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特許7044280レーザと噴射液体からなるビームに基づく自己発生型砥粒フローによる複合加工装置及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-22
(45)【発行日】2022-03-30
(54)【発明の名称】レーザと噴射液体からなるビームに基づく自己発生型砥粒フローによる複合加工装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/144 20140101AFI20220323BHJP
   B23K 26/146 20140101ALI20220323BHJP
   B23K 26/064 20140101ALI20220323BHJP
   B24C 1/08 20060101ALI20220323BHJP
   B24C 5/02 20060101ALI20220323BHJP
   B24C 9/00 20060101ALI20220323BHJP
   B24C 11/00 20060101ALI20220323BHJP
【FI】
B23K26/144
B23K26/146
B23K26/064 K
B24C1/08
B24C5/02 B
B24C9/00 D
B24C11/00 D
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020539059
(86)(22)【出願日】2019-11-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-09
(86)【国際出願番号】 CN2019120386
(87)【国際公開番号】W WO2020215714
(87)【国際公開日】2020-10-29
【審査請求日】2020-07-10
(31)【優先権主張番号】201910339652.0
(32)【優先日】2019-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520255609
【氏名又は名称】孫 樹峰
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】特許業務法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】王 萍萍
(72)【発明者】
【氏名】呂 強強
(72)【発明者】
【氏名】孫 樹峰
(72)【発明者】
【氏名】孫 夢凡
(72)【発明者】
【氏名】孫 萌
【審査官】山下 浩平
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-185694(JP,A)
【文献】特開2013-091069(JP,A)
【文献】特開平02-258186(JP,A)
【文献】特開2008-178895(JP,A)
【文献】特開2016-013558(JP,A)
【文献】国際公開第2018/116932(WO,A1)
【文献】特開2015-091593(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/00 - 26/70
B24C 1/00 - 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力が設定された飽和塩溶液を供給するための供給機構と、内部における飽和塩溶液を冷却し且つ飽和塩溶液から微細結晶粒を析出させるための冷却機構とに接続され、ワークの表面に対して衝撃及び研削が行われるように微細結晶粒を飽和塩溶液と共に噴射するノズルであって、さらにレーザビームを発生するためのレーザ発生機構が接続される鏡筒に接続されるノズルと、
ワークを固定するとともにノズルから噴射された飽和塩溶液を回収するための作業ボックスと、を含み、
前記供給機構は、飽和塩溶液を収容するための貯液ボックスを含み、
前記貯液ボックスは、駆動ポンプが接続される第1管路を介してノズルに接続され、
駆動ポンプは、貯液ボックスの内部における飽和塩溶液をノズルにポンプ注入するように駆動し、
前記貯液ボックスは、内部に加熱装置を有し、第1管路との接続位置に濾過網が設けられることを特徴とするレーザと噴射液体からなるビームに基づく自己発生型砥粒フローによる複合加工装置。
【請求項2】
圧力が設定された飽和塩溶液を供給するための供給機構と、内部における飽和塩溶液を冷却し且つ飽和塩溶液から微細結晶粒を析出させるための冷却機構とに接続され、ワークの表面に対して衝撃及び研削が行われるように微細結晶粒を飽和塩溶液と共に噴射するノズルであって、さらにレーザビームを発生するためのレーザ発生機構が接続される鏡筒に接続されるノズルと、
ワークを固定するとともにノズルから噴射された飽和塩溶液を回収するための作業ボックスと、を含み、
前記供給機構は、飽和塩溶液を収容するための貯液ボックスを含み、
前記貯液ボックスは、駆動ポンプが接続される第1管路を介してノズルに接続され、
駆動ポンプは、貯液ボックスの内部における飽和塩溶液をノズルにポンプ注入するように駆動し、
前記貯液ボックスは、第2管路を介して作業ボックスに接続されることを特徴とするレーザと噴射液体からなるビームに基づく自己発生型砥粒フローによる複合加工装置。
【請求項3】
前記冷却機構は、ノズルの外周面に嵌着して固定される冷却ジャケットを含み、
前記冷却ジャケットは、管壁内に冷却チャンバーを有し、
前記冷却チャンバーは、第1冷却管及び第2冷却管に連通し、
前記第1冷却管及び第2冷却管は、コンプレッサーに接続されることを特徴とする請求項1又は2に記載のレーザと噴射液体からなるビームに基づく自己発生型砥粒フローによる複合加工装置。
【請求項4】
前記レーザ発生機構は、光ファイバケーブルを介して鏡筒に接続されるレーザ装置であることを特徴とする請求項1又は2に記載のレーザと噴射液体からなるビームに基づく自己発生型砥粒フローによる複合加工装置。
【請求項5】
前記ノズルと鏡筒との間には、透明密閉型レンズが設けられ、
前記鏡筒内には、レーザビームをノズルに案内するための反射鏡が設けられ、
反射鏡と透明密閉型レンズとの間には、鏡筒に固定して接続されるコリメータレンズ及びフォーカシングレンズが設けられ、
前記コリメータレンズは、反射鏡に近接して取り付けられることを特徴とする請求項1又は2に記載のレーザと噴射液体からなるビームに基づく自己発生型砥粒フローによる複合加工装置。
【請求項6】
前記ノズル及び鏡筒は、縦方向に配置され、且つ縦方向駆動機構に接続され、
前記縦方向駆動機構は、ノズル及び鏡筒を縦方向に沿って移動させるように駆動し、
前記作業ボックスは、ノズルの下方に位置し、回転機構アセンブリに接続され、
前記回転機構アセンブリは、2軸連動機構に接続され、
前記2軸連動機構は、回転機構及び作業ボックスを水平面内で互いに直交する第1方向及び第2方向に沿って移動させるように駆動し、
前記回転機構アセンブリは、作業ボックスを縦方向及び第1方向の周りに回転させるように駆動することを特徴とする請求項に記載のレーザと噴射液体からなるビームに基づく自己発生型砥粒フローによる複合加工装置。
【請求項7】
前記回転機構アセンブリは、第1回転機構及び第2回転機構を含み、
前記第1回転機構は、作業ボックスに接続され、作業ボックスを縦方向の周りに回転させるように駆動するためのものであり、
前記第2回転機構は、第1回転機構に接続され、作業ボックスを第1方向の周りに回転させるように駆動するためのものであることを特徴とする請求項に記載のレーザと噴射液体からなるビームに基づく自己発生型砥粒フローによる複合加工装置。
【請求項8】
請求項に記載のレーザと噴射液体からなるビームに基づく自己発生型砥粒フローによる複合加工装置を用いてワークを加工する複合加工方法であって、
レーザ発生機構から発生されたレーザビームを、反射鏡によりノズルに案内してノズルから射出させることで、ワークをレーザ加工すると同時に、
圧力が設定された飽和塩溶液を、供給機構によりノズルに供給してノズルから噴射させ、
ノズルの内部における飽和塩溶液を冷却機構により冷却し、飽和塩溶液から微細結晶粒を析出させ、
析出された微細結晶粒を飽和塩溶液と共に噴射することで、ワーク表面に対して衝撃及び研削が行われる、ことを特徴とする複合加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は機械加工設備の技術分野に関し、具体的にレーザと噴射液体からなるビームに基づく自己発生型砥粒フローによる複合加工装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
中国のレーザ産業の継続的な発展に伴い、製造においては、レーザ加工したワークの精度及び粗さに対してより高い要件を求めている。従来のレーザ加工は、熱加工に属し、即ち、レーザの高温により加工材料の表面を溶融して気化させることで、材料を除去する目的を達成する。しかし、発明者らは、いつもレーザ加工領域に溶融物の堆積に伴って再鋳層を生成し、加工による粗さを大きくすること、及び、レーザ加工(例えば穿孔)による孔壁の粗さは一般に大きく、且つ孔径は不規則であることに、気付いた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、上記従来の技術の欠陥を克服するために、レーザ加工した材料の表面上の再鋳層を除去し、粗さを低減してワークの加工品質を改善することができる、レーザと噴射液体からなるビームに基づく自己発生型砥粒フローによる複合加工装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、上記目的を達成するために、以下の技術案を採用する。
圧力が設定された飽和塩溶液を供給するための供給機構と、内部における飽和塩溶液を冷却し且つ飽和塩溶液から微細結晶粒を析出させるための冷却機構とに接続され、ワークの表面に対して衝撃及び研削が行われるように微細結晶粒を飽和塩溶液と共に噴射するノズルであって、さらにレーザビームを発生するためのレーザ発生機構が接続される鏡筒に接続されるノズルと、
ワークを固定するとともにノズルから噴射された飽和塩溶液を回収するための作業ボックスと、を含む、レーザと噴射液体からなるビームに基づく自己発生型砥粒フローによる複合加工装置。
【0005】
本発明の作動原理は以下のとおりである。
圧力が設定された飽和塩溶液を、供給機構によりノズルの内部に供給し、且つノズルから噴射し、レーザ発生機構により発生されたレーザビームは、反射鏡でノズルに案内され、且つノズルから射出されてワークをレーザ加工し、同時に、前記冷却機構はノズルの内部における飽和塩溶液を冷却して微細結晶粒を析出させて飽和塩溶液と共に噴射し、ワーク表面に対して衝撃及び研削を行うことができる。
【0006】
本発明の有益な効果は以下のとおりである。
本発明に係る加工装置によれば、レーザ加工を行うと同時に、冷却機構を使用して飽和塩溶液から微細結晶粒を析出させて飽和塩溶液と共に噴射して、ワークに対して研削及び衝撃を行うことができる。これにより、ワークのレーザ加工による再鋳層を効果的に除去し、且つワークの表面粗さを低減してワークの加工品質を向上することができる。
【0007】
本出願の一部を構成する図面は、本出願のさらなる理解を提供するためのものであり、本出願の例示的な実施例及びその説明は、本出願を解釈するためのものであり、本出願を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明における実施例1の全体構造模式図である。
図2図2は、本発明における実施例1のノズルと鏡筒の組み立てを示す模式図である。
図3図3は、本発明における実施例1の冷却ジャケットの断面模式図である。
図4図4は、本発明における実施例1のノズルと鏡筒の内部を示す模式図である。
図5図5は、本発明における実施例1の縦方向駆動機構、2軸連動機構及び回転機構アセンブリの組み立てを示す模式図である。
図6図6は、本発明における実施例1で構成される加工専用領域の構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
なお、以下の詳細な説明は、本出願のさらなる説明を提供するための例示的なものである。特に明記しない限り、本明細書で使用される技術用語および科学用語は、すべて当業者が一般に理解するものと同じ意味を有する。
【0010】
なお、本明細書で使用される用語は、具体的な実施形態を説明するためのものに過ぎず、本出願による例示的な実施形態を限定することを意図するものではない。文脈で特に指示しない限り、本明細書で使用される単数形式は複数形式を含むことも意図し、さらに、理解されるべき点として、本明細書で「包含」および/または「含む」なる用語を使用することは、特徴、ステップ、操作、デバイス、アセンブリ、および/またはそれらの組合せを意味する。
【0011】
本発明において「上」、「下」、「左」、「右」という文字を使用することは、便宜上、図面自体における上、下、左、右の方向と一致することを示すだけであり、構造を限定するものではなく、本発明を説明しやすいことのみを目的としており、指定された設備または素子は必ず特定の方位を有し、特定の方位で構成されて操作されることを指示又は示唆するものではないため、本発明を限定するものと理解すべきではない。
【0012】
背景技術で説明したように、従来のレーザ加工で加工を行う際、ワーク表面に再鋳層を生成し、且つ加工したワークの表面粗さが高い。本出願は、上記問題に対して、ノズルであって圧力が設定された飽和塩溶液を前記ノズルに供給するための供給機構と、内部における飽和塩溶液を冷却し且つ飽和塩溶液から微細結晶粒を析出させるための冷却機構とに接続され、微細結晶粒を飽和塩溶液と共に噴射して、ワークの表面に対して衝撃及び研削を行い、レーザビームを発生するためのレーザ発生機構に接続される鏡筒に接続されるノズルと、ワークを固定し、及びノズルから噴射された飽和塩溶液を回収するための作業ボックスと、を含むレーザと噴射液体からなるビームに基づく自己発生型砥粒フローによる複合加工装置を提供する。
【0013】
さらに、前記供給機構は、飽和塩溶液を収容するための貯液ボックスを含み、前記貯液ボックスは、駆動ポンプが接続される第1管路を介してノズルに接続され、駆動ポンプは、貯液ボックスの内部における飽和塩溶液をノズルにポンプ注入するように駆動することができる。
【0014】
さらに、前記貯液ボックスの内部には加熱装置を有し、前記貯液ボックスと第1管路との接続位置に濾過網が設けられる。
【0015】
さらに、前記貯液ボックスは、第2管路を介して作業ボックスに接続される。
【0016】
さらに、前記冷却機構は、ノズルの外周面に嵌着して固定される冷却ジャケットを含み、前記冷却ジャケットの管壁の内部に冷却チャンバーを有し、前記冷却チャンバーは第1冷却管及び第2冷却管に連通し、前記第1冷却管及び第2冷却管はコンプレッサーに接続される。
【0017】
さらに、前記レーザ発生機構は、光ファイバケーブルを介して鏡筒に接続されるレーザ装置である。
【0018】
さらに、前記ノズルと鏡筒との間に透明密閉型レンズが設けられ、前記鏡筒の内部にレーザビームをノズルに案内するための反射鏡が設けられ、反射鏡と透明密閉型レンズとの間に鏡筒に固定して接続されるコリメータレンズ及び集束レンズが設けられ、前記コリメータレンズは反射鏡に近接して取り付けられる。
【0019】
さらに、前記ノズル及び鏡筒は縦方向に配置され、且つ縦方向駆動機構に接続され、前記縦方向駆動機構はノズル及び鏡筒を縦方向に沿って移動させるように駆動でき、前記作業ボックスはノズルの下方に位置され、作業ボックスは回転機構アセンブリに接続され、前記回転機構アセンブリは2軸連動機構に接続され、前記2軸連動機構は回転機構及び作業ボックスを水平面内で互いに直交する第1方向及び第2方向に沿って移動させるように駆動でき、前記回転機構アセンブリは作業ボックスを縦方向及び第1方向の周りに回転させるように駆動することができる。
【0020】
さらに、前記回転機構アセンブリは第1回転機構及び第2回転機構を含み、前記第1回転機構は作業ボックスに接続され、作業ボックスを縦方向の周りに回転させるように駆動するためのものであり、前記第2回転機構は第1回転機構に接続され、作業ボックスを第1方向の周りに回転させるように駆動するためのものである。
【0021】
本実施例は、さらに、レーザ発生機構により発生されたレーザビームは、反射鏡でノズルに案内され、且つノズルから射出されてワークをレーザ加工し、同時に、圧力が設定された飽和塩溶液を供給機構によりノズルに供給し、且つノズルから噴射し、冷却機構はノズルの内部における飽和塩溶液を冷却し、飽和塩溶液から微細結晶粒を析出させて飽和塩溶液と共に噴射して、ワーク表面に対して衝撃及び研削を行う、レーザと噴射液体からなるビームに基づく自己発生型砥粒フローによる複合加工装置を使用する方法を開示する。
【0022】
以下、図面を参照しながら、本実施例については詳細に説明する。
【0023】
<実施例1>
図1-6に示すように、レーザと噴射液体からなるビームに基づく自己発生型砥粒フローによる複合加工装置は、縦方向に配置されたノズル1を含み、前記ノズルの底部に飽和塩溶液及びレーザビームを射出するための噴射口が設けられ、前記ノズルの上部に鏡筒2が接続され、前記ノズルの下方に作業ボックス3が設けられ、前記作業ボックスの内部にワークをクランプするためのワーククランプ機構が設けられるとともに、作業ボックスは、ノズルから噴射された飽和塩溶液を回収することができ、前記ワーククランプ機構は、ワークの形状に合わせて従来のワーククランプ機構から選択すればよく、その具体的な構造については、ここで詳細の説明を省略する。
【0024】
前記ノズルは、圧力が設定された飽和塩溶液をノズルに供給するための供給機構に接続され、前記供給機構は、飽和塩溶液を貯留するための貯液ボックス4を含み、前記貯液ボックスは、ノズルの内部スペースに連通する第1管路5を介してノズルの側壁に接続され、前記第1管路に駆動ポンプ6が接続され、前記駆動ポンプは、貯液ボックスの内部における飽和塩溶液をノズルの内部スペースにポンプ注入させ、且つノズルから噴射するように駆動することができる。また、前記貯液ボックスは、第2管路7を介して作業ボックスに接続され、飽和塩溶液の再利用を可能とする。
【0025】
前記貯液ボックスの内部に、貯液ボックスの内部における飽和塩溶液の温度を制御するための加熱装置が設けられ、前記貯液ボックスと第1管路との接続位置に濾過網が設けられ、濾過網は、溶液中の不純物及び析出した結晶粒子が駆動ポンプに混入して駆動ポンプの作動への障害を防ぐことができる。
【0026】
また、前記ノズルは冷却機構に接続され、前記冷却機構はノズルの内部における飽和塩溶液を冷却して飽和塩溶液から微細結晶粒子を析出させるためのものであり、前記冷却機構はノズル側壁の外表面に嵌着して固定される冷却ジャケット8を含み、前記冷却ジャケットの管壁の内部に冷却チャンバー8-1が開設され、前記冷却チャンバーは第1冷却管9及び第2冷却管10に連通し、前記第1冷却管は第2冷却管の上方に設置され、前記第1冷却管及び第2冷却管はコンプレッサー11に接続され、冷却剤は、第1冷却管を介して冷却チャンバーに流入するように前記コンプレッサーにより駆動され、ノズルの内部における飽和塩溶液と熱交換し、飽和塩溶液を冷却する。熱交換で気化した冷却剤を、第2冷却管を介してコンプレッサーに還流することができる。
【0027】
前記鏡筒は、下端がノズルに固定して接続され、先端が反射鏡フレーム12を介して反射鏡13に接続され、反射鏡と水平面との挟角は45°であり、前記反射鏡の下方にコリメータレンズ14が設けられ、コリメータレンズの下方に集束レンズ15が設けられ、コリメータレンズ及び集束レンズはいずれも鏡筒の筒壁の内側面に固定して接続され、前記鏡筒とノズルとの接続位置に透明密閉型レンズ16が設けられ、前記透明密閉型レンズは、飽和塩溶液が鏡筒に浸入してコリメータレンズ及び集束レンズを汚染することを防ぐためのものである。
【0028】
前記鏡筒はレーザ発生機構に接続され、前記レーザ発生機構はレーザ装置17を使用し、前記レーザ装置は光ファイバケーブル18を介して鏡筒に接続され、前記光ファイバケーブルの、鏡筒と接続する部分は水平に設置され、レーザ装置はレーザビームを発生することができ、レーザビームは光ファイバケーブルを介して鏡筒内部に入射し、レーザ光線は反射鏡で反射されてから、順にコリメータレンズ、集束レンズ、透明密閉型レンズを介してノズルに入射し、且つノズルから射出し、ワークをレーザ加工する。
【0029】
前記鏡筒及びノズルはL字状の接続板19を介して縦方向駆動機構に接続され、前記縦方向駆動機構は縦方向支持板20を含み、前記縦方向支持板は作業台21に固定され、前記縦方向支持板の先端に第1サーボモータ22が固定され、前記第1サーボモータの出力軸は縦方向支持板に固定された第1ねじ伝動機構23に接続され、第1ねじ伝動機構の第1スライダ24は接続板に固定して接続され、第1スライダは縦方向支持板に設置されるスライドレール25に摺接され、第1サーボモータはねじの伝動により、鏡筒及びノズルを縦方向に沿って移動させるように駆動することができる。
【0030】
前記作業ボックスは回転機構アセンブリに接続され、前記回転機構アセンブリは2軸連動機構に接続され、前記2軸連動機構は作業ボックス及び回転機構アセンブリを水平面内で互いに直交する第1方向及び第2方向に沿って移動させるように駆動することができる。
【0031】
前記2軸連動機構は作業台に固定される第2サーボモータ26を含み、前記第2サーボモータの出力軸に、第2方向に沿って配置される第2ねじ伝動機構が接続され、前記第2ねじ伝動機構の第2スライダに水平支持板27が接続され、前記水平支持板に第3サーボモータ28が固定され、前記第3サーボモータの出力軸に、第1方向に沿って配置される第3ねじ伝動機構が接続され、前記第3ねじ伝動機構の第3スライダに回転機構アセンブリが接続される。
【0032】
前記回転機構アセンブリは第1回転機構及び第2回転機構を含み、前記第1回転機構は第3スライダに固定された回転支持フレーム29を含み、前記回転支持フレームの両端に第4サーボモータ36が固定され、前記第4サーボモータの出力軸は回転板30に接続され、前記第2回転アセンブリは回転板に固定され、前記第2回転アセンブリは第5サーボモータ31を使用し、前記第5サーボモータの出力軸は作業ボックスに固定して接続され、前記第4サーボモータは回転板及び作業ボックスを第1方向の周りに回転させるように駆動することができ、第5サーボモータは作業ボックスを縦方向の周りに回転させるように駆動することができる。
【0033】
本実施例において、2軸連動機構、縦方向駆動機構、貯液ボックス、コンプレッサー、レーザ装置、駆動ポンプ等の構造はいずれも作業台に固定され、前記2軸連動機構、縦方向駆動機構、駆動ポンプ、コンプレッサー、レーザ装置、加熱装置等はいずれもその作動を制御するデジタル制御システムに接続さる。
【0034】
本実施例の加工装置はハウジング32の内部に固定され、前記ハウジングにスライド窓33が設けられ、ハウジングにロッカーアーム34が設けられ、ロッカーアームにデジタル制御システム35が設けられ、加工専用領域を構成し、加工領域からの外部へのスパッタリングおよび操作者の怪我を効果的に防止することができる。次に、レーザ加工には清潔な環境が必要であり、スライド窓及びハウジングを設けることで、外部の粉塵が鏡筒における各種のレンズを汚染することを効果的に防ぐことができる。前記ハウジングは、スライド窓とロッカーアーム即ちデジタル制御システムとの接続態様は従来のデジタル制御旋盤の外部ハウジング構造の接続態様を採用すればいいため、ここで詳細の説明を省略する。
【0035】
本実施例は、レーザと噴射液体からなるビームに基づく自己発生型砥粒フローによる複合加工装置の加工方法をさらに開示する。
【0036】
例えば塩化ナトリウム飽和溶液等の飽和塩溶液を貯液ボックスに予め貯留し、当業者は実際の必要に応じて飽和塩溶液を適切に選択することができ、ここで詳細の説明を省略する。加熱装置を起動させて、飽和塩溶液を設定された温度に維持する。
【0037】
加工対象のワークを作業ボックス内に固定し、レーザ装置、コンプレッサー及び駆動ポンプを起動させる。レーザビームは、レーザ装置により発生され、反射鏡で反射されてから、コリメータレンズ、集束レンズ及び透明密閉型レンズを通過してノズルに入射し、且つノズルから射出し、ワークをレーザ加工する。同時に、圧力が設定された飽和塩溶液は、貯液ボックスからノズルに流入し、且つノズルから噴射されるように駆動ポンプにより駆動される。冷却剤は、冷却チャンバーに流入するようにコンプレッサーにより駆動され、飽和塩溶液と熱交換することで、飽和塩溶液から微細結晶粒を析出させ、飽和塩溶液と共に噴射され、ワークに対して研削及び衝撃を行う。それによって、レーザ加工による再鋳造層を除去し、ワークの表面粗さを低減する。ノズル及び鏡筒は縦方向駆動機構を介して昇降動作することができると同時に、作業ボックスは2軸連動機構及び回転機構アセンブリを介してワークの位置を変更することができ、ワークの各位置に対する加工を実現する。
【0038】
本実施例の加工装置によれば、レーザ加工による再鋳造層を効果的に除去し、ワークの表面粗さを低減してワークの加工品質を向上することができる。
【0039】
上記では、図面を参照しながら本発明の具体的な実施形態については説明したが、本発明の保護範囲を制限するものではなく、当業者にとって、本発明に基づいて、創造的な努力を必要とせずに想到し得る各種の修正または変形も本発明の保護範囲に属する。
【符号の説明】
【0040】
1:ノズル
2:鏡筒
3:作業ボックス
4:貯液ボックス
5:第1管路
6:駆動ポンプ
7:第2管路
8:冷却ジャケット
8-1:冷却チャンバー
9:第1冷却管
10:第2冷却管
11:コンプレッサー
12:反射鏡フレーム
13:反射鏡
14:コリメータレンズ
15:集束レンズ
16:透明密閉型レンズ
17:レーザ装置
18:光ファイバケーブル
19:接続板
20:縦方向支持板
21:作業台
22:第1サーボモータ
23:第1ねじ伝動機構
24:第1スライダ
25:スライドレール
26:第2サーボモータ
27:水平支持板
28:第3サーボモータ
29:回転支持フレーム
30:回転板
31:第5サーボモータ
32:ハウジング
33:スライド窓
34:ロッカーアーム
35:デジタル制御システム
36:第4サーボモータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6