IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社大石茶園の特許一覧

特許7044405ネット遊具及びそれを使用したアトラクション
<>
  • 特許-ネット遊具及びそれを使用したアトラクション 図1
  • 特許-ネット遊具及びそれを使用したアトラクション 図2
  • 特許-ネット遊具及びそれを使用したアトラクション 図3
  • 特許-ネット遊具及びそれを使用したアトラクション 図4
  • 特許-ネット遊具及びそれを使用したアトラクション 図5
  • 特許-ネット遊具及びそれを使用したアトラクション 図6
  • 特許-ネット遊具及びそれを使用したアトラクション 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-22
(45)【発行日】2022-03-30
(54)【発明の名称】ネット遊具及びそれを使用したアトラクション
(51)【国際特許分類】
   A63G 31/00 20060101AFI20220323BHJP
   A63B 17/00 20060101ALI20220323BHJP
【FI】
A63G31/00
A63B17/00 A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020102975
(22)【出願日】2020-06-15
(65)【公開番号】P2021194254
(43)【公開日】2021-12-27
【審査請求日】2020-10-22
(73)【特許権者】
【識別番号】500492495
【氏名又は名称】株式会社大石茶園
(74)【代理人】
【識別番号】100114627
【弁理士】
【氏名又は名称】有吉 修一朗
(74)【代理人】
【識別番号】100182501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100175271
【弁理士】
【氏名又は名称】筒井 宣圭
(74)【代理人】
【識別番号】100190975
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 聡子
(72)【発明者】
【氏名】大石 剛司
【審査官】大隈 俊哉
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第209885227(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2018/0361188(US,A1)
【文献】中国実用新案第210543301(CN,U)
【文献】ボヨヨ~ンと日本初上陸!神奈川「パカブ」は新感覚の空中あそび,トラベルjp[online],2018年10月16日,https://www.travel.co.jp/guide/article/27818/,特に本文、図を参照。[検索日 2021年11月9日]
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63G 1/00~33/00
A63B 1/00~26/00
A63B 71/00~71/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の箇所に設置可能な、支柱と梁を有する金属製の支持フレームと、
前記支持フレームに吊設され、底部ネット、前記底部ネットから立ち上げられた側部ネット、前記底部ネット又は前記側部ネットに形成されている出入り口を有する遊戯用ネット籠体と、
前記遊戯用ネット籠体の前記底部ネットと前記支持フレームの前記梁との間に、前記梁の縦横方向に所定の間隔をおいて介在し、前記遊戯用ネット籠体に使用者による荷重が作用したときに、前記遊戯用ネット籠体の変形又は移動に反発する緩衝用付勢体と、
前記遊戯用ネット籠体の前記底部ネットの四隅部と前記支持フレームとの間に、それぞれを緊張させるようにして介在し、前記遊戯用ネット籠体の前記支持フレームの内方における水平方向の位置を所定位置でほぼ固定する位置固定用部材と、
前記側部ネットの上部側に水平方向に通して前記側部ネットを吊って支える吊り部材と、
前記支持フレームの前記梁に沿って設けられている足場部材とを備えており、
前記遊戯用ネット籠体の前記底部ネットが、網目が六角形のハニカムネットを使用したものであり、前記底部ネット又は側部ネットは、前記出入り口を開閉可能な開閉手段を有している
ネット遊具。
【請求項2】
前記支持フレームに緩衝効果を有する保護部材が設けられている
請求項1記載のネット遊具。
【請求項3】
所定の箇所に設置可能な、支柱と梁を有する金属製の支持フレームと、前記支持フレームに吊設され、底部ネット、前記底部ネットから立ち上げられた側部ネット、前記底部ネット又は前記側部ネットに形成されている出入り口を有する遊戯用ネット籠体と、前記遊戯用ネット籠体の前記底部ネットと前記支持フレームの前記梁との間に、前記梁の縦横方向に所定の間隔をおいて介在し、前記遊戯用ネット籠体に使用者による荷重が作用したときに、前記遊戯用ネット籠体の変形又は移動に反発する緩衝用付勢体と、前記遊戯用ネット籠体の前記底部ネットの四隅部と前記支持フレームとの間に、それぞれを緊張させるようにして介在し、前記遊戯用ネット籠体の前記支持フレームの内方における水平方向の位置を所定位置でほぼ固定する位置固定用部材と、前記側部ネットの上部側に水平方向に通して前記側部ネットを吊って支える吊り部材と、前記支持フレームの前記梁に沿って設けられている足場部材とを備えており、前記遊戯用ネット籠体の前記底部ネットが、網目が六角形のハニカムネットを使用したものであり、前記底部ネット又は側部ネットは、前記出入り口を開閉可能な開閉手段を有している複数のネット遊具と、
該各ネット遊具を接続する、使用者が移動可能な通路とを備えている
アトラクション。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネット遊具及びそれを使用したアトラクションに関するものである。詳しくは、設置箇所の自由度が高く、設置後のメンテナンスを容易にすると共に、使用者によってネットに荷重が作用したときに、柔軟で安定した緩衝性、及び反発が得られるようにして、使用者が予期しない揺動が起こりにくく、安全性が高いネット遊具及びそれを使用したアトラクションに関する。
【背景技術】
【0002】
ある明確なテーマを掲げて、各種遊具や施設、あるいは関連グッズに至るまで、一貫性を持たせた遊戯施設であるテーマパークは、従来から変わらず人気を博している。近年、テーマパークも多様化が進み、ジェットコースターや観覧車などの大掛かりなアトラクションを設置したものがある一方で、アスレチックなど、広大な自然環境の中に、自然ならではの地形や樹木などを利用した各種アトラクションを設けたものにも人気がある。
【0003】
このような、自然の環境を利用したテーマパークとしては、例えば非特許文献1に記載されたものがある。このテーマパークでは、森の中の自然木に、所定の高さで様々な形のネットを広範囲に張り巡らして、トンネルや迷路などのアトラクションをつくっている。使用者は、宙吊り状態で揺動して安定しないネットの上で、思い思いに走ったり、ボールなどの道具を使ったゲームをしたりして遊ぶことができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】森の空中あそびparcabout(パカブ)のホームページ「株式会社アグサ」[令和2年5月12日検索]、インターネット(http://parcabout.jp/)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記自然の環境を利用してネットを張り巡らしたアトラクションを有する従来のテーマパークには、次のような課題があった。
すなわち、テーマパークをつくるには、広大な森林を確保する必要があるために、どうしても、交通の利便性が悪く集客に不利な山間部などにつくることになってしまう。
【0006】
また、上記アトラクションでは、その構造上、自然木がネットのすぐそばにあり、しかも木の形状はまちまちなので、危険のないようにするために、枝振りなどに充分に配慮しながら設置しなければならない。従って、設置するには熟練した技術と多くの手間がかかる。加えて、自然木は設置後にも、枝が張り出したり葉が茂ったりして成長を続けるので、設置後のメンテナンスにも注意が必要である。
【0007】
更に、ネットは木に取り付けられているが、使用者が動くことにより生じる荷重によるネットの揺動は、ネットの素材自体の伸縮や変形に任せているので、緩衝性についてはかなり固くなっており、反発も強い。このため、ほかの使用者の動きによって、ネットに予期しない揺動が発生しやすく、特に子供などはネットによって弾き飛ばされてしまうことがあり、危険性が高い。
【0008】
本発明は、以上の点を鑑みて創案されたものであり、設置箇所の自由度が高く、設置後のメンテナンスを容易にすると共に、使用者によってネットに荷重が作用したときに、柔軟で安定した緩衝性、及び反発が得られるようにして、使用者が予期しない揺動が起こりにくく、安全性が高いネット遊具及びそれを使用したアトラクションを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)上記の目的を達成するために本発明に係るネット遊具は、所定の箇所に設置可能な支持フレームと、前記支持フレームに吊設され、底部ネット、前記底部ネットから立ち上げられた側部ネット、前記底部ネット又は前記側部ネットに形成されている出入り口を有する遊戯用ネット籠体と、前記遊戯用ネット籠体と前記支持フレームとの間に介在し、前記遊戯用ネット籠体に使用者による荷重が作用したときに、前記遊戯用ネット籠体の変形又は移動に反発する緩衝用付勢体とを備える。
【0010】
本発明に係るネット遊具は、所定の箇所に設置可能な支持フレームによって、遊戯用ネット籠体を吊設した状態で、所定の箇所に施工することができる。ネット遊具は、設置するために必ずしも自然木を利用する必要はなく、屋内外の平坦な場所への設置が可能になるなど、設置箇所の自由度が高い。
【0011】
また、設置後のメンテナンスで支持フレームを足場などに利用できるので、メンテナンスが容易にできる。なお、遊戯用ネット籠体は、底部ネット、底部ネットから立ち上げられた側部ネットを有することによって、使用者が遊びやすい上部か開口した籠様の形状にすることが可能になる。
【0012】
遊戯用ネット籠体は、底部ネット、底部ネットから立ち上げられた側部ネット、底部ネット又は側部ネットに形成されている出入り口を有することにより、使用者の遊戯用ネット籠体の内部への出入りが可能になる。
【0013】
遊戯用ネット籠体と支持フレームとの間に介在し、遊戯用ネット籠体に荷重が作用したときに、遊戯用ネット籠体の変形又は移動に反発する緩衝用付勢体を備えることにより、底部ネットに使用者が乗ったときに、遊戯用ネット籠体が変形したり移動しようとしても、緩衝用付勢体がそれに反発して、変形や移動を抑制することができる。
【0014】
このように、荷重が作用した遊戯用ネット籠体に緩衝作用が生じるようにして、柔軟で安定した緩衝性、及び反発が得られることにより、遊戯用ネット籠体は使用者が予期しない揺動が起こりにくく、安全性が高いネット遊具を提供することができる。
【0015】
(2) 本発明に係るネット遊具は、前記遊戯用ネット籠体と前記支持フレームとの間に介在し、前記遊戯用ネット籠体の前記支持フレームの内方における位置を所定位置でほぼ固定する位置固定用部材を備える構成としてもよい。
【0016】
この場合は、位置固定用部材により、吊設されている遊戯用ネット籠体の支持フレームの内方における位置を所定位置でほぼ固定することにより、使用者が遊戯用ネット籠体内で激しく動いたとしても、遊戯用ネット籠体が支持フレームに接触することを防止することができる。これにより、遊戯用ネット籠体の内部にいる使用者が、運動することに伴って支持フレームに衝突することを抑制することができ、安全に使用することができる。
【0017】
(3)本発明に係るネット遊具は、前記側部ネットの上部側に吊り部材を水平方向に通して前記側部ネットを吊って支えている構成としてもよい。
【0018】
この場合は、側部ネットの上部側に吊り部材を水平方向に通して側部ネットを吊って支えていることで、遊戯用ネット籠体の形状、特にその支えられている側部ネットの上部の形状を保つことができ、内部にいる使用者の動きを邪魔することを抑止できるので、使用者が使いやすい。
【0019】
(4)本発明に係るネット遊具は、前記支持フレームに緩衝効果を有する保護部材が設けられている構成としてもよい。
【0020】
この場合は、支持フレームに緩衝効果を有する保護部材が設けられていることにより、遊戯用ネット籠体の内部にいる使用者が、激しく動いたりすることで、万一、支持フレームに接触したり、衝突したりしたときに、使用者が怪我をすることを防ぐことができる。
【0021】
(5)本発明に係るネット遊具は、前記支持フレームが支柱と梁を有しており、梁に沿って足場部材が設けられている構成としてもよい。
【0022】
この場合は、支持フレームが支柱と梁を有していることにより、支持フレームを強固な構造とすることができる。また、梁に沿って足場部材が設けられていることで、メンテナンスを行う作業者が足場を通り移動可能で、作業を容易に行うことができる。
【0023】
(6) 上記の目的を達成するために本発明に係るアトラクションは、所定の箇所に設置可能な支持フレームと、前記支持フレームに吊設され、底部ネット、前記底部ネットから立ち上げられた側部ネット、前記底部ネット又は前記側部ネットに形成されている出入り口を有する遊戯用ネット籠体と、前記遊戯用ネット籠体と前記支持フレームとの間に介在し、前記遊戯用ネット籠体に使用者による荷重が作用したときに、前記遊戯用ネット籠体の変形又は移動に反発する緩衝用付勢体とを有し、設置箇所に複数配置したネット遊具と、前記各ネット遊具を接続する、使用者が移動可能な通路とを備えている。
【0024】
本発明に係るアトラクションは、上記(1)の作用を有するネット遊具を、設置箇所に複数配置することにより、使用者は各ネット遊具において、色々な遊びをすることができる。また、設置箇所に複数配置したネット遊具と、各ネット遊具を接続する、使用者が移動可能な通路を有することにより、使用者は各ネット遊具間を自由に行き来することができ、より広いスペースを使用した遊びが可能になり、遊びの自由度も高まる。
【発明の効果】
【0025】
本発明は、設置箇所の自由度が高く、設置後のメンテナンスの作業を容易にすると共に、使用者によってネットに荷重が作用したときに、柔軟で安定した緩衝性、及び反発が得られるようにして、使用者が予期しない揺動が起こりにくく、安全性が高いネット遊具及びそれを使用したアトラクションを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明に係るアトラクションの一実施の形態を示す平面視説明図である。
図2図1のX-X矢視説明図である。
図3】本発明に係るネット遊具の一実施の形態を示す斜視説明図である。
図4】ネット遊具を下方から見た要部斜視図である。
図5】ネット遊具を構成している遊戯用ネット籠及びその接続構造のみを表した説明図である。
図6】支持フレームに対する遊戯用ネット籠の下側と上側の接続構造を示す説明図である。
図7】ネット遊具の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1乃至図7を参照して、本発明の実施の形態を更に詳細に説明する。
発明に係るアトラクションAは、図1図2に示すように、後で詳しく説明する複数のネット遊具Bと、各ネット遊具Bを接続すると共に、使用者がそれを伝って移動可能な複数の通路3とを備えている。
【0028】
なお、図1に示すように、各ネット遊具Bは、大きさや設置する向きなどは様々であるが、基本的な構造は同様であるため、便宜上、共通する符号Bを付与している。
【0029】
図2で左側のネット遊具Bの主梁11と右側のネット遊具Bの主梁11の間には、通路3が渡されている。左側のネット遊具Bは、右側のネット遊具Bより高い位置に配置されており、通路3は、途中、複数の中間支柱4に固定されて、左側のネット遊具Bから右側のネット遊具Bへ向けて下り傾斜して設けられている。
【0030】
通路3は、互いに同じ高さで等間隔かつ平行に設けられた渡し部材30を有しており、渡し部材30にはスクエアネット(網目が正方形のネット)である受けネット31(図3図7に図示)が張設されている。
【0031】
また、通路3の上方には、渡し部材30と所定の間隔をおいて平行に、補強部材32が渡してある。なお、各補強部材32は、使用者の体を安定させる把持ロープなどをスライドさせるガイドとしての使用も可能である。
【0032】
また、通路3は、本実施の形態では、使用者が乗る受けネット31にスクエアネットを採用しているが、これに限定するものではなく、ハニカムネット(網目が六角形のネット)など、異なる網目のネットを採用することができる。
【0033】
その他、使用者が安全に移動し、例えばネット遊具B間で相互に渡ることができれば、金属や合成樹脂、或いは木など各種素材でつくられた板状、棒状、梯子状、或いは階段状のものなどを採用することもできる。
【0034】
なお、スクエアネットは使用者が乗って荷重が作用しても、特に縄方向である縦横方向に伸びにくく、変形しにくいため、変形が抑制される。これにより、使用者が歩きやすく、通路として安全性が高いという利点がある。
【0035】
次に、図3乃至図7を参照して、アトラクションAを構成するネット遊具Bの構造を説明する。ネット遊具Bは、金属製のフレーム1と、フレーム1に吊設された遊戯用ネット籠2を有している。ネット遊具Bは、本実施の形態では山間地の地形を利用して地面に設置されている。
【0036】
なお、ネット遊具は、これに限らず、例えばベース体にフレーム1を立設した構造として、屋内外の床や地面などにベース体を載置して設置してもよい。また、設置するために必ずしも自然木を利用する必要はなく、屋内外の平坦な場所への設置が可能になるなど、設置箇所の自由度が高い。
【0037】
ネット遊具Bは、地面Gに垂直に立てられた複数の支柱部材10を有している。各支柱部材10は、立てる位置が平面視で長方形を描くように、かつ少なくとも長方形の角部には立つように配置されており(図1図7参照)、上端部が同じ高さになるように立てられている(図2図3参照)。
【0038】
各支柱部材10の間には、地面Gから所定の高さで縦横方向かつ水平に主梁部材11が固定されている。主梁部材11は、後で説明する底部ネット20の取り付け部となるもので、主梁部材11と底部ネット20はほぼ同じ高さになる。
【0039】
なお、主梁部材11には、便宜上、図示は省略しているが、緩衝作用を有する硬質スポンジ製の保護部材が巻かれており、万一、後述する遊戯用ネット籠2内の使用者が接触したり、衝突したりしたときに、怪我をするのを防ぐことができるようにしている。
【0040】
また、各支柱部材10の間には、短尺側の主梁部材11の下方に所定の間隔を設けて平行に、補強梁部材12が固定されている。各補強梁部材12には、主梁部材11のやや内方に当たる位置に、主梁部材11に沿うように枠の内側にメッシュ(菱形格子状)を設けた足場材120が取付部材121を介し支柱部材10に取り付けてある(図3図7参照)。
【0041】
更に、各支柱部材10の上端部には、主梁部材11と平行に上部補強梁部材14が固定されている。上部補強梁部材14の下方に所定の間隔をおいて、上部補強梁部材14のやや内方に当たる位置に、足場材120と平行に足場材140が取付部材141を介し支柱部材10に取り付けられている。なお、足場材120と足場材140は、主梁部材11と上部補強梁部材14に垂直に固定してある支持部材17によって支持されている。
【0042】
そして、フレーム1には、上記遊戯用ネット籠2が取り付けてある。遊戯用ネット籠2は、一枚の長方形状の底部ネット20と、その四辺に接続され、端辺部で相互に接続されてほぼ垂直に立ち上げられた四枚の長方形状の側部ネット21、22、23、24を備えている。
【0043】
底部ネット20は、上記のように平面視で四角形状に配置された各支柱部材10の内方にやや小さく収まる大きさに形成されている。底部ネット20の四隅部には、位置固定用部材25の一端部が接続されている。位置固定用部材25は、コイルバネ状の引っ張りバネ250と、その一端部につながれた連結チェーン251で構成されている。
【0044】
連結チェーン251の引っ張りバネ250は底部ネット20に接続され、連結チェーン251は四隅に配置された各支柱部材10の主梁部材11と同じ高さ位置に接続されている。各位置固定用部材25は、それぞれを緊張させるようにして接続されている。
【0045】
これにより、底部ネット20は、外周縁部の角部の水平方向の位置が各支柱部材10の内方に各支柱部材10と所定の間隔を以て離れた位置に設定され、この位置はほとんど変動しない(図7参照)。
【0046】
なお、各位置固定用部材25は、上記構造に限定されるものではなく、その代替として、例えば各種ロープ、ワイヤ、鎖など、長さが一定の長さ以上に伸びにくい充分な強度を有する縄状のもの、或いは棒状のもの、更にはそれらを複合したものなどを採用することができる。
【0047】
そして、底部ネット20は、底部ネット20の各辺の縁部と主梁部材11との間に、主梁部材11の縦横方向に所定の間隔をおいて配された多数の緩衝用付勢部材26を介して主梁部材11に接続されている。
【0048】
各緩衝用付勢部材26は、上記位置固定用部材25と同様に、コイルバネ状の引っ張りバネ260と、その一端部につながれた連結ロッド261(連結チェーン251両側の261はチェーンである:図6参照)で構成され、各引っ張りバネ260は底部ネット20に接続され、各連結ロッド261は主梁部材11に接続されている。
【0049】
各引っ張りバネ260は、全部を同じ引っ張り力に設定してもよいし、例えば底部ネット20の各長辺の縁部に対応するものの引っ張り力を強くし、各短辺の縁部に対応するものの引っ張り力を弱くするなどして、底部ネット20の荷重による変形が、より平均化するように適宜調節することもできる。
【0050】
また、底部ネット20の網目の大きさと形は、少なくとも子供の足が踏み抜くことがないように形成されており、本実施の形態では、ハニカムネットを二重(二枚重ね)にして使用している。ハニカムネットは、その構造上、ネット面に沿う全方向に柔軟で変形しやすいので、底部ネット20上を移動する使用者は、歩きにくい不自由さを遊びとして楽しむことができる。
【0051】
底部ネット20には、上記したように側部ネット21、22、23、24が接続されている。詳しくは、底部ネット20の各長辺の縁部に、それぞれ長尺な側部ネット21、23の縁部が接続され、各短辺の縁部に、それぞれ短尺な側部ネット22、24の縁部が接続されている(図5参照)。
【0052】
側部ネット21、22、23、24には、本実施の形態では、例えば外方向へ大きく膨らんで、内部の使用者が支持フレーム1に衝突することがないように、縦横方向に伸びにくいスクエアネットを採用している。
【0053】
そして、上記通路3の接続部に近い側部ネット24の中央よりやや下方には、使用者が出入り可能な出入り口27が設けられている(図3図5参照)。なお、出入り口を設ける箇所は、側部ネット24に限定するものではなく、例えば側部ネット24と側部ネット21の境界部分に、それらの端辺部を一部閉じないで形成することもできる。
【0054】
また、出入り口27は、開口したままでもよいし、遊戯用ネット籠2の内部にいる使用者が過って外へ飛び出すことがないように、閉じ紐などで閉じることができるようにしてもよい。また、ファスナなど、各種開閉手段を設けてもよい。
【0055】
更に、長尺な側部ネット21、23の上部の長尺な縁部には、互いに平行に、かつほぼ水平に上部補強梁部材14間に架設されている二本の吊りワイヤ15、15が通されている。また、短尺な側部ネット22、24の上部の短尺な縁部には、同様に上部補強梁部材14間に架設されている二本の吊りワイヤ16、16が通されている(図3図5参照)。
【0056】
これにより、遊戯用ネット籠2は、全体として、使用者が遊びやすい上部が開口した箱状のネット製の籠様の形状となり、フレーム1に吊設されている構造となる。また、遊戯用ネット籠体2の形状、特にその支えられている側部ネット21、22、23、24の上部の形状を保つことができ、内部にいる使用者の動きを邪魔することを抑止できるので、使用者が使いやすい。
【0057】
なお、各吊りワイヤ15、16の一端側にはコイルバネ状のターンバックル150.160が取り付けてあり、緩衝効果を持たせて各側部ネット21.22.23.24に作用する力を調節できるようにして、破損を抑制している。
【0058】
また、上部の開口部の一部または全部を覆うように天部ネット(図示省略)を水平に張設することもできる。更には、遊戯用ネット籠2より下方に、所定の間隔を以て、落下物を受ける落下防止用ネットが設けられている構成としてもよい。
【0059】
遊戯用ネット籠2の大きさ、つまり、縦(底部ネット20の短辺長さ)×横(底部ネット20の長辺長さ)×高さ(側部ネットの高さ)は、例えば3000×6500×3000mmであるが、使用者が側部ネットを超えて飛び出したりせず、ボールなども通常使用では飛び出すことを抑止できる大きさであれば、特にこの大きさに限定するものではない。
【0060】
また、底部ネット20、側部ネット21、22、23、24を形成するネット素材は、言うまでもなく、多数の人が乗って大きな荷重が作用しても容易には切れたり破れたりしない充分な強度を有している。ネット素材としては、例えば、麻など各種植物繊維素材の他、ナイロンなど各種合成樹脂繊維素材、あるいはアラミド繊維など高張力繊維素材などが採用できる。各ネットは、各ネット素材単独でつくることもできるし、複数のネット素材を組み合わせることもできる。
【0061】
(作用)
図1乃至図7を参照して、ネット遊具B及びそれを備えたアトラクションAの使用方法、及び作用を説明する。アトラクションAは、子供や大人の多くの使用者が、各ネット遊具B間を各通路3を通り自由に行き来しながら、各ネット遊具B内部で色々なゲームをするなどして遊ぶことができる。
【0062】
使用者は、まず、図示していない梯子などを使用して任意の通路3に上り、それに近いネット遊具Bまで、通路3を伝い歩きをして移動する。この際、補強部材32に掛けた把持ロープ(図示省略)を把持し、スライドさせながら移動すれば安全である。
【0063】
使用者がネット遊具Bに到達すると、使用者は通路3の端部から直接、又は一旦緩衝用付勢体26、或いは足場材120に乗り移り、側部ネット24の出入り口27から遊戯用ネット籠2の内部に入る。そして、使用者は、遊戯用ネット籠2の内部の底部ネット20上で、走ったり、転んだり、飛び跳ねたり、ボールなどを使用したゲームをしたりして遊ぶことができる。
【0064】
なお、支持フレーム1が有する足場材120、140は、メンテナンス作業者の足場とするのが主機能であるので、メンテナンス作業者は、これを利用することでメンテナンスの作業が容易にできる。
【0065】
また、遊戯用ネット籠体2の底部ネット20と支持フレーム1の主梁部材11との間に緩衝用付勢体26を備えることにより、遊戯用ネット籠体2に使用者による荷重が作用したときに、緩衝用付勢体26は遊戯用ネット籠体2、特に底部ネット20の変形又は移動に対して反発する。これにより、遊戯用ネット籠体2が変形したり移動しようとしても、それを抑制することができる。
【0066】
このように、荷重が作用した遊戯用ネット籠体2に緩衝作用が生じるようにして、柔軟で安定した緩衝性、及び反発が得られることにより、遊戯用ネット籠体2は使用者が予期しない揺動が起こりにくく、安全性が高い。
【0067】
また、底部ネット20と主梁部材11との間に位置固定用部材25を備えているので、吊設されている遊戯用ネット籠体2の支持フレーム1の内方における位置を所定位置でほぼ固定することができる。
【0068】
これにより、使用者が遊戯用ネット籠体2内で激しく動いたとしても、遊戯用ネット籠体2が支持フレーム1に接触することを防止することができる。従って、遊戯用ネット籠体2の内部にいる使用者が、運動することに伴って支持フレーム1に衝突することを抑制することができ、安全に使用することができる。
【0069】
そして、使用者は、所定のネット遊具Bで遊んだ後、遊戯用ネット籠体2の出入り口27から外に出て、通路3に乗り移り、通路3を通って他のネット遊具Bへ移動して、他の遊びをして楽しむことができる。なお、本発明のアトラクションAでは、通路3に特に遊具を設けていないが、トンネルやブランコなどを設けることもできる。
【0070】
本明細書、及び特許請求の範囲で使用している用語と表現は、あくまでも説明上のものであって、なんら限定的なものではなく、本明細書、及び特許請求の範囲に記述された特徴およびその一部と等価の用語や表現を除外する意図はない。また、本発明の技術思想の範囲内で、種々の変形態様が可能であるということは言うまでもない。
【符号の説明】
【0071】
A アトラクション
3 通路
30 渡し部材
31 受けネット
32 補強部材
B ネット遊具
1 支持フレーム
10 支柱部材
11 主梁部材
12 補強梁部材
120 足場材
121 取付部材
14 上部補強梁部材
140 足場材
141 取付部材
15 吊りワイヤ1
150 ターンバックル
16 吊りワイヤ
160 ターンバックル
17 支持部材
2 遊戯用ネット籠体
20 底部ネット
21、22、23、24 側部ネット
25 位置固定用部材
250 引っ張りバネ
251 連結チェーン
26 緩衝用付勢部材
260 引っ張りバネ
261 連結ロッド
27 出入り口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7