(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-22
(45)【発行日】2022-03-30
(54)【発明の名称】ハブユニット軸受の組立方法
(51)【国際特許分類】
F16C 43/04 20060101AFI20220323BHJP
F16C 19/38 20060101ALI20220323BHJP
F16C 33/48 20060101ALI20220323BHJP
B60B 35/02 20060101ALI20220323BHJP
【FI】
F16C43/04
F16C19/38
F16C33/48
B60B35/02 L
(21)【出願番号】P 2018201072
(22)【出願日】2018-10-25
【審査請求日】2021-05-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000004204
【氏名又は名称】日本精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000811
【氏名又は名称】特許業務法人貴和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】横山 ナンシー尚子
(72)【発明者】
【氏名】鴨田 剛
【審査官】前田 浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-188629(JP,A)
【文献】特開2008-151247(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 19/00
33/00
43/00
B60B 35/00
F16N 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内周面に外輪軌道を有する外輪と、
外周面に内輪軌道を有するハブと、
前記外輪軌道と前記内輪軌道との間に配置された複数の円すいころと、
前記円すいころを転動自在に保持する保持器と、を備え、
前記保持器は、前記円すいころを径方向に脱落不能に保持できる脱落防止保持器である、
ハブユニット軸受の組立方法であって、
前記脱落防止保持器に前記円すいころを保持したころ組立体を、前記外輪軌道の内径側に、正規の組み付け位置よりも軸方向に関して前記外輪軌道の内径が大きくなる側にずらした状態で配置することにより、前記ころ組立体と前記外輪軌道との間に隙間を形成し、該隙間に向けてグリース封入治具からグリースを吐出する、グリース封入工程を含む、ハブユニット軸受の組立方法。
【請求項2】
前記脱落防止保持器は、小径円環部と、前記小径円環部よりも大きな外径を有する大径円環部と、円周方向に関して等間隔に配置され、前記小径円環部と前記大径円環部とを軸方向に連結する複数の柱部とを備え、円周方向に隣り合う前記柱部同士の間部分を、前記円すいころを転動自在に保持するためのポケットとしたものであり、前記ポケットの径方向内側の開口部は、前記円すいころの長手方向の少なくとも中間位置において、前記円すいころの自転軸よりも内径側に位置しており、その円周方向幅は、前記円すいころの直径よりも小さくなっており、前記ポケットの径方向外側の開口部は、前記円すいころの長手方向の全域において、前記円すいころの自転軸よりも外径側に位置しており、その円周方向幅は、前記円すいころの直径よりも小さい、請求項1に記載したハブユニット軸受の組立方法。
【請求項3】
前記グリース封入工程において、前記脱落防止保持器の軸方向端部に、前記グリース封入治具の先端部を当接させた状態で、前記グリース封入治具の先端部から前記隙間に向けてグリースを吐出する、請求項1~2のうちのいずれか1項に記載したハブユニット軸受の組立方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の車輪を懸架装置に対して回転自在に支持するためのハブユニット軸受の組立方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の車輪は、懸架装置に対して、ハブユニット軸受により回転自在に支持されている。また、重量の嵩む自動車の車輪を回転自在に支持するためのハブユニット軸受には、転動体として円すいころを使用することが行われている。また、近年、部品点数を減らし、コストの低減を図ることなどを目的として、ハブ輪の外周面に内輪軌道を直接形成した、いわゆる第三世代と呼ばれるハブユニット軸受も使用されている。
【0003】
図15には、転動体として円すいころを使用した第三世代のハブユニット軸受として、特開2004-263722号公報に記載された従来構造の1例を示している。ハブユニット軸受1は、懸架装置のナックルに固定される外輪2の内径側に、車輪及び制動用回転体とともに回転するハブ3を、複数の円すいころ4a、4bにより回転自在に支持することにより構成されている。
なお、ハブユニット軸受1に関して、軸方向外側は、車両に組み付けた状態で車両の幅方向外側となる
図15の左側であり、軸方向内側は、車両に組み付けた状態で車両の幅方向中央側となる
図15の右側である。
【0004】
外輪2は、略円筒形状を有しており、外周面にナックルに結合される静止フランジ5を有しており、内周面に複列の外輪軌道6a、6bを有している。複列の外輪軌道6a、6bは、それぞれ円すい面形状を有しており、傾斜方向が互いに逆向きである。軸方向外側に位置する外側列の外輪軌道6aは、軸方向外側に向かうほど内径が大きくなり、軸方向内側に位置する内側列の外輪軌道6bは、軸方向内側に向かうほど内径が大きくなる。
【0005】
ハブ3は、ハブ輪7と内輪8とを組み合わせて構成されており、車輪及び制動用回転体を取り付けるための回転フランジ9と、複列の内輪軌道10a、10bとを有している。複列の内輪軌道10a、10bは、それぞれ円すい面形状を有しており、傾斜方向が互いに逆向きである。軸方向外側に位置する外側列の内輪軌道10aは、ハブ輪7の外周面に形成されており、軸方向外側に向かうほど外径が大きくなる。軸方向内側に位置する内側列の内輪軌道10bは、内輪8の外周面に形成されており、軸方向内側に向かうほど外径が大きくなる。内輪8は、ハブ輪7の軸方向内側部に設けられた嵌合軸部11に外嵌されている。
【0006】
円すいころ4a、4bは、複列に配置されており、軸方向外側に位置する外側列の円すいころ4aは、外側列の外輪軌道6aと内輪軌道10aとの間に配置され、軸方向内側に位置する内側列の円すいころ4bは、内側列の外輪軌道6bと内輪軌道10bとの間に配置されている。外側列の円すいころ4aは、外側列の保持器12aにより転動自在に保持されており、内側列の円すいころ4bは、内側列の保持器12bにより転動自在に保持されている。
【0007】
外輪2の内周面とハブ3の外周面との間に存在する空間13には、グリースを封入している。これにより、円すいころ4a、4bの転動面と外輪軌道6a、6b及び内輪軌道10a、10bとの転がり接触部を潤滑する。さらに、空間13に封入したグリースは、外側列の円すいころ4aの大径側端部とハブ輪7に設けた大鍔部14aとの接触部を潤滑するとともに、内側列の円すいころ4bの大径側端部と内輪8に設けた大鍔部14bとの接触部を潤滑する。また、空間13からグリースが漏れ出すことを防止するために、空間13の軸方向外側開口を外側密封部材15により塞ぎ、空間13の軸方向内側開口を内側密封部材16により塞いでいる。
【0008】
上述したようなハブユニット軸受1は、次のような工程を経て組み立てられる。以下、
図16を参照して説明する。
先ず、外側列の円すいころ4aと外側列の保持器12aとを組み合わせて、外側列のころ組立体17aを得る。続いて、
図16の(A)に示すように、外側列のころ組立体17aを、外輪2の外側列の外輪軌道6aの内径側に配置する。その後、外輪2の軸方向外端部に、外側密封部材15を装着する。次いで、
図16の(B)に示すように、ハブ輪7を、外輪2の内径側に挿入する。その後、外輪2とハブ輪7との間に、
図16の(C1)に示すように、内側列の円すいころ4bと内側列の保持器12bと小鍔部28を有する内輪8とを組み合わせて成る内輪組立体18を組み込むか、又は、
図16の(C2)に示すように、内側列の円すいころ4bと内側列の保持器12bとを組み合わせて成る内側列のころ組立体17bを組み込んだ後、小鍔部を有しない内輪8を組み込む。
【0009】
ハブユニット軸受1を組み立てる際には、外側密封部材15の組み付け性を確保するために、上述したように、外側列のころ組立体17aを外側列の外輪軌道6aの内径側に配置するとともに、外輪2の軸方向外端部に外側密封部材15を装着した状態で、外輪2の内径側にハブ輪7を挿入する必要がある。このため、外側列の保持器12aには、外側列の円すいころ4aを径方向内側に脱落不能に保持することが求められる。そこで、外側列の保持器12aとして、特開2013-174254号公報などに記載されているように、円すいころの脱落防止機能を備えた脱落防止保持器が使用されている。
【0010】
図15及び
図16(A)に示すように、脱落防止機能を備えた外側列の保持器12aは、全体が部分円すい筒状に構成されており、小径円環部19と、大径円環部20と、円周方向に関して等間隔に配され、小径円環部19と大径円環部20とを軸方向に連結した複数の柱部21とを備えている。そして、円周方向に隣り合う柱部21同士の間部分を、ポケット22としている。また、外側列の保持器12aは、円すいころ4aがポケット22から径方向内側に脱落することを防止するために、柱部21の形状を工夫して、ポケット22の径方向内側の開口部の円周方向幅を、円すいころ4aの直径よりも小さくしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】特開2004-263722号公報
【文献】特開2013-174254号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ただし、脱落防止機能を備えた保持器12aは、柱部21の径方向寸法が大きくなりやすい。このため、外側列のころ組立体17aを外側列の外輪軌道6aの内径側に配置した状態で、円すいころ4aの転動面と外輪軌道6aとの間に、軸方向にグリースを吐出するいわゆる平面封入法によって、軸方向外側からグリースを供給しようとした場合にも、柱部21が障害物になり、グリースが円すいころ4aの大径側端部付近に溜まりやすく、円すいころ4aの転動面と外輪軌道6aとの間に十分な量のグリースを供給することは難しくなる。この結果、円すいころ4aの大径側端部とハブ輪7の大鍔部14aとの接触部の潤滑状態は良好にできるが、円すいころ4aの転動面と外輪軌道6a及び内輪軌道10aとの転がり接触部の潤滑状態を良好にすることは難しくなる。また、円すいころ4aの大径側端部とハブ輪7の大鍔部14aの近傍に供給されるグリース量が多すぎると、外側密封部材15からのグリース漏れが発生するおそれがある。
【0013】
なお、このような問題は、
図16の(C1)に示した場合にも、内側列の保持器12bとして、外側列の保持器12aと同じものを使用し、外輪軌道6bに内輪組立体18を組み付け、グリースを平面封入する場合に生じる。また、
図16の(C2)に示したように、外輪2とハブ輪7との間に、内輪8に先立って内側列のころ組立体17bを組み込む組立方法を採用した場合にも同様に生じる。つまり、内輪8に先立って内側列のころ組立体17bを組み込む場合には、内側列の保持器12bを脱落防止保持器とする必要がある。このため、内側列のころ組立体17bを内側列の外輪軌道6bの内径側に配置した状態で、円すいころ4bの転動面と外輪軌道6bとの間に平面封入法によって軸方向内側からグリースを供給した場合にも、円すいころ4bの大径側端部付近にグリースが溜まりやすく、円すいころ4bの転動面と外輪軌道6bとの間に十分な量のグリースを供給することは難しくなるし、内側密封部材16からのグリース漏れが発生するおそれもある。
【0014】
上述のような問題を解決するために、例えば、外輪軌道6a(6b)に予めグリースを塗布しておくことも考えられる。この場合には、円すいころ4a(4b)の転動面と外輪軌道6a(6b)及び内輪軌道10a(10b)との転がり接触部の潤滑状態は良好にできるが、円すいころ4a(4b)の大径側端部と大鍔部14a(14b)との間に、グリースを十分に行き渡らせることが難しくなる。この結果、円すいころ4a(4b)の大径側端部と大鍔部14a(14b)との接触部が潤滑不良となる。
【0015】
本発明は、上述のような事情に鑑み、転動体として円すいころを使用したハブユニット軸受に関して、脱落防止保持器により保持された円すいころの転動面と外輪軌道及び内輪軌道との転がり接触部の潤滑状態を良好にできるだけでなく、円すいころの大径側端部と大鍔部との接触部の潤滑状態も良好にでき、密封部材からのグリース漏れも防止できる、ハブユニット軸受の組立方法を実現すべく発明したものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明のハブユニット軸受の組立方法の対象となるハブユニット軸受は、外輪と、ハブと、複数の円すいころと、保持器とを備えている。
前記外輪は、内周面に外輪軌道を有している。
前記ハブは、外周面に内輪軌道を有している。
前記複数の円すいころは、前記外輪軌道と前記内輪軌道との間に配置されている。
前記保持器は、前記円すいころを転動自在に保持している。
また、前記保持器は、前記円すいころを径方向に脱落不能に保持できる脱落防止保持器である。
【0017】
特に本発明のハブユニット軸受の組立方法は、前記脱落防止保持器に前記円すいころを保持したころ組立体を、前記外輪軌道の内径側に、正規の組み付け位置よりも軸方向に関して前記外輪軌道の内径が大きくなる側にずらした状態で配置することにより、前記ころ組立体と前記外輪軌道との間に隙間を形成し、該隙間に向けてグリース封入治具からグリースを吐出する、グリース封入工程を含む。
【0018】
本発明のハブユニット軸受の組立方法では、前記脱落防止保持器として、小径円環部と、前記小径円環部よりも大きな外径を有する大径円環部と、円周方向に関して等間隔に配置され、前記小径円環部と前記大径円環部とを軸方向に連結する複数の柱部とを備え、円周方向に隣り合う前記柱部同士の間部分を、前記円すいころを転動自在に保持するためのポケットとしたものであり、前記ポケットの径方向内側の開口部は、前記円すいころの長手方向の少なくとも中間位置において、前記円すいころの自転軸よりも内径側に位置しており、その円周方向幅は、前記円すいころの直径よりも小さくなっており、前記ポケットの径方向外側の開口部は、前記円すいころの長手方向の全域において、前記円すいころの自転軸よりも外径側に位置しており、その円周方向幅は、前記円すいころの直径よりも小さいものを使用することができる。
【0019】
本発明のハブユニット軸受の組立方法では、前記グリース封入工程において、例えば、前記脱落防止保持器の軸方向端部に、前記グリース封入治具の先端部を当接させた状態で、前記グリース封入治具の先端部から前記隙間に向けてグリースを吐出することができる。
【0020】
本発明のハブユニット軸受の組立方法では、前記ハブユニット軸受として、前記外輪の内周面と前記ハブの外周面との間に存在する空間の軸方向外側開口を塞ぐ、外側密封部材をさらに備えたものを使用することできる。
また、前記脱落防止保持器を、外側列の円すいころを径方向に脱落不能に保持するものとし、前記外輪に前記外側密封部材を装着する前に、又は、前記外輪に前記外側密封部材を装着した後に、前記グリース封入工程を行うことができる。
【0021】
本発明のハブユニット軸受の組立方法では、前記脱落防止保持器を、内側列の円すいころを径方向に脱落不能に保持するものとし、前記外輪の内径側に前記ハブを構成するハブ輪を挿入した後に、前記グリース封入工程を行うことができる。
【0022】
本発明では、前記グリース封入工程において、前記グリース封入治具から前記隙間に向けて、前記円すいころの大径側端部側からグリースを吐出することもできる。
【0023】
あるいは、本発明では、前記グリース封入工程において、前記グリース封入治具から前記隙間に向けて、前記円すいころの小径側端部側からグリースを吐出することもできる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、転動体として円すいころを使用したハブユニット軸受に関して、脱落防止保持器により保持された円すいころの転動面と外輪軌道及び内輪軌道との転がり接触部の潤滑状態を良好にできるだけでなく、円すいころの大径側端部と大鍔部との接触部の潤滑状態を良好にでき、密封部材からのグリース漏れも防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】
図1は、実施の形態の第1例にかかる組立方法により組み立てられるハブユニット軸受を示す、半部断面図である。
【
図3】
図3は、実施の形態の第1例に関して、ハブユニット軸受の組立工程のうちの第1工程を示す断面図である。
【
図4】
図4は、実施の形態の第1例に関して、ハブユニット軸受の組立工程のうちの第2工程を示す断面図である。
【
図5】
図5は、実施の形態の第1例に関して、ハブユニット軸受の組立工程のうちの第4工程を示す断面図である。
【
図6】
図6は、実施の形態の第1例に関して、ハブユニット軸受の組立工程のうちの第5工程を示す断面図であり、(A)は、内輪組立体を組み込む場合を示しており、(B)は内側列のころ組立体を組み込んだ後、内輪を組み込む場合を示している。
【
図7】
図7は、実施の形態の第1例に関して、ハブユニット軸受の組立工程のうち、外側列の円すいころにグリースを供給するグリース封入工程を示す断面図である。
【
図8】
図8の(A)は、実施の形態の第2例を示す、
図7に相当する図であり、
図8の(B)は、実施の形態の第2例の変形例を示す図である。
【
図9】
図9は、実施の形態の第3例を示す、
図7に相当する図である。
【
図12】
図12は、実施の形態の第5例を示す、
図7に相当する図であり、(A)は、内側列のころ組立体を正規の組み付け位置に配置した状態を示しており、(B)は、内側列のころ組立体を引上治具を利用して上側に移動させた状態を示している。
【
図13】
図13は、実施の形態の第5例に使用する引上治具を取り出してその先側部を示す、斜視図である。
【
図15】
図15は、ハブユニット軸受の従来構造の1例を示す断面図である。
【
図16】
図16は、ハブユニット軸受の組立工程の一部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
[実施の形態の第1例]
実施の形態の第1例について、
図1~
図7を用いて説明する。
本例の組立対象となるハブユニット軸受1aは、転動体として円すいころを使用した、いわゆる第三世代と呼ばれるハブユニット軸受であり、大型SUV車や商用車などの自動車の車輪を回転自在に支持するために使用するものである。
【0027】
ハブユニット軸受1aは、使用状態で回転しない外輪2aと、使用状態で車輪及びディスク、ドラムなどの制動用回転体とともに回転するハブ3aと、複列の円すいころ4c、4dと、2個の保持器12c、12dと、外側密封部材15aと、内側密封部材16aとを備えている。
なお、ハブユニット軸受1aに関して、軸方向外側であるアウトボード側は、車両に組み付けた状態で車両の幅方向外側となる
図1、
図3~
図6の左側であり、軸方向内側であるインボード側は、車両に組み付けた状態で車両の幅方向中央側となる
図1、
図3~
図6の右側である。
【0028】
外輪2aは、S53Cなどの中炭素鋼製で、略円筒形状を有している。外輪2aの外周面の軸方向中間部には、懸架装置のナックルに結合される静止フランジ5aを有している。外輪2aの内周面には、複列の外輪軌道6c、6dを有している。複列の外輪軌道6c、6dは、それぞれ円すい面形状を有しており、傾斜方向が互いに逆向きである。軸方向外側に位置する外側列の外輪軌道6cは、軸方向外側に向かうほど内径が大きくなり、軸方向内側に位置する内側列の外輪軌道6dは、軸方向内側に向かうほど内径が大きくなる。
【0029】
ハブ3aは、外輪2aの内径側に外輪2aと同軸に配置されており、S53Cなどの中炭素鋼製のハブ輪7aと、SUJ2などの高炭素クロム鋼製の内輪8aとを組み合わせて構成されている。ハブ3aの外周面には、複列の内輪軌道10c、10dを有している。複列の内輪軌道10c、10dは、それぞれ円すい面形状を有しており、傾斜方向が互いに逆向きである。軸方向外側に位置する外側列の内輪軌道10cは、軸方向外側に向かうほど外径が大きくなり、軸方向内側に位置する内側列の内輪軌道10dは、軸方向内側に向かうほど外径が大きくなる。
【0030】
ハブ輪7aは、内輪8aを外嵌保持する軸部材であり、軸方向外側から順に、パイロット部23と、回転フランジ9aと、大鍔部14cと、外側列の内輪軌道10cと、嵌合軸部11aとを有している。
【0031】
パイロット部23は、車輪及び制動用回転体を外嵌するためのもので、ハブ輪7aの軸方向外側部の径方向中間部から軸方向外側に突出するように設けられており、略円筒形状を有している。回転フランジ9aは、車輪及び制動用回転体を取り付けるためのもので、ハブ輪7aの軸方向外側部に、径方向外方に突出するように設けられており、略円輪形状を有している。大鍔部14cは、外側列の円すいころ4cの軸方向位置を規制するとともに、外側列の円すいころ4cに作用するアキシャル荷重を支承するためのもので、外側列の内輪軌道10cの軸方向外側に隣接して設けられている。大鍔部14cの軸方向内側面は、径方向外側に向かうほど軸方向内側に向かう方向に傾斜しており、外側列の円すいころ4cの大径側端部と接触対向している。外側列の内輪軌道10cは、ハブ輪7aの外周面の軸方向中間部に形成されている。嵌合軸部11aは、ハブ輪7aの軸方向内側部に設けられており、内輪8aが締り嵌めで外嵌されている。嵌合軸部11aの外周面とハブ輪7aの外周面のうち外側列の内輪軌道10cの軸方向内側に隣接する部分とは、段差面24を介してつながっている。また、嵌合軸部11aの軸方向内端部には、径方向外方に折れ曲がったかしめ部25が形成されている。
【0032】
なお、ハブ輪7aの軸方向内端部にかしめ部25を形成する構造に代えて、ハブ輪7aの軸方向内端部にナットを螺着する構造を採用することもできる。また、本例のハブユニット軸受1aは従動輪用であるため、ハブ輪7aは中実状に構成されているが、本発明は、駆動輪用のハブユニット軸受にも適用可能である。駆動輪用のハブユニット軸受に適用する場合には、前記
図15に示したように、ハブ輪7aの径方向中央部に、駆動軸部材であるスプライン軸を係合させるためのスプライン孔を軸方向に貫通するように形成する。
【0033】
内輪8aは、円環形状を有しており、ハブ輪7aの軸方向内側部に設けられた嵌合軸部11aに締り嵌めで外嵌されている。また、内輪8aの軸方向外端面は、段差面24に突き当てられており、内輪8aの軸方向内端面は、かしめ部25により抑え付けられている。内輪8aは、外周面の軸方向中間部に、内側列の内輪軌道10dを有している。また、内輪8aは、内輪軌道10dの軸方向内側に隣接する軸方向内側部に、径方向外方に突出した大鍔部14dを有している。大鍔部14dは、内側列の円すいころ4dが軸方向に脱落するのを防止するとともに、内側列の円すいころ4dに作用するアキシャル荷重を支承する。
【0034】
円すいころ4c、4dは、SUJ2などの高炭素クロム鋼製で、それぞれ円すい形状を有している。円すいころ4c、4dは、複列に配置されており、軸方向外側に位置する外側列の円すいころ4cは、外側列の外輪軌道6cと外側列の内輪軌道10cとの間に配置され、軸方向内側に位置する内側列の円すいころ4dは、内側列の外輪軌道6dと内側列の内輪軌道10dとの間に配置されている。外側列の円すいころ4cと内側列の円すいころ4dとには、背面組み合わせ型の接触角とともに予圧が付与されている。
【0035】
保持器12c、12dは、かご形保持器と呼ばれるもので、合成樹脂製で、全体が部分円すい筒状に構成されている。保持器12c、12dのうち、軸方向外側に位置する外側列の保持器12cは、外側列の円すいころ4cを転動自在に保持しており、軸方向内側に位置する内側列の保持器12dは、内側列の円すいころ4dを転動自在に保持している。
【0036】
保持器12c、12dを構成する合成樹脂としては、例えば、ポリアミド46、ポリアミド66などのポリアミド系樹脂、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリアミドイミド(PAI)、熱可塑性ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルニトリル(PEN)などを使用することができる。また、これらの樹脂に、10~50wt%の繊維状充填材(例えば、ガラス繊維や炭素繊維など)を適宜添加することにより、剛性及び寸法精度を向上させることもできる。
【0037】
本例では、外側列の保持器12cと内側列の保持器12dとの両方を、円すいころ4c、4dが、保持器12c、12dのポケット22aから抜け落ちるのを防止する構造を有する、脱落防止保持器(ころ脱落防止保持器)としている。外側列の保持器12cと内側列の保持器12dとは、互いに同一部品であり、ハブユニット軸受1aに対する組み付け方向のみが異なる。このため、以下、外側列の保持器12cのみを対象に詳しく説明する。
【0038】
保持器12cは、円環状の小径円環部19aと、小径円環部19aよりも大径で円環状の大径円環部20aと、円周方向に関して等間隔に配され、小径円環部19aと大径円環部20aとを軸方向に連結した複数本の柱部21aとを備えている。そして、円周方向に隣り合う柱部21a同士の間部分を、ポケット22aとしている。外側列の保持器12cでは、小径円環部19aを軸方向内側に配置し、小径円環部19aよりも大きな外径を有する大径円環部20aを軸方向外側に配置している。なお、内側列の保持器12dでは、小径円環部19aを軸方向外側に配置し、大径円環部20aを軸方向内側に配置している。
【0039】
柱部21aは、小径円環部19aから離れるほど径方向外側に向かう方向に傾斜しており、径方向寸法が軸方向全長にわたり大きくなっている。柱部21aの小径側端部は、径方向全幅にわたり小径円環部19aに連結されているが、柱部21aの大径側端部は、径方向外側部のみが大径円環部20aに連結されている。このため、柱部21aの大径側部は、大径円環部20aよりも径方向内方に突出している。柱部21aの径方向外側面は、外側列の外輪軌道6cに対して略平行に配置されるとともに近接対向している。また、柱部21aの径方向内側面は、外側列の内輪軌道10cに対して略平行に配置されるとともに近接対向している。このため、ポケット22aの径方向内側の開口部は、円すいころ4cの長手方向の少なくとも中間位置において、円すいころ4cの自転軸よりも内径側に位置している。一方、ポケット22aの径方向外側の開口部は、円すいころ4cの長手方向の全域において、円すいころ4cの自転軸よりも外径側に位置している。
【0040】
円すいころ4cがポケット22aから径方向内側に脱落することを防止するために、
図2に示すように、柱部21aの円周方向側面の断面形状を凹形状とし、円すいころ4cを円周方向両側から抱え込むように保持している。図示の例では、柱部21aの円周方向側面のうち、径方向外側部を円弧状部27aとし、径方向内側部を平面部27bとしている。そして、ポケット22aの径方向内側の開口部の円周方向幅W
inを、円すいころ4cの直径Dよりも小さくしている(W
in<D)。このような構成により、円すいころ4cがポケット22aから径方向内側に脱落することを防止している。また、本例では、ポケット22aの径方向外側の開口部の円周方向幅W
OUTについても、円すいころ4cの直径Dよりも小さくしている(W
OUT<D)。このため、円すいころ4cは、ポケット22aから径方向外側に脱落することも防止される。円すいころ4cをポケット22a内に組み込む作業は、円すいころ4cを、ポケット22aの径方向内側から、柱部21aを円周方向に押し拡げるようにして行うことができる。
【0041】
外側密封部材15aは、外輪2aの軸方向外側部の内周面に内嵌固定されている。外側密封部材15aは、全体が円環状に構成されており、金属板製の芯金29と、芯金29に対して結合固定された弾性材製のシール材30とを備えている。芯金29は、外輪2aの軸方向外側部の内周面に圧入されている。シール材30は、径方向内側部に複数本(図示の例では3本)のシールリップ31a~31cを有しており、径方向外側部に補助リップ32を有している。複数本のシールリップ31a~31cは、それぞれの先端部を、ハブ輪7aの外周面のうち、回転フランジ9aの軸方向内側面と大鍔部14cの外周面との間に位置する部分に、全周にわたり摺接させている。補助リップ32は、回転フランジ9aの軸方向内側面の径方向内側部に対し、微小隙間を介して近接対向させている。これにより、外輪2aの内周面とハブ3aの外周面との間に存在する空間13aに封入したグリースが、空間13aの軸方向外側開口から漏れ出すことを防止するとともに、外部からの泥水や塵埃が空間13aに侵入することを防止している。
【0042】
内側密封部材16aは、いわゆるカバー部材であり、外輪2aの軸方向内側部に内嵌固定されている。内側密封部材16aは、金属板製で、全体が有底円筒形状を有している。内側密封部材16aは、円筒状の固定筒部33と、固定筒部33の軸方向内端部から径方向内側に向けて伸長した円板状の底板部34とを有している。内側密封部材16aは、固定筒部33を外輪2aの軸方向内側部の内周面に圧入することで、外輪2aの軸方向内側開口を塞いでいる。これにより、空間13aに封入したグリースが、外輪2aの軸方向内側開口を通じて外部に漏れ出すことを防止するとともに、外部からの泥水や塵埃が空間13aに侵入することを防止している。なお、内側密封部材16aとしては、本例のようなカバー部材に代えて、前記
図15に示したような、外輪2aと内輪8aとの間に装着する組み合わせシールリングを使用することもできる。
【0043】
以上のような本例のハブユニット軸受1aは、次の第1工程から第7工程を経て組み立てられる。
先ず第1工程では、
図3に示したように、外側列の円すいころ4cを、外側列の保持器12cを構成するポケット22aの内側に径方向内側及び径方向外側への脱落を不能に保持して、外側列のころ組立体17cを得る。つまり、ころ組立体17cを構成した状態では、円すいころ4cは、保持器12cに対して分離することなく保持される。
【0044】
続く第2工程では、
図4に示したように、第1工程で得られた外側列のころ組立体17cを、外輪2aの外側列の外輪軌道6cに対して組み付ける。この際、外側列のころ組立体17cと外輪2aとを同軸に配置するとともに、外輪2aに対する外側列のころ組立体17cの軸方向位置を規制し、外側列のころ組立体17cを正規の組み付け位置に配置する。具体的には、外側列のころ組立体17cを、ハブユニット軸受1の組立完成状態における軸方向位置に配置し、円すいころ4cの転動面を外輪軌道6cに当接させる。この状態では、外輪2aに対して、外側列のころ組立体17cが分離可能に組み合わされる。
【0045】
続く第3工程では、外輪2aの軸方向外側部に外側密封部材15aを装着する。具体的には、外側密封部材15aを構成する芯金29を、外輪2aの軸方向外側部の内周面に圧入する。
【0046】
続く第4工程では、
図5に示したように、ハブ輪7aを、外輪2aの内径側に軸方向外側から挿入する。そして、外側列の円すいころ4cの転動面を外側列の内輪軌道10cに当接させる。また、外側密封部材15aを構成する複数のシールリップ31a~31cを、ハブ輪7aの外周面に対し全周にわたり接触させるとともに、補助リップ32を、回転フランジ9aの軸方向内側面の径方向内側部に対し近接対向させる。これにより、外輪2aと外側列のころ組立体17cと外側密封部材15aとハブ輪7aとが組み合わされた、中間組立体35(
図6参照)を得る。
【0047】
続く第5工程では、
図6の(A)に示したように、中間組立体35を構成する外輪2aとハブ輪7aとの間に、内側列の円すいころ4dと内側列の保持器12dと小鍔部28を有する内輪8aとを組み合わせて成る内輪組立体18aを組み込むか、又は、
図6の(B)に示したように、内側列の円すいころ4dと内側列の保持器12dとを組み合わせて成る内側列のころ組立体17dを組み込んだ後、小鍔部を有しない内輪8aを組み込む。何れの場合にも、内輪8aをハブ輪7aの嵌合軸部11aに締り嵌めにより嵌合固定する。
【0048】
続く第6工程では、例えば揺動鍛造加工を施すことで、嵌合軸部11aの軸方向内側部にかしめ部25(
図1参照)を形成する。これにより、内輪8aの軸方向内端面をかしめ部25により抑え付ける。
【0049】
第7工程では、外輪2aの軸方向内端部の内周面に、内側密封部材16aを装着する。これにより、外輪2aの軸方向内側開口を塞ぐ。
【0050】
ハブユニット軸受1aは、上述した第1工程から第7工程を経て組み立てられるが、特に本例では、脱落防止保持器である外側列の保持器12cにより保持された外側列の円すいころ4cの潤滑状態を良好にするために、第2工程と第3工程との間に、次のグリース封入工程を実施する。
なお、本例では、内側列の円すいころ4dを対象としたグリース封入工程については説明せず、後述する実施の形態の第4例~第7例にて説明する。
【0051】
本例のグリース封入工程では、
図7に示すように、外側列のころ組立体17cを、外側列の外輪軌道6cに対して正規の組み付け位置に組み付けた状態で、外側列のころ組立体17c及び外輪2aの中心軸を上下方向に向けて配置する。具体的には、外輪2aの軸方向外側部を上側に向けた状態で、外輪2aの静止フランジ5aの軸方向内側面である下面を、支持台36の上面に載置する。
【0052】
次いで、外輪2aの内径側に配置した略円柱状の押上治具37により、保持器12cの小径円環部19aを押し上げ、外側列のころ組立体17cのみを上側に持ち上げる。つまり、外側列のころ組立体17cを外輪2aに対して上側に相対移動させる。そして、外側列のころ組立体17cを、正規の組み付け位置よりも外輪軌道6cの内径が大きくなる側である上側にずれた位置に配置する。円すいころ4cは、柱部21aにより径方向外側への変位を規制されているので、円すいころ4cの転動面を外輪軌道6cから径方向内側に離隔させるとともに、保持器12cを構成する柱部21aの径方向外側面を外輪軌道6cから径方向内側に離隔させる。そして、外側列のころ組立体17cと外側列の外輪軌道6cとの間に隙間38を形成する。隙間38は、外側列のころ組立体17cの軸方向両側に位置する空間を軸方向に連通しており、全周にわたりつながっている。なお、本発明の主旨は、外側列のころ組立体17cを正規の組み付け位置から軸方向外側に、外輪2aとの同軸を保った状態で移動させ、グリースを封入するための隙間38を生み出し、グリースの封入を容易にすることにある。したがって、本例及び後述する実施の形態の各例では、ころ組立体17c(17d)及び外輪2aの中心軸を上下方向に向けて配置した構造を図示し、その説明も中心軸の配設方向を上下方向として行っているが、本発明を実施する場合に、ころ組立体17c(17d)及び外輪2aの中心軸の配設方向は、上下方向に限定されず、水平方向や斜め方向などその他の方向を採用することができる。なお、ころ組立体17c(17d)及び外輪2aの中心軸の配設方向を上下方向以外とする場合には、例えば
図8の(B)に示すような、芯出し機構46を設けることが望ましい。
【0053】
上述したように、外側列のころ組立体17cと外側列の外輪軌道6cとの間に隙間38を形成したならば、外側列のころ組立体17cの上側に配置した、いわゆる平面封入治具である略円環状のグリース封入治具39から、隙間38に向けてグリースを吐出する。具体的には、グリース封入治具39の先端部である下端部を、外輪2aの上端部(軸方向外端部)の内側にがたつきなく挿入する。そして、グリース封入治具39の下端面に開口した吐出口40を、円すいころ4cの大径側端面の径方向外側部に対向させた状態で、吐出口40からグリースを吐出する。これにより、矢印Xで示したように、グリースを、円すいころ4cの大径側端面に沿って径方向外側に移動させ、隙間38に送り込む。この際、グリース封入治具39の先端部を、外側列の保持器12cを構成する大径円環部20aの上端部に当接させる。これにより、外側列のころ組立体17cの姿勢及び軸方向位置を規制した状態で、グリース封入治具39からグリースを吐出する。なお、グリース封入治具39の下端面には、複数の吐出口40が円周方向に等配された構造を採用することもできるし、円周方向に連続した環状の吐出口40が1つのみ設けられた構造を採用することもできる。
【0054】
上述のようにして、隙間38にグリースを供給した後は、押上治具37を下降させて、外側列のころ組立体17cを正規の組み付け位置に戻す。その後、上述した第3工程を実施する。
【0055】
なお、押上治具37により外側列のころ組立体17cを持ち上げる作業は、押上治具37とグリース封入治具39とにより外側列のころ組立体17cを上下方向両側から挟持した状態で行うこともできる。本例では、グリース封入治具39を外側列のころ組立体17cの上側に配置するため、グリース封入工程は、外輪2aの軸方向外側部に外側密封部材15aを組み付ける以前に行う。
【0056】
以上のようなグリース封入工程を行う本例では、脱落防止保持器である外側列の保持器12cにより保持された外側列の円すいころ4cの転動面と、外側列の外輪軌道6c及び内輪軌道10cとの転がり接触部の潤滑状態を良好にできるだけでなく、円すいころ4cの大径側端部とハブ輪7aの大鍔部14cとの接触部の潤滑状態も良好にできる。また、外側密封部材15aからのグリース漏れも防止できる。
すなわち、外側列のころ組立体17cを、正規の組み付け位置よりも外輪軌道6cの内径が大きくなる側である上側にずらした位置に配置し、外側列のころ組立体17cと外側列の外輪軌道6cとの間に隙間38を形成した状態でグリースを吐出する。このため、円すいころ4cの転動面と外輪軌道6cとの間に十分な量のグリースを塗布することができる。したがって、円すいころ4cの転動面と外輪軌道6c及び内輪軌道10cとの転がり接触部の潤滑状態を良好にすることができる。また、グリース封入治具39から吐出されたグリースは、円すいころ4cの大径側端面にも付着するため、円すいころ4cの大径側端部付近に十分な量のグリースを塗布することができる。したがって、円すいころ4cの大径側端部と大鍔部14cとの接触部の潤滑状態を良好にすることができ、当該接触部が潤滑不良となることも有効に防止できる。さらに、円すいころ4cの大径側端部付近にグリースが多量に溜まることもないため、外側密封部材15aからのグリース漏れも防止できる。
【0057】
[実施の形態の第2例]
実施の形態の第2例について、
図8を用いて説明する。
本例の場合にも、外側列の円すいころ4cを対象にグリース封入工程を実施するが、グリース封入工程を実施するタイミング及び具体的な方法が、実施の形態の第1例とは異なる。本例では、外輪2aの軸方向外側部に外側密封部材15aを組み付けた後に、グリース封入工程を実施する。すなわち、外側密封部材15aを装着する第3工程と、外輪2aの内径側にハブ輪7aを挿入する第4工程との間に、グリース封入工程を実施する。
【0058】
本例のグリース封入工程では、
図8の(A)に示すように、外側列のころ組立体17cを外側列の外輪軌道6cに対して正規の組み付け位置に組み付けるとともに、外輪2aの軸方向外側部に外側密封部材15aを装着した状態で、外側列のころ組立体17c及び外輪2aの中心軸を上下方向に向けて配置する。具体的には、外輪2aの軸方向外側部を上側に向けた状態で、外側列のころ組立体17cを、外輪2aの内径側に配置した略円柱状のグリース封入治具39aの上面に載置する。この際、外側列の保持器12cを構成する小径円環部19aの下端部を、グリース封入治具39aの先端面である上端面に当接させる。また、本例では、外輪2aを、実施の形態の第1例の場合のように下方から支承しない。
【0059】
上述のように、外側列のころ組立体17cをグリース封入治具39aに載置すると、外側密封部材15a(芯金29)が保持器12cの大径円環部20aに当接するまで、外輪2aが、自重により、外側列のころ組立体17c及びグリース封入治具39aに対して下方に相対移動する。これにより、外側列のころ組立体17cは、正規の組み付け位置よりも外輪軌道6cの内径が大きくなる側である上側にずれた位置に配置される。この結果、外側列のころ組立体17cと外側列の外輪軌道6cとの間に隙間38を形成することができる。
【0060】
そして、外側列のころ組立体17cと外側列の外輪軌道6cとの間に隙間38を形成したならば、外側列のころ組立体17cを支承したグリース封入治具39aから隙間38に向けてグリースを吐出する。具体的には、グリース封入治具39aの上端面の径方向外側部に開口した吐出口40aから、隙間38の傾斜方向に沿ってグリースを吐出する。
【0061】
以上のような本例では、外輪2aの重量を利用して、外側列のころ組立体17cを正規の組み付け位置からずらすことができる。このため、実施の形態の第1例で使用した押上治具37(
図7参照)を省略することができる。したがって、グリース封入工程に必要な設備を簡素化することができ、ハブユニット軸受1aの製造コストを低く抑えることができる。
【0062】
また、本例では、外側列の円すいころ4cの小径側端部側(下側)からグリースを吐出するが、隙間38は、円すいころ4cの大径側端部側(上側)にまで連通しているため、円すいころ4cの大径側端部と大鍔部14cとの接触部に十分な量のグリースを供給することができる。また、保持器12cの大径円環部20aと外側密封部材15aとを当接させているため、隙間38を通じて円すいころ4cの大径側端部側に移動したグリースが、外部に漏れ出ることも有効に防止できる。また、大径円環部20aに対して、外側密封部材15aの芯金29を当接させるようにしているため、大径円環部20aとの接触により、外側密封部材15aが損傷することもない。また、
図8の(B)に変形例を示すように、本例のグリース封入工程は、外側列のころ組立体17c及び外輪2aの中心軸を、水平方向(又は斜め方向など上下方向以外の方向)に向けて配置して行うことができる。この場合には、例えば、保持器12cの大径円環部20aに設けた突起部を外側密封部材15aの一部に係止して構成された芯出し機構46を設けることで、外側列のころ組立体17cを外輪2aに対して同軸に配置する構成を採用することができる。このように、外側列のころ組立体17c及び外輪2aの中心軸を上下方向以外の方向に向けて配置する場合にも、外側列のころ組立体17cを正規の組み付け位置から軸方向外側に移動させ、グリースを封入するための隙間38を形成する。
その他の構成及び作用効果は、実施の形態の第1例と同じである。
【0063】
[実施の形態の第3例]
実施の形態の第3例について、
図9を用いて説明する。
本例の場合にも、外輪2aの軸方向外側部に外側密封部材15aを組み付けた後に、外側列の円すいころ4cを対象にグリース封入工程を実施するが、グリース封入工程の具体的な方法が、実施の形態の第2例とは異なる。
【0064】
本例のグリース封入工程では、
図9に示すように、外側列のころ組立体17cを外側列の外輪軌道6cに対して正規の組み付け位置に組み付けるとともに、外輪2aの軸方向外側部に外側密封部材15aを装着した状態で、外側列のころ組立体17c及び外輪2aの中心軸を上下方向に向けて配置する。具体的には、外輪2aの軸方向外側部を下側に向けた状態で、外輪2aの静止フランジ5aの軸方向外側面である下面を、支持台36aの上面に載置する。
【0065】
上述のように、外輪2aを支持台36aに載置すると、保持器12cの大径円環部20aが外側密封部材15a(芯金29)に当接するまで、外側列のころ組立体17cが、自重により、外輪2a対して下方に相対移動する。これにより、外側列のころ組立体17cは、正規の組み付け位置よりも外輪軌道6cの内径が大きくなる側である下側にずれた位置に配置される。この結果、外側列のころ組立体17cと外側列の外輪軌道6cとの間に隙間38を形成することができる。
【0066】
そして、外側列のころ組立体17cと外側列の外輪軌道6cとの間に隙間38を形成したならば、外輪2aの内径側に挿入され、外側列のころ組立体17cの上側に配置したグリース封入治具39bから隙間38に向けてグリースを吐出する。具体的には、グリース封入治具39bの下端面の径方向外側部分に開口した吐出口40bから、隙間38の傾斜方向に沿ってグリースを吐出する。
【0067】
以上のような本例では、外側列のころ組立体17cの重量を利用して、外側列のころ組立体17cを正規の組み付け位置からずらすことができる。このため、実施の形態の第2例と同様に、グリース封入工程に必要な設備を簡素化することができ、ハブユニット軸受1aの製造コストを低く抑えることができる。
その他の構成及び作用は、実施の形態の第1例及び第2例と同じである。
【0068】
[実施の形態の第4例]
実施の形態の第4例について、
図10を用いて説明する。
本例では、実施の形態の第1例に示したハブユニット軸受1aを組み立てる際に、内側列の円すいころ4dを対象に実施する、グリース封入工程について説明する。
【0069】
本例では、ハブユニット軸受1aを組み立てる際に、前述した第1工程から第4工程を順次実施し、外輪2aと外側列のころ組立体17cと外側密封部材15aとハブ輪7aとが組み合わされた中間組立体35を得る。そして、続く第5工程で、前記
図6の(B)に示したように、外輪2aとハブ輪7aとの間に、内側列の円すいころ4dと内側列の保持器12dとを組み合わせて成る内側列のころ組立体17dを組み込んだ後、小鍔部を有しない内輪8aを組み込む。本例では、このような内輪8aを組み込む作業を行う前に、グリース封入工程を実施する。
【0070】
本例のグリース封入工程では、
図10に示すように、中間組立体35の中心軸を上下方向に向けて配置する。具体的には、外輪2aの軸方向外側部を上側に向けた状態で、外輪2aの静止フランジ5aの軸方向内側面である下面を、支持台36の上面に載置する。そして、外輪2aとハブ輪7aとの間に、内側列の円すいころ4dと内側列の保持器12dとを組み合わせて成る内側列のころ組立体17dを、下側から挿入する。本例では、円環状のグリース封入治具39cの上端面に内側列のころ組立体17dを載置した状態で、グリース封入治具39cを上昇させることにより、内側列のころ組立体17dを、外輪2aとハブ輪7aとの間に挿入する。そして、内側列のころ組立体17dを、中心軸を上下方向に配置した状態で、内側列の外輪軌道6dの内径側に配置する。
【0071】
本例では、グリース封入治具39cの上昇量を調整することで、内側列のころ組立体17dを、正規の組み付け位置よりも外輪軌道6dの内径が大きくなる側である下側(軸方向内側)にずれた位置に配置する。円すいころ4dは、柱部21aにより径方向外側への変位を規制されているので、円すいころ4dの転動面は、外輪軌道6dから径方向内側に離隔した位置に配置されており、保持器12dを構成する柱部21aの径方向外側面は、外輪軌道6dから径方向内側に離隔した位置に配置されている。このため、内側列のころ組立体17dと内側列の外輪軌道6dとの間には、隙間38aが形成されている。隙間38aは、内側列のころ組立体17dの軸方向両側に位置する空間を軸方向に連通しており、全周にわたりつながっている。
【0072】
上述したように、内側列のころ組立体17dと内側列の外輪軌道6dとの間に隙間38aを形成したならば、内側列のころ組立体17dを支承したグリース封入治具39cから隙間38aに向けてグリースを吐出する。具体的には、グリース封入治具39cの上端面の径方向外側部に開口した吐出口40cから、円すいころ4dの大径側端面に向けてグリースを吐出する。そして、グリースを、円すいころ4dの大径側端面に沿って径方向外側に移動させ、隙間38aに送り込む。
【0073】
以上のような本例では、脱落防止保持器である内側列の保持器12dにより保持された内側列の円すいころ4dの転動面と内側列の外輪軌道6d及び内輪軌道10dとの転がり接触部の潤滑状態を良好にできるだけでなく、円すいころ4dの大径側端部と内輪8aの大鍔部14dとの接触部の潤滑状態も良好にできる。さらに、円すいころ4dの大径側端部付近にグリースが多量に溜まることもないため、例えば内側密封部材16aとして外輪2aと内輪8aとの間に装着する組み合わせシールリングを使用した場合にも、内側密封部材16aからグリースが漏れることを防止できる。
その他の構成及び作用効果は、実施の形態の第1例と同じである。
【0074】
[実施の形態の第5例]
実施の形態の第5例について、
図11を用いて説明する。
本例の場合にも、内側列の円すいころ4dを対象にグリース封入工程を実施し、ハブユニット軸受1aの組立工程の第5工程にて、外輪2aとハブ輪7aとの間に、内側列のころ組立体17dを組み込んだ後、内輪8aを組み込む作業を行う前に、グリース封入工程を実施する。ただし、本例では、実施の形態の第4例とは異なり、外輪2aの軸方向外側部を下側に向けた状態で、グリース封入工程を実施する。
【0075】
本例のグリース封入工程では、
図11に示すように、内側列の外輪軌道6dの内径側に配置した内側列のころ組立体17dを、内側列のころ組立体17dの内径側に挿入したコレットチャックのごとき略円筒状の引上治具41を利用して、上側に引き上げる。具体的には、引上治具41の先端部(下端部)に形成された径方向外側に折れ曲がった係止鍔部42を、円すいころ4dの小径側端部に対して係止し、内側列のころ組立体17dを上側に引き上げる。これにより、内側列のころ組立体17dを外輪2aに対して上側に相対移動させる。そして、内側列のころ組立体17dを、正規の組み付け位置よりも外輪軌道6dの内径が大きくなる側である上側にずれた位置に配置する。これにより、円すいころ4dの転動面を外輪軌道6dから径方向内側に離隔させるとともに、保持器12dを構成する柱部21aの径方向外側面を外輪軌道6dから径方向内側に離隔させる。そして、内側列のころ組立体17dと内側列の外輪軌道6dとの間に隙間38aを形成する。
【0076】
上述したように、内側列のころ組立体17dと内側列の外輪軌道6dとの間に隙間38aを形成したならば、内側列のころ組立体17dの上側に配置したグリース封入治具39dから隙間38aに向けてグリースを吐出する。具体的には、グリース封入治具39dの下端面の径方向外側部に開口した吐出口40dから、隙間38aに向けてグリースを吐出する。
【0077】
以上のような本例では、外輪2aの軸方向外側部を下側に向けた状態でグリース封入工程を行うため、内側列のころ組立体17dと外輪軌道6dとの間の隙間38aを通過したグリースを、外側列のころ組立体17cに対しても供給しやすくなる。
その他の構成及び作用効果は、実施の形態の第1例及び第4例と同じである。
【0078】
[実施の形態の第6例]
実施の形態の第6例について、
図12及び
図13を用いて説明する。
本例は、実施の形態の第5例の変形例であり、内側列のころ組立体17dを引き上げる際に使用する引上治具41aの構造のみが、実施の形態の第5例とは異なる。
【0079】
引上治具41aは、略円筒形状を有しており、先側部が拡径可能に構成されている。このために、
図13に示すように、引上治具41aの先端部(下端部)から中間部にわたる範囲に軸方向に伸長したスリット43を複数形成し、円周方向に隣り合うスリット43同士の間部分を帯状部44としている。また、帯状部44の先端部の内周面には、径方向内側に向けて突出した突起部45を設けている。突起部45は、略半円形状の断面形状を有しており、下半部の径方向内側面は、上方に向かうほど径方向内側に向かう方向に傾斜している。このような帯状部44は、
図12の(B)に示すように、先端部に形成された突起部45がハブ輪7aの外周面に形成された段差面24の外周縁部に乗り上げることで、径方向外側に弾性変形する(拡径する)。
【0080】
本例では、上述のような引上治具41aを、内側列の外輪軌道6dの内径側に内側列のころ組立体17dを配置した状態で、内側列のころ組立体17dの内径側に挿入する。そして、帯状部44の突起部45を段差面24の外周縁部に乗り上げさせることで、帯状部44の先側部を拡径する。そして、帯状部44の外周面により、内側列の円すいころ4dの小径側端部を上側に向けて押し上げる。これにより、内側列のころ組立体17dを外輪2aに対して上側に相対移動させ、内側列のころ組立体17dを、正規の組み付け位置よりも外輪軌道6dの内径が大きくなる側である上側にずれた位置に配置する。
【0081】
以上のような本例では、引上治具41aの構造を簡素化することができる。このため、ハブユニット軸受1aの製造コストを低く抑えることができる。
その他の構成及び作用効果は、実施の形態の第1例、第4例及び第5例と同じである。
【0082】
[実施の形態の第7例]
実施の形態の第7例について、
図14を用いて説明する。
本例の場合にも、内側列の円すいころ4dを対象にグリース封入工程を実施するが、ハブユニット軸受1aの組立工程の第5工程にて、前記
図6の(A)に示したように、外輪2aとハブ輪7aとの間に、内側列の円すいころ4dと内側列の保持器12dと小鍔部28を有する内輪8aを組み合わせて成る内輪組立体18aを組み込む作業を行う際に、グリース封入工程を実施する。
【0083】
本例のグリース封入工程では、
図14に示すように、中間組立体35の中心軸を上下方向に向けて配置する。具体的には、外輪2aの軸方向外側部を上側に向けた状態で載置する。そして、外輪2aとハブ輪7aとの間に、図示しない圧入治具を利用して内輪組立体18aを下側から挿入し、内輪組立体18aを構成する内輪8aを嵌合軸部11aに対して圧入(仮圧入)する。そして、内輪8aの上端部(軸方向外端部)が段差面24に突き当たる前に、圧入作業を一旦中断する。これにより、内側列のころ組立体17dは、正規の組み付け位置よりも外輪軌道6dの内径が大きくなる側である下側にずれた位置に配置される。このため、円すいころ4dの転動面は、外輪軌道6dから径方向内側に離隔した位置に配置されており、保持器12dを構成する柱部21aの径方向外側面は、外輪軌道6dから径方向内側に離隔した位置に配置されている。したがって、内側列のころ組立体17dと内側列の外輪軌道6dとの間に、隙間38aが形成される。
【0084】
上述したように、内側列のころ組立体17dと内側列の外輪軌道6dとの間に隙間38aを形成したならば、内側列のころ組立体17dの下方に配置したグリース封入治具39cの吐出口40cから隙間38aに向けてグリースを吐出する。
【0085】
上述のようにして、隙間38aにグリースを供給した後は、図示しない圧入治具による圧入作業を再開し、内輪8aの上端部が段差面24に突き当たるまで、内輪組立体18aを圧入(挿入)する。
【0086】
以上のような本例の場合にも、脱落防止保持器である内側列の保持器12dにより保持された内側列の円すいころ4dの転動面と内側列の外輪軌道6d及び内輪軌道10dとの転がり接触部の潤滑状態を良好にできるだけでなく、円すいころ4dの大径側端部と内輪8aの大鍔部14dとの接触部の潤滑状態も良好にできる。
その他の構成及び作用効果は、実施の形態の第1例及び第4例と同じである。
【0087】
本発明は、従動輪用に限らず、駆動輪用のハブユニット軸受に適用することができる。また、円すいころの脱落を防止するための脱落防止保持器の構造は、実施の形態の各例で示した構造に限定されず、その機能を発揮できる限りにおいて、その他の構造を採用することができる。また、外側密封部材及び内側密封部材の構造についても、実施の形態の各例に示した構造に限定されず、従来から知られた各種構造の密封部材を採用すことができる。また、実施の形態の各例は、適宜組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0088】
1、1a ハブユニット軸受
2、2a 外輪
3、3a ハブ
4a~4d 円すいころ
5、5a 静止フランジ
6a~6d 外輪軌道
7、7a ハブ輪
8、8a 内輪
9、9a 回転フランジ
10a~10d 内輪軌道
11、11a 嵌合軸部
12a~12d 保持器
13、13a 空間
14a~14d 大鍔部
15、15a 外側密封部材
16、16a 内側密封部材
17a~17d ころ組立体
18、18a 内輪組立体
19、19a 小径円環部
20、20a 大径円環部
21、21a 柱部
22、22a ポケット
23 パイロット部
24 段差面
25 かしめ部
27a 円弧状部
27b 平面部
28 小鍔部
29 芯金
30 シール材
31a~31c シールリップ
32 補助リップ
33 固定筒部
34 底板部
35 中間組立体
36、36a 支持台
37 押上治具
38、38a 隙間
39、39a~39d グリース封入治具
40、40a~40d 吐出口
41、41a 引上治具
42 係止鍔部
43 スリット
44 帯状部
45 突起部
46 芯出し機構