(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-22
(45)【発行日】2022-03-30
(54)【発明の名称】複数の適用方法に適した単一添加剤耐熱材料
(51)【国際特許分類】
C04B 35/66 20060101AFI20220323BHJP
F27D 1/10 20060101ALI20220323BHJP
F27D 1/16 20060101ALI20220323BHJP
【FI】
C04B35/66
F27D1/10
F27D1/16 Z
F27D1/16 W
F27D1/16 M
F27D1/16 A
(21)【出願番号】P 2019560073
(86)(22)【出願日】2018-01-25
(86)【国際出願番号】 US2018015173
(87)【国際公開番号】W WO2018140567
(87)【国際公開日】2018-08-02
【審査請求日】2020-12-18
(32)【優先日】2017-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519268001
【氏名又は名称】ステラ マテリアルズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100070024
【氏名又は名称】松永 宣行
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】デッカー、 ジェンス
【審査官】浅野 昭
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0252653(US,A1)
【文献】米国特許第03817770(US,A)
【文献】米国特許第03561987(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 35/66
F27D 1/10
F27D 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高温アプリケーションにおける使用のための構造体を形成または修理する方法であって、
亜硝酸ナトリウム(NaNO
2)添加剤を耐熱材料と混ぜ
て耐熱混合物を形成すること、および
前記耐熱
混合物を構造体の表面に適用すること
を含
み、
前記亜硝酸ナトリウム添加剤が、溶液の総重量に基づいて0.1重量パーセントから8.0重量パーセントの亜硝酸ナトリウムを有する亜硝酸ナトリウム溶液であり、
前記耐熱材料が、少なくとも0.2重量%であるが2.5重量パーセント未満の酸化カルシウムを含む低セメント耐熱材料であり、
前記耐熱混合物が、ホスフェート、ポリカルボキシレート、ポリグリコールエーテル、ポリアクリレート、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される分散剤をさらに含む、
方法。
【請求項2】
前記亜硝酸ナトリウム溶液が水溶液である、請求項
1に記載の方法。
【請求項3】
前記亜硝酸ナトリウム
添加剤が、前記構造体の表面に前記耐熱
混合物を適用する前の5分以内に、前記耐熱材料と混ぜられる、請求項1
または2に記載の方法。
【請求項4】
前記耐熱
混合物を適用することが、キャスティング、ポンピング、空圧式乾式吹き付け、ラミングまたは湿式ショットクリート法を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記耐熱材料がアルミナを含
み、前記耐熱材料が耐熱材料の総重量に基づいて4.0重量パーセントから15.0重量パーセントのマイクロシリカを含む、請求項1から
4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記亜硝酸ナトリウム
添加剤を添加する前に前記耐熱材料に
前記分散剤を添加することをさらに含み、分散剤の量が、前記耐熱材料の総重量に基づいて0.08重量パーセントから1.0重量パーセントである、請求項
1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
亜硝酸ナトリウム溶液を耐熱材料と混ぜ
て耐熱混合物を形成する工程であって、前記亜硝酸ナトリウム溶液が、溶液の重量に基づいて0.01重量パーセントから
8.0重量パーセントの亜硝酸ナトリウムを含み、前記亜硝酸ナトリウム溶液は、乾燥耐熱材料および亜硝酸ナトリウム溶液をあわせた重量に基づいて0.01重量パーセントから4.0重量パーセントの亜硝酸ナトリウムの重量パーセントにおいて混ぜられる、工程、および
前記耐熱
混合物を構造体の表面に適用する工程
を含
み、
前記耐熱材料が、少なくとも0.2重量%であるが2.5重量パーセント未満の酸化カルシウムを含む低セメント耐熱材料であり、
前記耐熱混合物が、ホスフェート、ポリカルボキシレート、ポリグリコールエーテル、ポリアクリレート、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される分散剤を含む、 高温アプリケーションにおける使用のための構造体を形成または修理する方法。
【請求項8】
前記耐熱
混合物を適用する工程が、キャスティング、ポンピング、空圧式乾式吹き付け、ラミング、または湿式ショットクリート法を含む、請求項
7に記載の方法。
【請求項9】
前記耐熱材料が、前記耐熱材料の総重量に基づいて4.0重量パーセントから15.0重量パーセントのマイクロシリカを含む、請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
前記耐熱材料がアルミナを含む、請求項
7から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記分散剤が、前記耐熱材料中に、前記亜硝酸ナトリウム添加剤の添加前に、
前記耐熱材料の総重量に基づいて0.08から1.0重量パーセントの量で存在する、請求項
7から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
亜硝酸ナトリウム添加剤を耐熱材料と混ぜ
て耐熱混合物を形成する工程であって、前記亜硝酸ナトリウム添加剤が、亜硝酸ナトリウム粉末および水を含み、亜硝酸ナトリウム粉末の量が、亜硝酸ナトリウム
添加剤の総重量の1.0重量パーセントから
8.0重量パーセントであり、乾燥耐熱材料および亜硝酸ナトリウム添加剤をあわせた重量に基づいて0.10重量パーセントから
4.0重量パーセントである、工程、および
前記耐熱
混合物を構造体の表面に、キャスティング、ポンピング、空圧式乾式吹き付け、ラミング、湿式ショットクリート法、またはこれらの組み合わせによって適用する工程を含み、
前記耐熱材料が、少なくとも0.2重量%であるが2.5重量パーセント未満の酸化カルシウムを含む低セメント耐熱材料であり、
前記耐熱材料が、ホスフェート、ポリカルボキシレート、ポリグリコールエーテル、ポリアクリレート、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される分散剤を含み、
前記耐熱材料が50重量パーセントから85重量パーセントのアルミナを含む、
高温アプリケーションにおける使用のための構造体を形成または修理する方法。
【請求項13】
前記分散剤が前記
耐熱材料の総重量に基づいて0.08重量パーセントから1.0重量パーセントの量
で前記耐熱材料に存在する、請求項
12に記載の方法。
【請求項14】
前記耐熱混合物が前記耐熱混合物の総重量に基づいて1重量パーセントから10重量パーセントの水を含む、請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
前記耐熱材料が、前記耐熱材料の総重量に基づいて4.0重量パーセントから15.0重量パーセントのマイクロシリカを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記分散剤が前記耐熱材料の総重量に基づいて0.08重量パーセントから0.1重量パーセントの量で前記耐熱材料に存在する、請求項12から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記亜硝酸ナトリウム添加剤が亜硝酸ナトリウムと水とのみからなる、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記耐熱混合物が乾燥収縮0.1%未満である、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年1月25日に出願された米国仮特許出願番号第62/450,150号の優先権を主張し、その全体は参照によって本明細書に組み込まれる。
本開示は、一般に、耐熱材料および表面に耐熱材料を適用する方法に関する。特に、本明細書に提供される耐熱材料、システムおよびそれらの使用の方法は、幅広い高温アプリケーションにおいて有用なモノリシック(monolithic)表面を形成する。
【背景技術】
【0002】
溶融金属または物質焼却のために使用される高温容器は、内部空間または内容物の熱を封じ込めるために耐熱材料で内張りされる。このような耐熱性物質は、熱的ストレスに耐えることができなければならないだけでなく、化学的および物理的摩耗に対して耐性でなければならない。
【0003】
典型的な耐熱材料は、あらかじめ焼成されたレンガの内張りとして設置されるか、モノリシック材料としてその場でキャスティングされるか、または設置の前に焼成されたあらかじめキャスティングされた形状として提供される。モノリシック耐熱材料は、キャスティング、ラミング、空圧式乾式吹き付け、ポンピングおよび湿式ショットクリートなどのさまざまな設置方法で設置され得る。個々の設置の特徴を得るために、それぞれの具体的な設置方法のための材料処方を設計することが必要である。例えば、ラミング材料は、柔軟性および非スランプ性を必要とするが、キャスティンググレードは、良好な流動性または高いスランプを必要とする。別の例として、乾式吹き付けに適切な耐熱材料は、通常、キャスティンググレードよりも微細度が低い粒子材料を含有する。耐熱材料中に存在する粒子材料の微細度が低いと、ノズルにおいて濡らすことが必要な粒子表面積が減少する。
【0004】
個々の設置方法のために必要な材料の性質は、流動性を促進し耐熱性およびポンピング混合物が要する水を減少させる、分散剤などの添加剤で調整される。多糖類および粘土のような他の添加剤は、ラミング混合物および空圧式乾式吹き付け混合物に必要な非スランプ性を促進して、柔軟性および低リバウンドを可能にする。湿式ショットクリート法については、材料が表面に衝突したら直ちに硬化させるために、典型的には硬化促進剤がノズルにおいて添加される。これらの異なる添加剤はすべてモノリシック材料の設計を非常に複雑にする。
【0005】
加えて、異なる適用要件に起因して、現場での設置は、一般に、異なる設置状況について現場でいくつかの異なる材料を必要とする。例えば、燃焼器のためのラミング混合、衝撃および高摩耗の場所のための低水要求性キャスタブル、屋根の部分のための乾式吹き付け、および大きな壁の部分のための湿式ショットクリート材料。残念ながら、適切な調査が行われるまで、作業の範囲および関連する材料の量を予測することは必ずしも可能ではなく、これは、加熱炉が冷却され足場材料が設置されてはじめて可能になる。ほとんどの耐熱材料が、より長い供給のリードタイムを有し、作業の範囲および提供される量が個々の適用に十分であるか否かを知ることなく過剰量の材料があらかじめ必要とされることが多いので、これは、さらなる問題を生じさせ得る。
【発明の概要】
【0006】
耐熱システムが多数の事前材料および複雑な設置手順を必要とせず、いくつかの適用方法を使用して容易に適用することが可能な、耐熱システムおよびその適用を改善するための継続的な必要性が存在する。
【0007】
1つまたは複数の実施形態によれば、高温アプリケーションにおける使用のための構造体を形成または修理する方法は、亜硝酸ナトリウム(NaNO2)添加剤を耐熱材料と混ぜること、および耐熱材料を構造体の表面に適用することを含む。
【0008】
本開示の1つまたは複数の実施形態において、耐熱組成物は、低セメント耐熱材料および亜硝酸ナトリウム(NaNO2)添加剤を含む。耐熱材料は50重量パーセントから85重量パーセントの間のアルミナを含む。亜硝酸ナトリウム添加剤は、亜硝酸ナトリウム溶液の総重量に基づいて1重量パーセントから8重量パーセントの亜硝酸ナトリウムを有し、耐熱材料の総重量に基づいて1重量パーセントから10重量パーセントの、亜硝酸ナトリウム溶液を含む。任意選択で、分散剤が耐熱組成物に組み込まれていてもよい。分散剤は、ホスフェート、ポリカルボキシレート、ポリグリコールエーテル、ポリアクリレートおよびこれらの組み合わせから選択される。
【発明を実施するための形態】
【0009】
特定の態様の以下の説明は、実質上、単なる例示であり、本発明、その適用または使用の範囲を限定することを企図するものではなく、当然ながら、それらは、変動し得る。本開示は、本明細書に含まれる非限定的な定義および用語に関連して提供される。これらの定義および用語は、本発明の範囲または実施を限定するものとして機能することを意図するものではなく、説明および記述の目的のためにのみ提示する。方法または成分は、個々の工程の順序または使用する具体的な材料として説明されるが、本明細書に提示される工程もしくは材料またはこれらの均等物は、当業者によって容易に理解されるように、それらの説明が、多くの態様で配置された複数の部分または工程を含み得るように、互換可能であり得ることが理解される。
【0010】
本明細書において使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、限定することを企図するものではない。本明細書で使用される場合、単数形の「a」、「an」および「the」は、文脈が明確に他を指示していない限り、「少なくとも1つ」を含む複数形を含むことを企図する。「または」は「および/または」を意味する。本明細書で使用される場合、「および/または」という用語は、1つまたは複数の関連して列挙された項目のありとあらゆる組み合わせを含む。「含む(comprises)」および/もしくは「含む(comprising)」または「含む(includes)」および/もしくは「含む(including)」という用語は、本明細書で使用される場合、言及された特徴、領域、整数、工程、操作、要素および/または成分の存在を規定するが、1つもしくは複数の他の特徴、領域、整数、工程、操作、要素、成分および/またはこれらの群の存在または追加を除外するものではないことがさらに理解される。「またはこれらの組み合わせ」という用語は、先行する要素の少なくとも1つを含む組み合わせを意味する。
【0011】
他に指示されていない限り、本明細書および特許請求の範囲において使用される「約(about)」または「およそ(approximate)」または「およそ(approximately)」という用語によって修飾される、距離、サイズまたは他の寸法を表現するすべての数は、最小の有効数字まで変動することが理解されるべきである。加えて、本明細書および特許請求の範囲における範囲の開示は、範囲それ自身および範囲内に包含されるあらゆるものを含むだけでなく、端点を含むものとして理解されるべきである。他に指示されていない限り、本明細書および特許請求の範囲において説明される数値的性質は、本開示の実施形態において得ようとする所望の性質に応じて変動し得る近似値である。本開示の広い範囲を説明する数値的範囲およびパラメーターは近似値ではあるが、具体的な実施例において説明される数値は、可能な限り正確に報告している。
【0012】
他に定義されていない限り、本明細書で使用されるすべての用語(技術的用語および科学的用語を含む)は、本開示が属する技術分野の当業者によって通常理解されるものと同じ意味を有する。通常使用される辞書において定義されるものなどの用語は、関連技術および本開示の文脈におけるそれらの意味と一致する意味を有するものとして解釈されるべきであることがさらに理解され、本明細書で明示的にそのように定義されていない限り、理想化された、または過度に形式的な意味では解釈されないだろう。
【0013】
本開示の材料および方法は、キャスティング、ポンピング、空圧式乾式吹き付け、ラミングおよび湿式ショットクリートなどの複数の設置方法のための耐熱材料の設置特性を可能にする、亜硝酸ナトリウム添加剤を耐熱材料に組み入れる。亜硝酸ナトリウム添加剤は、適用方法の範囲に従って、適用の場所で添加されてもよい。
【0014】
本開示の実施形態は、高温アプリケーションにおける使用のための構造体を形成または修理する方法を含む。1つまたは複数の実施形態において、本方法は、亜硝酸ナトリウム(NaNO2)添加剤を耐熱材料と混ぜること、および耐熱材料を構造体の表面(任意選択で、床などの水平部分から外れるかまたは水平部分は除外されるが、屋根または他の張り出し構造を含む構造体の表面)に適用することを含む。
【0015】
「耐熱材料」という用語は、本開示にその全体が参照によって組み込まれるASTM C71の耐熱性物質に関する標準用語に準じて、1,000°F(811K;538℃)を上回る環境に曝される構造体のために、またはそのようなシステムの成分として、材料を適用可能にする化学的および物理的性質を有する材料(任意選択で、非金属材料)を意味する。
【0016】
「乾燥耐熱材料」という用語は、標準温度および圧力(STP)(22.5±2.5℃の温度、かつおよそ1気圧の圧力)で液体である材料を除く。例えば、乾燥耐熱材料に基づく総重量は、水または溶媒の重量を含まない。
【0017】
1つまたは複数の実施形態において、耐熱材料は、骨材(aggregate)成分およびバインダーを含む。耐熱材料のいくつかの実施形態において、骨材成分は50から90総乾燥重量パーセントで存在する。骨材成分は、限定されるものではないが、フリント粘土、ムルコア、玄武岩、かんらん石、珪藻岩、バーミキュライト、パーライト、モロカイト、ギブサイト、カイアナイト、ムライト、クロマイト、板状アルミナ、酸化ケイ素、シリカ、焼成ボーキサイト、酸化クロム、ジルコニア、リン鉱石およびこれらの混合物から選択し得る。加えて、骨材成分は、アルミナを含み得、任意で、最終組成アルミナ50~85重量パーセントで含んでいてもよい。骨材成分の粒子径は0.1から1000ミクロンの範囲であり得る。骨材粒子は、球状、多面体、不定形およびこれらの組み合わせを含むさまざまな形状であり得る。
【0018】
1つまたは複数の実施形態において、耐熱材料は、低セメント耐熱材料を含んでいてもよい。「低セメント」という用語は、少なくとも0.2重量%であるが2.5重量パーセントには満たない酸化カルシウムを含有する材料を意味する。任意選択で、耐熱材料は、ムライト材料、酸化アルミニウム、アルミン酸カルシウムセメント、焼成アルミナ、反応性アルミナ、マイクロシリカおよびポリエチレングリコール、ならびにこれらの組み合わせを含んでいてもよい。任意選択で、耐熱材料は、乾燥耐熱材料の総量に基づいて50.0から75.0重量パーセントのムライト材料を含んでいてもよく、この中でムライト材料は50.0から65.0パーセントの酸化アルミニウムを含む。任意選択で、耐熱材料は、乾燥耐熱材料の総量に基づいて、3.0から10.0重量パーセントのアルミン酸カルシウムセメント、10.0から25.0重量パーセントの焼成アルミナ、4.0から15.0重量パーセントのマイクロシリカ、および0.1から2.0重量パーセントのポリエチレングリコールを含んでいてもよい。任意選択で、耐熱材料は、乾燥耐熱材料の総量に基づいて2.0から5.0重量パーセントの反応性アルミナを含んでいてもよい。
【0019】
このような耐熱材料の実例としては、アルミナ、およびアルミン酸カルシウムなどのセメント系成分から形成されるものが挙げられる。加えて、低セメント耐熱性物質の例示的実施形態は、70重量パーセントの4メッシュから325メッシュのムライト材料(例えば、Mulcoa 60 aggregate)(典型的には58.6重量%のAl2O3)、5重量パーセントのアルミン酸カルシウムセメント(例えば、Secar 71)、6重量パーセントのマイクロシリカ(例えば、Elkem 966)、15重量パーセントの焼成アルミナ(例えば、Almatis製)、0.08重量パーセントのポリエチレングリコールおよび3.92重量パーセントの反応性アルミナ(例えば、Almatis製)を含む、アルミナ系耐熱性物質であり得る。
【0020】
いくつかの実施形態において、耐熱材料は分散剤をさらに含んでいてもよい。分散剤は、ホスフェート、ポリカルボキシレート、ポリグリコールエーテル、ポリアクリレート系材料またはこれらの任意の組み合わせから選択され得る。ホスフェート系分散剤を有する材料の実例は、米国特許第7,503,974号および米国特許出願番号第13/577,305号(米国特許出願公開第2012/0304904号としても公開)に例示的に記載されており、本明細書に参照によって組み込まれる。Stellar Materials, Inc.、Boca Raton.、FL製のさまざまな市販材料、例示的には、Thermbond 7004またはThermblock 85などの他の材料も使用され得る。材料およびそれらの製造の方法の実例は、米国特許第6,447,596号および米国特許第5,888,292号においてみることができ、本明細書に参照によって組み込まれる。
【0021】
分散剤は、任意選択で、乾燥物質の総重量に基づいて1.0重量パーセントから10.0重量パーセント、またはこれらの間の任意の値もしくは範囲の全体濃度で、耐熱材料と混ぜられ得る。任意選択で、分散剤は、3.0重量パーセントから7.0重量パーセント、またはこれらの間の任意の値もしくは範囲の全体濃度で、乾燥耐熱材料と混ぜられ得る。任意選択で、分散剤は、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5または10.0重量パーセントの全体濃度で、乾燥耐熱材料と混ぜられる。
【0022】
実施形態において、亜硝酸ナトリウム添加剤は、亜硝酸ナトリウム溶液中に存在する。亜硝酸ナトリウム溶液は、適切な溶媒に、任意選択で水に、任意選択で10,000gの水あたり50グラムから800グラムの乾燥亜硝酸ナトリウム粉末の比で、溶解した亜硝酸ナトリウムを含んでいてもよい。本開示において、「水」という用語は、限定されるものではないが、脱イオン水、精製水、天然水、汽水または水処理プラントから入手可能な水を含み得る。水は、微量のカルシウム、ナトリウム、フッ化物および飲料水中で通常見られる他のイオンを含有していてもよい。
【0023】
いくつかの実施形態において、耐熱性物質と混ぜられる前の亜硝酸ナトリウム溶液は、溶液(すなわち、亜硝酸ナトリウムおよび水)の総重量に基づいておよそ0.10からおよそ40.0重量パーセントの亜硝酸ナトリウムを含んでいてもよい。任意選択で、亜硝酸ナトリウム溶液は、溶液の総重量に基づいて0.1から8.0重量パーセント重量パーセントを含んでもよい。任意選択で、亜硝酸ナトリウム溶液は、溶液の総重量に基づいておよそ1.0から8.0重量パーセントを含んでもよい。「0.1から40.0重量パーセント」によって包含されるすべての個々の値および部分範囲は、別々の実施形態として、本明細書に開示される。
【0024】
いくつかの態様において、亜硝酸ナトリウム溶液は、次いで、耐熱材料の構造体の表面への適用の前または適用の時点のいずれかで、耐熱材料と混ぜられる。適用の際に耐熱材料と混合される亜硝酸ナトリウム添加剤の量は、亜硝酸ナトリウム溶液/耐熱性物質をあわせた総重量に対して、任意選択で、0.01から4.0重量パーセント、任意選択で、0.1から3.0重量パーセント、任意選択で、0.3から2.5重量パーセントである。いくつかの態様において、最終混合物中の亜硝酸ナトリウムの量は、乾燥材料および亜硝酸ナトリウム溶液をあわせた重量に基づいて0.1から1.0重量パーセントである。いくつかの態様において、例えば、耐熱材料がショットクリートなどの方法によって適用される場合、亜硝酸ナトリウムの最終量は、1.0重量パーセントから3.0重量パーセント、任意選択で、1.5重量パーセントから2.0重量パーセントである。他の態様において、例えば、亜硝酸ナトリウム添加剤がラミングまたは吹き付けなどの適用のために耐熱材料と混合される場合、亜硝酸ナトリウムの最終量は、乾燥耐熱材料および亜硝酸ナトリウム溶液をあわせた重量に基づいて0.05からおよそ1.0重量パーセントの亜硝酸ナトリウムであり得る。他の態様において、亜硝酸ナトリウムの量は、乾燥耐熱材料および亜硝酸ナトリウム溶液をあわせた重量に基づいて、0.1から1.0重量パーセント、0.1から0.75重量パーセント、または0.1から0.5重量パーセントであり得る。
【0025】
高温アプリケーションにおける使用のための構造体を形成または修理する方法の1つまたは複数の実施形態において、表面への適用の際の耐熱材料中の水または溶媒は、耐熱材料の総重量に基づいて1重量パーセントから10重量パーセントである。任意選択で、耐熱材料は低水添加を含む。「低水添加」という用語は、耐熱材料の総重量に基づいて1.0から6.0重量パーセントの水が存在することを意味する。いくつかの実施形態において、耐熱材料中の水は、耐熱材料の総重量に基づいて、10重量パーセント未満、任意選択で、6重量パーセント未満の水である。「1.0から10.0重量パーセント」によって包含されるすべての個々の値および部分範囲は、別々の実施形態として、本明細書に開示される。
【0026】
1つまたは複数の実施形態において、耐熱材料が、一例として、ラミング法によって適用される場合、耐熱材料中の水の量は、耐熱材料の総重量に基づいて6.0重量パーセント未満である。従来のラミング材料とは違い、混合は、低水添加で行うことができる。低水添加は、従来のホスフェート結合プラスチックのラミング材料での約1%以上の高い乾燥収縮を減少させる。亜硝酸ナトリウム溶液を使用するキャスタブルグレードのラミング混合物の乾燥収縮は0.1%未満である。理論に拘束されることは企図しないが、低水添加は、焼成後の亀裂、または操作温度での開口割れ目でさえ、減少または予防すると考えられる。
【0027】
亜硝酸ナトリウム溶液がより少ない量の亜硝酸ナトリウム(10重量パーセント未満)を含有し、亜硝酸ナトリウム溶液が分散剤も含む低セメント耐熱材料と混合される場合、分散剤は、2分から3分の混合後に活性化されることが見出された。亜硝酸ナトリウム溶液は、耐熱材料を、さらなる硬化なしに、柔軟な非スランプ材料に変換する。耐熱材料は、硬化がゆっくりと起こるまで、さらに30分から60分間、柔軟性のままである。
【0028】
高温アプリケーションにおける使用のための構造体を形成または修理する方法の実施形態において、耐熱材料は構造体の表面に適用されてもよい。構造体の表面は、加熱炉、キルン、焼却炉または反応器の内壁であってもよく、セラミック、金属または木材を含んでいてもよい。1つまたは複数の実施形態において、耐熱材料を適用するための方法は、キャスティング、ポンピング、空圧式乾式吹き付け、ラミングおよび湿式ショットクリートが挙げられ得る。
【0029】
1つまたは複数の実施形態において、乾燥耐熱材料は、5分から30分間または2分から10分間、あらかじめ混合され、次いで、ミキサーを作動させながら、亜硝酸ナトリウム溶液が乾燥材料にゆっくりと注がれる。耐熱材料および亜硝酸ナトリウム溶液は、耐熱材料を構造体の表面に適用する5分以内に混合される。いくつかの実施形態において、乾燥亜硝酸ナトリウムが乾燥耐熱材料とあらかじめ混合され、次いで、水が乾燥耐熱材料に添加される。乾燥耐熱材料および水が混ぜられると、耐熱材料は構造体の表面に適用される。
【0030】
いくつかの実施形態において、例えば、耐熱材料が空圧式吹き付け法によって適用される場合、あらかじめ湿らせるためにある割合の亜硝酸ナトリウム溶液または水がミキサーに添加されてもよい。残りの亜硝酸ナトリウム溶液または水はノズルにおいて添加され得る。いくつかの実施形態において、亜硝酸ナトリウム溶液の総量の25%から75%が、あらかじめ湿らせるために、ガナイト機に材料を投入する前に添加されてもよく、亜硝酸ナトリウム溶液の総量の25%から75%が、ノズルにおいて添加される。あらかじめ湿らせることは、限定空間での吹き付けの場合において有益であり得る。任意選択で、100%の亜硝酸ナトリウム溶液が、ノズルにおいて耐熱材料に組み込まれる。
【0031】
従来の空圧式乾式吹き付け適用は、湿式適用法よりも多くの粉塵を生じさせ、これは、微細粒子耐熱材料の使用を歴史的に妨げている。1つまたは複数の実施形態において、耐熱材料が空圧式乾式吹き付け適用で適用される場合、亜硝酸ナトリウム溶液の使用がノズルでの濡れを促進し、吹き付けの間の粉塵を非常に少なくする。したがって、提供される方法または材料において使用される耐熱材料は、およそ45ミクロン未満の粒子径の微細粒子の内容物を含有していてもよく、これは、従来の低セメント吹き付け混合物よりも細かい。理論に拘束されることは企図しないが、亜硝酸ナトリウム溶液は、耐熱材料が構造体の表面に適用される場合に生じ得る粉塵の量を減少させると考えられる。
【0032】
加えて、耐熱材料が分散剤をさらに含む場合、水の重量パーセントは、亜硝酸ナトリウム添加剤を使用しない耐熱性物質の適用方法における水の重量パーセントと比較して、減少する。耐熱材料は構造体の表面で濡れて見えるが、亜硝酸ナトリウム添加剤の反応のために、スランプしない。理論に拘束されることは企図しないが、亜硝酸ナトリウム添加剤は分散剤の活性を相殺すると考えられる。より大きな骨材が湿った基材に十分に組み込まれるようになるので、これは非常に低いリバウンド率を可能にする。吹き付けおよび焼成した試験パネルの切断面は、類似のキャスティング材料と同じ粒子サイズ分布を示す。リバウンドによる粒状成分の明らかな喪失はない。
【0033】
本発明の各種の態様を以下の非限定的な実施例によって説明する。実施例は説明の目的のためであって、本発明の任意の実施を限定するものではない。本発明の趣旨および範囲を逸脱することなく、変形および改変を行うことができることが理解されよう。本明細書において説明される試薬は市販されており、当業者はこのような試薬をどこで入手し得るかを容易に理解する。
【0034】
例示的態様
高温アプリケーションにおける使用のための構造体を形成または修理する方法の各種の態様を記載し、このような態様が各種の他の態様と併用して利用され得ることが理解されるべきである。
【0035】
第1の態様において、本開示は、高温アプリケーションにおける使用のための構造体を形成または修理する方法を提供する。本方法は、亜硝酸ナトリウム(NaNO2)添加剤を耐熱材料と混ぜること、および耐熱材料を構造体の表面に適用することを含む。
【0036】
第2の態様において、本開示は、亜硝酸ナトリウム添加剤が、溶液の総重量に基づいて1.0重量パーセントから8.0重量パーセントの亜硝酸ナトリウムである亜硝酸ナトリウム溶液を含む、第1の態様の方法を提供する。
【0037】
第3の態様において、本開示は、亜硝酸ナトリウム溶液が水溶液である、第2の態様の方法を提供する。
【0038】
第4の態様において、本開示は、亜硝酸ナトリウム(NaNO2)添加剤が、構造体の表面に耐熱材料を適用する前の5分以内に耐熱材料と混ぜられる、第1から第3の態様のいずれかの方法を提供する。
【0039】
第5の態様において、本開示は、耐熱材料が、2.5重量パーセント未満の酸化カルシウムを有する低セメント耐熱材料を含む、第1から第4の態様のいずれかの方法を提供する。
【0040】
第6の態様において、本開示は、耐熱材料を適用することが、キャスティング、ポンピング、空圧式乾式吹き付け、ラミングまたは湿式ショットクリート法を含む、第1から第4の態様のいずれかの方法を提供する。
【0041】
第7の態様において、本開示は、耐熱材料がアルミナを含む、第1から第6の態様のいずれかの方法を提供する。
【0042】
第8の態様において、本開示は、耐熱材料が、ホスフェート、ポリカルボキシレート、ポリグリコールエーテル、ポリアクリレートおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される分散剤をさらに含む、第1から第7の態様のいずれかの方法を提供する。
【0043】
第9の態様において、本開示は、亜硝酸ナトリウム(NaNO2)添加剤を添加する前に耐熱材料に分散剤を添加することをさらに含み、分散剤の量が、耐熱材料の総重量に基づいて0.08重量パーセントから1.0重量パーセントである、第1から第8の態様のいずれかの方法を提供する。
【0044】
第10の態様において、亜硝酸ナトリウム溶液を耐熱材料と混ぜ、亜硝酸ナトリウム溶液は、溶液の総重量に基づいて0.01重量パーセントから8.0重量パーセントの亜硝酸ナトリウムを含み、その添加剤は、乾燥耐熱材料および亜硝酸ナトリウム溶液をあわせた重量に基づいて1.0重量パーセントから10.0重量パーセントの亜硝酸ナトリウムの重量パーセントにおいて混ぜられ、そしてその耐熱材料を構造体の表面に適用する。
【0045】
第11の態様において、本開示は、耐熱材料を適用することが、キャスティング、ポンピング、空圧式乾式吹き付け、ラミングまたは湿式ショットクリート法を含む、第10の態様の方法を提供する。
【0046】
第12の態様において、本開示は、耐熱材料が、2.5重量パーセント未満の酸化カルシウムを含む、第10または第11の態様のいずれかの方法を提供する。
【0047】
第13の態様において、本開示は、耐熱材料がアルミナを含む、第10から第12の態様のいずれかの方法を提供する。
【0048】
第14の態様において、本開示は、耐熱材料が、ホスフェート、ポリカルボキシレート、ポリグリコールエーテル、ポリアクリレートおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される分散剤を含む、第10から第13の態様のいずれかの方法を提供する。
【0049】
第15の態様において、本開示は、分散剤が、耐熱材料中に、亜硝酸ナトリウム添加剤の添加前に、乾燥耐熱材料の重量に基づいて0.08から1.0重量パーセントの量で存在する、第10から第14の態様のいずれかの方法を提供する。
【0050】
第16の態様において、高温アプリケーションにおける使用のための構造体を形成または修理する方法は、亜硝酸ナトリウム添加剤を耐熱材料と混ぜることを含み、亜硝酸ナトリウム添加剤が、亜硝酸ナトリウム粉末および水を含み、亜硝酸ナトリウム粉末の量が、亜硝酸ナトリウム溶液の総重量の1.0重量パーセントから40重量パーセントであり、乾燥耐熱材料および亜硝酸ナトリウム添加剤をあわせた重量に基づいて0.10重量パーセントから10重量パーセントであり;および、その耐熱材料を構造体の表面に、キャスティング、ポンピング、空圧式乾式吹き付け、ラミング、湿式ショットクリート法またはこれらの組み合わせによって適用することを含み、耐熱材料が、ホスフェート、ポリカルボキシレート、ポリグリコールエーテル、ポリアクリレートおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される分散剤を含み、耐熱材料が50重量パーセントから85重量パーセントの間のアルミナを含む。
【0051】
第17の態様において、本開示は、分散剤が0.08重量パーセントから1.0重量パーセントの量または0.08重量パーセントから0.1重量パーセントの量である、第16の態様の方法を提供する。
【0052】
第18の態様において、本開示は、混ぜることが、低水添加をさらに含む、第16または第17の態様の方法を提供する。
【0053】
第19の態様において、本開示は、耐熱材料が、2.5重量パーセント未満の酸化カルシウムを含む、第16から第18の態様のいずれか1つの方法を提供する。
【0054】
第20の態様において、本開示は、50重量パーセントから85重量パーセントのアルミナを含む低セメント耐熱材料;亜硝酸ナトリウム溶液の総重量に基づいて1重量パーセントから8重量パーセントの亜硝酸ナトリウム(NaNO2)を有し耐熱材料の総重量に基づいて1重量パーセントから10重量パーセントの亜硝酸ナトリウム(NaNO2)を有する亜硝酸ナトリウム溶液を含む、亜硝酸ナトリウム添加剤;ならびに、任意選択で、ホスフェート、ポリカルボキシレート、ポリグリコールエーテル、ポリアクリレートおよびこれらの組み合わせから選択される分散剤を含む、耐熱組成物を提供する。
【実施例】
【0055】
実施例1:ラミング材料の形成および適用
5%のアルミン酸カルシウムセメントおよびポリグリコール系分散剤(0.1重量%または0.08重量%のポリエチレングリコール)を有する60%アルミナ系キャスタブル(70重量パーセントの4メッシュから-325メッシュのムライト材料(例えば、Mulcoa 60 aggregate)(典型的には58.6重量%のAl2O3)、5重量パーセントのアルミン酸カルシウムセメント(例えば、Secar 71)、6重量パーセントのマイクロシリカ(例えば、Elkem 966)、15重量パーセントの焼成アルミナ(例えば、Almatis製)、0.08重量パーセントのポリエチレングリコールおよび3.92重量パーセントの反応性アルミナ(例えば、Almatis製))を混合して、乾燥耐熱材料を形成した。乾燥耐熱材料を(乾燥耐熱材料および亜硝酸ナトリウム溶液をあわせた重量に基づいて)5.5重量パーセントの量で2.8%亜硝酸ナトリウム溶液と混合した。材料を5分間混合した後、材料を空圧式ラミングハンマーを用いてスランプなしで頭上で打ち固めた。作業時間は30分で、硬化時間はおおよそ3時間であった。1500°Fで焼成した後の最終の冷間圧縮強さは、18,000PSIであり、ASTM C 704摩耗減量は4.5ccであり、収縮は0.1%未満であった。
【0056】
実施例2:空圧式乾式吹き付け材料の形成および適用
5%のアルミン酸カルシウムセメントおよびポリグリコール系分散剤(0.1重量%または0.08重量%のポリエチレングリコール)を有する60%アルミナ系耐熱性物質(70重量パーセントの4メッシュから-325メッシュのムライト材料(例えば、Mulcoa 60 aggregate)(典型的には58.6重量%のAl2O3)、5重量パーセントのアルミン酸カルシウムセメント(例えば、Secar 71)、6重量パーセントのマイクロシリカ(例えば、Elkem 966)、15重量パーセントの焼成アルミナ(例えば、Almatis製)、0.08重量パーセントのポリエチレングリコールおよび3.92重量パーセントの反応性アルミナ(例えば、Almatis製))を、空圧式回転ボウルコンクリート吹き付け機を用いて、1時間あたり2500lbの速度で吹き付けた。ノズルにおいて、2.8重量%亜硝酸ナトリウム溶液を、200PSIでの高圧ポンプを用いて、(乾燥耐熱性物質および亜硝酸ナトリウム溶液をあわせた重量に基づいて)5.5重量パーセントの最終量の亜硝酸ナトリウム溶液となるまで添加した。全体のリバウンドは10%未満であった。1500°F(約815℃)で焼成した後の最終の冷間圧縮強さは、12,000PSIであり、ASTM C 704摩耗減量は7ccであり、収縮は0.15%未満であった。
【0057】
同じ耐熱材料は、設置状況および所望の性質に応じて、キャスティングおよびポンピングの目的で、4.5%から5.5%の間の割合で、亜硝酸ナトリウムなしの通常の水と混合することができる。
【0058】
実施例3:ラミング材料の形成および適用
2%のアルミン酸カルシウムセメントおよびポリグリコール系分散剤(0.1重量%または0.08重量%のポリエチレングリコール)を有する82%アルミナ系キャスタブル(77重量パーセントの3メッシュから-325メッシュのボーキサイト材料(典型的には85重量%のAl2O3)、2重量パーセントのアルミン酸カルシウムセメント(例えば、Secar 71)、5重量パーセントのマイクロシリカ(例えば、Elkem 966)、12重量パーセントの焼成アルミナ(例えば、Almatis製)、0.06重量パーセントのポリエチレングリコールおよび3.94重量パーセントの反応性アルミナ(例えば、Almatis製))を混合して、乾燥耐熱材料を形成した。乾燥耐熱材料を(乾燥耐熱材料および亜硝酸ナトリウム溶液をあわせた重量に基づいて)4.3重量パーセントの最終量の亜硝酸ナトリウム溶液となるまで、2.8%亜硝酸ナトリウム溶液と混合した。5分間混合した後、材料を空圧式ラミングハンマーを用いてスランプなしで頭上で打ち固めた。
【0059】
実施例4:ラミング材料の形成および適用
5%のアルミン酸カルシウムセメントおよびポリグリコール系分散剤(0.1重量パーセント(wt%)または0.08wt%のポリエチレングリコール)を有する炭化ケイ素系キャスタブル(72重量パーセントの4メッシュから-325メッシュの炭化ケイ素材料(典型的には98%のSiC、Electro Abrasives)、5重量パーセントのアルミン酸カルシウムセメント(例えば、Secar 71)、7重量パーセントのマイクロシリカ(例えば、Elkem 966)、12重量パーセントの焼成アルミナ(例えば、Almatis製)、0.08重量パーセントのポリエチレングリコールおよび3.92重量パーセントの反応性アルミナ(例えば、Almatis製))で、乾燥耐熱材料を形成した。乾燥耐熱材料を(乾燥耐熱材料および亜硝酸ナトリウム溶液をあわせた重量に基づいて)4.3重量パーセントの最終量の亜硝酸ナトリウム溶液となるまで、5%亜硝酸ナトリウム溶液と混合した。5分後、混合した材料を空圧式ラミングハンマーを用いてスランプなしで頭上で打ち固めた。
【0060】
実施例5:ラミング材料の形成および適用
20%の炭化ケイ素添加剤および5%のアルミン酸カルシウムセメントならびにポリグリコール系分散剤(0.1重量%または0.08重量%のポリエチレングリコール)を有する50%アルミナ系キャスタブル(53重量パーセントの4メッシュから-325メッシュのムライト材料(例えば、Mulcoa 60 aggregate)(典型的には58.6重量%のAl2O3)、20重量パーセントの<35メッシュのSiC(98%のSiC、Electro Abrasives)、5重量パーセントのアルミン酸カルシウムセメント(例えば、Secar 71)、6重量パーセントのマイクロシリカ(例えば、Elkem 966)、15重量パーセントの焼成アルミナ(例えば、Almatis製)、0.08重量パーセントのポリエチレングリコールおよび3.92重量パーセントの反応性アルミナ(例えば、Almatis製))を、耐熱性物質に対して5.5重量パーセントの最終量の添加剤溶液となるまで、水中2.8%の亜硝酸ナトリウムと混合した。5分間混合した後、材料を空圧式ラミングハンマーを用いてスランプなしで頭上で打ち固めた。
【0061】
実施例6:ラミング材料の形成および適用
0.2%の酸化カルシウムおよびポリグリコール系分散剤(0.1重量%または0.08重量%のポリエチレングリコール)を有する60%アルミナ系キャスタブル(70重量パーセントの4メッシュから-325メッシュのムライト材料(例えば、Mulcoa 60 aggregate)(典型的には58.6重量%のAl2O3)、0.6重量パーセントのアルミン酸カルシウムセメント(例えば、Secar 71)、6重量パーセントのマイクロシリカ(例えば、Elkem 966)、15重量パーセントの焼成アルミナ(例えば、Almatis製)、3%の水和可能アルミナ(Dynabond Aluchem)、0.08重量パーセントのポリエチレングリコールおよび3.92重量パーセントの反応性アルミナ(例えば、Almatis製))を、耐熱性物質に対して5.5重量パーセントの最終量の添加剤溶液となるまで、水中2.8%の亜硝酸ナトリウムと混合した。5分間混合した後、材料を空圧式ラミングハンマーを用いてスランプなしで頭上で打ち固めた。
【0062】
本明細書に示し説明したものに加えて、本発明の各種の改変が、上記の説明から当業者には明らかであろう。このような改変も添付の特許請求の範囲の範囲内であることを企図する。
【0063】
すべての試薬は、他に規定されない限り、本技術分野において公知の供給源によって取得できることが理解される。
【0064】
本明細書において言及した特許および刊行物は、本発明が関係する技術分野の当業者の水準を示す。これらの特許および刊行物は、それぞれ個々の出願または刊行物が参照によって本明細書に具体的かつ個々に組み込まれるのと同程度に、参照によって本明細書に組み込まれる。
<付記>
項1
高温アプリケーションにおける使用のための構造体を形成または修理する方法であって、
亜硝酸ナトリウム(NaNO2)添加剤を耐熱材料と混ぜること、および
前記耐熱材料を構造体の表面に適用すること
を含む、方法。
項2
前記亜硝酸ナトリウム添加剤が、溶液の総重量に基づいて1.0重量パーセントから40.0重量パーセントの亜硝酸ナトリウムである亜硝酸ナトリウム溶液を含む、項1に記載の方法。
項3
前記亜硝酸ナトリウム溶液が水溶液である、項2に記載の方法。
項4
前記亜硝酸ナトリウム(NaNO2)添加剤が、前記構造体の表面に前記耐熱材料を適用する前の5分以内に、前記耐熱材料と混ぜられる、項1から3のいずれか一項に記載の方法。
項5
前記耐熱材料が、2.5重量パーセント未満の酸化カルシウムを有する低セメント耐熱材料を含む、項1から3のいずれか一項に記載の方法。
項6
前記耐熱材料を適用することが、キャスティング、ポンピング、空圧式乾式吹き付け、ラミングまたは湿式ショットクリート法を含む、項1から3のいずれか一項に記載の方法。
項7
前記耐熱材料がアルミナを含む、項1から3のいずれか一項に記載の方法。
項8
前記耐熱材料が、ホスフェート、ポリカルボキシレート、ポリグリコールエーテル、ポリアクリレート、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される分散剤をさらに含む、項1から3のいずれか一項に記載の方法。
項9
前記亜硝酸ナトリウム(NaNO
2
)添加剤を添加する前に前記耐熱材料に分散剤を添加することをさらに含み、分散剤の量が、前記耐熱材料の総重量に基づいて0.08重量パーセントから1.0重量パーセントである、項8に記載の方法。
項10
亜硝酸ナトリウム溶液を耐熱材料と混ぜる工程であって、前記亜硝酸ナトリウム溶液が、溶液の重量に基づいて0.01重量パーセントから40.0重量パーセントの亜硝酸ナトリウムを含み、前記亜硝酸ナトリウム溶液は、乾燥耐熱材料および亜硝酸ナトリウム溶液をあわせた重量に基づいて0.01重量パーセントから4.0重量パーセントの亜硝酸ナトリウムの重量パーセントにおいて混ぜられる、工程、および
前記耐熱材料を構造体の表面に適用する工程
を含む、
高温アプリケーションにおける使用のための構造体を形成または修理する方法。
項11
前記耐熱材料を適用する工程が、キャスティング、ポンピング、空圧式乾式吹き付け、ラミング、または湿式ショットクリート法を含む、項10に記載の方法。
項12
前記耐熱材料が、2.5重量パーセント未満の酸化カルシウムを含む、項10または11に記載の方法。
項13
前記耐熱材料がアルミナを含む、項10または11に記載の方法。
項14
前記耐熱材料が、ホスフェート、ポリカルボキシレート、ポリグリコールエーテル、ポリアクリレート、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される分散剤を含む、項10または11に記載の方法。
項15
前記分散剤が、前記耐熱材料中に、前記亜硝酸ナトリウム添加剤の添加前に、0.08から1.0重量パーセントの量で存在する、項14に記載の方法。
項16
亜硝酸ナトリウム添加剤を耐熱材料と混ぜる工程であって、前記亜硝酸ナトリウム添加剤が、亜硝酸ナトリウム粉末および水を含み、亜硝酸ナトリウム粉末の量が、亜硝酸ナトリウム溶液の総重量の1.0重量パーセントから40重量パーセントであり、乾燥耐熱材料および亜硝酸ナトリウム添加剤をあわせた重量に基づいて0.10重量パーセントから10重量パーセントである、工程、および
前記耐熱材料を構造体の表面に、キャスティング、ポンピング、空圧式乾式吹き付け、ラミング、湿式ショットクリート法、またはこれらの組み合わせによって適用する工程を含み、
前記耐熱材料が、ホスフェート、ポリカルボキシレート、ポリグリコールエーテル、ポリアクリレート、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される分散剤を含み、
前記耐熱材料が50重量パーセントから85重量パーセントのアルミナを含む、
高温アプリケーションにおける使用のための構造体を形成または修理する方法。
項17
前記分散剤が0.08重量パーセントから1.0重量パーセントの量または0.08重量パーセントから0.1重量パーセントの量である、項16に記載の方法。
項18
前記混ぜる工程が、低水添加をさらに含む、項16に記載の方法。
項19
前記耐熱材料が、2.5重量パーセント未満の酸化カルシウムを含む、項16に記載の方法。
項20
50重量パーセントから85重量パーセントのアルミナを含む低セメント耐熱材料;
亜硝酸ナトリウム溶液の総重量に基づいて1.0重量パーセントから40.0重量パーセントの亜硝酸ナトリウム(NaNO
2
)を有し耐熱材料の総重量に基づいて0.1重量パーセントから5.0重量パーセントの亜硝酸ナトリウム(NaNO2)を有する亜硝酸ナトリウム溶液を含む、亜硝酸ナトリウム添加剤;ならびに
任意選択で、ホスフェート、ポリカルボキシレート、ポリグリコールエーテル、ポリアクリレート、およびこれらの組み合わせから選択される分散剤
を含む、耐熱組成物。