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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-22
(45)【発行日】2022-03-30
(54)【発明の名称】設備点検システム
(51)【国際特許分類】
   G08G 5/00 20060101AFI20220323BHJP
   B64C 39/02 20060101ALI20220323BHJP
   B64D 47/08 20060101ALI20220323BHJP
   B64C 13/18 20060101ALI20220323BHJP
   G09B 29/10 20060101ALI20220323BHJP
   G09B 29/00 20060101ALI20220323BHJP
   H02G 1/02 20060101ALI20220323BHJP
【FI】
G08G5/00 A
B64C39/02
B64D47/08
B64C13/18 D
G09B29/10 A
G09B29/00 F
H02G1/02
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2017053738
(22)【出願日】2017-03-17
(65)【公開番号】P2018156491
(43)【公開日】2018-10-04
【審査請求日】2020-01-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000003687
【氏名又は名称】東京電力ホールディングス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】501464255
【氏名又は名称】株式会社テプコシステムズ
(73)【特許権者】
【識別番号】513203071
【氏名又は名称】ブルーイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137338
【弁理士】
【氏名又は名称】辻田 朋子
(72)【発明者】
【氏名】濱田 浩
(72)【発明者】
【氏名】大内 勝広
(72)【発明者】
【氏名】岸垣 暢浩
(72)【発明者】
【氏名】飯田 毅
(72)【発明者】
【氏名】熊田 貴之
(72)【発明者】
【氏名】熊田 雅之
(72)【発明者】
【氏名】酒井 和也
(72)【発明者】
【氏名】松尾 卓
【審査官】▲高▼木 真顕
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-058758(JP,A)
【文献】特開2005-253189(JP,A)
【文献】特開2006-082774(JP,A)
【文献】特開2017-033232(JP,A)
【文献】特開2016-197980(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0074896(KR,A)
【文献】特開2013-062946(JP,A)
【文献】特表2018-510423(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/00 - 21/36
G01C 23/00 - 25/00
G08G 1/00 - 99/00
G09B 29/00 - 29/14
H02G 1/00 - 1/10
B64B 1/00 - 1/70
B64C 1/00 - 99/00
B64D 1/00 - 47/08
B64F 1/00 - 5/60
B64G 1/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像部及び計測装置を有する飛行体を用いて電線の点検を行う為の設備点検システムであって、
点検対象の設備情報の登録を行う設備情報登録手段と、
点検情報の登録を行う点検情報登録手段と、
前記設備情報及び点検情報を用いて、設備点検を行う際に飛行体が飛行する飛行経路に関する経路情報の設定を行う経路設定手段と、
前記経路情報を有し、飛行体への点検指示を与える為の飛行計画の設定を行う飛行計画設定手段と、
前記飛行計画を前記飛行体に出力する飛行計画出力手段と、
前記撮像部又は計測装置で得られた点検環境情報である対物情報に基づいて電線の弛度を検出し、前記弛度に応じて高度の移動量を算出して前記飛行経路を修正し、撮影画像のオーバーラップ率並びに高度の移動量に基づいて水平方向の移動量を変更することで前記飛行経路を修正する修正手段と、
を備えることを特徴とする設備点検システム。
【請求項2】
前記修正手段は、往路における修正内容又は、往路において入力された前記点検環境情報を用いて、復路における前記経路情報又は前記飛行経路を修正することを特徴とする請求項1に記載の設備点検システム。
【請求項3】
前記点検環境情報は、風情報を有し、
前記修正手段は、前記風情報に基づいて前記経路情報又は前記飛行経路の修正を行うこと、を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の設備点検システム。
【請求項4】
前記点検環境情報は、日照情報を有し、
前記修正手段は、前記日照情報に基づいて前記経路情報又は前記飛行経路の修正を行うこと、を特徴とする請求項1~3の何れかに記載の設備点検システム。
【請求項5】
前記点検環境情報は、磁界情報を有し、
前記修正手段は、前記磁界情報に基づいて前記経路情報又は前記飛行経路の修正を行うこと、を特徴とする請求項1~4の何れかに記載の設備点検システム。
【請求項6】
電線の点検を行う為の撮像部及び計測装置を有する飛行体であって、
設備点検を行う際に飛行体が飛行する飛行経路に関する経路情報及び点検情報を用いて生成され、設備点検を行う際に飛行体が飛行する飛行経路に関する経路情報を有する飛行計画を受け取る飛行計画受取手段と、
前記飛行計画の有する経路情報に基づいて、飛行動作を制御する飛行動作制御手段と、
前記飛行動作に伴って撮像部を制御する撮像部制御手段と、
前記撮像部又は計測装置で得られた点検環境情報である対物情報に基づいて電線の弛度を検出し、前記弛度に応じて高度の移動量を算出して前記飛行経路を修正し、撮影画像のオーバーラップ率並びに高度の移動量に基づいて水平方向の移動量を変更することで前記飛行経路を修正する修正手段と、を備えることを特徴とする飛行体。
【請求項7】
電線の点検を行う為の撮像部及び計測装置を有する飛行体の飛行体プログラムであって、
制御部を、設備点検を行う際に飛行体が飛行する飛行経路に関する経路情報及び点検情報を用いて生成され、設備点検を行う際に飛行体が飛行する飛行経路に関する経路情報を有する飛行計画を受け取る飛行計画受取手段と、
前記飛行計画の有する経路情報に基づいて、飛行動作を制御する飛行動作制御手段と、
前記飛行動作に伴って撮像部を制御する撮像部制御手段と、
前記撮像部又は計測装置で得られた点検環境情報である対物情報に基づいて電線の弛度を検出し、前記弛度に応じて高度の移動量を算出して前記飛行経路を修正し、撮影画像のオーバーラップ率並びに高度の移動量に基づいて水平方向の移動量を変更することで前記飛行経路を修正する修正手段と、として機能させることを特徴とする飛行体プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飛行体による設備点検を行う為の設備点検システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、人の搭乗を伴わない無人の飛行体の用途は、玩具としての利用が主であった。しかしながら、近年では、農薬散布や空撮、高所点検、輸送等、様々な用途での使用が行われている。こうした飛行体の開発は各所で盛んに行われており、今後、増々その需要が高まることが考えられる。
【0003】
巡視機(ヘリコプターなど)を用いた設備点検に関する技術として、巡視コース上の鉄塔と鉄塔間を結ぶ線上から所定の幅内に設定された危険空域範囲を、画面上に斜線や表示色を変えて表示し、さらにGPSシステム等からの位置情報を利用して巡視機の現在位置を表示し、危険空域に巡視機が接近したかどうかをGPSから取得した巡視中の現在位置情報と、予め設定しておいた危険空域情報とに基づいて判断し、危険空域に異常接近したときは警告を発することで、送電設備が設置された危険空域への異常接近を目視にのみによる場合よりも、より確実に検知できる巡視コース監視方法が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2005-274284号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、飛行体を用いて設備の点検を行う為の技術として、上述のような技術が知られている。従来技術を、自律飛行して設備の点検を行う飛行体に適用することで、飛行体の現在位置と、飛行が禁止された領域の情報と、に基づいて、領域への侵入や異常接近を、自律飛行を行う飛行体の監督者に通知したり、飛行体の飛行経路の制御を行うことができる。しかしながら、飛行が禁止された領域と飛行体の位置情報に基づいて制御を行うのみでは、自律飛行を行う飛行体が設備点検を実施する環境下で生じる影響を加味して、効果的に自律飛行の制御を実施することはできない。
【0006】
そのため、自律飛行を行う飛行体が設備点検を実施する環境下で生じる影響を加味して、飛行経路の修正を行う為の技術が待ち望まれていた。
【0007】
本発明は、上記のような実状に鑑みてなされたものであり、自律飛行を行う飛行体を用いて設備の点検を行うことが可能な設備点検システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、撮像部を有する飛行体を用いて設備点検を行う為の設備点検システムであって、
点検対象の設備情報の登録を行う設備情報登録手段と、
点検情報の登録を行う点検情報登録手段と、
前記設備情報及び点検情報を用いて、設備点検を行う際に飛行体が飛行する飛行経路に関する経路情報の設定を行う経路設定手段と、
前記経路情報を有し、飛行体への点検指示を与える為の飛行計画の設定を行う飛行計画設定手段と、
前記飛行計画を前記飛行体に出力する飛行計画出力手段と、
入力された点検環境情報に基づいて、前記経路情報又は前記飛行経路を修正する修正手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
このような構成とすることで、入力された点検環境情報に基づいて経路情報又は飛行経路を修正しながら飛行を行うことが可能な設備点検システムを提供することができる。
【0010】
本発明の好ましい形態では、前記修正手段は、通過済みの地点における修正内容又は、通過済みの地点までに入力された前記点検環境情報を用いて、ある地点における前記経路情報又は前記飛行経路を修正することを特徴とする。
このような構成とすることで、経路情報又は飛行経路の修正処理を効率的に実施することが可能となる。
【0011】
本発明の好ましい形態では、前記修正手段は、往路における修正内容又は、往路において入力された前記点検環境情報を用いて、復路における前記経路情報又は前記飛行経路を修正することを特徴とする。
【0012】
本発明の好ましい形態では、前記点検環境情報は、風情報を有し、
前記修正手段は、前記風情報に基づいて前記経路情報又は前記飛行経路の修正を行うこと、を特徴とする。
このような構成とすることで、点検作業を行う環境下の風の影響を加味して、経路情報や飛行経路の修正を行うことができる。
【0013】
本発明の好ましい形態では、前記点検環境情報は、日照情報を有し、
前記修正手段は、前記日照情報に基づいて前記経路情報又は前記飛行経路の修正を行うこと、を特徴とする。
このような構成とすることで、点検作業を行う環境下における日光の影響を加味して、経路情報や飛行経路の修正を行うことができる。
【0014】
本発明の好ましい形態では、前記点検環境情報は、磁界情報を有し、
前記修正手段は、前記磁界情報に基づいて前記経路情報又は前記飛行経路の修正を行うこと、を特徴とする。
このような構成とすることで、点検作業を行う環境下における磁界の影響を加味して、経路情報や飛行経路の修正を行うことができる。
【0015】
本発明の好ましい形態では、前記点検環境情報は、対物情報を有し、
前記修正手段は、前記対物情報に基づいて前記経路情報又は前記飛行経路の修正を行うこと、を特徴とする。
このような構成とすることで、点検作業を行う環境下における障害物等の影響を加味して、経路情報や飛行経路の修正を行うことができる。
【0016】
本発明の好ましい形態では、前記修正手段による修正は、前記飛行体の飛行高度の制御を含むことを特徴とする。
【0017】
本発明の好ましい形態では、前記修正手段による修正は、設定されたラップ率及び前記飛行高度を用いた撮影位置間の移動距離の制御を含むことを特徴とする。
このような構成とすることで、撮影の品質を変えずに、経路情報や飛行経路の修正を行うことができる。
【0018】
本発明は、撮像部を有する飛行体を用いて設備点検を行う為の設備点検サーバであって、
点検対象の設備情報の登録を行う設備情報登録手段と、
点検情報の登録を行う点検情報登録手段と、
前記設備情報及び点検情報を用いて、設備点検を行う際に飛行体が飛行する飛行経路に関する経路情報の設定を行う経路設定手段と、
前記経路情報を有し、飛行体への点検指示を与える為の飛行計画の設定を行う飛行計画設定手段と、
前記飛行計画を前記飛行体に出力する飛行計画出力手段と、
入力された点検環境情報に基づいて、前記経路情報又は前記飛行経路を修正する修正手段と、を備えることを特徴とする。
【0019】
本発明は、撮像部を有する飛行体を用いて設備点検を行う為の設備点検プログラムであって、
コンピュータを、点検対象の設備情報の登録を行う設備情報登録手段と、
点検情報の登録を行う点検情報登録手段と、
前記設備情報及び点検情報を用いて、設備点検を行う際に飛行体が飛行する飛行経路に関する経路情報の設定を行う経路設定手段と、
前記経路情報を有し、飛行体への点検指示を与える為の飛行計画の設定を行う飛行計画設定手段と、
前記飛行計画を前記飛行体に出力する飛行計画出力手段と、
入力された点検環境情報に基づいて、前記経路情報又は前記飛行経路を修正する修正手段と、として機能させることを特徴とする。
【0020】
本発明は、設備点検を行う為の撮像部を有する飛行体であって、
設備点検を行う際に飛行体が飛行する飛行経路に関する経路情報及び点検情報を用いて生成され、設備点検を行う際に飛行体が飛行する飛行経路に関する経路情報を有する飛行計画を受け取る飛行計画受取手段と、
前記飛行計画の有する経路情報に基づいて、飛行動作を制御する飛行動作制御手段と、
前記飛行動作に伴って撮像部を制御する撮像部制御手段と、
入力された点検環境情報に基づいて、前記経路情報又は前記飛行経路を修正する修正手段と、を備えることを特徴とする。
【0021】
本発明は、設備点検を行う為の撮像部を有する飛行体プログラムであって、
制御部を、設備点検を行う際に飛行体が飛行する飛行経路に関する経路情報及び点検情報を用いて生成され、設備点検を行う際に飛行体が飛行する飛行経路に関する経路情報を有する飛行計画を受け取る飛行計画受取手段と、
前記飛行計画の有する経路情報に基づいて、飛行動作を制御する飛行動作制御手段と、
前記飛行動作に伴って撮像部を制御する撮像部制御手段と、
入力された点検環境情報に基づいて、前記経路情報又は前記飛行経路を修正する修正手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、自律飛行を行う飛行体を用いて設備の点検を行うことが可能な設備点検システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施形態1に関る設備点検システムの概要を示す図である。
図2】本発明の実施形態1に関るハードウェア構成の一例を示す図である。
図3】本発明の実施形態1に関る設備点検システムの機能ブロック図である。
図4】本発明の実施形態1に関る飛行計画を設定する際の画面表示例である。
図5】本発明の実施形態1に関る修正手段を用いた飛行経路の修正例を示す図である。
図6】本発明の実施形態1に関る修正手段を用いた飛行経路の修正例を示す図である。
図7】本発明の実施形態1に関る点検管理装置において経路情報を修正する場合の処理フローチャートである。
図8】本発明の実施形態1に関る飛行体において飛行経路を修正する場合の処理フローチャートである。
図9】本発明の実施形態2に関る設備点検システムの概要を示す図である。
図10】本発明の実施形態2に関る設備点検システムの機能ブロック図である。
図11】本発明の実施形態2に関る修正手段を用いた飛行経路の修正例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
<実施形態1>
以下、図面を用いて、本発明の実施形態に関る設備点検システムについて説明する。なお、以下に示す実施形態は本発明の一例であり、本発明を以下の実施形態に限定するものではなく、様々な構成を採用することもできる。本実施形態では、屋外の送電線設備の点検を行う場合について説明する。
【0025】
例えば、本実施形態では設備点検システムの構成、動作などについて説明するが、同様の構成の方法、装置、コンピュータプログラム、記録媒体なども、同様の作用効果を奏することができる。また、プログラムは、記録媒体に記憶させてもよい。この記録媒体を用いれば、例えばコンピュータに前記プログラムをインストールすることができる。ここで、前記プログラムを記憶した記録媒体は、例えばCD-ROM等の非一過性の記録媒体であっても良い。
【0026】
図1は、本発明の実施形態に関る設備点検システムの概要を示す図である。設備点検システムは、点検管理装置1と、飛行体2と、作業者端末3と、中継端末4と、点検業務管理装置5と、設備管理装置6と、を備えている。
【0027】
点検管理装置1は、点検を行う為の飛行計画の作成を行い、中継端末4を介して飛行体2及び作業者端末3に飛行計画を出力する為の装置である。飛行計画を作成する為の設備周辺の地図や設備内の地図、座標データ等を有する設備データ(設備情報)と、点検箇所や過去の点検等の点検データ(点検情報)が、設備管理装置6から点検業務管理装置5に受け渡され、飛行計画作成用データとして点検管理装置1に受け渡される。
【0028】
図2(a)は、本実施形態に関る点検管理装置1のハードウェア構成の一例を示す図である。点検管理装置1は、CPU101と、メモリ102と、記憶装置103と、入力装置104と、出力装置105と、外部装置と通信を行うためのインタフェースである通信装置106と、を備えている。また、記憶装置103は、オペレーティングシステム107(OS)と、設備点検プログラム108などが記録されている。
【0029】
図2(c)は、本実施形態に関る作業者端末3のハードウェア構成の一例を示す図である。作業者端末3は、CPU301と、メモリ302と、記憶装置303と、入力装置304と、出力装置305と、外部装置と通信を行うためのインタフェースである通信装置306と、を備えている。また、記憶装置303は、オペレーティングシステム307(OS)と、設備点検プログラム308などが記録されている。
【0030】
点検業務管理装置5は、中継端末4を介して飛行体2及び作業者端末3から点検作業の結果データを受け取る。
【0031】
本実施形態に関る飛行体2は、複数の翼部をモータ202によって駆動させ、飛行するマルチコプタである。飛行体2は、飛行計画を受け取り、自律飛行並びに撮影を行うことで点検作業を実施する。
【0032】
図2(b)は、飛行体2のハードウェア構成の一例を示す図である。飛行体2は、飛行体2の飛行動作の制御等を行う主制御部201と、飛行体2の翼部を駆動させ、飛行させる為のモータ202と、主制御部201からの信号に基づいてモータ202への電力の給電量を調節するモータコントローラ203と、作業者端末3並びに中継端末4と通信を行う為の無線通信部204と、位置情報や加速度、角加速度、バッテリ残量などの飛行体情報並びに、対物センサ及び磁気センサ等を用いて環境情報を取得するための計測装置205と、対象を撮像するための撮像部206と、撮像部206の動作制御を行う為の撮像制御部207と、記憶部208と、を備える。
【0033】
本実施形態における飛行体2は、GPS(Global Positioning System)通信部(計測装置205)を用いて位置情報を取得し、飛行計画として記憶した位置情報と併せて自律飛行を行うことができる。飛行体2の位置情報の生成は、カメラや他のセンサを用いて、又は組み合わせて、行ってもよい。また、作業者端末3から制御情報を受け取り、作業者の操作によるマニュアル飛行を行うこともできる。自律飛行/マニュアル飛行の切り替えは、作業者端末3から行うことが可能である。飛行体2の無線通信部204及び作業者端末3の通信装置306は、例えばWi-Fi等の無線LANによって通信を行う。
【0034】
本実施形態における作業者端末3は、タブレット端末である。作業者端末3として、PC、スマートフォン、ウェアラブルデバイス等、実施の形態に合わせて好適な電子計算機を適善利用することができる。
【0035】
図3(a)は、点検管理装置1の機能ブロック図である。点検管理装置1は、設備情報登録手段11と、点検情報登録手段12と、経路設定手段13と、飛行計画設定手段14と、飛行計画出力手段15と、点検環境情報取得手段16と、修正手段17と、を備えている。
【0036】
設備情報登録手段11は、点検を行う設備に関する設備情報の登録を受け付ける。本実施形態では、設備情報は設備管理装置6に記憶されており、点検業務管理装置5を介して点検管理装置1に登録される。設備情報は、例えば、設備に関する2次元又は3次元の地図データと、地図データに紐づけられた座標情報(2次元座標、高度を含めた3次元座標等)と、地図データ中の領域に関する情報(飛行可能領域、飛行不可領域EA、飛行高度制限領域EB、等)、管理用の設備IDや設備名等を有している。
【0037】
点検情報登録手段12は、点検に関する点検情報の登録を受け付ける。本実施形態では、点検情報は設備管理装置6に記憶されており、点検業務管理装置5を介して点検管理装置1に登録される。点検情報は、例えば、管理用の点検IDや点検範囲、点検対象の設備ID、等を有している。
【0038】
経路設定手段13は、登録された設備情報及び点検情報に基づいて、飛行体2が自律飛行する経路情報を設定する。本実施形態では、経路情報は、作業者端末3や中継端末4、点検業務管理装置5等を介して入力された点検範囲に基づいて作成される。飛行計画設定手段14は、経路設定手段13で設定した経路情報を有する飛行計画を設定する。
【0039】
図4は、飛行計画を設定する際の画面表示例である。図4(a)は、経路情報の新規設定画面の画面表示例である。設備情報として登録された設備の一覧が表示されており、ここで選択された設備が点検対象として選択され、地図上に表示される。また、地図情報、設備情報と紐付けられた飛行不可領域EAや飛行高度制限領域EB等が表示されている。
【0040】
図4(b)は、経路情報を作成する際の画面表示例である。選択した設備に基づく地図情報が画面に表示される。地図上の点検範囲の選択を行うことで、点検情報として点検範囲が設定される。設定された点検範囲に基づいて、経路設定手段13は経路情報を設定する。
【0041】
図4(c)は、作成された経路情報を表示した画面表示例である。経路情報とは、例えば、選択された設備情報と、入力された点検範囲と、に基づいて設定された飛行経路中に含まれる作業の開始地点STや中継地点WP、作業の終了地点GLなど地点情報、地点間の飛行経路L、地点の通過方法、移動経路中の飛行体2の向き情報、自律飛行の速度、地点通過時の許容誤差、等を有している。
【0042】
図4(d)は、作成された経路情報に基づいて飛行計画を設定する際の画面表示例である。飛行計画は、例えば飛行場所や飛行日時、操縦者名、等の情報を有している。
【0043】
飛行計画出力手段15は、登録した飛行計画を出力する。本実施形態は、中継端末4を介して、飛行体2に飛行計画が出力される。また、作業者端末3からは、ブラウザアプリケーションを介して、閲覧、編集、ダウンロードなどが可能に構成されている。
【0044】
修正手段17は、点検環境情報取得手段16で得られた点検環境情報を用いて、飛行経路や飛行計画を修正する。点検環境情報とは、点検作業を行う環境に関連して取得又は与えられる環境の情報であり、飛行や撮影に影響を与える情報である。点検環境情報は、経路情報の決定や変更、飛行体2の飛行経路の変更、点検作業の継続の判断、等に利用される。点検環境情報は、例えば、風環境をシミュレーションする外部の風速シミュレータや風向並びに風速を取得する風向風速計等の風向風速取得部109から得られた風情報、外部から入力又は記憶装置103に記憶された日照方角、日照時間、等の日照情報、設備周辺の磁界情報等である。
【0045】
図3(b)は、飛行体2の機能ブロック図である。飛行体2は、飛行計画受信手段21と、飛行動作制御手段22と、撮像部制御手段23と、点検環境情報取得手段24と、修正手段25と、画像伝送手段26と、履歴情報出力手段27と、を備えている。
【0046】
飛行計画受信手段21を介して、飛行計画設定手段14により設定された飛行計画を受信し、記憶部208に記憶する。飛行動作制御手段22は、飛行体2の飛行動作を制御する。飛行計画に則って、作業の開始時間になった場合、又は作業の開始指示が与えられた場合には、記憶した経路情報に基づいて飛行経路を設定しながら飛行を制御する。
【0047】
本実施形態では、飛行計画で与えられた経路情報に基づいて、飛行動作制御手段22は、飛行経路を飛行する。飛行体2は、経路情報として与えられた地点と、各地点間を結ぶ直線(移動経路)に沿って飛行する。与えられた直線に沿った飛行は、計測装置205によって得られた位置情報や加速度、角加速度等と、与えられた地点の座標と、を用いて行う。
【0048】
撮像部制御手段23は、撮像部206による撮像動作を制御する。飛行計画に則って、作業の開始時間になった場合、又は作業の開始指示が与えられた場合には、記憶した経路情報に基づいて飛行経路を設定しながら撮像部206が制御され、画像(静止画像又は動画像)を取得する。
【0049】
本実施形態では、飛行体2は、飛行中、所定距離移動、撮影、といった動作を繰り返すことで点検対象の撮影を行う。この所定距離は、記憶部208に記憶された、画像間の重なりを示す画像のオーバーラップ率や、撮像部206の性能情報に基づいて算出される。
【0050】
本実施形態では、撮像部206による撮像タイミング等について制御を行っているが、撮像部206のズーム機能や、撮像部206の向きを制御する撮影方向制御機構を制御するような構成であってもよい。撮像のタイミングは飛行体2によって算出され、制御されているが、指示される撮像タイミングの一部又は全部が、飛行計画によって与えられても構わない。また、集音部(図示せず)等を設け、撮像部206によって得られる画像以外の情報を、併せて取得するよう構成しても構わない。取得した画像、その他情報は、飛行経路の座標情報や取得日時の情報と紐づけられ、記憶部208に記憶される。
【0051】
修正手段25は、点検環境情報取得手段24で得られた点検環境情報を用いて、飛行経路や飛行計画を修正する。例えば、磁気センサ部(計測装置205)から得られた磁界情報、撮像部206から得られた画像情報(撮像した障害物や撮影対象物に関する情報、明るさの情報等から得られる太陽光又は反射光等に関する日照情報等)を利用して、修正を行う。飛行体2に風向風速計(図示せず)を設けて風情報を取得したり、外部から入力又は記憶装置103に記憶された日照方角、日照時間、等の日照情報、設備周辺の磁界情報等を利用して、修正を実施しても構わない。
【0052】
図5図6を用いて、飛行体2が修正手段25を用いて、飛行経路を修正する修正例について説明する。図5(a)、図5(b)は、磁気センサ部を介して得られた磁界情報に基づいて、飛行経路を変更する場合の例である。飛行体2は、与えられた飛行計画に基づいて、開始地点STから地点中継WP1、中継地点WP2、中継地点WP3、中継地点WP4を経由して、次の中継地点WP5に移動している。
【0053】
その際、点検環境情報取得手段24が、設定された閾値以上の磁気を検出すると、修正手段25が飛行経路を開始地点STに帰還するものに変更する。図5(b)は帰還する際の飛行経路を示す図である。飛行体2は、与えられた経路情報に基づく飛行経路Lでの飛行を中止して、変更された飛行経路LAに基づいて開始の開始地点ST(新たな終了地点GL)に帰還する。こうした帰路(復路)の飛行経路は、往路の経路情報、飛行経路、往路で得た点検環境情報等に基づいて設定されてもよい。
【0054】
図6(a)、図6(b)は、撮像部206や、対物センサ(計測装置205)を介して得られた対物情報に基づいて、飛行経路を変更する場合の例である。図6(a)は、点検対象である送電線ELを撮影し、点検する場合に、経路の修正を行わなかった場合の例である。ここで撮影範囲OBは、撮像部206によって撮影される画像の範囲である。
【0055】
飛行体2は、与えられた飛行計画に基づいて、開始地点STから移動と撮影を繰り返しながら進行する。しかし、撮影対象である送電線ELは、弛度を有しており、飛行体2の飛行高度を制御する処理、又は撮像部206の撮影向き等を制御しなければ、所望の画像を得ることができない。図6(a)は、飛行経路Lと、予め設定されたオーバーラップ率での撮影範囲OB1~OB9の例を示す図である。隣り合った撮影範囲OBが重なり合った部分が、オーバーラップ率として指定された画像の重なり割合である。
【0056】
本実施形態における飛行体2は、修正手段25を用いて、点検環境情報取得手段24が取得した環境情報(対物情報)に基づいて、飛行体2の飛行経路Lを制御する。図6(b)は、修正した飛行経路LAと、その時の撮影範囲OB1~OB9の例を示す図である。修正手段25は、与えられた対物情報に基づいて送電線ELの弛度を検出し、弛度に応じて高度の移動量を算出し、オーバーラップ率並びに高度の移動量に基づいて水平方向の移動量を変更して、飛行経路を修正する。
【0057】
画像伝送手段26は、撮像部206で撮像した画像を、無線通信部204を介して出力する。本実施形態では、作業者端末3に撮像した画像を出力し、作業者端末3では撮影している画像をリアルタイムで確認することができる。
【0058】
履歴情報出力手段27は、記憶部208に記憶された、取得した画像等の履歴データ、その他情報、飛行体2の主制御部201で作成されたログデータ等を有する履歴情報を、無線通信部204を介して出力する。出力は、点検作業の実施中に行ってもよいし、点検作業終了後に行ってもよい。
【0059】
図3(c)は、作業者端末3の機能ブロック図である。作業者端末3は、飛行計画受信手段31と、飛行計画管理手段32と、飛行情報表示手段33と、履歴情報管理手段34と、運転切替手段35と、マニュアル制御手段36と、撮像部設定手段37と、画像伝送手段38と、を備えている。
【0060】
飛行計画は、飛行計画受信手段31を介して作業者端末3に出力される。本実施形態では、作業者端末3の備えるウェブブラウザアプリケーションを介して、設定された飛行計画をダウンロードし、記憶装置303に記憶する。
【0061】
飛行計画管理手段32は、飛行計画の編集等を受け付ける。本実施形態では、記憶装置303に記憶された飛行計画又は飛行計画設定手段14で設定された飛行計画を編集することができる。
【0062】
飛行情報表示手段33は、飛行体2の飛行体情報を表示する。本実施形態では、点検作業中の飛行体2の位置情報やバッテリ残量等を、通信装置306を介して受信し、表示させる。また、画像伝送手段38は、飛行体2の撮像部206等で得られた画像データを表示させ、飛行体2の周辺の状況を確認することができる。
【0063】
履歴情報管理手段34は、履歴情報出力手段27を介して出力された履歴情報を記憶装置303に記憶する。記憶した履歴情報は、中継端末4を介して、点検業務管理装置5等に出力される。例えば点検管理装置1等に出力されても構わない。
【0064】
運転切替手段35は、飛行体2の自律飛行モード及びマニュアル飛行モードの切り替えを行う。マニュアル飛行モードに切り替えた場合、マニュアル制御手段36を介して飛行体2の操作情報を入力することで、飛行体2をマニュアル飛行させることができる。
【0065】
撮像部設定手段37は、飛行体2での撮像や、撮像部206に関する情報の設定を行う。例えば、撮像部206のメーカーや、モデル名、焦点距離、画像幅、画像高、センサ幅、センサ高、分解能、撮像する画像のオーバーラップ率、等の登録、設定を行うことができる。
【0066】
次いで、図7を用いて、経路情報の修正処理について説明する。図7は、点検管理装置1において経路情報を修正する場合の処理フローチャートである。設備情報を新規登録する場合(ステップS1でYES)、設備情報登録手段11を介して、設備情報を登録する(ステップS2)。飛行計画を新規登録する場合(ステップS3でYES)、点検情報登録手段12を介して、点検情報を登録する(ステップS4)。
【0067】
点検情報が登録されると、経路設定手段13によって経路情報が生成され(ステップS5)、飛行計画が登録される(ステップS6)。既に登録された飛行計画に関する経路情報又は、新たに登録された飛行計画(経路情報)について、環境情報による経路情報の修正が必要な場合(ステップS7でYES)、修正手段17は経路情報を修正する(ステップS8)。登録された飛行計画は、飛行計画出力手段15を介して出力される(ステップS9)。
【0068】
図8は、飛行体2において飛行経路を修正する場合の処理フローチャートである。飛行体2は、飛行計画受信手段21を介して、点検作業を実施する為の飛行計画を受け取る(ステップS11)。
【0069】
飛行体2は、飛行計画に基づく作業開始時間になった場合や、作業開始の要求に基づいて、作業開始地点に移動する(ステップS12)。飛行計画に基づいて、飛行動作制御手段22や撮像部制御手段23を制御し、点検作業を実施する(ステップS13)。
【0070】
点検環境情報取得手段24で得た環境情報による飛行経路の修正が必要な場合(ステップS14でYES)、ステップS15に進む。環境情報によって飛行経路を変更しながら作業を継続する場合(ステップS15でNO)、修正手段25は飛行経路を修正し(ステップS16)、点検作業を行う(ステップS17)。作業終了地点に到達するまで、ステップS14~S17の処理が繰り返される(ステップS18)。
【0071】
ステップS15において、環境情報によって作業を中断する必要がある場合(ステップS15でYES)、修正手段25は帰還用に飛行経路を修正し(ステップS19)、点検作業を終了する。作業が終了すると、履歴情報出力手段27は履歴情報を出力する。
【0072】
<実施形態2>
次いで、図9~11を用いて、本発明の実施形態2に関る設備点検システムについて説明する。なお、実施形態1と同様の構成については、同様の符号を付してその説明を省略する。本実施形態では、設備点検システムを用いて屋内の設備点検を行う場合について説明する。
【0073】
図9は、本発明の実施形態に関る設備点検システムの概要を示す図である。設備点検システムは、点検管理装置1と、飛行体2と、ポート8と、ユーザ端末9と、点検要求装置10と、を備えている。
【0074】
飛行体2、ポート8、点検要求装置10は、同設備内に設置されている。点検要求装置10が点検情報を点検管理装置1に出力すると、点検管理装置1は点検情報に基づいて所定の位置を撮影する為の飛行計画を作成し、ポート8を介して飛行体2に与える。点検情報は、緊急時など、例えば特定の場所の点検が必要になった際に発生られる。飛行体2は、ポート8から受け取った飛行計画に基づいて、飛行し、目的地で撮影を行う。作業を終えるとポート8に帰還し、作業に係る履歴情報を、ポート8を介して外部のユーザ端末9に出力する。
【0075】
図10は、設備点検システムの機能ブロック図である。図10に示すように、本実施形態に係る飛行体2は、飛行計画受信手段21と、飛行動作制御手段22と、撮像部制御手段23と、点検環境情報取得手段24と、修正手段25と、画像伝送手段26と、履歴情報出力手段27と、を備えている。
【0076】
ポート8は、記憶部801と、通信装置802と、給電部803と、飛行計画受信手段81と、飛行計画出力手段82と、履歴情報管理手段83と、画像伝送手段84と、給電制御手段85と、を備えている。
【0077】
点検要求装置10は、点検情報を点検管理装置1に出力する。点検情報は、例えば設備内のセンサ装置で異常値を検知した場合等に自動的に点検管理装置1に出力される。点検要求装置10は必ずしも備えられている必要はなく、例えばユーザ端末9からの点検要求(点検情報の出力)を受けて、点検を実施するように構成しても構わない。
【0078】
本実施形態における点検情報は、撮影を所望する所定の位置や範囲に関する情報を有しており、点検管理装置1は、点検業務管理装置5から登録された設備情報と、点検情報と、に基づいて、点検情報で指定された所定の位置を撮影する為の飛行計画を作成する。
【0079】
作成された飛行計画は、飛行計画受信手段81を介してポート8に受け渡され、飛行計画出力手段82を介して、飛行体2に受け渡される。飛行体2は、待機時にはポート8上に待機しており、無線通信部204、飛行計画受信手段21を介して飛行計画を受信する。
【0080】
履歴情報管理手段83は、ポート8を介して、履歴情報出力手段27を介して出力された履歴情報を点検管理装置1や、ユーザ端末9に出力する。例えば、直接点検管理装置1等に出力する構成であっても構わない。
【0081】
画像伝送手段84は、飛行体2の撮像部206等で得られた画像データを表示させ、飛行体2の周辺の状況を確認することができる。給電制御手段85は、給電部803を介して、飛行体2のバッテリへの給電を制御する。
【0082】
図11を用いて、飛行体2が修正手段25を用いて、飛行経路を制御する場合の一例について説明する。図11は、撮像部206や、対物センサ(計測装置205)を介して得られた対物情報に基づいて、飛行経路を変更する場合の例である。
【0083】
図11(a)、図11(b)は、点検管理装置1を介して与えられた飛行計画に基づいて設定された、飛行経路Lと、施設の地図情報と、を示す図である。図11(a)に示すように、飛行経路LOは往路の飛行経路を、図11(b)に示すように、飛行経路LRは復路の経路を示している。開始地点STは飛行経路の開始地点を、終了地点GLは飛行経路の目標地点を示す。飛行体2は、図11(a)に示す終了地点GLに向かい、その地点で撮影を行って、ポート8に帰還することを、飛行計画によって指示されている。
【0084】
本実施形態における飛行体2は、修正手段25を用いて、点検環境情報取得手段24が取得した環境情報(対物情報)に基づいて、飛行体2の飛行経路L(LO及びLR)を修正する。飛行体2は、修正された飛行経路LOA及びLRAに基づいて飛行動作制御手段22及び撮像部制御手段23を制御して自律飛行する。
【0085】
図11(c)、図11(d)は、修正した飛行経路LOA並びにLRAを示す図である。飛行体2が飛行計画によって与えられた経路情報に基づいて飛行経路を自律飛行中、障害物Bを発見する。障害物Bは、点検環境情報取得手段24によって、撮像部206や、対物センサ(計測装置205)を介して、環境情報(対物情報)として取得される。点検環境情報取得手段24は、併せて、障害物Bを発見した周囲の対物情報を取得する。
【0086】
修正手段25は、記憶部208に記憶された飛行可能領域に関する情報と、取得した対物情報を用いて、飛行計画によって与えられた経路情報による飛行経路を、障害物Bを回避した飛行経路に修正する。進行が不可能な場合には、経路情報に基づく大体ルートに修正するように構成してもよい。
【0087】
目的地点に到達したなら、撮影を行い、ポート8まで帰還する。帰還後には、ポート8を介して履歴情報を出力する。なお、復路の飛行経路は、往路で修正を行った飛行経路又は得られた環境情報(対物情報)に基づいて修正されてもよい。
【0088】
本発明によれば、入力された点検環境情報に基づいて経路情報又は飛行経路を修正しながら飛行を行うことが可能な設備点検システムを提供することができる。
【0089】
また、過去の修正や環境情報に基づいて修正を行うことで、経路情報又は飛行経路の修正処理を効率的に実施することができる。
【0090】
また、点検作業を行う環境下の風、日光、磁界、障害物等の影響を加味して、経路情報や飛行経路の修正を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0091】
飛行体を用いて効率的に設備点検を実施する為の設備点検システムを提供することができる。
【符号の説明】
【0092】
1 点検管理装置
101 CPU
102 メモリ
103 記憶装置
104 入力装置
105 出力装置
106 通信装置
107 オペレーティングシステム
108 設備点検プログラム
109 風向風速取得部
11 設備情報登録手段
12 点検情報登録手段
13 経路設定手段
14 飛行計画設定手段
15 飛行計画出力手段
16 点検環境情報取得手段
17 修正手段
2 飛行体
201 主制御部
202 モータ
203 モータコントローラ
204 無線通信部
205 計測装置
206 撮像部
207 撮像制御部
208 記憶部
21 飛行計画受信手段
22 飛行動作制御手段
23 撮像部制御手段
24 点検環境情報取得手段
25 修正手段
26 画像伝送手段
27 履歴情報出力手段
3 作業者端末
301 CPU
302 メモリ
303 記憶装置
304 入力装置
305 出力装置
306 通信装置
307 オペレーティングシステム
308 設備点検プログラム
31 飛行計画受信手段
32 飛行計画管理手段
33 飛行情報表示手段
34 履歴情報管理手段
35 運転切替手段
36 マニュアル制御手段
37 撮像部設定手段
38 画像伝送手段
4 中継端末
5 点検業務管理装置
6 設備管理装置
8 ポート
801 記憶部
802 通信装置
803 給電部
81 飛行計画受信手段
82 飛行計画出力手段
83 履歴情報管理手段
84 画像伝送手段
85 給電制御手段
9 ユーザ端末
10 点検要求装置
EA 飛行不可領域
EB 飛行高度制限領域
ST 開始地点
WP 中継地点
GL 終了地点
L、LO、LR、LA、LOA、LRA 飛行経路
EL 送電線
OB 撮影範囲
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11