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特許7044318サーバシステム、サーバシステムによって実行される方法及びプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-22
(45)【発行日】2022-03-30
(54)【発明の名称】サーバシステム、サーバシステムによって実行される方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04L 67/00 20220101AFI20220323BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20220323BHJP
【FI】
H04L67/00
G06Q50/10
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2018004357
(22)【出願日】2018-01-15
(65)【公開番号】P2019125103
(43)【公開日】2019-07-25
【審査請求日】2020-11-26
(73)【特許権者】
【識別番号】502406085
【氏名又は名称】株式会社冲セキ
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134371
【弁理士】
【氏名又は名称】中塚 隆志
(72)【発明者】
【氏名】緑間 浩市
【審査官】中川 幸洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-081502(JP,A)
【文献】特開2010-108298(JP,A)
【文献】特開2002-172057(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0300911(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 67/00
G06Q 50/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者のモバイル端末及び故人の墓を管理する管理者の情報処理端末とネットワークを介して通信するサーバシステムであって、
前記故人の墓の位置を含む墓情報を記憶する墓情報記憶部と、
前記モバイル端末から、前記モバイル端末の位置情報を受信する受信部と、
所定の条件を満たした場合に、前記モバイル端末の利用者が前記故人の墓に墓参りした旨の墓参通知を前記管理者の情報処理端末に送信するかどうかを確認する確認通知を前記モバイル端末に送信する送信部と、
を備え、
前記所定の条件は、前記モバイル端末が前記故人の墓の位置から所定範囲内に近づいたことを含む、サーバシステム。
【請求項2】
前記送信部は、前記モバイル端末が1日に2回以上前記故人の墓の位置から所定範囲内に近づいた場合、最初の1回目の場合のみ、前記確認通知を前記モバイル端末に送信する、請求項1に記載のサーバシステム。
【請求項3】
前記確認通知として、
前記墓参通知の送信を許可するフィールドと、
前記墓参通知の送信を拒否するフィールドと、を含むものが前記モバイル端末のタッチパネルに表示される、請求項1又は2に記載のサーバシステム。
【請求項4】
前記受信部が前記墓参通知の送信を許可する旨を受信したことに応答して、前記送信部が前記墓参通知を前記管理者の情報処理端末に送信した場合に、前記利用者への一以上の返信メッセージを含む返信メッセージリストを前記管理者の情報処理端末に提示する提示部を、さらに備えた、請求項1からのいずれか一項に記載のサーバシステム。
【請求項5】
前記墓情報は、前記故人の死亡日を含んでおり、
前記提示部は、前記返信メッセージとして、前記死亡日に応じたものを提示する、請求項4に記載のサーバシステム。
【請求項6】
前記提示部は、前記返信メッセージを前記管理者の情報処理端末上で編集可能に提示する、請求項4又は5に記載のサーバシステム。
【請求項7】
前記受信部は、前記モバイル端末から、前記故人の墓を行き先の目的地とする旨を受信する、請求項1から6のいずれか一項に記載のサーバシステム。
【請求項8】
前記受信部は、前記モバイル端末から、前記故人の墓を行き先の目的地とするルート案内のリクエストを受信し、
前記送信部は、前記リクエストに応答して前記モバイル端末の現在位置から前記故人の墓までのルートを案内している最中に、前記確認通知を送信する、請求項7に記載のサーバシステム。
【請求項9】
利用者のモバイル端末及び故人の墓を管理する管理者の情報処理端末とネットワークを介して通信するサーバシステムにおいて実行される方法であって、
前記故人の墓の位置を含む墓情報を記憶するステップと、
前記モバイル端末から、前記モバイル端末の位置情報を受信するステップと、
所定の条件を満たした場合に、前記モバイル端末の利用者が前記故人の墓に墓参りした旨の墓参通知を前記管理者の情報処理端末に送信するかどうかを確認する確認通知を前記モバイル端末に送信するステップと、
を含み、
前記所定の条件は、前記モバイル端末が前記故人の墓の位置から所定範囲内に近づいたことを含む、サーバシステムにおいて実行される方法。
【請求項10】
前記送信するステップは、前記モバイル端末が1日に2回以上前記故人の墓の位置から所定範囲内に近づいた場合、最初の1回目の場合のみ、前記確認通知を前記モバイル端末に送信する、請求項9に記載のサーバシステムにおいて実行される方法。
【請求項11】
故人の墓の位置を含む墓情報を記憶する墓情報記憶部を有するサーバシステムとネットワークを介して通信するモバイル端末において実行されるプログラムであって、
前記モバイル端末を、少なくとも、
前記モバイル端末の位置情報を前記サーバシステムに送信する手段、及び
所定の条件を満たした場合に、前記モバイル端末の利用者が前記故人の墓に墓参りした旨の墓参通知を前記故人の墓を管理する管理者の情報処理端末に送信するかどうかを確認する確認通知を前記サーバシステムから受信する手段、
として機能させるものであり、
前記所定の条件は、前記モバイル端末が前記故人の墓の位置から所定範囲内に近づいたことを含む、プログラム。
【請求項12】
前記受信する手段は、前記モバイル端末が1日に2回以上前記故人の墓の位置から所定範囲内に近づいた場合、最初の1回目の場合のみ、前記確認通知を前記サーバシステムから受信する、請求項11に記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モバイル端末とネットワークを介して通信するサーバシステムの技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
名刺受けを設置しているお墓がある。これは、主に、その故人の親族や関係者がお墓参りした人を知りたいというニーズと、お墓参りする人がお墓参りしたことをその故人の親族等に伝えたいというニーズに基づくものである。
【0003】
また、近年では、慰霊場所の位置情報を予めサーバに記憶させておき、サーバによって、ユーザの携帯端末の位置情報を取得し、両者の位置情報を比較し、その結果、その両者の距離が所定以下である場合にユーザの携帯端末に慰霊を促す情報を送信する、ということも試みられている(参照:特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5780372号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1では、名刺受けに求められるニーズは何ら考慮されていない。また、名刺受けでは、故人の親族等が名刺受けの中を確認して初めて誰がお墓参りしたかを知ることができるため、お墓参りした事実が故人の親族等に伝わるのに時間がかかる。
【0006】
本発明は、お墓参りした事実をタイムリーに伝えることができるサーバシステム、サーバシステムによって実行される方法及びプログラムの技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係るサーバシステムは、利用者のモバイル端末及び故人の墓を管理する管理者の情報処理端末とネットワークを介して通信するサーバシステムであって、故人の墓の位置を含む墓情報を記憶する墓情報記憶部と、モバイル端末から、モバイル端末の位置情報を受信する受信部と、所定の条件を満たした場合に、モバイル端末の利用者が故人の墓に墓参りした旨の墓参通知を管理者の情報処理端末に送信するかどうかを確認する確認通知をモバイル端末に送信する送信部と、を備え、所定の条件は、モバイル端末が故人の墓の位置から所定範囲内に近づいたことを含む。
【0008】
本発明の一態様に係るサーバシステムによって実行される方法は、利用者のモバイル端末及び故人の墓を管理する管理者の情報処理端末とネットワークを介して通信するサーバシステムにおいて実行される方法であって、故人の墓の位置を含む墓情報を記憶するステップと、モバイル端末から、モバイル端末の位置情報を受信するステップと、所定の条件を満たした場合に、モバイル端末の利用者が故人の墓に墓参りした旨の墓参通知を管理者の情報処理端末に送信するかどうかを確認する確認通知をモバイル端末に送信するステップと、を含み、所定の条件は、モバイル端末が故人の墓の位置から所定範囲内に近づいたことを含む。
【0009】
本発明の一態様に係るプログラムは、故人の墓の位置を含む墓情報を記憶する墓情報記憶部を有するサーバシステムとネットワークを介して通信するモバイル端末において実行されるプログラムであって、モバイル端末を、少なくとも、モバイル端末の位置情報をサーバシステムに送信する手段、及び、所定の条件を満たした場合に、モバイル端末の利用者が故人の墓に墓参りした旨の墓参通知を故人の墓を管理する管理者の情報処理端末に送信するかどうかを確認する確認通知をサーバシステムから受信する手段、として機能させるものであり、所定の条件は、モバイル端末が故人の墓の位置から所定範囲内に近づいたことを含む。
【0010】
本発明によれば、お墓参りした事実をタイムリーに伝えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係るサーバシステム、利用者のモバイル端末及び管理者の情報処理端末を含む情報処理システムの概略図である。
図2図1のモバイル端末のハードウェア構成を示すブロック図である。
図3図1のサーバシステムのハードウェア構成を示すブロック図である。
図4図1のサーバシステムのうち、墓情報データベースの一例を示す図である。
図5図1の情報処理システムにおけるシーケンス図である。
図6A図1の利用者のモバイル端末に表示される画面例を示す図である。
図6B図1の利用者のモバイル端末に表示される画面例を示す図である。
図6C図1の利用者のモバイル端末に表示される画面例を示す図である。
図6D図1の利用者のモバイル端末に表示される画面例を示す図である。
図6E図1の利用者のモバイル端末に表示される画面例を示す図である。
図6F図1の利用者のモバイル端末に表示される画面例を示す図である。
図6G図1の利用者のモバイル端末に表示される画面例を示す図である。
図7A図1の管理者の情報処理端末に表示される画面例を示す図である。
図7B図1の管理者の情報処理端末に表示される画面例を示す図である。
図7C図1の管理者の情報処理端末に表示される画面例を示す図である。
図7D図1の管理者の情報処理端末に表示される画面例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
上記の添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。
【0013】
図1に示すように、情報処理システム100は、故人の墓を管理する管理者の情報処理端末110、1以上の利用者C1、C2、…CN(以下、総称して「C」と付する。)のモバイル端末120-1、120-2、…120-N(以下、総称して「120」と付する。)及びサーバシステム130がネットワーク140に接続可能に構成されている。サーバシステム130は、情報処理端末110及びモバイル端末120に墓参り案内のサービスを提供する情報処理装置であり、一つ又は複数のコンピュータにより構成される。ネットワーク140は、LAN、WAN、有線あるいは無線のネットワーク、又は、インターネットなどで構成される。
【0014】
管理者の情報処理端末110は、通信機能及び表示機能等を有するコミュニケーション装置又はコンピュータで構成することができ、例えば、デスクトップ型、ラップトップ型あるいはタブレット型のコンピュータ、PDA、携帯電話又はスマートフォンで構成される。情報処理端末110は、サーバシステム130が提供する墓参り案内のサービスを利用するためのソフトウェア(例えば、ウェブブラウザやアプリケーション115)を有している。情報処理端末110は、例えば、管理者が故人の墓情報を登録するのに使用される。墓情報は、情報処理端末110がネットワーク140を介して通信することにより、サーバシステム130の所定のデータベースに記録される。また、情報処理端末110は、例えば、モバイル端末120の利用者(C)が故人の墓に墓参りした旨の通知を受信したり、その利用者(C)への返信メッセージを提示したりするのに使用される。管理者は、例えば、故人の遺族、友人又は関係者のほか、エージェント(例えば、葬儀業者、法事業者、石材業者、霊園業者、小売店、現場字彫業者、クリーニング業者、補修業者、施工業者、材料業者、納骨業者、これらに所属する営業社員など)が務めることができる。
【0015】
利用者(C)のモバイル端末120は、GPS(Global Positioning System)機能、通信機能及び表示機能等を有するコンピュータで構成することができる。例えば、モバイル端末120は、携帯電話、スマートフォン、PDA又はタブレット型のコンピュータで構成される。一例を挙げると、モバイル端末120はiPhone(登録商標)ブランドのスマートフォンである。モバイル端末120は、サーバシステム130が提供する墓参り案内のサービスを利用するためのソフトウェア(例えばアプリケーション)を有している。モバイル端末120は、利用者(C)が故人の墓への道案内(ルート案内)をリクエストするのに使用される。モバイル端末120は、ネットワーク140を介してサーバシステム130と通信することにより、ルート案内のリクエストやモバイル端末120の位置情報をサーバシステム130に送信する。
【0016】
図2は、モバイル端末120のハードウェア構成を示すブロック図である。モバイル端末120は、通信インタフェース200、ユーザインタフェース210、演算処理部220、記憶部230、及びGPSデバイス240を備えている。通信インタフェース200は、移動体通信用アンテナ201及び無線アンテナ202を有している。モバイル端末120は、移動体通信用アンテナ201を通じてネットワーク140に接続され、サーバシステム130との間でデータ通信を行う。また、モバイル端末120は、無線アンテナ202を通じて例えばウエアラブルデバイスに接続され、ウエアラブルデバイスとの間でデータ通信を行う。無線アンテナ202は、例えば、Bluetooth(登録商標)や、NFCといった所定の規格に対応したものを用いることができる。
【0017】
ユーザインタフェース210は、タッチパネル211及びマイクロフォン212を有している。タッチパネル211は、表示装置及び入力装置の両方の機能を備える。タッチパネル211の表示機能は液晶などのディスプレイにより構成され、ディスプレイの画面上にルート案内等が表示される。タッチパネル211の入力機能は、タッチセンサにより構成され、ディスプレイの画面上でのユーザの指触操作(タップやスワイプなどの操作)を検知する。マイクロフォン212は、音声入力装置として機能する。その他、周知のように、ハードキーやボタン、スピーカーなどもユーザインタフェース210に含めることができる。
【0018】
演算処理部220は、1つ以上のプロセッサからなり、CPUやMPU等によって構成される。演算処理部220は、各種入力に基づいて、記憶部230に記憶されたプログラム、モジュール及び/又は命令を実行することで、種々の機能部を動作させる。このプログラム等は、例えばネットワーク140を介してダウンロードされることでモバイル端末120にインストールされる。演算処理部220は、種々の機能部として、入力受付部221、送信部222、受信部223及び表示制御部224を有している。入力受付部221は、ユーザインタフェース210を介して利用者(C)からの入力を受け付ける。例えば、入力受付部221は、タッチパネル211の操作により入力された墓へのルート案内のリクエストを受け付ける。送信部222は、通信インタフェース200を介してサーバシステム130に種々の情報を送信する。例えば、送信部222は、入力受付部221で受け付けたリクエストをモバイル端末120の位置情報とともに、移動体通信用アンテナ201を介してサーバシステム130に送信する。同様に、受信部223は、通信インタフェース200を介してサーバシステム130から種々の情報を受信する。例えば、受信部223は、通信インタフェース200を介してサーバシステム130から、モバイル端末120の現在位置から墓までのルート案内を受信する。表示制御部224は、例えば、サーバシステム130から受信した、ルート案内、墓までの距離、方向、墓の写真、墓の位置を示す指標などの各種情報をタッチパネル211に表示させる。
【0019】
記憶部230は、ハードディスクドライブ、SSD、RAMなどの記憶装置によって構成され、演算処理部220における処理の実行に必要な各種プログラムや、各種プログラムの実行に必要なデータ等を記憶する。記憶部230は、不揮発性メモリを含むことができ、不揮発性メモリは、非一時的なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を備える。また、記憶部230は、サーバシステム130が提供する墓参り案内のサービスを利用するためのソフトウェアを記憶する。記憶部230は、ユーザがユーザインタフェース210を介して入力した情報を記憶し、また、サーバシステム130から送信される各種情報を一時的に記憶する。
【0020】
GPSデバイス240は、モバイル端末120の位置を測定する位置測定システムであり、モバイル端末120の位置を示すGPSデータ(位置情報)を取得する。ユーザがモバイル端末120を保有して移動しているとき、モバイル端末120の位置はユーザの位置を反映したものとなる。GPSデバイス240は、取得したGPSデータを演算処理部220に出力する。なお、GPSが利用できない場合は、セルラ三角測量法を用いて位置が判断され得る。
【0021】
図3は、サーバシステム130のハードウェア構成を示すブロック図である。サーバシステム130は、通信インタフェース310、演算処理部320及び記憶部330を備えている。通信インタフェース310は、サーバシステム130をネットワーク140に接続する。演算処理部320は、1つ以上のプロセッサからなり、CPUやMPU等によって構成される。演算処理部320は、各種入力に基づいて、記憶部330に記憶されたプログラム、モジュール及び/又は命令を実行することで、種々の機能部を動作させる。このプログラム等は、CD-ROMやUSBメモリなどの記憶媒体に記憶されるか、あるいはネットワーク140を介してダウンロードされることで、コンピュータにインストールされる。
【0022】
記憶部330は、ハードディスクドライブ、SSD、RAMなどの記憶装置によって構成され、演算処理部320における処理の実行に必要な各種プログラムや、各種プログラムの実行に必要なデータ等を記憶している。記憶部330は、不揮発性メモリを含むことができ、不揮発性メモリは、非一時的なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を備える。また、記憶部330は、サーバシステム130において実行される墓参り案内サービスに係る方法を利用するためのソフトウェア(例えば、ウェブブラウザやアプリケーション)を記憶している。また、記憶部330は、墓情報DB331、管理者DB332及び利用者DB333を記憶している。
【0023】
墓情報DB331(墓情報記憶部)は、図4に示すように、故人IDに対応付けて、故人の名前、故人の死亡日、墓の位置、墓の区画・番号及び墓の写真を含む墓情報が記憶されている。墓の位置とは、故人の墓の所在地であり、具体的にはその故人の墓が存在する経度及び緯度をいう。このような墓の位置(経度及び緯度)に関する情報は、例えばGPS機能及びカメラ機能付きのモバイル端末を用いて墓を撮影することで取得することが可能である。墓の区画・番号とは、例えば霊園が個々の墓の管理のために使用するものであり、霊園によって割り振られるものである。墓の写真は、その故人の墓を撮影したものであり、1つ以上の写真が記憶される。墓の写真は、霊園内における墓の写真とするとよい。墓情報DB331に記憶される情報は、例えば、管理者が情報処理端末110を通じて入力し、登録される。
【0024】
管理者DB332は、管理者の固有の情報、例えば管理者の氏名又は名称のほか、管理者がアカウントにログインするためのID及びパスワードなどを記憶している。また、管理者DB332は、管理者に対応付けて、その管理者が登録した墓情報の故人IDを記憶している。利用者DB333は、利用者(C)の固有の情報、例えば利用者(C)の氏名又は名称のほか、利用者(C)のアカウントにログインするためのID及びパスワードなどを記憶している。利用者DB333は、利用者(C)に対応付けて、その利用者(C)が過去にアクセスした又は現在アクセス可能な故人の墓情報に関する故人IDを記憶している。すなわち、利用者DB333は、利用者(C)に対応付けて、その利用者(C)にルート案内を提供できる故人IDを記憶している。
【0025】
再び図3に戻って説明するに、演算処理部320は、種々の機能部として、受信部321、判定部322、送信部323及び提示部324を備えている。受信部321は、通信インタフェース310を介して情報処理端末110及びモバイル端末120から種々の情報を受信又は取得する。例えば、受信部321は、モバイル端末120において入力される利用者(C)のログインID及びパスワード並びに墓へのルート案内のリクエストを受信する。また、受信部321は、モバイル端末120の位置情報を受信し、さらには、モバイル端末120において選択されたその墓への移動モード(車や徒歩など)を受信する。受信部321が受信した各種情報は、記憶部330に一時的に記憶される。
【0026】
判定部322は、利用者DB333を参照し、受信部321が受信したログイン情報の適否を判定する。また、判定部322は、受信したモバイル端末120の位置情報と、墓情報DB331内に記憶された墓の位置とに基づいて、モバイル端末120が目的地の墓の位置から所定範囲内に近づいたか否かを判定する。判定部322によってなされた判定結果は、記憶部330に一時的に記憶される。
【0027】
送信部323は、通信インタフェース310を介して種々の情報をモバイル端末120に送信する。例えば、送信部323は、ルート案内のリクエストに応答して、モバイル端末120の現在位置から故人の墓までのルートを案内する際、そのルート案内をモバイル端末120のタッチパネル211に表示させる情報を送信する。他のデータも同様に送信される。例えば、送信部323は、墓情報DB331を参照し、ルート案内中に、墓の写真などの情報をモバイル端末120に送信し、タッチパネル211に表示させる。また、送信部323は、所定の条件を満たした場合に、モバイル端末120の利用者(C)が故人の墓に墓参りした旨の墓参通知を管理者の情報処理端末110に送信するかどうかを確認する確認通知をモバイル端末120に送信する。提示部324は、墓参通知が管理者の情報処理端末110に送信された場合に、通信インタフェース310を介して利用者(C)への返信メッセージを情報処理端末110に提示する。
【0028】
ここで、サーバシステム130は、上記機能を持つものであれば、特に制限はなく、クラウド・コンピューティングなどであってもよい。また、サーバシステム130を複数のコンピュータによって構成する場合、例えば、演算処理部320の各機能部のためのコンピュータと、記憶部330の各データベース(331~333)のためのコンピュータとに分けることができる。また、演算処理部320の各機能部についてもコンピュータを分けることができる。例えば、受信部321、送信部323及び提示部324のためのコンピュータ(ユーザとの直接インタフェースを果たすもの)と、判定部322のためのコンピュータ(前者のコンピュータと記憶部330のためのコンピュータとの仲介を果たすもの)とに分けることができる。
【0029】
次に、図5を用いて、情報処理システム100における一連の処理フローの一例を説明する。その際、適宜、図6を参照し、利用者(C)がモバイル端末120で上記の墓参り案内サービスのソフトウェアを利用するときにタッチパネル211に表示される画面例を説明する。
【0030】
まず、管理者が情報処理端末110を操作して、故人の墓情報を入力する(S10)。これがサーバシステム130に受信され、墓情報DB331に記憶される(S11)。故人の墓情報は、図4に示したように、故人の墓の位置等の情報を含んでいる。
【0031】
利用者(C)がモバイル端末120を操作して、サーバシステム130が提供する墓参り案内のサービスを利用するためのアプリケーションを起動し、自身のID及びパスワードを入力してログインする(S20。参照:図6A)。ログイン後、その利用者(C)に提供可能な故人の墓のルート案内に関して、一以上の故人を含むリスト(ルート案内提供可能故人リスト)がサーバシステム130からモバイル端末120に送られ、タッチパネル211に一以上の故人が選択可能に表示される(参照:図6Bのプルダウンリスト400)。モバイル端末120の現在の位置情報がGPSデバイス240によって取得される(S21)。利用者(C)がモバイル端末120をさらに操作して、表示されたルート案内提供可能故人リストから、墓へのルート案内をしてもらいたい故人を選択すると、その故人の墓を目的地とするルート案内のリクエストがモバイル端末120で受け付けられ、サーバシステム130に送信される(S22)。一例を挙げると、図6Bに示すように、プルダウンリスト400にあるルート案内提供可能故人リストから、ルート案内をしてもらいたい故人として「特許太郎」が選択され、アイコン410の「道案内」がタップ(入力)されると、「特許太郎」の墓を目的地とするルート案内のリクエストがモバイル端末120からサーバシステム130に送信される。
【0032】
サーバシステム130は、ルート案内のリクエスト及びモバイル端末120の現在の位置情報を受信する(S23)。そして、サーバシステム130は、その故人の墓に関する情報(目的地情報)をモバイル端末120に送信し(S24)、タッチパネル211に表示させる(S25)。目的地情報は、例えば図6Cに示すように、目的地である故人の墓の位置を示す指標420、墓の区画・番号421、墓周辺のマップ422、墓の写真423、及び、モバイル端末120の現在位置から墓までの距離424に関する情報である。指標420は、どのような態様も取ることができるが、ここでは円形の中に墓の形状を描いたものが使われている。マップ422では、指標420がマップ422の中心に位置し、墓の区画・番号421が指標420の近くに表示される。墓の区画・番号421及び写真423は、墓情報DB331に登録されたものである(参照:図4の故人ID「1」)。墓の写真423が表示されているアイコンをタップすると、図6Dに示すように写真が拡大表示される。マップ422の表示モードは、航空写真又は地図との間で切り替えることができ、アイコン430の「航空写真」をタップすると、アイコン430からチェックマークが外れて、地図上の表示に切り替わる。墓までの距離424は、図6Cでは「計測中」と表示されているが、計測が終わると、例えば「あと100m」などと具体的な数値が表示される。
【0033】
続いて、利用者(C)がモバイル端末120を操作して、目的地の墓までの移動モードを選択すると(S26)、これを受信したサーバシステム130は、選択された移動モードに応じたルート探索を行い(S27)、ルート案内をモバイル端末120に送信する(S28)。モバイル端末120は、ルート案内を受信し、タッチパネル211にルート案内を表示する(S29)。ここで、移動モードとは、車、徒歩、公共交通機関(電車、バスなど)、自転車などのモードがあるが、このうち、少なくとも、車及び徒歩を含むものとなっている。図6Cに示す画面では、車及び徒歩の移動モードを選択できるように、車のアイコン440及び徒歩のアイコン442が表示される。そして、例えば、図6Eに示すように車のアイコン440がタップされると、サーバシステム130は、選択された移動モード「車」に応じたルート探索を開始し、図6Fに示すようにルート案内をモバイル端末120に提供する。ここで、ルート探索及びルート案内は、インターネットを通して提供されている地図(例えばGoogleマップ)の機能によって実行することができる。すなわち、サーバシステム130は、道、建物及び現在の交通状況などを含む様々なデータを有するマップデータ(インターネットを通して提供されているもの)にアクセスし、選択された移動モードに応じたルート探索・ルート案内をモバイル端末120に提供する。
【0034】
ルート案内中、モバイル端末120の位置情報は随時サーバシステム130に送られていて(S30)、タッチパネル211に表示されるルート案内の情報は、モバイル端末120の現在位置の変化に応じて随時更新される。モバイル端末120の現在位置が目的地から所定範囲内に近づいたと判定されるまでは(S31:No)、ルート案内が継続される。一方、モバイル端末120の現在位置が目的地から所定範囲内に近づいたと判定されると(S31:Yes)、モバイル端末120は、利用者(C)が故人の墓に墓参りした旨の墓参通知を管理者の情報処理端末110に送信するかどうかを確認する確認通知を受信する(S32。参照:図6G)。
【0035】
ここで、確認通知を受信する基準となる「所定範囲」としては、目的地からの所定の半径方向距離、直線距離又は歩行時間を用いることができる。例えば、「所定範囲」は、目的地から50cm、1m、2m又は5mの半径方向距離又は直線距離に設定したり、あるいは、目的地から1秒、2秒、5秒又は10秒の歩行時間に設定したりすることができる。また、「所定範囲」は、利用者(C)又は管理者が設定することができるものであってもよい。例えば、利用者(C)は、自身のモバイル端末120を使ってデフォルト値を「所定範囲」(例えば目的地から1m)に設定し、モバイル端末120からサーバシステム130に送信してもよい。
【0036】
ある実施態様においては、確認通知が送信される条件として、モバイル端末120の現在位置が目的地から所定範囲内に近づいたことという条件に、別の条件が追加されてもよい。例えば、そのような追加の条件として、1日に送る確認通知の回数を制限してもよい。一例を挙げると、モバイル端末120が1日に2回以上故人の墓の位置から所定範囲内に近づいた場合、最初の1回目の場合についてのみ、確認通知がモバイル端末120に送信されるようにし、2回目以降の場合については確認通知がモバイル端末120に送信されないようにする。また、別の追加の条件として、故人のお墓における滞在時間を考慮してもよい。一例を挙げると、モバイル端末120が故人の墓の位置から所定範囲内に所定の時間(例えば3分、5分、10分など)位置していた場合に、確認通知がモバイル端末120に送信されるようにしてもよい。また、この条件に、故人の墓の位置から所定範囲内に位置していたモバイル端末120が当該所定範囲外へと離れたという条件を追加してもよい。このような追加の条件についても、上記同様に、利用者(C)又は管理者が設定することができるものであってもよい。
【0037】
確認通知は、例えば図6Gに示すように、「お墓参りしたことをメンバーに通知しますか?」という質問フィールド450と、「通知しない」という拒否フィールド451と、「通知する」という許可フィールド452とを含むものがモバイル端末120のタッチパネル211に表示される。また、このような確認通知は、「お墓参りしました」という墓参り完了メッセージからなるフィールド453と一緒に、一つ又は複数の情報ウィンドウ455としてタッチパネル211にポップアップ表示されてもよい。確認通知がモバイル端末120に表示(受信)されるタイミングは、ルート案内が終了するタイミングであってもよいし、他のタイミングであってもよい。例えば、ルート案内の終了直前又は直後とすることができる。質問フィールド450のメッセージ中の「メンバー」には、情報処理端末110の管理者が含まれるが、管理者以外の者が含まれてもよい。例えば、情報処理端末110の管理者によって作られたグループ(例えば故人の親族をメンバーとするグループ)に所属する者が含まれてもよい。
【0038】
拒否フィールド451が利用者(C)によってタップ(入力)されると(図5:S33)、その旨がサーバシステム130に送信され、その受信部321で受信される。この場合、サーバシステム130の送信部323は管理者の情報処理端末110に墓参通知を送信しない(図5:S35)。一方、許可フィールド452が利用者(C)によってタップ(入力)されると(図5:S36)、その旨がサーバシステム130の受信部321で受信され、送信部323が管理者の情報処理端末110に墓参通知を送信し(図5:S37)、情報処理端末110がこれを受信する(図5:S38)。
【0039】
図7は、墓参通知を受信した管理者の情報処理端末110に表示される画面例を示している。図7Aに示すように、情報処理端末110には、利用者(C:ここでは「冲次郎」)がお墓参りしたメッセージ460が表示される。また、このメッセージ460に加えて、「お礼を返信」というフィールド461も表示される。このフィールド461が管理者によってタップされると(参照:図5のS39)、図7Bに示すように、利用者(C)への一以上の定型の返信メッセージ462を含むリスト(返信メッセージリスト463)が情報処理端末110の画面上で選択可能に表示される(参照:図5のS40)。また、図7Cに示すように、返信メッセージ462は、管理者が情報処理端末110の画面上で編集可能となるように提示される。このような返信メッセージリスト463の提示は、サーバシステム130の提示部324によってなされる。提示される返信メッセージ462は、例えば、故人の死亡日に応じたものであるとよい。一例を挙げると、利用者(C)がお墓参りした日が、墓情報DB331に登録された「故人の死亡日」から3年を経過した頃である場合には、「今年は3回忌になります。」などのメッセージが返信メッセージ462に含まれる。管理者によって、選択及び/又は編集された返信メッセージ462が送信処理されると(参照:図5のS41)、この返信メッセージ462がサーバシステム130の受信部321で受信され、送信部323から利用者(C)のモバイル端末120に送信され、モバイル端末120で受信される(参照:図5のS42、S43)。図7Dは、返信メッセージ462を送信した後に情報処理端末110に表示される画面例である。
【0040】
以上説明した本実施形態のサーバシステム130は、利用者(C)のモバイル端末120及び故人の墓を管理する管理者の情報処理端末110とネットワーク140を介して通信するサーバシステム130であって、故人の墓の位置を含む墓情報を記憶する墓情報記憶部(墓情報DB331)と、モバイル端末120から、モバイル端末120の位置情報を受信する受信部321と、所定の条件を満たした場合に、モバイル端末120の利用者が故人の墓に墓参りした旨の墓参通知を管理者の情報処理端末110に送信するかどうかを確認する確認通知をモバイル端末120に送信する送信部323と、を備え、所定の条件は、モバイル端末120が故人の墓の位置から所定範囲内に近づいたことを含む。
【0041】
また、本実施形態のプログラムは、故人の墓の位置を含む墓情報を記憶する墓情報記憶部(墓情報DB331)を有するサーバシステム130とネットワーク140を介して通信するモバイル端末120において実行されるプログラムであって、モバイル端末120を、少なくとも、モバイル端末120の位置情報をサーバシステム130に送信する手段(送信部222)、及び、所定の条件を満たした場合に、モバイル端末120の利用者が故人の墓に墓参りした旨の墓参通知を故人の墓を管理する管理者の情報処理端末110に送信するかどうかを確認する確認通知をサーバシステム130から受信する手段(受信部223)、として機能させるものであり、所定の条件は、モバイル端末120が故人の墓の位置から所定範囲内に近づいたことを含む。
【0042】
このような実施形態によれば、モバイル端末120の利用者(C)が故人の墓をお墓参りした事実を故人の墓を管理する管理者にタイムリーに伝えることができると同時に、管理者は誰が故人の墓をお墓参りしたかをタイムリーに知ることができる。とりわけ、墓参通知を管理者の情報処理端末110に自動で送るのではなく、いったん確認通知を利用者(C)のモバイル端末120に送っているため、お墓までのルート案内を利用する利用者(C)が、お墓参りした事実については管理者に伝えたくない場合の利便性を向上することができる。
【0043】
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施形態について説明した。以上の具体例は、本発明を説明するための例示であり、本発明をその実施形態のみに限定する趣旨ではない。すなわち、これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、前述した各具体例が備える各要素などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。例えば、サーバシステム130の受信部321は、ルート案内のリクエストではなく、単に、故人の墓を行き先の目的地とする旨をモバイル端末120から受信するものであってもよい。また別の実施態様では、故人の墓を目的地とする旨や、そのためのルート案内のリクエストを受信していない場合であっても、利用者(C)のモバイル端末120が故人の墓の位置から所定範囲内に近づいた場合に、上記の確認通知がモバイル端末120に送信されるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0044】
100…情報処理システム、110…情報処理端末、115…アプリケーション、120…モバイル端末、130…サーバシステム、140…ネットワーク、200…通信インタフェース、201…移動体通信用アンテナ、202…無線アンテナ、210…ユーザインタフェース、211…タッチパネル、212…マイクロフォン、220…演算処理部、221…入力受付部、222…送信部、223…受信部、224…表示制御部、230…記憶部、240…GPSデバイス、310…通信インタフェース、320…演算処理部、321…受信部、322…判定部、323…送信部、324…提示部、330…記憶部、331…墓情報DB、332…管理者DB、333…利用者DB、400…プルダウンリスト、410…アイコン、420…指標、422…マップ、423…写真、424…距離、430、440、442…アイコン、450…質問フィールド、451…拒否フィールド451、452…許可フィールド、453…フィールド、455…情報ウィンドウ、460…メッセージ、462…返信メッセージ、463…返信メッセージリスト、C…利用者
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図6G
図7A
図7B
図7C
図7D