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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-22
(45)【発行日】2022-03-30
(54)【発明の名称】モータ、及び、それを有する送風装置
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/10 20060101AFI20220323BHJP
【FI】
H02K5/10 B
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2017235278
(22)【出願日】2017-12-07
(65)【公開番号】P2019103356
(43)【公開日】2019-06-24
【審査請求日】2020-09-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】日本電産株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】特許業務法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】芦谷 翔二郎
(72)【発明者】
【氏名】岩井 優介
【審査官】安池 一貴
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-300689(JP,A)
【文献】特開2005-073835(JP,A)
【文献】実開昭56-031483(JP,U)
【文献】特開2006-033932(JP,A)
【文献】中国実用新案第205578345(CN,U)
【文献】国際公開第2016/204237(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に延びる中心軸回りに回転可能なロータと、
前記ロータの少なくとも一部と径方向に対向するステータと、
前記ロータ及び前記ステータを収容するハウジングと、
前記ハウジングに取り付けられる蓋部と、
前記ステータと電気的に接続される回路基板と、
を備え、
前記ハウジングは、
ハウジング基体と、
前記ハウジング基体から前記蓋部に向かう第1方向に延び、前記回路基板を囲む収容壁部と、
前記ハウジング基体から第1方向の蓋部側に延びる延伸部と、
を有し、
前記蓋部は、前記収容壁部の第1方向の前記蓋部側における端部を囲み、
前記ハウジング基体よりも第1方向の蓋部側には、収容開口部が設けられ、
前記収容開口部は、第1方向と直交する第2方向に開口し、前記収容壁部の内側と外側とを連通し、
前記蓋部は、板部と、蓋壁部と、蓋開口部と、樋部と、を有し、
前記板部は、前記回路基板よりも第1方向の前記蓋部側に配置され、第1方向と垂直な方向に広がり、
前記蓋壁部は、前記板部の外縁部から第1方向の前記ハウジング基体側に延び、
前記蓋開口部は、前記蓋壁部に設けられ、第2方向に開口し、前記蓋壁部の内側と外側とを連通し、
前記樋部は、前記基板収容部の内部から外部に前記収容開口部及び前記蓋開口部を介して流れる水を第2方向へ導く排水経路であり、
底部と、側部と、底開口部と、を有し、
前記底部は、第2方向に延びる板状であり、
前記側部は、第1方向及び第2方向と直交する方向の両側における前記底部の端部から第1方向に突出し、第2方向に延び、
前記底開口部は、前記底部に設けられ、
前記底部の第2方向の外方に凹む、モータ。
【請求項2】
前記延伸部は、前記ハウジング基体と同じ部材の一部である、請求項1に記載のモータ。
【請求項3】
前記延伸部は、前記収容壁部と同じ部材の一部である、請求項1又は請求項2に記載のモータ。
【請求項4】
前記延伸部の内側面が、第1方向の前記蓋部側に向かうにつれて第2方向の外方に向かう面を含む、請求項1から請求項3のいずれかに記載のモータ。
【請求項5】
前記延伸部は、前記延伸部の第1方向の前記蓋部側における端部において、第2方向の外方に突出する突出部を有する、請求項1から請求項4のいずれかに記載のモータ。
【請求項6】
前記突出部はさらに、第1方向に長手方向を有する、請求項5に記載のモータ。
【請求項7】
前記延伸部32の外側面の第1方向の前記蓋部側における端部は、前記蓋開口部123における第1方向の前記ハウジング基体側の縁部よりも第1方向の前記ハウジング基体側に配置される、請求項1から請求項6のいずれかに記載のモータ。
【請求項8】
前記蓋壁部の少なくとも一部は、第2方向において前記延伸部の第2方向における外側面と接する、請求項7に記載のモータ。
【請求項9】
前記収容壁部は、第2方向の外方に向かうにつれて前記収容開口部に近づく方向に延びる、請求項1から請求項8のいずれかに記載のモータ。
【請求項10】
上下方向に延びる中心軸回りに回転可能な羽根を有するインペラと、
前記インペラを駆動する請求項1から請求項9のいずれかに記載のモータと、
を備える、送風装置。
【請求項11】
前記ハウジングは、
前記インペラを内部に収容するインペラ収容部と、
少なくとも一部が前記中心軸と直交する方向に延びる排気部と、
を有し、
前記排気部は、前記収容開口部よりも第2方向の内方に配置される、請求項10に記載の送風装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ、及び、それを有する送風装置に関する。
【背景技術】
【0002】
モータのハウジングの内部では、温度変化による結露が生じることがある。従来では、ハウジング内部に発生した水滴を排出するための水抜き用の孔と、排出した水を貯水槽などに導く排水溝と、をハウジングに形成することがある。
【0003】
なお、本発明に関連する従来技術の一例として、特許文献1は、モータと、回路基板を収容するケースと、を有する電子制御装置を教示する。この装置では、電子制御装置のケースとモータの筒状壁部との間のシール結合部が水を被ることを防止すべく、シール結合部よりも外縁側に、ケースの底壁からモータ側に突出する突出部が設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-187728号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ハウジングとは別部材で排水溝を設けた場合、水抜き用の孔から排出された水は、排水溝とハウジングとの隙間を伝って、ハウジングの表面を伝って流れ落ちることがある。そのため、水が、排水溝の先に設けた貯水槽などとは別の場所に流れてしまうことがある。
【0006】
本発明は、回路基板を収容する空間内の水を所望の経路に排出することができるモータ、及び、それを有する送風装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の例示的なモータは、上下方向に延びる中心軸回りに回転可能なロータと、前記ロータの少なくとも一部と径方向に対向するステータと、前記ロータ及び前記ステータを収容するハウジングと、前記ハウジングに取り付けられる蓋部と、前記ステータと電気的に接続される回路基板と、を備える。前記ハウジングは、ハウジング基体と、前記ハウジング基体から前記蓋部に向かう第1方向に延び、前記回路基板を囲む収容壁部と、前記ハウジング基体から第1方向の蓋部側に延びる延伸部と、を有する。前記蓋部は、前記収容壁部の第1方向の前記蓋部側における端部を囲む。前記ハウジング基体よりも第1方向の蓋部側には、収容開口部が設けられる。前記収容開口部は、第1方向と直交する第2方向に開口し、前記収容壁部の内側と外側とを連通し、前記蓋部は、板部と、蓋壁部と、蓋開口部と、樋部と、を有し、前記板部は、前記回路基板よりも第1方向の前記蓋部側に配置され、第1方向と垂直な方向に広がり、前記蓋壁部は、前記板部の外縁部から第1方向の前記ハウジング基体側に延び、前記蓋開口部は、前記蓋壁部に設けられ、第2方向に開口し、前記蓋壁部の内側と外側とを連通し、前記樋部は、前記基板収容部の内部から外部に前記収容開口部及び前記蓋開口部を介して流れる水を第2方向へ導く排水経路であり、底部と、側部と、底開口部と、を有し、前記底部は、第2方向に延びる板状であり、前記側部は、第1方向及び第2方向と直交する方向の両側における前記底部の端部から第1方向に突出し、第2方向に延び、前記底開口部は、前記底部に設けられ、前記底部の第2方向の外方に凹む。
【0008】
本発明の例示的な送風装置は、上下方向に延びる中心軸回りに回転可能な羽根を有するインペラと、前記インペラを駆動する上記のモータと、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明の例示的なモータ、及び、それを有する送風装置によれば、回路基板を収容する空間内の水を所望の経路に排出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、軸方向上方から見た送風装置の外観図である。
図2図2は、軸方向下方から見た送風装置の外観図である。
図3図3は、一点鎖線A-Aに沿う送風装置の断面図である。
図4図4は、一点鎖線B-Bに沿う送風装置の断面図である。
図5図5は、一点鎖線E-Eに沿う送風装置の断面図である。
図6図6は、軸方向下方から見たインペラの外観図である。
図7図7は、ハウジング基体及びインペラ間のラビリンス構造を拡大した断面図である。
図8図8は、収容開口部の近傍における断面構造の一例を示す図である。
図9A図9Aは、収容開口部の近傍における断面構造の第1変形例を示す図である。
図9B図9Bは、収容開口部の近傍における断面構造の第2変形例を示す図である。
図9C図9Cは、収容開口部の近傍における断面構造の第3変形例を示す図である。
図10図10は、収容開口部の一例を示す図である。
図11A図11Aは、収容開口部の第1変形例を示す図である。
図11B図11Bは、収容開口部の第2変形例を示す図である。
図12図12は、収容開口部の近傍における断面構造の変形例を示す図である。
図13図13は、蓋部と収容壁部との間における断面構造の拡大図である。
図14図14は、基板収容部の外部に引き出される接続線を第1線部が延びる方向から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に図面を参照して本発明の例示的な実施形態を説明する。
【0012】
なお、本明細書では、送風装置1において、モータ100の回転軸を「中心軸CA」と呼び、中心軸CAと平行な方向を「軸方向」と呼ぶ。軸方向に沿って後述する回路基板105から後述するインペラ130に向かう方向を軸方向一方側として「軸方向上方」と呼び、軸方向に沿ってインペラ130から回路基板105に向かう方向を軸方向他方側として「軸方向下方」と呼ぶ。各々の構成要素において、軸方向上方における端部を「上端部」と呼び、軸方向上方における端の位置を「上端」と呼ぶ。各々の構成要素において、軸方向下方における端部を「下端部」と呼び、軸方向下方における端の位置を「下端」と呼ぶ。また、各々の構成要素の表面において、軸方向上方を向く面を「上面」と呼び、軸方向下方を向く面を「下面」と呼ぶ。
【0013】
中心軸CAに直交する方向を「径方向」と呼び、中心軸CAを中心とするロータ102が回転する方向を「周方向」と呼ぶ。径方向に沿って中心軸CAに向かう方向を「径方向内方」と呼び、径方向に沿って中心軸CAから離れる方向を「径方向外方」と呼ぶ。各々の構成要素において、径方向内方における端部を「径方向内端部」と呼び、径方向内方における端の位置を「径方向内端」と呼ぶ。各々の構成要素において、径方向外方における端部を「径方向外端部」と呼び、径方向外方における端の位置を「径方向外端」と呼ぶ。また、各々の構成要素の側面において、径方向内方を向く側面を「径方向内側面」と呼び、径方向外方を向く側面を「径方向外側面」と呼ぶ。
【0014】
また、送風装置1において、後述するハウジング基体22及び蓋部120のうちの一方から他方に向かう方向を「第1方向Ax1」と呼ぶ。特に、第1方向Ax1に沿ってハウジング基体22から蓋部120に向かう方向を「(第1方向Ax1の)蓋部120側」と呼び、第1方向Ax1に沿って蓋部120からハウジング基体22に向かう方向を「(第1方向Ax1の)ハウジング基体側」と呼ぶ。
【0015】
さらに、第1方向Ax1と直交し且つ後述する収容壁部31の内側及び外側のうちの一方から他方に向かう方向を「第2方向Ax2」と呼ぶ。特に、第2方向Ax2に沿って収容壁部31の外側から内側に向かう方向を「(第2方向Ax2の)内方」と呼び、第2方向Ax2に沿って収容壁部31の内側から外側に向かう方向を「(第2方向Ax2の)外方」と呼ぶ。
【0016】
なお、以上に説明した方向、端部、及び面などの呼称は、実際の機器に組み込まれた場合での位置関係及び方向などを示すものではない。
【0017】
<1.実施形態>
図1は、軸方向上方から見た送風装置1の外観図である。図2は、軸方向下方から見た送風装置1の外観図である。図3は、一点鎖線A-Aに沿う送風装置1の断面図である。図4は、一点鎖線B-Bに沿う送風装置1の断面図である。図5は、一点鎖線E-Eに沿う送風装置1の断面図である。なお、図3は、図1の一点鎖線A-Aに沿い且つ中心軸CAを含む仮想の平面で送風装置1を切断した場合の断面構造を示す。図4は、図2の一点鎖線B-Bに沿うが、中心軸CAは含まない仮想の平面で送風装置1を切断した場合の断面構造を示す。図5は、図2の一点鎖線E-Eに沿い且つ中心軸CAを含む仮想の平面で送風装置1を切断した場合の断面構造を示す。
【0018】
<1-1.送風装置の構成>
送風装置1は、たとえば空気調和機などに搭載される渦流ファンである。送風装置1は、本実施形態では基板収容部3の水抜き用の孔(後述する収容開口部33)が鉛直下方Vxdを向くように設置される。そのため、本実施形態では、鉛直方向Vxが第2方向Ax2と平行となる。
【0019】
送風装置1は、図1から図5に示すように、モータ100と、インペラ130と、を備える。モータ100は、アウターロータ型である。モータ100は、インペラ130を駆動する。インペラ130は、上下方向に延びる中心軸CA回りに回転可能な羽根133を有する。インペラ130は、モータ100の上部(特に後述するロータ102)に固定される。これにより、回路基板105を収容する空間内の水を所望の経路に排出することができるモータ100を有する送風装置1を実現できる。なお、インペラ130の構成は、後に説明する。
【0020】
<1-2.モータの構成>
次に、モータ100の構成を説明する。モータ100は、ロータ102と、ステータ103と、回路基板105と、接続線4と、を有する。また、モータ100は、シャフト101と、ベアリング104と、をさらに有する。
【0021】
シャフト101は、ロータ102の回転軸である。なお、本実施形態ではシャフト101には、ロータ101のマグネット保持部材(不図示)が取り付けられる。なお、シャフト101は、本実施形態ではロータ102とは別の部材であるが、この例示に限定されず、ロータ102の一部(すなわちロータ102の構成要素)であってもよい。
【0022】
ロータ102は、上下方向に延びる中心軸CA回りに回転可能である。ロータ102は、マグネット保持部材(不図示)と、マグネット(不図示)と、を有する。ロータ102のマグネット保持部材の径方向外側面には、異なる磁極が周方向において交互に並ぶマグネット(不図示)が設けられる。
【0023】
ステータ103は、ロータ102の少なくとも一部と径方向に対向する。ステータ103は、ベアリング104を介してシャフト101を回転可能に支持する。ステータ103は、モータ100の駆動時に発生する径方向の磁束を利用して、ロータ102に周方向のトルクを発生させ、中心軸CAを中心としてロータ102を駆動して回転させる。また、ステータ103は、基板ホルダ103aを含む。基板ホルダ103aは、ステータ103の下端部において径方向に広がり、その上面に回路基板105を保持する。つまり、モータ100は、回路基板105を有する。
【0024】
ベアリング104は、本実施形態ではボールベアリングであるが、この例示に限定されず、たとえばスリーブベアリングなどであってもよい。
【0025】
回路基板105は、ステータ103と電気的に接続される。回路基板105には、たとえばステータ103の駆動制御デバイスなどが実装される。回路基板105は、本実施形態ではロータ102よりも軸方向下方に配置される。
【0026】
接続線4は、回路基板105と電気的に接続され、後述するハウジング110及び蓋部120の外部に引き出される。接続線4の構成は、後に説明する。
【0027】
<1-3.ハウジングの構成>
次に、モータ100は、ハウジング110をさらに備える。言い換えると、送風装置1は、ハウジング110をさらに備える。ハウジング110は、モータ100及びインペラ130を内部に収容する。具体的に述べると、ハウジング110は、ロータ102及びステータ103を内部に収容する。ハウジング110は、インペラ収容部2と、排気部112と、を有する。本実施形態では、ハウジング110は、基板収容部3と、吸気部111と、をさらに有する。吸気部111及び排気部112は、ともに管状である。
【0028】
インペラ収容部2は、モータ100内部に収容する。より詳細に述べると、インペラ収容部2は、モータ100の上端部とインペラ130とを内部に収容する。インペラ収容部2は、上収容部材21と、ハウジング基体22と、からなる。言い換えると、ハウジング110は、上収容部材21と、ハウジング基体22と、を有する。上収容部材21とハウジング基体22とが組み合わさることにより、吸気部111及び排気部112が形成され、さらにモータ100の上端部とインペラ130とを収容する空間が内部に形成される。なお、該空間は、吸気部111の内部及び排気部112の内部と繋がり、吸気口111a及び排気口112aを介してハウジング110の外部に通じる。また、ロータ102よりも径方向外方において、ハウジング基体22の上面は、インペラ130の下端部と対向し、該対向する箇所にラビリンス構造を構成する。ハウジング基体22及びインペラ130間のラビリンス構造の構成は、後に説明する。
【0029】
基板収容部3は、モータ100の下端部を内部に収容し、特に回路基板105を内部に収容する。本実施形態では、インペラ収容部2の内部、及び基板収容部3の内部は、インペラ130の下端部とハウジング110のハウジング基体22との間に設けられる後述のラビリンス構造に通じる。つまり、インペラ収容部2の内部においてインペラ130の後述する羽根133が回転する空間は、該ラビリンス構造を経由して、基板収容部3の内部に通じる。そのため、該ラビリンス構造によりインペラ収容部2の内部を流れる塵埃が回路基板105に到達することを抑制できる。
【0030】
基板収容部3は、インペラ収容部2よりも軸方向下方に配置される。基板収容部3は、本実施形態ではハウジング基体22の下面に設けられる。但し、この例示に限定されず、基板収容部3は、ハウジング基体22の下面以外のインペラ収容部2の外表面に設けられてもよい。たとえば、基板収容部3は、上収容部材21の上面に設けられてもよいし、インペラ収容部2の側表面に設けられてもよい。
【0031】
また、基板収容部3は、収容壁部31と、延伸部32と、収容開口部33と、を有する。言い換えると、ハウジング110は、ハウジング基体22と、収容壁部31と、延伸部32と、をさらに有する。加えて、ハウジング110は、収容開口部33をさらに有する。なお、収容開口部33は、基板収容部3に設けられる。言い換えると、収容開口部33は、ハウジング110に設けられる。基板収容部3の各構成要素(すなわち収容壁部31、延伸部32、及び収容開口部33)の構成は後に説明する。
【0032】
次に、ハウジング110は、吸気部11と、排気部112と、を有する。吸気部111の少なくとも一部は、中心軸CAと直交する方向に延びる。また、排気部112の少なくとも一部は、中心軸CAと直交する方向に延びる。吸気部111は、吸気口111aを有する。また、排気部112は、排気口112aを有する。言い換えると、ハウジング110は、吸気口111aと排気口112aとを有する。吸気部111の一方端及び排気部112の一方端はインペラ収容部2に繋がる。吸気口111aは、吸気部111の他方端に設けられる。排気口112aは、排気部112の他方端に設けられる。吸気口111a及び排気口112aはそれぞれ、中心軸CAと直交する方向に開口する。そのため、吸気口111a及び排気口112aが軸方向に開口する構成と比べて、吸気部111内及び排気部112内の気流が滑らかに流れるため、送風装置1の送風効率が向上する。なお、吸気口111aが開口する方向と排気口112aが開口する方向とは、平行であってもよいし、図1及び図2に示すように平行でなくてもよい。
【0033】
また、排気部112は、第2方向Ax2において収容開口部33と同じ位置、又は、収容開口部33よりも第2方向Ax2の外方に配置されてもよい。排気部112は、好ましくは本実施形態のように収容開口部33よりも第2方向Ax2の内方に配置されてもよい。すなわち、排気部112は、収容開口部33よりも鉛直上方Vxuに配置されてもよい。後者の構成によれば、延伸部32の外側面を鉛直下方Vxdに向けた場合、収容開口部33が排気部112よりも鉛直下方Vxdに位置するので、収容開口部33から排出された水が、排気部112側に流れることを抑制できる。また、基板収容部3内の水が、排気部112から排出されることを抑制できる。なお、延伸部32の外側面は、第1方向Ax1と垂直な方向において基板収容部3の外部に面する延伸部32の側面である。また、延伸部32の内側面は、第1方向Ax1と垂直な方向において基板収容部3の内部に面する延伸部32の側面である。
【0034】
<1-4.蓋部の構成>
次に、モータ100は、蓋部120をさらに備える。言い換えると、送風装置1は、蓋部120をさらに備える。蓋部120は、ハウジング110に取り付けられる。本実施形態では、蓋部120は、下収容部22の軸方向下方において基板収容部3に取り付けられる。蓋部120は、基板収容部3の下端部を囲む。より具体的には、蓋部120は、収容壁部31の第1方向Ax1の蓋部120側における端部を囲む。蓋部120は、板部121と、蓋壁部122と、を有する。蓋部120は、蓋開口部123と、樋部124と、をさらに有する。蓋部120の各構成要素(すなわち板部121、蓋壁部122、蓋開口部123、及び樋部124)の構成は後に説明する。
【0035】
<1-5.インペラの構成>
次に、インペラ130の構成を説明する。図6は、軸方向下方から見たインペラ130の外観図である。なお、図6における紙面上での軸方向の上下は、たとえば図3から図5及び後述する図7とは逆になっている。すなわち、図6の上方は図3から図5及び図7の下方に対応し、図6の下方は図3から図5及び図7の上方に対応する。
【0036】
インペラ130は、モータ100の軸方向における上部に取り付けられる。なお、インペラ130は、本実施形態ではロータ102に固定されるが、この例示に限定されず、シャフト101に固定されてもよい。インペラ130は、中心軸CAを中心にして回転可能であり、中心軸CAを中心に回転することによって周方向に流れる気流を発生させる。
【0037】
インペラは130は、インペラハブ131と、インペラベース132と、を有する。より詳細に述べると、インペラ130は、インペラハブ131と、インペラベース132と、複数の羽根133と、第2リブ134と、を有する。
【0038】
インペラハブ131は、ロータ102に取り付けられる。より具体的には、ロータ102の少なくとも上端部が、インペラハブ131の内部に挿入され、インペラハブ131に固定される。インペラハブ131は、有蓋筒状である。
【0039】
インペラベース132は、インペラハブ131の径方向外端部から径方向外方に延びる。
【0040】
羽根133は、インペラベース132に設けられ、上下方向に延びる中心軸CA回りにロータ102とともに回転可能である。すなわち、インペラ130は、ロータ102に固定され、ロータ102とともに回転可能な羽根133を有する。羽根133は、上羽根133aと、下羽根133bと、を有する。
【0041】
上羽根133aは、インペラベース132から軸方向上方に突出する。上羽根133aは、インペラベース132の上面に設けられる。下羽根133bは、インペラベース132から軸方向下方に突出する。下羽根133bは、インペラベース132の下面に設けられる。インペラベース132の軸方向上方と軸方向下方とに羽根133を設けることにより、インペラ収容部2の内部における気流を軸方向において均一にすることができ、羽根133により塵埃をインペラ収容部2の内部から排出し易くなる。また、羽根133の強度が向上する。
【0042】
上羽根133aの径方向内端部及び下羽根133bの径方向内端部は、インペラハブ131に接続される。上羽根133aの径方向外端部及び下羽根133bの径方向外端部は、それぞれ径方向外方に延びる。
【0043】
上羽根133a及び下羽根133bは、それぞれ、周方向に複数配置される。周方向において、各々の上羽根133aは、隣り合う下羽根133bの間に位置する。言い換えると、軸方向から見て、上羽根133a及び下羽根133bはそれぞれ周方向に交互に配置される。この配置では、周方向における同一の位置において、インペラベース132の軸方向の上方及び下方において上羽根133aが空気を排出するタイミングと下羽根133bが空気を排出するタイミングとがずれるため、上羽根133a及び下羽根133bによって塵埃をインペラ収容部2の内部からより排出し易くなる。
【0044】
第2リブ134は、対向面22aに向かって軸方向下方に突出し、周方向に延びる。対向面22aの構成は、後に説明する。
【0045】
<1-6.ハウジング基体及びインペラ間のラビリンス構造>
次に、ロータ102よりも径方向外方におけるハウジング基体22の上面とインペラ130の下端部との間のラビリンス構造の構成を説明する。図7は、ハウジング基体22及びインペラ130間のラビリンス構造を拡大した断面図である。なお、図7は、図3において破線で囲まれた部分の断面構造に対応する。
【0046】
本実施形態では、ハウジング基体22が、対向面22aと、第1リブ221と、第3リブ222と、を有する。言い換えると、ハウジング110は、対向面22aと、第1リブ221と、第3リブ222と、を有する。対向面22aは、インペラ収容部2の一部であり、ハウジング基体22の上面に含まれる。対向面22aは、インペラ130よりも軸方向下方に配置され、インペラ130と軸方向に対向する。すなわち、対向面22aは、インペラ収容部2の一部であって、インペラ130よりも軸方向下方に配置され、インペラ130と軸方向に対向する。第1リブ221及び第3リブ222は、対向面22aに設けられる。第1リブ221及び第3リブ222は、モータ100の径方向外方に配置される。すなわち、ハウジング110は、インペラ収容部2と、対向面22aと、第1リブ221と、を有する。第1リブ221は、対向面22aに設けられる。
【0047】
第1リブ221は、羽根133の径方向内端よりも径方向内方に位置する。また、第3リブ222は、羽根133の径方向内端よりも径方向内方に位置する。そのため、羽根133と対向面22aとが軸方向に対向する領域において第1リブ221及び第3リブ222が突出する構成よりも、モータ100に向かって径方向に流れる気流を抑え易くなる。従って、送風装置1の防塵性と送風効率とをより効果的に向上させることができる。
【0048】
第1リブ221は、対向面22aからインペラ130に向かって軸方向上方に突出し、周方向に延びる。インペラ130の下端部とハウジング110の対向面22aとの間において、第1リブ221が設けられることにより、モータ100に向かって径方向に流れる気流を第1リブ221で抑制することができる。従って、インペラ収容部2の内部を流れる塵埃がモータ100に達してその内部に進入し難くなる。よって、送風装置1の防塵性を向上することができる。さらに、径方向内方に向かって流れる気流を抑制することにより、気流がより周方向に流れやすくなる。従って、送風装置1の送風効率を向上させることもできる。
【0049】
第3リブ222は、第1リブ221よりも径方向内方に設けられる。第3リブ222は、第1リブ221よりも径方向内方において、対向面22aからインペラ130に向かって軸方向上方に突出し、周方向に延びる。そのため、インペラ130の下部と対向面22aとの間に、第1リブ221及び第3リブ222によるラビリンス構造を設けることができる。該ラビリンス構造によってモータ100に向かって径方向に流れる気流を抑制できるので、送風装置1の防塵性と送風効率とをさらに向上させることができる。
【0050】
第3リブ222の上端は、第1リブ221の上端よりも軸方向上方に位置する。より具体的には、第3リブ222の少なくとも一部は、第1リブ221の少なくとも一部と軸方向位置が同一である。言い換えると、径方向から見て、第3リブ222の一部は、第1リブ221の少なくとも一部と重なる。そのため、第1リブ221及び第3リブ222によるラビリンス構造により、インペラ130の下端部とハウジング110の対向面22aとの間においてモータ100に向かって径方向に流れる気流を抑制できる。
【0051】
軸方向において、インペラ130と第1リブ221の上端部との間隔doは、インペラ130と第3リブ222の上端部との間隔diよりも広い(図7参照)。そのため、インペラ130の回転軸がぶれて中心軸CAに対して径方向にわずかに傾いても、インペラ130が第1リブ221と第3リブ222との間隙を適切に保つことができる。
【0052】
また、径方向において、第1リブ221と第3リブ222との間には、インペラ130の第2リブ134が配置される。第2リブ134の少なくとも一部は、第1リブ221よりも径方向内方において第1リブ221の少なくとも上端部と径方向に対向し、第3リブ222よりも径方向外方において第3リブ222の少なくとも一部と径方向に対向する。そのため、インペラ130の下端部とハウジング110の対向面22aとの間に、第1リブ221及び第3リブ222と第2リブ134とによるラビリンス構造を設けることができる。従って、該ラビリンス構造によってモータ100に向かって径方向に流れる気流をさらに抑制できる。よって、送風装置1の防塵性と送風効率とをさらに向上させることができる。
【0053】
<1-7.基板収容部の構成要素の構成>
次に、基板収容部3の各構成要素の構成を説明する。前述の如く、基板収容部3は、収容壁部31と、延伸部32と、収容開口部33と、を有する。
【0054】
<1-7-1.収容壁部の構成>
収容壁部31は、ハウジング110の下端部において軸方向下方に突出し、回路基板105を囲む(前述の図2から図5参照)。本実施形態では、収容壁部31は、ハウジング基体22から蓋部120に向かう第1方向Ax1に延び、回路基板105を囲む。軸方向下方に突出する収容壁部31が回路基板105を囲むことにより、回路基板105に対する防塵性を向上させることができる。
【0055】
収容開口部33の近傍において、収容壁部31は、第2方向Ax2の外方に向かうにつれて収容開口部33に近づく方向に延びる(前述の図2参照)。この構成によれば、第1方向Ax1から見て、収容開口部33近傍において、収容壁部31が収容開口部33を挟んで漏斗状となる。そのため、基板収容部3の内部の水を効率よく、収容開口部33に誘導できる。
【0056】
<1-7-2.延伸部の構成>
次に、延伸部32の構成を説明する。図8は、収容開口部33の近傍における断面構造の一例を示す図である。なお、図8は、図5の破線で囲まれた部分に対応する。延伸部32は、図8に示すように、ハウジング基体22から第1方向Ax1の蓋部120側に延びる。
【0057】
延伸部32は、好ましくは本実施形態のようにハウジング基体22と同じ部材の一部である。但し、延伸部32は、ハウジング基体22とは別の部材であってもよい。延伸部32とハウジング基体22とを一体構造にすることにより、部品点数が少なくなり、ハウジング110を成型する際にハウジング基体22を延伸部32と同時に成型することができる。従って、製造工程数を低減できるので、製造コストの低減及び量産性の向上に有用である。
【0058】
また、延伸部32は、好ましくは本実施形態のように収容壁部31と同じ部材の一部である。但し、延伸部32は、収容壁部31とは別の部材であってもよい。さらに、延伸部32は、本実施形態では収容壁部31とは別の構成要素であるが、この例示に限定されず、収容壁部31の一部であってもよい。延伸部32と収容壁部31とを一体構造にすることにより、量産性が向上する。さらに、延伸部32が収容壁部31とは別体である場合に比べて、水が延伸部32と収容壁部31との隙間に侵入することを抑制できる。
【0059】
<1-7-3.延伸部の他の構成>
なお、延伸部32の構成は、図8の例示に限定されない。図9Aは、収容開口部33の近傍における断面構造の第1変形例を示す図である。図9Bは、収容開口部33の近傍における断面構造の第2変形例を示す図である。図9Cは、収容開口部33の近傍における断面構造の第3変形例を示す図である。なお、図9Aから図9Cは、図5の破線で囲まれた部分に対応する。
【0060】
<1-7-3-1.延伸部の第1変形例>
たとえば、延伸部32の内側面は、図9Aに示すように、第1方向Ax1の蓋部120側に向かうにつれて第2方向Ax2の外方に向かう面32aを含んでいてもよい。ここで、延伸部32の内側面は、第2方向Ax2の内方を向く面である。なお、面32aは、平面形状を有する傾斜面であってもよいし、曲面であってもよい。また、曲面である場合、面32aは、第2方向Ax2の内方に向かって膨らむ曲面であってもよいし、第2方向Ax2の外方に向かって反る曲面であってもよい。この構成によれば、延伸部32の外側面を鉛直下方Vxdに向けて基板収容部3の内部の水を排出する際、より確実に、延伸部32の第1方向Ax1の蓋部120側における端部に設けられる収容開口部33に水を誘導することができる。
【0061】
<1-7-3-2.延伸部の第2変形例>
また、たとえば、延伸部32は、図9Bに示すように、突出部321を有してもよい。突出部321は、延伸部32の第1方向Ax1の蓋部120側における端部において、第2方向Ax2の外方に突出する。言い換えると、延伸部32の第1方向Ax1の蓋部側における先端は、第2方向Ax2の外方に曲がっていてもよい。この構成によれば、延伸部32の外側面を鉛直下方Vxdに向けて基板収容部3の内部の水を排出する際、延伸部32の第1方向Ax1における端部に達した水を、突出部321の先端に誘導できる。従って、水は、ハウジング110のハウジング基体22の表面を伝って流れ落ちることなく、突出部321の先端から鉛直下方Vxdに滴り落ちるようにできる。
【0062】
<1-7-3-3.延伸部の第3変形例>
さらに、突出部321は、図9Cに示すように、第1方向Ax1に長手方向Lxを有してもよい。言い換えると、突出部321は、第1方向Ax1のハウジング基体側に延びてもよい。この構成によれば、突出部321によって延伸部32を補強することができる。
【0063】
<1-7-4.収容開口部の構成>
次に、収容開口部33の構成を説明する。図10は、収容開口部33の一例を示す図である。なお、図10は、図2の一点鎖線F-Fにおいて第2方向Axから収容開口部33を見た図であり、ハウジング基体22、及び基板収容部3の構成要素以外の図示を省略している。
【0064】
収容開口部33は、第1方向Ax1と直交する第2方向Ax2に開口し、収容壁部31の内側と外側とを連通する。収容開口部33は、ハウジング基体22よりも第1方向Ax1の蓋部120側に設けられる。収容開口部33は、収容壁部31とともに回路基板105を囲む延伸部32の第1方向Ax1における端部に設けられ、第1方向Ax1と直交し且つ延伸部32の内側面側から外側面側に向かう第2方向Ax2において基板収容部3の内部から外部に連通する。従って、延伸部32の外側面を鉛直下方Vxdに向けることにより、収容開口部33から基板収容部3の内部の水を外部に排出することができる。また、排出する水は、延伸部32の第1方向Ax1における端部から鉛直下方Vxdに滴り落ち易いため、ハウジング110のハウジング基体22の表面を伝って流れ落ち難くなる。よって、回路基板105を収容する空間内の水を所望の経路で排出できる。
【0065】
図10に示すように、収容開口部33の第1方向Ax1の蓋部120側の端部は、第1方向Ax1において、収容壁部31の第1方向Ax1の蓋部120側における端部と同じ位置にあり、言い換えると、基板収容部3の第1方向Ax1の蓋部120側の端部から第1方向Ax1のハウジング基体側に凹む。収容開口部33の第1方向Ax1のハウジング基体側の端部は、延伸部32の第1方向Ax1の蓋部120側の端部に接する。また、第1方向及び第2方向と直交する方向の両側における収容開口部33の端部は、収容壁部31に接する。
【0066】
<1-7-5.収容開口部の他の構成>
なお、収容開口部33の構成は、図10の例示に限定されない。図11Aは、収容開口部33の第1変形例を示す図である。図11Bは、収容開口部33の第2変形例を示す図である。なお、図11A及び図11Bは、図2の一点鎖線F-Fにおいて第2方向Axから収容開口部33を見た図であり、ハウジング基体22、及び基板収容部3の構成要素以外の図示を省略している。
【0067】
たとえば、第1方向Ax1から見た収容開口部33の形状は、図10では矩形であるが、この例示に限定されず、図11Aに示すように矩形でなくてもよい。また、収容開口部33の第1方向Ax1のハウジング基体側の端部の一部は延伸部32の第1方向Ax1の蓋部120側の端部に接し、他の一部は図11Aのように収容壁部31の第1方向Ax1の蓋部120側の端部に接してもよい。
【0068】
また、収容開口部33の第1方向Ax1の蓋部120側の端部は、図11Bに示すように、第1方向Ax1において、収容壁部31の第1方向Ax1の蓋部120側における端部から離れていてもよい。
【0069】
<1-8.蓋部の各構成要素の構成>
次に、図8を参照して、蓋部120の各構成要素の構成を説明する。前述の如く、蓋部120は、板部121と、蓋壁部122と、蓋開口部123と、樋部124と、を有する。
【0070】
板部121は、回路基板105よりも第1方向Ax1の蓋部120側に配置され、第1方向Ax1と垂直な方向に広がる。板部121は、基板収容部3の第1方向Ax1の蓋部120側における端部を覆い、より具体的には基板収容部3の収容壁部31の第1方向Ax1の蓋部120側における端部により形成される開口(不図示)を覆う。
【0071】
蓋壁部122は、板部121の外縁部から第1方向Ax1のハウジング基体22側に延びる。蓋壁部122は、基板収容部3の収容壁部31の第2方向Ax2の外側端部を囲う。蓋壁部122は、第1方向Ax1から見て基板収容部3の外側に位置する。
【0072】
蓋開口部123は、蓋壁部122に設けられる。蓋開口部123は、第2方向Ax2に開口し、蓋壁部122の内側と外側とを連通する。すなわち、蓋壁部122には、第2方向Ax2に開口する蓋開口部123が設けられる。第2方向Ax2から見て、蓋開口部123は、収容開口部33の少なくとも一部と重なり、特に、収容開口部33の第1方向Ax1のハウジング基体側における縁部と重なる。
【0073】
樋部124は、基板収容部2の内部から外部に収容開口部33及び蓋開口部123を介して流れる水を導く排水経路である。樋部124は、底部124aと、側部124bと、底開口部124cと、を有する。底部124aは、第2方向Ax2に延びる板状である。側部124bは、第1方向Ax1及び第2方向Ax2と直交する方向の両側における底部124aの端部から第1方向Ax1に突出し、第2方向Ax2に延びる。底部124a及び側部124bは、第1方向Ax1のハウジング基体側に凹み且つ第2方向Ax2に延びる排水経路を構成する。該排水経路の先には、たとえば貯水槽などが設けられる。
【0074】
また、底開口部124cは、底部124aに設けられる。底開口部124cは、底部124aの第2方向Ax2の外方に凹む。底開口部124cは、金型を用いた蓋部120の成型をより容易にするために設けられており、蓋開口123と繋がる。底開口部124cを底部124aに設けることにより、金型を第1方向Ax1の蓋部120側とハウジング基体側とに抜くことができる。
【0075】
なお、本実施形態では、底開口部124cには、蓋開口部123が繋がっているが、この例示に限定されない。図12は、収容開口部33の近傍における断面構造の変形例を示す図である。図12は、図5の破線で囲まれた部分に対応する。
【0076】
図12に示すように、収容開口部33は、底開口部124cと繋がっておらず、第1方向Ax1において底部124aから離れていてもよい。より具体的には、収容開口部33の第1方向Ax1のハウジング基体側における縁部は、第1方向Ax1において底部124aから間隔を有して設けられてもよい。つまり、この際、底開口部124cは、底部124aに設けられてもよいが、底部124aに設けられなくてもよい。
【0077】
この際、延伸部32の外側面の第1方向Ax1の蓋部120側における端部は、図12に示すように、蓋開口部123における第1方向Ax1のハウジング基体側の縁部よりも第1方向Ax1のハウジング基体側に配置される。この構成によれば、延伸部32の外側面を鉛直下方Vxdに向けて基板収容部3の内部の水を排出する際、延伸部32の第1方向Ax1の蓋部120側における端部に達した水が、延伸部32の外側面を伝わり難くなる。従って、水が、ハウジング110のハウジング基体22の表面に流れ難くなる。
【0078】
さらに、蓋壁部122の少なくとも一部は、図12のように、第2方向Ax2において延伸部32の第2方向Ax2における外側面と接する。ここで、蓋壁部122の当該少なくとも一部には、蓋開口部33が設けられる。この構成によれば、基板収容部3の内部の水を基板収容部3及び蓋部120の外部に排出する機構を簡易な構成で実現できる。
【0079】
<1-9.接続線の構成>
次に、接続線4の構成を説明する。図13は、蓋部120と基板収容部3との間における断面構造の拡大図である。なお、図13は、図4において破線で囲まれた部分の断面構造に対応する。
【0080】
回路基板105と電気的に接続される接続線4は、基板収容部3の内部から外部に引き出される。該接続線4は、基板収容部3と、基板収容部3の下端部を囲む蓋部120との間にて軸方向に狭持される。そのため、この狭持箇所における接続線4と基板収容部3又は蓋部120との間の隙間がより小さくなるので、基板収容部3の内部への塵埃の進入を抑制できる。従って、モータ100の防塵性を向上させることができる。
【0081】
接続線4は、図13に示すように、第1線部41と、第2線部42と、第3線部43と、を有する。
【0082】
接続線4は、上述のように、第1線部41を有する。第1線部41は、中心軸CAと直交する方向Exに延びる。第1線部41は、基板収容部3と蓋部120との間にて軸方向に狭持される。第1線部41は、基板収容部3の内部から外部に引き出され、基板収容部3と蓋部120との間にて軸方向に狭持される。より具体的には、第1線部41は、収容壁部31の下面と蓋部120の上面との間にて軸方向に狭持される。なお、蓋部120の上面は、板部121の上面である。そのため、この狭持箇所において、回路基板105を囲む収容壁部31の内部から外部に引き出される接続線4の第1線部41と、基板収容部3の収容壁部31又は蓋部120との間の隙間がより小さくなる。従って、基板収容部3の内部への塵埃の進入を抑制できる。よって、回路基板105に対するモータ100の防塵性を向上させることができる。
【0083】
収容壁部31の下端部は、回路基板105よりも軸方向下方に配置される。そのため、収容壁部31とともに第1線部41を狭持する蓋部120の形状が複雑にならないようにすることができる。つまり、シンプルな形状を有する収容壁部31と蓋部120とによって、第1線部41を狭持できる。
【0084】
次に、接続線4は、第2線部42と、第3線部43と、をさらに有する。第2線部42は、回路基板105と電気的に接続される。第2線部42は、回路基板105から軸方向下方に延びる。第2線部42は、軸方向から見て基板収容部3の収容壁部31の内側において第1線部41の一方端に接続される。本実施形態では、第2線部42は、第1線部41の径方向内端部に接続される。第2線部42は、第1線部41が延びる方向において収容壁部31と間隔を介して配置される。そのため、第2線部42は、その動きを制限されることなく撓んだ状態となる。従って、回路基板105と接続線4との接続箇所に、収容壁部31及び蓋部120間での第1線部41の狭持に起因する応力が作用し難くなる。
【0085】
第3線部43は、軸方向から見て基板収容部3の収容壁部31の外側において、第1線部41の他方端から軸方向上方に延びる。本実施形態では、第3線部43は、第1線部41の径方向外端部から軸方向上方に延びる。
【0086】
また、第3線部43は、第1線部41が延びる方向Exにおいて、収容壁部31の外側面と蓋壁部122の内側面との間に狭持される。なお、収容壁部31、蓋壁部122の外側面はそれぞれ、第1線部41が延びる方向Exにおいて基板収容部3の外部に面する収容壁部31、蓋壁部122の側面である。この構成によれば、第3線部43を収容壁部31及び蓋部120の間に固定できるので、たとえば軸方向と垂直な方向に接続線4が引っ張られた場合でも、第1線部41が延びる方向Exにおいて大きな応力が第1線部41に作用することを防止できる。また、この固定箇所における第3線部43と収容壁部31又は蓋部120との間の隙間をより小さくできる。従って、基板収容部3の内部への塵埃の進入をより抑えることができる。
【0087】
第1線部41、第2線部42、及び第3線部43がこのように接続されることにより、回路基板105に接続された接続線4が、第1線部41が延びる方向Exにおいて、第2線部42と第3線部43との間に収容壁部31が位置するように曲がった状態で設けられる。従って、回路基板105と接続線4との間の接続箇所に作用する応力をさらに抑えることができる。なお、第1線部41、第2線部42、及び第3線部43は、電気的にも接続されている。
【0088】
第3線部43の軸方向長さL3は、蓋壁部122とハウジング110との軸方向における間隔Lc以下である。たとえば図13のようにL3≦Lcとなるため、蓋壁部122とハウジング110との間に接続線4をモータ100の外部に引き出すスペースを確保しつつ、蓋壁部122とハウジング110の下端部との間において第3線部43に作用する応力が大きくなり過ぎないようにすることができる。
【0089】
また、第1線部41が延びる方向Exにおける基板収容部3の外部にて、接続線4の第3線部43の両側は、蓋壁部122と接していなくてもよいが、好ましくは図14のように蓋壁部122と接する。図14は、基板収容部3の外部に引き出される接続線4を第1線部41が延びる方向Exから見た図である。図14は、図2の一点鎖線C-C及び図13の一点鎖線D-Dに沿う仮想の平面で蓋部120及び接続線4を切断した場合の断面構造を示す。
【0090】
第1線部41が延びる方向Exから見て、第1線部41が延びる方向Exにおける基板収容部3の外部にて、蓋壁部122は、好ましくは方向Cxの少なくとも片側において接続線4と接し、さらに好ましく図14のように方向Cxの両側において接続線4と接する。ここで、方向Cxは、第1線部41が延びる方向Exと軸方向とに垂直な方向である。つまり、第1線部41が延びる方向Exにおける基板収容部3の外部にて、蓋壁部122は、第1線部41が延びる方向Exと軸方向とに垂直な方向Cxにおいて接続線4と接する。このようにすれば、第1線部41の狭持箇所の近傍において、接続線4と蓋壁部122との方向Cxにおける隙間を狭くすることができる。たとえば、方向Cxにおいて、第1線部41と蓋壁部122との隙間、又は、第3線部43と蓋壁部122との隙間を狭くすることができる。従って、基板収容部3の内部への塵埃の進入をさらに抑制できる。
【0091】
<2.その他>
以上、本発明の実施形態について説明した。なお、本発明の範囲は上述の実施形態に限定されない。本発明は、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。また、上述の実施形態で説明した事項は、矛盾を生じない範囲で適宜任意に組み合わせることができる。
【0092】
本実施形態では、シャフト101は、ロータ102とともに回転可能な回転軸であったが、この例示に限定されず、ステータ103に取り付けられる固定軸であってもよい。なお、シャフト101が固定軸である場合、ロータ102には、シャフト101との間にベアリング(不図示)が設けられる。また、モータ100は、本実施形態ではアウターロータ型であるが、この例示に限定されず、インナーロータ型であってもよい。
【0093】
また、本実施形態では、ハウジング110及び蓋部120は、モータ100の構成要素となっているが、この例示には限定されない。ハウジング110及び蓋部120は、送風装置1の構成要素であって、モータ100とは別の部材であってよい。
【0094】
また、本実施形態では、送風装置1は、本実施形態では渦流ファンであるが、この例示に限定されず、遠心ファンなどの他の送風装置であってもよい。また、本発明の送風装置1は、本実施形態ではエアコンなどの空気調和機に搭載されるが、この例示に限定されず、他の機器に搭載されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明は、たとえば、ハウジングに基板収容部が設けられるモータ、及び、当該モータを有する送風装置に有用である。
【符号の説明】
【0096】
1・・・送風装置、100・・・モータ、101・・・シャフト、102・・・ロータ、103・・・ステータ、103a・・・基板ホルダ、104・・・ベアリング、105・・・回路基板、110・・・ハウジング、111・・・吸気部、111a・・・吸気口、112・・・排気部、112a・・・排気口、120・・・蓋部、121・・・板部、122・・・蓋壁部、123・・・蓋開口部、124・・・樋部、124a・・・底部、124b・・・側部、124c・・・底開口部、130・・・インペラ、131・・・インペラハブ、132・・・インペラベース、133・・・羽根、133a・・・上羽根、133b・・・下羽根、134・・・第2リブ、2・・・インペラ収容部、21・・・上収容部材、22・・・ハウジング基体、22a・・・対向面、221・・・第1リブ、222・・・第3リブ、3・・・基板収容部、31・・・収容壁部、32・・・延伸部、32a・・・傾斜面、321・・・突出部、33・・・収容開口部、4・・・接続線、41・・・第1線部、42・・・第2線部、43・・・第3線部、CA・・・中心軸、Ex・・・第1線部が延びる方向、Cx・・・第1線部が延びる方向と軸方向とに垂直な方向、Ax1・・・第1方向、Ax2・・・第2方向、Ax3・・・第3方向、Vx・・・鉛直方向、Vxu・・・鉛直上方、Vxd・・・鉛直下方、Lx・・・長手方向
図1
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