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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-22
(45)【発行日】2022-03-30
(54)【発明の名称】誘導加熱装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 6/06 20060101AFI20220323BHJP
【FI】
H05B6/06 386
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019069894
(22)【出願日】2019-04-01
(65)【公開番号】P2020170593
(43)【公開日】2020-10-15
【審査請求日】2021-11-18
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390026088
【氏名又は名称】富士電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 弘子
(72)【発明者】
【氏名】井上 昌大
(72)【発明者】
【氏名】田中 佑樹
(72)【発明者】
【氏名】吉川 和樹
(72)【発明者】
【氏名】服部 弘
【審査官】吉澤 伸幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-217805(JP,A)
【文献】特開2012-133028(JP,A)
【文献】特開2005-235486(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 6/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加熱物を誘導加熱するための誘導コイルと、
前記誘導コイルに高周波電流を供給する電源部と、
前記電源部における高周波電流の周波数を複数種類の周波数にそれぞれ設定するための複数種類の周波数設定信号のうち、いずれか一つの周波数設定信号が選択されたことを受け付ける入力部と、
前記入力部により受け付けられた前記周波数設定信号に基づいて、前記電源部における高周波電流の周波数を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記入力部により前記複数種類の周波数設定信号のうち特定の周波数設定信号が選択されたことが受け付けられた場合に、前記入力部からの前記特定の周波数設定信号が入力され、且つ、入力された前記特定の周波数設定信号を出力するラッチ部であって、前記被加熱物の誘導加熱の開始タイミングに同期して、前記特定の周波数設定信号の出力をラッチするラッチ部と、
前記ラッチ部からの前記特定の周波数設定信号に基づいて、前記電源部における高周波電流の周波数を前記複数種類の周波数のうち特定の周波数に調整する調整部と、を有する
誘導加熱装置。
【請求項2】
前記入力部は、さらに、前記誘導コイルによる前記被加熱物の誘導加熱を指示するための加熱指令信号を受け付け、受け付けた前記加熱指令信号を前記ラッチ部に出力し、
前記ラッチ部は、前記入力部からの前記加熱指令信号の出力の開始タイミングに同期して、前記特定の周波数設定信号の出力をラッチする
請求項1に記載の誘導加熱装置。
【請求項3】
前記ラッチ部は、Dラッチで構成されており、
前記Dラッチは、
前記複数種類の周波数設定信号がそれぞれ入力される複数のデータ入力端子と、
前記加熱指令信号が入力されるクロック入力端子と、
前記複数のデータ入力端子にそれぞれ入力された前記複数種類の周波数設定信号をそれぞれ出力する複数の出力端子と、を有し、
前記特定の周波数設定信号が前記複数のデータ入力端子のうち特定のデータ入力端子に入力された際に、前記複数の出力端子のうち特定の出力端子は、前記クロック入力端子における前記加熱指令信号の立ち上がりタイミングに同期して、前記特定の周波数設定信号の出力をラッチする
請求項2に記載の誘導加熱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被加熱物を誘導加熱するための誘導加熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
被加熱物を誘導加熱するための誘導加熱装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。従来の誘導加熱装置は、電源部と、整合部と、誘導コイルと、入力部と、制御部とを備えている。電源部は、複数のスイッチング素子を有するインバータ電源であり、複数のスイッチング素子を高速でオン・オフさせることにより高周波電流を生成する。整合部は、電源部と誘導コイルとの間に電気的に接続された並列共振回路である。誘導コイルは、被加熱物の周囲を覆うように配置される。
【0003】
電源部からの高周波電流は、整合部を介して誘導コイルに供給される。この高周波電流により生成された交番磁束が被加熱物の内部を貫通することにより、被加熱物の内部に渦電流が流れるようになる。この渦電流によるジュール熱によって、被加熱物が誘導加熱される。
【0004】
上述した従来の誘導加熱装置では、被加熱物の寸法等に応じて、電源部における高周波電流の周波数を適宜変更する必要がある。そのため、入力部は、高周波電流の周波数を設定するための周波数設定信号を受け付ける。制御部は、入力部からの周波数設定信号に基づいて、電源部における高周波電流の周波数を所定の周波数(例えば10kHz)に制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2003-217805号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した従来の誘導加熱装置では、被加熱物を誘導加熱している際に、何らかの要因で周波数選択信号が不意に切り替わった場合には、電源部における高周波電流の周波数が例えば10kHzから100kHzに瞬間的に変化する。この時、電源部のスイッチング素子に耐圧を超える過電圧が印加されることにより、スイッチング素子が損傷するおそれがあるという課題が生じる。
【0007】
本発明は、上述した課題を解決しようとするものであり、その目的は、電源部の損傷を抑制することができる誘導加熱装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る誘導加熱装置は、被加熱物を誘導加熱するための誘導コイルと、前記誘導コイルに高周波電流を供給する電源部と、前記電源部における高周波電流の周波数を複数種類の周波数にそれぞれ設定するための複数種類の周波数設定信号のうち、いずれか一つの周波数設定信号が選択されたことを受け付ける入力部と、前記入力部により受け付けられた前記周波数設定信号に基づいて、前記電源部における高周波電流の周波数を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記入力部により前記複数種類の周波数設定信号のうち特定の周波数設定信号が選択されたことが受け付けられた場合に、前記入力部からの前記特定の周波数設定信号が入力され、且つ、入力された前記特定の周波数設定信号を出力するラッチ部であって、前記被加熱物の誘導加熱の開始タイミングに同期して、前記特定の周波数設定信号の出力をラッチするラッチ部と、前記ラッチ部からの前記特定の周波数設定信号に基づいて、前記電源部における高周波電流の周波数を前記複数種類の周波数のうち特定の周波数に調整する調整部と、を有する。
【0009】
なお、これらの包括的又は具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム又はコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一態様に係る誘導加熱装置によれば、電源部の損傷を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施の形態に係る誘導加熱装置の構成を示す回路構成図である。
図2】実施の形態に係る制御部の構成を示すブロック図である。
図3】実施の形態に係る制御部のラッチ部の構成を示す図である。
図4】被加熱物の誘導加熱終了後に周波数設定信号が切り替えられた場合における、実施の形態に係る制御部のラッチ部の動作を示すタイミングチャートである。
図5】被加熱物の誘導加熱中に周波数設定信号が切り替えられた場合における、実施の形態に係る制御部のラッチ部の動作を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の一態様に係る誘導加熱装置は、被加熱物を誘導加熱するための誘導コイルと、前記誘導コイルに高周波電流を供給する電源部と、前記電源部における高周波電流の周波数を複数種類の周波数にそれぞれ設定するための複数種類の周波数設定信号のうち、いずれか一つの周波数設定信号が選択されたことを受け付ける入力部と、前記入力部により受け付けられた前記周波数設定信号に基づいて、前記電源部における高周波電流の周波数を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記入力部により前記複数種類の周波数設定信号のうち特定の周波数設定信号が選択されたことが受け付けられた場合に、前記入力部からの前記特定の周波数設定信号が入力され、且つ、入力された前記特定の周波数設定信号を出力するラッチ部であって、前記被加熱物の誘導加熱の開始タイミングに同期して、前記特定の周波数設定信号の出力をラッチするラッチ部と、前記ラッチ部からの前記特定の周波数設定信号に基づいて、前記電源部における高周波電流の周波数を前記複数種類の周波数のうち特定の周波数に調整する調整部と、を有する。
【0013】
本態様によれば、ラッチ部は、被加熱物の誘導加熱の開始タイミングに同期して、特定の周波数設定信号の出力をラッチ(保持)する。これにより、被加熱物の誘導加熱中に、ラッチ部に入力される周波数設定信号が特定の周波数設定信号から他の周波数設定信号に不意に切り替わった場合であっても、ラッチ部は特定の周波数設定信号を調整部に出力し続けることができる。その結果、電源部における高周波電流の周波数を特定の周波数に保持することができ、高周波電流の周波数が瞬間的に変化することに起因する電源部の損傷を抑制することができる。
【0014】
例えば、前記入力部は、さらに、前記誘導コイルによる前記被加熱物の誘導加熱を指示するための加熱指令信号を受け付け、受け付けた前記加熱指令信号を前記ラッチ部に出力し、前記ラッチ部は、前記入力部からの前記加熱指令信号の出力の開始タイミングに同期して、前記特定の周波数設定信号の出力をラッチするように構成してもよい。
【0015】
本態様によれば、入力部からの加熱指令信号を用いることにより、被加熱物の誘導加熱の開始タイミングを容易に検出することができる。
【0016】
例えば、前記ラッチ部は、Dラッチで構成されており、前記Dラッチは、前記複数種類の周波数設定信号がそれぞれ入力される複数のデータ入力端子と、前記加熱指令信号が入力されるクロック入力端子と、前記複数のデータ入力端子にそれぞれ入力された前記複数種類の周波数設定信号をそれぞれ出力する複数の出力端子と、を有し、前記特定の周波数設定信号が前記複数のデータ入力端子のうち特定のデータ入力端子に入力された際に、前記複数の出力端子のうち特定の出力端子は、前記クロック入力端子における前記加熱指令信号の立ち上がりタイミングに同期して、前記特定の周波数設定信号の出力をラッチするように構成してもよい。
【0017】
本態様によれば、ラッチ部をDラッチで構成することができる。
【0018】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0019】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、特許請求の範囲を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0020】
また、各図は、必ずしも厳密に図示したものではない。各図において、実質的に同一の構成については同一の符号を付し、重複する説明は省略又は簡略化する。
【0021】
(実施の形態)
[1.誘導加熱装置の構成]
まず、図1を参照しながら、実施の形態に係る誘導加熱装置2の構成について説明する。図1は、実施の形態に係る誘導加熱装置2の構成を示す回路構成図である。
【0022】
図1に示すように、誘導加熱装置2は、電源部4と、整合部6a,6b,6cと、誘導コイル8a,8b,8cと、検出部10と、入力部12と、制御部14とを備えている。誘導加熱装置2は、寸法又は種類等の異なる被加熱物16a,16b,16cをそれぞれ10kHz、50kHz及び100kHzの高周波で誘導加熱(いわゆる、高周波焼き入れ)するための装置である。なお、高周波焼き入れとは、高周波の電磁誘導を起こすことにより、被加熱物16a,16b,16cの各表面を加熱させて焼き入れを行う熱処理である。被加熱物16a,16b,16cの各々は、例えば車両又は工作機械等に用いられる金属部品等である。
【0023】
電源部4は、10kHz、50kHz及び100kHzの周波数(複数種類の周波数の一例)の高周波電流を生成するための発振器である。電源部4は、整流部18と、チョークコイル20,22と、インバータ部24とを有している。整流部18は、例えば6個のサイリスタ26を用いて、商用電源等からの3相60Hz(又は50Hz)の交流電力を直流電力に変換する。チョークコイル20,22は、整流部18の出力側に電気的に接続されており、整流部18からの直流電力を平滑化する。インバータ部24は、チョークコイル20,22を介して整流部18の出力側に電気的に接続されている。インバータ部24は、例えば4個のスイッチング素子28を高速でオン・オフさせることにより、平滑化された直流電力を単相の高周波電力に変換する。これにより、電源部4は、例えば10kHz、50kHz及び100kHzの周波数の高周波電流を生成する。なお、各スイッチング素子28は、例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)で構成されている。
【0024】
整合部6a,6b,6cは、電源部4のインバータ部24の出力側に電気的に並列接続されている。整合部6a,6b,6cは、電源部4により生成された有効電力を高効率で誘導コイル8a,8b,8cにそれぞれ供給するためのものである。整合部6aは、コンデンサ30a及び整合トランス32aで構成された10kHz用の並列共振回路である。整合部6bは、コンデンサ30b及び整合トランス32bで構成された50kHz用の並列共振回路である。整合部6cは、コンデンサ30c及び整合トランス32cで構成された100kHz用の並列共振回路である。
【0025】
整合部6a,6b,6cの各入力側にはそれぞれ、切替スイッチ34a,34b,34cが電気的に接続されている。図1に示すように、切替スイッチ34aがオン、且つ、切替スイッチ34b,34cがオフした際には、整合部6aが電源部4のインバータ部24の出力側に電気的に接続され、且つ、整合部6b,6cが電源部4のインバータ部24の出力側から電気的に遮断される。図示しないが、切替スイッチ34bがオン、且つ、切替スイッチ34a,34cがオフした際には、整合部6bが電源部4のインバータ部24の出力側に電気的に接続され、且つ、整合部6a,6cが電源部4のインバータ部24の出力側から電気的に遮断される。また、図示しないが、切替スイッチ34cがオン、且つ、切替スイッチ34a,34bがオフした際には、整合部6cが電源部4のインバータ部24の出力側に電気的に接続され、且つ、整合部6a,6bが電源部4のインバータ部24の出力側から電気的に遮断される。
【0026】
誘導コイル8a,8b,8cはそれぞれ、整合部6a,6b,6cの各出力側に電気的に接続されている。誘導コイル8a,8b,8cはそれぞれ、被加熱物16a,16b,16cを誘導加熱するためのものであり、被加熱物16a,16b,16cの各周囲を覆うように配置される。
【0027】
整合部6aが電源部4のインバータ部24の出力側に電気的に接続された状態で、電源部4により生成された10kHzの高周波電流が整合部6aを介して誘導コイル8aに供給された際には、被加熱物16aが誘導コイル8aにより誘導加熱される。なお、コンデンサ30aの静電容量をC、整合トランス32a及び誘導コイル8aのインダクタンスをLとした時、整合部6a及び誘導コイル8aの共振周波数frは、次式1で表される。
【0028】
【数1】
【0029】
同様に、整合部6bが電源部4のインバータ部24の出力側に電気的に接続された状態で、電源部4により生成された50kHzの高周波電流が整合部6bを介して誘導コイル8bに供給された際には、被加熱物16bが誘導コイル8bにより誘導加熱される。また、整合部6cが電源部4のインバータ部24の出力側に電気的に接続された状態で、電源部4により生成された100kHzの高周波電流が整合部6cを介して誘導コイル8cに供給された際には、被加熱物16cが誘導コイル8cにより誘導加熱される。
【0030】
検出部10は、誘導コイル8a,8b,8cに供給される高周波電圧及びその周波数を検出する。検出部10は、検出した高周波電圧及びその周波数を制御部14に出力する。
【0031】
入力部12は、電源部4における高周波電流の周波数を10kHz、50kHz及び100kHzにそれぞれ設定するための周波数設定信号A、周波数設定信号B及び周波数設定信号C(複数種類の周波数設定信号の一例)のうち、いずれか一つの周波数設定信号が選択されたことを受け付ける。例えばユーザが外部の制御盤35を操作することにより、周波数設定信号A~Cのうち、いずれか一つの周波数設定信号が選択される。被加熱物16aを誘導コイル8aにより誘導加熱する際には周波数設定信号Aが選択され、被加熱物16bを誘導コイル8bにより誘導加熱する際には周波数設定信号Bが選択され、被加熱物16cを誘導コイル8cにより誘導加熱する際には周波数設定信号Cが選択される。この時、制御盤35は、選択されたいずれか一つの周波数設定信号を入力部12に出力する。入力部12は、制御盤35からの周波数設定信号(周波数設定信号A~Cのいずれか)を受け付け、受け付けた周波数設定信号を制御部14に出力する。なお、周波数設定信号A~Cの各々は、選択された際にはハイレベル(High)、選択されない際にはロー(Low)レベルとなる信号である。
【0032】
また、例えばユーザが制御盤35を操作することにより、被加熱物16a,16b,16cの誘導加熱の開始が指示される。この時、制御盤35は、被加熱物16a,16b,16cの誘導加熱を指示するための加熱指令信号を入力部12に出力する。入力部12は、制御盤35からの加熱指令信号を受け付け、受け付けた加熱指令信号を制御部14に出力する。
【0033】
なお、加熱指令信号は、被加熱物16a,16b,16cの誘導加熱が指示されている際にはハイレベル、被加熱物16a,16b,16cの誘導加熱が指示されていない際にはローレベルとなる信号である。すなわち、制御盤35により被加熱物16a,16b,16cの誘導加熱の開始が指示された際には、制御盤35からの加熱指令信号は、ローレベルからハイレベルに立ち上がる。一方、制御盤35により被加熱物16a,16b,16cの誘導加熱の終了が指示された際には、制御盤35からの加熱指令信号は、ハイレベルからローレベルに立ち下がる。
【0034】
制御部14は、入力部12により受け付けられた周波数設定信号に基づいて、電源部4のインバータ部24における高周波電流の周波数を制御する。例えば、入力部12により周波数設定信号Aが受け付けられた際には、制御部14は、周波数設定信号Aに基づいて、10kHzの高周波電流が生成されるように電源部4を制御する。また、入力部12により周波数設定信号Bが受け付けられた際には、制御部14は、周波数設定信号Bに基づいて、50kHzの高周波電流が生成されるように電源部4を制御する。また、入力部12により周波数設定信号Cが受け付けられた際には、制御部14は、周波数設定信号Cに基づいて、100kHzの高周波電流が生成されるように電源部4を制御する。
【0035】
なお、制御盤35は、選択された周波数設定信号の種類に基づいて、切替スイッチ34a,34b,34cのオン・オフを制御する。具体的には、周波数設定信号Aが選択された際には、制御盤35は、切替スイッチ34aをオン、且つ、切替スイッチ34b,34cをオフさせる。周波数設定信号Bが選択された際には、制御盤35は、切替スイッチ34bをオン、且つ、切替スイッチ34a,34cをオフさせる。周波数設定信号Cが選択された際には、制御盤35は、切替スイッチ34cをオン、且つ、切替スイッチ34a,34bをオフさせる。
【0036】
さらに、制御部14は、入力部12からの加熱指令信号がローレベルからハイレベルに立ち上がった際には、電源部4の整流部18及びインバータ部24の制御を開始することにより、被加熱物16a,16b,16cの誘導加熱を開始する。また、制御部14は、入力部12からの加熱指令信号がハイレベルからローレベルに立ち下がった際には、電源部4の整流部18及びインバータ部24の制御を停止することにより、被加熱物16a,16b,16cの誘導加熱を終了する。なお、制御部14は、検出部10により検出された高周波電圧及びその周波数に基づいて、電源部4のインバータ部24の出力電圧等をフィードバック制御する。
【0037】
ここで、上述した誘導加熱装置2の動作について説明する。被加熱物16aを誘導加熱する際には、ユーザは、制御盤35を操作することにより、電源部4における高周波電流の周波数を10kHzに設定するための周波数設定信号Aを選択するとともに、被加熱物16aの誘導加熱を指示する。これにより、入力部12は、制御盤35からの周波数設定信号A及び加熱指令信号を受け付ける。その結果、制御盤35が切替スイッチ34aをオン、且つ、切替スイッチ34b,34cをオフすることにより、整合部6aが電源部4のインバータ部24の出力側に電気的に接続され、且つ、整合部6b,6cが電源部4のインバータ部24の出力側から電気的に遮断される。また、制御部14は、入力部12により受け付けられた周波数設定信号A及び加熱指令信号に基づいて、10kHzの高周波電流が生成されるように電源部4を制御する。これにより、電源部4からの10kHzの高周波電流が整合部6aを介して誘導コイル8aに供給され、被加熱物16aが誘導加熱される。
【0038】
また、被加熱物16bを誘導加熱する際には、ユーザは、制御盤35を操作することにより、電源部4における高周波電流の周波数を50kHzに設定するための周波数設定信号Bを選択するとともに、被加熱物16bの誘導加熱を指示する。これにより、入力部12は、制御盤35からの周波数設定信号B及び加熱指令信号を受け付ける。その結果、制御盤35が切替スイッチ34bをオン、且つ、切替スイッチ34a,34cをオフすることにより、整合部6bが電源部4のインバータ部24の出力側に電気的に接続され、且つ、整合部6a,6cが電源部4のインバータ部24の出力側から電気的に遮断される。また、制御部14は、入力部12により受け付けられた周波数設定信号B及び加熱指令信号に基づいて、50kHzの高周波電流が生成されるように電源部4を制御する。これにより、電源部4からの50kHzの高周波電流が整合部6bを介して誘導コイル8bに供給され、被加熱物16bが誘導加熱される。
【0039】
また、被加熱物16cを誘導加熱する際には、ユーザは、制御盤35を操作することにより、電源部4における高周波電流の周波数を100kHzに設定するための周波数設定信号Cを選択するとともに、被加熱物16cの誘導加熱を指示する。これにより、入力部12は、制御盤35からの周波数設定信号C及び加熱指令信号を受け付ける。その結果、制御盤35が切替スイッチ34cをオン、且つ、切替スイッチ34a,34bをオフすることにより、整合部6cが電源部4のインバータ部24の出力側に電気的に接続され、且つ、整合部6a,6bが電源部4のインバータ部24の出力側から電気的に遮断される。また、制御部14は、入力部12により受け付けられた周波数設定信号C及び加熱指令信号に基づいて、100kHzの高周波電流が生成されるように電源部4を制御する。これにより、電源部4からの100kHzの高周波電流が整合部6cを介して誘導コイル8cに供給され、被加熱物16cが誘導加熱される。
【0040】
[2.制御部の構成]
次に、図2及び図3を参照しながら、制御部14の構成について説明する。図2は、実施の形態に係る制御部14の構成を示すブロック図である。図3は、実施の形態に係る制御部14のラッチ部36の構成を示す図である。
【0041】
図2に示すように、制御部14は、ラッチ部36と、調整部38とを有している。制御部14は、例えばマイクロコンピュータで構成されている。
【0042】
図2に示すように、ラッチ部36には、入力部12により周波数設定信号A~Cのうちいずれか一つの周波数設定信号が選択されたことが受け付けられた場合に、入力部12からの周波数設定信号が入力される。被加熱物16a,16b,16cが誘導加熱されていない状態では、ラッチ部36は、入力された周波数設定信号をそのまま調整部38に出力する。この時、ラッチ部36は、被加熱物16a,16b,16cのいずれかの誘導加熱の開始タイミングに同期して、周波数設定信号の出力をラッチし、出力をラッチした周波数設定信号を調整部38に出力する。すなわち、ラッチ部36は、被加熱物16a,16b,16cのいずれかの誘導加熱が開始した瞬間における、周波数設定信号の出力を保持し続ける。
【0043】
ラッチ部36は、例えばDラッチで構成されている。図3に示すように、ラッチ部36は、データ入力端子D1,D2,D3と、クロック入力端子CLKと、出力端子Q1,Q2,Q3とを有している。
【0044】
データ入力端子D1,D2,D3の各々は、入力部12に電気的に接続されている。データ入力端子D1,D2,D3にはそれぞれ、入力部12からの周波数設定信号A、周波数設定信号B及び周波数設定信号Cが入力される。
【0045】
クロック入力端子CLKは、入力部12に電気的に接続されている。クロック入力端子CLKには、入力部12からの加熱指令信号が入力される。
【0046】
出力端子Q1,Q2,Q3の各々は、調整部38に電気的に接続されている。出力端子Q1,Q2,Q3はそれぞれ、クロック入力端子CLKにおける加熱指令信号がローレベルである状態では、データ入力端子D1,D2,D3に入力された周波数設定信号A、周波数設定信号B及び周波数設定信号Cをそのまま調整部38に出力する。また、出力端子Q1,Q2,Q3はそれぞれ、クロック入力端子CLKにおける加熱指令信号のローレベルからハイレベルへの立ち上がりタイミング(すなわち、入力部12からの加熱指令信号の出力の開始タイミング)に同期して、周波数設定信号A、周波数設定信号B及び周波数設定信号Cの出力をラッチする。これにより、クロック入力端子CLKにおける加熱指令信号がハイレベルである間、出力端子Q1,Q2,Q3はそれぞれ、加熱指令信号がローレベルからハイレベルに立ち上がった瞬間の出力を保持し続ける。出力をラッチされた周波数設定信号A、周波数設定信号B及び周波数設定信号Cは、調整部38に出力される。なお、クロック入力端子CLKにおける加熱指令信号がハイレベルからローレベルに立ち下がった際には、周波数設定信号A、周波数設定信号B及び周波数設定信号Cの出力のラッチが解除される。
【0047】
例えば、クロック入力端子CLKにおける加熱指令信号のローレベルからハイレベルへの立ち上がりタイミングで、周波数設定信号Aがデータ入力端子D1に入力されており、且つ、周波数設定信号B,Cがそれぞれデータ入力端子D2、D3に入力されていない場合には、出力端子Q1は、周波数設定信号Aの出力をラッチする。なお、上記立ち上がりタイミングで、周波数設定信号B及び周波数設定信号Cはそれぞれデータ入力端子D2,D3に入力されないため、出力端子Q2、Q3はそれぞれ周波数設定信号B及び周波数設定信号Cを出力しないままとなる。その後、クロック入力端子CLKにおける加熱指令信号がハイレベルである間、周波数設定信号B及びCがそれぞれデータ入力端子D2,D3に入力された場合であっても、出力端子Q2,Q3はそれぞれ周波数設定信号B及び周波数設定信号Cを出力しない。
【0048】
調整部38は、ラッチ部36からの周波数設定信号に基づいて、電源部4における高周波電流の周波数を10kHz、50kHz及び100kHzのいずれかに調整する。具体的には、ラッチ部36が周波数設定信号Aを出力した場合には、調整部38は、周波数設定信号Aに基づいて、電源部4における高周波電流の周波数を10kHzに調整する。また、ラッチ部36が周波数設定信号Bを出力した場合には、調整部38は、周波数設定信号Bに基づいて、電源部4における高周波電流の周波数を50kHzに調整する。また、ラッチ部36が周波数設定信号Cを出力した場合には、調整部38は、周波数設定信号Cに基づいて、電源部4における高周波電流の周波数を100kHzに調整する。なお、調整部38は、例えばPLL(Phase Locked Loop)回路等で構成されている。
【0049】
[3.ラッチ部の動作]
次に、図4を参照しながら、被加熱物16a(16b)の誘導加熱終了後に周波数設定信号が切り替えられた場合における、ラッチ部36の動作について説明する。図4は、被加熱物16a(16b)の誘導加熱終了後に周波数設定信号が切り替えられた場合における、実施の形態に係る制御部14のラッチ部36の動作を示すタイミングチャートである。
【0050】
以下、図4では、被加熱物16a,16b,16cをこの順に誘導加熱する場合について説明する。
【0051】
まず、図4の(b)に示すように、時刻T1で、周波数設定信号A(特定の周波数設定信号の一例)がラッチ部36のデータ入力端子D1(特定のデータ入力端子の一例)に入力される。この時、図4の(c)に示すように、ラッチ部36の出力端子Q1は、データ入力端子D1に入力された周波数設定信号Aをそのまま出力する。
【0052】
その後、図4の(a)に示すように、時刻T2で、例えばユーザが制御盤35を操作することにより、ラッチ部36のクロック入力端子CLKにおいて加熱指令信号がローレベルからハイレベルに立ち上がり、被加熱物16aの10kHz(特定の周波数の一例)での誘導加熱が開始する。図4の(c)に示すように、この立ち上がりタイミングに同期して、ラッチ部36の出力端子Q1(特定の出力端子の一例)は、周波数設定信号Aの出力をラッチする。これにより、図4の(c)に示すように、被加熱物16aが誘導加熱されている間(すなわち、時刻T2~T3の間)、ラッチ部36の出力端子Q1は、周波数設定信号Aを出力し続ける。
【0053】
その後、図4の(a)に示すように、時刻T3で、例えばユーザが制御盤35を操作することにより、ラッチ部36のクロック入力端子CLKにおいて加熱指令信号がハイレベルからローレベルに立ち下がり、被加熱物16aの誘導加熱が終了する。その後、図4の(b)及び(d)に示すように、時刻T4で、例えばユーザが制御盤35を操作することにより、ラッチ部36に入力される周波数設定信号が周波数設定信号Aから周波数設定信号Bに切り替えられる。すなわち、周波数設定信号Aがラッチ部36のデータ入力端子D1に入力されなくなるとともに、周波数設定信号Bがラッチ部36のデータ入力端子D2に入力される。これにより、図4の(c)及び(e)に示すように、時刻T4で、ラッチ部36の出力端子Q1は周波数設定信号Aの出力を停止し、出力端子Q2は、データ入力端子D2に入力された周波数設定信号Bをそのまま出力する。
【0054】
その後、図4の(a)に示すように、時刻T5で、例えばユーザが制御盤35を操作することにより、ラッチ部36のクロック入力端子CLKにおいて加熱指令信号がローレベルからハイレベルに立ち上がり、被加熱物16bの50kHzでの誘導加熱が開始する。図4の(e)に示すように、この立ち上がりタイミングに同期して、ラッチ部36の出力端子Q2は、周波数設定信号Bの出力をラッチする。これにより、図4の(e)に示すように、被加熱物16bが誘導加熱されている間(すなわち、時刻T5~T6の間)、ラッチ部36の出力端子Q2は、周波数設定信号Bを出力し続ける。
【0055】
その後、図4の(a)に示すように、時刻T6で、例えばユーザが制御盤35を操作することにより、ラッチ部36のクロック入力端子CLKにおいて加熱指令信号がハイレベルからローレベルに立ち下がり、被加熱物16bの誘導加熱が終了する。その後、図4の(d)及び(f)に示すように、時刻T7で、例えばユーザが制御盤35を操作することにより、ラッチ部36に入力される周波数設定信号が周波数設定信号Bから周波数設定信号Cに切り替えられる。すなわち、周波数設定信号Bがラッチ部36のデータ入力端子D2に入力されなくなるとともに、周波数設定信号Cがラッチ部36のデータ入力端子D3に入力される。これにより、図4の(e)及び(g)に示すように、時刻T7で、ラッチ部36の出力端子Q2は周波数設定信号Bの出力を停止し、出力端子Q3は、データ入力端子D3に入力された周波数設定信号Cをそのまま出力する。
【0056】
その後、図4の(a)に示すように、時刻T8で、例えばユーザが制御盤35を操作することにより、ラッチ部36のクロック入力端子CLKにおいて加熱指令信号がローレベルからハイレベルに立ち上がり、被加熱物16cの100kHzでの誘導加熱が開始する。図4の(g)に示すように、この立ち上がりタイミングに同期して、ラッチ部36の出力端子Q3は、周波数設定信号Cの出力をラッチする。これにより、図4の(g)に示すように、被加熱物16cが誘導加熱されている間(すなわち、時刻T8~T9の間)、ラッチ部36の出力端子Q3は、周波数設定信号Cを出力し続ける。
【0057】
次に、図5を参照しながら、被加熱物16aの誘導加熱中に周波数設定信号が切り替えられた場合における、ラッチ部36の動作について説明する。図5は、被加熱物16aの誘導加熱中に周波数設定信号が切り替えられた場合における、実施の形態に係る制御部14のラッチ部36の動作を示すタイミングチャートである。
【0058】
以下、図5では、被加熱物16aを誘導加熱する場合について説明する。まず、図5の(b)に示すように、時刻T10で、周波数設定信号Aがラッチ部36のデータ入力端子D1に入力される。この時、図5の(c)に示すように、ラッチ部36の出力端子Q1は、データ入力端子D1に入力された周波数設定信号Aをそのまま出力する。
【0059】
その後、図5の(a)に示すように、時刻T11で、例えばユーザが制御盤35を操作することにより、ラッチ部36のクロック入力端子CLKにおいて加熱指令信号がローレベルからハイレベルに立ち上がり、被加熱物16aの10kHzでの誘導加熱が開始する。図5の(c)に示すように、この立ち上がりタイミングに同期して、ラッチ部36の出力端子Q1は、周波数設定信号Aの出力をラッチする。被加熱物16aが誘導加熱されている間(すなわち、時刻T11~T14の間)、ラッチ部36の出力端子Q1は、周波数設定信号Aを出力し続ける。
【0060】
図5の(b)及び(d)に示すように、被加熱物16aが誘導加熱されている状態の時刻T12で、ラッチ部36に入力される周波数設定信号が周波数設定信号Aから周波数設定信号Bに不意に切り替えられたとする。すなわち、周波数設定信号Aがラッチ部36のデータ入力端子D1に入力されなくなるとともに、周波数設定信号Bがラッチ部36のデータ入力端子D2に入力される。この時、ラッチ部36の出力端子Q1は、周波数設定信号Aの出力をラッチしているので、図5の(e)に示すように、ラッチ部36の出力端子Q2は周波数設定信号Bを出力しない。
【0061】
その後、図5の(d)及び(f)に示すように、被加熱物16aが誘導加熱されている状態の時刻T13で、ラッチ部36に入力される周波数設定信号が周波数設定信号Bから周波数設定信号Cに不意に切り替えられたとする。すなわち、周波数設定信号Bがラッチ部36のデータ入力端子D2に入力されなくなるとともに、周波数設定信号Cがラッチ部36のデータ入力端子D3に入力される。この時、ラッチ部36の出力端子Q1は、周波数設定信号Aの出力をラッチしているので、図5の(g)に示すように、ラッチ部36の出力端子Q3は周波数設定信号Cを出力しない。
【0062】
[4.効果]
上述したように、ラッチ部36は、被加熱物16a(16b,16c)の誘導加熱の開始タイミングに同期して、周波数設定信号の出力をラッチする。これにより、被加熱物16a(16b,16c)の誘導加熱中に、ラッチ部36に入力される周波数設定信号が不意に切り替わった場合であっても、ラッチ部36は、出力をラッチした周波数設定信号を調整部38に出力し続けることができる。その結果、電源部4における高周波電流の周波数を保持することができ、高周波電流の周波数が瞬間的に変化することに起因する電源部4のスイッチング素子28の損傷を抑制することができる。
【0063】
(変形例等)
以上、本発明の1つ又は複数の態様に係る誘導加熱装置について、上記実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の1つ又は複数の態様の範囲内に含まれてもよい。
【0064】
上記実施の形態では、3種類の周波数設定信号(周波数設定信号A~C)を選択する例について説明したが、これに限定されず、2種類又は4種類以上の周波数設定信号を選択するようにしてもよい。
【0065】
また、上記実施の形態では、ラッチ部36のクロック入力端子CLKに入力部12からの加熱指令信号が入力されるように構成したが、これに限定されず、例えば検出部10からの検出信号が入力されるように構成してもよい。この場合、検出部10は、検出した高周波電圧及びその周波数に基づいて、被加熱物16a,16b,16cが誘導加熱されていることを示す検出信号を生成し、生成した検出信号をラッチ部36のクロック入力端子CLKに出力する。なお、検出信号は、被加熱物16a,16b,16cが誘導加熱されている際にはハイレベル、被加熱物16a,16b,16cが誘導加熱されていない際にはローレベルとなる信号である。
【0066】
上記実施の形態における制御部14は、専用の電子回路によって実現されてもよい。専用の電子回路は、1個のチップ上に集積されてもよいし、複数のチップ上に形成されてもよい。また、制御部14は、汎用プロセッサと、ソフトウェアプログラム又はインストラクションが格納されたメモリとによって実現されてもよい。この場合、ソフトウェアプログラム又はインストラクションが実行されたときに、プロセッサは、制御部14として機能する。
【0067】
また、本発明の一態様は、このような誘導加熱装置2だけではなく、誘導加熱装置2に含まれる特徴的な構成要素をステップとする誘導加熱方法であってもよい。また、本発明の一態様は、誘導加熱方法に含まれる特徴的な各ステップをコンピュータに実行させるコンピュータプログラムであってもよい。また、本発明の一態様は、そのようなコンピュータプログラムが記録された、コンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明に係る誘導加熱装置は、例えば金属部品の高周波焼き入れ等に適用することができる。
【符号の説明】
【0069】
2 誘導加熱装置
4 電源部
6a,6b,6c 整合部
8a,8b,8c 誘導コイル
10 検出部
12 入力部
14 制御部
16a,16b,16c 被加熱物
18 整流部
20,22 チョークコイル
24 インバータ部
26 サイリスタ
28 スイッチング素子
30a,30b,30c コンデンサ
32a,32b,32c 整合トランス
34a,34b,34c 切替スイッチ
35 制御盤
36 ラッチ部
38 調整部
図1
図2
図3
図4
図5