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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-22
(45)【発行日】2022-03-30
(54)【発明の名称】包装体
(51)【国際特許分類】
   B65D 75/58 20060101AFI20220323BHJP
   B65D 33/02 20060101ALI20220323BHJP
【FI】
B65D75/58
B65D33/02
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2017207194
(22)【出願日】2017-10-26
(65)【公開番号】P2019077485
(43)【公開日】2019-05-23
【審査請求日】2020-09-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森田 佐保
【審査官】家城 雅美
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-051129(JP,A)
【文献】特開2015-096434(JP,A)
【文献】実開昭60-032247(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 75/58
B65D 33/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1側面フィルムと、前記第1側面フィルムに向かい合う第2側面フィルムと、前記第1側面フィルムと前記第2側面フィルムとの間に配置された底フィルムとを有する包装体であって、
前記第1側面フィルムおよび前記第2側面フィルムの互いの周縁に配置された周縁部と、
前記周縁部に囲まれた収納部と、
前記周縁部に取り付けられた形状保持部材とを備え、
前記周縁部は、周縁シール部と、底シール部と、シール予定部とを含み、
前記周縁シール部は、前記第1側面フィルムおよび前記第2側面フィルムの互いの前記周縁の一部をシールしており、
前記底シール部は、前記第1側面フィルムおよび前記第2側面フィルムの各々と前記底フィルムとをそれぞれシールしており、
前記シール予定部は、前記第1側面フィルムおよび前記第2側面フィルムの互いの前記周縁の他部をシールしていない状態で前記包装体の外部と前記収納部とを連通しており、
前記第1側面フィルムは、前記包装体の前記外部と前記収納部とを連通するように開口するための開口予定部を含み、
前記形状保持部材は、前記開口予定部に対して前記底シール部と反対側に配置されており、かつ前記第1側面フィルムから前記第2側面フィルムに向かう方向に突出するように湾曲した状態で形状を保持可能である、包装体。
【請求項2】
前記収納部に収納された内容物をさらに備え、
前記内容物が前記収納部に収納された状態において、前記シール予定部では、前記第1側面フィルムおよび前記第2側面フィルムの互いの前記周縁の前記他部がシールされている、請求項1に記載の包装体。
【請求項3】
前記開口予定部は、前記包装体の前記外部と前記収納部とを連通するように開口している、請求項2に記載の包装体。
【請求項4】
前記形状保持部材は、前記シール予定部において前記第1側面フィルムと前記第2側面フィルムとの間に配置されている、請求項1~3のいずれか1項に記載の包装体。
【請求項5】
前記第1側面フィルム、前記第2側面フィルム、前記底フィルムおよび前記形状保持部材の各々の材料はそれぞれ樹脂である、請求項1~4のいずれか1項に記載の包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は包装体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、食品等の内容物を収納可能な包装体が提案されている。この包装体として、例えば、特開2006-96388号公報(特許文献1)には、内容物が充填された状態で自立可能なスタンディングパウチが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-96388号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記公報に記載されたスタンディングパウチでは、開口予定部において内容物を取り出すための開口が形成される。具体的には、開封用の切込みに沿ってスタンディングパウチの上部が切り取られることによって開口が形成される。開口は、開口が形成される前の表面フィルムと裏面フィルムとの間の隙間によって構成される。開口が形成された後に表面フィルムと裏面フィルムとの間の隙間が拡げられることによって開口が拡げられる。この場合でも、表面フィルムおよび裏面フィルムが元の形状に戻ろうとすることによって開口は再び狭くなる。そのため、開口が拡げられた状態を保持することはできない。したがって、開口から内容物を取り出すことは難しい。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、開口予定部が開口したときに、開口が拡げられた状態を形状保持部材によって保持することができる包装体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の包装体は、第1側面フィルムと、第2側面フィルムと、底フィルムとを有するものである。第2側面フィルムは第1側面フィルムに向かい合う。底フィルムは、第1側面フィルムと第2側面フィルムとの間に配置されている。包装体は、周縁部と、収納部と、形状保持部材とを備えている。周縁部は、第1側面フィルムおよび第2側面フィルムの互いの周縁に配置されている。収納部は、周縁部に囲まれている。形状保持部材は、周縁部に取り付けられている。周縁部は、周縁シール部と、底シール部と、シール予定部とを含んでいる。周縁シール部は、第1側面フィルムおよび第2側面フィルムの互いの周縁の一部をシールしている。底シール部は、第1側面フィルムおよび第2側面フィルムの各々と底フィルムとをそれぞれシールしている。シール予定部は、第1側面フィルムおよび第2側面フィルムの互いの周縁の他部をシールしていない状態で包装体の外部と収納部とを連通している。第1側面フィルムは、包装体の外部と収納部とを連通するように開口するための開口予定部を含んでいる。形状保持部材は、開口予定部に対して底シール部と反対側に配置されており、かつ第1側面フィルムから第2側面フィルムに向かう方向に突出するように湾曲した状態で形状を保持可能である。
【発明の効果】
【0007】
本発明の包装体によれば、開口予定部が開口したときに、開口が拡げられた状態を形状保持部材によって保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の形態1に係る包装体の構成を概略的に示す正面図である。
図2図1のII-II線に沿う断面図である。
図3】本発明の実施の形態1に係る包装体の構成を概略的に示す斜視図であって、内容物が収納部に収納された状態を示す図である。
図4】本発明の実施の形態1に係る包装体の構成を概略的に示す斜視図であって、開口予定部が開口した状態を示す図である。
図5】本発明の実施の形態2に係る包装体の構成を概略的に示す正面図である。
図6】本発明の実施の形態2に係る包装体の形状保持部材の構成を概略的に示す斜視図である。
図7図6に示す形状保持部材が折り曲げられた状態を示す斜視図である。
図8】本発明の実施の形態3に係る包装体の構成を概略的に示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。なお、特に言及しない限り、以下の図面において、同一または相当する部分には同一の参照符号を付し、その説明を繰り返さない。また、各図中のドットが表示された領域はシールされた部分を示している。本発明の実施の形態において「シールする」とは、2つのフィルム同士を接着して2つのフィルム同士の間を気密に封止することを意味する。
【0010】
(実施の形態1)
図1および図2を参照して、本発明の実施の形態1に係る包装体1の構成について説明する。図1および図2は、内容物10が包装体1に収納される前の状態を示している。本実施の形態に係る包装体1は、第1側面フィルム11と、第2側面フィルム12と、底フィルム13とを有している。第1側面フィルム11および第2側面フィルム12の各々は、例えば、第1側面フィルム11および第2側面フィルム12が互いに重なる方向から見て矩形の形状を有していてもよい。第2側面フィルム12は、第1側面フィルム11に向かい合うように配置されている。また、第1側面フィルム11および第2側面フィルム12の各々は、同一の寸法を有していてもよい。
【0011】
底フィルム13は、第1側面フィルム11と第2側面フィルム12との間に配置されている。底フィルム13は、包装体1の天地方向(上下方向)HDにおいて包装体1の下端から第1側面フィルム11と第2側面フィルム12との間に挿入されている。底フィルム13は、2つ折りの状態で折り目から第1側面フィルム11と第2側面フィルム12との間に挿入されている。包装体1は、底フィルム13を底として自立可能に構成されている。すなわち、包装体1は、スタンディングパウチである。
【0012】
包装体1は、周縁部20と、収納部30と、形状保持部材40とを備えている。周縁部20は、第1側面フィルム11および第2側面フィルム12の互いの周縁に配置されている。周縁部20は、周縁シール部21と、底シール部22と、シール予定部23とを含んでいる。周縁シール部21は、第1側面フィルム11および第2側面フィルム12の互いの周縁の一部をシールしている。本実施の形態では、周縁シール部21は、包装体1の幅方向(左右方向)WDにおいて包装体1の両側の側端に配置されている。
【0013】
底シール部22は、第1側面フィルム11および第2側面フィルム12の各々と底フィルム13とをそれぞれシールしている。底シール部22は、包装体1の高さ方向HDにおいて包装体1の下端に配置されている。シール予定部23は、第1側面フィルム11および第2側面フィルム12の互いの周縁の他部をシールしていない状態で包装体1の外部と収納部30とを連通している。すなわち、内容物10が包装体1に収納される前の状態では、第1側面フィルム11および第2側面フィルム12の互いの周縁の一部はシールされており、他部はシールされていない。
【0014】
シール予定部23は、包装体1の外部から内容物10を収納部30に収納する際に内容物10を通すためのものである。シール予定部23は、内容物10が収納部30に収納される前の状態ではシールされていない。シール予定部23は、包装体1の外部からシール予定部23を通って内容物10が収納部30に収納された後にシールされる。本実施の形態では、シール予定部23は、包装体1の高さ方向HDにおいて包装体1の上端に設けられている。なお、シール予定部23の位置は包装体1の上端に限定されない。シール予定部23は、例えば、包装体1の幅方向WDにおいて包装体1の側端に設けられてもよい。
【0015】
内容物10が収納部30に収納される前の状態では、包装体1の周縁部20は、シールされた領域である周縁シール部21および底シール部22と、シールされていない領域であるシール予定部23を有している。すなわち、内容物10が収納部30に収納される前の状態では、包装体1の周縁部20は、シール予定部23以外においてシールされている。包装体1の周縁部20は、具体的には、例えば、熱溶着によりシールされていてもよい。
【0016】
第1側面フィルム11、第2側面フィルム12および底フィルム13の各々の材料はそれぞれ樹脂であってもよい。第1側面フィルム11、第2側面フィルム12および底フィルム13の各々は、積層体により構成されていてもよい。具体的には、第1側面フィルム11、第2側面フィルム12および底フィルム13の各々は、例えば、シールされる側からリニアローデンシティポリエチレン(LLDPE)、ナイロン(NY)、ポリエチレンテレフタレート(PET)の各層が重ねられた3層構造を有していてもよい。また、これらの各層の厚みは、例えば、リニアローデンシティポリエチレン(LLDPE)が100μmであり、ナイロン(NY)が25μmであり、ポリエチレンテレフタレート(PET)が12μmであってもよい。
【0017】
収納部30は内容物10を収納するように構成されている。内容物10は、例えば、惣菜などの食品であってもよい。収納部30は、周縁部20に囲まれている。具体的には、第1側面フィルム11から第2側面フィルム12に向かう方向において、第1側面フィルム11側から包装体1を見たときに、収納部30は周縁部20に囲まれている。すなわち、平面視(正面視)において、収納部30は周縁部20に囲まれている。
【0018】
包装体1は、開封機構として開口予定部50を有している。具体的には、第1側面フィルム11は、包装体1の外部と収納部30とを連通するように開口するための開口予定部50を含んでいる。開口予定部50は、開口予定部50が開口した後に内容物を取り出すためのものである。内容物10が包装体1に収納される前の状態では開口予定部50は開口していない。開口予定部50は、包装体1の高さ方向HDにおいて、形状保持部材40と底シール部22との間に配置されている。開口予定部50は、包装体1の側面に配置されている。開口予定部50は、包装体1の幅方向WDにおいて、両側の側端の間に配置されている。
【0019】
開口予定部50は、例えば、ミシン目構造またはハーフカット構造を有していてもよい。ここでミシン目構造とは、第1側面フィルム11の厚み方向において表面から裏面に至る途中まで形成された溝が点線状に配置された構造をいう。また、ハーフカット構造とは、第1側面フィルム11の厚み方向において表面から裏面に至る途中まで形成された溝が直線状に配置された構造をいう。開口予定部50は、具体的には、例えば、ミシン目構造またはハーフカット構造で囲まれた帯形状を有していてもよい。また、開口予定部50は、開閉可能なチャック構造を有していてもよい。ここでチャック構造とは、凸部と凹部とが対向して配置されており、互いに嵌合または離脱することにより開閉可能な構造をいう。なお、チャック構造は、凸部と凹部とが離脱されることにより開口されるまでは密閉されるように構成されている。
【0020】
形状保持部材40は、周縁部20に取り付けられている。本実施の形態では、形状保持部材40は、シール予定部23に配置されている。形状保持部材40は、開口予定部50に対して底シール部22と反対側に配置されている。この状態では、形状保持部材40は湾曲していない。形状保持部材40は、第1側面フィルム11から第2側面フィルム12に向かう方向に突出するように湾曲した状態で形状を保持可能である。形状保持部材40は、第1側面フィルム11および第2側面フィルム12の各々よりも湾曲しにくいように構成されている。形状保持部材40は、包装体1の幅方向WDの中央に配置されていることが好ましい。なお、形状保持部材40は、包装体1の幅方向WDの中央から両端のいずれか一方にずれて配置されていてもよい。また、形状保持部材40は、包装体1の幅方向WDの両端にわたって連続して配置されていてもよい。
【0021】
形状保持部材40の材料は樹脂であってもよい。具体的には、形状保持部材40の材料は、例えば、高密度ポリエチレンであってもよい。また、形状保持部材40の材料は、リニアローデンシティポリエチレンがラミネート加工されたものであってもよい。また、形状保持部材40の材料は、形状記憶樹脂であってもよい。
【0022】
形状保持部材40は、シール予定部23において第1側面フィルム11と第2側面フィルム12との間に配置されていてもよい。この場合、シール予定部23がシールされるときに、第1側面フィルム11および第2側面フィルム12の各々に形状保持部材40を一緒に取り付けることができる。
【0023】
また、形状保持部材40は、第1側面フィルム11の第2側面フィルム12と反対側の面に取り付けられていてもよい。また、形状保持部材40は、第2側面フィルム12の第1側面フィルム11と反対側の面に取り付けられていてもよい。これらの場合には、形状保持部材40は、ホットメルト等により第1側面フィルム11または第2側面フィルム12に溶着されていてもよい。
【0024】
次に、図3を参照して、内容物10が収納部30に収納された状態における包装体1の構成について説明する。この状態では、包装体1は、収納部30に収納された内容物10をさらに備えている。内容物10が収納部30に収納された状態において、シール予定部23では、第1側面フィルム11および第2側面フィルム12の互いの周縁の他部がシールされている。シール予定部23では、具体的には、第1側面フィルム11および第2側面フィルム12は互いに熱溶着によりシールされていてもよい。これにより、全ての周縁部20がシールされている。したがって、内容物10が収納部30に収納された状態において収納部30は密閉されている。
【0025】
次に、図4を参照して、開口予定部50が開口した状態における包装体1の構成について説明する。この状態では、図3に示された状態と同様に、包装体1は、収納部30に収納された内容物10をさらに備えている。また、内容物10が収納部30に収納された状態において、全ての周縁部20がシールされている。さらに、開口予定部50は、包装体1の外部と収納部30とを連通するように開口している。開口予定部50は、具体的には、例えば、ミシン目構造またはハーフカット構造で囲まれた第1側面フィルム11の帯形状の部分が取り去られることにより開口していてもよい。
【0026】
包装体1の上端に設けられたシール予定部23では第1側面フィルム11と第2側面フィルム12とが互いにシールされているため、第1側面フィルム11単体よりもたわみにくい。そのため、開口予定部50が開口したときに、開口を構成する第1側面フィルム11のうち底フィルム13側の部分がたわむことによって開口が拡がる。
【0027】
さらに、開口予定部50が開口した後に、包装体1の使用者によって、図4中矢印Aで示されるように、形状保持部材40が第1側面フィルム11から第2側面フィルム12に向かう方向に突出するように湾曲した状態に変形される。これにより、包装体1の上端に設けられたシール予定部23において、第1側面フィルム11および第2側面フィルム12は、形状保持部材40の形状にあわせて第1側面フィルム11から第2側面フィルム12に向かう方向に突出するように湾曲した状態に変形される。このとき、図4中矢印Bで示されるように、包装体1の上端に設けられたシール予定部23は、包装体1の幅方向WDにおける両端が互いに近づくように変形される。これにより、図4中矢印Cで示されるように、開口を構成する第1側面フィルム11のうち底フィルム13側の部分は、形状保持部材40が湾曲する方向に対して反対側に湾曲する。このようにして開口が拡げられる。
【0028】
そして、この開口が拡げられた状態で形状保持部材40が形状を保持することにより、包装体1の上端に設けられたシール予定部23では形状保持部材40の形状にあわせて第1側面フィルム11および第2側面フィルム12の形状が保持される。また、開口を構成する第1側面フィルム11のうち底フィルム13側の部分は、形状保持部材40が湾曲する方向に対して反対側に湾曲した状態で保持される。このようにして開口が拡げられた状態が保持される。
【0029】
次に、本実施の形態に係る包装体の作用効果について説明する。
本実施の形態に係る包装体1によれば、形状保持部材40は、開口予定部50に対して底シール部22と反対側に配置されており、かつ第1側面フィルム11から第2側面フィルム12に向かう方向に突出するように湾曲した状態で形状を保持可能である。このため、開口予定部50が包装体1の外部と収納部30とを連通するように開口したときに、形状保持部材40の形状にあわせて第1側面フィルム11および第2側面フィルム12を第1側面フィルム11から第2側面フィルム12に向かう方向に突出するように湾曲した状態に保持することができる。そして、開口を構成する第1側面フィルム11のうち底フィルム13側の部分を形状保持部材40が湾曲する方向に対して反対側に湾曲した状態に保持することができる。このようにして、開口予定部50が開口したときに、開口が拡げられた状態を形状保持部材40によって保持することができる。したがって、開口から内容物10を取り出すことが容易となる。また、収納部30への食器の出し入れを簡単に行うことが可能となる。
【0030】
本実施の形態に係る包装体1によれば、内容物10が収納部30に収納された状態において、シール予定部23では、第1側面フィルム11および第2側面フィルム12の互いの周縁の他部がシールされている。このため、内容物10が収納部30に収納された状態において、収納部30を密閉することができる。
【0031】
本実施の形態に係る包装体1によれば、開口予定部50は、包装体1の外部と収納部30とを連通するように開口している。このため、開口予定部50が開口した状態において、開口が拡げられた状態を形状保持部材40によって保持することができる。
【0032】
本実施の形態に係る包装体1によれば、形状保持部材40は、シール予定部23において第1側面フィルム11と第2側面フィルム12との間に配置されている。このため、第1側面フィルム11と第2側面フィルム12とを互いにシールするときに、第1側面フィルム11および第2側面フィルム12に形状保持部材40を一緒に取り付けることができる。したがって、包装体1の生産性を向上させることができる。
【0033】
本実施の形態に係る包装体1によれば、第1側面フィルム11、第2側面フィルム12、底フィルム13および形状保持部材40の各々の材料はそれぞれ樹脂である。このため、包装体1を廃棄するときに、第1側面フィルム11、第2側面フィルム12、底フィルム13および形状保持部材40の各々を分別する必要がない。したがって、廃棄費用を低減することができる。また、電子レンジを用いて包装体1を温めることが可能となる。したがって、内容物10を温めて喫食することができる。
【0034】
(実施の形態2)
図5図7を参照して、本発明の実施の形態2に係る包装体1の構成について説明する。本実施の形態に係る包装体1は、実施の形態1に係る包装体1に比べて、形状保持部材40の構造が主に異なっている。
【0035】
図5および図6に示されるように、形状保持部材40は、第1板部41と、第2板部42と、ヒンジ部43と、係合部44と、嵌合部45とを有している。係合部44および嵌合部45は、ロック機構を構成している。第1板部41および第2板部42は、第1側面フィルム11の第2側面フィルム12と反対側の面に取り付けられている。具体的には、第1板部41および第2板部42の各々の一方面が第1側面フィルム11に取り付けられている。第1板部41と第2板部42とはヒンジ部43で接続されている。図7に示されるように、第1板部41と第2板部42とはヒンジ部43で折り曲げ可能に構成されている。具体的には、例えば、第1板部41と第2板部42とはヒンジ部43で直角に折り曲げ可能に構成されていてもよい。
【0036】
係合部44は、係合突起44aと、切欠き44bとを有している。係合突起44aは、第1板部41から第1板部41の他方面側に突出している。切欠き44bは、第2板部42に設けられている。係合突起44aと切欠き44bとは、第1板部41と第2板部42とがヒンジ部43で折り曲げられた状態で互いに係合するように構成されている。
【0037】
嵌合部45は、包装体1の高さ方向HDにおいて係合部44の下方に配置されている。嵌合部45は、第1嵌合突起45aと、第2嵌合突起45bとを有している。第1嵌合突起45aは、第1突出部45a1と、第1延在部45a2とを有している。第1突出部45a1は、第1板部41から第1板部41の他方面側に突出している。第1延在部45a2は、第1突出部45a1の第1板部41と反対側の先端から上方に延びている。第2嵌合突起45bは、第2突出部45b1と、第2延在部45b2とを有している。第2突出部45b1は、第2板部42から第2板部42の他方面側に突出している。第2延在部45b2は、第2突出部45b1の第1板部41側の先端から下方に延びている。図7に示されるように、第1嵌合突起45aの第1延在部45a2と第2嵌合突起45bの第2延在部45b2とは、第1板部41と第2板部42とがヒンジ部43で折り曲げられた状態で互いに嵌合するように構成されている。
【0038】
したがって、形状保持部材40は、第1板部41と第2板部42とがヒンジ部43で折り曲げられた状態で、係合部44および嵌合部45によってロックされる。この結果、形状保持部材40は、くの字型に折り曲げられた状態でロックされる。
【0039】
本実施の形態に係る包装体1によれば、形状保持部材40は係合部44および嵌合部45から構成されたロック機構を備えている。このため、形状保持部材40は、第1板部41と第2板部42とがヒンジ部43で折り曲げられた状態で係合部44および嵌合部45によってロックされる。したがって、形状保持部材40がくの字型に折り曲げられた状態でロックされるため、形状保持部材40が取り付けられたシール予定部23を湾曲した状態に確実に保持することができる。
【0040】
(実施の形態3)
図8を参照して、本発明の実施の形態3に係る包装体1の構成について説明する。本実施の形態に係る包装体1は、実施の形態1に係る包装体1に比べて、包装体1の外形が主に異なっている。具体的には、包装体1の幅方向WDの両端の形状が主に異なっている。
【0041】
包装体1は、包装体1の高さ方向HDにおいて下端から上端に向かって包装体1の幅方向WDの幅が大きくなるように構成されている。すなわち、包装体1は、包装体1の高さ方向HDにおいて下端から上端に向かって包装体1の幅方向WDの寸法が大きくなるテーパ形状を有している。また収納部30も包装体1の高さ方向HDにおいて下端から上端に向かって包装体1の幅方向WDの幅が大きくなるように構成されている。したがって、収納部30の包装体1の幅方向WDの断面における断面積は、包装体1の高さ方向HDにおいて下端から開口に向かって大きくなる。
【0042】
本実施の形態に係る包装体1によれば、包装体1は、包装体1の高さ方向HDにおいて下端から上端に向かって包装体1の幅方向WDの寸法が大きくなるテーパ形状を有しているため、開口が拡げられた状態でより安定する。
【0043】
なお、上記の実施の形態1~3は適宜組み合わせることができる。
【実施例
【0044】
以下、本発明の実施例について比較例と対比して説明する。なお、特に言及しない限り、実施例および比較例は、上記の実施の形態1~3のいずれかの包装体と同様の構成を備えている。
【0045】
実施例1~3および比較例1~2の各々の包装体を用いて、比較官能評価を実施した。実施例1~3は本発明の実施例である。比較例1~2は、本発明の実施例に対する比較例である。
【0046】
実施例1~3および比較例1~2の各々の包装体は、第1側面フィルムと、第2側面フィルムと、底フィルムとを有するスタンディングパウチである。第1側面フィルム、第2側面フィルムおよび底フィルムの各々は、シールされる側からリニアローデンシティポリエチレン(LLDPE)、ナイロン(NY)、ポリエチレンテレフタレート(PET)の各層がシールされる側から重ねられた3層構造を有している。また、これらの各層の厚みは、リニアローデンシティポリエチレン(LLDPE)が100μmであり、ナイロン(NY)が25μmであり、ポリエチレンテレフタレート(PET)が12μmである。実施例1~3および比較例1~2の各々の包装体は高さ方向において下端から上端に向かって包装体の幅方向の寸法が大きくなるテーパ形状を有している。実施例1~3および比較例1~2の各々の包装体の収納部には内容物が収納されている。実施例1~3および比較例1~2の各々の包装体の天地方向の全長は140mmであり、幅方向の全幅は150mmである。
【0047】
実施例1~3の各々の包装体では、包装体の全ての周縁部において第1側面フィルムと第2側面フィルムとが互いにシールされている。実施例1~3の各々の包装体では、形状保持部材は開口予定部と包装体の上端との間に配置されている。開口予定部は包装体の側面に配置されている。実施例1~3の各々の包装体では、開口予定部を包装体の外部と収納部とを連通するように開口させた状態で比較官能評価を行った。
【0048】
実施例1の包装体では、形状保持部材は上記の実施の形態2と同様の構成を有している。実施例1の包装体では、形状保持部材は、第1側面フィルムの第2側面フィルムと反対側の面に溶着されている。実施例1の包装体では、形状保持部材は、くの字型に折り曲げられている。
【0049】
実施例2の包装体では、形状保持部材は上記の実施の形態1と同様の構成を有している。実施例2の包装体では、形状保持部材は、第1側面フィルムの第2側面フィルムと反対側の面に溶着されている。すなわち、実施例2の包装体では、形状保持部材は、第1側面フィルムの外側に溶着されている。
【0050】
実施例3の包装体では、形状保持部材は上記の実施の形態1と同様の構成を有している。実施例3の包装体では、形状保持部材は、第1側面フィルムと第2側面フィルムとの間に溶着されている。すなわち、実施例3の包装体では、形状保持部材は、第1側面フィルムの内側に溶着されている。
【0051】
比較例1の包装体は、形状保持部材を有していない点で実施例1~3と異なっている。比較例1の包装体では、開口予定部を包装体の外部と収納部とを連通するように開口させた状態で比較官能評価を行った。
【0052】
比較例2の包装体は、形状保持部材を有していない点および開口が包装体の上端に設けられている点で実施例1~3と異なっている。比較例1の包装体では、包装体の外部と収納部とを連通するように包装体の上端を開口させた状態で比較官能評価を行った。
【0053】
比較官能評価の結果を表1に示す。表1に示されるように、比較官能評価では、開口性、形状保持部材の効き、廃棄のし易さ、中身の取出し易さ、総合評価の各々を評価した。開口性は、開口予定部の開口のし易さである。形状保持部材の効きは、形状保持部材を湾曲させた状態での開口の保持のし易さである。廃棄のし易さは、包装体の廃棄のし易さである。中身の取出し易さは、内容物の取出し易さである。総合評価は、開口性、形状保持部材の効き、廃棄のし易さ、中身の取出し易さの平均値である。これらの評価は数字1~5を用いて5段階で評価した。具体的には、最も悪い場合には1とし、最も良い場合には5とし、中間は3として評価した。評価者は5人とした。評価の数値は5人の平均値とした。
【0054】
【表1】
【0055】
比較官能評価の結果、実施例1~3の各々は比較例1~2の各々よりも、開口性、形状保持部材の効きの評価が高くなった。したがって、実施例1~3の各々は比較例1~2の各々に比べて開口が拡げられた状態を保持することができることがわかった。また、実施例1~3の各々は比較例1~2の各々よりも、中身の取出し易さの評価が高くなった。したがって、実施例1~3の各々は比較例1~2の各々に比べて開口から内容物を取り出すことが容易となることがわかった。なお、実施例1~3の各々は比較例1~2の各々よりも、総合評価が高くなった。
【0056】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることを意図される。
【符号の説明】
【0057】
1 包装体、10 内容物、11 第1側面フィルム、12 第2側面フィルム、13 底フィルム、20 周縁部、21 周縁シール部、22 底シール部、23 シール予定部、30 収納部、40 形状保持部材、41 第1板部、42 第2板部、43 ヒンジ部、44 係合部、44a 係合突起、44b 切欠き、45 嵌合部、45a 第1嵌合突起、45a1 第1突出部、45a2 第1延在部、45b 第2嵌合突起、45b1 第2突出部、45b2 第2延在部、50 開口予定部。
図1
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図8