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特許7043987蓄電モジュールの製造方法及び蓄電モジュールの製造装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-22
(45)【発行日】2022-03-30
(54)【発明の名称】蓄電モジュールの製造方法及び蓄電モジュールの製造装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/186 20210101AFI20220323BHJP
   H01M 50/103 20210101ALI20220323BHJP
   H01M 50/184 20210101ALI20220323BHJP
   H01M 10/04 20060101ALI20220323BHJP
   H01M 10/0585 20100101ALI20220323BHJP
   H01G 13/00 20130101ALI20220323BHJP
   H01G 11/12 20130101ALI20220323BHJP
   H01G 11/84 20130101ALI20220323BHJP
【FI】
H01M50/186
H01M50/103
H01M50/184 A
H01M10/04 Z
H01M10/0585
H01G13/00 381
H01G11/12
H01G11/84
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018116102
(22)【出願日】2018-06-19
(65)【公開番号】P2019220315
(43)【公開日】2019-12-26
【審査請求日】2021-03-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(74)【代理人】
【識別番号】100148013
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 浩光
(74)【代理人】
【識別番号】100190470
【弁理士】
【氏名又は名称】谷澤 恵美
(72)【発明者】
【氏名】濱口 陽平
(72)【発明者】
【氏名】織田 恭平
【審査官】村岡 一磨
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-018698(JP,A)
【文献】特開2016-146269(JP,A)
【文献】特開2017-016825(JP,A)
【文献】特開2017-016826(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/00-50/198
H01M 10/04
H01M 10/0585
H01G 13/00
H01G 11/12
H01G 11/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配置部によって、互いに対向する一対の面を有する電極の縁部と重なるように樹脂枠を配置する工程と、
接合部によって、前記配置する工程により配置された前記樹脂枠を前記電極の縁部に接合する工程と、を含み、
前記配置する工程では、前記配置部は、前記電極の種別に基づいて前記樹脂枠の種別及び前記電極の面をそれぞれ選択し、選択した種別の前記樹脂枠を、選択した面の縁部と重なるように配置する、蓄電モジュールの製造方法。
【請求項2】
判別部によって、前記電極の種別を判別する工程を更に含む、請求項1に記載の蓄電モジュールの製造方法。
【請求項3】
記憶部によって、前記電極の種別を示す情報を予め記憶する工程を更に含む、請求項1に記載の蓄電モジュールの製造方法。
【請求項4】
搬送部によって、前記接合する工程により得られた枠付電極を、前記電極の種別に対応付けられた送り先に送る工程を更に含み、
前記送り先には、前記枠付電極に対し、前記配置する工程が再度行われる送り先が含まれる、請求項1~3のいずれか一項に記載の蓄電モジュールの製造方法。
【請求項5】
前記配置する工程において、
前記電極が、バイポーラ電極、負極終端電極、正極終端電極、又は、未塗工電極である場合、前記配置部は、単体の前記樹脂枠を、前記電極の一方面側の縁部と重なるように配置し、
前記電極が、正極終端電極の一方面側の縁部に樹脂枠が接合されてなる片面枠付正極終端電極である場合、前記配置部は、単体の前記樹脂枠を、前記電極の他方面側の縁部と重なるように配置し、
前記電極が、負極終端電極の一方面側の縁部に樹脂枠が接合されてなる片面枠付負極終端電極である場合、前記配置部は、未塗工電極に接合された前記樹脂枠を、前記電極の一方面側の縁部と重なるように前記未塗工電極ごと配置する、請求項1~4のいずれか一項に記載の蓄電モジュールの製造方法。
【請求項6】
互いに対向する一対の面を有する電極の縁部と重なるように樹脂枠を配置する配置部と、
前記配置部により配置された前記樹脂枠を前記電極の縁部に接合する接合部と、を備え、
前記配置部は、前記電極の種別に基づいて前記樹脂枠の種別及び前記電極の面をそれぞれ選択し、選択した種別の前記樹脂枠を、選択した面の縁部と重なるように配置する、蓄電モジュールの製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電モジュールの製造方法及び蓄電モジュールの製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の蓄電モジュールとして、電極板の一方面に正極が形成され、他方面に負極が形成されたバイポーラ電極を備えた、いわゆるバイポーラ型の蓄電モジュールが知られている(特許文献1参照)。かかる蓄電モジュールは、複数のバイポーラ電極を積層してなる電極積層体を備えている。電極積層体の積層方向の一端及び他端には、負極終端電極及び正極終端電極がそれぞれ設けられている。これらの各電極の外縁部には、積層方向で隣り合う電極間を封止するシール材が設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-204386号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した蓄電モジュールでは、電極の種別ごとにシール材の設けられる態様が異なる場合がある。この場合、例えば、電極の種別ごとに生産ラインを設けると、設備費及び必要スペースが増大し、生産性が低下するおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、生産性の低下を抑制可能な蓄電モジュールの製造方法及び蓄電モジュールの製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の蓄電モジュールの製造方法は、配置部によって、互いに対向する一対の面を有する電極の縁部と重なるように樹脂枠を配置する工程と、接合部によって、配置する工程により配置された樹脂枠を電極の縁部に接合する工程と、を含み、配置する工程では、配置部は、電極の種別に基づいて樹脂枠の種別及び電極の面をそれぞれ選択し、選択した種別の樹脂枠を、選択した面の縁部と重なるように配置する。
【0007】
この蓄電モジュールの製造方法では、電極の種別に基づいて、設けられる樹脂枠の種別及び樹脂枠が設けられる電極の面をそれぞれ選択するので、電極の種別ごとに、設けられる樹脂枠の種別及び樹脂枠が設けられる電極の面が異なる場合でも、電極の種別ごとに生産ラインを設ける必要がない。これにより、生産性の低下を抑制することができる。
【0008】
この蓄電モジュールの製造方法は、判別部によって、電極の種別を判別する工程を更に含んでもよい。この場合、処理対象となる電極の種別をその都度判別し、判別した種別に基づき、設けられる樹脂枠の種別及び樹脂枠が設けられる電極の面をそれぞれ選択することができる。
【0009】
この蓄電モジュールの製造方法は、記憶部によって、電極の種別を示す情報を予め記憶する工程を更に含んでもよい。この場合、電極の種別をその都度判別する必要がない。
【0010】
この蓄電モジュールの製造方法は、搬送部によって、接合する工程により得られた枠付電極を、電極の種別に対応付けられた送り先に送る工程を更に含み、送り先には、枠付電極に対し、配置する工程が再度行われる送り先が含まれてもよい。この場合、配置する工程に枠付電極を戻し、更に樹脂枠を接合することができる。
【0011】
この蓄電モジュールの製造方法では、配置する工程において、電極が、バイポーラ電極、負極終端電極、正極終端電極、又は、未塗工電極である場合、配置部は、単体の樹脂枠を、電極の一方面側の縁部と重なるように配置し、電極が、正極終端電極の一方面側の縁部に樹脂枠が接合されてなる片面枠付正極終端電極である場合、配置部は、単体の樹脂枠を、電極の他方面側の縁部と重なるように配置し、電極が、負極終端電極の一方面側の縁部に樹脂枠が接合されてなる片面枠付負極終端電極である場合、配置部は、未塗工電極に接合された樹脂枠を、電極の一方面側の縁部と重なるように未塗工電極ごと配置してもよい。この場合、バイポーラ電極の一方面側の縁部に樹脂枠が接合されてなる片面枠付バイポーラ電極、正極終端電極の両面側の縁部に樹脂枠が接合されてなる両面枠付正極終端電極正極、及び、未塗工電極と負極終端電極と樹脂枠とが一体化されてなる負極アッシー等が得られる。
【0012】
本発明の蓄電モジュールの製造装置は、互いに対向する一対の面を有する電極の縁部と重なるように樹脂枠を配置する配置部と、配置部により配置された樹脂枠を電極の縁部に接合する接合部と、を備え、配置部は、電極の種別に基づいて樹脂枠の種別及び電極の面をそれぞれ選択し、選択した種別の樹脂枠を、選択した面の縁部と重なるように配置する。
【0013】
この蓄電モジュールの製造装置では、電極の種別に基づいて、設けられる樹脂枠の種別及び樹脂枠が設けられる電極の面をそれぞれ選択するので、電極の種別ごとに、設けられる樹脂枠の種別及び樹脂枠が設けられる電極の面が異なる場合でも、電極の種別ごとに生産ラインを設ける必要がない。これにより、生産性の低下を抑制することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、生産性の低下を抑制可能な蓄電モジュールの製造方法及び蓄電モジュールの製造装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】蓄電装置の一実施形態を示す概略断面図である。
図2図1に示された蓄電モジュールの内部構成を示す概略断面図である。
図3】片面枠付バイポーラ電極の形成方法について説明するための図である。
図4】両面枠付正極終端電極の形成方法について説明するための図である。
図5】負極アッシーの形成方法について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0017】
図1は、蓄電装置の一実施形態を示す概略断面図である。図1に示される蓄電装置1は、例えば、フォークリフト、ハイブリッド自動車、電気自動車等の各種車両のバッテリとして用いられる。蓄電装置1は、積層された複数の蓄電モジュール4を含むモジュール積層体2と、モジュール積層体2に対してその積層方向に拘束荷重を付加する拘束部材3とを備えている。
【0018】
モジュール積層体2は、複数(ここでは3つ)の蓄電モジュール4と、複数(ここでは4つ)の導電板5と、を含む。蓄電モジュール4は、バイポーラ電池であり、積層方向から見て矩形状をなしている。蓄電モジュール4は、例えばニッケル水素二次電池、リチウムイオン二次電池等の二次電池、又は電気二重層キャパシタである。以下の説明では、ニッケル水素二次電池を例示する。
【0019】
積層方向に互いに隣り合う蓄電モジュール4同士は、導電板5を介して電気的に接続されている。導電板5は、積層方向に互いに隣り合う蓄電モジュール4間と、積層端に位置する蓄電モジュール4の外側と、にそれぞれ配置されている。積層端に位置する蓄電モジュール4の外側に配置された一方の導電板5には、正極端子6が接続されている。積層端に位置する蓄電モジュール4の外側に配置された他方の導電板5には、負極端子7が接続されている。正極端子6及び負極端子7は、例えば導電板5の縁部から積層方向に交差する方向に引き出されている。正極端子6及び負極端子7により、蓄電装置1の充放電が実施される。
【0020】
導電板5の内部には、空気等の冷媒を流通させる複数の流路5aが設けられている。流路5aは、例えば、積層方向と、正極端子6及び負極端子7の引き出し方向と、にそれぞれ交差(直交)する方向に沿って延在している。導電板5は、蓄電モジュール4同士を電気的に接続する接続部材としての機能のほか、これらの流路5aに冷媒を流通させることにより、蓄電モジュール4で発生した熱を放熱する放熱板としての機能を併せ持つ。なお、図1の例では、積層方向から見た導電板5の面積は、蓄電モジュール4の面積よりも小さいが、放熱性の向上の観点から、導電板5の面積は、蓄電モジュール4の面積と同じであってもよく、蓄電モジュール4の面積よりも大きくてもよい。
【0021】
拘束部材3は、モジュール積層体2を積層方向に挟む一対のエンドプレート8と、エンドプレート8同士を締結する締結ボルト9及びナット10と、によって構成されている。エンドプレート8は、積層方向から見た蓄電モジュール4及び導電板5の面積よりも一回り大きい面積を有する矩形の金属板である。エンドプレート8の内側面(モジュール積層体2側の面)には、電気絶縁性を有するフィルムFが設けられている。フィルムFにより、エンドプレート8と導電板5との間が絶縁されている。
【0022】
エンドプレート8の縁部には、モジュール積層体2よりも外側となる位置に挿通孔8aが設けられている。締結ボルト9は、一方のエンドプレート8の挿通孔8aから他方のエンドプレート8の挿通孔8aに向かって通され、他方のエンドプレート8の挿通孔8aから突出した締結ボルト9の先端部分には、ナット10が螺合されている。これにより、蓄電モジュール4及び導電板5がエンドプレート8によって挟持されてモジュール積層体2としてユニット化されると共に、モジュール積層体2に対して積層方向に拘束荷重が付加される。
【0023】
次に、蓄電モジュール4の構成について詳細に説明する。図2は、図1に示された蓄電モジュールの内部構成を示す概略断面図である。図2に示されるように、蓄電モジュール4は、電極積層体11と、封止体12と、吸液部材31と、未塗工電極50とを備えている。電極積層体11は、セパレータ13を介して積層された複数のバイポーラ電極14、負極終端電極18、及び、正極終端電極19を有している。ここでは、電極積層体11の積層方向Dは、モジュール積層体2の積層方向と一致している。電極積層体11は、積層方向Dに延びる側面11aを有している。
【0024】
バイポーラ電極14は、互いに対向する一方面15a及び他方面15bを有する電極板15、電極板15の一方面15aに設けられた正極16、電極板15の他方面15bに設けられた負極17を含んでいる。正極16は、正極活物質が塗工されてなる正極活物質層である。負極17は、負極活物質が塗工されてなる負極活物質層である。電極積層体11において、一のバイポーラ電極14の正極16は、セパレータ13を挟んで積層方向Dに隣り合う一方のバイポーラ電極14の負極17と対向している。電極積層体11において、一のバイポーラ電極14の負極17は、セパレータ13を挟んで積層方向Dに隣り合う他方のバイポーラ電極14の正極16と対向している。
【0025】
負極終端電極18は、電極板15と、電極板15の他方面15bに設けられた負極17とを含んでいる。負極終端電極18は、その他方面15bが電極積層体11の内側(積層方向Dについての中心側)になるように、積層方向Dの一端に配置されている。負極終端電極18の負極17は、セパレータ13を介して積層方向Dの一端のバイポーラ電極14の正極16と対向している。正極終端電極19は、電極板15と、電極板15の一方面15aに設けられた正極16とを含んでいる。正極終端電極19は、その一方面15aが電極積層体11の内側になるように、積層方向Dの他端に配置されている。正極終端電極19の正極16は、セパレータ13を介して積層方向Dの他端のバイポーラ電極14の負極17と対向している。
【0026】
負極終端電極18の電極板15の一方面15aは、電極積層体11の外側に臨む面である。負極終端電極18の一方面15aには、後述する未塗工電極50を介して、導電板5が電気的に接続されている。また、正極終端電極19の電極板15の他方面15bには、蓄電モジュール4に隣接する別の導電板5が接触している。拘束部材3からの拘束荷重は、導電板5を介して負極終端電極18及び正極終端電極19から電極積層体11に付加される。すなわち、導電板5は、積層方向Dに沿って電極積層体11に拘束荷重を付加する拘束部材でもある。
【0027】
電極板15は、例えば、ニッケル又はニッケルメッキ鋼板といった金属からなる。一例として、電極板15は、ニッケルからなる矩形の金属箔である。電極板15の縁部(バイポーラ電極14、負極終端電極18、及び、正極終端電極19の縁部)15cは、矩形枠状をなし、正極活物質及び負極活物質が塗工されない未塗工領域となっている。正極16を構成する正極活物質としては、例えば水酸化ニッケルが挙げられる。負極17を構成する負極活物質としては、例えば水素吸蔵合金が挙げられる。本実施形態では、電極板15の他方面15bにおける負極17の形成領域は、電極板15の一方面15aにおける正極16の形成領域に対して一回り大きくなっている。
【0028】
セパレータ13は、例えばシート状に形成されている。セパレータ13としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂からなる多孔質フィルム、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、メチルセルロース等からなる織布又は不織布等が例示される。セパレータ13は、フッ化ビニリデン樹脂化合物で補強されたものであってもよい。なお、セパレータ13は、シート状に限られず、袋状のものを用いてもよい。
【0029】
未塗工電極50は、積層方向Dにおける電極積層体11の一端(負極終端電極18側の端部)に設けられている。未塗工電極50は、活物質層が形成されていない金属箔(未塗工箔)である。未塗工電極50は、任意の金属により構成することができるが、一例として電極板15と同一のものとすることができる。すなわち、一例として未塗工電極50は電極板15である。未塗工電極50は、互いに対向する一方面50a及び他方面50bを有している。未塗工電極50の一方面50aには、導電板5が接触している。未塗工電極50の他方面50bには、負極終端電極18の一方面15aが接触している。未塗工電極50は、積層方向Dに沿ってバイポーラ電極14、負極終端電極18、及び、正極終端電極19と共に積層されている。これにより、負極終端電極18は、積層方向Dに沿って未塗工電極50とバイポーラ電極14との間に配置されることになる。換言すれば、蓄電モジュール4においては、負極終端電極18の更に外側に未塗工電極50が設けられることになる。
【0030】
封止体12は、例えば絶縁性の樹脂によって、全体として矩形の筒状に形成されている。封止体12は、電極板15の縁部15c及び未塗工電極50の縁部50cを包囲するように電極積層体11の側面11aに沿って設けられている。封止体12は、側面11aにおいて縁部15c及び縁部50cを保持している。封止体12は、縁部15c及び縁部50cに接合(溶着)された複数の樹脂枠21と、側面11aに沿って樹脂枠21を外側から包囲するように樹脂枠21に接合された樹脂筒22と、を有している。
【0031】
樹脂枠21は、所定の厚さ(積層方向Dの長さ)を有するフィルムである。樹脂枠21は、積層方向Dから見て、矩形枠状(矩形環状)をなしている。樹脂枠21は、縁部15c及び縁部50cの全周にわたって連続的に設けられている。樹脂枠21は、例えば熱溶着又は超音波によって接合されている。
【0032】
バイポーラ電極14及び負極終端電極18では、樹脂枠21が、電極板15の一方面15a側の縁部15cに気密に接合されている。正極終端電極19では、一対の樹脂枠21が、電極板15の一方面15a側及び他方面15b側のそれぞれの縁部15cに気密に接合されている。バイポーラ電極14、負極終端電極18及び正極終端電極19では、電極板15の端面が樹脂枠21から露出している。未塗工電極50では、一対の樹脂枠21が、一方面50a側及び他方面50b側のそれぞれの縁部50cに気密に接合されている。未塗工電極50の端面は、一方面50a側の縁部50cに設けられた樹脂枠21により覆われている。
【0033】
樹脂枠21は、負極終端電極18の一方面50a側の縁部15cに接合された第1樹脂部21Aと、電極板15の一方面50a側の縁部50cに接合された第2樹脂部21Bと、正極終端電極19の他方面15b側の縁部15cに接合された第3樹脂部21Cと、を含んでいる。第1樹脂部21Aは、未塗工電極50の他方面50b側の縁部50cにも接合されている。
【0034】
樹脂枠21の内側の一部は、積層方向Dに互いに隣り合う電極板15の縁部15c同士の間に位置しており、外側の一部は、電極板15から外側に張り出している。樹脂枠21は、当該外側の一部において樹脂筒22に埋設されている。第1樹脂部21A及び第2樹脂部21Bを除き、積層方向Dに沿って互いに隣り合う樹脂枠21同士は、互いに離間している。第1樹脂部21A及び第2樹脂部21Bは、互いに面接触し、一体化されている。
【0035】
未塗工電極50は、第1樹脂部21Aに接合されると共に負極終端電極18の一方面15aに接触している。より具体的には、未塗工電極50は、第1樹脂部21A及び一方面15a上に配置されて第1樹脂部21Aに接合された矩形環状の被接合部52と、被接合部52の内側において被接合部52よりも負極終端電極18の一方面15a側に位置して(窪んで)一方面15aに接触された矩形状の被接触部53と、を含む。被接合部52と被接触部53とは互いに連続している。未塗工電極50と負極終端電極18との間(他方面50bと一方面15aとの間)には、第1樹脂部21Aの厚さ(積層方向Dに沿った長さ)に相当する余剰空間VAが形成され得る。未塗工電極50が被接触部53において負極終端電極18側に窪んでいることから、この余剰空間VAが狭く制限されている。
【0036】
樹脂筒22は、電極積層体11及び樹脂枠21の外側に設けられ、蓄電モジュール4の外壁を構成している。樹脂筒22は、例えば樹脂の射出成型によって形成され、積層方向Dに沿って電極積層体11の全長にわたって延在している。樹脂筒22は、積層方向Dを軸方向として延在する矩形筒状(矩形環状)を呈している。樹脂筒22は、例えば、射出成型時の熱によって樹脂枠21の外表面に溶着(接合)されている。
【0037】
樹脂枠21及び樹脂筒22は、例えば、絶縁性の樹脂であって、ポリプロピレン(PP)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、又は変性ポリフェニレンエーテル(変性PPE)等から構成され得る。
【0038】
電極板15の一方面15a、未塗工電極50の一方面50a、及び未塗工電極50の他方面50bには、樹脂枠21に接合される領域が形成される。これらの各領域は、積層方向Dからみて、矩形枠状である。少なくともこれらの各領域は、粗面化されている。ここでは、電極板15の一方面15a、未塗工電極50の一方面50a、及び未塗工電極50の他方面50bの全体が粗面化されている。
【0039】
電極板15の一方面15a、未塗工電極50の一方面50a、及び未塗工電極50の他方面50bは、例えば、電解メッキ処理で複数の突起が形成されることにより粗面化されている。このため、これらの各面における樹脂枠21との接合界面では、溶融状態の樹脂枠21が粗面化により形成された凹部内に入り込み、アンカー効果が発揮される。これにより、互いの結合力を向上させることができる。粗面化の際に形成される突起は、例えば、基端側から先端側に向かって先太りとなる形状を有している。これにより、互いに隣接する突起の間の断面形状がアンダーカット形状となり、アンカー効果が生じ易い。
【0040】
吸液部材31は、未塗工電極50の一方面50a上に設けられている。吸液部材31は、例えば不織布によってシート状に形成されている。この不織布を構成する材料としては、ポリオレフィンなどが例示される。不織布には、吸水性を向上するために、プラズマ処理が施されていてもよい。吸液部材31の厚さ(積層方向Dに沿っての長さ)は、例えば数百μm程度である。吸液部材31は、例えば積層方向Dから見て矩形環状をなしており、導電板5を包囲している。
【0041】
次に、蓄電モジュール4の製造方法の一例について説明する。蓄電モジュール4の製造方法は、一次成形工程と、積層工程と、二次成形工程と、注入工程と、を含んでいる。
【0042】
図3図5を参照して、一次成形工程について説明する。一次成形工程では、バイポーラ電極14、負極終端電極18、正極終端電極19、及び未塗工電極50の縁部にそれぞれ樹脂枠21が設けられる。一次成形工程では、後述の片面枠付バイポーラ電極71、両面枠付正極終端電極73、及び、負極アッシー76が形成され、積層工程に送られる。一次形成工程は、処理対象となる電極Aの種別を判別する工程と、電極Aの縁部と重なるように樹脂枠21を配置する工程と、樹脂枠21を電極Aの縁部に接合する工程と、得られた枠付電極Bを所定の送り先に送る工程と、含んでいる。
【0043】
図3図5に示されるように、一次成形工程を行う蓄電モジュール4の製造装置60は、電極Aの種別を判別する判別部61と、電極Aの縁部と重なるように樹脂枠21を配置する配置部62と、樹脂枠21を電極Aの縁部に接合する接合部63と、電極A及び枠付電極Bを搬送する搬送部(不図示)を備えている。電極Aは、例えば、搬送部によって判別部61、配置部62、及び接合部63にこの順で搬送される。枠付電極Bは、搬送部によって所定の行き先に送られる。製造装置60の処理対象となる電極Aは、バイポーラ電極14、負極終端電極18、正極終端電極19、未塗工電極50、後述の片面枠付負極終端電極75、及び、後述の片面枠付正極終端電極72のいずれかである。
【0044】
判別部61は、例えば、カメラによる画像認識又は光電センサによる検知により、電極Aの一方面における負極17の有無、電極Aの他方面における正極16の有無、及び電極Aの一方面の縁部における樹脂枠21の有無を検出する。判別部61は、その検出結果から電極Aの種別を判別する。判別部61は、配置部62及び接合部63と通信可能に構成されており、電極Aの種別を示す情報を判別結果として配置部62及び接合部63に送る。
【0045】
配置部62は、電極Aの縁部と重なるように樹脂枠21を配置する。配置部62は、配置する工程で用いられる樹脂枠21を保持する保持部(不図示)を含んでいる。保持部は、樹脂枠21として、単体の樹脂枠21、及び、未塗工電極50に接合された樹脂枠21(第2樹脂部21B)を未塗工電極50ごと保持する。未塗工電極50に接合された樹脂枠21は、後述の片面枠付未塗工電極74の樹脂枠21であり、片面枠付未塗工電極74の状態で保持部に保持されている。なお、保持部は、配置部62とは別に設けられていてもよい。
【0046】
配置部62は、判別部61から電極Aの種別を示す情報を受け取ると、電極Aの種別に基づき、樹脂枠21の種別(単体の樹脂枠21、及び、片面枠付未塗工電極74の樹脂枠21のいずれか)及び電極Aの面(一方面及び他方面のいずれか)を選択する。配置部62は、例えば、表1に示されるような、電極Aの種別と樹脂枠21の種別との対応関係、及び電極Aの種別と電極Aの面との対応関係が予め記憶されたメモリ等の記憶部を有し、これらの対応関係から、樹脂枠21の種別及び電極Aの面を選択する。配置部62は、選択した種別の樹脂枠21を、例えば、ロボットハンドにより保持部から取り出し、電極Aの選択した面の縁部と重なるように配置する。
【表1】
【0047】
接合部63は、配置部62により配置された樹脂枠21を電極Aの縁部に接合する。接合部63は、例えば、シール機を含んで構成されており、樹脂枠21を熱溶着又は超音波溶着によって電極Aの縁部に接合する。これにより、枠付電極Bが得られる。接合部63は、判別部61から電極Aの種別を示す情報を受け取ると、電極Aの種別に基づき、枠付電極Bの送り先を選択する。接合部63は、例えば、表1に示されるような電極Aの種別と枠付電極Bの送り先との対応関係が予め記憶されたメモリ等の記憶部を有し、この対応関係から、枠付電極Bの送り先を選択する。枠付電極Bの送り先には、次工程である積層工程が行われる積層部(不図示)、判別部61、及び、配置部62の保持部が含まれる。行き先が判別部61の場合、枠付電極Bに対し、樹脂枠21を配置する工程が再度行われる。接合部63は、例えば、搬送部によって枠付電極Bを各送り先に送る。
【0048】
続いて、一次成形工程により、片面枠付バイポーラ電極71、両面枠付正極終端電極73、及び負極アッシー76を形成する方法を具体的に説明する。
【0049】
図3は、片面枠付バイポーラ電極の形成方法について説明するための図である。図3に示されるように、まず、電極Aとしてバイポーラ電極14が製造装置60に投入される。判別部61は、電極Aがバイポーラ電極14であると判別し、その情報を配置部62及び接合部63に送る。配置部62は、電極Aの種別に基づき、単体の樹脂枠21及び一方面15aを選択する。配置部62は、単体の樹脂枠21を保持部から取り出し、バイポーラ電極14の一方面15a側の縁部15cと対向するように配置する。
【0050】
接合部63は、配置された樹脂枠21をバイポーラ電極14の一方面15a側の縁部15cに接合する。これにより、バイポーラ電極14の一方面15a側の縁部15cに樹脂枠21が接合されてなる片面枠付バイポーラ電極71が、枠付電極Bとして得られる。接合部63は、電極Aの種別に基づき、片面枠付バイポーラ電極71の送り先として、積層部を選択する。接合部63は、得られた片面枠付バイポーラ電極71を積層部に送る。
【0051】
図4は、両面枠付正極終端電極の形成方法について説明するための図である。図4に示されるように、まず、電極Aとして正極終端電極19が製造装置60に投入される。判別部61は、電極Aが正極終端電極19であると判別し、その情報を配置部62及び接合部63に送る。配置部62は、電極Aの種別に基づき、単体の樹脂枠21及び一方面15aを選択する。配置部62は、単体の樹脂枠21を保持部から取り出し、正極終端電極19の一方面15a側の縁部15cと対向するように配置する。
【0052】
接合部63は、配置された樹脂枠21を正極終端電極19の一方面15a側の縁部15cに接合する。これにより、正極終端電極19の一方面15a側の縁部15cに樹脂枠21が接合されてなる片面枠付正極終端電極72が、枠付電極Bとして得られる。接合部63は、電極Aの種別に基づき、片面枠付正極終端電極72の送り先として、判別部61を選択する。接合部63は、得られた片面枠付正極終端電極72を判別部61に送る(リターン)。
【0053】
判別部61は、電極Aがリターンされた片面枠付正極終端電極72であると判別し、その情報を配置部62及び接合部63に送る。配置部62は、電極Aの種別に基づき、単体の樹脂枠21及び他方面15b(図2参照)を選択する。配置部62は、保持部から単体の樹脂枠21を取り出し、片面枠付正極終端電極72の他方面15b側の縁部15cと対向するように配置する。
【0054】
接合部63は、配置された樹脂枠21を片面枠付正極終端電極72の他方面15b側の縁部15cに接合する。これにより、正極終端電極19の一方面15a側及び他方面15b側の両方の縁部15cに樹脂枠21が接合されてなる両面枠付正極終端電極73が、枠付電極Bとして得られる。接合部63は、電極Aの種別に基づき、片面枠付正極終端電極72の送り先として、積層部を選択する。接合部63は、得られた片面枠付正極終端電極72を積層部に送る。
【0055】
図5は、負極アッシーの形成方法について説明するための図である。図5に示されるように、まず、電極Aとして未塗工電極50が製造装置60に投入される。判別部61は、電極Aが未塗工電極50であると判別し、その情報を配置部62及び接合部63に送る。配置部62は、電極Aの種別に基づき、単体の樹脂枠21及び一方面15aを選択する。配置部62は、保持部から単体の樹脂枠21を取り出し、未塗工電極50の一方面50a側の縁部50cと対向するように配置する。
【0056】
接合部63は、配置された樹脂枠21を未塗工電極50の一方面50a側の縁部50cに接合する。これにより、未塗工電極50の一方面50a側の縁部50cに樹脂枠21が接合されてなる片面枠付未塗工電極74が、枠付電極Bとして得られる。接合部63は、電極Aの種別に基づき、片面枠付未塗工電極74の送り先として、配置部62の保持部を選択する。接合部63は、得られた片面枠付未塗工電極74を配置部62の保持部に送る。これにより、配置部62の保持部に片面枠付未塗工電極74が保持され、配置部62が片面枠付未塗工電極74を配置可能な状態となる。
【0057】
この状態において、新たな電極Aとして負極終端電極18が製造装置60に投入される。判別部61は、電極Aが負極終端電極18であると判別し、その情報を配置部62及び接合部63に送る。配置部62は、電極Aの種別に基づき、単体の樹脂枠21及び一方面15aを選択する。配置部62は、保持部から単体の樹脂枠21を取り出し、負極終端電極18の一方面15a側の縁部15cと対向するように配置する。
【0058】
接合部63は、配置された樹脂枠21を負極終端電極18の一方面15a側の縁部15cに接合する。これにより、片面枠付負極終端電極75が、枠付電極Bとして得られる。接合部63は、電極Aの種別に基づき、片面枠付負極終端電極75の送り先として、判別部61を選択する。接合部63は、得られた片面枠付負極終端電極75を判別部61に送る(リターン)。
【0059】
判別部61は、電極Aがリターンされた片面枠付負極終端電極75であると判別し、その情報を配置部62及び接合部63に送る。配置部62は、電極Aの種別に基づき、未塗工電極50に接合された樹脂枠21(すなわち、片面枠付未塗工電極74の樹脂枠21)及び一方面15aを選択する。配置部62は、未塗工電極50に接合された樹脂枠21を未塗工電極50ごと保持部から取り出し、樹脂枠21が片面枠付負極終端電極75の一方面15a側の縁部15cと対向するように、未塗工電極50ごと配置する。
【0060】
接合部63は、配置された片面枠付未塗工電極74の樹脂枠21を、片面枠付負極終端電極75の樹脂枠21に接合することにより、片面枠付未塗工電極74の樹脂枠21を、片面枠付負極終端電極75の一方面15a側の縁部15cに接合する。これにより、片面枠付未塗工電極74及び片面枠付負極終端電極75が一体化されてなる負極アッシー76が、枠付電極Bとして得られる。接合部63は、電極Aの種別に基づき、負極アッシー76の送り先として、積層部を選択する。接合部63は、得られた負極アッシー76を積層部に送る。
【0061】
このように、一次形成工程における配置する工程では、電極Aの種別に基づいて樹脂枠21の種別及び電極Aの面がそれぞれ選択される。具体的には、電極Aがバイポーラ電極14、負極終端電極18、正極終端電極19、又は、未塗工電極50である場合、単体の樹脂枠21を、電極Aの一方面15a,50a側の縁部15c,50cと対向するように配置する。電極Aが片面枠付正極終端電極72である場合、単体の樹脂枠21を、電極Aの他方面15b側の縁部15cと対向するように配置する。電極Aが片面枠付負極終端電極75である場合、片面枠付未塗工電極74の樹脂枠21を、電極Aの一方面15a側の縁部15cと対向するように、片面枠付未塗工電極74ごと配置する。
【0062】
接合する工程では、配置する工程により配置された樹脂枠21を電極Aの縁部に接合する。送る工程では、接合する工程により得られた枠付電極Bを、電極Aの種別に対応付けられた送り先に送る。具体的には、電極Aがバイポーラ電極14、片面枠付正極終端電極72、又は、片面枠付負極終端電極75である場合、得られた片面枠付バイポーラ電極71、両面枠付正極終端電極73、又は、負極アッシー76を積層部に送る。電極Aが未塗工電極50の場合、得られた片面枠付未塗工電極74を配置部62の保持部に送る。電極Aが正極終端電極19、又は、負極終端電極18である場合、得られた片面枠付正極終端電極72、又は、片面枠付負極終端電極75を判別部61に送る。
【0063】
積層工程では、接合部63から送られた両面枠付正極終端電極73、所定数の片面枠付バイポーラ電極71、及び負極アッシー76をこの順序でセパレータ13を介して積層する。これにより、電極積層体11が形成される。二次成形工程では、射出成形の金型(不図示)内に電極積層体11及び未塗工電極50を配置した後、金型内に溶融樹脂を射出することにより、樹脂枠21を包囲するように樹脂筒22を形成する。これにより、電極積層体11の側面11aに封止体12が形成される。注入工程では、二次成形工程の後、バイポーラ電極14,14間の内部空間Vに電解液を注入する。これにより、蓄電モジュール4が得られる。
【0064】
以上説明したように、蓄電モジュール4の製造方法及び蓄電モジュール4の製造装置60では、電極Aの種別に基づいて、設けられる樹脂枠21の種別、及び、樹脂枠21が設けられる電極Aの面をそれぞれ選択する。したがって、電極Aの種別ごとに、設けられる樹脂枠21の種別、及び、樹脂枠21が設けられる電極Aの面が異なる場合でも、電極Aの種別ごとに生産ラインを設ける必要がない。したがって、生産ラインの設置スペース及び設備費を削減することができる。これにより、生産性の低下を抑制することができる。
【0065】
蓄電モジュール4の製造方法は、判別部61によって、電極Aの種別を判別する工程を含んでいる。このため、処理対象となる電極Aの種別をその都度判別し、判別した種別に基づき、設けられる樹脂枠21の種別、及び、樹脂枠21が設けられる電極Aの面をそれぞれ選択することができる。積層工程を容易化するため、一次成形工程に投入される電極Aの順序は、積層工程の積層順に基づいて設定されてもよいが、電極の欠品等のトラブルが発生すると、一次成形工程に投入される電極Aの順序を変更しなければならない。判別する工程によれば、一次成形工程に投入される電極の順番を予め決める必要がないので、このようなトラブルに柔軟に対応することができる。
【0066】
蓄電モジュール4の製造方法は、搬送部によって、接合する工程により得られた枠付電極Bを、電極Aの種別に対応付けられた送り先に送る工程を含んでいる。送り先には、判別部61が含まれている。このため、配置する工程に枠付電極Bを戻し、更に樹脂枠21を接合することができる。
【0067】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。
【0068】
例えば、蓄電モジュール4の製造方法は、判別する工程の代わりに、電極Aの種別を示す情報を予め記憶する記憶工程を含んでもよい。この場合、蓄電モジュール4の製造装置60は、判別部61の代わりに、電極Aの種別を示す情報を予め記憶するメモリ等の記憶部(不図示)を備える。記憶部は、配置部62及び接合部63と通信可能に構成されている。これにより、電極Aの種別をその都度判別する必要がない。製造装置60に複数の電極Aが順次投入される場合、投入される順番と対応づけて電極Aの種別が記憶部に記憶される。また、この場合、枠付電極Bは、判別部61の代わりに配置部62に送られる。
【0069】
蓄電モジュール4は、未塗工電極50及び第2樹脂部21Bを備えていなくてもよい。この場合、配置部62には、例えば、上述の表1に示されるような電極Aの種別と樹脂枠21の種別との対応関係、及び電極Aの種別と電極Aの面との対応関係の代わりに、表2に示されるような電極Aの種別と樹脂枠21の種別との対応関係、及び電極Aの種別と電極Aの面との対応関係が予め記憶されていてもよい。また、接合部63には、例えば、上述の表1に示されるような電極Aの種別と枠付電極Bの送り先との対応関係の代わりに、表2に示されるような電極Aの種別と枠付電極Bの送り先との対応関係が予め記憶されていてもよい。したがって、配置する工程では、電極Aがバイポーラ電極14、負極終端電極18、又は、正極終端電極19である場合、単体の樹脂枠21を、電極Aの一方面15a側の縁部15cと重なるように配置する。電極Aが片面枠付正極終端電極72である場合、単体の樹脂枠21を、電極Aの他方面15b側の縁部15cと重なるように配置する。また、送る工程では、電極Aがバイポーラ電極14、又は、片面枠付正極終端電極72である場合、枠付電極Bを積層部に送る。電極Aが正極終端電極19である場合、枠付電極Bを判別部61に送る。
【表2】
【0070】
蓄電モジュール4は、第3樹脂部21Cを備えていなくてもよい。この場合、配置部62には、例えば、上述の表1に示されるような電極Aの種別と樹脂枠21の種別との対応関係、及び電極Aの種別と電極Aの面との対応関係の代わりに、表3に示されるような電極Aの種別と樹脂枠21の種別との対応関係、及び電極Aの種別と電極Aの面との対応関係が予め記憶されていてもよい。また、接合部63には、例えば、上述の表1に示されるような電極Aの種別と枠付電極Bの送り先との対応関係の代わりに、表3に示されるような電極Aの種別と枠付電極Bの送り先との対応関係が予め記憶されていてもよい。したがって、配置する工程では、電極Aがバイポーラ電極14、負極終端電極18、正極終端電極19、又は、未塗工電極50である場合、単体の樹脂枠21を、電極Aの一方面15a,50a側の縁部15c,50cと重なるように配置する。電極Aが片面枠付負極終端電極75である場合、片面枠付未塗工電極74の樹脂枠21を、電極Aの一方面15a側の縁部15cと対向するように、片面枠付未塗工電極74ごと配置する。また、送る工程では、電極Aがバイポーラ電極14、正極終端電極19、又は、片面枠付正極終端電極72である場合、枠付電極Bを積層部に送る。電極Aが未塗工電極50の場合、得られた片面枠付未塗工電極74を配置部62の保持部に送る。電極Aが正極終端電極19である場合、枠付電極Bを判別部61に送る。
【表3】
【符号の説明】
【0071】
4…蓄電モジュール、14…バイポーラ電極、15…電極板、15a…一方面、15b…他方面、15c…縁部、18…負極終端電極、19…正極終端電極、21…樹脂枠、50…未塗工電極、50a…一方面、50b…他方面、50c…縁部、60…蓄電モジュールの製造装置、61…判別部、62…配置部、63…接合部、71…片面枠付バイポーラ電極、72…片面枠付正極終端電極、73…両面枠付正極終端電極、74…片面枠付未塗工電極、75…片面枠付負極終端電極、76…負極アッシー、A…電極、B…枠付電極。
図1
図2
図3
図4
図5