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特許7044222実質的にコアギュローゲンを含まないリムルスアメボサイトライセートを使用してエンドトキシンを検出する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-22
(45)【発行日】2022-03-30
(54)【発明の名称】実質的にコアギュローゲンを含まないリムルスアメボサイトライセートを使用してエンドトキシンを検出する方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/579 20060101AFI20220323BHJP
   C12Q 1/34 20060101ALI20220323BHJP
【FI】
G01N33/579
C12Q1/34 ZNA
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2019504062
(86)(22)【出願日】2017-08-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-09-12
(86)【国際出願番号】 US2017045137
(87)【国際公開番号】W WO2018026941
(87)【国際公開日】2018-02-08
【審査請求日】2020-07-31
(31)【優先権主張番号】62/370,493
(32)【優先日】2016-08-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512190365
【氏名又は名称】ロンザ ウォーカーズヴィル,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】スタンバー, キャンディス
(72)【発明者】
【氏名】ヘルプスト, デイビッド, エス.
(72)【発明者】
【氏名】ニコルズ, ケネス, イー.
【審査官】三好 貴大
(56)【参考文献】
【文献】特開平03-220456(JP,A)
【文献】特開2014-014375(JP,A)
【文献】James C. Hurley,Endotoxemia: Methods of detection and clinical correlates,Clinical Microbiology Reviews,1995年01月01日,vol 8, no.2,268-292
【文献】Shin Nakamura et al.,Fractionation of limulus amebocyte lysate,Biochimica et Biophysica Acta,1982年10月05日,707,217-225
【文献】Toshie Harada-Suzuki et al.,Further studies on the chromogenic substrate assay method for bacterial endotoxins using horseshoe crab (Tachypleus tridentatus) hemocyte lysate,Journal of Biochemistry,1982年12月01日,92,793-800
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/48-33/98
C12Q 1/34
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発色アッセイを使用して、サンプル中のエンドトキシンを検出する方法であって、前記方法が、
a.前記サンプルをリムルスアメボサイトライセート(LAL)及び発色基質を含む試薬と接触させるステップと、
b.前記サンプル中のエンドトキシンの存在下における前記発色基質の変化によって生じる発色効果を測定するステップとを含み、
前記LALが、タンパク質染色を伴うSDS-PAGEにより測定される場合に、LAL中の総タンパク質に対して5%(wt/wt)未満のコアギュローゲンを含むものであり、
前記方法は、0.001EU/mL又は0.001EU/mL未満の感度を有する、方法。
【請求項2】
前記発色基質の変化が、酵素反応により起こり、前記酵素反応が、ポリペプチドからの発色団の切断である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記試薬が、水性液体である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記LAL、発色基質又はその両方が、凍結乾燥され、その後、前記サンプルと接触させるステップに先立って再構成される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記サンプルが、非経口剤形、ワクチン、抗生剤、治療用タンパク質、治療用核酸、治療用抗体、及びバイオテクノロジー製品からなる群から選択される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
記LALが、SDS-PAGE及びタンパク質染色によって測定される場合に、前記LAL中の総タンパク質に対して2%(wt/wt)未満のコアギュローゲンを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記LALが、タンパク質染色を伴うSDS-PAGEによって測定される場合に、前記LAL中の総タンパク質に対して0.5%(wt/wt)未満のコアギュローゲンを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
発色アッセイを使用して、生物学的サンプル中のエンドトキシンを検出する方法であって、前記方法が、
a.前記生物学的サンプルをリムルスアメボサイトライセート(LAL)及びAc-Ile-Glu-Ala-Arg-pNA(配列番号:1)を含む水性試薬と接触させるステップと、
b.前記サンプル中のエンドトキシンの存在下におけるAc-Ile-Glu-Ala-Arg-pNA(配列番号:1)からのpNAの酵素切断によって生じる405nmにおける吸光度の変化を測定するステップとを含み、
前記LALが、タンパク質染色を伴うSDS-PAGEにより測定される場合に、LAL中の総タンパク質に対して5%(wt/wt)未満のコアギュローゲンを含むものであり、
前記方法は、0.001EU/mL又は0.001EU/mL未満の感度を有する、方法。
【請求項9】
前記発色基質が、Ac-Ile-Glu-Ala-Arg-pNA(配列番号:1)である、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
タンパク質染色を伴うSDS-PAGEにより測定される場合に、LAL中の総タンパク質に対して5%(wt/wt)未満のコアギュローゲンを含むリムルスアメボサイトライセート(LAL)を生成する方法であって、前記方法が、
コアギュローゲンを含むLAL及びバッファーを含む組成物を20kDa~50kDaフィルターを使用したタンジェンシャルフローろ過(TFF)に供するステップであって、前記TFFが保持液及びろ液を生成するステップと、
前記保持液を回収し、それによりLAL中の総タンパク質に対して5%(wt/wt)未満のコアギュローゲンを含むLALをるステップ
を含む、方法。
【請求項11】
前記TFFが、350ml/分~600ml/分の流量で実施される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記TFFが、350ml/分~500ml/分の流量で実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
LALを含む前記組成物が、バッファーである、請求項10~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記バッファーがトリスバッファー又はMESバッファーである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記バッファーが6.0~9.0のpHを有する、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
前記バッファーが7.0~8.0のpHを有する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記TFFフィルターが、修飾ポリエーテルスルホン(mPES)、ポリスルホン(PS)及びポリエーテルスルホン(PES)から選択される膜を含む、請求項10~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記TFFフィルターが、修飾ポリエーテルスルホン(mPES)メンブランフィルターである、請求項1又は1に記載の方法。
【請求項19】
記LALが、タンパク質染色を伴うSDS-PAGEによって測定される場合に、前記LAL中の総タンパク質に対して2%(wt/wt)未満のコアギュローゲンを含む、請求項10~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
記LALが、タンパク質染色を伴うSDS-PAGEによって測定される場合に、前記LAL中の総タンパク質に対して0.5%(wt/wt)未満のコアギュローゲンを含む、請求項10~19のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は、発色アッセイを使用してサンプル中のエンドトキシンを検出する方法であって、本方法は、(a)サンプルをリムルスアメボサイトライセート(LAL)及び発色基質を含む試薬と接触させるステップと、(b)サンプル中のエンドトキシンの存在下における発色基質の変化によって生じる発色効果を測定するステップとを含み、LALが、実質的にコアギュローゲンを含まない、方法に関する。本方法はまた、実質的にコアギュローゲンを含まないLALを含む組成物及びキット、並びにそのようなものを生成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]グラム陰性菌エンドトキシンは、静脈内に導入されたときに発熱の原因となる生物学的パイロジェンである。リポ多糖(LPS)としても知られているエンドトキシンは、サルモネラ(Salmonella)、大腸菌(Escherichia coli)、シゲラ(Shigella)及びナイセイラ(Neisseira)などのグラム陰性菌の外膜に見られる。エンドトキシンが引き起こす毒性機構は、リポ多糖の脂質部分が原因となる。例えば、生物内において細菌の溶解が起きると、血流に入る脂質の存在下における応答は、補体系の活性化による可能性がある。この脂質部分がインターロイキン1及び8などのさまざまなサイトカインの放出につながる。腫瘍壊死因子の産生も活性化される場合がある。もたらされた感染症は、炎症過程と関連づけられ、感染した生物に大きな危険性を与える可能性がある。インターロイキン1は、免疫応答として、炎症に対して生物が放出する一連のサイトカインである。このシグナルは、感染症が起こった場所への好中球の遊走につながり、走化性をもたらす。これは、ファゴサイトーシスが生じるのを促進するが、ある場合には、個体の免疫系の状態及び感染のレベルに応じて、エンドトキシンが敗血症によってもたらされるリスクとともに、全身敗血症に至ることもあろう。グラム陰性菌が高等な哺乳動物において全身感染症による多臓器不全及びさらには死を引き起こした多くの症例があることが知られている。エンドトキシンと関連する有害な影響のため、医薬産業及び医療界にとってエンドトキシンの早期の高感度の検出があることが重要である。
【0003】
[0003]リムルスアメボサイトライセート(LAL)試験は、エンドトキシンを検知するための方法として1970年代に商業的に導入された。LALは、カブトガニ、アメリカカブトガニ(Limulus polyphemus)の血液細胞、又はアメボサイト由来のものである。もともとのLAL試験は、セリンプロテアーゼのカスケードを構成し、このカスケードはわずかなレベルのエンドトキシンによって引き起こされ、反応の終わりにゲル凝塊となる。通常、酵素前駆体として存在するC因子は、この凝固カスケードのプライマーである。インビボにおいて、C因子は、グラム陰性感染菌の存在をカブトガニに警告する完璧なバイオセンサーである。血流停止の終点は、感染菌を捕捉し、感染菌を死滅させ、さらなる感染を制限する。
【0004】
[0004]LAL試験は、エンドトキシンに対するアメボサイトの応答を測定するためのさまざまな方法を使用するために改変することができる。こうした方法としては、いわゆるゲル化法、比濁法及び発色法が挙げられる。これらのLAL試験は、薬剤の製造及び最終製品に対して使用される原料中の両方の細菌毒素を検出するための方法として国際的薬局方において推奨されている。こうした試験は、FDA(食品医薬品局)が推奨するパイロジェンの検出のための方法であるため、化粧品産業に対して及び食物生産においても有用である。
【発明の概要】
【0005】
[0005]実質的にコアギュローゲンを含まないリムルスアメボサイトライセート(LAL)を含む発色アッセイを使用して、サンプル中のエンドトキシンを検出する方法が本明細書において提供される。
【0006】
[0006]本明細書中の実施形態は、発色アッセイを使用して、サンプル中のエンドトキシンを検出する方法であって、本方法は、(a)サンプルをリムルスアメボサイトライセート(LAL)及び発色基質を含む試薬と接触させるステップと、(b)サンプル中のエンドトキシンの存在下における発色基質の変化によって生じる発色効果を測定するステップとを含み、LALが、実質的にコアギュローゲンを含まない、方法を対象とする。
【0007】
[0007]いくつかの実施形態において、発色基質は、3個を超えるアミノ酸と共有結合したp-ニトロアニリンである。いくつかの実施形態において、発色基質は、Ac-Ile-Glu-Ala-Arg-pNA(配列番号:1)である。いくつかの実施形態において、発色基質の変化は、酵素反応により起こる。いくつかの実施形態において、酵素反応は、ポリペプチドからの発色団の切断である。いくつかの実施形態において、発色効果は、380nm~420nmにおける吸光度を検出することによって測定される。いくつかの実施形態において、発色効果は、405nmにおける吸光度を検出することによって測定される。
【0008】
[0008]いくつかの実施形態において、試薬は、液体である。いくつかの実施形態において、試薬は、水性液体である。いくつかの実施形態において、試薬は、凍結乾燥され、その後、サンプルと接触させるステップに先立って水性液体中で再構成される。
【0009】
[0009]いくつかの実施形態において、LALは、凍結乾燥され、その後、サンプルと接触させるステップに先立って再構成される。いくつかの実施形態において、発色基質は、凍結乾燥され、その後、サンプルと接触させるステップに先立って再構成される。
【0010】
[0010]いくつかの実施形態において、サンプルは、生物学的サンプルである。いくつかの実施形態において、サンプルは、非経口剤形、ワクチン、抗生剤、治療用タンパク質、治療用核酸、治療用抗体、及び生物学的製剤からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、実質的にコアギュローゲンを含まないLALは、SDS-PAGEによって測定され、ウエスタンブロットによって確認される場合に、LAL中の総タンパク質に対して5%(wt/wt)未満のコアギュローゲンを有する。いくつかの実施形態において、実質的にコアギュローゲンを含まないLALは、LAL中の総タンパク質に対して2%(wt/wt)未満のコアギュローゲンを有する。いくつかの実施形態において、実質的にコアギュローゲンを含まないLALは、LAL中の総タンパク質に対して0.5%(wt/wt)未満のコアギュローゲンを有する。いくつかの実施形態において、発色アッセイは、シングルキュベット分光測定、マルチキュベット分光測定、又はマイクロプレートリーダーを使用して行われる。
【0011】
[0011]いくつかの実施形態において、本方法は、発色効果を標準と比較して、サンプル中のエンドトキシンの量を求めるステップをさらに含む。
【0012】
[0012]いくつかの実施形態において、本開示は、発色アッセイを使用して、生物学的サンプル中のエンドトキシンを検出する方法であって、本方法は、(a)生物学的サンプルをリムルスアメボサイトライセート(LAL)及びAc-Ile-Glu-Ala-Arg-pNA(配列番号:1)を含む水性試薬と接触させるステップと、(b)サンプル中のエンドトキシンの存在下におけるAc-Ile-Glu-Ala-Arg-pNA(配列番号:1)からのpNAの酵素切断によって生じる405nmにおける吸光度の変化を測定するステップとを含み、LALが、実質的にコアギュローゲンを含まない、方法を対象とする。
【0013】
[0013]いくつかの実施形態において、本開示の方法は、高い感度を有する。いくつかの実施形態において、本方法は、>0.001EU/mLエンドトキシンの感度を有する。
【0014】
[0014]いくつかの実施形態において、本開示の方法は、実質的にコアギュローゲンを含まないリムルスアメボサイトライセート(LAL)及び発色基質を含む組成物を対象とする。いくつかの実施形態において、発色基質は、Ac-Ile-Glu-Ala-Arg-pNA(配列番号:1)である。いくつかの実施形態において、LAL及び発色基質は、凍結乾燥されている。いくつかの実施形態において、LAL及び発色基質は、水溶液中にある。
【0015】
[0015]いくつかの実施形態において、本開示の方法は、キットであって、(a)実質的にコアギュローゲンを含まないリムルスアメボサイトライセート(LAL)と、(b)発色基質と、(c)LAL及び発色基質を使用してエンドトキシンを検出するための説明書とを含む、キットを対象とする。
【0016】
[0016]いくつかの実施形態において、LALは、凍結乾燥されている。いくつかの実施形態において、LALは、水溶液中にある。いくつかの実施形態において、LAL及び発色基質は、単一の容器に入れてある。いくつかの実施形態において、キットは、LALを含む滅菌容器をさらに含む。いくつかの実施形態において、滅菌容器は、滅菌バイアルである。いくつかの実施形態において、キットは、対照標準エンドトキシンをさらに含む。
【0017】
[0017]いくつかの実施形態において、本開示は、実質的にコアギュローゲンを含まないリムルスアメボサイトライセート(LAL)を生成する方法であって、本方法は、(a)コアギュローゲンを含むLALを含む、組成物を準備するステップと、(b)バッファーを調整するステップと、(c)(b)の組成物を20kDa~50kDaフィルターを使用したタンジェンシャルフローろ過に供することにより、実質的にコアギュローゲンを含まないLALを単離するステップとを含む、方法を対象とする。
【0018】
[0018]いくつかの実施形態において、TFFは、350ml/分~500ml/分の流量で実施される。いくつかの実施形態において、バッファーは、トリスバッファー又はMESバッファーである。いくつかの実施形態において、バッファーは、約7.0~8.0のpHを有する。いくつかの実施形態において、フィルターは、タンジェンシャルフローろ過(TFF)である。いくつかの実施形態において、TFFフィルターは、修飾ポリエーテルスルホン(mPES)メンブランフィルターである。
【0019】
[0019]本技術の前述及び他の特徴及び態様は、実施形態の以下の説明から、さらに添付の図面に示されているとおり、さらに良好に理解可能である。本明細書に組み込まれ、明細書の一部を形成する添付の図面は、本技術の原理を説明するためにさらに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】濁度及び発色分析点を含む、エンドトキシン関連カスケードの略図である。
図2】通常のLAL対実質的にコアギュローゲンを含まないLALを含むサンプルの比較が、複数のオンセットミリ光学密度(mOD)値において分離の増加を示している表である。EU/ml=1ミリリットル当たりのエンドトキシン単位。
図3】標準的なLAL(L)及びズイッタージェント(zwittergent)(Z)の濃度の反応速度に対する影響の比較を示す表である。L及びZの濃度を高めると、それぞれ標準の反応速度が増加する。反応の速度が増加するため、ブランクと最低の標準(0.005EU/ml)との間の分離が失われる。
図4】実質的にコアギュローゲンを含まないLAL(L-co)及びズイッタージェント(Z)の濃度の反応速度に対する影響の比較を示す表である。L-co及びZの濃度を高めると、それぞれ標準の反応速度が増加する。すべての配合物に関して少なくとも200秒の分離が維持されている。増加したズイッタージェントと配合したL-coは、許容される分離を伴い0.001EU/mlの感度を達成した(データは示していない)。
図5A】(A)200mOD及び(B)50mODにおけるL-co及び発色基質に関するさまざまな濃度の反応時間を示すグラフである。図5Cは、Lを使用したアッセイと比較したL-coを使用したアッセイの増加した感度、反応時間、及び分離の概要を示す表である。
図5B】(A)200mOD及び(B)50mODにおけるL-co及び発色基質に関するさまざまな濃度の反応時間を示すグラフである。図5Cは、Lを使用したアッセイと比較したL-coを使用したアッセイの増加した感度、反応時間、及び分離の概要を示す表である。
図5C】(A)200mOD及び(B)50mODにおけるL-co及び発色基質に関するさまざまな濃度の反応時間を示すグラフである。図5Cは、Lを使用したアッセイと比較したL-coを使用したアッセイの増加した感度、反応時間、及び分離の概要を示す表である。
図6A】(A)70%のL-co調製物及び30%の発色基質を使用した3つの別々のロットのL-coの50mODにおける反応時間を示す表である(分離範囲:732秒~211秒)。
図7A】(A)タンジェンシャルフローろ過(TFF)(30kDa)に供されたLALサンプルのSDS-PAGEゲル分析であり、3ランに関して還元条件下においてTFF生成物が流される。3回目のランの後、ゲル凝固は確認されていない。ゲル凝塊のデータは、固体ゲル凝塊を「+」、ゲル凝塊なしを「-」、及び柔らかいゲル凝塊を「-/+」と表した。(B)3ランに関して還元条件下において行ったタンジェンシャルフローろ過(30kDa)生成物のウエスタンブロット分析である。抗体希釈物は以下のとおりとした:α-コアギュローゲン 1:1,000、α-凝固酵素前駆体 1:10,000、α-sushi3 1:100。
図7B】(A)タンジェンシャルフローろ過(TFF)(30kDa)に供されたLALサンプルのSDS-PAGEゲル分析であり、3ランに関して還元条件下においてTFF生成物が流される。3回目のランの後、ゲル凝固は確認されていない。ゲル凝塊のデータは、固体ゲル凝塊を「+」、ゲル凝塊なしを「-」、及び柔らかいゲル凝塊を「-/+」と表した。(B)3ランに関して還元条件下において行ったタンジェンシャルフローろ過(30kDa)生成物のウエスタンブロット分析である。抗体希釈物は以下のとおりとした:α-コアギュローゲン 1:1,000、α-凝固酵素前駆体 1:10,000、α-sushi3 1:100。
図8A】(A)α-コアギュローゲンを使用したウエスタンブロット分析を使用したコアギュローゲンの定量である。(B)標準曲線にプロットした図8(A)のデータのグラフである。データは、総LALタンパク質の約33%がコアギュローゲンであることを示唆している。
図8B】(A)α-コアギュローゲンを使用したウエスタンブロット分析を使用したコアギュローゲンの定量である。(B)標準曲線にプロットした図8(A)のデータのグラフである。データは、総LALタンパク質の約33%がコアギュローゲンであることを示唆している。
図9】コアギュローゲンのSDS-PAGEである。還元条件下において行う33と、コアギュローゲンの3つのバンドが存在する。タンパク質配列決定により、3つのバンドがコアギュローゲン断片であることを確認した。A=コアギュローゲン1:位置21 GDPNVPTCLC(配列番号:2);B=コアギュローゲン2:位置39 KVIVSQEKTD(配列番号:3);C=コアギュローゲン3:位置67 GFSIFGGHPA(配列番号:4)
図10A】2つの別々のロットのL-coの安定性を50mODにおいて10週間にわたって判断した。このデータは、L-coが10週間の期間を超えて安定であったことを示唆している。
図10B】2つの別々のロットのL-coの安定性を50mODにおいて10週間にわたって判断した。このデータは、L-coが10週間の期間を超えて安定であったことを示唆している。
図11A】ロンザ(Lonza)、チャールズリバーラボラトリーズインターナショナル(Charles River Laboratories International)、及びアソシエーツオブケープコッドインク(Associates of Cape Cod,Inc.)(ACC)からの市販のLAL中のコアギュローゲンの存在をタンパク質染色及びウエスタンブロット分析を伴うSDS-PAGEを使用して試験した。これにより、3つすべての供給業者からのLALはコアギュローゲンを含有していたことを確認した。
図11B】ロンザ(Lonza)、チャールズリバーラボラトリーズインターナショナル(Charles River Laboratories International)、及びアソシエーツオブケープコッドインク(Associates of Cape Cod,Inc.)(ACC)からの市販のLAL中のコアギュローゲンの存在をタンパク質染色及びウエスタンブロット分析を伴うSDS-PAGEを使用して試験した。これにより、3つすべての供給業者からのLALはコアギュローゲンを含有していたことを確認した。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[0031]本明細書において示され、記載されている個々の実装は例であり、別の方法で本出願の範囲を限定することは全く意図されないことが理解されるべきである。
【0022】
[0032]本明細書において言及される公開特許、特許出願、ウェブサイト、企業名、及び科学文献は、それぞれが参照により組み込まれることを具体的に個別に示したのと同じ程度までその全体を参照により本明細書に組み込んだものとする。本明細書中で引用される任意の文献と本明細書の特定の教示の間のいかなる矛盾も後者を優先して決定されるものとする。同様に、語又は語句の本分野において理解されている定義と本明細書において具体的に教示されている語又は語句の定義の間のいかなる矛盾も後者を優先して決定されるものとする。
【0023】
[0033]本明細書において使用される場合、内容が明らかに別のことを指示しない限り、単数形の「1つ(a、an)」及び「前記(the)」は、具体的にそれらが言及する用語の複数形も包含する。「約」という用語は、ほぼ、~の辺り、だいたい、又はおよそを意味するよう本明細書中で使用される。「約」という用語が数値的な範囲と共に使用される場合、その用語は、記載した数値を超える及び下回る境界に拡大することによってその範囲を変更する。一般に、「約」という用語は、20%の変動だけ明記された値を上回る及び下回る数値に変更するよう本明細書中で使用される。
【0024】
[0034]本明細書中で使用される技術及び科学用語は、別に定義されない限り、本出願が属する分野の当業者が一般的に理解する意味を有する。本明細書では、当業者に知られているさまざまな技法及び材料に対する参照を行う。本明細書中で引用されるいかなる文献の開示も、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0025】
[0035]いくつかの実施形態において、本発明は、エンドトキシンを検出する方法を対象とする。「エンドトキシン」という用語は、一般にグラム陰性菌の外膜と関連づけられるリポ多糖複合体を指す。「エンドトキシン」という用語は、ときとして、任意の細胞関連細菌毒素を指すために使用される。エンドトキシンは細胞関連リポ多糖を指すが、エクソトキシンは細菌が分泌する毒素を指し、本質的に主としてポリペプチドである。
【0026】
[0036]エンドトキシンの生物学的活性は、リポ多糖(LPS)と関連づけられる。リポ多糖は、グラム陰性菌の細胞壁の外膜の部分である。リポ多糖は、微生物が病原性であろうとなかろうと常にグラム陰性菌と関連づけられる。毒性は、脂質成分(リピドA)と関連づけられ、免疫原性は、多糖成分と関連づけられる。グラム陰性菌の細胞壁抗原(O抗原)は、LPSの多糖成分である。さらに、LPSは、動物においてさまざまな炎症反応を誘発する可能性がある。
【0027】
[0037]動物内のグラム陰性菌は、増殖している間に微量のエンドトキシンを放出することがある。エンドトキシンが、自然免疫の刺激をもたらすこともある。実験室で増殖された幼若培養菌によって少量のエンドトキシンが可溶型で放出されることもあることが知られている。しかしながら、大部分に関して、エンドトキシンは微生物の崩壊まで細胞壁と関連づけられたままである。細菌性生物の崩壊は、細菌細胞の自己溶解、補体及びリゾチームが関係する外因的溶解、並びに食細胞消化によって生じる場合がある。細菌性エンドトキシンは、ヒト腸内に豊富にある。高濃度のエンドトキシンは、いくつかのメタボリックシンドローム疾患を含む多くの状態と関連づけられる。メタボリックシンドローム疾患としては、例えば、アテローム動脈硬化症、インスリン耐性、真性糖尿病、及び肥満が挙げられる。エンドトキシンレベルの増加は、脂肪肝疾患及びクローン病とも関連づけられている。高いレベルで存在する場合、胃腸管からエンドトキシンが漏れ出す可能性もある。エンドトキシンは強力な炎症性抗原であり、エンドトキシンの漏出は、全身性炎症反応をもたらす可能性がある。
【0028】
[0038]細菌の典型的なエクソトキシンと比較して、エンドトキシンは、酵素的に作用しないため、作用があまり強力でなく、あまり特異的でない。エンドトキシンは熱安定性である(30分間の煮沸はエンドトキシンを不安定にしない)が、スーパーオキシド、ペルオキシド及び次亜塩素酸塩などの特定の強力な酸化剤がエンドトキシンを中和することが報告されている。これらの酸化剤は、強力な酸化剤であるため、エンドトキシンを中和するための治療用組成物にはあまり適用できない。
【0029】
[0039]本発明のエンドトキシンは、グラム陰性菌から作り出すことができる。例となるグラム陰性菌としては、エシェリキア(Escherichia)菌種、シゲラ菌種、サルモネラ菌種、カンピロバクター(Campylobacter)菌種、ナイセリア(Neisseria)菌種、ヘモフィルス(Haemophilus)菌種、アエロモナス(Aeromonas)菌種、フランシセラ(Francisella)菌種、エルシニア(Yersinia)菌種、クレブシエラ(Klebsiella)菌種、ボルデテラ(Bordetella)菌種、レジオネラ(Legionella)菌種、コリネバクテリア(Corynebacteria)菌種、シトロバクター(Citrobacter)菌種、クラミジア(Chlamydia)菌種、ブルセラ(Brucella)菌種、シュードモナス(Pseudomonas)菌種、ヘリコバクター(Helicobacter)菌種及びビブリオ(Vibrio)菌種が挙げられるが、これらに限定されるものではない。グラム陰性細菌はまた、腸内細菌科(Enterobacteriaceae)、シュードモナス科(Pseudomonadaceae)、ナイセリア科(Neisseriaceae)、ベイヨネラ科(Veillonellaceae)、バクテロイデス科(Bacteroidaceae)、ビブリオ科(Vibrionaceae)、パスツレラ科(Pasteurellaceae)、及びフソバクテリア科(Fusobacteriaceae)に入るものでもよい。いくつかの実施形態において、エンドトキシンは、サルモネラ又はエシェリキア菌種由来である。
【0030】
[0040]本明細書中で使用される場合、「エンドトキシン活性」という用語は、発熱性及び敗血症性ショックを含む毒性の原因となり得るグラム陰性菌の部分を指す。エンドトキシンによる毒の影響は、グラム陰性菌の外膜に存在するか、又はそれに由来するリポ多糖分子のグリコシル化リピドA部分と関連づけられることがわかっている。
【0031】
[0041]「リポ多糖」(LPS)という用語は、共有結合によって結合した脂質及び多糖からなる大きな分子(糖リン脂質)を指す。LPSは、3つの部分:1)O抗原、2)コアオリゴ糖、及び3)リピドAを含む。O抗原は、コアオリゴ糖と結合した反復グリカンポリマーであり、LPS分子の最も外側の領域を含む。コアオリゴ糖は、リピドAと直接結合しており、一般的にヘプトース及び3-デオキシ-D-マンノオクツロソン酸(KDO、ケトデオキシオクツロソナートとしても知られている)などの糖を含有する。リピドAは、複数の脂肪酸と結合したリン酸化グルコサミン二糖である。脂肪酸は、LPSを細菌膜に固定し、LPSの残りの部分は、細胞表面から突き出ている。LPSが変化したか、又は除去された場合、細菌死が起こることもある。
【0032】
[0042]エンドトキシン活性は、LPSのリピドA領域部分に存在する。細菌細胞が免疫系によって溶解されると、リピドAを含有する膜の断片が血液循環に放出され、発熱(発熱性)、下痢、及び場合によっては、命にかかわるショック(エンドトキシン又は敗血症性ショックと呼ばれる)を引き起こす。LPSの毒性は、宿主に対して命にかかわる結果がある場合もある、炎症性サイトカイン、主に腫瘍壊死因子(TNF)の分泌に至るプロセスである哺乳動物の免疫系のB細胞及びマクロファージとの相互作用によりリピドAによって示される。リピドAはまた、「インビトロにおいて」ヒトTリンパ球(Th-1)並びに「インビボにおいて」マウスのCD4+及びCD8+T細胞を活性化し、その特性が、宿主の免疫系がLPSの可変サイズの炭水化物鎖に対して特異的な既往IgG抗体応答を開始するのを可能にする。これらに基づいて、LPSは、「インビボにおける」T細胞依存性抗原として最近、認識されている。したがって、いくつかの実施形態において、本発明の方法は、リピドAを検出することを対象とする。
【0033】
[0043]いくつかの実施形態において、エンドトキシンは、発色アッセイを使用して検出される。本明細書中で使用される場合、発色アッセイは、エンドトキシンの存在下における発色基質(すなわち、色原体)の吸光度の変化を測定又は検出する。いくつかの実施形態において、発色基質の吸光度の変化は、酵素活性によるものである。いくつかの実施形態において、「発色基質」という用語は、酵素活性の前及び後の基質を指す。例えば、発色基質が、酵素によって切断されて、ペプチドと発色団を生じるペプチド発色団である場合、「発色基質」という用語は、ペプチド発色団、切断されたペプチド、及び放出発色団を指すであろう。いくつかの実施形態において、合成色原体が使用されてもよい。いくつかの実施形態において、天然に産生される色原体が使用されてもよい。いくつかの実施形態において、発色基質は、合成ペプチドである。いくつかの実施形態において、基質は、極めて高感度であり、すなわち、非常に低い酵素活性を検出することができる。
【0034】
[0044]低い酵素濃度を検出するための発色基質を含む試薬の能力は、発色基質を、例えば、研究又は品質管理手順のいずれかにおけるエンドトキシンと関連づけられる特定の酵素活性の存在に関する調査に対して有用にする。場合によっては、特定の酵素調製物に対する基質の応答が天然発色基質(すなわち、酵素に対する天然基質)と合成発色基質との間で一致しないこともある。いくつかの実施形態において、発色基質は、天然基質と比較して選択性が低く、すなわち、関連酵素に対する反応性において低い識別力を有する。
【0035】
[0045]「発色基質」という用語は、エンドトキシンの存在下において基質の吸光度スペクトルを変化させる、例えば、色を変化させる、アッセイにおける基質、例えば、化合物又はポリペプチドを指す。発色基質は、特定の波長において(i)吸収する、及び/又は(ii)吸収しない、の両方の基質を指す。したがって、例えば、本開示によると、発色基質は、特定の波長をもともと吸収しない場合もあり(例えば、可視波長において非吸収)、その後、エンドトキシンの存在下において、特定の波長で(例えば、可視波長において)吸収し始める場合もある。或いは、例えば、発色基質は、特定の波長においてもともと吸収する場合もあり(例えば、可視波長において吸収する)、その後、エンドトキシンの存在下において、特定の波長において吸収しない場合もある(例えば、可視波長において吸収しない)。いくつかの実施形態において、発色基質は、エンドトキシンの非存在下で所与の波長において吸収し、その後、エンドトキシンの存在下で異なる波長において吸収する場合もある。1つ以上の特定の波長における吸光度特性すなわち、発色効果の変化は、エンドトキシンの存在と相互に関連する場合がある。
【0036】
[0046]いくつかの実施形態において、発色基質は、発色ペプチド基質である。いくつかの実施形態において、発色ペプチド基質は、初めは無色である。いくつかの実施形態において、発色ペプチド基質は、初めに色、例えば、可視スペクトル(およそ390~700nm)の色を有する。いくつかの実施形態において、発色ペプチド基質が、酵素によって切断されると、色の変化が生じる場合があり、例えば、発色団が放出されて、得られた生成物の色の変化を引き起こす。いくつかの実施形態において、切断が生成物の光学的性質を変化させ、この性質は切断されていない基質の性質とは異なり、分光光度測定によって測定することができる。ペプチド基質と結合できる発色基の非限定例は、パラ-ニトロアニリン(pNA)、5-アミノ-2-ニトロ安息香酸(ANBA)、7-アミノ-4-メトキシクマリン(ANC)、キノニルアミド(QUA)、ジメチル5-アミノイソフタレート(DPA)及びそれらの誘導体である。蛍光基質としては、Z-Gly-Pro-Arg-AMC[Z=ベンジルオキシカルボニル;AMC=7-アミノ-4-メチルクマリン]、ホモバニリン酸、4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル酢酸、還元型フェノキサジン、還元型ベンゾチアジン、アンプレックス(Amplex)(登録商標)、レゾルフィンβ-D-ガラクトピラノシド、フルオレセインジガラクトシド(FDG)、フルオレセインジグルクロニド及びそれらの構造的変形(参照により組み込まれる、米国特許第5,208,148号、同第5,242,805号、同第5,362,628号、同第5,576,424号、及び同第5,773,236号)、4-メチルウンベリフェリルβ-D-ガラクトピラノシド、カルボキシウンベリフェリルβ-D-ガラクトピラノシド及びフッ素化クマリンβ-D-ガラクトピラノシド(参照により組み込まれる、米国特許第5,830,912号)が挙げられるが、それらに限定されない。
【0037】
[0047]非限定発色アッセイは、C因子/B因子カスケードに基づく酵素活性アッセイである。そのカスケードにおける第1の成分であるC因子は、エンドトキシン結合によって活性化されるプロテアーゼ前駆体である。いくつかの実施形態において、発色アッセイは、組換え型のC因子(rFC)を使用する。この経路において、B因子は、C因子によって活性化される。B因子は、凝固酵素前駆体を凝固酵素に活性化する。いくつかの実施形態において、凝固酵素前駆体は、発色基質の発色変化を引き起こす。いくつかの実施形態において、発色アッセイは、LALアッセイ、例えば、ロンザのエンドポイント発色LALアッセイ(Endpoint Chromogenic LAL Assay)である。
【0038】
[0048]いくつかの実施形態において、発色アッセイは、LALアッセイであり、この場合、LALエンドトキシン反応の最初の部分が、凝固酵素前駆体を活性化し、酵素が、次に合成基質からp-ニトロアニリン(pNA)を酵素的に切断して、黄色の色を生じさせる。
【0039】
酵素前駆体+エンドトキシン→酵素
基質+HO+酵素→ペプチド+pNA(黄色)
[0049]いくつかの実施形態において、グラム陰性菌エンドトキシンは、LAL中の酵素前駆体の活性化を間接的に触媒することが可能である。活性化の最初の速度は、存在するエンドトキシンの濃度によって決まる可能性がある。
【0040】
[0050]いくつかの実施形態において、発色基質の変化は、酵素反応により生じる。いくつかの実施形態において、酵素反応は、ペプチド結合の切断をもたらし、それによって、ポリペプチドから発色団置換基(例えば、p-NA)を切断する。例えば、活性化酵素は、無色のペプチド基質、例えば、Ac-le-Glu-Ala-Arg-pNA(配列番号:1)からのpNAの放出を触媒することができる。いくつかの実施形態において、ペプチド基質は、3個を超えるアミノ酸と共有結合したp-ニトロアニリンである。いくつかの実施形態、実施形態において、発色基質は、Ac-le-Glu-Ala-Arg-pNA(配列番号:1))である。いくつかの実施形態において、発色アッセイは、遊離pNAを測定する。いくつかの実施形態において、発色アッセイは、380nm~410nm、例えば、400nm~410nm、又は405nmの吸光度において遊離pNAを測光法で測定する。吸光度を測定する方法は、当業者に周知である。いくつかの実施形態において、発色アッセイは、吸光度を測定するために、シングルキュベット分光測定、マルチキュベット分光測定、又はマイクロプレートリーダーを使用して行われる。
【0041】
[0051]遊離pNAは、反応が停止試薬により停止された後、380nm~410nm、例えば、405nmにおいて測光法で測定することができる。サンプル中のエンドトキシンの濃度は、既知の量のエンドトキシン標準を含有する溶液の吸光度値の標準曲線から算出される。
【0042】
[0052]エンドトキシンを検出するための標準的な発色アッセイの1つは、サンプルを試薬と接触させるステップを含み、試薬は、リムルスアメボサイトライセート(LAL)を含む。いくつかの実施形態において、試薬は、液体、例えば、水性液体である。或いは、試薬は、凍結乾燥され、その後、サンプルと接触させられる前に水性液体、例えば、滅菌水又はバッファー溶液中で再構成されてもよい。いくつかの実施形態において、試薬は、液体である。いくつかの実施形態において、試薬は、水性液体である。いくつかの実施形態において、試薬は、凍結乾燥され、その後、サンプルと接触させるステップに先立って水性液体中で再構成される。いくつかの実施形態において、LALは、凍結乾燥され、その後、サンプルと接触させるステップに先立って水性液体中で再構成される。いくつかの実施形態において、発色基質は、凍結乾燥され、その後、サンプルと接触させるステップに先立って水性液体中で再構成される。いくつかの実施形態において、凍結乾燥は、発色アッセイにおける試薬、LAL、及び/又は発色基質のより長い及び/又はより確固とした保管を可能にする。例えば、いくつかの実施形態において、凍結乾燥試薬、LAL及び/又は発色基質は、発色アッセイにおける非凍結乾燥試薬、LAL、及び又は発色基質と比較して、20%を超える、30%を超える、40%を超える、50%を超える、60%を超える、70%を超える、80%を超える、90%を超える又は100%を超える安定性の時間の増加を可能にする。この文脈において使用される場合の「安定性」は、意図した目的のため、すなわち、同じ速度及び感度でエンドトキシンを検出するために働くアッセイを指す。例えば、非凍結乾燥試薬が3週間安定であった場合、6週間安定の凍結乾燥試薬が、安定性の時間の「100%の増加」を有することになろう。
【0043】
[0053]本開示は、サンプル中のエンドトキシンを検出するための改善された方法を提供する。「サンプル」という用語は、任意の物質、化合物、ツール又は機器を含んでもよい。但し、実際的な目的に対して、サンプルとしては、生物学的な生物、例えば、哺乳動物、ヒト、飼育動物、又は動物園の動物と接触した物質、化合物、ツール又は機器を挙げることができる。「サンプル」という用語は、(製造プロセスの終わりまでに受け取る原料からの)エンドトキシンの発生源が、サンプルを脳脊髄液又は心血管系と接触させるのには適していないものにする可能性のあるあらゆる医療機器、医薬品及びバイオテクノロジー製品を指す場合がある。いくつかの実施形態において、サンプルという用語は、インビボで脳脊髄液又は心血管系、例えば、ヒトと接触させることになる医療機器を指す。いくつかの実施形態において、サンプルという用語は、生物学的サンプルを指す。いくつかの実施形態において、サンプルは、非経口剤形、ワクチン、抗生剤、治療用タンパク質、治療用核酸、治療用抗体、及び生物学的製剤からなる群から選択される。
【0044】
[0054]「リムルスアメボサイトライセート」(LAL)という用語は、カブトガニ、アメリカカブトガニ由来の血液細胞の水性抽出物(アメボサイト)を指す。カブトガニ由来の血液細胞の水性抽出物は、感染菌を動けなくすることによって感染菌の広がりを妨げる血リンパのゲル形成タンパク質であるコアギュローゲンを含む。例えば、Iwanaga Sら、J.Biochem.98:305~318ページ(1985年)及びIwanaga Sら、J.Biochem.95(6):1793~1801ページ(1984年)参照。
【0045】
[0055]カブトガニ(リムルス)の凝固カスケード系は、血流停止及び宿主防御の両方に関与する。このカスケードは、可溶性タンパク質であるコアギュローゲンの不溶性コアギュリンゲルへの変換をもたらす。凝固酵素は、コアギュローゲンから断片ペプチドCを削り取り、モノマーの凝集を引き起こす。
【0046】
[0056]「コアギュローゲン」という用語は、Iwanaga(1984年)及びIwanaga(1985年)において見られるとおりのポリペプチド鎖を指し、このポリペプチド鎖は、単一の175残基のポリペプチド鎖であり、血球に含有される凝固酵素によってArg-18及びArg-46の後で切断され、細菌性エンドトキシン(リポ多糖)によって活性化される。切断は、ペプチドCとともに、2つのジスルフィド結合によって連結されコアギュリンの2つの鎖、A及びBを放出する。ゲル形成は、コアギュリン分子の連結の結果生じる。二次構造予測は、コアギュローゲンからコアギュリンゲルへのタンパク質分解性変換中に放出されるCペプチドがアルファ-ヘリックスを形成することを示唆する。分子中に見られるベータ-シート構造及び16ハーフシスチンが、酸及び熱に対して安定な小型のタンパク質をもたらすようである。
【0047】
[0057]コアギュローゲンは、ゲル形成(例えば、凝固アッセイ)に重要であるが、本開示は、発色アッセイには必須ではないことを発見している。本開示は、天然に生じる量のコアギュローゲンを伴うLALを含む発色アッセイと比較して、実質的にコアギュローゲンを含まないLALを含む発色アッセイが高いレベルの速度、感度、及び分離を達成したことを発見している。したがって、いくつかの実施形態において、本発明は、実質的にコアギュローゲンを含まないLALを含む発色アッセイを対象とする。
【0048】
[0058]いくつかの実施形態において、LALは、実質的にコアギュローゲンを含まない。当業者は、本開示を読むと、さまざまな量のコアギュローゲンの減少が発色アッセイ、例えば、LALアッセイにおける速度、感度及び/又は分離のレベルを高めることになることを理解するであろう。いくつかの実施形態において、「実質的に含まない」という用語は、タンパク質染色を伴うSDS-PAGEによって測定され、ウエスタンブロットによって確認された場合に、LAL中の総タンパク質に対して50%未満、40%未満、30%未満、20%未満、10%未満、5%未満、2%未満、1%未満又は0.5%(wt/wt)未満のコアギュローゲンを有するLALを指す。いくつかの実施形態において、「実質的に含まない」という用語は、タンパク質染色を伴うSDS-PAGEによって測定され、ウエスタンブロットによって確認された場合に、LAL中の総タンパク質に対して10%未満又は5%(wt/wt)未満のコアギュローゲンを有するLALを指す。
【0049】
[0059]いくつかの実施形態において、実質的にコアギュローゲンを含まないLALという用語は、コアギュローゲンが除去されていないLAL中のコアギュローゲンの量と比較して少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%又は少なくとも99.5%(wt/wt)のコアギュローゲンが除去されたLALを指す。
【0050】
[0060]いくつかの実施形態において、発色アッセイは、サンプル中のエンドトキシンの有無を判断する。他の実施形態において、発色アッセイは、サンプル中のエンドトキシンの量を定量することができる。いくつかの実施形態において、本方法は、サンプル中のエンドトキシンの量を求めるために、サンプル中のエンドトキシンの発色効果を既知のエンドトキシン標準と比較するステップをさらに含む。
【0051】
[0061]いくつかの実施形態において、本開示は、発色アッセイを使用して、生物学的サンプル中のエンドトキシンを検出する方法であって、本方法は、(a)生物学的サンプルをリムルスアメボサイトライセート(LAL)及びAc-Ile-Glu-Ala-Arg-pNA(配列番号:1)を含む水性試薬と接触させるステップと、(b)サンプル中のエンドトキシンの存在下におけるAc-Ile-Glu-Ala-Arg-pNA(配列番号:1)からのpNAの酵素切断によって生じる405nmにおける吸光度の変化を測定するステップとを含み、LALが、実質的にコアギュローゲンを含まない、方法を対象とする。
【0052】
[0062]LALからコアギュローゲンを除去することによって、発色アッセイは高い感度を有することが可能である。いくつかの実施形態において、本開示の方法は、高い感度を有する。いくつかの実施形態において、本方法は、0.05EU/mL未満、0.03EU/mL未満、0.01EU/mL未満、0.008EU/mL未満、0.006EU/mL未満、0.005EU/mL未満、0.004EU/mL未満、0.003EU/mL未満、0.002EU/mL未満、又は0.001EU/mL未満の感度を有する。
【0053】
[0063]本開示は、(1)実質的にコアギュローゲンを含まないLALと、(2)発色基質とを含む、組成物をさらに対象とする。いくつかの実施形態において、組成物中の発色基質は、pNAを含む。いくつかの実施形態において、組成物中の発色基質は、Ac-le-Glu-Ala-Arg-pNA(配列番号:1)である。いくつかの実施形態において、組成物は、60%~80%の実質的にコアギュローゲンを含まないLAL調製物と、20%~40%の発色基質とを含む(wt/wt)。いくつかの実施形態において、組成物は、約6%~約25%の実質的にコアギュローゲンを含まないLALを含む。いくつかの実施形態において、組成物は、70%の実質的にコアギュローゲンを含まないLAL調製物と、30%の発色基質とを含む(wt/wt)。いくつかの実施形態において、組成物は、70%の実質的にコアギュローゲンを含まないLAL調製物と、30%のAc-le-Glu-Ala-Arg-pNA(配列番号:1)とを含む(wt/wt)。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されている組成物は、単一の容器、例えば、単一のバイアルに入れてある。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されている組成物は、凍結乾燥されている。例えば、本開示は、70%の実質的にコアギュローゲンを含まないLAL調製物と、30%のAc-le-Glu-Ala-Arg-pNA(配列番号:1)(wt/wt)とを含む、凍結乾燥組成物を特に示す。
【0054】
[0064]いくつかの実施形態において、本発明は、発色アッセイキットを対象とする。本キットは、LAL及び発色基質を含む試薬を含む、LAL発色アッセイと通常関連づけられる1つ以上の成分を含んでもよい。いくつかの実施形態において、本開示の方法は、(a)実質的にコアギュローゲンを含まないリムルスアメボサイトライセート(LAL)と、(b)発色基質と、(c)LAL及び発色基質を使用してエンドトキシンを検出するための説明書とを含む、キットを対象とする。いくつかの実施形態において、本キットは、さまざまな試薬を含み、それぞれの試薬が異なる量のコアギュローゲンが除去されたLALを有する。
【0055】
[0065]本キットは、1つ以上の容器を含むことが可能である。いくつかの実施形態において、LAL及び発色基質は、単一の容器に入れてある。いくつかの実施形態において、LAL及び発色基質は、2つの別個の容器に入れてある。いくつかの実施形態において、本キットは、LALを含む滅菌容器を含む。いくつかの実施形態において、本キットは、アッセイに使用するためのLAL及び/又は発色基質を再構成することができる再構成バッファーを含む。いくつかの実施形態において、滅菌容器は、滅菌バイアルである。いくつかの実施形態において、本キットは、陽性エンドトキシン対照として使用することが可能であるか、又は標準中のエンドトキシンの量を定量するために使用可能である対照標準エンドトキシンをさらに含む。いくつかの実施形態において、本キットは、2つ以上の対照標準エンドトキシンを1つ以上の濃度で含む。
【0056】
[0066]当業者は、LALからコアギュローゲンを除去するためにさまざまな方法を使用することが可能であることを理解することができる。これらのそれぞれの方法は、効率、精製率、費用、及び労力が異なる場合もあるが、当業者の知識の範囲内である。本開示は、タンジェンシャルフローろ過を使用して、実質的にコアギュローゲンを含まないLALを生成する改善された方法を含む。タンジェンシャルフローろ過(TFF)は、供給流の大部分がフィルターの中へではなく、フィルターの面を横切って接線方向に移動するクロスフローろ過を指す。本開示は、TFFを使用することによって、(フィルターを詰まらせる可能性がある)大半のLALタンパク質を含む保持液が、ろ過プロセスの間に実質的に洗い流され、コアギュローゲンが透過液にろ過されることを発見している。いくつかの実施形態において、TFFは、バッチ式デッドエンドろ過とは異なる連続的なプロセスである。
【0057】
[0067]いくつかの実施形態において、本開示は、実質的にコアギュローゲンを含まないLALを生成する方法を対象とし、当該方法は、LALをTFFに供するステップを含む。いくつかの実施形態において、当該LALは、TFFに先立ってバッファーに入れられる。いくつかの実施形態において、バッファーは、トリスバッファー又はMESバッファーである。いくつかの実施形態において、バッファーは、約6.0~約9.0、又は約7.0~約8.0のpHを有する。
【0058】
[0068]さまざまな膜をTFFに使用することができる。いくつかの実施形態において、膜は、10~80kDaフィルター、又は20~50kDaフィルターである。したがって、いくつかの実施形態において、本開示は、実質的にコアギュローゲンを含まないリムルスアメボサイトライセート(LAL)を生成する方法であって、本方法は、(a)コアギュローゲンを含むLALを含む、組成物を準備するステップと、(b)バッファーを調整するステップと、(c)(b)の組成物を20kDa~50kDaフィルターを使用したタンジェンシャルフローろ過に供し、保持液を回収し、それにより、実質的にコアギュローゲンを含まないLALを単離するステップとを含む、方法を対象とする。
【0059】
[0069]本明細書中で開示されている方法に使用される膜としては、修飾ポリエーテルスルホン(mPES)、ポリスルホン(PS)及びポリエーテルスルホン(PES)を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。いくつかの実施形態において、実質的にコアギュローゲンを含まないLALを生成する方法は、修飾ポリエーテルスルホン(mPES)メンブランフィルターを使用したTFFを使用して実施される。LALからのコアギュローゲンの除去を最適化するために、膜を横切るLALの流量を調節することができる。いくつかの実施形態において、TFFは、200ml/分~800ml/分、300ml/分~600ml/分、又は350ml/分~500ml/分の流量で実施される。
【実施例
【0060】
実施例1
タンジェンシャルフローろ過を使用したLALの精製
[0070]カブトガニの血液細胞(アメボサイト)から抽出したリムルスアメボサイトライセート(LAL)をロンザ(バーゼル、スイス)から入手した。コアギュローゲンを除去するために、タンジェンシャルフローろ過(TFF)用のホローファイバー修飾ポリエーテルスルホン(mPES)メンブランフィルター(スペクトラムラボラトリーズ(SpectrumLabs))にLALを供した。30kDa MWCO mPESフィルター、コールパーマー(Cole Parmer)マスターフレックスポンプチュービング(Masterflex Pump Tubing)並びに適したポンプ及び背圧弁を使用してTFFシステムをセットアップした。そのシステムをLAL試薬水(LRW)で洗い流し、その後、1N NaOHを使用して室温で1時間脱パイロジェン処理をした。脱パイロジェン処理後、LRWを使用して、システムをすすぎ、その後、そのシステムを、TFFバッファーを使用して平衡化した。
【0061】
[0071]LALを、1:10~1:8の比率でTFFバッファー(室温でpH7.4~7.5の77mM NaClを含む50mMトリス)により希釈した後、90%の総体積が透過液中に回収されるまで、5~8psiの膜間差圧(TMP)を維持しながら430ml/分の流量でフィルターに供給した。その後、保持液を1:10~1:8の比率でTFFバッファーによりさらに希釈した後、フィルターに供給した。保持液の体積がLALの最初の体積と同じになるまで、保持液の希釈を繰り返し、LALを処理した。コアギュローゲンは、透過液中に回収された一方で、残りのタンパク質は保持液中に保持された。透過液及び保持液のSDS-PAGE及びウエスタンブロット分析は、保持液中のコアギュローゲンが実質的に減少したことを示した。
【0062】
[0072]TFF最適化プロセスの間、pH6.2の77mM NaClを有する50mM MESを含む、バッファーも使用した。但し、LALから除去される総タンパク質の最高パーセンテージは、トリスバッファーを用いたときに見られた。
【0063】
[0073]TFFに使用する前、ロンザの標準的なKQCLキットを使用してすべてのバッファーをエンドトキシンに関して試験した。
【0064】
実施例2
コアギュローゲンの定量
[0074]LAL保持液に対するSDS-PAGE/タンパク質ゲル染色を実施し、元のLAL中の20kDコアギュローゲンバンドのバンド密度を、あれば、TFF保持液中のコアギュローゲンバンドのバンド密度と比較することによって、LAL中の残存コアギュローゲンの半定量的評価を行った。例えば、図7A参照。
【0065】
[0075]さらに、α-コアギュローゲン抗体を使用して、ウエスタンブロットを実施した後、20kDコアギュローゲンバンドのバンド密度を比較した。例えば、図7Bを参照。
【0066】
[0076](コアギュローゲンを含有する)LAL透過液を還元条件下でSDS-PAGEゲルに流した後、3つのバンドの配列決定をすることによってコアギュローゲンの正体を確認した。図9参照。タンパク質配列決定によって3つのバンドのそれぞれがコアギュローゲン断片と確認された。
【0067】
[0077]両定量方法は、本発明がかなりの割合のコアギュローゲンをLALから除去したことを確認している。
【0068】
[0078]LAL中のコアギュローゲンの量は、ウエスタンブロット分析を使用して決定した。図8A。ウエスタンブロット分析の結果は、標準曲線と合っていた。図8B。その結果は、約662ng/2000ng、すなわちLAL中の総タンパク質の約33%がコアギュローゲンであることを示した。
【0069】
実施例3
実質的にコアギュローゲンを含まないLALの安定性
[0079]実質的にコアギュローゲンを含まないLALの安定性を調査した。実質的にコアギュローゲンを含まないLALサンプルを1、2、3、4、5、6、7、8、9及び10週間保管した。示した期間の終わりに、実質的にコアギュローゲンを含まないLALサンプルを96ウェルプレート中のLAL発色試薬と混合し、405nmにおける吸光度を測定するインキュベートプレートリーダーに入れる。その反応を黄色の外観により経時的に自動的に監視した。
【0070】
[0080]エンドトキシンの存在下において、ライセートは、発色基質を切断して、溶液を黄色くすることになる。変化に必要とされる時間は、存在するエンドトキシンの量と反比例する。各サンプルに関して50mODに達するのに必要とされる時間は、図10でわかる。このデータは、実質的にコアギュローゲンを含まないLALが少なくとも10週間安定であることを示唆している。
【0071】
実施例4
コアギュローゲン除去は分離を改善する
[0081]複数のオンセットmODにおける分離に対して、LALからコアギュローゲンを除去することが有する効果の調査を行った。通常のLAL対実質的にコアギュローゲンを含まないLALの比較は、実質的にコアギュローゲンを含まないLALを使用した場合に、それぞれのオンセットmODにおける分離の増加を示した。分離を増加させるために実質的にコアギュローゲンを含まないLALを使用することによって、アッセイの目標の感度を、より低いオンセットmOD設定においてより短い時間で達成することができる。配合物を調製するために実質的にコアギュローゲンを含まないLALを使用すると、0.005EU/mlの目標の感度を、368秒の分離で26分で達成できる。通常のLALを使用すると、0.005EU/mlの感度を50mODにおいて32分で達成するが、分離はわずか67秒である。
【0072】
[0082]このデータは、LALからのコアギュローゲンの除去が分離を改善することを示唆している。
【0073】
実施例5
LAL及び実質的にコアギュローゲンを含まないLAL配合物の発色検出
[0083]LAL及び実質的にコアギュローゲンを含まないLALの両方のサンプルを、0.005EU/ml、0.05EU/ml、0.5EU/ml、5EU/ml及び50EU/mlの標準に対してLAL調製物中20%、30%、40%及び50%の濃度で試験した。さらに、さまざまな濃度のズイッタージェントも試験した。図3及び図4。このデータは、実質的にコアギュローゲンを含まないLAL及びズイッタージェントの濃度を高めると、LAL及び実質的にコアギュローゲンを含まないLAL配合物の両方に関してそれぞれ標準に対する反応速度が増加したことを示唆している。但し、LAL配合物により反応速度が増加するため、ブランクと最低の標準(0.005EU/ml)との間では分離が失われる一方で、すべての実質的にコアギュローゲンを含まないLAL配合物に関しては、少なくとも200秒の分離が維持されている。増加したズイッタージェントと配合した実質的にコアギュローゲンを含まないLALは、許容される分離で0.001EU/mlの感度を達成した。(データは示していない)。
【0074】
実施例6
実質的にコアギュローゲンを含まないLALと発色基質の比率
[0084]実質的にコアギュローゲンを含まないLALと発色基質の最適な比率を200mOD及び50mODにおいて調査した。図5A及び図5B。このデータは、70%のLAL調製物と30%の発色基質の比率が最速の反応時間になったことを示している。実質的にコアギュローゲンを含まないLALの3つの異なるロットを見ると、この観察結果が確認された。図6A
【0075】
[0085]実施形態のいずれの範囲からも逸脱することなく、本明細書に記載されている方法及び用途に対する他の適した変更及び適応が行えることは、関連分野の当業者には容易にわかるであろう。上述の実施例は、例示する目的のためだけに含まれ、限定することは意図しない。
【0076】
[0086]特定の実施形態が本明細書中で例示され、記載されてきたが、特許請求の範囲は、記載され、示されている特定の形態又は部分の配置に限定されないことが理解されるべきである。本明細書には、実例となる実施形態が開示されてきており、特定の用語が利用されているが、それらの用語は、一般的で説明的な意味でのみ使用され、限定の目的ではない。上記の教示を考慮して、実施形態の変更及び変形が可能である。したがって、実施形態が具体的に記載されている以外の方法で実施されてもよいことが理解されるべきである。
【0077】
[0087]各種実施形態が上に記載されてきたが、当然のことながら、それら実施形態は、本技術の実例及び例として提示されたにすぎず、限定の意図ではない。本技術の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態及び細部にさまざまな変更を行うことができることは関連分野の当業者には明白であろう。したがって、本技術の広さ及び範囲は、上記の実施形態のいずれによっても限定されるべきではなく、添付の特許請求の範囲及びその等価物によってのみ定義されるべきである。本明細書において述べられているそれぞれの実施形態、及び本明細書中で引用されるそれぞれの文献のそれぞれの特徴を、任意のその他の実施形態の特徴と組み合わせて使用することができることも理解されるであろう。本明細書において述べられているすべての特許及び公報は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0078】
[配列表]
本出願は、ASCII形式で電子的に提出された配列表を含有し、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。2017年9月5日に作成された上記ASCIIコピーは、0132-0023WO1_SL.txtという名前であり、1,055バイトのサイズである。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6A
図7A
図7B
図8A
図8B
図9
図10A
図10B
図11A
図11B
【配列表】
0007044222000001.app