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特許7043719AI技術を用いたマニュアル自動生成システム、マニュアル自動生成プログラム及びマニュアル自動生成方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-22
(45)【発行日】2022-03-30
(54)【発明の名称】AI技術を用いたマニュアル自動生成システム、マニュアル自動生成プログラム及びマニュアル自動生成方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/02 20120101AFI20220323BHJP
   H04M 3/42 20060101ALI20220323BHJP
   H04M 3/51 20060101ALI20220323BHJP
【FI】
G06Q30/02 470
H04M3/42 Z
H04M3/51
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019218160
(22)【出願日】2019-12-02
(65)【公開番号】P2020095714
(43)【公開日】2020-06-18
【審査請求日】2020-04-29
【審判番号】
【審判請求日】2020-12-26
(31)【優先権主張番号】P 2018225546
(32)【優先日】2018-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】514161372
【氏名又は名称】アップセルテクノロジィーズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100154634
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 みさ子
(72)【発明者】
【氏名】高橋 良太
【合議体】
【審判長】渡邊 聡
【審判官】高瀬 勤
【審判官】松田 直也
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録特許第10-0786187(KR,B1)
【文献】特開2009-267469(JP,A)
【文献】特開2011-197987(JP,A)
【文献】特開2009-246589(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q10/00-99/00
H04M3/42
H04M3/51
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
過去に電話を掛けた過去電話対象及び該過去電話対象に対して過去に提案された過去商品の属性を表す過去属性情報と、前記過去電話対象に対して過去に電話を掛けたときの契約の成立の可否である過去成約情報及び使用されたマニュアル情報が対応付けて登録された過去データベースを記憶する記憶部と、
電話を掛ける予定の予定電話対象及び該予定電話対象に対して提案する予定契約の属性を表す予定属性情報とを入力する入力部と、
前記予定属性情報及び前記過去データベースに基づいて前記予定電話対象に対するマニ
ュアルを選択するマニュアル選択部と、
前記選択されたマニュアルに基づいて、マニュアル画像データを生成するマニュアル生成部と、
前記マニュアル画像データを表示する表示部と、
を備え、
前記過去データベースは、
複数の契約提供会社から提供された過去属性情報及び過去成約情報が登録されており、
前記過去属性情報は、
電話対象を具体的に特定できないが電話対象の特性を表す属性情報と、商品情報のうち商品の特性を表す属性情報である
ことを特徴とするマニュアル自動生成システム。
【請求項2】
前記予定電話対象は、
商品提供会社から提供された顧客リストに基づいており、
前記マニュアル選択部は、前記過去データベースに登録された前記過去属性情報のうち、前記予定属性情報に類似する前記過去成約情報に基づいて前記予定電話対象に対するマニュアルを選択する
ことを特徴とする請求項1に記載のマニュアル自動生成システム。
【請求項3】
前記マニュアル選択部は、
前記過去データベースに登録された前記過去属性情報のうち、前記予定属性情報に類似する前記過去成約情報を用いて前記予定電話対象に対して予測される成約率である予定成約率を算出し、該予定成約率に基づいて前記予定電話対象に対するマニュアルを選択する
ことを特徴とする請求項1~請求項2のいずれかに記載のマニュアル自動生成システム。
【請求項4】
前記マニュアル選択部は、
前記マニュアルを識別するマニュアル識別子と前記予定属性情報とが対応付けて登録されているマニュアル対応表によって電話対象に対するマニュアルを選択し、
前記マニュアル対応表は、
前記過去データベースに基づいて生成されている
ことを特徴とする請求項1~請求項3のいずれかに記載のマニュアル自動生成システム。
【請求項5】
前記予定電話対象に対して電話を掛けたときの予定契約属性及び前記契約の成立の可否を前記過去データベースに記憶する登録部を有する
ことを特徴とする請求項1~請求項4のいずれかに記載のマニュアル自動生成システム。
【請求項6】
前記マニュアル選択部は、
準備された3以上のマニュアルのうち、2のマニュアルをランダムに選択して、前記選択されたマニュアルとして表示し、所定の表示数だけ表示された後、
前記2のマニュアルのうち、成約率の高い方のマニュアルと、残りのマニュアルから選択された一のマニュアルを該2のマニュアルとする
ことを特徴とする請求項1に記載のマニュアル自動生成システム。
【請求項7】
電話対象の音声のトーンを解析する音声解析部を有し、
前記マニュアル選択部は、
前記音声の解析結果が否定的であった場合には、
音声解析が否定用のマニュアルを選択して使用する
ことを特徴とする請求項1に記載のマニュアル自動生成システム。
【請求項8】
オペレータの操作入力に応じて前記予定電話対象の通信端末に対してダイヤルする自動ダイヤル部と、
前記予定電話対象の通信端末とを有する
ことを特徴とする請求項1に記載のマニュアル自動生成システム。
【請求項9】
コンピュータに対し、
電話を掛ける予定の予定電話対象及び該予定電話対象に対して提案する予定契約の属性を表す予定属性情報とを入力する入力ステップと、
過去に電話を掛けた過去電話対象及び該過去電話対象に対して過去に提案された過去商品の属性を表す過去属性情報と、前記過去電話対象に対して過去に電話を掛けたときの契約の成立の可否である過去成約情報及び使用されたマニュアル情報が対応付けて登録された過去データベース及び前記予定属性情報に基づいて前記予定電話対象に対するマニュアルを選択するマニュアル選択ステップと、
前記選択されたマニュアルに基づいて、マニュアル画像データを生成するマニュアル生成ステップと、
前記マニュアル画像データを表示する表示ステップと、
を実行させ、
前記過去データベースは、
複数の契約提供会社から提供された過去属性情報及び過去成約情報が登録されており、
前記過去属性情報は、
電話対象を具体的に特定できないが電話対象の特性を表す属性情報と、商品情報のうち商品の特性を表す属性情報である
ことを特徴とするマニュアル自動生成プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばコールセンターにおいて使用されるAI技術を用いたマニュアル自動生成システム、マニュアル自動生成プログラム及びマニュアル自動生成方法に適用して好適なものである
【背景技術】
【0002】
従来、電話による営業業務、いわゆるテレフォンアポイントメントを業務にするコールセンター会社が知られている。このコールセンター会社では、クライアントである商品提供会社から提供された顧客リスト及び商品情報に基づいて、電話を掛ける電話対象に対して電話を掛けるようになされている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-101812号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、予定電話対象に対して電話をかける際には、電話対象に合わせたマニュアルを選択して使用するが、マニュアルが紙ベースのため、電話対象に応じてマニュアルが挟まれたファイルを取り出したり、電話対象に合わせてファイルの頁をめくったりなどしてオペレータ自身が逐次マニュアルを選択しなければならず、オペレータにとって作業負担が重いという問題があった。
【0005】
本発明はこのような問題を解決するためになされたもので、その目的は、オペレータの作業負担を軽減可能なAI技術を用いたマニュアル自動生成システム、マニュアル自動生成プログラム及びマニュアル自動生成方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる課題を解決するため、本発明のAI技術を用いたマニュアル自動生成システムは、
過去に電話を掛けた過去電話対象及び該過去電話対象に対して過去に提案された過去商品の属性を表す過去属性情報と、前記過去電話対象に対して過去に電話を掛けたときの前記契約の成立の可否である過去成約情報及び使用されたマニュアル情報が対応付けて登録された過去データベースを記憶する記憶部と、
電話を掛ける予定の予定電話対象及び該予定電話対象に対して提案する予定契約の属性を表す予定属性情報とを入力する入力部と、
前記予定属性情報及び前記過去データベースに基づいて前記予定電話対象に対するマニュアルを選択するマニュアル選択部と、
前記選択されたマニュアルを表示する表示部とを備えることを特徴とする。
【0007】
また、本発明のマニュアル自動生成プログラムは、
コンピュータに対し、
電話を掛ける予定の予定電話対象及び該予定電話対象に対して提案する予定契約の属性を表す予定属性情報とを入力する入力ステップと、
過去に電話を掛けた過去電話対象及び該過去電話対象に対して過去に提案された過去商品の属性を表す過去属性情報と、前記過去電話対象に対して過去に電話を掛けたときの前記契約の成立の可否である過去成約情報及び使用されたマニュアル情報が対応付けて登録された過去データベース及び前記予定属性情報に基づいて前記予定電話対象に対するマニュアルを選択するマニュアル選択ステップと、
前記選択されたマニュアルを表示する表示ステップとを実行させることを特徴とする。
【0008】
さらに、本発明のマニュアル自動生成プログラムは、電話を掛ける予定の予定電話対象及び該予定電話対象に対して提案する予定契約の属性を表す予定属性情報とを入力する入力ステップと、
過去に電話を掛けた過去電話対象及び該過去電話対象に対して過去に提案された過去商品の属性を表す過去属性情報と、前記過去電話対象に対して過去に電話を掛けたときの前記契約の成立の可否である過去成約情報及び使用されたマニュアル情報が対応付けて登録された過去データベース及び前記予定属性情報に基づいて前記予定電話対象に対するマニュアルを選択するマニュアル選択ステップと、
前記選択されたマニュアルを表示する表示ステップとを有することを特徴とする。
【0009】
また、本発明のAI技術を用いたマニュアル自動生成システムは、電話を掛ける電話対象及び該電話対象に対して提案される商品の属性を表す属性情報の組み合わせと、マニュアルを識別するマニュアル識別子とが対応付けられて登録されたマニュアル対応表を記憶する記憶部と、
電話を掛ける予定の予定電話対象及び該予定電話対象に対して提案する予定契約の属性を表す予定属性情報とを入力する入力部と、
前記予定属性情報及び前記過去データベースに基づいて前記予定電話対象に対するマニュアルを選択するマニュアル選択部と、
前記選択されたマニュアルを表示する表示部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、保有情報の活用が可能なAI技術を用いたマニュアル自動生成システム、マニュアル自動生成プログラム及びマニュアル自動生成方法を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】コールセンターシステムの構成(1)を示す略線図である。
図2】コールセンターシステムの構成(2)を示す略線図である。
図3】システムサーバの構成を示すブロック図である。
図4】入力画面の構成を示す略線図である。
図5】グラフ表示画面の構成を示す略線図である。
図6】検索対象項目の指定の説明に供する略線図である。
図7】成約率予測処理を示すフローチャートである。
図8】電話営業システムの構成を示す略線図である。
図9】オペレータ端末の構成を示すブロック図である。
図10】マニュアル画面の構成(1)を示す略線図である。
図11】マニュアル画面の構成(2)を示す略線図である。
図12】マニュアル画面の構成(3)を示す略線図である。
図13】マニュアル自動生成処理を示すフローチャートである。
図14】属性対応マニュアルの選択(1)の説明に供する略線図である。
図15】属性対応マニュアルの選択(2)の説明に供する略線図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。
【0013】
<全体構成>
図1に示すコールセンターシステム101のように、コールセンター会社103は、商品提供会社102からの委託により指定された電話対象に対して電話を掛ける。このとき、コールセンター会社103は、商品提供会社102から電話を掛ける予定の予定電話対象のリストである顧客リスト及び商品についての情報が記載された商品情報の提供を受ける。顧客リストには、電話対象の氏名や電話番号の他に電話対象の性別や年齢など顧客に関する特性である属性情報が含まれる。また、商品情報にも、商品に関する特性である属性情報が含まれる。
【0014】
コールセンター会社103は、顧客リスト及び商品情報に基づいて電話対象105に電話をし、商品の提案を行う。図2に示すように、コールセンター会社103は、電話掛けの結果、契約の可否を表す成約情報を商品提供会社102に供給する。この成約情報に基づいて、商品提供会社102は提案した商品を電話対象105に提供する。なおこの商品は、形のある製品であってもサービスであっても良い。
【0015】
コールセンター会社103は、顧客リストのうち電話対象を具体的に特定できないが電話対象の特性を表す属性情報と、商品情報のうち商品の特性を表す属性情報とを抽出し、商品の売買契約の可否を表す過去成約情報と共に過去属性情報として過去データベースとして登録する。
【0016】
コールセンター会社103は、商品提供会社102から新たな委託依頼や委託依頼の相談があるときなど、過去データベースに基づいて成約予測処理を行う。
【0017】
図3に示すように、コールセンター会社103が保有するシステムサーバ4は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)から構成される制御部41がシステムサーバ4の全体を統括的に制御し、予めROMに記憶された成約予測プログラム及びマニュアル自動生成プログラムに従って成約予測処理及びマニュアル自動生成処理を実行するようになされている。記憶部45には、過去データベースが記憶されている。
【0018】
過去データベースには、過去に電話を掛けた過去電話対象及び該過去電話対象に対して過去に提案された過去商品の属性を表す過去属性情報と、前記過去電話対象に対して過去に電話をかけたときの応対日時情報及び前記過去商品の売買成立の可否である過去成約情報とが対応付けて登録されている。すなわち、一個人に関する過去属性情報及び過去成約情報とか1つの個人対応情報として登録されている。
【0019】
過去属性情報としては、過去電話対象に関する情報として、電話対象に関する属性情報としては、顧客の種別を表す顧客種別(個人、法人、個人事業主の屋号など)、性別(男、女など)、年代、電話種別(携帯電話、固定電話)、初回購入経路(ダイレクトメール、ウェブ広告、友達紹介など)、休眠期間(最終購買日からの経過日数など)、購入回数などが挙げられる。
【0020】
過去属性情報としては、過去商品に関する情報として、販売方法の種別を表す販売方法種別(定期購入商品、都度購入商品など)、提案方法を表す提案方法種別(休眠掘り起こし、定期引き上げ、無料サンプル請求など)、商品の大雑把な分類である商品大分類(健康食品、化粧品、生活用品など)、商品の詳細な分類である商品小分類(青汁、野菜ジュース、サプリメント、基礎化粧品、メイクアップ化粧品、毛染め剤など)、商品価格帯などが挙げられる。
【0021】
コールセンター会社103は、多数の商品提供会社から顧客リスト及び商品情報の提供を受け、電話対象に対して実際に電話を掛ける。このため、コールセンター会社103は、多様な商品に関する大量の属性情報及び成約情報(過去データベース)を保有することになる。この大量の保有情報(いわゆるビッグデータ)についての活用が要望されていた。本発明は、AI(人工知能)を用いてビッグデータを活用する方法である。
【0022】
<成立予測処理>
システムサーバ4の制御部41は、外部インターフェース43を介した管理者の操作入力により、成約予測処理を実行する旨の要求がなされると、電話を掛ける予定の予定電話対象及び該予定電話対象に対して提案する予定商品の属性を表す予定属性情報とを入力させる。
【0023】
例えば、図4に示すように、入力画面50には、入力項目欄51(51A~51E)と、ブランク52(52A~52E)が表示される。ブランク52は、数値入力が可能な自動入力方式と、プルダウンメニューから一つを選択する選択入力方式があり、入力項目に応じて設定されている。この入力項目欄51には、入力すべき属性情報の項目が表示される。この入力画面50における入力項目欄51及びブランク52の数に制限は無く、任意の数だけ表示される。1頁に全て収められてもよく、2頁以上に跨がってもよい。また、スクロールにより1頁内により多くの入力項目欄51及びブランク52を表示することも可能である。
【0024】
制御部41は、管理者の操作入力に応じて入力操作が終了したと認識すると、類似抽出条件に従って入力項目として入力された入力値と類似する値を有する過去属性情報を検索し、該過去属性情報に対応する個人対応情報を過去データベースから抽出する。なお、本明細書で「類似する」とは、「完全一致」も含むものとする。
【0025】
類似抽出条件としては、特に制限は無く、入力項目の一部の検索対象項目についての入力値又は入力値に基づく類似範囲(25歳なら25-30歳といった年代など予め定められた類似範囲、以下、この入力値及び類似範囲を合わせて入力値範囲と呼ぶ)の一部又は全部が過去データベースにおける過去属性情報と一致するものが検索される。このとき、入力値範囲と一致した過去属性情報(以下、これをマッチ属性情報と呼ぶ)の合計数に応じて抽出個人対応情報が抽出される。
【0026】
例えば予め定められた抽出予定数になるまで、マッチ属性情報の多い順から抽出個人対応情報が抽出されても良い。また予め定められたマッチ属性情報の合計数(以下、これを充足マッチ数と呼ぶ)だけ入力値範囲と一致した抽出個人対応情報が抽出されても良い。また、充足マッチ数だけ入力値範囲と一致したものが所定の充足抽出数に満たない場合のみ充足マッチ数を低下させることにより、抽出個人対応情報の数を担保するようにしても良い。
【0027】
また、類似抽出条件として、検出対象項目に対して予め重み付けがなされていてもよい。例えば、検出対象項目に対して予め重み付け係数が設定されており、マッチ属性情報に対応する重み付け係数の合計数が多いものから抽出個人対応情報を選択することができる。なお重み付け係数は、検索対象項目に対応付けた状態で係数ファイルとして記憶部45に記憶されており、制御部41は係数ファイルから読み出して重み付け係数の乗算を行う。
【0028】
また、多段的(2段又はそれ以上)に類似抽出条件を設定することもできる。例えば検索対象項目のうち、一部を一次検索対象項目とし、残りを二次検索対象項目に設定する。一次検索対象項目のマッチ属性情報が入力値範囲と全て一致した個人対応情報を母集団とし、該母集団のうち入力値範囲と一致した部分検索対象項目のマッチ属性情報の合計数などに応じて抽出個人対応情報が抽出される。もちろん、一次検索対象項目及び二次検索対象項目に対して上述した重み付け係数を用いたり、充足マッチ数に応じて母集団を抽出することも可能である。
【0029】
一次検索対象項目としては、成約率を大きく左右することの多い項目(顧客種別、販売方法種別、提案方法種別、商品大分類、商品小分類、商品価格帯など、例えば販売形式に依存する要素項目)が設定される。また、二次検索対象項目としては、成約率に与える影響が比較的少ない項目(休眠期間、購入回数、性別、年代、電話種別、初回購入経路など、例えば各電話対象に依存する要素項目)が設定される。
【0030】
また、入力項目に入力された入力値に応じて検索対象項目を変更したり、重み付け係数を変更したりできる。例えば、提案方法種別として「休眠掘り起こし」が選択された場合には、検索対象項目である休眠期間の重み付け係数を大きくする。これにより、休眠期間の近い個人対応情報を多く抽出でき、予定成約率の精度を向上させることができる。
【0031】
さらに制御部41は、過去成約情報における応対日時情報を予定成約率に考慮することも可能である。消費傾向は年齢層だけでなく、世代の要素も含まれる。例えばバブル世代であれば同じ年齢層であっても成約率が高い傾向がある。従って、応対日時情報の新しいデータの方が、古いデータと比較して現在のその年齢層の行動パターンをより反映している。そこで制御部41は、応対日時情報に応じた日時重み付け係数を掛けたり、応対日時情報が新しい日付けを有する対応個人情報を優先的に使用することにより、予定成約率の予測精度を向上させることができる。
【0032】
制御部41は、抽出個人対応情報における過去成約情報に基づき予定成約率を予測する。具体的に、制御部41は、抽出個人対応情報における過去成約情報を集計し、抽出個人対応情報における成約率を算出し、これを予定成約率とする。予定成約率に対し、予定電話対象の数を乗算することにより予測成約数を、該予測成約数に販売価格を乗算することにより予測売上を算出する。
【0033】
制御部41は、算出された予定成約率に基づいて、予定成約率をグラフ表示するグラフ表示画像データを生成し、表示部44に供給する。この結果、表示部44に、グラフ表示画面60が表示される。グラフ表示画面60には、成約率を表すグラフ61と、予測売上高の金額を示す売上高表示欄62と、検索対象項目の一部が表示される検索項目表示欄63とが表示されている。このように、グラフ表示を行うことにより、ユーザに予想成約率を一目で理解させることができる。
【0034】
このように、成約率予測プログラムでは、これから電話営業を行う予定電話対象に対する予測を行うことができる。ここで、本実施の形態におけるコールセンター会社103には、種々の商品や価格帯に関するビッグデータ(大量の過去属性情報及び過去成約情報)を所有している。商品提供会社102は、これまでと相違する価格帯、種類の商品、顧客の年齢、これまでとは相違する提案方法種別を行う場合などであっても、コールセンター会社103が保有する他社由来のデータ(過去属性情報及び過去成約情報)を使って予定成約率を算出することができる。また、コールセンター会社103は、ビッグデータを保有しているため、データの偏りが少なく、精度の高い予定成約率を算出することができる。
【0035】
さらに、成約率予測プログラムでは、予定電話対象のリストである顧客リストを使って予定成約率を算出することが可能である。
【0036】
例えば、顧客リストをデータ(例えばCSVファイル、EXCELファイルなどの表計算ファイル)として入手し、外部インターフェース43を介してシステムサーバ4の記憶部45に記憶する。例えば初めて電話営業を委託する場合など、顧客リストの項目が検索対象項目と一致していないことがある。そこで制御部41は、管理者の操作入力による要求に応じて顧客リストに対して電話対象リスト生成処理を実行し、自己(成約率予測プログラム)の仕様に合わせた電話対象リストを作成する。
【0037】
具体的に、制御部41は、入力されるべき過去属性情報のうち、販売予定の商品に関する情報について、図4を用いて上述したように、操作入力によって入力させる。さらに制御部41は、電話を掛ける予定の電話対象に関する情報について、検索対象項目に対応する項目を指定させる。例えば図6に示すように、検索対象項目65及び顧客リストを同時に表示して顧客リストのどの列が検索対象項目65に対応するのかを指定させたり(図ではプルダウン一覧66からの選択)、対応する検索対象項目が存在しない場合には、検索対象項目として使用する値として任意の値を入力させることができる。
【0038】
これにより、成約予測プログラムでは、実際に電話する予定の電話対象に関する予定属性情報を用いて成約率を予測できるため、予測の精度を向上させることができる。
【0039】
なお、検索対象項目の手入力による成約率予測と、顧客リストを用いた成約率予測とを組み合わせることもできる。例えば、WEBサイトには手入力の簡易版を公開し、そのときに問い合わせフォームにユーザの連絡先を入力させる。コールセンター会社103は、連絡先に問い合わせることにより新規顧客獲得の足がかりを掴むことができる。また、顧客リストを用いた詳細版は顧客に対してのみ使用することにより、電話営業の委託に対して付加価値をつけることができる。
【0040】
次に、システムサーバ4の制御部41が成約予測プログラムに従って実行する成約予測処理RT1について、図7のフローチャートを用いて説明する。
【0041】
システムサーバ4の制御部41は、管理者又はユーザの操作入力により、成約予測処理を実行する旨の要求がなされたことを認識すると、成約予測処理を開始し、ステップS11に移る。
【0042】
ステップS11において、制御部41は、予定属性情報(入力対象項目)の入力を待ち受け、予定属性情報が入力されると、次のステップS12へ移る。
【0043】
ステップS12において、制御部41は、過去データベースを検索し、入力された予定属性情報と類似する過去属性情報を有する個人対応情報を抽出個人対応情報として抽出し、次のステップS13へ移る。
【0044】
ステップS13において、制御部41は、抽出個人対応情報を集計し、予定電話対象に対する成約率を予測し、終了ステップへ移って処理を終了する。
【0045】
<マニュアル自動生成処理>
次に、予定電話対象に対して電話を掛けたときに行われるマニュアル自動生成処理について説明する。
【0046】
従来、予定電話対象に対して電話をかける際には、電話対象に合わせたマニュアルを選択して使用するが、マニュアルが紙ベースのため、電話対象に応じてマニュアルが挟まれたファイルを取り出したり、電話対象に合わせてファイルの頁をめくったりなどしてオペレータ自身が逐次マニュアルを選択しなければならず、オペレータにとって取り扱いが煩雑であるという問題があった。
【0047】
本発明では、図8に示す電話営業システム110に示すように、システムサーバ4に複数のマニュアル、電話対象リスト及び過去データベースが記憶されている。システムサーバ4は、電話を掛けるオペレータに割り当てられたオペレータ端末120に対し、過去データベースと電話対象リストに基づいて電話対象を割当てる。このときシステムサーバ4は、割り当てられた電話対象に対して使用するべきマニュアルをオペレータ端末120に表示させるようになされている。
【0048】
図9に示すように、コールセンター会社103が保有するオペレータ端末120は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)から構成される制御部121がオペレータ端末120の全体を統括的に制御し、予めROMに記憶されたマニュアル自動生成プログラムに従ってマニュアル自動生成処理を実行するようになされている。
【0049】
オペレータ端末120は、無線又は有線による電気通信回路を通じてシステムサーバ4と相互通信可能に接続されている。システムサーバ4とオペレータ端末120は、連携してマニュアル自動生成処理を実行する。各オペレータ端末120には、マイク及びスピーカを有するヘッドセット127が相互通信可能に接続されており、オペレータ端末120を介して電話対象に電話が掛けられるようになされている。
【0050】
ここではシステムサーバ4の記憶部45には、上述した電話対象リスト生成処理により、顧客リストに基づく電話対象リストが予め記憶されている場合について説明する。なお、電話リスト生成処理の実行されるタイミングに制限はなく、例えばマニュアル自動生成処理の前段に実行されてもよい。
【0051】
オペレータ端末120の制御部121は、例えば開始画面(図示しない)において、外部インターフェース123を介したオペレータの操作入力により開始ボタン(図示しない)が選択操作されると、マニュアル自動生成処理を開始する。制御部121は、システムサーバ4に対して、電話対象の割当要求信号を送信する。
【0052】
システムサーバ4の制御部41は、オペレータ端末120から供給される割当要求信号に応じて、該オペレータ端末120に対して割り当てる電話対象(以下、これを割当電話対象と呼ぶ)を選択する。ここでシステムサーバ4の記憶部45には、複数の商品提供会社102から提供された顧客リストに基づく複数の電話対象リストが記憶されている。
【0053】
制御部41は、オペレータ端末120ごとに一又は複数の電話対象リストを割当て、割り当てられた電話対象リストの中から割当電話対象を選択する。制御部41は、割当電話対象に対応付けられている予定属性情報及び商品情報とから、オペレータに伝えるべき項目を表示項目情報(例えば、割当電話対象の氏名、性別、年齢、電話種別など)として抽出する。
【0054】
さらに、制御部41は、予定属性情報及び商品情報とから、マニュアルを選択するときに参照されるマニュアル対象項目を抽出する。ここで、システムサーバ4の記憶部45には、マニュアル対象項目とマニュアルを識別するマニュアルID(Identification)とが対応付けられたマニュアル対応表が登録されている。マニュアル対応表は、過去データベースに基づいて生成されている(詳しくは後述する)。
【0055】
制御部41は、マニュアル対象項目の組み合わせから一のマニュアルIDを選択することにより、過去データベースに基づいてマニュアルを選択する。そして制御部41は、割当電話対象の電話番号及び割当電話対象を識別する割当電話対象IDと共に、表示項目情報とマニュアルIDとをオペレータ端末120に供給する。
【0056】
オペレータ端末120のの記憶部125には、予めマニュアルの雛形が記憶されている。制御部121は、システムサーバ4から供給されたマニュアル及び表示項目情報に基づいてマニュアル画像データを生成し、マニュアル画面130を表示部124に表示させる。
【0057】
図10図12に示すように、マニュアル画面130では、表示項目情報が表示される表示項目情報欄131と、開始ボタン132と、マニュアル文133~134、137~138が表示されている。表示部124に表示しきれない分は、オペレータのスクロール操作に応じて表示される矢印135は、表示されている画面より下側に続きのマニュアル文が存在することを示している。従って、オペレータは、割当電話対象に関する属性情報の一部と、マニュアル文とを予め視認することができる。
【0058】
マニュアル文133では、割当電話対象が電話口に出たときの会話文が表示され、マニュアル文134、137では、割当電話対象の返答に応じた複数の回答文が表示されている。マニュアル文138では、割当電話対象が購入意思を示した場合の購入手続の確認文が表示されている。
【0059】
マニュアル文133~134、137~138において、名前や住所など割当電話対象に関する個人情報、商品提供会社102の名前や商品名などの商品情報などの表示項目情報が入る部分には、表示項目情報が自動的に嵌め込まれて表示される。これにより、オペレータが割当電話対象の氏名や住所などの個人情報を顧客リストと逐次照合しながら確認する作業を省略でき、オペレータの負担軽減を軽減できる。
【0060】
制御部121は、オペレータによって開始ボタン132が操作されると、割当電話対象の電話番号に電話をかける。オペレータは、オペレータ端末120の表示部124に表示されたマニュアル画面130を見ながら応答を行う。
【0061】
図12に示すように、マニュアル画面130では、成約ボタン139A及び非成約ボタン139Bが表示されている。オペレータは、割当電話対象の最終判断に応じて、成約の可否を確認すると、該成約の可否に応じて成約ボタン139A又は非成約ボタン139Bのいずれか一方を操作する。
【0062】
オペレータ端末120の制御部121は、成約ボタン139A又は非成約ボタン139Bが操作されたことを認識すると、成約情報を生成し、使用したマニュアルのマニュアルIDと割当電話対象IDとを対応付けてをシステムサーバ4に供給する。
【0063】
システムサーバ4の制御部41は、オペレータ端末120から成約情報とマニュアルIDと割当電話対象IDが供給されると、割当電話対象IDから電話対象リストにおける割当電話対象の属性情報を過去属性情報として抽出し、成約情報とマニュアルIDと共に過去データベースに登録する。この結果、過去データベースには、実際に電話が掛けられた過去電話対象に対応する属性情報、成約情報及び使用されたマニュアルIDが登録される。
【0064】
これにより、システムサーバ4では、過去データベースに継続的に新しいデータ(個人対応情報)を追加することができ、時代に沿った過去データベースの構築が可能となる。
【0065】
このため、例えばシステムサーバ4は、最新の過去データベースの状況に応じて、成約率予測処理やマニュアル自動生成処理における各種条件を変更することも可能である。例えば、最新の過去データベースにおける過去成約情報に基づき、過去成約情報における重み付け係数を算出し直して係数ファイルを更新することができる。
【0066】
このように、割当電話対象に対して使用するマニュアルを自動的に選んで表示することにより、電話対象の属性や商品に応じてマニュアルを選択させる作業をオペレータにさせずに済むため、オペレータの作業負担を軽減でき、オペレータの電話掛け作業を効率化することができる。
【0067】
次に、過去データベースに基づいて生成されるマニュアル対応表の生成処理について説明する。このマニュアル対応表の生成処理の実行されるタイミングに制限は無く、例えば管理者の指定による任意のタイミングで実行されたり、タイマー設定などにより定期的に実行されたりする。
【0068】
システムサーバ4の制御部41は、マニュアル対応表の生成処理を開始すると、過去データベースからマニュアル対象項目と成約情報とマニュアルIDを抽出する。制御部41は、マニュアル対象項目の組み合わせ及びマニュアルIDの各組み合わせごとに、成約情報を集計する。
【0069】
そして制御部41は、マニュアル対象項目の組み合わせにおいて、最も成約率が高いマニュアルIDを選択し、該マニュアルIDをマニュアル対象項目の組み合わせに対して登録する。すなわちマニュアル対応表には、マニュアル対象項目の全組み合わせとマニュアルIDとが対応付けられて登録される。
【0070】
このマニュアル対応表は、例えば商品提供会社102がマニュアルを指定することにより、商品独自のものが作成される場合もある。このため、過去データベースには、商品を識別するための商品識別IDも併せて登録されている。この場合、制御部41は、該当する商品識別IDに対応する個人対応情報を対象にしてマニュアル対応表の生成処理を実行すれば良い。
【0071】
例えば、新たな商品提供会社102がマニュアルを指定して電話営業を委託する場合、サンプリング手法を使用する。具体的に、顧客リストの一部(例えば5~20%)に対し、マニュアル対象項目の組み合わせに対してマニュアルを変更しながら電話掛けを行う。そして制御部41は、マニュアル生成処理により、マニュアル対応表を生成する。これにより、最初の5~20%によって適切なマニュアル対応表を生成でき、電話対象に合った適切なマニュアルを使用して成約率の向上を図ることができる。この場合、データを過去データベースに登録しても良く、別のデータベースとして登録しても良い。このサンプリング手法を用いたサンプリング処理について、詳しくは後述する。
【0072】
次に、システムサーバ4の制御部41及びオペレータ端末120の制御部121がマニュアル自動生成プログラムに従って実行する成約予測処理RT2について、図13のフローチャートを用いて説明する。なお各ステップの主体について制限は無く、制御部41又は制御部121のいずれか一方が各ステップを実行する。
【0073】
開始ステップにおいては、オペレータの操作入力に応じてマニュアル自動生成処理が開始される。ステップS20においては、顧客リストに基づいて予定電話対象及び商品情報の属性情報が入力される。ステップS21においては、属性情報に基づいてマニュアルが選択される。
【0074】
ステップS22においては、マニュアル画面に対応するマニュアル画像データが生成される。ステップS23においては、マニュアル画像データがマニュアル画面として出力される。
【0075】
ステップS22においては、電話を掛けたときの成否情報と電話対象の属性情報が過去データベースに登録され、過去データベースが更新される。
【0076】
次に、サンプリング処理について説明する。サンプリング処理は、マニュアル生成処理と並行して実行される。なお以下、図10図12に示した「電話口対応」、「本人接続&パーミッション」、「購入決定」の3つの表示対象に対応したマニュアル文133,136,138について説明し、他マニュアル文についての説明を省略する。
【0077】
図14に示すように、「電話口対応」、「本人接続&パーミッション」、「購入決定」の各表示対象では、それぞれ複数(図では各5つ)のマニュアル文133A~133E,136A~136E,138A~138Eが準備されている。このマニュアル文133A~133E,136A~136E,138A~138Eは、年齢帯及び性別ごとに分けられた複数の属性グループに関係なく共通のものとして準備されてもよいが、属性グループごと(例えば年齢が5又は10歳ごと、男女別)に適したマニュアル文が準備されることが好ましい。もちろん、一部(例えばA~C)が共通で残り(D,E)が属性グループに対応したものであってもよい。マニュアル文の数に制限は無く、成約率を見て後から追加することも可能である。
【0078】
マニュアル文A~Eは、それぞれの表示対象に対応した文章で構成されており、例えば文章の丁寧度や親密度、商品に関する説明の程度などを変更している。これらのマニュアルIDとマニュアル文とは、関連付けられた状態でマニュアル対応表に登録されている。
【0079】
図15(A)に示すように、例えば電話口対応のマニュアル画面130(図10参照)において、電話対象に対して2種類のマニュアル文133A,133Bからランダムに選択され、いずれか一方が表示される。すなわち制御部41は、マニュアル画面130を表示する際、記憶部45に記憶されているマニュアル文133A~133Eのうち、ランダム選択対象として選択されているマニュアル文から一のマニュアル文133A,133Bをランダムに選択し、選択された一方のマニュアル文133A又は133Bを表示する。同様にしてマニュアル文136A,136B、マニュアル文138A,138Bのいずれか一方がそれぞれ表示される。
【0080】
このランダム表示は一つの組み合わせにつき一定の表示数だけ実行され、属性グループごとに成約率が集計される。次に、図15(B)に示すように、集計の結果、成約率が高い方のマニュアル文133Aと未表示のマニュアル文133Cとからランダムに選択され、いずれか一方が表示される。表示数は、属性グループごとに設定されてもよく、全体数として設定されてもよい。
【0081】
続いて、図15(C)に示すように、集計の結果、成約率が高い方のマニュアル文133Aと未表示のマニュアル文133Dとからランダムに選択され、いずれか一方が表示される。この成約率の集計は、表示対象及び属性グループごとに行われる。この結果、予め準備された5種類のマニュアル文のうち、各属性グループに対応する各一のマニュアル文133,136,138が属性対応マニュアル文として選択される。この結果、所属グループに対応する最適なマニュアル文をマニュアル画面130に表示することが可能となる。
【0082】
一定数のサンプリング数だけサンプリング処理を行った後は、各属性グループに対応する属性対応マニュアル文が毎回選択されてもよく、引き続きサブサンプリング処理が実行されても良い。
【0083】
このように、2つのマニュアル文をランダムに使用しつつ、成約率の高い方の選択を繰り返すことにより、一定期間に表示されるマニュアル文が1表示対象あたり2種類に限られる。このため、3種類以上のマニュアル文から選択される場合と比較して、表示されるマニュアル文の予測がつきやすく、オペレーターの負荷を軽減することが可能である。
【0084】
サブサンプリング処理は、属性対応マニュアル文に基づき、語尾の表現や言い回し、若しくは発音の仕方(強く、弱く、疑問的になど)を少しだけ変化させた、いわゆる属性対応マニュアル文のマイナーチェンジ版である。サンプリング処理の後にサブサンプリング処理を行うことにより、成約率をさらに向上させることができる。なお、予め類似商品についてのサンプリング処理の結果が有る場合には、このサブサンプリング処理だけを行うことも可能である。
【0085】
<第2の実施の形態>
次に、第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態では、電話対象の返答に応じて次に表示される表示対象に対応するマニュアル文が選択される点が第1の実施の形態と相違している。第2の実施の形態では、第1の実施の形態と同一箇所に同一符号を附し、説明を省略する。
【0086】
システムサーバ4の制御部41は、例えば商品紹介の手前又は商品紹介中となる表示対象において、電話対象の返答が「好意的」「普通」「否定的」のいずれであるかを判別する。具体的には、電話対象の音声を解析して、返答内容を文字化し、キーワード及び音声のトーンの解析による音声評価点を算出する。
【0087】
例えば、制御部41は、好意的なキーワードである「いつも」「お世話に」「いい」などが検出されると、該キーワードについての声のトーンを分析する。制御部41は、声のトーンが好意的であると判別すると「+2」点、声のトーンが平均的であると判別すると「+1」点、声のトーンが否定的であると「0」点だけ音声評価点を加点する。
【0088】
また、制御部41は、否定的なキーワードである「ああ」「それね」などが検出されると、該キーワードについてのの声のトーンを分析する。制御部41は、声のトーンが好意的であると判別すると「0」点、声のトーンが平均的であると判別すると「-1」点、声のトーンが否定的であると「-2」点だけ音声評価点を加点する。
【0089】
さらに、制御部41は、最初に本人確認が完了したときなどの商品紹介前の音声と、商品紹介中又は商品紹介後の電話対象の音声とを比較し、音声のトーンの変化を解析する。このとき、敢えて電話対象に音声を発させるために、例えば「どのようにお考えでしょうか?」など、相づちや感想を求める文章をマニュアル文に挿入してもよい。そして制御部41は、商品紹介前後における音声の変化が好意的な場合には「+5」点、変化がない場合には「0」点、変化が否定的な場合には「-5」点だけ音声評価点を加点する。
【0090】
そして制御部41は、商品紹介直後において、電話対象の返答に対する音声評価点を集計する。ここで、制御部41は、音声評価点が否定閾値である「-2」点以上であれば、通常の処理、すなわち以降のマニュアル画面130には属性対応マニュアル文が表示される。
【0091】
これに対して、制御部41は、音声評価点が否定閾値である「-2」点未満の場合、否定評価用のマニュアル文を使用する。
【0092】
具体的に、システムサーバ4は、過去電話対象の属性情報及び属性グループ、並びに表示されたマニュアル文のマニュアルID及び音声評価点を関連付けて記憶部45に記憶している。すなわち、電話かけたことにより電話対象リストに基づいて再作成される過去データベースには、電話対象リストに加えて表示されたマニュアル文のマニュアルID及び音声評価点、成否情報、属性グループの識別子である属性グループIDが記録されている。
【0093】
制御部41は、音声評価点が否定閾値である「-2」点未満である過去電話対象であって、成否情報が「肯定」すなわち成約した過去電話対象が発生すると、該過去電話対象にフラグを立てる。また制御部41は、新しく発生した過去電話対象が属する属性グループの集計を行い、最も多いマニュアルIDの組み合わせを一つ選択し、該組み合わせを否定評価用の属性対応マニュアルに設定する。
【0094】
制御部41は、音声評価点が否定閾値である「-2」点未満であると判別した場合、電話対象の属性グループに対応する否定評価用の属性対応マニュアルとして設定されているマニュアル文をマニュアル画面130に表示する。
【0095】
このように、音声評価点が否定的である電話対象に対し、通常とは別の否定評価用のマニュアル文を使用することにより、成約率を一段と向上させることができる。
【0096】
<動作及び効果>
以下、上記した実施形態から抽出される発明群の特徴について、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお以下においては、理解の容易のため、上記各実施形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。また、各特徴に記載した用語の意味や例示等は、同一の文言にて記載した他の特徴に記載した用語の意味や例示として適用しても良い。
【0097】
本発明のAI技術を用いたマニュアル自動生成システム(電話営業システム110)では、過去に電話を掛けた過去電話対象及び該過去電話対象に対して過去に提案された過去商品の属性を表す過去属性情報と、前記過去電話対象に対して過去に電話を掛けたときの前記契約の成立の可否である過去成約情報及び使用されたマニュアル情報(マニュアルIDとを)が対応付けて登録された過去データベースを記憶する記憶部(記憶部45)と、
電話を掛ける予定の予定電話対象及び該予定電話対象に対して提案する予定契約の属性を表す予定属性情報とを入力する入力部と、
前記予定属性情報及び前記過去データベースに基づいて前記予定電話対象に対するマニュアルを選択するマニュアル選択部と、
前記選択されたマニュアルを表示する表示部とを備えることを特徴とする。
【0098】
これにより、電話対象に対応するマニュアルが自動で表示されるため、オペレータがマニュアルを手で探さなくても済み、オペレータの負担を軽減できると共に、マニュアルを手動で変更する必要がないため、例えば複数の電話対象ファイルの電話対象に対して交互に電話をかけることも容易である。また、過去データベースを活用してきめ細かいマニュアルの選択が可能となり、電話営業の成約率を高めることができる。
【0099】
AI技術を用いたマニュアル自動生成システムにおいて、前記過去データベースは、
複数の契約提供会社から提供された前記過去電話対象及び過去商品属性が登録されていることを特徴とする。
【0100】
これにより、膨大な数の個人対応情報が登録された過去データベースを用いることができるため、マニュアル選択に成約情報の結果を反映させることができ、電話営業の成約率を高めることができる。
【0101】
AI技術を用いたマニュアル自動生成システムにおいて、前記選択されたマニュアルに対し、前記予定属性情報の一部を嵌め込んだマニュアル画像を生成する画像生成部を有することを特徴とする。
【0102】
これにより、オペレータがマニュアルを見て話しながら電話対象に関する情報を当てはめたりしなくて良いため、オペレータの作業負荷を軽減することができる。
【0103】
AI技術を用いたマニュアル自動生成システムにおいて、
前記マニュアル選択部は、
前記マニュアルを識別するマニュアル識別子と前記予定属性情報とが対応付けて登録されているマニュアル対応表によって前記電話対象に対するマニュアルを選択し、
前記マニュアル対応表は、
前記過去データベースに基づいて生成されている
ことを特徴とする。
【0104】
これにより、マニュアル対応表から予定属性情報を検索するだけの簡易な処理で使用するマニュアルを選択することができる。
【0105】
AI技術を用いたマニュアル自動生成システムにおいて、
前記予定電話対象に対して電話を掛けたときの前記予定契約属性及び前記契約の成立の可否を前記過去データベースに記憶する登録部ことを特徴とする。
【0106】
これにより、過去データベースを常に最新の情報に更新することができるため、マニュアルの選択と成約情報とを適切にリンクさせ、電話対象に対して適切なマニュアルを選択することができる。
【0107】
AI技術を用いたマニュアル自動生成システムにおいて、
電話を掛ける電話対象及び該電話対象に対して提案される商品の属性を表す属性情報の組み合わせと、マニュアルを識別するマニュアル識別子とが対応付けられて登録されたマニュアル対応表を記憶する記憶部と、
電話を掛ける予定の予定電話対象及び該予定電話対象に対して提案する予定契約の属性を表す予定属性情報とを入力する入力部と、
前記予定属性情報及び前記過去データベースに基づいて前記予定電話対象に対するマニュアルを選択するマニュアル選択部と、
前記選択されたマニュアルを表示する表示部と
を備えることを特徴とするAI技術を用いたマニュアル自動生成システム。
【0108】
これにより、話対象に対応するマニュアルが自動で表示されるため、オペレータがマニュアルを手で探さなくても済みオペレータに作業負荷をかけないため、たくさんのマニュアルを準備して電話対象に適するマニュアルをきめ細かく選択して使用することができ、結果として電話営業の成約率を高めることができる。
【0109】
本発明のAI技術を用いたマニュアル自動生成システムでは、オペレータの操作入力に応じて前記予定電話対象の通信端末に対してダイヤルする自動ダイヤル部と、前記電話対象の通信端末とを有することを特徴とする。
【0110】
これにより、オペレータ自身がダイヤルする必要がないため、オペレータの負荷を軽減できる。
【0111】
前記マニュアル選択部は、
準備された3以上のマニュアルのうち、2のマニュアルからランダムに選択して、前記前記選択されたマニュアルとして表示し、所定の表示数だけ表示された後、
前記2のマニュアルのうち、成約率の高い方のマニュアルと、残りのマニュアルから選択された一のマニュアルを該2のマニュアルとすることを特徴とする。
【0112】
これにより、2つのマニュアルを比較した結果、成約率の高い方のマニュアルを使用することができるため、最終的に成約率の最も高いマニュアルが選択される。
【0113】
前記電話対象の音声を解析する音声解析部(制御部41)を有し、
前記マニュアル選択部は、
前記音声の解析結果が否定的であった場合には、
音声解析が否定用のマニュアルを選択して使用することを特徴とする。
【0114】
これにより、電話対象の音声が否定的な場合に、否定用のマニュアルを用いることができるため、成約率を向上させることができる。
【0115】
<他の実施の形態>
上述実施形態では、コールセンター会社が商品提供会社から電話営業の委託を受けるようにしたが、必ずしもその限りではない。例えば商品の提供を行い、自前のコールセンターを有する企業においても本発明を使用することができる。この場合であっても本発明の効果は上述実施形態と同様である。
【0116】
上述実施形態では、過去データベースに基づいてマニュアル対応表を生成するようにしたが、その限りではない。この場合であっても、オペレータの作業負担を軽減できるといった上述実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0117】
上述実施形態では、マニュアル対応表を用いたが、その限りではない。例えば、電話対象ごとに過去データベースを検索し、成約率が最も高いマニュアルを選択してもよい。
【0118】
上述実施形態では、システムサーバ4がマニュアル選択を行うようにしたが、その限りではない。例えばオペレータ端末120にマニュアル対応表を記憶させておき、オペレータ端末120がマニュアル選択を行っても良い。
【0119】
上述実施形態では、表示項目情報をマニュアル文に嵌め込んで表示したが、その限りではない。例えばマニュアル文のはめ込み部分に記号を用いて表示すると共に、表示項目情報を上部に固定した状態で表示するようにしても良い。
【0120】
上述実施形態では、システムサーバ4が電話対象の割当を行うようにしたが、その限りではない。例えば、電話対象に関する属性情報や電話番号などを複数人分まとめてオペレータ端末に供給しておき、オペレータ端末が電話対象を選択して割り当てるようにしても良い。
【0121】
上述実施形態では、既に作成済のマニュアルを選択し、表示項目情報のみを嵌め込むことによりマニュアル画像データを生成するようにしたが、この限りではない。例えばマニュアル画面として使用されるマニュアル文ごとにトークIDを付しておき、マニュアルの識別子として過去データベースに登録しておく。過去データベースの集計により属性情報の組み合わせごとに成約率の高いトークIDを選択して組み合わせてマニュアル画像を生成するようにしても良い。
【0122】
従来トークマニュアルの作成は属人的に行うものであるため、作成する人の考えや感覚が多く入っていることから、成果に適したトークマニュアルかどうかは、使用開始前には分からなかった。またマニュアル作成にかかる工数、時間も多くかかり担当する人の労力も多大であった。
【0123】
これにより、ビッグデータを活用したAI技術を用いた自動生成により、従来の属人的なマニュアル作成よりも、精度が高く、成果に結びつくマニュアルの作成が実現される。
また、作成労力も大幅に削減されることから、労働生産性の向上も可能となる。
【0124】
上述実施形態では、サンプリング処理において、2つのマニュアル文からランダム選択して一のマニュアル文を表示したが、3つ以上のマニュアル文からランダム選択してもよい。
【0125】
上述実施形態では、音声解析として、キーワード及び該キーワードの音声トーン、並びに商品紹介前から商品説明中又は後の音声トーンの変化を解析したが、少なくともいずれか一つが音声解析として使用されれば良い。
【0126】
上述実施形態では、前記音声の解析結果が否定的であった場合には、音声解析が否定用のマニュアルを選択して使用するようにしたが、例えば音声解析の結果である音声評価点を点数によって分類し、分類された音声評価点グループに対応する所属グループ対応マニュアルを使用するようにしても良い。また、電話対象が発したキーワードごとに相違するマニュアルを使用することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0127】
本発明は、例えば電話営業を行うコールセンターに適用することができる。
【符号の説明】
【0128】
4 :システムサーバ
41、121 :制御部
43、123 :外部インターフェース
44、124 :表示部
45、125 :記憶部
50 :入力画面
51 :入力項目欄
52 :ブランク
60 :グラフ表示画面
61 :グラフ
62 :売上高表示欄
63 :検索項目表示欄
65 :検索対象項目
66 :プルダウン一覧
101 :コールセンターシステム
102 :商品提供会社
103 :コールセンター会社
105 :電話対象
110 :電話営業システム
120 :オペレータ端末
127 :ヘッドセット
130 :マニュアル画面
131 :表示項目情報欄
132 :開始ボタン
133、134、137、138:マニュアル文
135 :矢印
139A :成約ボタン
139B :非成約ボタン

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15