(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-22
(45)【発行日】2022-03-30
(54)【発明の名称】野菜の端部の切断装置
(51)【国際特許分類】
A23N 15/04 20060101AFI20220323BHJP
B26D 3/26 20060101ALI20220323BHJP
【FI】
A23N15/04
B26D3/26 605E
B26D3/26 605C
(21)【出願番号】P 2018107571
(22)【出願日】2018-06-05
【審査請求日】2021-03-08
(73)【特許権者】
【識別番号】505467672
【氏名又は名称】渡辺精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100093953
【氏名又は名称】横川 邦明
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 好見
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 圭佑
【審査官】土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第2062739(US,A)
【文献】米国特許第3738258(US,A)
【文献】特開2008-017810(JP,A)
【文献】特開平05-329798(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23N 15/04
B26D 3/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
野菜の端部を切断する野菜の端部の切断装置において、
野菜を立った状態で載せる野菜台と、
前記野菜台上で野菜を立った状態で支持する野菜支持手段と、
前記野菜を前記野菜台上で搬送する野菜搬送手段と、
野菜台に関する第1の位置で野菜を上昇又は下降させる第1の野菜昇降手段と、
野菜台に関する第1の位置よりも下流側の位置である第2の位置で野菜を前記第1の野菜昇降手段による上昇又は下降の反対側へ下降又は上昇させる第2の野菜昇降手段と、
前記第1の位置で上昇又は下降した野菜の端部を切断する第1の切断刃と、
前記第2の位置で下降又は上昇した野菜の端部を切断する第2の切断刃と
を有することを特徴とする野菜の端部の切断装置。
【請求項2】
前記野菜支持手段は、上下方向に延在する筒状の管部材であることを特徴とする請求項1記載の野菜の端部の切断装置。
【請求項3】
前記野菜搬送手段は、湾曲形状の搬送路に沿って野菜を搬送することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の野菜の端部の切断装置。
【請求項4】
前記野菜搬送手段は、前記管部材を搬送する駆動盤を有することを特徴とする請求項2記載の野菜の端部の切断装置。
【請求項5】
前記野菜台は、投入された野菜が置かれる搬送台を有しており、
前記第1の野菜昇降手段は、前記搬送台に対して上下移動する昇降台を有しており、
前記第2の野菜昇降手段は、前記搬送台よりも低い低位置台を有する
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1つに記載の野菜の端部の切断装置。
【請求項6】
前記昇降台の上方位置に配置されたストッパを有しており、
昇降台の上方移動によって上昇する野菜は前記ストッパに当たって止まることにより野菜の上端位置が決まる
ことを特徴とする請求項5記載の野菜の端部の切断装置。
【請求項7】
前記ストッパは昇降台に対する距離が変更可能であることを特徴とする請求項6記載の野菜の端部の切断装置。
【請求項8】
前記野菜が前記低位置台に落下することにより野菜の下端位置が決まることを特徴とする請求項5記載の野菜の端部の切断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、野菜の両端を切断するための野菜の端部の切断装置に関する。本明細書において野菜とは食用である植物のことであり、例えばキュウリ、人参、果実、等である。
【背景技術】
【0002】
キュウリ等といった野菜においては、その両端部を切断して除去することが調理の一部となることが多い。従来、例えば特許文献1及び特許文献2により、野菜の両端部を切断する装置が知られている。これらの特許文献においては、切断の対象である野菜を搬送ベルトやコンベアベルト(以下、搬送ベルト等という)の上に横状態で置く。また、搬送ベルト等の左右の側端部に対向して切断用の刃が設置される。
【0003】
搬送ベルト等の上に置かれた野菜は搬送ベルト等によって直線的に搬送される。野菜の両端部は、野菜が搬送ベルト等によって搬送される間に、上記の切断用の刃によって切断されて野菜の本体部分から除去される。
【0004】
これらの従来の装置においては、野菜が搬送ベルト等の上に横状態に置かれる。切断の対象である複数の野菜の形状が全て同じであれば問題が無い。しかしながら、実際は、複数の野菜の形状は様々であり、これらの野菜を搬送ベルト等の上に置いたときに、切断の対象である野菜の両端部を切断用の刃に対して一定の位置に置くことが難しかった。この結果、従来の野菜の端部の切断装置においては、野菜の切断位置にバラツキが生じるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平2-020276号公報
【文献】特開2002-027963号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従来装置における上記の問題点に鑑みて成されたものであって、野菜の外形形状が様々に変化する場合でも、野菜の端部を一定位置で切断できる野菜の端部の切断装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る野菜の端部の切断装置は、キュウリ等といった野菜の端部を切断する野菜の端部の切断装置において、野菜を立った状態で載せる野菜台と、前記野菜台上で野菜を立った状態で支持する野菜支持手段と、前記野菜を前記野菜台上で搬送する野菜搬送手段と、野菜台に関する第1の位置で野菜を上昇又は下降させる第1の野菜昇降手段と、野菜台に関する第1の位置よりも下流側の位置である第2の位置で野菜を前記第1の野菜昇降手段による上昇又は下降の反対側へ下降又は上昇させる第2の野菜昇降手段と、前記第1の位置で上昇又は下降した野菜の端部を切断する第1の切断刃と、前記第2の位置で下降又は上昇した野菜の端部を切断する第2の切断刃とを有することを特徴とする。
【0008】
従来の野菜の端部の切断装置においては、野菜は横置きの状態で搬送された。野菜の外形形状が一定に決まっていれば、このような横置き状態でも野菜の両端部の位置を一定の位置に置くことができるので、野菜の両端部の切断を正確に行うことができる。しかしながら、通常、野菜の外形形状は様々である。従って、通常は、横置きされた野菜の両端部は上下方向でばらついている。この結果、従来の野菜の端部の切断装置においては、両端部の切断位置がばらつくという問題があった。
【0009】
これに対し、本実施形態では、野菜を立てた状態で両端部を切断することにしたので、野菜の外形形状が様々に変化する場合でも、上端部及び下端部の両方を常に一定の位置で切断できるようになった。
【0010】
本発明に係る野菜の端部の切断装置の第2の発明態様において、前記野菜支持手段は、上下方向に延在する筒状の管部材である。この構成によれば、野菜を単に管部材の内部へ挿入するだけで野菜を立てた状態で保持できる。
【0011】
本発明に係る野菜の端部の切断装置の第3の発明態様において、前記野菜搬送手段は、湾曲形状(例えば円形状)の搬送路に沿って野菜を搬送する。野菜の搬送路が湾曲形状であれば、野菜の搬送路を直線形状にする場合に比べて、野菜の端部の切断装置の全体形状を小さくできる。
【0012】
本発明に係る野菜の端部の切断装置の第4の発明態様において、前記野菜搬送手段は、前記管部材を搬送する駆動盤を有する。この構成により、野菜を立った状態で搬送する構造を簡単に実現できる。
【0013】
本発明に係る野菜の端部の切断装置の第5の発明態様において、前記野菜台は、投入された野菜が置かれる搬送台を有しており、前記第1の野菜昇降手段は、前記搬送台に対して上下移動する昇降台を有しており、前記第2の野菜昇降手段は、前記搬送台よりも低い低位置台を有する。この構成により、第1の位置において野菜を上昇させ、第2の位置において野菜を下降させる構造を簡単に実現できる。
【0014】
本発明に係る野菜の端部の切断装置の第6の発明態様は、前記昇降台の上方位置に配置されたストッパを有しており、昇降台の上方移動によって上昇する野菜は前記ストッパに当たって止まることにより野菜の上端位置が決まる。この構成により、野菜の上端部の切断位置を複数の野菜に関して一定に設定できる。
【0015】
本発明に係る野菜の端部の切断装置の第7の発明態様において、前記ストッパは昇降台に対する距離が変更可能である。この構成により、野菜の上端部の切断位置を作業者の希望に応じて変更できる。
【0016】
本発明に係る野菜の端部の切断装置の第8の発明態様においては、前記野菜が前記低位置台に落下することにより野菜の下端位置が決まる。この構成により、野菜の上端部の切断位置を複数の野菜に関して一定に設定できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、野菜を立てた状態で両端部を切断することにしたので、野菜の外形形状が様々に変化する場合でも、野菜の上端部及び下端部の両方を常に一定の位置で切断できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明に係る野菜の端部の切断装置の一実施形態を示す斜視図である。
【
図2】
図1の構造から一部の部材を取外した後の野菜の端部の切断装置を示す斜視図である。
【
図3】
図2の構造から一部の部材を取外した後の野菜の端部の切断装置を示す斜視図である。
【
図4】
図3の主要構造である野菜切断ユニットを示す斜視図である。
【
図5】
図4の野菜切断ユニットを別の角度から見た斜視図である。
【
図6】
図5の主要部分を抜き出して示した斜視図である。
【
図7】
図6の構造を上方向から見た場合の平面図である。
【
図8】
図5の構造を矢印G方向から見た状態の野菜切断ユニットの裏側の構造を示す斜視図である。
【
図9】
図5における2枚の切断刃を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る野菜の端部の切断装置を実施形態に基づいて説明する。なお、本発明がこの実施形態に限定されないことはもちろんである。また、本明細書に添付した図面では特徴的な部分を分かり易く示すために実際のものとは異なった比率で構成要素を示す場合がある。
【0020】
(全体構成)
図1は、本発明に係る野菜の端部の切断装置の一実施形態の全体構造を示している。なお、本発明の野菜の端部の切断装置を構成する部材の多くはステンレス鋼によって形成されている。これは、食材である野菜を取り扱う関係上、洗浄を行い易い金属を選択したためである。ここに示す野菜の端部切断装置1は、基台2と、基台2上に設けられた筐体3と、筐体3の上に設けられた野菜受け4と、筐体3の上に設けられた上カバー5とを有している。
図2は、
図1において野菜受け4及び上カバー5を筐体3から取り外した状態を示している。
図2において、筐体3の内部に野菜切断ユニット8が設けられている。
【0021】
(野菜切断ユニット)
図3は、
図2において基台2から筐体3を取り外した状態を示している。
図3において野菜切断ユニット8が基台2の水平テーブル部分2aの上に固定されている。野菜切断ユニット8は
図4に示すように、下位置に置かれた野菜台9と、その上の駆動盤10と、その上の上面盤11とを有している。上面版11の一部は
図1において野菜受け4と上カバー5との間において外部から見えている。
【0022】
図5は、
図4のA方向から野菜切断ユニット8を見た状態を示している。
図4及び
図5から分かるように、上面盤11及び駆動盤10は円形のリング状(すなわち輪状)に形成されている。野菜台9は、
図6に示すように、投入された野菜が置かれる搬送台9aと、第1の野菜昇降手段としての昇降台9bと、第2の野菜昇降手段としての低位置台9cとを有している。搬送台9aと、昇降台9bと、低位置台9cは、
図7に示すように、上方から見て円形状になるように並べられている。符号9dは補助台である。点Psから始まって点Peで終わる円軌跡が野菜搬送路T1である。昇降台9bはこの野菜搬送路T1に関する第1の位置P1に設けられている。低位置台9cは第1の位置P1よりも下流側の位置である第2の位置P2に設けられている。
【0023】
図4において、上面盤11と駆動盤10と野菜台9は同心円状で上下方向に並べて設置されている。駆動盤10は中心線X0を中心として回動可能に
図3のテーブル部分2aに支持されている。
図4の野菜台9の搬送台9aはテーブル部分2a(
図3)に位置不動に固定されている。搬送台9aの高さは一定である。野菜台9の低位置台9cもテーブル部分2a(
図3)上に設けられている。低位置台9cは本実施形態では
図5の縦方向に長い長孔12の範囲内で高さ調節が可能である。なお、低位置台9cの高さを変化させる構造は長孔12を用いた構造に限られず、任意の構造とすることができる。低位置台9cのテーブル部分2aからの高さは搬送台9aの高さよりも低くなっている。補助台9dの高さは搬送台9aの高さと同じである。昇降台9bは
図6に示すように、昇降駆動手段としてのエアシリンダ14によって矢印B-B’で示すように上下方向に駆動される。
【0024】
(回転駆動系)
図4において、中段の駆動盤10の外周縁にギヤ歯10aが設けられている。上段の上面盤11の外周縁にもギヤ歯11aが設けられている。上面盤11は複数の支柱15によって駆動盤10に固定されている。これにより、駆動盤10が中心線X0を中心として回動する場合、上面盤11は駆動盤10と一体になって回動する。
図2において電動モータ16が筐体3の内側に固定されている。
図5に示すように電動モータ16の出力軸にギヤ17が取付けられている。このギヤ17の歯は駆動盤10のギヤ歯10aに噛み合っている。このため、電動モータ16が作動してギヤ17が回転すると駆動盤10が中心線X0を中心として矢印Cのように回動する。
【0025】
(野菜支持手段)
図4において、上面盤11に複数(本実施形態では6個)の円形状の貫通孔20が開けられている。駆動盤10にも同じ数の円形状の貫通孔21が開けられている。これらの孔内に野菜支持手段としての支持管22が嵌め込まれている。支持管22は上下方向に延在している。下方向は重力が作用する方向である。支持管22は外管22aと内管22bとを有している。内管22bは外管22aの内部に嵌り込んでいる。内管22bは外管22aの内部において上下方向へ移動自在(すなわち摺動自在)である。内管22bは自重によって外管22aの下端にぶら下がった状態で止まっている。内管22bが外管22aの下端にぶら下がった状態において、内管22bの下端と搬送台9aの上面との間に隙間δが形成されている。
【0026】
このため、駆動盤10がモータ16によって駆動されて中心線X0を中心として矢印C方向へ回動するとき、上面盤11も駆動盤10と一体に回動し、支持管22も上面盤11及び駆動盤10と一体に中心線X0を中心として矢印C方向へ回動する。このとき、支持管22の内管22bの下端と搬送台9aの上面との間には隙間δが設けられているので、支持管22の回動が搬送台9aによって邪魔されることがない。
【0027】
支持管22の外管22a及び内管22bの内部に野菜、本実施形態ではキュウリYを挿入できる。挿入されたキュウリYは搬送台9aの上に立った状態で載る。内管22b及び外管22aの内径はキュウリYが大きく傾くことがないような寸法に設定されている。モータ16によって駆動されて駆動盤10が矢印C方向へ回動するとき、上面盤11及び支持管22も同時に一体的に回動する。支持管22の内部にキュウリYが入っていると、そのキュウリYは駆動盤10によって駆動されて中心線X0を中心として野菜台9の上で立ったままの状態で搬送路T1に沿って回動する。
【0028】
支持管22を構成する外管22aの上端にフランジ23が設けられている。例えば、外管22aの上端にフランジ23がネジによって固定されている。外管22aの下端に突片26が設けられている。また、突片26の近傍の駆動盤10の上面上に固定部材としてのトグルクランプ27が設置されている。トグルクランプ27は右側のツマミを
図4の矢印Dのように上げると左側の先端部が上方へ持ち上がって押圧力が解除され、右側のツマミを矢印Eのように下げると左側の先端部が下方へ下がって突片26を駆動盤10の上面へ押し付ける。これにより、外管22aが駆動盤10に固定される。
【0029】
本実施形態では支持管22が複数種類、用意されている。図示の実施形態では支持管22の水平断面形状が円形であるが、水平断面形状が矩形(例えば正方形又は長方形)である支持管22を用意することができる。また、図示の支持管22よりも内径寸法が小さい又は大きい支持管22を用意することもできる。本実施形態の支持管22は野菜としてキュウリYを適用するときに好都合な円形状及び内径寸法となっている。野菜としてキュウリ以外の野菜を適用する場合には、異なる断面形状及び内径寸法の支持管22に交換できる。
【0030】
支持管22を異なる種類の支持管に交換する場合には、トグルクランプ27の右側ツマミをD方向へ持上げて左側先端部を上方へ持上げて当該先端部の突片26に対する押圧力を解除し、さらに、外管22aのフランジ23を上面盤11から取り外す。これにより、支持管22を駆動盤10及び上面盤11から取り外すことができる。そして、異なった種類の支持管22を貫通孔20及び貫通孔21に挿入し、さらに突片26をトグルクランプ27によって駆動盤10に固定する。
【0031】
(ストッパ)
図2において、左側の筐体3にストッパ28が取付けられている。ストッパ28は作業者が取っ手29をつかんで矢印F方向へ引き出すことにより、筐体3から取り外すことができる。さらに、
図6において、ストッパ28は取っ手29に対する固定位置を変化させることができる。取っ手29に対するストッパ28の固定位置を変化させることにより、ストッパ28の昇降台9bに対する高さ(すなわち距離)を変化させることができる。
【0032】
昇降台9bよりも少し上流位置にマイクロスイッチM1が設けられている。このマイクロスイッチM1は
図2の左側の筐体3に取付けられている。マイクロスイッチM1はエアシリンダ14へエアーを供給するためのエアー供給系に配置された電磁弁をON/OFFするスイッチである。
【0033】
図8は、
図5の矢印Gに従って野菜切断ユニット8を裏側から見た状態を示す図である。
図8に示すように、駆動盤10の外周部の裏面上に複数の細長いカム32が所定の間隔で取付けられている。駆動盤10が矢印C方向へ回動するとマイクロスイッチM1の検知片が所定の時間間隔でカム32を検知して、スイッチがONとなる。スイッチがONとなると、
図6においてエアシリンダ14にエアーが供給され、昇降台9bがB方向へ上昇する。このとき、昇降台9bに野菜(例えば、キュウリY)が立った状態で載っていると、そのキュウリYが上昇する。このとき、
図4において、支持管22の内管22bも昇降台9bによって持上げられて、外管22aの内部で上昇する。上昇するキュウリYの上端がストッパ28の下面にぶつかるとキュウリYの上昇が止まって、キュウリYがその位置に留まる。このようにして、ストッパ28によって野菜(Y)の上端位置が決まる。
【0034】
(第1の切断刃)
ストッパ28の近傍に、
図3、
図4、
図5及び
図9に示すように、第1の切断刃33が設けられている。第1の切断刃33はストッパ28よりも下方の位置に配置されている。第1の切断刃33は、薄い円盤状の刃であり、例えば硬度の高いステンレス鋼によって形成されている。
図5において、第1の切断刃33の回転軸にギヤ列34が連結されている。ギヤ列34の1段ギヤ35が上面盤11のギヤ刃11aに噛み合っている。このため、モータ16によって駆動されて駆動盤10が矢印C方向へ回動するとき、上面盤11が同時に回転し、この回転が1段ギヤ35を含むギヤ列34を介して第1の切断刃33へ伝達されて、第1の切断刃33が
図9の反時計方向(矢印H方向)へ回転する。
【0035】
図5において、昇降台9bによって押し上げられてストッパ28まで上昇したキュウリYが搬送路T1に沿って第1の切断刃33へ到来すると、その第1の切断刃33によってキュウリYの上端部の所定長さ部分が切断される。
【0036】
(第2の切断刃)
第1の切断刃33によって上端部が切断されたキュウリYを収容した支持管22が
図5に示すように昇降台9bの下流側の前端部(すなわち補助台9dの近傍の部分)まで移動すると、マイクロスイッチM1がOFFとなり、
図6のエアシリンダ14がOFFとなり、昇降台9bが搬送台9aと同じ高さまで降下する。
【0037】
駆動盤10によって搬送される支持管22が補助台9dを通過すると、支持管22内のキュウリYは低位置台9c上へ落下する。低位置台9cの近傍に第2の切断刃36が設けられている。第2の切断刃36は低位置台9cよりも上方の位置に配置されている。第2の切断刃36は、薄い円盤状の刃であり、例えば硬度の高いステンレス鋼によって形成されている。
図8において、第2の切断刃36の回転軸にギヤ列37が連結されている。ギヤ列37の1段ギヤ38(
図5)が駆動盤10のギヤ刃10aに噛み合っている。このため、モータ16によって駆動されて駆動盤10が矢印C方向へ回動するとき、この回動が1段ギヤ38を含むギヤ列37を介して第2の切断刃36へ伝達されて第2の切断刃36が
図9の反時計方向(矢印I方向)へ回転する。
図5において低位置台9c上を移動するキュウリYが第2の切断刃36に到来すると、その第2の切断刃36によってキュウリYの下端部の所定長さ部分が切断される。下端部が切断されたキュウリYは第2の切断刃36の上面を通過した後、野菜切断ユニット8の下方へ落下して回収される。
【0038】
(全体の動作)
作業者は、
図2において、電動モータ16を作動させて、駆動盤10及び上面盤11を矢印C方向へ回動させる。さらに、作業者は、
図1において、両端部を切断しようとする野菜、例えばキュウリYを必要な数だけ野菜受け4に載せる。上面盤11は矢印C方向へ回動している。作業者は上面盤11と共に回動している支持管22の中へキュウリYを1個ずつ挿入する。
【0039】
支持管22に挿入されたキュウリYは、
図4において、支持管22によって搬送台9aの上で立った状態で支持される。また、キュウリYは立った状態で駆動盤10によって駆動されて野菜搬送路T1に沿って移動する。支持管22に入ったキュウリYが第1の位置P1に置かれた昇降台9bに達すると、
図8においてマイクロスイッチM1がカム32を検知してONとなる。
【0040】
すると、
図6においてエアシリンダ14がONとなり、昇降台9bが上昇し、
図4において内管22b及びキュウリYが上昇する。上昇するキュウリYはストッパ28で止まる。ストッパ28で止まったキュウリYはさらに搬送路T1に沿って移動し、この移動中に第1の切断刃33によってキュウリYの上端部の必要長さが切断される。
【0041】
その後、キュウリYはさらに搬送路T1に沿って移動し、
図5において補助台9dから低位置台9cへ立ったままの状態で落下する。そして、キュウリYはさらに駆動盤10によって搬送されながら、第2の切断刃36によって下端部が所定長さだけ切断される。以上により、キュウリYの上端部及び下端部の両端部が切断される。その後、キュウリYは第2の切断刃36の上面を移動した後、下方へ落下して回収される。なお、
図6において低位置台9cに設けられた切欠き13は、キュウリY以外で茎及び葉を有する野菜が適用される場合に、茎や葉を逃がすための切欠きである。
【0042】
以上のように本実施形態では、
図5において、野菜であるキュウリYを立てた状態で搬送し、第1の位置P1でキュウリYを持上げて上端部を切断し、さらに第2の位置P2でキュウリYを降下させて下端部を切断することにした。
【0043】
(本実施形態の効果)
従来の野菜の端部切断装置においては、野菜は横置きの状態で搬送された。野菜の外形形状が一定に決まっていれば、このような横置き状態でも野菜の両端部の位置を一定の位置に置くことができるので、野菜の両端部の切断を正確に行うことができる。しかしながら、通常、野菜の外形形状は様々である。従って、通常は、横置きされた野菜の両端部は上下方向でばらついている。この結果、従来の野菜の端部切断装置においては、両端部の切断位置がばらつくという問題があった。
【0044】
これに対し、本実施形態では、野菜を立てた状態で両端部を切断することにしたので、野菜の外形形状が様々に変化する場合でも、上端部及び下端部の両方を常に一定の位置で切断できるようになった。
【0045】
(その他の実施形態)
以上、好ましい実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明はその実施形態に限定されるものでなく、請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々に改変できる。
【0046】
(1)例えば、上記の実施形態では野菜としてキュウリを考えた。しかしながら、野菜はキュウリ以外の棒状野菜、例えば大根、薩摩芋、人参とすることもできる。また、野菜は棒状野菜以外の野菜とすることもできる。また、野菜は果実の場合もある。
【0047】
(2)また、上記の実施形態ではキュウリを円形状の搬送路に沿って搬送した。しかしながら、搬送路は円形状以外の湾曲形状、例えば楕円形状、長円形状とすることもできるし、湾曲形状でない直線状とすることもできる。
【0048】
(3)上記の実施形態では、第1の位置P1で野菜を上昇させて上端部を切断し、第2の位置P2で野菜を降下させて下端部を切断し、これらにより野菜の両端部を切断した。しかしながら、それに代えて、第1の位置P1で野菜を降下させて下端部を切断し、第2の位置P2で野菜を上昇させて上端部を切断することにより、野菜の両端部を切断することもできる。
【0049】
(4)上記の実施形態では、外管22aと、当該外管22aに対して摺動可能な内管22bとによって支持管22を構成した。しかしながら、外管22a又は内管22bのどちらか一方だけでも支持管22を構成することも可能である。但し、内管22bだけで支持管22を形成する場合には、内管22bを昇降台9bの昇降に合わせて昇降させる構造が必要である。
【0050】
(5)上記の実施形態では、支持管22を水平断面円形で筒状の部材によって形成した。しかしながら、支持管22は水平断面矩形状(すなわち正方形、長方形、台形、ひし形、その他の方形状)の筒状の部材であっても良い。
【0051】
(6)上記の実施形態では、支持管22が野菜全体を上下方向に渡って包囲する筒形状とされたが、支持管22は網目状の部材であっても良いし、野菜を部分的に支持する形状であっても良い。要は、支持管22は野菜を立てた状態で支持できる形状であれば良い。
【0052】
(7)上記の実施形態では、回転する円盤形状の刃によって野菜を切断する刃を形成した。しかしながら、刃は回転しない固定状態の刃とすることもできるし、円盤形状以外の形状の刃とすることもできる。
【符号の説明】
【0053】
1:野菜の端部の切断装置、 2:基台、 2a:水平テーブル部分、 3:筐体、4:野菜受け、 5:上カバー、 8:野菜切断ユニット、 9:野菜台、 9a:搬送台、 9b:昇降台(第1の野菜昇降手段)、 9c:低位置台(第2の野菜昇降手段)、 9d:補助台、 10:駆動盤(野菜搬送手段)、 10a:ギヤ歯、 11:上面盤、 11a:ギヤ歯、 12:長孔、 13:切欠き、 14:エアシリンダ(昇降駆動手段)、 15:支柱、 16:電動モータ、 17:ギヤ、 20:貫通孔、 21:貫通孔、 22:支持管(野菜支持手段) 22a:外管、 22b:内管、 23:フランジ、 26:突片、27:トグルクランプ、 28:ストッパ、 29:取っ手、 32:カム、 33:第1の切断刃、 34:ギヤ列、 35:1段ギヤ、 36:第2の切断刃、 37:ギヤ列、 38:1段ギヤ、 δ:隙間、 M1:マイクロスイッチ、 Ps:搬送路始点、 Pe:搬送路終点、 P1:第1の位置、 P2:第2の位置、 T1:野菜搬送路、 X0:中心線、 Y:キュウリ(野菜)