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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-22
(45)【発行日】2022-03-30
(54)【発明の名称】密封式混練機のシール装置
(51)【国際特許分類】
   F16J 15/34 20060101AFI20220323BHJP
【FI】
F16J15/34 H
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021181214
(22)【出願日】2021-11-05
【審査請求日】2021-11-12
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】721010825
【氏名又は名称】鹿島 慎二
(72)【発明者】
【氏名】鹿島 慎二
【審査官】山田 康孝
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-230153(JP,A)
【文献】特開2019-042701(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16J 15/34-15/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ローターシャフトに翼部が設けられたローターと、ローターシャフトが内孔に挿入される環状のエンドプレートを備えた密封式混練機のシール装置であって、
前記ローターの前記翼部の端面に取り付けられる回転リングと、
エンドプレートの内周面とローターシャフトの外周面との間に、ローターシャフトの軸方向に勘合され、回転リングの端面に押し付けられる環状の固定リングと、を備え、
前記固定リングは、フランジ部と、一端が前記フランジ部に接続され、前記軸方向に延伸する筒部を有し、
前記回転リングと前記固定リングの筒部との間にはシール面が形成され、
前記固定リングは、前記フランジ部に設けられた第1水路と、前記筒部の前記シール面側の他端近傍に設けられた第2水路と、前記筒部に設けられ、前記第1水路と前記第2水路とを連結する連結通路と、前記筒部に設けられ、前記シール面に潤滑油を注油するための注油穴部を有することを特徴とする密封式混練機のシール装置。
【請求項2】
前記固定リングの前記第2水路は、周方向に延伸した1又は2以上の分岐水路を含み、
前記分岐水路は、それぞれ略同軸に周方向に並列して配置されていることを特徴とする請求項1に記載の密封式混練機のシール装置。
【請求項3】
前記連結通路の一部は、前記軸方向に延伸している前記注油穴部の近傍に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の密封式混練機のシール装置。
【請求項4】
前記第2水路は、前記シール面に注油される前記潤滑油の温度を調整することにより、前記シール面に、所定の厚みの潤滑油の油膜が形成されるように構成されたことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の密封式混練機のシール装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、密封式混練機のシール装置に関するものである。より詳しくは、密封式混練機内部で混練される混練物が外部へ漏出することを防止する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ゴム、プラスチック等の被混練材料を混練するバッチ式の密閉式混練機は、内部が混練室とされたハウジングと、このハウジングの内部に設けられ、回転自在に支持されている一対のローターとを備えている。この密閉式混練機は、混練室に圧入されたゴムやプラスチックなどの被混練材料を、回転自在の一対のローターで混練し、所望の混練状態となった混練物を外部に取出す構成となっている。混練室(中空部)を備えたハウジングは、フレーム部材に支持されている。また、一対のローターは、被混練材料を混練する本体部が混練室に収納されるとともに、本体部の両端面から突設された軸部がフレーム部材を介して外部へ突出状に配備されている。本体部が回転するので、混練室に収納されたローターの本体部の端面とフレーム部材の間には所定の隙間が設けられている。すなわち、混練室はその隙間を介して、外部と連通された状態になっている。混練物を含めた所謂ダストが外部に漏れ出ないように、混練室に収納されたローターの本体部の端面とフレーム部材の間には、シール装置が設けられる。
【0003】
特許文献1(実公昭61-29467号公報)には、シール装置として、ローターのフランジ端面がローターシャフトを取り込む環状のエンドプレートとローターシャフトの外周面とエンドプレートのない周面との間に軸方向に嵌合され、ヨークを介して前記フランジ端面に押し付けられ、かつ回り止めされた環状のダストストップリングとを備えている混練機の圧着型ダストストップ組立体(シール装置)が開示されている。特許文献1に記載された混練機において、ダストストップリングは第1リングと第2リングとに2ツ割とされ、その分割端面を接合自在に組付けている。第1リングと第2リングの外周面に冷却水の導通ジャケットが周方向にそれぞれ形成され、該導通ジャケットを連通する連絡管が設けられている。導通ジャケットの一方に冷却水供給管が、他方に冷却水排出管がそれぞれ接続されている。更に第1リングと第2リングのそれぞれには前記フランジ端面との摺接部分に潤滑油を送る潤滑孔が軸方向に形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実公昭61-29467号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
密封式混練機のシール装置では、特許文献1に記載されているように、環状のダストストップリング(以下の説明では、この環状のダストストップリングを固定リングと言う。)を備える。また、密封式混練機のシール装置では、ローターシャフトに設けられて、固定リングとの間にシール面を形成する回転リングが設けられる。この回転リングと固定リングが接触するシール面で発生する摩擦熱に起因して、固定リングの温度が上昇し、固定リングの熱変形を生じる虞がある。さらには、固定リングが熱変形することで摺動面(シール面)の接触面が均一に接触せず、混練物のシール性が低下する場合がある。このように固定リングの熱変形やシール面のシール性の低下を防ぐために、特許文献1に開示されている密封式混練機のシール装置では、ダストストップリング(固定リング)の外周に水路を設け、この水路に冷却水を通水し、固定リングを冷却する構成となっている。しかし、固定リングに設けられた水路は、固定リングの外周であり、シール面から最も離れた外側の位置に設置されている。
【0006】
一方、回転リングと固定リングが接触するシール面で発生する摩擦熱によって、シール面に注油される潤滑油(摺動面油)の温度が上昇する。このとき、シール面に油膜を形成している潤滑油の温度が高くなり、潤滑油の性質上、潤滑油の粘度が極端に低下する。この結果、潤滑油の油膜の膜厚(油膜厚)が薄くなりシール面において、回転リングと固定リングが金属接触し、摩耗が加速されることになる。
【0007】
シール面の温度上昇による油膜厚の低下を防止するために、シール面へ注油される潤滑油の注油量を増やし、これによって油膜を厚くして、金属接触による摩耗を防止することができる。しかし、油膜を厚くするための潤滑油の油量は、相当大きいものとなっている。
【0008】
発明者の知見によれば、シール面の油膜を所定の厚みに維持するためには、シール面の潤滑油の温度を制御することが重要であることが分かった。つまり、潤滑油の温度を所定の温度に維持(又は、冷却)することで、シール面の油膜の厚みを所定の厚みに維持することができ、これによりシール面に注油する潤滑油の油量を低減することができることが分かった。
【0009】
特許文献1に開示されている密封式混練機のシール装置では、固定リングに設けられた水路が、固定リングの外周であり、シール面から最も離れた外側の位置に設置されている。このため、固定リングは、ある程度冷却されるが、シール面の温度を低減することは困難であった。さらに、シール面に注油される潤滑油の温度を低減することはより困難であった。このため金属接触による摩耗を防止するために、シール面には大量の潤滑油を注油する必要があった。
【0010】
求められていることは、シール面の温度、及びシール面に注油する潤滑油の温度制御を可能とし、これによりシール面に注油する潤滑油の油量の低減と、固定リング又は回転リングの摩耗の防止の両方を達成することが可能な密封式混練機のシール装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る密封式混練機のシール装置は、ローターシャフトに翼部が設けられたローターと、ローターシャフトが内孔に挿入される環状のエンドプレートを備えた密封式混練機のシール装置であって、前記ローターの前記翼部の端面に取り付けられる回転リングと、エンドプレートの内周面とローターシャフトの外周面との間に、ローターシャフトの軸方向に勘合され、回転リングの端面に押し付けられる環状の固定リングとを備える。固定リングは、フランジ部と、一端が前記フランジ部に接続され、前記軸方向に延伸する筒部を有している。また、前記回転リングと前記固定リングの筒部との間にはシール面が形成されている。さらに、前記固定リングは、前記フランジ部に設けられた第1水路と、前記筒部の前記シール面側の他端近傍に設けられた第2水路と、前記筒部に設けられ、前記第1水路と前記第2水路とを連結する連結通路と、前記筒部に設けられ、前記シール面に潤滑油を注油するための注油穴部を有することを特徴とする。
【0012】
本発明に係る密封式混練機のシール装置において、固定リングには、フランジ部に設けられた第1水路と合わせて、筒部のシール面側の他端近傍に第2水路を設けると共に、第1水路と第2水路とを連結する連結通路を筒部に設けたので、シール面に注油する潤滑油の温度を好適に冷却又は調整することができる。この結果、注油する潤滑油の油量を大きくせずに、油膜厚を所定の大きさに維持し、固定リング又は回転リングの摩耗を防止できる。
【0013】
また、本発明に係る密封式混練機のシール装置において、前記固定リングの前記第2水路は、周方向に延伸した1又は2以上の分岐水路を含み、前記分岐水路は、それぞれ略同軸に周方向に並列して配置されていることを特徴としてもよい。これにより潤滑油が注油されるシール面が、より効果的に冷却又は調整される。
【0014】
また、本発明に係る密封式混練機のシール装置において、前記連結通路の一部は、前記軸方向に延伸している前記注油穴部の近傍に配置されていることを特徴としてもよい。連結通路の一部を、軸方向に延伸している注油穴部の近傍に配置することで、注油穴部を流れる潤滑油の温度を好適に冷却又は調整するように構成することができる。
【0015】
また、本発明に係る密封式混練機のシール装置において、前記第2水路は、前記シール面に注油される前記潤滑油の温度を調整することにより、前記シール面に、所定の厚みの潤滑油の油膜が形成されるように構成されたことを特徴としてもよい。シール面に、所定の厚みの潤滑油の油膜が形成されるように構成されているので、注油する潤滑油の油量を大きくしなくとも、固定リング又は回転リングの摩耗を防止することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る密封式混練機のシール装置では、固定リングに、フランジ部に設けられた第1水路と合わせて、筒部のシール面側の他端近傍に第2水路を設けると共に、第1水路と第2水路とを連結する連結通路を筒部に設けたので、シール面に注油する潤滑油の温度を好適に冷却又は調整することができる。この結果、注油する潤滑油の油量を大きくせずに、油膜厚を所定の大きさに維持し、固定リング又は回転リングの摩耗を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本実施形態に係る密封式混練機のシール装置の断面図を概略的に示す図である。
図2図2は、本実施形態に係るシール装置の固定リングを概略的に示す図である。
図3図3は、本実施形態に係る連結通路の本数を変更した図である。
図4図4は、本実施形態の固定リングの加工方法を概略的に示す図である。
図5図5は、本実施形態に係るシール装置のシール面の温度変化を示す図である。
図6図6は、シール面への注油の流れを概略的に示す図である。
図7図7は、一般的に潤滑油の温度と粘度の関係を示すグラフである。
図8図8は、シール面における潤滑油の油膜に関し、温度と油膜厚の関係を示すグラフである。
図9図9は、シール面の温度と注油量の関係を示すグラフである。
図10図10は、密封式混練機を平面から見た断面図を概略的に示す図である。
図11図11は、比較例のシール装置の断面図を概略的に示す図である。
図12図12は、比較例のシール装置の固定リングを概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
いくつかの実施形態に係る密封式混練機のシール装置を、以下に図面を参照しつつ説明する。以下の説明では、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付する。
【0019】
図1に、本実施形態に係る密封式混練機に用いるシール装置1の断面図を概略的に示す。シール装置1について説明する前に、まず、本実施形態に係るシール装置を備えた密封式混練機の構成について簡単に説明する。図10に、本実施形態に係るシール装置を備えた密封式混練機17を概略的に示す。図10に示すように、本実施形態に係る密封式混練機17は、例えば、ゴム、プラスチック等の被混練材料を混練するバッチ式の密閉式混練機である。密閉式混練機17は、ハウジング19、混練室側面6,及び翼部20を持つ一対の回転するローター2で構成されている。ローター2は、ローターシャフト27と、ローターシャフト27に設けられた翼部20を有する。ハウジング19は、内部に混練室13を有している。混練室13には一対のローター2が設けられている。この密閉式混練機17は、混練室13に圧入されたゴムやプラスチックなどの被混練材料を一対のローター2の翼部20で混練し、所望の混練状態となった混練物を外部へ取出す構成となっている。
ローター2の翼部20の端面と混練室側面6の間には、翼部20が回転するために必要な所定の空間が形成されている。すなわち、混練室13はその空間を介して、外部と連通された状態になっている。ところが、混練室13と外部が連通状態になっていると、その混練室13内の混練物が空間から外部へ漏出する虜がある。そのため、従来からその空間には混練室13内の混練物が外部へ漏出を防止するためのシール装置が備えられている。本実施形態では、ローター2が一対設けられており、各ローター2の左右にシール装置101が1個ずつ形成されており、全体でシール装置101が4個形成されている。
【0020】
再び図1を参照すると、シール装置1は、混練室13を密閉するために、ローターの翼部20の端面に嵌入された回転リング3と、ローターシャフト27の軸方向に勘合された固定リング4を備えている。また、混練室側面6には、ローターシャフトを挿入するための内孔を有する環状のエンドプレート26が設けられている。固定リング4は、環状の形状を有しており、ローター2の翼部20の端面に取り付けられている。また、固定リング4は、エンドプレート26の内周面とローターシャフト27の外周面との間に、ローターシャフト27の軸方向に勘合されて、回転リング3の端面に押し付けられている。固定リング4とエンドプレート26の内周面との間には、例えばパッキンなどのシール部材が設けられている。回転リング3と固定リング4は面接触するように配備され、回転リング3と固定リング4との接触面には、シール面5が形成されている。ローター2が回転すると、シール装置1のシール面5において摺動することとなる。また、固定リング4をシール面5側へ押し付けるヨーク11が設けられている。
【0021】
本実施形態では、ヨーク11は、液圧シリンダー(図示せず)に連結されており、液圧シリンダーを用いて、液圧によりヨーク11に取り付けてある押付ピン12が固定リング4をシール面5側へ押し付け、混練室2内のゴムなどの被混練材料が外へ漏れないようにしている。回転リング3と固定リング4が接触するシール面5には摩擦を低減するために潤滑油(摺動面油)が固定リング4内の注油穴部8を通って注油されている。潤滑油は、高圧注油器7に備えられている注油用ポンプにより、例えば1MPa~18MPaの範囲で高圧の状態で、注油配管28を介してシール面に注油されている。また、ローターシャフトと固定リング4との間には、空隙部が設けられており、空隙部を介して、潤滑油が、外部に排出されるように構成されている。
【0022】
混練室内2のゴムなどの被混練材料は、混練中に高い温度になり、その熱がシール面5に伝わるとともに、シール面5自体の摩擦熱によっても固定リング4の温度が上昇する。このため固定リング4を冷却するための第一水路9が設置されている。第一水路9へは冷却水循環機構10から冷却水が供給されている。
【0023】
次に、シール面5で生じる温度上昇の影響について詳細に説明する。これまでのシール装置1では、シール面5で生じる温度上昇の影響は、固定リング4の温度上昇や温度上昇による膨張、或は機械精度の低下について検討されてきた。しかし、発明者の知見によれば、シール面5で生じる温度上昇の影響は、固定リング4の温度上昇に限らず、シール面5を形成している回転リング3、或は、固定リング4の摩耗に大きく影響することが分かってきた。
【0024】
シール装置1では、回転リング3、或は、固定リング4の摩耗を低減するために、シール面5に潤滑油を注油している。通常、回転リング3には、摩耗しにくい金属材料が用いられるので、摩耗の影響は小さいが、一方、固定リング4の摩耗は回転リングに比べて顕著である。これまでは、経験的に潤滑油の量で固定リング4,あるいは回転リング3の摩耗の程度を調整していた。例えば、被混練材料として約100トンのゴムを混練する場合、固定リング4,あるいは回転リング3の摩耗を防ぐために大量の潤滑油を供給する必要があった。通常、供給される潤滑油の量は、約150リットル程度である。
【0025】
次に、シール面5で生じる温度上昇による潤滑油の温度上昇と固定リング3,あるいは回転リング4の摩耗の関係について説明する。
【0026】
図7に、潤滑油の温度と粘度の関係を説明するための図を示す。図8に、潤滑油の温度と油膜厚の関係を説明するための図を示す。図7に示すように、潤滑油の温度が上昇することにより、潤滑油の粘度が低下する。また、図8に示すように、潤滑油の温度が上昇することにより潤滑油の粘度が低下することで、潤滑油の油膜の膜厚が低下する。例えば、潤滑油の温度が、55℃から75℃に上昇すると、ある注油量の設定で油膜の厚みが、約4.1μmから2.75μmまで、約1.35μm程度だけ低下することが分かった。また、潤滑油の温度が60℃未満になると粘度は急激に上昇することも分かった。
【0027】
潤滑油の油膜の厚みが低下すると、潤滑油の摩擦低減効果が低下するので、シール面5における回転リング3、或は、固定リング4の摩耗が著しくなる。一方、潤滑油の温度上昇を抑えて、所定の温度に制御することにより、潤滑油の油膜の厚みを所定の厚みに維持できるので、大量の潤滑油をシール面に供給しなくとも、シール面5における回転リング3、或は、固定リング4の摩耗を効果的に低減できることが分かった。
【0028】
図11、及び12に、比較のために、固定リング4に第一水路9のみを備えたシール装置101を示す。シール装置101では、固定リングを冷却するために、シール面5から離れたフランジ部21の位置に、第一水路9を設置している。本実施形態のシール装置1では、固定リング4の冷却と合わせて、シール面5に供給される潤滑油の冷却を目的として、第一水路9と合わせて、第二水路14が、固定リング4に設けられている。次に、本実施形態の固定リング4について、詳細に説明する。
【0029】
シール装置101では、第一水路9がシール面5から約75mm離れて設置されている。このため、シール面5から第一水路9へ至る熱伝導が低く、シール面5を冷却する能力が弱いものとなっている。この結果、シール面5の潤滑油の温度が70~75℃と比較的高い状態になっている。シール面5の温度を60℃未満にすることが潤滑油を低減するために重要であり、本実施形態のシール装置1では固定リング4のシール面5から10mm離れた位置に第二水路14を設置し、第一水路9と第二水路14を連携する冷却水連結通路15を設置している。これにより、第一水路9に入った冷却水が冷却水連結通路15入口を通って第二水路14へ入り、別に設けた冷却水連結通路15出口を通って第一水路9へ戻ることでシール面5から第二水路14へ至る熱伝導が向上し、シール面5を目標の温度以内に冷却することが可能になる。図5は本実施形態のシール面5の温度変化を表したグラフである。本実施形態により、固定リング4に第一水路9のみを備えたシール装置101に比べ約10~20℃程度温度を低下し冷却する効果があることが確かめられた。
【0030】
図2に、固定リング4の概略図を示す。図2(a)は、固定リング4の正面図を概略的に示しており、また、図2(b)は、図2(a)のA-A線に沿って切り出した断面図を概略的に示している。図2(a)に示すように、固定リング4は、円筒形状を有する円筒部に接続され、シール面5の反対側に設けられたフランジ部21を有する。外周にそって設けられた第一水路9と,第一水路9に接続され、第一水路9よりも内側の内周に沿って設けられた第二水路14とを備えている。また、第一水路9と第二水路14とは、連結通路15によって連結されている。
【0031】
固定リング4のシール面5が摩耗したときに、固定リング4をシール装置1から脱着して交換する必要がある。本実施形態では、図2(a)に示すように、固定リング4をシール装置1から容易に脱着して交換できるようにするために、固定リング4が、上下に分割されて形成されている。このため、第一水路9は、上下に分割された固定リング4のそれぞれに設けられている。また、上下に分割された固定リング4のそれぞれには、潤滑油を供給するための注油穴部8が設けられている。注油穴部8は、シール面5に均一に潤滑油を供給する必要があるため、固定リング4の周方向に、ほぼ同じ間隔で設けられている。このため、注油穴部8を避けて、第二水路14を設ける必要があるため、下側の固定リング4には、第二水路14が注油穴部8を挟んで左右に設けられており、さらに、それぞれの第二水路14には、第一水路9に接続するための連結通路15が形成されている。また、それぞれの第一水路9には、外部から第一水路9に冷却水を供給するための入口部と、水路9から外部に冷却水を排出するための出口が設けられている。
【0032】
また、本実施形態では、注油穴部8は、固定リング4の周方向に、ほぼ同じ間隔で、上側の固定リング4に2箇所、下側の固定リング4に1箇所の合計3か所に設けられている。また、シール面5の温度を計測するための温度計が下側の固定リング4に形成された温度計用穴16を介して組み込まれている。温度計としては、例えば、熱電対などを用いることができる。
【0033】
また、図2(b)に、図2(a)のA-A線に沿って切り出した断面図を概略的に示す。図2(b)に示すように、本実施形態において、固定リング4はシール面5の反対側にフランジ部21を有する筒状の形状を有することができる。固定リング4には、固定リング4を冷却するための第一水路9,第二水路14、及び連結通路15(図2の15a、15b)が設けられている。第一水路9は、固定リング4のフランジ部21に設けることができる。また、第二水路14は、シール面5近傍に設けることができる。連結通路15(図2の15a、15b)は、第一水路9から分岐され、第一水路9と第二水路14の間に形成され、固定リング4の延伸方向に延伸しており、第一水路9と第二水路14とを接続している。第一水路9は、分岐する連結通路15の分岐部を境界にして断面積が変化する構造になっている。冷却水入口から連結通路15aの分岐部を含む第一水路9の断面積、及び、連結通路15bの分岐部を含む冷却水出口までの第一水路9の断面積はほぼ同じであり、幅が約20mm程度、深さが約17mm程度となっている。これに対して、連結通路15aの分岐部から連結通路15bの分岐部間の第一水路9の断面積は、例えば、連結通路15の断面積相当分が減少するように設計している。具体的には、水路の幅は約20mm程度とし、断面積を減少させるために、水路の深さを小さくして調整する構造になっている。これにより、冷却水入口から供給される冷却水が、第一水路9と、第一水路9から分岐する連結通路15とに分配される冷却水量、又は分配比率を調整することができる。
【0034】
また、固定リング4の下側リングも、上側リングと同様に、第一水路9,連結通路15(図2の15c、15d、15e、15f)、及び、第二水路14で構成されている。下側リングの第一水路9の断面積は、上側リングと同じように変化する構造になっている。連結通路15cの分岐部から連結通路15dの分岐部間の第一水路9の断面積と、連結通路15eの分岐部から連結通路15fの分岐部間の第一水路9の断面積は、連結通路15の断面積相当分が減少し、水路の幅は20mmで断面積相当分の減少を水路の深さを小さくして調整する構造になっている。
【0035】
第二水路14をシール面5近傍に設けることで、固定リング4を冷却すると共に、シール面5を効果的に冷却することができる。図2(b)において、固定リング4の延伸方向におけるシール面5から第二水路14までの距離は、小さいほどシール面をより効果的に冷却できるので好ましいが、第二水路14を加工する際に、シール面に影響を与える可能性があるので、シール面5から第二水路14までの最小距離は、5mm程度とすることができる。一方、シール面5から第二水路14までの距離を大きくすると、シール面5を十分に冷却できなくなる可能性があるので、シール面5から第二水路14までの最大距離は、40mm程度とすることが望ましい。本実施形態では、シール面5から第二水路14までの距離は、約10mm~20mm程度とすることができる。
【0036】
また、第一水路9と第二水路14とを接続するための連結通路15(連結通路15a、15b)は、断面形状が略円形の孔構造を有している。連結通路15の直径は、約8mm程度とすることができる。
【0037】
本実施形態のシール装置1では、例えば、上側リングに、第一水路9と第二水路14とを接続している連結通路入口15aと連結通路出口15bの連結通路15(図2の15a、15b)が設けられている。しかし、これに限定されず、連結通路15は、図3(b)に示すように連結通路入口15aと15g、及び連結通路出口15bと15hのように複数個設けても良い。これにより、第二水路へ供給される冷却水の量を調整するための自由度が向上し、シール面5をより効率的に冷却することができる。
【0038】
図2(a)を参照すると、連結通路15(15a、15b、15c、15d、15e、15f)の近傍に、注油穴部8(8a、8b、8c)が設けられている。つまり、注油穴部8は、連結通路15の延伸方向に沿って、連結通路15の近傍に形成されている。これにより、第一水路9を介して連結通路15に供給される冷却水によって、連結通路15の近傍に設けられた注油穴部8内を流れる潤滑油を冷却することができる。この結果、シール面5に供給される潤滑油の温度を小さくすることができるので、シール面5における潤滑油の温度を所定の範囲に制御することができる。
【0039】
図2(a)、(b)(c)において、固定リング4を冷却するための冷却水は、外部から固定リング4の第一水路9に供給される。その後、第一水路9から分岐され、連結通路15を通って第二水路14へ流れ、連結通路15を通って第一水路9へ戻るようになっている。本実施形態では、第一水路9に供給された冷却水は、連結通路15aで第一水路9から分岐されている。分岐された第一水路9の断面積は連結通路15の断面積相当分が減少されているため、連絡通路15の断面積に応じて、冷却水量が適正に分配されるようになっている。分岐された冷却水は連結通路15aを通って第二水路14aへ流れ、連結通路15bを通って第一水路9へ戻り第一水路9に合流するようになっている。合流する第一水路9の断面積は連結通路15の断面積相当分を増加しているため、冷却水が淀みなく合流できるようになっている。同様に、第二水路14bは連結通路15cと連結通路15dで第一水路9と繋がっており、第一水路9の断面積は連結通路15の断面積に応じて上記と同じように変形する構造になっており、分岐部で冷却水が適正に分配と合流ができるようになっている。また、第二水路14cは連結通路15eと連結通路15fで第一水路9と繋がっており、第一水路9の断面積は連結通路15の断面積に応じて上記のように変形する構造になっており、分岐部で冷却水が適正に分配と合流ができるようになっている。このように第一水路9→第二水路14a→14b→14c→第一水路9へ冷却水が淀みなく流れるように構成されている。これにより、シール面5を効率よく冷却することができる。
【0040】
本実施形態のシール装置1では、第一水路9に供給される冷却水の量は、約15~30リットル/分程度とすることができる。なお、冷却水の温度は、15℃~30℃程度とすることができる。
【0041】
上記でも説明したが、シール面5の温度上昇に伴う潤滑油の温度上昇によって、潤滑油の油膜の厚みが低下し、潤滑油の摩擦低減効果が低下する。この結果、シール面5における回転リング3、或は、固定リング4の摩耗が著しくなる。従来のシール装置では、比較例で示したシール装置101と同様の構造を有しており、この回転リング3、或は、固定リング4の摩耗を防ぐために、大量の潤滑油をシール面に供給していた。本実施形態のシール装置1では、シール面の潤滑油の温度上昇、或は潤滑油の温度を制御可能なように、固定リング4に、図2に示すような冷却構造を設けた。これにより、大量の潤滑油をシール面に供給しなくとも、シール面5における回転リング3、或は、固定リング4の摩耗を効果的に低減できる。次にシール面5に注油する潤滑油の温度と潤滑油の量の関係について、詳細に説明する。
【0042】
図6に、高圧注油器7からシール面5に供給される潤滑油の流れを示す。シール装置1において、シール面5は、ヨーク11に取り付けた押付ピン12で強く圧着されている。このシール面5に、高圧注油器7で加圧された高圧の潤滑油を注油し、油膜18が形成される。所謂、静圧潤滑方式と呼ばれる方式により油膜18が形成される。油膜18の厚みは、以下のポアズイユの関係式(式(1))により表すことができる。ここで、Qは注油量、Rはシール面の形状に基づく定数、Pは押し付け圧力、hは油膜厚、ηは潤滑油の粘度をそれぞれ示す。式(1)が示すように、シール面5の潤滑油の流れは平面ポアズイユ流が適用され、油膜厚hは、注油量Q、潤滑油の粘度η、及びシール面5を押し付ける圧力Pが関係することが分かる。
【0043】
【数1】
【0044】
シール面5を押し付ける圧力Pは、混練中のゴムなど被混練材料が混練室13から外へ漏れないよう図示されてないヨーク11の上部に連結された液圧シリンダーで一定の押し圧が設定されている。注油量Qは、粘度ηと油膜厚hで関連付けられている。油膜厚hは、シール面5の摩耗を最小限に抑える厚さで設定されることから、所定の油膜厚hを得るための注油量Qは、潤滑油の粘度ηで決まることになる。図7に、潤滑油の温度と粘度の関係を表すグラフを示す。また、図8に、潤滑油の温度と油膜厚の関係を表すグラフを示す。
【0045】
図7において、潤滑油の粘度は温度によって変化し、温度が60℃を超えると粘度はなだらかに低下し、60℃未満になると粘度は急激に上昇する性質があることが分かる。例えば、潤滑油の温度が、75℃以上になった場合、所定の油膜18の厚み(たとえば3.6μm)を得るためには、潤滑油の注油量Qを150リットル以上にする必要がある。ただし、潤滑油の注油量は、被混練材料がゴムの場合に、100トンのゴムを混練する場合に必要な潤滑油の注油量として計算している。
一方、シール面5の温度を例えば、60℃未満にすることにより、シール面5の潤滑油の粘度が高くなり、それにともない図8に示した潤滑油の温度と油膜厚の関係を表すグラフが示すように油膜厚18が厚くなる。従って、シール面5の温度を、例えば60℃未満にすることによりシール面5の摩耗を低減するために必要な注油量を60リットルまで少なくすることができる。
【0046】
図9に、潤滑油の温度と注油量の関係を表すグラフを示す。図9に示したように、所定の油膜厚18得るための注油する潤滑油量を顕著に減らすことが可能になった。本実施形態のシール装置1では、冷却水の量は、約15リットル/分程度に管理することによって、シール面5の温度を75℃から55℃以下に低減することができる。粘度が増加することにより、油膜厚の減衰効果が付加され、これにより所定の油膜厚18(例えば3.6μm)を得るために必要な潤滑油量を約50リットル以下に低減することが可能になる。
【0047】
次に、シール装置1の固定リング4の加工方法について、図4を参照しながら、詳細に説明する。図4(a)~(f)に、固定リング4の加工方法に含まれる各工程を説明するための図を示す。固定リング4の加工工程は、(1)第一水路9の加工工程、(2)第二水路14の加工工程、(3)連結通路15の加工工程、(4)第一水路9,第二水路14のカバー形成工程、及び(5)連結通路15へのプラグ形成工程を含むことができる。これらの固定リング4の各加工工程について、以下に説明する。
【0048】
(1)第一水路9の加工工程
まず、図4(a)に示すように、上下に2分割された固定リング4を準備する。固定リング4は、フランジ部21とフランジ部21に接続された略円筒形状を有する筒部22を有することができる。上下に分割された固定リング4のそれぞれのフランジ部21外周に、第一水路9を形成するための溝を加工する。第一水路9用の溝の幅は約20mm程度とすることができる、また、第一水路9用の溝の深さは約17mm程度とすることができる。また、第一水路9の変形の溝の深さは14.5mm程度にすることができる。
【0049】
(2)第二水路14の加工工程
次に、図4(b)に示すように、シール面5から約10mm程度離れた位置に水路14の一方の側面が位置するように、固定リング4の筒部に第二水路14用の溝を加工する。第二水路14用の溝の幅は約20mm程度とすることができる。なお、本実施形態では、加工によるシール面へ歪の発生等の影響を考慮して、第二水路14用の溝は、シール面5から約10mm程度離れた位置であってシール面5の近傍に形成している。しかし、シール面を冷却するために、第二水路14用の溝は、シール面5に可能な限り近づけて形成することが好ましいのは言うまでもない。
また、第一水路9用の溝の深さは約12.5mm程度とすることができる。筒部22には、注油穴部8a、8b、8cを設ける必要があるため、本実施形態では、注油穴を形成する位置を避けて、第二水路14用の溝を、3箇所に分割して加工している。
【0050】
(3)連結通路15の加工工程
次に、図4(c)に示すように、第一水路9から第二水路14へ冷却水の通路を設置するために、2分割された固定リング4の上側リングには第一水路9の溝底から連結通路15の穴がフランジ部21の外表面から径方向に向かって、フランジ部の内側表面を貫通しないように、例えばドリルを用いて加工し形成する。連結通路15の穴は、例えば冷却水の注入口用と出口用の2個が形成される。次に、図4(d)に示すように、フランジ部21の端面から、上記の加工で形成された通路15を通リ、筒部の延伸方向に延伸して水路14へ通じる別の連結通路15を、例えばドリルを用いて加工し形成する。この別の連結通路15の穴も、冷却水の注入口用と出口用の2個が形成される。なお、連結通路15を複数形成する場合も、同様の加工方法で形成することができる。
固定リング4には、連結通路15と注油穴部8a、8bを設けることができるが、シール面5に供給する潤滑油の温度を調整(冷却)するために、通路15は、注油穴部8a、8bの近傍に形成することが好ましい。同様にして、下側の固定リングにも、第一水路9用の溝と第二水路14用の溝、及び連結通路15の穴を加工する。連結通路15の穴の直径は8mm程度である。下側の固定リングにおいても、連結通路15は、注油穴部8cの近傍に形成することが好ましい。また、下側の固定リングには、シール面5の温度を計測するための温度計を挿入するための温度計用穴16が設けられている。
【0051】
(4)第一水路9,第二水路14のカバー形成工程
次に、図4(e)に示すように、第一水路9,第二水路14用の溝に蓋をするためにそれぞれカバー23、24を、例えば金属溶接にて取り付ける。本実施形態では、第二水路14用カバー24は、第二水路14の深さが、例えば8mm程度となるように第二水路14用の溝に埋め込んで溶接されている。
【0052】
(5)連結通路15へのプラグ25形成工程
最後に、図4(f)に示すように、筒部の延伸方向に延伸する全ての連結通路15のフランジ側21にプラグ25を取り付け、通路から冷却水が外へ漏れないようにする。
以上で説明した加工工程によって、図4(g)に示すように、第一水路9に入った冷却水は連結通路15を通って第二水路14へ入り別の連結通路15を通って第一水路9へ戻る構造を有する固定リング4を形成することができる。全ての第一水路9,第二水路14(14a,14b、14c)に冷却水が流れることによって、固定リング4及びシール面5両方を継続的に冷却することが可能になる。
【0053】
好適な実施の形態において本発明の原理を図示し説明してきたが、本発明は、そのような原理から逸脱することなく配置および詳細において変更され得ることは、当業者によって認識される。本発明は、本実施の形態に開示された特定の構成に限定されるものではない。したがって、特許請求の範囲およびその精神の範囲から来る全ての修正および変更に権利を請求する。
【符号の説明】
【0054】
1、101 シール装置
2 ローター
3 回転リング
4 固定リング
5 シール面
6 混練室側面
7 高圧注油器
8 注油穴部
9 第一水路
10 冷却水循環機構
11 ヨーク
12 押付ピン
13 混練室
14 第二水路
15 連結通路
16 温度計用穴
17 密閉式混練機
18 油膜
19 ハウジング
20 ローター翼部
21 固定リングフランジ部
22 固定リング筒部
23 第一水路のカバー
24 第二水路のカバー
25 プラグ
26 エンドプレート
27 ローターシャフト
28 注油配管

【要約】      (修正有)
【課題】シール面に注油する潤滑油の油量を低減し、リングの摩耗を低減できる密封式混練機のシール装置を提供する。
【解決手段】ローターシャフト(2)に翼部(20)が設けられたローター(2)と、ローターシャフトが内孔に挿入される環状のエンドプレート(26)を備えた密封式混練機のシール装置(1)であって、ローターの翼部の端面に取り付けられる回転リング(3)と、エンドプレートの内周面とローターシャフトの外周面との間に、ローターシャフトの軸方向に勘合され、回転リングの端面に押し付けられる環状の固定リング(4)を備え、回転リングと固定リングの筒部との間にはシール面(5)が形成され、固定リングは、フランジ部に設けられた第1水路と、筒部のシール面側の他端近傍に設けられた第2水路と、筒部に設けられ第1水路と第2水路とを連結する連結通路と、筒部に設けられ、シール面に潤滑油を注油するための注油穴部を有する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12