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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-22
(45)【発行日】2022-03-30
(54)【発明の名称】転写ロール運搬台車
(51)【国際特許分類】
   B41F 9/18 20060101AFI20220323BHJP
   B62B 3/04 20060101ALI20220323BHJP
   B62B 3/10 20060101ALI20220323BHJP
   B62B 3/00 20060101ALN20220323BHJP
【FI】
B41F9/18
B62B3/04 A
B62B3/10 Z
B62B3/00 D
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2017201555
(22)【出願日】2017-10-18
(65)【公開番号】P2019072953
(43)【公開日】2019-05-16
【審査請求日】2020-08-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000237260
【氏名又は名称】富士機械工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大宮 利信
(72)【発明者】
【氏名】森川 亮
(72)【発明者】
【氏名】石橋 俊夫
(72)【発明者】
【氏名】磯崎 徹
(72)【発明者】
【氏名】岩本 好司
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 誠
【審査官】亀田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-201809(JP,A)
【文献】特開平10-316358(JP,A)
【文献】米国特許第06802252(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41F 9/18
B62B 3/04
B62B 3/10
B62B 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸心が水平方向に向く姿勢で転写ロールを載置可能なロール載置部を有する本体フレームと、
該本体フレームの下部に取り付けられた複数の第1キャスターと、
上記転写ロールの端部に係脱可能な係合部を有し、上記ロール載置部に対して上記転写ロールを積み下ろす際、当該転写ロールの端部に係合させた上記係合部に対して上方への力を加えることで作業者による上記転写ロールの持ち上げ動作を助力する助力手段とを備え
上記助力手段が、上記本体フレームの上部に取り付けられており、上記係合部が一端に設けられたワイヤ部材と、該ワイヤ部材を引き出し可能に巻き取る巻取ロールと、該巻取ロールを巻取方向に付勢するバネ部材とを備えていることを特徴とする転写ロール運搬台車。
【請求項2】
請求項1に記載の転写ロール運搬台車において、
上記助力手段は、上記ロール載置部を中心に水平方向に対称となる位置に一対設けられていることを特徴とする転写ロール運搬台車。
【請求項3】
請求項2に記載の転写ロール運搬台車において、
上記ロール載置部は、上記両助力手段の間で、且つ、上記両助力手段の下方の位置において上下方向に所定の間隔をあけて複数形成され、上記転写ロールをその回転軸心が上記両助力手段の並設方向に向く姿勢で載置するよう構成されていることを特徴とする転写ロール運搬台車。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1つに記載の転写ロール運搬台車において、
上下方向に延び、且つ、水平方向に所定の間隔をあけて設けられた一対の第1フレーム及び水平方向に延びて上記両第1フレームを連結する第2フレームを有し、上記両第1フレームの上部において上記転写ロールをその回転軸心が上記第2フレームの延長方向に一致するように支持可能なサブフレームと、
該サブフレームの下部に取り付けられた複数の第2キャスターと、
上記本体フレームに対して上記サブフレームを着脱可能に取り付けるフレーム着脱手段とを備えていることを特徴とする転写ロール運搬台車。
【請求項5】
請求項4に記載の転写ロール運搬台車において、
上記第2フレームは、上記両第1フレームの上下方向中途部から下方の位置に設けられ、上記両第1フレームと上記第2フレームとで上方に開放するU字状の開放部が形成されていることを特徴とする転写ロール運搬台車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷塗工装置に備わる転写ロールを運搬する際に使用する転写ロール運搬台車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、印刷塗工装置において転写する絵柄等を変更する際、転写ロールを交換する必要がある。そして、転写ロールの交換作業時には、一般的に、転写ロール用の運搬台車を用いて印刷塗工装置に対する転写ロールの搬出入を行う。
【0003】
例えば、特許文献1に開示されている転写ロール用の運搬台車は、下面に4つのキャスターが取り付けられた本体フレームを備え、該本体フレームの上方には、水平方向に延びる載置テーブルが配設されている。該載置テーブルには、転写ロールを載置可能な一対のロール載置部が並設され、該各ロール載置部に転写ロールを載置するとともに各キャスターを転動させることによって印刷塗工装置に対して転写ロールを搬出入できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-175702号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述の如き転写ロールは、一般的に、軸心方向に長く、しかも、重量が重いので、特許文献1の如き転写ロール用の運搬台車の場合、転写ロールを収納する倉庫と運搬台車との間における転写ロールの積み下ろし作業を安全に行うために、作業者が二人がかりで作業を行う必要があり、作業効率が悪いという問題がある。
【0006】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、転写ロールの積み下ろし作業を、安全に、且つ、効率良く行うことができる転写ロール運搬台車を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明は、作業者が転写ロールを持ち上げる際に、当該転写ロールに上向きの力が作用する構造を設けたことを特徴とする。
【0008】
すなわち、第1の発明では、回転軸心が水平方向に向く姿勢で転写ロールを載置可能なロール載置部を有する本体フレームと、該本体フレームの下部に取り付けられた複数の第1キャスターと、上記転写ロールの端部に係脱可能な係合部を有し、上記ロール載置部に対して上記転写ロールを積み下ろす際、当該転写ロールの端部に係合させた上記係合部に対して上方への力を加えることで作業者による上記転写ロールの持ち上げ動作を助力する助力手段とを備えていることを特徴とする。
【0009】
第2の発明では、第1の発明において、上記助力手段は、上記本体フレームの上部に取り付けられており、上記係合部が一端に設けられたワイヤ部材と、該ワイヤ部材を引き出し可能に巻き取る巻取ロールと、該巻取ロールを巻取方向に付勢するバネ部材とを備えていることを特徴とする。
【0010】
第3の発明では、第2の発明において、上記助力手段は、上記ロール載置部を中心に水平方向に対称となる位置に一対設けられていることを特徴とする。
【0011】
第4の発明では、第3の発明において、上記ロール載置部は、上記両助力手段の間で、且つ、上記両助力手段の下方の位置において上下方向に所定の間隔をあけて複数形成されていることを特徴とする。
【0012】
第5の発明では、第1から第4のいずれか1つの発明において、上下方向に延び、且つ、水平方向に所定の間隔をあけて設けられた一対の第1フレーム及び水平方向に延びて上記両第1フレームを連結する第2フレームを有し、上記両第1フレームの上部において上記転写ロールをその回転軸心が上記両第1フレームの並設方向に一致するように支持可能なサブフレームと、該サブフレームの下部に取り付けられた複数の第2キャスターと、上記本体フレームに対して上記サブフレームを着脱可能に取り付けるフレーム着脱手段とを備えていることを特徴とする。
【0013】
第6の発明では、第5の発明において、上記第2フレームは、上記両第1フレームの上下方向中途部から下方の位置に設けられ、上記両第1フレームと上記第2フレームとで上方に開放するU字状の開放部が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
第1の発明では、転写ロールの端部に係合部を係合させた状態で作業者が転写ロールを持ち上げるとき、助力手段によって転写ロールの端部に対して上方に向かう力が加わる。したがって、転写ロールを持ち上げた作業者に加わる負荷の一部を助力手段が負担するようになり、作業者は、ロール載置部に対する転写ロールの積み下ろし作業を、安全に、且つ、素早く行うことができる。
【0015】
第2の発明では、バネ部材の付勢力に抗してワイヤ部材を巻取ロールから下方に引き出して係合部を転写ロールの端部に係合させると、転写ロールの端部に対してバネ部材の付勢力が上方に向かうように加わる。したがって、エア供給源や電源を必要とせずに転写ロールの端部に対して力を加えることができるので、エア供給源や電源が近くにない作業環境下においても台車が使用できるとともに、エア配管や電気回路を必要とする台車に比べてシンプルで、且つ、低コストにすることができる。
【0016】
第3の発明では、一方の助力手段の係合部を転写ロールの一方の端部に、他方の助力手段の係合部を転写ロールの他方の端部にそれぞれ係合させると、転写ロールの各端部にバランス良く上方に向かう力が加わる。したがって、作業者は、転写ロールをその回転軸心が水平方向に向く姿勢を保ちながらロール載置部に持ち上げたり、或いは、ロール載置部から下ろしたりすることができ、運搬台車に対する転写ロールの積み下ろしを簡単に行うことができるようになる。
【0017】
第4の発明では、複数の転写ロールを一度に運搬できるので、転写ロールの運搬効率を良くすることができる。また、各転写ロールを各ロール載置部に載置すると、各転写ロールは、その回転軸心が水平方向に向く姿勢で上下方向に並設された状態になる。したがって、運搬台車を運搬時において両助力手段の並設方向と直交する水平方向に幅を取らない積荷状態にすることができる。
【0018】
第5の発明では、サブフレームが両第1フレームの並設方向と直交する水平方向に幅を取らないように転写ロールを支持するので、本体フレームからサブフレームに転写ロールを移載させるとともにサブフレームを本体フレームから切り離して移動させることにより、作業エリアの狭い場所に転写ロールを搬出入させて作業を行うことができる。
【0019】
第6の発明では、例えば、助力アーム等を用いてサブフレームに載置された転写ロールを持ち上げる際、助力アーム等を開放部に入れるとともに上方に移動させると、助力アーム等が転写ロールの中途部を支持するようになる。したがって、転写ロールがバランス良く持ち上がるようになり、作業者は安全に、且つ、簡単に転写ロールの持ち上げ作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態に係る転写ロール運搬台車の正面図である。
図2】本発明の実施形態に係る転写ロール運搬台車の側面図である。
図3】運搬台車に対して作業者が版胴の積み下ろし作業を行っている途中の状態を示す図2相当図である。
図4図3のIV-IV線における断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎない。
【0022】
図1及び図2は、本発明の実施形態に係る運搬台車1(転写ロール運搬台車)を示す。該運搬台車1は、印刷装置(図示せず)に取り付けられた版胴10を交換する際、当該版胴10を収納する倉庫と印刷装置との間において版胴10の運搬を行うためのものであり、複数本の鉄製角筒フレームを繋ぎ合わせて組み立てられた本体フレーム2及びサブフレーム4を備えている。
【0023】
本体フレーム2は、上下方向に延び、且つ、水平方向に所定の間隔をあけて設けられた一対の垂直フレーム21と、該垂直フレーム21の上端に固定された平面視でH字状をなす上部フレーム22と、上記垂直フレーム21の下端に固定された平面視で矩形枠状をなすベースフレーム23とを備えている。
【0024】
上部フレーム22は、両垂直フレーム21の並設方向に延びる第1水平フレーム22aと、該第1水平フレーム22aと直交する水平方向に延び、且つ、当該第1水平フレーム22aを中心に対称となるように当該第1水平フレーム22aの各端部にそれぞれ取り付けられた一対の第2水平フレーム22bとを備え、第1水平フレーム22aの各端部寄りの位置に各垂直フレーム21の上端部分が固定されている。
【0025】
第2水平フレーム22bの各端部には、作業者による版胴10の持ち上げ作業を助力する助力ツール3(助力手段)がそれぞれ取り付けられている。尚、便宜上、各第2水平フレーム22bの一方側に取り付けられた一対の助力ツール3をそれぞれ助力ツール3Aと、各第2水平フレーム22bの他方側に取り付けられた一対の助力ツール3をそれぞれ助力ツール3Bと呼ぶことにする。
【0026】
該各助力ツール3A,3Bは、厚みを有する円板状のツールケース31と、一端に細長い鉄製の係合棒33(係合部)が回動自在に吊り下げられたワイヤ部材32とを備え、上記ツールケース31は、その中心線が水平方向に向く姿勢となるように第2水平フレーム22bに吊り下げられている。係合棒33は、環状の係合鍔部33aを有している。
【0027】
ツールケース31の内部には、図3に示すように、当該ツールケース31の下部に形成された連通孔(図示せず)を介して上記ワイヤ部材32を引き出し可能に巻き取る巻取ロール34と、該巻取ロール34を巻取方向に付勢する渦巻きバネ35(バネ部材)とが配設されている。
【0028】
ワイヤ部材32の一端側には、太い棒状をなす樹脂製グリップ36が取り付けられ、作業者は、グリップ36を把持しながら渦巻きバネ35の付勢力に抗してワイヤ部材32をツールケース31から引き出せるようになっている。グリップ36には、手挟み防止用の鍔部36aが設けられている。
【0029】
版胴10の内部には、その回転軸心に沿って貫通する筒状の空洞部が形成されている。版胴10の端部には、環状のフランジが内向きに張り出すことにより、空洞部よりも内径の小さい貫通孔10aが形成されている。
【0030】
作業者H1がグリップ36を持ってワイヤ部材32をツールケース31から引き出した状態で、版胴10の端部から貫通孔10aに、係合棒33を係合鍔部33aとともに挿入してグリップ36から手を離すと、図4に示すように、渦巻きバネ35の付勢力で係合棒33が上方に引き上げられることによって当該係合棒33の先端が版胴10における奥側の内周面に接触するとともに、係合棒33の係合鍔部33aが貫通孔10aの開口部周縁に接触して係合棒33が版胴10の端部に係合するようになっている。
【0031】
一方、係合棒33が版胴10の端部に係合する状態で、作業者がグリップ36を持って渦巻きバネ35の付勢力に抗してワイヤ部材32を引き出すと、係合棒33の係合鍔部33aが貫通孔10aから離間して係合棒33を版胴10の端部から取り外すことができるようになっている。
【0032】
つまり、係合棒33は、版胴10の端部に係脱可能になっている。
【0033】
各垂直フレーム21の上下方向中途部には、図1に示すように、略U字状をなす把手21aがそれぞれに取り付けられ、両把手21aは、正面視で両垂直フレーム21の並設方向に対称な形状になっている。
【0034】
各垂直フレーム21の互いに対向する側で、且つ、各垂直フレーム21の中途部から下端に亘る部分には、図2に示すように、側面視で垂直フレーム21を中心に互いに離間しながら緩やかに斜め上方に傾斜して延びる略V字状をなす4つの載置フレーム26が上下に所定の間隔をあけてそれぞれ固定されている。
【0035】
すなわち、本体フレーム2には、水平方向に対向する対になった載置フレーム26が上下に所定の間隔をあけて4組設けられている。
【0036】
水平方向に互いに対向する対になった載置フレーム26の一方側同士及び他方側同士が本発明のロール載置部20を構成している。尚、便宜上、本体フレーム2の一方側に上下に並ぶ各ロール載置部20をロール載置部20Aと、本体フレーム2の他方側に上下に並ぶ各ロール載置部20をロール載置部20Bと呼ぶことにする。
【0037】
各ロール載置部20Aは、各助力ツール3Aの間で、且つ、当該両助力ツール3Aの下方に位置しており、当該両助力ツール3Aは、ロール載置部20Aを中心に水平方向に対称となる位置になっている。
【0038】
また、各ロール載置部20Bは、各助力ツール3Bの間で、且つ、当該両助力ツール3Bの下方に位置しており、当該両助力ツール3Bは、ロール載置部20を中心に水平方向に対称となる位置になっている。
【0039】
そして、各ロール載置部20A,20Bは、版胴10をその回転軸心が水平方向に向く姿勢で、且つ、各垂直フレーム21に寄り添うような状態で載置できるようになっている。
【0040】
ベースフレーム23の下面には、6つの第1キャスター24が取り付けられている。6つの第1キャスター24のうちの4つの第1キャスター24は、ベースフレーム23の四隅にそれぞれ取り付けられ、鉛直方向に延びる回転軸心周りに回転自在になっている。一方、6つの第1キャスター24のうちの残りの2つの第1キャスター24は、ベースフレーム23における一側中途部下面及び他側中途部下面において両垂直フレーム21の並設に転動するようにそれぞれ固定されている。
【0041】
また、ベースフレーム23の一側中途部上面には、第1磁石部25が取り付けられている。
【0042】
サブフレーム4は、本体フレーム2の各ロール載置部20A側に配設され、上記本体フレーム2の約半分の高さになっている。
【0043】
サブフレーム4は、上下方向に延び、且つ、水平方向に所定の間隔をあけて設けられた一対の第1フレーム41と、水平方向に延びて上記両第1フレーム41の下端を連結する第2フレーム42とを備え、両第1フレーム41と第2フレーム42とで上方に開放するU字状の開放部40が形成されている。
【0044】
第2フレーム42の下方には、当該第2フレーム42と直交する水平方向に延び、且つ、第2フレーム42の延長方向に所定の間隔をあけて当該第2フレーム42下面に固定された一対の第3フレーム43が設けられ、該各第3フレーム43は、側面視で第2フレーム42を中心として水平方向に対称な形状になっている。
【0045】
各第3フレーム43の端部には、第2キャスター44が鉛直方向に延びる回転軸心周りに回転自在に取り付けられ、第2フレーム42の中途部には、上記第1磁石部25に着脱可能な第2磁石部45が取り付けられている。
【0046】
第1及び第2磁石部25,45が本発明のフレーム着脱手段5を構成しており、該フレーム着脱手段5は、本体フレーム2に対してサブフレーム4を着脱させることができるようになっている。
【0047】
各第2フレーム42の上部には、当該第2フレーム42と直交する水平方向に延びる支持プレート42aが側面視で第2フレーム42を中心として水平方向に対称となるように取り付けられている。
【0048】
支持プレート42aの各端部には、回転軸心が第2フレーム42の延長方向に延びる版胴支持用コロ42bが回転自在に取り付けられ、4つの版胴支持用コロ42bは、版胴10をその回転軸心が第2フレーム42の延長方向に一致するように支持可能になっている。
【0049】
そして、各ロール載置部20Aに対して版胴10を積み下ろす際、作業者H1が各助力ツール3Aの係合棒33を版胴10の各端部にそれぞれ係合させると、各助力ツール3Aは、渦巻きバネ35の付勢力によって版胴10の各端部に係合させた係合棒33に対して上方への力を加えることで作業者H1による版胴10の持ち上げ動作を助力するようになっている。
【0050】
尚、各ロール載置部20Bに対する版胴10の積み下ろし作業は、各助力ツール3Bが版胴10の持ち上げ動作を助力する以外は、上述の各ロール載置部20Aに対する版胴10の積み下ろし作業と同じであるので詳細な説明は省略する。
【0051】
また、サブフレーム4に対する版胴10の積み下ろし作業は、各ロール載置部20Aに対する版胴10の積み下ろし作業と同様に、各助力ツール3Aを用いて行うようになっている。
【0052】
以上より、本発明の実施形態によると、版胴10の端部に係合棒33を係合させた状態で作業者H1が版胴10を持ち上げるとき、助力ツール3A(又は、助力ツール3B)によって版胴10の端部に上方に向く力が加わる。したがって、版胴10を持ち上げた作業者H1に加わる負荷の一部を助力ツール3A(又は、助力ツール3B)が負担するようになり、作業者H1は、ロール載置部20A(又は、ロール載置部20B)に対する版胴10の積み下ろし作業を、安全に、且つ、素早く行うことができる。
【0053】
また、渦巻きバネ35の付勢力に抗してワイヤ部材32を巻取ロール34から下方に引き出して係合棒33を版胴10の端部に係合させると、版胴10の端部に対して渦巻きバネ35の付勢力が上方に向かうように加わる。したがって、エア供給源や電源を必要とせずに版胴10の端部に対して力を加えることができるので、エア供給源や電源が近くにない作業環境下においても運搬台車1が使用できるとともに、エア配管や電気回路を必要とする運搬台車に比べてシンプルで、且つ、低コストにすることができる。
【0054】
また、一方の助力ツール3A(又は、助力ツール3B)の係合棒33を版胴10の一方の端部に、他方の助力ツール3A(又は、助力ツール3B)の係合棒33を版胴10の他方の端部にそれぞれ係合させると、版胴10の各端部にバランス良く上方に向かう力が加わる。したがって、作業者H1は、版胴10をその回転軸心が水平方向に向く姿勢を保ちながらロール載置部20A(又は、ロール載置部20B)に持ち上げたり、或いは、ロール載置部20A(又は、ロール載置部20B)から下ろしたりすることができ、運搬台車1に対する版胴10の積み下ろしを簡単に行うことができるようになる。
【0055】
また、本発明の運搬台車1では、複数の版胴10を一度に運搬できるので、版胴10の運搬効率を良くすることができる。また、各版胴10を各ロール載置部20A(又は、ロール載置部20B)に載置すると、各版胴10は、その回転軸心が水平方向に向く姿勢で上下方向に並設された状態になる。したがって、運搬台車1を運搬時において両助力ツール3A(又は、両助力ツール3B)の並設方向と直交する水平方向に幅を取らない積荷状態にすることができる。
【0056】
また、サブフレーム4が両第1フレーム41の並設方向と直交する水平方向に幅を取らないように版胴10を支持するので、本体フレーム2からサブフレーム4に版胴10を移載させるとともにサブフレーム4を本体フレーム2から切り離して移動させることにより、作業エリアの狭い場所に版胴10を搬出入させて作業を行うことができる。
【0057】
また、例えば、助力アーム等を用いてサブフレーム4に載置された版胴10を持ち上げる際、助力アーム等を開放部40に入れるとともに上方に移動させると、助力アーム等が版胴10の中途部を支持するようになる。したがって、版胴10がバランス良く持ち上がるようになり、作業者H1は安全に、且つ、簡単に版胴10の持ち上げ作業を行うことができる。
【0058】
尚、本発明の実施形態に係る運搬台車1は、印刷装置(図示せず)の版胴10を運搬するものであるが、塗工装置の塗工ロールを運搬することもできる。
【0059】
また、本発明の実施形態では、巻取ロール34を巻取方向に付勢するバネとして渦巻きバネ35を使用しているが、これに限らず、その他の種類のバネを用いて巻取ロール34を巻取方向に付勢してもよい。
【0060】
また、本発明の実施形態では、サブフレーム4を設けているが、サブフレーム4を設けることが必須ではない。
【0061】
また、本発明の実施形態では、サブフレーム4における第2フレーム42が両第1フレーム41の下端の位置に取り付けられているが、これに限らず、例えば、第2フレーム42は、両第1フレーム41の上下方向中途部から下方の位置に設けられていればよい。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明は、印刷塗工装置に備わる転写ロールを運搬する際に使用する転写ロール運搬台車に適している。
【符号の説明】
【0063】
1 運搬台車(転写ロール運搬台車)
2 本体フレーム
3 助力ツール(助力手段)
4 サブフレーム
5 フレーム着脱手段
10 版胴(転写ロール)
20 ロール載置部
24 第1キャスター
32 ワイヤ部材
33 係合棒(係合部)
34 巻取ロール
35 渦巻きバネ(バネ部材)
41 第1フレーム
42 第2フレーム
44 第2キャスター
H1 作業者
図1
図2
図3
図4