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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-22
(45)【発行日】2022-03-30
(54)【発明の名称】安全帯
(51)【国際特許分類】
   A62B 35/00 20060101AFI20220323BHJP
【FI】
A62B35/00 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018071665
(22)【出願日】2018-04-03
(65)【公開番号】P2019180542
(43)【公開日】2019-10-24
【審査請求日】2021-03-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000223687
【氏名又は名称】藤井電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】日前 武志
(72)【発明者】
【氏名】石川 博司
(72)【発明者】
【氏名】田中 茂宏
(72)【発明者】
【氏名】石原 知幸
(72)【発明者】
【氏名】山北 和広
【審査官】飯島 尚郎
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3159873(JP,U)
【文献】特開2013-081597(JP,A)
【文献】特開2017-012230(JP,A)
【文献】特開2009-005765(JP,A)
【文献】特開2004-321487(JP,A)
【文献】特開平08-182770(JP,A)
【文献】特開2009-112369(JP,A)
【文献】実開昭47-034719(JP,U)
【文献】登録実用新案第3214163(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2013/0175117(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62B 35/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業者の肩部に装着される肩ベルトと、前記肩ベルトと一体に設けられ、前記作業者の腿部に装着される腿ベルトと、前記肩ベルト又は前記腿ベルトと一体に設けられるバックルと、を含むハーネス型安全帯と、
前記作業者の胴に装着される胴ベルトと、前記胴ベルトと一体に設けられ、前記バックルに対して着脱自在に装着される連結金具と、を含む胴ベルト型安全帯と、
を備え、
前記連結金具のうち前記バックルが装着される側の一部の金具は、前記バックルが前記作業者の動きに応じて前記作業者に近づく方向又は前記作業者から遠ざかる方向に動くように形成される
ことを特徴とする安全帯。
【請求項2】
前記連結金具は、
前記胴ベルトに装着される第1金具と、
前記バックルに装着される第2金具と、
前記第2金具が前記作業者の動きに応じて前記作業者に近づく方向又は前記作業者から遠ざかる方向に動くように、前記第1金具及び前記第2金具を接続する接続部材と、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の安全帯。
【請求項3】
前記接続部材は、
前記第2金具が前記第1金具に対して前記作業者に近づく方向又は前記作業者から遠ざかる方向に回動するように、前記第1金具及び前記第2金具を接続するヒンジ構造体である
ことを特徴とする請求項2に記載の安全帯。
【請求項4】
前記接続部材は、
前記第2金具が前記作業者に近づく方向又は前記作業者から遠ざかる方向に動くように、前記第1金具及び前記第2金具を接続するベルト構造体である
ことを特徴とする請求項2に記載の安全帯。
【請求項5】
前記連結金具は、
前記バックルが装着される側の先端に円柱体を有し、
前記バックルは、
前記バックルが前記円柱体を軸として前記作業者に近づく方向又は前記作業者から遠ざかる方向に回動するように、前記円柱体が嵌入される円筒体を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の安全帯。
【請求項6】
前記円柱体は、
両側の大径部に挟まれる小径部を有し、
前記円筒体は、
前記円柱体が嵌入された際に前記小径部に連通するとともに、前記円柱体及び前記円筒体を結合するためのロックピンが前記大径部と前記小径部との間の段差面に挟まれるように挿入される連通孔を有する
ことを特徴とする請求項5に記載の安全帯。
【請求項7】
前記バックルは、
前記肩ベルト及び前記腿ベルトの結合位置において前記肩ベルト及び前記腿ベルトとともに一体に設けられる
ことを特徴とする請求項1に記載の安全帯。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高所で作業を行う際に着用する安全帯に関する。
【背景技術】
【0002】
高所で作業を行う作業者の墜落を阻止するための着用具として、胴ベルト型やハーネス型の安全帯が知られている(例えば特許文献1,2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-112369号公報
【文献】特開2013-81597号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
胴ベルト型の安全帯は、作業者の胴の周囲に装着される胴ベルトと、構造物と胴ベルトとの間に繋がれる命綱(ロープ、ストラップ等)と、を含んで構成されている。胴ベルト型の安全帯の場合、電力線が架設された電柱上における保守点検作業に適した構造を有しているが、作業者が足場を誤って踏み外してしまった場合、墜落の際の衝撃が作業者の腰に集中し、腰を痛める虞があった。一方、ハーネス型の安全帯は、作業者の肩及び腿に連続するように装着されるベルトと、構造物とベルトとの間に繋がれる命綱(ロープ、ストラップ等)と、を含んで構成されている。ハーネス型の安全帯の場合、電力線が架設された電柱上における保守点検作業に適した構造を有している訳ではないが、作業者が誤って足場を踏み外してしまった場合であっても、墜落の際の衝撃が作業者の両肩及び両腿に分散し、作業者の1箇所に集中するようなことはない。このように、胴ベルト型及びハーネス型の安全帯は、夫々固有の構造を有していることから、高所作業の内容に応じて使い分けられているのが現状である。
【0005】
そこで、本発明は、胴ベルト型及びハーネス型の安全帯を作業現場に応じて迅速に着用することができるように、胴ベルト型及びハーネス型の安全帯を確実に着脱可能な構造を有する安全帯を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した課題を解決する主たる本発明は、作業者の肩部に装着される肩ベルトと、前記肩ベルトと一体に設けられ、前記作業者の腿部に装着される腿ベルトと、前記肩ベルト又は前記腿ベルトと一体に設けられるバックルと、を含むハーネス型安全帯と、前記作業者の胴に装着される胴ベルトと、前記胴ベルトと一体に設けられ、前記バックルに対して着脱自在に装着される連結金具と、を含む胴ベルト型安全帯と、を備え、前記連結金具のうち前記バックルが装着される側の一部の金具は、前記バックルが前記作業者の動きに応じて前記作業者に近づく方向又は前記作業者から遠ざかる方向に動くように形成される。
【0007】
本発明の他の特徴については、添付図面及び本明細書の記載により明らかとなる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、バックルが作業者の動きに応じて作業者に近づく方向又は作業者から遠ざかる方向に動くように連結金具が形成されているため、高所作業の内容に応じて、ハーネス型安全帯及び胴ベルト型安全帯を一体又は別体として使用する態様を迅速に切り替えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1乃至第3実施形態に係る安全帯の一部を構成するハーネス型安全帯であって、作業者の背部となる側から示す図である。
図2】第1実施形態に係る安全帯の他の一部を構成する胴ベルト型安全帯を示す図である。
図3A】第1実施形態に係る安全帯の他の一部を構成する胴ベルト型安全帯に装着される一方の連結金具を示す斜視図である。
図3B】第1実施形態に係る安全帯の他の一部を構成する胴ベルト型安全帯に装着される他方の連結金具を示す斜視図である。
図4A】第1実施形態に係る安全帯において、一方の連結金具を図3Aにおける+Yの側から-Yの側を眺めたときの平面図である。
図4B】第1実施形態に係る安全帯において、他方の連結金具を図3Bにおける-Yの側から+Yの側を眺めたときの平面図である。
図5A】第1実施形態に係る安全帯において、一方の連結金具を図3Aにおける+Xの側から-Xの側を眺めたときの平面図である。
図5B】第1実施形態に係る安全帯において、他方の連結金具を図3Bにおける+Xの側から-Xの側を眺めたときの平面図である。
図6】第1実施形態に係る安全帯において、一方の連結金具が環状金具に隣り合っている様子を示す部分拡大図である。
図7】第1実施形態に係る安全帯において、他方の連結金具が環状金具に隣り合っている様子を示す別の部分斜視図である。
図8A】第1実施形態に係る安全帯において、バックルに連結金具を連結する前の状態を作業者の背部となる側から示す図である。
図8B】第1実施形態に係る安全帯において、バックルに連結金具を連結した後の状態を作業者の背部となる側から示す図である。
図9A】第1実施形態に係る安全帯を着用した状態において、バックルに連結金具を連結する前の状態を作業者の背部の側から示す図である。
図9B】第1実施形態に係る安全帯を着用した状態において、バックルに連結金具を連結した後の様子を作業者の背部の側から示す図である。
図10】作業者が第1乃至第3実施形態に係る安全帯を着用し、電柱上において高所作業を行う様子を示す図である。
図11】第1実施形態に係る安全帯において、連結金具の適用例を示す部分拡大図である。
図12A】第2実施形態に係る安全帯の他の一部を構成する胴ベルト型安全帯に装着される一方の連結金具を示す斜視図である。
図12B】第2実施形態に係る安全帯の他の一部を構成する胴ベルト型安全帯に装着される他方の連結金具を示す斜視図である。
図13A】第2実施形態に係る安全帯において、一方の連結金具を図12Aにおける+Yの側から-Yの側を眺めたときの平面図である。
図13B】第2実施形態に係る安全帯において、他方の連結金具を図12Bにおける-Yの側から+Yの側を眺めたときの平面図である。
図14A】第2実施形態に係る安全帯において、一方の連結金具を図12Aにおける+Xの側から-Xの側を眺めたときの平面図である。
図14B】第2実施形態に係る安全帯において、他方の連結金具を図12Bにおける+Xの側から-Xの側を眺めたときの平面図である。
図15】第3実施形態に係る安全帯の他の一部を構成する胴ベルト型安全帯に装着される連結金具を示す分解斜視図である。
図16】第3実施形態に係る安全帯の他の一部を構成する胴ベルト型安全帯に装着される連結金具を示す斜視図である。
図17】第3実施形態に係る安全帯において、連結金具を図15における-Yの側から+Yの側を眺めたときの分解平面図である。
図18】第3実施形態に係る安全帯において、連結金具を図16における-Yの側から+Yの側を眺めたときの平面図である。
図19】第3実施形態に係る安全帯において、連結金具を図16における+Xの側から-Xの側を眺めたときの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書および添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0011】
===第1実施形態===
図1は、本実施形態に係る安全帯の一部を構成するハーネス型安全帯であって、作業者の背部の側から示す図である。図2は、本実施形態に係る安全帯の他の一部を構成する胴ベルト型安全帯を示す図である。図3Aは、本実施形態に係る安全帯の他の一部を構成する胴ベルト型安全帯に装着される一方の連結金具を示す斜視図である。図3Bは、本実施形態に係る安全帯の他の一部を構成する胴ベルト型安全帯に装着される他方の連結金具を示す斜視図である。図4Aは、本実施形態に係る安全帯において、一方の連結金具を図3Aにおける+Yの側から-Yの側を眺めたときの平面図である。図4Bは、本実施形態に係る安全帯において、他方の連結金具を図3Bにおける-Yの側から+Yの側を眺めたときの平面図である。図5Aは、本実施形態に係る安全帯において、一方の連結金具を図3Aにおける+Xの側から-Xの側を眺めたときの平面図である。図5Bは、本実施形態に係る安全帯において、他方の連結金具を図3Bにおける+Xの側から-Xの側を眺めたときの平面図である。尚、X軸は後述する挿通孔の長手方向に沿う軸であり、Y軸は後述する胴ベルトを挿通孔に挿通する方向に沿う軸であり、Z軸はX軸及びY軸に直交する軸である。図6は、本実施形態に係る安全帯において、他方の連結金具が環状金具に隣り合っている様子を示す部分拡大図である。図7は、本実施形態に係る安全帯において、他方の連結金具が環状金具に隣り合っている様子を示す別の部分斜視図である。図8Aは、本実施形態に係る安全帯において、バックルに連結金具を連結する前の状態を作業者の背部となる側から示す図である。図8Bは、本実施形態に係る安全帯において、バックルに連結金具を連結した後の状態を作業者の背部となる側から示す図である。図9Aは、本実施形態に係る安全帯を着用した状態において、バックルに連結金具を連結する前の状態を作業者の背部の側から示す部分拡大図である。図9Bは、本実施形態に係る安全帯を着用した状態において、バックルに連結金具を連結した後の様子を作業者の背部の側から示す部分拡大図である。図10は、作業者が本実施形態に係る安全帯を着用し、電柱上において高所作業を行う様子を示す図である。図11は、本実施形態に係る安全帯において、連結金具の適用例を示す部分拡大図である。
【0012】
以下、図1図11を参照しつつ、本実施形態に係る安全帯について説明する。
【0013】
<<安全帯>>
安全帯1は、作業者が高所作業を行う際に墜落しないように着用する着用具であって、ハーネス型安全帯2と、ハーネス型安全帯2に対して着脱可能な胴ベルト型安全帯3と、を含んで構成されている。尚、ハーネス型安全帯2及び胴ベルト型安全帯3を着脱する手段としてバックルを使用するが、バックルとして、例えば槍形状を呈する嵌入片が嵌入されるサイドリリース型のバックルを使用することとする。そして、バックルは、素材として例えばポリアセタールを用いて形成されている。
【0014】
<<ハーネス型安全帯>>
ハーネス型安全帯2は、一対の肩ベルト201A,201Bと、胸ベルト202と、一対の腿ベルト203A,203Bと、一対の中継ベルト204A,204B,205A,205B,218A,218Bと、尻当て206と、ランヤード(命綱)207と、一対のバックル217A,217Bと、を含んで構成されている。ベルト201A,201B,202,203A,203B,204A,204B,205A,205Bと尻当て206は、素材として例えばナイロンを用いて形成されている。又、ランヤード207は、中芯の素材として例えばアラミド繊維を用い、表皮の素材として例えばポリエステル繊維を用いて形成されている。又、ランヤード207は、ハーネス型安全帯2を構造物(不図示)に引っ掛けるためのフック208を含み、フック208は、素材として例えばクロムモリブデンやアルミ軽合金等を用いて形成されている。
【0015】
作業者の右肩部及び左肩部に夫々対応する肩ベルト201A,201Bは、長尺形状を呈し、作業者がハーネス型安全帯2を装着したときに作業者の背部に対向する位置において交差した形状(たすき掛けの形状)を呈するように結合されている。肩ベルト201Aは、作業者の右腕を通して右肩部に装着されるように、作業者の右腰部に対向する位置において肩ベルト201A全体が環形状を呈するように縫合されている。肩ベルト201Aは、作業者の右胸部に対向する位置に肩ベルト201Aの長さを調節するためのベルト止め209Aを有している。同様に、肩ベルト201Bは、作業者の左腕を通して左肩部に装着されるように、作業者の左腰部に対向する位置において肩ベルト201B全体が環形状を呈するように縫合されている。肩ベルト201Bは、作業者の右胸部に対向する位置に肩ベルト201Bの長さを調節するためのベルト止め209Bを有している。
【0016】
中継ベルト204A,205Aは、肩ベルト201Aの縫合位置210Aから先に延びる2本のベルトであって、肩ベルト201Aと腿ベルト203Aとの間を中継する。つまり、中継ベルト204A,205Aにおける肩ベルト201Aとは反対側の端部は、環形状を呈する腿ベルト203Aと縫合されている。同様に、中継ベルト204B,205Bは、肩ベルト201Bの縫合位置210Bから先に延びる2本のベルトであって、肩ベルト201Bと腿ベルト203Bとの間を中継する。つまり、中継ベルト204B,205Bにおける肩ベルト201Bとは反対側の端部は、環形状を呈する腿ベルト203Bと縫合されている。肩ベルト201A,201Bは、作業者の背部と対向する交差位置211を境として左右対称となるように形成されている。
【0017】
胸ベルト202は、長尺形状を呈し、例えば肩ベルト201Aにおける作業者の右胸部に対向する位置に縫合されている。胸ベルト202の先端には、槍形状を呈する嵌入片212が取り付けられている。バックル213は、嵌入片212が着脱自在に装着され、肩ベルト201Bにおける作業者の左胸部に対向する位置であって嵌入片212が嵌入される位置に取り付けられている。嵌入片212がバックル213に嵌入されると、肩ベルト201A,201Bが胸ベルト202を介して結合され、肩ベルト201A,201Bは作業者の右肩部及び左肩部から外れなくなる。
【0018】
作業者の右腿部に対応する腿ベルト203Aは、長尺形状を呈し、作業者の右脚を通して右腿部に装着されるように環形状に結合されている。腿ベルト203Aは、作業者の右腿部に対向する位置に腿ベルト203Aの長さを調節するためのベルト止め214Aを有している。そして、腿ベルト203Aは、ベルト止め214Aが作業者の右腿部に対向する位置となるように、中継ベルト204A,205Aの端部に縫合されている。同様に、作業者の左腿部に対応する腿ベルト203Bは、長尺形状を呈し、作業者の左脚を通して左腿部に装着されるように環形状に結合されている。腿ベルト203Bは、作業者の左腿部に対向する位置に腿ベルト203Bの長さを調節するためのベルト止め214Bを有している。そして、腿ベルト203Bは、ベルト止め214Bが作業者の左腿部に対向する位置となるように、中継ベルト204B,205Bの端部に縫合されている。腿ベルト203A,203Bは、作業者の背部と対向する肩ベルト201A,201Bの交差位置211を境として左右対称となるように形成されている。
【0019】
尻当て206は長尺形状を呈し、尻当て206の両端は中継ベルト205A,205Bにおける作業者の臀部に対向する位置に縫合されている。
【0020】
肩ベルト201A,201Bの交差位置211には中継ベルト215を介して例えばD形状を呈する環状金具216が取り付けられ、環状金具216にはフック208が取り付けられている側とは反対側のランヤード207の端部が取り付けられている。
【0021】
バックル217Aは、中継ベルト218Aに取り付けられ、中継ベルト218Aのバックル217Aとは反対側の端部は、作業者の右腰部の位置となる縫合位置210Aに重なるように縫合されている。バックル217Bは、中継ベルト218Bに取り付けられ、中継ベルト218Bのバックル217Bとは反対側の端部は、作業者の左腰部の位置となる縫合位置210Bに重なるように縫合されている。
【0022】
以上説明したような構成を備えているハーネス型安全帯2は、嵌入片212をバックル213に嵌入し、肩ベルト201A,201B及び腿ベルト203A,203Bの長さを調節することによって、単体で着用することも可能である。
【0023】
<<胴ベルト型安全帯>>
胴ベルト型安全帯3は、胴ベルト301と、補助ベルト302と、V型角環303Bと、D環303A,303Cと、連結金具304A,304Bと、を含んで構成されている。胴ベルト301及び補助ベルト302は、素材として例えばナイロンを用いて形成されている。
【0024】
胴ベルト301は、作業者の胴部に装着されるように長尺形状を呈している。胴ベルト301には、作業者が胴ベルト301を装着したときに作業者の右腰部となる位置に連結金具304Aが着脱自在に装着され、作業者が胴ベルト301を装着したときに作業者の左腰部となる位置に連結金具304Bが着脱自在に装着されている。
【0025】
補助ベルト302は、作業者の胴部に胴ベルト301と重なり合って装着されるように長尺形状を呈している。補助ベルト302の幅は胴ベルト301の幅に比べて広く、補助ベルト302の長さは胴ベルト301の長さに比べて短く形成されている。補助ベルト302は、作業者が補助ベルト302を装着したときに作業者の右腰部、左腰部、後腰部となる3か所の位置に胴ベルト301を通して押えるためのベルト押え305A,305B,305Cを有している。更に、補助ベルト302は、作業者が補助ベルト302を装着したときに作業者の右腰部となる位置(ベルト押え305Aに隣り合う位置)にD環303Aを有し、作業者が補助ベルト302を装着したときに作業者の左腰部となる位置(ベルト押え305Bに隣り合う位置)にV型角環303Bを有し、作業者が補助ベルト302を装着したときに作業者の右腰部と後腰部との間となる位置にD環303Cを有している。V型角環303B,D環303A,303Cは、補助ベルト302の長手方向とは直交する方向を軸として回動するように、補助ベルト302に縫着されている。
【0026】
胴ベルト301は、補助ベルト302のV型角環303B,D環303A,303C、ベルト押え305A,305B,305Cに通すことによって、補助ベルト302に重なり合うように装着される。このとき、連結金具304Aは、D環303Aのベルト押え305Aとは反対側であってD環303A,303Cの間に装着され、連結金具304Bは、V型角環303Bのベルト押え305Bとは反対側に装着される。
【0027】
<<連結金具>>
連結金具304Aは、第1金具306Aと、第2金具307Aと、ヒンジ構造体308Aと、を含んで構成されている。
【0028】
第1金具306Aは、胴ベルト301に装着されるとともにヒンジ構造体308Aを介して第2金具307Aと連結される金具である。第1金具306Aは、平板322Aと、第1折曲片309A,310Aと、第2折曲片311A,312Aと、挿通孔313A,314Aと、を含んで構成されている。
【0029】
第1折曲片309A,310Aは、第1金具306Aと補助ベルト302との間に胴ベルト301を挟むための隙間を確保するために、胴ベルト301が挿通孔313A,314Aに挿通される方向とは直交する方向(胴ベルト301の長手方向とは直交する方向)に沿う平板322Aの両端から補助ベルト302へ向かって延在して形成される片である。尚、第1折曲片309A,310Aが平板322Aの面を基準として折れ曲がる角度は、90度未満の角度(例えば45度)である。更に、第1金具306Aと補助ベルト302との間に胴ベルト301や必要部品を挟む以外の余計な隙間を形成しないように、第1折曲片309A,310Aは、平板322Aが補助ベルト302に対して実質的に平行となるように形成されている。
【0030】
第2折曲片311Aは、D環303Aと連結金具304Aとの間に一定の距離を確保するために、胴ベルト301をD環303A,303Cに挿通した際に補助ベルト302に形成されているD環303Aの縫着部315Aに当接するように、第1折曲片309Aの平板322Aとは反対側の端から平板322Aと実質的に平行となるよう延在して形成される片である。そして、第2折曲片311Aを採用することによって、D環303Aを連結金具304Aの方向にスムーズに回動させることが可能となる。同様に、第2折曲片312Aは、D環303Cと連結金具304Aとの間に一定の距離を確保するために、胴ベルト301をD環303A,303Cに挿通した際に補助ベルト302に形成されているD環303Cの縫着部316Aに当接するように、第1折曲片310Aの平板322Aとは反対側の端から平板322Aと実質的に平行となるよう延在して形成される片である。そして、第2折曲片312Aを採用することによって、D環303Cを連結金具304Aの方向にスムーズに回動させることが可能となる。
【0031】
挿通孔313Aは、胴ベルト301を挿通するために、第1折曲片309Aの第2折曲片311Aに近い側の端に形成される長孔である。同様に、挿通孔314Aは、胴ベルト301を挿通するために、第1折曲片310Aの第2折曲片312Aに近い側の端に形成される長孔である。ここで、第1折曲片309A,310Aが補助ベルト302に近づくにつれて平板322Aから遠ざかるように折れ曲がっているため、挿通孔313A,314Aは、補助ベルト302に最も近い位置であって平板322Aの両端の距離よりも離れた位置に形成されることが分かる。更に、第2折曲片311A,312Aは、平板322Aから挿通孔313A,314Aよりも離れた位置において補助ベルト302に接触することが分かる。従って、第2折曲片311A,312Aが補助ベルト302に安定的に接触することによって補助ベルト302の変形が抑えられるため、胴ベルト301を挿通孔313A,314Aにスムーズに挿通するとともに、バックル217Aを連結金具304Aにスムーズに装着することが可能となる。
【0032】
第2金具307Aは、バックル217Aが着脱自在に装着される金具である。又、第2金具307Aは、ヒンジ構造体308Aを介して第1金具306Aと連結され、ヒンジ構造体308Aを中心として回動可能な金具である。換言すると、第1金具306Aが胴ベルト301に装着されている場合、第2金具307Aは、胴ベルト301の長手方向に沿う方向を向いているヒンジ構造体308Aを中心として、作業者の動きに応じて作業者に近づく方向又は作業者から遠ざかる方向に回動する金具である。第2金具307Aは、嵌入片317Aを含んで構成されている。
【0033】
嵌入片317Aは、ハーネス型安全帯2のバックル217Aに嵌入される槍形状を呈する1個の突出片である。嵌入片317Aは、バックル217Aと向き合うように第2金具307Aから斜めに突出して形成されている。上記の斜めの方向とは、胴ベルト301の長手方向とは直交する方向を基準としてベルト押え305Cの側に傾いた方向のことである。連結金具304Aは、D環303A,303Cで挟まれる領域において胴ベルト301の長手方向に沿ってスライド可能であって、作業者がハーネス型安全帯2と胴ベルト型安全帯3をともに着用して作業を行う状況によっては、連結金具304AがD環303Cに近寄る場合がある。この場合、嵌入片317AがD環303Cの側に傾いていることから、バックル217Aが連結金具304Aと連結された際にD環303Cに干渉する虞がある。そこで、図6に示すように、嵌入片317Aは、バックル217AがD環303Cに干渉しないように、胴ベルト301の長手方向とは直交する方向においてD環303Cから所定距離Xだけ離れた位置まで第2金具307Aから延在して形成されている。
【0034】
ヒンジ構造体308Aは、第1金具306Aと第2金具307Aとの間を連結する金具である。ヒンジ構造体308Aは、複数の筒体318Aと、複数の筒体319Aと、ピン320Aと、を含んで構成されている。複数の筒318Aは、第1金具306Aの第2金具307A側の端に等間隔で一体的に形成されている。複数の筒体319Aは、第2金具307Aの第1金具306A側の端に一体的に形成されている。第1金具306A及び第2金具307Aを連結する場合、複数の筒体318A,319Aのそれぞれの挿通孔が同軸となって連通するように、複数の筒体318A,319Aは交互に配置される。ピン320Aは、複数の筒体318A,319Aの挿通孔に挿入され、第1金具306A及び第2金具307Aを連結する部材である。
【0035】
尚、本実施形態において、1枚の金属板に対して打ち抜き加工及び折り曲げ加工を施すことによって、第1金具306Aは複数の筒体318Aとともに一体的に形成され、第2金具307Aは複数の筒体319Aとともに一体的に形成されることとする。
【0036】
連結金具304Bは、第1金具306Bと、第2金具307Bと、ヒンジ構造体308Bと、を含んで構成されている。
【0037】
第1金具306Bは、胴ベルト301に装着されるとともにヒンジ構造体308Bを介して第2金具307Bと連結される金具である。第1金具306Bは、平板322B、第1折曲片309B,310Bと、第2折曲片311B,312Bと、挿通孔313B,314Bと、を含んで構成されている。
【0038】
第1折曲片309B,310Bは、第1金具306Bと補助ベルト302との間に胴ベルト301を挟むための隙間を確保するために、胴ベルト301が挿通孔313B,314Bに挿通される方向とは直交する方向(胴ベルト301の長手方向とは直交する方向)に沿う平板322Bの両端から補助ベルト302へ向かって延在して形成される片である。尚、第1折曲片309B,310Bが平板322Bの面を基準として折れ曲がる角度は、90度未満の角度(例えば45度)である。更に、第1金具306Bと補助ベルト302との間に胴ベルト301や必要部品を挟む以外の余計な隙間を形成しないように、第1折曲片309B,310Bは、平板322Bが補助ベルト302に対して実質的に平行となるように形成されている。
【0039】
第2折曲片311Bは、D環やV型角環等の環状金具が仮に隣り合う場合(本実施形態では不図示)、環状金具と連結金具304Bとの間に一定の距離を確保するために、胴ベルト301を環状金具に挿通した際に補助ベルト302に形成されている環状金具の縫着部に当接するように、第1折曲片309Bの平板322Bとは反対側の端から平板322Bと実質的に平行となるよう延在して形成される片である。そして、第2折曲片311Bを採用することによって、環状金具を連結金具304Bの方向にスムーズに回動させることが可能となる。同様に、第2折曲片312Bは、V型角環303Bと連結金具304Bとの間に一定の距離を確保するために、胴ベルト301をV型角環303Bに挿通した際に補助ベルト302に形成されているV型角環303Bの縫着部316Bに当接するように、第1折曲片310Bの平板322Bとは反対側の端から平板322Bと実質的に平行となるよう延在して形成される片である。そして、第2折曲片312Bを採用することによって、V型角環303Bを連結金具304Bの方向にスムーズに回動させることが可能となる。
【0040】
挿通孔313Bは、胴ベルト301を挿通するために、第1折曲片309Bの第2折曲片311Bに近い側の端に形成される長孔である。同様に、挿通孔314Bは、胴ベルト301を挿通するために、第1折曲片310Bの第2折曲片312Bに近い側の端に形成される長孔である。ここで、第1折曲片309B,310Bが補助ベルト302に近づくにつれて平板322Bから遠ざかるように折れ曲がっているため、挿通孔313B,314Bは、補助ベルト302に最も近い位置であって平板322Bの両端の距離よりも離れた位置に形成されることが分かる。更に、第2折曲片311B,312Bは、平板322Bから挿通孔313B,314Bよりも離れた位置において補助ベルト302に接触することが分かる。従って、第2折曲片311B,312Bが補助ベルト302に安定的に接触することによって補助ベルト302の変形が抑えられるため、胴ベルト301を挿通孔313B,314Bにスムーズに挿通するとともに、バックル217Bを連結金具304Bにスムーズに装着することが可能となる。
【0041】
第2金具307Bは、バックル217Bが着脱自在に装着される金具である。又、第2金具307Bは、ヒンジ構造体308Bを介して第1金具306Bと連結され、ヒンジ構造体308Bを中心として回動可能な金具である。換言すると、第1金具306Bが胴ベルト301に装着されている場合、第2金具307Bは、胴ベルト301の長手方向に沿う方向を向いているヒンジ構造体308Bを中心として、作業者の動きに応じて作業者に近づく方向又は作業者から遠ざかる方向に回動する金具である。第2金具307Bは、嵌入片317Bを含んで構成されている。
【0042】
嵌入片317Bは、ハーネス型安全帯2のバックル217Bに嵌入される槍形状を呈する1個の突出片である。嵌入片317Bは、バックル217Bと向き合うように第2金具307Bから斜めに突出して形成されている。上記の斜めの方向とは、胴ベルト301の長手方向とは直交する方向を基準としてベルト押え305Cの側に傾いた方向のことである。
【0043】
尚、作業者が補助ベルト302を装着したときに作業者の左腰部と後腰部との間となる位置にD環やV型角環等の環状金具(不図示)を設ける場合、嵌入片317Bは、バックル217Bが環状金具に干渉しないように、胴ベルト301の長手方向とは直交する方向において環状金具から所定距離Xだけ離れた位置まで第2金具307Bから延在して形成されることとなる。
【0044】
ヒンジ構造体308Bは、第1金具306Bと第2金具307Bとの間を連結する金具である。ヒンジ構造体308Bは、複数の筒体318Bと、複数の筒体319Bと、ピン320Bと、を含んで構成されている。複数の筒318Bは、第1金具306Bの第2金具307B側の端に等間隔で一体的に形成されている。複数の筒体319Bは、第2金具307Bの第1金具306B側の端に一体的に形成されている。第1金具306B及び第2金具307Bを連結する場合、複数の筒体318B,319Bのそれぞれの挿通孔が同軸となって連通するように、複数の筒体318B,319Bは交互に配置される。ピン320Bは、複数の筒体318B,319Bの挿通孔に挿入され、第1金具306B及び第2金具307Bを連結する部材である。
【0045】
尚、本実施形態において、1枚の金属板に対して打ち抜き加工及び折り曲げ加工を施すことによって、第1金具306Bは複数の筒体318Bとともに一体的に形成され、第2金具307Bは複数の筒体319Bとともに一体的に形成されていることとする。
【0046】
以上説明したような構成を備えている胴ベルト型安全帯3は、バックル217A,217Bのそれぞれに嵌入片317A,317Bを嵌入し、肩ベルト201A,201B及び腿ベルト203A,203Bの長さを調節することによって、ハーネス型安全帯2と一体で着用することが可能となる。例えば電力線が架設される電柱上において保守点検作業等の高所作業を行う際に安全帯1を着用する場合、胴ベルト型安全帯3のD環303A及びV型角環303Bに対してランヤード207を取り付けるか、ランヤード207とは別のランヤード(不図示)を取り付けて、U字吊りの機能を実現すればよい。又、胴ベルト型安全帯3は、バックル217A,217Bのそれぞれに嵌入片317A,317Bを嵌入しないことによって、単体で着用することも可能である。例えば電力線が架設される電柱上において保守点検作業等の高所作業を行う際に胴ベルト型安全帯3を着用する場合、胴ベルト型安全帯3のD環303A及びV型角環303Bに対してランヤード207を取り付けて、U字吊りの機能を実現すればよい。
【0047】
<<安全帯の着用手順の一例>>
先ず、作業者は、腿ベルト203Aに右脚を通して腿ベルト203Aを右腿部に装着し、腿ベルト203Bに左脚を通して腿ベルト203Bを左脚部に装着し、肩ベルト201Aに右腕を通して肩ベルト201Aを右肩部に装着し、肩ベルト201Bに左腕を通して肩ベルト201Bを左肩部に装着する。
【0048】
次に、作業者は、バックル213に嵌入片212を嵌入し、胸ベルト202を介して肩ベルト201A,201Bを結合する。
【0049】
次に、作業者は、肩ベルト201A,201B及び腿ベルト203A,203Bの長さを最適な長さとなるように調節する。尚、上記の着用手順のみを実施することによって、ハーネス型安全帯2を単体で使用することも可能である。
【0050】
次に、作業者は、胴ベルト型安全帯3を手にとってバックル217A,217Bのそれぞれに嵌入片317A,317Bを嵌入し、ハーネス型安全帯2及び胴ベルト型安全帯3を連結する。尚、嵌入片317A,317Bがそれぞれ形成される第2金具307A,307Bは、作業者の動きに応じて作業者に近づく方向又は作業者から遠ざかる方向(図9Bに示す白抜き矢印の方向)に自在に動くため、ハーネス型安全帯2及び胴ベルト型安全帯3を迅速に連結することが可能となる。
【0051】
次に、作業者は、胴ベルト型安全帯3を作業者の胴周りに装着する。
【0052】
最後に、作業者は、作業内容に応じて、ランヤード207をハーネス型安全帯2の環状金具216に取り付けるか胴ベルト型安全帯3のD環303A及びV型角環303Bに取り付ける。
【0053】
このようにして、作業者は、高所作業を行うことが可能となる。
【0054】
<<連結金具の変形例>>
本実施形態において、作業者が胴ベルト型安全帯3を装着したときに、嵌入片317A(317B)は、胴ベルト型安全帯3よりも上側に取り付けられているバックル217A(217B)に嵌入するために、バックル217A(217B)に向かって上側を向くように形成されている。しかし、これに限定されずに、例えば、バックル217A(217B)を胴ベルト型安全帯3よりも下側の中継ベルト204A(204B)に縫着し、嵌入片317A(317B)がバックル217A(217B)に向かって下側を向くように連結金具304A(304B)を形成してもよい。この場合、バックル217A(217B)及び連結金具304A(304B)は作業者の上半身の支障にならなくなるため、作業性を向上させることが可能となる。又、バックル217A(217B)の嵌入孔を目視できるため、第2金具307A(307B)の可動範囲が広いことと相まって嵌入片317A(317B)をバックル217A(217B)に確実に嵌入することが可能となる。又、バックル217A(217B)は嵌入片317A(317B)が嵌入されないと連結金具304A(304B)から離れるように自重で垂下するため、連結金具304A(304B)をバックル217A(217B)から容易に取り外すことが可能となる。
【0055】
本実施形態において、第1金具306A(306B)は、1枚の金属板に対して折り曲げ加工や打ち抜き加工を施すことによって形成されている。例えば、弾性が生じる程度の厚みを有する金属板から第1金具306A(306B)を形成してもよい。この場合、胴ベルト301と第1金具306A(306B)との間の干渉を弾性力によって軽減することが可能となる。
【0056】
<<連結金具の適用例>>
胴ベルト301には、作業者が作業を行う際に手に取る工具類を収容するための工具袋321が吊り下げられている。しかし、工具袋321がD環303A,303Cの間に吊り下げられている場合、作業者がランヤード207のフック208をD環303A,303Cに引っ掛けようとした際に、フック208が誤って工具袋321に引っ掛かってしまうと、胴ベルト301から工具袋321を落下させてしまう虞がある。そこで、胴ベルト301に対する工具袋321の取付部分を覆うように、胴ベルト301に連結金具304A(304B)を装着すればよい。これによって、工具袋321の落下を確実に防止することが可能となる。
【0057】
===第2実施形態===
図12Aは、本実施形態に係る安全帯の他の一部を構成する胴ベルト型安全帯に装着される一方の連結金具を示す斜視図である。
【0058】
図12Bは、本実施形態に係る安全帯の他の一部を構成する胴ベルト型安全帯に装着される他方の連結金具を示す斜視図である。
【0059】
図13Aは、本実施形態に係る安全帯において、一方の連結金具を図12Aにおける+Yの側から-Yの側を眺めたときの平面図である。
【0060】
図13Bは、本実施形態に係る安全帯において、他方の連結金具を図12Bにおける-Yの側から+Yの側を眺めたときの平面図である。
【0061】
図14Aは、本実施形態に係る安全帯において、一方の連結金具を図12Aにおける+Xの側から-Xの側を眺めたときの平面図である。
【0062】
図14Bは、本実施形態に係る安全帯において、他方の連結金具を図12Bにおける+Xの側から-Xの側を眺めたときの平面図である。
【0063】
以下、図12A図14Bを参照しつつ、本実施形態に係る安全帯について説明する。尚、図12A図14Bに示す連結金具は、図3A図5Bに示す連結金具の代わりに、胴ベルト型安全帯3に装着する金具である。
【0064】
<<連結金具>>
連結金具401Aは、第1金具402Aと、第2金具403Aと、ベルト構造体404Aと、を含んで構成されている。
【0065】
第1金具402Aは、胴ベルト301に装着されるとともにベルト構造体404Aを介して第2金具403Aと連結される金具である。第1金具402Aは、平板405Aと、第1折曲片406A,407Aと、第2折曲片408A,409Aと、挿通孔410A,411A,412Aと、を含んで構成されている。
【0066】
第1折曲片406A,407Aは、第1金具402Aと補助ベルト302との間に胴ベルト301を挟むための隙間を確保するために、胴ベルト301が挿通孔410A,411Aに挿通される方向とは直交する方向(胴ベルト301の長手方向とは直交する方向)に沿う平板405Aの両端から補助ベルト302へ向かって延在して形成される片である。尚、第1折曲片406A,407Aが平板405Aの面を基準として折れ曲がる角度は、90度未満の角度(例えば45度)である。更に、第1金具402Aと補助ベルト302との間に胴ベルト301や必要部品を挟む以外の余計な隙間を形成しないように、第1折曲片406A,407Aは、平板405Aが補助ベルト302に対して実質的に平行となるように形成されている。
【0067】
第2折曲片408Aは、D環303Aと連結金具401Aとの間に一定の距離を確保するために、胴ベルト301をD環303A,303Cに挿通した際に補助ベルト302に形成されているD環303Aの縫着部315Aに当接するように、第1折曲片406Aの平板405Aとは反対側の端から平板405Aと実質的に平行となるよう延在して形成される片である。そして、第2折曲片408Aを採用することによって、D環303Aを連結金具401Aの方向にスムーズに回動させることが可能となる。同様に、第2折曲片409Aは、D環303Cと連結金具401Aとの間に一定の距離を確保するために、胴ベルト301をD環303A,303Cに挿通した際に補助ベルト302に形成されているD環303Cの縫着部316Aに当接するように、第1折曲片407Aの平板405Aとは反対側の端から平板405Aと実質的に平行となるよう延在して形成される片である。そして、第2折曲片409Aを採用することによって、D環303Cを連結金具401Aの方向にスムーズに回動させることが可能となる。
【0068】
挿通孔410Aは、胴ベルト301を挿通するために、第1折曲片406Aの第2折曲片408Aに近い側の端に形成される長孔である。同様に、挿通孔411Aは、胴ベルト301を挿通するために、第1折曲片407Aの第2折曲片409Aに近い側の端に形成される長孔である。ここで、第1折曲片406A,407Aが補助ベルト302に近づくにつれて平板405Aから遠ざかるように折れ曲がっているため、挿通孔410A,411Aは、補助ベルト302に最も近い位置であって平板405Aの両端の距離よりも離れた位置に形成されることが分かる。更に、第2折曲片408A,409Aは、平板405Aから挿通孔410A,411Aよりも離れた位置において補助ベルト302に接触することが分かる。従って、第2折曲片408A,409Aが補助ベルト302に安定的に接触することによって補助ベルト302の変形が抑えられるため、胴ベルト301を挿通孔410A,410Aにスムーズに挿通するとともに、バックル217Aを連結金具401Aにスムーズに装着することが可能となる。
【0069】
挿通孔412Aは、第1金具402A及び第2金具403Aがベルト構造体404Aを介して連結されるように、平板405Aの第2金具403Aに近い側の端に形成される長孔である。挿通孔412Aは、長手方向においてベルト構造体404Aと実質的に同等の長さを有している。これによって、ベルト構造体404Aは、挿通孔412Aに挿通された場合、挿通孔412Aの長手方向にずれることがなくなる。
【0070】
第2金具403Aは、バックル217Aが着脱自在に装着される金具である。又、第2金具403Aは、ベルト構造体404Aを介して第1金具402Aと連結され、作業者の動きに応じて自在に動くことが可能な金具である。換言すると、第1金具402Aが胴ベルト301に装着されている場合、第2金具403Aは、作業者の動きに応じて、作業者に近づく方向、作業者から遠ざかる方向、第1金具402Aに対してねじれる方向等に動くことが可能な金具である。第2金具403Aは、嵌入片413A及び挿通孔414Aを含んで構成されている。
【0071】
嵌入片413Aは、ハーネス型安全帯2のバックル217Aに嵌入される槍形状を呈する1個の突出片である。嵌入片413Aは、バックル217Aと向き合うように第2金具403Aから斜めに突出して形成されている。上記の斜めの方向とは、胴ベルト301の長手方向とは直交する方向を基準としてベルト押え305Cの側に傾いた方向のことである。連結金具401Aは、D環303A,303Cで挟まれる領域において胴ベルト301の長手方向に沿ってスライド可能であって、作業者がハーネス型安全帯2と胴ベルト型安全帯3をともに着用して作業を行う状況によっては、連結金具401AがD環303Cに近寄る場合がある。この場合、嵌入片413AがD環303Cの側に傾いていることから、バックル217Aが連結金具401Aと連結された際にD環303Cに干渉する虞がある。そこで、嵌入片413Aは、バックル217AがD環303Cに干渉しないように、胴ベルト301の長手方向とは直交する方向においてD環303Cから所定距離Xだけ離れた位置まで第2金具403Aから延在して形成されている。
【0072】
挿通孔414Aは、第1金具402A及び第2金具403Aがベルト構造体404Aを介して連結されるように、第2金具403Aの第1金具402Aに近い側の端(換言すると、第2金具403Aの嵌入片413Aとは反対側の端)に形成される長孔である。挿通孔414Aは、長手方向においてベルト構造体404Aと実質的に同等の長さを有している。これによって、ベルト構造体404Aは、挿通孔414Aに挿通された場合、挿通孔414Aの長手方向にずれることがなくなる。
【0073】
ベルト構造体404Aは、第1金具402Aと第2金具403Aとの間を連結する部材である。ベルト構造体404Aは、帯形状を呈している。ベルト構造体404Aは、第2金具403Aが作業者の動きに応じて自在に動くように、素材として、例えば、ハーネス型安全帯2のベルトのようにナイロンを用いて形成されるか、ハーネス型安全帯2のランヤードのように中芯の素材としてアラミド繊維を用いるとともに表皮の素材としてポリエステル繊維を用いて形成されることとする。ベルト構造体404Aの一端は、挿通孔412Aに挿通されるとともに折り返されて、第1金具402Aから外れないように縫着されている。同様に、ベルト構造体404Aの他端は、挿通孔414Aに挿通されるとともに折り返されて、第2金具403Aから外れないように縫着されている。
【0074】
尚、本実施形態において、1枚の金属板に対して打ち抜き加工及び折り曲げ加工を施すことによって、第1金具402A及び第2金具403Aは形成されることとする。
【0075】
連結金具401Bは、第1金具402Bと、第2金具403Bと、ベルト構造体404Bと、を含んで構成されている。
【0076】
第1金具402Bは、胴ベルト301に装着されるとともにベルト構造体404Bを介して第2金具403Bと連結される金具である。第1金具402Bは、平板405B、第1折曲片406B,407Bと、第2折曲片408B,409Bと、挿通孔410B,411B,412Bと、を含んで構成されている。
【0077】
第1折曲片406B,407Bは、第1金具402Bと補助ベルト302との間に胴ベルト301を挟むための隙間を確保するために、胴ベルト301が挿通孔410B,411Bに挿通される方向とは直交する方向(胴ベルト301の長手方向とは直交する方向)に沿う平板405Bの両端から補助ベルト302へ向かって延在して形成される片である。尚、第1折曲片406B,407Bが平板405Bの面を基準として折れ曲がる角度は、90度未満の角度(例えば45度)である。更に、第1金具402Bと補助ベルト302との間に胴ベルト301や必要部品を挟む以外の余計な隙間を形成しないように、第1折曲片406B,407Bは、平板405Bが補助ベルト302に対して実質的に平行となるように形成されている。
【0078】
第2折曲片408Bは、D環やV型角環等の環状金具が仮に隣り合う場合(本実施形態では不図示)、環状金具と連結金具401Bとの間に一定の距離を確保するために、胴ベルト301を環状金具に挿通した際に補助ベルト302に形成されている環状金具の縫着部に当接するように、第1折曲片406Bの平板405Bとは反対側の端から平板405Bと実質的に平行となるよう延在して形成される片である。そして、第2折曲片408Bを採用することによって、環状金具を連結金具401Bの方向にスムーズに回動させることが可能となる。同様に、第2折曲片409Bは、V型角環303Bと連結金具401Bとの間に一定の距離を確保するために、胴ベルト301をV型角環303Bに挿通した際に補助ベルト302に形成されているV型角環303Bの縫着部316Bに当接するように、第1折曲片407Bの平板405Bとは反対側の端から平板405Bと実質的に平行となるよう延在して形成される片である。そして、第2折曲片409Bを採用することによって、V型角環303Bを連結金具401Bの方向にスムーズに回動させることが可能となる。
【0079】
挿通孔410Bは、胴ベルト301を挿通するために、第1折曲片406Bの第2折曲片408Bに近い側の端に形成される長孔である。同様に、挿通孔411Bは、胴ベルト301を挿通するために、第1折曲片407Bの第2折曲片409Bに近い側の端に形成される長孔である。ここで、第1折曲片406B,407Bが補助ベルト302に近づくにつれて平板405Bから遠ざかるように折れ曲がっているため、挿通孔410B,411Bは、補助ベルト302に最も近い位置であって平板405Bの両端の距離よりも離れた位置に形成されることが分かる。更に、第2折曲片408B,409Bは、平板405Bから挿通孔410B,411Bよりも離れた位置において補助ベルト302に接触することが分かる。従って、第2折曲片408B,409Bが補助ベルト302に安定的に接触することによって補助ベルト302の変形が抑えられるため、胴ベルト301を挿通孔410B,411Bにスムーズに挿通するとともに、バックル217Bを連結金具401Bにスムーズに装着することが可能となる。
【0080】
挿通孔412Bは、第1金具402B及び第2金具403Bがベルト構造体404Bを介して連結されるように、平板405Bの第2金具403Bに近い側の端に形成される長孔である。挿通孔412Bは、長手方向においてベルト構造体404Bと実質的に同等の長さを有している。これによって、ベルト構造体404Bは、挿通孔412Bに挿通された場合、挿通孔412Bの長手方向にずれることがなくなる。
【0081】
第2金具403Bは、バックル217Bが着脱自在に装着される金具である。又、第2金具403Bは、ベルト構造体404Bを介して第1金具402Bと連結され、作業者の動きに応じて自在に動くことが可能な金具である。換言すると、第1金具402Bが胴ベルト301に装着されている場合、第2金具403Bは、作業者の動きに応じて、作業者に近づく方向、作業者から遠ざかる方向、第1金具402Bに対してねじれる方向等に動くことが可能な金具である。第2金具403Bは、嵌入片413B及び挿通孔414Bを含んで構成されている。
【0082】
嵌入片413Bは、ハーネス型安全帯2のバックル217Bに嵌入される槍形状を呈する1個の突出片である。嵌入片413Bは、バックル217Bと向き合うように第2金具403Bから斜めに突出して形成されている。上記の斜めの方向とは、胴ベルト301の長手方向とは直交する方向を基準としてベルト押え305Cの側に傾いた方向のことである。
【0083】
尚、作業者が補助ベルト302を装着したときに作業者の左腰部と後腰部との間となる位置にD環やV型角環等の環状金具(不図示)を設ける場合、嵌入片413Bは、バックル217Bが環状金具に干渉しないように、胴ベルト301の長手方向とは直交する方向において環状金具から所定距離Xだけ離れた位置まで第2金具403Bから延在して形成されることとなる。
【0084】
挿通孔414Bは、第1金具402B及び第2金具403Bがベルト構造体404Bを介して連結されるように、第2金具403Bの第1金具402Bに近い側の端(換言すると、第2金具403Bの嵌入片413Bとは反対側の端)に形成される長孔である。挿通孔414Bは、長手方向においてベルト構造体404Bと実質的に同等の長さを有している。これによって、ベルト構造体404Bは、挿通孔414Bに挿通された場合、挿通孔414Bの長手方向にずれることがなくなる。
【0085】
ベルト構造体404Bは、第1金具402Bと第2金具403Bとの間を連結する部材である。ベルト構造体404Bは、帯形状を呈している。ベルト構造体404Bは、第2金具403Bが作業者の動きに応じて自在に動くように、素材として、例えば、ハーネス型安全帯2のベルトのようにナイロンを用いて形成されるか、ハーネス型安全帯2のランヤードのように中芯の素材としてアラミド繊維を用いるとともに表皮の素材としてポリエステル繊維を用いて形成されることとする。ベルト構造体404Bの一端は、挿通孔412Bに挿通されるとともに折り返されて、第1金具402Bから外れないように縫着されている。同様に、ベルト構造体404Bの他端は、挿通孔414Bに挿通されるとともに折り返されて、第2金具403Bから外れないように縫着されている。
【0086】
尚、本実施形態において、1枚の金属板に対して打ち抜き加工及び折り曲げ加工を施すことによって、第1金具402B及び第2金具403Bは形成されることとする。
【0087】
<<連結金具の変形例>>
本実施形態において、作業者が胴ベルト型安全帯3を装着したときに、嵌入片413A(413B)は、胴ベルト型安全帯3よりも上側に取り付けられているバックル217A(217B)に嵌入するために、バックル217A(217B)に向かって上側を向くように形成されている。しかし、これに限定されずに、例えば、バックル217A(217B)を胴ベルト型安全帯3よりも下側の中継ベルト204A(204B)に縫着し、嵌入片413A(413B)がバックル217A(217B)に向かって下側を向くように連結金具401A(401B)を形成してもよい。この場合、バックル217A(217B)及び連結金具401A(401B)は作業者の上半身の支障にならなくなるため、作業性を向上させることが可能となる。又、バックル217A(217B)の嵌入孔を目視できるため、第2金具403A(403B)の可動範囲が広いことと相まって嵌入片413A(413B)をバックル217A(217B)に確実に嵌入することが可能となる。又、バックル217A(217B)は嵌入片413A(413B)が嵌入されないと連結金具401A(401B)から離れるように自重で垂下するため、連結金具401A(401B)をバックル217A(217B)から容易に取り外すことが可能となる。
【0088】
本実施形態において、第1金具402A(402B)は、1枚の金属板に対して折り曲げ加工や打ち抜き加工を施すことによって形成されている。例えば、弾性が生じる程度の厚みを有する金属板から第1金具402A(402B)を形成してもよい。この場合、胴ベルト301と第1金具402A(402B)との間の干渉を弾性力によって軽減することが可能となる。
【0089】
本実施形態において、ベルト構造体404A(404B)は、ナイロンやアラミド繊維及びポリエステル繊維等を素材として形成されている。しかし、これに限定されずに、ベルト構造体404A(404B)は、多少の伸縮性を有する素材を用いて形成されてもよい。この場合、第2金具403A(403B)の可動範囲が広がるため、作業性を向上させることが可能となる。
【0090】
<<連結金具の適用例>>
胴ベルト301には、作業者が作業を行う際に手に取る工具類を収容するための工具袋321が吊り下げられている。しかし、工具袋321がD環303A,303Cの間に吊り下げられている場合、作業者がランヤード207のフック208をD環303A,303Cに引っ掛けようとした際に、フック208が誤って工具袋321に引っ掛かってしまうと、胴ベルト301から工具袋321を落下させてしまう虞がある。そこで、胴ベルト301に対する工具袋321の取付部分を覆うように、胴ベルト301に連結金具401A(401B)を装着すればよい。これによって、工具袋321の落下を確実に防止することが可能となる。
【0091】
===第3実施形態===
図15は、本実施形態に係る安全帯の他の一部を構成する胴ベルト型安全帯に装着される連結金具を示す分解斜視図である。
【0092】
図16は、本実施形態に係る安全帯の他の一部を構成する胴ベルト型安全帯に装着される連結金具を示す斜視図である。
【0093】
図17は、本実施形態に係る安全帯において、連結金具を図15における-Yの側から+Yの側を眺めたときの分解平面図である。
【0094】
図18は、本実施形態に係る安全帯において、連結金具を図16における-Yの側から+Yの側を眺めたときの平面図である。
【0095】
図19は、本実施形態に係る安全帯において、連結金具を図16における+Xの側から-Xの側を眺めたときの平面図である。
【0096】
以下、図15図19を参照しつつ、本実施形態に係る安全帯について説明する。尚、図15図19に示す連結金具は、図3A図5Bに示す連結金具や図12A図14Bに示す連結金具の代わりに、胴ベルト型安全帯3の右腰部及び左腰部のそれぞれに装着される同一の金具である。但し、図15図19に示す連結金具を採用する場合、図15図18に示すバックルを併せて採用する必要がある。
【0097】
<<バックル>>
バックル501A(501B)は、ハーネス型安全帯2及び胴ベルト型安全帯3を連結するための金具であって、ハーネス型安全帯2の中継ベルト218A(218B)にバックル217A(217B)に代わる金具として取り付けられている。バックル501A(501B)は、本体502A(502B)及び円筒体503A(503B)を含んで構成されている。
【0098】
本体502A(502B)は、中継ベルト218A(218B)に取り付けられている。
【0099】
円筒体503A(503B)は、本体502A(502B)の中継ベルト218A(218B)が取り付けられる端とは反対側の端に、円筒体503A(503B)の軸が沿うように一体的に形成されている。円筒体503A(503B)は、スリット504A(504B)及び連通孔505A(505B)を有している。スリット504A(504B)は、円筒体503A(503B)の本体502A(502B)が取り付けられる位置とは反対側の位置において、円筒体503A(503B)の軸に沿って形成されている。連通孔505A(505B)は、雄螺子を有するロックピン506A(506B)と螺合するための雌螺子を有し、平板502A(502B)の一方側の面(+Z)と同じ側であって円筒体503A(503B)の軸方向の中央となる位置に穿設されている。
【0100】
<<連結金具>>
連結金具601Aは、胴ベルト301に装着される金具である。連結金具601Aは、平板602Aと、第1折曲片603A,604Aと、第2折曲片605A,606Aと、挿通孔607A,608Aと、円柱体609Aと、を含んで構成されている。
【0101】
第1折曲片603A,604Aは、連結金具601Aと補助ベルト302との間に胴ベルト301を挟むための隙間を確保するために、胴ベルト301が挿通孔607A,608Aに挿通される方向とは直交する方向(胴ベルト301の長手方向とは直交する方向)に沿う平板602Aの両端から補助ベルト302へ向かって延在して形成される片である。尚、第1折曲片603A,604Aが平板602Aの面を基準として折れ曲がる角度は、90度未満の角度(例えば45度)である。更に、連結金具601Aと補助ベルト302との間に胴ベルト301や必要部品を挟む以外の余計な隙間を形成しないように、第1折曲片603A,604Aは、平板602Aが補助ベルト302に対して実質的に平行となるように形成されている。
【0102】
第2折曲片605Aは、D環303Aと連結金具601Aとの間に一定の距離を確保するために、胴ベルト301をD環303A,303Cに挿通した際に補助ベルト302に形成されているD環303Aの縫着部315Aに当接するように、第1折曲片603Aの平板602Aとは反対側の端から平板602Aと実質的に平行となるよう延在して形成される片である。そして、第2折曲片605Aを採用することによって、D環303Aを連結金具601Aの方向にスムーズに回動させることが可能となる。同様に、第2折曲片606Aは、D環303Cと連結金具601Aとの間に一定の距離を確保するために、胴ベルト301をD環303A,303Cに挿通した際に補助ベルト302に形成されているD環303Cの縫着部316Aに当接するように、第1折曲片604Aの平板602Aとは反対側の端から平板602Aと実質的に平行となるよう延在して形成される片である。そして、第2折曲片606Aを採用することによって、D環303Cを連結金具601Aの方向にスムーズに回動させることが可能となる。
【0103】
挿通孔607Aは、胴ベルト301を挿通するために、第1折曲片603Aの第2折曲片605Aに近い側の端に形成される長孔である。同様に、挿通孔608Aは、胴ベルト301を挿通するために、第1折曲片604Aの第2折曲片606Aに近い側の端に形成される長孔である。ここで、第1折曲片603A,604Aが補助ベルト302に近づくにつれて平板602Aから遠ざかるように折れ曲がっているため、挿通孔607A,608Aは、補助ベルト302に最も近い位置であって平板602Aの両端の距離よりも離れた位置に形成されることが分かる。更に、第2折曲片605A,606Aは、平板602Aから挿通孔607A,608Aよりも離れた位置において補助ベルト302に接触することが分かる。従って、第2折曲片605A,606Aが補助ベルト302に安定的に接触することによって補助ベルト302の変形が抑えられるため、胴ベルト301を挿通孔607A,608Aにスムーズに挿通することが可能となる。
【0104】
円柱体609Aは、平板602Aのバックル501Aが装着される側の端に、円柱体609Aの軸が沿うように一体的に形成されている。円柱体609Aは、大径部610A,611Aと、小径部612Aと、結合部615Aと、を有している。大径部610A,611Aと小径部612Aは、円柱体609Aの軸方向に沿って円柱体609Aの同軸上に連続的に形成されている。大径部610A,611Aは、円柱体609Aの両側を形成する部位である。大径部610A,611Aの径は、円筒体503Aの内径よりも僅かに短い径となっている。小径部612Aは、大径部610A,611Aに挟まれて円柱体609Aの中央を形成する部位である。小径部612Aの長さは、連通孔505Aの径と実質的に同じ長さとなっている。結合部615Aは、大径部610A,611A、小径部612Aと平板602Aとの間に一体的に形成されている。結合部615Aは、円柱体609Aを円筒体503Aに嵌入する際にスリット504Aを案内する部位であって、スリット504Aの幅よりも僅かに広い幅を有している。
【0105】
連結金具601Bは、胴ベルト301に装着される金具である。連結金具601Bは、平板602Bと、第1折曲片603B,604Bと、第2折曲片605B,606Bと、挿通孔607B,608Bと、円柱体609Bと、を含んで構成されている。
【0106】
第1折曲片603B,604Bは、連結金具601Bと補助ベルト302との間に胴ベルト301を挟むための隙間を確保するために、胴ベルト301が挿通孔607B,608Bに挿通される方向とは直交する方向(胴ベルト301の長手方向とは直交する方向)に沿う平板602Bの両端から補助ベルト302へ向かって延在して形成される片である。尚、第1折曲片603B,604Bが平板602Bの面を基準として折れ曲がる角度は、90度未満の角度(例えば45度)である。更に、連結金具601Bと補助ベルト302との間に胴ベルト301や必要部品を挟む以外の余計な隙間を形成しないように、第1折曲片603B,604Bは、平板602Bが補助ベルト302に対して実質的に平行となるように形成されている。
【0107】
第2折曲片605Bは、D環やV型角環等の環状金具が仮に隣り合う場合(本実施形態では不図示)、環状金具と連結金具601Bとの間に一定の距離を確保するために、胴ベルト301を環状金具に挿通した際に補助ベルト302に形成されている環状金具の縫着部に当接するように、第1折曲片603Bの平板602Bとは反対側の端から平板602Bと実質的に平行となるよう延在して形成される片である。そして、第2折曲片605Bを採用することによって、環状金具を連結金具601Bの方向にスムーズに回動させることが可能となる。同様に、第2折曲片606Bは、V型角環303Bと連結金具601Bとの間に一定の距離を確保するために、胴ベルト301をV型角環303Bに挿通した際に補助ベルト302に形成されているV型角環303Bの縫着部316Bに当接するように、第1折曲片604Bの平板602Bとは反対側の端から平板602Bと実質的に平行となるよう延在して形成される片である。そして、第2折曲片606Bを採用することによって、V型角環303Bを連結金具601Bの方向にスムーズに回動させることが可能となる。
【0108】
挿通孔607Bは、胴ベルト301を挿通するために、第1折曲片603Bの第2折曲片605Bに近い側の端に形成される長孔である。同様に、挿通孔608Bは、胴ベルト301を挿通するために、第1折曲片604Bの第2折曲片606Bに近い側の端に形成される長孔である。ここで、第1折曲片603B,604Bが補助ベルト302に近づくにつれて平板602Bから遠ざかるように折れ曲がっているため、挿通孔607B,608Bは、補助ベルト302に最も近い位置であって平板602Bの両端の距離よりも離れた位置に形成されることが分かる。更に、第2折曲片605B,606Bは、平板602Bから挿通孔607B,608Bよりも離れた位置において補助ベルト302に接触することが分かる。従って、第2折曲片605B,606Bが補助ベルト302に安定的に接触することによって補助ベルト302の変形が抑えられるため、胴ベルト301を挿通孔607B,608Bにスムーズに挿通することが可能となる。
【0109】
円柱体609Bは、平板602Bのバックル501Bが装着される側の端に、円柱体609Bの軸が沿うように一体的に形成されている。円柱体609Bは、大径部610B,611Bと、小径部612Bと、結合部615Bと、を有している。大径部610B,611Bと小径部612Bは、円柱体609Bの軸方向に沿って円柱体609Bの同軸上に連続的に形成されている。大径部610B,611Bは、円柱体609Bの両側を形成する部位である。大径部610B,611Bの径は、円筒体503Bの内径よりも僅かに短い径となっている。小径部612Bは、大径部610B,611Bに挟まれて円柱体609Bの中央を形成する部位である。小径部612Bの長さは、連通孔505Bの径と実質的に同じ長さとなっている。結合部615Bは、大径部610B,611B、小径部612Bと平板602Bとの間に一体的に形成されている。結合部615Bは、円柱体609Bを円筒体503Bに嵌入する際にスリット504Bを案内する部位であって、スリット504Bの幅よりも僅かに広い幅を有している。
【0110】
尚、本実施形態において、本体502A(502B)及び円筒体503A(503B)は、例えば金属板に対して打ち抜き加工及び折り曲げ加工を施すことによって形成され、バックル501A(501B)は、例えば本体502A(502B)及び円筒体503A(503B)に対して溶接加工を施すことによって形成されることとする。又、連結金具601A(601B)は、円柱体609A(609B)を除いて、例えば金属板に対して打ち抜き加工及び折り曲げ加工を施すことによって形成され、円柱体609A(609B)は、例えば金属塊に対して削り出し加工を施すことによって形成され、連結金具601A(601B)は、例えば円柱体609A(609B)との間に溶接加工を施すことによって形成されることとする。
【0111】
<<バックル及び連結金具の装着手順の一例>>
先ず、結合部615A(615B)の端をスリット504A(504B)の端から差し込み、スリット504A(504B)に沿って結合部615A(615B)を移動させながら、円柱体609A(609B)を円筒体503A(503B)に嵌入する。円柱体609A(609B)を円筒体503A(503B)に嵌入し終わると、連通孔505A(505B)は小径部612A(612B)を臨むように連通する。
【0112】
次に、ロックピン506A(506B)を連通孔505A(505B)に螺合させながら挿入する。ロックピン506A(506B)を連通孔505A(505B)に挿入し終わると、ロックピン506A(506B)の先端は、小径部612A(612B)の手前で停止し、大径部610A(610B)及び小径部612A(612B)の段差面と大径部611A(611B)及び小径部612A(612B)の段差面とに挟まれる。
【0113】
以上の装着手順を完了すると、バックル501A(501B)は、連結金具601A(601B)に対して外れないように装着され、円柱体609A(609B)の軸を中心として、作業者の動きに応じて作業者に近づく方向又は作業者から遠ざかる方向に回動することが可能となる。
【0114】
<<連結金具の変形例>>
本実施形態において、作業者が胴ベルト型安全帯3を装着したときに、円柱体609A(609B)は、胴ベルト型安全帯3よりも上側に取り付けられているバックル501A(501B)に嵌入するために、バックル501A(501B)に向かって上側を向くように形成されている。しかし、これに限定されずに、例えば、バックル501A(501B)を胴ベルト型安全帯3よりも下側の中継ベルト204A(204B)に縫着し、円柱体609A(609B)がバックル501A(501B)に向かって下側を向くように連結金具601A(601B)を形成してもよい。この場合、バックル501A(501B)及び連結金具601A(601B)は作業者の上半身の支障にならなくなるため、作業性を向上させることが可能となる。又、バックル501A(501B)は連結金具601A(601B)と連結されないと連結金具601A(601B)から離れるように自重で垂下するため、連結金具601A(601B)をバックル501A(501B)から容易に取り外すことが可能となる。
【0115】
<<連結金具の適用例>>
胴ベルト301には、作業者が作業を行う際に手に取る工具類を収容するための工具袋321が吊り下げられている。しかし、工具袋321がD環303A,303Cの間に吊り下げられている場合、作業者がランヤード207のフック208をD環303A,303Cに引っ掛けようとした際に、フック208が誤って工具袋321に引っ掛かってしまうと、胴ベルト301から工具袋321を落下させてしまう虞がある。そこで、胴ベルト301に対する工具袋321の取付部分を覆うように、胴ベルト301に連結金具601A(601B)を装着すればよい。これによって、工具袋321の落下を確実に防止することが可能となる。
【0116】
===まとめ===
以上説明したように、本実施形態において、安全帯1は、作業者の肩部に装着される肩ベルト201A(201B)と、肩ベルト201A(201B)と一体に設けられ、作業者の腿部に装着される腿ベルト203A(203B)と、肩ベルト201A(201B)又は腿ベルト203A(203B)と一体に設けられるバックルと、を含むハーネス型安全帯2と、作業者の胴に装着される胴ベルト301と、胴ベルト301と一体に設けられ、バックルに対して着脱自在に装着される連結金具と、を含む胴ベルト型安全帯3と、を備える。連結金具304A(304B)や連結金具401A(401B)の場合、バックル217A(217B)が装着される側の金具の一部は、バックル217A(217B)が作業者の動きに応じて作業者に近づく方向又は作業者から遠ざかる方向に動くように形成される。又、連結金具601A(601B)の場合、バックル501A(501B)が装着される側の金具の一部は、バックル501A(501B)が作業者の動きに応じて作業者に近づく方向又は作業者から遠ざかる方向に動くように形成される。
【0117】
そして、本実施形態によれば、バックルが作業者の動きに応じて作業者に近づく方向又は作業者から遠ざかる方向に動くように連結金具が形成されているため、高所作業の内容に応じて、ハーネス型安全帯及び胴ベルト型安全帯を一体又は別体として使用する態様を迅速に切り替えることが可能となる。
【0118】
又、本実施形態において、連結金具304A(304B)の場合、胴ベルト301に装着される第1金具306A(306B)と、バックル217A(217B)に装着される第2金具307A(307B)と、第2金具307A(307B)が作業者の動きに応じて作業者に近づく方向又は作業者から遠ざかる方向に動くように、第1金具306A(306B)及び第2金具307A(307B)を接続する接続部材308A(308B)と、を有する。又、連結金具401A(401B)の場合、胴ベルト301に装着される第1金具402A(402B)と、バックル217A(217B)に装着される第2金具403A(403B)と、第2金具403A(403B)が作業者の動きに応じて作業者に近づく方向又は作業者から遠ざかる方向に動くように、第1金具402A(402B)及び第2金具403A(403B)を接続する接続部材404A(404B)と、を有する。
【0119】
又、本実施形態において、連結金具304A(304B)に用いられる接続部材は、第2金具307A(307B)が第1金具306A(306B)に対して作業者に近づく方向又は作業者から遠ざかる方向に回動するように、第1金具306A(306B)及び第2金具307A(307B)を接続するヒンジ構造体308A(308B)である。
【0120】
又、本実施形態において、連結金具401A(401B)に用いられる接続部材は、第2金具403A(403B)が作業者に近づく方向又は作業者から遠ざかる方向に動くように、第1金具402A(402B)及び第2金具403A(403B)を接続するベルト構造体404A(404B)である。
【0121】
又、本実施形態において、連結金具601A(601B)は、バックル501A(501B)が装着される側の先端に円柱体609A(609B)を有し、バックル501A(501B)は、バックル501A(501B)が円柱体609A(609B)を軸として作業者に近づく方向又は作業者から遠ざかる方向に回動するように、円柱体609A(609B)が嵌入される円筒体503A(503B)を有する。
【0122】
又、本実施形態において、円柱体609A(609B)は、両側の大径部610A(610B)、611A(611B)に挟まれる小径部612A(612B)を有し、円筒体503A(503B)は、円柱体609A(609B)が嵌入された際に小径部612A(612B)に連通するとともに、円柱体609A(609B)及び円筒体503A(503B)を結合するためのロックピン506A(506B)が大径部610A(610B)及び小径部612A(612B)の段差面と大径部611A(611B)及び小径部612A(612B)の段差面との間に挟まれるように挿入される連通孔505A(505B)を有する。
【0123】
又、本実施形態において、バックル217A(217B)やバックル501A(501B)は、肩ベルト201A(201B)及び腿ベルト203A(203B)の結合位置において肩ベルト201A(201B)及び腿ベルト203A(203B)とともに一体に設けられる。
【0124】
尚、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。
【符号の説明】
【0125】
1 安全帯
2 ハーネス型安全帯
3 胴ベルト型安全帯
201A,201B 肩ベルト
202 胸ベルト
203A,203B 腿ベルト
204A,204B,205A,205B,215,218A,218B 中継ベルト
206 尻当て
207 ランヤード
208 フック
209A,209B,214A,214B ベルト止め
210A,210B 縫合位置
211 交差位置
212 嵌入片
213,217A,217B,501A,501B バックル
216 環状金具
301 胴ベルト
302 補助ベルト
303A,303C D環
303B V型角環
304A,304B,401A,401B,601A,601B 連結金具
305A,305B,305C ベルト押え
306A,306B,402A,402B 第1金具
307A,307B,403A,403B 第2金具
308A,308B ヒンジ構造体
309A,310A,309B,310B,406A,407A,406B,407B,603A,604A,603B,604B 第1折曲片
311A,312A,311B,312B,408A,409A,408B,409B,605A,606A,605B,606B 第2折曲片
313A,314A,313B,314B,410A,411A,410B,411B,412A,414A,412B,414B,607A,608A,607B,608B 挿通孔
317A,317B,413A,413B 嵌入片
318A,319A,318B,319B 筒体
320A,320B ロックピン
321 工具袋
322A,322B,405A,405B,602A,602B 平板
404A,404B ベルト構造体
502A,502B 本体
503A,503B 円筒体
504A,504B スリット
505A,505B 連通孔
506A,506B ロックピン
609A,609B 円柱体
610A,611A,610B,611B 大径部
612A,612B 小径部
613A,614A,613B,614B 傾斜部
615A,615B 結合部
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7
図8A
図8B
図9A
図9B
図10
図11
図12A
図12B
図13A
図13B
図14A
図14B
図15
図16
図17
図18
図19