(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-22
(45)【発行日】2022-03-30
(54)【発明の名称】転がり軸受の等価摩擦係数の測定装置及び方法
(51)【国際特許分類】
G01M 13/04 20190101AFI20220323BHJP
【FI】
G01M13/04
(21)【出願番号】P 2021537465
(86)(22)【出願日】2019-10-29
(86)【国際出願番号】 CN2019113880
(87)【国際公開番号】W WO2020088431
(87)【国際公開日】2020-05-07
【審査請求日】2021-03-09
(31)【優先権主張番号】201811283077.9
(32)【優先日】2018-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201811283076.4
(32)【優先日】2018-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201811283190.7
(32)【優先日】2018-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201811283092.3
(32)【優先日】2018-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520031405
【氏名又は名称】天津大学
【住所又は居所原語表記】No.92 Weijin Road, Nankai District Tianjin 300072, China
(74)【代理人】
【識別番号】100088063
【氏名又は名称】坪内 康治
(72)【発明者】
【氏名】任成祖
(72)【発明者】
【氏名】何春雷
(72)【発明者】
【氏名】▲いぇん▼伝濱
(72)【発明者】
【氏名】陳光
(72)【発明者】
【氏名】葛翔
(72)【発明者】
【氏名】陳洋
(72)【発明者】
【氏名】▲ちん▼新民
【審査官】森口 正治
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/058740(WO,A1)
【文献】特開2009-80092(JP,A)
【文献】特開2014-157159(JP,A)
【文献】特開2018-4334(JP,A)
【文献】特開2014-178216(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 13/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
転がり軸受の等価摩擦係数の測定装置であって、
本体(9)、回転軸系、滑り台(10)、回転数センサ、およびデータ収集/処理/計算
/表示システムを含み、
前記回転軸系は、芯軸(13)と前記芯軸(13)を支持する支持軸受を含み、前記本体
(9)と滑り台(10)との間に取り付けられ、前記支持軸受がエアスピンドルユニット
又は測定対象転がり軸受であり、前記エアスピンドルユニットがエアスピンドル基体(1
1)とエアスピンドル(12)を含み、前記芯軸(13)を支持する2つの支持軸受がと
もにエアスピンドルユニットである場合、前記回転軸系は測定対象転がり軸受をさらに含
み、
前記回転数センサは、前記芯軸(13)の回転角速度を監視することに用いられ、
前記データ収集/処理/計算/表示システムは、前記回転数センサにより監視された前記
芯軸(13)の回転角速度信号を収集して処理して、動力なし条件下での芯軸角速度-時
間の数値関係を取得し、回転軸系の総運動エネルギー-時間の数値関係を算出することに
用いられ、ある時刻に前記回転軸系の総運動エネルギー-時間の数値関係の時間に対する
微分が、この時刻に測定対象転がり軸受に対応する角速度での摩擦パワーであり、
摩擦パワーと等価摩擦トルク及び等価摩擦係数との関係に従って、前記データ収集/処理
/計算/表示システムは測定対象転がり軸受の等価摩擦トルク及び等価摩擦係数を計算し
て表示する、ことを特徴とする転がり軸受の等価摩擦係数の測定装置。
【請求項2】
測定対象転がり軸受はアンギュラ玉軸受、スラスト玉軸受又は単列円すいころ軸受であり
、測定対象転がり軸受は接触角が一定であり、滑り嵌め面(8)が測定対象転がり軸受の
転動体(3)の中心を通る仮想滑り軸受として抽象され、即ち、前記仮想滑り軸受は接触
角が測定対象転がり軸受の接触角αに等しく、滑り嵌め面(8)が測定対象転がり軸受の
転動体(3)の中心を通る仮想滑り軸受であり、前記仮想滑り軸受の内輪(4)と仮想滑
り軸受の外輪(5)が滑り嵌め面(8)で滑り摩擦対偶となり、
前記仮想滑り軸受が対応する測定対象転がり軸受と同じ測定作業条件である場合、前記滑
り摩擦対偶の摩擦パワー損失が測定対象転がり軸受の摩擦パワー損失に相当し、前記滑り
摩擦対偶の摩擦パワーが前記滑り摩擦対偶の滑り摩擦トルクと前記仮想滑り軸受の回転角
速度との積に等しく、前記滑り摩擦対偶の滑り摩擦トルクが前記滑り嵌め面(8)の中部
の半径R、前記滑り嵌め面(8)での法線方向荷重及び前記滑り摩擦対偶の摩擦係数の積
に等しく、
前記滑り摩擦対偶の滑り摩擦トルクを測定対象転がり軸受の等価摩擦トルク、前記滑り摩
擦対偶の滑動摩擦係数を測定対象転がり軸受の等価摩擦係数とする、ことを特徴とする請
求項1に記載の転がり軸受の等価摩擦係数の測定装置。
【請求項3】
測定対象転がり軸受は深溝玉軸受又は円筒ころ軸受であり、測定対象転がり軸受は滑り嵌
め面(8)が測定対象転がり軸受の転動体(3)の中心を通る仮想ラジアル滑り軸受とし
て抽象され、即ち、前記仮想ラジアル滑り軸受は滑り嵌め面(8)が測定対象転がり軸受
の転動体(3)の中心を通る仮想ラジアル滑り軸受であり、前記仮想ラジアル滑り軸受の
内輪(6)と仮想ラジアル滑り軸受の外輪(7)が滑り嵌め面(8)で滑り摩擦対偶を構
成し、
前記仮想ラジアル滑り軸受が対応する測定対象転がり軸受と同じ測定作業条件である場合
、前記滑り摩擦対偶の摩擦パワー損失が測定対象転がり軸受の摩擦パワー損失に相当し、
前記滑り摩擦対偶の摩擦パワーが前記滑り摩擦対偶の滑り摩擦トルクと前記仮想ラジアル
滑り軸受の回転角速度との積に等しく、前記滑り摩擦対偶の滑り摩擦トルクが前記滑り嵌
め面(8)の半径R、前記滑り嵌め面(8)でのラジアル荷重及び前記滑り摩擦対偶の摩
擦係数の積に等しく、
前記滑り摩擦対偶の滑り摩擦トルクを本発明の前記測定対象転がり軸受の等価摩擦トルク
、前記滑り摩擦対偶の滑動摩擦係数を本発明の前記測定対象転がり軸受の等価摩擦係数と
する、ことを特徴とする請求項1に記載の転がり軸受の等価摩擦係数の測定装置。
【請求項4】
前記芯軸(13)を支持する2つの支持軸受のうち、一方は前記エアスピンドルユニット
であり、他方は測定対象転がり軸受であり、
前記エアスピンドル基体(11)は前記本体(9)に固定して接続され、前記芯軸(13
)の一端が円錐嵌め合い又はカップリングを介して前記エアスピンドル(12)に接続さ
れ、前記芯軸(13)の他端と前記滑り台との間には測定対象転がり軸受の取り付け構造
が設けられ、
前記測定対象転がり軸受の取り付け構造は、前記芯軸(13)の該端部に設置され測定対
象転がり軸受の内輪(1)を取り付けるための軸肩(14)を含み、前記滑り台(10)
には測定対象転がり軸受の外輪(2)を取り付けるための軸受台(15)が固定され、前
記軸受台(15)には前記測定対象転がり軸受の外輪(2)の外円柱面と嵌合する内円柱
面(16)及び外輪ショルダー(17)が設けられ、前記内円柱面(16)が前記エアス
ピンドル(12)と同軸であり、
前記滑り台(10)は、外力により駆動されて前記エアスピンドル(12)の軸方向に沿
って並進運動する、ことを特徴とする請求項2に記載の転がり軸受の等価摩擦係数の測定
装置。
【請求項5】
転がり軸受の等価摩擦係数の測定方法であって、
請求項4に記載の転がり軸受の等価摩擦係数の測定装置を用い、前記本体(9)の一方側
には動力装置が設けられ、前記動力装置の出力軸がクラッチ装置を介して前記エアスピン
ドル(12)の自由端と結合又は分離し、前記滑り台(10)の一方側には軸方向負荷装
置が設けられ、前記回転軸系の運動部品は前記エアスピンドル(12)、芯軸(13)、
測定対象転がり軸受の内輪(1)、測定対象転がり軸受の転動体(3)、及び測定対象転
がり軸受のホルダーを含み、
該測定方法は、
円錐嵌め合い又はカップリングを介して芯軸(13)の一端をエアスピンドル(12)に
接続し、測定対象転がり軸受の内輪(1)を芯軸(13)の他端の軸肩(14)に取り付
け、滑り台(10)を移動させて、測定対象転がり軸受の外輪(2)を軸受台(15)の
外輪ショルダー(17)に取り付けるステップ1と、
測定対象転がり軸受のタイプ及びサイズに応じて、転がり軸受摩擦トルクの測定基準に準
じて、軸方向負荷装置は滑り台(10)、軸受台(15)を介して測定対象転がり軸受の
外輪(2)に所定の軸方向荷重を印加するステップ2と、
動力装置はクラッチ装置を介してエアスピンドル(12)を回転駆動し、エアスピンドル
(12)、芯軸(13)及び測定対象転がり軸受の内輪(1)は同期して回転し、データ
収集/処理/計算/表示システムは回転数センサからの芯軸(13)の角速度信号を収集
して処理して、芯軸(13)の角速度を計算して表示するステップ3と、
エアスピンドル(12)及び芯軸(13)の回転速度を所定値まで徐々に向上させ、運転
速度が安定的になると、クラッチ装置は動力装置の出力軸とエアスピンドル(12)を分
離し、芯軸(13)の回転速度が測定対象転がり軸受の摩擦パワー損失の作用により徐々
に減衰し、最後に芯軸(13)が回転を停止し、データ収集/処理/計算/表示システム
は芯軸角速度-時間の数値関係を取得するステップ4と、
データ収集/処理/計算/表示システムは回転軸系のすべての運動部品の運動速度及び運
動エネルギーを計算し、回転軸系の総運動エネルギー-時間の数値関係を取得し、回転軸
系の総運動エネルギー-時間の数値関係について微分を求め、ある時刻に回転軸系の総運
動エネルギー-時間の数値関係の時間に対する微分が、回転軸系の総運動エネルギーの低
減速度であり、またこの時刻に測定対象転がり軸受に対応する角速度での摩擦パワーでも
あり、測定対象転がり軸受の摩擦パワーを該角速度値で割った商が、測定対象転がり軸受
の該角速度での等価摩擦トルクであり、測定対象転がり軸受の等価摩擦トルクを測定対象
転がり軸受に対応する仮想滑り軸受の滑り嵌め面の中部の半径Rと滑り嵌め面(8)での
法線方向荷重との積で割った商が、測定対象転がり軸受の該角速度での等価摩擦係数であ
り、
滑り嵌め面(8)での法線方向荷重が、対応する測定対象転がり軸受の受ける軸方向荷重
の滑り嵌め面(8)での法線成分に相当するステップ5とを含み、
芯軸(13)の角速度がゼロに近くなると、対応する等価摩擦トルク及び等価摩擦係数は
、測定対象転がり軸受の起動等価摩擦トルク及び起動等価摩擦係数に相当する、ことを特
徴とする転がり軸受の等価摩擦係数の測定方法。
【請求項6】
前記芯軸(13)を支持する2つの支持軸受のうち、一方は前記エアスピンドルユニット
であり、他方は測定対象転がり軸受であり、
前記エアスピンドル基体(11)は前記本体(9)に固定して接続され、前記芯軸(13
)の一端が円錐嵌め合い又はカップリングを介して前記エアスピンドル(12)に接続さ
れ、前記芯軸(13)の他端と前記滑り台との間には測定対象転がり軸受の取り付け構造
が設けられ、
前記測定対象転がり軸受の取り付け構造は、芯軸(13)の該端部の軸肩(14)に設置
され測定対象転がり軸受の外輪(2)を取り付けるための軸受台(15)を含み、前記軸
受台(15)には前記測定対象転がり軸受の外輪(2)の外円柱面と嵌合する内円柱面(
16)及び外輪ショルダー(17)が設けられ、
前記滑り台(10)には測定対象転がり軸受の内輪(1)を取り付けるための負荷軸(1
8)が固定され、前記負荷軸(18)には前記測定対象転がり軸受の内輪(1)の内円柱
面と嵌合する外円柱面(19)及び内輪軸肩(20)が設けられ、前記外円柱面(19)
が前記エアスピンドル(12)と同軸であり、
前記滑り台(10)は、外力により駆動されて前記エアスピンドル(12)の軸方向に沿
って並進運動する、ことを特徴とする請求項2に記載の転がり軸受の等価摩擦係数の測定
装置。
【請求項7】
転がり軸受の等価摩擦係数の測定方法であって、
請求項6に記載の転がり軸受の等価摩擦係数の測定装置を用い、前記本体(9)の一方側
には動力装置が設けられ、前記動力装置の出力軸がクラッチ装置を介して前記エアスピン
ドル(12)の自由端と結合又は分離し、前記滑り台(10)の一方側には軸方向負荷装
置が設けられ、前記回転軸系の運動部品は前記エアスピンドル(12)、芯軸(13)、
軸受台(15)、測定対象転がり軸受の外輪(2)、測定対象転がり軸受の転動体(3)
、及び測定対象転がり軸受のホルダーを含み、
該測定方法は、
円錐嵌め合い又はカップリングを介して芯軸(13)の一端をエアスピンドル(12)に
接続し、軸受台(15)を芯軸の他端の軸肩(14)に取り付け、滑り台(10)を移動
させて、測定対象転がり軸受の内輪(1)を負荷軸(18)の内輪軸肩(20)に取り付
け、測定対象転がり軸受の外輪(2)を軸受台の外輪ショルダー(17)に取り付けるス
テップ1と、
測定対象転がり軸受のタイプ及びサイズに応じて、転がり軸受摩擦トルクの測定基準に準
じて、軸方向負荷装置は滑り台(10)、負荷軸(18)を介して測定対象転がり軸受の
内輪(1)に所定の軸方向荷重を印加するステップ2と、
動力装置はクラッチ装置を介してエアスピンドル(12)を回転駆動し、エアスピンドル
(12)、芯軸(13)、軸受台(15)及び転がり軸受の外輪(2)は同期して回転し
、データ収集/処理/計算/表示システムは回転数センサからの芯軸(13)の角速度信
号を収集して処理して、芯軸(13)の角速度を計算して表示するステップ3と、
エアスピンドル(12)及び芯軸(13)の回転速度を所定値まで徐々に向上させ、運転
速度が安定的になると、クラッチ装置は動力装置の出力軸とエアスピンドル(12)を分
離し、芯軸(13)の回転速度が測定対象転がり軸受の摩擦パワー損失の作用により徐々
に減衰し、最後に芯軸(13)が回転を停止し、データ収集/処理/計算/表示システム
は芯軸角速度-時間の数値関係を取得するステップ4と、
データ収集/処理/計算/表示システムは回転軸系のすべての運動部品の運動速度及び運
動エネルギーを計算し、回転軸系の総運動エネルギー-時間の数値関係を取得し、回転軸
系の総運動エネルギー-時間の数値関係について微分を求め、ある時刻に回転軸系の総運
動エネルギー-時間の数値関係の時間に対する微分が、回転軸系の総運動エネルギーの低
減速度であり、またこの時刻に測定対象転がり軸受に対応する角速度での摩擦パワーでも
あり、測定対象転がり軸受の摩擦パワーを該角速度値で割った商が、測定対象転がり軸受
の該角速度での等価摩擦トルクであり、測定対象転がり軸受の等価摩擦トルクを測定対象
転がり軸受に対応する仮想滑り軸受の滑り嵌め面の中部の半径Rと滑り嵌め面(8)での
法線方向荷重との積で割った商が、測定対象転がり軸受の該角速度での等価摩擦係数であ
り、滑り嵌め面(8)での法線方向荷重が、対応する測定対象転がり軸受の受ける軸方向
荷重の滑り嵌め面(8)での法線成分に相当し、芯軸(13)の角速度がセロに近くなる
と、対応する等価摩擦トルク及び等価摩擦係数は、測定対象転がり軸受の起動等価摩擦ト
ルク及び起動等価摩擦係数に相当するステップ5と、を含む、ことを特徴とする転がり軸
受の等価摩擦係数の測定方法。
【請求項8】
前記芯軸(13)を支持する2つの支持軸受はともに測定対象転がり軸受であり、それぞ
れ測定対象転がり軸受A(22)と測定対象転がり軸受B(23)とし、
前記芯軸(13)の両端のそれぞれには、測定対象転がり軸受A(22)及び測定対象転
がり軸受B(23)の内輪を取り付けるための軸肩(14)、一方が前記本体(9)に固
定して接続され、他方が前記滑り台(10)に固定して接続された2つの軸受台(15)
が設けられ、前記2つの軸受台(15)のそれぞれには、測定対象転がり軸受A(22)
及び測定対象転がり軸受B(23)を取り付けるための外輪ショルダー(17)及び内円
柱面(16)が設けられ、前記2つの軸受台(15)の内円柱面(16)が同軸であり、
前記滑り台(10)は外力により駆動されて前記2つの軸受台(15)の内円柱面(16
)の軸方向に沿って並進運動し、
前記2つの軸受台(15)は縦型に配置され、前記2つの軸受台(15)の内円柱面(1
6)の軸線が水平面に垂直であり、前記転がり軸受の等価摩擦係数の測定装置は、アンギ
ュラ玉軸受又は単列円すいころ軸受の等価摩擦係数の測定に適用できる、ことを特徴とす
る請求項2に記載の転がり軸受の等価摩擦係数の測定装置。
【請求項9】
転がり軸受の等価摩擦係数の測定方法であって、
請求項8に記載の転がり軸受の等価摩擦係数の測定装置を用い、前記本体(9)の一方側
には動力装置が設けられ、前記動力装置の出力軸がクラッチ装置を介して前記芯軸(13
)と結合又は分離し、前記滑り台(10)の一方側には軸方向負荷装置が設けられ、前記
回転軸系の運動部品は前記芯軸(13)、測定対象転がり軸受A(22)の内輪、測定対
象転がり軸受B(23)の内輪、測定対象転がり軸受A(22)の転動体、測定対象転が
り軸受B(23)の転動体、測定対象転がり軸受A(22)のホルダー、及び測定対象転
がり軸受B(23)のホルダーを含み、
該測定方法は、
測定対象転がり軸受A(22)の内輪を芯軸(13)の一端の軸肩(14)に取り付け、
測定対象転がり軸受B(23)の内輪を芯軸(13)の他端の軸肩(14)に取り付け、
滑り台(10)を移動させて、測定対象転がり軸受A(22)の外輪を、本体(9)に固
定して接続された軸受台の外輪ショルダー(17)に取り付け、測定対象転がり軸受B(
23)の外輪を滑り台(10)に固定して接続された軸受台の外輪ショルダー(17)に
取り付けるステップ1と、
測定対象転がり軸受のタイプ及びサイズに応じて、転がり軸受摩擦トルクの測定基準に準
じて、軸方向負荷装置は滑り台(10)、滑り台(10)に固定して接続された軸受台(
15)を介して測定対象転がり軸受B(23)の外輪に所定の軸方向荷重F
1を印加する
ステップ2と、
動力装置はクラッチ装置を介して芯軸(13)を回転駆動し、芯軸(13)、測定対象転
がり軸受A(22)の内輪、及び測定対象転がり軸受B(23)の内輪は同期して回転し
、データ収集/処理/計算/表示システムは回転数センサからの芯軸(13)の角速度信
号を収集して処理して、芯軸(13)の角速度を計算して表示するステップ3と、
芯軸(13)の回転速度を所定値まで徐々に向上させ、運転速度が安定的になると、クラ
ッチ装置は動力装置の出力軸と芯軸(13)を分離し、芯軸(13)の回転速度が測定対
象転がり軸受A(22)及び測定対象転がり軸受B(23)の摩擦パワー損失の作用によ
り徐々に減衰し、最後に芯軸(13)が回転を停止し、データ収集/処理/計算/表示シ
ステムは芯軸角速度-時間の数値関係ω(t)を取得するステップ4と、
データ収集/処理/計算/表示システムは回転軸系のすべての運動部品の運動速度及び運
動エネルギーを計算し、回転軸系の総運動エネルギー-時間の数値関係を取得し、回転軸
系の総運動エネルギー-時間の数値関係について微分を求め、時刻tに回転軸系の総運動
エネルギー-時間の数値関係の時間に対する微分が、回転軸系の総運動エネルギーの低減
速度であり、またこの時刻に対応する角速度での測定対象転がり軸受A(22)と測定対
象転がり軸受B(23)との摩擦パワーの和でもあり、それにより、測定対象転がり軸受
Aと測定対象転がり軸受Bとの摩擦パワーの和-角速度の数値関係P
1(ω)を取得する
ステップ5と、
測定対象転がり軸受A(22)の内輪を芯軸(13)の一端の軸肩(14)に取り付け、
測定対象転がり軸受B(23)の内輪を芯軸(13)の他端の軸肩(14)に取り付け、
滑り台(10)を移動させて、測定対象転がり軸受B(23)の外輪を、本体(9)に固
定して接続された軸受台の外輪ショルダー(17)に取り付け、測定対象転がり軸受A(
22)の外輪を滑り台(10)に固定して接続された軸受台の外輪ショルダー(17)に
取り付けるステップ6と、
測定対象転がり軸受のタイプ及びサイズに応じて、転がり軸受摩擦トルクの測定基準に準
じて、軸方向負荷装置は滑り台(10)、滑り台(10)に固定して接続された軸受台(
15)を介して測定対象転がり軸受A(22)の外輪に所定の軸方向荷重F
2を印加する
ステップ7と、
ステップ3、ステップ4及びステップ5を繰り返し、データ収集/処理/計算/表示シス
テムは芯軸角速度-時間の数値関係ω(t)、回転軸系の総運動エネルギー-時間の数値
関係、測定対象転がり軸受Aと測定対象転がり軸受Bとの摩擦パワーの和-角速度の数値
関係P
2(ω)を算出するステップ8と、
測定対象転がり軸受の摩擦パワーを測定対象転がり軸受の回転角速度値で割った商が、測
定対象転がり軸受の該角速度での等価摩擦トルクであり、測定対象転がり軸受の等価摩擦
トルクを測定対象転がり軸受に対応する仮想滑り軸受の滑り嵌め面の中部の半径Rと滑り
嵌め面(8)での法線方向荷重との積で割った商が、測定対象転がり軸受の該角速度での
等価摩擦係数であり、
滑り嵌め面(8)での法線方向荷重が、対応する測定対象転がり軸受の受ける軸方向荷重
の滑り嵌め面(8)での法線成分に相当し、その数値が測定対象転がり軸受の受ける軸方
向荷重を測定対象転がり軸受の接触角αの正弦で割った商であり、根据在上記の2回の測
定条件での測定対象転がり軸受A(22)と測定対象転がり軸受B(23)との摩擦パワ
ーの和の構成に基づいて、測定角速度範囲内で、各角速度ω
1、ω
2、ω
3、...につ
いて、下記2元1次方程式を作成し、
(式中、方程式の等号左側の第一項は測定対象転がり軸受A(22)の摩擦パワーであり
、第二項は測定対象転がり軸受B(23)の摩擦パワーであり、Gは芯軸(13)の重力
であり、μ
A(ω)、μ
B(ω)はそれぞれ測定対象転がり軸受A(22)の等価摩擦係
数-角速度の数値関係と測定対象転がり軸受B(23)の等価摩擦係数-角速度の数値関
係である。)
上記2元1次方程式を解くと、測定対象転がり軸受A(22)の等価摩擦係数-角速度の
数値関係μ
A(ω)と測定対象転がり軸受B(23)の等価摩擦係数-角速度の数値関係
μ
B(ω)をそれぞれ得て、すなわち、
摩擦トルクと摩擦係数との力学関係から、測定対象転がり軸受A(22)及び測定対象転
がり軸受B(23)の受ける軸方向荷重がFである場合、測定対象転がり軸受A(22)
の等価摩擦トルク-角速度の数値関係M
A(ω)及び測定対象転がり軸受B(23)の等
価摩擦トルク-角速度の数値関係M
B(ω)は、
になり、
芯軸(13)の角速度がセロに近くなると、対応する等価摩擦トルク及び等価摩擦係数は
、それぞれ測定対象転がり軸受A(22)及び測定対象転がり軸受B(23)の起動等価
摩擦トルク及び起動等価摩擦係数に相当するステップ9とを含む、ことを特徴とする転が
り軸受の等価摩擦係数の測定方法。
【請求項10】
前記芯軸(13)を支持する2つの支持軸受はともに前記エアスピンドルユニット(9)
であり、
前記2つのエアスピンドル基体(11)のうち、一方は前記本体(9)に固定して接続さ
れ、他方は前記滑り台(10)に固定して接続され、前記2つのエアスピンドル(12)
が同軸であり
前記芯軸(13)の両端はそれぞれ円錐嵌め合い又はカップリングを介して前記2つのエ
アスピンドル(12)に接続され、前記芯軸(13)は前記2つのエアスピンドル(12
)と同軸であり、
前記芯軸(13)には、測定対象転がり軸受の内輪(1)を取り付ける軸肩(14)が設
けられ、
前記滑り台(10)は外力により駆動されてエアスピンドル(12)の軸方向に沿って並
進運動する、ことを特徴とする請求項3に記載の転がり軸受の等価摩擦係数の測定装置。
【請求項11】
転がり軸受の等価摩擦係数の測定方法であって、
請求項10に記載の転がり軸受の等価摩擦係数の測定装置を用い、また動力装置が設置さ
れ、前記動力装置の出力軸がクラッチ装置を介して一方のエアスピンドル(12)の自由
端と結合又は分離し、測定対象転がり軸受の径方向にはラジアル負荷装置が設置され、前
記回転軸系の運動部品は前記2つのエアスピンドル(12)、芯軸(13)、測定対象転
がり軸受の内輪(1)、測定対象転がり軸受の転動体(3)、及び測定対象転がり軸受の
ホルダーを含み、
該測定方法は、
測定対象転がり軸受の内輪(1)を芯軸(13)の軸肩(14)に取り付け、芯軸(13
)の両端をそれぞれ円錐嵌め合い又はカップリングを介して2つのエアスピンドル(12
)に接続するステップ1と、
測定対象転がり軸受のタイプ及びサイズに応じて、転がり軸受摩擦トルクの測定基準に準
じて、ラジアル負荷装置を用いて測定対象転がり軸受の外輪(2)に所定のラジアル荷重
を印加するステップ2と、
動力装置はクラッチ装置を介して一方のエアスピンドル(12)を回転駆動し、エアスピ
ンドル(12)、芯軸(13)及び測定対象転がり軸受の内輪(1)は同期して回転し
データ収集/処理/計算/表示システムは回転数センサからの芯軸(13)の角速度信号
を収集して処理して、芯軸(13)の角速度を計算して表示するステップ3と、
エアスピンドル(12)及び芯軸(13)の回転速度を所定値まで徐々に向上させ、運転
速度が安定的になると、クラッチ装置は動力装置の出力軸とエアスピンドル(12)を分
離し、芯軸(13)の回転速度が測定対象転がり軸受の摩擦パワー損失の作用により徐々
に減衰し、最後に芯軸(13)が回転を停止し、データ収集/処理/計算/表示システム
は芯軸角速度-時間の数値関係を取得するステップ4と、
データ収集/処理/計算/表示システムは回転軸系のすべての運動部品の運動速度及び運
動エネルギーを計算し、回転軸系の総運動エネルギー-時間の数値関係を取得し、回転軸
系の総運動エネルギー-時間の数値関係について微分を求め、ある時刻に回転軸系の総運
動エネルギー-時間の数値関係の時間に対する微分が、回転軸系の総運動エネルギーの低
減速度であり、またこの時刻に測定対象転がり軸受に対応する角速度での摩擦パワーでも
あり、測定対象転がり軸受の摩擦パワーを該角速度値で割った商が、測定対象転がり軸受
の該角速度での等価摩擦トルクであり、測定対象転がり軸受の等価摩擦トルクを測定対象
転がり軸受に対応する仮想ラジアル滑り軸受の滑り嵌め面の半径Rと滑り嵌め面(8)で
のラジアル荷重との積で割った商が、測定対象転がり軸受の該角速度での等価摩擦係数で
あり、芯軸(13)の角速度がセロに近くなると、対応する等価摩擦トルク及び等価摩擦
係数は、測定対象転がり軸受の起動等価摩擦トルク及び起動等価摩擦係数に相当するステ
ップ5とを含む、ことを特徴とする転がり軸受の等価摩擦係数の測定方法。
【請求項12】
前記芯軸(13)を支持する2つの支持軸受はともに測定対象転がり軸受であり、それぞ
れ測定対象転がり軸受A(22)と測定対象転がり軸受B(23)とし、
前記芯軸(13)の両端のそれぞれには、測定対象転がり軸受A(22)及び測定対象転
がり軸受B(23)の内輪を取り付けるための軸肩(14)、一方が前記本体(9)に固
定して接続され、他方が前記滑り台(10)に固定して接続された2つの軸受台(15)
が設けられ、前記2つの軸受台(15)のそれぞれには、測定対象転がり軸受A(22)
及び測定対象転がり軸受B(23)の外輪の外円柱面と嵌合する内円柱面(16)が設け
られ、前記2つの軸受台(15)の内円柱面(16)が同軸であり、前記芯軸(13)に
は環状重り(21)が設置され、前記滑り台(10)は外力により駆動されて前記2つの
軸受台(15)の内円柱面(16)の軸方向に沿って並進運動し、
前記2つの軸受台(15)は横型に配置され、前記2つの軸受台(15)の内円柱面(1
6)の軸線が水平面に平行である、ことを特徴とする請求項3に記載の転がり軸受の等価
摩擦係数の測定装置。
【請求項13】
転がり軸受の等価摩擦係数の測定方法であって、
請求項12に記載の転がり軸受の等価摩擦係数の測定装置を用い、また、動力装置が設置
され、前記動力装置の出力軸がクラッチ装置を介して前記芯軸(13)の1つの自由端と
結合又は分離し、測定対象転がり軸受の径方向にはラジアル負荷装置が設置され、前記回
転軸系の運動部品は前記芯軸(13)、測定対象転がり軸受A(22)の内輪、測定対象
転がり軸受B(23)の内輪、測定対象転がり軸受A(22)の転動体、測定対象転がり
軸受B(23)の転動体、測定対象転がり軸受A(22)のホルダー、測定対象転がり軸
受B(23)のホルダー、及び環状重り(21)を含み、
該測定方法は、
測定対象転がり軸受A(22)の内輪を芯軸(13)の一端の軸肩(14)に取り付け、
測定対象転がり軸受B(23)の内輪を芯軸(13)の他端の軸肩(14)に取り付け、
滑り台(10)を移動させて、測定対象転がり軸受A(22)及び測定対象転がり軸受B
(23)の外輪をそれぞれ2つの軸受台(15)の内円柱面(16)に取り付けるステッ
プ1と、
測定対象転がり軸受のタイプ及びサイズに応じて、環状重り(21)の質量及び芯軸(1
3)における環状重り(21)の軸方向の位置を調整して、測定対象転がり軸受A(22
)及び測定対象転がり軸受B(23)の受けるラジアル反力をそれぞれF
1A及びF
1B
とし、転がり軸受摩擦トルクの測定基準による印加ラジアル荷重の要求を満たすようにす
るステップ2と、
動力装置はクラッチ装置を介して芯軸(13)を回転駆動し、芯軸(13)、測定対象転
がり軸受A(22)の内輪、測定対象転がり軸受B(23)の内輪、及び環状重り(21
)は同期して回転し
データ収集/処理/計算/表示システムは回転数センサからの芯軸(13)の角速度信号
を収集して処理して、芯軸(13)の角速度を計算して表示するステップ3と、
芯軸(13)の回転速度を所定値まで徐々に向上させ、運転速度が安定的になると、クラ
ッチ装置は動力装置の出力軸と芯軸(13)を分離し、芯軸(13)の回転速度が測定対
象転がり軸受A(22)及び測定対象転がり軸受B(23)の摩擦パワー損失の作用によ
り徐々に減衰し、最後に芯軸(13)が回転を停止し、データ収集/処理/計算/表示シ
ステムは芯軸角速度-時間の数値関係ω(t)を取得するステップ4と、
データ収集/処理/計算/表示システムは回転軸系のすべての運動部品の運動速度及び運
動エネルギーを計算し、回転軸系の総運動エネルギー-時間の数値関係を取得し、回転軸
系の総運動エネルギー-時間の数値関係について微分を求め、ある時刻に回転軸系の総運
動エネルギー-時間の数値関係の時間に対する微分が、回転軸系の総運動エネルギーの低
減速度であり、またこの時刻に測定対象転がり軸受に対応する角速度での摩擦パワーでも
あり、それにより、測定対象転がり軸受Aと測定対象転がり軸受Bとの摩擦パワーの和-
角速度の数値関係P
1(ω)を算出するステップ5と、
測定対象転がり軸受のタイプ及びサイズに応じて、環状重り(21)の質量及び芯軸(1
3)における環状重り(21)の軸方向の位置を調整して、測定対象転がり軸受A(22
)及び測定対象転がり軸受B(23)の受けるラジアル反力をそれぞれF
2及びF
2B(
F
2A、F
2BはF
1A、F
1B線形と無関係である。)とし、転がり軸受摩擦トルクの
測定基準による印加ラジアル荷重の要求を満たすようにするステップ6と、
ステップ3、ステップ4及びステップ5を繰り返し、データ収集/処理/計算/表示シス
テムは芯軸角速度-時間の数値関係ω(t)、回転軸系の総運動エネルギー-時間の数値
関係、測定対象転がり軸受Aと測定対象転がり軸受Bとの摩擦パワーの和-角速度の数値
関係P
2(ω)をリアルタイムで算出するステップ7と、
測定対象転がり軸受の摩擦パワーを測定対象転がり軸受の回転角速度値で割った商が、測
定対象転がり軸受の該角速度での等価摩擦トルクであり、測定対象転がり軸受の等価摩擦
トルクを測定対象転がり軸受に対応する仮想ラジアル滑り軸受の滑り嵌め面の半径Rと滑
り嵌め面(8)でのラジアル荷重との積で割った商が、測定対象転がり軸受の該角速度で
の等価摩擦係数であり、滑り嵌め面(6)でのラジアル荷重が対応する測定対象転がり軸
受の受けるラジアル反力に相当し、上記2回の測定条件下での測定対象転がり軸受A(2
2)と測定対象転がり軸受B(23)との摩擦パワー和の構成に基づいて、測定角速度範
囲内で、各角速度ω
1、ω
2、ω
3、...について、下記2元1次方程式を作成し、
(式中、方程式の等号左側の第一項は測定対象転がり軸受A(22)の摩擦パワーであり
、第二項は測定対象転がり軸受B(23)の摩擦パワーであり、μ
A(ω)、μ
B(ω)
はそれぞれ測定対象転がり軸受Aの等価摩擦係数-角速度の数値関係及び測定対象転がり
軸受Bの等価摩擦係数-角速度の数値関係である。)
上記2元1次方程式を解くと、測定対象転がり軸受Aの等価摩擦係数-角速度の数値関係
μ
A(ω)及び測定対象転がり軸受Bの等価摩擦係数-角速度の数値関係μ
B(ω)をそ
れぞれ得て、すなわち、
摩擦トルクと摩擦係数との力学関係から、測定対象転がり軸受A(22)及び測定対象転
がり軸受B(23)の受けるラジアル荷重がFである場合、測定対象転がり軸受Aの等価
摩擦トルク-角速度の数値関係M
A(ω)及び測定対象転がり軸受Bの等価摩擦トルク-
角速度の数値関係M
B(ω)は、
になり、
芯軸(13)の角速度がセロに近くなると、対応する等価摩擦トルク及び等価摩擦係数は
、それぞれ測定対象転がり軸受A(22)及び測定対象転がり軸受B(23)の起動等価
摩擦トルク及び起動等価摩擦係数に相当するステップ8とを含む、ことを特徴とする転が
り軸受の等価摩擦係数の測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、転がり軸受の摩擦エネルギー消費特性試験の技術分野に属し、転がり軸受の等
価摩擦係数の測定装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
転がり軸受の運転過程における摩擦エネルギー消費が軸受の発熱、温度上昇や摩損などに
直接影響し、さらに転がり軸受の性能や寿命に影響する。転がり軸受の摩擦エネルギー消
費特性は、転がり軸受自体の固有特性であり、ある程度で転がり軸受の製造品質や清潔さ
を反映している。
【0003】
現在、転がり軸受の起動摩擦エネルギー消費及び回動摩擦エネルギー消費が起動摩擦トル
ク及び回動摩擦トルクのそれぞれによって評価され、且つ測定対象転がり軸受の起動摩擦
トルク及び回動摩擦トルクの測定は様々な転がり軸受摩擦トルク測定装置により行われる
。
【0004】
試験条件では転がり軸受の起動摩擦トルク及び回動摩擦トルクの幅値が小さいので、従来
の転がり軸受摩擦トルク測定装置に使用されるイクロフォースセンサ又はマイクロトルク
センサが高精度で測定する場合は精度が明らかに不十分である。したがって、転がり軸受
の摩擦エネルギー消費特性を検出するための新型測定装置の開発が急務となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来技術に存在する問題に対して、本発明は、転がり軸受の等価摩擦係数の測定装置及び
方法を提案している。本発明の前記転がり軸受は、アンギュラ玉軸受、スラスト玉軸受、
単列円すいころ軸受、深溝玉軸受、及び円筒ころ軸受を含む。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による転がり軸受の等価摩擦係数の測定装置は、本体、回転軸系、滑り台、回転数
センサ、及びデータ収集/処理/計算/表示システムを含み、前記回転軸系は、芯軸と前
記芯軸を支持する支持軸受を含み、前記本体と滑り台との間に取り付けられ、前記支持軸
受がエアスピンドルユニット又は測定対象転がり軸受であり、前記エアスピンドルユニッ
トがエアスピンドル基体とエアスピンドルを含み、前記芯軸を支持する2つの支持軸受が
ともにエアスピンドルユニットである場合、前記回転軸系は測定対象転がり軸受をさらに
含み、前記回転数センサは、前記芯軸の回転角速度を監視することに用いられ、前記デー
タ収集/処理/計算/表示システムは、前記回転数センサにより監視された前記芯軸の回
転角速度信号を収集して処理して、動力なし条件下での芯軸角速度-時間の数値関係を取
得し、回転軸系の総運動エネルギー-時間の数値関係を算出することに用いられ、ある時
刻に前記回転軸系の総運動エネルギー-時間の数値関係の時間に対する微分が、この時刻
に測定対象転がり軸受に対応する角速度での摩擦パワーであり、摩擦パワーと等価摩擦ト
ルク及び等価摩擦係数との関係に従って、前記データ収集/処理/計算/表示システムは
測定対象転がり軸受の等価摩擦トルク及び等価摩擦係数を計算して表示する。
【0007】
さらに、本発明では、測定対象転がり軸受はアンギュラ玉軸受、スラスト玉軸受又は単列
円すいころ軸受である場合、測定対象転がり軸受は接触角が一定であり、滑り嵌め面が測
定対象転がり軸受の転動体の中心を通る仮想滑り軸受として抽象され、即ち、前記仮想滑
り軸受は接触角が測定対象転がり軸受の接触角αに等しく、滑り嵌め面が測定対象転がり
軸受の転動体の中心を通る仮想滑り軸受であり、前記仮想滑り軸受の内輪と仮想滑り軸受
の外輪が滑り嵌め面で滑り摩擦対偶となり、
前記仮想滑り軸受が対応する測定対象転がり軸受と同じ測定作業条件である場合、前記滑
り摩擦対偶の摩擦パワー損失が測定対象転がり軸受の摩擦パワー損失に相当し、前記滑り
摩擦対偶の摩擦パワーが前記滑り摩擦対偶の滑り摩擦トルクと前記仮想滑り軸受の回転角
速度との積に等しく、前記滑り摩擦対偶の滑り摩擦トルクが前記滑り嵌め面の中部の半径
R、前記滑り嵌め面での法線方向荷重及び前記滑り摩擦対偶の摩擦係数の積に等しく、
前記滑り摩擦対偶の滑り摩擦トルクを測定対象転がり軸受の等価摩擦トルク、前記滑り摩
擦対偶の滑動摩擦係数を測定対象転がり軸受の等価摩擦係数とする。
【0008】
測定対象転がり軸受は深溝球軸受又は円柱滾子軸受である場合、測定対象転がり軸受は滑
り嵌め面が測定対象転がり軸受の転動体の中心を通る仮想ラジアル滑り軸受として抽象さ
れ、即ち、前記仮想ラジアル滑り軸受は滑り嵌め面が測定対象転がり軸受の転動体の中心
を通る仮想ラジアル滑り軸受であり、前記仮想ラジアル滑り軸受の内輪と仮想ラジアル滑
り軸受の外輪が滑り嵌め面で滑り摩擦対偶を構成し、
前記仮想ラジアル滑り軸受が対応する測定対象転がり軸受と同じ測定作業条件である場合
、前記滑り摩擦対偶の摩擦パワー損失が測定対象転がり軸受の摩擦パワー損失に相当し、
前記滑り摩擦対偶の摩擦パワーが前記滑り摩擦対偶の滑り摩擦トルクと前記仮想ラジアル
滑り軸受の回転角速度との積に等しく、前記滑り摩擦対偶の滑り摩擦トルクが前記滑り嵌
め面の半径R、前記滑り嵌め面でのラジアル荷重及び前記滑り摩擦対偶の摩擦係数の積に
等しく、
前記滑り摩擦対偶の滑り摩擦トルクを本発明の前記測定対象転がり軸受の等価摩擦トルク
、前記滑り摩擦対偶の滑動摩擦係数を本発明の前記測定対象転がり軸受の等価摩擦係数と
する。
【0009】
測定対象転がり軸受はアンギュラ玉軸受、スラスト玉軸受又は単列円すいころ軸受である
場合について、本発明による転がり軸受の等価摩擦係数の測定装置において、前記芯軸を
支持する2つの支持軸受のうち、一方は前記エアスピンドルユニットであり、他方は測定
対象転がり軸受であり、
前記エアスピンドル基体は前記本体に固定して接続され、前記芯軸の一端が円錐嵌め合い
又はカップリングを介して前記エアスピンドルに接続され、前記芯軸の他端と前記滑り台
との間には測定対象転がり軸受の取り付け構造が設けられ、
前記測定対象転がり軸受の取り付け構造は、
前記芯軸の該端部に設置され測定対象転がり軸受の内輪を取り付けるための軸肩を含み、
前記滑り台には測定対象転がり軸受の外輪を取り付けるための軸受台が固定され、前記軸
受台には前記測定対象転がり軸受の外輪の外円柱面と嵌合する内円柱面及び外輪ショルダ
ーが設けられ、前記内円柱面が前記エアスピンドルと同軸であり、前記滑り台は、外力に
より駆動されて前記エアスピンドルの軸方向に沿って並進運動する構造1と、
芯軸の該端部の軸肩に設置され測定対象転がり軸受の外輪を取り付けるための軸受台を含
み、前記軸受台には前記測定対象転がり軸受の外輪の外円柱面と嵌合する内円柱面及び外
輪ショルダーが設けられ、前記滑り台には測定対象転がり軸受の内輪を取り付けるための
負荷軸が固定され、前記負荷軸には前記測定対象転がり軸受の内輪の内円柱面と嵌合する
外円柱面及び内輪軸肩が設けられ、前記外円柱面が前記エアスピンドルと同軸であり、前
記滑り台は、外力により駆動されて前記エアスピンドルの軸方向に沿って並進運動する構
造2との2つの異なる構造を含む。
【0010】
上記転がり軸受の等価摩擦係数の測定装置を用いて等価摩擦係数を測定する際に、前記本
体の一方側には動力装置が設けられ、前記動力装置の出力軸がクラッチ装置を介して前記
エアスピンドルの自由端と結合又は分離し、前記滑り台の一方側には軸方向負荷装置が設
けられ、
該測定方法は、
円錐嵌め合い又はカップリングを介して芯軸の一端をエアスピンドルに接続し、滑り台を
移動させて、測定対象転がり軸受を芯軸と滑り台との間の測定対象転がり軸受の取り付け
構造に取り付け、測定対象転がり軸受の取り付け構造が構造1とされる場合、測定対象転
がり軸受の内輪を芯軸の他端の軸肩に取り付け、測定対象転がり軸受の外輪を軸受台の外
輪ショルダーに取り付け、測定対象転がり軸受の取り付け構造が構造2とされる場合、軸
受台を芯軸の他端の軸肩に取り付け、測定対象転がり軸受の外輪を軸受台の外輪ショルダ
ーに取り付け、測定対象転がり軸受の内輪を負荷軸の内輪軸肩に取り付けるステップ1と
、
測定対象転がり軸受のタイプ及びサイズに応じて、転がり軸受摩擦トルクの測定基準、た
とえば中華人民共和国国家基準GB/T32562-2016『転がり軸受の摩擦トルク
の測定方法』に準じて、測定対象転がり軸受の取り付け構造が構造1とされる場合、軸方
向負荷装置は滑り台、軸受台を介して測定対象転がり軸受の外輪に所定の軸方向荷重を印
加し、測定対象転がり軸受の取り付け構造が構造2とされる場合、軸方向負荷装置は、滑
り台、負荷軸を介して測定対象転がり軸受の内輪に所定の軸方向荷重を印加するステップ
2と、
動力装置はクラッチ装置を介してエアスピンドルを回転駆動し、測定対象転がり軸受の取
り付け構造が構造1とされる場合、エアスピンドル、芯軸及び測定対象転がり軸受の内輪
は同期して回転し、測定対象転がり軸受の取り付け構造が構造2とされる場合、エアスピ
ンドル、芯軸及び測定対象転がり軸受の外輪は同期して回転し、データ収集/処理/計算
/表示システムは、回転数センサからの芯軸又はエアスピンドルの角速度信号を収集して
処理して、芯軸の角速度を計算して表示するステップ3と、
エアスピンドル及び芯軸の回転速度を所定値まで徐々に向上させ、運転速度が安定的にな
ると、クラッチ装置は動力装置の出力軸とエアスピンドルを分離し、エアスピンドル及び
芯軸の回転速度が測定対象転がり軸受の摩擦パワー損失の作用により徐々に減衰し、最後
にエアスピンドル及び芯軸が回転を停止し、データ収集/処理/計算/表示システムは芯
軸角速度-時間の数値関係を取得するステップ4と、
データ収集/処理/計算/表示システムは回転軸系のすべての運動部品の運動速度及び運
動エネルギーを計算し、回転軸系の総運動エネルギー-時間の数値関係を取得し、回転軸
系の総運動エネルギー-時間の数値関係について微分を求め、ある時刻に回転軸系の総運
動エネルギー-時間の数値関係の時間に対する微分が、回転軸系の総運動エネルギーの低
減速度であり、またこの時刻に測定対象転がり軸受に対応する角速度での摩擦パワーでも
あり、測定対象転がり軸受の摩擦パワーを該角速度値で割った商が、測定対象転がり軸受
の該角速度での等価摩擦トルクであり、測定対象転がり軸受の等価摩擦トルクを測定対象
転がり軸受に対応する仮想滑り軸受の滑り嵌め面の中部の半径Rと滑り嵌め面での法線方
向荷重との積で割った商が、測定対象転がり軸受の該角速度での等価摩擦係数であり、滑
り嵌め面での法線方向荷重が、対応する測定対象転がり軸受の受ける軸方向荷重の滑り嵌
め面での法線成分に相当し、エアスピンドル及び芯軸の角速度がセロに近くなると、対応
する等価摩擦トルク及び等価摩擦係数は、測定対象転がり軸受の起動等価摩擦トルク及び
起動等価摩擦係数に相当するステップ5とを含む。
【0011】
アンギュラ玉軸受又は単列円すいころ軸受については、本発明による転がり軸受の等価摩
擦係数の測定装置は、また別技術案を有し、即ち、前記芯軸を支持する2つの支持軸受は
ともに測定対象転がり軸受であり、それぞれ測定対象転がり軸受Aと測定対象転がり軸受
Bとし、前記芯軸の両端のそれぞれには、測定対象転がり軸受A及び測定対象転がり軸受
Bの内輪を取り付けるための軸肩、一方が前記本体に固定して接続され、他方が前記滑り
台に固定して接続された、縦方向に配置された2つの軸受台が設けられ、前記2つの軸受
台のそれぞれには、測定対象転がり軸受A及び測定対象転がり軸受Bを取り付けるための
外輪ショルダー及び内円柱面が設けられ、前記2つの軸受台の内円柱面が同軸であり、前
記2つの軸受台の内円柱面の軸線が水平面に垂直であり、前記滑り台は外力により駆動さ
れて前記2つの軸受台の内円柱面の軸方向に沿って並進運動する。
【0012】
上記転がり軸受の等価摩擦係数の測定装置を用いてアンギュラ玉軸受又は単列円すいころ
軸受の等価摩擦係数を測定する際に、前記本体の一方側には動力装置が設けられ、前記動
力装置の出力軸がクラッチ装置を介して前記芯軸と結合又は分離し、前記滑り台の一方側
には軸方向負荷装置が設けられ、前記回転軸系の運動部品は前記芯軸、測定対象転がり軸
受Aの内輪、測定対象転がり軸受Bの内輪、測定対象転がり軸受Aの転動体、測定対象転
がり軸受Bの転動体、測定対象転がり軸受Aのホルダー、及び測定対象転がり軸受Bのホ
ルダーを含み、
該測定方法包は、
測定対象転がり軸受Aの内輪を芯軸の一端の軸肩所に取り付け、測定対象転がり軸受Bの
内輪を芯軸の他端の軸肩に取り付け、滑り台を移動させて、測定対象転がり軸受Aの外輪
を、本体に固定して接続された軸受台の外輪ショルダーに取り付け、測定対象転がり軸受
Bの外輪を、滑り台に固定して接続された軸受台の外輪ショルダーに取り付けるステップ
1と、
測定対象転がり軸受のタイプ及びサイズに応じて、転がり軸受摩擦トルクの測定基準、た
とえば中華人民共和国国家基準GB/T32562-2016『転がり軸受の摩擦トルク
の測定方法』に準じて、軸方向負荷装置は滑り台、滑り台に固定して接続された軸受台を
介して測定対象転がり軸受Bの外輪に所定の軸方向荷重を印加するF
1ステップ2と、
動力装置はクラッチ装置を介して芯軸を回転駆動し、芯軸、測定対象転がり軸受Aの内輪
、及び測定対象転がり軸受Bの内輪は同期して回転し、データ収集/処理/計算/表示シ
ステムは回転数センサからの芯軸の角速度信号を収集して処理して、芯軸の角速度を計算
して表示するステップ3と、
芯軸の回転速度を所定値まで徐々に向上させ、運転速度が安定的になると、クラッチ装置
は動力装置の出力軸と芯軸を分離し、芯軸の回転速度が測定対象転がり軸受A及び測定対
象転がり軸受Bの摩擦パワー損失の作用により徐々に減衰し、最後に芯軸が回転を停止し
、データ収集/処理/計算/表示システムは芯軸角速度-時間の数値関係ω(t)を取得
するステップ4と、
データ収集/処理/計算/表示システムは回転軸系のすべての運動部品の運動速度及び運
動エネルギーを計算し、回転軸系の総運動エネルギー-時間の数値関係を取得し、回転軸
系の総運動エネルギー-時間の数値関係について微分を求め、時刻tに回転軸系の総運動
エネルギー-時間の数値関係の時間に対する微分が、回転軸系の総運動エネルギーの低減
速度であり、該時刻に対応する角速度での測定対象転がり軸受Aと測定対象転がり軸受B
との摩擦パワーの和でもあり、それにより、測定対象転がり軸受Aと測定対象転がり軸受
Bとの摩擦パワーの和-角速度の数値関係P
1(ω)を取得するステップ5と、
測定対象転がり軸受Aの内輪を芯軸の一端の軸肩に取り付け、測定対象転がり軸受Bの内
輪を芯軸の他端の軸肩に取り付け、滑り台を移動させて、測定対象転がり軸受Bの外輪を
本体に固定して接続された軸受台の外輪ショルダーに取り付け、測定対象転がり軸受Aの
外輪を滑り台に固定して接続された軸受台の外輪ショルダーに取り付けるステップ6と、
測定対象転がり軸受のタイプ及びサイズに応じて、転がり軸受摩擦トルクの測定基準、中
華人民共和国国家基準GB/T32562-2016『転がり軸受の摩擦トルクの測定方
法』に準じて、軸方向負荷装置は滑り台、滑り台に固定して接続された軸受台を介して測
定対象転がり軸受Aの外輪に所定の軸方向荷重を印加するF
2ステップ7と、
ステップ3、ステップ4及びステップ5を繰り返し、データ収集/処理/計算/表示シス
テムは芯軸角速度-時間の数値関係ω(t)、回転軸系の総運動エネルギー-時間の数値
関係、測定対象転がり軸受Aと測定対象転がり軸受Bとの摩擦パワーの和-角速度の数値
関係P
2(ω)を算出するステップ8と、
測定対象転がり軸受の摩擦パワーを測定対象転がり軸受の回転角速度値で割った商が、測
定対象転がり軸受の該角速度での等価摩擦トルクであり、測定対象転がり軸受の等価摩擦
トルクを測定対象転がり軸受に対応する仮想滑り軸受の滑り嵌め面の中部の半径Rと滑り
嵌め面での法線方向荷重との積で割った商が、測定対象転がり軸受の該角速度での等価摩
擦係数であり、滑り嵌め面での法線方向荷重が、対応する測定対象転がり軸受の受ける軸
方向荷重の滑り嵌め面での法線成分に相当し、その数値が測定対象転がり軸受の受ける軸
方向荷重を測定対象転がり軸受の接触角αの正弦で割った商であり、上記2回の測定条件
での測定対象転がり軸受Aと測定対象転がり軸受Bとの摩擦パワーの和の構成に基づいて
、測定角速度範囲内で、各角速度ω
1、ω
2、ω
3、...について、下記2元1次方程
式を作成し、
(式中、方程式の等号左側の第一項は測定対象転がり軸受Aの摩擦パワーであり、第二項
は測定対象転がり軸受Bの摩擦パワーであり、Gは芯軸の重力であり、μ
A(ω)、μ
B
(ω)はそれぞれ測定対象転がり軸受Aの等価摩擦係数-角速度の数値関係と測定対象転
がり軸受Bの等価摩擦係数-角速度の数値関係である。)
上記2元1次方程式を解くと、測定対象転がり軸受Aの等価摩擦係数-角速度の数値関係
μ
A(ω)と測定対象転がり軸受Bの等価摩擦係数-角速度の数値関係μ
B(ω)をそれ
ぞれ得て、すなわち、摩擦トルクと摩擦係数との力学関係から、測定対象転がり軸受A及
び測定対象転がり軸受Bの受ける軸方向荷重がFである場合、測定対象転がり軸受Aの等
価摩擦トルク-角速度の数値関係M
A(ω)及び測定対象転がり軸受Bの等価摩擦トルク
-角速度の数値関係M
B(ω)は、
になり、芯軸の角速度がセロに近くなると、対応する等価摩擦トルク及び等価摩擦係数は
、それぞれ測定対象転がり軸受A及び測定対象転がり軸受Bの起動等価摩擦トルク及び起
動等価摩擦係数に相当するるステップ9と、を含む。
【0013】
深溝玉軸受又は円筒ころ軸受については、本発明による転がり軸受の等価摩擦係数の測定
装置において、前記芯軸を支持する2つの支持軸受はともに前記エアスピンドルユニット
であり、
前記2つのエアスピンドル基体のうち、一方は前記本体に固定して接続され、他方は前記
滑り台に固定して接続され、前記2つのエアスピンドルが同軸であり
前記芯軸の両端はそれぞれ円錐嵌め合い又はカップリングを介して前記2つのエアスピン
ドルに接続され、前記芯軸は前記2つのエアスピンドルと同軸であり、
前記芯軸には、測定対象転がり軸受の内輪を取り付ける軸肩が設けられ、
前記滑り台は外力により駆動されてエアスピンドルの軸方向に沿って並進運動する。
【0014】
上記転がり軸受の等価摩擦係数の測定装置を用いて深溝玉軸受又は円筒ころ軸受について
測定する際に、また動力装置が設置され、前記動力装置の出力軸がクラッチ装置を介して
一方のエアスピンドルの自由端と結合又は分離し、測定対象転がり軸受の径方向にはラジ
アル負荷装置が設置され、前記回転軸系の運動部品は前記2つのエアスピンドル、芯軸、
測定対象転がり軸受の内輪、測定対象転がり軸受の転動体、及び測定対象転がり軸受のホ
ルダーを含み、
該測定方法は、
測定対象転がり軸受の内輪を芯軸の軸肩に取り付け、芯軸の両端をそれぞれ円錐嵌め合い
又はカップリングを介して2つのエアスピンドルに接続するステップ1と、
測定対象転がり軸受のタイプ及びサイズに応じて、転がり軸受摩擦トルクの測定基準、た
とえば中華人民共和国国家基準GB/T32562-2016『転がり軸受の摩擦トルク
の測定方法』に準じて、ラジアル負荷装置を用いて測定対象転がり軸受の外輪に所定のラ
ジアル荷重を印加するステップ2と、
動力装置はクラッチ装置を介して一方のエアスピンドルを回転駆動し、エアスピンドル、
芯軸及び測定対象転がり軸受の内輪は同期して回転し、データ収集/処理/計算/表示シ
ステムは回転数センサからの芯軸の角速度信号収集して処理して、芯軸の角速度を計算し
て表示するステップ3と、
エアスピンドル及び芯軸の回転速度を所定値まで徐々に向上させ、運転速度が安定的にな
ると、クラッチ装置は動力装置の出力軸とエアスピンドルを分離し、芯軸の回転速度が測
定対象転がり軸受の摩擦パワー損失の作用により徐々に減衰し、最後に芯軸が回転を停止
し、データ収集/処理/計算/表示システムは芯軸角速度-時間の数値関係を取得するス
テップ4と、
データ収集/処理/計算/表示システムは回転軸系のすべての運動部品の運動速度及び運
動エネルギーを計算し、回転軸系の総運動エネルギー-時間の数値関係を取得し、回転軸
系の総運動エネルギー-時間の数値関係について微分を求め、ある時刻に回転軸系の総運
動エネルギー-時間の数値関係の時間に対する微分が、回転軸系の総運動エネルギーの低
減速度であり、またこの時刻に測定対象転がり軸受に対応する角速度での摩擦パワーでも
あり、測定対象転がり軸受の摩擦パワーを該角速度値で割った商が、測定対象転がり軸受
の該角速度での等価摩擦トルクであり、測定対象転がり軸受の等価摩擦トルクを測定対象
転がり軸受に対応する仮想ラジアル滑り軸受の滑り嵌め面の半径Rと滑り嵌め面でのラジ
アル荷重との積で割った商が、測定対象転がり軸受の該角速度での等価摩擦係数であり、
芯軸の角速度がセロに近くなると、対応する等価摩擦トルク及び等価摩擦係数は、測定対
象転がり軸受の起動等価摩擦トルク及び起動等価摩擦係数に相当するステップ5と、を含
む。
【0015】
深溝玉軸受又は円筒ころ軸受については、本発明による転がり軸受の等価摩擦係数の測定
装置は、また別の技術案を有し、即ち、前記芯軸を支持する2つの支持軸受はともに測定
対象転がり軸受であり、それぞれ測定対象転がり軸受Aと測定対象転がり軸受Bとし、
前記芯軸の両端のそれぞれには、測定対象転がり軸受A及び測定対象転がり軸受Bの内輪
を取り付けるための軸肩、一方が前記本体に固定して接続され、他方が前記滑り台に固定
して接続された横方向に配置された2つの軸受台が設けられ、前記2つの軸受台のそれぞ
れには、測定対象転がり軸受A及び測定対象転がり軸受Bの外輪の外円柱面と嵌合する内
円柱面が設けられ、前記2つの軸受台の内円柱面が同軸であり、前記2つの軸受台の内円
柱面の軸線が水平面に平行であり、前記芯軸には環状重りが設置され、前記滑り台は外力
により駆動されて前記2つの軸受台の内円柱面の軸方向に沿って並進運動する。
【0016】
上記転がり軸受の等価摩擦係数の測定装置を用いて深溝玉軸受又は円筒ころ軸受を測定す
る際に、また、動力装置が設置され、前記動力装置の出力軸がクラッチ装置を介して前記
芯軸の1つの自由端と結合又は分離し、測定対象転がり軸受の径方向にはラジアル負荷装
置が設置され、前記回転軸系の運動部品は前記芯軸、測定対象転がり軸受Aの内輪、測定
対象転がり軸受Bの内輪、測定対象転がり軸受Aの転動体、測定対象転がり軸受Bの転動
体、測定対象転がり軸受Aのホルダー、測定対象転がり軸受Bのホルダー、及び環状重り
を含み、
該測定方法は、
測定対象転がり軸受Aの内輪を芯軸の一端の軸肩に取り付け、測定対象転がり軸受Bの内
輪を芯軸の他端の軸肩に取り付け、滑り台を移動させて、測定対象転がり軸受A及び測定
対象転がり軸受Bの外輪をそれぞれ2つの軸受台の内円柱面に取り付けるステップ1と、
測定対象転がり軸受のタイプ及びサイズに応じて、環状重りの質量及び芯軸における環状
重りの軸方向の位置を調整して、測定対象転がり軸受A及び測定対象転がり軸受Bの受け
るラジアル反力をそれぞれF
1A及びF
1Bとし、転がり軸受摩擦トルクの測定基準、た
とえば中華人民共和国国家基準GB/T32562-2016『転がり軸受の摩擦トルク
の測定方法』による印加ラジアル荷重の要求を満たすようにするステップ2と、
動力装置はクラッチ装置を介して芯軸を回転駆動し、芯軸、測定対象転がり軸受Aの内輪
、測定対象転がり軸受Bの内輪及び環状重りは同期して回転し、データ収集/処理/計算
/表示システムは回転数センサからの芯軸の角速度信号を収集して処理して、芯軸の角速
度を計算して表示するステップ3と、
芯軸の回転速度を所定値まで徐々に向上させ、運転速度が安定的になると、クラッチ装置
は動力装置の出力軸と芯軸を分離し、芯軸の回転速度が測定対象転がり軸受A及び測定対
象転がり軸受Bの摩擦パワー損失の作用により徐々に減衰し、最後に芯軸が回転を停止し
、データ収集/処理/計算/表示システムは芯軸角速度-時間の数値関係ω(t)を取得
するステップ4と、
データ収集/処理/計算/表示システムは回転軸系のすべての運動部品の運動速度及び運
動エネルギーを計算し、回転軸系の総運動エネルギー-時間の数値関係を取得し、回転軸
系の総運動エネルギー-時間の数値関係について微分を求め、ある時刻に回転軸系の総運
動エネルギー-時間の数値関係の時間に対する微分が、回転軸系の総運動エネルギーの低
減速度であり、またこの時刻に測定対象転がり軸受に対応する角速度での摩擦パワーでも
あり、それにより、測定対象転がり軸受Aと測定対象転がり軸受Bとの摩擦パワーの和-
角速度の数値関係P
1(ω)を算出するステップ5と、
測定対象転がり軸受のタイプ及びサイズに応じて、環状重りの質量及び芯軸における環状
重りの軸方向の位置を調整して、測定対象転がり軸受A及び測定対象転がり軸受Bの受け
るラジアル反力をそれぞれF
2A及びF
2B(F
2A、F
2BはF
1A、F
1Bの線形と
無関係である。)とし、転がり軸受摩擦トルクの測定基準、たとえば中華人民共和国国家
基準GB/T32562-2016『転がり軸受の摩擦トルクの測定方法』による印加ラ
ジアル荷重の要求を満たすようにするステップ6と、
ステップ3、ステップ4及びステップ5を繰り返し、データ収集/処理/計算/表示シス
テムは芯軸角速度-時間の数値関係ω(t)、回転軸系の総運動エネルギー-時間の数値
関係、測定対象転がり軸受Aと測定対象転がり軸受Bとの摩擦パワーの和-角速度の数値
関係P
2(ω)をリアルタイムで算出するステップ7と、
測定対象転がり軸受の摩擦パワーを測定対象転がり軸受の回転角速度値で割った商が、測
定対象転がり軸受の該角速度での等価摩擦トルクであり、測定対象転がり軸受の等価摩擦
トルクを測定対象転がり軸受に対応する仮想ラジアル滑り軸受の滑り嵌め面の半径Rと滑
り嵌め面でのラジアル荷重との積で割った商が、測定対象転がり軸受の該角速度での等価
摩擦係数であり、滑り嵌め面でのラジアル荷重が対応する測定対象転がり軸受の受けるラ
ジアル反力に相当し、上記2回の測定条件での測定対象転がり軸受Aと測定対象転がり軸
受Bとの摩擦パワーの和の構成に基づいて、測定角速度範囲内で、各角速度ω
1、ω
2、
ω
3、...について、下記2元1次方程式を作成し、
(式中、方程式の等号左側の第一項は測定対象転がり軸受Aの摩擦パワーであり、第二項
は測定対象転がり軸受Bの摩擦パワーであり、μ
A(ω)、μ
B(ω)はそれぞれ測定対
象転がり軸受Aの等価摩擦係数-角速度の数値関係及び測定対象転がり軸受Bの等価摩擦
係数-角速度の数値関係である。)
上記2元1次方程式を解くと、測定対象転がり軸受Aの等価摩擦係数-角速度の数値関係
μ
A(ω)及び測定対象転がり軸受Bの等価摩擦係数-角速度の数値関係μ
B(ω)をそ
れぞれ得て、すなわち、摩擦トルクと摩擦係数との力学関係から、測定対象転がり軸受A
及び測定対象転がり軸受Bの受けるラジアル荷重がFである場合、測定対象転がり軸受A
の等価摩擦トルク-角速度の数値関係M
A(ω)及び測定対象転がり軸受Bの等価摩擦ト
ルク-角速度の数値関係M
B(ω)は、
になり、
芯軸の角速度がセロに近くなると、対応する等価摩擦トルク及び等価摩擦係数は、それぞ
れ測定対象転がり軸受A及び測定対象転がり軸受Bの起動等価摩擦トルク及び起動等価摩
擦係数に相当するステップ8と、を含む。
【発明の効果】
【0017】
従来技術に比べて、本発明の有益な効果は以下のとおりである。
【0018】
一方、回転数センサの角速度の測定精度が、従来の転がり軸受摩擦トルク測定装置に使用
されるマイクロフォースセンサ又はマイクロトルクセンサの測定精度よりもはるかに高く
、他方、回転軸系のすべての運動部品は規則的な幾何学的形状、既知の高さが正確なサイ
ズ及び質量、明確な運動方式や正確な運動速度を持っているので、回転軸系の総運動エネ
ルギーの計算精度が極めて高い。したがって、測定対象転がり軸受の等価摩擦トルク及び
等価摩擦係数はともに極めて高い測定・計算の精度を有する。
【0019】
さらに、本発明は、回転軸系の運動部品の質量を増加することで回転軸系の初期運動エネ
ルギーを高め、回転軸系の角速度の減衰時間を延ばし、さらに回転軸系の角速度の測定精
度を向上させ、測定対象転がり軸受の等価摩擦トルク及び等価摩擦係数の測定・計算精度
を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1-1】測定対象アンギュラ玉軸受の構造模式図である。
【
図1-2】
図1-1に示す測定対象アンギュラ玉軸受に対応する仮想滑り軸受の模式図である。
【
図2-1】測定対象スラスト玉軸受の構造模式図である。
【
図2-2】
図2-1に示す測定対象スラスト玉軸受に対応する仮想滑り軸受の模式図である。
【
図3-1】測定対象単列円すいころ軸受の構造模式図である。
【
図3-2】
図3-1に示す測定対象単列円すいころ軸受に対応する仮想滑り軸受の模式図である。
【
図4-1】測定対象深溝玉軸受の構造模式図である。
【
図4-2】
図4-1に示す測定対象深溝玉軸受の仮想滑り軸受の模式図である。
【
図5-1】測定対象円筒ころ軸受の構造模式図である。
【
図5-2】
図5-1に示す測定対象円筒ころ軸受の仮想滑り軸受の模式図である。
【
図6】転がり軸受の等価摩擦係数の測定装置の実施例1の部分構造の概略及び測定原理図である。
【
図7】転がり軸受の等価摩擦係数の測定装置の実施例2の部分構造の概略及び測定原理図である。
【
図8】転がり軸受の等価摩擦係数の測定装置の実施例3の部分構造の概略及び測定原理図である。
【
図9】転がり軸受の等価摩擦係数の測定装置の実施例4の部分構造の概略及び測定原理図である。
【
図10】転がり軸受の等価摩擦係数の測定装置の実施例5の部分構造の概略及び測定原理図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面及び実施例を参照しながら本発明をさらに詳細に説明する。図面を参照しなが
ら説明する実施例は例示的なものであり、本発明を解釈することを意図し、本発明を制限
するものとして理解できない。また、以下の実施形態に記載の構成部品のサイズ、材質、
形状及びこれらの相体配置などは、特に断らない限り、本発明の範囲を制限するものでは
ない。
【0022】
本発明に係る測定対象転がり軸受は、アンギュラ玉軸受、スラスト玉軸受、単列円すいこ
ろ軸受、深溝玉軸受、及び円筒ころ軸受を含む。
【0023】
図1-1はアンギュラ玉軸受の構造を示し、
図2-1はスラスト玉軸受の構造を示し、図
3-1は単列円すいころ軸受の構造を示す。本発明では、測定対象転がり軸受は、接触角
が一定であり、滑り嵌め面8が測定対象転がり軸受の転動体3の中心を通る仮想滑り軸受
として抽象され、即ち、前記仮想滑り軸受は、接触角が測定対象転がり軸受の接触角αに
等しく、滑り嵌め面8が測定対象転がり軸受の転動体3の中心を通る仮想滑り軸受であり
、
図1-1に示す測定対象アンギュラ玉軸受に対応する仮想滑り軸受は
図1-2、
図2-
1に示す測定対象スラスト玉軸受に対応する仮想滑り軸受は
図2-2、
図3-1に示す測
定対象単列円すいころ軸受に対応する仮想滑り軸受は
図3-2に示されており、前記仮想
滑り軸受の内輪4及び仮想滑り軸受の外輪5が滑り嵌め面8で滑り摩擦対偶となる。前記
仮想滑り軸受が対応する測定対象転がり軸受と同じ測定作業条件である場合、前記滑り摩
擦対偶の摩擦パワー損失が測定対象転がり軸受の摩擦パワー損失に相当し、前記滑り摩擦
対偶の摩擦パワーが前記滑り摩擦対偶の滑り摩擦トルクと前記仮想滑り軸受の回転角速度
との積に等しく、前記滑り摩擦対偶の滑り摩擦トルクが前記滑り嵌め面8の中部の半径R
、前記滑り嵌め面8での法線方向荷重、及び前記滑り摩擦対偶の摩擦係数の積に等しい。
前記滑り摩擦対偶の滑り摩擦トルクを本発明の前記測定対象転がり軸受の等価摩擦トルク
、前記滑り摩擦対偶の滑動摩擦係数を本発明の前記測定対象転がり軸受の等価摩擦係数と
する。
【0024】
図4-1は深溝玉軸受の構造を示し、
図5-1は円筒ころ軸受の構造を示す。本発明では
、測定対象転がり軸受は滑り嵌め面8が測定対象転がり軸受の転動体3の中心を通る仮想
ラジアル滑り軸受として抽象され、即ち、前記仮想ラジアル滑り軸受は滑り嵌め面8が測
定対象転がり軸受の転動体3の中心を通る仮想ラジアル滑り軸受であり、
図4-1に示す
測定対象深溝玉軸受に対応する仮想滑り軸受は
図4-2、
図5-1に示す測定対象円筒こ
ろ軸受に対応する仮想滑り軸受は
図5-2に示されており、前記仮想ラジアル滑り軸受の
内輪6及び仮想ラジアル滑り軸受の外輪7が滑り嵌め面8で滑り摩擦対偶となる。前記仮
想ラジアル滑り軸受が対応する測定対象転がり軸受と同じ測定作業条件である場合、前記
滑り摩擦対偶の摩擦パワー損失が測定対象転がり軸受の摩擦パワー損失に相当し、前記滑
り摩擦対偶の摩擦パワーが、前記滑り摩擦対偶の滑り摩擦トルクと前記仮想ラジアル滑り
軸受の回転角速度との積に等しく、前記滑り摩擦対偶の滑り摩擦トルクが、前記滑り嵌め
面8の半径R、前記滑り嵌め面8でのラジアル荷重、及び前記滑り摩擦対偶の摩擦係数の
積に等しい。前記滑り摩擦対偶の滑り摩擦トルクを本発明の前記測定対象転がり軸受の等
価摩擦トルク、前記滑り摩擦対偶の滑動摩擦係数を本発明の前記測定対象転がり軸受の等
価摩擦係数とする。
【0025】
本発明による転がり軸受の等価摩擦係数の測定装置は、
図6、
図7、
図8、
図9、及び図
10に示すように、主に本体9、回転軸系、滑り台10、回転数センサ、及びデータ収集
/処理/計算/表示システムを含み、前記回転軸系は、芯軸13と前記芯軸13を支持す
る支持軸受を含み、前記本体9と滑り台10との間に取り付けられ、前記支持軸受がエア
スピンドルユニット又は測定対象転がり軸受であり、前記エアスピンドルユニットがエア
スピンドル基体11とエアスピンドル12を含み、前記芯軸13を支持する2つの支持軸
受がともにエアスピンドルユニットである場合、前記回転軸系は測定対象転がり軸受をさ
らに含み、
前記回転数センサは、前記芯軸13の回転角速度を監視することに用いられ、前記データ
収集/処理/計算/表示システムは、前記回転数センサにより監視された前記芯軸13の
回転角速度信号を収集して処理して、動力なし条件下での芯軸角速度-時間の数値関係を
取得し、回転軸系の総運動エネルギー-時間の数値関係を算出することに用いられ、ある
時刻に前記回転軸系の総運動エネルギー-時間の数値関係の時間に対する微分が、この時
刻に測定対象転がり軸受に対応する角速度での摩擦パワーであり、前記データ収集/処理
/計算/表示システムは測定対象転がり軸受の等価摩擦トルク及び等価摩擦係数を計算し
て表示する。
【0026】
測定装置の実施例1
図6は本発明による、アンギュラ玉軸受、スラスト玉軸受又は単列円すいころ軸受の等価
摩擦係数の測定に適用できる転がり軸受の等価摩擦係数の測定装置の実施例1の構造を示
し、該測定装置は、本体9、回転軸系、滑り台10、回転数センサ(図示せず)、及びデ
ータ収集/処理/計算/表示システム(図示せず)を含む。前記回転軸系は、芯軸13と
前記芯軸13を支持する支持軸受を含み、前記回転軸系は前記本体9と滑り台10との間
に取り付けられる。前記芯軸13を支持する2つの支持軸受のうち、一方は前記エアスピ
ンドルユニットであり、他方は測定対象転がり軸受である。
【0027】
前記エアスピンドルユニットはエアスピンドル基体11とエアスピンドル12を含み、前
記エアスピンドル基体11は前記本体9に固定して接続され、前記芯軸13のエアスピン
ドルの接続端が円錐嵌め合いを介して前記エアスピンドル12に接続され(又はカップリ
ングを介して前記エアスピンドル12に接続され)、それにより、前記エアスピンドル1
2及び芯軸13は同軸で損耗なしにトルク、軸方向荷重及び回転運動を伝達する。前記芯
軸13の他端と前記滑り台との間には測定対象転がり軸受の取り付け構造が設けられ、前
記測定対象転がり軸受の取り付け構造は、前記芯軸13の該端部に設置され測定対象転が
り軸受の内輪1を取り付けるための軸肩14を含み、前記滑り台10には測定対象転がり
軸受の外輪2を取り付けるための軸受台15が固定され、前記軸受台15には前記測定対
象転がり軸受の外輪2の外円柱面と嵌合する内円柱面16及び外輪ショルダー17が設け
られ、前記内円柱面16が前記エアスピンドル12と同軸であり、前記滑り台10は外力
により駆動されて案内部品(図示せず)のガイド下で前記エアスピンドル12の軸方向に
沿って並進運動する。前記回転軸系の運動部品は前記エアスピンドル12、芯軸13、測
定対象転がり軸受の内輪1、測定対象転がり軸受の転動体3、及び測定対象転がり軸受の
ホルダー(図示せず)を含み、前記芯軸13がカップリングを介して前記エアスピンドル
12に接続される場合、前記回転軸系は前記カップリングをさらに含み、前記回転軸系の
運動部品は前記カップリングをさらに含み、前記回転数センサは前記芯軸13又はエアス
ピンドル12の角速度を監視することに用いられ、前記データ収集/処理/計算/表示シ
ステムは、前記回転数センサにより監視された前記芯軸13又はエアスピンドル12の角
速度信号収集して処理して、測定対象転がり軸受の等価摩擦トルク及び等価摩擦係数を計
算し、関連情報を表示することに用いられる。
【0028】
測定装置の実施例2
測定装置の実施例2は、また、アンギュラ玉軸受、スラスト玉軸受又は単列円すいころ軸
受の等価摩擦係数の測定にも適用でき、上記測定装置の実施例1と比べて、前記芯軸13
の他端と前記滑り台との間に設けっれた測定対象転がり軸受の取り付け構造が異なる点が
異なる。
【0029】
図7は本発明の転がり軸受の等価摩擦係数の測定装置の実施例2の構造を示し、該測定装
置は、本体9、回転軸系、滑り台10、回転数センサ(図示せず)、及びデータ収集/処
理/計算/表示システム(図示せず)を含む。前記回転軸系は芯軸13と前記芯軸13を
支持する支持軸受を含み、前記回転軸系は前記本体9と滑り台10との間に取り付けられ
る。支持前記芯軸13の2つの支持軸受のうち、一方は前記エアスピンドルユニットであ
り、他方は測定対象転がり軸受である。
【0030】
前記エアスピンドルユニットはエアスピンドル基体11とエアスピンドル12を含み、前
記エアスピンドル基体11は前記本体9に固定して接続され、前記芯軸13のエアスピン
ドルの接続端が円錐嵌め合いを介して前記エアスピンドル12に接続され(又はカップリ
ングを介して前記エアスピンドル12に接続され)、それにより、前記エアスピンドル1
2及び芯軸13は同軸で損耗なしにトルク、軸方向荷重及び回転運動を伝達する。前記芯
軸13の他端と前記滑り台との間には測定対象転がり軸受の取り付け構造が設けられ、前
記測定対象転がり軸受の取り付け構造は、前記芯軸13の該端部の軸肩14に固定され測
定対象転がり軸受の外輪2を取り付けるための軸受台15を含み、前記軸受台15には前
記測定対象転がり軸受の外輪2の外円柱面と嵌合する内円柱面16及び外輪ショルダー1
7が設けられ、前記滑り台10には測定対象転がり軸受の内輪1を取り付けるための負荷
軸18が固定され、前記負荷軸18には前記測定対象転がり軸受の内輪1の内円柱面と嵌
合する外円柱面19及び内輪軸肩20が設けられ、前記外円柱面19が前記エアスピンド
ル12と同軸である。前記滑り台10は外力により駆動され、案内部品(図示せず)のガ
イド下で前記エアスピンドル12の軸方向に沿って並進運動する。前記回転軸系の運動部
品は、前記エアスピンドル12、芯軸13、軸受台15、測定対象転がり軸受の転動体3
、及び測定対象転がり軸受の外輪2のホルダー(図示せず)を含み、前記芯軸13がカッ
プリングを介して前記エアスピンドル12に接続される場合、前記回転軸系は前記カップ
リングをさらに含み、前記回転軸系の運動部品は前記カップリングをさらに含み、前記回
転数センサは前記芯軸13又はエアスピンドル12の角速度を監視することに用いられ、
前記データ収集/処理/計算/表示システムは前記回転数センサにより監視された前記芯
軸13又はエアスピンドル12の角速度信号を収集して処理して、測定対象転がり軸受の
等価摩擦トルク及び等価摩擦係数を計算して表示することに用いられる。
【0031】
測定装置の実施例1においても、測定装置の実施例2においても、回転軸系は好ましくは
縦型に配置され、前記エアスピンドル12の軸線が水平面に垂直である。
【0032】
測定装置の実施例1又は測定装置の実施例2を用いて等価摩擦係数を測定する際に、前記
本体9の一方側には動力装置が設けられ、前記動力装置の出力軸がクラッチ装置を介して
前記エアスピンドル12の自由端と結合又は分離し、前記滑り台10の一方側には軸方向
負荷装置が設けられる。上記動力装置、クラッチ装置及び軸方向負荷装置と本発明の測定
装置の関連パーツとの位置及び接続関係はすべて本分野の公知常識であるので、図には示
されていない。
【0033】
本発明の測定装置の実施例1及び測定装置の実施例2の作動原理は以下のとおりである。
測定装置の実施例1の軸方向負荷装置が滑り台10、軸受台15を介して測定対象転がり
軸受の外輪2に所定の軸方向荷重を印加する条件(
図6参照)、又は測定装置の実施例2
の軸方向負荷装置が滑り台10、負荷軸18を介して測定対象転がり軸受の内輪1に所定
の軸方向荷重を印加する条件(
図7参照)で、動力装置は、クラッチ装置を介してエアス
ピンドル12を回転駆動し、エアスピンドル12及び芯軸13が所定の回転角速度まで回
転すると、クラッチ装置は動力装置の出力軸とエアスピンドル12を分離し、芯軸13又
はエアスピンドル12の回転速度が測定対象転がり軸受の摩擦パワー損失の作用により徐
々に減衰し、最後に、エアスピンドル12及び芯軸13が回転を停止し、データ収集/処
理/計算/表示システムは、「芯軸角速度-時間」数値関係を取得し、回転軸系のすべて
の運動部品の運動速度及び運動エネルギーを計算し、「回転軸系の総運動エネルギー-時
間」数値関係を取得し、「回転軸系の総運動エネルギー-時間」数値関係について微分を
求め、ある時刻に「回転軸系の総運動エネルギー-時間」数値関係の時間に対する微分が
、回転軸系の総運動エネルギーの低減速度であり、またこの時刻に測定対象転がり軸受に
対応する角速度での摩擦パワーでもあり、さらに対応する仮想滑り軸受の滑り摩擦対偶の
摩擦パワーに相当し、前記滑り摩擦対偶の摩擦パワーを該角速度値で割った商が、前記滑
り摩擦対偶の該角速度での摩擦トルクであり、また測定対象転がり軸受の該角速度での等
価摩擦トルクに相当し、前記滑り摩擦対偶の該角速度での摩擦トルクを、前記仮想滑り軸
受の滑り嵌め面8の中部の半径Rと前記滑り嵌め面8での法線方向荷重との積で割った商
が、前記滑り摩擦対偶の該角速度での摩擦係数であり、また測定対象転がり軸受の該角速
度での等価摩擦係数に相当し、前記滑り嵌め面8での法線方向荷重が、対応する測定対象
転がり軸受の受ける軸方向荷重の前記滑り嵌め面8での法線成分に相当し、当エアスピン
ドル12及び芯軸13の角速度がセロに近くなると、対応する等価摩擦トルク及び等価摩
擦係数は、測定対象転がり軸受の起動等価摩擦トルク及び起動等価摩擦係数に相当する。
【0034】
測定装置の実施例3
図8は、アンギュラ玉軸受又は単列円すいころ軸受の等価摩擦係数の測定に適用できる本
発明の転がり軸受の等価摩擦係数の測定装置の実施例3の構造を示し、該測定装置は本体
9、回転軸系、滑り台10、回転数センサ(図示せず)、及びデータ収集/処理/計算/
表示システム(図示せず)を含む。前記回転軸系は芯軸13と前記芯軸13を支持する支
持軸受を含み、前記回転軸系は前記本体9と滑り台10との間に取り付けられる。支持前
記芯軸13の2つの支持軸受はともに測定対象転がり軸受であり、それぞれ測定対象転が
り軸受A22及び測定対象転がり軸受B23とする。
【0035】
前記2つの軸受台15のうち、一方は前記本体9に固定して接続され、他方は前記滑り台
10に固定して接続され、前記2つの軸受台15のそれぞれには、測定対象転がり軸受A
22及び測定対象転がり軸受B23を取り付けるための外輪ショルダー17及び内円柱面
16が設けられ、前記芯軸13の両端のそれぞれには、測定対象転がり軸受A22及び測
定対象転がり軸受B23の内輪を取り付けるための軸肩14が設けられ、前記2つの軸受
台15の内円柱面16が同軸であり、前記滑り台10は案内部品(図示せず)のガイド下
で前記2つの軸受台15の内円柱面16の軸方向に並進運動する。前記回転軸系の運動部
品は、前記芯軸13、測定対象転がり軸受A22の内輪、測定対象転がり軸受B23の内
輪、測定対象転がり軸受A22の転動体、測定対象転がり軸受B23の転動体、測定対象
転がり軸受A22のホルダー(図示せず)及び測定対象転がり軸受B23のホルダー(図
示せず)を含む。前記回転数センサは、前記芯軸13の角速度を監視することに用いられ
、前記データ収集/処理/計算/表示システムは、前記回転数センサにより監視された前
記芯軸13の角速度信号を収集して処理して、測定対象転がり軸受A22及び測定対象転
がり軸受B23の等価摩擦トルク及び等価摩擦係数を計算し、関連情報を表示することに
用いられる。
【0036】
測定装置の実施例3では、前記回転軸系は縦型に配置され、前記2つの軸受台15の内円
柱面16の軸線が水平面に垂直である。
【0037】
測定装置の実施例3を用いて等価摩擦係数を測定する際に、前記本体9の一方側には動力
装置が設けられ、前記動力装置の出力軸がクラッチ装置を介して前記芯軸13と結合又は
分離し、前記滑り台10の一方側には軸方向負荷装置が設けられる。上記動力装置、クラ
ッチ装置及び軸方向負荷装置と本発明の測定装置の関連パーツとの位置及び接続関係はす
べて本分野の公知常識であるので、図に示されていない。
【0038】
測定するにあたり、2つの測定対象転がり軸受をペアとして2回測定し、縦型に配置され
た芯軸の重力Gによる影響により、測定過程において2つの測定対象転がり軸受はそれぞ
れ方向が反対し大きさが異なる2つの軸方向荷重を負荷し、2回の測定過程において2つ
の測定対象転がり軸受の位置の変更による差異情報に基づいて2つの測定対象転がり軸受
の等価摩擦トルク及び等価摩擦係数を解析する。
【0039】
測定装置の実施例3の作動原理は以下のとおりである。
まず、測定対象転がり軸受A22の内輪を芯軸13の一端の軸肩14に取り付け、測定対
象転がり軸受B23の内輪を芯軸13の他端の軸肩14に取り付け、測定対象転がり軸受
A22の外輪を本体9に固定して接続された軸受台の外輪ショルダー17に取り付け、測
定対象転がり軸受B23の外輪を滑り台10に固定して接続された軸受台の外輪ショルダ
ー17に取り付け、軸方向負荷装置が滑り台10、滑り台10に固定して接続された軸受
台15を介して測定対象転がり軸受B23の外輪に所定の軸方向荷重F1を印加する条件
で、動力装置はクラッチ装置を介して芯軸13を回転駆動し、芯軸13所定の回転角速度
まで回転至すると、クラッチ装置は動力装置の出力軸と芯軸13を分離し、回転数センサ
は芯軸13の角速度を芯軸13が回転を停止するまで監視し、データ収集/処理/計算/
表示システムは「芯軸角速度-時間」数値関係ω(t)を取得し、回転軸系のすべての運
動部品の運動速度及び運動エネルギーを計算し、「回転軸系の総運動エネルギー-時間」
数値関係を取得し、「回転軸系の総運動エネルギー-時間」数値関係について微分を求め
、時刻tに「回転軸系の総運動エネルギー-時間」数値関係の時間に対する微分が、回転
軸系の総運動エネルギーの低減速度であり、また、該時刻に対応する角速度ω(t)での
測定対象転がり軸受A22と測定対象転がり軸受B23との摩擦パワーの和でもあり、そ
れにより、「測定対象転がり軸受Aと測定対象転がり軸受Bとの摩擦パワーの和-角速度
」数値関係P1(ω)を取得する。
【0040】
その後、測定対象転がり軸受A22の内輪を芯軸13の一端の軸肩14に取り付け、測定
対象転がり軸受B23の内輪を芯軸13の他端の軸肩14に取り付け、測定対象転がり軸
受A22の外輪を滑り台10に固定して接続された軸受台の外輪ショルダー17に取り付
け、測定対象転がり軸受B23の外輪を本体9に固定して接続された軸受台の外輪ショル
ダー17に取り付け、軸方向負荷装置が滑り台10、滑り台7に固定して接続された軸受
台15を介して測定対象転がり軸受A22の外輪に所定の軸方向荷重F2を印加する条件
で、動力装置は、クラッチ装置を介して芯軸13を回転駆動し、芯軸13が所定の回転角
速度まで回転すると、クラッチ装置は動力装置の出力軸と芯軸13を分離し、回転数セン
サは、芯軸13の角速度を芯軸13が回転を停止するまで監視し、データ収集/処理/計
算/表示システムは、「芯軸角速度-時間」数値関係ω(t)を取得し、回転軸系のすべ
ての運動部品の運動速度及び運動エネルギーを計算し、「回転軸系の総運動エネルギー-
時間」数値関係を取得し、時刻tに「回転軸系の総運動エネルギー-時間」数値関係の時
間に対する微分が、回転軸系の総運動エネルギーの低減速度であり、また、該時刻に測定
対象転がり軸受A22と測定対象転がり軸受B23との対応する角速度ω(t)での摩擦
パワーの和でもあり、データ収集/処理/計算/表示システムは「測定対象転がり軸受B
と測定対象転がり軸受Aとの摩擦パワーの和-角速度」数値関係P2(ω)を算出する。
【0041】
測定対象転がり軸受のある角速度での摩擦パワーは、対応する仮想滑り軸受の滑り摩擦対
偶の摩擦パワーに相当し、前記滑り摩擦対偶の摩擦パワーを測定対象転がり軸受の角速度
値で割った商が、前記滑り摩擦対偶の該角速度での摩擦トルクであり、また、測定対象転
がり軸受の該角速度での等価摩擦トルクに相当し、前記滑り摩擦対偶の該角速度での摩擦
トルクを、前記仮想滑り軸受の滑り嵌め面8の中部の半径Rと前記滑り嵌め面8での法線
方向荷重との積で割った商が、前記滑り摩擦対偶の該角速度での摩擦係数であり、また、
測定対象転がり軸受の該角速度での等価摩擦係数に相当し、前記滑り嵌め面8での法線方
向荷重が、対応する測定対象転がり軸受の受ける軸方向荷重の前記滑り嵌め面8での法線
成分に相当し、その数値が、測定対象転がり軸受の受ける軸方向荷重を測定対象転がり軸
受の接触角αの正弦で割った商である。
【0042】
最後に、在上記2回の測定条件での測定対象転がり軸受A22と測定対象転がり軸受B2
3との摩擦パワーの和の構成に基づいて、測定角速度範囲内で、各角速度ω
1、ω
2、ω
3、...にうちて、下記2元1次方程式を作成する。
(式中、方程式の等号左側の第一項は測定対象転がり軸受A22の摩擦パワーであり、第
二項は測定対象転がり軸受B23の摩擦パワーであり、μ
A(ω)、μ
B(ω)はそれぞ
れ「測定対象転がり軸受Aの等価摩擦係数-角速度」数値関係及び「測定対象転がり軸受
Bの等価摩擦係数-角速度」数値関係である。)
【0043】
上記2元1次方程式を解くと、「測定対象転がり軸受Aの等価摩擦係数-角速度」数値関
係μ
A(ω)及び「測定対象転がり軸受Bの等価摩擦係数-角速度」数値関係μ
B(ω)
をそれぞれ得て、
F
1=F
2=Fの場合、「測定対象転がり軸受Aの等価摩擦係数-角速度」数値関係及び
「測定対象転がり軸受Bの等価摩擦係数-角速度」数値関係は、
であり、
摩擦トルクと摩擦係数との力学関係から、測定対象転がり軸受A22及び測定対象転がり
軸受B23の受ける軸方向荷重がFである場合、「測定対象転がり軸受Aの等価摩擦トル
ク-角速度」数値関係M
A(ω)及び「測定対象転がり軸受Bの等価摩擦トルク-角速度
」数値関係M
B(ω)は、
であり、
芯軸13の角速度がセロに近くなると、対応する等価摩擦トルク及び等価摩擦係数は、そ
れぞれ測定対象転がり軸受A22及び測定対象転がり軸受B23の起動等価摩擦トルク及
び起動等価摩擦係数に相当する。
【0044】
測定装置の実施例4
図9は本発明による、深溝玉軸受又は円筒ころ軸受の等価摩擦係数の測定に適用できる転
がり軸受の等価摩擦係数の測定装置の実施例4の構造を示し、該測定装置は、本体9、回
転軸系、滑り台10、回転数センサ(図示せず)、及びデータ収集/処理/計算/表示シ
ステム(図示せず)を含む。前記回転軸系は芯軸13と前記芯軸13を支持する支持軸受
を含み、前記回転軸系は前記本体9と滑り台10との間に取り付けられる。前記芯軸13
を支持する2つの支持軸受はともに前記エアスピンドルユニットである。
【0045】
前記エアスピンドルユニットはエアスピンドル基体11とエアスピンドル12を含み、前
記2つのエアスピンドル基体11のうち、一方は前記本体9に固定して接続され、他方は
前記滑り台10に固定して接続され、前記2つのエアスピンドル12が同軸であり、前記
芯軸13の両端は、それぞれ円錐嵌め合い又はカップリングを介して前記2つのエアスピ
ンドル12に接続され、前記芯軸13が前記2つのエアスピンドル12と同軸であり、前
記芯軸13には、測定対象転がり軸受の内輪1を取り付けるための軸肩14が設けられ、
前記滑り台10は外力により駆動されて前記エアスピンドル12の軸方向に沿って並進運
動する。前記回転軸系の運動部品は前記2つのエアスピンドル12、芯軸13、測定対象
転がり軸受の内輪1、測定対象転がり軸受の転動体3、及び測定対象転がり軸受のホルダ
ー(図示せず)を含み、前記芯軸13がカップリングを介して前記2つのエアスピンドル
12に接続される場合、前記回転軸系は前記カップリングをさらに含み、前記回転軸系の
運動部品は前記カップリングをさらに含み、前記回転数センサは、前記芯軸13又はエア
スピンドル12の角速度を監視することに用いられ、前記データ収集/処理/計算/表示
システムは、前記回転数センサにより監視された前記芯軸13又はエアスピンドル12の
角速度信号を収集して処理して、測定対象転がり軸受の等価摩擦トルク及び等価摩擦係数
を計算して表示することに用いられる。
【0046】
測定装置の実施例4では、前記回転軸系は好ましくは横型に配置され、前記エアスピンド
ル12の軸線が水平面に平行である。
【0047】
測定装置の実施例4を用いて等価摩擦係数を測定する際に、また動力装置が設置され、前
記動力装置の出力軸がクラッチ装置を介して一方のエアスピンドル12の自由端と結合又
は分離し、測定対象転がり軸受の径方向にはラジアル負荷装置が設置され、上記動力装置
、クラッチ装置及びラジアル負荷装置と本発明の測定装置の関連パーツとの位置及び接続
関係はすべて本分野の公知常識であり、図に示されていない。
【0048】
測定装置の実施例4の作動原理は以下のとおりである。ラジアル負荷装置が測定対象転が
り軸受の外輪2に所定のラジアル荷重を印加する条件で、動力装置はクラッチ装置を介し
て一方のエアスピンドル12を回転駆動し、エアスピンドル12及び芯軸13が所定の回
転角速度まで回転すると、クラッチ装置は動力装置の出力軸とエアスピンドル12を分離
し、回転数センサは、芯軸13又はエアスピンドル12の角速度をエアスピンドル12及
び芯軸13が回転を停止するまで監視することに用いられ、データ収集/処理/計算/表
示システムは「芯軸角速度-時間」数値関係を取得し、回転軸系のすべての運動部品の運
動速度及び運動エネルギーを計算し、「回転軸系の総運動エネルギー-時間」数値関係を
取得し、「回転軸系の総運動エネルギー-時間」数値関係について微分を求め、ある時刻
に「回転軸系の総運動エネルギー-時間」数値関係の時間に対する微分が、回転軸系の総
運動エネルギーの低減速度であり、またこの時刻に測定対象転がり軸受に対応する角速度
での摩擦パワーでもあり、さらに対応する仮想ラジアル滑り軸受の滑り摩擦対偶の摩擦パ
ワーに相当し、前記滑り摩擦対偶の摩擦パワーを該角速度値で割った商が、前記滑り摩擦
対偶の該角速度での等価摩擦トルクであり、また、測定対象転がり軸受の該角速度での等
価摩擦トルクに相当し、前記滑り摩擦対偶の該角速度での摩擦トルクを前記仮想ラジアル
滑り軸受の滑り嵌め面8の半径Rと前記滑り嵌め面8でのラジアル荷重との積で割った商
が、前記滑り摩擦対偶の該角速度での摩擦係数であり、また、測定対象転がり軸受の該角
速度での等価摩擦係数に相当する。エアスピンドル12及び芯軸13の角速度がセロに近
くなると、対応する等価摩擦トルク及び等価摩擦係数は、測定対象転がり軸受の起動等価
摩擦トルク及び起動等価摩擦係数に相当する。
【0049】
測定装置の実施例5
図10は本発明による、深溝玉軸受又は円筒ころ軸受の等価摩擦係数の測定に適用できる
転がり軸受の等価摩擦係数の測定装置の実施例5の構造を示し、該測定装置は、本体9、
回転軸系、滑り台10、回転数センサ(図示せず)、及びデータ収集/処理/計算/表示
システム(図示せず)を含む。前記回転軸系は芯軸13の環状重り21と前記芯軸13を
支持する支持軸受を含み、前記回転軸系は前記本体9と滑り台10との間に取り付けられ
る。前記芯軸13を支持する2つの支持軸受はともに測定対象転がり軸受であり、それぞ
れ測定対象転がり軸受A22及び測定対象転がり軸受B23とする。
【0050】
前記2つの軸受台15のうち、一方は前記本体9に固定して接続され、他方は前記滑り台
10に固定して接続され、前記2つの軸受台15のそれぞれには、測定対象転がり軸受A
22及び測定対象転がり軸受B23の外輪の外円柱面と嵌合する内円柱面16が設けられ
、前記2つの軸受台15の内円柱面16が同軸であり、前記芯軸13の両端のそれぞれに
は、測定対象転がり軸受A22及び測定対象転がり軸受B23の内輪を取り付けるための
軸肩14が設けられ、前記芯軸13には前記環状重り21が設置され、前記滑り台10は
外力により駆動されて案内部品(図示せず)のガイド下で前記2つの軸受台15の内円柱
面16の軸方向に沿って並進運動する。前記回転軸系の運動部品は前記芯軸13、測定対
象転がり軸受A22の内輪、測定対象転がり軸受B23の内輪、測定対象転がり軸受A2
2の転動体、測定対象転がり軸受B23の転動体、測定対象転がり軸受A22のホルダー
(図示せず)、測定対象転がり軸受B23のホルダー(図示せず)、及び環状重り21を
含む。前記回転数センサは前記芯軸13の角速度を監視することに用いられ、前記データ
収集/処理/計算/表示システムは回転数センサにより監視された前記芯軸13の角速度
信号を収集して処理して、測定対象転がり軸受A22及び測定対象転がり軸受B23の等
価摩擦トルク及び等価摩擦係数を計算して表示することに用いられる。
【0051】
測定装置の実施例5では、前記回転軸系は横型に配置され、前記2つの軸受台の内円柱面
16の軸線が水平面に平行である。
【0052】
上記測定装置の実施例5を用いて等価摩擦係数を測定する際に、また動力装置が設置され
、前記動力装置の出力軸がクラッチ装置を介して前記芯軸13の一方の自由端と結合又は
分離し、測定対象転がり軸受の径方向にはラジアル負荷装置が設置される。上記動力装置
、クラッチ装置及び軸方向負荷装置と本発明の測定装置の関連パーツとの位置及び接続関
係はすべて本分野の公知常識であり、図に示されていない。
【0053】
上記測定装置の実施例5を用いて等価摩擦係数を測定する際に、2つの測定対象転がり軸
受をペアとして2回測定し、前記環状重り21の質量及び前記芯軸13における前記環状
重り21の軸方向の位置を調整して、2回の測定過程において測定対象転がり軸受A22
及び測定対象転がり軸受B23の受けるラジアル反力の組み合わせが線形的に無関係であ
るようにし、2回の測定過程において2つの測定対象転がり軸受の受ける2群の線形的に
無関係のラジアル反力による差異情報に基づいて2つの測定対象転がり軸受の等価摩擦ト
ルク及び等価摩擦係数を解析する。
【0054】
測定装置の実施例5の作動原理は以下のとおりである。
まず、測定対象転がり軸受A22の内輪を芯軸の一端の軸肩14に取り付け、測定対象転
がり軸受B23の内輪を芯軸の他端の軸肩14に取り付け、測定対象転がり軸受A22及
び測定対象転がり軸受B23の外輪をそれぞれ2つの軸受台15の内円柱面16に取り付
け、環状重り21の質量及び芯軸13における環状重り21の軸方向の位置を調整して、
測定対象転がり軸受A22及び測定対象転がり軸受B23の受けるラジアル反力をそれぞ
れF1A及びF1Bとし、動力装置はクラッチ装置を介して芯軸13を回転駆動し、芯軸
13が所定の回転角速度まで回転すると、クラッチ装置は動力装置の出力軸と芯軸13を
分離し、回転数センサは芯軸13の角速度を芯軸13が回転を停止するまで監視し、デー
タ収集/処理/計算/表示システムは「芯軸角速度-時間」数値関係ω(t)を取得し、
回転軸系のすべての運動部品の運動速度及び運動エネルギーを計算し、「回転軸系の総運
動エネルギー-時間」数値関係を取得し、「回転軸系の総運動エネルギー-時間」数値関
係について微分を求め、時刻tに「回転軸系の総運動エネルギー-時間」数値関係の時間
に対する微分が、回転軸系の総運動エネルギーの低減速度であり、また、該時刻に対応す
る角速度ω(t)での測定対象転がり軸受A22と測定対象転がり軸受B23との摩擦パ
ワーの和でもあり、それにより、「測定対象転がり軸受Aと測定対象転がり軸受Bとの摩
擦パワーの和-角速度」数値関係P1(ω)を算出する。
【0055】
その後、環状重り21の質量及び芯軸13における環状重り21の軸方向の位置を調整し
て、測定対象転がり軸受A22及び測定対象転がり軸受B23の受けるラジアル反力をそ
れぞれF2A及びF2B(F2A、F2BはF1A、F1Bと線形的に無関係である。)
とし、動力装置はクラッチ装置を介して芯軸13を回転駆動し、芯軸13が所定の回転角
速度まで回転すると、クラッチ装置は動力装置の出力軸と芯軸13を分離し、回転数セン
サは芯軸13の角速度を芯軸13が回転を停止するまで監視し、データ収集/処理/計算
/表示システムは「芯軸角速度-時間」数値関係ω(t)を取得し、回転軸系のすべての
運動部品の運動速度及び運動エネルギーを計算し、「回転軸系の総運動エネルギー-時間
」数値関係を取得し、「回転軸系の総運動エネルギー-時間」数値関係について微分を求
め、時刻tに「回転軸系の総運動エネルギー-時間」数値関係の時間に対する微分が、回
転軸系の総運動エネルギーの低減速度であり、また、該時刻に対応する角速度ω(t)で
の測定対象転がり軸受A22と測定対象転がり軸受B23との摩擦パワーの和でもあり、
それにより、「測定対象転がり軸受Aと測定対象転がり軸受Bとの摩擦パワーの和-角速
度」数値関係P2(ω)を算出する。
【0056】
測定対象転がり軸受のある角速度での摩擦パワーは対応する仮想ラジアル滑り軸受の滑り
摩擦対偶の摩擦パワーに相当し、前記滑り摩擦対偶の摩擦パワーを測定対象転がり軸受の
角速度値で割った商が、前記滑り摩擦対偶の該角速度での摩擦トルクであり、また測定対
象転がり軸受の該角速度での等価摩擦トルクに相当し、前記滑り摩擦対偶の該角速度での
摩擦トルクを前記仮想ラジアル滑り軸受の滑り嵌め面8の半径Rと前記滑り嵌め面8での
ラジアル荷重との積で割った商が、前記滑り摩擦対偶の該角速度での摩擦係数であり、ま
だ測定対象転がり軸受の該角速度での等価摩擦係数に相当し、前記滑り嵌め面8でのラジ
アル荷重が、対応する測定対象転がり軸受の受けるラジアル反力に相当する。
【0057】
最後に、上記2回の測定条件での測定対象転がり軸受A22と測定対象転がり軸受B23
との摩擦パワーの和の構成に基づいて、測定角速度範囲内で、各角速度ω
1、ω
2、ω
3
、...について、それぞれ下記2元1次方程式を作成する。
(式中、方程式の等号左側の第一項は測定対象転がり軸受A22の摩擦パワーであり、第
二項は測定対象転がり軸受B23の摩擦パワーであり、μ
A(ω)、μ
B(ω)はそれぞ
れ「測定対象転がり軸受Aの等価摩擦係数-角速度」及び「測定対象転がり軸受Bの等価
摩擦係数-角速度」数値関係である。)
【0058】
上記2元1次方程式を解くと、「測定対象転がり軸受Aの等価摩擦係数-角速度」数値関
係及び「測定対象転がり軸受Bの等価摩擦係数-角速度」数値関係をそれぞれ得る。
【0059】
摩擦トルクと摩擦係数との力学関係から、測定対象転がり軸受A22及び測定対象転がり
軸受B23の受けるラジアル荷重がFである場合、「測定対象転がり軸受Aの等価摩擦ト
ルク-角速度」数値関係M
A(ω)及び「測定対象転がり軸受Bの等価摩擦トルク-角速
度」数値関係M
B(ω)は、
である。
【0060】
芯軸13の角速度がセロに近くなると、対応する等価摩擦トルク及び等価摩擦係数は、そ
れぞれ測定対象転がり軸受A22及び測定対象転がり軸受B23の起動等価摩擦トルク及
び起動等価摩擦係数に相当する。
【0061】
測定方法の実施例1
本発明の測定装置の実施例1に対応する測定方法は、
円錐嵌め合いを介して芯軸13の一端をエアスピンドル12に接続し(又はカップリング
を介してエアスピンドル12に接続し)、測定対象転がり軸受の内輪1を芯軸の他端の軸
肩14に取り付け、滑り台10を移動させて、測定対象転がり軸受の外輪2を軸受台の外
輪ショルダー17に取り付けるステップ1と、
測定対象転がり軸受のタイプ及びサイズに応じて、転がり軸受摩擦トルクの測定基準、た
とえば中華人民共和国国家基準GB/T32562-2016『転がり軸受の摩擦トルク
の測定方法』に準じて、軸方向負荷装置は滑り台10、軸受台15を介して測定対象転が
り軸受の外輪2に所定の軸方向荷重を印加するステップ2と、
動力装置はクラッチ装置を介してエアスピンドル12を回転駆動し、エアスピンドル12
、芯軸13及び測定対象転がり軸受の内輪1は同期して回転し、データ収集/処理/計算
/表示システムは回転数センサからの芯軸13又はエアスピンドル12の角速度信号を収
集して処理して、芯軸13の角速度を計算し、関連情報を表示するステップ3と、
エアスピンドル12及び芯軸13の回転速度を所定値となり且つ安定的に運転するまで徐
々に向上させ、クラッチ装置は動力装置の出力軸とエアスピンドル12を分離し、エアス
ピンドル12及び芯軸13の回転速度が測定対象転がり軸受の摩擦パワー損失の作用によ
り徐々に減衰し、最後に、エアスピンドル12及び芯軸13が回転を停止し、データ収集
/処理/計算/表示システムは「芯軸角速度-時間」数値関係を取得するステップ4と、
データ収集/処理/計算/表示システムは回転軸系のすべての運動部品の運動速度及び運
動エネルギーを計算し、「回転軸系の総運動エネルギー-時間」数値関係を取得し、「回
転軸系の総運動エネルギー-時間」数値関係について微分を求め、ある時刻に「回転軸系
の総運動エネルギー-時間」数値関係の時間に対する微分が、回転軸系の総運動エネルギ
ーの低減速度であり、またこの時刻に測定対象転がり軸受に対応する角速度での摩擦パワ
ーでもあり、測定対象転がり軸受の摩擦パワーを該角速度値で割った商が、測定対象転が
り軸受の該角速度での等価摩擦トルクであり、測定対象転がり軸受の等価摩擦トルクを測
定対象転がり軸受に対応する仮想滑り軸受の滑り嵌め面8の中部の半径Rと滑り嵌め面8
での法線方向荷重との積で割った商が、測定対象転がり軸受の該角速度での等価摩擦係数
であり、滑り嵌め面8での法線方向荷重が、対応する測定対象転がり軸受の受ける軸方向
荷重の滑り嵌め面8での法線成分に相当し、エアスピンドル12及び芯軸13の角速度が
セロに近くなると、対応する等価摩擦トルク及び等価摩擦係数は、測定対象転がり軸受の
起動等価摩擦トルク及び起動等価摩擦係数に相当するステップ5とを含む。
【0062】
測定方法の実施例2
本発明の測定装置の実施例2に対応する測定方法は、前述の測定方法の実施例2の測定方
法に比べて、以下の点が異なる。
【0063】
ステップ1では、円錐嵌め合いを介して芯軸13の一端をエアスピンドル12に接続し(
又はカップリングを介してエアスピンドル12に接続し)、軸受台15を芯軸の他端の軸
肩14に取り付け、滑り台10を移動させて、測定対象転がり軸受の内輪1を負荷軸の内
輪軸肩20に取り付け、測定対象転がり軸受の外輪2を軸受台の外輪ショルダー17に取
り付ける。
【0064】
ステップ2では、測定対象転がり軸受のタイプ及びサイズに応じて、転がり軸受摩擦トル
クの測定基準、たとえば中華人民共和国国家基準GB/T32562-2016『転がり
軸受の摩擦トルクの測定方法』に準じて、軸方向負荷装置は滑り台10、負荷軸18を介
して測定対象転がり軸受の内輪1に所定の軸方向荷重を印加する。
【0065】
ステップ3では、動力装置はクラッチ装置を介してエアスピンドル12を回転駆動し、エ
アスピンドル12、芯軸13及び測定対象転がり軸受の外輪2は同期して回転し、データ
収集/処理/計算/表示システムは回転数センサからの芯軸13又はエアスピンドル12
の角速度信号収集して処理して、芯軸13の角速度を計算し、関連情報を表示する。
【0066】
ステップ4及びステップ5は上記の測定方法の実施例1と同じである。
【0067】
測定方法の実施例3
本発明の測定装置の実施例3に対応する測定方法は、
測定対象転がり軸受A22の内輪を芯軸13の一端の軸肩14に取り付け、測定対象転が
り軸受B23の内輪を芯軸13の他端の軸肩14に取り付け、滑り台10を移動させて、
測定対象転がり軸受A22の外輪を本体9に固定して接続された軸受台の外輪ショルダー
17に取り付け、測定対象転がり軸受B23の外輪を滑り台10に固定して接続された軸
受台の外輪ショルダー17に取り付けるステップ1と、
測定対象転がり軸受のタイプ及びサイズに応じて、転がり軸受摩擦トルクの測定基準、た
とえば中華人民共和国国家基準GB/T32562-2016『転がり軸受の摩擦トルク
の測定方法』に準じて、軸方向負荷装置は、滑り台10、滑り台10に固定して接続され
た軸受台15を介して測定対象転がり軸受B23の外輪に所定の軸方向荷重F
1を印加す
るステップ2と、
動力装置はクラッチ装置を介して芯軸13を回転駆動し、芯軸13、測定対象転がり軸受
A22の内輪及び測定対象転がり軸受B23の内輪は同期して回転し、データ収集/処理
/計算/表示システムは回転数センサからの芯軸13の角速度信号を収集して処理して、
芯軸13の角速度を計算し、関連情報を表示するステップ3と、
芯軸13の回転速度を所定値となり且つ安定的に運転するまで徐々に向上させ、クラッチ
装置は動力装置の出力軸と芯軸13を分離し、芯軸13の回転速度が、測定対象転がり軸
受A22及び測定対象転がり軸受B23の摩擦パワー損失の作用により徐々に減衰し、最
後に、芯軸13が回転を停止し、データ収集/処理/計算/表示システムは「芯軸角速度
-時間」数値関係ω(t)を取得するステップ4と、
データ収集/処理/計算/表示システムは回転軸系のすべての運動部品の運動速度及び運
動エネルギーを計算し、「回転軸系の総運動エネルギー-時間」数値関係を取得し、「回
転軸系の総運動エネルギー-時間」数値関係について微分を求め、時刻tに「回転軸系の
総運動エネルギー-時間」数値関係の時間に対する微分が、回転軸系の総運動エネルギー
の低減速度であり、また、該時刻に対応する角速度での測定対象転がり軸受A22と測定
対象転がり軸受B23との摩擦パワーの和でもあり、それにより、「測定対象転がり軸受
Aと測定対象転がり軸受Bとの摩擦パワーの和-角速度」数値関係P
1(ω)を取得する
ステップ5と、
測定対象転がり軸受A22の内輪を芯軸13の一端の軸肩14に取り付け、測定対象転が
り軸受B23の内輪を芯軸13の他端の軸肩14に取り付け、滑り台10を移動させて、
測定対象転がり軸受B23の外輪を本体9に固定して接続された軸受台の外輪ショルダー
17に取り付け、測定対象転がり軸受A22の外輪を滑り台10に固定して接続された軸
受台の外輪ショルダー17に取り付けるステップ6と、
測定対象転がり軸受のタイプ及びサイズに応じて、転がり軸受摩擦トルクの測定基準、た
とえば中華人民共和国国家基準GB/T32562-2016『転がり軸受の摩擦トルク
の測定方法』に準じて、軸方向負荷装置は、滑り台10、滑り台10に固定して接続され
た軸受台15を介して測定対象転がり軸受A22の外輪に所定の軸方向荷重F
2を印加す
るステップ7と、
ステップ3、ステップ4、及びステップ5を繰り返し、データ収集/処理/計算/表示シ
ステムは「芯軸角速度-時間」数値関係ω(t)、「回転軸系の総運動エネルギー-時間
」数値関係、「測定対象転がり軸受Aと測定対象転がり軸受Bとの摩擦パワーの和-角速
度」数値関係P
2(ω)を算出するステップ8と、
測定対象転がり軸受の摩擦パワーを測定対象転がり軸受の回転角速度値で割った商が、測
定対象転がり軸受の該角速度での等価摩擦トルクであり、測定対象転がり軸受の等価摩擦
トルクを測定対象転がり軸受に対応する仮想滑り軸受の滑り嵌め面の中部の半径Rと滑り
嵌め面8での法線方向荷重との積で割った商が、測定対象転がり軸受の該角速度での等価
摩擦係数であり、滑り嵌め面8での法線方向荷重が、対応する測定対象転がり軸受の受け
る軸方向荷重の滑り嵌め面8での法線成分に相当し、その数値が測定対象転がり軸受の受
ける軸方向荷重を測定対象転がり軸受の接触角αの正弦で割った商であり、上記2回の測
定条件での測定対象転がり軸受A22と測定対象転がり軸受B23との摩擦パワーの和の
構成に基づいて、測定角速度範囲内で、各角速度ω
1、ω
2、ω
3、...について、下
記2元1次方程式を作成し、
(式中、方程式の等号左側の第一項は測定対象転がり軸受A22の摩擦パワーであり、第
二項は測定対象転がり軸受B23の摩擦パワーであり、μ
A(ω)、μ
B(ω)はそれぞ
れ測定対象転がり軸受A22の等価摩擦係数-角速度の数値関係及び測定対象転がり軸受
B23の等価摩擦係数-角速度の数値関係である。)
上記2元1次方程式を解くと、測定対象転がり軸受A22の等価摩擦係数-角速度の数値
関係μ
A(ω)及び測定対象転がり軸受B23の等価摩擦係数-角速度の数値関係μ
B(
ω)それぞれ得て、
摩擦トルクと摩擦係数との力学関係から、測定対象転がり軸受A22及び測定対象転がり
軸受B23の受ける軸方向荷重がFである場合、測定対象転がり軸受A22の等価摩擦ト
ルク-角速度の数値関係M
A(ω)及び測定対象転がり軸受B23の等価摩擦トルク-角
速度の数値関係M
B(ω)は、
になり、
芯軸13の角速度がセロに近くなると、対応する等価摩擦トルク及び等価摩擦係数は、そ
れぞれ測定対象転がり軸受A22及び測定対象転がり軸受B23の起動等価摩擦トルク及
び起動等価摩擦係数に相当するステップ9とを含む。
【0068】
測定方法の実施例4
本発明の測定装置の実施例4に対応する測定方法は、
測定対象転がり軸受の内輪1を芯軸13の軸肩14に取り付け、円錐嵌め合いを介して芯
軸13の両端のそれぞれを2つのエアスピンドル12に接続する(又はカップリングを介
して2つのエアスピンドル12に接続する)ステップ1と、
測定対象転がり軸受のタイプ及びサイズに応じて、転がり軸受摩擦トルクの測定基準、た
とえば中華人民共和国国家基準GB/T32562-2016『転がり軸受の摩擦トルク
の測定方法』に準じて、ラジアル負荷装置を用いて測定対象転がり軸受の外輪2に所定の
ラジアル荷重を印加するステップ2と、
動力装置はクラッチ装置を介して一方のエアスピンドル12を回転駆動し、エアスピンド
ル12、芯軸13、及び測定対象転がり軸受の内輪1は同期して回転し、データ収集/処
理/計算/表示システムは回転数センサからの芯軸13又はエアスピンドル12の角速度
信号を収集して処理して、芯軸13の角速度を計算して表示するステップ3と、
アスピンドル12及び芯軸13の回転速度を所定値となり且つ安定的に運転するまで徐々
に向上させ、クラッチ装置は動力装置の出力軸とエアスピンドル12を分離し、エアスピ
ンドル12及び芯軸13の回転速度が、測定対象転がり軸受の摩擦パワー損失の作用によ
り徐々に減衰し、最後に、エアスピンドル12及び芯軸13が回転を停止し、データ収集
/処理/計算/表示システムは「芯軸角速度-時間」数値関係を取得するステップ4と、
データ収集/処理/計算/表示システムは回転軸系のすべての運動部品の運動速度及び運
動エネルギーを計算し、「回転軸系の総運動エネルギー-時間」数値関係を取得し、「回
転軸系の総運動エネルギー-時間」数値関係について微分を求め、ある時刻に「回転軸系
の総運動エネルギー-時間」数値関係の時間に対する微分が、回転軸系の総運動エネルギ
ーの低減速度であり、またこの時刻に測定対象転がり軸受に対応する角速度での摩擦パワ
ーでもあり、測定対象転がり軸受の摩擦パワーを該角速度値で割った商が、測定対象転が
り軸受の該角速度での等価摩擦トルクであり、測定対象転がり軸受の等価摩擦トルクを測
定対象転がり軸受に対応する仮想ラジアル滑り軸受の滑り嵌め面の半径Rと滑り嵌め面8
でのラジアル荷重との積で割った商が、測定対象転がり軸受の該角速度での等価摩擦係数
であり、
エアスピンドル12及び芯軸13の角速度がセロに近くなると、対応する等価摩擦トルク
及び等価摩擦係数は、測定対象転がり軸受の起動等価摩擦トルク及び起動等価摩擦係数に
相当するステップ5とを含む。
【0069】
測定方法の実施例5
本発明の測定装置の実施例5に対応する測定方法は、
測定対象転がり軸受A22の内輪を芯軸13の一端の軸肩14に取り付け、測定対象転が
り軸受B23の内輪を芯軸13の他端の軸肩14に取り付け、滑り台8を移動させて、測
定対象転がり軸受A22及び測定対象転がり軸受B23の外輪をそれぞれ2つの軸受台1
5の内円柱面16に取り付けるステップ1と、
測定対象転がり軸受のタイプ及びサイズに応じて、環状重り21の質量及び芯軸13にお
ける環状重り21の軸方向の位置を調整して、測定対象転がり軸受A22及び測定対象転
がり軸受B23の受けるラジアル反力をそれぞれF
1A及びF
1Bとし、転がり軸受摩擦
トルクの測定基準、たとえば中華人民共和国国家基準GB/T32562-2016『転
がり軸受の摩擦トルクの測定方法』による印加ラジアル荷重の要求を満たすようにするス
テップ2と、
動力装置はクラッチ装置を介して芯軸13を回転駆動し、芯軸13、測定対象転がり軸受
A22の内輪、測定対象転がり軸受B23の内輪、及び環状重り21は同期して回転し、
データ収集/処理/計算/表示システムは回転数センサからの芯軸13の角速度信号を収
集して処理して、芯軸13の角速度を計算して表示するステップ3と、
芯軸13の回転速度を所定値となり且つ安定的に運転するまで徐々に向上させ、クラッチ
装置は動力装置の出力軸と芯軸13を分離し、芯軸13の回転速度が測定対象転がり軸受
A22及び測定対象転がり軸受B23の摩擦パワー損失の作用により徐々に減衰し、最後
に芯軸13が回転を停止し、データ収集/処理/計算/表示システムは「芯軸角速度-時
間」数値関係ω(t)を取得するステップ4と、
データ収集/処理/計算/表示システムは回転軸系のすべての運動部品の運動速度及び運
動エネルギーを計算し、「回転軸系の総運動エネルギー-時間」数値関係を取得し、、「
回転軸系の総運動エネルギー-時間」数値関係について微分を求め、時刻tに「回転軸系
の総運動エネルギー-時間」数値関係の時間に対する微分が、回転軸系の総運動エネルギ
ーの低減速度であり、またこの時刻に測定対象転がり軸受に対応する角速度での摩擦パワ
ーでもあり、それにより、「測定対象転がり軸受Aと測定対象転がり軸受Bとの摩擦パワ
ーの和-角速度」数値関係P
1(ω)を算出するステップ5と、
測定対象転がり軸受のタイプ及びサイズに応じて、環状重り21の質量及び芯軸13にお
ける環状重り21の軸方向の位置を調整して、測定対象転がり軸受A22及び測定対象転
がり軸受B23の受けるラジアル反力をそれぞれF
2A及びF
2B(F
2A、F
2BはF
1A、F
1Bと線形的に無関係である。)とし、転がり軸受摩擦トルクの測定基準、たと
えば中華人民共和国国家基準GB/T32562-2016『転がり軸受の摩擦トルクの
測定方法』による印加ラジアル荷重の要求を満たすステップ6と、
ステップ3、ステップ4、及びステップ5を繰り返し、データ収集/処理/計算/表示シ
ステムは「芯軸角速度-時間」数値関係ω(t)、「回転軸系の総運動エネルギー-時間
」数値関係、「測定対象転がり軸受Aと測定対象転がり軸受Bとの摩擦パワーの和-角速
度」数値関係P
2(ω)をリアルタイムで算出するステップ7と、
測定対象転がり軸受の摩擦パワーを測定対象転がり軸受の回転角速度値で割った商が、測
定対象転がり軸受の該角速度での等価摩擦トルクであり、測定対象転がり軸受の等価摩擦
トルクを測定対象転がり軸受に対応する仮想ラジアル滑り軸受の滑り嵌め面の半径Rと滑
り嵌め面8でのラジアル荷重との積で割った商が、測定対象転がり軸受の該角速度での等
価摩擦係数であり、滑り嵌め面8でのラジアル荷重が、対応する測定対象転がり軸受の受
けるラジアル反力に相当し、上記2回の測定条件での測定対象転がり軸受A22と測定対
象転がり軸受B23との摩擦パワーの和の構成に基づいて、測定角速度範囲で、各角速度
ω
1、ω
2、ω
3、...について、下記2元1次方程式を作成し、
(式中、方程式の等号左側の第一項は測定対象転がり軸受A22の摩擦パワーであり、第
二項は測定対象転がり軸受B23の摩擦パワーであり、μ
A(ω)、μ
B(ω)はそれぞ
れ「測定対象転がり軸受Aの等価摩擦係数-角速度」数値関係及び「測定対象転がり軸受
Bの等価摩擦係数-角速度」数値関係である。)
上記2元1次方程式を解くと、「測定対象転がり軸受Aの等価摩擦係数-角速度」数値関
係μ
A(ω)及び「測定対象転がり軸受Bの等価摩擦係数-角速度」数値関係μ
B(ω)
をそれぞれ得て、
摩擦トルクと摩擦係数との力学関係から、測定対象転がり軸受A22及び測定対象転がり
軸受B23の受けるラジアル荷重がFである場合、「測定対象転がり軸受Aの等価摩擦ト
ルク-角速度」数値関係M
A(ω)及び「測定対象転がり軸受Bの等価摩擦トルク-角速
度」数値関係M
B(ω)は、
になり、
芯軸13の角速度がセロに近くなると、対応する等価摩擦トルク及び等価摩擦係数は、そ
れぞれ測定対象転がり軸受A22及び測定対象転がり軸受B23の起動等価摩擦トルク及
び起動等価摩擦係数に相当するステップ8とを含む。
【符号の説明】
【0070】
1-内輪
2-外輪
3-転動体
4-仮想滑り軸受の内輪
5-仮想滑り軸受の外輪
6-仮想ラジアル滑り軸受の内輪
7-仮想ラジアル滑り軸受の外輪
8-滑り嵌め面
9-本体
10-滑り台
11-エアスピンドル基体
12-エアスピンドル
13-芯軸
14-軸肩
15-軸受台
16-内円柱面
17-外輪ショルダー
18-負荷軸
19-外円柱面
20-内輪軸肩
21-環状重り
22-測定対象転がり軸受A
23-測定対象転がり軸受B。