(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-22
(45)【発行日】2022-03-30
(54)【発明の名称】毛髪変形用還元性組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/34 20060101AFI20220323BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20220323BHJP
A61K 8/46 20060101ALI20220323BHJP
A61Q 5/04 20060101ALI20220323BHJP
A61Q 5/10 20060101ALI20220323BHJP
A61Q 5/08 20060101ALI20220323BHJP
【FI】
A61K8/34
A61K8/37
A61K8/46
A61Q5/04
A61Q5/10
A61Q5/08
(21)【出願番号】P 2017210776
(22)【出願日】2017-10-31
【審査請求日】2020-09-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000113274
【氏名又は名称】ホーユー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002826
【氏名又は名称】特許業務法人雄渾
(74)【代理人】
【識別番号】100197022
【氏名又は名称】谷水 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100102635
【氏名又は名称】浅見 保男
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 知彦
(72)【発明者】
【氏名】加藤 成人
(72)【発明者】
【氏名】飯尾 栄里
【審査官】小川 慶子
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-56836(JP,A)
【文献】特開平2-48518(JP,A)
【文献】特開2013-253067(JP,A)
【文献】米国特許第5554364(US,A)
【文献】特開2004-123618(JP,A)
【文献】特表2009-537619(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00-8/99
A61Q 1/00-90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ポリフェノールと、(B)チオグリコール酸アンモニウム0.1~2.5質量%を含有
し、
前記ポリフェノールを3~20質量%含有し、
前記ポリフェノールは、(A-1)下記一般式(1)で表される骨格を有することを特徴とする、毛髪変形用還元性組成物。
(式中、Rは、それぞれ独立して、炭素原子数1~10の炭化水素基、炭素原子数1~10のアルコキシ基、アシル基(-COR
1
)、カルボキシル基を、R
1
は、炭素原子数1~10の炭化水素基を、mは0~4の整数を、nは2~6の整数を表す。但し、m及びnは、m+nが2~6の整数となる数値である。)
【請求項2】
前記ポリフェノールは、ピロガロール骨格又はフロログルシノール骨格を有する化合物であることを特徴とする、請求項
1に記載の還元性組成物。
【請求項3】
請求項1
又は2に記載の還元性組成物を用いた毛髪処理方法であって、
前記還元性組成物を毛髪に塗布する工程と、
5分以上放置する工程と、
前記還元性組成物を洗い流す工程と、
アルカリ剤及び酸化剤を含有する酸化染毛剤組成物又は毛髪脱色剤を塗布する工程と、を含む、毛髪処理方法。
【請求項4】
請求項1
又は2に記載の還元性組成物と、アルカリ剤を含有する第1剤と酸化剤を含有する第2剤からなる多剤式酸化染毛剤組成物とを備える、毛髪化粧料用品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪等にパーマネントウェーブ又はストレートパーマ等の毛髪変形処理を施すための還元性組成物に関する。更に詳しくは、本発明は、異臭や毛髪等のダメージを抑制しつつ、毛髪変形(縮毛化、又は、直毛化)作用を発揮することができる還元性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
毛髪の形状を変形させる方法として、一般的にパーマネントウェーブ又はストレートパーマを施術する方法が知られている。
施術方法としては、まず、還元剤、アルカリ等を含む1剤を毛髪に塗布し、毛髪中タンパク質の水素結合やイオン結合、及び、ジスルフィド結合を切断する。その後、所望の形状に毛髪を成形し、酸化剤を含む2剤を用いて切断した結合を再形成することにより、毛髪にウェーブやストレート性を形成することができる。
【0003】
1剤に用いる還元剤として、チオグリコール酸アンモニウムが広く用いられているが、還元性が高いことから毛髪へのダメージが大きく、チオグリコール酸に起因する臭いによって、施術者、被施術者等が不快な思いをするという問題が生じている。
【0004】
一方、毛髪のパーマネント処理と染色処理とを同時に行う施術方法として、パーマ液に発色剤を添加する方法や(特許文献1)、パーマネントウェーブ又はストレートパーマに用いる酸化剤の代わりに、酸化染料を含むカラーリング剤を用いる方法が知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第2512680号公報
【文献】特許第4648607号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来から、チオグリコール酸アンモニウムが添加された還元剤は、チオグリコール酸に起因する独特の臭気を放つという欠点がある。また、チオグリコール酸の塩であるチオグリコール酸アンモニウムが多量に用いられるパーマ剤では、毛髪に与えるダメージが問題となっていた。
一方、チオグリコール酸アンモニウムの使用量を減らすと、毛髪変形作用が損なわれるという問題がある。
【0007】
本発明の課題は、異臭、及び毛髪へのダメージを抑制しつつ、毛髪変形効果を高める毛髪変形用還元性組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明者は、上記課題に対して鋭意検討した結果、毛髪変形用還元性組成物において、(A)ポリフェノールと、(B)チオグリコール酸アンモニウム0.1~2.5質量%を含有させることで、臭気及び毛髪のダメージを抑制しつつ、毛髪変形作用を発揮できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の還元性組成物である。
【0009】
本発明の毛髪変形用還元性組成物は、(A)ポリフェノールと、(B)チオグリコール酸アンモニウム0.1~2.5質量%を含有することを特徴とする。
この還元性組成物によれば、臭気及び毛髪のダメージを抑制しつつ、毛髪に変化を形成できるという効果を発揮することができる。
【0010】
更に、本発明の還元性組成物の一実施態様としては、前記ポリフェノールを1.5~20質量%含有することを特徴とする。
この還元性組成物によれば、毛髪に変化を形成できるという効果を発揮することができる。
【0011】
更に、本発明のポリフェノールの一実施態様としては、(A-1)下記一般式(1)で表される骨格を有することを特徴とする。
【化1】
(式中、Rは、それぞれ独立して、炭素原子数1~10の炭化水素基、炭素原子数1~10のアルコキシ基、アシル基(-COR
1)、カルボキシル基を、R
1は、炭素原子数1~10の炭化水素基を、mは0~4の整数を、nは2~6の整数を表す。但し、m及びnは、m+nが2~6の整数となる数値である。)
この還元性組成物によれば、臭気及び毛髪のダメージを抑制しつつ、毛髪に変化を形成できるという効果を発揮することができる。
【0012】
また、本発明の還元性組成物の一実施態様としては、前記ポリフェノールは、ピロガロール骨格又はフロログルシノール骨格を有する化合物であることを特徴とする。
この特徴によれば、毛髪のダメージを抑制しつつ、毛髪に変化を形成させることができる。
【0013】
また、本発明の還元性組成物は、良好に染毛又は脱色処理を行うことが可能である。
処理の方法としては、還元性組成物を毛髪に塗布する工程と、5分以上放置する工程と、前記還元性組成物を洗い流す工程と、アルカリ剤及び酸化剤を含有する酸化染毛剤組成物又は毛髪脱色剤を塗布する工程と、を含むことを特徴とする。
この特徴によれば、毛髪の変形と染毛又は脱色とを同時に行うことができ、被施術者の時間的な負担を軽減することが可能である。
【0014】
また、本発明は前記還元性組成物と、アルカリ剤を含有する第1剤と酸化剤を含有する第2剤を含む多剤式酸化染毛剤組成物とを包含する、毛髪化粧料用品であることを特徴とする。
この特徴によれば、毛髪の変形と染色とを同時に行うことができ、被施術者の時間的な負担を軽減することが可能である。
【発明の効果】
【0015】
本発明の還元性組成物は、臭気及び毛髪のダメージを抑制しつつ、毛髪に変化を形成できる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明を実施するための最良の形態を含めて説明する。
[毛髪変形用還元性組成物]
本発明の毛髪変形用還元性組成物は、(A)ポリフェノールと、(B)チオグリコール酸アンモニウム0.1~2.5質量%を含有することを特徴とする。
【0017】
次に、本発明の還元性組成物に使用する各成分について、詳細に説明する。なお、各成分の含有量については、特に断りがない場合には、還元性組成物中の含有量を示す。
【0018】
<(A)ポリフェノール>
ポリフェノールとは、同一分子内に2個以上のフェノール性水酸基をもつ化合物又はそれらの配糖体であり、(B)チオグリコール酸アンモニウムのケラチン還元作用を促進しつつ、毛髪のダメージを抑制するものである。
ポリフェノールとしては、好ましくは芳香環を1~10個有するものであり、より好ましくは1~5個であり、更に好ましくは1~2個である。
ポリフェノールの構造が大きくなりすぎると、毛髪内部に浸透しづらく、結果的にケラチン還元性が弱くなる傾向がある。
【0019】
ケラチンとは、毛髪の主成分として存在するタンパク質であり、その側鎖同士がジスルフィド結合を介して結合して、毛髪の形状を維持している。
毛髪の形状を変化させるためには、このジスルフィド結合を還元して、ケラチン同士の架橋を切断する必要がある。
【0020】
このようなポリフェノールの具体例としては、例えば、アピゲニン、アピゲニン配糖体、アカセチン、アルカニン、イソラムネチン、イソラムネチン配糖体、イソクエルシトリン、エピカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキン、エピガロカテキンガレート、エスキュレチン、エチルプロトカテキュ酸塩、エラグ酸、カテコール、ガンマ酸、カテキン、ガルデニン、ガロカテキン、カフェ酸、カフェ酸エステル、クロロゲン酸、ケンフェロール、ケンフェロール配糖体、ケルセチン、ケルセチン配糖体、ケルセタゲニン、ゲニセチン、ゲニセチン配糖体、ゴシペチン、ゴシペチン配糖体、ゴシポール、シコニン、4-ジヒドロキシアントラキノン、1,4-ジヒドロキシナフタレン、シアニジン、シアニジン配糖体、シネンセチン、ジオスメチン、ジオスメチン配糖体、3,4’-ジフェニルジオール、シナピン酸、ステアリル-β-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、スピナセチン、タンゲレチン、タキシホリン、タンニン酸、ダフネチン、チロジン、デルフィニジン、デルフィニジン配糖体、テアフラビン、テアフラビンモノガレート、テアフラビンビスガレート、トリセチニジン、ドーパ、ドーパミン、ナリンゲニン、ナリンジン、ノルジヒドログアヤレチン酸、ノルアドレナリン、ヒドロキノン、ノベニリン、パチュレチン、ハーバセチン、ベニリルアルコール、バニトロープ、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン酸、ビスフェノールA、ピロカテコール、ピロガロール、ビテキシン、4,4’-ビフェニルジオール、4-tert-ブチルカテコール、2-tert-ブチルヒドロキノン、プロトカテキュ酸、フロログルシノール、フェノール樹脂、プロシアニジン、プロデルフィニジン、フロレチン、フロレチン配糖体、フィゼチン、フォリン、フェルバセチン、フラクセチン、プルプリン、フロリジン、ペオニジン、ペオニジン配糖体、ペルオルゴニジン、ペルオルゴニジン配糖体、ペチュニジン、ペチュニジン配糖体、ヘスペレチン、ヘスペレジン、没食子酸、没食子酸エステル(没食子酸ラウリル、没食子酸プロピル、没食子酸ブチル)、マンジフェリン、マルビジン、マルビジン配糖体、ミリセチン、ミリセチン配糖体、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(4-エチル-6-tert-ブチルフェノール)、メチルアトラレート、4-メチルカテコール、5-メチルカテコール、4-メトキシカテコール、5-メトキシカテコール、メチルカテコール-4-カルボン酸、2-メチルレゾルシノール、5-メチルレゾルシノール、モリン、リモシトリン、リモシトリン配糖体、リモシトロール、ルテオリン、ルテオリン配糖体、ルテオリニジン、ルテオリニジン配糖体、ルチン、レゾルシン、レスベラトロール、ロイコシアニジン、ロイコデルフィニジンなどがあげられる。
これらのポリフェノールは、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いても良い。
【0021】
上記ポリフェノールは、公知の方法により調製できるが、市販品を購入してもよい。また、合成により調製してもよい。更には、植物から調製した高濃度ポリフェノール画分を使用することもできる。
【0022】
前記ポリフェノールは、(A-1)下記一般式(1)で表される骨格を有することを特徴とする。
【化2】
(式中、Rは、それぞれ独立して、炭素原子数1~10の炭化水素基、炭素原子数1~10のアルコキシ基、アシル基(-COR
1)、カルボキシル基を、R
1は、炭素原子数1~10の炭化水素基を、mは0~4の整数を、nは2~6の整数を表す。但し、m及びnは、m+nが2~6の整数となる数値である。)
この還元性組成物によれば臭気及び毛髪のダメージを抑制しつつ、毛髪に変化を形成することができる。
【0023】
式(1)の中のR、及びR1の「炭素数1~10の炭化水素基」は、分岐構造、環状構造、及び炭素-炭素不飽和結合(炭素-炭素二重結合、炭素-炭素三重結合)のそれぞれを有していてもよく、飽和炭化水素基、不飽和炭化水素基、芳香族炭化水素基等の何れであってもよいことを意味する。炭化水素基の炭素原子数は、炭化水素基が芳香族炭化水素基である場合、通常6以上である。一方、炭化水素基が芳香族炭化水素基以外である場合、好ましくは8以下であり、より好ましくは6以下であり、また3以下であってもよい。
「炭素数1~10の炭化水素基」の具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、シクロプロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、2,2-ジメチル-1-プロピル基、シクロペンチル基、n-ヘキシル基、シクロヘキシル基、n-ヘプチル基、2-メチルペンチル基、n-オクチル基、2-エチルヘキシル基、n-ノニル基、n-デシル基、フェニル基、ベンジル基、ビニル基等が挙げられる。
【0024】
式(1)の中のRの「炭素原子数1~10のアルコキシ基」は、アルコキシ基中の炭化水素基が分岐構造、環状構造、及び炭素-炭素不飽和結合(炭素-炭素二重結合、炭素-炭素三重結合)のそれぞれを有していてもよく、飽和炭化水素基、不飽和炭化水素基、芳香族炭化水素基等の何れであってもよいことを意味する。アルコキシ基の炭素原子数は、アルコキシ基の炭化水素基が芳香族炭化水素基である場合、通常6以上である。一方、アルコキシ基の炭化水素基が芳香族炭化水素基以外である場合、好ましくは8以下であり、より好ましくは6以下であり、また3以下であってもよい。
「炭素原子数1~10のアルコキシ基」の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、i-プロポキシ基、n-ブトキシ基、i-ブトキシ基、s-ブトキシ基、t-ブトキシ基、n-ペンチルオキシ基、2,2-ジメチルプロポキシ基、シクロペンチルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、n-ヘプチルオキシ基、2-メチルペンチルオキシ基、n-オクチルオキシ基、2-エチルヘキシルオキシ基、n-ノニルオキシ基、n-デシルオキシ基、フェニルオキシ基、ビニルオキシ基等が挙げられる。
【0025】
前記式(1)で表されるポリフェノールの具体例としては、下記式(1a)~(1f)で表される構造を有する化合物が挙げられる。
【0026】
【0027】
本発明の還元性組成物は、前記式(1)で表されるポリフェノールに該当する1種類の化合物を含有するものでもあっても、前記式(1)で表されるポリフェノールに該当する2種類以上の化合物を含有するものであってもよい。前記式(1)で表されるポリフェノールは、還元性組成物中、例えば1.5~20質量%含有することが好ましい。下限値として、より好ましくは2質量%以上であり、更に好ましくは3質量%以上であり、特に好ましくは4質量%以上である。式(1)で表されるポリフェノールの含有量が1質量%以上であると、ケラチン還元作用をより促進することができ、より効率的にジスルフィド結合を還元することができる。上限値として、より好ましくは15質量%以下であり、更に好ましくは10質量%以下であり、特に好ましくは6質量%以下である。式(1)で表されるポリフェノールの含有量が20質量%以下であると、製剤としての安定性が良好となる。
【0028】
<(B)チオグリコール酸アンモニウム>
更に、本発明の還元性組成物には、(A)ポリフェノールに加えて、(B)チオグリコール酸アンモニウムを含有することを特徴とする。
チオグリコール酸アンモニウムとは、チオグリコール酸とアンモニアの塩であり、ケラチンを還元できる作用効果を奏する。
チオグリコール酸アンモニウムの含有量は還元性組成物中、例えば、0.1~2.5質量%である。下限値として、より好ましくは0.2質量%以上であり、更に好ましくは0.5質量%以上である。チオグリコール酸アンモニウムの含有量が0.1質量%以上であると、還元性能がより発揮されやすい。上限値として、より好ましくは2.4質量%以下であり、更に好ましくは1.5質量%以下であり、特に好ましくは1.0質量%以下である。チオグリコール酸アンモニウムの含有量が2.5質量%以下であると、チオグリコール酸に起因する臭い、及び毛髪に対するダメージを抑制しつつ、還元性能を発揮することができる。
なお、チオグリコール酸アンモニウムの含有量は、チオグリコール酸に換算すると、還元性組成物中、例えば、0.1~2.0質量%が好ましい。
【0029】
本発明の還元性組成物に含有されるポリフェノールは、発色剤として機能するものでなく、ケラチンの還元剤として機能するものであるから、本発明の還元性組成物は発色助剤を含む必要がない。
発色助剤として機能する材料としては、例えば、第一鉄化合物、第二鉄化合物の1種又は2種以上の混合物が挙げられ、具体的な化合物としては、例えば、クエン酸鉄、アスコルビン酸鉄等が知られている。
【0030】
<その他の成分>
本発明の還元性組成物には、上記成分以外に、必要に応じて以下の成分を含有してもよい。
その他の成分としては、例えば、還元剤、アルカリ剤、キレート剤、直接染料、油性成分、界面活性剤、エタノール等の有機溶剤、塩化ナトリウム、炭酸ナトリウム等の無機塩、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、クエン酸、酒石酸、乳酸、リンゴ酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、ピロリン酸、グルコン酸、グルクロン酸、炭酸水素アンモニウム等のpH調整剤、アスコルビン酸、酸化防止剤、天然セラミド又はセラミド類似機能を有するセラミド類縁体、保湿剤、ビタミン等の薬剤、タンパク質加水分解物やアミノ酸又はその誘導体、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ナイロン、シリコーン等のポリマー微粉末又はそれらの疎水化処理物、育毛成分、植物抽出物、生薬抽出物、アミノ酸・ペプチド、尿素、ビタミン類、香料、紫外線吸収剤、パール化剤、防腐剤、殺菌剤、抗炎症剤等が挙げられる。
【0031】
<還元剤>
本発明の還元性組成物には、ポリフェノール、チオグリコール酸アンモニウムに加えて、その他の還元剤を含有してもよい。その他の還元剤としては、ケラチンのジスルフィド結合を還元させる物質が挙げられ、例えば、チオグリコール酸、チオグリコール酸誘導体、チオグリコール酸又はチオグリコール酸誘導体の塩、システイン、システイン誘導体、システイン又はシステイン誘導体の塩、システアミン、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、チオグリセリルアルキルエーテル類、チオ乳酸類等の還元性物質である。
【0032】
還元性組成物におけるその他の還元剤の含有量は、チオグリコール酸、チオグリコール酸誘導体、チオグリコール酸又はチオグリコール酸誘導体の塩の場合は、例えば、0.1~2.5質量%である。上限値として、より好ましくは2.0質量%以下であり、更に好ましくは1.5質量%以下であり、特に好ましくは1.0質量%以下である。
チオグリコール酸等の還元剤の含有量が2.5質量%以下であると、毛髪に対するダメージを抑制することが可能である。
その他の還元剤の場合は、例えば上限値として、好ましくは10質量%以下であり、より好ましくは5質量%以下であり、更に好ましくは2.5質量%以下である。
その他の還元剤の含有量が10質量%以下であると、毛髪に対するダメージを抑制することが可能である。
【0033】
<アルカリ剤>
アルカリ剤は、毛髪を膨張させて、還元性組成物の浸透を促進する作用を有するものである。アルカリ剤としては、例えば、アンモニア、アルカノールアミン、ケイ酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、メタケイ酸塩、リン酸塩、塩基性アミノ酸、水酸化物等が例示される。具体的には、アルカノールアミンとしてはモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、アミノメチルプロパノール、イソプロピルアミン等が例示され、ケイ酸塩としてはケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム等が例示され、炭酸塩としては炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、炭酸マグネシウム、炭酸グアニジン等が例示され、炭酸水素塩としては炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム等が例示され、メタケイ酸塩としてはメタケイ酸ナトリウム、メタケイ酸カリウム等が例示され、リン酸塩としてはリン酸第1アンモニウム、リン酸第2アンモニウム、リン酸一水素二ナトリウム、リン酸三ナトリウム等が例示され、塩基性アミノ酸としてはアルギニン、リジン及びそれらの塩等が例示され、水酸化物としては水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等が例示される。これらの中でも、アンモニア及びアルカノールアミンが好ましい。
【0034】
還元性組成物におけるアルカリ剤の含有量は、毛髪の変形効果(縮毛化、直毛化)や安全性の点から、下限値として、好ましくは、0.1質量%以上であり、より好ましくは0.5質量%以上である。上限値として、好ましくは10質量%以下であり、より好ましくは7.5質量%以下である。
【0035】
<キレート剤>
キレート剤は組成物中の金属イオンと安定的に複合体を形成する機能を有するもので、
不要な着色現象を抑制するとともに安定な還元反応を保証することを目的として加えるものである。キレート剤としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸及びその塩、ヒドロキシエチルエチレンジアミン四酢酸及びその塩、ジヒドロキシエチルエチレンジアミン四酢酸及びその塩、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジホスホン酸及びその塩、ニトリロトリスメチレンジホスホン酸及びその塩、8-キノリノール及びその塩が挙げられる。これらキレート剤は、2種以上を併用してもよい。
【0036】
還元性組成物におけるキレート剤の含有量は、毛髪の変形効果(縮毛化、直毛化)、安定性、安全性の点から、下限値として、好ましくは0.005質量%以上であり、より好ましくは0.01質量%以上である。上限値として、好ましくは5質量%以下であり、より好ましくは2質量%以下である。
【0037】
<直接染料>
直接染料は、色を有する化合物であり、毛髪に付着又は浸透して染毛する染料である。例えば、酸性染料、塩基性染料、天然染料、ニトロ染料、HC染料、分散染料等がある。これら直接染料は単独で配合しても良く、組み合わせて配合しても良い。
直接染料を含有させることで、毛髪に緩やかな変化を付けつつ、同時に染毛処理を行うことができる。
【0038】
上記酸性染料としては、赤色2号、赤色3号、赤色102号、赤色104号の(1)、赤色105号の(1)、赤色106号、赤色227号、赤色230号の(1)、黄色4号、黄色5号、黄色202号の(1)、黄色202号の(2)、黄色203号、だいだい色205号、だいだい色207号、だいだい色402号、緑色3号、緑色204号、緑色401号、紫色401号、青色1号、青色2号、青色202号、かっ色201号、黒色401号等を例示できる。
【0039】
上記塩基性染料としては、Basic Blue 3、Basic Blue 6、Basic Blue 7、Basic Blue 9、Basic Blue 26、Basic Blue 41、Basic Blue 47、Basic Blue 99、Basic Brown 4、Basic Brown 16、Basic Brown 17、Basic Green 1、Basic Green 4、Basic Orange 1、Basic Orange 2、Basic Orange 31、Basic Red 1、Basic Red 2、Basic Red 22、Basic Red 46、Basic Red 51、Basic Red 76、Basic Red 118、Basic Violet 1、Basic Violet 3、Basic Violet 4、Basic Violet 10、Basic Violet11:1、Basic Violet 14、Basic Violet 16、Basic Yellow 11、Basic Yellow 28、Basic Yellow 57、Basic Yellow 87等を例示できる。
【0040】
上記天然染料としては、クチナシ色素、ウコン色素、アナトー色素、銅クロロフィリンナトリウム、パプリカ色素、ラック色素、ヘナ等を例示できる。
【0041】
上記ニトロ染料としては、4-ニトロ-o-フェニレンジアミン、2-ニトロ-p-フェニレンジアミン、2-アミノ-4-ニトロフェノール、2-アミノ-5-ニトロフェノール、ピクラミン酸、ピクリン酸、及びそれらの塩等を例示できる。
【0042】
上記HC染料としては、HC Blue No.2、HC Blue No.5、HC Blue No.6、HC Blue No.9、HC Blue No.10、HC Blue No.11、HC Blue No.12、HC Blue No.13、HC Orange No.1、HC Orange No.2、HC Orange No.3、HC Red No.1、HC Red No.3、HC Red No.7、HC Red No.10、HC Red No.11、HC Red No.13、HC Red No.14、HC Violet No.1、HC Violet No.2、HC Yellow No.2、HC Yellow No.4、HC Yellow No.5、HC Yellow No.6、HC Yellow No.9、HC Yellow No.10、HC Yellow No.11、HC Yellow No.12、HC Yellow No.13、HC Yellow No.14、HC Yellow No.15等を例示できる。
【0043】
上記分散染料としては、Disperse Black 9、Disperse Blue 1、Disperse Blue 3、Disperse Blue 7、Disperse Brown 4、Disperse Orange 3、Disperse Red 11、Disperse Red 15、Disperse Red 17、Disperse Violet 1、Disperse Violet 4、Disperse Violet 15等を例示できる。
【0044】
還元性組成物における直接染料の含有量は、特に限定されないが、好ましくは0.001~10質量%である。下限値として、より好ましくは0.01質量%以上であり、更に好ましくは0.05質量%以上である。上限値として、より好ましくは5質量%以下であり、更に好ましくは3質量%以下である。
【0045】
<油性成分>
油性成分は、例えば、高級アルコール、油脂、ロウ類、炭化水素、高級脂肪酸、エステル類、シリコーン油、フッ素油等が例示される。これらの油性成分から、1種又は2種以上を選んで用いることができる。
【0046】
高級アルコールとしては、例えば、セチルアルコール(セタノール)、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、オレイルアルコール、リノレイルアルコール、リノレニルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、2-ヘキシルデカノール、イソステアリルアルコール、2-オクチルドデカノール、デシルテトラデカノール等が挙げられる。
【0047】
油脂は、トリグリセリドすなわち脂肪酸とグリセリンとのトリエステルである。例えば、オリーブ油、ローズヒップ油、ツバキ油、シア脂、マカデミアナッツ油、アーモンド油、茶実油、サザンカ油、サフラワー油、ヒマワリ油、大豆油、綿実油、ゴマ油、牛脂、カカオ脂、トウモロコシ油、落花生油、ナタネ油、コメヌカ油、コメ胚芽油、小麦胚芽油、ハトムギ油、ブドウ種子油、アボカド油、カロット油、ヒマシ油、アマニ油、ヤシ油、ミンク油、卵黄油等が挙げられる。
【0048】
ロウ類は、高級脂肪酸と高級アルコールのエステルである。例えば、ミツロウ(蜜蝋)、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、ホホバ油、ラノリン、鯨ロウ、コメヌカロウ、サトウキビロウ、パームロウ、モンタンロウ、綿ロウ、ベイベリーロウ、イボタロウ、カポックロウ、セラックロウ等が挙げられる。
【0049】
炭化水素は、炭素と水素よりなる化合物である。例えば、流動パラフィン、パラフィン、マイクロクリスタリンワックス、ワセリン、イソパラフィン類、オゾケライト、セレシン、ポリエチレン、α-オレフィンオリゴマー、ポリブテン、合成スクワラン、スクワレン、水添スクワラン、リモネン、テレビン油等が挙げられる。
【0050】
高級脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、12-ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、ウンデシレン酸、リノール酸、リシノール酸、ラノリン脂肪酸等が挙げられる。
【0051】
エステル類は、脂肪酸とアルコールとの脱水反応によって得られる化合物である。例えば、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸-2-ヘキシルデシル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ミリスチル、オクタン酸セチル、イソオクタン酸セチル、イソノナン酸イソノニル、セバシン酸ジイソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸2-エチルへキシル、エチルヘキサン酸セチル、ステアリン酸ブチル、イソステアリン酸イソセチル、ラウリン酸ヘキシル、オレイン酸デシル、脂肪酸(C10-30)(コレステリル/ラノステリル)、乳酸ラウリル、乳酸オクチルドデシル、酢酸ラノリン、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N-アルキルグリコール、ラノリン誘導体等が挙げられる。
【0052】
シリコーン油は、有機基のついたケイ素と酸素が化学結合により交互に連なった合成高分子である。例えば、ジメチルポリシロキサン(INCI名:ジメチコン)、ヒドロキシ末端基を有するジメチルポリシロキサン(INCI名:ジメチコノール)、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、ポリエーテル変性シリコーン、平均重合度が650~10000の高重合シリコーン、アミノ変性シリコーン、ベタイン変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、アルコキシ変性シリコーン、メルカプト変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、フッ素変性シリコーン等が挙げられる。
【0053】
上記のうち、アミノ変性シリコーンとしては、例えば、アミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体(INCI名:アミノプロピルジメチコン)、アミノエチルアミノプロピルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体(INCI名:アモジメチコン)、アミノエチルアミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体(INCI名:トリメチルシリルアモジメチコン)等が挙げられる。
【0054】
還元性組成物における油性成分の含有量は、特に限定されないが、好ましくは0.1~30質量%である。下限値として、より好ましくは0.02質量%以上であり、更に好ましくは0.5質量%以上である。上限値として、より好ましくは20質量%以下であり、更に好ましくは10質量%以下である。
【0055】
<界面活性剤>
界面活性剤としては、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤が挙げられる。
なお、以下の記載において、POEはポリオキシエチレン鎖、POPはポリオキシプロピレン鎖を示し、これに続くカッコ内の数字は、その付加モル数を示している。また、アルキルに続くカッコ内の数字は、脂肪酸鎖の炭素数を示している。
【0056】
ノニオン性界面活性剤としては、例えば、POEアルキルエーテル類、POEアルキルフェニルエーテル類、POE・POPアルキルエーテル類、POEソルビタン脂肪酸エステル類、POEモノ脂肪酸エステル類、POEグリセリン脂肪酸エステル類、ポリグリセリン脂肪酸エステル類、モノグリセリン脂肪酸エステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、ショ糖脂肪酸エステル類、アルキルポリグルコシド類等が挙げられる。POEアルキルエーテル類の具体例としては、POEラウリルエーテル、POEセチルエーテル、POEステアリルエーテル、POEベヘニルエーテル、POEラノリン、POEフィトステロール等が挙げられる。
POE、POPの繰り返し単位数としては、例えば、2~100が挙げられ、界面活性作用を示すものであればいずれのものも使用可能である。
【0057】
還元性組成物におけるノニオン性界面活性剤の含有量は、特に限定されないが、好ましくは0.001~40質量%である。下限値として、より好ましくは0.01質量%以上であり、更に好ましくは0.05質量%以上である。上限値として、より好ましくは30質量%以下であり、更に好ましくは20質量%以下である。
【0058】
カチオン性界面活性剤としては、例えば、モノアルキル型4級アンモニウム塩、ジアルキル型4級アンモニウム塩、トリアルキル型4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム型4級アンモニウム塩、モノアルキルエーテル型4級アンモニウム塩等のアルキル4級アンモニウム塩類、アルキルアミン塩、脂肪酸アミドアミン塩、エステル含有3級アミン塩、アーコベル型3級アミン塩等のアミン塩類、アルキルピリジニウム塩、アルキルイソキノリウム塩等の環式4級アンモニウム塩類、塩化ベンゼトニウム等が挙げられる。
【0059】
好ましくは、アルキル4級アンモニウム塩類であり、更に好ましくは、モノアルキル型4級アンモニウム塩、ジアルキル型4級アンモニウム塩であり、特に好ましくは、モノアルキル型4級アンモニウム塩である。
【0060】
モノアルキル型4級アンモニウム塩としては、例えば、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、臭化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化アルキル(16,18)トリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、セチルトリメチルアンモニウムサッカリン、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウムサッカリン、塩化アルキル(28)トリメチルアンモニウム、塩化ジPOE(2)オレイルメチルアンモニウム、塩化ジPOEステアリルメチルアンモニウム、塩化POE(1)POP(25)ジエチルメチルアンモニウム、塩化POPメチルジエチルアンモニウム、塩化メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム、メチル硫酸ベヘニルトリメチルアンモニウム等が挙げられる。特に好ましくは、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化アルキル(16,18)トリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウムである。
【0061】
ジアルキル型4級アンモニウム塩としては、例えば、塩化ジアルキル(12~15)ジメチルアンモニウム、塩化ジアルキル(12~18)ジメチルアンモニウム、塩化ジアルキル(14~18)ジメチルアンモニウム、塩化ジココイルジメチルアンモニウム、塩化ジセチルジメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化イソステアリルラウリルジメチルアンモニウム等が挙げられる。
【0062】
還元性組成物におけるカチオン性界面活性剤の含有量は、特に限定されないが、好ましくは0.001~10質量%である。下限値として、より好ましくは0.01質量%以上であり、更に好ましくは0.05質量%以上である。上限値として、より好ましくは5質量%以下であり、更に好ましくは3質量%以下である。
【0063】
アニオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルエーテル硫酸塩、POEアルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩、アルケニルエーテル硫酸塩、アルケニル硫酸塩、オレフィンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、飽和又は不飽和脂肪酸塩、アルキル又はアルケニル エーテルカルボン酸塩、α-スルホン脂肪酸塩、N-アシルアミノ酸型界面活性剤、リン酸モノ又はジエステル型界面活性剤、及びスルホコハク酸エステルが例示される。これらの界面活性剤のアニオン基の対イオンは、例えばナトリウムイオン、カリウムイオン、及びトリエタノールアミンのいずれであってもよい。
【0064】
より具体的には、ラウリル硫酸ナトリウム、ミリスチル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、セチル硫酸ナトリウム、ステアリル硫酸ナトリウム、POEラウリルエーテル硫酸ナトリウム、POEラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミン、POEラウリルエーテル硫酸アンモニウム、POEステアリルエーテル硫酸ナトリウム、ステアロイルメチルタウリンナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、テトラデセンスルホン酸ナトリウム、ラウリルリン酸ナトリウム、POEラウリルエ-テルリン酸及びその塩、N-ラウロイルグルタミン酸塩類(ラウロイルグルタミン酸ナトリウム等)、N-ラウロイルメチル-β-アラニン塩、N-アシルグリシン塩、N-アシルグルタミン酸塩、高級脂肪酸であるラウリン酸、ミリスチン酸及びこれらの高級脂肪酸の塩が例示され、1又は2種以上を使用することができる。
【0065】
還元性組成物におけるアニオン性界面活性剤の含有量は、特に限定されないが、好ましくは0.01~5質量%である。下限値として、より好ましくは0.05質量%以上であり、更に好ましくは0.1質量%以上である。上限値として、より好ましくは3質量%以下であり、更に好ましくは1.5質量%以下である。
【0066】
両性界面活性剤としては、アミノ酸型両性界面活性剤、ベタイン型両性界面活性剤が挙げられる。
アミノ酸型両性界面活性剤の具体例としては、例えば、N-ラウロイル-N’-カルボキシメチル-N’-ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウム(ラウロアンホ酢酸Na)、2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ウンデシルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインナトリウム、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン、N-ヤシ油脂肪酸アシル-N’-カルボキシエチル-N’-ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウム、N-ヤシ油脂肪酸アシル-N’-カルボキシエトキシエチル-N’-カルボキシエチルエチレンジアミン二ナトリウム、N-ヤシ油脂肪酸アシル-N’-カルボキシメトキシエチル-N’-カルボキシメチルエチレンジアミン二ナトリウム、ラウリルジアミノエチルグリシンナトリウム、パーム油脂肪酸アシル-N-カルボキシエチル-N-ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウムなどのグリシン型両性界面活性剤;ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム、ラウリルアミノジプロピオン酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸トリエタノールアミンなどのアミノプロピオン酸型両性界面活性剤;などが挙げられる。
ベタイン型両性界面活性剤の具体例としては、例えば、ヤシ油アルキルベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ミリスチルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチルベタインナトリウム、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、パーム油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、リシノレイン酸アミドプロピルベタイン、ステアリルジヒドロキシエチルベタインなどのアミノ酢酸ベタイン型両性界面活性剤;ラウリルヒドロキシスルホベタインなどのスルホベタイン型両性界面活性剤などが挙げられる。
【0067】
[毛髪処理方法]
本発明の還元性組成物を用いて、毛髪を処理する方法として、還元性組成物を毛髪に塗布する工程と、5分以上放置する工程と、前記還元性組成物を洗い流す工程と、を含む方法である。
【0068】
還元性組成物を毛髪に塗布する工程とは、上記(A)ポリフェノールと、(B)チオグリコール酸アンモニウム0.1~2.5質量%を含有する還元性組成物を、濡らした、又は乾いた毛髪に対して、コーム等を用いて塗布する工程である。
毛髪をストレートにしたい場合は、毛髪がストレートになるようにコーミングを行うか、アイロン等で毛髪を伸ばす処理を行ってもよい。一方、毛髪にカールやウェーブを付けたい場合、毛髪をロッド等に巻くことで緩やかな形状を付けることができる。
【0069】
5分以上放置する工程とは、上記還元性組成物を毛髪に塗布した後、室温又は加温状態で放置することである。一般的に、室温以上の温度で処理することで、毛髪の形状を変化させやすくなる。本発明の処理方法における室温とは、20℃±15℃の範囲の温度を示し、加温状態とは35~45℃の範囲を示す。
【0070】
前記還元性組成物を洗い流す工程とは、毛髪に塗布された還元性組成物を水道水、精製水、炭酸水等で洗浄する工程である。炭酸水等を用いることで、洗い流すと同時に頭皮のマッサージ効果を得ることが可能である。
【0071】
更に毛髪の処理方法として、上記毛髪処理方法に加えて、酸化性組成物により毛髪を処理する工程を含んでもよい。酸化性組成物とは、ケラチン酸化性物質を含有する組成物であって、上記還元性組成物によって切断されたジスルフィド結合を再結合させるものである。酸化性組成物としては、例えば、酸化染毛剤組成物の第2剤、毛髪脱色剤の第2剤やパーマ剤の第2剤等が挙げられる。酸化性組成物で処理する場合は、上記還元性組成物を洗い流さずにその後の処理を行うことも可能である。
【0072】
その処理方法としては、還元性組成物を毛髪に塗布する工程と、5分以上放置する工程、前記還元性組成物を洗い流す工程と、アルカリ剤及び酸化剤を含有する酸化染毛剤組成物又は毛髪脱色剤を塗布する工程と、を含む、毛髪処理方法である。
【0073】
還元性組成物を毛髪に塗布する工程、5分以上放置する工程、前記還元性組成物を洗い流す工程は、上記と同様の方法である。
【0074】
アルカリ剤及び酸化剤を含有する酸化染毛剤組成物又は毛髪脱色剤を塗布する工程とは、例えば、上記酸化染毛剤組成物を塗布し、染毛処理を行う工程である。酸化染料を含有する第1剤を塗布した後、過酸化物を含有する第2剤を塗布してもよく、第1剤と第2剤を混合して塗布してもよい。
【0075】
本発明の酸化染毛剤組成物の使用方法は、前記酸化染毛剤組成物又は毛髪脱色剤を毛髪に適用後、5分間以上放置することを特徴とする。ここで、「毛髪に適用後」とは、「酸化染毛剤組成物又は毛髪脱色剤を毛髪に適用する工程を終了後」を意味する。この酸化染毛剤組成物及又は毛髪脱色剤の使用方法によれば、5分間を経過すると、染毛又は脱色処理時間の長さによる染毛又は脱色の仕上がりの差異が小さくなるため、染毛又は脱色処理時間が長くなっても同等の濃さ又は明るさに仕上げることができる。
【0076】
・酸化染毛剤組成物
酸化染毛剤組成物は、酸化剤と酸化染料を別の剤に分けて流通し、酸化染料を毛髪内部で発色させるものである。通常、酸化染料を含有する第1剤と、過酸化物を含有する第2剤を備え、これらの剤を混合して使用する。ここで、「混合して使用する」とは、一度の塗布操作で複数の剤を毛髪に適用することを意味し、直前に混合して使用する操作だけでなく、第1剤と第2剤をコーム等に取り、毛髪上でコーム等を用いて混合する操作も含む概念である。
【0077】
酸化性組成物としては、過酸化物を含有する第2剤のみを用いても良いが、染毛と毛髪を変形させる施術を同時に行うために、例えば、酸化染料を含有する第1剤と、過酸化物を含有する第2剤が混合された酸化染毛剤組成物を酸化性組成物として用いることが好ましい。
【0078】
酸化染毛剤組成物は、上記のように、第1剤及び第2剤からなる2剤式のものが代表的であるが、3剤以上からなる多剤式であってもよい。
【0079】
本発明の酸化染毛剤組成物を形成する各剤の形態は、どのような形態であってもよく、例えば、液状、クリーム状、ジェル状等が挙げられる。また、各剤の混合後の酸化染毛剤組成物が、液状、クリーム状、ジェル状等の塗布性を有する剤型であればよく、一部の剤に粉末状や固形状のものが含まれていてもよい。また、使用時に泡状やミスト状としてもよい。泡状とする場合には、エアゾールフォーマー容器、ノンエアゾールフォーマー容器、振とう容器等を使用すればよい。ミスト状とする場合には、噴霧器を使用すればよい。
【0080】
次に、本発明の酸化染毛剤組成物に使用する各成分について、詳細に説明する。なお、各成分の含有量については、特に断りがない場合には、各剤を混合した酸化染毛剤組成物中の含有量を示す。
<酸化染料>
酸化染料は、酸化剤により酸化重合して発色する染料である。酸化染料には、染料中間体とカプラーがあり、染料中間体は、自身の酸化により発色する物質であり、カプラーは、染料中間体との組み合わせにより種々の色調となる物質である。
【0081】
染料中間体は、主としてo-又はp-のフェニレンジアミン類あるいはアミノフェノール類である染料先駆物質であり、通常、それ自体は無色か又は弱く着色した化合物である。
具体的には、(a)p-アミノフェノール、o-アミノフェノール、p-メチルアミノフェノール、p-フェニレンジアミン、トルエン-2,5-ジアミン(p-トルイレンジアミン)、N-フェニル-p-フェニレンジアミン、4,4’-ジアミノジフェニルアミン、2-ヒドロキシエチル-p-フェニレンジアミン、o-クロル-p-フェニレンジアミン、4-アミノ-m-クレゾール、2-アミノ-4-ヒドロキシエチルアミノアニソール、2,4-ジアミノフェノール及びそれらの塩類、硫酸2,2’-[(4-アミノフェニル)イミノ]ビスエタノール等が例示される。
【0082】
染料中間体の種類は、所望する毛髪の色調に応じて1種又は2種以上を選択して使用することができる。また、その含有量は、特に制限されないが、例えば、酸化染毛剤組成物中に、0.01~5質量%である。その下限値として、より好ましくは0.05質量%以上、更に好ましくは0.1質量%以上である。上限値として、より好ましくは3質量%以下であり、更に好ましくは1質量%以下である。
【0083】
カプラーとしては、主としてm-ジアミン類、アミノフェノール類又はジフェノール類が挙げられ、具体的にはメタアミノフェノール、レゾルシン、カテコール、ピロガロール、フロログルシン、没食子酸、ハイドロキノン、5-アミノ-o-クレゾール、5-(2-ヒドロキシエチルアミノ)-2-メチルフェノール、m-フェニレンジアミン、2,4-ジアミノフェノキシエタノール、トルエン-3,4-ジアミン、α-ナフトール、2,6-ジアミノピリジン、ジフェニルアミン、3,3’-イミノジフェニール、1,5-ジヒドロキシナフタレン、タンニン酸及びそれらの塩、1-ヒドロキシエチル-4,5-ジアミノピラゾール硫酸塩等が例示される。
【0084】
カプラーの種類は、所望する毛髪の色調に応じて1種又は2種以上を選択して使用することができる。また、その含有量は、カプラーの総含有量として0.01~15質量%である。その下限値として、より好ましくは0.05質量%以上であり、更に好ましくは0.1質量%以上である。上限値として、より好ましくは10質量%以下であり、更に好ましくは5質量%以下である。
【0085】
<酸化剤>
酸化剤は第2剤に含有する成分であり、酸化力を有する物質であればよい。酸化剤は、ケラチン中のジスルフィド結合を再結合させる作用を有し、かつ酸化染料を酸化して発色させる作用や、毛髪の内部のメラニンを分解する作用を有するものである。具体的には、例えば、過酸化水素、過酸化尿素、過酸化メラミン、過炭酸ナトリウム、過炭酸カリウム、過ホウ酸ナトリウム、過ホウ酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム及び過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩、過酸化ナトリウム、過酸化カリウム、過酸化マグネシウム、過酸化バリウム、過酸化カルシウム、過酸化ストロンチウム、硫酸塩の過酸化水素付加物、リン酸塩の過酸化水素付加物、ピロリン酸塩の過酸化水素付加物、過酢酸及びその塩、過ギ酸及びその塩、過マンガン酸塩、臭素酸塩等が例示される。これらの中でも、過酸化水素が好ましい。また、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム及び過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩等を酸化助剤として含有してもよい。
【0086】
酸化染毛剤組成物における酸化剤の含有量は、特に限定されないが、下限値として、好ましくは0.1質量%以上であり、よりこのましくは1質量%以上である。上限値として、好ましくは15質量%以下であり、より好ましくは9質量%以下である。酸化剤として過酸化水素を含有する場合、その安定性を向上させる安定化剤として、エチレングリコールフェニルエーテル(フェノキシエタノール)、ヒドロキシエタンジホスホン酸、リン酸、クエン酸、又はその塩等を配合することが好ましい。
【0087】
<その他の成分>
本発明の酸化染毛剤組成物は、上記成分以外にも、必要に応じて以下の成分を含有してもよい。
その他の成分としては、例えば、アルカリ剤、直接染料、油性成分、界面活性剤、アスコルビン酸、無水亜硫酸ナトリウム等の酸化防止剤、フェノキシエタノール、安息香酸ナトリウム等の防腐剤、エタノール等の有機溶剤、ソルビトール、マルトース等の糖類、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシビニルポリマー等の水溶性高分子、ポリ塩化ジメチルメチレンピペリジニウム液、塩化ジアリルジメチルアンモニウム・ヒドロキシエチルセルロース等のカチオン化水溶性高分子、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール等の多価アルコール、エチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸三ナトリウム二水塩、ヒドロキシエタンジホスホン酸四ナトリウム液等のキレート剤、塩化ナトリウム、炭酸ナトリウム等の無機塩、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、クエン酸、酒石酸、乳酸、リンゴ酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、ピロリン酸、グルコン酸、グルクロン酸、炭酸水素アンモニウム等のpH調整剤、育毛成分、植物抽出物、生薬抽出物、アミノ酸・ペプチド、尿素、ビタミン類、香料、及び紫外線吸収剤が挙げられる。
アルカリ剤、直接染料、油性成分、界面活性剤等の成分は、上記還元性組成物に用いられる成分と同等のものを使用することができる。
【0088】
<アルカリ剤>
酸化染毛剤組成物におけるアルカリ剤の含有量は、特に制限されないが、下限値として、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上である。上限値として、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下である。
【0089】
酸化染毛剤組成物1g中に含まれるアルカリ剤の含有量をモルで表した場合、好ましくは0.05~2mmol/gである。下限値として、より好ましくは0.15mmol/g以上であり、更に好ましくは0.25mmol/g以上である。上限値として、より好ましくは1.5mmol/g以下であり、更に好ましくは1mmol/g以下である。
【0090】
<直接染料>
酸化染毛剤組成物における直接染料の含有量は、特に限定されないが、好ましくは0.001~10質量%である。下限値として、より好ましくは0.01質量%以上であり、更に好ましくは0.05質量%以上である。上限値として、より好ましくは5質量%以下であり、更に好ましくは3質量%以下である。
【0091】
<油性成分>
酸化染毛剤組成物における油性成分の含有量は、特に限定されないが、好ましくは0.1~30質量%である。下限値として、より好ましくは0.02質量%以上であり、更に好ましくは0.5質量%以上である。上限値として、より好ましくは20質量%以下であり、更に好ましくは10質量%以下である。
【0092】
<界面活性剤>
酸化染毛剤組成物におけるノニオン性界面活性剤の含有量は、特に限定されないが、好ましくは0.001~40質量%である。下限値として、より好ましくは0.01質量%以上であり、更に好ましくは0.05質量%以上である。上限値として、より好ましくは30質量%以下であり、更に好ましくは20質量%以下である。
【0093】
酸化染毛剤組成物におけるカチオン性界面活性剤の含有量は、特に限定されないが、好ましくは0.001~10質量%である。下限値として、より好ましくは0.01質量%以上であり、更に好ましくは0.05質量%以上である。上限値として、より好ましくは5質量%以下であり、更に好ましくは3質量%以下である。
【0094】
酸化染毛剤組成物におけるアニオン性界面活性剤の含有量は、特に限定されないが、好ましくは0.01~5質量%である。下限値として、より好ましくは0.05質量%以上であり、更に好ましくは0.1質量%以上である。上限値として、より好ましくは3質量%以下であり、更に好ましくは1.5質量%以下である。
【0095】
酸化染毛剤組成物における両性界面活性剤の含有量は、特に限定されないが、好ましくは0.001~5質量%である。下限値として、より好ましくは0.005質量%以上であり、更に好ましくは0.01質量%以上である。上限値として、より好ましくは3質量%以下であり、更に好ましくは2.5質量%以下である。
【0096】
酸化染毛剤組成物における全ての界面活性剤の総配合量としては、特に限定されないが、好ましくは0.01~50質量%である。下限値として、より好ましくは0.05質量%以上であり、更に好ましくは0.1質量%以上である。上限値として、より好ましくは40質量%以下であり、更に好ましくは30質量%以下である。
【0097】
・毛髪脱色剤
毛髪脱色剤は、第1剤に酸化染料を含まず、毛髪を脱色するものである。毛髪脱色剤は、毛髪中のメラニンを酸化分解することにより、毛髪を脱色するものである。
アルカリ剤、界面活性剤、酸化剤等については、酸化染毛剤組成物に用いられるものと同等のものを使用することができる。
【0098】
・パーマ剤の第2剤
パーマ剤の第2剤としては、酸化剤を含有する酸化性組成物である。酸化性組成物は、通常のパーマ剤で用いられる組成から構成され、水を媒体とし、溶液状、ジェル状、乳化状、泡状等何れの剤型とすることもできる。
【0099】
<酸化剤>
酸化剤としては、例えば、臭素酸塩、過ホウ酸塩、過酸化水素等が挙げられる。
【0100】
<その他の成分>
更に、パーマ剤の第2剤には、これらの含有成分以外にも必要に応じて種々の化粧品原料を含むことができる。例えば、種々の配合成分の可溶化剤として、炭素数1~6の低級アルコール、界面活性剤を、使用感の向上を目的として、油性成分、シリコーン類、カチオン性ポリマー、両性ポリマー等を、毛髪損傷の低減や毛髪保護を目的として、アミノ酸又はその誘導体、タンパク、その加水分解物類又はその誘導体、天然セラミド又は類似機能を有する擬似セラミド類等を含有させることができ、またその他、賦香剤、着色剤、防腐剤、紫外線吸収剤、保湿剤、キレート剤、育毛成分等を適宜含有させることができる。
油性成分、界面活性剤等の成分は、上記還元性組成物に用いられる成分と同等のものを使用することができる。
【0101】
[毛髪化粧料用品]
本発明の還元性組成物は、アルカリ剤を含有した第1剤と、酸化剤を含有する第2剤とを含む多剤式酸化染毛剤組成物を1式セットとした、毛髪化粧料用品とすることができる。毛髪化粧料用品とすることで、還元性組成物に適した染毛剤組成物を提供できることになり、サロン等で面倒な組み合わせ等を検討する必要が無く、また安全面からも有利である。
【実施例】
【0102】
以下に、実施例により本発明を具体的に説明するが、これらの実施例により本発明の技術範囲が限定されるものではない。
[還元性組成物の調整]
表1、2に示す組成の還元性組成物を調製した。表中の各成分の含有量は質量%であり、ポリフェノール、チオグリコール酸アンモニウム以外の成分としては、ベース部として、下記の組成のものを調製して用いた。
<ベース部>
カルボキシビニルポリマー 0.5質量%
セタノール 2.0質量%
ベへニルアルコール 0.5質量%
植物性スクワラン 1.5質量%
エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム液0.5質量%
ポリオキシエチレンセチルエーテル(15) 1.0質量%
モノステアリン酸ポリエチレングリコール(40) 0.35質量%
1,3-ブチレングリコール 1.0質量%
塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体液 2.5質量%
エチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸三ナトリウム二水塩 0.1質量%
水酸化ナトリウム pH9に調製
精製水 残部
合計 100質量%
【0103】
更に、ヘアカラー(酸化性組成物)として下記の組成のものを調製して用いた。
[ヘアカラー(酸化性組成物)の調製]
以下に示す組成の第1剤及び第2剤からなる2剤式の酸化性組成物を調製した。なお、染毛性、変色性の評価においては、酸化染料を含有する第1剤を用い、ダメージ抑制性、ストレート性、明度の評価については酸化染料を含有しない第1剤を用いた。
酸化染料を含有する第1剤と第2剤からなる組成物を酸化染毛剤組成物といい、酸化染料を含有しない第1剤と第2剤からなる組成物を毛髪脱色剤という。
<第1剤:酸化染料を含有する>染毛性、変色性の評価用
マイクロクリスタリンワックス 0.5質量%
ワセリン 3.0質量%
ミツロウ 1.0質量%
流動パラフィン 1.0質量%
オレイン酸 1.0質量%
ステアリン酸 1.0質量%
セトステアリルアルコール 7.0質量%
ステアリルアルコール 2.0質量%
塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 1.0質量%
ポリオキシエチレンステアリルエーテル(2) 3.0質量%
ポリオキシエチレンセチルエーテル(30) 3.0質量%
ポリエチレングリコール1000 7.0質量%
エチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸三ナトリウム二水塩 0.25質量%
無水亜硫酸ナトリウム 0.1質量%
塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体液 1.0質量%
ヒドロキシエチルセルロースジメチルジアリルアンモニウムクロリド 0.1質量%
ヒドロキシエチルセルロース 0.01質量%
メチルポリシロキサン 0.1質量%
香料 0.25質量%
L-アスコルビン酸 0.3質量%
強アンモニア水(28%) 5.5質量%
p-フェニレンジアミン 0.2質量%
レゾルシン 0.5質量%
p-アミノフェノール 0.01質量%
m-アミノフェノール 0.05質量%
精製水 残部
合計 100質量%
【0104】
<第1剤:染料を含有しない>ダメージ抑制性、ストレート性、明度の評価用
マイクロクリスタリンワックス 0.5質量%
ワセリン 3.0質量%
ミツロウ 1.0質量%
流動パラフィン 1.0質量%
オレイン酸 1.0質量%
ステアリン酸 1.0質量%
セトステアリルアルコール 7.0質量%
ステアリルアルコール 2.0質量%
塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 1.0質量%
ポリオキシエチレンステアリルエーテル(2) 3.0質量%
ポリオキシエチレンセチルエーテル(30) 3.0質量%
ポリエチレングリコール1000 7.0質量%
エチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸三ナトリウム二水塩 0.25質量%
無水亜硫酸ナトリウム 0.1質量%
塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体液 1.0質量%
ヒドロキシエチルセルロースジメチルジアリルアンモニウムクロリド 0.1質量%
ヒドロキシエチルセルロース 0.01質量%
メチルポリシロキサン 0.1質量%
香料 0.25質量%
L-アスコルビン酸 0.3質量%
強アンモニア水(28%) 7.5質量%
精製水 残部
合計 100質量%
【0105】
<第2剤>
過酸化水素(35%) 15.0質量%
セトステアリルアルコール 2.5質量%
ステアリルアルコール 1.0質量%
流動イソパラフィン 0.5質量%
ミツロウ 0.1質量%
イソステアリン酸硬化ヒマシ油 0.5質量%
ポリオキシエチレンセチルエーテル(30) 0.5質量%
ポリオキシエチレンステアリルエーテル(2) 0.2質量%
塩化セチルトリメチルアンモニウム(25%) 1.0質量%
フェノキシエタノール 0.1質量%
ヒドロキシエタンジホスホン酸(60%) 0.05質量%
ヒドロキシエタンジホスホン酸四ナトリウム液(30%) 0.1質量%
精製水 残部
合計 100質量%
【0106】
[評価方法]
<ダメージ抑制性>
乾いた毛束(ビューラックス社製感触評価用毛束(15cm))に、毛束重量と等倍量の還元性組成物を刷毛で塗布後、コーミングを1回行い、10分間、室温(25℃)にて放置した。放置後、各毛束を水洗し、タオルドライを行った。タオルドライ後の毛束に、毛束重量の3倍量のヘアカラー(毛髪脱色剤:第1剤と第2剤を1:1で混合)を刷毛で塗布し、35分間、30℃で放置した。放置後、水洗、シャンプーを2回、トリートメントを1回行い、タオルドライ後、ドライヤーにて乾燥した。
上記各例の毛髪処理を施した毛束について、手で触って毛髪のダメージを確認し、以下の基準で評価することにより、各処理剤における毛髪ダメージ抑制効果を判断した。
実施例1と同等のダメージであれば3点、実施例1と比較例1との間のダメージであれば2点、比較例1と同等のダメージであれば1点とし、結果を表1に示す。
【0107】
<臭気>
4号規格ビンに還元性組成物を25g量り取り、薬液のチオグリコール酸臭を官能評価にて確認し、以下の基準で評価することにより、各処理剤における臭気抑制効果を判断した。
比較例1未満の臭気であれば4点、比較例1と同等の臭気であれば3点、比較例2と同等の臭気であれば2点、比較例3と同等又はそれより悪い臭気であれば1点とし、結果を表1に示す。
【0108】
<ストレート性>
乾いた毛束(デメオ社製ヒスパニック毛(3g/10cm))に、毛束重量と等倍量の還元性組成物を刷毛で塗布後、コーミングを1回行い、10分間、室温(25℃)にて放置した。放置後、各毛束を水洗し、タオルドライを行った。タオルドライ後の毛束に、毛束重量の3倍量のヘアカラー(毛髪脱色剤:第1剤と第2剤を1:1で混合)を刷毛で塗布し、35分間、30℃で放置した。放置後、水洗、シャンプーを2回、トリートメントを1回行い、タオルドライ後、ドライヤーにて乾燥した。
上記各例の毛髪処理を施した毛束について、ストレート性(毛束の伸び具合)を目視で確認し、以下の基準で評価することにより、各処理剤におけるストレート性を判断した。
比較例3より伸びが大きければ5点、比較例3と同等であれば4点、比較例2以上、比較例3未満であれば3点、比較例2と同等であれば2点、比較例1と同等であれば1点とし、結果を表1に示す。
【0109】
<染毛性>
乾いた毛束(ビューラックス社製白毛毛束(10cm))に、毛束重量と等倍量の還元性組成物を刷毛で塗布後、コーミングを1回行い、10分間、室温(25℃)にて放置した。放置後、各毛束を水洗し、タオルドライを行った。タオルドライ後の毛束に、毛束重量の3倍量のヘアカラー(酸化染毛剤:第1剤と第2剤を1:1で混合)を刷毛で塗布し、35分間、30℃で放置した。放置後、水洗、シャンプーを2回、トリートメントを1回行い、タオルドライ後、ドライヤーにて乾燥した。
上記各例の染毛処理を施した毛束について、標準光源下で目視にて、染毛性(濃さ)について判断した。
【0110】
<変色性>
上記各例の染毛処理を施した毛束について、標準光源下で目視にて変色度合いを比較例1と比較することで、変色性について判断した。
【0111】
<明度>
乾いた毛束(ビューラックス社製黒毛毛束(10cm))に、毛束重量と等倍量の還元性組成物を刷毛で塗布後、コーミングを1回行い、10分間、室温(25℃)にて放置した。放置後、各毛束を水洗し、タオルドライを行った。タオルドライ後の毛束に、毛束重量の3倍量のヘアカラー(毛髪脱色剤:第1剤と第2剤を1:1で混合)を刷毛で塗布し、35分間、30℃で放置した。放置後、水洗、シャンプーを2回、トリートメントを1回行い、タオルドライ後、ドライヤーにて乾燥した。上記各例の染毛処理を施した毛束について、標準光源下で目視にて明度を判断した。
【0112】
【0113】
表1を見ると、実施例1~2では、ポリフェノール、及び、チオグリコール酸アンモニウムを0.1~2.5質量%含有することで、毛髪のダメージ及び臭気を抑制できるとともに、優れたストレート性能を発揮することができる。
一方、ポリフェノールを含有する実施例1と、ポリフェノールを含有しない比較例1~3を対比すると、比較例1~3は毛髪のダメージを抑制することができないことが理解できる。更に、比較例1~3から、チオグリコール酸のみで所定のストレート性能を得ようとすると異臭を抑制することができないことが理解できる。また、ポリフェノールを含有するもののチオグリコール酸アンモニウムを3質量%含有する比較例4は、毛髪のダメージ抑制性、臭気抑制効果に劣ることが確認できる。
【0114】
【0115】
表2をみると、フェノール性の水酸基を有しないアスコルビン酸を用いた比較例6、及び、2個以上のフェノール性水酸基を有しないバニリンを用いた比較例7は、ストレート性に劣ることが理解できる。一方、ポリフェノールを含有する実施例の還元性組成物は、毛髪のダメージ及び臭気を抑制できるとともに、優れたストレート性を発揮することができる。
【0116】
前記実施例及び比較例の染毛性、変色性、及び、明度の評価について確認したところ、ポリフェノールとして没色子酸を用いた還元性組成物が、前記染毛性等に影響を与えづらいことがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0117】
本発明の還元性組成物は、美容室、理容室等におけるパーマネントウェーブ剤又はストレートパーマ剤として使用することができる。
【0118】
また、本発明の還元性組成物を用いた毛髪処理方法は、美容室や理容室等における毛髪のパーマネントウェーブ処理、ストレートパーマ処理等に利用することができる。