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特許7043628両面集光型太陽エネルギー装置及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-18
(45)【発行日】2022-03-29
(54)【発明の名称】両面集光型太陽エネルギー装置及びシステム
(51)【国際特許分類】
   H02S 40/22 20140101AFI20220322BHJP
   H02S 20/32 20140101ALI20220322BHJP
   H02S 40/42 20140101ALN20220322BHJP
   H02S 40/44 20140101ALN20220322BHJP
【FI】
H02S40/22
H02S20/32
H02S40/42
H02S40/44
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020561024
(86)(22)【出願日】2018-05-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-26
(86)【国際出願番号】 CN2018085992
(87)【国際公開番号】W WO2019213834
(87)【国際公開日】2019-11-14
【審査請求日】2020-12-04
(73)【特許権者】
【識別番号】510010816
【氏名又は名称】ボリーメディアコミュニケーションズ(シンチェン)カンパニーリミテッド
【氏名又は名称原語表記】BOLY MEDIA COMMUNICATIONS (SHENZHEN)CO., LTD
【住所又は居所原語表記】4&5/F West, 2nd Building, Pengtengda Industrial Park, Huarong Rd., Langkou Community, Dalang Subdistrict, Longhua District Shenzhen, Guangdong 518109 CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】特許業務法人梶・須原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フー シャオピン
【審査官】桂城 厚
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3154115(JP,U)
【文献】特表2011-522404(JP,A)
【文献】特表2011-521289(JP,A)
【文献】特表2008-523593(JP,A)
【文献】特開平11-243225(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0311549(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第105978471(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/00-31/078
H01L 31/18-31/20
H01L 51/42-51/48
H02S 10/00-10/40
H02S 30/00-99/00
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正面集光槽と背面集光槽と各集光槽の底部に配置された太陽電池パネルとを含み、
各集光槽は、底部に沿って延びる2つの槽壁を含んでおり、前記2つの槽壁の互いに相対する面が反射面であり、前記2つの槽壁の開放された一方の側が当該集光槽の開口部として形成され、前記開口部の横方向の寸法が前記底部の横方向の寸法より大きく、
前記正面集光槽の開口部と前記背面集光槽の開口部が互いに反対方向を向いており、前記正面集光槽の開口部と前記背面集光槽の底部は同一平面上に位置しており、2種の集光槽は、互いに交互に配置され、隣接する正面集光槽と背面集光槽が槽壁を共用し、全体として波型の凹凸構造が形成されていること、
を特徴とする両面集光型太陽エネルギー装置。
【請求項2】
前記集光槽の前記2つの槽壁の反射面は、少なくとも一部分が反射型フレネルレンズ面であること、
を特徴とする請求項1に記載の両面集光型太陽エネルギー装置。
【請求項3】
前記集光槽の2つの槽壁の反射面と底部との夾角が同じであり、又は
前記集光槽の2つの槽壁の反射面と底部との夾角が異なり、一方が直角、もう一方が鈍角であること、
を特徴とする請求項1に記載の両面集光型太陽エネルギー装置。
【請求項4】
前記太陽電池パネルは両面太陽電池パネルであり、各集光槽の底部は空間があるだけであり、又は透明な材料で作られていること、
を特徴とする請求項1に記載の両面集光型太陽エネルギー装置。
【請求項5】
透明トップカバー又はサイドカバーをさらに含み、
前記透明トップカバーは、正面集光槽又は背面集光槽の開口部に配置されたフレネルレンズを含んでおり、
正面集光槽又は背面集光槽の端部に配置された前記サイドカバーは、透明な材料からなり、又は前記サイドカバーの集光槽の内部を向く面が反射面であること、
を特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の両面集光型太陽エネルギー装置。
【請求項6】
前記正面集光槽又は前記背面集光槽は、液体の作動媒体が内部に入れられた閉鎖容器として形成されており、前記閉鎖容器に外部のパイプと接続できるパイプ接続口がさらに設けられていること、
を特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の両面集光型太陽エネルギー装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の両面集光型太陽エネルギー装置と、
前記両面集光型太陽エネルギー装置の側方に配置された側面反射パネルであって、前記側面反射パネルの反射面が平面、折り畳み面、曲面及び反射型フレネルレンズ面から選ばれた前記側面反射パネルとを含み、
前記側面反射パネルは、受けた太陽光を前記両面集光型太陽エネルギー装置の正面集光槽又は背面集光槽の開口部に少なくとも部分的に反射するのに用いられていること、
を特徴とする両面集光型太陽エネルギーシステム。
【請求項8】
前記太陽電池パネルが水平又は垂直状態になるように配置された前記両面集光型太陽エネルギー装置の下方に配置された底部反射パネル、
をさらに含むことを特徴とする請求項7に記載の両面集光型太陽エネルギーシステム。
【請求項9】
前記底部反射パネルの上方に配置された少なくとも1つの補助反射パネルであって、前記太陽電池パネルが水平状態になるように配置された前記両面集光型太陽エネルギー装置の下方に入射する光線を、前記両面集光型太陽エネルギー装置の開口部が下向きである集光槽に、直接又は間接的に導くのに用いられている前記補助反射パネル、又は、
前記側面反射パネルから離れた前記底部反射パネルの一側から前へ延びている前傾反射パネルであって、前記底部反射パネルとの間の夾角が鈍角であり、前記底部反射パネルとの間の夾角の大きさが調節可能の前記前傾反射パネル、
をさらに含むことを特徴とする請求項8に記載の両面集光型太陽エネルギーシステム。
【請求項10】
前記両面集光型太陽エネルギーシステムを閉鎖キャビティにすることに用いられている周辺カバーをさらに含み、前記側面反射パネルの反射面及び前記両面集光型太陽エネルギー装置が前記閉鎖キャビティの中に位置していること、
を特徴とする請求項7に記載の両面集光型太陽エネルギーシステム。
【請求項11】
太陽光が前記側面反射パネルに入射する前の光路に配置されたフレネルレンズであって、光を下方向に偏向させるのに用いられ、リニアフレネルレンズと部分フレネルレンズから選ばれた前記フレネルレンズ、
をさらに含むことを特徴とする請求項7に記載の両面集光型太陽エネルギーシステム。
【請求項12】
正面集光槽と背面集光槽と各集光槽の底部に配置された太陽電池パネルとを含み、
各集光槽は、底部に沿って延びる2つの槽壁を含んでおり、前記2つの槽壁の互いに相対する面が反射面であり、前記2つの槽壁の開放された一方の側が当該集光槽の開口部として形成され、前記開口部の横方向の寸法が前記底部の横方向の寸法より大きく、
前記正面集光槽の開口部と前記背面集光槽の開口部が互いに反対方向を向いており、前記正面集光槽及び前記背面集光槽の底部は、同一平面上に位置しており、さらに互いに設定距離をずらされていること、
を特徴とする両面集光型太陽エネルギー装置。
【請求項13】
前記底部が金属材料からなり、前記設定距離が前記底部の幅の半分であること、
を特徴とする請求項12に記載の両面集光型太陽エネルギー装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリーンエネルギー技術分野に関し、具体的には、両面集光型太陽エネルギー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
クリーンエネルギーに対する需要が日々増加するにつれて、太陽エネルギーシステムは益々広く応用されるようになっている。その中でも、集光装置を備えた集光型太陽エネルギーシステムは、エネルギー集中度が高く、特に重要視されている。
【0003】
現在の集光型太陽エネルギーシステムは、主に片面受光の方式を採用している。即ち、太陽光を一つの方向からのみ受けるため、その取り付け方法が大きく制限されている。さらに、追尾システムと併せて使用しない場合、発電時間も限られてくる。
【0004】
したがって、コストが経済的で、より良い適応能力を有する集光型太陽エネルギーシステムを研究する必要がある。
【発明の概要】
【0005】
本発明による一つの観点では、正面集光槽と背面集光槽と各集光槽の底部に配置される太陽電池パネルとを含む両面集光型太陽エネルギー装置が提供される。各集光槽は、底部に沿って延びる2つの槽壁を含み、2つの槽壁の互いに相対する面が反射面であり、2つの槽壁の開放された一方の側が当該集光槽の開口部を形成し、当該開口部の横方向の寸法が底部の横方向の寸法より大きい。正面集光槽の開口部と背面集光槽の開口部が互いに反対方向を向く。
【0006】
異なる実施態様によって、集光槽の反射面は普通の鏡面であってもよく、反射型フレネルレンズ面を含んでもよい。正面集光槽と背面集光槽は、両者が底部の両面太陽電池パネルを共用するように、鏡面対称に配置することができ、背中合わせで設定距離をずらして配置することもでき、さらに、波型の凹凸構造が形成されるように互いに交互に配置することもできる。
【0007】
本発明による別の観点では、上記両面集光型太陽エネルギー装置と側面反射パネルとを含む両面集光型太陽エネルギーシステムが提供される。側面反射パネルは、両面集光型太陽エネルギー装置の側方に配置される。側面反射パネルの反射面は、平面、折り畳み面(folded surface)、曲面、反射型フレネルレンズ面から選ばれる。側面反射パネルは、受けた太陽光を両面集光型太陽エネルギー装置の正面集光槽又は背面集光槽の開口部に少なくとも部分的に反射するのに用いられる。
【0008】
本発明による両面集光型太陽エネルギー装置は、2つの異なる方向から太陽光を受けることができ、これによって、方向に対する適応力を高め、装置の取り付け方法を増やせる。また、両面集光型太陽エネルギー装置は、さらに、周辺に配置された反射パネルと併せて太陽エネルギーシステムを形成することで、光線の収集力をさらに高め、集光比を向上させる。
【0009】
以下、図面と併せて、本発明の具体的な実施形態について詳細に説明する。本明細書で用いられる位置を表すことば、例えば、「上」、「下」、「前」、「後」、「表」、「裏」、「側面」、「頂部」、「底部」等は、相対的な位置関係を表すだけであり、絶対的な意味を有するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は実施形態1における両面集光型太陽エネルギー装置の概略図である。
図2図2は実施形態2における両面集光型太陽エネルギー装置の概略図である。
図3図3は実施形態3における両面集光型太陽エネルギー装置の概略図である。
図4図4は実施形態4における両面集光型太陽エネルギーシステムの概略図である。
図5図5は実施形態5における両面集光型太陽エネルギーシステムの概略図である。
図6図6は実施形態6における両面集光型太陽エネルギーシステムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<実施形態1>
本発明による両面集光型太陽エネルギー装置の一つの実施態様は、当該装置における太陽電池パネルに垂直な縦断面を示す図1を参考にすることができる。当該装置は、複数の正面集光槽110と複数の背面集光槽110’と太陽電池パネル120とを含んでいる。図中におけるLLは太陽光を表し、その光路は矢印をもって意味を示す。以下同様である。
【0012】
正面集光槽110は、底部に沿って延びる2つの槽壁111と112とを含んでおり、2つの槽壁の互いに相対する面が反射面である。2つの槽壁の開放された一方の側が当該集光槽の開口部を形成し、当該開口部の横方向の寸法が底部の横方向の寸法より大きい。背面集光槽110’は、正面集光槽と類似した構造を有し、底部に沿って延びる2つの槽壁111’と112’とを含んでいる。ただし、背面集光槽の開口部と正面集光槽の開口部が互いに反対方向を向いている。
【0013】
本実施形態では、各集光槽(正面のもの又は背面のもの)の反射面がすべて滑らかな鏡面である。他の実施態様において、集光槽の反射面は、全部又は部分的に反射型フレネルレンズ面を採用してもよい。反射型フレネルレンズとは、裏面に反射膜をコーティングし、又は反射面を設けたフレネルレンズのことを指し、反射面から離れたもう一方の表面は反射型フレネルレンズ面と呼ばれる。
【0014】
本実施形態において、正面集光槽110と背面集光槽110’は鏡面対称に配置されている。それらの底部が重なり合うようになっているため、太陽電池パネル120は、両面太陽電池セル(bifacial solar cell)からなる両面太陽電池パネルを採用でき、正面集光槽110と背面集光槽110’との共有の底部に配置されている。両者に共用されていることによって、使用される太陽電池パネルの数量を減らすことができる。このような場合、当該底部は空間があるだけでもよく、又は透明な材料で作られてもよく、これによって、正面集光槽と背面集光槽によって集光された光線がそれぞれ両面太陽電池パネルの一面に照射する。他の実施態様において、正面集光槽と背面集光槽とは、対称でないことも可能であり、例えば、槽壁が異なる傾斜角度を有する。重なり合っている底部を備えていないことも可能であり、例えば互いにずらされ、又はそれぞれ独立していてもよい。したがって、各集光槽の底部に配置される太陽電池パネルは、両面受光を必要とするかどうかによって、適切な種類を選ぶことができる。
【0015】
本実施形態において、集光槽の2つの槽壁の反射面と底部との夾角が異なっており、一方は直角であり、他方は鈍角である。他の実施態様において、集光槽の2つの槽壁は対称であることも可能である。即ち、2つの槽壁の反射面と底部との夾角が同じであってもよい。
【0016】
一つの好ましい実施態様として、本実施形態は透明トップカパー130(図1に点線をもって示している)をさらに含んでいる。透明トップカパー130は、正面集光槽110の開口部に配置されている。透明トップカバー130は、簡単で滑らかな平面カバーパネルであってもよく、例えば、ガラス又はプラスチックを用いて作ったもので、埃を遮断することに役立つ。透明トップカバーとしては、好ましくはフレネルレンズを採用することも可能であり、これによってさらに集光比を高めるのに役立つ。他の実施態様において、背面集光槽の開口部にも透明トップカバーを配置してよい。または、正面集光槽若しくは背面集光槽の一方の端部にサイドカバーを配置することができる。サイドカバーは、透明な材料を用いて作ることができ、又は集光槽の内部を向く面が反射面である。または、正面集光槽若しくは背面集光槽の両端ともにサイドカバーをさらに配置することができ、これによって、閉鎖的な構造が形成される。
【0017】
本実施形態では、両側の集光槽が太陽電池パネルを共用していることにより、太陽電池パネルの使用量を節約したが、これによって放熱に対する要求が増大する。他の実施態様において、両側の集光槽は片面太陽電池パネルをそれぞれ使用することもでき、さらに放熱性の良い金属を用いて集光槽の底部を作ることによって、さらなる放熱効果を得る。
【0018】
<実施形態2>
本発明による両面集光型太陽エネルギー装置のもう一つの実施態様は、当該装置における太陽電池パネルに垂直な縦断面を示す図2を参考にすることができる。当該装置は、複数の正面集光槽210と複数の背面集光槽210’と正面集光槽及び背面集光槽の底部にそれぞれ配置された太陽電池パネル220、220’とを含んでいる。
【0019】
本実施形態における集光槽と実施形態1における集光槽との区別は、その槽壁が対称構造を採用しており、即ち、2つの槽壁の反射面と底部との夾角が同じであることである。
【0020】
さらに、本実施形態における正面集光槽210と背面集光槽210’は、底部が同一平面上にあり、互いに設定距離dをずらされている。この場合、太陽電池パネル220、220’はそれぞれ片面太陽電池パネルを採用することができ、正面と背面に位置する太陽電池パネルも互いに当該距離dをずらされている。
【0021】
一つの好ましい実施態様として、集光槽の底部は透光性のない金属材料を用いて作ることができ、底部がずらされた距離dは、好ましくは底部の幅(即ち太陽電池パネル220、220’の幅)wの半分にする。この設計は、装置の放熱性能を効果的に高められる。
【0022】
<実施形態3>
本発明による両面集光型太陽エネルギー装置のもう一つの実施態様は、当該装置における太陽電池パネルに垂直な縦断面を示す図3を参考にすることができる。当該装置は、複数の正面集光槽310と複数の背面集光槽310’と正面集光槽及び背面集光槽の底部にそれぞれ配置された太陽電池パネル320、320’とを含んでいる。
【0023】
実施形態1と2において、正面集光槽と背面集光槽は、それぞれ一層に形成され、その底部が同一平面上に位置しているため、装置全体の構造が比較的厚くなる。本実施形態において、正面集光槽と背面集光槽が同じ層に配置されている。具体的には、正面集光槽310の開口部と背面集光槽310’の底部が同一平面上に位置し、2種の集光槽が互いに交互に配置され、隣接する正面集光槽と背面集光槽が槽壁を共用し(このため、槽壁は両面とも反射面である)、全体として波型の凹凸構造が形成されている。このような配置方法によって、両面集光型太陽エネルギー装置の厚みを大きく減らしている。
【0024】
好ましくは、本実施形態における正面集光槽も背面集光槽も反射型フレネルレンズ面を部分的に採用することができ(例えば、集光槽の開口部の付近に反射型フレネルレンズ面を採用する)、集光比を高めるのに役立ち、これによって両面集光型太陽エネルギー装置の厚みをさらに減らす。
【0025】
各集光槽の底部は、空間があるだけでもよく、又は透明な材料で作られてもよい。これによって、太陽電池パネル320、320’が位置する場所は両面受光でき、したがって、好ましくは両面太陽電池パネルを採用することができる。もちろん、片面太陽電池パネルを採用することも可能であり、即ち太陽電池パネルは位置している集光槽の開口部からの光のみを受ける。
【0026】
一つの好ましい実施態様として、本実施形態では、フレネルレンズからなる透明トップカバー330、330’をさらに含んでおり、それぞれ正面集光槽及び背面集光槽の開口部に配置されている。そして、すべての太陽電池パネルと反射面が封じ込められるように、集光槽の両端に透明又は光を反射するサイドカバー(図に示さず)がさらに配置されている。閉鎖された正面又は背面集光槽に、放熱又は熱エネルギー利用のために、液体の作動媒体をさらに配置してもよい。好ましくは、形成された閉鎖容器において、作動媒体の流動によって外部との熱交換ができるように、外部のパイプと接続できるパイプ接続口341、342をさらに設けてもよい。
【0027】
本発明による両面集光型太陽エネルギー装置は、単独で使用することができ、より効果的な太陽エネルギーシステムが形成されるように、他の装置とさらに組み合わせることもできる。以下に例を示して説明する。
【0028】
<実施形態4>
本発明による両面集光型太陽エネルギーシステムの一つの実施態様は、図4を参考にすることができる。この実施形態に係る両面集光型太陽エネルギーシステムは、両面集光型太陽エネルギー装置400と側面反射パネル451とを含んでいる。
【0029】
両面集光型太陽エネルギー装置400は、本発明によるいずれかの構造(例えば上述の実施形態1~3に記載された構造)を採用することができる。現在の太陽エネルギーシステムにおいて、それが両面受光能力を有する光エネルギー利用装置として機能する。
【0030】
側面反射パネル451は装置400の側方に配置されている。本実施形態で、側面反射パネル451の反射面は曲面であり、他の実施態様においては、平面、折り畳み面、又は反射型フレネルレンズ面を採用することも可能である。側面反射パネルは、受けた太陽光を装置400の正面集光槽又は背面集光槽の開口部に少なくとも部分的に反射するのに用いられている。本実施形態において、装置400はその中の太陽電池パネルが実質的に垂直な状態になるように配置されている。他の実施態様においては、太陽電池パネルを相対的に横たえて、又は傾斜させて配置することもでき、具体的にはシステムの取り付け方法及び地理環境を踏まえて設計を行うとよい。
【0031】
一つの好ましい実施態様として、本実施形態は底部反射パネル452と前傾反射パネル453とをさらに含んでいる。底部反射パネル452は、装置400の下方に、実質的に水平になるように配置され、少し傾斜して配置されてもよい。前傾反射パネル453は、側面反射パネル451から離れた底部反射パネル452の一側から前へ延びている。前傾反射パネルと底部反射パネルとの間の夾角は鈍角である。この夾角は固定されてもよく、好ましくは大きさが調節可能に設計されてもよい。即ち、前傾反射パネルと底部反射パネルとの連結を可動式にすることで、太陽の季節的角度変化に応じて、前傾反射パネルの傾斜角度を適切に調整できるようになる。
【0032】
また、本実施形態におけるシステムは、例えば側面反射パネルの前方に配置された透明フロントカバー461(図4に点線で示したように)及び側面反射パネルの両側のサイドカバー(図に示さず)などの周辺カバーによって、閉鎖キャビティが形成された。これによって、側面反射パネルの反射面、底部反射パネルの反射面及び装置400を当該キャビティに封入した。
【0033】
<実施形態5>
本発明による両面集光型太陽エネルギーシステムのもう一つの実施態様は、図5を参考にすることができる。この実施形態に係る両面集光型太陽エネルギーシステムは、両面集光型太陽エネルギー装置500と側面反射パネル551と底部反射パネル552とを含んでいる。
【0034】
本実施形態におけるシステムは、装置500と各反射パネルが複数の周辺カバーで形成されたキャビティ560の中に位置している閉鎖的な構造である。複数の周辺カバーは、少なくともフロントカバー561が透明である。
【0035】
装置500は、実質的に水平であるように支持構造501によって底部反射パネル552の上に支持されている。側面反射パネル551は装置500の側方に配置されている。
【0036】
一つの好ましい実施態様として、本実施例は、フレネルレンズ570をさらに含み、太陽光が側面反射パネル551に入射する前の光路に配置されており、具体的には、フロントカバー561の上部に配置されている。フレネルレンズ570は、リニアフレネルレンズ及び部分フレネルレンズから選ばれていて、太陽光を下方向に偏向させることでシステムの集光比を高めるのに用いられる。ここでいう「リニアフレネルレンズ」とは、レンズの集光中心が点ではなく線であるものを指す。ここでいう「部分フレネルレンズ」とは、フレネルレンズの歯面が完全な対称形状ではなく、その一部分だけ(例えば、完全な円形フレネルレンズを直径に近いところから切り分けて形成されたもの)のフレネルレンズのことである。
【0037】
<実施形態6>
本発明による両面集光型太陽エネルギーシステムのもう一つの実施態様は、図6を参考にすることができる。この実施形態に係る両面集光型太陽エネルギーシステムは、両面集光型太陽エネルギー装置600と側面反射パネル651と底部反射パネル652とを含んでいる。
【0038】
本実施形態は、実施形態5と類似した閉鎖的な構造を採用しており、全体がキャビティ660の中に位置している。ただし、周辺カバーの透明フロントカバー661にフレネルレンズが配置されていない。
【0039】
一つの好ましい実施態様として、本実施形態において、2つの補助反射パネル654と655とをさらに含んでおり、それぞれ底部反射パネル652の上方に配置されている。装置600は、その中の太陽電池パネルが実質的に水平になるように配置されており、2つの補助反射パネルが装置600の下方に入射する光線を直接又は間接的に(底部反射パネル652を介して)、装置600の開口部が下向きである集光槽に導くのに用いられる。
【0040】
この実施形態は、ソーラーウォール(solar wall)の基本ユニットとして用いることができ、即ちソーラーレンガ(solar brick)である。
【0041】
以上、具体的な例を用いて本発明の原理及び実施形態について詳述した。上記の実施態様は、本発明を理解するためのみであり、本発明を限定するものではない。当業者は、本発明の思想に基づいて、上記の具体的な実施形態を変更することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6