(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-22
(45)【発行日】2022-03-30
(54)【発明の名称】包装箱
(51)【国際特許分類】
B65D 5/64 20060101AFI20220323BHJP
【FI】
B65D5/64 D
(21)【出願番号】P 2018071793
(22)【出願日】2018-04-03
【審査請求日】2020-07-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤田 邦彦
【審査官】吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-013664(JP,A)
【文献】登録実用新案第3185371(JP,U)
【文献】実開平02-135443(JP,U)
【文献】特開2004-051141(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/64
B65D 5/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面が開口した箱体と、前記箱体の上部に被せる蓋体と、を有する包装箱であって、
前記箱体は、
底板と、
前記底板の外周縁部に連設された筒状の箱側周壁部と、を備え、
前記箱側周壁部には、箱側開口部が形成されるとともに、前記箱側開口部の上縁部に罫線を介して連設された箱側係合片が設けられ、前記箱側係合片は、前記箱側周壁部において前記箱側開口部の内部を切り抜いた部位であり、
前記蓋体は、
頂板と、
前記頂板の外周縁部に連設された筒状の蓋側周壁部と、を備え、
前記蓋側周壁部には、蓋側開口部が形成されるとともに、前記蓋側開口部の下縁部に罫線を介して連設された蓋側係合片が設けられ、前記蓋側係合片は、前記蓋側周壁部において
前記蓋側開口部の内部を切り抜いた部位であり、
前記蓋体を前記箱体の上部に被せた状態では、前記蓋側周壁部が前記箱側周壁部に外嵌され、前記蓋側開口部の上縁部が前記箱側開口部の下縁部の下方に配置されており、前記蓋側係合片が前記箱側係合片の下方に配置されることを特徴とする包装箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装箱に関する。
【背景技術】
【0002】
上面が開口した箱体と、箱体に被せる蓋体と、を有する包装箱としては、蓋体を箱体に被せたときに、蓋体の側壁に形成された係合片を、箱体の側壁に形成された係合穴に差し込むことで、蓋体を箱体に保持させているものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記した従来の包装箱では、蓋体の係合片を箱体の係合穴に対して上方から差し込んでいるため、蓋体が強く引き上げられたときに、係合片が係合穴から抜け易いという問題がある。
【0005】
本発明は、前記した問題を解決し、蓋体が引き上げられたときに、蓋体が箱体から外れるのを確実に防ぐことができる包装箱を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明は、上面が開口した箱体と、前記箱体の上部に被せる蓋体と、を有する包装箱である。前記箱体は、底板と、前記底板の外周縁部に連設された筒状の箱側周壁部と、を備えている。前記箱側周壁部には、箱側開口部が形成されるとともに、前記箱側開口部の上縁部に罫線を介して連設された箱側係合片が設けられている。前記箱側係合片は、前記箱側周壁部において前記箱側開口部の内部を切り抜いた部位である。前記蓋体は、頂板と、前記頂板の外周縁部に連設された筒状の蓋側周壁部と、を備えている。前記蓋側周壁部には、蓋側開口部が形成されるとともに、前記蓋側開口部の下縁部に罫線を介して連設された蓋側係合片が設けられている。前記蓋側係合片は、前記蓋側周壁部において前記蓋側開口部の内部を切り抜いた部位である。前記蓋体を前記箱体の上部に被せた状態では、前記蓋側周壁部が前記箱側周壁部に外嵌され、前記蓋側開口部の上縁部が前記箱側開口部の下縁部の下方に配置され、前記蓋側係合片が前記箱側係合片の下方に配置される。
【0007】
本発明の包装箱では、蓋体を箱体の上部に被せる前に、箱体の箱側係合片を箱側周壁部の外方に向けて押し出しておくとともに、蓋体の蓋側係合片を蓋側周壁部の内方に向けて押し出しておく。この状態で、蓋体を箱体の上部に被せると、外方に向けて斜め下向きに突出している箱側係合片の下方に、内方に向けて斜め上向きに突出している蓋側係合片が配置されることになる。これにより、蓋体が引き上げられたときには、箱側係合片の下面に蓋側係合片が引っ掛かることで、蓋体の上方への移動が規制されるため、蓋体が箱体から外れるのを確実に防ぐことができる。
【0008】
また、箱側係合片は、斜め下向きに突出しているため、蓋体を箱体に被せるときに、下方に向けて移動する蓋側周壁部が箱側係合片に引っ掛かるのを防ぐことができ、蓋体を箱体に対してスムーズに被せることができる。
【0009】
また、蓋側係合片および箱側係合片は箱体の外側に配置されるため、蓋側係合片および箱側係合片が箱体の内容物に接触するのを防ぐことができる。
【0010】
前記した包装箱では、前記箱側係合片が前記箱側周壁部において前記箱側開口部の内部を切り抜いた部位であるとともに、前記蓋側係合片が前記蓋側周壁部において前記蓋側開口部の内部を切り抜いた部位であるため、包装箱のブランクシートを形成し易くなる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の包装箱では、蓋体が引き上げられたときに、箱側係合片に蓋側係合片が引っ掛かるため、蓋体が箱体から外れるのを確実に防ぐことができる。
また、蓋体を箱体に被せるときに、蓋側周壁部が箱側係合片に引っ掛かるのを防ぐことができるため、蓋体を箱体に対してスムーズに被せることができる。
また、蓋側係合片および箱側係合片が箱体の内容物に接触するのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態に係る包装箱を右上前方から見た斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る包装箱において、蓋体を箱体に被せる段階を示した斜視図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る包装箱において、蓋体を箱体に被せる段階を示した断面図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る包装箱において、蓋体を箱体に被せた状態を示した側面図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る包装箱において、蓋体を箱体に被せた状態を示した断面図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る包装箱において、蓋体が引き上げられた状態を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
以下の説明において、前後左右方向とは、本実施形態の包装箱を説明する上で便宜上設定したものであり、包装箱の構成を限定するものではない。
【0014】
本実施形態の包装箱1は、
図1に示すように、上面が開口した箱体10と、箱体10の上部に被せる蓋体20と、を有している。
箱体10および蓋体20は、段ボール製のシートを切り抜いたブランクシートを罫線(折線)において山折りまたは谷折りすることで形成される。なお、罫線に切れ込みを形成した場合には、罫線においてブランクシートを折り曲げ易くなる。
【0015】
箱体10は、四角形の底板11と、底板11の外周縁部に連設された角筒状の箱側周壁部12と、を備えている。
【0016】
箱側周壁部12は、底板11の前後左右の縁部に連設された前後左右の側壁12aを備えている。各側壁12aは、四角形に形成されており、底板11の縁部から上方に向けて垂直に延びている。
【0017】
蓋体20は、四角形の頂板21と、頂板21の外周縁部に連設された角筒状の蓋側周壁部22と、を備えている。
蓋側周壁部22は、頂板21の前後左右の縁部に連設された前後左右の側壁22aを備えている。側壁22aは、頂板21の縁部に沿って帯状に形成されており、頂板21の縁部から下方に向けて垂直に延びている。
【0018】
図4に示すように、蓋体20を箱体10に被せたときには、蓋側周壁部22が箱側周壁部12の上部に外嵌され、頂板21の下面が箱側周壁部12の上縁部に当接する。これにより、蓋体20によって箱体10の上側の開口部が塞がれる。
【0019】
図1に示すように、頂板21の前後左右の寸法は、箱体10の底板11の前後左右の寸法よりも僅かに大きく形成されている。したがって、蓋側周壁部22を箱側周壁部12の上部に外嵌したときには、蓋側周壁部22の内周面と箱側周壁部12の外周面との間に隙間が形成される。
【0020】
次に、本実施形態の包装箱1において、蓋体20と箱体10とを連結する構造について説明する。
本実施形態の包装箱1では、蓋体20を箱体10に被せた状態から蓋体20が引き上げられたときに、箱体10の箱側係合片16に蓋体20の蓋側係合片26が係合することで、蓋体20が箱体10から外れないように構成されている。
【0021】
箱体10の箱側周壁部12には、左右の箱側開口部15,15が形成されている。左右の箱側開口部15,15は、箱側周壁部12の左右の側壁12a,12aの上部にそれぞれ形成されている。
箱側開口部15は、箱側周壁部12の側壁12aを貫通している。箱側開口部15は、箱体10のブランクシートを持ち運ぶときに手を掛けるための手掛け穴である。
【0022】
左右の箱側開口部15,15は、左右対称な位置に配置されている。また、左右の箱側開口部15,15は、同じ形状に形成されている。
箱側開口部15は、
図2に示すように、側壁12aの上縁部に沿って前後方向に延びている長穴である。箱側開口部15の前後の端部は半円形状に形成されている。
【0023】
箱側開口部15の上縁部15aには、罫線を介して箱側係合片16の上縁部が連設されている。箱側係合片16は、ブランクシートに箱側開口部15を形成するときに、箱側開口部15の上縁部以外を切断刃で切断することで形成された長円形の部位である。
このように、箱側係合片16は、箱側周壁部12において、箱側開口部15の内部を切り抜いた部位である。したがって、
図1に示すように、ブランクシートから箱体10を組み立てたときには、箱側開口部15は箱側係合片16によって塞がれている。
【0024】
蓋体20の蓋側周壁部22には、左右の蓋側開口部25,25が形成されている。左右の蓋側開口部25,25は、蓋側周壁部22の左右の側壁22a,22aの上部にそれぞれ形成されている。
蓋側開口部25は、蓋側周壁部22の側壁22aを貫通している。蓋側開口部25は、蓋体20のブランクシートを持ち運ぶときに手を掛けるための手掛け穴である。
【0025】
左右の蓋側開口部25,25は、左右対称な位置に配置されている。また、左右の蓋側開口部25,25は、同じ形状に形成されている。
蓋側開口部25は、
図2に示すように、箱側開口部15と同じ形状および大きさの長穴であり、側壁22aの下縁部に沿って前後方向に延びている。
【0026】
蓋側開口部25の下縁部25aには、罫線を介して蓋側係合片26の下縁部が連設されている。蓋側係合片26は、ブランクシートに蓋側開口部25を形成するときに、蓋側開口部25の下縁部以外を切断刃で切断することで形成された長円形の部位である。
このように、蓋側係合片26は、蓋側周壁部22において、蓋側開口部25の内部を切り抜いた部位である。したがって、
図1に示すように、ブランクシートから蓋体20を組み立てたときには、蓋側開口部25は蓋側係合片26によって塞がれている。
【0027】
包装箱1では、
図4に示すように、蓋体20を箱体10の上部に被せたときに、箱側開口部15と蓋側開口部25とが上下に並設される。
さらに、包装箱1では、蓋体20を箱体10の上部に被せたときに、蓋側開口部25が箱側開口部15の下方に配置されるように構成されている。つまり、包装箱1では、箱側周壁部12の上縁部から箱側開口部15の
下縁部までの高さL1よりも、蓋側周壁部22の上縁部から蓋側開口部25の上縁部までの高さL2が僅かに大きくなっている。
【0028】
次に、本実施形態の包装箱1において、蓋体20を箱体10に被せる手順について説明する。
本実施形態の包装箱1では、箱体10および蓋体20が左右対称な構成であるため、以下の説明では、箱体10および蓋体20の右側について詳細に説明し、箱体10および蓋体20の左側については省略する。
【0029】
まず、
図2に示すように、蓋体20を箱体10に被せる前に、箱体10の箱側係合片16を箱側周壁部12の外方に向けて押し出す。このとき、箱側係合片16は、箱側開口部15の上縁部15a(罫線)において外方に向けて折れ曲がる。これにより、箱側係合片16は、
図3に示すように、箱側開口部15の上縁部15aから外方に向けて斜め下向きに突出した状態となる。
【0030】
また、
図2に示すように、蓋体20の蓋側係合片26を蓋側周壁部22の内方に向けて押し出す。このとき、蓋側係合片26は、蓋側開口部25の下縁部25a(罫線)において内方に向けて折れ曲がる。これにより、蓋側係合片26は、
図3に示すように、蓋側開口部25の下縁部25aから内方に向けて斜め上向きに突出した状態となる。
【0031】
図4に示すように、蓋体20を箱体10の上部に被せると、蓋側開口部25と箱側開口部15とが上下方向に並設される。
そして、蓋体20の頂板21の下面が箱体10の箱側周壁部12の上縁部に当接した状態では、蓋側開口部25が箱側開口部15の下方に配置される。
また、
図5に示すように、蓋側周壁部22の内面と箱側周壁部12の外面との間では、蓋側係合片26と箱側係合片16とが上下方向に並設され、蓋側係合片26が箱側係合片16の下方に配置される。
【0032】
蓋体20を箱体10に被せた後に、箱体10に対して蓋体20が引き上げられたときには、
図6に示すように、蓋側係合片26が上方に移動する。このとき、外方に向けて斜め下向きに突出している箱側係合片16の下面に、内方に向けて斜め上向きに突出している蓋側係合片26が引っ掛かる。これにより、箱体10に対する蓋体20の上方への移動が規制される。
【0033】
蓋体20を箱体10から取り外す場合には、
図4に示すように、蓋側係合片26が箱側係合片16の下方に配置された状態で、蓋側係合片26を蓋側周壁部22の外方に引き出す。これにより、箱体10に対して蓋体20を引き上げたときに、蓋側係合片26が箱側係合片16に引っ掛からないため、蓋体20を箱体10から取り外すことができる。
【0034】
以上のような包装箱1では、
図6に示すように、蓋体20が引き上げられたときに、蓋側係合片26が箱側係合片16に引っ掛かることで、蓋体20の上方への移動が規制されるため、蓋体20が箱体10から外れるのを確実に防ぐことができる。
【0035】
また、包装箱1では、
図3に示すように、箱側係合片16が斜め下向きに突出しているため、蓋体20を箱体10に被せるときに、下方に向けて移動する蓋側周壁部22が箱側係合片16に引っ掛かるのを防ぐことができる。したがって、蓋体20を箱体10に対してスムーズに被せることができる。
【0036】
また、包装箱1では、
図5に示すように、蓋体20を箱体10に被せたときに、蓋側係合片26および箱側係合片16は箱体10の外側に配置される。したがって、蓋側係合片26および箱側係合片16が箱体10の内容物に接触するのを防ぐことができる。
【0037】
また、包装箱1では、
図1に示すように、箱側係合片16が箱側周壁部12において箱側開口部15の内部を切り抜いた部位であるとともに、蓋側係合片26が蓋側周壁部22において箱側開口部15の内部を切り抜いた部位である。このようにすると、包装箱1のブランクシートを形成し易くなる。
【0038】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜に変更が可能である。
本実施形態の包装箱1では、
図1に示すように、箱側係合片16および蓋側係合片26が長円形に形成されているが、箱側係合片16および蓋側係合片26の形状は限定されるものではなく、例えば、長方形、正方形、円形または楕円形に形成してもよい。
本実施形態の包装箱1では、箱側係合片16と蓋側係合片26とが同じ形状であるが、箱側係合片16と蓋側係合片26とを異なる形状に形成してもよい。
また、箱側係合片16を箱側開口部15よりも小さく形成してもよい。同様に、蓋側係合片26を蓋側開口部25よりも小さく形成してもよい。
【0039】
本実施形態の包装箱1では、箱側開口部15および蓋側開口部25が長穴に形成されているが、箱側開口部15および蓋側開口部25の形状は限定されるものではなく、例えば、長方形、正方形、円形または楕円形に形成してもよい。
本実施形態の包装箱1では、箱側開口部15と蓋側開口部25とが同じ形状であるが、箱側開口部15と蓋側開口部25とを異なる形状に形成してもよい。
【0040】
本実施形態の包装箱1では、左右の二箇所に箱側係合片16および蓋側係合片26が形成されているが、箱側係合片16および蓋側係合片26の数は限定されるものではない。
【0041】
本実施形態の包装箱1は段ボール製であるが、各種公知の板紙によって本発明の包装箱を形成してもよい。
【符号の説明】
【0042】
1 包装箱
10 箱体
11 底板
12 箱側周壁部
12a 側壁
15 箱側開口部
16 箱側係合片
20 蓋体
21 頂板
22 蓋側周壁部
22a 側壁
25 蓋側開口部
26 蓋側係合片