよいことが理解されるであろう。いくつかの実施形態では、硬化した非導電性液体配合物46の「層」は、導電層52間の、または導電層52と導体14との間の分離距離を規定する。したがって、いくつかの実施形態では、導電層52間の径方向距離は、任意の所望の径方向厚さを有し得る最も外側の非導電層を除いて、層50の径方向厚さ54を規定する。
【0025】
ブロック112において、プロセッサ34はプログラム命令を実行して、所望の数の交互の非導電層および導電層が達成されたか否かを判断する。達成されている場合、プロセスフローはブロック118に進み、プロセスは終了する。達成されていない場合、プロセスフローはブロック114に進む。
【0026】
ブロック114において、プロセッサ34はプログラム命令を実行して、たとえば、現在最も外側の非導電層50のすべてまたは一部の上に導電層52を形成または追加する。いくつかの実施形態では、プロセッサ34はまた、プログラム命令を実行して、水平回転軸40に沿った導電層52の長さを変化させ、ここで、導電層52の長さは、たとえばコンデンサブッシングの形態の物品12に電場勾配を提供するために異なっていてもよく、すなわち、いくつかの導電層52は他の導電層52よりも長いおよび/または短いように異なっていてもよい。いくつかの実施形態では、プロセッサ34はプログラム命令を実行して、移送機構28に対して、所望の非導電層の径方向厚さを達成した後、形成される物品12(およびいくつかの実施形態では、回転ステージ18)を槽44および第1の生産ステーション22から取出して、材料塗布システム26によって導電層を追加するために物品12を第2の生産ステーション24に送出するように指示する。材料塗布システム26は、硬化した非導電層の上に導電層を堆積させるように構成される。いくつかの実施形態では、形成される物品12は、導電層52の塗布の前の別の手順の前に洗浄されてもよいし当該別の手順を受けてもよい。いくつかの実施形態では、たとえば、形成される物品12全体が導体層52の塗布前に硬化され得るように、槽44に浸漬されている物品12の体積を変更してもよい。材料塗布システム26は、材料塗布システム26が形成される物品12からの所望の距離を維持できるようにするために、直線ステージを含んでもよい。
【0027】
導電層の塗布中に、形成される物品12は水平回転軸40の周りを回転し、硬化した非導電層の上に導電層が塗布される。いくつかの実施形態では、導電層は非導電層の一部の上にのみ塗布されてもよい。一形態では、材料塗布システム26は、形成される物品12に導電材料を転写する、すなわち、箔またはカーボンブラック塗料などの塗料の形態の導電層52を転写するローラである。他の材料塗布システム26は、非導電層の上(または前の導電層の上)に導電層を印刷するように動作するインクジェットエンジンであってもよい。いくつかの実施形態では、材料塗布システム26は、非導電層の上または前の導電層の上に導電層を堆積させるように構成された電着システムであってもよい。さまざまな実施形態において、導電層52はこれに加えて、またはこれに代えて、金属塗料、金属液体、エポキシおよび/または配合物46で形成されてもよい。たとえば、この金属塗料、金属液体、エポキシおよび/または配合物46は、たとえば、銀、炭素、カーボンブラック、亜鉛、ニッケル、アルミニウムおよび/または銅などの導電材料を含むか当該導電材料で部分的に形成されてもよいし、そのような塗料、液体、エポキシおよび/または配合物46のベース全体に分散したそのような材料を有してもよい。この金属塗料および/または金属液体は、たとえば、銀、炭素、カーボンブラック、亜鉛、ニッケル、アルミニウムおよび/または銅などの導電材料で完全にまたは実質的に完全に形成されてもよいし、そのような金属塗料および/または金属液体のベース全体に分散したそのような材料を有してもよい。導電層が追加された後、プロセスフローはブロック116に進む。
【0028】
他の実施形態では、導電層52は第1の生産ステーション22において材料塗布システム30によって追加されてもよく、ここで、導電層は、回転ステージ18による連続回転中に硬化エネルギ投与量の供給の回転下流側で追加される。材料塗布システム26および導電層52の材料の説明は、材料塗布システム30にも等しく当てはまる。材料塗布システム30は、形成される物品12の硬化部分に導電層52を塗布するので、いくつかの実施形態では、形成される物品12は、材料塗布システム30による導電層52の塗布中に槽44から取出されなくてもよい。他の実施形態では、直線ステージ45を用いて、1つ以上の導電層52の塗布の前または最中に物品12を槽44から持上げてもよい。
【0029】
ブロック116において、プロセッサ34はプログラム命令を実行して、導電層52が所望の径方向厚さ56を有するか否かを判断する。たとえば、1つ以上の測定を行なって、導電層52が所望の径方向厚さを有するか否かを判断してもよい。測定の例として、導電層52の径方向厚さが画像分析(たとえば、2Dおよび/もしくは3D画像および/もしくは映像処理による)、ならびに/または機械的、光学的ならびに/または物理的な測定によって求められることが挙げられ得る。たとえば、導電層52が導電材料からなる複数の副層から構築されるいくつかの実施形態では、導電層52の所望の径方向厚さ56が達成されたか否かを判断するために、副層の数に各副層の厚さを掛けてもよい。別の例では、プログラム命令が2つ以上の導電層52の追加を求めてもよく、判断は、所望の数の導電層または副層の数に達したか否かに関する判断であってもよいし、当該判断を含んでもよい。有していない場合、プロセスフローはブロック114に戻って別の導電層52を追加する。有している場合、プロセスフローはブロック104に戻る。ブロック104~116は、ブロック112において、プロセッサ34がプログラム命令を実行して所望の数の交互の非導電層および導電層が達成されたか否かを判断し、判断の結果、所望の数の交互の非導電層および導電層が達成されるまで繰返される。
【0030】
図6A図6Cも参照して、たとえば電場勾配を提供するために回転軸に沿った導電層52の長さが変化する、たとえば本明細書に記載されるような添加剤製造プロセスを用いて形成された物品12の非限定的な例のいくつかの局面が、本発明の実施形態に従って概略的に示されている。図6Bは、たとえば、径方向に最も内側の導電層が後続する次の外側導電層52の各々よりも長い長さを有するように、水平軸40に沿った導電層52の長さが変化する例を示す。
【0031】
図7Aおよび7Bも参照して、物品12の形状が回転体ではない、たとえば本明細書に記載されるような添加剤製造プロセスを用いて形成された物品12の非限定的な例のいくつかの局面が、本発明の実施形態に従って概略的に示されている。
【0032】
図8Aおよび8Bも参照して、物品12の形状が回転体ではない、たとえば本明細書に記載されるような添加剤製造プロセスを用いて形成された物品12の非限定的な例のいくつかの局面が、本発明の実施形態に従って概略的に示されている。
【0033】
図9A図9Cは、本発明の実施形態に従う、硬化した非導電性部分58が空隙60によって互いに分離されている、たとえば本明細書に記載されるような添加剤製造プロセスを用いて形成された物品12の非限定的な例のいくつかの局面を概略的に示す。非導電性部分58は、物品12の本体64から延びる延在部62を含む。図示した実施形態の本体64は、交互の非導電層50および導電層52で形成されており、非導電層50が径方向に最も外側の導電層52の周りに配置されている。
【0034】
非導電性部分58および延在部62は本体64と一体化しており、本体64と単一構造を形成している。いくつかの実施形態では、各延在部62は、延在部62のバランスの上に張出す張出部66を含む。張出部66は延在部62と一体化しており、延在部62と単一構造を形成している。延在部62のバランスによって接線方向または対角線方向に支持されているが、張出部66ごとの直接的な径方向の支持はなく、すなわち、水平回転軸40に垂直であり張出部66と本体64との間に配置された構造的な支持はない。むしろ、張出部66は延在部62から片持ち梁状に離れている。非導電性部分58、および張出部66を有する延在部62は、たとえば、ある実施形態ではコンデンサブッシング用の、または他の実施形態ではバルク型ブッシング用の、ウェザーシェッド(weather shed)(ブッシングシェッド)を形成してもよい。
【0035】
図10Aおよび図10Bも参照して、たとえば本明細書に記載されるような添加剤製造プロセスを用いて形成された物品12の非限定的な例のいくつかの局面が、本発明の実施形態に従って示されている。図10Aおよび図10Bの実施形態では、単一の連続的な導電層52が螺旋68として形成されている。他の実施形態では、螺旋68は不連続であってもよい。たとえば、螺旋68は、不連続な螺旋として配置された複数の導電層52で形成されてもよく、当該複数の導電層52は、たとえば実施形態に応じて、隣接する導電層52の周方向の重なりを含んでも含まなくてもよい。
【0036】
本発明の実施形態は、添加剤製造を用いて製品を形成するための方法であって、(a)第1の回転ステージを用いて物体を水平軸の周りに連続的に回転させることを備え、上記物体は、上記回転中にエネルギ硬化性液体配合物の槽に部分的に浸漬され、上記方法はさらに、(b)上記物体の回転速度を制御して、上記物体上の所望の回転位置で未硬化の液体配合物の副層の所望の径方向厚さを達成することと、(c)所望の回転位置で上記物体の上にエネルギ投与量を供給するようにエネルギ源を向けることとを備え、上記エネルギ投与量は上記副層を硬化および凝固させるように構成され、上記方法はさらに、硬化した液体配合物層の所望の径方向厚さが達成されるまで(a)、(b)および(c)を繰返すことを備える方法を含む。
【0037】
一改良例では、上記方法はさらに、上記製品をバルク型ブッシングとして形成することを備える。
【0038】
別の改良例では、上記硬化した液体配合物層は非導電層であり、(d)上記非導電層の少なくとも一部の上に導電層を形成することをさらに備える。
【0039】
さらに別の改良例では、上記方法はさらに、上記製品をコンデンサブッシングとして形成することを備える。
【0040】
さらに別の改良例では、上記方法はさらに、上記硬化した液体配合物層の所望の径方向厚さを達成した後に、移送機構が上記槽から上記物体を取出すことと、上記物体を上記水平軸の周りに回転させることと、上記非導電層の上記少なくとも一部の上に上記導電層を塗布することとを備える。
【0041】
さらに別の改良例では、上記導電層の材料は、上記第1の回転ステージによる連続回転中に上記エネルギ投与量の供給の回転下流側で追加される。
【0042】
さらなる改良例では、上記方法はさらに、第2の非導電層の所望の径方向厚さが達成されるまで(a)、(b)および(c)を繰返すことを備える。
【0043】
さらに別の改良例では、上記方法はさらに、所望の数の交互の非導電層および導電層が達成されるまで(d)、(a)、(b)および(c)を繰返すことを備える。
【0044】
さらに別の改良例では、上記方法はさらに、選択された導電層の上記水平軸に沿った長さを変化させることを備える。
【0045】
さらに別の改良例では、上記方法はさらに、上記槽内の上記物体の所望の浸漬程度を維持するように直線ステージを操作することを備える。
【0046】
別のさらなる改良例では、上記方法はさらに、上記エネルギ投与量が与えられる上記水平軸に沿った長さを変化させることを備える。
【0047】
さらに別のさらなる改良例では、上記方法はさらに、上記エネルギ源の出力を変化させて、回転体ではない上記製品の形状を達成することを備える。
【0048】
さらに別のさらなる改良例では、上記方法はさらに、上記製品に張出部を形成することを備える。
【0049】
さらに別のさらなる改良例では、上記方法はさらに、(a)、(b)および(c)を繰返して上記製品にウェザーシェッドを形成することを備える。
【0050】
本発明の実施形態は、添加剤製造を用いてコンデンサブッシングを形成するための方法であって、(a)第1の回転ステージを用いて物体を回転軸の周りに回転させることと、(b)光硬化性の非導電性液体配合物副層を上記物体に塗布することと、(c)所望の回転位置で上記物体の上にエネルギ投与量を供給するようにエネルギ源を向けることとを備え、上記エネルギ投与量は上記副層を硬化および凝固させるように構成され、上記方法はさらに、硬化した液体配合物層の所望の径方向厚さが達成されるまで(a)、(b)および(c)を繰返すことと、(d)上記非導電層の少なくとも一部の上に導電層を形成することと、所望の数の交互の非導電層および導電層が達成されるまで(a)、(b)、(c)および(d)を繰返すこととを備える方法を含む。
【0051】
一改良例では、上記方法はさらに、選択された導電層の上記回転軸に沿った長さを変化させることを備える。
【0052】
別の改良例では、上記方法はさらに、それに沿って上記エネルギ投与量が与えられる上記回転軸に沿った長さを変化させることを備える。
【0053】
さらに別の改良例では、上記方法はさらに、上記エネルギ源の出力を変化させて、回転体ではない上記物品の形状を達成することを備える。
【0054】
本発明の実施形態は、装置であって、プロセッサによって読取可能であり、上記プロセッサが実行するプログラム命令を格納する非一時的なコンピュータ読取可能記憶媒体を備え、上記プログラム命令は、(a)第1の回転ステージを用いて物体を水平軸の周りに連続的に回転させるプログラム命令を備え、上記物体は、上記回転中にエネルギ硬化性液体配合物の槽に部分的に浸漬され、上記プログラム命令はさらに、(b)上記物体の回転速度を制御して、上記物体上の所望の回転位置で未硬化の液体配合物の副層の所望の径方向厚さを達成するプログラム命令と、(c)所望の回転位置で上記物体の上にエネルギ投与量を供給するようにエネルギ源を向けるプログラム命令とを備え、上記エネルギ投与量は上記副層を硬化および凝固させるように構成され、上記プログラム命令はさらに、硬化した液体配合物層の所望の径方向厚さが達成されるまで(a)、(b)および(c)を繰返すプログラム命令を備える装置を含む。
【0055】
一改良例では、上記硬化した液体配合物層は非導電層であり、上記プロセッサによって読取可能な上記非一時的なコンピュータ読取可能記憶媒体はさらに、上記プロセッサが実行する、(d)上記非導電層の少なくとも一部の上に導電層を追加するプログラム命令を格納する。
【0056】
別の改良例では、上記プロセッサによって読取可能な上記非一時的なコンピュータ読取可能記憶媒体はさらに、上記プロセッサが実行する、上記硬化した液体配合物層の所望の径方向厚さを達成した後に上記槽から上記物体を取出すように移送機構に指示するプログラム命令と、上記物体を上記水平軸の周りに回転させるプログラム命令と、上記非導電層の上記少なくとも一部の上に上記導電層を塗布するプログラム命令とを格納する。
【0057】
さらに別の改良例では、上記プロセッサによって読取可能な上記非一時的なコンピュータ読取可能記憶媒体はさらに、上記プロセッサが実行する、上記第1の回転ステージによる連続回転中に上記エネルギ投与量の供給の回転下流側で上記導電層の材料を追加するプログラム命令を格納する。
【0058】
さらに別の改良例では、上記プロセッサによって読取可能な上記非一時的なコンピュータ読取可能記憶媒体はさらに、上記プロセッサが実行する、第2の非導電層の所望の径方向厚さが達成されるまで(a)、(b)および(c)を繰返すプログラム命令を格納する。
【0059】
さらに別の改良例では、上記プロセッサによって読取可能な上記非一時的なコンピュータ読取可能記憶媒体はさらに、上記プロセッサが実行する、所望の数の交互の非導電層および導電層が達成されるまで(d)、(a)、(b)および(c)を繰返すプログラム命令を格納する。
【0060】
本発明の実施形態は、添加剤製造を用いてブッシングを形成するための方法であって、(a)第1の回転ステージを用いて物体を回転軸の周りに回転させることと、(b)光硬化性の非導電性液体配合物副層を上記物体に塗布することと、(c)所望の回転位置で上記物体の上にエネルギ投与量を供給するようにエネルギ源を向けることとを備え、上記エネルギ投与量は上記副層を硬化および凝固させるように構成され、さらに、硬化した液体配合物層の所望の径方向厚さが達成されるまで(a)、(b)および(c)を繰返すことを備え、上記ブッシングはバルク型ブッシングである方法を含む。
【0061】
本発明の実施形態は、導体と、上記導体の周りに配置されて上記導体を絶縁するように動作する光硬化性の非導電性配合物とを備えるブッシングを含む。
【0062】
一改良例では、上記ブッシングはバルク型ブッシングである。
別の改良例では、上記ブッシングは、上記非導電層の周りに配置された導電層をさらに備え、上記ブッシングはコンデンサブッシングである。
【0063】
図面およびこれまでの説明において本発明を詳細に示し述べてきたが、これは性質として例示的なものであって限定的なものではないとみなされるべきであって、好ましい実施形態のみを示し説明していること、および、本発明の精神の範囲に含まれるすべての変更および変形が保護されることが望まれていることが、理解される。上記の説明で利用している、好ましい、好ましくは、好まれる、またはより好まれるなどの語の使用は、そのように記載した特徴がより望まれ得ることを示すが、それにもかかわらず当該特徴は不要な場合もあり、当該特徴を有しない実施形態は本発明の範囲内にあると考えることができ、当該範囲は以下の請求項によって規定されることが理解されるべきである。請求項の解釈に当たっては、「1つの」、「少なくとも1つの」または「少なくとも一部」などの語を用いる場合、請求項中にこれと異なる具体的な記載のない限り、請求項を1つの項目のみに限定することを意図していない。「少なくとも一部」および/または「一部」という文言を用いる場合、当該項目は、これと異なる具体的な記載のない限り、項目の一部および/または全体を含み得る。
【0064】
特に記載または限定のない限り、「装着された」、「接続された」、「支持された」および「結合された」という用語ならびにその変形は広義に用いられており、直接的および間接的の両方の装着、接続、支持、および結合を含む。さらに、「接続された」および「結合された」は物理的または機械的な接続または結合に限定されない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図9C
図10A
図10B