(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-22
(45)【発行日】2022-03-30
(54)【発明の名称】キャパシタ部品
(51)【国際特許分類】
H01G 4/33 20060101AFI20220323BHJP
H01G 4/30 20060101ALI20220323BHJP
H01G 9/048 20060101ALN20220323BHJP
H01G 9/052 20060101ALN20220323BHJP
【FI】
H01G4/33 102
H01G4/30 201C
H01G4/30 201F
H01G4/30 201K
H01G4/30 541
H01G9/048 F
H01G9/052
(21)【出願番号】P 2017253367
(22)【出願日】2017-12-28
【審査請求日】2020-09-24
(31)【優先権主張番号】10-2017-0091643
(32)【優先日】2017-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】リー、ヨン イル
(72)【発明者】
【氏名】ムーン、ビョン チョル
【審査官】鈴木 駿平
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0283122(US,A1)
【文献】特表2012-517717(JP,A)
【文献】特開2003-168745(JP,A)
【文献】特開2002-190426(JP,A)
【文献】特表2012-502481(JP,A)
【文献】国際公開第2016/181865(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 4/00-4/224
H01G 4/255-4/40
H01G 9/048
H01G 9/052
H01G 13/00-13/06
H01L 27/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、前記本体の外部に形成された第1及び第2外部電極と、を含むキャパシタ部品であって、
前記本体は、
前記第1外部電極と連結された第1連結電極と、
前記第1連結電極の一部領域をカバーするように前記第1連結電極上に配置され、前記第2外部電極と連結された第2連結電極と、
前記第1及び第2連結電極をカバーするように配置され、前記第1連結電極及び前記第2連結電極とそれぞれ連結された多孔性キャパシタ部と、を含む、キャパシタ部品。
【請求項2】
前記多孔性キャパシタ部は、多孔体と、前記多孔体の表面をカバーする誘電体層と、前記誘電体層をカバーする電極層と、を含む、請求項1に記載のキャパシタ部品。
【請求項3】
前記多孔体は、導電性物質からなり、前記第1連結電極と連結され、前記電極層は、前記第2連結電極と連結される、請求項2に記載のキャパシタ部品。
【請求項4】
前記多孔体は、前記第1連結電極と同一の物質からなる、請求項3に記載のキャパシタ部品。
【請求項5】
前記多孔体は、電気絶縁性物質からなり、
前記多孔性キャパシタ部は、前記多孔体と前記誘電体層の間に形成され、前記第1連結電極と連結された追加の電極層をさらに含む、請求項2に記載のキャパシタ部品。
【請求項6】
前記多孔体はセラミックからなる、請求項5に記載のキャパシタ部品。
【請求項7】
前記多孔体は複数の粒子が凝集した形状を有する、請求項2から6のいずれか一項に記載のキャパシタ部品。
【請求項8】
前記複数の粒子は球状又はナノワイヤー状を有する、請求項7に記載のキャパシタ部品。
【請求項9】
前記本体は、前記第1連結電極と前記第2連結電極の間に配置された絶縁層をさらに含む、請求項2から8のいずれか一項に記載のキャパシタ部品。
【請求項10】
前記絶縁層は、前記多孔性キャパシタ部の前記誘電体層と同一の物質からなる、請求項9に記載のキャパシタ部品。
【請求項11】
前記電極層は、前記多孔性キャパシタ部の空孔を充填する形態である、請求項2から10のいずれか一項に記載のキャパシタ部品。
【請求項12】
前記第2連結電極は、前記多孔性キャパシタ部の空孔を充填する形態である、請求項2から10のいずれか一項に記載のキャパシタ部品。
【請求項13】
前記第1及び第2連結電極と前記多孔性キャパシタ部とを一つの積層セットとするとき、前記本体は、前記積層セットを複数個備える、請求項1から12のいずれか一項に記載のキャパシタ部品。
【請求項14】
前記多孔性キャパシタ部は、前記第1連結電極の上面と接する形態である、請求項1から13のいずれか一項に記載のキャパシタ部品。
【請求項15】
前記多孔性キャパシタ部は、前記第2連結電極の側面及び上面と接する形態である、請求項14に記載のキャパシタ部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャパシタ部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
キャパシタは、液晶表示装置(LCD:Liquid Crystal Display)及びプラズマ表示装置パネル(PDP:Plasma Display Panel)などの映像機器、コンピュータ、スマートフォン及び携帯電話などの様々な電子製品のプリント回路基板に装着されて電気を充電又は放電させる役割を果たす。最近、スマートフォン、ウェアラブル機器などの携帯用IT製品の薄型化が進んでいる。これにより、全体的なパッケージの厚さを減少させるための受動素子の薄型化に対する必要性も増大している。
【0003】
このような傾向に伴い、より薄い厚さを実現することができる薄膜キャパシタに対する需要も増加している。薄膜キャパシタには、薄膜(Thin Film)技術を用いて薄型のキャパシタを実現することができるという長所がある。また、薄膜キャパシタは、従来の積層セラミックキャパシタとは異なり、低ESLを有するという長所を有するため、最近では、AP(Application Processor)用のデカップリングキャパシタ(Decoupling Capacitor)への適用が検討されている。かかるAP(Application Processor)用のデカップリングキャパシタ(Decoupling Capacitor)として薄膜キャパシタを用いるために、LSC(Land-side Capacitor)の形で製作されている。
【0004】
一方、限られた空間でのキャパシタの容量を増加させるために、トレンチ(trench)型のキャパシタが開発されている。これは、シリコン基板にトレンチを形成した後、キャパシタ構造を形成する方式である。かかるトレンチキャパシタの場合には、電極の表面積を増加させて容量を増加させるのに適しているが、複雑な半導体工程技術が要求されるのみならず、耐電圧条件を満たす誘電体の厚さを考慮すると、トレンチ内に複数の誘電体を形成することが難しくなるという問題があるため、超高容量を実現することも容易ではないのが実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的のうちの一つは、増加した表面積の基板を活用することで、超高容量を実現することができ、半導体工程を利用しなくても、効率的に製造することができるキャパシタ部品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題を解決するための方法として、本発明は、一実施形態を通じて新規なキャパシタ部品を提案する。具体的には、本体と、上記本体の外部に形成された第1及び第2外部電極と、を含むキャパシタ部品であって、上記本体は、上記第1外部電極と連結された第1連結電極と、上記第1連結電極の一部領域をカバーするように上記第1連結電極上に配置され、上記第2外部電極と連結された第2連結電極と、上記第1及び第2連結電極をカバーするように配置され、上記第1連結電極及び上記第2連結電極とそれぞれ連結された多孔性キャパシタ部と、を含む形態である。
【0007】
一実施形態において、上記多孔性キャパシタ部は、多孔体と、上記多孔体の表面をカバーする誘電体層と、上記誘電体層をカバーする電極層と、を含むことができる。
【0008】
一実施形態において、上記多孔体は、導電性物質からなり、上記第1連結電極と連結され、上記電極層は、上記第2連結電極と連結されることができる。
【0009】
一実施形態において、上記多孔体は、上記第1連結電極と同一の物質からなることができる。
【0010】
一実施形態において、上記多孔体は、電気絶縁性物質からなり、上記多孔性キャパシタ部は、上記多孔体と上記誘電体層の間に形成されて、上記第1連結電極と連結された追加の電極層をさらに含むことができる。
【0011】
一実施形態において、上記多孔体は、セラミックからなることができる。
【0012】
一実施形態において、上記多孔体は、複数の粒子が凝集した形状を有することができる。
【0013】
一実施形態において、上記複数の粒子は、球状又はナノワイヤー状を有することができる。
【0014】
一実施形態において、上記本体は、上記第1連結電極と上記第2連結電極の間に配置された絶縁層をさらに含むことができる。
【0015】
一実施形態において、上記絶縁層は、上記多孔性キャパシタ部の誘電体層と同一の物質からなることができる。
【0016】
一実施形態において、上記電極層は、上記多孔性キャパシタ部の空孔を充填する形であることができる。
【0017】
一実施形態において、上記第2連結電極は、上記多孔性キャパシタ部の空孔を充填する形であることができる。
【0018】
一実施形態において、上記第1及び第2連結電極と上記多孔性キャパシタ部とを一つの積層セットとするとき、上記本体は、上記積層セットを複数個備えることができる。
【0019】
一実施形態において、上記多孔性キャパシタ部は、上記第1連結電極の上面と接する形であることができる。
【0020】
一実施形態において、上記多孔性キャパシタ部は、上記第2連結電極の側面及び上面と接する形であることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明のいくつかの効果のうちの一効果は、増加した表面積の基板を活用することで、超高容量を有するキャパシタ部品を実現できることである。さらに、かかるキャパシタ部品は、半導体工程を利用しなくても、効率的に製造することができる。
【0022】
但し、本発明の多様且つ有益な長所及び効果は、上述の内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程でより容易に理解されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の一実施形態によるキャパシタ部品を概略的に示す断面図である。
【
図2】
図1のキャパシタ部品における多孔性キャパシタ部周辺の形状を拡大して示したものである。
【
図3】
図1のキャパシタ部品における多孔性キャパシタ部周辺の形状を拡大して示したものである。
【
図4】
図1のキャパシタ部品における多孔性キャパシタ部周辺の形状を拡大して示したものである。
【
図5】
図1のキャパシタ部品における多孔性キャパシタ部周辺の形状を拡大して示したものである。
【
図6】
図1のキャパシタ部品における多孔性キャパシタ部周辺の形状を拡大して示したものである。
【
図7】本発明の他の実施形態によるキャパシタ部品を概略的に示す断面図である。
【
図8】本発明の一実施形態によるキャパシタ部品の製造工程を示したものである。
【
図9】本発明の一実施形態によるキャパシタ部品の製造工程を示したものである。
【
図10】本発明の一実施形態によるキャパシタ部品の製造工程を示したものである。
【
図11】本発明の一実施形態によるキャパシタ部品の製造工程を示したものである。
【
図12】本発明の一実施形態によるキャパシタ部品の製造工程を示したものである。
【
図13】本発明の一実施形態によるキャパシタ部品の製造工程を示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下では、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために拡大縮小表示(又は強調表示や簡略化表示)がされることがあり、図面上の同一の符号で示される要素は同一の要素である。
【0025】
なお、本発明を明確に説明すべく、図面において説明と関係ない部分は省略し、様々な層及び領域を明確に表現するために厚さを拡大して示し、同一思想の範囲内において機能が同一である構成要素に対しては同一の参照符号を用いて説明する。さらに、明細書全体において、ある構成要素を「含む」というのは、特に反対である記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含むことができるということを意味する。
【0026】
図1は本発明の一実施形態によるキャパシタ部品を概略的に示す断面図であり、
図2~
図6は
図1のキャパシタ部品における多孔性キャパシタ部周辺の形状を拡大して示したものである。
【0027】
図1を参照すると、本発明の一実施形態によるキャパシタ部品100は、本体105と、本体105の外部に形成された第1及び第2外部電極106、107と、を含む構造であって、本体105は、第1連結電極101と、第2連結電極102と、多孔性キャパシタ部103と、を含む。この場合、第1連結電極101と第2連結電極102の間には、絶縁層104を配置することで、第1連結電極101及び第2連結電極102を互いに電気的に分離させることができる。
【0028】
本体105は、内部に多孔性キャパシタ部103を収容して電気絶縁性を有することができる。本体105は、セラミック物質からなることができ、例えば、セラミックグリーンシートを焼成することで得ることができる。
【0029】
第1及び第2外部電極106、107は、キャパシタ部品100の外部端子としての役割を果たし、それぞれ第1及び第2連結電極101、102と連結される。第1及び第2外部電極106、107は、導電性の高い物質からなり、多層構造で形成されることができる。例えば、第1及び第2外部電極106、107は、導電性ペーストを本体105の表面に塗布して焼成した後、その上にNi、Sn、Auなどの物質でメッキ層を形成することで得ることができる。
【0030】
第1連結電極101は、多孔性キャパシタ部103と電気的に連結され、具体的には、多孔性キャパシタ103の一電極、本実施形態では、導電性の多孔体111と連結される。第1連結電極101は、導電性に優れたNi、Cu、Ag、Ptなどの物質を含むことができ、例えば、導電性ペーストをセラミックグリーンシート上に塗布した後、これを焼成する方法などで得ることができる。
【0031】
第2連結電極102は、
図1に示す形態のように、第1連結電極101の一部領域をカバーするように、第1連結電極101上に配置され、第2外部電極107と連結される。第2連結電極102も、導電性に優れたNi、Cu、Ag、Ptなどの物質からなることができ、この他にも、導電性ポリマーからなることもできる。
【0032】
多孔性キャパシタ部103は、第1及び第2連結電極101、102をカバーするように配置され、第1連結電極101及び第2連結電極102とそれぞれ連結される。一例として、
図1に示す形態のように、多孔性キャパシタ部103は、第1連結電極101の上面と接し、第2連結電極102の側面及び上面と接する形で実現されることができる。
【0033】
図2を参照して、多孔性キャパシタ部103の具体的な形態を見ると、多孔性キャパシタ部103は、多孔体111と、誘電体層112と、電極層113と、を含むことができる。この場合、誘電体層112及び電極層113の数は、必要に応じてさらに増やしてもよい。
【0034】
多孔体111は、複数の粒子が凝集した形状を有することができ、このような凝集によって拡張された表面を有する多孔性構造を効果的に得ることができる。このような凝集体の形状は、複数の粒子を焼結し、且つ完全緻密化が行われないように、焼結温度などの条件を調節することで得ることができる。この場合、多孔体111は、
図2に示す形態のように球状を有することができる。
【0035】
本実施形態のような多孔性構造を有する多孔性キャパシタ部103を用いる場合、これに備えられる電極、誘電体層などの表面積を増加させることができるため、高容量のキャパシタ部品100を実現することができる。また、トレンチ型キャパシタに比べて製造工程は簡単でありながらも高容量を実現することができる。
【0036】
本実施形態の場合、多孔体111は、導電性物質からなることで、第1連結電極101と連結されることができる。これにより、多孔体111は、多孔性キャパシタ部103において電極層として機能することができる。この場合、多孔体111は、導電性の高い物質であって、多孔性構造を形成するのに適した物質からなることができる。また、工程効率性や電気的特性などを考慮して、第1連結電極101と同一の物質で実現されることができる。後述のように、多孔体111を形成するために、第1連結電極101よりも粒子サイズが大きい導電性粒子を用いることができ、焼成過程で、第1連結電極101が緻密化するのに対し、多孔体111は多孔性構造を形成することができる。この場合、多孔体111及び第1連結電極101は、ともにNiを主成分として含むことができる。
【0037】
誘電体層112は、多孔体111の表面をカバーし、例えば、多孔体111の表面にコーティングされた形態であることができる。この場合、多孔性構造のポア(pore)が微細なサイズを有する点において、多孔性キャパシタ部103の要素、すなわち、誘電体層112及び電極層113などは、原子層堆積(ALD)の方式を用いて効果的に形成することができる。但し、原子層堆積の他にも、多孔性構造のポア(pore)にコーティングできる他の方法を用いることができる。誘電体層112は、アルミナ(Al2O3)、SiO2、Sn3N4、ZrO2、CaTiO3、SrTiO3、(Ba,Sr)TiO3、BaTiO3などの物質で形成されることができ、1つ又は複数の物質からなることができる。この場合、誘電体層112を複数の物質で形成することにより、絶縁特性を向上させることができる。
【0038】
一方、第1連結電極101と第2連結電極102の間に配置された絶縁層104は、電気絶縁性を有する物質であればいかなるものも用いることができる。但し、工程効率性の観点から多孔性キャパシタ部103の誘電体層112とともに形成することができる。これにより、絶縁層104は、誘電体層112と同一の物質からなることができる。
【0039】
電極層113は、誘電体層112をカバーする。具体的には、誘電体層112の表面にコーティングされた形態であることができる。電極層113は、多孔性キャパシタ部103において拡張された表面積を有する電極として機能し、第2連結電極102と連結される。この場合、電極層113は、Ag、Cu、Pt、Ni、TiNなどの電気伝導性に優れた金属からなることができ、原子層堆積などの工程を行って誘電体層112の表面に効果的に形成されることができる。但し、誘電体層112の表面にコーティングされた形態の他にも、
図3に示す変形例のように、電極層113'は多孔性キャパシタ部103の空孔を充填する形で実現することもできる。これにより、第2連結電極102との接触面積が増加して、電気的特性を向上させることができる。さらに、他の変形例として、
図4に示す形態のように、第2連結電極102'が多孔性キャパシタ部103の空孔を充填する形で提供されることができる。後述のように、第2連結電極102は、流動性を有する導電性ペースト又は導電性ポリマーの形で、上記空孔に効果的に充填することで形成することができる。
【0040】
上述の実施形態では、多孔体111をなす複数の粒子が球状である例を説明したが、多孔体111は、他の形状を有することもできる。
図5の変形例に示す形態のように、多孔体211をなす複数の粒子は、ナノワイヤー状を有することができ、ナノワイヤーは網構造を有しながら、互いに連結された形状であることができる。そして、このようなナノワイヤーの凝集体に誘電体層212と電極層213が順にコーティングされることで、多孔性キャパシタ部203が実現されることができる。この場合、多孔体211をなすナノワイヤーは、Ag、Ni、Cu、Pt、Sn、Auなどの物質を含むことができ、第1連結電極101と連結されて電極として機能することができる。
【0041】
また、上述の実施形態では、多孔体が導電性物質からなる例を説明したが、これとは異なる電気的特性を有することもできる。具体的には、
図6の変形例に示す形態のように、多孔体311は、電気絶縁性物質からなり、例えば、アルミナなどのセラミック成分を含むことができる。多孔体311が電気絶縁性を有することにより、多孔性キャパシタ部303は、多孔体311と誘電体層313の間に形成され、第1連結電極101と連結された追加の電極層312をさらに含むことができる。追加の電極層312は、多孔性キャパシタ部303の容量を形成する電極として機能し、これを第1電極層と呼ぶことができ、誘電体層313の表面に形成され、第2連結電極102と連結された電極層314を第2電極層と呼ぶことができる。第1電極層312及び第2電極層314は、同一の物質からなることができ、例えば、TiNなどを原子層蒸着して得られることができる。
【0042】
図7は本発明の他の実施形態によるキャパシタ部品を概略的に示す断面図である。本実施形態の場合、静電容量をさらに増加させるために、複数の多孔性キャパシタ部103を備える形態である。具体的には、第1及び第2連結電極101、102と多孔性キャパシタ部103とを一つの積層セットとするとき、本体105は、このような積層セットを複数個備える。上記積層セットは一方向に積層され、上記複数個の積層セットに備えられた第1及び第2連結電極101、102は、それぞれ第1及び第2外部電極106、107と連結される。
【0043】
以下、
図8~
図13を参照して、本発明の一実施形態によるキャパシタ部品の製造方法を説明する。
図8~
図10の場合、上部は平面図を、下部はこれに対応する断面図を示す。後述する製造方法についての説明から、上述のキャパシタ部品の構造をさらに明確に理解することができる。また、下記の製造方法は、
図7に示す構造を得る方法に関するものであるが、他の変形例の場合も、これに基づいて類似の方法で実現することができる。
【0044】
まず、
図8に示す形態のように、キャリアフィルム401上に、本体105を構成するセラミックグリーンシート、及び第1連結電極101を形成するための導電性ペーストを形成する。キャリアフィルム401はPETフィルムなどを用いることができる。第1連結電極101を形成するための導電性ペーストは、微細なサイズの導電性粒子を含むことができ、焼結によって緻密化が行われて、第1連結電極101が形成されることができる。このため、上記導電性ペーストはナノサイズのNi粒子を含むことができる。Niの他にも、上記導電性ペーストは、Ag、Cu粒子などを含むことができる。セラミックグリーンシートの場合、第1連結電極101とともに焼結されて本体105を形成し、焼結温度が低いガラスセラミック材料、例えば、アルミナを含むことができる。
【0045】
次に、
図9に示す形態のように、第1連結電極101と本体105をカバーするように犠牲層402を形成する。犠牲層402は、後続の段階で除去されて、多孔性キャパシタ部を形成するためのチャネルを形成することができる。かかるチャネルとしての機能を考慮して、犠牲層402は、高温で容易に除去されることができる物質、例えば、ポリマーからなることができ、ポリマービーズを印刷する方法などで形成することができる。また、かかるチャネルを形成するための機能を考慮して、犠牲層402は、複数のロッド(rod)形状を有するように実現されることができる。
【0046】
続いて、
図10に示す形態のように、多孔体111を形成するためのペーストを犠牲層402上に塗布する。例えば、かかるペーストは、Ni粒子を含むことができる。この場合、多孔性構造を実現するために、上記ペーストは、第1連結電極101を形成するためのペーストよりもサイズが大きい粒子を含むことができる。これにより、第1連結電極101の焼結時における多孔体111は、完全緻密化が行われず部分焼結された多孔性構造で形成されることができる。また、上述の変形例のように多孔体111をなす粒子は、電気絶縁性物質からなることもでき、このような例としては、アルミナのようなセラミック物質が挙げられる。電気絶縁性物質で多孔体111を形成する場合、後述する多孔性キャパシタ103の製造過程は、多孔体111の表面に、第1電極層、誘電体層、第2電極層を順に形成するように変形される。
【0047】
一方、多孔体111がさらに多くのポア(pore)と拡大された表面を有するようにするために、多孔体111を形成するためのペーストにポリマービーズを添加することができる。かかるポリマービーズは主にアクリル系成分からなることができ、焼結時にポリマービーズが占有していたスペースは気孔として残るようになり、多孔体111は、さらに多くのポア(pore)と拡大された表面を有することができる。また、このように製造された多孔性キャパシタ部はさらに高い静電容量を有することができる。この場合、焼結時にすべてのポリマービーズが常に除去されるのではなく、焼結後にも、一部のポリマー成分は多孔体111に残存することができる。
【0048】
次に、上述の工程により得られた単位多孔性キャパシタ部を複数個製造して、これを
図11に示す形態のように積層する。本積層過程において、キャリアフィルム401は、本体105から分離されることができる。多孔性キャパシタ部を一つのみ備えるキャパシタ部品を製造する場合には、本積層段階を行わなくてもよい。
【0049】
その後、このようにして得られた積層体を焼結する。この過程で、
図12に示す形態のように犠牲層が除去されて、チャネルCが形成される。上述のように、本焼結過程により、焼結体の本体105、及び第1連結電極101が得られ、完全緻密化が行われない多孔体111は粒子の凝集による多孔性構造を有するようになる。焼結工程後には、犠牲層が除去されて形成されたチャネルCを介して多孔体111の表面に順に誘電体層や電極層などを形成して多孔性キャパシタ部103を形成する。上述のように、上記誘電体層や電極層などは、原子層堆積工程を用いて効果的に形成することができる。また、誘電体層の形成過程で絶縁層104をともに形成することもでき、絶縁層104を別の工程で形成することもできる。一方、図面に示していないが、多孔性キャパシタ部103以外の領域に形成された電極層を研磨などの方法を用いて除去する工程をさらに行うこともできる。
【0050】
次に、
図13に示す形態のように、チャネルCの領域に多孔性キャパシタ部103と連結されるように、第2連結電極102を形成する。第2連結電極102は、Niなどの物質を電解メッキする方法や、導電性ポリマーを充填する方法などで形成することができる。続いて、本体105の表面に外部電極106、107を形成することで、
図7に示すキャパシタ部品を得ることができる。
【0051】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で多様な修正及び変形が可能であるということは、当技術分野の通常の知識を有するものには明らかである。
【符号の説明】
【0052】
100 キャパシタ部品
101 第1連結電極
102 第2連結電極
103 多孔性キャパシタ部
104 絶縁層
105 本体
106 第1外部電極
107 第2外部電極
111、211、311 多孔体
112、212、313 誘電体層
113、213、314 電極層
312 追加の電極層
401 キャリアフィルム
402 犠牲層