(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-22
(45)【発行日】2022-03-30
(54)【発明の名称】過電圧保護回路及び電源装置
(51)【国際特許分類】
H02M 3/00 20060101AFI20220323BHJP
H02M 1/00 20070101ALI20220323BHJP
【FI】
H02M3/00 C
H02M1/00 E
(21)【出願番号】P 2019088611
(22)【出願日】2019-05-08
【審査請求日】2021-02-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100188307
【氏名又は名称】太田 昌宏
(74)【代理人】
【識別番号】100161148
【氏名又は名称】福尾 誠
(72)【発明者】
【氏名】沓掛 昌俊
(72)【発明者】
【氏名】森山 顕
【審査官】麻生 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】特開昭56-121366(JP,A)
【文献】国際公開第2015/137453(WO,A1)
【文献】特開2010-154639(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/00
H02M 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンバータの出力電圧
と、第1の設定電圧
とを入力し、前記コンバータの出力電圧を前記第1の設定電圧に近づけるための第1の指令電圧を出力する誤差増幅器と、
前記コンバータの出力電圧
と、前記第1の設定電圧よりも高い第2の設定電圧
とを入力し、前記コンバータの出力電圧を前記第2の設定電圧に近づけるための第2の指令電圧を出力する過電圧検出回路と、を備え、
前記第1の指令電圧と前記第2の指令電圧とに基づいて、前記コンバータを制御することを特徴とする過電圧保護回路。
【請求項2】
前記第2の指令電圧が所定の電圧以下となると過電圧検出信号を出力する監視回路と、
前記監視回路が前記過電圧検出信号を継続して出力する期間を測定するタイマー回路と、を備え、
前記タイマー回路により測定された期間が所定のタイマー時間に達すると、前記コンバータを非常停止させることを特徴とする、請求項1に記載の過電圧保護回路。
【請求項3】
前記第2の指令電圧が所定の電圧以下となると過電圧検出信号を出力する監視回路と、
前記監視回路が前記過電圧検出信号を継続して出力する期間を測定するタイマー回路と、を備え、
前記タイマー回路により測定された期間が所定のタイマー時間に達すると、警告を外部のシステムに通知することを特徴とする、請求項1に記載の過電圧保護回路。
【請求項4】
前記第2の指令電圧が所定の電圧以下となると過電圧検出信号を出力する監視回路と、
前記監視回路が前記過電圧検出信号を継続して出力する期間を測定するタイマー回路と、を備え、
前記過電圧検出回路は、前記タイマー回路により測定された期間が所定のタイマー時間に達すると、前記コンバータの出力電圧を前記第1の設定電圧に近づけるための第3の指令電圧を出力し、
前記第1の指令電圧と、前記第2の指令電圧又は前記第3の指令電圧とに基づいて、前記コンバータを制御することを特徴とする、請求項1に記載の過電圧保護回路。
【請求項5】
前記誤差増幅器の出力端子は、整流機能を有する第1の半導体素子の一方の端子に接続され、前記過電圧検出回路の出力端子は、整流機能を有する第2の半導体素子の一方の端子に接続され、前記第1の半導体素子及び前記第2の半導体素子の他方の端子同士は接続され、
前記第1の半導体素子及び前記第2の半導体素子の前記他方の端子の電圧に基づいて前記コンバータを制御することを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の過電圧保護回路。
【請求項6】
前記誤差増幅器の出力端子は、第1の半導体素子の発光素子の一方の端子に接続され、前記過電圧検出回路の出力端子は、第2の半導体素子の発光素子の一方の端子に接続され、前記第1の半導体素子の受光素子の出力端子及び前記第2の半導体素子の受光素子の出力端子同士は接続され、
前記第1の半導体素子及び前記第2の半導体素子の前記出力端子の電圧に基づいて前記コンバータを制御することを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の過電圧保護回路。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の過電圧保護回路を備えることを特徴とする電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、過電圧保護回路及び電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電源装置として、出力電圧が所定の基準値を超えた過電圧状態になった場合に出力を停止させる過電圧保護回路を備えるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電源装置の出力電圧は、外乱ノイズの影響により上昇する場合がある。そこで、耐ノイズ性を向上させるためには、電源装置の過電圧検出レベルを外乱ノイズのレベルよりも高く設定する必要がある。しかし、耐ノイズ性を向上させると、電源装置に接続される負荷モジュールの入力部の回路は、過電圧検出レベルよりも高い電圧に耐える設計にする必要があるため、部品コストの増加、回路サイズの巨大化などの要因となる。
【0005】
そこで、本開示は、過電圧検出レベルを外乱ノイズのレベルよりも低く設定しても、耐ノイズ性を確保することが可能な過電圧保護回路及び電源装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
幾つかの実施形態に係る過電圧保護回路は、コンバータの出力電圧と、第1の設定電圧とを入力し、前記コンバータの出力電圧を前記第1の設定電圧に近づけるための第1の指令電圧を出力する誤差増幅器と、前記コンバータの出力電圧と、前記第1の設定電圧よりも高い第2の設定電圧とを入力し、前記コンバータの出力電圧を前記第2の設定電圧に近づけるための第2の指令電圧を出力する過電圧検出回路と、を備え、前記第1の指令電圧及び前記第2の指令電圧に基づいて前記コンバータを制御する。
これにより、過電圧検出回路の過電圧検出レベルを外乱ノイズのレベルよりも低く設定しても、耐ノイズ性を確保することができる。
【0007】
一実施形態において、前記第2の指令電圧が所定の電圧以下となると過電圧検出信号を出力する監視回路と、前記監視回路が前記過電圧検出信号を継続して出力する期間を測定するタイマー回路と、を備え、前記タイマー回路により測定された期間が所定のタイマー時間に達すると、前記コンバータを非常停止させてもよい。
これにより、過電圧故障が発生した際に、入力可能な電圧レベルを超えた電圧が負荷モジュールに印加されることを防止することができ、信頼性を高めることができる。
【0008】
一実施形態において、前記第2の指令電圧が所定の電圧以下となると過電圧検出信号を出力する監視回路と、前記監視回路が前記過電圧検出信号を継続して出力する期間を測定するタイマー回路と、を備え、前記タイマー回路により測定された期間が所定のタイマー時間に達すると、警告を外部のシステムに通知してもよい。
これにより、過電圧故障が発生した際に、故障を外部のシステムを介してユーザに通達することができ、信頼性を高めることができる。
【0009】
一実施形態において、前記第2の指令電圧が所定の電圧以下となると過電圧検出信号を出力する監視回路と、前記監視回路が前記過電圧検出信号を継続して出力する期間を測定するタイマー回路と、を備え、前記過電圧検出回路は、前記タイマー回路により測定された期間が所定のタイマー時間に達すると、前記コンバータの出力電圧を前記第1の設定電圧に近づけるための第3の指令電圧を出力し、前記第1の指令電圧と、前記第2の指令電圧又は前記第3の指令電圧とに基づいて、前記コンバータを制御してもよい。
これにより、過電圧故障が発生した際に、電源装置及び負荷モジュールの故障リスクを低減させることができる。
【0010】
一実施形態において、前記誤差増幅器の出力端子は、整流機能を有する第1の半導体素子の一方の端子に接続され、前記過電圧検出回路の出力端子は、整流機能を有する第2の半導体素子の一方の端子に接続され、前記第1の半導体素子及び前記第2の半導体素子の他方の端子同士は接続され、前記第1の半導体素子及び前記第2の半導体素子の前記他方の端子の電圧に基づいて前記コンバータを制御してもよい。
また、一実施形態において、前記誤差増幅器の出力端子は、第1の半導体素子の発光素子の一方の端子に接続され、前記過電圧検出回路の出力端子は、第2の半導体素子の発光素子の一方の端子に接続され、前記第1の半導体素子の受光素子の出力端子及び前記第2の半導体素子の受光素子の出力端子同士は接続され、前記第1の半導体素子及び前記第2の半導体素子の前記出力端子の電圧に基づいて前記コンバータを制御してもよい。
これにより、簡易な構成で、誤差増幅器の出力する第1の指令電圧、及び過電圧検出回路の出力する第2の指令電圧に基づいてコンバータを制御することができる。
【0011】
幾つかの実施形態に係る電源装置は、前記過電圧保護回路を備える。
これにより、過電圧検出回路の過電圧検出レベルを外乱ノイズのレベルよりも低く設定しても、耐ノイズ性を確保することができる。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、過電圧検出レベルを外乱ノイズのレベルよりも低く設定しても、耐ノイズ性を確保することが可能な過電圧保護回路及び電源装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】比較例に係る電源装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】
図1に示した過電圧保護回路の動作例を示す図である。
【
図3】第1の実施形態に係る過電圧保護回路及び電源装置を示す図である。
【
図4】
図3に示した過電圧保護回路及び電源装置の変形例を示す図である。
【
図5】
図3及び
図4に示した過電圧保護回路の動作例を示す図である。
【
図6】第2の実施形態に係る過電圧保護回路及び電源装置を示す図である。
【
図7】
図6に示した過電圧保護回路の動作例を示す図である。
【
図8】第3の実施形態に係る過電圧保護回路及び電源装置を示す図である。
【
図9】
図8に示した過電圧保護回路の動作例を示す図である。
【
図10】第4の実施形態に係る過電圧保護回路及び電源装置を示す図である。
【
図11】
図10に示した過電圧保護回路の動作例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、回路構成には多種のバリエーション(出力電圧Voutを分圧したり、出力電圧Voutの分圧比を変えて基準電圧Vref1,Vref2を同じ値にしたり、誤差増幅器/過電圧検出回路/PWM制御回路の動作極性を変えたり等)が考えられるが、本開示においては、簡単のため、下記の回路構成を前提に説明する。
・出力電圧Voutは分圧せずに、誤差増幅器、過電圧検出回路に直接入力する。
・誤差増幅器、過電圧検出回路は、非反転動作である。
・PWM制御回路は、FB端子への入力電圧が低くなると、コンバータのスイッチング素子のデューティ比を低くする方向の信号を出力する。
【0015】
まず、比較例に係る電源装置について説明する。
図1は、比較例に係る電源装置100の構成を示すブロック図である。比較例に係る電源装置100は、EMI(Electro Magnetic Interference)フィルタ10と、整流器20と、平滑コンデンサ30と、過電圧保護回路40とを備える。過電圧保護回路40は、コンバータ51と、PWM制御回路52と、誤差増幅器53と、過電圧検出回路54とを備える。
【0016】
電源装置100は、EMIフィルタ10により電磁ノイズを除去し、整流器20により交流電力を直流電力に変換する。平滑コンデンサ30は、整流器20から入力された直流電圧を一定に維持し、コンバータ51に出力する。
【0017】
過電圧保護回路40は、誤差増幅器53が故障したことにより、コンバータ51の出力電圧(すなわち、電源装置100の出力電圧)Voutが正常動作時よりも高くなったときに、電源装置100の出力に接続されている負荷モジュール200を保護するための回路を含む。
【0018】
誤差増幅器53は、基準電圧Vref1に基づいて、コンバータ51の出力電圧Voutのレベルを制御する。
【0019】
過電圧検出回路54は、コンバータ51の出力電圧Voutのレベルが所定の設定電圧を超えた場合に過電圧を検出し、ハイレベルを出力する。また、誤差増幅器53及び過電圧検出回路54は、シャントレギュレータや差動増幅器であってもよい。
【0020】
PWM(Pulse Width Modulation)制御回路52は、FB(フィードバック)端子のレベルに応じて、コンバータ51のスイッチング素子のデューティ比を変化させるためのPWM信号を生成し、コンバータ51に出力する。また、PWM制御回路52は、SD(シャットダウン)端子に過電圧検出回路54からハイレベルの電圧が入力されると、コンバータ51のスイッチング素子のデューティ比を0%にするための信号をコンバータ51に提供する。これにより、コンバータ51の出力電圧Voutは0Vとなる。
【0021】
コンバータ51は、スイッチング素子を有し、PWM制御回路52から入力されたPWM信号に基づいてスイッチング素子をオンオフさせることにより、出力電圧Voutを変化させる。具体的には、コンバータ51は、PWM制御回路52のFB端子のレベルが低い場合には、スイッチング素子のデューティ比を下げて出力電圧Voutのレベルを下げ、PWM制御回路52のFB端子のレベルが高い場合には、スイッチング素子のデューティ比を上げて出力電圧Voutのレベルを上げる。
【0022】
図2は、過電圧保護回路40の動作を示す図である。
図2は上から順に、コンバータ51の出力電圧V
outの波形、誤差増幅器53の出力電圧(
図1で示した記号Aの位置の電圧)の波形、過電圧検出回路54の出力電圧(
図1で示した記号Bの位置の電圧)の波形、及びPWM制御回路52により制御されたデューティ比を示している。
【0023】
ここで例えば、誤差増幅器53が故障して誤差増幅器53の出力電圧(
図1で示した記号Aの位置の電圧)が最大値(Max)になったような場合には、コンバータ51の出力電圧V
outのレベルは上昇する。この場合、過電圧検出回路54は出力電圧V
outの過電圧を検出し、過電圧検出回路54の出力電圧(
図1で示した記号Bの位置の電圧)をハイレベルにする。PWM制御回路52は、過電圧検出回路54からハイレベルの信号を受け取ると、コンバータ51のスイッチング素子のデューティ比を0%にするための信号を出力する。デューティ比が0%になると、コンバータ51は、出力電圧V
outを0Vにする。
【0024】
電源装置100は、正常動作時においても、外乱ノイズや負荷変動など(以下、単に「外乱ノイズ」という。)の影響により出力電圧Voutのレベルが上昇する場合がある。その外乱ノイズによって、過電圧保護回路40が誤動作しないように、過電圧検出電圧のレベルを外乱ノイズのレベルよりも高く設定する必要がある。
【0025】
すなわち、
図2で示すように、過電圧保護回路40の過電圧検出電圧V
ovp’のレベルを外乱ノイズV
noiseよりも高いレベルに設定する必要がある。そのため、電源装置100に接続される負荷モジュール200の入力部の回路は、電源装置100の過電圧保護回路40の過電圧検出電圧V
ovp’のレベルよりも高い電圧に耐える設計にする必要があり、部品コストの増加、回路サイズの巨大化などの要因となる。また、耐ノイズ性と過電圧保護回路40の過電圧検出レベルはトレードオフの関係になっており、過電圧保護回路40の過電圧検出電圧V
ovp’のレベルを下げると外乱ノイズにより過電圧保護回路40が過敏に反応することとなり、コンバータ51の出力電圧V
outが0Vになるケースが増えるなど、耐ノイズ性が低下してしまう。
【0026】
そこで、本開示では、過電圧検出レベルを外乱ノイズのレベルよりも低く設定しても、耐ノイズ性を確保することが可能な過電圧保護回路及び電源装置について説明する。
【0027】
(第1の実施形態)
図3は、第1の実施形態に係る過電圧保護回路及び電源装置を示す図である。
図3に示すように、電源装置1は、EMIフィルタ10と、整流器20と、平滑コンデンサ30と、過電圧保護回路41とを備える。過電圧保護回路41は、コンバータ51と、PWM制御回路52と、誤差増幅器53と、過電圧検出回路55と、半導体素子56,57とを備える。
図1に示した電源装置100と同じ構成については同一の参照番号を付して適宜説明を省略する。
【0028】
誤差増幅器53は、コンバータ51の出力電圧(すなわち、電源装置1の出力電圧)V
outを第1の設定電圧に近づけるための第1の指令電圧を出力する。
図3ではコンバータ51の出力電圧V
outをそのまま誤差増幅器53の入力電圧としているが、コンバータ51の出力電圧V
outを分圧して誤差増幅器53の入力電圧としてもよい。誤差増幅器53は、コンバータ51から入力された電圧(コンバータ51の出力電圧V
outをそのまま誤差増幅器53の入力電圧とする場合にはV
outであり、コンバータ51の出力電圧V
outを分圧して誤差増幅器53の入力電圧とする場合にはV
outを分圧した電圧)を基準電圧V
ref1に近づけるための第1の指令電圧を出力する。
【0029】
図1に示した従来の過電圧検出回路54の出力はロジック的な動作となるが、過電圧検出回路55の出力はアナログ的な動作を行う。過電圧検出回路55は、誤差増幅器53と同様の機能を有しており、コンバータ51の出力電圧V
outを第1の設定電圧よりも高い第2の設定電圧(過電圧検出電圧)に近づけるための第2の指令電圧を出力する。
図3ではコンバータ51の出力電圧V
outをそのまま過電圧検出回路55の入力電圧としているが、コンバータ51の出力電圧V
outを分圧して過電圧検出回路55の入力電圧としてもよい。過電圧検出回路55は、コンバータ51から入力された電圧(コンバータ51の出力電圧V
outをそのまま過電圧検出回路55の入力電圧とする場合にはV
outであり、コンバータ51の出力電圧V
outを分圧して過電圧検出回路55の入力電圧とする場合にはV
outを分圧した電圧)を基準電圧V
ref2に近づけるための第2の指令電圧を出力する。
【0030】
ここで、過電圧検出回路55の基準電圧Vref2は、誤差増幅器53の基準電圧Vref1よりも高いものとする。なお、基準電圧Vref1と基準電圧Vref2とを等しくして、コンバータ51の出力電圧Voutの分圧比を変えて、過電圧検出回路55の入力電圧が誤差増幅器53の入力電圧よりも低くなるようにしてもよい。
【0031】
半導体素子56,57は、
図3ではダイオードである場合を示している。誤差増幅器53及び過電圧検出回路55は並列に接続される。誤差増幅器53の出力端子は半導体素子56を介してPWM制御回路52のFB端子に接続され、過電圧検出回路55の出力端子は、半導体素子57を介してPWM制御回路52のFB端子に接続される。すなわち、半導体素子56,57と抵抗により、誤差増幅器53の出力電圧と、過電圧検出回路55の出力電圧との比較を行っている。同電圧比較が可能であれば、本回路構成以外の回路構成を用いてもよい。
【0032】
PWM制御回路52は、誤差増幅器53の出力する第1の指令電圧、及び過電圧検出回路55の出力する第2の指令電圧のうち、コンバータ51の出力電圧V
outを低い電圧にする方を優先して制御する。例えば、
図3に示すように、誤差増幅器53の出力端子は半導体素子56のカソードに接続され、過電圧検出回路55の出力端子は半導体素子57のカソードに接続される。また、半導体素子56,57のアノード同士は接続され、PWM制御回路52のFB端子に接続される。
【0033】
図4は、半導体素子56,57がフォトカプラである場合の過電圧保護回路及び電源装置を示す図である。半導体素子56,57の入力は、出力電圧V
outでもよいし、定電圧でもよい。
図4に示す例では、誤差増幅器53の出力端子は、半導体素子56の発光素子のカソードに接続され、過電圧検出回路55の出力端子は、半導体素子57の発光素子のカソードに接続される。また、半導体素子56の受光素子の出力端子(
図4ではコレクタ)及び半導体素子57の受光素子の出力端子(
図4ではコレクタ)同士は接続され、PWM制御回路52のFB端子に接続される。
【0034】
図3や
図4に示す構成により、FB端子の電圧は、誤差増幅器53の出力電圧と過電圧検出回路55の出力電圧の低い方に応じたレベルとなる。したがって、過電圧保護回路41は、誤差増幅器53が出力する第1の指令電圧、及び過電圧検出回路55が出力する第2の指令電圧の低い方に基づいてコンバータ51を制御する。
【0035】
なお、誤差増幅器53、過電圧検出回路55、及びPWM制御回路52の極性を逆にするなどにより、過電圧保護回路41は、誤差増幅器53が出力する第1の指令電圧、及び過電圧検出回路55が出力する第2の指令電圧の高い方に基づいてコンバータ51を制御するようにしてもよい。
【0036】
次に、過電圧保護回路41の動作について
図5を参照して説明する。
図5は上から順に、コンバータ51の出力電圧V
outの波形、誤差増幅器53の出力電圧(
図3及び
図4で示した記号Cの位置の電圧)の波形、過電圧検出回路55の出力電圧(
図3及び
図4で示した記号Dの位置の電圧)の波形、PWM制御回路52のFB端子に入力される電圧(
図3及び
図4で示した記号Eの位置の電圧)の波形、及びPWM制御回路52により制御されたデューティ比を示している。
【0037】
誤差増幅器53の基準電圧Vref1よりも過電圧検出回路55の基準電圧Vref2のほうが高く設定されているため、誤差増幅器53が正常に動作している場合には、誤差増幅器53の出力電圧に基づいてPWM制御が行われる。
【0038】
誤差増幅器53が正常に動作している場合には、誤差増幅器53の入力電圧は基準電圧Vref1に近づくため、誤差増幅器53が出力する第1の指令電圧は、コンバータ51の出力電圧Voutが誤差増幅器53の第1の設定電圧と等しくなる時のレベルに近づく。また、誤差増幅器53が正常に動作している場合には、過電圧検出回路55の入力電圧は基準電圧Vref2よりも低いため、過電圧検出回路55が出力する第2の指令電圧は最大値(Max)となる。
【0039】
コンバータ51の出力電圧Voutのレベルが上昇する方向に誤差増幅器53が故障した場合には、出力電圧Voutのレベルが誤差増幅器53の第1の設定電圧を超えるようになる。半導体素子56、57及び抵抗は、電圧Cと電圧Dとの比較を行い、低い方となる電圧をPWB制御回路52の入力端子FBに提供する。そのため、出力電圧Voutのレベルが過電圧検出回路55の第2の設定電圧である過電圧検出電圧Vovpまで上昇すると、PWM制御回路52は過電圧検出回路55の出力電圧に基づいて、コンバータ51のスイッチング素子のデューティ比を操作する信号を出力する。したがって、コンバータ51は、出力電圧Voutの上昇を過電圧検出電圧Vovpのレベルに抑制することができる。
【0040】
上述したように、第1の実施形態の過電圧保護回路41は、コンバータ51の出力電圧Voutを第1の設定電圧に近づけるための第1の指令電圧を出力する誤差増幅器53と、コンバータ51の出力電圧Voutを第1の設定電圧よりも高い第2の設定電圧(過電圧検出電圧Vovp)に近づけるための第2の指令電圧を出力する過電圧検出回路55と、を備える。そして、過電圧保護回路41は、第1の指令電圧及び第2の指令電圧に基づいてコンバータ51を制御する。
【0041】
図1に示した従来の過電圧保護回路40では、
図2に示したように誤差増幅器53が故障して出力電圧V
outが上昇した場合に、外乱ノイズV
noiseよりも高い過電圧検出電圧V
ovp’を検出した時点で過電圧保護動作を開始する。一方、第1の実施形態の電源装置1は、過電圧保護回路41の検出レベルを従来の過電圧検出電圧V
ovp’よりも低い過電圧検出電圧V
ovpに設定することが可能となる。そして、
図5に示したように、誤差増幅器53が故障して出力電圧V
outが上昇した場合に、外乱ノイズV
noiseよりも低い過電圧検出電圧V
ovpを検出した時点で過電圧保護動作を開始することができる。そのため、電源装置1に接続される負荷モジュール200の入力部の設計の制約を緩和することができ、負荷モジュール200の入力部の部品コストの削減、回路サイズの縮小化などを実現可能となる。
【0042】
また、過電圧保護回路41は、
図5に示したように、過電圧検出回路55により設定された過電圧検出電圧V
ovpを超える外乱ノイズV
noiseが外部から印加された場合でもPWM制御を停止させない。そのため、従来のような過電圧検出レベルと耐ノイズ性のトレードオフの関係がなくなり、過電圧検出レベルを下げても、耐ノイズ性を確保することができる。
【0043】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係る過電圧保護回路及び電源装置について説明する。第1の実施形態では上述したように誤差増幅器53の故障による過電圧を抑制することができるが、誤差増幅器53の故障が発生したことを検出する手段がないため、電源装置1は動作を継続する。この状態で出力電圧Voutのレベルが上昇する方向に過電圧検出回路55が故障した場合には、電源装置1に接続される負荷モジュール200に、入力可能な電圧レベルを超えた電圧が印加されてしまうおそれがある。そこで、本実施形態では、第1の実施形態に対して、誤差増幅器53の故障により過電圧検出回路55による制御が継続した場合に電源装置の出力電圧Voutを非常停止させる機能を追加する。本明細書において「非常停止」とは、コンバータ51の動作自体を停止させてもよいし、出力電圧Voutを0Vにしてもよいし、出力電圧Voutを出力オープンにしてもよい。以下では、出力電圧Voutを0Vにするものとして説明する。
【0044】
図6は、第2の実施形態に係る過電圧保護回路及び電源装置を示す図である。
図6に示すように、電源装置2は、EMIフィルタ10と、整流器20と、平滑コンデンサ30と、過電圧保護回路42とを備える。過電圧保護回路42は、コンバータ51と、PWM制御回路52と、誤差増幅器53と、過電圧検出回路55と、半導体素子56,57と、監視回路58と、タイマー回路59とを備える。本実施形態では、第1の実施形態と比較して、過電圧保護回路42が監視回路58及びタイマー回路59を更に備える点が相違する。
【0045】
過電圧検出回路55は、コンバータ51の出力電圧(すなわち、電源装置2の出力電圧)Voutを第2の設定電圧(過電圧検出電圧Vovp)に近づけるための第2の指令電圧を、半導体素子57及び監視回路58に出力する。
【0046】
監視回路58は、過電圧検出回路55から入力された第2の指令電圧を監視し、第2の指令電圧が所定の電圧以下になると、その旨を示す過電圧検出信号(例えば、ハイレベルの電圧信号)をタイマー回路59に出力する。
【0047】
タイマー回路59は、監視回路58が過電圧検出信号を継続して出力する期間を測定(カウント)する。そして、タイマー回路59は、測定した期間が所定のタイマー時間(カウント値)に達すると、動作停止信号(例えば、ハイレベルの電圧信号)をPWM制御回路52のSD端子に出力する。
【0048】
PWM制御回路52は、SD端子にタイマー回路59から動作停止信号が入力されると、コンバータ51のスイッチング素子のデューティ比を0%とするPWM信号を出力し、コンバータ51はその出力電圧を0Vとする。すなわち、過電圧保護回路42は、タイマー回路59により測定された期間が所定のタイマー時間に達すると、コンバータ51の出力電圧は0Vとなる。
【0049】
次に、過電圧保護回路42の動作について、
図7を参照して説明する。
図7は上から順に、コンバータ51の出力電圧V
outの波形、誤差増幅器53の出力電圧(
図6で示した記号Fの位置の電圧)の波形、過電圧検出回路55の出力電圧(
図6で示した記号Gの位置の電圧)の波形、PWM制御回路52のFB端子に入力される電圧(
図6で示した記号Hの位置の電圧)の波形、タイマー回路59の測定期間を示す波形、及びPWM制御回路52により制御されたデューティ比を示している。
【0050】
出力電圧Voutのレベルが上昇する方向に誤差増幅器53が故障した場合には、過電圧検出回路55が出力する第2の指令電圧のほうが、誤差増幅器53が出力する第1の指令電圧よりも低くなる。すると、PWM制御回路52は第2の指令電圧に基づいてPWM制御を行うようになるため、出力電圧Voutの上昇を抑制することができる。
【0051】
過電圧検出回路55が出力する第2の指令電圧が所定の電圧以下になると、タイマー回路59は測定を開始する。タイマー回路59が測定した期間が所定のタイマー時間に達すると、PWM制御回路52は、スイッチング素子のデューティ比を0%にする。デューティ比が0%になるとコンバータ51の出力電圧Voutは低下して0になる。
【0052】
上述したように、第2の実施形態の過電圧保護回路42は、第1の実施形態の過電圧保護回路41の構成に加え、第2の指令電圧が所定の電圧以下となると過電圧検出信号を出力する監視回路58と、監視回路58が過電圧検出信号を継続して出力する期間を測定するタイマー回路59と、を備える。そして、過電圧保護回路42は、タイマー回路59により測定された期間が所定のタイマー時間を超えると、コンバータ51の出力電圧Voutを自動的に0Vに推移させる。
【0053】
本実施形態では、過電圧検出回路55の出力を監視回路58により監視することで、誤差増幅器53が過電圧故障した際に、コンバータ51及び電源装置2の出力を自動的に0Vに推移させることができる。したがって、過電圧検出回路55に故障が発生した際に、入力可能な電圧レベルを超えた電圧が負荷モジュール200に印加されることを防止することができ、第1の実施形態と比較して、さらに信頼性を高めることが可能となる。
【0054】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態に係る過電圧保護回路及び電源装置について説明する。第1の実施形態では上述したように誤差増幅器53の故障による過電圧を抑制することができるが、誤差増幅器53の故障が発生したことを検出する手段がないため、電源装置1は動作を継続する。この状態で出力電圧Voutのレベルが上昇する方向に過電圧検出回路55が故障した場合には、電源装置1に接続される負荷モジュール200に、入力可能な電圧レベルを超えた電圧が印加されてしまうおそれがある。そこで、本実施形態では、第1の実施形態に対して、電源装置が異常状態に陥ったことを上位システムに通知する機能を追加する。
【0055】
図8は、第3の実施形態に係る過電圧保護回路及び電源装置を示す図である。
図8に示すように、電源装置3は、EMIフィルタ10と、整流器20と、平滑コンデンサ30と、過電圧保護回路43とを備える。過電圧保護回路43は、コンバータ51と、PWM制御回路52と、誤差増幅器53と、過電圧検出回路55と、半導体素子56,57と、監視回路58と、タイマー回路60とを備える。本実施形態では、第1の実施形態と比較して、過電圧保護回路43が監視回路58及びタイマー回路60を更に備え、電源装置3が上位システム300に接続される点が相違する。なお、上位システム300がタイマー回路60を備える構成としてもよい。
【0056】
過電圧検出回路55は、第2の実施形態と同様に、コンバータ51の出力電圧(すなわち、電源装置3の出力電圧)Voutを第2の設定電圧(過電圧検出電圧Vovp)に近づけるための第2の指令電圧を、半導体素子57及び監視回路58に出力する。
【0057】
監視回路58は、第2の実施形態と同様に、過電圧検出回路55から入力された第2の指令電圧を監視し、第2の指令電圧が所定の電圧以下になると、その旨を示す過電圧検出信号(例えば、ハイレベルの電圧信号)をタイマー回路60に出力する。
【0058】
タイマー回路60は、第2の実施形態と同様に、監視回路58が過電圧検出信号を継続して出力する期間を測定(カウント)する。そして、タイマー回路60は、測定した期間が所定のタイマー時間(カウント値)に達すると、警告を外部のシステムに通知する。例えば、タイマー回路60は、警告信号(例えば、ハイレベルの電圧信号)を上位システム300に出力する。
【0059】
上位システム300は、タイマー回路60から警告信号が入力されることで、電源装置3の異常をユーザに通達する。上位システム300は、例えば分散制御システム(DCS:Distributed Control System)、及びSCADA(Supervisory Control And Data Acquisition)システムなどのプラント用の制御システムであってよい。
【0060】
次に、過電圧保護回路43の動作について、
図9を参照して説明する。
図9は上から順に、コンバータ51の出力電圧V
outの波形、誤差増幅器53の出力電圧(
図8で示した記号Iの位置の電圧)の波形、過電圧検出回路55の出力電圧(
図8で示した記号Jの位置の電圧)の波形、PWM制御回路52のFB端子に入力される電圧(
図8で示した記号Kの位置の電圧)の波形、タイマー回路60の測定期間を示す波形、タイマー回路60の出力電圧の波形、及びPWM制御回路52により制御されたデューティ比を示している。
【0061】
コンバータ51の出力電圧Voutのレベルが上昇する方向に誤差増幅器53が故障した場合には、過電圧検出回路55が出力する第2の指令電圧のほうが、誤差増幅器53が出力する第1の指令電圧よりも低くなる。すると、PWM制御回路52は第2の指令電圧に基づいてPWM制御を行うようになるため、出力電圧Voutの上昇を抑制することができる。
【0062】
過電圧検出回路55が出力する第2の指令電圧が所定の電圧以下になると、タイマー回路60は測定を開始する。
【0063】
タイマー回路60が測定した期間が所定のタイマー時間に達すると、タイマー回路60は警告信号を出力し、上位システム300に電源装置3の異常を通知する。
【0064】
上述したように、第3の実施形態の過電圧保護回路43は、第1の実施形態の過電圧保護回路41の構成に加え、第2の指令電圧が所定の電圧以下となると過電圧検出信号を出力する監視回路58と、監視回路58が過電圧検出信号を継続して出力する期間を測定するタイマー回路60と、を備える。そして、過電圧保護回路43は、タイマー回路60により測定された期間が所定のタイマー時間に達すると、警告を外部の上位システム300に通知する。
【0065】
本実施形態では、過電圧検出回路55の出力を監視回路58により監視することで、誤差増幅器53が過電圧故障した際に、電源装置3の故障を上位システム300に通知することができる。したがって、第1の実施形態と比較して、さらに信頼性を高めることが可能となる。
【0066】
(第3の実施形態の変形例)
さらに、第3の実施形態の変形例として、タイマー回路60は警告信号を上位システム300に出力した後、新たに、監視回路58が過電圧検出信号を継続して出力する期間を測定し、測定した期間が所定のタイマー時間に達すると、動作停止信号(例えば、ハイレベルの電圧信号)をPWM制御回路52のSD端子に出力するようにしてもよい。
【0067】
PWM制御回路52は、SD端子にタイマー回路60から動作停止信号が入力されると、コンバータ51のスイッチング素子のデューティ比を0%とするPWM信号を出力し、コンバータ51の出力電圧を0Vとする。その他の構成は、第3の実施形態と同じである。したがって、この変形例では、誤差増幅器53が過電圧故障した際に、電源装置3の故障を上位システム300に通知することができ、さらに誤差増幅器53の故障を上位システム300に通知後に出力電圧Voutが所定の期間を超えて過電圧検出電圧Vovpの状態のままである場合に、コンバータ51及び電源装置3の出力を自動的に0Vに推移させることが可能となる。
【0068】
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態に係る過電圧保護回路及び電源装置について説明する。第1の実施形態でも誤差増幅器53の故障による過電圧を抑制することができるが、出力電圧Voutのレベルが過電圧検出電圧Vovpの状態のまま、電源装置1は動作を継続してしまう。この状態が継続されると、電源装置1の消費電力増加に伴う電源装置1の故障リスクや、負荷モジュール200への印加電圧上昇に伴う負荷モジュール200の故障リスクが増加する。そこで、本実施形態では、第1の実施形態に対して、過電圧発生時の出力電圧VoutのレベルをVovpから再度引き下げる機能を追加する。
【0069】
図10は、第4の実施形態に係る過電圧保護回路及び電源装置を示す図である。
図10に示すように、電源装置4は、EMIフィルタ10と、整流器20と、平滑コンデンサ30と、過電圧保護回路44とを備える。過電圧保護回路44は、コンバータ51と、PWM制御回路52と、誤差増幅器53と、過電圧検出回路55と、半導体素子56,57と、監視回路58と、タイマー回路61と、スイッチ62とを備える。本実施形態では、第1の実施形態と比較して、過電圧保護回路44が監視回路58、タイマー回路61、及びスイッチ62を更に備える点、及び過電圧検出回路55の制御が相違する。
【0070】
監視回路58は、第2の実施形態と同様に、過電圧検出回路55から入力された第2の指令電圧を監視し、第2の指令電圧が所定の電圧以下になると、その旨を示す過電圧検出信号(例えば、ハイレベルの電圧信号)をタイマー回路61に出力する。
【0071】
スイッチ62は、タイマー回路61の指示に基づき、基準電圧Vref1、及び基準電圧Vref1よりも高い基準電圧Vref2のいずれか一方を選択し、過電圧検出回路55に出力する。スイッチ62は、初期状態では基準電圧Vref2を選択する。
【0072】
タイマー回路61は、第2の実施形態と同様に、監視回路58が過電圧検出信号を継続して出力する期間を測定(カウント)する。そして、タイマー回路61は、測定した期間が所定のタイマー時間(カウント値)に達すると、スイッチ62に、基準電圧Vref1を選択するように指示する。
【0073】
過電圧検出回路55は、コンバータ51から入力された電圧(コンバータ51の出力電圧Voutをそのまま過電圧検出回路55の入力電圧とする場合にはVoutであり、コンバータ51の出力電圧Voutを分圧して過電圧検出回路55の入力電圧とする場合にはVoutを分圧した電圧)を、スイッチ62により選択された基準電圧Vref2又は基準電圧Vref1に近づけるための指令電圧を出力する。つまり、過電圧検出回路55は、スイッチ62が基準電圧Vref2を選択している場合には、コンバータ51の出力電圧Voutを第1の設定電圧よりも高い第2の設定電圧(過電圧検出電圧Vovp)に近づけるための第2の指令電圧を出力し、タイマー回路61により測定された期間が所定のタイマー時間に達したことによりスイッチ62が基準電圧Vref1を選択している場合には、コンバータ51の出力電圧Voutを第1の設定電圧Vnormalに近づけるための第3の指令電圧を出力する。
【0074】
次に、過電圧保護回路44の動作について、
図11を参照して説明する。
図11は上から順に、コンバータ51の出力電圧V
outの波形、誤差増幅器53の出力電圧(
図10で示した記号Lの位置の電圧)の波形、過電圧検出回路55の出力電圧(
図10で示した記号Mの位置の電圧)の波形、PWM制御回路52のFB端子に入力される電圧(
図10で示した記号Nの位置の電圧)の波形、タイマー回路61の測定期間を示す波形、スイッチ62の選択を示す波形、及びPWM制御回路52により制御されたデューティ比を示している。
【0075】
コンバータ51の出力電圧Voutのレベルが上昇する方向に誤差増幅器53が故障した場合には、過電圧検出回路55が出力する第2の指令電圧のほうが、誤差増幅器53が出力する第1の指令電圧よりも低くなる。すると、PWM制御回路52は第2の指令電圧に基づいてPWM制御を行うようになるため、出力電圧Voutの上昇は電圧Vovpのレベルで抑制される。
【0076】
過電圧検出回路55が出力する第2の指令電圧が所定の電圧以下になると、タイマー回路61は時間測定を開始する。
【0077】
タイマー回路61が測定した期間が所定のタイマー時間に達すると、スイッチ62は選択する基準電圧をVref2からVref1に切り替える。すると、PWM制御回路52は第3の指令電圧に基づいてPWM制御を行うようになるため、出力電圧Voutのレベルは故障前の電圧Vnormalのレベルまで下降する。
【0078】
上述したように、第4の実施形態の過電圧保護回路44は、第1の実施形態の過電圧保護回路41の構成に加え、第2の指令電圧が所定の電圧以下となると過電圧検出信号を出力する監視回路58と、監視回路58が過電圧検出信号を継続して出力する期間を測定するタイマー回路61と、を備える。また、過電圧検出回路55は、タイマー回路61により測定された期間が所定のタイマー時間に達すると、コンバータ51の出力電圧Voutを第1の設定電圧Vnormalに近づけるための第3の指令電圧を出力する。そして、過電圧保護回路44は、第1の指令電圧と、第2の指令電圧又は第3の指令電圧とに基づいて、コンバータ51を制御する。
【0079】
本実施形態では、過電圧検出回路55の出力を監視回路58により監視することで、誤差増幅器53が過電圧故障した際に、コンバータ51の出力電圧Voutのレベルを電圧Vovpに抑制することができ、その後所定のタイマー時間が経過すると、コンバータ51の出力電圧Voutのレベルを電圧Vnormalに戻すことができる。したがって、第1の実施形態と比較して、電源装置4及び負荷モジュール200の故障リスクを更に低減させることができ、更に信頼性を高めることが可能となる。また、第3の実施形態と同様に、本実施形態においても電源装置4を上位システムに接続し、タイマー回路61が測定した期間が所定のタイマー時間に達すると、警告を外部の上位システムに通知するようにしてもよい。これにより、誤差増幅器53が故障していることをユーザに通達することができるため、より一層信頼性を高めることが可能となる。
【0080】
本開示は、上述した実施形態で特定された構成に限定されず、特許請求の範囲に記載した開示の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。例えば、各構成部に含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再構成可能であり、複数の構成部を1つに組み合わせたり、あるいは分割したりすることが可能である。
【符号の説明】
【0081】
1,2,3,4 電源装置
10 EMIフィルタ
20 整流器
30 コンデンサ
41,42,43,44 過電圧保護回路
51 コンバータ
52 PWM制御回路
53 誤差増幅器
55 過電圧検出回路
56,57 半導体素子
58 監視回路
59,60,61 タイマー回路
62 スイッチ
200 負荷モジュール
300 上位システム