(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-22
(45)【発行日】2022-03-30
(54)【発明の名称】バキュームジェネレータ
(51)【国際特許分類】
F04F 5/20 20060101AFI20220323BHJP
【FI】
F04F5/20 A
(21)【出願番号】P 2018009756
(22)【出願日】2018-01-24
【審査請求日】2020-11-04
(73)【特許権者】
【識別番号】390033857
【氏名又は名称】株式会社フジキン
(74)【代理人】
【識別番号】100090022
【氏名又は名称】長門 侃二
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 一誠
(72)【発明者】
【氏名】中村 伸夫
(72)【発明者】
【氏名】中田 知宏
(72)【発明者】
【氏名】篠原 努
【審査官】田谷 宗隆
(56)【参考文献】
【文献】特許第4444622(JP,B2)
【文献】特開平04-201084(JP,A)
【文献】実開平05-001080(JP,U)
【文献】特開平04-121500(JP,A)
【文献】特開平09-317698(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04F 5/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボディに入口及び出口が開口した作動ガスの流路に、作動ガスの流れ方向の順に、逆止弁、開閉弁の弁部、ノズル、真空発生部、及び前記真空発生部に連通する吸引ポートを備えたバキュームジェネレータであって、
前記流路は、
前記弁部と前記ノズルとの間に設けた直線路と、
前記弁部をバイパスする前記作動ガスの流れを許容するブリード路と
を含み、
前記ボディは、
前記入口、前記逆止弁、及び前記開閉弁を有する第1部材と、
前記出口、前記ノズル、前記真空発生部、及び前記吸引ポートを有する第2部材と
からなり、
前記第1部材と前記第2部材とを結合することにより前記直線路が形成され、前記入口から前記作動ガスを供給することで前記真空発生部に負圧を発生させ、前記真空発生部に前記吸引ポートを介して接続される排気対象から前記出口に向けて真空排気を行
い、
前記流路は、
前記逆止弁から延びて前記弁部に至る第1路と、
前記弁部から延びる第2路と、
前記直線路であって前記第2路と交差する方向に延びる第3路と、
前記第3路と交差する方向に延びて前記ノズルに至る第4路と
を有し、
前記ブリード路は、前記ボディにおいて前記第1路と前記第3路とを連通し、前記第3路の路長方向に沿い、且つ前記第3路よりも路径が小さいオリフィス孔である、バキュームジェネレータ。
【請求項2】
前記入口及び前記出口は前記ボディの同一側に開口している、請求項
1に記載のバキュームジェネレータ。
【請求項3】
前記ブリード路は、前記第3路と同一の路中心線を有する、請求項
1又は2に記載のバキュームジェネレータ。
【請求項4】
前記流路は、前記第2路と前記第3路とを滑らかに連続させる第1曲折路を有する、請求項
1から
3の何れか一項に記載のバキュームジェネレータ。
【請求項5】
前記流路は、前記第3路と前記第4路とを滑らかに連続させる第2曲折路を有する、請求項
1から
4の何れか一項に記載のバキュームジェネレータ。
【請求項6】
前記第2路及び前記第4路は直線路であって、
前記流路は、前記第2路から前記第4路に亘って2段階に直角状に曲折した段形状をなす、請求項
1から
5の何れか一項に記載のバキュームジェネレータ。
【請求項7】
前記第2路及び前記第4路は直線路であって、
前記流路は、前記第2路から前記第4路に亘って2段階に鋭角状に曲折したZ形状をなす、請求項
1から
5の何れか一項に記載のバキュームジェネレータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バキュームジェネレータに関し、特に、半導体製造装置に配置されたシリンダキャビネットに収容するガスボンベからプロセスガスを真空排気するためのバキュームジェネレータに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、作動ガスの流路に真空発生部を有し、真空発生部に連通された接続配管から真空排気可能な真空排気装置が開示されている。この装置は、換言するとバキュームジェネレータ(真空発生源)であって、ボディ、逆止弁、遮断弁、ノズル、及び接続配管を有する。作動ガスは窒素ガス等の不活性ガスである。ボディには、その同一側に作動ガスの入口と出口とを有する流路が形成されている。逆止弁は、流路の入口に設けられ、下流から上流への作動ガスの逆流を阻止する。
【0003】
遮断弁は、開閉弁であって、逆止弁の下流に設けられ、開閉により流路を遮断又は連通させる弁部と、弁部の上流と下流とを作動ガスで常時パージするオリフィスとを有する。オリフィスは弁シートに設けられ、遮断弁の開閉にかかわらず弁部に作動ガスを常時流す、いわゆるブリード機能を発揮する。このブリード機能により、真空発生部に常時負圧を発生させ、流路の出口から、装置外の大気等のガスが接続配管を介してガスボンベに流入するのを阻止している。
【0004】
ノズルは、流路の出口に設けられ、遮断弁を流れた後の作動ガスを絞ることにより、ノズルの下流に形成された真空発生部に負圧を発生させる。接続配管は、真空発生部に連通されるとともに排気対象であるガスボンベに接続された吸引管であって、真空発生部に発生した負圧によってガスボンベ内に残留したプロセスガスを吸引する。吸引されたプロセスガスは、作動ガスととともに流路の出口から排気され、このようにしてガスボンベの真空排気が行われる。
【0005】
特許文献1に記載の装置の作動ガスの流路は、遮断弁からノズルに至るまでに少なくとも1つの直線路を含む。遮断弁の弁部或いはオリフィスを流れることにより乱流となった作動ガスが、直線路において整流される。これにより、作動ガスは層流の状態でノズルを通過するため、真空発生部に所望の真空状態が好適に形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の装置のボディは一体に形成されているため、ボディに直線路を形成するには、ボディの外面からドリル等で穿孔して長孔を加工しなければならない。このため、ボディの外面には長孔の開口が形成され、この開口は溶接等によりキャップで塞ぐ必要がある。
【0008】
キャップで塞いだ箇所には流路のデッドスペース(ガス溜まり)が形成され、このデッドスペースの存在により、直線路で整流した後の作動ガスが再び乱流となる。このため、真空発生部に所望の真空状態を安定的に形成できないおそれがある。これではバキュームジェネレータの排気性能を安定的に実現することができない。
【0009】
また、一体に形成されたボディの開口をキャップで溶接等により塞ぐと、例えば、バキュームジェネレータの性能試験を行って真空発生部に所望の真空状態が得られない場合、バキュームジェネレータの完成品そのものを不合格品として破棄等の扱いとせざるを得ない。このため、バキュームジェネレータの生産性の低下を招くおそれがある。
【0010】
また、弁シートは一般に樹脂製であることから、弁シートに設けたオリフィスの孔又は隙間が弁シートの経年劣化により変形した場合、バキュームジェネレータのブリード機能を安定的に発揮させるのは困難である。
【0011】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、生産性を向上しつつ、排気性能及びブリード機能を安定的に実現することができるバキュームジェネレータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は以下の態様として実現することができる。
本態様に係るバキュームジェネレータは、ボディに入口及び出口が開口した作動ガスの流路に、作動ガスの流れ方向の順に、逆止弁、開閉弁の弁部、ノズル、真空発生部、及び真空発生部に連通する吸引ポートを備えたバキュームジェネレータであって、流路は、弁部とノズルとの間に設けた直線路と、弁部をバイパスする作動ガスの流れを許容するブリード路とを含み、ボディは、入口、逆止弁、及び開閉弁を有する第1部材と、出口、ノズル、真空発生部、及び吸引ポートを有する第2部材とからなり、第1部材と第2部材とを結合することにより直線路が形成され、入口から作動ガスを供給することで真空発生部に負圧を発生させ、真空発生部に吸引ポートを介して接続される排気対象から出口に向けて真空排気を行い、流路は、逆止弁から延びて弁部に至る第1路と、弁部から延びる第2路と、直線路であって第2路と交差する方向に延びる第3路と、第3路と交差する方向に延びてノズルに至る第4路とを有し、ブリード路は、ボディにおいて第1路と第3路とを連通し、第3路の路長方向に沿い、且つ第3路よりも路径が小さいオリフィス孔である。
【0013】
また、本態様に係る前述したバキュームジェネレータにおいて、入口及び出口はボディの同一側に開口している。
【0014】
また、本態様に係る前述したバキュームジェネレータにおいて、ブリード路は、第3路と同一の路中心線を有する。
【0015】
また、本態様に係る前述したバキュームジェネレータにおいて、流路は、第2路と第3路とを滑らかに連続させる第1曲折路を有する。
また、本態様に係る前述したバキュームジェネレータにおいて、流路は、第3路と第4路とを滑らかに連続させる第2曲折路を有する。
【0016】
また、本態様に係る前述したバキュームジェネレータにおいて、第2路及び第4路は直線路であって、流路は、第2路から第4路に亘って2段階に直角状に曲折した段形状をなす。
また、本態様に係る前述したバキュームジェネレータにおいて、第2路及び第4路は直線路であって、流路は、第2路から第4路に亘って2段階に鋭角状に曲折したZ形状をなす。
【発明の効果】
【0017】
本発明の前述した態様によれば、生産性を向上しつつ、排気性能及びブリード機能を安定的に実現することができるバキュームジェネレータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態に係るバキュームジェネレータの正面図である。
【
図2】バキュームジェネレータを
図1のA方向から見た平面図である。
【
図3】バキュームジェネレータを
図1のB方向から見た側面図である。
【
図4】バキュームジェネレータの一部外観を含む断面図である。
【
図6】バキュームジェネレータの流路構成を示すフロー図である。
【
図7】本発明の変形例に係るバキュームジェネレータの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面に基づき本発明の一実施形態に係るバキュームジェネレータについて説明する。
図1はバキュームジェネレータ1(以下、VG1とも称する)の正面図を示す。VG1は、例えば、図示しないガスボンベ(シリンダ、排気対象)に残留するプロセスガスを真空排気するための排気ユニットである。ガスボンベは、例えば図示しない半導体製造装置に配置されたシリンダキャビネットに一つ又は複数収容されている。VG1により残留したプロセスガスが排気されたガスボンベは、プロセスガスが満充填された新たなガスボンベに交換する等の運用がなされる。
【0020】
VG1は、直方体状であって金属製のボディ2を備え、ボディ2の同一側に形成されたアクセス面2aからは作動ガスの入口ポート4と出口ポート6とが突出して設けられている。入口及び出口ポート4、6の外端には、それぞれ接続用のナット8、10が取り付けられている。作動ガスは、圧縮された窒素ガス等の不活性ガスであって、入口ポート4のナット8に接続した図示しないチューブ等を介してVG1に供給される。
【0021】
VG1を流れた作動ガス、及びガスボンベから吸引されたプロセスガスは、出口ポート6のナット10に接続した図示しないチューブ等を介して排気される。また、ボディ2のアクセス面2aの反対側の背面2bからは、開閉弁12のアクチュエータ14が突出して設けられている。
【0022】
図2はVG1を
図1のA方向から見た平面図を示し、また、
図3はVG1を
図1のB方向から見た側面図を示す。アクセス面2aと背面2bとに直交するボディ2の側面2cからは吸引ポート16が突出して設けられている。吸引ポート16は、その外端に接続用のナット18が取り付けられている。吸引ポート16のナット18には、ガスボンベに連通する図示しないチューブ等が接続され、ガスボンベに残留したプロセスガスは吸引ポート16を介して吸引される。
【0023】
ここで、本実施形態のボディ2は、
図1及び
図3で見たとき、入口ポート4側の第1部材20と、出口ポート6側の第2部材22とに上下に2分割されている。第1部材20の第1締結面20aと、第2部材22の第2締結面22aとを合致させ、第2部材22側から六角穴付きの4つのボルト24を挿入して第1部材20と第2部材22とを結合することにより、1つの直方体状のボディ2が形成される。
【0024】
図4はVG1の一部外観を含む断面図を示す。ボディ2には、入口26a及び出口26bが開口した作動ガスの流路26が形成されている。流路26には、作動ガスの流れ方向の順に、逆止弁28、開閉弁12の弁部30、ノズル32、及び真空発生部34等が設けられている。逆止弁28は、流路26の入口26aに形成された逆止弁取付穴36にユニオンボディ38を介して収容され、流路26において下流から上流への作動ガスの逆流を阻止する。ユニオンボディ38は逆止弁取付穴36にねじ込み等により取り付けられている。入口ポート4はユニオンボディ38の外端に接続されている。
【0025】
開閉弁12は、アクチュエータ14と弁部30とを備え、弁部30は、逆止弁28の下流に設けられ、ボディ2の背面2bに開口された弁部取付穴40にねじ込み等により取り付けられている。開閉弁12は、例えば、エア駆動式のアクチュエータ14により弁部30を開閉するダイヤフラム式の遮断弁である。弁部30は、弁シート42及びダイヤフラム44等を備え、アクチュエータ14の作動によってダイヤフラム44が弁シート42に離接することにより流路26を遮断又は連通する。
【0026】
ノズル32は、流路26の出口26bに形成されたノズル取付穴46に収容されている。ノズル取付穴46のノズル32の下流側にはディフューザ48が挿入され、ディフューザ48は出口26bにてアクセス面2aにねじ込みや溶着等の固定手段により取り付けられている。
【0027】
真空発生部34はノズル取付穴46のノズル32とディフューザ48との間に形成された空間である。ノズル32、真空発生部34、及びディフューザ48は、いわゆるエジェクタ50を構成し、作動ガスが流路26の断面積を絞ったノズル32を流れることにより加速されて高速噴流となり、この高速噴流が真空発生部34で一旦開放された後、ディフューザ48を流れる。
【0028】
真空発生部34には吸引ポート16が連通されているため、いわゆるエジェクタ効果により、真空発生部34で発生した負圧によって吸引ポート16を介してガスボンベに残留したプロセスガスが吸引される。ガスボンベから吸引されたプロセスガスは、作動ガスとともに出口ポート6から排気される。
【0029】
ボディ2を構成する第1部材20は、作動ガスの入口26a、入口ポート4、逆止弁28、及び開閉弁12を備え、VG1における作動ガスの供給セクション52を構成している。一方、ボディ2を構成する第2部材22は、出口26b及び出口ポート6と、ノズル32、真空発生部34、並びにディフューザ48から構成されたエジェクタ50と、吸引ポート16とを備え、VG1におけるプロセスガスの排気セクション54を構成している。
【0030】
そして、流路26は、弁部30とノズル32との間において第1部材20から第2部材22に亘って延びる第3路(直線路)60を有している。詳しくは、流路26は、逆止弁28から延びて弁部30に至る第1路56と、弁部30から延びる第2路58と、第2路58と交差する方向に延びる第3路60と、第3路60と交差する方向に延びてノズル32に至る第4路62とを有する。
【0031】
さらに、流路26には、第2路58と第3路60とを滑らかに連続させる第1曲折路64と、第3路60と第4路62とを滑らかに連続させる第2曲折路66とが形成されている。より詳しくは、第1路56及び第2路58は、互いに略平行な直線路であり、第3路60は第2路58の終端から第1曲折路64を経て略垂直に交差する方向に延びる直線路であり、第4路62は第3路60の終端から第2曲折路66を経て略垂直に交差する方向に延びる直線路である。
【0032】
第1路56は、アクセス面2a又は背面2bの側からボディ2の第1部材20にドリル等で穿孔することにより、逆止弁取付穴36及び弁部取付穴40とともに直線状の長孔として形成される。第2路58は、背面2bの側からボディ2の第1部材20にドリル等で穿孔することにより、弁部取付穴40とともに直線状の長孔として形成される。
【0033】
第4路62は、アクセス面2aの側からボディ2の第2部材22にドリル等で穿孔することにより、ノズル取付穴46とともに直線状の長孔として形成される。第3路60は、第1締結面20aの側からと、第2締結面22aの側からとから、第1部材20と第2部材22とにドリル等でそれぞれ穿孔することにより、第1部材20と第2部材22とを結合したときに連続した直線状の長孔として形成される。
【0034】
第1及び第2締結面20a、22aにおける第3路60の開口の周囲には、それぞれ環状溝68、70が形成されている。各環状溝68、70に環状のガスケット72を嵌入し、この状態で第1及び第2締結面20a、22aを合致させ、第1及び第2部材20、22を各ボルト24で締結する。これにより、第3路60を流れる作動ガスが第1及び第2締結面20a、22a間の微小隙間からリークすることはなく、第3路60が気密に形成される。
【0035】
第1曲折路64は、第3路60を形成した後に第1締結面20aの側から第3路60に、或いは、弁部取付穴40及び第2路58を形成した後に背面2bの側から第2路58に、先端が半球状等をなす図示しないボールエンドミル等を挿入して切削加工される。これにより、第1曲折路64は、直角状に曲折した湾曲面カーブとして形成され、第2路58と第3路60とを滑らかに連続させる。
【0036】
第2曲折路66は、第3路60を形成した後に第2締結面22aの側から第3路60に、或いは、ノズル取付穴46及び第4路62を形成した後にアクセス面2aの側から第4路62に、前述したボールエンドミル等を挿入して切削加工される。これにより、第2曲折路66は、直角状に曲折した湾曲面カーブとして形成され、第3路60と第4路62とを滑らかに連続させる。
【0037】
こうして、本実施形態の流路26は、
図4で見たとき、第2路58から第4路62に亘って2段階に直角状に曲折した段形状に形成される。
ここで、
図4に示すように、流路26は、弁部30をバイパスする作動ガスの流れを許容するブリード路74を備えている。
【0038】
図5は
図4のブリード路74の拡大図を示す。ブリード路74は、ボディ2において第1路56と第3路60とを連通し、第3路60の路長方向に沿い、且つ第3路60よりも路径が小さい孔径dを有するオリフィス孔である。ブリード路74を形成したことにより、入口ポート4から作動ガスを供給する限りは、開閉弁12の上流と下流とが作動ガスで常時パージされ、開閉弁12の開閉にかかわらず、流路26に作動ガスが常時流れるブリード機能が実現される。
【0039】
このブリード機能により、真空発生部34に常時負圧が発生し、流路26の出口ポート6から、VG1の外の大気等のガスが吸引ポート16を介してガスボンベに流入するのが阻止される。ブリード路74を形成するためには、先ず、第1部材20に第3路60及び第1曲折路64を形成した後、第1締結面20aの側から第3路60にドリル等を挿入して半球状の凹部76を形成する。凹部76は、ブリード路74を精密に加工するために予備的に形成した凹みであるが、ブリード路74を形成するための必須のものではない。
【0040】
次に、第1締結面20aの側から第3路60にマイクロドリル或いはエンドミル等を挿入し、凹部76の底に突き当て、第1路56に連通するブリード路74が例えば0.3mm程度の孔径dを有する微細なオリフィス孔として形成される。好ましくは、ブリード路74は第3路60と同一の路中心線78を有して形成される。
【0041】
以下、
図6に示したVG1の流路構成を示すフロー図を参照し、VG1の作動を説明する。前述した構成のVG1において、圧縮した作動ガスが入口ポート4から実線矢印方向に流路26に供給されると、作動ガスは逆止弁28により逆流が阻止されつつ、第1路56を経て開弁された開閉弁12の弁部30を流れる。この際、開閉弁12の開閉にかかわらず、作動ガスは弁部30をバイパスしてブリード路74を流れ、流路26においてブリード機能が発揮される。
【0042】
弁部30を流れた作動ガスは第2路58、第3路60、第4路62を順に流れ、また、ブリード路74を流れた作動ガスは第3路60、第4路62を順に流れ、ノズル32、真空発生部34、及びディフューザ48を含むエジェクタ50を通過する。この際、真空発生部34に生じた負圧により、吸引ポート16を介してガスボンベのプロセスガスが破線矢印方向に吸引され、プロセスガスが作動ガスとともに出口ポート6から排気される。
【0043】
以上のように、本実施形態のVG1は、ボディ2を第1部材20と第2部材22とから構成し、第1部材20と第2部材22とを結合することにより、ノズル32の上流側にて作動ガスの整流を目的とした直線路としての第3路60が形成される。これにより、ボディ2に第3路60を形成するためにボディ2の外面からドリル等で穿孔して長孔を加工しなくとも良く、長孔の開口を溶接等によりキャップで塞ぐ必要もない。
【0044】
このため、キャップで塞いだ箇所に流路26のデッドスペース(ガス溜まり)が形成されることはない。従って、第3路60で整流した後に発生する作動ガスの乱流が抑制又は防止され、真空発生部34に所望の真空状態を安定的に形成可能となり、VG1の排気性能及びブリード機能を安定的に実現することができる。
【0045】
また、ボディ2を第1部材20と第2部材22とから構成したことにより、VG1の性能試験を行って真空発生部34に所望の真空状態が得られない場合、VG1におけるプロセスガスの排気セクション54を備える第2部材22のみを不合格品として破棄等の扱いとし、合格品となる第2部材22に交換してVG1を組み立て直すことができる。
【0046】
一方、作動ガスの供給セクション52を備える第1部材20に不具合がある場合にも、合格品となる第1部材20に交換してVG1を組み立て直すことができる。従って、組み立て後のVG1の完成品そのものを不合格品として破棄等の扱いとしなくとも良いため、VG1の生産性を向上することができる。
【0047】
また、流路26は、弁部30をバイパスする作動ガスの流れを許容するブリード路74を有する。ここで、特許文献1に示した従来技術では、VG1にブリード機能を持たせるために弁シートにオリフィスを設けている。弁シートは一般に樹脂製であることから、弁シートのオリフィスを構成する孔又は隙間が弁シートの経年劣化により変形した場合、VG1のブリード機能が発揮できなくなるおそれがある。
【0048】
しかし、本実施形態のブリード路74は、金属製のボディ2を穿孔することにより弁部30をバイパスする流路26の一部として形成されるため、経年劣化により変形することはなく、ブリード機能を長期的に発揮させることができ、VG1の信頼性をより一層向上することができる。
【0049】
また、流路26は、第1路56から第4路62により構成され、流路26の入口26a及び出口26bはボディ2の同一側となるアクセス面2aに開口している。これにより、VG1に対する作動ガスの流入出は、アクセス面2aから突出した入口及び出口ポート4、6の各ナット8、10にチューブ等を同一側から接続することができる。従って、半導体製造装置に配置されたシリンダキャビネットの周囲の狭小スペースにおいても、ガスボンベの交換時にVG1に対する各チューブの脱着を容易に行うことができ、ガスボンベの真空排気に係る作業性を向上することができる。
【0050】
また、ブリード路74は、第3路60の路長方向に沿い、且つ第3路60よりも路径が小さい孔径dを有する微細なオリフィス孔である。これにより、開閉弁12をバイパスする作動ガスの微小流れが常時形成され、真空排気に影響しない範囲でVG1にブリード機能を持たせることができる。
【0051】
より詳しくは、ブリード路74が第3路60の路長方向に沿ったオリフィス孔として形成されることにより、VG1による真空排気時、第3路60の作動ガスの流れに極力影響を与えない範囲でブリード路74から第3路60に作動ガスを供給可能である。従って、第3路60で整流した後に発生する作動ガスの乱流をより効果的に抑制又は防止することができるため、真空発生部34に所望の真空状態をより安定的に形成可能となり、VG1のより安定した排気性能及びブリード機能を実現することができる。
【0052】
また、ブリード路74が第3路60と同一の路中心線78を有することにより、ブリード路74から第3路60に流れる作動ガスの流れ中心が一致する。これにより、第3路60の作動ガスの流れに極力影響を与えない範囲でブリード路74から第3路60に作動ガスを供給可能である。従って、VG1のより一層安定した排気性能及びブリード機能を実現することができる。
【0053】
また、流路26に、第2路58と第3路60とを滑らかに連続させる第1曲折路64が形成されることにより、第2路58から第3路60に流入する作動ガスの流れを極力層流に近い状態にすることができる。従って、真空発生部34に所望の真空状態をより安定的に形成可能となり、VG1のより安定した排気性能及びブリード機能を実現することができる。
【0054】
また、流路26に、第3路60と第4路62とを滑らかに連続させる第2曲折路66が形成されることにより、第3路60で整流した後に発生する作動ガスの乱流をより効果的に抑制又は防止することができる。従って、真空発生部34に所望の真空状態をより安定的に形成可能となり、VG1のより安定した排気性能及びブリード機能を実現することができる。
【0055】
また、流路26は、第2路58から第4路62に亘って2段階に直角状に曲折した段形状をなすことにより、流路26にVG1の各構成部材をコンパクトに配置した小型化したボディ2ひいてはVG1を実現することができる。
以上で本発明の一実施形態についての説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更ができるものである。
【0056】
例えば、上記実施形態では、流路26は、第2路58から第4路62に亘って2段階に直角状に曲折した段形状をなしている。しかし、ボディ2を第1部材20と第2部材22とから構成したことにより、流路26の経路は穿孔加工上の制約を受け難くなるため、流路26の経路は種々の変更が可能となる。
【0057】
具体的には、
図7に示すように、流路26は、第2路58から第4路62に亘って2段階に鋭角状に曲折したZ形状をなしていても良い。この場合には、ボディ2の大きさを変えないで、
図4に示した場合に比して、直線路である第2路58、第3路60、及び第4路62の路長をそれぞれ長く確保することができる。
【0058】
これにより、流路26のノズル32の上流側において、作動ガスのより一層顕著な整流効果を得ることができ、発生する作動ガスの乱流をより効果的に抑制又は防止することができる。従って、真空発生部34に所望の真空状態をより安定的に形成可能となり、VG1を小型に維持したままで、より安定した排気性能及びブリード機能を実現することができる。
【0059】
図7に示すVG1の場合であっても、ブリード路74は、第3路60の路長方向に沿い、且つ第3路60の路径よりも小さい孔径dを有し、さらには第3路60と同一の路中心線78を有して形成される。このため、VG1による真空排気時、第3路60の作動ガスの流れに極力影響を与えない範囲でブリード路74から第3路60に作動ガスを供給可能であり、
図4に示した場合と同様に、VG1のより一層安定した排気性能及びブリード機能を実現することができる。
【0060】
また、本実施形態及び変形例の流路26は、主として、何れも直線路である第1路56から第4路62により構成され、さらに第1曲折路64と第2曲折路66とが形成される。しかし、流路26は、この構成に厳密に限定されるものではない。例えば、入口26a及び出口26bは必ずしもボディ2の同一側に形成されたアクセス面2aに開口していなくとも良く、出口26bは背面2bに開口していても良い。
【0061】
また、第1部材20と第2部材22とを結合することによりノズル32の上流側にて作動ガスの整流を目的とした直線路が少なくとも1つ形成されれば良い。これにより、少なくとも、直線路で整流した後に発生する作動ガスの乱流が抑制又は防止され、真空発生部34に所望の真空状態を安定的に形成可能となり、VG1の排気性能を安定的に実現することができる。
【0062】
また、本実施形態のVG1は、半導体製造装置に配置されたシリンダキャビネットに収容するガスボンベの真空排気のみならず、種々の排気対象の真空排気に適用可能である。
【符号の説明】
【0063】
1 バキュームジェネレータ
2 ボディ
12 開閉弁
16 吸引ポート
20 第1部材
22 第2部材
26 流路
26a 入口
26b 出口
28 逆止弁
30 弁部
32 ノズル
34 真空発生部
56 第1路
58 第2路
60 第3路(直線路)
62 第4路
64 第1曲折路
66 第2曲折路
74 ブリード路
78 路中心線