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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-22
(45)【発行日】2022-03-30
(54)【発明の名称】尿道留置具
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/82 20130101AFI20220323BHJP
   A61F 2/95 20130101ALI20220323BHJP
【FI】
A61F2/82
A61F2/95
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2017245746
(22)【出願日】2017-12-22
(62)【分割の表示】P 2017193218の分割
【原出願日】2017-10-03
(65)【公開番号】P2019063474
(43)【公開日】2019-04-25
【審査請求日】2020-09-29
(73)【特許権者】
【識別番号】512324878
【氏名又は名称】株式会社岡田快適生活研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100121773
【弁理士】
【氏名又は名称】相原 正
(72)【発明者】
【氏名】岡田 司郎
【審査官】上石 大
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-322862(JP,A)
【文献】特表2009-513200(JP,A)
【文献】特開2002-085573(JP,A)
【文献】特表2008-541821(JP,A)
【文献】特開2001-218833(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/82
A61F 2/95
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
尿道内に留置されて前立腺部尿道を広げる細棒形状の尿道ステントにおいて、
先端側から順に一体に成形された前立腺部と、括約筋部と、球部尿道部とを少なくとも備え、
前記前立腺部は、前記括約筋部との境界部分に形成された突起部であって、留置時に前記尿道の内壁と当該前立腺部との間に隙間を形成する前立腺突起部を備え、
前記球部尿道部は、前記括約筋部との境界部分に形成された球部尿道突起部を備え、
前記前立腺突起部及び前記球部尿道部突起部は偏平突起部であることを特徴とする尿道ステント。
【請求項2】
前記前立腺突起部及び前記球部尿道突起部は、同一平面上に位置することを特徴とする請求項1記載の尿道ステント。
【請求項3】
前記前立腺部は、前記前立腺突起部から先端側に所定の距離離れた位置であって前記同一平面上に位置するように形成された、留置時に前記尿道の内壁と当該前立腺部との間に隙間を形成する第二前立腺偏平突起部をさらに備えることを特徴とする請求項2記載の尿道ステント。
【請求項4】
請求項1乃至3何れか1項記載の尿道ステントと、
前記尿道ステントよりも出口側において前記尿道内に留置され、前記尿道ステントが前記尿道から抜け出るのを防止する補助チップと、
前記尿道ステントと前記補助チップとを連結する連結紐と、
を備えることを特徴とする尿道留置具。
【請求項5】
前記連結紐は、前記尿道ステント及び前記補助チップの内部を略全長にわたって延在した状態で前記尿道ステント及び前記補助チップに一体に固定されていることを特徴とする請求項4記載の尿道留置具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、尿道に留置する尿道留置具に関する。
【背景技術】
【0002】
前立腺の肥大等により、尿道が閉じたり狭くなったりして排尿障害が生じてしまった場合には、尿道を広げるための尿道ステントを尿道内に設置する治療が行われている。
【0003】
このような尿道ステントは、例えば、下記特許文献1~3に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2003-52835号公報
【文献】特表2008-543499号公報
【文献】特許第4025648号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献1~3に開示されている尿道ステントは、構造が複雑であり、尿道内への留置処置も医療業務従事者が行うことが前提となっており、使用者が自分で留置するのは困難である。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、簡素な構造であって、使用者が自分で尿道内に留置したり、尿道内から取り出したりするのを容易に行うことのできる尿道留置具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための本発明に係る尿道ステントは、尿道内に留置されて前立腺部尿道を広げる細棒形状の尿道ステントにおいて、先端側から順に一体に成形された前立腺部と、括約筋部と、球部尿道部とを少なくとも備え、前記前立腺部は、前記括約筋部との境界部分に形成された突起部であって、留置時に前記尿道の内壁と当該前立腺部との間に隙間を形成する前立腺突起部を備え、前記球部尿道部は、前記括約筋部との境界部分に形成された球部尿道突起部を備え、前記前立腺突起部及び前記球部尿道部突起部は偏平突起部であることを特徴とする。
【0008】
また、本発明にかかる尿道留置具は、上記尿道ステントと、前記尿道ステントよりも出口側において前記尿道内に留置され、前記尿道ステントが前記尿道から抜け出るのを防止する補助チップと、前記尿道ステントと前記補助チップとを連結する連結紐と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る尿道留置具によれば、構造が簡素であって、使用者が容易に自分で尿道内に留置したり、尿道内から取り出したりすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本実施形態に係る尿道留置具の平面図である。
図2図2は、本実施形態に係る尿道留置具の正面図である。
図3図3は、本実施形態に係る尿道留置具の留置状態を示す図である。
図4図4は、本実施形態の変形例1に係る補助チップの平面図である。
図5図5は、本実施形態の変形例2に係る尿道ステントの平面図である。
図6図6は、本実施形態の変形例3に係る尿道留置具の留置状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。図1は、本実施形態に係る尿道留置具の平面図である。図2は、本実施形態に係る尿道留置具の正面図である。図3は、本実施形態に係る尿道留置具の留置状態を示す図である。
【0012】
尿道留置具1は、尿道ステント10と、補助チップ30と、尿道ステント10と補助チップ30とを連結する連結紐40とを備えている。尿道ステント10は、尿道内への留置時に主に前立腺部尿道に位置し、前立腺部尿道を広げて尿の通り道を確保するように機能する。
【0013】
尿道ステント10は、先端側から順に形成された、膀胱部11と、前立腺部15と、括約筋部21と、球部尿道部25とを備え、エポキシ樹脂から一体成形された棒状部材である。括約筋部21と前立腺部15の部分は、略直線状に延びているが、膀胱部11と球部尿道部25は、括約筋部21及び前立腺部15に対して、同一面上で同じ側に略45°程度緩やかに折れ曲がっている。
【0014】
膀胱部11は、長さ約10mm、直径2~4mmの細棒形状であり、括約筋部21も、長さ約10mm、直径2~4mmの細棒形状である。球部尿道部25は、長さ約10mmであり、球部尿道偏平突起部26を備えている。球部尿道偏平突起部26は、中心部分から偏平して突出する部分であり、略円板形状である。球部尿道偏平突起部26の最大径は6~8mmであり、厚みは2~4mmである。
【0015】
前立腺部15は、第一前立腺偏平突起部16と、第二前立腺偏平突起部17と、細棒部18とを備えている。第一前立腺偏平突起部16は、括約筋部21との境界である、細棒部18の根元に位置し、第二前立腺偏平突起部17は、細棒部18の先端と第一前立腺偏平突起部16との間に位置している。
【0016】
前立腺偏平突起部16,17は、球部尿道偏平突起部26と略同じ形状であり、細棒部18から偏平して突出する、最大径6~8mm、厚み2~4mmの略円板形状である。前立腺部15は、長さ約30mmであり、細棒部18の直径は2~4mmである。第一前立腺偏平突起部16と第二前立腺偏平突起部17とは3mm離れている。
【0017】
なお、本実施形態では、第一前立腺偏平突起部16、第二前立腺偏平突起部17及び球部尿道偏平突起部26は、同一平面上に位置し、膀胱部11もこの同じ平面上で折れ曲がっている。このように、偏平突起部16,17,26と折れ曲がる膀胱部11とが同じ平面上に形成されていれば、尿道ステント10の形状をシンプルにして製造コストを低減させることができる。
【0018】
このような構成の尿道ステント10は、人体尿道内に留置する際、膀胱部11は膀胱内に位置し、前立腺部15は前立腺部尿道内に位置し、括約筋部21は外尿道括約筋内に位置し、球部尿道部25は球部尿道内に位置するように留置される。
【0019】
補助チップ30は、尿道ステント10の出口側において尿道内に留置され、尿道ステント10が排尿時等に尿道から外に抜け出さないように補助すると共に、尿道ステント10を尿道内から取り出す際の補助としても使用される。補助チップ30は、尿道ステント10と同様に、エポキシ樹脂から一体成形され、厚み2~4mm、幅6~8mm、長さ約25mmの偏平長板形状である。
【0020】
連結紐40は、尿道ステント10と補助チップ30とを連結するナイロン製の紐である。連結紐40の両端は、尿道ステント10と補助チップ30の内部を略全長にわたって延在しながら一体に固定されている。このような連結構造は、尿道ステント10及び補助チップ30を樹脂成形する際に、連結紐40を内部に延在させた状態で一体に樹脂成形することで実現される。
【0021】
このような連結構造を採用することで、連結紐40は、尿道ステント10及び補助チップ30に強固に固定され、外れることが無いので、後述する尿道内の奥に挿入された尿道ステント10の取り出し作業を容易に確実に行うことができる。
【0022】
また、尿道ステント10や補助チップ30が何らかの要因により尿道内で破損した場合であっても、破損した破片が連結紐40により連結されている可能性も高く、破片の取り出し作業を安全且つ容易に行うことができる。
【0023】
以上、尿道留置具1の構成について説明したが、続いて、尿道留置具1の使用態様について説明する。まず、尿道留置具1を尿道内へ挿入して留置する際の手順について説明する。
【0024】
挿入にあたっては、使用者が、尿道ステント10の膀胱部11を尿道の入り口である外尿道口Eの中に挿し込み、引き続き、尿道ステント10全体が尿道内に入るように、尿道ステント10を摘まんで奥へと押し込む。
【0025】
尿道ステント10全体が尿道内に入った状態では、膀胱部11はまだ振子部尿道D内に位置している。この状態から、使用者がミルキングにより主として球部尿道偏平突起部26の部分を陰茎の外から絞り込むように奥に押し込むことで、尿道ステント10を尿道の奥へと移動させる。
【0026】
これにより、先端の膀胱部11が順次球部尿道Cから前立腺部尿道部Bへと押し込まれていく。ここで、外尿道括約筋Kのところは、尿道が狭く締まっていると共に、球部尿道Cから前立腺部尿道部Bへと尿道が湾曲しているため、慎重に押し込む必要がある。
【0027】
上述したように、本実施形態では、先端の膀胱部11が前立腺部15に対して約45°湾曲していると共に、この湾曲する膀胱部11と、偏平突起部16,17,26が同一平面上にある。
【0028】
よって、偏平突起部16,17,26が鉛直状態となるように尿道ステント10の姿勢を維持しながら、使用者が尿道ステント10を押し込むことで、外尿道括約筋Kのところでの尿道の湾曲方向と、尿道ステント10の湾曲方向が一致し、膀胱部11がスムーズに前立腺部尿道部Bへと進入する。
【0029】
続いて、第二前立腺偏平突起部17に外尿道括約筋Kの部分を通過させる際には、使用者が尿道ステント10を若干強く押し込む必要がある。また、膀胱部11が前立腺部尿道Bを通過して、膀胱Aの入口に位置する内尿道括約筋Jを通過するのと、第一前立腺偏平突起部16が外尿道括約筋Kの部分を通過するのは略同じタイミングであるため、このとき、使用者はより強く尿道ステント10を押し込む必要がある。
【0030】
第一前立腺偏平突起部16が外尿道括約筋Kを通過すると、球部尿道部25の球部尿道偏平突起部26が外尿道括約筋Kの外側に位置しているため、外尿道括約筋Kは第一前立腺偏平突起部16と球部尿道偏平突起部26との間に挟まれた状態となる。図3に示すこの状態が、尿道ステント10の尿道内への留置状態である。
【0031】
一方、補助チップ30は、尿道ステント10が尿道内に挿入され、奥に押し込まれると、連結紐40によって引っ張られて外尿道口へと引き寄せられる。外尿道口に位置する補助チップ30は、尿道ステント10がミルキングによりさらに奥に押し込まれると、連結紐40によって引っ張られてそのまま尿道内に進入するが、使用者が別途手で補助チップ30を尿道内に挿入するようにしても良い。
【0032】
尿道内に進入した補助チップ30は、尿道ステント10が奥に押し込まれるについて連結紐40を介して引っ張られ、上述した留置状態では、補助チップ30は、球部尿道Cと振子部尿道Dの境界辺りに位置する。
【0033】
この留置状態では、尿道ステント10が奥に進もうとすると、球部尿道偏平突起部26が外尿道括約筋Kに衝突して容易に進むことはできず、手前に抜けようとすると、第一前立腺偏平突起部16が外尿道括約筋Kに衝突すると共に、湾曲した先端の膀胱部11が内尿道括約筋Jに衝突し、同じく容易に動くことができない。
【0034】
すなわち、留置状態の尿道ステント10は、尿道内で容易に動くことなく、安定した状態となる。例えば、排尿時に尿道内を外へ流れる尿により尿道ステント10に外に押し出す方向に力が作用しても、尿道ステント10が容易に外に向けて押し出されることはない。
【0035】
そして、留置状態では、第一前立腺偏平突起部16及び第二前立腺偏平突起部17が前立腺部尿道Bに位置しており、前立腺部尿道Bが広げられ、尿の通り道を確実に確保することができる。
【0036】
ここで、従来の中空管状ステントのように、前立腺部尿道Bを径方向の全方位にわたって広げると、圧迫感を感じたりして使用者への負担が大きいが、本実施形態では、前立腺部尿道Bを広げる突起部16,17が偏平の突起部であるため、前立腺部尿道Bが全方向に広げられる場合と比べて、使用者への負担を格段に軽減させつつ、確実に尿の通り道を確保することができる。
【0037】
また、本実施形態では、留置状態において、前立腺部尿道Bの外尿道括約筋K側の端部で尿道を広げる第一前立腺偏平突起部16の尿道奥側に3mm離れたところには、第二前立腺偏平突起部17が位置して、同じく尿道を広げている。
【0038】
前立腺部尿道Bの出口側端部から約10mm離れた辺りの精丘には、精嚢につながる射精管Lの出口が位置しており、留置状態では、第一前立腺偏平突起部16と第二前立腺偏平突起部17との間の尿道内壁面との隙間空間に射精管Lの出口が位置することになる。よって、尿道ステント10の装着によって射精管Lの出口が塞がれることなく、使用者への身体的負荷を和らげることができる。
【0039】
続いて、留置状態の尿道留置具1を取り出す際の手順について説明する。図3に示す留置状態では、尿道の最も出口側に位置する球部尿道偏平突起部26が外尿道括約筋Kに密着する位置まで深く押し込まれており、ミルキングにより球部尿道偏平突起部26を尿道の出口側に押し出すのは困難である。
【0040】
よって、使用者は、球部尿道Cと振子部尿道Dの境界辺りに位置している補助チップ30をミルキングにより出口側に押し出すことで、連結紐40を介して尿道ステント10も引っ張られて尿道の出口側に移動する。補助チップ30が尿道の外に出ると、後は、連結紐40を引っ張ることで、尿道ステント10を直接尿道出口から引っ張り出すことができる。
【0041】
以上、本実施形態について詳細に説明したが、本実施形態によれば、尿道留置具1の構造が簡易であり、尿道への挿入方法及び尿道からの取出方法も簡単であるため、特種な技能がなくても、一般の使用者が自分で尿道留置具1を尿道内に留置したり、尿道内から取り出したりすることが可能である。
【0042】
また、尿道留置具1は、連結紐40で尿道ステント10と連結された補助チップ30を備えており、この補助チップ30は、留置時に球部尿道Cと振子部尿道Dとの境界辺りに位置するため、尿道内に留置された尿道ステント10が排尿時等に外に向けて抜け出すのを防止することができると共に、尿道留置具1を取り出す際には、補助チップ30を使って尿道ステント10を引っ張ることで、尿道ステント10を容易に取り出すことが可能となる。
【0043】
また、連結紐40は、尿道ステント10と補助チップ30の内部を延在して一体に連結されているため、尿道ステント10や補助チップ30が尿道内で破損してしまった場合であっても、破片が連結紐40によりつながっているため、破片を体外に容易に取り出すことができる。
【0044】
また、尿道ステント10は、3つの偏平突起部16,17,26が同一面上に位置すると共に、膀胱部11と球部尿道部25もこの偏平突起部16,17,26の位置する面と同一面上で湾曲しているため、使用者がミルキングする際に、偏平突起部16,17,26を触ることで、膀胱部11の湾曲方向等も容易に把握することができる。すなわち、ミルキング時に使用者が尿道ステント10の姿勢を容易に把握することが可能であり、尿道内への挿入を容易に行うことができる。
【0045】
続いて、本実施形態の変形例1について説明する。図4は、変形例1に係る補助チップの平面図である。本変形例1では、上記実施形態に係る補助チップ30の代わりにスティック状の補助チップ30’を採用すると共に、補助チップ30’の根元側に係止リング35をさらに備えることを特徴としている。
【0046】
補助チップ30’は、シリコン製の棒状部材であり、上記補助チップ30と同じように尿道内に挿入されて使用される。係止リング35は、ストッキング素材の紐の表面にシリコンで防水加工したものから構成されており、高い伸縮性を有している。
【0047】
係止リング35は、尿道ステント10及び補助チップ30’の尿道内への留置時に、亀頭縁部分に引っ掛けて使用される。これにより、尿道ステント10が尿道の奥に入り過ぎてしまうのを防止することができると共に、尿道ステント10及び補助チップ30’を取り出す際にも尿道の外に位置する係止リング35を引っ張ることで、容易に引っ張り出すことができる。
【0048】
続いて、本実施形態の変形例2について説明する。図5は、変形例2に係る尿道ステント10’の平面図である。本変形例2では、上記実施形態に係る尿道ステント10の代わりに形状の異なる尿道ステント10’を採用している。
【0049】
尿道ステント10’は、膀胱部を備えていない以外は尿道ステント10と類似の形状をしており、前立腺部15’、括約筋部21’及び球部尿道部25’を備えている。前立腺部15’は、第一前立腺偏平突起部16’と、第二前立腺偏平突起部17’と、細棒部18’とを備え、球部尿道部25’は、球部尿道偏平突起部26’を備えている。
【0050】
本変形例2によれば、先端が膀胱まで到達しない簡易な構造であるため、前立腺尿道部Bを広げるという作用効果を得ながら、尿道留置具1を使用する際の心理的なハードルを下げ、初心者でも気軽に利用することができる。
【0051】
続いて、本実施形態の変形例3について説明する。図6は、変形例3に係る尿道留置具1’の留置状態を示す図である。尿道留置具1’は、より長い連結紐40’を採用すると共に、連結紐40’を補助チップ30’’の尿道ステント10と反対側にも伸ばして、その先端に小型の先端チップ31をさらに設置したことを特徴とする。変形例3に係る補助チップ10’は、上記変形例2と同じである。
【0052】
したがって、尿道留置具1’の留置状態では、補助チップ30’’は尿道内の出口である外尿道口E付近に位置し、連結紐40’の補助チップ30’’よりも先の部分の大部分と先端チップ31は常時尿道の外に出た状態となる。本変形例によれば、尿道ステント及び補助チップを尿道から引き出す作業を容易に行うことができる。
【0053】
以上、変形例も含めて本発明の実施形態について説明したが、本発明の実施の形態は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。例えば、尿道留置具を構成する部材の材料や形状、サイズ等は適宜変更可能であり、特に、尿道ステントの膀胱部、前立腺部、括約筋部、球部尿道部の形状やサイズは個人差に応じて適宜変更すれば良い。
【0054】
また、上記実施形態では、尿道ステント及び補助チップの材料として、エポキシ樹脂を採用しているが、エポキシ以外の樹脂を採用しても良いし、樹脂以外の材料を使用しても良い。例えば、ガラス製の尿道ステントとしても良い。但し、製造コストや強度を考慮すれば、尿道ステントや補助チップは、それぞれ同一の材料から一体に成形するのが望ましい。
【0055】
材料としてガラスを採用する場合には、ガラス成形の際に高温となるため、内部に一体に連結紐を通すのが難しいため、尿道ステント及び補助チップの表面に連結紐を貼り付けるようにしても良い。
【0056】
また、連結紐を貼り付ける際には、エポキシ樹脂のシートの内部に連結紐を通して一体にした物をガラスの表面に貼り付けることで、しっかりと連結紐を固定することができる。また、連結紐の固定方法としては、他にも、尿道ステントに穴を形成し、この穴に連結紐を通して連結するようにしても良い。
【0057】
また、上記実施形態では、尿道ステントの前立腺部に第一前立腺偏平突起部と第二前立腺偏平突起部の2つの偏平突起部を設けているが、第一前立腺偏平突起部だけでも良い。また、前立腺部と球部尿道部の偏平突起部は、偏平形状でなくても棒状等、他の形状であっても良く、前立腺部尿道を局所的に広げることで、尿の通り道となる隙間を確保できるような形状の突起部であれば良い。
【符号の説明】
【0058】
1 尿道留置具
10 尿道ステント
11 膀胱部
15 前立腺部
16 第一前立腺偏平突起部
17 第二前立腺偏平突起部
18 細棒部
21 括約筋部
25 球部尿道部
26 球部尿道偏平突起部
30 補助チップ
35 係止リング
40 連結紐
A 膀胱
B 前立腺部尿道
C 球部尿道
D 振子部尿道
E 外尿道口
J 内尿道括約筋
K 外尿道括約筋
L 射精管
図1
図2
図3
図4
図5
図6