(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-22
(45)【発行日】2022-03-30
(54)【発明の名称】カラーフィルタ用赤色着色組成物、及びカラーフィルタ
(51)【国際特許分類】
G02B 5/20 20060101AFI20220323BHJP
G02B 5/22 20060101ALI20220323BHJP
G03F 7/027 20060101ALI20220323BHJP
G03F 7/031 20060101ALI20220323BHJP
G03F 7/004 20060101ALI20220323BHJP
C09B 29/20 20060101ALI20220323BHJP
C09B 67/22 20060101ALI20220323BHJP
C07C 323/47 20060101ALI20220323BHJP
C07D 209/86 20060101ALI20220323BHJP
【FI】
G02B5/20 101
G02B5/22
G03F7/027 502
G03F7/031
G03F7/004 505
G03F7/004 502
C09B29/20 A
C09B67/22 B
C07C323/47
C07D209/86
(21)【出願番号】P 2018104452
(22)【出願日】2018-05-31
【審査請求日】2021-02-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000222118
【氏名又は名称】東洋インキSCホールディングス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】718000495
【氏名又は名称】東洋ビジュアルソリューションズ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】常川 美沙緒
(72)【発明者】
【氏名】水嶋 克彦
(72)【発明者】
【氏名】平野 彰
【審査官】渡邊 吉喜
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-234154(JP,A)
【文献】国際公開第2018/025806(WO,A1)
【文献】特開2017-156524(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/20
G03F 7/027
G03F 7/031
G03F 7/004
C09B 29/20
C09B 67/22
C07C 323/47
C07D 209/86
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
着色剤(A)、バインダー樹脂(B)、オキシムエステル光重合開始剤(C)、光重合性化合物(D)、及び、有機溶剤を含有するカラーフィルタ用赤色着色組成物であって、
着色剤(A)が、赤色着色剤(A1)を含み、
光重合性化合物(D)が、
下記一般式(5)で表される構造の2官能のビスフェノールA型(メタ)アクリレート(D1)を含み、
2官能のビスフェノールA型(メタ)アクリレート(D1)の含有量が、カラーフィルタ用赤色着色組成物の不揮発分100質量%中、15質量%以上30質量%以下である、カラーフィルタ用赤色着色組成物。
【化1】
(一般式(5)において、mおよびnはそれぞれ1以上の整数を表し、且つm+n=2~30である。R
1、
R
2
は、それぞれ独立して、水素原子、メチル基を表す。)
【請求項2】
着色剤(A)の含有量が、カラーフィルタ用赤色着色組成物の不揮発分100質量%中、38質量%以上60質量%以下である、請求項1に記載のカラーフィルタ用赤色着色組成物。
【請求項3】
赤色着色剤(A1)が、アゾ系顔料、アントラキノン系顔料、及び、ジケトピロロピロール系顔料からなる群から選ばれる一種以上を含む、請求項1または2に記載のカラーフィルタ用赤色着色組成物。
【請求項4】
オキシムエステル光重合開始剤(C)が、下記一般式(1)で示す化合物を含有する、請求項1~3いずれか1項に記載のカラーフィルタ用赤色着色組成物。
一般式(1)
【化2】
[一般式(1)中、R
1~R
4は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、置換もしくは未置換のアルケニル基、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のアルキルオキシ基、置換もしくは未置換のアリール基、置換もしくは未置換のアリールオキシ基、置換もしくは未置換の複素環基、置換もしくは未置換の複素環オキシ基、置換もしくは未置換のアルキルスルファニル基、置換もしくは未置換のアリールスルファニル基、置換もしくは未置換のアシル基、又は置換もしくは未置換のアミノ基を表す。]
【請求項5】
さらに、重合禁止剤(E)を含有する、請求項1~4いずれか1項に記載のカラーフィルタ用赤色着色組成物。
【請求項6】
基材、および請求項1~5いずれか1項に記載のカラーフィルタ用赤色着色組成物から形成されてなる赤色カラーフィルタセグメントを備える、カラーフィルタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラー液晶表示装置、カラー撮像素子、量子ドット表示装置、および有機EL表示装置等に用いられるカラーフィルタの製造に使用されるカラーフィルタ用赤色着色組成物、並びにこれを用いて形成されるフィルタセグメントを具備するカラーフィルタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、カラー表示装置は、様々な用途で広く普及しておりさらなる高輝度、高コントラスト、またデジタルシネマ(DCI)規格やAdobe規格といった高色域の要望が高まっている。
【0003】
カラーフィルタの高色域化のためには、着色組成物中の着色剤の含有量を多くするか、あるいは、膜厚を厚くする必要がある。しかし、着色剤の含有量を多くする方法においては、感度低下、現像性、解像性が悪化する等の問題が発生する。膜厚を厚くする方法においては、膜底部まで露光光が届かず、パターン形状が不良となったり、パターンが剥がれる等の問題が発生する。
【0004】
このような問題を解決するため、特許文献1において光重合開始剤、増感剤の選択による高感度化が提案されているが、感度向上には限界があり、要求性能を満たすことはできていなかった。
【0005】
一方で、大型テレビといった表示装置の低価格化に伴い、多品種への展開を考慮して幅広い膜厚水準でパターン形状が良好となる着色組成物が望まれている。
【0006】
カラーフィルタを構成するフィルタセグメントのうち赤色フィルタセグメントにおいては、紫外領域の透過率が緑色や青色と比較して高いため、塗膜の膜厚に応じて塗膜中の光硬化度合いが大きく変化する。とくに着色剤の含有量が高くなると、膜厚が薄く光硬化が強くなる場合には焼成工程で膜が流動せずパターン形状が悪化する問題が顕著となる。
【0007】
特許文献2にはモノマーの選定により着色剤濃度が高い場合にも緑色フィルタセグメントで良好な形状となることが示されているが、上記の理由により着色剤含有量の高い赤色フィルタセグメントでは幅広い膜厚水準において良好な形状とすることは困難であった。
【0008】
また、焼成工程での膜の流動性を維持するために光硬化を弱めるような場合には、未反応の光重合性化合物が多くなり後工程での脱ガス発生といった問題が生じてしまっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2003-156842号公報
【文献】特開2009-288313号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は以下の目的を達成することを課題とする。
即ち、本発明の目的は、顔料濃度が高い場合でも幅広い膜厚水準において、高感度で、且つ直線性、パターン形状が良好であり、さらに脱ガスが少ないカラーフィルタ用赤色着色組成物、及びそれを用いて形成されたカラーフィルタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、下記<1>~<5>カラーフィルタ用赤色着色組成物、及び<6>カラーフィルタに関する。
【0012】
<1>着色剤(A)、バインダー樹脂(B)、オキシムエステル光重合開始剤(C)、光重合性化合物(D)、及び、有機溶剤を含有するカラーフィルタ用赤色着色組成物であって、
着色剤(A)が、赤色着色剤(A1)を含み、
光重合性化合物(D)が、2官能のビスフェノールA型(メタ)アクリレート(D1)を含み、
2官能のビスフェノールA型(メタ)アクリレート(D1)の含有量が、カラーフィルタ用赤色着色組成物の不揮発分100質量%中、15質量%以上30質量%以下である、カラーフィルタ用赤色着色組成物。
【0013】
<2>着色剤(A)の含有量が、カラーフィルタ用赤色着色組成物の不揮発分100質量%中、38質量%以上60質量%以下である、請求項1に記載のカラーフィルタ用赤色着色組成物。
【0014】
<3>赤色着色剤(A1)が、アゾ系顔料、アントラキノン系顔料、及び、ジケトピロロピロール系顔料からなる群から選ばれる一種以上を含む、請求項1または2に記載のカラーフィルタ用赤色着色組成物。
【0015】
<4>オキシムエステル光重合開始剤(C)が、下記一般式(1)で示す化合物を含有する、請求項1~3いずれか1項に記載のカラーフィルタ用赤色着色組成物。
一般式(1)
【化1】
[一般式(1)中、R
1~R
4は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、置換もしくは未置換のアルケニル基、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のアルキルオキシ基、置換もしくは未置換のアリール基、置換もしくは未置換のアリールオキシ基、置換もしくは未置換の複素環基、置換もしくは未置換の複素環オキシ基、置換もしくは未置換のアルキルスルファニル基、置換もしくは未置換のアリールスルファニル基、置換もしくは未置換のアシル基、又は置換もしくは未置換のアミノ基を表す。]
【0016】
<5>さらに、重合禁止剤(E)を含有する、請求項1~4いずれか1項に記載のカラーフィルタ用赤色着色組成物。
【0017】
<6>基材、および請求項1~5いずれか1項に記載のカラーフィルタ用赤色着色組成物から形成されてなる赤色カラーフィルタセグメントを備える、カラーフィルタ。
【発明の効果】
【0018】
本発明のカラーフィルタ用赤色着色組成物により、顔料含有量が高くても高感度で、幅広い膜厚でフィルタセグメントのパターン形状、直線性が優れ、且つ脱ガスの少ないカラーフィルタ用赤色着色組成物を提供することができる。また、本発明のカラーフィルタ用赤色着色組成物を用いることにより、高品質なカラーフィルタを得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を詳細に説明する。
なお、本願では、「(メタ)アクリロイル」、「(メタ)アクリル」、「(メタ)アクリル酸」、「(メタ)アクリレート」、又は「(メタ)アクリルアミド」と表記した場合には、特に説明がない限り、それぞれ、「アクリロイル及び/又はメタクリロイル」、「アクリル及び/又はメタクリル」、「アクリル酸及び/又はメタクリル酸」、「アクリレート及び/又はメタクリレート」、又は「アクリルアミド及び/又はメタクリルアミド」を表すものとする。
また、本明細書に挙げる「C.I.」は、カラーインデックス(C.I.)を意味する。
【0020】
<カラーフィルタ用赤色着色組成物>
まず、本発明のカラーフィルタ用赤色着色組成物(以下、赤色着色組成物という)について説明する。
本発明の赤色着色組成物は、赤色着色剤(A)と、バインダー樹脂(B)と、オキシムエステル光重合開始剤(C)と、光重合性化合物(D)と、有機溶剤とを含有するものであり、着色組成物は、塗工または塗布により被膜を形成し、光硬化と熱硬化によりフィルタセグメントを形成するカラーフィルタ形成用途に使用することが好ましい。
【0021】
<着色剤(A)>
本発明の赤色着色組成物に含まれる着色剤(A)は、有機又は無機の顔料を、単独で又は2種類以上混合して用いることができる。顔料のなかでは、発色性が高く、且つ耐熱性の高い顔料が好ましく、通常は有機顔料が用いられる。また、着色剤(A)には、耐熱性を低下させない範囲内で染料を含有させることができる。
【0022】
<赤色着色剤(A1)>
本発明の赤色着色組成物に含有される着色剤(A)は赤色着色剤(A1)を含有する。本発明の実施形態による赤色着色組成物には赤色着色剤(A1)として有機顔料や染料を使用可能である。
【0023】
[有機顔料]
赤色顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、12、14、15、16、17、21、22、23、31、32、37、38、41、47、48、48:1、48:2、48:3、48:4、49、49:1、49:2、50:1、52:1、52:2、53、53:1、53:2、53:3、57、57:1、57:2、58:4、60、63、63:1、63:2、64、64:1、68、69、81、81:1、81:2、81:3、81:4、83、88、90:1、101、101:1、104、108、108:1、109、112、113、114、122、123、144、146、147、149、151、166、168、169、170、172、173、174、175、176、177、178、179、181、184、185、187、188、190、193、194、200、202、206、207、208、209、210、214、216、220、221、224、230、231、232、233、235、236、237、238、239、242、243、245、247、249、250、251、253、254、255、256、257、258、259、260、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276などを挙げることができる。これらの中でも、明度及び着色力の観点から、アゾ系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、アントラキノン系顔料が好ましい。具体的には、C.I.ピグメントレッド7、14、48:1、48:2、48:3、48:4、57:1、166、176、177、184、185、208、221、242、254、下記一般式(2)で表されるアゾ系顔料、下記式(3)で表されるジケトピロロピロール系顔料、が好ましい。より好ましくは、下記一般式(2)で表されるアゾ系顔料と、下記式(3)または下記一般式(4)で表されるジケトピロロピロール系顔料である。一般式(2)で表されるアゾ系顔料を用いることにより高演色カラーフィルタにおいて高い着色力が得られ着色剤成分を減らすことができ,レジスト処方組成の選択幅が広がる。また、下記式(3)また下記一般式(4)で表されるジケトピロロピロール系顔料を用いることにより、着色剤の含有量が高い場合にも高明度なカラーフィルタが提供できるため好ましい。
【0024】
[アゾ系顔料]
[アゾ顔料(A1-a)]
本発明におけるアゾ系顔料は、一般式(2)で表されるアゾ顔料(A1-a)を含有することが好ましい。
一般式(2)
【化2】
[一般式(2)中、Aは、水素原子、ベンズイミダゾロン基、置換基を有してもよいフェニル基または置換基を有してもよい複素環基を表す。R
1は、水素原子、トリフルオロメチル基、炭素数1~4のアルキル基、-OR
7または-COOR
8を表す。R
2~R
6は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、トリフルオロメチル基、炭素数1~4のアルキル基、-OR
9、-COOR
10、-CONHR
11、-NHCOR
12または-SO
2NHR
13を表す。R
7~R
13は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~4のアルキル基を表す。]
【0025】
一般式(2)で表されるアゾ顔料(A1-a)の中でも、好ましくは、R2~R6のうち少なくとも1つがトリフルオロメチル基であるアゾ顔料が、顔料粒子を微細化しやすくコントラスト比が秀でているため好ましい。
【0026】
アゾ顔料(A1-a)は、特開2014-92567号公報等に記載の方法を用いて得ることが出来る。
【0027】
一般式(2)中、Aにおいて、置換基を有してもよいフェニル基の「置換基」としては、ハロゲン原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシル基、シアノ基、トリフルオロメチル基、ニトロ基、水酸基、カルバモイル基、N-置換カルバモイル基、スルファモイル基、N-置換スルファモイル基、カルボキシル基、スルホ基、カルボキシル基またはスルホ基から選ばれる酸性基の1価~3価の金属塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、アルミニウム塩等)などが挙げられる。したがって、置換基を有してもよいフェニル基の具体例としては、フェニル基、p-メチルフェニル基、4-tert-ブチルフェニル基、p-ニトロフェニル基、p-メトキシフェニル基、o-トリフルオロメチルフェニル基、p-クロロフェニル基、p-ブロモフェニル基、2,4-ジクロロフェニル基、3-カルバモイルフェニル基、2-クロロ-4-カルバモイルフェニル基、2-メチル-4-カルバモイルフェニル基、2-メトキシ-4-カルバモイルフェニル基、2-メトキシ-4-メチル-3-スルファモイルフェニル基、4-スルホフェニル基、4-カルボキシフェニル基、2-メチル-4-スルホフェニル基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0028】
また、Aにおいて、置換基を有してもよい複素環基の「置換基」としては、ハロゲン原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシル基、シアノ基、トリフルオロメチル基、ニトロ基、水酸基、カルバモイル基、N-置換カルバモイル基、スルファモイル基、N-置換スルファモイル基、カルボキシル基、スルホ基、カルボキシル基またはスルホ基から選ばれる酸性基の1価~3価の金属塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、アルミニウム塩等)などが挙げられる。また、「複素環」とは、環系を構成する原子の中に、炭素原子以外のヘテロ原子が1個以上含まれるものを意味し、飽和環であっても不飽和環であっても良く、更に単環であっても縮合環であっても良い。したがって、複素環としては、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、トリアジン環、ピロール環、フラン環、チオフェン環、イミダゾール環、ピラゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、イソオキサゾール環、イソチアゾール環、トリアゾール環、チアジアゾール環、オキサジアゾール環、キノリン環、ベンゾフラン環、インドール環、モルホリン環、ピロリジン環、ピペリジン環、テトラヒドロフラン環などが挙げられる。ゆえに、複素環基とは、これら複素環から水素原子を除いて誘導される一価の遊離基を意味し、したがって、置換基を有してもよい複素環基の具体例としては、2-ピリジル基、3-ピリジル基、4-ピリジル基、2-ピローリル基、3-ピローリル基、2-フリル基、3-フリル基、2-チエニル基、3-チエニル基、2-イミダゾリル基、2-オキサゾリル基、2-チアゾリル基、ピペリジノ基、4-ピペリジル基、モルホリノ基、2-モルホリニル基、N-インドリル基、2-インドリル基、2-ベンゾフリル基、2-ベンゾチエニル基、2-キノリノ基、N-カルバゾリル基などが挙げられる。
【0029】
また、R2~R6におけるハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
【0030】
また、R1~R13における炭素数1~4のアルキル基としては、直鎖状でも分岐状でもよく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基が挙げられる。
【0031】
顔料としては、明度の観点から、Aが、置換基を有してもよいフェニル基であることが好ましい。さらに、明度および分散性の観点から、R1が炭素数1~4のアルキル基または-OR7であることが好ましく、R1がメチル基またはメトキシ基であることがより好ましい。
【0032】
アゾ顔料として、化学構造が一般式(2)、またはその互変異性体であっても良く、あらゆる結晶形態を持った顔料であっても良く、いわゆる多形と呼称されるあらゆる結晶形態を持った顔料同士の混晶であっても良い。これら顔料の結晶形態は、粉末X線回折測定やX線結晶構造解析により確認できる。
【0033】
一般式(2)で表されるアゾ顔料(A1-a)の具体例としては、下記に示すアゾ顔料等が挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0034】
【0035】
【0036】
【0037】
【0038】
【0039】
[その他のアゾ系顔料]
本発明の着色剤には、本発明の効果を損なわない範囲で、一般式(2)で表されるアゾ顔料(A1-a)以外のアゾ系顔料を併用しても良い。具体的には、C.I.ピグメントレッド7、14、48:1、48:2、48:3、48:4、57:1、166、176、184、185、208、221、242、C.I.ピグメントオレンジ38、44、63、74等のアゾ系顔料を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0040】
[ジケトピロロピロール系顔料]
本発明におけるジケトピロロピロール系顔料は、C.I.ピグメントレッド254または式(3)で示されるジケトピロロピロール顔料(A1-b)(臭素化ジケトピロロピロール顔料と称することがある)の少なくとも1種を含むことが好ましい。また、さらに一般式(4)で示されるジケトピロロピロール顔料(A1-c)(特定へテロジケトピロロピロール顔料と称することがある)を共に含む場合が、耐熱性が優れているため好ましい。
【0041】
[式(3)で示されるジケトピロロピロール顔料(A1-b)]
式(3)
【化8】
【0042】
ジケトピロロピロール顔料(A1-b)である臭素化ジケトピロロピロール顔料は、国際公開2009/144115号パンフレット等に記載の公知の方法を用いて得ることが出来る。
【0043】
製造方法の一例としては、コハク酸ジエステル合成法等で製造することができる。すなわち、コハク酸ジエステル1モルに対して4-ブロモベンゾニトリル2モルを、tert-アミルアルコール等の不活性有機溶剤中で、アルカリ金属又はアルカリ金属アルコキシドの存在下において、80~110℃の高温で縮合反応を行い、ジケトピロロピロール化合物のアルカリ金属塩を生成させ、続いて、このジケトピロロピロール化合物のアルカリ金属塩に対して、水、アルコール、酸等を用いてプロトン化することにより、臭素化ジケトピロロピロール顔料を得ることができる。このとき、プロトン化における温度、水、アルコールまたは酸の種類、比率や量により、得られる一次粒子径の大きさを制御することができる。臭素化ジケトピロロピロール顔料の製造方法はこの方法に限定されるものではない。
【0044】
ジケトピロロピロール顔料(A1-b)は、耐熱性に関して、C.I.ピグメントレッド254より優れている傾向にある。これは、ブロモ基がクロロ基より分子量が大きく、立体障害効果が働くためと考えられる。
【0045】
[一般式(4)で示されるジケトピロロピロール顔料(A1-c)]
一般式(4)
【化9】
【0046】
一般式(4)中、Xは塩素原子、または臭素原子を表し、BおよびDは、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、ヨウ素原子、シアノ基、炭素数1~12のアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基、-CF3、-OR13、-SR14、-N(R15)R16、-COOR17、-CONH2、-CONHR18、-CON(R19)R20、-SO2NH2、-SO2NHR21、または、-SO2N(R22)R23であり、R13~R23は、それぞれ独立して、炭素数1~12のアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基、または、置換基を有してもよいアラルキル基である。ただし、BおよびDが同時に水素原子になることはない。
【0047】
炭素数1~12のアルキル基としては、直鎖状でも分岐状でもよく、具体的にメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、1,5-ジメチルヘキシル基、1,6-ジメチルヘプチル基、2-エチルヘキシル基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0048】
上記置換基を有してもよいフェニル基としては、炭素数1~4のアルキル基、トリフルオロメチル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、カルバモイル基、スルファモイル基、炭素数1~4のアルコキシル基などの置換基を有するフェニル基が挙げられる。より具体的には、フェニル基、p-メチルフェニル基、4-tert-ブチルフェニル基、p-ニトロフェニル基、p-メトキシフェニル基、p-クロロフェニル基、2,4-ジクロロフェニル基、3-カルバモイルフェニル基等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0049】
上記置換基を有してもよいアラルキル基としては、具体的にベンジル基、4-メチルベンジル基、4-tert-ブチルベンジル基、4-メトキシベンジル基、4-ニトロベンジル基、2,4-ジクロロベンジル基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0050】
本発明の着色組成物に用いられる一般式(4)で表される特定へテロジケトピロロピロール顔料の中でも、一般式(4-1)、一般式(4-2)、一般式(4-3)、一般式(4-4)が明度、コントラスト比、および結晶析出抑制効果の点から好ましい。また一般式(4-3)、一般式(4-4)のR6~R8は、炭素数4以上のアルキル基、または置換基を有しても良いフェニル基が、コントラスト比および結晶析出抑制効果の点から好ましい。これらが高コントラスト化、および結晶析出抑制に効果を発揮する理由は、炭素数4以上のアルキル基を有するカルボアミド基、フェニル基、t-ブチル基等のかさ高い置換基による立体障害効果によって、顔料の凝集が抑制されるためと考えられる。また、カルボアミド基、フェニル基、t-ブチル基を有する特定へテロジケトピロロピロール顔料は、色特性も優れているため、明度を損なうことが少ない。
【0051】
【0052】
一般式(4-1~4-4)中、Xは塩素原子、または臭素原子を表し、R24~R26は、それぞれ独立して、炭素数1~12のアルキル基、または置換基を有してもよいフェニル基である。
【0053】
本発明に用いることができる一般式(4)の特定ヘテロジケトピロロピロール顔料の具体例を以下に挙げるが、これらに限定されるものではない。
【0054】
【0055】
【0056】
【0057】
【0058】
【0059】
【0060】
本発明の着色剤に用いられる式(4)で示される特定へテロジケトピロロピロール顔料の中でも、式(4-1a)、式(4-2a)、式(4-4b)、式(4-19)が明度および結晶析出抑制効果の点から好ましい。
【0061】
一般式(4)で示される特定ヘテロジケトピロロピロール顔料(A1-c)の含有量は、ジケトピロロピロール系顔料の合計質量100質量%中、1~15質量%の範囲であることが好ましい。ジケトピロロピロール顔料(A1-c)の含有量が1質量%以上だと、結晶析出抑制効果が十分である。また、ジケトピロロピロール顔料(A1-c)の含有量が、15質量%以下であれば、結晶析出抑制効果が高く、明度も十分である。
【0062】
結晶析出抑制効果が十分でない場合には、加熱工程で塗膜表面に析出した結晶状異物によって光散乱が起こり、明度およびコントラスト比の低下を引き起こす。したがって、特定へテロジケトピロロピロール顔料を上記含有量で含む赤色着色組成物を使用することにより、高明度かつ高コントラスト比を達成し、加熱工程におけるジケトピロロピロール系顔料使用時の課題であった結晶析出を解決することができる。
【0063】
[その他のジケトピロロピロール顔料]
本発明の着色剤には、C.I.ピグメントレッド254、式(3)のジケトピロロピロール顔料(A1-b)、および一般式(7)の特定へテロジケトピロロピロール顔料(A1-c)以外のジケトピロロピロール系顔料を併用しても良い。具体的には、C.I.ピグメントレッド255、264、272、C.I.ピグメントオレンジ71、73、または81等のジケトピロロピロール系顔料を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0064】
<染料>
染料としては、酸性染料、直接染料、塩基性染料、造塩染料、油溶性染料、分散染料、反応染料、媒染染料、建染染料、硫化染料等のいずれも用いることができる。また、これらの誘導体や、染料をレーキ化したレーキ顔料の形態であってもかまわない。
【0065】
さらに、スルホン酸やカルボン酸等の酸性基を有する酸性染料、直接染料の形態の場合は、酸性染料の無機塩や、酸性染料と四級アンモニウム塩化合物、三級アミン化合物、二級アミン化合物、もしくは一級アミン化合物等の含窒素化合物との造塩化合物、又はこれらの官能基を有する樹脂成分を用いて造塩化して造塩化合物として用いること、あるいはスルホンアミド化してスルホン酸アミド化合物として用いることで耐性に優れたものとなるために、堅牢性に優れた着色組成物とすることができ、好ましい。
また、酸性染料とオニウム塩基を有する化合物との造塩化合物も、堅牢性に優れるため好ましく、より好ましくは、オニウム塩基を有する化合物が、側鎖にカチオン性基を有する樹脂である場合である。
【0066】
塩基性染料の形態の場合は、有機酸や過塩素酸もしくはその金属塩を用いて造塩化して用いることができる。中でも、塩基性染料の造塩化合物が耐性、顔料との併用性に優れているために好ましく、さらに塩基性染料と、カウンタイオンとしてはたらくカウンタ成分である有機スルホン酸、有機硫酸、フッ素基含有リンアニオン化合物、フッ素基含有ホウ素アニオン化合物、シアノ基含有窒素アニオン化合物、ハロゲン化炭化水素基を有する有機酸の共役塩基を有するアニオン化合物、又は酸性染料とを造塩した、造塩化合物を用いることがより好ましいものである。
【0067】
また、色素骨格に重合性不飽和基を有する場合、耐性に優れた染料とすることができ、好ましい。
【0068】
染料の化学構造としては、例えば、アゾ系染料、ジスアゾ系染料、アゾメチン系染料(インドアニリン系染料、インドフェノール系染料など)、ジピロメテン系染料、キノン系染料(ベンゾキノン系染料、ナフトキノン系染料、アントラキノン系染料、アントラピリドン系染料など)、カルボニウム系染料(ジフェニルメタン系染料、トリフェニルメタン系染料、キサンテン系染料、アクリジン系染料など)、キノンイミン系染料(オキサジン系染料、チアジン系染料など)、アジン系染料、ポリメチン系染料(オキソノール系染料、メロシアニン系染料、アリーリデン系染料、スチリル系染料、シアニン系染料、スクアリリウム系染料、クロコニウム系染料など)、キノフタロン系染料、フタロシアニン系染料、サブフタロシアニン系染料、ペリノン系染料、インジゴ系染料、チオインジゴ系染料、キノリン系染料、ニトロ系染料、ニトロソ系染料、ローダミン系染料、及びそれらの金属錯体系染料等から選ばれる染料に由来する色素構造を挙げることができる。
【0069】
これらの色素構造の中でも、色相、色分離性、色むらなどの色特性の観点から、アゾ系染料、キサンテン系染料、シアニン系染料、トリフェニルメタン系染料、アントラキノン系染料、ジピロメテン系染料、スクアリリウム系染料、キノフタロン系染料、フタロシアニン系染料、サブフタロシアニン系染料から選ばれる色素に由来する色素構造が好ましく、キサンテン系染料、シアニン系染料、トリフェニルメタン系染料、アントラキノン系染料、ジピロメテン系染料、フタロシアニン系染料から選ばれる色素に由来する色素構造がより好ましい。色素構造を形成しうる具体的な色素化合物については「新版染料便覧」(有機合成化学協会編;丸善、1970)、「カラーインデックス」(The Society of Dyers and colourists)、「色素ハンドブック」(大河原他編;講談社、1986)などに記載されている。
[その他の着色剤]
本発明の赤色着色組成物は、さらに、その他の着色剤を併用して用いてもよい。その他の着色剤としては、有機顔料や染料が挙げられ、これらの顔料・染料は、単独で、または必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
【0070】
以下にこれらに用いることのできるその他の着色剤について述べる。
【0071】
黄色顔料では、例えば、C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、15、16、17、18、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、126、127、128、129、138、139、147、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、188、192、193、194、196、198、199、213、214、231等が挙げられる。好ましくはC.I.ピグメントイエロー139、150、185、231である。
【0072】
オレンジ色顔料としては、例えばC.I.ピグメントオレンジ43、51、55、59、61、64等のオレンジ色顔料を用いることができるが、特にこれらに限定されない。
【0073】
青色顔料としては、例えばC.I.ピグメントブルー1、1:2、9、14、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、22、25、27、28、29、33、35、36、56、56:1、60、61、61:1、62、63、64、66、67、68、71、72、73、74、75、76、78、79、特開2004-333817号公報、特許第4893859号公報等に記載のアルミニウムフタロシアニン顔料などを挙げることができるが、特にこれらに限定されない。これらの中でも、高コントラスト比、高明度を得る観点から、好ましくはC.I.ピグメントブルー15、15:1、15:2、15:3、15:4、または15:6であり、更に好ましくはC.I.ピグメントブルー15:6である。
【0074】
緑色顔料としては、例えばC.I.ピグメントグリーン1、2、4、7、8、10、13、14、15、17、18、19、26、36、37、45、48、50、51、54、55、58、59、62、63などを挙げることができるが、特にこれらに限定されない。これらの中でも、高コントラスト比、高明度を得る観点から、好ましくはC.I.ピグメントグリーン7、36、58、62、63である。
【0075】
紫色顔料としては、例えばC.I.ピグメントバイオレット1、1:1、2、2:2、3、3:1、3:3、5、5:1、14、15、16、19、23、25、27、29、30、31、32、37、39、40、42、44、47、49、50などを挙げることができるが、特にこれらに限定されない。これらの中でも、高コントラスト比、高明度を得る観点から、好ましくはC.I.ピグメントバイオレット19、または23であり、更に好ましくはC.I.ピグメントバイオレット23である。
【0076】
[顔料の微細化]
本発明に用いる顔料は、微細化して用いることが好ましいが、微細化方法は特に限定されるものではなく、例えば湿式磨砕、乾式磨砕、溶解析出法いずれも使用でき、本発明で例示するように湿式磨砕の1種であるニーダー法によるソルトミリング処理を行うことができる。
【0077】
微細化した顔料の一次粒子径は、着色剤担体中への分散が良好なことから、20nm以上であることが好ましい。また、コントラスト比が高いフィルタセグメントを形成できることから、100nm以下であることが好ましい。特に好ましい範囲は、25~85nmの範囲である。
なお、顔料の一次粒子径は、顔料のTEM(透過型電子顕微鏡)による電子顕微鏡写真から一次粒子の大きさを直接計測する方法で行った。具体的には、個々の顔料の一次粒子の短軸径と長軸径を計測し、平均をその顔料粒子の粒径とした。次に、100個以上の顔料粒子について、それぞれの粒子の体積を、求めた粒径の立方体と近似して平均体積を求め、この平均体積を有している立方体の一辺の長さを平均一次粒子径とする。
【0078】
ソルトミリング処理とは、顔料と水溶性無機塩と水溶性有機溶剤との混合物を、ニーダー、トリミックス、2本ロールミル、3本ロールミル、ボールミル、アトライター、サンドミル等の混練機を用いて、加熱しながら機械的に混練した後、水洗により水溶性無機塩と水溶性有機溶剤を除去する処理である。水溶性無機塩は、破砕助剤として働くものであり、ソルトミリング時に無機塩の硬度の高さを利用して顔料が破砕される。顔料をソルトミリング処理する際の条件を最適化することにより、一次粒子径が非常に微細であり、また、分布の幅がせまく、シャープな粒度分布をもつ顔料を得ることができる。
【0079】
水溶性無機塩としては、塩化ナトリウム、塩化バリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム等を用いることができるが、価格の点から塩化ナトリウム(食塩)を用いるのが好ましい。水溶性無機塩は、処理効率と生産効率の両面から、顔料100質量部に対し、50~2000質量部用いることが好ましく、300~1000質量部用いることが最も好ましい。
【0080】
水溶性有機溶剤は、顔料及び水溶性無機塩を湿潤する働きをするものであり、水に溶解(混和)し、かつ用いる無機塩を実質的に溶解しないものであれば特に限定されない。ただし、ソルトミリング時に温度が上昇し、溶剤が蒸発し易い状態になるため、安全性の点から、沸点120℃以上の高沸点溶剤が好ましい。例えば、2-メトキシエタノール、2-ブトキシエタノール、2-(イソペンチルオキシ)エタノール、2-(ヘキシルオキシ)エタノール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、液状のポリエチレングリコール、1-メトキシ-2-プロパノール、1-エトキシ-2-プロパノール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、液状のポリプロピレングリコール等が用いられる。水溶性有機溶剤は、顔料100質量部に対し、5~1000質量部用いることが好ましく、50~500質量部用いることが最も好ましい。
【0081】
顔料をソルトミリング処理する際には、必要に応じて樹脂を添加してもよい。用いられる樹脂の種類は特に限定されず、天然樹脂、変性天然樹脂、合成樹脂、天然樹脂で変性された合成樹脂等を用いることができる。用いられる樹脂は、室温で固体であり、水不溶性であることが好ましく、かつ上記有機溶剤に一部可溶であることがさらに好ましい。樹脂の使用量は、顔料100質量部に対し、5~200質量部の範囲であることが好ましい。
【0082】
顔料をソルトミリング処理(微細化)する際に、同時に本発明のシアニン系色素(A)を添加することも好ましいものである。顔料を微細化する際に、共に添加することで良好な着色剤とすることができる。
【0083】
<バインダー樹脂(B)>
本発明の赤色着色組成物は、バインダー樹脂(B)を含む。バインダー樹脂(B)は、400~700nmの全波長領域において透過率が好ましくは80%以上、より好ましくは95%以上の樹脂を用いる。バインダー樹脂(B)には、その主たる硬化方式で分類すると熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、エチレン性不飽和二重結合等を有する活性エネルギー線硬化性樹脂などがあり、活性エネルギー線硬化性樹脂は熱可塑性樹脂であっても熱硬化の機能を併せ持つものであってもよく、さらに現像性の観点からアルカリ可溶性樹脂であることが好ましい。また、活性エネルギー線硬化性でない熱可塑性樹脂を含んでもよく、これについてもアルカリ可溶性であることが好ましい。これらを単独で、又は2種以上混合して用いることができる。
【0084】
本発明の感光性組成物中のバインダー樹脂(B)の含有量は、着色剤の全質量を基準(100質量部)として、好ましくは20~400質量部、さらに好ましくは50~250質量部である。成膜性及び諸耐性が良好なことから、20質量部以上の量で用いることが好ましく、着色剤濃度が高く、良好な色特性を発現できることから、400質量部以下の量で用いることが好ましい。
【0085】
<熱可塑性樹脂>
バインダー樹脂(B)として用いることができる熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ブチラール樹脂、スチレン-マレイン酸共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル樹脂、ビニル系樹脂、アルキッド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂、環化ゴム系樹脂、セルロース類、ポリエチレン(HDPE、LDPE)、ポリブタジエン、及びポリイミド樹脂等が挙げられる。
熱可塑性樹脂はアルカリ可溶性であることが好ましく、例えば、カルボキシル基、スルホン基等の酸性基を有する樹脂が挙げられる。樹脂として具体的には、酸性基を有するアクリル樹脂、α-オレフィン/(無水)マレイン酸共重合体、スチレン/スチレンスルホン酸共重合体、エチレン/(メタ)アクリル酸共重合体、又はイソブチレン/(無水)マレイン酸共重合体等が挙げられる。中でも、酸性基を有するアクリル樹脂、及びスチレン/スチレンスルホン酸共重合体から選ばれる少なくとも1種の樹脂、特に酸性基及び/又は水酸基を有するアルカリ可溶性樹脂は、現像性、耐熱性、透明性が高いため、好適に用いられる。
【0086】
<アルカリ可溶性樹脂>
本発明の赤色着色組成物は、現像性、耐熱性、透明性の点から、アルカリ可溶性樹脂を含むことが好ましい。カラーフィルタ作製時のアルカリ現像工程において現像溶解性を付与するためのものであり、酸基及び/又は水酸基を有する。また、さらに光感度を向上させるために、エチレン性不飽和二重結合を有する樹脂を用いることがさらに好ましい。
【0087】
<エチレン性不飽和二重結合を有するアルカリ可溶性樹脂>
本発明の感光性樹脂組成物に含まれるアルカリ可溶性樹脂は、エチレン性不飽和二重結合を有することが好ましい。特に以下に示す(i) (ii)や(iii)の方法によりエチレン性不飽和二重結合を導入した樹脂を用いることで、活性エネルギー線で露光し塗膜を形成する際に、樹脂が3次元架橋されることで架橋密度が上がり、薬品耐性が良好になる。
【0088】
[方法(i)]
方法(i)としては、例えば、エポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体と、他の1種類以上の単量体とを共重合することによって得られた共重合体の側鎖エポキシ基に、エチレン性不飽和二重結合を有する不飽和一塩基酸のカルボキシル基を付加反応させ、更に、生成した水酸基に、多塩基酸無水物を反応させ、エチレン性不飽和二重結合及びカルボキシル基を導入する方法がある。
【0089】
エポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、2-グリシドキシエチル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシブチル(メタ)アクリレート、及び3,4-エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレートが挙げられ、これらは、単独で用いても、2種類以上を併用してもかまわない。次工程の不飽和一塩基酸との反応性の観点で、グリシジル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0090】
不飽和一塩基酸としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、o-、m-、p-ビニル安息香酸、(メタ)アクリル酸のα位ハロアルキル、アルコキシル、ハロゲン、ニトロ、シアノ置換体等のモノカルボン酸等が挙げられ、これらは、単独で用いても、2種類以上を併用してもかまわない。
【0091】
多塩基酸無水物としては、テトラヒドロ無水フタル酸、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水コハク酸、無水マレイン酸等が挙げられ、これらは単独で用いても、2種類以上を併用してもかまわない。カルボキシル基の数を増やす等、必要に応じて、トリメリット酸無水物等のトリカルボン酸無水物を用いたり、ピロメリット酸二無水物等のテトラカルボン酸二無水物を用いて、残った無水物基を加水分解したりすること等もできる。また、多塩基酸無水物として、エチレン性不飽和二重結合を有する、テトラヒドロ無水フタル酸、又は無水マレイン酸を用いると、更にエチレン性不飽和二重結合を増やすことができる。
【0092】
方法(i)の類似の方法として、例えば、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体と、他の1種類以上の単量体とを共重合することによって得られた共重合体の側鎖カルボキシル基の一部に、エポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体を付加反応させ、エチレン性不飽和二重結合及びカルボキシル基を導入する方法がある。
【0093】
[方法(ii)]
方法(ii)としては、水酸基を有するエチレン性不飽和単量体を使用し、他のカルボキシル基を有する不飽和一塩基酸の単量体や、他の単量体とを共重合することによって得られた共重合体の側鎖水酸基に、イソシアネート基を有するエチレン性不飽和単量体のイソシアネート基を反応させる方法がある。
【0094】
水酸基を有するエチレン性不飽和単量体としては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アク
リレート、2-若しくは3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-若しくは3
-若しくは4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、又はシクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキルメタアクリレート類が挙げられ、これらは、単独で用いても、2種類以上を併用して用いてもかまわない。また、上記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートに、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、及び/又はブチレンオキシド等を付加重合させたポリエーテルモノ(メタ)アクリレートや、ポリγ-バレロラクトン、ポリε-カプロラクトン、及び/又はポリ12-ヒドロキシステアリン酸等を付加したポリエステルモノ(メタ)アクリレートも使用できる。塗膜異物抑制の観点から、2-ヒドロキシエチルメタアクリレート、又はグリセロールモノ(メタ)アクリレートが好ましく、また感度の点からは2個以上6個以下の水酸基を有するものを使用することが感度の点から好ましく、グリセロールモノ(メタ)アクリレートがさらに好ましい。
【0095】
イソシアネート基を有するエチレン性不飽和単量体としては、2-(メタ)アクリロイルエチルイソシアネート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、又は1,1-ビス〔メタアクリロイルオキシ〕エチルイソシアネート等が挙げられるが、これらに限定することなく、2種類以上併用することもできる。
【0096】
アルカリ可溶性樹脂を構成するモノマーとして以下のものが挙げられる。例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、又はエトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート類、
あるいは、(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、又はアクリロイルモルホリン等の(メタ)アクリルアミド類スチレン、又はα-メチルスチレン等のスチレン類、エチルビニルエーテル、n-プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n-ブチルビニルエーテル、又はイソブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類、酢酸ビニル、又はプロピオン酸ビニル等の脂肪酸ビニル類等が挙げられる。
【0097】
あるいは、シクロヘキシルマレイミド、フェニルマレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、1,2-ビスマレイミドエタン1,6-ビスマレイミドヘキサン、3-マレイミドプロピオン酸、6,7-メチレンジオキシ-4-メチル-3-マレイミドクマリン、4,4’-ビスマレイミドジフェニルメタン、ビス(3-エチル-5-メチル-4-マレイミドフェニル)メタン、N,N’-1,3-フェニレンジマレイミド、N,N’-1,4-フェニレンジマレイミド、N-(1-ピレニル)マレイミド、N-(2,4,6-トリクロロフェニル)マレイミド、N-(4-アミノフェニル)マレイミド、N-(4-ニトロフェニル)マレイミド、N-ベンジルマレイミド、N-ブロモメチル-2,3-ジクロロマレイミド、N-スクシンイミジル-3-マレイミドベンゾエート、N-スクシンイミジル-3-マレイミドプロピオナート、N-スクシンイミジル-4-マレイミドブチラート、N-スクシンイミジル-6-マレイミドヘキサノアート、N-[4-(2-ベンゾイミダゾリル)フェニル]マレイミド、9-マレイミドアクリジン等のN-置換マレイミド類、EO変性クレゾールアクリレート、n-ノニルフェノキシポリエチレングリコールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、エトキシ化フェニルアクリレート、フェノールのエチレンオキサイド(EO)変性(メタ)アクリレート、パラクミルフェノールのEO又はプロピレンオキサイド(PO)変性(メタ)アクリレート、ノニルフェノールのEO変性(メタ)アクリレート、ノニルフェノールのPO変性(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0098】
又、カルボキシル基含有エチレン性不飽和モノマーを用いることもできる。カルボキシル基含有エチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、ε-カプロラクトン付加アクリル酸、ε-カプロラクトン付加メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、及びクロトン酸等が挙げられる。
【0099】
又、水酸基含有エチレン性不飽和モノマーを用いることもできる。水酸基含有エチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-若しくは3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-若しくは3-若しくは4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、又はシクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類が挙げられる。又、上記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートに、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、及び/又はブチレンオキシド等を付加重合させたポリエーテルモノ(メタ)アクリレートや、(ポリ)γ-バレロラクトン、(ポリ)ε-カプロラクトン、及び/又は(ポリ)12-ヒドロキシステアリン酸等を付加した(ポリ)エステルモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0100】
又、リン酸エステル基含有エチレン性不飽和モノマーを用いることもできる。リン酸エステル基含有エチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、上記水酸基含有エチレン性不飽和モノマーの水酸基にたとえば5酸化リンやポリリン酸等のリン酸エステル化剤を反応せしめることで得ることができるモノマーが挙げられる。
【0101】
<エチレン性不飽和二重結合を有しないアルカリ可溶性樹脂>
本発明の樹脂組成物は、塗膜の硬化度合を調整するために、エチレン性不飽和二重結合を有しないアルカリ可溶性樹脂を含有することができる。少なくとも1種のカルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体と、その他の前記エチレン性不飽和単量体を1種以上用いて合成し、側鎖にエチレン性不飽和結合を付与しないことで、エチレン性不飽和二重結合を有しないアルカリ可溶性樹脂が得ることができる。
【0102】
本発明におけるバインダー樹脂(B)の重量平均分子量(Mw)は、アルカリ現像溶解性を付与するために、2,000以上40,000以下であり、3,000以上300,00以下が好ましく、4,000以上20,000以下がより好ましい。また、Mw/Mnの値は10以下であることが好ましい。重量平均分子量(Mw)が2,000未満であると基板に対する密着性が低下し、露光パターンが残りにくくなる。40,000を超えるとアルカリ現像溶解性が低下し、残渣が発生しパターンの直線性が悪化する。
本発明におけるアルカリ可溶性樹脂の酸価は、アルカリ現像溶解性を付与するために50以上~200以下(KOHmg/g)であり、70以上180以下の範囲が好ましく、より好ましくは90以上170以下の範囲である。酸価が50未満であるとアルカリ現像溶解性が低下し、残渣が発生しパターンの直線性が悪化する。200を超えると基板への密着性が低下し、露光パターンが残りにくくなる。
【0103】
[熱硬化性化合物]
本発明においては、アクリル可溶性樹脂と併用して、さらに熱硬化性化合物を含んでもよい。
【0104】
熱硬化性化合物としては、例えば、エポキシ化合物及び/または樹脂、ベンゾグアナミン化合物及び/または樹脂、ロジン変性マレイン酸化合物及び/または樹脂、ロジン変性フマル酸化合物及び/または樹脂、メラミン化合物及び/または樹脂、尿素化合物及び/または樹脂、フェノール化合物及び/または樹脂、が挙げられるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0105】
<光重合性化合物(D)>
光重合性化合物(D)は、2官能のビスフェノールA型(メタ)アクリレート(D1)を含む。2官能のビスフェノールA型(メタ)アクリレート(D1)を含むことにより、顔料濃度が高い場合でも幅広い膜厚水準においてテーパー形状が良好となる。
【0106】
光重合性化合物(D)の含有量は、光硬化性及び現像性の観点から、着色組成物の不揮発分100質量%中、15質量%以上40質量%以下であることが好ましい。
【0107】
<2官能のビスフェノールA型(メタ)アクリレート(D1)>
2官能のビスフェノールA型(メタ)アクリレート(D1)としては、一分子中に2個の重合性不飽和基およびビスフェノールA型骨格を有するものであればその構造に制限はない。
【0108】
2官能のビスフェノールA型(メタ)アクリレート(D1)の市販品としては、新中村化学社製のA-B1206PE、ABE-300、A-BPE-10、A-BPE-20、A-BPE-30、A-BPE-4、A-BPP-3、BPE-80N、BPE-200、BPE-500、BPE-900、BPE-1300N、大阪有機化学工業社製のビスコート#540、共栄社化学社製のエポキシエステル3000A、エポキシエステル3000MK、エポキシエステル3002A(N)、エポキシエステル3002M(N)等が挙げられる。
【0109】
中でも、下記一般式(5)で表される構造が、幅広い膜厚水準でのテーパー形状や、感度および薬品耐性の点で好ましい。
【化17】
(一般式(5)において、mおよびnはそれぞれ1以上の整数を表し、且つm+n=2~30である。R
1、R
2は、それぞれ独立して、水素原子、メチル基を表す。)
分子中にエチレンオキシ基を含有することにより、焼成時の塗膜流動性を維持できるためテーパー形状が良化するとともに、塗膜が柔軟性を持つことで効率的な光硬化、熱硬化が可能となり感度や薬品耐性が良化する。
m+nの数は、2~17の範囲で好ましく、2~10の範囲がより好ましく、2~4の範囲が特に好ましい。
【0110】
2官能のビスフェノールA型(メタ)アクリレート(D1)の含有量は、着色組成物の不揮発分100質量%中、15質量%以上30質量%以下であり、より好ましくは16質量%以上23質量%以下である。赤色着色組成物においてこの範囲にあることで、幅広い膜厚で良好なテーパー形状が得られ、画素欠けや脱ガスを少なくすることができる。
【0111】
<その他の光重合性化合物>
その他の光重合性化合物としては、紫外線や熱などにより硬化して透明樹脂を生成するモノマー、オリゴマーが含まれる。例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、β-カルボキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、フェノキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシヘキサエチレングリコール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンPO変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンEO変性トリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸EO変性ジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸EO変性トリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、エステルアクリレート、メチロール化メラミンの(メタ)アクリル酸エステル、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレート等の各種アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、スチレン、酢酸ビニル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ビニルホルムアミド、アクリロニトリル等が挙げられるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0112】
これらの市販品としては、日本化薬社製のKAYARAD R-128H、KAYARAD R526、KAYARAD PEG400DA、KAYARAD MAND、KAYARD NPGDA、KAYARAD R-167、KAYARAD HX-220、KAYARAD R-551、KAYARAD R712、KAYARAD R-604、KAYARAD R-684、KAYARAD GPO-303、KAYARAD TMPTA、KAYARAD DPHA、KAYARAD DPEA-12、KAYARAD DPHA-2C、KAYARAD D-310、KAYARAD D-330、KAYARAD DPCA-20、KAYARAD DPCA-30、KAYARAD DPCA-60、KAYARAD DPCA-120、及び東亜合成社製のM-303、M-305、M-306、M-309、M-310、M-321、M-325、M-350、M-360、M-313、M-315、M-400、M-402、M-403、M-404、M-405、M-406、M-450、M-452、M-408、M-211B、M-101A、大阪有機社製のビスコート#310HP、ビスコート#335HP、ビスコート#700、ビスコート#295、ビスコート#330、ビスコート#360、ビスコート#GPT、ビスコート#400、ビスコート#405、新中村化学社製のA-9300等を好適に使用することができる。
【0113】
また、酸基を有する光重合性化合物を含有してもよい。酸基としては、スルホン酸基やカルボキシル基、リン酸基等を挙げることができる。
【0114】
酸基を有する光重合性化合物としては、例えば、多価アルコールと(メタ)アクリル酸との遊離水酸基含有ポリ(メタ)アクリレート類と、ジカルボン酸類とのエステル化物;多価カルボン酸と、モノヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類とのエステル化物等を挙げることができる。具体例としては、トリメチロールプロパンジアクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート等のモノヒドロキシオリゴアクリレート又はモノヒドロキシオリゴメタクリレート類と、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、テレフタル酸等のジカルボン酸類との遊離カルボキシル基含有モノエステル化物;プロパン-1,2,3-トリカルボン酸(トリカルバリル酸)、ブタン-1,2,4-トリカルボン酸、ベンゼン-1,2,3-トリカルボン酸、ベンゼン-1,3,4-トリカルボン酸、ベンゼン-1,3,5-トリカルボン酸等のトリカルボン酸類と、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート等のモノヒドロキシモノアクリレート又はモノヒドロキシモノメタクリレート類との遊離カルボキシル基含有オリゴエステル化物等が挙げられるが、本発明の効果はこれらに限定されるものではない。
【0115】
これらの市販品としては、大阪有機社製のビスコート#2500P、及び東亜合成社製M-5300、M-5400、M-5700、M-510、M-520等を好適に使用することができる。
【0116】
また、本発明における光重合性化合物は、エチレン性不飽和結合とウレタン結合を少なくとも1つずつ含有する光重合性化合物を含有してもよい。例えば、水酸基を有する(メタ)アクリレートに多官能イソシアネートを反応させて得られる多官能ウレタンアクリレートや、アルコールに多官能イソシアネートを反応させ、さらに水酸基を有する(メタ)アクリレートを反応させて得られる多官能ウレタンアクリレート等が挙げられる。
【0117】
水酸基を有する(メタ)アクリレートとしては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールエチレンオキサイド変性ペンタ(メタ)アクリレー、ジペンタエリスリトールプロピレンオキサイド変性ペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールカプロラクトン変性ペンタ(メタ)アクリレート、グリセロールアクリレートメタクリレート、グリセロールジメタクリレート、2-ヒドロキシ-3-アクリロイルプロピルメタクリレート、エポキシ基含有化合物とカルボキシ(メタ)アクリレートの反応物、水酸基含有ポリオールポリアクリレート等が挙げられる。
【0118】
また、多官能イソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ポリイソシアネート等が挙げられる。
【0119】
また、アルコールの構造に制限はないが、多価アルコールを使用した場合、硬化塗膜の架橋度が高くなり、塗膜耐性が上がるため好ましい。多価アルコールとしては、プロピレングリコール、エチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどが挙げられる。
【0120】
これらの市販品としては、共栄社化学社製のAH-600、AT-600、UA-306H、UA-306T、UA-306I、UA-510H、UF-8001G、DAUA-167、新中村化学工業社製のUA-160TM、大阪有機化学工業社製のUV-4108F、UV-4117F等を好適に使用することができる。
【0121】
これらの光重合性化合物は、単独で、又は必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
【0122】
<光重合開始剤>
本発明の着色組成物には、該組成物を紫外線照射により硬化させ、フォトリソグラフィー法によりフィルタセグメントを形成するために、光重合開始剤を加えて溶剤現像型あるいはアルカリ現像型着色組成物の形態で調製することができる。
【0123】
(オキシムエステル系化合物)
本発明の赤色着色組成物は、光重合開始剤としてオキシムエステル化合物を含む。
オキシムエステル化合物は、紫外線を吸収することによってオキシムのN-O結合の解裂がおこり、イミニルラジカルとアルキロキシラジカルを生成する。これらのラジカルは更に分解することにより活性の高いラジカルを生成するため、少ない露光量でパターンを形成させることができる。着色組成物の着色剤濃度が高い場合、塗膜の紫外線透過率が低くなり塗膜の硬化度が低くなることがあるが、オキシムエステル化合物は高い量子効率を持つため好適に使用される。加えて、オキシムエステル化合物を使用することにより、後工程での脱ガスの少ない塗膜を得ることができる。
特に好ましくは、一般式(6)で表わされるオキシムエステル光重合開始剤である。
【0124】
(一般式(6)で表わされるオキシムエステル光重合開始剤)
一般式(6)
【化18】
【0125】
一般式(6)において、
Y1は、水素原子、または置換基を有しても良い、アルケニル基、アルキル基、アルキルオキシ基、アリール基、アリールオキシ基、複素環基、複素環オキシ基、アルキルスルファニル基、アリールスルファニル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アシル基、アシルオキシ基、アミノ基、ホスフィノイル基、カルバモイル基、もしくはスルファモイル基であり、
Y2は、水素原子、または置換基を有しても良い、アルケニル基、アルキル基、アルキルオキシ基、アリール基、アリールオキシ基、複素環基、複素環オキシ基、アルキルスルファニル基、アリールスルファニル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基アシルオキシ基、もしくはアミノ基である。
Zは、直接結合又は-CO-基、
Y3は、置換基を有しても良いカルバゾール基を含む1価の有機基、Ph-S-Ph-基(Phは、置換基を有しても良い、フェニル基又はフェニレン基を示す)等であることが好ましい。
【0126】
Y1における置換基を有しても良いアルケニル基としては、炭素数1から18の直鎖状、分岐鎖状、単環状または縮合多環状アルケニル基が挙げられ、それらは構造中に複数の炭素-炭素二重結合を有していてもよく、具体例としては、ビニル基、1-プロペニル基、アリル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基、イソプロペニル基、イソブテニル基、1-ペンテニル基、2-ペンテニル基、3-ペンテニル基、4-ペンテニル基、1-ヘキセニル基、2-ヘキセニル基、3-ヘキセニル基、4-ヘキセニル基、5-ヘキセニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、1,3-ブタジエニル基、シクロヘキサジエニル基、シクロペンタジエニル基等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0127】
Y1における置換基を有しても良いアルキル基としては、炭素数1から18の直鎖状、分岐鎖状、単環状または縮合多環状アルキル基、または炭素数2から18であり場合により1個以上の-O-で中断されている直鎖状、分岐鎖状、単環状または縮合多環状アルキル基が挙げられる。炭素数1から18の直鎖状、分岐鎖状、単環状または縮合多環状アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシル基、イソプロピル基、イソブチル基、イソペンチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、sec-ペンチル基、tert-ペンチル基、tert-オクチル基、ネオペンチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ノルボルニル基、ボロニル基、4-デシルシクロヘキシル基等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。また、炭素数2から18であり場合により-O-の1個以上により中断されている直鎖状、分岐鎖状アルキル基の具体例としては、-CH2-O-CH3、-CH2-CH2-O-CH2-CH3、-CH2-CH2-CH2-O-CH2-CH3、-(CH2-CH2-O)n-CH3(ここでnは1から8である)、-(CH2-CH2-CH2-O)m-CH3(ここでmは1から5である)、-CH2-CH(CH3)-O-CH2-CH3、-CH2-CH-(OCH3)2等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0128】
炭素数2から18であり場合により-O-の1個以上により中断されている単環状または縮合多環状アルキル基の具体例としては、以下のようなものを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0129】
【0130】
Y1における置換基を有しても良いアルキルオキシ基としては、炭素原子数1~18の直鎖状、分岐鎖状、単環状または縮合多環状アルキルオキシ基、または炭素数2から18であり場合により1個以上の-O-で中断されている直鎖状、分岐鎖状、単環状または縮合多環状アルキルオキシ基が挙げられる。炭素原子数1~18の直鎖状、分岐鎖状、単環状または縮合多環状アルキルオキシ基の具体例としては、メチルオキシ基、エチルオキシ基、プロピルオキシ基、ブチルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、ドデシルオキシ基、オクタデシルオキシ基、イソプロピルオキシ基、イソブチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、sec-ブチルオキシ基、tert-ブチルオキシ基、sec-ペンチルオキシ基、tert-ペンチルオキシ基、tert-オクチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、アダマンチルオキシ基、ノルボルニルオキシ基、ボロニルオキシ基、4-デシルシクロヘキシルオキシ基等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。また、炭素数2から18であり場合により1個以上の-O-で中断されている直鎖状、分岐鎖状アルキルオキシ基の具体例としては、-O-CH2-O-CH3、-O-CH2-CH2-O-CH2-CH3、-O-CH2-CH2-CH2-O-CH2-CH3、-O-(CH2-CH2-O)n-CH3(ここでnは1から8である)、-O-(CH2-CH2-CH2-O)m-CH3(ここでmは1から5である)、-O-CH2-CH(CH3)-O-CH2-CH3、-O-CH2-CH-(OCH3)2等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0131】
炭素数2から18であり場合により-O-の1個以上により中断されている単環状または縮合多環状アルキルオキシ基の具体例としては、以下のようなものを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0132】
【0133】
Y1における置換基を有しても良いアリール基としては、炭素数6から24の単環または縮合多環アリール基が挙げられ、具体例としては、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、1-アンスリル基、9-アンスリル基、2-フェナントリル基、3-フェナントリル基、9-フェナントリル基、1-ピレニル基、5-ナフタセニル基、1-インデニル基、2-アズレニル基、1-アセナフチル基、2-フルオレニル基、9-フルオレニル基、3-ペリレニル基、o-トリル基、m-トリル基、p-トリル基、2,3-キシリル基、2,5-キシリル基、メシチル基、p-クメニル基、p-ドデシルフェニル基、p-シクロヘキシルフェニル基、4-ビフェニル基、o-フルオロフェニル基、m-クロロフェニル基、p-ブロモフェニル基、p-ヒドロキシフェニル基、m-カルボキシフェニル基、o-メルカプトフェニル基、p-シアノフェニル基、m-ニトロフェニル基、m-アジドフェニル基等が挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0134】
Y1における置換基を有しても良いアリールオキシ基としては、炭素数4~18の単環または縮合多環アリールオキシ基が挙げられ、具体例としては、フェノキシ基、1ーナフチルオキシ基、2-ナフチルオキシ基、9-アンスリルオキシ基、9-フェナントリルオキシ基、1-ピレニルオキシ基、5-ナフタセニルオキシ基、1-インデニルオキシ基、2-アズレニルオキシ基、1-アセナフチルオキシ基、9-フルオレニルオキシ基等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0135】
Y1における置換基を有しても良い複素環基としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子を含む、炭素原子数4~24の芳香族あるいは脂肪族の複素環基が挙げられ、2-チエニル基、2-ベンゾチエニル基、ナフト[2,3-b]チエニル基、3-チアントレニル基、2-チアンスレニル基、2-フリル基、2-ベンゾフリル基、ピラニル基、イソベンゾフラニル基、クロメニル基、キサンテニル基、フェノキサチイニル基、2H-ピロリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、インドリジニル基、イソインドリル基、3H-インドリル基、2-インドリル基、3-インドリル基、1H-インダゾリル基、プリニル基、4H-キノリジニル基、イソキノリル基、キノリル基、フタラジニル基、ナフチリジニル基、キノキサニリル基、キナゾリニル基、シンノリニル基、プテリジニル基、4aH-カルバゾリル基、2-カルバゾリル基、3-カルバゾリル基、β-カルボリニル基、フェナントリジニル基、2-アクリジニル基、ペリミジニル基、フェナントロリニル基、フェナジニル基、フェナルサジニル基、イソチアゾリル基、フェノチアジニル基、イソキサゾリル基、フラザニル基、3-フェニキサジニル基、イソクロマニル基、クロマニル基、ピロリジニル基、ピロリニル基、イミダゾリジニル基、イミダゾリニル基、ピラゾリジニル基、ピラゾリニル基、ピペリジル基、ピペラジニル基、インドリニル基、イソインドリニル基、キヌクリジニル基、モルホリニル基、チオキサントリル基、4-キノリニル基、4-イソキノリル基、3-フェノチアジニル基、2-フェノキサチイニル基、3-クマリニル基等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0136】
Y1における置換基を有しても良い複素環オキシ基としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子を含む、炭素数4~18の単環状または縮合多環状複素環オキシ基が挙げられ、具体例としては、2-フラニルオキシ基、2-チエニルオキシ基、2-インドリルオキシ基、3-インドリルオキシ基、2-ベンゾフリルオキシ基、2-ベンゾチエニルオキシ基、2-カルバゾリルオキシ基、3-カルバゾリルオキシ基、4-カルバゾリルオキシ基、9-アクリジニルオキシ基等が挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0137】
Y1における置換基を有しても良いアルキルスルファニル基としては、炭素数1から18の直鎖状、分岐鎖状、単環状または縮合多環状アルキルチオ基が挙げられ、具体例としては、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、デシルチオ基、ドデシルチオ基、オクタデシルチオ基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0138】
Y1における置換基を有しても良いアリールスルファニル基としては、炭素数6~18の単環状または縮合多環状アリールチオ基が挙げられ、具体例としては、フェニルチオ基、1-ナフチルチオ基、2-ナフチルチオ基、9-アンスリルチオ基、9-フェナントリルチオ基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0139】
Y1における置換基を有しても良いアルキルスルフィニル基としては、炭素数1~20のアルキルスルフィニル基が好ましく、具体例としては、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、プロピルスルフィニル基、イソプロピルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、ヘキシルスルフィニル基、シクロヘキシルスルフィニル基、オクチルスルフィニル基、2-エチルヘキシルスルフィニル基、デカノイルスルフィニル基、ドデカノイルスルフィニル基、オクタデカノイルスルフィニル基、シアノメチルスルフィニル基、メチルオキシメチルスルフィニル基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0140】
Y1における置換基を有しても良いアリールスルフィニル基としては、炭素数6~30のアリールスルフィニル基が好ましく、具体例としては、フェニルスルフィニル基、1-ナフチルスルフィニル基、2-ナフチルスルフィニル基、2-クロロフェニルスルフィニル基、2-メチルフェニルスルフィニル基、2-メチルオキシフェニルスルフィニル基、2-ブチルオキシフェニルスルフィニル基、3-クロロフェニルスルフィニル基、3-トリフルオロメチルフェニルスルフィニル基、3-シアノフェニルスルフィニル基、3-ニトロフェニルスルフィニル基、4-フルオロフェニルスルフィニル基、4-シアノフェニルスルフィニル基、4-メチルオキシフェニルスルフィニル基、4-メチルスルファニルフェニルスルフィニル基、4-フェニルスルファニルフェニルスルフィニル基、4-ジメチルアミノフェニルスルフィニル基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0141】
Y1における置換基を有しても良いアルキルスルホニル基としては、炭素数1~20のアルキルスルホニル基が好ましく、具体例としては、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、プロピルスルホニル基、イソプロピルスルホニル基、ブチルスルホニル基、ヘキシルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、オクチルスルホニル基、2-エチルヘキシルスルホニル基、デカノイルスルホニル基、ドデカノイルスルホニル基、オクタデカノイルスルホニル基、シアノメチルスルホニル基、メチルオキシメチルスルホニル基等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0142】
Y1における置換基を有しても良いアリールスルホニル基としては、炭素数6~30のアリールスルホニル基が好ましく、具体例としては、フェニルスルホニル基、1-ナフチルスルホニル基、2-ナフチルスルホニル基、2-クロロフェニルスルホニル基、2-メチルフェニルスルホニル基、2-メチルオキシフェニルスルホニル基、2-ブチルオキシフェニルスルホニル基、3-クロロフェニルスルホニル基、3-トリフルオロメチルフェニルスルホニル基、3-シアノフェニルスルホニル基、3-ニトロフェニルスルホニル基、4-フルオロフェニルスルホニル基、4-シアノフェニルスルホニル基、4-メチルオキシフェニルスルホニル基、4-メチルスルファニルフェニルスルホニル基、4-フェニルスルファニルフェニルスルホニル基、4-ジメチルアミノフェニルスルホニル基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0143】
Y1における置換基を有しても良いアシル基としては、水素原子または炭素数1から18の直鎖状、分岐鎖状、単環状または縮合多環状の脂肪族が結合したカルボニル基、炭素数2から20のアルキルオキシ基が置換したカルボニル基、炭素数6から18の単環状あるいは縮合多環状アリール基が結合したカルボニル基、炭素数6から18の単環状あるいは縮合多環状のアリールオキシ基が置換したカルボニル基、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子を含む、炭素数4~18の単環または縮合多環状の複素環基が結合したカルボニル基が挙げられ、具体例としては、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、イソバレリル基、ピバロイル基、ラウロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、シクロペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、クロトノイル基、イソクロトノイル基、オレオイル基、シンナモイル基ベンゾイル基、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、プロピルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、デシルオキシカルボニル基、オクタデシルオキシカルボニル基、トリフルオロメチルオキシカルボニル基、ベンゾイル基、トルオイル基、1-ナフトイル基、2-ナフトイル基、9-アンスリルカルボニル基、フェニルオキシカルボニル基、4-メチルフェニルオキシカルボニル基、3-ニトロフェニルオキシカルボニル基、4-ジメチルアミノフェニルオキシカルボニル基、2-メチルスルファニルフェニルオキシカルボニル基、1-ナフトイルオキシカルボニル基、2-ナフトイルオキシカルボニル基、9-アンスルリルオキシカルボニル基、3-フロイル基、2-テノイル基、ニコチノイル基、イソニコチノイル基等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0144】
Y1における置換基を有しても良いアシルオキシ基としては、炭素数2~20のアシルオキシ基が挙げられ、具体例としては、アセチルオキシ基、プロパノイルオキシ基、ブタノイルオキシ基、ペンタノイルオキシ基、トリフルオロメチルカルボニルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、1-ナフチルカルボニルオキシ基、2-ナフチルカルボニルオキシ基等が挙げられる。
【0145】
Y1における置換基を有しても良いアミノ基としては、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基、ジアリールアミノ基、アルキルアリールアミノ基、ベンジルアミノ基、ジベンジルアミノ基等が挙げられる。
【0146】
ここで、アルキルアミノ基としては、メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、ブチルアミノ基、ペンチルアミノ基、ヘキシルアミノ基、ヘプチルアミノ基、オクチルアミノ基、ノニルアミノ基、デシルアミノ基、ドデシルアミノ基、オクタデシルアミノ基、イソプロピルアミノ基、イソブチルアミノ基、イソペンチルアミノ基、sec-ブチルアミノ基、tert-ブチルアミノ基、sec-ペンチルアミノ基、tert-ペンチルアミノ基、tert-オクチルアミノ基、ネオペンチルアミノ基、シクロプロピルアミノ基、シクロブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、シクロヘプチルアミノ基、シクロオクチルアミノ基、シクロドデシルアミノ基、1-アダマンタミノ基、2-アダマンタミノ基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0147】
ジアルキルアミノ基としては、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジブチルアミノ基、ジペンチルアミノ基、ジヘキシルアミノ基、ジヘプチルアミノ基、ジオクチルアミノ基、ジノニルアミノ基、ジデシルアミノ基、ジドデシルアミノ基、ジオクタデシルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ジイソブチルアミノ基、ジイソペンチルアミノ基、メチルエチルアミノ基、メチルプロピルアミノ基、メチルブチルアミノ基、メチルイソブチルアミノ基、シクロプロピルアミノ基、ピロリジノ基、ピペリジノ基、ピペラジノ基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0148】
アリールアミノ基としては、アニリノ基、1-ナフチルアミノ基、2-ナフチルアミノ基、o-トルイジノ基、m-トルイジノ基、p-トルイジノ基、2-ビフェニルアミノ基、3-ビフェニルアミノ基、4-ビフェニルアミノ基、1-フルオレンアミノ基、2-フルオレンアミノ基、2-チアゾールアミノ基、p-ターフェニルアミノ基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0149】
ジアリールアミノ基としては、ジフェニルアミノ基、ジトリルアミノ基、N-フェニル-1-ナフチルアミノ基、N-フェニル-2-ナフチルアミノ基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0150】
アルキルアリールアミノ基としては、N-メチルアニリノ基、N-メチル-2-ピリジノ基、N-エチルアニリノ基、N-プロピルアニリノ基、N-ブチルアニリノ基、N-イソプロピル、N-ペンチルアニリノ基、N-エチルアニリノ基、N-メチル-1-ナフチルアミノ基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0151】
Y1における置換基を有しても良いホスフィノイル基としては、炭素数2から50のホスフィノイル基が挙げられ、具体例としては、ジメチルホスフィノイル基、ジエチルホスフィノイル基、ジプロピルホスフィノイル基、ジフェニルホスフィノイル基、ジメトキシホスフィノイル基、ジエトキシホスフィノイル基、ジベンゾイルホスフィノイル基、ビス(2,4,6-トリメチルフェニル)ホスフィノイル基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0152】
Y1における置換基を有しても良いカルバモイル基としては、炭素数1から30のカルバモイル基が挙げられ、具体例としては、N-メチルカルバモイル基、N-エチルカルバモイル基、N-プロピルカルバモイル基、N-ブチルカルバモイル基、N-ヘキシルカルバモイル基、N-シクロヘキシルカルバモイル基、N-オクチルカルバモイル基、N-デシルカルバモイル基、N-オクタデシルカルバモイル基、N-フェニルカルバモイル基、N-2-メチルフェニルカルバモイル基、N-2-クロロフェニルカルバモイル基、N-2-イソプロポキシフェニルカルバモイル基、N-2-(2-エチルヘキシル)フェニルカルバモイル基、N-3-クロロフェニルカルバモイル基、N-3-ニトロフェニルカルバモイル基、N-3-シアノフェニルカルバモイル基、N-4-メトキシフェニルカルバモイル基、N-4-シアノフェニルカルバモイル基、N-4-メチルスルファニルフェニルカルバモイル基、N-4-フェニルスルファニルフェニルカルバモイル基、N-メチル-N-フェニルカルバモイル基、N、N-ジメチルカルバモイル基、N、N-ジブチルカルバモイル基、N、N-ジフェニルカルバモイル基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0153】
Y1における置換基を有しても良いスルファモイル基としては、炭素数0から30のスルファモイル基が挙げられ、具体例としては、スルファモイル基、N-アルキルスルファモイル基、N-アリールスルファモイル基、N、N-ジアルキルスルファモイル基、N、N-ジアリールスルファモイル基、N-アルキル-N-アリールスルファモオイル基等が挙げられる。より具体的には、N-メチルスルファモイル基、N-エチルスルファモイル基、N-プロピルスルファモイル基、N-ブチルスルファモイル基、N-ヘキシルスルファモイル基、N-シクロヘキシルスルファモイル基、N-オクチルスルファモイル基、N-2-エチルヘキシルスルファモイル基、N-デシルスルファモイル基、N-オクタデシルスルファモイル基、N-フェニルスルファモイル基、N-2-メチルフェニルスルファモイル基、N-2-クロロフェニルスルファモイル基、N-2-メトキシフェニルスルファモイル基、N-2-イソプロポキシフェニルスルファモイル基、N-3-クロロフェニルスルファモイル基、N-3-ニトロフェニルスルファモイル基、N-3-シアノフェニルスルファモイル基、N-4-メトキシフェニルスルファモイル基、N-4-シアノフェニルスルファモイル基、N-4-ジメチルアミノフェニルスルファモイル基、N-4-メチルスルファニルフェニルスルファモイル基、N-4-フェニルスルファニルフェニルスルファモイル基、N-メチル-N-フェニルスルファモイル基、N,N-ジメチルスルファモイル基、N,N-ジブチルスルファモイル基、N,N-ジフェニルスルファモイル基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0154】
Y2における置換基を有しても良い、アルケニル基、アルキル基、アルキルオキシ基、アリール基、アリールオキシ基、複素環基、複素環オキシ基、アルキルスルファニル基、アリールスルファニル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アシルオキシ基、およびアミノ基としては、前述のR1における置換基を有しても良いアルケニル基、置換基を有しても良いアルキル基、置換基を有しても良いアルキルオキシ基、置換基を有しても良いアリール基、置換基を有しても良いアリールオキシ基、置換基を有しても良い複素環基、置換基を有しても良い複素環オキシ基、置換基を有しても良いアルキルスルファニル基、置換基を有しても良いアリールスルファニル基、置換基を有しても良いアルキルスルフィニル基、置換基を有しても良いアリールスルフィニル基、置換基を有しても良いアルキルスルホニル基、置換基を有しても良いアリールスルホニル基、置換基を有しても良いアシルオキシ基、および、置換基を有しても良いアミノ基と同義である。
【0155】
Y1およびY2におけるこれら置換基としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン基、メトキシ基、エトキシ基、tert-ブトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基、p-トリルオキシ基等のアリールオキシ基、メトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等のアシルオキシ基、アセチル基、ベンゾイル基、イソブチリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、メトキサリル基等のアシル基、メチルスルファニル基、tert-ブチルスルファニル基等のアルキルスルファニル基、フェニルスルファニル基、p-トリルスルファニル基等のアリールスルファニル基、メチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基等のアルキルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、モルホリノ基、ピペリジノ基等のジアルキルアミノ基、フェニルアミノ基、p-トリルアミノ基等のアリールアミノ基、メチル基、エチル基、tert-ブチル基、ドデシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロオクタデシル基等のアルキル基、フェニル基、p-トリル基、キシリル基、クメニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナントリル基等のアリール基、フリル基、チエニル基等の複素環基等の他、ヒドロキシ基、カルボキシ基、ホルミル基、メルカプト基、スルホ基、メシル基、p-トルエンスルホニル基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、トリメチルシリル基、ホスフィニコ基、ホスホノ基、トリメチルアンモニウミル基、ジメチルスルホニウミル基、トリフェニルフェナシルホスホニウミル基等が挙げられる。
また、これらの置換基は1個以上あるいは1種以上存在することができ、さらにこれらの置換基の水素原子がさらに他の置換基で置換されていても良い。
【0156】
これらの中でも、下記一般式(1)、または(7)で表わされるオキシムエステル光重合開始剤は、感度に優れるため好ましく、特に好ましくは一般式(1)で表されるオキシムエステル光重合開始剤である。
【0157】
[一般式(1)で表わされるオキシムエステル光重合開始剤]
【化21】
【0158】
[一般式(1)中、R1~R4は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、置換もしくは未置換のアルケニル基、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のアルキルオキシ基、置換もしくは未置換のアリール基、置換もしくは未置換のアリールオキシ基、置換もしくは未置換の複素環基、置換もしくは未置換の複素環オキシ基、置換もしくは未置換のアルキルスルファニル基、置換もしくは未置換のアリールスルファニル基、置換もしくは未置換のアシル基、又は置換もしくは未置換のアミノ基を表す。]
【0159】
前述したR1~R4における置換基の水素原子はさらに他の置換基で置換されていてもよい。そのような置換基としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン基、メトキシ基、エトキシ基、tert-ブトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基、p-トリルオキシ基等のアリールオキシ基、メトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等のアシルオキシ基、アセチル基、ベンゾイル基、イソブチリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、メトキサリル基等のアシル基、メチルスルファニル基、tert-ブチルスルファニル基等のアルキルスルファニル基、フェニルスルファニル基、p-トリルスルファニル基等のアリールスルファニル基、メチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基等のアルキルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、モルホリノ基、ピペリジノ基等のジアルキルアミノ基、フェニルアミノ基、p-トリルアミノ基等のアリールアミノ基、メチル基、エチル基、tert-ブチル基、ドデシル基等のアルキル基、フェニル基、p-トリル基、キシリル基、クメニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナントリル基、ベンゾフラニル基等のアリール基、フリル基、チエニル基等の複素環基等の他、ヒドロキシ基、カルボキシ基、ホルミル基、メルカプト基、スルホ基、メシル基、p-トルエンスルホニル基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、トリメチルシリル基、ホスフィニコ基、ホスホノ基、トリメチルアンモニウミル基、ジメチルスルホニウミル基、トリフェニルフェナシルホスホニウミル基等が挙げられる。
【0160】
一般式(1)において、好ましくは、R1が置換もしくは未置換のアルキル基であり、R2及びR3が水素原子であり、R4が置換もしくは未置換の複素環基又は置換もしくは未置換のアリール基である。
【0161】
最も好ましい構造として、下記化学式(1-1)及び(1-2)で表される化合物が挙げられる。
化学式(1-1)
【化22】
【0162】
【0163】
[一般式(7)で表わされるオキシムエステル光重合開始剤]
【化24】
【0164】
一般式(7)は、一般式(6)におけるY3が置換基を有しても良いカルバゾール基を含む1価の有機基の場合に相当し、Y7~Y14は、Y1およびY2における置換基と同義である。
【0165】
さらにY1として置換基を有しても良い炭素数1~20のアルキル基が、Y2として置換基を有しても良い炭素数1~20のアルキル基、または置換基を有しても良いアリール基が、Y7~Y14として水素原子、または置換基を有しても良い炭素数1~20のアルキル基、または置換基を有しても良いアリール基が好ましい。
【0166】
一般式(7)におけるZが直接結合の場合には、下記一般式(7a)で表わされるオキシムエステル光重合開始剤が好ましい。
【0167】
「一般式(7a)で表わされるオキシムエステル光重合開始剤」
【化25】
【0168】
一般式(7a)は、一般式(6)におけるZが直接結合、Y3が置換基を有しても良いカルバゾール基を含む1価の有機基の場合に相当し、一般式(7)におけるY7~Y10、およびY12~Y13が水素原子である。
また、Y11はY15-CO-基、またはニトロ基であることが好ましい。Y15はY1およびY2における置換基と同義であり、置換基を有しても良いアリール基であることが好ましい。Y15-CO-基としては、さらに置換基を有しても良いアセチル基、ベンゾイル基、イソブチリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、メトキサリル基等のアシル基であることが好ましい。より好ましくは置換基を有しても良いベンゾイル基、またはニトロ基である。Y14としては、置換基を有しても良い炭素数1~20のアルキル基、または置換基を有しても良いアリール基が好ましい。
【0169】
また、置換基を有しても良いベンゾイル基における置換基として好ましくは、炭素数1~20のアルキル基、またはアルキルオキシ基が好ましい。さらにアルキル基としては、メチル基、エチル基が好ましく、アルキルオキシ基のなかでも、炭素数2から18であり場合により1個以上の-O-で中断されている直鎖状、分岐鎖状、単環状または縮合多環状アルキルオキシ基が好ましく、Y1における炭素数2から18であり場合により1個以上の-O-で中断されている直鎖状、分岐鎖状、単環状または縮合多環状アルキルオキシ基と同義である。
【0170】
Y2は、置換基を有しても良い炭素数1~20のアルキル基が好ましく、置換基として好ましくは、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロオクタデシル基等のシクロアルキル基である。また、置換基を有しても良いアリール基が好ましく、置換基として好ましくは、さらに置換基を有しても良い炭素数1~20のアルキル基、またはメトキシ基、エトキシ基、tert-ブトキシ基等のアルコキシ基が好ましい。
【0171】
一般式(7a)で表わされるオキシムエステル光重合開始剤としては、具体的には、下記化学式(7a-1)~(7a-4)で表わされる光重合開始剤等である。
【化26】
【0172】
「一般式(7b)で表わされるオキシムエステル光重合開始剤」
一般式(7)におけるZが-CO-基の場合には、下記一般式(7b)で表わされるオキシムエステル光重合開始剤が好ましい。
【0173】
【0174】
一般式(7b)は、一般式(6)におけるZが-CO-基、Y3が置換基を有しても良いカルバゾール基を含む1価の有機基の場合に相当し、ケト型カルバゾール基を有するオキシムエステル光重合開始剤である。
Y7~Y13は水素原子、置換基を有しても良い炭素数1~20のアルキル基、または置換基を有しても良いアリール基が好ましく、Y14は置換基を有しても良いアリール基であることが好ましい。
置換基を有しても良いアリール基の置換基としては、アセチル基、ベンゾイル基、イソブチリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、メトキサリル基等のアシル基が好ましく、より好ましくはベンゾイル基である。
【0175】
一般式(7b)で表わされるオキシムエステル光重合開始剤としては、具体的には、下記化学式(7b-1)~(7b-4)で表わされる光重合開始剤等である。
【化28】
【0176】
これらオキシムエステル化合物の市販品としては、BASF社から、1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)フェニル-,2-(O-ベンゾイルオキシム)](IRGACURE OXE-01)、エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(O-アセチルオキシム)(IRGACURE OXE 02)が市販されている。また、この他に、特開2007-210991号公報、特開2009-179619号公報、特開2010-037223号公報、特開2010-215575号公報、特開2011-020998号公報等に記載のオキシムエステル光重合開始剤を用いることも可能である。
【0177】
オキシムエステル化合物の含有量は、色素100質量部に対し、2~50質量部であることが好ましく、光硬化性及び現像性の観点から2~30質量部であることがより好ましい。2質量部よりも少ない場合、形成パターンの基材との密着性が悪くなり、50質量部を超えると現像性に問題が生じたり、230℃熱処理後の明度低下が生じる場合がある。
【0178】
(その他の光重合開始剤)
光重合開始剤としてはその他に、4-フェノキシジクロロアセトフェノン、4-t-ブチル-ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン、または2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタン-1-オン等のアセトフェノン系化合物;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、またはベンジルジメチルケタール等のベンゾイン系化合物;2,4,6-トリクロロ-s-トリアジン、2-フェニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-トリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-ピペロニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-スチリル-s-トリアジン、2-(ナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-メトキシ-ナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2,4-トリクロロメチル-(ピペロニル)-6-トリアジン、または2,4-トリクロロメチル-(4’-メトキシスチリル)-6-トリアジン等のトリアジン系化合物;1,2-オクタンジオン,1-〔4-(フェニルチオ)-,2-(O-ベンゾイルオキシム)〕、またはO-(アセチル)-N-(1-フェニル-2-オキソ-2-(4’-メトキシ-ナフチル)エチリデン)ヒドロキシルアミン等のオキシムエステル化合物;ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、または2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等のホスフィン系化合物;9,10-フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアントラキノン等のキノン系化合物; ボレート系化合物; カルバゾール系化合物;イミダゾール系化合物;あるいは、チタノセン系化合物等が用いられる。
これらの光重合開始剤は、1種を単独で、または必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
【0179】
光重合開始剤の含有量は、着色剤(A)100質量部に対し、2~200質量部であることが好ましく、光硬化性及び現像性の観点から3~150質量部であることがより好ましい。
【0180】
<増感剤>
さらに、本発明の赤色着色組成物には、増感剤を含有させることができる。
増感剤としては、カルコン誘導体、ジベンザルアセトン等に代表される不飽和ケトン類、ベンジルやカンファーキノン等に代表される1,2-ジケトン誘導体、ベンゾイン誘導体、フルオレン誘導体、ナフトキノン誘導体、アントラキノン誘導体、キサンテン誘導体、チオキサンテン誘導体、キサントン誘導体、チオキサントン誘導体、クマリン誘導体、ケトクマリン誘導体、シアニン誘導体、メロシアニン誘導体、オキソノ-ル誘導体等のポリメチン色素、アクリジン誘導体、アジン誘導体、チアジン誘導体、オキサジン誘導体、インドリン誘導体、アズレン誘導体、アズレニウム誘導体、スクアリリウム誘導体、ポルフィリン誘導体、テトラフェニルポルフィリン誘導体、トリアリールメタン誘導体、テトラベンゾポルフィリン誘導体、テトラピラジノポルフィラジン誘導体、フタロシアニン誘導体、テトラアザポルフィラジン誘導体、テトラキノキサリロポルフィラジン誘導体、ナフタロシアニン誘導体、サブフタロシアニン誘導体、ピリリウム誘導体、チオピリリウム誘導体、テトラフィリン誘導体、アヌレン誘導体、スピロピラン誘導体、スピロオキサジン誘導体、チオスピロピラン誘導体、金属アレーン錯体、有機ルテニウム錯体、又はミヒラーケトン誘導体、α-アシロキシエステル、アシルフォスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、ベンジル、9,10-フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアンスラキノン、4,4’-ジエチルイソフタロフェノン、3,3’又は4,4’-テトラ(t-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等が挙げられる。
【0181】
上記増感剤の中で、特に好適に増感しうる増感剤としては、チオキサントン誘導体、ミヒラーケトン誘導体、カルバゾール誘導体が挙げられる。さらに具体的には、2,4-ジエチルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2,4-ジクロロチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、4-イソプロピルチオキサントン、1-クロロ-4-プロポキシチオキサントン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(エチルメチルアミノ)ベンゾフェノン、N-エチルカルバゾール、3-ベンゾイル-N-エチルカルバゾール、3,6-ジベンゾイル-N-エチルカルバゾール等が用いられる。
【0182】
これらの増感剤は、1種を単独で、又は必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
市販品としては、「KAYACURE DETX-S」(2,3-ジエチルチオキサントン 日本化薬社製)、「EAB-F」(4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン 保土ヶ谷化学工業社製)などが挙げられる。
【0183】
さらに具体的には、大河原信ら編、「色素ハンドブック」(1986年、講談社)、大河原信ら編、「機能性色素の化学」(1981年、シーエムシー)、池森忠三朗ら編、及び「特殊機能材料」(1986年、シーエムシー)に記載の増感剤が挙げられるがこれらに限定されるものではない。また、その他、紫外から近赤外域にかけての光に対して吸収を示す増感剤を含有させることもできる。
【0184】
中でも、「EAB-F」(4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン 保土ヶ谷化学工業社製)が幅広い膜厚水準で良好なテーパー形状が得られるため好ましい。
【0185】
増感剤を使用する際の含有量は、着色組成物中に含まれる光重合開始剤100質量部に対し、3~60質量部であることが好ましく、光硬化性、現像性の観点から5~50質量部であることがより好ましい。
【0186】
<重合禁止剤(E)>
本発明の実施形態による赤色着色組成物には、露光時にマスクの回折光による感光を防ぐために、重合禁止剤(E)を含有させることができる。重合禁止剤(E)を含有することで、パターンの形状と画素の直線性を制御することができる。重合禁止剤としては、例えばメチルハイドロキノン、t-ブチルハイドロキノン、2,5-ジ-t-ブチルハイドロキノン、4-ベンゾキノン、4-メトキシフェノール、4-メトキシ-1-ナフトール、t-ブチルカテコールなどのハイドロキノン誘導体及びフェノール化合物、フェノチアジン、ビス-(1-ジメチルベンジル)フェノチアジン、3,7-ジオクチルフェノチアジン等のアミン化合物、ジブチルジチオカルバミン酸銅、ジエチルジチオカルバミン酸銅、ジエチルジチオカルバミン酸マンガン、ジフェニルジチオカルバミン酸マンガン等の銅及びマンガン塩化合物、4-ニトロソフェノール、N-ニトロソジフェニルアミン、N-ニトロソシクロヘキシルヒドロキシルアミン、N-ニトロソフェニルヒドロキシルアミン等のニトロソ化合物及びそのアンモニウム塩又はアルミニウム塩等が挙げられ、これらを単独でもしくは混合して用いる。
【0187】
及び重合禁止剤(E)は、着色組成物中の着色剤(A)100質量部に対して、0.01~15質量部、好ましくは0.03~10質量部の量で用いることができる。は重合禁止剤(E)を0.01質量部以上用いることで、幅広い膜厚にて形状が良好となり、良好な直線性を有する画素を得ることができる。
【0188】
<酸化防止剤>
本発明のカラーフィルタ用着色組成物は、酸化防止剤を含有することができる。酸化防止剤は、カラーフィルタ用着色組成物に含まれる光重合開始剤や熱硬化性化合物が、熱硬化やITOアニール時の熱工程によって酸化し黄変することを防ぐため、塗膜の透過率を高くすることができる。そのため、酸化防止剤を含むことで、加熱工程時の酸化による黄変を防止し、高い塗膜の透過率を得る事ができる。
【0189】
本発明における「酸化防止剤」とは、紫外線吸収機能、ラジカル補足機能、または、過酸化物分解機能を有する化合物であればよく、具体的には、酸化防止剤としてヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系、リン系、イオウ系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ヒドロキシルアミン系、サルチル酸エステル系、およびトリアジン系の化合物があげられ、公知の紫外線吸収剤、酸化防止剤等が使用できる。
【0190】
これらの酸化防止剤の中でも、塗膜の透過率と感度の両立の観点から、好ましいものとしては、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤またはイオウ系酸化防止剤が挙げられる。また、より好ましくは、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤、またはリン系酸化防止剤である。
【0191】
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、2,4-ビス〔(ラウリルチオ)メチル〕-o-クレゾール、1,3,5-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)、2,4-ビス-(n-オクチルチオ)-6-(4-ヒドロキシ-3,5-ジ-t-ブチルアニリノ)-1,3,5-トリアジン、ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,6-ジ-t-ブチル-4-ノニルフェノール、2,2’-イソブチリデン-ビス-(4,6-ジメチル-フェノール)、4,4’-ブチリデン-ビス-(2-t-ブチル-5-メチルフェノール)、2,2’-チオ-ビス-(6-t-ブチル-4-メチルフェノール)、2,5-ジ-t-アミル-ヒドロキノン、2,2’チオジエチルビス-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-プロピオネート、1,1,3-トリス-(2’-メチル-4’-ヒドロキシ-5’-t-ブチルフェニル)-ブタン、2,2’-メチレン-ビス-(6-(1-メチル-シクロヘキシル)-p-クレゾール)、2,4-ジメチル-6-(1-メチル-シクロヘキシル)-フェノール、N,N-ヘキサメチレンビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシ-ヒドロシンナムアミド)等が挙げられる。その他ヒンダードフェノール構造を有するオリゴマータイプ及びポリマータイプの化合物等も使用することが出来る。
【0192】
ヒンダードアミン系酸化防止剤としては、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(N-メチル-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、N,N′-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)-1,6-ヘキサメチレンジアミン、2-メチル-2-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)アミノ-N-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)プロピオンアミド、テトラキス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)(1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、ポリ〔{6-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)イミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル}{(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ}ヘキサメチル{(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ}〕、ポリ〔(6-モルホリノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル){(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ}ヘキサメチン{(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ}〕、コハク酸ジメチルと1-(2-ヒドロキシエチル)-4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジンとの重縮合物、N,N′-4,7-テトラキス〔4,6-ビス{N-ブチル-N-(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)アミノ}-1,3,5-トリアジン-2-イル〕-4,7-ジアザデカン-1,10-ジアミン等が挙げられる。その他ヒンダードアミン構造を有するオリゴマータイプ及びポリマータイプの化合物等も使用することが出来る。
【0193】
リン系酸化防止剤としては、トリス(イソデシル)フォスファイト、トリス(トリデシル)フォスファイト、フェニルイソオクチルフォスファイト、フェニルイソデシルフォスファイト、フェニルジ(トリデシル)フォスファイト、ジフェニルイソオクチルフォスファイト、ジフェニルイソデシルフォスファイト、ジフェニルトリデシルフォスファイト、トリフェニルフォスファイト、トリス(ノニルフェニル)フォスファイト、4,4’イソプロピリデンジフェノールアルキルフォスファイト、トリスノニルフェニルフォスファイト、トリスジノニルフェニルフォスファイト、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)フォスファイト、トリス(ビフェニル)フォスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジフォスファイト、ジ(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト、ジ(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト、フェニルビスフェノールAペンタエリスリトールジフォスファイト、テトラトリデシル4,4’-ブチリデンビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)ジフォスファイト、ヘキサトリデシル1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)ブタントリフォスファイト、3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジルフォスファイトジエチルエステル、ソジウムビス(4-t-ブチルフェニル)フォスファイト、ソジウム-2,2-メチレン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)-フォスファイト、1,3-ビス(ジフェノキシフォスフォニロキシ)-ベンゼン、亜リン酸エチルビス(2,4-ジtert-ブチル-6-メチルフェニル)等が挙げられる。その他フォスファイト構造を有するオリゴマータイプ及びポリマータイプの化合物等も使用することが出来る。
【0194】
イオウ系酸化防止剤としては、2,2-チオ-ジエチレンビス〔3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,4-ビス〔(オクチルチオ)メチル〕-o-クレゾール、2,4-ビス〔(ラウリルチオ)メチル〕-o-クレゾール等が挙げられる。その他チオエーテル構造を有するオリゴマータイプ及びポリマータイプの化合物等も使用することが出来る。
【0195】
ベンゾトリアゾール系酸化防止剤としては、ベンゾトリアゾール構造を有するオリゴマータイプ及びポリマータイプの化合物等を使用することが出来る。
【0196】
ベンゾフェノン系酸化防止剤として具体的には、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、、2-ヒドロキシ-4-n-オクトキシベンゾフェノン、4-ドデシロキシ-2-ヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-オクタデシロキシベンゾフェノン、2,2’ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2,2’ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-5スルフォベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-2’-カルボキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-クロロベンゾフェノン等が挙げられる。その他ベンゾフェノン構造を有するオリゴマータイプ及びポリマータイプの化合物等も使用することが出来る。
【0197】
トリアジン系酸化防止剤としては、2,4-ビス(アリル)-6-(2-ヒドロキシフェニル)1,3,5-トリアジン等が挙げられる。その他トリアジン構造を有するオリゴマータイプ及びポリマータイプの化合物等も使用することが出来る。
【0198】
サルチル酸エステル系酸化防止剤としては、サリチル酸フェニル、サリチル酸p-オクチルフェニル、サリチル酸p-tertブチルフェニル等が挙げられる。その他サルチル酸エステル構造を有するオリゴマータイプ及びポリマータイプの化合物等も使用することが出来る。
【0199】
これらの酸化防止剤は、1種を単独で、または必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
【0200】
また酸化防止剤の含有量は、カラーフィルタ用着色組成物の固形分質量を基準として、0.5~5.0質量%の場合、明度、感度が良好であるためより好ましい。
【0201】
<有機溶剤>
本発明のカラーフィルタ用着色組成物には、着色剤を充分にバインダー樹脂中に分散、浸透させ、ガラス基板等の基板上に乾燥膜厚が0.2~5μmとなるように塗布してフィルタセグメントを形成することを容易にするために有機溶剤を含有させる。有機溶剤は、着色組成物の塗布性が良好であることに加え、着色組成物各成分の溶解性、さらには安全性を考慮して選定される。
【0202】
有機溶剤としては、例えば、乳酸エチル、ベンジルアルコール、1,2,3-トリクロロプロパン、1,3-ブタンジオール、1,3-ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコールジアセテート、1,4-ジオキサン、2-ヘプタノン、2-メチル-1,3-プロパンジオール、3,5,5-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-オン、3,3,5-トリメチルシクロヘキサノン、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-メチル-1,3-ブタンジオール、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール、3-メトキシ-3-メチルブチルアセテート、3-メトキシブタノール、3-メトキシブチルアセテート、4-ヘプタノン、m-キシレン、m-ジエチルベンゼン、m-ジクロロベンゼン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、n-ブチルアルコール、n-ブチルベンゼン、n-プロピルアセテート、o-キシレン、o-クロロトルエン、o-ジエチルベンゼン、o-ジクロロベンゼン、p-クロロトルエン、p-ジエチルベンゼン、sec-ブチルベンゼン、tert-ブチルベンゼン、γ―ブチロラクトン、イソブチルアルコール、イソホロン、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノターシャリーブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジイソブチルケトン、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノール、シクロヘキサノールアセテート、シクロヘキサノン、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ダイアセトンアルコール、トリアセチン、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、ベンジルアルコール、メチルイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノール、酢酸n-アミル、酢酸n-ブチル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、酢酸プロピル、二塩基酸エステル等が挙げられる。
これらの溶剤は、単独で、または必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
【0203】
中でも、着色剤の分散性、浸透性、および着色組成物の塗布性が良好なことから、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のグリコールアセテート類、ベンジルアルコール、ダイアセトンアルコール等のアルコール類やシクロヘキサノン等のケトン類を用いることが好ましい。
【0204】
また着色剤濃度が高い場合に、沸点が130℃以下の溶剤を全溶剤中5~40質量%含有することが好ましい。
これは塗膜の乾燥性を高めることで露光時の光硬化が弱まり、焼成時の塗膜流動性が上がりテーパー形状が良化するためである。
沸点が130℃以下の溶剤としては、例えばプロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、2-メチルー1,3-プロパンジオール、イソブチルアルコール、酢酸イソブチル、イソブチルアセテート、n-プロピルアセテート、酢酸プロピル、酢酸n-ブチル、n-ブチルアルコール、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。特に感光性樹脂組成物に使用される他の化合物との相溶性の観点からプロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルが好ましい。
【0205】
また有機溶剤は、着色組成物を適正な粘度に調節し、目的とする均一な膜厚のフィルタセグメントを形成できることから、色素100質量部に対して、500~4000質量部の量で用いることが好ましい。
【0206】
(レベリング剤)
本発明のカラーフィルタ用着色組成物には、透明基板上での組成物のレベリング性をよくするため、レベリング剤を添加することが好ましい。レベリング剤としては、主鎖にポリエーテル構造又はポリエステル構造を有するジメチルシロキサンが好ましい。主鎖にポリエーテル構造を有するジメチルシロキサンの具体例としては、東レ・ダウコーニング社製FZ-2122、ビックケミー社製BYK-333などが挙げられる。主鎖にポリエステル構造を有するジメチルシロキサンの具体例としては、ビックケミー社製BYK-310、BYK-370などが挙げられる。主鎖にポリエーテル構造を有するジメチルシロキサンと、主鎖にポリエステル構造を有するジメチルシロキサンとは、併用することもできる。レベリング剤の含有量は通常、着色組成物の全質量100質量%中、0.003~0.5質量%用いることが好ましい。
【0207】
レベリング剤として特に好ましいものとしては、分子内に疎水基と親水基を有するいわゆる界面活性剤の一種で、親水基を有しながらも水に対する溶解性が小さく、着色組成物に添加した場合、その表面張力低下能が低いという特徴を有し、さらに表面張力低下能が低いにも拘らずガラス板への濡れ性が良好なものが有用であり、泡立ちによる塗膜の欠陥が出現しない添加量において十分に帯電性を抑止できるものが好ましく使用できる。このような好ましい特性を有するレベリング剤として、ポリアルキレンオキサイド単位を有するジメチルポリシロキサンが好ましく使用できる。ポリアルキレンオキサイド単位としては、ポリエチレンオキサイド単位、ポリプロピレンオキサイド単位があり、ジメチルポリシロキサンは、ポリエチレンオキサイド単位とポリプロピレンオキサイド単位とを共に有していてもよい。
【0208】
また、ポリアルキレンオキサイド単位のジメチルポリシロキサンとの結合形態は、ポリアルキレンオキサイド単位がジメチルポリシロキサンの繰り返し単位中に結合したペンダント型、ジメチルポリシロキサンの末端に結合した末端変性型、ジメチルポリシロキサンと交互に繰り返し結合した直鎖状のブロックコポリマー型のいずれであってもよい。ポリアルキレンオキサイド単位を有するジメチルポリシロキサンは、東レ・ダウコーニング株式会社から市販されており、例えば、FZ-2110、FZ-2122、FZ-2130、FZ-2166、FZ-2191、FZ-2203、FZ-2207が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0209】
レベリング剤には、アニオン性、カチオン性、ノニオン性、または両性の界面活性剤を補助的に加えることも可能である。界面活性剤は、2種以上混合して使用しても構わない。
レベリング剤に補助的に加えるアニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレン-アクリル酸共重合体のアルカリ塩、アルキルナフタリンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、スチレン-アクリル酸共重合体のモノエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルなどが挙げられる。
【0210】
レベリング剤に補助的に加えるカオチン性界面活性剤としては、アルキル4級アンモニウム塩やそれらのエチレンオキサイド付加物が挙げられる。レベリング剤に補助的に加えるノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコールモノラウレートなどの;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインなどのアルキルベタイン、アルキルイミダゾリンなどの両性界面活性剤、また、フッ素系やシリコーン系の界面活性剤が挙げられる。
【0211】
(硬化剤、硬化促進剤)
また本発明のカラーフィルタ用着色組成物には、熱硬化性樹脂の硬化を補助するため、必要に応じて、硬化剤、硬化促進剤などを含んでいてもよい。硬化剤としては、フェノール系樹脂、アミン系化合物、酸無水物、活性エステル、カルボン酸系化合物、スルホン酸系化合物などが有効であるが、特にこれらに限定されるものではなく、熱硬化性樹脂と反応し得るものであれば、いずれの硬化剤を使用してもよい。また、これらの中でも、1分子内に2個以上のフェノール性水酸基を有する化合物、アミン系硬化剤が好ましく挙げられる。上記硬化促進剤としては、例えば、アミン化合物(例えば、ジシアンジアミド、ベンジルジメチルアミン、4-(ジメチルアミノ)-N,N-ジメチルベンジルアミン、4-メトキシ-N,N-ジメチルベンジルアミン、4-メチル-N,N-ジメチルベンジルアミン等)、ブロックイソシアネート化合物(例えば、ジメチルアミン等)、イミダゾール誘導体二環式アミジン化合物およびその塩(例えば、イミダゾール、2-メチルイミダゾール、2-エチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、4-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、1-(2-シアノエチル)-2-エチル-4-メチルイミダゾール等)、リン化合物(例えば、トリフェニルホスフィン等)、グアナミン化合物(例えば、メラミン、グアナミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン等)、S-トリアジン誘導体(例えば、2,4-ジアミノ-6-メタクリロイルオキシエチル-S-トリアジン、2-ビニル-2,4-ジアミノ-S-トリアジン、2-ビニル-4,6-ジアミノ-S-トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2,4-ジアミノ-6-メタクリロイルオキシエチル-S-トリアジン・イソシアヌル酸付加物等)などを用いることができる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。上記硬化促進剤の含有量としては、熱硬化性樹脂100質量部に対し、0.01~15質量部が好ましい。
【0212】
(その他の添加剤成分)
本発明のカラーフィルタ用着色組成物には、経時粘度を安定化させるために貯蔵安定剤を含有させることができる。また、透明基板との密着性を高めるためにシランカップリング剤等の密着向上剤を含有させることもできる。
【0213】
(貯蔵安定剤)
貯蔵安定剤としては、例えば、乳酸、シュウ酸などの有機酸およびそのメチルエーテル、t-ブチルピロカテコール、テトラエチルホスフィン、テトラフェニルフォスフィンなどの有機ホスフィン、亜リン酸塩等が挙げられる。貯蔵安定剤は、着色剤100質量部に対し、0.1~10質量部の量で用いることができる。
【0214】
(密着向上剤)
密着向上剤としては、ビニルトリス(β-メトキシエトキシ)シラン、ビニルエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のビニルシラン類、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリルシラン類、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)メチルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシシラン類、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルメチルジエトキシシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノシラン類、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のチオシラン類等のシランカップリング剤が挙げられる。密着向上剤は、着色組成物中の色素100質量部に対し、0.01~10質量部、好ましくは0.05~5質量部の量で用いることができる。
【0215】
(多官能チオール)
本発明のカラーフィルタ用着色組成物は多官能チオールとして、チオール(SH)基を2個以上有する化合物を含んでも良い。
多官能チオールを光重合開始剤とともに使用することにより、光照射後のラジカル重合過程において、連鎖移動剤として働き、酸素による重合阻害を受けにくいチイルラジカルが発生するので、得られる着色組成物は高感度となる。特に、SH基がメチレン、エチレン基等の脂肪族基に結合した多官能脂肪族チオールが好ましい。多官能チオールとしては、例えば、ヘキサンジチオール 、デカンジチオール 、1,4-ブタンジオールビスチオプロピオネート、1,4-ブタンジオールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、トリメルカプトプロピオン酸トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、1,4-ジメチルメルカプトベンゼン、2、4、6-トリメルカプト-s-トリアジン、2-(N,N-ジブチルアミノ)-4,6-ジメルカプト-s-トリアジンなどが挙げられ、好ましくは、エチレングリコールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネートが挙げられる。
【0216】
これらの多官能チオールは、1種を単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
多官能チオールの含有量は、着色剤100質量部に対して0.05~100質量部が好ましく、より好ましくは1.0~50.0質量部である。多官能チオールの含有量が0.05質量部未満では、連鎖移動剤の効果が小さく、100質量部より多くても、重合開始機能は向上しないうえ、現像性、密着性等が不十分になる。
【0217】
<カラーフィルタ用赤色着色組成物の製法>
本発明の実施形態による赤色着色組成物は、着色剤(A)を任意で分散助剤と共に、樹脂などの色素担体及び/又は溶剤中に三本ロールミル、二本ロールミル、サンドミル、ニーダー、アトライター等の各種分散手段を用いて微細に分散して顔料分散体を製造し、該顔料分散体にバインダー樹脂(B)、オキシムエステル光重合開始剤(C)、光重合性化合物(D)、場合によってはその他の光重合開始剤、増感剤、多官能チオール、酸化防止剤、重合禁止剤(E)、紫外線吸収剤、貯蔵安定剤、溶剤、その他成分を混合攪拌して製造することができる。また、2種以上の顔料を含む着色組成物は、各顔料分散体を別々に色素担体及び/又は溶剤中に微細に分散したものを混合し、さらにオキシムエステル光重合開始剤(C)や光重合性化合物(D)等を混合攪拌して製造することができる。
【0218】
<分散助剤>
着色剤(A)をバインダー樹脂に分散する際に、適宜、樹脂型分散剤、色素誘導体、界面活性剤等の分散助剤を含有してもよい。分散助剤は、分散後の着色剤の再凝集を防止する効果が大きいので、分散助剤を用いて着色剤を着色剤担体中に分散してなる着色組成物は、明度及び粘度安定性が良好になる。
【0219】
[樹脂型分散剤]
樹脂型分散剤としては、添加着色剤に吸着する性質を有する着色剤親和性部位と、着色剤担体と相溶性のある部位とを有し、添加着色剤に吸着して着色剤担体への分散を安定化する働きをするものである。樹脂型分散剤として具体的には、ポリウレタン、ポリアクリレート等のポリカルボン酸エステル、不飽和ポリアミド、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸(部分)アミン塩、ポリカルボン酸アンモニウム塩、ポリカルボン酸アルキルアミン塩、ポリシロキサン、長鎖ポリアミノアマイドリン酸塩、水酸基含有ポリカルボン酸エステルや、これらの変性物、ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離のカルボキシル基を有するポリエステルとの反応により形成されたアミドやその塩等の油性分散剤、(メタ)アクリル酸-スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸-(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン-マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコ-ル、ポリビニルピロリドン等の水溶性樹脂や水溶性高分子化合物、ポリエステル系、変性ポリアクリレート系、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加化合物、リン酸エステル系等が用いられ、これらは単独又は2種以上を混合して用いることができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
また、樹脂型分散剤は、オキセタン基を有していてもよい。樹脂型分散剤がオキセタン基を有することにより、該分散剤を含有する着色組成物は、硬化した後の耐熱性が優れる。
【0220】
本発明で使用する分散剤としては、塩基性官能基を有する高分子分散剤が好ましく、窒素原子含有グラフト共重合体や、側鎖に3級アミノ基、4級アンモニウム塩基、含窒素複素環などを含む官能基を有する、窒素原子含有アクリル系ブロック共重合体及びウレタン系高分子分散剤などが好ましい。樹脂型分散剤は、着色剤全量に対して5~200質量%程度使用することが好ましく、成膜性の観点から10~100質量%程度使用することがより好ましい。
【0221】
市販の樹脂型分散剤としては、ビックケミ-・ジャパン社製のDisperbyk-101、103、107、108、110、111、116、130、140、154、161、162、163、164、165、166、167、168、170、171、174、180、181、182、183、184、185、190、2000、2001、2009、2010、2020、2025、2050、2070、2095、2150、2155、2163、2164又はAnti-Terra-U、203、204、又はBYK-P104、P104S、220S、6919、又はLactimon、Lactimon-WS又はBykumen等、日本ル-ブリゾ-ル社製のSOLSPERSE-3000、9000、13000、13240、13650、13940、16000、17000、18000、20000、21000、24000、26000、27000、28000、31845、32000、32500、32550、33500、32600、34750、35100、36600、38500、41000、41090、53095、55000、56000、76500等、BASF社製のEFKA-46、47、48、452、4008、4009、4010、4015、4020、4047、4050、4055、4060、4080、4400、4401、4402、4403、4406、4408、4300、4310、4320、4330、4340、450、451、453、4540、4550、4560、4800、5010、5065、5066、5070、7500、7554、1101、120、150、1501、1502、1503等、味の素ファインテクノ社製のアジスパ-PA111、PB711、PB821、PB822、PB824等が好ましい。
【0222】
また、本発明で使用する樹脂型分散剤としては、カルボキシル基を有する樹脂型分散剤として、下記(S1)又は(S2)を含有することも好ましい。
(S1)水酸基を有する重合体の水酸基と、トリカルボン酸無水物及び/又はテトラカルボン酸二無水物の酸無水物基との反応生成物である樹脂型分散剤。
(S2)水酸基を有する化合物の水酸基と、トリカルボン酸無水物及び/又はテトラカルボン酸二無水物の酸無水物基との反応生成物の存在下に、エチレン性不飽和単量体を重合した重合体である樹脂型分散剤。
【0223】
≪樹脂型分散剤(S1)≫
樹脂型分散剤(S1)は、WO2008/007776号公報、特開2008-029901号公報、特開2009-155406号公報等の公知の方法で製造することができる。水酸基を有する重合体(p)は、末端に水酸基を有する重合体であることが好ましく、例えば、水酸基を有する化合物(q)の存在下に、エチレン性不飽和単量体(r)を重合した重合体として得ることができる。水酸基を有する化合物(q)としては、分子内に水酸基とチオール基を有する化合物であることが好ましい。末端の水酸基は複数であることが好ましいため、中でも、分子内に2つの水酸基と1つのチオール基とを有する化合物(q1)が好適に用いられる。
【0224】
すなわち、より好ましい一例である、片末端に2つの水酸基を有する重合体は、分子内に2つの水酸基と1つのチオール基とを有する化合物(q1)の存在下に、単量体(r1)を含むエチレン性不飽和単量体(r)を重合した重合体(p1)として得ることができる。水酸基を有する重合体(p)の水酸基は、トリカルボン酸無水物及び/又はテトラカルボン酸二無水物の酸無水物基と反応してエステル結合を形成する一方、無水環は開環し、カルボン酸を生じる。
【0225】
≪樹脂型分散剤(S2)≫
樹脂型分散剤(S2)は、特開2009-155406号公報、特開2010-185934号公報、特開2011-157416号公報等の公知の方法で製造することができ、例えば、水酸基を有する化合物(q)の水酸基と、トリカルボン酸無水物及び/又はテトラカルボン酸二無水物の酸無水物基との反応生成物の存在下に、エチレン性不飽和単量体(r)を重合することで得られる。中でも、分子内に2つの水酸基と1つのチオール基とを有する化合物(q1)の水酸基と、トリカルボン酸無水物及び/又はテトラカルボン酸二無水物の酸無水物基との反応生成物の存在下に、単量体(r1)を含むエチレン性不飽和単量体(r)を重合した重合体であることが好ましい。
【0226】
(S1)と(S2)は、エチレン性不飽和単量体(r)を重合した重合体部位の導入を先に行うか後で行うかの違いである。諸条件により分子量等が若干異なることがあるが、原料と反応条件が同じであれば、理論上は同じものができる。
【0227】
[色素誘導体]
本発明に用いる着色組成物には、必要に応じて色素誘導体を添加することができる。
本発明に用いる色素誘導体としては、有機色素残基に酸性基、塩基性基、中性基などを有する公知の色素誘導体を用いることができる。例えば、スルホ基、カルボキシ基、リン酸基などの酸性置換基を有する化合物及びこれらのアミン塩や、スルホンアミド基や末端に3級アミノ基などの塩基性置換基を有する化合物、フェニル基やフタルイミドアルキル基などの中性置換基を有する化合物が挙げられる。
【0228】
有機色素としては、例えばジケトピロロピロール系顔料、アントラキノン系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、チアジンインジゴ系顔料、トリアジン系顔料、ベンズイミダゾロン系顔料、ベンゾイソインドール等のインドール系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、ナフトール系顔料、スレン系顔料、金属錯体系顔料、アゾ、ジスアゾ、ポリアゾ等のアゾ系顔料、等が挙げられる。
具体的には、ジケトピロロピロール系色素誘導体としては、特開2001-220520号公報、WO2009/081930号パンフレット、WO2011/052617号パンフレット、WO2012/102399号パンフレット、特開2017-156397号公報、フタロシアニン系色素誘導体としては、特開2007-226161号公報、WO2016/163351号パンフレット、特開2017-165820号公報、特許第5753266号公報、アントラキノン系色素誘導体としては、特開昭63-264674号公報、特開平09-272812号公報、特開平10-245501号公報、特開平10-265697号公報、特開2007-079094号公報、WO2009/025325号パンフレット、キナクリドン系色素誘導体としては、特開昭48-54128号公報、特開平03-9961号公報、特開2000-273383号公報、ジオキサジン系色素誘導体としては、特開2011-162662号公報、チアジンインジゴ系色素誘導体としては、特開2007-314785号公報、トリアジン系色素誘導体としては、特開昭61-246261号公報、特開平11-199796号公報、特開2003-165922号公報、特開2003-168208号公報、特開2004-217842号公報、特開2007-314681号公報、ベンゾイソインドール系色素誘導体としては、特開2009-57478号公報、キノフタロン系色素誘導体としては、特開2003-167112号公報、特開2006-291194号公報、特開2008-31281号公報、特開2012-226110号公報、ナフトール系色素誘導体としては、特開2012-208329号公報、特開2014-5439号公報、アゾ系色素誘導体としては、特開2001-172520号公報、特開2012-172092号公報、酸性置換基としては、特開2004-307854号公報、塩基性置換基としては、特開2002-201377号公報、特開2003-171594号公報、特開2005-181383号公報、特開2005-213404号公報、などに記載の公知の色素誘導体が挙げられる。なおこれらの文献には、色素誘導体を誘導体、顔料誘導体、分散剤、顔料分散剤若しくは単に化合物などと記載している場合があるが、前記した有機色素残基に酸性基、塩基性基、中性基などの置換基を有する化合物は、色素誘導体と同義である。
これら色素誘導体は、単独又は2種類以上を混合して用いることができる。
【0229】
色素誘導体の含有量は、分散性向上の観点から、着色剤100質量部に対し、好ましくは0.5質量部以上、さらに好ましくは1質量部以上、最も好ましくは3質量部以上である。また、耐熱性、耐光性の観点から、好ましくは40質量部以下、さらに好ましくは35質量部以下である。
【0230】
[界面活性剤]
界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレン-アクリル酸共重合体のアルカリ塩、ステアリン酸ナトリウム、アルキルナフタリンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、スチレン-アクリル酸共重合体のモノエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル等のアニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコールモノラウレート等のノニオン性界面活性剤;アルキル4級アンモニウム塩やそれらのエチレンオキサイド付加物等のカオチン性界面活性剤;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン等のアルキルベタイン、アルキルイミダゾリン等の両性界面活性剤が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0231】
界面活性剤を添加する場合には、着色剤100質量部に対し、好ましくは0.1~55質量部、さらに好ましくは0.1~45質量部である。界面活性剤の含有量が、0.1質量部未満の場合には、添加した効果が得られ難く、含有量が55質量部より多いと、過剰な分散剤により分散に影響を及ぼすことがある。
(着色組成物の製造方法)
着色組成物は、着色剤(A)、バインダー樹脂(B)などの着色剤担体、および溶剤と共に、例えば、ニーダー、2本ロールミル、3本ロールミル、ボールミル、横型サンドミル、縦型サンドミル、アニュラー型ビーズミル、アトライター等の各種分散手段を用いて微細に分散して作製できる(以下、着色剤分散体ともいう)。微細に分散するか否かは、着色剤の溶解性により適宜選択できる。
【0232】
着色組成物は、着色組成物(溶剤現像型着色組成物またはアルカリ現像型着色組成物)として作製することが好ましい。着色組成物は、前記着色剤分散体と、光重合性化合物、光重合開始剤と、必要に応じて、溶剤、その他の顔料分散剤、及び添加剤等を含むことができる。光重合開始剤は、着色組成物を作製する段階で加えてもよく、作製後に加えてもよい。
【0233】
(粗大粒子の除去)
着色組成物は、遠心分離、焼結フィルタやメンブレンフィルタによる濾過等の手段にて、5μm以上の粗大粒子、好ましくは1μm以上の粗大粒子、さらに好ましくは0.5μm以上の粗大粒子および混入した塵の除去を行うことが好ましい。このように着色組成物は、実質的に0.5μm以上の粒子を含まないことが好ましい。より好ましくは0.3μm以下であることが好ましい。
【0234】
(カラーフィルタ)
本明細書のカラーフィルタは、基材、および本明細書の着色組成物から形成されるフィルタセグメントを備えることが好ましい。
カラーフィルタは、少なくとも1つの赤色フィルタセグメントと、少なくとも1つの緑色フィルタセグメントと、および少なくとも1つの青色フィルタセグメントとを備えることが好ましく、少なくとも1つのフィルタセグメントが、本明細書の着色組成物を用いて形成されることが好ましい。
【0235】
(カラーフィルタの製造方法)
カラーフィルタは、着色組成物を用いて、フォトリソグラフィー法により、製造することができる。
製造方法は、例えば、下記工程(i)、(ii)、(iii)および(iv)の工程により作製できる。
【0236】
<工程>
(i):カラーフィルタ用着色組成物を基材上に塗布することによって塗布膜を得る工程
(ii):工程(i)後、フォトマスクを介し、紫外線で塗布膜を露光する工程
(iii):工程(ii)後、露光した塗布膜を水酸化カリウム現像液で現像することにより、パターンを得る工程
(iv):工程(iii)後、パターンをポストベークする工程
【0237】
着色組成物を、透明基板上に、スプレーコートやスピンコート、スリットコート、ロールコート等の塗布方法により、乾燥膜厚が0.2~5μm程度になるように塗布する。必要により乾燥された膜には、この膜と接触あるいは非接触状態で設けられた所定のパターンを有するマスクを通して紫外線露光を行う。その後、水酸化カリウム現像液に浸漬するかもしくはスプレーなどにより現像液を噴霧して未硬化部を除去して所望のパターンを形成したのち、同様の操作を他色について繰り返してカラーフィルタを製造することができる。さらに、着色レジスト材の重合を促進するため、必要に応じて加熱を施すこともできる。
【0238】
また、現像液には、消泡剤や界面活性剤を添加することもできる。
なお、紫外線露光感度を上げるために、上記着色レジストを塗布乾燥後、水溶性あるいはアルカリ水溶性樹脂、例えばポリビニルアルコールや水溶性アクリル樹脂等を塗布乾燥し酸素による重合阻害を防止する膜を形成した後、紫外線露光を行うこともできる。
着色組成物は、現像後に残渣やパターンの欠落が少なく解像度が良好である。
【実施例】
【0239】
以下に、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例及び比較例中、「部」及び「%」とは「質量部」及び「質量%」を意味する。PGMACはプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを表す。
【0240】
<重量平均分子量Mw>
樹脂の重量平均分子量は、装置としてHLC-8220GPC(東ソー株式会社製)を用い、カラムとしてTSK-GEL SUPER HZM-Nを2連でつなげて使用し、溶媒としてTHFを用いて測定したポリスチレン換算の重量平均分子量値である。
【0241】
<酸価>
樹脂溶液または光重合性化合物0.5~1gに、アセトン80ml及び水10mlを加えて攪拌して均一に溶解させ、0.1mol/LのKOH水溶液を滴定液として、自動滴定装置(「COM-555」平沼産業製)を用いて滴定し、樹脂溶液または光重合性化合物の酸価(mgKOH/g)を測定した。そして、樹脂溶液の酸価と樹脂溶液の固形分濃度から、樹脂または光重合性化合物の固形分あたりの酸価を算出した。
【0242】
<粒径>
顔料の平均一次粒子径は、透過型電子顕微鏡(TEM)を使用して、電子顕微鏡写真から一次粒子の大きさを直接計測する方法で測定した。具体的には、個々の顔料の一次粒子の短軸径と長軸径を計測し、平均をその顔料一次粒子の粒径とした。次に、100個以上の顔料粒子について、それぞれの粒子の体積(質量)を、求めた粒径の立方体と近似して求め、体積平均粒径を平均一次粒子径とした。
【0243】
[製造例]
<樹脂型分散剤の製造>
(樹脂型分散剤(P1)溶液)
ガス導入管、温度、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、メタクリル酸10部、メチルメタクリレート100部、i-ブチルメタクリレート70部、ベンジルメタクリレート20部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート50部を仕込み、窒素ガスで置換した。
反応容器内を50℃に加熱撹拌し、3-メルカプト-1,2-プロパンジオール12部を添加した。90℃に昇温し、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル0.1部をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート90部に加えた溶液を添加しながら7時間反応した。固形分測定により95%が反応したことを確認した。
ピロメリット酸無水物19部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート50部、シクロヘキサノン50部、触媒として1,8-ジアザビシクロ-[5.4.0]-7-ウンデセン0.4部を追加し、100℃で7時間反応させた。酸価の測定で98%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認し反応を終了し、固形分測定で固形分40%となるようプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを加えて希釈し、酸価43、重量平均分子量8,500のカルボン酸系樹脂型分散剤(P1)の溶液を得た。
【0244】
<バインダー樹脂(B)の製造>
(バインダー樹脂溶液(B-1))
撹拌機、温度計、還流冷却管、滴下ロート及び窒素導入管を備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート182gを導入し、フラスコ内雰囲気を空気から窒素にした後、100℃に昇温後、ベンジルメタクリレート70.5g(0.40モル)、メタクリル酸43.0g(0.5モル)、トリシクロデカン骨格のモノメタクリレート(日立化成(株)製FA-513M)22.0g(0.10モル)及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート136gからなる混合物にアゾビスイソブチロニトリル3.6gを添加した溶液を滴下ロートから2時間かけてフラスコに滴下し、さらに100℃で5時間撹拌し続けた。次に、フラスコ内雰囲気を窒素から空気にし、グリシジルメタクリレート35.5g[0.25モル、(本反応に用いたメタクリル酸のカルボキシル基に対して50モル%)]、トリスジメチルアミノメチルフェノール0.9g及びハイドロキノン0.145gをフラスコ内に投入し、110℃で6時間反応を続けた後、樹脂溶液約2部をサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が20質量%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを添加してバインダー樹脂溶液(B-1)を得た。重量平均分子量は13,000で、分子量分布(Mw/Mn)は2.1であり、固形分酸価が79mgKOH/gであった。
【0245】
(バインダー樹脂溶液(B-2))
セパラブル4口フラスコに温度計、冷却管、窒素ガス導入管、撹拌装置を取り付けた反応容器にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート100部を入れ、容器に窒素ガスを注入しながら120℃に加熱して、同温度で滴下管よりスチレン5.2部、グリシジルメタクリレート35.5部、ジシクロペンタニルメタクリレート41.0部、アゾビスイソブチロニトリル1.0部の混合物を2.5時間かけて滴下し重合反応を行った。
次にフラスコ内を空気置換し、アクリル酸17.0部にトリスジメチルアミノメチルフェノール0.3部、及びハイドロキノン0.3部を投入し、120℃で5時間反応を続け固形分酸価=0.8となったところで反応を終了し、重量平均分子量が約12,000(GPCによる測定)の樹脂溶液を得た。
さらにテトラヒドロ無水フタル酸30.4部、トリエチルアミン0.5部を加え120℃で4時間反応させ、不揮発分が20%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを添加してバインダー樹脂溶液(B-2)を調製した。
【0246】
(バインダー樹脂溶液(B-3))
セパラブル4口フラスコに温度計、冷却管、窒素ガス導入管、滴下管及び撹拌装置を取り付けた反応容器にシクロヘキサノン196部を仕込み、80℃に昇温し、反応容器内を窒素置換した後、滴下管より、ベンジルメタクリレート20.0部、n-ブチルメタクリレート17.2部、2-ヒドロキシエチルメタクリレート12.9部、メタクリル酸12.0部、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート(東亞合成株式会社製「アロニックスM110」)20.7部、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル1.1部の混合物を2時間かけて滴下した。滴下終了後、更に3時間反応を継続し、アクリル樹脂の溶液を得た。
室温まで冷却した後、樹脂溶液約2部をサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が20質量%になるようにPGMACを添加してバインダー樹脂溶液(B-3)を調製した。重量平均分子量(Mw)は26,000であった。
【0247】
(バインダー樹脂溶液(B-4))
セパラブル4口フラスコに温度計、冷却管、窒素ガス導入管、滴下管及び撹拌装置を取り付けた反応容器にシクロヘキサノン207部を仕込み、80℃に昇温し、反応容器内を窒素置換した後、滴下管より、メタクリル酸20部、ベンジルメタクリレート20部、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート(東亜合成社製アロニックスM110)20部、メタクリル酸メチル25部、2-ヒドロキシエチルメタクリレート8.5部、及び2,2'-アゾビスイソブチロニトリル1.33部の混合物を2時間かけて滴下した。滴下終了後、更に3時間反応を継続し、共重合体樹脂溶液を得た。次に得られた共重合体溶液全量に対して、窒素ガスを停止し乾燥空気を1時間注入しながら攪拌したのちに、室温まで冷却した後、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(昭和電工社製カレンズMOI)6.5部、ラウリン酸ジブチル錫0.08部、シクロヘキサノン26部の混合物を70℃で3時間かけて滴下した。滴下終了後、更に1時間反応を継続し、アクリル樹脂の溶液を得た。室温まで冷却した後、樹脂溶液約2部をサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が20質量%になるようにシクロヘキサノンを添加してバインダー樹脂溶液(B-4)を調製した。重量平均分子量(Mw)は18,000であった。
【0248】
<着色剤の製造>
<赤色着色剤の製造>
(赤色処理顔料(A1-1))
以下に、赤色処理顔料(A1-1)の具体的な合成方法をその反応スキーム(下記反応スキームA)とともに示す。本発明に係る他のアゾ顔料も同様のスキームに従って合成することができる。なお、アゾ顔料の製造方法(合成方法)は以下の方法に限定されるものではない。
【0249】
【0250】
(1)化合物(b)の合成
トルエン573部に、2,3-ヒドロキシナフトエ酸90部、及びN,N-ジメチルホルムアミド1.2部を加え、85℃に加熱後、塩化チオニル556.3部を15分間で滴下した。滴下終了後、1時間還流した。別途調製した化合物(a)80.9部とトルエン264部を85℃に加熱した溶液に、上記反応溶液を30分間かけて滴下し、2時間加熱還流した。この反応液を95℃に冷却後、28%アンモニア水溶液8.0部及び水20部を加え、95~100℃にて15分間攪拌後、トルエン及び未反応の化合物(a)を水蒸気蒸留により除去した。析出した反応物をろ取し、熱湯で洗浄後、乾燥して化合物(b)を152部(収率:95.8%)得た。
【0251】
(2)アゾ顔料(A1b)の合成
氷酢酸252.2部に化合物(c)36.3部を加えた後、35%塩酸39.1部を加え、-2~0℃になるよう冷却した。この溶液に25%亜硝酸ナトリウム水溶液42.2部を加えた後、0~5℃に保持しながら、30分間攪拌した。別途調製した前記方法で得た化合物(b)50.7部と、25%水酸化ナトリウム溶液67.1部、水772部、イソプロピルアルコール680部からなる混合溶液に、この反応溶液を15分間で滴下した。滴下終了後、室温で30分間攪拌した後、さらに、80℃に保持しながら攪拌し、析出した反応物をろ取し、熱湯及びメタノールで洗浄後、乾燥してアゾ色素1を85.9部(収率:98%)得た。TOF-MSによる質量分析の結果、上記スキームAで示されるナフトールアゾ顔料(A1b)であることを同定した。なお、ナフトールアゾ顔料(A1b)は、一般式(1)で表される顔料に該当する。
【0252】
(3)赤色処理顔料(A1-1)
次に、上記アゾ顔料(A1b)を80部、塩化ナトリウム800部、及びジエチレングリコール90部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)に仕込み、60℃で6時間混練し、ソルトミリング処理した。得られた混練物を3リットルの温水に投入し、70℃に加熱しながら1時間撹拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除いた後、80℃で一昼夜乾燥し、78部の赤色処理顔料(A1-1)を得た。平均一次粒子径は38nmであった。
【0253】
(赤色処理顔料(A1-2))
一般式(1)で表されるアゾ顔料に該当する、市販のC.I.ピグメントレッド269(PR269)(Clariant社製「Toner Magenta F8B」)100部、塩化ナトリウム800部、及びジエチレングリコール180部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、70℃で5時間混練した。この混合物を温水4000部に投入し、約80℃に加熱しながらハイスピードミキサーで約1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗をくりかえして食塩及び溶剤を除いた後、80℃で24時間乾燥し、100部の赤色処理顔料(A1-2)を得た。平均一次粒子径は45nmであった。
【0254】
(赤色処理顔料(A1-3))
市販のアントラキノン系顔料C.I.ピグメントレッド177(PR177)(BASF社製「クロモフタルレッド A2B」)100部、塩化ナトリウム1200部、及びジエチレングリコール120部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)に仕込み、60℃で6時間混練し、ソルトミリング処理した。得られた混練物を3リットルの温水に投入し、70℃に加熱しながら1時間撹拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除いた後、80℃で一昼夜乾燥し、98部の赤色処理顔料(A1-3)を得た。平均一次粒子径は33nmであった。
【0255】
(赤色処理顔料(A1-4))
市販のジケトピロロピロール系顔料C.I.ピグメントレッド 254(PR254)(BASF社製「B-CF」)200部、塩化ナトリウム1400部、およびジエチレングリコール360部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、80℃で6時間混練した。次にこの混練物を8000部の温水に投入し、80℃に加熱しながら2時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除いた後、85℃で一昼夜乾燥し、赤色処理顔料(A1-4)を得た。平均一次粒子径は38nmであった。
【0256】
(赤色処理顔料(A1-5))
[式(3)で示されるジケトピロロピロール顔料]
還流管を付けたステンレス製反応容器に、窒素雰囲気下、モレキュラシーブで脱水したtert-アミルアルコール200部、およびナトリウム-tert-アミルアルコキシド140部を加え、攪拌しながら100℃に加熱し、アルコラート溶液を調製した。一方で、ガラス製フラスコに、コハク酸ジイソプロピル88部、4-ブロモベンゾニトリル153.6部を加え、攪拌しながら90℃に加熱して溶解させ、これらの混合物の溶液を調製した。この混合物の加熱溶液を、100℃に加熱した上記アルコラート溶液中に、激しく攪拌しながら、2時間かけて一定の速度でゆっくり滴下した。滴下終了後、90℃にて2時間、加熱攪拌を継続し、ジケトピロロピロール系化合物のアルカリ金属塩を得た。
さらに、ガラス製ジャケット付き反応容器に、メタノール600部、水600部、及び酢酸304部を加え、-10℃に冷却した。この冷却した混合物を、高速攪拌ディスパーサーを用いて、直径8cmのシェアディスクを4000rpmで回転させながら、この中に、75℃まで冷却した先に得られたジケトピロロピロール系化合物のアルカリ金属塩溶液を、少量ずつ添加した。この際、メタノール、酢酸、および水からなる混合物の温度が常に-5℃以下の温度を保つように、冷却しながら、かつ、75℃のジケトピロロピロール系化合物のアルカリ金属塩の添加する速度を調整しながら、およそ120分にわたって少量ずつ添加した。アルカリ金属塩添加後、赤色の結晶が析出し、赤色の懸濁液が生成した。続いて、得られた赤色の懸濁液を5℃にて限外濾過装置で洗浄後、濾別し赤色ペーストを得た。このペーストを0℃に冷却したメタノール3500部にて再分散し、メタノール濃度約90%の懸濁液とし、5℃にて3時間攪拌し、結晶転移を伴う粒子整粒および洗浄を行った。続いて、限外濾過機で濾別し、得られたジケトピロロピロール系化合物の水ペーストを、80℃にて24時間乾燥させ、粉砕することにより式(3)で示される臭素化ジケトピロロピロール顔料150.8部を得た。
【0257】
続いて、式(3)で表わされる臭素化ジケトピロロピロール顔料を100部、塩化ナトリウム1200部、およびジエチレングリコール120部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)に仕込み、60℃で6時間混練し、ソルトミリング処理した。得られた混練物を3000部の温水に投入し、70℃に加熱しながら1時間撹拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除いた後、85℃で一昼夜乾燥し、赤色処理顔料(A1-5)を得た。平均一次粒子径は36nmであった。
【0258】
(赤色処理顔料(A1-6))
反応容器1にtert-アミルアルコール220部を入れて水浴冷却させながら、60%NaH32部を加えて、90℃にて加熱攪拌させた。次いで、反応容器2にtert-アミルアルコール100部、Tetrahedron, 58(2002)5547-5565の方法により合成した下記式(13)の化合物85.0部、および4-シアノビフェニル60.9部を加熱溶解させ、これを反応容器1に2時間かけて滴下した。120℃で10時間反応させた後、60℃まで冷却させ、メタノール400部、および酢酸50部を加えてから、濾別およびメタノール洗浄を行い、式(4-1a)で示される特定ヘテロジケトピロロピロール顔料88.1部を得た。
【0259】
【0260】
続いて、式(4-1a)で示される特定ヘテロジケトピロロピロール顔料200部、塩化ナトリウム1400部、およびジエチレングリコール360部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、80℃で6時間混練した。次にこの混練物を8000部の温水に投入し、80℃に加熱しながら2時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除いた後、85℃で一昼夜乾燥し、赤色処理顔料(A1-6)を得た。平均一次粒子径は38nmであった。
【0261】
(赤色処理顔料(A1-7))
4-シアノビフェニル60.9部を4-tert-ブチルベンゾニトリル54.1部に変更した以外は、式(4-1a)で示される特定ヘテロジケトピロロピロール顔料の製造方法と同様にして、式(4-2a)で示される特定ヘテロジケトピロロピロール顔料83.9部を得た。
続いて、式(4-2a)で示される特定ヘテロジケトピロロピロール顔料200部、塩化ナトリウム1400部、およびジエチレングリコール360部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、80℃で6時間混練した。次にこの混練物を8000部の温水に投入し、80℃に加熱しながら2時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除いた後、85℃で一昼夜乾燥し、赤色処理顔料(A1-7)を得た。平均一次粒子径は38nmであった。
【0262】
(赤色処理顔料(A1-8))
4-シアノビフェニル60.9部をN,N-ジブチル-3-シアノベンズアミド87.8部に変更した以外は、式(4-1a)で示される特定ヘテロジケトピロロピロール顔料の製造方法と同様にして、式(4-4b)で示される特定ヘテロジケトピロロピロール顔料83.8部を得た。
続いて、式(4-4b)で示される特定ヘテロジケトピロロピロール顔料200部、塩化ナトリウム1400部、およびジエチレングリコール360部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、80℃で6時間混練した。次にこの混練物を8000部の温水に投入し、80℃に加熱しながら2時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除いた後、85℃で一昼夜乾燥し、赤色処理顔料(A1-8)を得た。平均一次粒子径は36nmであった。
【0263】
(赤色処理顔料(A1-9))
反応容器1にtert-アミルアルコール220部を入れて水浴冷却させながら、60%NaH32部を加えて、90℃にて加熱攪拌させた。次いで、反応容器2にtert-アミルアルコール100部、Tetrahedron, 58(2002)5547-5565の方法により合成した下記式(14)の化合物99.2部、および4-シアノビフェニル60.9部を加熱溶解させ、これを反応容器1に2時間かけて滴下した。120℃で10時間反応させた後、60℃まで冷却させ、メタノール400部、および酢酸50部を加えてから、濾別およびメタノール洗浄を行い、式(4-19)で示される特定ヘテロジケトピロロピロール顔料87.8部を得た。
【0264】
【0265】
続いて、式(4-19)で示される特定ヘテロジケトピロロピロール顔料200部、塩化ナトリウム1400部、およびジエチレングリコール360部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、80℃で6時間混練した。次にこの混練物を8000部の温水に投入し、80℃に加熱しながら2時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除いた後、85℃で一昼夜乾燥し、赤色処理顔料(A1-9)を得た。平均一次粒子径は40nmであった。
【0266】
<その他の着色剤の製造>
(黄色処理顔料(A2))
C.I.ピグメントイエロー139(PY139)(BASF社製「イルガフォアイエロー 2R-CF」)100部、塩化ナトリウム700部、及びジエチレングリコール180部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、80℃で6時間混練した。この混合物を温水2000部に投入し、80℃に加熱しながら1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗をくりかえして食塩及び溶剤を除いた後、80℃で一昼夜乾燥し、95部の黄色処理顔料(A2)を得た。平均一次粒子径は43.2nmであった。
【0267】
<着色剤分散体の製造方法>
(赤色顔料分散体(DR-1))
下記の原料を配合し均一になるように攪拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM-250 MKII」)で5時間分散した後、5.0μmのフィルタで濾過し赤色顔料分散体(DR-1)を作製した。
赤色微細化処理顔料(A1-1) :14.0部
樹脂型分散剤(P1)溶液 : 5.0部
バインダー樹脂溶液(B-3) :20.0部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMAC) :61.0部
【0268】
(赤色顔料分散体(DR-2~9)、黄色顔料分散体(DY-1))
着色剤、樹脂型分散剤溶液、バインダー樹脂溶液、および溶剤を表1の組成、及び配合量に変更した以外は、赤色顔料分散体(DR-1)と同様にして、赤色顔料分散体(DR-2~9)、黄色顔料分散体(DY-1)をそれぞれ作製した。
【0269】
【0270】
<光重合性化合物の製造方法>
(光重合性化合物(d-1))
内容量が1リットルの5つ口反応容器に、ジペンタエリスリトールのヘキサ/ペンタ混合アクリレート623g、ヘキサメチレンジイソシアネート44gを仕込み、60℃で8時間反応させ、ウレタン結合を有する多官能アクリレートを含む生成物を得た。生成物中、多官能アクリレートの占める割合は、45質量%であり、残部を他の光重合性モノマーで占めている光重合性化合物(d-1)を得た。
なお、IR分析により、反応生成物中にイソシアネート基が存在しないことを確認した。
【0271】
<カラーフィルタ用赤色着色組成物の調製>
[実施例1]
(赤色着色組成物(RR-1))
下記組成の混合物を均一になるように撹拌混合した後、1.0μmのフィルタで濾過し、着色組成物(RR-1)を作製した。
着色剤分散体DR-2 :33.75部
着色剤分散体DY-1 :14.46部
バインダー樹脂溶液(B-1) :12.40部
化学式(1-1)のオキシムエステル光重合開始剤 :0.45部
光重合性単量体(新中村化学社製「ABE-300」) :2.25部
重合禁止剤(メチルヒドロキノン、精工化学社製「MH」) :0.0075部
増感剤(4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、保土谷化学工業社製「EAB-F」) :0.15部
BYK-330 2%溶液 :1.00部
溶剤 PGMAC :25.53部
溶剤 PGME :10.00部
【0272】
[実施例1~37及び比較例1~4]
(RR-1~41)
表2~6に示す処方比率で各材料を混合・攪拌し、1μmのフィルタで濾過して、各色の着色組成物を得た。
【0273】
【0274】
【0275】
【0276】
【0277】
【0278】
表2~6中の略称について以下に示す。
≪オキシムエステル光重合開始剤(C)≫
・C1:化学式(1-1)で表される光重合開始剤
・C2:化学式(1-2)で表される光重合開始剤
・C3:化学式(7b-4)で表される光重合開始剤
・C4:化学式(7a-3)で表される光重合開始剤
・C5:エタン-1-オン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル],1-(O-アセチルオキシム)(BASF社製「イルガキュアOXE02」)
≪その他の光重合開始剤≫
・c-1(アセトフェノン系):2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1(BASF社製「イルガキュア369E」)
≪2官能のビスフェノールA型(メタ)アクリレート(D1)≫
・D1-1:新中村化学社製「ABE-300」
(一般式(5)において、R1、R2は水素原子、m+n=3)
・D1-2:新中村化学社製「A-BPE-4」
(一般式(5)において、R1、R2は水素原子、m+n=4)
・D1-3:新中村化学社製「A-BPE-10」
(一般式(5)において、R1、R2は水素原子、m+n=10)
・D1-4:新中村化学社製「A-BPE-20」
(一般式(5)において、R1、R2は水素原子、m+n=17)
・D1-5:新中村化学社製「BPE-200」
(一般式(5)において、R1、R2はメチル基、m+n=4)
・D1-6:大阪有機化学工業社製「ビスコート#540」
≪その他の光重合性単量体≫
・光重合性化合物d-1:前述の製造例(光重合性化合物(d-1)で示した、ウレタン結合を有する多官能アクリレートを含む生成物
・光重合性化合物d-2:東亞合成社製「アロニックスM-402」
・光重合性化合物d-3:新中村化学社製「A-9300」
≪重合禁止剤≫
・E-1:メチルヒドロキノン(精工化学社製「MH」)
≪増感剤≫
・EAB-F:4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン (保土ヶ谷化学工業社製)
≪レべリング剤≫
BYK-330 2%:ポリエーテル構造含有ジメチルシロキサンのPGMAC溶液(不揮発分2質量%に調整 (ビックケミー社製)
≪溶剤≫
・PGMAC:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
・PGME:プロピレングリコールモノメチルエーテル
【0279】
<カラーフィルタ用赤色着色組成物の評価>
得られた着色組成物について下記の方法で評価した。結果を表7-1~7-5に示す。
【0280】
[フィルタセグメントのパターン形成]
得られた赤色着色組成物をスピンコート法により10cm×10cmのガラス基板に塗工した後、クリーンオーブン中70℃で15分間加温して溶剤を除去し、乾燥後膜厚が1.8/2.0/2.3/2.6/3.0μmの5水準の塗膜を得た。次いで、この基板を室温に冷却後、超高圧水銀ランプを用い、100μm幅(ピッチ200μm)及び25μm幅(ピッチ50μm)ストライプパターンのフォトマスクを介して紫外線を露光した。その後、この基板を25℃の水酸化カリウム水溶液を用いてスプレー現像した後、イオン交換水で洗浄、風乾し、クリーンオーブン中230℃で30分間加熱した。スプレー現像は、それぞれの着色組成物での塗膜について、現像残りなくパターン形成可能な最短時間で行い、これを適正現像時間とした。
塗膜の膜厚は、Dektak 3030(日本真空技術社製)を用いて測定した。
【0281】
[パターン形状評価]
上記方法で形成された5水準で形成されたフィルタセグメントあるいはブラックマトリックスの100μmフォトマスク部分でのパターンの断面について、電子顕微鏡を用いて観察して評価を行った。パターン断面は順テーパーが良好であり,各種膜厚による形状維持ができるものが良好である。評価のランクは次の通りである。
◎ :全5水準において断面がなだらかな順テーパー形状
○ :3~4水準において断面がなだらかな順テーパー形状
△ :1~2水準において断面がなだらかな順テーパー形状(実用可能なレベル)
× :全5水準において断面が逆テーパー形状(実用には適さないレベル)
【0282】
[直線性評価]
上記方法で膜厚2.6umで形成されたフィルタセグメントあるいはブラックマトリックスの100μmフォトマスク部分でのパターンについて、光学顕微鏡を用いて観察して評価を行った。評価のランクは次の通りである。
◎:直線性良好
○:直線性不良僅か
△:部分的に直線性不良(実用可能なレベル)
×:直線性不良(実用には適さないレベル)
【0283】
[感度評価]
上記方法で膜厚2.6umで形成されたフィルタセグメントの100μmフォトマスク部分でのパターン膜厚を測定し、塗工後膜厚に対して90%以上となる最小露光量を評価した。最小露光量が小さい程、高感度で良好な着色組成物となる。評価のランクは次の通りである。
○:50mJ/cm2未満
△:50mJ/cm2以上、100mJ/cm2未満(実用可能なレベル)
×:100mJ/cm2以上(実用には適さないレベル)
【0284】
[脱ガス性]
10cm×10cmのガラス基板に塗工した後、クリーンオーブン中70℃で15分間加温して溶剤を除去し、乾燥後膜厚が2.6μmとなる塗膜を得た。次いで、この基板を室温に冷却後、超高圧水銀ランプを用い、超高圧水銀ランプを用いて、照度20mW/cm2、露光量100mJ/cm2で紫外線露光を行った。その後、この基板を25℃の水酸化カリウム水溶液を用いて1分間スプレー現像した後、イオン交換水で洗浄、風乾し、クリーンオーブン中230℃で30分間加熱した。作製した塗膜を5mg剥がして採取し、TG/DTA測定を行い、初期質量に対する質量減少率を測定し、下記基準で評価した。TG/DTAはセイコーインスツルメンツ社のEXSTAR TG/DTA6200を用い、窒素流量200mL/min、室温から5℃/minで230℃まで昇温し60分保持するプログラムで測定した。
○:質量減少率が3.0%未満
△:質量減少率が3.0%以上5.0%未満(実用可能なレベル)
×:質量減少率が5.0%以上(実用には適さないレベル)
【0285】
[薬品耐性評価]
上記方法で形成された2.6μmのフィルタセグメントをN-メチルピロリドンに30分浸漬後、イオン交換水で洗浄、風乾し、100μmフォトマスク部分でのパターンについて光学顕微鏡を用いて観察して評価を行った。評価のランクは次の通りである。
○:外観、色に変化なく良好
△:一部にシワ等が発生するが、色には変化なく良好((実用可能なレベル)
×:シワ、ハガレや色落ちが発生(実用には適さないレベル)
【0286】
【0287】
表7-1~7-5に示すように、本願の赤色着色組成物を用いて形成されたフィルタセグメントは、幅広い膜厚水準においてパターン形状が良好であり、直線性、感度、薬品耐性が良好であった。また、本願の赤色着色組成物を用いることにより脱ガスの少ない塗膜を形成することができた。
【0288】
上記の理由により、本発明のカラーフィルタ用赤色着色組成物を用いることにより、着色剤含有量が高い場合においても高品質なカラーフィルタの作製が可能であった。