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特許7044281チエノ環系化合物およびその合成方法と応用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-22
(45)【発行日】2022-03-30
(54)【発明の名称】チエノ環系化合物およびその合成方法と応用
(51)【国際特許分類】
   C07D 495/04 20060101AFI20220323BHJP
   A61K 31/381 20060101ALI20220323BHJP
   A61P 19/00 20060101ALI20220323BHJP
   A61P 25/04 20060101ALI20220323BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20220323BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20220323BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20220323BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20220323BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20220323BHJP
   A61P 37/08 20060101ALI20220323BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220323BHJP
【FI】
C07D495/04 101
A61K31/381
A61P19/00
A61P25/04
A61P29/00
A61P35/00
A61P35/02
A61P37/02
A61P37/04
A61P37/08
A61P43/00 105
A61P43/00 111
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020545845
(86)(22)【出願日】2018-11-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-15
(86)【国際出願番号】 CN2018117235
(87)【国際公開番号】W WO2019101171
(87)【国際公開日】2019-05-31
【審査請求日】2020-06-04
(31)【優先権主張番号】201711206672.8
(32)【優先日】2017-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520186015
【氏名又は名称】シャンハイ ユーヤオ バイオテック リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SHANGHAI YUYAO BIOTECH LTD.
【住所又は居所原語表記】Room 1001,Building 1,No.58,Tanzhu Road,Minhang District,Shanghai 201100,China
(74)【代理人】
【識別番号】100102842
【弁理士】
【氏名又は名称】葛和 清司
(72)【発明者】
【氏名】チャン,ハンクン
(72)【発明者】
【氏名】ルー,ウェイチャン
(72)【発明者】
【氏名】リウ,ミンヤオ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,ジュンジェ
(72)【発明者】
【氏名】ユー,ウェイウェイ
(72)【発明者】
【氏名】フー,ロンロン
(72)【発明者】
【氏名】チャン,シンペイ
(72)【発明者】
【氏名】リン,シェンファ
(72)【発明者】
【氏名】リウ,ウェンジュアン
(72)【発明者】
【氏名】シー,ザイシィー
【審査官】安藤 倫世
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-525317(JP,A)
【文献】国際公開第2008/020206(WO,A2)
【文献】国際公開第2009/139373(WO,A1)
【文献】特表2012-500211(JP,A)
【文献】国際公開第2010/019796(WO,A1)
【文献】特表2008-517061(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I)で示される化合物、
【化1】
またはその薬学的に許容される塩であって、
【化2】
は、C3-C6飽和炭素環、ベンゼン環、1つまたは複数のO、N、S原子を有する5員または6員ヘテロ芳香環からなる群からそれぞれ独立して選択され、
【化3】
は、任意に、1-3個のR置換基によって置換され得、
【化4】
は、以下の式に示す構造を有し、
【化5】
J、K、およびLの1つは、-O-であり、かつJ、K、およびLの残りは、-CH -、-CH(CH )-、-CH(CH CH )-、および-C(CH -からなる群からそれぞれ独立して選択され、
または
【化6】
は、以下の式に示す構造を有し、
【化7】
M、N、P、およびQの1つは、-O-であり、かつM、N、P、およびQの残りは、-CH -、-CH(CH )-、-CH(CH CH )-、および-C(CH -からなる群からそれぞれ独立して選択され、
または
【化8】
は、以下の式に示す構造を有し、
【化9】
R、S、T、U、およびVの1つは、-O-であり、かつR、S、T、U、およびVの残りは、-CH -、-CH(CH )-、-CH(CH CH )-、および-C(CH -からなる群からそれぞれ独立して選択され、
Xは、-S-であり、
Yは、存在しないか、または-CH-、-O-、および-N(R)-からなる群から選択される基であり、
は、C1-C6アルキレン、C2-C6アルケニレン、C2-C6アルキニレンからなる群から選択される基であり
は、存在しなく、
は、H、C1-C6アルキル、ハロゲン、ニトロ、-N(R)(R10)、-OH、-CN、C1-C6ハロアルキル、C1-C6アルコキシ、およびC1-C6ハロアルコキシからなる群から選択される1つまたは複数の基であり、
およびRは、H、ハロゲン、C1-C6アルキル、C1-C6ハロアルキル、およびC3-C6シクロアルキルからなる群からそれぞれ独立して選択され、または、R、Rは、それらに結合している炭素原子と共に3-6員環を形成し、前記環は、炭素環、またはO、SもしくはN(R11)から選択される1-3個のヘテロ原子を含むヘテロ環であり、
、-COOR12 であり
各Rは、H、ハロゲン、C1-C6アルキル、C1-C6ハロアルキル、C3-C6シクロアルキル、およびC1-C6アルコキシから独立して選択され、
12は、H、およびC1-C6アルキルからなる群から選択され、
、R、R10およびR11は、H、C1-C6アルキル、C1-C6ハロアルキル、C3-C6シクロアルキル、C3-C6ハロシクロアルキル、C6-C10アリール、および5員または6員ヘテロ環アリールからそれぞれ独立して選択され、
特に指定のない限り、前記置換基の1つまたは複数の水素原子は、F、Cl、Br、I、ヒドロキシル、メチル、エチル、イソプロピル、メトキシ、エトキシ、トリフルオロメチル、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、ニトロ、-CN、およびオキソからなる群から選択される置換基によって置換される、
記化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
【化10】
は、以下の式に示す構造を有し、
【化11】
M、N、P、およびQの1つは、-O-であり、かつM、N、P、およびQの残りは、-CH-、-CH(CH)-、-CH(CHCH)-、および-C(CH -からなる群からそれぞれ独立して選択される、
請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項3】
5員または6員ヘテロ芳香環は、ピリジン、ピリミジン、チアゾール、イソチアゾール、フラン、チオフェン、およびピロールからなる群からそれぞれ独立して選択される
請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項4】
【化12】
は、C3-C6飽和炭素環、ベンゼン環、および1つまたは複数のO、N、S原子を含む5員または6員ヘテロ芳香環からなる群から選択され、
【化13】
は、ベンゼン環、および1つまたは複数のO、N、S原子を含む5員または6員ヘテロ芳香環からなる群から選択され、
【化14】
は、任意に、1-3個のR置換基によって置換されている、
請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項5】
Yは、存在しない、
請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項6】
、n=1、2、3または4である-(CH-、-CH=CH-、-CH=CH-CH-、-CH-CH=CH-、-CH=CH-CH-CH-、-CH-CH=CH-CH-、-CH-CH-CH=CH-、-C≡C-、-C≡C-CH-、-CH-C≡C-、-C≡C-CH-CH-、-CH-C≡C-CH-、-CH-CH-C≡C-からなる群から選択され
請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項7】
Yは、存在しないか、または-CH -であり、
は、C1-C6アルキレン、C2アルケニレン、C2アルキニレンからなる群から選択される基であ
請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項8】
前記化合物は、以下からなる群から選択される、
請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【表1-1】
【表1-2】
【請求項9】
治療有効量の請求項1に記載の式(I)で示される化合物、またはその薬学的に許容される塩、および薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物。
【請求項10】
以下からなる群から選択される医薬組成物の調製における請求項1に記載の式(I)で示される化合物またはその薬学的に許容される塩の使用:
(i)プロスタグランジン受容体-4(EP4)アンタゴニスト、
(ii)プロスタグランジンPGE2阻害剤、
(iii)ヒトまたは哺乳動物のin vivoにおける免疫能を増強、またはプロスタグランジンPGE2媒介疾患を予防および/または治療する医薬組成物、
(iv)心血管系、および胃腸系に対する非ステロイド性抗炎症薬およびシクロオキシゲナーゼ-2阻害剤の副作用を軽減する医薬組成物。
【請求項11】
前記プロスタグランジンPGE2媒介疾患は、自己免疫疾患、アレルギー、炎症、骨疾患、急性または慢性の疼痛、および腫瘍からなる群から選択される、
請求項10に記載の使用。
【請求項12】
腫瘍は、肝臓癌、肺癌、前立腺癌、皮膚癌、大腸癌、膵臓癌、乳癌、白血病、リンパ腫、卵巣癌、胃癌、膀胱癌、腎臓癌、口腔癌、黒色腫、食道癌、リンパ腫、子宮頸癌からなる群から選択される、
請求項11に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生物医学の分野に属し、チエノ環系化合物およびその合成方法と用途に関し、本発明のチエノ環系化合物は、悪性腫瘍、自己免疫疾患、炎症、疼痛などを含むプロスタグランジンPGE2媒介疾患を予防および治療するためのプロスタグランジン受容体EP4アンタゴニストとして使用される。
【背景技術】
【0002】
急性炎症および慢性炎症の調節におけるプロスタグランジンE2の機能は、長い研究の歴史があり、説明されている作用メカニズムも詳しく説明されている。近年、プロスタグランジンE2が腫瘍の免疫に関与する炎症細胞とサイトカインを調節するメカニズムがますます掲示された。
すべてのプロスタグランジンサブタイプの中で、人体におけるプロスタグランジンE2(Prostaglandin E2,PGE2)の含有量と分布は、最も豊富で広範囲である。それは、炎症、疼痛、腎機能、心血管系、肺機能および癌を含む多くの生理学的および病理学的プロセスの調節に関与している。PGE2は、オートクリンまたはパラクリンの方法によって細胞表面のGタンパク質共役受容体EP1、EP2、EP3、EP4(PTGER1、PTGER2、PTGER2、およびPTGER4とも呼ばれる)の4つの異なるサブタイプに結合し、これらのGタンパク質共役型受容体サブタイプは、異なるGタンパク質を共役させて、異なる下流シグナル伝達経路を活性化して、それらの生物学的効果を発揮させる。EP2とEP4の両方の受容体サブタイプはGタンパク質を共役して下流のシグナルを媒介するが、それらのアミノ酸配列は31%の相同性があり、特定の構造上の違いがあるため、それらが発揮する主な生理学的機能は類似するが、多くの違いもある。
【0003】
PGE2は、腫瘍形成と発達の促進に非常に重要な役割を果たす。PGE2とその関連受容体EP2およびEP4の発現レベルの上昇は、大腸癌、肺癌、乳癌、頭頸部癌などを含むさまざまな悪性腫瘍で見られ、予後不良と密接に関連していることがよくある。腫瘍組織では転写因子HIF1αおよびSP1によって調節されるPGE2シンテターゼCOX2の発現が大幅に増加し、PGE2代謝酵素15-PGDHは正常組織で高発現するが、大腸癌、胃癌、肺癌、乳癌組織では非常に不足し、さらに腫瘍微小環境におけるPGE2のレベルの上昇を招く。
【0004】
近年、COX2阻害剤の心血管に対する副作用を回避するために、PGE2受容体EP2およびEP4特異的アンタゴニストなどのPGE2シグナルのみをターゲットにすることがますます開発され、前臨床および臨床研究に組み込まれている。既存の前臨床研究データは、EP2とEP4が、大腸癌、食道癌、肺癌、乳癌などの動物モデルで、異なる種類の腫瘍の成長を異なる程度に予防または抑制できることを示している。
既存の研究をレビューすることにより、PGE2とその受容体媒介シグナル伝達経路に基づく特異的阻害剤の開発はまだ予備的な研究段階にあり、研究者は既存の薬物の拮抗活性をさらに改善し、より優れた活性とより安定した代謝を有する選択的アンタゴニストを開発する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、より良い活性、EP4受容体サブタイプに対する高い選択性、正常細胞および腫瘍細胞に対する阻害活性はないが、プロスタグランジン2プロスタグランジン受容体-4(PGE-EP4)受容体シグナル伝達経路は良好な免疫調節機能を発揮し、より安定した代謝、良好な親水性、基本的に特許医薬品の要件を満たすEP4アンタゴニストを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、下記式(I)で示される化合物、
【化1】
またはその薬学的に許容される塩または水和物を提供し、ここで、
【化2】
は、C3-C6炭素環、ベンゼン環、1つまたは複数のO、N、S原子を含む5員または6員ヘテロ芳香環からなる群からそれぞれ独立して選択され、
【化3】
は、選択的に、1-3個のR基によって置換され、

【化4】
は、C4-C7炭素環、4-7員飽和ヘテロ環、ベンゼン環、4-7員不飽和ヘテロ環(ヘテロ芳香環を含む)からなる群から選択される置換または未置換の環であり、ここで、前記ヘテロ環は、O、SまたはNRからなる群から選択される1つまたは複数のヘテロ原子を有し、前記環は、単環、二環、スピロ環または架橋環であることができ、
Xは、-O-、-S-、-N(R)-からなる群から選択される基であり、
Yは、無し、または-CH-、-O-、-S-、-SO-、-SO-、-N(R)-からなる群から選択される基であり、
【0007】
およびBは、それぞれ独立して、無し、C1-C6アルキレン、C2-C6アルケニレン、C2-C6アルキニレンからなる群から選択される基であり、かつB、BおよびYは、同時に無しではなく、
は、H、C1-C6アルキル、ハロゲン、ニトロ、-N(R)(R10)、-OH、-CN、C1-C6ハロアルキル(好ましくは、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル)、C1-C6アルコキシ(好ましくは、メトキシ、エトキシ)、C1-C6ハロアルコキシ(好ましくは、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ)からなる群から選択される1つまたは複数の基であり、
およびRは、H、ハロゲン、C1-C6アルキル、C1-C6ハロアルキル、C3-C6シクロアルキルからそれぞれ独立して選択され、または、R、Rおよびそれらと結合している炭素原子と共に3ないし6員環を形成し、前記環は、炭素環、またはO、SまたはN(R11)からなる群から選択される1-3個のヘテロ原子を有する3ないし6員ヘテロ環であり、
は、-COOR12(好ましくは、-COOH、-COOCH、-COOCHCH、-COOCHCHCH、-COOCH(CH)、テトラゾール、リン酸基、スルホニル酸基から選択されるいずれかの1つであり、
【0008】
各RおよびR12は、H、ハロゲン、C1-C6アルキル、C1-C6ハロアルキル、C3-C6シクロアルキル、C1-C6アルコキシ(好ましくは、メトキシ、エトキシ)からそれぞれ独立して選択され、
、R、R、R、R10およびR11は、H、C1-C6アルキル、C1-C6ハロアルキル、C3-C6シクロアルキル、C3-C6ハロシクロアルキル、C6-C10アリール、5員または6員ヘテロ環芳香族基、
【化5】
からそれぞれ独立して選択され、
特に指定のない限り、前記置換グループの1つまたは複数の水素原子は、F、Cl、Br、I、ヒドロキシル、メチル、エチル、イソプロピル、メトキシ、エトキシ、トリフルオロメチル、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、ニトロ、-CN、オキソ(=O)からなる群から選択される置換基によって置換され、
13およびR14は、H、C1-C6アルキル(好ましくは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシル)、C6-C10アリール、C1-C6アルキレン、-C6-C10アリールからそれぞれ独立して選択される。
【0009】
好ましくは、式(I)中の
【化6】
は、以下の式に示す構造を有し、
【化7】
ここで、J、K、Lは、-CH-、-CH(CH)-、-CH(CHCH)-、-C(CH-、
【化8】
-O-、
【化9】
-NR16-からなる群からそれぞれ独立して選択され、
ここで、R15およびR16は、H、ハロゲン、C1-C6アルキル、C1-C6ハロアルキル、C3-C6シクロアルキル、
【化10】
からなる群からそれぞれ独立して選択され、
【0010】
または
【化11】
は、以下の式に示す構造を有し、
【化12】
ここで、M、N、P、Qは、-CH-、-CH(CH)-、-CH(CHCH)-、-C(CH-、
【化13】
-O-、
【化14】
-NR16-からなる群からそれぞれ独立して選択され、
または
【化15】
は、以下の式に示す構造を有し、
【化16】
【0011】
ここで、R、S、T、U、Vは、-CH-、-CH(CH)-、-CH(CHCH)-、-C(CH-、
【化17】
-O-、
【化18】
-NR16-からなる群からそれぞれ独立して選択され、
好ましくは、M、N、PおよびQは、環構造を形成し、またはMとQとの間、MとPとの間またはNとQとの間は、0-4個の炭素原子からなる架橋環構造を形成し、
好ましくは、R、S、T、UおよびVは、環構造を形成し、またはR、S、T、UおよびVのいずれか2つの間は、0-4個の炭素原子からなる架橋環構造を形成する。
好ましくは、J、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、U、Vは、-CH-、-CH(CH)-、-CH(CHCH)-、-C(CH-、
【化19】
-O-からなる群からそれぞれ独立して選択される。
【0012】
より好ましくは、J、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、U、Vは、-CH-、-CH(CH)-、-CH(CHCH)-、-C(CH-、
【化20】
からなる群からそれぞれ独立して選択され、
J、K、Lの1つは、-O-であり、残りは、-CH-、-CH(CH)-、-CH(CHCH)-、-C(CH-、
【化21】
からなる群から選択され、または、
M、N、P、Qの1つは、-O-であり、残りは、-CH-、-CH(CH)-、-CH(CHCH)-、-C(CH-、
【化22】
からなる群から選択され、または、
R、S、T、U、Vの1つは、-O-であり、残りは、-CH-、-CH(CH)-、-CH(CHCH)-、-C(CH-、
【化23】
からなる群から選択される。
より好ましくは、Xは、-S-である。
【0013】
より好ましくは、
【化24】
は、ベンゼン環、1つまたは複数のO、N、S原子を含む5員または6員ヘテロ芳香環からそれぞれ独立して選択され、ここで
【化25】
は、選択的に、1-3個のR基によって置換されてもよい。
【0014】
より好ましくは、
【化26】
は、置換または未置換のC5-C7炭素環、または置換または未置換の6員オキサヘテロ環である。好ましくは、
【化27】
中の置換は、環上の1つまたは複数の水素原子(好ましくは1個または2個)がF、Cl、Br、I、ヒドロキシル、メチル、エチル、イソプロピル、メトキシ、エトキシ、トリフルオロメチル、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、ニトロ、-CN、オキソ(=O)からなる群から選択される置換基によって置換されることを指し、より好ましくは、メチル、エチル、イソプロピルからなる群から選択される置換基によって置換されることを指す。
好ましくは、Yは、無しである。
【0015】
好ましくは、B1およびB2は、n=0、1、2、3または4である-(CH-、-CH=CH-、-CH=CH-CH-、-CH-CH=CH-、-CH=CH-CH-CH-、-CH-CH=CH-CH-、-CH-CH-CH=CH-、-C≡C-、-C≡C-CH-、-CH-C≡C-、-C≡C-CH-CH-、-CH-C≡C-CH-、-CH-CH-C≡C-からなる群から独立して選択され、かつBおよびBは、同時にn=0である-(CH-ではない。
より好ましくは、B1(またはB2)は、-(CH-であり、ここでn=0であり、かつB2(またはB1)は、n=1、2、3または4である-(CH-、-CH=CH-、-CH=CH-CH-、-CH-CH=CH-、-CH=CH-CH-CH-、-CH-CH=CH-CH-、-CH-CH-CH=CH-、-C≡C-、-C≡C-CH-、-CH-C≡C-、-C≡C-CH-CH-、-CH-C≡C-CH-、-CH-CH-C≡C-からなる群から選択される。
【0016】
好ましくは、前記化合物は、以下の群から選択される:
(S)-4-(1-(2-((4-フルオロフェニル)エチニル)-5,7-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピラン-3-ホルムアミド)エチル)安息香酸
(S)-4-(1-(2-((4-フルオロフェニル)エチニル)-5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[b]チオフェン-3-ホルムアミド)エチル)安息香酸
4-((1S)-1-(6-エチル-2-((4-フルオロフェニル)エチニル)-4,5,6,7-テトラヒドロベンゾ[b]チオフェン-3-ホルムアミド)エチル)安息香酸
(S)-4-(1-(2-((4-フルオロフェニル)エチニル)-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-シクロヘプタン[b]チオフェン-3-ホルムアミド)エチル)安息香酸
(S)-4-(1-(2-((4-フルオロフェニル)エチニル)-5,5-ジメチル-5,7-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピラン-3-ホルムアミド)エチル)安息香酸
【0017】
(S)-4-(1-(2-(4-フルオロフェネチル)-5,7-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピラン-3-ホルムアミド)エチル)安息香酸
(S)-4-(1-(2-(4-フルオロフェネチル)-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-シクロヘプタン[b]チオフェン-3-ホルムアミド)エチル)安息香酸
(S)-4-(1-(2-(4-フルオロフェネチル)-4,5,6,7-テトラヒドロベンゾ[b]チオフェン-3-ホルムアミド)エチル)安息香酸
(S)-4-(1-(2-(4-フルオロフェネチル)-5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[b]チオフェン-3-ホルムアミド)エチル)安息香酸
(S)-4-(1-(2-(4-フルオロフェネチル)-5,5-ジメチル-5,7-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピラン-3-ホルムアミド)エチル)安息香酸
【0018】
(S)-4-(1-(2-(4-(トリフルオロメチル)フェネチル)-5,7-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピラン-3-ホルムアミド)エチル)安息香酸
(S)-4-(1-(2-(3-(トリフルオロメチル)フェネチル)-5,7-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピラン-3-ホルムアミド)エチル)安息香酸
(S)-4-(1-(2-(3-フルオロフェネチル)-5,7-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピラン-3-ホルムアミド)エチル)安息香酸
(S)-4-(1-(2-(4-フルオロベンジル)-5,7-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピラン-3-ホルムアミド)エチル)安息香酸
(S)-4-(1-(2-(4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-5,7-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピラン-3-ホルムアミド)エチル)安息香酸
【0019】
(S)-4-(1-(2-(3-(トリフルオロメチル)ベンジル)-5,7-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピラン-3-ホルムアミド)エチル)安息香酸
(R)-4-(1-(2-(4-フルオロベンジル)-5,7-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピラン-3-ホルムアミド)エチル)安息香酸
(R)-4-(1-(2-(4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-5,7-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピラン-3-ホルムアミド)エチル)安息香酸
(R)-4-(1-(2-(3-(トリフルオロメチル)ベンジル)-5,7-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピラン-3-ホルムアミド)エチル)安息香酸
4-((2-(4-フルオロベンジル)-4,7-ジヒドロ-5H-チエノ[2,3-c]ピラン-3-ホルムアミド)メチル)安息香酸
(S)-4-(1-(2-((4-(トリフルオロメチル)ベンジル)アミノ)-5,7-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピラン-3-ホルムアミド)エチル)安息香酸
【0020】
(S)-4-(1-(2-(4-メトキシフェネチル)-4,7-ジヒドロ-5H-チエノ[2,3-c]ピラン-3-ホルムアミド)エチル)安息香酸
(S)-4-(1-(2-(3-フルオロベンジル)-4,7-ジヒドロ-5H-チエノ[2,3-c]ピラン-3-ホルムアミド)エチル)安息香酸
(S)-4-(1-(2-(4-クロロベンジル)-4,7-ジヒドロ-5H-チエノ[2,3-c]ピラン-3-ホルムアミド)エチル)安息香酸
(S)-4-(1-(2-(3-フルオロ-4-メトキシベンジル)-4,7-ジヒドロ-5H-チエノ[2,3-c]ピラン-3-ホルムアミド)エチル)安息香酸
(S)-4-(1-(2-(3-クロロベンジル)-4,7-ジヒドロ-5H-チエノ[2,3-c]ピラン-3-ホルムアミド)エチル)安息香酸
(S)-4-(1-(2-(3,4-二フルオロベンジル)-4,7-ジヒドロ-5H-チエノ[2,3-c]ピラン-3-ホルムアミド)エチル)安息香酸
【0021】
(S)-4-(1-(2-(4-メトキシベンジル)-4,7-ジヒドロ-5H-チエノ[2,3-c]ピラン-3-ホルムアミド)エチル)安息香酸
((2-(3-(トリフルオロメチル)ベンジル)-4,7-ジヒドロ-5H-チエノ[2,3-c]ピラン-3-ホルムアミド)メチル)安息香酸
4-((2-(4-フルオロベンジル)-4,7-ジヒドロ-5H-チエノ[2,3-c]ピラン-3-ホルムアミド)メチル)シクロヘキサン-1-カルボン酸(ラセミ体)
(1-(2-(4-フルオロベンジル)-4,7-ジヒドロ-5H-チエノ[2,3-c]ピラン-3-ホルムアミド)シクロプロピル)安息香酸。
【0022】
好ましくは、前記化合物は、YJ101、YJ102、YJ103、YJ104、YJ105、YJ106、YJ107、YJ108、YJ109、YJ110、YJ111、YJ112、YJ113、YJ114、YJ115、YJ116、YJ117、YJ118、YJ119、YJ120、YJ121、YJ122、YJ123、YJ124、YJ125、YJ126、YJ127、YJ128、YJ129、YJ130、YJ131からなる群から選択される。
【0023】
また好ましくは、前記薬学的に許容される塩は、前記チエノ環系化合物と酸によって形成される酸付加塩、または前記チエノ環系化合物と塩基によって形成される塩基付加塩を指し、ここで、前記酸は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、酢酸、酒石酸、サリチル酸、クエン酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、乳酸、ピルビン酸、マレイン酸、コハク酸を含み、無機塩基に由来する塩は、アルミニウム、アンモニウム、カリウム、ナトリウム、鉄、銅、カルシウム、第一鉄、マグネシウム、リチウム、マンガンを含み、有機非毒性塩基に由来する塩は、一級、二級、および三級アミン塩を含み、置換アミンは、天然置換アミン、環状アミン、エタノールアミン、N-エチルモルホリン、N-エチルピペリジン、グルコサミンを含む。
【0024】
本発明の別の態様は、医薬組成物を提供し、前記医薬組成物は、治療有効量の式(I)化合物、またはその薬学的に許容される塩または水和物と、および薬学的に許容される担体とを含む。
別の好ましい例では、前記医薬組成物は、注射可能な流体、エアロゾル、クリーム、ゲル、ピル、カプセル、シロップ、経皮パッチ、または賦形剤からなる群から選択される剤形である。
【0025】
本発明の別の態様は、以下からなる群から選択される医薬組成物の調製における式(I)化合物またはその薬学的に許容される塩または水和物の使用を提供する:
(i)プロスタグランジン受容体-4(EP4)アンタゴニスト、
(ii)プロスタグランジンPGE2阻害剤、
(iii)ヒトまたは哺乳動物の免疫を増強、またはプロスタグランジンPGE2媒介疾患を予防および/または治療する医薬組成物、
(iv)心血管系、胃腸系に対する非ステロイド性抗炎症薬およびシクロオキシゲナーゼ-2阻害剤の副作用を軽減する医薬組成物。
好ましくは、前記使用における前記プロスタグランジンPGE2媒介疾患は、自己免疫疾患、アレルギー、炎症、骨疾患、急性または慢性の疼痛、腫瘍からなる群から選択され、
より好ましくは、前記腫瘍は、肝臓癌、肺癌、前立腺癌、皮膚癌、大腸癌、膵臓癌、乳癌、白血病、リンパ腫、卵巣癌、胃癌、膀胱癌、腎臓癌、口腔癌、黒色腫、食道癌、リンパ腫、子宮頸癌からなる群から選択され、
より好ましくは、前記医薬組成物は、腫瘍細胞の増殖、成長、浸潤および移動を阻害するために使用される。
【発明の効果】
【0026】
本発明の範囲内で、本発明の上記の技術的特徴および以下(例えば、実施例)に具体的に説明する各技術的特徴を互いに組み合わせて、新規または好ましい技術的解決手段を形成することができることを理解されたい。スペースの制限のため、ここでは繰り返しない。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明のいくつかの化合物のヒトプロスタグランジンE2受容体EP4サブタイプcAMPのアップレギュレーション程度を検出するための濃度-効果曲線である。ここで、Aは、E7046であり、Bは、YJ114である。
図2】本発明の化合物YJ114のマウス骨髄細胞の分化作用に対する評価である。
図3】本発明の化合物YJ106、YJ114、YJ115、YJ116およびYJ120の腫瘍成長に対する阻害効果を示す効果図である。
図4】本発明の化合物YJ114のマウス腫瘍MC38、Pan02、4T1、RM-1細胞皮下担腫瘍モデルにおける腫瘍増殖に対する阻害作用を示す効果図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明者は、長期的かつ詳細な研究により、チエノ環系化合物を予想外に発見した。前記化合物は、プロスタグランジンPGE2媒介疾患を予防および治療するためのプロスタグランジンEP4受容体アンタゴニストとして使用できる。なお、本発明の化合物は選択性が高く、本発明の化合物はEP4に対する阻害活性が高いが、EP1、EP2、EP3に対する拮抗活性はない。以上の知見に基づき、本発明者らは本発明を完成させた。
【0029】
チエノ環系化合物および薬学的に許容される塩、またはその水和物
一好ましい例では、下記式(I)で示される化合物、
【化28】
またはその薬学的に許容される塩または水和物を提供し、ここで、
【化29】
は、C3-C6炭素環、ベンゼン環、1つまたは複数のO、N、S原子を含む5員または6員ヘテロ芳香環からなる群からそれぞれ独立して選択され、
【化30】
は、選択的に、1-3個のR基によって置換され、
【化31】
は、C4-C7炭素環、4-7員飽和ヘテロ環、ベンゼン環、4-7員不飽和ヘテロ環(ヘテロ芳香環を含む)からなる群から選択される置換または未置換の環であり、ここで、前記ヘテロ環は、O、SまたはNRからなる群から選択される1つまたは複数のヘテロ原子を有し、前記環は、単環、二環、スピロ環または架橋環であることができ、
【0030】
Xは、-O-、-S-、-N(R)-からなる群から選択される基であり、
Yは、無し、または-CH-、-O-、-S-、-SO-、-SO-、-N(R)-からなる群から選択される基であり、
およびBは、それぞれ独立して、なし、C1-C6アルキレン、C2-C6アルケニレン、C2-C6アルキニレンからなる群から選択される基であり、好ましくは、B1およびB2は、n=0、1、2、3または4である-(CH-、-CH=CH-、-CH=CH-CH-、-CH-CH=CH-、-CH=CH-CH-CH-、-CH-CH=CH-CH-、-CH-CH-CH=CH-、-C≡C-、-C≡C-CH-、-CH-C≡C-、-C≡C-CH-CH-、-CH-C≡C-CH-、-CH-CH-C≡C-からなる群から独立して選択され、かつB、BおよびYは、同時に無しではなく、
【0031】
は、H、C1-C6アルキル、ハロゲン、ニトロ、-N(R)(R10)、-OH、-CN、C1-C6ハロアルキル(好ましくは、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル)、C1-C6アルコキシ(好ましくは、メトキシ、エトキシ)、C1-C6ハロアルコキシ(好ましくは、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ)からなる群から選択される1つまたは複数の基であり、
およびRは、H、ハロゲン、C1-C6アルキル、C1-C6ハロアルキル、C3-C6シクロアルキルからそれぞれ独立して選択され、または、R、Rおよびそれらと結合している炭素原子と共に3ないし6員環を形成し、前記環は、炭素環、またはO、SまたはN(R11)からなる群から選択される1-3個のヘテロ原子を有する3ないし6員ヘテロ環であり、
は、-COOR12(好ましくは、-COOH、-COOCH、-COOCHCH、-COOCHCHCH、-COOCH(CH)、テトラゾール、リン酸基、スルホニル酸基から選択されるいずれかの1つであり、
各RおよびR12は、H、ハロゲン、C1-C6アルキル、C1-C6ハロアルキル、C3-C6シクロアルキル、C1-C6アルコキシ(好ましくは、メトキシ、エトキシ)からそれぞれ独立して選択され、
、R、R、R、R10およびR11は、H、C1-C6アルキル、C1-C6ハロアルキル、C3-C6シクロアルキル、C3-C6ハロシクロアルキル、C6-C10アリール、5員または6員ヘテロ環芳香族基、
【化32】
からそれぞれ独立して選択され、
【0032】
特に指定のない限り、前記置換グループの1つまたは複数の水素原子は、F、Cl、Br、I、ヒドロキシル、メチル、エチル、イソプロピル、メトキシ、エトキシ、トリフルオロメチル、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、ニトロ、-CN、オキソ(=O)からなる群から選択される置換基によって置換され、
13およびR14は、H、C1-C6アルキル(好ましくは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシル)、C6-C10アリール、C1-C6アルキレン、-C6-C10アリールからそれぞれ独立して選択される。
【0033】
別好ましい例では、式(I)中の
【化33】
は、以下の式に示す構造を有し、
【化34】
ここで、J、K、Lは、-CH-、-CH(CH)-、-CH(CHCH)-、-C(CH-、
【化35】
-O-、
【化36】
-NR16-からなる群からそれぞれ独立して選択され、
ここで、R15およびR16は、H、ハロゲン、C1-C6アルキル、C1-C6ハロアルキル、C3-C6シクロアルキル、
【化37】
からなる群からそれぞれ独立して選択され、
または
【化38】
は、以下の式に示す構造を有し、
【化39】
【0034】
ここで、M、N、P、Qは、-CH-、-CH(CH)-、-CH(CHCH)-、-C(CH-、
【化40】
-O-、
【化41】
-NR16-からそれぞれ独立して選択され、
または
【化42】
は、以下の式に示す構造を有し、
【化43】
ここで、R、S、T、U、Vは、-CH-、-CH(CH)-、-CH(CHCH)-、-C(CH-、
【化44】
-O-、
【化45】
-NR16-からなる群からそれぞれ独立して選択され、
一好ましい例では、M、N、PおよびQは、環構造を形成し、またはMとQとの間、MとPとの間またはNとQとの間は、0-4個の炭素原子からなる架橋環構造を形成し、
【0035】
一好ましい例では、R、S、T、UおよびVは、環構造を形成し、またはR、S、T、UおよびVのいずれか2つの間は、0-4個の炭素原子からなる架橋環構造を形成する。
一好ましい例では、Xは、-S-である。
一好ましい例では、
【化46】
は、ベンゼン環、1つまたは複数のO、N、S原子を含む5員または6員ヘテロ芳香環からそれぞれ独立して選択され、ここで
【化47】
は、選択的に、1-3個のR基によって置換されてもよい。
【0036】
一好ましい例では、
【化48】
は、置換または未置換のC5-C7炭素環、または置換または未置換の6員オキサヘテロ環である。
【0037】
一好ましい例では、前記化合物は、YJ101、YJ102、YJ103、YJ104、YJ105、YJ106、YJ107、YJ108、YJ109、YJ110、YJ111、YJ112、YJ113、YJ114、YJ115、YJ116、YJ117、YJ118、YJ119、YJ120、YJ121、YJ122、YJ123、YJ124、YJ125、YJ126、YJ127、YJ128、YJ129、YJ130、YJ131からなる群から選択される。
別の好ましい例では、前記薬学的に許容される塩は、前記チエノ環系化合物と酸によって形成される酸付加塩、または前記チエノ環系化合物と塩基によって形成される塩基付加塩を指し、ここで、前記酸は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、酢酸、酒石酸、サリチル酸、クエン酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、乳酸、ピルビン酸、マレイン酸、コハク酸を含み、無機塩基に由来する塩は、アルミニウム、アンモニウム、カリウム、ナトリウム、鉄、銅、カルシウム、第一鉄、マグネシウム、リチウム、マンガンを含み、有機非毒性塩基に由来する塩は、一級、二級、および三級アミン塩を含み、置換アミンは、天然置換アミン、環状アミン、エタノールアミン、N-エチルモルホリン、N-エチルピペリジン、グルコサミンを含む。
【0038】
医薬組成物
一好ましい例では、前記医薬組成物は、治療有効量の式(I)化合物、またはその薬学的に許容される塩または水和物と、および薬学的に許容される担体とを含む。
別の好ましい例では、前記医薬組成物は、注射可能な流体、エアロゾル、クリーム、ゲル、ピル、カプセル、シロップ、経皮パッチ、または賦形剤からなる群から選択される剤形である。
【0039】
チエノ環系化合物の使用
一好ましい例では、以下からなる群から選択される医薬組成物の調製における式(I)化合物またはその薬学的に許容される塩または水和物の使用を提供する:
(i)プロスタグランジン受容体-4(EP4)アンタゴニスト、
(ii)プロスタグランジンPGE2阻害剤、
(iii)ヒトまたは哺乳動物の免疫を増強、またはプロスタグランジンPGE2媒介疾患を予防および/または治療する医薬組成物、
(iv)心血管系、胃腸系に対する非ステロイド性抗炎症薬およびシクロオキシゲナーゼ-2阻害剤の副作用を軽減する医薬組成物。
一好ましい例では、前記使用における前記プロスタグランジンPGE2媒介疾患は、自己免疫疾患、アレルギー、炎症、骨疾患、急性または慢性の疼痛、腫瘍からなる群から選択され、
より好ましくは、前記腫瘍は、肝臓癌、肺癌、前立腺癌、皮膚癌、大腸癌、膵臓癌、乳癌、白血病、リンパ腫、卵巣癌、胃癌、膀胱癌、腎臓癌、口腔癌、黒色腫、食道癌、リンパ腫、子宮頸癌からなる群から選択され、
一好ましい例では、前記医薬組成物は、腫瘍細胞の増殖、成長、浸潤および移動を阻害するために使用される。
【0040】
用語
本発明において、用語「C3-C6炭素環」または用語「C4-C7炭素環」は、6員脂肪族環などの単環、二環、スピロ環または架橋環を含む3ないし6個の炭素原子または4ないし7個の炭素原子からなる飽和または不飽和環を指す。
用語「5員または6員ヘテロ芳香環」は、ピリジン、ピリミジン、チアゾール、イソチアゾール、フラン、チオフェン、ピロールなどの窒素、酸素、または硫黄から選択される1つまたは複数のヘテロ原子を有する5員ないし6員の芳香環を指す。
用語「C1-C6アルキル」は、1ないし6個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖アルキルを指し、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、およびヘキシルなどを非限定的に含み、好ましくは、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチルおよびtert-ブチルを非限定的に含む。
【0041】
用語「C1-C6アルキレン」は、1ないし6個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖アルキレンを指し、メチレン、エチレン、プロピレン、イソプロピレン、ブチレン、イソブチレン、sec-ブチレン、tert-ブチレン、ペンチレン、ヘキシレンなどを非限定的に含み、好ましくは、エチレン、プロピレン、イソプロピレン、ブチレン、イソブチレン、sec-ブチレンおよびtert-ブチレンを非限定的に含む。
用語「C2-C6アルケニレン」は、2ないし6個の炭素原子を有する二重結合を含む直鎖または分岐鎖アルケニレンを指し、ビニリデン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン、ペンテニレン、ヘキセニレンなどを非限定的に含む。
用語「C2-C6アルキニレン」は、2ないし6個の炭素原子を有する三重結合を含む直鎖または分岐鎖アルキニレンを指し、エチニレン、プロピニレン、ブチニレン、イソブチニレン、ペンチニレンおよびヘキシニレンなどを非限定的に含む。
【0042】
用語「C3-C6シクロアルキル」は、環に3ないし10個の炭素原子を有する環状アルキルを指し、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、およびシクロヘキシルを非限定的に含む。
用語「C6-C10アリール」は、フェニルなどの環にヘテロ原子を含まない6ないし10個の炭素原子を有する芳香族環基を指す。
用語「C1-C6ハロアルキル」、「C1-6ハロシクロアルキル」は、アルキルまたはシクロアルキル上の水素が1つまたは複数のハロゲン原子によって置換される基を指し、-CHF、クロロシクロプロピルなどを非限定的に含む。
用語「C1-C6アルコキシ」は、1ないし6個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖アルコキシを指し、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシおよびブトキシなどを非限定的に含む。
用語「ハロC1-C6アルコキシ」は、アルコキシ上の水素が1つまたは複数のハロゲン原子によって置換される基を指す。
【0043】
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【0044】
式Iの化合物の調製
例示的な式Iの化合物の調製プロセスは、以下の表1に示したとおりである。
【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
【表2-4】
【0045】
医薬組成物およびその使用
本発明の別の態様は、治療有効量の上記の式(I)から選択される化合物、その医薬上許容される塩、鏡像異性体、ジアステレオマーまたはラセミ体の1つまたは複数、および1つまたは複数の薬学的に許容される担体、賦形剤、アジュバント、補助材料、および/または希釈剤を含む医薬組成物を提供する。前記補助材料は、例えば、着臭剤、香味剤、甘味料などである。
本発明によって提供される医薬組成物は、好ましくは1~99重量%の活性成分を含み、好ましい比率は、活性成分としての式Iの化合物が総重量の65 wt%~99 wt%を占め、残りの部分は、薬学的に許容される担体、希釈剤または溶液または生理食塩水である。
本発明によって提供される化合物および医薬組成物は、錠剤、カプセル、粉末、シロップ、溶液、懸濁液、およびエアロゾルなどの様々な形態であり得、適切な固体または液体の担体または希釈剤中に、および注射または点滴のための適切な消毒器具中に存在することができる。
【0046】
本発明の医薬組成物の様々な剤形は、薬学分野における従来の調製方法に従って調製することができる。その製剤処方の単位用量は、0.05 mg~200 mgの式Iの化合物を含み、好ましくは、製剤処方の単位用量は、0.1 mg~100 mgの式Iの化合物を含む。
本発明の化合物および医薬組成物は、ヒトおよび動物を含む哺乳動物において臨床的に使用され得、口、鼻、皮膚、肺、または消化管などの投与経路によって投与され得る。最も好ましいのは経口である。最も好ましい1日用量は、0.01~200 mg/kg体重で一度に服用、または0.01-100 mg/kg体重で分割投与である。投与方法に関係なく、個人の最適な投与量は具体的な治療に基づくべきである。通常、少量から始めて、最適な用量が見つかるまで徐々に増やす。
【0047】
以下では具体的な実施例に結び付けて、本発明をさらに説明する。 これらの実施例は、本発明を説明するためにのみ使用され、本発明の範囲を限定するものではないことを理解されたい。以下の実施例にある具体的な条件のない実験方法は、通常、従来の条件またはメーカーが推奨する条件に基づく。特に明記しない限り、パーセンテージと部数は重量によって計算される。
【0048】
以下の調製例では、1H-NMRはBruker 500 MHz機器で測定し、MSはBruker MicroTOF-Q LCMS機器で測定し、特に指定のない限り、すべてのESI方法を使用し、すべての溶媒は、使用前に再蒸留され、使用される無水溶媒は、すべて標準的な方法で乾燥して得られ、特に指定のない限り、すべての反応はアルゴン保護下で行われ、TLCで追跡され、後処理は飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、特に指定のない限り、製品の精製にはシリカゲル(200-300メッシュ)カラムクロマトグラフィーを使用し、使用されるシリカゲル(200-300メッシュおよびGF254を含む)は、青島海洋化学工場または煙台縁博シリカゲル会社によって製造される。
【0049】
実施例1-1、(S)-4-(1-(2-((4-フルオロフェニル)エチニル)-5,7-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピラン-3-ホルムアミド)エチル)安息香酸(YJ101)の調製
【化49】
テトラヒドロ-4H-ピラン-4-オン(2.00 g、20.0 mmol)、シアノ酢酸エチル(2.50 g、22.0 mmol)および硫黄(704 mg、22.0 mmol)を30.0 mのエタノールに溶解し、次に前記溶液にモルホリン(1.74 g、20.0 mmol)を加え、50 ℃で一晩撹拌した。TLCで反応を検出し、反応が完了した後、反応液を酢酸エチルと水で抽出し、上層の有機相を分取、蒸発乾燥し、カラムクロマトグラフィーで精製して淡黄色の固体を得、すなわち2-アミノ-5,7-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピラン-3-カルボン酸エチル(4.38 g、収率96%)を得た。2-アミノ-5,7-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピラン-3-カルボン酸エチル(450 mg、2.0 mmol)を1.5 M HCl(10.0 mL)に溶解し、室温で20分間撹拌した後、氷浴下で0 ℃に降温し、溶液にNaNO(207 mg、3.0 mmol)を加え、前記混合物を氷浴下で30分間撹拌し、反応させた。その後、反応液にKI(830 mg、5.0 mmol)を少しずつ加え、引き続き0 ℃で45 分間反応させた。反応が完了した後、反応液を水と酢酸エチルで抽出し、有機相を蒸発乾燥し、カラムクロマトグラフィーで精製して淡黄色の固体を得、すなわち2-ヨード-5,7-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピラン-3-カルボン酸エチル(175 mg、収率26%)を得た。2-ヨード-5,7-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピラン-3-カルボン酸エチル(160 mg、0.48 mmol)、1-エチニル-4-フルオロベンゼン(86 mg、0.71 mmol)、10% Pd/C(5 mg、0.048 mmol)、PPh(5 mg、0.02 mmol)、CuI(9 mg、0.048 mmol)およびトリエチルアミン(0.13 mL、0.93 mmol)を10.0 mLのエタノールに加え、前記混合物を窒素保護下で15分間撹拌した後、反応液に1-エチニル-4-フルオロベンゼン(86 mg、0.71 mmol)を加え、60 ℃で2時間反応を攪拌し続け、反応が完了した後、反応液を水と酢酸エチルで抽出し、有機相を蒸発乾燥し、カラムクロマトグラフィーで精製して白色の固体を得、すなわち2-((4-フルオロフェニル)エチニル)-5,7-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピラン-3-カルボン酸エチル(81 mg、収率51%)を得た。2-((4-フルオロフェニル)エチニル)-5,7-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピラン-3-カルボン酸エチル(81 mg、0.25 mmol)、3.0 mLのTHF、3.0 mLのメタノール、1.0 mLの水および水酸化リチウム一水和物(21 mg,0.5 mmol)を混合し、68 ℃で3時間撹拌して反応させ、反応が完了した後、反応液を2M HClで酸性にし、次に酢酸エチルと水で抽出し、有機相を蒸発乾燥し、カラムクロマトグラフィーで精製して白色の固体を得、すなわち2-((4-フルオロフェニル)エチニル)-5,7-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピラン-3-カルボン酸(70 mg、収率93%)を得た。2-((4-フルオロフェニル)エチニル)-5,7-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピラン-3-カルボン酸(70 mg、0.23 mmol)、(S)-4-(1-アミノエチル)安息香酸メチル(48 mg、0.26 mmol)、HATU(137 mg、0.36 mmol)およびDIEA(65 mg、0.50 mmol)を2.0 mLのDMFに溶解し、室温で6時間攪拌し、反応が完了した後、反応液を酢酸エチルと水で抽出し、上層の有機相を蒸発乾燥し、カラムクロマトグラフィーで精製してを白色の固体を得、すなわち(S)-4-(1-(2-((4-フルオロフェニル)エチニル)-5,7-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピラン-3-ホルムアミド)エチル)安息香酸メチル(59 mg、収率55%)を得た。(S)-4-(1-(2-((4-フルオロフェニル)エチニル)-5,7-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピラン-3-ホルムアミド)エチル)安息香酸メチル(59 mg、0.13 mmol)を3.0 mLのTHF、3.0 mLのメタノール、1.0 mLの水で構成された溶液に溶解し、次に水酸化リチウム一水和物(10 mg、0.24 mmol)を加え、反応液を68 ℃で3時間撹拌し、反応が完了した後、反応液を2M HClで酸性にし、次に酢酸エチルと水で抽出し、有機相を蒸発乾燥し、カラムクロマトグラフィーで精製して白色の固体を得、すなわち最終生成物YJ101(39 mg、収率66%)を得た。H NMR (500 MHz, DMSO) δ 12.80 (s, 1H), 8.88 (d, J = 7.9 Hz, 1H), 7.79 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 7.52 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 7.42 (m, 2H), 7.23 (t, J = 8.9, 8.9 Hz, 2H), 5.21-5.14 (m, 1H), 4.73 (s, 2H), 3.89-3.81 (m, 2H), 2.63 (d, J = 16.8 Hz, 2H), 1.45 (d, J = 7.0 Hz, 3H)。
【0050】
実施例1-2、(S)-4-(1-(2-((4-フルオロフェニル)エチニル)-5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[b]チオフェン-3-ホルムアミド)エチル)安息香酸(YJ102)の調製
【化50】
化合物YJ101の調製と同じ反応経路を使用して、テトラヒドロ-4H-ピラン-4-オンをシクロペンタノンに置き換え、最終的に化合物YJ102(最終ステップの反応の収率は62%である)を得た。H NMR (500 MHz, DMSO) δ 8.59 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 7.81 (d, J = 7.6 Hz, 2H), 7.52 (d, J = 7.7 Hz, 2H), 7.45-7.43 (m, 2H), 7.23 (t, J = 8.4, 8.8 Hz, 2H), 5.18-5.13 (m, 1H), 1.80 (m, 6H), 1.45 (d, J = 6.8 Hz, 3H).
【0051】
実施例1-3、4-((1S)-1-(6-エチル-2-((4-フルオロフェニル)エチニル)-4,5,6,7-テトラヒドロベンゾ[b]チオフェン-3-ホルムアミド)エチル)安息香酸(YJ103)の調製
【化51】
化合物YJ101の調製と同じ反応経路を使用して、テトラヒドロ-4H-ピラン-4-オンを4-エチルシクロヘキサノンに置き換え、最終的に化合物YJ103(最終ステップの反応の収率は64%である)を得た。H NMR (500 MHz, DMSO) δ 12.79 (s, 1H), 8.86 (d, J = 7.9 Hz, 1H), 7.79 (t, J = 8.6, 8.9 Hz, 2H), 7.52 (d, J = 6.9 Hz, 2H), 7.41-7.35 (m, 2H), 7.24-7.19 (m, 2H), 5.22-5.14 (m, 1H), 2.87 (d, J = 16.7 Hz, 1H), 2.64-2.58 (m, 1H), 2.36-2.29 (m, 1H), 1.88 (d, J = 6.8 Hz, 1H), 1.65 (d, J = 5.3 Hz, 1H), 1.44 (d, J = 7.0 Hz, 3H), 1.41-1.36 (m, 2H), 1.35-1.31 (m, 1H), 1.24 (s, 1H), 0.94 (t, J = 7.4, 7.4 Hz, 3H).
【0052】
実施例1-4、(S)-4-(1-(2-((4-フルオロフェニル)エチニル)-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-シクロヘプタン[b]チオフェン-3-ホルムアミド)エチル)安息香酸(YJ104)の調製
【化52】
化合物YJ101の調製と同じ反応経路を使用して、テトラヒドロ-4H-ピラン-4-オンをシクロヘプタノンに置き換え、最終的に化合物YJ104(最終ステップの反応の収率は61%である)を得た。H NMR (500 MHz, DMSO) δ 12.79 (s, 1H), 9.01 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.77 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.51 (d, J = 8.1 Hz, 2H), 7.40-7.33 (m, 2H), 7.21 (t, J = 8.8, 8.6 Hz, 2H), 5.26-5.13 (m, 1H), 2.86-2.75 (m, 2H), 2.59 (m, 2H), 1.83 (s, 2H), 1.57 (d, J = 39.5 Hz, 4H), 1.42 (d, J = 7.0 Hz, 3H).
【0053】
実施例1-5、(S)-4-(1-(2-((4-フルオロフェニル)エチニル)-5,5-ジメチル-5,7-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピラン-3-ホルムアミド)エチル)安息香酸(YJ105)の調製
【化53】
化合物YJ101の調製と同じ反応経路を使用して、テトラヒドロ-4H-ピラン-4-オンをテトラヒドロ-2,2-ジメチル-4H-ピラン-4-オンに置き換え、最終的に化合物YJ105(最終ステップの反応の収率は70%である)を得た。H NMR (400 MHz, DMSO) δ 12.80 (s, 1H), 8.88 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 7.78 (d, J = 8.1 Hz, 2H), 7.54-7.38 (m, 4H), 7.23 (t, J = 11.1, 10.7 Hz, 2H), 5.23-5.07 (m, 1H), 4.71 (s, 2H), 2.53 (s, 2H), 1.44 (d, J = 7.0 Hz, 3H), 1.21 (s, 6H).
【0054】
実施例1-6、(S)-4-(1-(2-(4-フルオロフェネチル)-5,7-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピラン-3-ホルムアミド)エチル)安息香酸(YJ106)の調製
【化54】
テトラヒドロ-4H-ピラン-4-オン(2.00 g、20.0 mmol)、シアノ酢酸エチル(2.50 g、22.0 mmol)および硫黄(704 mg、22.0 mmol)を30.0 mLのエタノールに溶解し、次に前記溶液にモルホリン(1.74 g、20.0 mmol)を加え、50 ℃で一晩撹拌した。TLCで反応を検出し、反応が完了した後、反応液を酢酸エチルと水で抽出し、上層の有機相を分取、蒸発乾燥し、カラムクロマトグラフィーで精製して淡黄色の固体を得、すなわち2-アミノ-5,7-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピラン-3-カルボン酸エチル(4.42 g、収率97%)を得た。2-アミノ-5,7-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピラン-3-カルボン酸エチル(450 mg、2.0 mmol)を1.5 M HCl(10.0 mL)に溶解し、室温で20分間撹拌し、氷浴下で0 ℃に降温し、溶液にNaNO(207 mg、3.0 mmol)を加え、前記混合物を氷浴下で30分間撹拌し、反応させた。その後、反応液にKI(830 mg、5.0 mmol)を少しずつ加え、引き続き0 ℃で45分間反応させた。反応が完了した後、反応液を水と酢酸エチルで抽出し、有機相を蒸発乾燥し、カラムクロマトグラフィーで精製して淡黄色の固体を得、すなわち2-ヨード-5,7-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピラン-3-カルボン酸エチル(190 mg、収率28%)を得た。2-ヨード-5,7-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピラン-3-カルボン酸エチル(160 mg、0.48 mmol)、1-エチニル-4-フルオロベンゼン(86 mg、0.71 mmol)、10% Pd/C(5 mg、0.048 mmol)、PPh3(5 mg、0.02 mmol),CuI(9 mg、0.048 mmol)およびトリエチルアミン(0.13 mL、0.93 mmol)を10.0 mLエタノールに加え、前記混合物を窒素保護下で15分間撹拌した後、反応液に1-エチニル-4-フルオロベンゼン(86 mg、0.71 mmol)を加え、60 ℃で2時間反応を攪拌し続け、反応が完了した後、反応液を水と酢酸エチルで抽出し、有機相を蒸発乾燥し、カラムクロマトグラフィーで精製して白色の固体を得、すなわち2-((4-フルオロフェニル)エチニル)-5,7-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピラン-3-カルボン酸エチル(91 mg、収率57%)を得た。2-((4-フルオロフェニル)エチニル)-5,7-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピラン-3-カルボン酸エチル(80 mg、0.24 mmol)および10 mg 10% Pd/Cを10 mLの無水エタノールに加え、反応系にHガスを導入し、室温で一晩攪拌し、反応終了後、反応液をろ過し、ろ液を取り出し、溶媒を減圧留去し、カラムクロマトグラフィーで精製して白色の固体を得、すなわち2-(4-フルオロフェネチル)-5,7-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピラン-3-カルボン酸エチル(82 mg、収率98%)を得た。2-(4-フルオロフェネチル)-5,7-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピラン-3-カルボン酸エチル(80 mg,0.24 mmol)、3.0 mLのTHF、3.0 mLのメタノール、1.0 mLの水および水酸化リチウム一水和物(21 mg、0.5 mmol)を混合して、68 ℃で3時間撹拌し、反応が完了した後、反応液を2M HClで酸性にし、次に酢酸エチルと水で抽出し、有機相を蒸発乾燥し、カラムクロマトグラフィーで精製して白色の固体を得、すなわち2-(4-フルオロフェネチル)-5,7-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピラン-3-カルボン酸(64 mg、収率85%)を得た。2-(4-フルオロフェネチル)-5,7-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピラン-3-カルボン酸(64 mg、0.21 mmol)、(S)-4-(1-アミノエチル)安息香酸メチル(48 mg、0.26 mmol)、HATU(137 mg、0.36 mmol)およびDIEA(65 mg、0.50 mmol)を2.0 mLのDMFに溶解し、室温で6時間攪拌し、反応が完了した後、反応液を酢酸エチルと水で抽出し、上層の有機相を蒸発乾燥し、カラムクロマトグラフィーで精製してを白色の固体を得、すなわち(S)-4-(1-(2-(4-フルオロフェネチル)-5,7-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピラン-3-ホルムアミド)エチル)安息香酸メチル(62 mg、収率57%)を得た。(S)-4-(1-(2-(4-フルオロフェネチル)-5,7-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピラン-3-ホルムアミド)エチル)安息香酸メチル(61 mg、0.13 mmol)を3.0 mLのTHF、3.0 mLのメタノール、1.0 mLの水で構成された溶液に溶解し、次に水酸化リチウム一水和物(10 mg、0.24 mmol)を加え、反応液を68 ℃で3時間撹拌し、反応が完了した後、反応液を2M HClで酸性にし、次に水と酢酸エチルで抽出し、有機相を蒸発乾燥し、カラムクロマトグラフィーで精製して白色の固体を得、すなわち最終生成物YJ106(41 mg、収率69%)を得た。H NMR (500 MHz, DMSO) δ 12.86 (s, 1H), 8.68 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 7.89 (d, J = 7.8 Hz, 2H), 7.49 (d, J = 7.9 Hz, 2H), 7.10-7.01 (m, 4H), 5.16 (s, 1H), 4.65 (s, 2H), 3.82 (s, 2H), 3.06-2.96 (m, 2H), 2.75 (t, J = 7.6, 7.1 Hz, 2H), 2.60 (s, 2H), 1.43 (d, J = 6.9 Hz, 3H).
【0055】
実施例1-7、(S)-4-(1-(2-(4-フルオロフェネチル)-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-シクロヘプタン[b]チオフェン-3-ホルムアミド)エチル)安息香酸(YJ107)の調製
【化55】
化合物YJ106の調製と同じ反応経路を使用して、テトラヒドロ-4H-ピラン-4-オンをシクロヘプタノンに置き換え、最終的に化合物YJ107(最終ステップの反応の収率は63%である)を得た。H NMR (500 MHz, DMSO) δ 12.81 (s, 1H), 8.81 (d, J = 7.9 Hz, 1H), 7.88 (d, J = 7.9 Hz, 2H), 7.49 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.10-6.97 (m, 4H), 5.23-5.08 (m, 1H), 2.89-2.64 (m, 8H), 1.80 (s, 2H), 1.56 (d, J = 25.3 Hz, 4H), 1.42 (d, J = 6.9 Hz, 3H).
【0056】
実施例1-8、(S)-4-(1-(2-(4-フルオロフェネチル)-4,5,6,7-テトラヒドロベンゾ[b]チオフェン-3-ホルムアミド)エチル)安息香酸(YJ108)の調製
【化56】
化合物YJ106の調製と同じ反応経路を使用して、テトラヒドロ-4H-ピラン-4-オンをシクロヘキサノンに置き換え、最終的に化合物YJ108(最終ステップの反応の収率は71%である)を得た。H NMR (500 MHz, DMSO) δ 12.86 (s, 1H), 8.67 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 7.89 (d, J = 8.3 Hz, 2H), 7.50 (d, J = 8.3 Hz, 2H), 7.10-7.02 (m, 4H), 5.19-5.14 (m, 1H), 2.97-2.91 (m, 2H), 2.74 (t, J = 7.7 Hz, 2H), 2.64 (s, 2H), 2.47 (t, J = 8.2, 7.2 Hz, 2H), 1.77-1.73 (m, 2H), 1.72-1.67 (m, 2H), 1.42 (d, J = 7.1 Hz, 3H).
【0057】
実施例1-9、(S)-4-(1-(2-(4-フルオロフェネチル)-5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[b]チオフェン-3-ホルムアミド)エチル)安息香酸(YJ109)の調製
【化57】
化合物YJ106の調製と同じ反応経路を使用して、テトラヒドロ-4H-ピラン-4-オンをシクロペンタノンに置き換え、最終的に化合物YJ109(最終ステップの反応の収率は60%である)を得た。H NMR (500 MHz, DMSO) δ 12.84 (s, 1H), 8.35 (d, J = 7.9 Hz, 1H), 7.90 (d, J = 8.3 Hz, 2H), 7.49 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 7.13-7.10 (m, 2H), 7.06-7.02 (m, 2H), 5.16-5.11 (m, 1H), 3.11-3.06 (m, 2H), 2.80-2.75 (m, 6H), 2.38-2.34 (m, 2H), 1.43 (d, J = 7.1 Hz, 3H).
【0058】
実施例1-10、(S)-4-(1-(2-(4-フルオロフェネチル)-5,5-ジメチル-5,7-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピラン-3-ホルムアミド)エチル)安息香酸(YJ110)の調製
【化58】
化合物YJ106の合成と同じ化学反応経路を使用して、テトラヒドロ-4H-ピラン-4-オンをテトラヒドロ-2,2-ジメチル-4H-ピラン-4-オンに置き換え、最終的に化合物YJ110(最終ステップの反応の収率は67%である)を得た。H NMR (400 MHz, DMSO) δ 12.84 (s, 1H), 8.68 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 7.89 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 7.49 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 7.09-7.00 (m, 4H), 5.19-5.12 (m, 1H), 4.63 (s, 2H), 3.05-2.96 (m, 2H), 2.75 (t, J = 10.0, 10.0 Hz, 2H), 2.47 (s, 2H), 1.43 (d, J = 7.0 Hz, 3H), 1.19 (s, 6H).
【0059】
実施例1-11、(S)-4-(1-(2-(4-(トリフルオロメチル)フェネチル)-5,7-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピラン-3-ホルムアミド)エチル)安息香酸(YJ111)の調製
【化59】
化合物YJ106の合成と同じ化学反応経路を使用して、1-エチニル-4-フルオロベンゼンを1-エチニル-4-(トリフルオロメチル)ベンゼンに置き換え、最終的に化合物YJ111(最終ステップの反応の収率は73%である)を得た。H NMR (500 MHz, DMSO) δ 12.87 (s, 1H), 8.70 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.90 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.58 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.50 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.28 (d, J = 7.9 Hz, 2H), 5.21-5.14 (m, 1H), 4.66 (s, 2H), 3.84 (d, J = 5.6 Hz, 2H), 3.09-3.05 (m, 2H), 2.88-2.85 (m, 2H), 2.62 (s, 2H), 1.43 (d, J = 7.0 Hz, 3H).
【0060】
実施例1-12、(S)-4-(1-(2-(3-(トリフルオロメチル)フェネチル)-5,7-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピラン-3-ホルムアミド)エチル)安息香酸(YJ112)の調製
【化60】
化合物YJ106の合成と同じ化学反応経路を使用して、1-エチニル-4-フルオロベンゼンを1-エチニル-3-(トリフルオロメチル)ベンゼンに置き換え、最終的に化合物YJ112(最終ステップの反応の収率は75%である)を得た。H NMR (500 MHz, DMSO) δ 12.77 (s, 1H), 8.70 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 7.88 (d, J = 6.9 Hz, 2H), 7.55 (d, J = 7.3 Hz, 1H), 7.51-7.46 (m, 4H), 7.37 (d, J = 7.3 Hz, 1H), 5.22-5.12 (m, 1H), 4.65 (s, 2H), 3.83 (s, 2H), 3.14-3.04 (m, 2H), 2.93-2.85 (m, 2H), 2.61 (d, J = 4.4 Hz, 2H), 1.43 (d, J = 6.9 Hz, 3H).
【0061】
実施例1-13、(S)-4-(1-(2-(3-フルオロフェネチル)-5,7-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピラン-3-ホルムアミド)エチル)安息香酸(YJ113)の調製
【化61】
化合物YJ106の合成と同じ化学反応経路を使用して、1-エチニル-4-フルオロベンゼンを1-エチニル-3-フルオロベンゼンに置き換え、最終的に化合物YJ113(最終ステップの反応の収率は68%である)を得た。H NMR (500 MHz, DMSO) δ 12.82 (s, 1H), 8.69 (d, J = 7.4 Hz, 1H), 7.89 (d, J = 7.8 Hz, 2H), 7.50 (d, J = 6.7 Hz, 2H), 7.27 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 7.04-6.88 (m, 3H), 5.17 (s, 1H), 4.66 (s, 2H), 3.83 (s, 2H), 3.06 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 2.80 (s, 2H), 2.61 (s, 2H), 1.43 (d, J = 6.5 Hz, 3H).
【0062】
実施例1-14、(S)-4-(1-(2-(4-フルオロベンジル)-5,7-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピラン-3-ホルムアミド)エチル)安息香酸(YJ114)の調製
【化62】
テトラヒドロ-4H-ピラン-4-オン(2.00 g、20.0 mmol)、シアノ酢酸エチル(2.50 g、22.0 mmol)および硫黄(704 mg、22.0 mmol)を30.0 mのエタノールに溶解し、次に前記溶液にモルホリン(1.74 g、20.0 mmol)を加え、50 ℃で一晩撹拌した。TLCで反応を検出し、反応が完了した後、反応液を酢酸エチルと水で抽出し、有機相を蒸発乾燥し、カラムクロマトグラフィーで精製して淡黄色の固体を得、すなわち2-アミノ-5,7-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピラン-3-カルボン酸エチル(4.29 g、収率94%)を得た。2-アミノ-5,7-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピラン-3-カルボン酸エチル(900 mg、4.0 mmol)を1.5 M HCl(20.0 mL)に溶解し、室温で20分間撹拌し、氷浴下で0 ℃に降温し、溶液にNaNO(414 mg、6.0 mmol)を加え、反応液氷浴下で30分間撹拌し、反応させた。その後、反応液にKI(1.66 g、10.0 mmol)を少しずつ加え、引き続き0 ℃で45分間反応させた。反応が完了した後、反応液を酢酸エチルと水で抽出し、有機相を蒸発乾燥し、カラムクロマトグラフィーで精製して淡黄色の固体を得、すなわち2-ヨード-5,7-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピラン-3-カルボン酸エチル(324 mg、収率24%)を得た。n-ブチルリチウムの1.6Mヘキサン溶液を-78 ℃の温度で10.0 mLのエーテルに加え、次に2-ヨード-5,7-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピラン-3-カルボン酸エチル(200 mg、0.62 mmol)を-78 ℃の温度で少しずつ溶液に添加し、温度を変更せずに1.5時間撹拌して反応させた後、P-フルオロベンズアルデヒド(85 mg、0.68 mmol)を溶液に滴下し、次に-78 ℃の温度で1時間撹拌し、次に0 ℃に加熱し、0 ℃で1時間撹拌し続けた。反応が完了した後、反応液に10.0 mLの塩化アンモニウム水溶液を加え、次に酢酸エチルで抽出し、上層の有機相を蒸発乾燥し、次に精製せずに、生成物を10.0 mLのジクロロメタンに0 ℃で加えて溶解し、温度を変更せずに、トリエチルシラン(0.41 mL、2.48 mmol)をすばやく加え、その後トリフルオロ酢酸(0.47 mL、6.20 mmol)を溶液に滴下した。反応液を0 ℃で30分間攪拌した後、溶媒を蒸発乾燥し、次にクロロホルムに溶解し、5% NaHCO水溶液で洗浄した。最後に、有機相を取り、飽和NaCl溶液で洗浄し、蒸発乾燥し、カラムクロマトグラフィーで精製して白色の固体を得、すなわち2-(4-フルオロベンジル)-5,7-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピラン-3-カルボン酸エチル(172 mg、2ステップ反応の収率は91%である)を得た。2-(4-フルオロベンジル)-5,7-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピラン-3-カルボン酸エチル(80 mg、0.25 mmol)、3.0 mLのTHF、3.0 mLのメタノール、1.0 mLの水および水酸化リチウム一水和物(21 mg、0.5 mmol)を混合して、68 ℃で3時間撹拌し、反応が完了した後、反応液を2M HClで酸性にし、次に酢酸エチルと水で抽出し、有機相を蒸発乾燥し、カラムクロマトグラフィーで精製して白色の固体を得、すなわち2-(4-フルオロベンジル)-5,7-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピラン-3-カルボン酸(69 mg、収率96%)を得た。2-(4-フルオロベンジル)-5,7-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピラン-3-カルボン酸(64 mg、0.22 mmol)、(S)-4-(1-アミノエチル)安息香酸メチル(48 mg、0.26 mmol)、HATU(137 mg、0.36 mmol)およびDIEA(65 mg、0.50 mmol)を2.0 mLのDMFに溶解し、室温で6時間攪拌し、反応が完了した後、反応液を酢酸エチルと水で抽出し、上層の有機相を蒸発乾燥し、カラムクロマトグラフィーで精製してを白色の固体を得、すなわち(S)-4-(1-(2-(4-フルオロベンジル)-5,7-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピラン-3-ホルムアミド)エチル)安息香酸メチル(62 mg、収率62%)を得た。(S)-4-(1-(2-(4-フルオロベンジル)-5,7-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピラン-3-ホルムアミド)エチル)安息香酸メチル(60 mg、0.13 mmol)を3.0 mLのTHF、3.0 mLのメタノール、1.0 mLの水で構成された溶液に溶解し、次に水酸化リチウム一水和物(10 mg、0.24 mmol)を加え、反応液を68 ℃で3時間撹拌し、反応が完了した後、反応液を2M HClで酸性にし、水と酢酸エチルで抽出し、有機相を蒸発乾燥し、カラムクロマトグラフィーで精製して白色の固体を得、すなわち最終生成物YJ114(35 mg、収率61%)を得た。H NMR (500 MHz, DMSO) δ 12.79 (s, 1H), 8.73 (d, J = 7.7 Hz, 1H), 7.90 (d, J = 7.5 Hz, 2H), 7.47 (d, J = 7.7 Hz, 2H), 7.18 (t, J = 6.3, 6.4 Hz, 2H), 7.05 (t, J = 8.5, 8.2 Hz, 2H), 5.17-5.12 (m, 1H), 4.63 (s, 2H), 4.16-4.06 (m, 2H), 3.82 (s, 2H), 2.62 (s, 2H), 1.42 (d, J = 7.4 Hz, 3H).
【0063】
実施例1-15、(S)-4-(1-(2-(4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-5,7-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピラン-3-ホルムアミド)エチル)安息香酸(YJ115)の調製
【化63】
化合物YJ114の合成と同じ化学反応経路を使用して、P-フルオロベンズアルデヒドをP-トリフルオロメチルベンズアルデヒドに置き換え、最終的に化合物YJ115(最終ステップの反応の収率は73%である)を得た。H NMR (400 MHz, DMSO) δ 12.85 (s, 1H), 8.73 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 7.89 (d, J = 7.8 Hz, 2H), 7.57 (d, J = 7.7 Hz, 2H), 7.46 (d, J = 7.9 Hz, 2H), 7.35 (d, J = 7.8 Hz, 2H), 5.20-5.09 (m, 1H), 4.64 (s, 2H), 4.29-4.16 (m, 2H), 3.82 (s, 2H), 2.62 (s, 2H), 1.41 (d, J = 6.8 Hz, 3H).
【0064】
実施例1-16、(S)-4-(1-(2-(3-(トリフルオロメチル)ベンジル)-5,7-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピラン-3-ホルムアミド)エチル)安息香酸(YJ116)の調製
【化64】
化合物YJ114の合成と同じ化学反応経路を使用して、P-フルオロベンズアルデヒドを3-トリフルオロメチルベンズアルデヒドに置き換え、最終的に化合物YJ116(最終ステップの反応の収率は60%である)を得た。H NMR (400 MHz, DMSO) δ 12.83 (s, 1H), 8.77 (d, J = 7.9 Hz, 1H), 7.88 (d, J = 7.9 Hz, 2H), 7.56 (d, J = 5.9 Hz, 2H), 7.50-7.45 (m, 4H), 5.17-5.11 (m, 1H), 4.64 (s, 2H), 4.28-4.18 (m, 2H), 3.82 (t, J = 6.5, 6.4 Hz, 2H), 2.65 (d, J = 17.3 Hz, 2H), 1.41 (d, J = 6.9 Hz, 3H).
【0065】
実施例1-17、(R)-4-(1-(2-(4-フルオロベンジル)-5,7-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピラン-3-ホルムアミド)エチル)安息香酸(YJ117)の調製
【化65】
化合物YJ114の合成と同じ化学反応経路を使用して、(S)-4-(1-アミノエチル)安息香酸メチルを(R)-4-(1-アミノエチル)安息香酸メチルに置き換え、最終的に化合物YJ117(最終ステップの反応の収率は68%である)を得た。H NMR (500 MHz, DMSO) δ 12.84 (s, 1H), 8.73 (d, J = 7.9 Hz, 1H), 7.90 (d, J = 7.7 Hz, 2H), 7.48 (d, J = 7.8 Hz, 2H), 7.18 (t, J = 6.7, 6.1 Hz, 2H), 7.05 (t, J = 8.5, 8.5 Hz, 2H), 5.19-5.11 (m, 1H), 4.63 (s, 2H), 4.16-4.06 (m, 2H), 3.82 (s, 2H), 2.62 (s, 2H), 1.42 (d, J = 6.9 Hz, 3H).
【0066】
実施例1-18、(R)-4-(1-(2-(4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-5,7-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピラン-3-ホルムアミド)エチル)安息香酸(YJ118)の調製
【化66】
化合物YJ114の合成と同じ化学反応経路を使用して、P-フルオロベンズアルデヒドをP-トリフルオロメチルベンズアルデヒドに置き換え、次の反応ステップで(S)-4-(1-アミノエチル)安息香酸メチルを(R)-4-(1-アミノエチル)安息香酸メチルに置き換え、最終的に化合物YJ118(最終ステップの反応の収率は61%である)を得た。H NMR (500 MHz, DMSO) δ 12.82 (s, 1H), 8.73 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.90 (d, J = 8.1 Hz, 2H), 7.57 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.47 (d, J = 8.1 Hz, 2H), 7.36 (d, J = 7.9 Hz, 2H), 5.18-5.12 (m, 1H), 4.65 (s, 2H), 4.29-4.17 (m, 2H), 3.84-3.80 (m, 2H), 2.63 (d, J = 5.3 Hz, 2H), 1.41 (d, J = 7.0 Hz, 3H).
【0067】
実施例1-19、(R)-4-(1-(2-(3-(トリフルオロメチル)ベンジル)-5,7-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピラン-3-ホルムアミド)エチル)安息香酸(YJ119)の調製
【化67】
化合物YJ114の合成と同じ化学反応経路を使用して、P-フルオロベンズアルデヒドを3-トリフルオロメチルベンズアルデヒドに置き換え、次の反応ステップで(S)-4-(1-アミノエチル)安息香酸メチルを(R)-4-(1-アミノエチル)安息香酸メチルに置き換え、最終的に化合物YJ119(最終ステップの反応の収率は70%である)を得た。H NMR (500 MHz, DMSO) δ 12.84 (s, 1H), 8.77 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.89 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.57 (d, J = 6.3 Hz, 2H), 7.48 (t, J = 6.6, 6.8 Hz, 4H), 5.18-5.12 (m, 1H), 4.64 (s, 2H), 4.27-4.20 (m, 2H), 3.83 (t, J = 5.3, 5.4 Hz, 2H), 2.63 (s, 2H), 1.42 (d, J = 7.0 Hz, 3H).
【0068】
実施例1-20、4-((2-(4-フルオロベンジル)-4,7-ジヒドロ-5H-チエノ[2,3-c]ピラン-3-ホルムアミド)メチル)安息香酸(YJ120)の調製
【化68】
化合物YJ114の合成と同じ化学反応経路を使用して、(S)-4-(1-アミノエチル)安息香酸メチルを4-アミノメチル安息香酸メチルエステル塩酸塩に置き換え、最終的に化合物YJ120(最終ステップの反応の収率は90%である)を得た。H NMR (500 MHz, DMSO) δ 12.91 (s, 1H), 8.75 (t, J = 6.1 Hz, 1H), 7.89 (d, J = 6.7 Hz, 2H), 7.39 (d, J = 8.3 Hz, 2H), 7.22 (dd, J = 8.7, 5.6 Hz, 2H), 7.08 (t, J = 10.4 Hz, 2H), 4.63 (s, 2H), 4.48 (d, J = 6.0 Hz, 2H), 4.17 (s, 2H), 3.82 (t, J = 5.5 Hz, 2H), 2.65 (t, J = 5.5 Hz, 2H).
【0069】
実施例1-21、(S)-4-(1-(2-((4-(トリフルオロメチル)ベンジル)アミノ)-5,7-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピラン-3-ホルムアミド)エチル)安息香酸(YJ121)の調製
【化69】
テトラヒドロ-4H-ピラン-4-オン(2.00 g、20.0 mmol)、シアノ酢酸エチル(2.50 g、22.0 mmol)および硫黄(704 mg、22.0 mmol)を30.0 mLのエタノールに溶解し、次に前記溶液にモルホリン(1.74 g、20.0 mmol)を加え、50 ℃で一晩撹拌した。TLCで反応を検出し、反応が完了した後、反応液を酢酸エチルと水で抽出し、有機相を蒸発乾燥し、上層の有機相を蒸発乾燥し、カラムクロマトグラフィーで精製して淡黄色の固体を得、すなわち2-アミノ-5,7-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピラン-3-カルボン酸エチル(4.20 g、収率92%)を得た。2-アミノ-5,7-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピラン-3-カルボン酸エチル(260 mg、1.14 mmol)、4-(トリフルオロメチル)臭化ベンジル(215 mg、1.14 mmol)およびCsCO(929 mg、2.85 mmol)を15.0 mLのアセトンに加え、反応液を60 ℃で一晩攪拌した。反応が完了した後、溶媒を蒸発乾燥し、カラムクロマトグラフィーで精製して白色の固体を得、すなわち2-((4-(トリフルオロメチル)ベンジル)アミノ)-5,7-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピラン-3-カルボン酸エチル(236 mg,62%)を得た。2-((4-(トリフルオロメチル)ベンジル)アミノ)-5,7-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピラン-3-カルボン酸エチル(116 mg、0.3 mmol)、3.0 mLのTHF、3.0 mLのメタノール、1.0 mLの水および水酸化リチウム一水和物(25 mg、0.6 mmol)を混合して、68 ℃で3時間撹拌し、反応が完了した後、反応液を2M HClで酸性にし、次に反応液を酢酸エチルと水で抽出し、有機相を蒸発乾燥し、カラムクロマトグラフィーで精製して白色の固体を得、すなわち2-((4-(トリフルオロメチル)ベンジル)アミノ)-5,7-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピラン-3-カルボン酸(99 mg、92%)を得た。2-((4-(トリフルオロメチル)ベンジル)アミノ)-5,7-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピラン-3-カルボン酸(82 mg、0.23 mmol)、(S)-4-(1-アミノエチル)安息香酸メチル(48 mg、0.26 mmol)、HATU(137 mg、0.36 mmol)およびDIEA(65 mg、0.50 mmol)を2.0 mLのDMFに溶解し、室温で6時間攪拌し、反応が完了した後、反応液を酢酸エチルと水で抽出し、上層の有機相を蒸発乾燥し、カラムクロマトグラフィーで精製してを白色の固体を得、すなわち(S)-4-(1-(2-((4-(トリフルオロメチル)ベンジル)アミノ)-5,7-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピラン-3-ホルムアミド)エチル)安息香酸メチル(72 mg、63%)を得た。(S)-4-(1-(2-((4-(トリフルオロメチル)ベンジル)アミノ)-5,7-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピラン-3-ホルムアミド)エチル)安息香酸メチル(62 mg、0.12 mmol)を3.0 mLのTHF、3.0 mLのメタノール、1.0 mLの水で構成された溶液に溶解し、次に水酸化リチウム一水和物(10 mg、0.24 mmol)を加え、反応液を68 ℃で3時間撹拌し、反応が完了した後、反応液を2M HClで酸性にし、水と酢酸エチルで抽出し、有機相を蒸発乾燥し、カラムクロマトグラフィーで精製して白色の固体を得、すなわち最終生成物最終生成物YJ121(35 mg、収率58%)を得た。1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 12.85 (s, 1H), 8.73 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.89 (d, J = 7.9 Hz, 2H), 7.56 (d, J = 7.9 Hz, 3H), 7.51 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.43 (d, J = 7.9 Hz, 3H), 5.20-5.13 (m, 7.0 Hz, 1H), 4.53 (s, 2H), 4.25-4.14 (m, 4H), 3.87-3.76 (m, 2H), 1.43 (d, J = 7.0 Hz, 3H)
【0070】
実施例1-22、(S)-4-(1-(2-(4-メトキシフェネチル)-4,7-ジヒドロ-5H-チエノ[2,3-c]ピラン-3-ホルムアミド)エチル)安息香酸(YJ122)の調製
【化70】
化合物YJ106の合成と同じ化学反応経路を使用して、1-エチニル-4-フルオロベンゼンを1-エチニル-4-(メトキシ)ベンゼンに置き換え、最終的に化合物YJ122(最終ステップの反応の収率は80%である)を得た。H NMR (500 MHz, DMSO) δ 12.85 (s, 1H), 8.70 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 7.90 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 7.50 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 6.96 (d, J = 8.5 Hz, 2H), 6.78 (d, J = 8.5 Hz, 2H), 5.22 - 5.12 (m, 1H), 4.66 (s, 2H), 3.83 (t, J = 5.9 Hz, 2H), 3.71 (s, 3H), 2.98 (m, J = 14.8, 7.1 Hz, 2H), 2.70 (t, J = 7.9 Hz, 2H), 2.60 (s, 2H), 1.43 (d, J = 7.1 Hz, 3H).
【0071】
実施例1-23、(S)-4-(1-(2-(3-フルオロベンジル)-4,7-ジヒドロ-5H-チエノ[2,3-c]ピラン-3-ホルムアミド)エチル)安息香酸(YJ123)の調製
【化71】
化合物YJ114の合成と同じ化学反応経路を使用して、P-フルオロベンズアルデヒドをM-フルオロベンズアルデヒドに置き換え、最終的に化合物YJ123(最終ステップの反応の収率は82%である)を得た。H NMR (500 MHz, DMSO) δ 12.83 (s, 1H), 8.78 (d, J = 7.9 Hz, 1H), 7.89 (d, J = 8.1 Hz, 2H), 7.47 (d, J = 8.1 Hz, 2H), 7.28 (s, 1H), 7.00 (m, J = 13.4, 7.3 Hz, 3H), 5.21 - 5.10 (m, 1H), 4.64 (s, 2H), 4.15 (m, J = 31.4, 15.5 Hz, 2H), 3.83 (s, 2H), 2.63 (m, 2H), 1.42 (d, J = 7.0 Hz, 3H).
【0072】
実施例1-24、(S)-4-(1-(2-(4-クロロベンジル)-4,7-ジヒドロ-5H-チエノ[2,3-c]ピラン-3-ホルムアミド)エチル)安息香酸(YJ124)の調製
【化72】
化合物YJ114の合成と同じ化学反応経路を使用して、P-フルオロベンズアルデヒドをP-クロロベンズアルデヒドに置き換え、最終的に化合物YJ124(最終ステップの反応の収率は82%である)を得た。H NMR (500 MHz, DMSO) δ 12.83 (s, 1H), 8.74 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.90 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 7.46 (d, J = 8.1 Hz, 2H), 7.28 (d, J = 8.3 Hz, 2H), 7.16 (d, J = 8.3 Hz, 2H), 5.20 ? 5.08 (m, 1H), 4.63 (s, 2H), 4.11 (m, J = 39.6, 15.5 Hz, 2H), 3.82 (m, J = 9.0, 5.4 Hz, 2H), 2.62 (d, J = 4.4 Hz, 2H), 1.41 (d, J = 7.0 Hz, 3H).
【0073】
実施例1-25、(S)-4-(1-(2-(3-フルオロ-4-メトキシベンジル)-4,7-ジヒドロ-5H-チエノ[2,3-c]ピラン-3-ホルムアミド)エチル)安息香酸(YJ125)の調製
【化73】
化合物YJ114の合成と同じ化学反応経路を使用して、P-フルオロベンズアルデヒドを3-フルオロ-4-メトキシベンズアルデヒドに置き換え、最終的に化合物YJ125(最終ステップの反応の収率は79%である)を得た。H NMR (500 MHz, DMSO) δ 12.81 (s, 1H), 8.75 (d, J = 7.9 Hz, 1H), 7.90 (d, J = 7.5 Hz, 2H), 7.47 (d, J = 7.6 Hz, 2H), 7.06 - 6.95 (m, 2H), 6.90 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 5.20 - 5.10 (m, 1H), 4.64 (s, 2H), 4.06 (dd, J = 38.0, 15.5 Hz, 2H), 3.88 - 3.72 (m, 5H), 2.62 (d, J = 3.8 Hz, 2H), 1.42 (d, J = 6.8 Hz, 3H).
【0074】
実施例1-26、(S)-4-(1-(2-(3-クロロベンジル)-4,7-ジヒドロ-5H-チエノ[2,3-c]ピラン-3-ホルムアミド)エチル)安息香酸(YJ126)の調製
【化74】
化合物YJ114の合成と同じ化学反応経路を使用して、P-フルオロベンズアルデヒドをM-クロロベンズアルデヒドに置き換え、最終的に化合物YJ126(最終ステップの反応の収率は81%である)を得た。H NMR (500 MHz, DMSO) δ 12.26 (s, 1H), 8.78 (d, J = 7.9 Hz, 1H), 7.90 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 7.47 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 7.26 (m, J = 8.4 Hz, 3H), 7.13 (d, J = 6.5 Hz, 1H), 5.19 - 5.11 (m, 1H), 4.65 (s, 2H), 4.14 (m, J = 15.4 Hz, 2H), 3.83 (m, J = 5.3 Hz, 2H), 2.63 (d, J = 5.1 Hz, 2H), 1.42 (d, J = 7.0 Hz, 3H).
【0075】
実施例1-27、(S)-4-(1-(2-(3,4-二フルオロベンジル)-4,7-ジヒドロ-5H-チエノ[2,3-c]ピラン-3-ホルムアミド)エチル)安息香酸(YJ127)の調製
【化75】
化合物YJ114の合成と同じ化学反応経路を使用して、P-フルオロベンズアルデヒドを3,4-ジフルオロベンズアルデヒドに置き換え、最終的に化合物YJ127(最終ステップの反応の収率は81%である)を得た。H NMR (500 MHz, DMSO) δ 12.85 (s, 1H), 8.77 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.89 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 7.46 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 7.34 - 7.27 (m, 1H), 7.26 - 7.17 (m, 1H), 7.00 (s, 1H), 5.19 - 5.11 (m, 1H), 4.65 (s, 2H), 4.12 (m, J = 31.8, 15.6 Hz, 2H), 3.83 (m, J = 8.2, 5.5 Hz, 2H), 2.63 (s, 2H), 1.42 (d, J = 7.0 Hz, 3H).
【0076】
実施例1-28、(S)-4-(1-(2-(4-メトキシベンジル)-4,7-ジヒドロ-5H-チエノ[2,3-c]ピラン-3-ホルムアミド)エチル)安息香酸(YJ128)の調製
【化76】
化合物YJ114の合成と同じ化学反応経路を使用して、P-フルオロベンズアルデヒドを4-メトキシベンズアルデヒドに置き換え、最終的に化合物YJ128(最終ステップの反応の収率は85%である)を得た。H NMR (500 MHz, DMSO) δ 12.05 (s, 1H), 8.72 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 7.90 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 7.48 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 7.04 (d, J = 8.5 Hz, 2H), 6.78 (d, J = 8.5 Hz, 2H), 5.20 - 5.11 (m, 1H), 4.62 (s, 2H), 4.04 (m, J = 48.1, 15.5 Hz, 2H), 3.81 (m, J = 11.0, 5.7 Hz, 2H), 3.70 (s, 3H), 2.64 - 2.58 (m, 2H), 1.43 (d, J = 12.6 Hz, 3H).
【0077】
実施例1-29、((2-(3-(トリフルオロメチル)ベンジル)-4,7-ジヒドロ-5H-チエノ[2,3-c]ピラン-3-ホルムアミド)メチル)安息香酸(YJ129)の調製
【化77】
化合物YJ120の合成と同じ化学反応経路を使用して、P-フルオロベンズアルデヒドを3-トリフルオロメチルベンズアルデヒドに置き換え、最終的に化合物YJ129(最終ステップの反応の収率は85%である)を得た。H NMR (500 MHz, DMSO) δ 12.73 (s, 1H), 8.76 (t, J = 6.0 Hz, 1H), 7.81 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.64 (s, 1H), 7.61 - 7.55 (m, 1H), 7.51 (d, J = 5.0 Hz, 2H), 7.23 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 4.63 (s, 2H), 4.44 (d, J = 6.0 Hz, 2H), 4.29 (s, 2H), 3.82 (t, J = 5.5 Hz, 2H), 2.65 (t, J = 5.1 Hz, 2H).
【0078】
実施例1-30、4-((2-(4-フルオロベンジル)-4,7-ジヒドロ-5H-チエノ[2,3-c]ピラン-3-ホルムアミド)メチル)シクロヘキサン-1-カルボン酸(ラセミ体)(YJ130)の調製
【化78】
化合物YJ114の合成と同じ化学反応経路を使用して、(S)-4-(1-アミノエチル)安息香酸メチルを4-アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸メチルエステル塩酸塩に置き換え、最終的に化合物YJ130(最終ステップの反応の収率は90%である)を得た。H NMR (500 MHz, DMSO) δ 12.02 (s, 1H), 8.16 (t, J = 5.4 Hz, 1H), 7.38 - 7.19 (m, 2H), 7.11 (t, J = 8.8 Hz, 2H), 4.62 (s, 2H), 4.14 (s, 2H), 3.82 (t, J = 5.3 Hz, 2H), 3.06 (t, J = 6.1 Hz, 2H), 3.06 (t, J = 6.1 Hz, 2H), 2.61 (s, 2H), 1.87 (d, J = 11.1 Hz, 2H), 1.73 (d, J = 11.4 Hz, 2H), 1.43 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 1.24 (dd, J = 22.8, 12.6 Hz, 2H), 0.93 (dd, J = 23.5, 11.5 Hz, 2H).
【0079】
実施例1-31、(1-(2-(4-フルオロベンジル)-4,7-ジヒドロ-5H-チエノ[2,3-c]ピラン-3-ホルムアミド)シクロプロピル)安息香酸(YJ131)の調製
【化79】
化合物YJ114の合成と同じ化学反応経路を使用して、(S)-4-(1-アミノエチル)安息香酸メチルを4-(1-アミノシクロプロピル)安息香酸メチルに置き換え、最終的に化合物YJ131(最終ステップの反応の収率は80%である)を得た。H NMR (500 MHz, DMSO) δ 12.81 (s, 1H), 8.96 (s, 1H), 7.82 (d, J = 8.3 Hz, 2H), 7.23 (m, J = 11.4, 5.6 Hz, 4H), 7.12 (t, J = 8.8 Hz, 2H), 4.65 (s, 2H), 4.18 (s, 2H), 3.84 (t, J = 5.4 Hz, 2H), 2.67 (s, 2H), 1.31 (d, J = 4.4 Hz, 2H), 1.24 (s, 2H).
【0080】
実施例2、ヒト/マウスプロスタグランジンE2受容体EP4サブタイプのカルシウム流動阻害に対する本発明の化合物の効果の評価
CHO-K1 Gα16安定トランスフェクト細胞を対数増殖期に取り、EP4過剰発現ベクタープラスミドをLipofectamine 2000でトランスフェクトし、その後培養液100μLあたり20000個の細胞を96ウェルプレート(Falcon、CA)に入れ、一晩培養した。翌日、100μLのMD会社のCalcium5検出試薬を各ウェルに添加し、37 ℃で、5%COインキュベーターで45分間インキュベートした。化合物をHBSS検出バッファーで希釈し、96ウェルプレートに入れ、室温暗所で20分間インキュベートした後、検出のために細胞カルシウムフローを一定の濃度のプロスタグランジンE2で活性化した(Flexstation 3、MD、CA)。
【0081】
ヒトPGE2受容体EP4サブタイプ(hEP4)およびマウスPGE2受容体EP4サブタイプ(mEP4)のカルシウムフロー阻害の本発明の化合物のIC50を計算するために、すなわちCHO-K1Gα16安定トランスフェクト細胞で、hEP4またはmEP4受容体の過剰発現後に細胞内Ca2+フローが半分に抑制されたときの薬物濃度を計算するために、GraphPad Prism 5.0ソフトウェアを使用して薬物のIC50を計算した。
表2は、ヒト/マウスプロスタグランジンE2受容体EP4サブタイプに対する本発明のいくつかの化合物のカルシウム流動阻害率のIC50を示す。表2から分かるように、本発明の実施例で調製された化合物のほとんどは、ヒト/マウスプロスタグランジンE2受容体EP4サブタイプのカルシウムフローに対して良好な阻害率を示した。
【0082】
【表3】
【0083】
実施例3、ヒトプロスタグランジンE2受容体EP1、EP2、EP3サブタイプのカルシウム流動阻害に対する本発明の化合物の効果の評価
CHO-K1 Gα16安定トランスフェクト細胞を対数増殖期に取り、ヒトプロスタグランジンE2受容体サブタイプEP1、EP2、EP3過剰発現ベクタープラスミドをLipofectamine 2000でトランスフェクトし、その後培養液100μLあたり20000個の細胞を96ウェルプレート(Falcon、CA)に入れ、一晩培養した。翌日、100μLのMD会社のCalcium5検出試薬を各ウェルに添加し、37 ℃で、5%COインキュベーターで45分間インキュベートした。化合物をHBSS検出バッファーで希釈し、96ウェルプレートに入れ、室温暗所で20分間インキュベートした後、検出のために細胞カルシウムフローを一定の濃度のプロスタグランジンE2で活性化した(Flexstation 3、MD、CA)。
【0084】
ヒトEP1、EP2、EP3受容体のカルシウムフロー阻害の本発明の化合物のIC50を計算するために、すなわちCHO-K1Gα16安定トランスフェクト細胞で、ヒトEP1、EP2、EP3受容体の過剰発現後に細胞内Ca2+フローが半分に抑制されたときの薬物濃度を計算するために、GraphPad Prism 5.0ソフトウェアを使用して薬物のIC50を計算した。
表3は、ヒトプロスタグランジンE2受容体EP1、EP2、EP3サブタイプに対する本発明のいくつかの化合物のカルシウム流動阻害率のIC50を示す。表3から分かるように、本発明の実施例で調製されたいくつかの化合物は、ヒトプロスタグランジンE2受容体EP1、EP2、EP3サブタイプのカルシウムフローのIC50が10μMより大きく、拮抗活性がない。
【0085】
【表4】
実施例2および実施例3は、本発明により調製された化合物がEP受容体に対して良好な特異性を有し、EP4に対してのみ良好な拮抗活性を有し、EP1、EP2、EP3に対して拮抗活性を有さないことを示す。
【0086】
実施例4、ヒトプロスタグランジンE2受容体EP4に拮抗する本発明の化合物のタイプの評価
293細胞を対数増殖期に取り、EP4過剰発現ベクタープラスミドとGlosensorプラスミドをLipofectamine 2000でトランスフェクトし、37 ℃で、5%COインキュベーターで一晩インキュベートした。翌日、細胞をトリプシンで消化し、2%血清を含むHBSS検出バッファーに再懸濁して15000個の細胞/ 20μlにし、Promega会社のGloSensorTMcAMP試薬を4%の濃度で添加した。混合した後、20μl/ウェルを384ウェルプレートに入れ、室温暗所で1.5時間インキュベートした。化合物をHBSS検出バッファーで希釈し、384ウェルプレートに追加し、室温暗所で20分間インキュベートした後、検出のために細胞内cAMPを一定の濃度のプロスタグランジンE2で活性化した(Flexstation 3、MD、CA)。
【0087】
アンタゴニストは、それらの異なる効果のために、競合的アンタゴニストと非競合的アンタゴニストに分類され得る。アゴニストのプロスタグランジンE2の濃度が固定されている場合、EP4受容体の競合的アンタゴニストは、濃度勾配依存的にプロスタグランジンE2によるcAMPのアップレギュレーション程度を阻害することができる。より高い濃度に達すると、競合的アンタゴニストはプロスタグランジンE2によるcAMPのアップレギュレーション作用を完全に阻害できる。同時に、十分に高い濃度のプロスタグランジンE2は、一定の濃度の競合的アンタゴニストの効果を取り除き、cAMPを最大値にまでアップレギュレートできる。競合的アンタゴニストの存在は、プロスタグランジンE2のcAMPのアップレギュレーション作用の濃度-効果曲線を右に平行移動する。
図1は、本発明のいくつかの化合物のヒトプロスタグランジンE2受容体EP4サブタイプcAMPのアップレギュレーション程度を検出するための濃度-効果曲線である。図1から分かるように、本発明の実施例により調整された化合物YJ114は、添加濃度の増加に伴って、プロスタグランジン受容体E2のcAMPアップレギュレーションの濃度-効果曲線を右に平行移動し、最大値は変化しない。アンタゴニストE7046拮抗メカニズムと同じであるため、本発明の実施例で調製した化合物は、プロスタグランジンE2受容体EP4の競合的アンタゴニストとして使用することができる。
【0088】
実施例5、腫瘍成長に対する本発明の化合物の阻害作用
本発明で使用される陽性薬物E7046は、日本のエーザイ株式会社によって開発されたEP4アンタゴニストに属し、現在2つの臨床I期にあり、それぞれ(NCT02540291)進行性悪性腫瘍患者のE7046の安全性と忍容性の評価、(NCT03152370)進行性大腸癌患者の治療のために術前化学療法/放射線療法と組み合わせたE7046の安全性と忍容性の評価であり、ここで第1項は杭州adlai Nortyeへの移管により中止されたが、前記化合物はEP4受容体に対して優れた拮抗活性を示し(8.5 nM PGEを使用してヒト由来のEP4受容体を刺激し、E7046を使用して阻害してIC50 = 13 nMを得、ヒト由来のEP4受容体の親和性活性は17nMであり、マウス由来のEP4受容体の親和性活性は200nMである)、また、T細胞と骨髄由来細胞の活性を高めることにより、腫瘍の成長を阻害することができ、大腸癌、乳癌、膵臓癌、肉腫などのマウス動物モデルで、優れた阻害効果を示した(Oncoimmunology, 2017, 6(8): e1338239.)。E7046は本発明により保護された化合物とは非常に異なり、E7046の構造は以下の通りである:
【化80】
【0089】
6-8週の雌Balb/cマウスの背中の右側に、1×10マウスの大腸癌細胞CT26をそれぞれ皮下注射した。ノギスを使用して、マウスの背部の皮下腫瘍の長さと幅を測定し、腫瘍体積(mm)=長さ(mm)×幅(mm)×幅(mm)×Π/6を計算した。腫瘍サイズが100 mm-200 mmに達した後、マウスをランダムに7つのグループに分けた。それぞれ陰性対照群、75mg/kg/日用量E7046陽性対照群、75mg/kg/日用量の本発明の化合物YJ106投与群、75mg/kg/日用量の本発明の化合物YJ114投与群、75mg/kg/日用量の本発明の化合物YJ115投与群、75mg/kg/日用量の本発明の化合物YJ116投与群、および75mg/kg/日用量の本発明の化合物YJ120投与群である。マウスの背中の皮下腫瘍の体積を週に2回測定し、カウントした。14日間投与を続け、腫瘍体積の変化を記録した。
【0090】
結果は図3に示したように、すなわち本発明の化合物がマウスの大腸癌の成長阻害に対する投与2週間後の効果を示す。陰性対照群と比較して、本発明の化合物YJ106、YJ114、YJ115、YJ116およびYJ120は、75 mg/kg/日用量で皮下腫瘍を有する大腸癌の増殖を阻害することができ、陽性対照群E7046と比較して、同じ用量で、腫瘍成長の阻害における本発明の化合物の効果は、E7046の効果に匹敵する。統計分析により点検すると、本発明の化合物YJ106、YJ114、YJ115、YJ116およびYJ120投与群の腫瘍体積のサイズおよび陰性対照群の腫瘍体積のサイズはP <0.05(P値は、統計分析中に仮説試験結果を決定するために使用されるパラメーターであり、P値が小さいほど、結果は著しい)であり、すなわち著しい差があり、前記統計分析結果は陽性対照群E7046と一致している。
【0091】
実施例6、多くの異なる腫瘍の成長に対する本発明の化合物YJ114の阻害作用
マウス大腸癌細胞MC38、膵臓癌細胞Pan02、乳癌細胞4T1、前立腺癌細胞RM-1および大腸癌細胞CT26を担腫瘍マウスに必要な数まで体外で培養および増殖し、その後それぞれ5×10-2×10の細胞密度でメスC57BL/6マウス(MC38、Pan02)、オスC57BL/6マウス(RM-1)、メスBalb/cマウス(4T1、CT26)およびメスBalb/cヌードマウス(CT26)の右背部に腫瘍を皮下注射した。ノギスを使用して、マウスの背部の皮下腫瘍の長さと幅を測定し、腫瘍体積(mm)=長さ(mm)×幅(mm)×幅(mm)×Π/6を計算した。マウスの背部の担腫瘍のサイズが100 mm-200 mmに達した後、マウスをランダムに2つのグループに分け、それぞれ陰性対照群および75mg/kg/日用量の本発明の化合物YJ114投与群である。マウス背部の皮下腫瘍の体積を測定し、週に2-4回カウントした。12-22日間投与を続け、腫瘍体積の変化を記録した。
【0092】
結果は図4に示したように、すなわち本発明の化合物YJ114の投与12-22日後の様々なマウス腫瘍成長に対する阻害効果を示す。陰性対照群と比較して、75 mg/kg/日用量の本発明の化合物YJ114は、皮下腫瘍マウス大腸癌細胞MC38、膵臓癌細胞Pan02、乳癌細胞4T1、前立腺癌細胞RM-1および大腸癌細胞CT26を効果的に阻害できる。統計分析により点検すると、本発明の化合物YJ114投与群の腫瘍体積のサイズおよび陰性対照群の腫瘍体積のサイズのP値はすべて<0.05であり、すなわち著しい差がある。しかし、免疫系欠損症のBalb/cヌードマウスのCT26細胞皮下腫瘍モデルでは、75 mg/kg/日用量の本発明の化合物YJ114は腫瘍増殖を阻害できなかったし、投与群の腫瘍体積のサイズおよび陰性対照群の腫瘍体積のサイズはP>0.05であり、著しい差がない。
上記の実験結果は、健全な免疫システムを備えたマウス皮下腫瘍モデルでは、本発明の化合物YJ114が腫瘍の成長を十分に阻害でき、一方免疫システム欠乏Balb/cヌードマウス皮下腫瘍モデルでは、腫瘍の成長を阻害することを示し、本発明の化合物YJ114が、健康な免疫システムに依存して、体内で腫瘍の成長を阻害することを示す。
【0093】
実施例7、本発明の化合物の細胞毒性評価
E7046および本発明の化合物は、マウス骨肉腫細胞MOSJ、膵臓癌細胞PANC02、乳癌細胞EMT-6、肺癌細胞LLC、腸癌細胞CT-26、およびアデノウイルスE1A遺伝子でトランスフェクトされたヒト腎上皮細胞株293(ツール細胞293)で細胞毒性評価を行った。培養液100μLあたり2000-8000個の細胞があり、96ウェルプレート(Falcon、CA)に入れて24時間培養した後、細胞を異なる濃度勾配の薬物で処理し、各濃度は少なくとも4つの複数ウェルで、37 ℃、5%COインキュベーターで72時間培養した。次に、CCK8方法を使用して細胞活性を検出し、すなわち各ウェルに10μLCCK8を加え、0.33-2時間インキュベートし、マイクロプレートリーダーで450 nmのOD値を測定した。化合物の各濃度の細胞生存阻害率を計算した。
【0094】
細胞生存阻害率=(各濃度群のOD値/対照群のOD値)×100%±標準偏差
さらに、化合物の細胞増殖阻害IC50を計算し(検出される細胞増殖阻害の50%での薬物濃度はIC50である)、GraphPad Prism 5.0ソフトウェアを使用して薬物のIC50を計算した。
表4は、マウス腫瘍細胞およびツール細胞293の増殖を阻害するために本発明の実施例で調製されたいくつかの化合物のIC50値を示す。表4から、本発明のほとんどの化合物は、マウス腫瘍細胞およびツール細胞293においてIC50>100 μmolを有することが分かる。上記の実験結果は、本発明の化合物が腫瘍細胞自体に対して殺害作用を有さないことを示しているので、体内で生じる腫瘍増殖を阻害する効果は免疫システムによって生じると推測される。
【0095】
【表5】
【0096】
実施例8、マウス骨髄細胞の分化作用に対する本発明の化合物の評価
6-8週のBALB/cマウスを選択して、頸椎脱水症によって犠牲にし、75%のエタノールで5分間浸した後、両側大腿骨と脛骨を分離し、付着した筋肉を完全に剥がして滅菌PBSに浸した。骨の両端を滅菌条件下で切り取り、1 mLのシリンジで白くなるまで、Gibco会社のRPMI1640培地を骨髄腔に繰り返して洗浄した。収集した骨髄細胞懸濁液を40μmフィルターでろ過し、組織の破片を取り除き、細胞十分に分散させた。1000 rpmで5分間遠心し、上清を捨て、赤血球溶解液を加えて赤血球を十分に溶解し、遠心した。RPMI 1640培地で細胞を1×10個/mLに再懸濁し、Corning社の6ウェルプレートに4 mL/ウェルで挿入し、GM-CSF(10 ng/mL)とIL-4(5 ng/mL)(Sigma、MO)を加え、プロスタグランジンE2と試験化合物を異なる処理条件下で同時に加え2日間培養した後、前と同じ処理条件で培地を交換して培養し、4日目と6日目に培地の半分を交換した。8日間培養した後、浮遊細胞と接着細胞を収集し、F4/80(マクロファージ表面マーカー)とCD11c(樹状細胞表面マーカー)を30分間インキュベートし、フローサイトメトリー(FACS Calibur、BD Biosciences)を使用して、分析とテストを実行した。
【0097】
図2は、本発明の化合物YJ114のマウス骨髄細胞の分化作用に対する評価である。DC(樹状細胞)、MDSC、および腫瘍関連マクロファージはすべて骨髄単球に由来し、同時に、臨床患者の腫瘍では、プロスタグランジンE2(PGE)のレベルが免疫抑制細胞MDSCおよびM2腫瘍関連マクロファージの蓄積としばしば正の関連がある。したがって、本発明の化合物YJ114が骨髄単球の抗原提示細胞への分化に影響を与えるかどうかをさらに試験した。図2から、100nMのPGE2を追加すると、GM-CSF/IL-4によって誘導されるDCの形成を著しく阻害できることがわかり、ただし、100nMのPGEと本発明の化合物YJ114を同時に追加すると、DCの形成に対するPGEの阻害効果を解放し、良好な濃度依存性を示した。同じ濃度のアンタゴニストE7046と比較して、本発明の化合物YJ114は、マウス骨髄分化を調節するより良い効果を示した。
【0098】
本発明で言及されるすべての文書は、あたかも各文書が個々に参照により組み込まれたかのように、本出願に参照により組み込まれている。さらに、本発明の上記の教示内容を読んだ後、当業者は本発明に様々な変更または修正を加えることができ、これらの同等の形態も本願に添付された特許請求の範囲によって定義される範囲内にあることを理解されたい。
図1
図2
図3
図4