(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-22
(45)【発行日】2022-03-30
(54)【発明の名称】クリーニング装置、および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/00 20060101AFI20220323BHJP
【FI】
G03G21/00 318
(21)【出願番号】P 2018094533
(22)【出願日】2018-05-16
【審査請求日】2021-04-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】青木 義和
【審査官】飯野 修司
(56)【参考文献】
【文献】特開昭57-109971(JP,A)
【文献】特開2018-049040(JP,A)
【文献】特開2008-111972(JP,A)
【文献】特開2008-250128(JP,A)
【文献】米国特許第3848992(US,A)
【文献】特開2017-167485(JP,A)
【文献】特開2010-231057(JP,A)
【文献】特開平07-230239(JP,A)
【文献】特開平03-203764(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体の表面を清掃するクリーニング装置であって、
前記像担持体の前記表面に当接される清掃部と、
前記清掃部を支持する板バネと、
前記板バネを保持する保持体と、
前記板バネに取り付けられ、前記板バネの変形により生じるひずみを検知する少なくとも1つ以上のひずみ検出部と、を備え、
前記板バネは、一端および他端を有し、前記一端側に前記清掃部が接合された第1接合領域と、前記他端側に前記保持体が接合された第2接合領域とを含み、
前記ひずみ検出部は、前記第1接合領域と前記第2接合領域との間に設けられている、クリーニング装置。
【請求項2】
前記ひずみ検出部は、前記第1接合領域よりも前記第2接合領域に近い位置に設けられている、請求項1に記載のクリーニング装置。
【請求項3】
前記ひずみ検出部は、前記第2接合領域の近傍に設けられている、請求項2に記載のクリーニング装置。
【請求項4】
前記保持体は、前記板バネの前記他端側において前記板バネに対向する対向面を含み、
前記板バネは、前記対向面のうち、少なくとも前記清掃部側に位置する前記対向面の一方端に接合されている、請求項1から3のいずれか1項に記載のクリーニング装置。
【請求項5】
前記板バネは、前記像担持体側を向く第1面を含み、
前記清掃部および前記保持体は、前記第1面に接合されており、
前記保持体は、前記板バネの前記他端側において前記第1面に対向する対向面を含み、
前記対向面は、前記清掃部側に位置する一方端と、前記一方端とは反対側に位置する他方端とを有し、
前記板バネは、前記一方端よりも前記他方端側において前記対向面に接合されている、請求項1から3のいずれか1項に記載のクリーニング装置。
【請求項6】
前記板バネは、前記像担持体側を向く第1面と、前記第1面と反対側に位置する第2面とを含み、
前記清掃部は、前記第1面に接合されており、
前記保持体は、前記第2面に接合されており、
前記保持体は、前記板バネの前記他端側において前記第2面に対向する対向面を含み、
前記対向面は、前記清掃部側に位置する一方端と、前記一方端とは反対側に位置する他方端とを有し、
前記板バネは、前記一方端よりも前記他方端側において前記対向面に接合されている、請求項1から3のいずれか1項に記載のクリーニング装置。
【請求項7】
前記保持体の前記一方端には、面取り部が設けられている、請求項6に記載のクリーニング装置。
【請求項8】
前記像担持体は回転軸を有し、
前記第2接合領域が設けられている位置での前記回転軸の軸方向に沿った前記板バネの長さは、前記第1接合領域が設けられている位置での前記軸方向に沿った前記板バネの長さよりも短い、請求項1から7のいずれか1項に記載のクリーニング装置。
【請求項9】
前記第2接合領域が設けられている位置での前記軸方向に沿った前記板バネの両端には、切欠き部が設けられている、請求項8に記載のクリーニング装置。
【請求項10】
前記ひずみ検出部は、複数設けられている、請求項1から9のいずれか1項に記載のクリーニング装置。
【請求項11】
前記板バネは、前記像担持体側を向く第1面と、前記第1面と反対側に位置する第2面とを含み、
複数の前記ひずみ検出部は、前記第1面に設けられた第1ひずみ検出部と、前記第1ひずみ検出部に対向して前記第2面に設けられた第2ひずみ検出部とを含む、請求項10に記載のクリーニング装置。
【請求項12】
前記像担持体に現像剤を供給する現像装置と、
請求項1から請求項11のいずれか1項に記載のクリーニング装置と、
前記ひずみ検出部の検出結果が第一閾値に達した場合に、前記像担持体に現像剤を供給するように前記現像装置を制御する制御部とを備える、画像形成装置。
【請求項13】
請求項1から請求項11のいずれか1項に記載のクリーニング装置と、
前記ひずみ検出部の検出結果が第二閾値に達した場合に、前記クリーニング装置が寿命に達したと判断する制御部と、を備える、画像形成装置。
【請求項14】
前記制御部は、前記クリーニング装置の走行距離、および前記ひずみ検出部の検出結果から前記クリーニング装置の寿命を予測する、請求項13に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリーニング装置、および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ブレードを備えたクリーニング装置は一般に定期交換部品であり、ブレードの走行距離をベースに交換サイクルを設定されることが多い。しかし、余裕を持たせて交換サイクルを設定しているため、クリーニング装置が寿命に到達する前に交換されてしまう場合が多い。クリーニング装置は、画像形成装置の中でも短寿命の部材であり、定期交換に伴うコスト低減や生産性の確保のため、クリーニング装置を寿命いっぱいまで使い切る技術が求められている。
【0003】
特開2010-231057号公報(特許文献1)には、ブレードの表面に貼り付けられたひずみゲージによりブレードのひずみを検出し、閾値と比較してクリーニング装置の寿命を判断する技術が開示されている。上記特許文献1に開示されるクリーニング装置は、像担持体に当接されるブレードと、ブレードを支持する支持板と、ひずみゲージ(ひずみ検出手段)とを備えており、ひずみゲージは、ブレードの表面のうち、ブレードと支持板とが接合している部分に跨って配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ブレードが像担持体に当接されると、ブレードが全体的に撓むことになるが、ブレードと支持板とが接合している部分は撓みにくい。特許文献1に開示のクリーニング装置では、ひずみゲージが、ブレードと支持板とが接合している部分に跨って配置されているため、ひずみの検出値が小さくなり、ひずみ検出精度が低下する場合がある。
【0006】
本発明の目的は、ひずみ検出精度を向上できる、クリーニング装置および画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係るクリーニング装置は、像担持体の表面を清掃する。上記クリーニング装置は、清掃部と、板バネと、保持体と、少なくとも1つ以上のひずみ検出部とを備えている。上記清掃部は、上記像担持体の上記表面に当接される。上記板バネは、上記清掃部を支持する。上記保持体は、上記板バネを保持する。上記ひずみ検出部は、上記板バネに取り付けられている。上記ひずみ検出部は、上記板バネの変形により生じるひずみを検知する。上記板バネは、一端および他端を有している。上記板バネは、上記一端側に上記清掃部が接合された第1接合領域と、上記他端側に上記保持体が接合された第2接合領域を含んでいる。上記ひずみ検出部は、上記第1接合領域と上記第2接合領域の間に設けられている。
【0008】
上記クリーニング装置において、上記ひずみ検出部は、上記第1接合領域よりも上記第2接合領域に近い位置に設けられている。
【0009】
上記クリーニング装置において、上記ひずみ検出部は、上記第2接合領域の近傍に設けられている。
【0010】
上記クリーニング装置において、上記保持体は、上記板バネの上記他端側において上記板バネの厚さ方向に上記板バネに対向する対向面を含んでいる。上記板バネは、上記対向面のうち、少なくとも上記清掃部側に位置する上記対向面の一方端に接合されている。
【0011】
上記クリーニング装置において、上記板バネは、上記像担持体側を向く第1面を含んでいる。上記清掃部および上記保持体は、上記第1面に接合されている。上記保持体は、上記板バネの上記他端側において上記板バネの厚さ方向に上記第1面に対向する対向面を含んでいる。上記対向面は、上記清掃部側に位置する一方端と、上記一方端とは反対側に位置する他方端とを有している。上記板バネは、上記一方端よりも上記他方端側において上記対向面に接合されている。
【0012】
上記クリーニング装置において、上記板バネは、上記像担持体側を向く第1面と、上記第1面と反対側に位置する第2面とを含んでいる。上記清掃部は、上記第1面に接合されている。上記保持体は、上記第2面に接合されている。上記保持体は、上記板バネの上記他端側において上記板バネの厚さ方向に上記第2面に対向する対向面を含んでいる。上記対向面は、上記清掃部側に位置する一方端と、上記一方端とは反対側に位置する他方端とを有している。上記板バネは、上記一方端よりも上記他方端側において上記対向面に接合されている。
【0013】
上記クリーニング装置において、上記保持体の上記一方端には、面取り部が設けられている。
【0014】
上記クリーニング装置において、上記像担持体は回転軸を有している。上記第2接合領域が設けられている位置での上記回転軸の軸方向に沿った上記板バネの長さは、上記第1接合領域が設けられている位置での上記軸方向に沿った上記板バネの長さよりも短い。
【0015】
上記クリーニング装置において、上記第2接合領域が設けられている位置での上記軸方向に沿った上記板バネの両端には、切欠き部が設けられている。
【0016】
上記クリーニング装置において、上記ひずみ検出部は、複数設けられている。
上記クリーニング装置において、上記板バネは、上記像担持体側を向く第1面と、上記第1面とは反対側に位置する第2面とを含んでいる。複数の上記ひずみ検出部は、上記第1面に設けられた第1ひずみ検出部と、上記第1ひずみ検出部に対向して上記第2面に設けられた第2ひずみ検出部とを含んでいる。
【0017】
本開示に係る画像形成装置は、上記像担持体に現像剤を供給する現像装置と、上記のいずれかの局面のクリーニング装置と、上記ひずみ検出部の検出結果が閾値に達した場合に、上記像担持体に現像剤を供給するように上記現像装置を制御する制御部とを備えている。
【0018】
本開示に係る画像形成装置は、上記のいずれかの局面のクリーニング装置と、上記ひずみ検出部の検出結果が閾値に達した場合に、上記クリーニング装置が寿命に達したと判断する制御部とを備えている。
【0019】
上記画像形成装置において、上記制御部は、上記クリーニング装置の走行距離、および上記ひずみ検出部の検出結果から上記クリーニング装置の寿命を予測する。
【発明の効果】
【0020】
本開示に従えば、ひずみ検出精度を向上できる、クリーニング装置および画像形成装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】実施の形態1の画像形成装置の概略図である。
【
図2】実施の形態1のクリーニング装置の概略図である。
【
図4】
図3に示すブレード部をIV方向から見た際の概略平面図である。
【
図5】
図3に示す板バネを片持ち梁として近似した場合の概略図である。
【
図6】実施の形態1のクリーニング装置の制御方法を示す概略図である。
【
図7】ブレード部の走行距離に対するひずみの出力値の関係の一例を示す図である。
【
図9】実施の形態2のブレード部の変形例を示す図である。
【
図10】実施の形態3のブレード部の概略図である。
【
図11】
図10に示すブレード部を梁として近似した概略図である。
【
図12】実施の形態4のブレード部の概略図である。
【
図13】実施の形態5のブレード部の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、各実施の形態について、図を参照して詳細に説明する。以下に示す実施の形態においては、画像形成装置として、電子写真方式を採用したいわゆるタンデム型のカラープリンターおよびこれに具備された画像形成装置を例示して説明を行なう。なお、以下に示す実施の形態においては、同一のまたは共通する部分について図中同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0023】
[実施の形態1]
<画像形成装置100>
図1は、実施の形態1の画像形成装置100の概略図である。
図1を参照して、実施の形態の画像形成装置100の概略的な構成および動作について説明する。
【0024】
画像形成装置100は、中間転写ベルト20と、複数の支持ローラー40とを備えている。中間転写ベルト20は、平行配置された支持ローラー40により一定のベルトテンションを与えられた状態で支持されている。複数の支持ローラー40の内の1本に対して、機械本体より駆動連結が行われる。支持ローラー40が回転することにより、中間転写ベルト20が回転する(
図1中のA方向)。
【0025】
画像形成装置100は、複数の作像ユニット50を備えている。作像ユニット50は、像担持体5と、帯電部2と、露光部3と、現像装置4と、1次転写ローラー6と、クリーニング装置1とを含んでいる。
【0026】
帯電部2と、露光部3と、現像装置4と、1次転写ローラー6と、クリーニング装置1とが、像担持体5の周囲にこの順に配置されている。帯電部2は、像担持体5の表面を一様に帯電する。露光部3は、像担持体5の表面を露光する。これにより、像担持体5の表面に静電潜像が形成される。現像装置4は、静電潜像が形成された像担持体5の表面に現像剤(トナー)を供給する。これにより、像担持体5の表面にトナー像が形成される。1次転写ローラー6は、像担持体5の表面に形成されたトナー像を電界力の作用で中間転写ベルト20上に転写する(1次転写)。クリーニング装置1は、1次転写後における像担持体5の表面に残ったトナー(以下、転写残トナーと称する)を除去する。
【0027】
画像形成装置100は、2次転写ローラー10と、定着部55とを備えている。2次転写ローラー10は、各色の1次転写ローラー6に対して、中間転写ベルト20の回転方向の下流側に配置されている。2次転写ローラー10は、中間転写ベルト20上に転写され重ねられた複数色のトナー像を、電界力の作用により記録媒体Pへと転写する(2次転写)。2次転写ローラー10の作用により記録媒体P上に転写されたトナー像は、定着部55によって加熱および加圧され、記録媒体Pへ定着される。
【0028】
画像形成装置100は、ベルト清掃手段30をさらに備えている。ベルト清掃手段30は、中間転写ベルト20上に残ったトナーを中間転写ベルト20の表面より清掃および除去する。
【0029】
なお、画像形成装置100に用いられる作像ユニット50、中間転写ベルト20、ベルト清掃手段30、2次転写ローラー10、および定着部55等は、周知の電子写真方式の技術を任意に選択してよい。
【0030】
(クリーニング装置1)
図2は、実施の形態1のクリーニング装置1の概略図である。
図2中に示された矢印は、回転方向DR1を示している。回転方向DR1は、像担持体5が回転する方向であり、
図2中の時計回りの方向である。像担持体5は回転軸Sを有している。像担持体5は、回転軸S周りに回転する。
【0031】
クリーニング装置1は、像担持体5の表面を清掃する。クリーニング装置1は、ブレード部70と、搬送スクリュー80と、ハウジング90と、シール部材95とを有している。
【0032】
ブレード部70は、像担持体5の表面に付着した現像剤等を掻き取り、像担持体5を清掃する。ブレード部70は、ハウジング90内に設けられている。ブレード部70は、清掃部71と、金属材料からなる板バネ72と、保持体73とを有している。清掃部71は、像担持体5の表面に当接される。板バネ72は、清掃部71を支持している。保持体73は、板バネ72を保持している。ブレード部70の詳細は後述する。
【0033】
保持体73のハウジング90への設置位置、および設置角度により、像担持体5と清掃部71との距離が規定される。上記距離が規定されることにより、板バネ72の自由長およびたわみ量が規定される。
【0034】
清掃部71が像担持体5に当接することにより、板バネ72がたわむ。これにより、所定の圧力で清掃部71が像担持体5に当接されることになる。清掃部71が所定の圧力で像担持体5に当接されるため、清掃部71は、転写残トナーを掻き取ることができる。
【0035】
ハウジング90は、像担持体5に対向して配置されている。ハウジング90は、清掃部71が掻き取った転写残トナーを収容する。ハウジング90には、シール部材95が取付けられている。シール部材95は、清掃部71に対して回転方向DR1の上流側に配置されている。シール部材95は、転写残トナーがハウジング90の外部に飛散しないように、配置されている。
【0036】
ハウジング90の内部には、搬送スクリュー80が設けられている。搬送スクリュー80は、図示しない廃トナー収容ボックスに、除去された転写残トナーを搬送する。
【0037】
(ブレード部70)
図3は、実施の形態1のブレード部70の概略図である。
図4は、
図3に示すブレード部70をIV方向から見た際の概略平面図である。
図3および
図4を参照して、ブレード部70の詳細について説明する。
【0038】
図3,4中に示された両矢印は、軸方向DR2、厚さ方向DR3、および短手方向DR4を示している。軸方向DR2は、回転軸Sの軸方向であり、
図4中の左右方向である。厚さ方向DR3は、板バネ72の厚さ方向である。短手方向DR4は、軸方向DR2に見て、板バネ72が延びる方向であり、
図4中の上下方向である。
【0039】
ブレード部70(清掃部71、板バネ72、および保持体73)は、軸方向DR2に延びる形状を有している。板バネ72の材料は、耐腐食性の高いステンレス鋼やリン青銅などが好ましく、特に、強度が高く疲労の少ないステンレス鋼がより好ましい。板バネ72のヤング率は、98[GPa]以上206[GPa]以下が好ましい。
【0040】
短手方向DR4における板バネ72の長さは、10[mm]以上20[mm]以下程度が好ましい。厚さ方向DR3における板バネ72の厚みは、像担持体5への良好な追随性を確保する為に、0.05[mm]以上0.1[mm]以下程度が好ましい。
【0041】
図4に示すように、後述する第2接合領域79が設けられている位置での軸方向DR2に沿った板バネ72の長さ(
図4中のb2)は、後述する第1接合領域78が設けられている位置での軸方向DR2に沿った板バネ72の長さ(
図4中のb1)よりも短い。
【0042】
第2接合領域79が設けられている位置での軸方向DR2に沿った板バネ72の両端には、切欠き部82が設けられている。切欠き部82は、半オーバル形状に形成されている。これにより、応力集中を緩和することができる。
【0043】
板バネ72には、画像形成領域が規定されている(
図4中のg)。画像形成領域は、像担持体5の表面のうちトナー像が形成される部分と対向する領域である。切欠き部82は、軸方向DR2において、画像形成領域よりも外側に形成されている。これにより、画像品質への影響を抑制することができる。
【0044】
図3に示すように、板バネ72は、第1面72cと、第2面72dとを有している。第1面72cは、像担持体5側を向く面である。第1面72cは、像担持体5と対向している。第2面72dは、第1面72cと反対側に位置する面である。
【0045】
板バネ72は、一端72aおよび他端72bを有している。一端72aは、短手方向DR4における板バネ72の端部のうち、像担持体5(清掃部71)に近い方の端部である。他端72bは、短手方向DR4における板バネ72の端部のうち、像担持体5(清掃部71)から遠い方の端部である。板バネ72は、一端72a側で清掃部71を支持している。
【0046】
清掃部71が像担持体5に当接することにより、板バネ72が弾性変形する。板バネ72の一端72a側は、像担持体5から離れるように湾曲する。板バネ72は、弾性変形の応力範囲で用いられる。
【0047】
板バネ72は、第1接合領域78を有している。第1接合領域78は、板バネ72の一端72a側に設けられている。第1接合領域78は、軸方向DR2に延びる領域である。第1接合領域78は、清掃部71に対向している。第1接合領域78は、清掃部71が接合されている領域である。
【0048】
清掃部71の材料は、たとえばウレタンゴム、フッ素ゴム(FKM)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、およびアクリロニトリルゴム(NBR)である。清掃部71の材料は、耐摩耗性および耐オゾン性に優れている材料を用いる。
【0049】
清掃部71は、清掃端部71cを有している。清掃端部71cは、短手方向DR4における清掃部71の端部のうち、一端72aに近い方の端部である。清掃端部71cおよび一端72aは、同一平面上に設けられている。
【0050】
なお、板バネ72の一端72aが清掃部71の清掃端部71cに対して突出している構成であってもよい。この場合、像担持体5に一端72aが衝突しないように構成する。
【0051】
また、清掃端部71cが一端72aに対して突出している構成であってもよい。清掃端部71cの突出量が大きすぎると、清掃部71のうちの突出した部分だけが極端に変形し、経時変化により像担持体5と清掃部71との当接圧が低下する場合があるため、0.5[mm]程度までの突出量とした方がよい。
【0052】
清掃部71は、弾性体からなる弾性部71a、および、接合部材71bを有している。弾性部71aは、像担持体5の表面に当接される。厚さ方向DR3における弾性部71aの厚みは、0.5[mm]以上2.0[mm]程度に設定するのが好ましい。短手方向DR4における弾性部71aの長さは、5[mm]以上10[mm]以下程度が好ましい。
【0053】
弾性部71aは、接合部材71bで、板バネ72の第1面72cに接合されている。接合部材71bは、たとえば、熱可塑性のホットメルト系接着剤で構成されている。接合部材71bは、たとえば、両面テープで構成してもよい。実施の形態1において、短手方向DR4における接合部材71b(弾性部71a)の長さは、短手方向DR4における第1接合領域78の長さと同じである。
【0054】
なお、実施の形態1のブレード部70では、金属製の板バネ72と清掃部71とを接合している構成であるが、板バネ72および清掃部71を金型による一体成型により構成してもよい。この場合、接合部材71bがない構成となる。
【0055】
板バネ72の他端72b側には、保持体73が設けられている。保持体73は、第1面72cに接合されている。保持体73の材料は、SECCなどの鋼板である。厚さ方向DR3における保持体73の厚みは、1.6[mm]以上2.0[mm]以下に設定するのが好ましい。これにより、板バネ72にかかる圧力、および外力などに起因する保持体73の変形を抑制することができる。したがって、清掃部71における所定のエッジ真直度を確保することができる。
【0056】
保持体73は、対向面73aを含んでいる。対向面73aは、板バネ72の他端72b側において厚さ方向DR3に板バネ72に対向している。対向面73aは、一方端73bと他方端73cとを有している。
【0057】
一方端73bは、短手方向DR4において、清掃部71側に位置している。一方端73bは、短手方向DR4における対向面73aの端部のうち、清掃部71に近い方の端部である。他方端73cは、短手方向DR4において、一方端73bと反対側に位置している。他方端73cは、短手方向DR4における対向面73aの端部のうち、清掃部71から遠い方の端部である。
【0058】
(第2接合領域79)
板バネ72は、第2接合領域79を有している。第2接合領域79は、板バネ72の他端72b側に設けられている。第2接合領域79は、軸方向DR2に延びる領域である。第2接合領域79は、対向面73aに対向している。第2接合領域79は、板バネ72のうち保持体73が接合されている領域である。
【0059】
板バネ72および保持体73の接合態様として、たとえばスポット溶接を用いた接合があり、その他にもたとえば、ネジ止めによる接合、および接着剤などを用いた接合などでもよい。
【0060】
スポット溶接等のように点で固定する接合態様において、接合部分(
図4参照)同士の軸方向DR2における間隔は、2[mm]以上20[mm]以下とするのが好ましい。上記間隔が20[mm]よりも大きい場合、接合されていない部分における弾性部71aと像担持体5との当接圧が低下し、弾性部71aと像担持体5との当接圧の大きさが軸方向DR2に亘って一様でなくなり、また、上記間隔が2[mm]よりも小さい場合、板バネ72が波打つように変形する場合があるためである。
【0061】
固定方法が接着剤等の場合は、上記間隔の大きさと同じように設定(2[mm]以上20[mm]以下)しても良いし、軸方向DR2全体に塗布して接合しても良い。
【0062】
実施の形態1において、板バネ72は、一方端73bよりも他方端73c側において対向面73aに接合されている。板バネ72は、一方端73bから他方端73c側に離れて接合されている。これにより、弾性部71aを像担持体5に当接させた際、一方端73b側において、板バネ72の第1面72cと、対向面73aとの間に隙間94が形成される。スポット溶接の場合、短手方向DR4における隙間94の長さは1.5[mm]以上が好ましい。
【0063】
第2接合領域79は、接合端79aを有している。接合端79aは、第2接合領域79の端部のうち、他端72bから遠い方の端部である。
図3では、接合端79aを見やすくするために黒丸で図示している(以下の図においても同じ)。短手方向DR4において、接合端79aから他端72bまでの領域(
図3中のe)において、板バネ72は、撓んだり傾くことなく保持体73に接触している。
【0064】
短手方向DR4における一端72aから接合端79aまでの長さを、板バネ72の自由長L1とする。実施の形態1では、清掃部71が像担持体5に当接したときに、板バネ72は、板バネ72の自由長L1の範囲において、保持体73(像担持体5)から離れるように撓む。
【0065】
(ひずみゲージ76)
板バネ72には、1つのひずみ検出部が板バネ72に取付けられており、ひずみ検出部は、金属箔のひずみゲージ76である。ひずみゲージ76は、板バネ72の変形により生じるひずみを検出する。ひずみゲージ76は、板バネ72の撓みを、ひずみとして検出している。ひずみゲージ76は、第2面72dに張り付けられている。
【0066】
ひずみゲージ76、および、第2面72dの接着に用いる接着剤は、シアノアクリレート系の常温硬化型瞬間接着剤が好ましい。第2面72dの上に絶縁体を蒸着または塗布して、その上にひずみゲージ76を蒸着成形することもできる。
【0067】
ひずみゲージ76は、短手方向DR4において、第1接合領域78と第2接合領域79との間に設けられている。ひずみゲージ76は、板バネ72のうち、第1接合領域78および第2接合領域79の間に挟まれた領域に設けられている。
【0068】
ひずみゲージ76は、第1接合領域78よりも第2接合領域79に近い位置に設けられている。短手方向DR4におけるひずみゲージ76と第1接合領域78との間の長さは、短手方向DR4におけるひずみゲージ76と第2接合領域79との間の長さよりも大きい。
【0069】
ひずみゲージ76は、第2接合領域79に対して、一端72a側に配置されている。ひずみゲージ76は、第2接合領域79(接合端79a)の近傍に設けられている。本明細書において「接合端79a(第2接合領域79)の近傍」とは、短手方向DR4において、接合端79aから、板バネ72のうち一方端73bに対向する部分までの領域を示すものとする。
【0070】
図5は、
図3に示す板バネ72を片持ち梁として近似した場合の概略図である。
図3に示す板バネ72は、接合端79aを固定端、一端72aを自由端とする、片持ち梁におおむね近似することができる。
【0071】
短手方向DR4における一端72aから接合端79aまでの長さ(板バネ72の自由長)をL、清掃部71と像担持体5との当接圧をP、板バネ72の縦弾性係数をE、板バネ72の断面二次モーメントをI、および一端72aからの距離をxとすると、片持ち梁の所定位置における撓み(x位置における板バネ72の撓み)yは、以下の(1)式のように表すことができる。
【0072】
y=(PL^3/3EI)×{1-(3x/2L)+(x^3/2L^3)}・・(1)
一方、撓みyの二階微分により求められるひずみy"は、以下の(2)式のように表される。
【0073】
y"=(P/EI)×x・・・(2)
(2)式より、板バネ72のひずみ値は、一端72aからの距離xに比例した値となり、接合端79a(x=L)で最大((P/EI)×L)となることがわかる。これにより、接合端79a近傍にひずみゲージ76を張り付けた場合にひずみゲージ76の出力値が大きくなることがわかる。
【0074】
(制御部60)
図6は、実施の形態1のクリーニング装置1の制御方法を示す概略図である。画像形成装置100は、制御部60と、表示部65とをさらに備えている。制御部60は、増幅器61、記憶部62、計算部63、および判断部64を含んでいる。
【0075】
ひずみゲージ76は、板バネ72のひずみを検出し、ひずみ値のデーターを取得する。ひずみ値のデーターを取得する回数は、多いほうが好ましい。データー取得の間隔は、必ずしも一定である必要はなく、変化の大きい像担持体5の回転初期はその間隔を大きく、ブレード部70の想定寿命に近づくにつれて上記間隔を小さくすることが好ましい。
【0076】
像担持体5の駆動時は、清掃部71と像担持体5との摩擦力により、ひずみの検出に影響があるので、ひずみゲージ76は、像担持体5の回転停止時に、板バネ72のひずみを検出することが好ましい。
【0077】
像担持体5は偏心による振れを有しているため、像担持体5の外周長さを分割し、それぞれの位置におけるひずみ値を平均した値を取ることが好ましい。ひずみ値の平均した値を取る場合、少なくとも8箇所以上でひずみ値を測定することがより好ましい。
【0078】
清掃部71は、常に像担持体5からの当接圧が負荷されているため、経時的に永久変形する(清掃部71がヘタる)。清掃部71が永久変形すると、板バネ72のひずみも減少する。ひずみゲージ76は、上記減少したひずみの出力値を検出する。
【0079】
図6に示す回路は、ひずみゲージ76の検出信号を増幅するためのホイートストンブリッジである。増幅器61は、ひずみゲージ76に接続されている。増幅器61は、ひずみゲージ76で検出されたひずみの出力値を増幅する。増幅器61は、増幅したひずみの出力値を記憶部62を送信する。
【0080】
記憶部62は、ブレード部70(クリーニング装置1)の走行距離、および、増幅器61からのひずみの出力値の履歴を、ハードディスクおよび半導体メモリー等に逐次記憶する。ブレード部70の走行距離とは、清掃部71と像担持体5とが当接した状態での像担持体5の回転量のことである。ブレード部70の走行距離は、清掃部71と像担持体5とが当接した状態での像担持体5の回転数と、像担持体5の直径との積で表される。記憶部62は、増幅器61から送信されたひずみの出力値を計算部63に送信する。
【0081】
計算部63は、像担持体5の複数箇所で測定した最新のひずみの出力値を平均する。計算部63は、その平均値と、ブレード部70が寿命に達した際のひずみの出力値(以下、第二閾値と称する)とを比較する。計算部63が、その比較結果に基づいて、ひずみゲージ76の検出結果(ひずみの出力値)が第二閾値に達したと判断すると、計算部63は、クリーニング装置1(ブレード部70)が寿命に達したと判断する。
【0082】
これにより、クリーニング装置1の寿命を正確に検出することができる。したがって、ブレード部70の交換回数を低減することができる。そのため、画像形成装置100のコストを低減することができ、さらに、生産性を確保することができる。
【0083】
計算部63は、ブレード部70が寿命に達したことを判断部64に送信する。判断部64は、受信したデーターに基づき種々の動作を行う。判断部64は、たとえば、表示部65にブレード部70が寿命に達した旨を表示するように指令を出す。
【0084】
図7は、ブレード部70の走行距離に対するひずみの出力値の関係の一例を示す図である。横軸はブレード部70の走行距離を、縦軸は板バネ72のひずみの出力値を示している。
【0085】
計算部63は、クリーニング装置1の寿命を判断できるだけなく、ブレード部70の走行距離、およびひずみゲージ76の検出結果からクリーニング装置1の寿命を予測することができる。
【0086】
計算部63は、記憶部62のデーター(ブレード部70の走行距離およびひずみ値)を回帰処理(回帰式は重回帰が好ましい)することで、回帰曲線を求めることができる。
図7では、ひずみ量の実測結果(
図7中の白丸)に基づき、回帰曲線を求めている。
図7中の回帰曲線のうちの実線部は、上記実測結果により求めた曲線である。
図7中の回帰曲線のうちの点線部は、上記実測結果に基づいて予測して求めた回帰曲線である。
【0087】
なお、像担持体5の回転初期は、永久歪みの変化が大きく、回帰式に与える影響も大きいので、像担持体5の回転初期を省いて回帰計算することが好ましい。
【0088】
計算部63は、上記回帰曲線および、予め実験的に求められた第二閾値に基づいて、クリーニング装置1が寿命に達するまでのブレード部70の走行距離を予測し、予測した走行距離を判断部64に送信する。判断部64は、必要に応じて、寿命に達するまでのブレード部70の走行距離を、寿命に達するまでの時間や枚数等に変換し、表示部65に表示させる。
【0089】
制御部60は、ブレード部70の走行距離、およびひずみゲージ76の検出結果からクリーニング装置1(ブレード部70)の寿命を予測する。これにより、交換用のブレード部70を適切なタイミングで手配することができる。さらに、ブレード部70の寿命間近でブレード部70を交換することができるため、ブレード部70の交換回数を低減することができる。
【0090】
(トナー帯の作成)
図6に示すように、清掃部71と像担持体5との当接部に対して回転方向DR1上流側には、掻き取った現像剤等が蓄積した静止層Mが形成される。静止層Mが形成されることにより、像担持体5の回転に伴って、静止層M中の現像剤等が清掃部71と像担持体5の表面との間に供給されるような構成となるため、清掃部71および像担持体5の摩耗が低減される。
【0091】
カバレッジ(原稿画像の白黒比)が小さい原稿が長期に亘って印刷された場合、像担持体5の表面から掻き取る現像剤の量が少なくなるため、静止層Mはやがて消失することになる。静止層Mが消失すると、ブレード部70の清掃機能および寿命に影響を及ぼす。
【0092】
実施の形態1の画像形成装置100では、静止層Mの消失に起因する像担持体5と清掃部71との摩擦力の変化を、板バネ72のひずみ具合として、ひずみゲージ76で検出することができる。
【0093】
判断部64は、ひずみゲージ76の検出結果が第一閾値(像担持体5と清掃部71との摩擦力が所定以上大きくなった際のひずみの出力値)に達した場合に、像担持体5に現像剤を供給するように作像ユニット50(現像装置4)を制御する。判断部64は、像担持体5の表面にトナー帯(軸方向DR2にのびる、静止層Mを形成するためのトナー)を作成するように現像装置4を制御する。清掃部71が上記トナー帯を掻き取ることで、再度、静止層Mが形成される。これにより、過剰にトナー帯を作成することがなくなり、トナー消費量を抑制することができる。
【0094】
なお、第一閾値の他にも閾値を何段階か設けておき、それぞれの閾値に応じて、長さや濃度が異なるトナー帯を作成するように現像装置4を制御することも可能である。
【0095】
また、画像形成装置100にブレード部70の寿命を予測する機能を持たせずに、トナー帯を作成する機能のみ持たせる構成とした場合、記憶部62が不要となる。上記構成とすることにより、製造コストを抑制することができる。
【0096】
産業用の画像形成装置100などでは1回のジョブが長い場合があり、ひずみデーターを取得する間隔が大きくなる場合がある。この場合、像担持体5の駆動中にひずみ検出を実行することになるが、紙間に上記トナー帯を作成し、像担持体5と清掃部71との摩擦力を一定に保った状態で、ひずみを検出することで、安定してひずみを検出することができる。
【0097】
(作用効果)
金属製の板バネ72を弾性変形の応力範囲で用いることにより、従来のゴム製のブレードで問題となっていた可撓部での永久歪み(ヘタリ)、および環境変動(熱によるゴムの性質の変動)などのひずみ検出時におけるばらつき要因を排除することができる。
【0098】
図3に示すように、ひずみゲージ76が、第1接合領域78から他端72b側へ離れて配置されることにより、清掃部71の断面二次モーメントの影響を受けることなく、板バネ72のひずみを検出することができる。
【0099】
さらに、ひずみゲージ76が、第2接合領域79から一端72a側へ離れて配置されることにより、板バネ72のひずみが発生しない領域(
図3中のe)を避けて、板バネ72のひずみを検出することができる。
【0100】
以上のように、第1接合領域78および第2接合領域79の間にひずみゲージ76を設けることにより、ひずみゲージ76が検出するひずみ検出値が大きくなる。これにより、ひずみゲージ76によるひずみ出力値が大きくなり、ひずみゲージ76で精度よくひずみを検出することができる。
【0101】
さらに、ひずみゲージ76が第1接合領域78よりも第2接合領域79に近い位置に設けられることにより、板バネ72のひずみが大きくなる位置で、ひずみを検出することができる。これにより、ひずみゲージ76による板バネ72のひずみの検出精度を向上させることができる。
【0102】
また、ひずみゲージ76は、第2接合領域79の近傍に設けられている。最大ひずみ部の近くでひずみを検出することができる。これにより、板バネ72のひずみをより精度よく検出することができる。
【0103】
清掃部71および保持体73は、第1面72cに接合されており、板バネ72は、隙間94が形成されるように保持体73に接合されている。接合端79aは、一方端73bから離れて設けられている。これにより、板バネ72の自由長L1を長く設定することができる。したがって、ひずみが大きい位置でひずみを検出することができる(後述する実施の形態2の板バネ72(
図8参照)の自由長をL2とすると、ひずみの出力値は、実施の形態2のブレード部70に対して、L1/L2倍になる)。さらに、ひずみの検出精度を保った上で、ブレード部70を小型化することができる。
【0104】
図4に示すように、第2接合領域79が設けられている位置での軸方向DR2に沿った板バネ72の長さ(
図4中のb2)は、第1接合領域78が設けられている位置での軸方向DR2に沿った板バネ72の長さ(
図4中のb1)よりも短い。
【0105】
板バネ72の軸方向DR2における長さを短くすることにより、長さを短くしたその部分における板バネ72の断面二次モーメントが小さくなる。これにより、部分的に板バネ72の剛性を小さくすることができ、板バネ72のひずみを部分的に大きくすることができる。したがって、ひずみゲージ76の検出精度を向上することができる。
【0106】
第2接合領域79が設けられている位置での軸方向DR2に沿った板バネ72の両端には、切欠き部82が設けられている。これにより、板バネ72のひずみを部分的に大きくすることができる。
【0107】
板バネ72の最大ひずみ位置である接合端79aが設けられている位置に切欠き部82を設け、接合端79aの近傍にひずみゲージ76を貼り付けることが好ましい。これにより、ひずみゲージ76の検出精度をより向上させることができる。
【0108】
[実施の形態2]
図8は、実施の形態2のブレード部70の概略図である。実施の形態1と異なり、実施の形態2の板バネ72は、対向面73aのうち、少なくとも一方端73bに接合されている。接合端79a(
図8中の黒丸)は、一方端73bに設けられている。板バネ72と保持体73との間には、隙間94が形成されていない。板バネ72が少なくとも一方端73bで固定されている場合、スポット溶接やネジ止めで固定することは困難なので、固定方法としては接着剤や両面テープによる固定となる。
【0109】
図9は、実施の形態2のブレード部70の変形例を示す図である。
図8の場合と異なり、保持体73は、第2面72dに対向して配置されており、第2面72dに接合されている。
【0110】
実施の形態2(
図8および
図9の双方)において、一方端73bでひずみの出力値が最大となる。そのため、ひずみゲージ76を一方端73b近傍に配置することにより、ひずみゲージ76によるひずみの検出精度が向上する。
【0111】
[実施の形態3]
図10は、実施の形態3のブレード部70の概略図である。実施の形態2のブレード部70の変形例(
図9参照)と異なり、板バネ72は、一方端73bで接合されていない。実施の形態1と同様に、板バネ72は、一方端73bよりも他方端73c側において対向面73aに接合されており、保持体73と板バネ72との間に隙間94が形成されている。
【0112】
短手方向DR4における一端72aと一方端73bとの間の長さL3は、板バネ72の厚み、板バネ72の縦弾性係数、食込量などとともに、清掃部71と像担持体5との当接圧を決めるパラメーターである。
【0113】
短手方向DR4における隙間94の長さ(
図10中のf)は、上記当接圧に影響を与える。長さfと長さL3との比率は、1/10≦f/L3≦1/3に設定するのが好ましい。
【0114】
図11は、
図10に示すブレード部70を梁として近似した概略図である。実施の形態3のブレード部70において、清掃部71が像担持体5に当接した際、板バネ72は、一方端73bを支点として撓む。
図11において、最大ひずみ位置は、一方端73bになる。したがって、ひずみゲージ76を一方端73bの近傍に貼り付けることが好ましい。
【0115】
実施の形態3においても、実施の形態1のブレード部70と同様に、ひずみゲージ76の検出精度を向上させる効果が得られる。
【0116】
[実施の形態4]
図12は、実施の形態4のブレード部70の概略図である。実施の形態3と異なり、保持体73の一方端73bには、面取り部85が設けられている。面取り部85を設けることで、実施の形態3のブレード部70と比較して、板バネ72と保持体73との接触箇所を他方端73c側に移動することができる。面取りは、面押し、およびフライス加工などによって施すことができる。短手方向DR4における清掃部71に近い方の保持体73の端部と、一方端73bとの間(
図12中のs)において、板バネ72と保持体73とが干渉しなければ、面取り形状は任意である。
【0117】
実施の形態3のブレード部70において、検出感度を上げるための方法として、L3の長さを大きくする方法があるが、板バネ72全体が大きくなる。実施の形態4のブレード部70では一方端73bに面取り部85を設け、一方端73bの近傍にひずみゲージ76を配置している。これにより、板バネ72の大型化を抑制しつつ、ひずみの出力値を実施の形態3のブレード部70と比較して(L3+s)/L3倍にすることができる。
【0118】
[実施の形態5]
図13は、実施の形態5のブレード部70の概略図である。実施の形態1と異なり、ひずみ検出部は、複数設けられている。複数のひずみ検出部は、第1ひずみ検出部76aと、第2ひずみ検出部76bとを有している。第1ひずみ検出部76aは、第1面72cに設けられている。第2ひずみ検出部76bは、第2面72dに設けられている。第2ひずみ検出部76bは、第1ひずみ検出部76aに対向して配置されている。
【0119】
複数のひずみ検出部を板バネ72に設けることにより、板バネ72のひずみの検出精度を向上させることができる。特に、第1ひずみ検出部76aおよび第2ひずみ検出部76bを対向して配置すると、ひずみ検出部によるひずみ出力値を2倍にすることができる。
【実施例】
【0120】
ひずみゲージの貼り付け位置の違いによる、ひずみ検出精度の差を確認する試験を実施した。実施例において、コニカミノルタ社製の画像形成装置(デジタル印刷機:bizhub C284e)を用い、像担持体ドラムユニットを改造し、実施の形態1のブレード部を設置できるようにした。試験条件を以下に示す。
【0121】
(試験条件)
清掃部の弾性部は、ウレタンゴムとした。弾性部の厚みは2[mm]、短手方向における長さは5[mm]、軸方向における長さは340[mm]とした。板バネの材料はSUS304を用いた。板バネの自由長は14[mm]、厚みは0.08[mm]、軸方向における長さは340[mm]とした。保持体の材料は、SECC鋼板とした。保持体の厚さ方向における厚さは2[mm]、軸方向における長さは340[mm]とした。
【0122】
清掃部および板バネの固定態様は、ホットメルト接着剤を用いて、清掃部全体の範囲に接着した。板バネと保持体との接合態様は、スポット溶接とした。軸方向におけるスポット溶接(接合部分)の間隔は4[mm]とした(
図4参照)。軸方向におけるスポット溶接(接合部分)の両端と、接合部分での軸方向における板バネの両端との間のそれぞれの間隔は2[mm]とした。
【0123】
清掃部と像担持体との当接圧を30[N/m]とし、実効当接角θ(軸方向に見て、清掃部および像担持体の接点における接線と、清掃部とが成す角)を15[°]とした。像担持体として、有機感光体を用いた。ひずみゲージの板バネへの貼り付け位置は、それぞれ、板バネの一端から他端側へ7[mm](板バネの中央付近)、13[mm](接合端近傍)とした。
【0124】
(試験結果)
図14は、試験結果のグラフを示す図である。横軸はブレード部の走行距離を、縦軸はひずみゲージの出力値を示している。画像上にクリーニング不良が発生するまで耐刷を行い、その間の走行距離とひずみの出力値を調べた。クリーニング不良が発生した際の走行距離をWとして、そのときのひずみの出力値をそれぞれ閾値a(ひずみゲージの貼り付け位置が接合端近傍である場合の第二閾値)、閾値b(ひずみゲージの貼り付け位置が板バネの中央付近である場合の第二閾値)とした。
【0125】
図14より、ひずみゲージの貼り付け位置を接合端近傍にした場合(
図14中の丸プロット)における、任意の走行距離に対応するひずみゲージの出力値は、ひずみゲージの貼り付け位置を板バネの中央付近にした場合(
図14中の△プロット)と比べ、約2倍大きいことがわかる。
【0126】
グラフの傾きにおいても、ひずみゲージの貼り付け位置を接合端近傍にした場合は、板バネの中央付近にした場合に比べ約2倍になっており、同一走行距離区間でのひずみゲージの出力値が大きくなることを確認できた。これにより、ひずみゲージの貼り付け位置を適切に選択することで、ひずみゲージの出力値が大きくなり、精度よく板バネのひずみを検出できることが示された。
【0127】
今回開示された実施の形態および実施例は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0128】
1 クリーニング装置、2 帯電部、3 露光部、4 現像装置、5 像担持体、6 1次転写ローラ、10 2次転写ローラ、20 中間転写ベルト、30 ベルト清掃手段、40 支持ローラー、50 作像ユニット、55 定着部、60 制御部、61 増幅器、62 記憶部、63 計算部、64 判断部、65 表示部、70 ブレード部、71 清掃部、71a 弾性部、71b 接合部、71c 清掃端部、72 板バネ、72a 一端、72b 他端、72c 第1面、72d 第2面、73 保持体、73a 対向面、73b 一方端、73c 他方端、76 ひずみゲージ、76a 第1ひずみ検出部、76b 第2ひずみ検出部、78 第1接合領域、79 第2接合領域、79a 接合端、80 搬送スクリュー、82 切欠き部、85 面取り部、90 ハウジング、94 隙間、95 シール部材、100 画像形成装置、DR1 回転方向、DR2 軸方向、DR3 方向、DR4 短手方向、M 静止層、P 記録媒体、S 回転軸。