IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社東京洗染機械製作所の特許一覧

<>
  • 特許-乾燥機 図1
  • 特許-乾燥機 図2
  • 特許-乾燥機 図3
  • 特許-乾燥機 図4
  • 特許-乾燥機 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-22
(45)【発行日】2022-03-30
(54)【発明の名称】乾燥機
(51)【国際特許分類】
   D06F 58/02 20060101AFI20220323BHJP
   B01D 46/10 20060101ALI20220323BHJP
【FI】
D06F58/02 K
B01D46/10
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018137990
(22)【出願日】2018-07-23
(65)【公開番号】P2020014549
(43)【公開日】2020-01-30
【審査請求日】2021-02-22
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成30年7月21日株式会社茨城日商に本発明にかかる乾燥機を納品した。
(73)【特許権者】
【識別番号】390027421
【氏名又は名称】株式会社東京洗染機械製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001520
【氏名又は名称】特許業務法人日誠国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三科 道利
(72)【発明者】
【氏名】今井 紀博
(72)【発明者】
【氏名】藥袋 雄介
【審査官】村山 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-068655(JP,A)
【文献】特開2008-069985(JP,A)
【文献】特開2008-246463(JP,A)
【文献】実開平06-032926(JP,U)
【文献】実開平01-174020(JP,U)
【文献】特開2018-019795(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第102257208(CN,A)
【文献】米国特許第05210960(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 58/02
B01D 46/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被乾燥物を乾燥処理した後の乾燥風を排気室内に排気し、前記排気室内で前記乾燥風に含まれる塵埃を捕捉するリント機構を備えた乾燥機であって、
前記リント機構が、前記塵埃を捕捉する捕捉面を備えたフィルタフレームと、
このフィルタフレームの前記捕捉面に固定されて前記乾燥風に含まれる塵埃を捕捉するフィルタと、
前記排気室内への前記乾燥風の導入側に設けられて前記フィルタに捕捉された前記塵埃を前記フィルタの表面を摺接移動してフィルタの一側へ集めるワイパ機構と、
前記フィルタを通過し前記排気室内から前記乾燥風が排出される排気排出側に設けられて前記ワイパ機構が前記フィルタの表面を摺接移動する際には、前記フィルタの前記排気排出側を支持するフィルタ支持機構と、
で形成されていることを特徴とする乾燥機。
【請求項2】
前記フィルタフレームが、長尺状で断面が山形形状に形成されて2面の捕捉面を有することを特徴とする請求項1に記載の乾燥機。
【請求項3】
前記フィルタフレームの長手方向の一端であって、前記ワイパ機構により前記塵埃が集められる端部に2面の補助捕捉面を有することを特徴とする請求項2に記載の乾燥機。
【請求項4】
前記ワイパ機構は、前記乾燥風の導入側に設けられて前記フィルタに摺接するワイパブレードと、
このワイパブレードを前記フィルタフレームの長手方向の一側に移動させるワイパ駆動部と、からなることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の乾燥機。
【請求項5】
前記フィルタ支持機構は、前記乾燥風の排出側に設けられて前記フィルタの排出側を支持する支持板部と、
この支持板部を、前記フィルタの前記排出側に移動させて前記フィルタの前記排出側を支持する駆動部と、からなることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の乾燥機。
【請求項6】
前記フィルタフレームの長手方向の一側であって、前記ワイパ機構により前記塵埃が集められる端部に、前記ワイパ機構により集められた前記塵埃が蓄積される塵埃蓄積部が形成されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の乾燥機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シーツ、枕カバー、タオル等のリネン製品やモップ、マット等の洗濯した洗濯物を乾燥風で乾燥させる乾燥機に関し、洗濯物を乾燥した後の乾燥風に含まれる洗濯物から分離した塵埃を乾燥風から除去するリント機構を備えた乾燥機に関する。
【背景技術】
【0002】
シーツ、枕カバー、タオル等のリネン製品やモップ、マット等の洗濯した洗濯物を乾燥させる乾燥機が、特許文献1で提案されている。特許文献1に記載されている乾燥機は、乾燥機筐体内に設けられた外胴部と、この外胴部内に回転自在に支持され洗濯物が投入される内胴体(回転ドラム)とを備えている。また、内胴体を外胴部内で回転駆動させる回転駆動機構と、外気を取り込んで加熱した乾燥風を外胴部内に供給するとともに外胴部内の乾燥風を外方に排出する乾燥風供給・排出部とを備えている。
【0003】
そして、内胴体内に洗濯物を投入し、内胴体を外胴部内で回転させながら、乾燥風を外胴部内に供給し、内胴体の外周に設けられたメッシュ状の孔、あるいは複数のパンチ穴から乾燥風を内部に導入し、洗濯物に吹き付けることにより洗濯物の水分を無くすことで洗濯物を乾燥させる。回転する内胴体内で洗濯物に吹き付けられる乾燥風は、取り込んだ外気とヒータとの熱交換により外気が加熱されて生成される。
【0004】
洗濯物を乾燥させた後の乾燥風には、洗濯物から分離したリント(糸くず)等の塵埃が含まれている。この塵埃を乾燥風から除去するために、フィルタを用いて塵埃を捕捉する乾燥機が特許文献2で提案されている。特許文献2に記載されている乾燥機では、乾燥風の流通経路の途中にフィルタを設けて塵埃を捕捉している。また、特許文献2に記載されている乾燥機は、捕捉した塵埃がフィルタに溜まると乾燥風の流れが悪くなることから、清掃体(ワイパー機構)をフィルタ上で移動させて、フィルタの表面に付着している塵埃を取り除くことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2007-61410号公報
【文献】特開2018-58006号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、軟らかいシート状のフィルタの表面上の塵埃を清掃体(ワイパー機構)によって取り除く際、フィルタが撓んでいる場合が多く、フィルタの凹んでいる場所の塵埃を清掃体によって取り除くことが出来ない。このため、フィルタから塵埃を確実に取り除くことができないという問題を有している。
【0007】
また、フィルタがフレーム等に固定されていない場合、清掃体をフィルタの表面上で移動させてもフィルタと清掃体との間に隙間が出来てしまい、捕捉した塵埃を確実に取り除くことができない。
【0008】
そこで、本発明は、フィルタが捕捉した塵埃をフィルタ上から確実に取り除くことができる乾燥機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための本発明の一態様は、被乾燥物を乾燥処理した後の乾燥風を排気室内に排気し、前記排気室内で前記乾燥風に含まれる塵埃を捕捉するリント機構を備えた乾燥機であって、前記リント機構が、前記塵埃を捕捉する捕捉面を備えたフィルタフレームと、このフィルタフレームの前記捕捉面に固定されて前記乾燥風に含まれる塵埃を捕捉するフィルタと、前記排気室内への前記乾燥風の導入側に設けられて前記フィルタに捕捉された前記塵埃を前記フィルタの表面を摺接移動してフィルタの一側へ集めるワイパ機構と、前記フィルタを通過し前記排気室内から前記乾燥風が排出される排気排出側に設けられて前記ワイパ機構が前記フィルタの表面を摺接移動する際には、前記フィルタの前記排気排出側を支持するフィルタ支持機構と、で形成されていることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の一態様は、前記フィルタフレームが、長尺状で断面が山形形状に形成されて2面の捕捉面を有することを特徴とする。
【0011】
また、本発明の一態様は、前記フィルタフレームの長手方向の一端であって、前記ワイパー機構により前記塵埃が集められる端部に2面の捕捉面を有することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の一態様は、前記ワイパー機構は、前記乾燥風の導入側に設けられて前記フィルタに摺接するワイパーブレードと、このワイパーブレードを前記フィルタフレームの長手方向の一側に移動させるワイパー駆動部と、からなることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の一態様は、前記フィルタ支持機構は、前記乾燥風の排出側に設けられて前記フィルタの排出側を支持する支持板部と、この支持板前記フィルタの前記排出側に移動させて前記フィルタの前記排出側を支持する駆動部と、からなることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の一態様は、前記フィルタフレームの長手方向の一側であって、前記ワイパー機構により前記塵埃が集められる端部に、前記ワイパー機構により集められた前記塵埃が蓄積される塵埃蓄積部が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、フィルタ支持機構によってフィルタの排気排出側が支持されているので、ワイパー機構によってフィルタ上の塵埃をフィルタの一側へ集める際に、フィルタが撓むことがない。また、フィルタはフィルタフレームの捕捉面に固定されているので、フィルタに凹み等の発生がない。これにより、フィルタが捕捉した塵埃をワイパー機構によりフィルタ上から確実に取り除くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施の形態に係る乾燥機の概略構成を示す斜視図。
図2】本発明の実施の形態に係る乾燥機を示し、図1のII-II線に沿って切断した断面図。
図3】本発明の実施の形態に係る乾燥機に備えられたリント機構を示す斜視図。
図4】本発明の実施の形態に係る乾燥機に備えられたリント機構を示す正面図。
図5】本発明の実施の形態に係る乾燥機に備えられたリント機構の内部のフィルタ支持機構を示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る乾燥機の実施の形態について詳細に説明する。本発明に係る乾燥機は、シーツ、枕カバー、タオル等のリネン製品やモップ、マット等の洗濯した洗濯物を乾燥させる乾燥機であり、洗濯物を乾燥した後の乾燥風に含まれる塵埃を除去するリント機構を備えている。以下、実施の形態に係る乾燥機1の詳細について図面を用いて説明する。
【0018】
[実施例の特徴]
本実施の形態の乾燥機1は、被乾燥物を乾燥処理した後の乾燥風を排気室9内に排気し、排気室9内で乾燥風に含まれる塵埃49を捕捉するリント機構4を備えている。リント機構4は、塵埃49を捕捉する捕捉面25を備えたフィルタフレーム26と、このフィルタフレーム26の捕捉面25に固定されて乾燥風に含まれる塵埃49を捕捉するフィルタ27と、排気室9内への乾燥風の導入側に設けられてフィルタ27に捕捉された塵埃49をフィルタ27の表面を摺接移動してフィルタ27の一側へ集めるワイパ機構28と、フィルタ27を通過し排気室9内から乾燥風が排出される排気排出側に設けられてフィルタ27の排気排出側をワイパ機構28と連動して支持するフィルタ支持機構29と、で形成されている。
【0019】
本実施の形態の乾燥機1は、図1図2に示すように、乾燥機本体2と、この乾燥機本体2に隣設して設けられた乾燥風供給部3と、乾燥機本体2の下部側に設けられたリント機構4とで概略構成されている。
【0020】
乾燥機本体2は、筐体5内に固定された外胴体6と、この外胴体6の内部に配置され回転自在に支持されて被乾燥物7が乾燥処理される内胴体8と、外胴体6の下部側に設けられて被乾燥物を乾燥させた後の乾燥風(排気)が排気される排気室9とを備えている。
【0021】
外胴体6は円筒状で内部が密封されている。この外胴体6には、乾燥風供給部3側に乾燥風が導入される乾燥風導入口10が設けられ、外胴体6の下部側であって排気室9側に乾燥風排出口11が設けられている。そして、内胴体8が外胴体6内で回転している状態で乾燥風導入口10から乾燥風が外胴体6内に導入され、内胴体8内で被乾燥物7を乾燥させた後の乾燥風が乾燥風排出口11から排気室9内に排出される。
【0022】
内胴体8は、円筒状で外周に設けられたメッシュ状の孔、あるいは複数のパンチ穴が形成されている。この内胴体8は、外胴体6内で支持ローラ(不図示)に回転自在に支持され、駆動モータ(不図示)の駆動力で回転駆動する。この内胴体8内には、乾燥機本体2に設けた投入口2aから被乾燥物が投入される。内胴体8内に投入された被乾燥物7は、外胴体6内に導入された乾燥風供給部3からの乾燥風によって乾燥される。
【0023】
乾燥風供給部3は、図2に示すように、供給部本体12と、供給部本体12の下部側に配置されて排気室9から乾燥風を吸い込むブロア13と、このブロア13を駆動するモータ14と、供給部本体12の上部に設けられてブロア13によって吸い込まれた乾燥風と外気とを加熱するヒータ15とで形成されている。
【0024】
供給部本体12には、下部側に乾燥風吸込口16が設けられ、上部側に外方に向けて開口する外気取込口17が設けられ、上部側に乾燥機本体2側に向けて開口し外胴体6の乾燥風導入口10と連通する乾燥風供給口18が設けられている。
【0025】
そして、ブロア13によって排気室9内から内胴体8内で被乾燥物7を乾燥処理した後の乾燥風(排気)が供給部本体12内に吸い込まれ、供給部本体12内に吸い込まれた乾燥風は供給部本体12内を上昇し、外気と混合されてヒータ15によって加熱されて乾燥風が生成される。
【0026】
生成された乾燥風は、乾燥風供給口18から外胴体6の乾燥風導入口10を通って外胴体6内に供給される。外胴体6内に供給された乾燥風は、内胴体8内に投入されている被乾燥物を乾燥処理し、乾燥処理した後に乾燥風排出口11から排気室9内に排出される。
【0027】
排気室9は、図4、5に示すように、底板19と、この底板19の両側部から立ち上がる側板20、20と、外胴体6側の天板21とで断面が矩形状で、長尺状の箱形状に形成されている。排気室9の長手方向の一側は、乾燥機本体2の一方の側部に面しており、他方の側部は乾燥風供給部3に面している。乾燥機本体2の一方の側部に位置する面には、透明な窓22aが設けられた観音扉22(図1参照)が形成され、乾燥機本体2の他方の側部に位置する面には、乾燥風循環口23(図5参照)が形成され、天板21には、外胴体6の乾燥風排出口11と連通する乾燥風流入口24が形成されている。この排気室9内に、リント機構4が設けられている。
【0028】
リント機構4は、図3、4、5に示すように、塵埃49を捕捉する2つの捕捉面25、25を備えたフィルタフレーム26と、このフィルタフレーム26の捕捉面25、25に固定されて乾燥風に含まれる塵埃49を捕捉するフィルタ27、27と、排気室9内への乾燥風の導入側に設けられてフィルタ27で捕捉された塵埃49をフィルタ27、27の表面を摺接移動してフィルタ27の一側へ集めるワイパ機構28と、フィルタ27、27を通過し排気室9内から乾燥風が排出される排気排出側に設けられてフィルタ27の排気排出側をワイパ機構28と連動して支持するフィルタ支持機構29とで形成されている。
【0029】
フィルタフレーム26は、排気室9の底板19の両側部に固定された長尺状の基端フレーム30、30と、これらの基端フレーム30、30の長手方向の両端から、排気室9の天板21の中間部に向かってそれぞれ傾斜し天板21の下部側で山形形状に連結された傾斜フレーム31、31と、傾斜フレーム31、31間に設けられて、傾斜フレーム31、31の連結部同士を連結する上部フレーム32とで形成されている。
【0030】
傾斜フレーム31、31と、一方の基端フレーム30と、上部フレーム32とで囲まれる部分に捕捉面25が形成され、傾斜フレーム31、31と、他方の基端フレーム30と、上部フレーム32とで囲まれる部分に捕捉面25が形成されている。これらの捕捉面25、25は、長手方向の約半分の位置に設けられ、排気室9の観音扉22側に乾燥風が通過するフィルタ27、27が設けられており、乾燥風供給部3側は板部26aで閉塞されている。
【0031】
また、フィルタフレーム26の長手方向の一方であって、排気室9の観音扉22側の傾斜フレーム31、31で囲まれる内部には、上部フレーム32から底板19側に向けてかつ排気室9の奥側(乾燥風循環口23側)に傾斜した補助フレーム33が形成されている。この補助フレーム33と傾斜フレーム31、31と、底板19で囲まれる位置に補助捕捉面34、34が設けられ、補助フィルタ35、35がそれぞれ取り付けられている。さらに、補助フレーム33と傾斜フレーム31、31の基端部分で囲まれる部分に塵埃蓄積部36が形成されている。そして、ワイパ機構28によってフィルタフレーム26の長手方向の一側に集められた塵埃49が、塵埃蓄積部36に集められる。
【0032】
ワイパ機構28は、フィルタ27の幅方向、すなわち基端フレーム30から上部フレーム32間の幅寸法に設けられたワイパブレード37と、このワイパブレード37を板部26aで閉塞された位置から観音扉22側へ向けてフィルタ27上に摺接させるエアシリンダからなるワイパ駆動部38とで形成されている。
【0033】
そして、ワイパ駆動部38の駆動力でワイパブレード37がフィルタ27上を摺接すると、フィルタ27上に捕捉された塵埃49が、フィルタフレーム26の長手方向の一方に集められる。このとき、フィルタ27の裏面側、すなわち排気排出側の面は、フィルタ支持機構29によって捕捉面25、25が閉塞された状態で支持されている。
【0034】
フィルタ支持機構29は、図5に示すように、捕捉面25,25の裏面側、すなわち排気排出側に設けられて捕捉面25、25を閉塞するとともにフィルタ27、27の裏面側を支持する支持板部39、39と、これらの支持板部39、39を底板19上でスライド可能に支持する案内機構40と、支持板部39、39をワイパ機構28、28と連動してスライドさせる駆動部41とで形成されている。
【0035】
支持板部39、39は、フィルタ27、27の裏面側と略同じ大きさの板部42、42と、これらの板部42、42とフィルタ27、27の裏面側との間に設けられた板状フェルト43、43とで形成されている。板部42、42は、排気室9の底板19上に案内機構40によって支持されている。
【0036】
案内機構40は、底板19上にフィルタフレーム26の長手方向に沿って設けられた平行な2本のレール44、44と、これらのレール44、44にそれぞれガイドされるガイドブラケット45、45と、これらのガイドブラケット45、45を板部42、42にそれぞれ連結する連結板46、46とで形成されている。そして、ワイパ機構28、28と連動する駆動部41の駆動力で、フィルタフレーム26の長手方向にスライドする。
【0037】
駆動部41は、フィルタフレーム26の板部26aの裏面側に固定されたエアシリンダ47と、このエアシリンダ47の駆動軸と板部42、42とを連結する連結ブラケット48とで形成されている。そして、ワイパ機構28、28がフィルタフレーム26の板部26a、26a上に位置しているときは、フィルタ支持機構29、29は板部26a、26aの裏面側に格納されている。
【0038】
そして、リント機構4を稼動し、フィルタ27、27上の塵埃を除去する場合には、フィルタ支持機構29を稼動し支持板部39、39をフィルタフレーム26の長手方向の一方、すなわち塵埃蓄積部36側に移動させる。これにより捕捉面25、25の裏面側(フィルタ27、27の裏面側)が支持板部39、39により閉塞される。捕捉面25、25の裏面側が支持板部39、39により閉塞されると、乾燥風流入口24から排気室9内に流入した乾燥風は、フィルタ27、27を通過することはなく、補助フィルタ35、35を通過する。したがって、フィルタ支持機構29は、捕捉面25、25を閉塞することで、排気室9内に流入した乾燥風の流れを変えるとともに、フィルタ27、27の裏面側を支持している。
【0039】
フィルタ支持機構29が稼動し、支持板部39、39がフィルタフレーム26の長手方向の一方に移動した状態で、ワイパ機構28、28が作動し、ワイパブレード37、37がフィルタ27、27上をフィルタフレーム26の長手方向の一側に摺接移動する。このとき、フィルタ27、27の裏面側は、フィルタ支持機構29、29の支持板部39、39により支持されている。
【0040】
ワイパ機構28、28のワイパブレード37、37がそれぞれ板部26a、26a上に戻ると、フィルタ支持機構29の板部42、42も板部26a、26aの裏面側に戻り、板部26a、26aの裏面側に格納される。リント機構4を稼動せず、通常の乾燥処理を行っている場合は、フィルタ支持機構29は、常に板部26a、26aの裏面側に格納されている。
【0041】
次に乾燥機1を稼動させて被乾燥物7を乾燥させた後の乾燥風に含まれる塵埃49をリント機構4により取り除く作用について説明する。乾燥風は、内胴体8内で被乾燥物7を乾燥させた後の乾燥風が、外胴体6内からブロア13によって排気室9に吸い出され、リント機構4を通過した後に供給部本体12内を通り、供給部本体12内に取り込まれた外気と混合され、ヒータ15によって加熱されて生成される。生成された乾燥風は、乾燥風供給口18から乾燥風導入口10を通って外胴体6内に供給され、再び内胴体8内で被乾燥物が乾燥される。
【0042】
内胴体8内の被乾燥物7を乾燥させた後の乾燥風は、外胴体6の乾燥風排出口11から乾燥風流入口24を通って排気室9内に流入する。排気室9内に流入した乾燥風は、リント機構4のフィルタ27、27を通過し、乾燥風循環口23から乾燥風吸込口16を通って供給部本体12内を上昇する。
【0043】
乾燥風がフィルタ27、27を通過する際に、乾燥風に含まれている塵埃49がフィルタ27、27により捕捉される。被乾燥物7を乾燥させる時間とともに、フィルタ27、27に捕捉される塵埃49の量も増えるので、フィルタ27、27を通過する乾燥風の量も減るため外胴体6内への乾燥風も減ることになる。このため、フィルタ27、27上の塵埃49をワイパ機構28、28を稼動して取り除く。
【0044】
ワイパ機構28、28によりフィルタ27、27上から塵埃49を除去するには、外胴体6に乾燥風を供給し、内胴体8内で被乾燥物7を乾燥させている状態で、フィルタ支持機構29を稼動し、支持板部39、39を板部26a26aの裏面側からフィルタフレーム26の一方に移動させ、捕捉面25、25の裏面側を閉塞する。支持板部39、39が捕捉面25、25の裏面側を閉塞すると、排気室9内に流入した乾燥風は、フィルタ27、27を通過することはなく、補助フィルタ35、35を通って乾燥風循環口23から供給部本体12内に流れる。
【0045】
捕捉面25、25をフィルタ支持機構29の支持板部39、39で閉塞している状態で、ワイパ機構28、28を稼動させ、ワイパブレード37、37を板部26a上から、フィルタフレーム26の長手方向の一方、すなわち観音扉22側に移動させる。ワイパブレード37、37を観音扉22側に移動させるとフィルタ27、27上の塵埃49が、観音扉22側の傾斜フレーム31、31側に集められる。
【0046】
ワイパブレード37、37が観音扉22側に移動する際には、フィルタ支持機構29の板状フェルト43、43がフィルタ27、27の裏面側を支持する。すなわち、フィルタ27、27は、ワイパブレード37、37と板状フェルト43、43とで挟持された状態となり、この状態でワイパブレード37、37が観音扉22側に移動してフィルタ27、27上の塵埃49を傾斜フレーム31、31側に集める。傾斜フレーム31、31側にフィルタ27、27上の塵埃49を集めた後に、ワイパブレード37、37は、板部26a、26aの元の位置に戻る。
【0047】
ワイパブレード37、37が観音扉22側に移動すると、フィルタ支持機構29の板状フェルト43、43と支持板部39、39の板部42、42がフィルタ27、27の裏面側を閉塞した状態となる。このとき、排気室9内に流入した乾燥風は、フィルタ27、27を通過することはなく、補助フィルタ35、35を通過し、乾燥風循環口23から乾燥風吸込口16を通って供給部本体12に流れる。このため、傾斜フレーム31、31側に集められた塵埃49は、補助フィルタ35、35を通過しようとする乾燥風の流れによって塵埃蓄積部36上に落下し、塵埃蓄積部36に蓄積される。また、排気室9内に流入した乾燥風に含まれる塵埃49は、補助フィルタ35、35によって捕捉される。
【0048】
塵埃蓄積部36に蓄積された塵埃49の蓄積量は、観音扉22に設けた窓22aから確認することができ、作業者はこの窓22aから塵埃49の蓄積量を確認し、ある程度の塵埃49が蓄積された時点で観音扉22を開放して、塵埃蓄積部36から塵埃49を取り出す。したがって、乾燥風による被乾燥物7の乾燥処理を停止することなく、フィルタ27、27上から塵埃49が除去される。なお、補助フィルタ35、35によって捕捉された塵埃49は、観音扉22側に位置しているので、観音扉22を開放して作業者により取り除かれる。
【0049】
以上説明したように、本実施の形態によれば、フィルタ支持機構29によってフィルタ27、27の排気排出側が支持されているので、ワイパ機構28、28によってフィルタ27、27上の塵埃49をフィルタ27、27の一側へ集める際に、フィルタ27、27が撓むことがない。また、フィルタ27、27はフィルタフレーム26の捕捉面25、25に固定されているので、フィルタ27、27に凹み等の発生がない。これにより、フィルタ27、27が捕捉した塵埃49をフィルタ27、27上から確実に取り除くことができる。
【0050】
また、本実施の形態によれば、乾燥機1による被乾燥物7の乾燥運転中に、ワイパ機構28、フィルタ支持機構29によりフィルタ27、27上の塵埃49を除去することができるので、フィルタ27、27上の塵埃49を除去するフィルタ27、27の清掃時に乾燥機1の運転を停止することがない。これにより乾燥機1の稼動効率を向上させることができる。
【0051】
また、本実施の形態によれば、ワイパ機構28によりフィルタ27、27上の塵埃49を、観音扉22側へ集め、乾燥風の流れによって塵埃蓄積部36に塵埃49を蓄積するので、作業者が排気室9の奥まで体を入れてフィルタ27、27上の塵埃49を奥方から集める作業が不要になり、フィルタ27、27の清掃作業が容易になる。
【0052】
さらに、本実施の形態によれば、ワイパ機構28によりフィルタ27、27上の塵埃49を、観音扉22側の塵埃蓄積部36に集めるので、作業者は塵埃蓄積部36に集められた塵埃49の量を観音扉22の窓22aから容易に確認することができる。これにより、作業者によるフィルタ27、27の清掃作業が容易になる。また、塵埃蓄積部36が、観音扉22側に設けられているので、塵埃49を排気室9から容易に取り出すことができる。
【0053】
なお、上記実施の形態では、フィルタフレーム26を山形状に形成し、2面の捕捉面25、25を設けたが、これに限らず、捕捉面は一つでも良く、3面以上設けても良い。
【0054】
また、上記実施の形態では、ワイパブレード37、37をそれぞれスライドさせるエアシリンダからなるワイパ駆動部をそれぞれ設けたが、一つのワイパ駆動によってワイパブレード37、37を可動させても良い。
【0055】
上述の通り、本発明の実施の形態を開示したが、当業者によっては本発明の範囲を逸脱することなく変更が加えられうることは明白である。すべてのこのような修正及び等価物が次の請求項に含まれることが意図されている。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明に係る乾燥機1は、シーツ、枕カバー、タオル等のリネン製品やモップ、マット等以外に衣類等を乾燥させる乾燥機にも利用することができる。
【符号の説明】
【0057】
1 乾燥機
4 リント機構
7 被乾燥物
9 排気室
25 捕捉面
26 フィルタフレーム
28 ワイパ機構
29 フィルタ支持機構
49 塵埃
図1
図2
図3
図4
図5