(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-22
(45)【発行日】2022-03-30
(54)【発明の名称】包装袋用積層フィルム、およびそのフィルムからなるピロー包装袋
(51)【国際特許分類】
B32B 27/32 20060101AFI20220323BHJP
B65D 65/40 20060101ALI20220323BHJP
B65D 30/02 20060101ALI20220323BHJP
【FI】
B32B27/32 D
B32B27/32 E
B65D65/40 D
B65D30/02
(21)【出願番号】P 2018109348
(22)【出願日】2018-06-07
【審査請求日】2021-05-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】雨河 宏太朗
【審査官】弘實 由美子
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-100770(JP,A)
【文献】特開2014-131835(JP,A)
【文献】特開2014-227179(JP,A)
【文献】特開2001-246711(JP,A)
【文献】特開2017-061618(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0186546(US,A1)
【文献】特開2016-222277(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0092744(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 27/32
B65D 65/40
B65D 30/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装袋に用いられる積層フィルムであって、
前記積層フィルムは、
二軸延伸ポリアミドフィルムを含んで形成された中心層と、
前記中心層の一方の面に設けられた外層部と、
前記中心層の他方の面に設けられた内層部と、を備え、
前記外層部は、
二軸延伸ポリアミドフィルムからなる中心部と、
前記中心部の厚さ方向両側の面に形成された中密度ポリエチレンフィルム層と、を有し、前記内層部は、
密度が905kg/m
3以上910kg/m
3以下の直鎖状低密度ポリエチレンフィルムからなる第一層と、
密度が915kg/m
3以上920kg/m
3以下の直鎖状低密度ポリエチレンからなり、前記第一層の厚さ方向両側の面にそれぞれ形成された第二層および第三層と、を有し、前記第二層および第三層の厚みが、前記第一層の厚みの1/3~1/2であることを特徴とする包装袋用積層フィルム。
【請求項2】
上記中心層と、上記内層部とが、無溶剤型接着剤により積層してなることを特徴とする請求項1に記載の包装袋用積層フィルム。
【請求項3】
上記内層部が、36μm以上60μm以下の厚みを有する第一層と、各層がそれぞれ12μm以上20μm以下の厚みを有する第二層および第三層と、から構成された60μm~100μmの多層シーラント層から構成されることを特徴とする請求項1、又は2に記載の包装袋用積層フィルム。
【請求項4】
上記内層部の第二層と第三層とが同じ厚みである多層シーラント層によって構成されることを特徴とする請求項3に記載の包装袋用積層フィルム。
【請求項5】
上記外層部が、厚み10μm以上15μm以下の厚みを有する2軸延伸ポリアミドフィルムからなる中心部と、
前記中心部の厚さ方向両側の面に形成された15μm以上22.5μm以下の厚みを有する中密度ポリエチレンフィルム層と、から構成された40μm以上60μm以下の厚みを有することを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の包装袋用積層フィルム。
【請求項6】
上記中心層が、15μm以上25μm以下の厚みを有する二軸延伸ポリアミドフィルムからなることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の包装袋用積層フィルム。
【請求項7】
上記積層フィルムが、幅15mm、ループ長100mm、押し込み量15mmにおける反発力の腰強度を60N以下としたことを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の包装袋用積層フィルム。
【請求項8】
請求項1~7のいずれかに記載の包装袋用積層フィルムからなることを特徴とするピロー包装袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料用液体、調理・加工用液体などを搬送する時に使用する包材であって、特に、液洩れや破袋を起こしにくい包装袋用積層フィルムおよびピロー包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
無菌充填包装システムなどを使用して、大容量、かつ流動性の高い液体を包装するには、殺菌工程を経ても変質しない耐性を有するだけでなく、段ボール面との擦れによる裂けや、搬送時の変形などによって起きやすいピンホールなど、それらが発生しにくい積層フィルムを使用する必要がある。
【0003】
例えば、特許文献1では、
積層フィルムで形成された包装袋であって、
前記積層フィルムは、二軸延伸ナイロンフィルムを含んで形成された中心層と、前記中心層の一方の面に設けられた外層部と、前記中心層の他方の面に設けられた内層部と、を備え、
前記外層部は、無延伸ナイロンフィルムからなる中心部と、前記中心部の厚さ方向両側の面に形成されたポリオレフィン層と、を有し、
前記内層部は、JIS K7112で測定した密度が915kg/m3未満の直鎖状超低密度ポリエチレンからなる第一層と、JIS K7112で測定した密度が915kg/m3以上の直鎖状低密度ポリエチレンからなり、前記第一層の厚さ方向両側の面にそれぞれ形成された第二層および第三層と、を有し、
前記内層部は、無溶剤型の接着剤を用いて前記中心層に積層されている、包装袋を提案している。
【0004】
しかしながら、この包装袋は、外層部のポリオレフィン層が一般的なオレフィン樹脂層を想定している。この為、段ボールに箱詰めする時の落下による衝撃や変形などや、搬送時の振動などによって段ボール面との擦れによりピンホールが発生し易い、といった問題があった。
【0005】
また、特許文献2では、
積層フィルムで形成された包装袋であって、
前記積層フィルムは、単層での引張伸度が、フィルム流れ方向およびそれに直角な方向でそれぞれ95~100%である二軸延伸ナイロンフィルムを含んで形成された中心層と、前記中心層の一方の面に設けられ、包装袋の外側となる外層部と、前記中心層の他方の面に設けられ、包装袋の内側となる内層部とを備え、
前記外層部は無延伸ナイロンフィルムからなる中心部と、少なくとも前記中心部の厚さ方向外側の面に形成されたポリオレフィン層からなり、無溶剤型の接着剤を用いて前記中心層に積層されており、
前記内層部はポリオレフィン層を有し、無溶剤型の接着剤を用いて前記中心層に積層されている積層フィルムであることを特徴とする包装袋を提案している。
【0006】
この包装袋は中心層のナイロン層がチューブラー押出し用の高粘度の分子量の高い樹脂を、延伸後、急冷し、柔軟性のある層ができている。しかしながら、段ボールに箱詰めする時の落下や変形などや、搬送時の振動などによって、折れた部分に発生する包装袋の角が、段ボールの面に当たって擦れ、ピンホールが発生し易い、といった問題をまだ抱えていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特許第6127711号公報
【文献】特開2016-222277号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、段ボール面との擦れによる裂けが発生しにくく、積み替え時や搬送時の揺れや変形によってもピンホールが発生しない包装袋を製造可能な積層フィルムを得ることが、本発明の課題である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、
包装袋に用いられる積層フィルムであって、
前記積層フィルムは、
二軸延伸ポリアミドフィルムを含んで形成された中心層と、
前記中心層の一方の面に設けられた外層部と、
前記中心層の他方の面に設けられた内層部と、を備え、
前記外層部は、
二軸延伸ポリアミドフィルムからなる中心部と、
前記中心部の厚さ方向両側の面に形成された中密度ポリエチレンフィルム層と、を有し、前記内層部は、
密度が905kg/m3以上910kg/m3以下の直鎖状低密度ポリエチレンフィルムからなる第一層と、
密度が915kg/m3以上920kg/m3以下の直鎖状低密度ポリエチレンからなり、前記第一層の厚さ方向両側の面にそれぞれ形成された第二層および第三層と、を有し、前記第二層および第三層の厚みが、前記第一層の厚みの1/3~1/2であることを特徴とする包装袋用積層フィルムである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の積層フィルムを使用した包装袋は、段ボールなどに接触してもピンホールや破袋が生じず、漏れたり、殺菌不良を発生したりしないので、安心してアセプティック殺菌インライン充填機などにも使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明に係る包装袋用積層フィルムの構成を示す図である。
【
図2】本発明に係る包装袋用積層フィルムに内容物を充填するピロー包装袋を製造する製造ラインの一例を示す構想図である。
【
図3】本発明に係る積層フィルムによって製造するピロー包装袋の形態例を示す概観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の包装袋用積層フィルムについて、図で説明する。
図1は、本発明に係る包装袋用積層フィルムの構成である。
本発明の包装袋用積層フィルム1は、二軸延伸ポリアミドフィルムを含んで形成された中心層2と、前記中心層2の一方の面に設けられた外層部3と、前記中心層2の他方の面に設けられた内層部4とから形成されている。
【0013】
中心層2は、二軸延伸ポリアミドフィルムを用いているので、柔軟性とバリア性があって、伸びにも追随し、ピンホールや破袋が生じにくい。また、二軸延伸されている為、引
張強度も高く、耐突き刺し性も高い。
【0014】
上記中心層の二軸延伸ポリアミドフィルムは、15μm以上25μm以下の厚みとする。
二軸延伸ポリアミドフィルムは、充分な柔軟性や耐突き裂き性を得るには、15μm以上が必要であり、15μm未満では、特に耐突き裂き性が低下してしまう。その為、厚くしやすい中心層に15μm以上の二軸延伸ポリアミドフィルムを用いる。ただ、25μm以上の厚みにすると、返って柔軟性が低下し、破断しやすくなる。
この為、中心層の二軸延伸ポリアミドフィルムは、15μm以上25μm以下の厚みとする。
【0015】
外層部3は、二軸延伸ポリアミドフィルムからなる中心部31と、
前記中心部31の厚さ方向両側の面に形成された中密度ポリエチレンフィルム層32、33とから形成されている。
中心部31も二軸延伸ポリアミドフィルムからなり、二重に二軸延伸ポリアミドフィルムによって形成されているので、ピンホールや破袋が生じにくい。
中心部31の外側の中密度ポリエチレンフィルム層32は、密度が0.925~0.940g/cm3と、フィルムに使用されている一般的な低密度ポリエチレンよりも高い密度のポリエチレンを使用している。中密度ポリエチレンは、表面硬度が高い為、段ボールなどの硬いセルロース繊維で擦られても、削られたりしにくく、かつ、破れにくい。また、耐熱性が低密度ポリエチレンよりも高いので、より、水をはじき易く、かつ、水素処理殺菌工程やその乾燥工程での収縮を抑えられる。
中心部31の内側の中密度ポリエチレンフィルム層33も、同じように密度が高く、破れにくく、外側の中密度ポリエチレンフィルム層32と対になっているので、熱や変形させる力などが掛かっても、フィルムの伸びなどで変形することもなく、安定した形状を維持可能な構成としている。
【0016】
ここで、外層部3は、中心部31の2軸延伸ポリアミドフィルム厚みを10μm以上15μm以下の厚みとし、柔軟性を高く、かつ強度を持たせる。
二軸延伸ポリアミドフィルムは、10μm未満の場合、著しく強度が低下する。
また、前記中心部31の厚さ方向両側の面に形成される中密度ポリエチレンフィルム層は、15μm以上22.5μm以下の厚みとする。
中密度ポリエチレンフィルム層は、擦れ強度を高くするには、15μm以上必要である。しかし、22.5μm以上にすると、全体の腰が強く上がり過ぎて、曲げたりした時に亀裂が生じ、破断しやすくなる。
ポリアミドフィルムを中密度ポリエチレンで挟むことで、無理な力が生ぜさせないで、屈曲し易くなると共に、中密度ポリエチレンの強度を補完する。
さらに、外層部3の総厚を40μm以上60μm以下の厚みとする。
外層部3の総厚は、各々各層の強度を出す為には40μm以上となるが、あまり厚く、60μm以上になると、伝導熱から、包装袋としてのシール強度にムラが発生する恐れが生じる。
【0017】
内層部4は、密度の異なる多層の直鎖状低密度ポリエチレンフィルムによって構成される。
中央の第一層41は、密度が905kg/m3以上910kg/m3以下の超低密度の直鎖状低密度ポリエチレンフィルムから形成されている。
第一層41より外側の第二層42は、密度が915kg/m3以上920kg/m3以下のやや高い密度の直鎖状低密度ポリエチレンから形成されている。
第一層41より内側の第三層43も、密度が915kg/m3以上920kg/m3以下のやや高い密度の直鎖状低密度ポリエチレンから形成されている。
これら第二層42および第三層43の厚みは、第一層41の厚みの1/3~1/2とした。
従って、密度の低い第一層41の厚みが、内層部4総厚の半分以上を占め、内層部4全体が柔軟性に富んだ性質を得ることができるようにする。
【0018】
ここで、上記内層部4の厚みは、第一層41を36μm以上60μm以下の厚みとする。
また、第二層42と第三層43を、それぞれ12μm以上20μm以下の厚みとし、かつ、第二層42と第三層43とが同じ厚みの多層シーラント層にする。
そして、これらの層が合わさって形成される多層シーラント層は、総厚で60μm~100μmとする。
内容部の重量や、輸送時、積み替え時、倉庫への保管時の圧力や摩擦、振動に耐えるには、シーラント層を、60μm以上の総厚が必要である。
また、逆に100μm以上になると、融着精度が低下して、融着力の低い箇所が生じやすい問題がある。
【0019】
また、上記中心層2と、上記内層部4とは、無溶剤型接着剤21により積層する。
無溶剤型接着剤21を使用することによって、残留溶剤が残らず、内容物を汚染することがない。特に乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(以下乳等省令と略す)に規定されているような、牛乳、特別牛乳、殺菌山羊乳、成分調整牛乳、低脂肪牛乳、無脂肪牛乳、加工乳、クリーム、発酵乳、乳酸菌飲料及び乳飲料などを内容物にする容器の場合、中心層2と内層部4との間には、無添加が必須であり、特に溶出基準等に対応する為、無溶剤型接着剤を使用する必要がある。
【0020】
さらに、本発明の包装用積層フィルムは、幅15mm、ループ長100mm、押し込み量15mmにおける腰強度を60N以下とする。
腰強度が高いと、段ボール等の置かれた周囲の梱包材と、強く摩擦しやすく、かつ、輸送時等の振動でも、屈曲に耐えにくい。そこで、腰強度を60N以下とすることによって、輸送時の屈曲、段ボールとの干渉における包装材料への衝撃を緩和し、ピンホール発生を抑制する。
【0021】
本発明の包装袋用積層フィルムを使用して、ピロー包装袋を製造するラインを
図2に示した。
巻き取りロールになった積層フィルム1は、過酸化水素水などによる殺菌層5に投入され、乾燥炉6を通って縦ピロー製袋機8に入る。縦ピロー製袋機8では、まず、左右の内層同士を向かい合わせ、シールして筒状とし、下端の下シール部をシール後、内容物充填部7で、規定量充填し、上端の下シール部と次の下シール部をシールして、断裁されて、製造されるシンプルな製造工程で充填できる。
【0022】
本発明の包装袋用積層フィルムで想定される包装袋は、
図3に示すようなピロー包装袋である。
ピロー包装袋は、フィルムの左右両端を向かい合わせた背シール11で融着し、筒状とし、その下方の下シール部をシール後、内容物を充填し、上シール部をシールして包装される包装袋である。
1本のロール状フィルムからだけで生産可能であり、安価な充填機で、生産性も高く、効率よく梱包できる包装形態として、利用される。
【実施例】
【0023】
<実施例>
積層フィルムとして、
外層部として、中密度ポリエチレン(厚さ15μm)/6-ナイロン(厚さ10μm)/中密度ポリエチレン(厚さ15μm)の多層フィルム(タマポリ株式会社製 商品名:ZPB102C)とし、
中心層として、二軸延伸6-ナイロン(興人フィルム&ケミカルズ株式会社製 商品名:ボニールW 厚さ15μm)、
内層部として、無添加直鎖状低密度ポリエチレン(密度0.915g/cm3、厚さ15μm)/無添加直鎖状超低密度ポリエチレン(密度0.910g/cm3、厚さ45μm)/無添加直鎖状低密度ポリエチレン(密度0.915g/cm3、厚さ15μm)の共押し出しフィルム(タマポリ株式会社製 商品名:TB100)を使用した。
【0024】
<比較例>
積層フィルムとして、外層部と中心層は実施例と同じ構成とした。
内層部は、無添加直鎖状低密度ポリエチレン(密度0.920g/cm3、厚さ75μm)の単層フィルム(出光ユニテック株式会社製 商品名:MB202C)とした。
【0025】
<評価方法>
積層フィルムの状態で、それぞれ10シートずつ作成し、評価を行った。
【0026】
<角ピンホール評価方法>
一辺200mmの正方形の積層フィルムを5℃環境下に1分間さらし、4つ折りに折り畳んで、その角を段ボールに当てて磨耗試検に掛けた。
磨耗試験は、磨耗距離50mm、磨耗速度100mm/sec(往復速度:2往復/sec)、磨耗往復回数は100回とし、途中の40回目、50回目、75回目、100回目に機械から一旦取り出して、ピンホール発生の有無を確認した。
この角ピンホール試験は、それぞれ5枚を評価試験した。
【0027】
<屈曲試験評価方法>
幅方向200mm、長手方向290mmの積層フィルムを、幅左右の内層部を内側に合わせて裏面中央に背シール部6を設けて円柱状にし、5℃環境下で440度ねじる。この時、長手方向は3.5インチ縮まる。その後、反対向きにねじって0度にして、長手方向は2.5インチ伸ばす。以上の工程を1往復として、1000往復行い、試検後、ピンホールの発生個数を検査確認する。
この屈曲試験は、それぞれ2枚を評価試験した。
【0028】
<腰強度評価方法>
幅15mm、長さ110mmの積層フィルムを、ループ状に両端を合わせてシールし、ループ長100mmのサンプルを作成する。このループサンプルのシール部を下端にして圧縮試験機に固定し、押し込み量15mmにおけるループの反発力を測定評価した。
この腰強度は、それぞれ3枚を評価試験した。
【0029】
<評価結果>
角ピンホール試験では、比較例では1点にピンホールが発生した。しかし、実施例ではピンホールの発生はなかった。
また、屈曲試験では、比較例では平均5.5個のピンホールが発生したが、実施例では平均3.5個のピンホールしか発生しなかった。
さらに、腰強度では、比較例では平均83Nの反発力があったが、実施例では57Nしかなく、軟質になったことが確認できた。
【0030】
【0031】
以上の結果から、多層シーラント層によって、超低密度ポリエチレンを使用した多層シ
ーラント層によって、腰強度が低下したことによって、輸送時の屈曲、および段ボールとの干渉における包装材料への衝撃を緩和し、ピンホール発生の抑制に効果を発揮することが確認された。
【0032】
本発明の積層フィルムは、添加剤によって軟質化することなく、無添加の乳等省令に対応した包装袋に使用可能なフィルムであり、耐ピンホール性や耐摩擦性が高いのにもかかわらず、多層化によって機械仕掛適性が確保できる積層フィルムでもある。
この為、ピロー包装袋に加工されて、大容量の包装袋にも使用可能なフィルムとして使用可能であり、本発明のメリットは大きい。
【符号の説明】
【0033】
1・・・・・・・・積層フィルム
10・・・・・・・ピロー包装袋
11・・・・・・・背シール部
12・・・・・・・下シール部
13・・・・・・・上シール部層
2・・・・・・・・中心層
21・・・・・・・無溶剤型接着剤
3・・・・・・・・外層部
31・・・・・・・中心部
32・・・・・・・中密度ポリエチレンフィルム層(外側)
33・・・・・・・中密度ポリエチレンフィルム層(内側)
4・・・・・・・・内層部
41・・・・・・・第一層
42・・・・・・・第二層
43・・・・・・・第三層
5・・・・・・・・殺菌槽
6・・・・・・・・乾燥炉
7・・・・・・・・内容物充填部
8・・・・・・・・縦ピロー製袋機