(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-22
(45)【発行日】2022-03-30
(54)【発明の名称】クランプ器具の改良
(51)【国際特許分類】
B25B 1/16 20060101AFI20220323BHJP
【FI】
B25B1/16
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017078329
(22)【出願日】2017-04-11
【審査請求日】2020-04-08
(32)【優先日】2016-04-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】511071614
【氏名又は名称】パワー ボックス アーゲー
【氏名又は名称原語表記】Power Box AG
【住所又は居所原語表記】Poststrasse 6,6301 Zug,Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】特許業務法人英知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】コクレーン、マイケル
【審査官】山内 康明
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0121405(US,A1)
【文献】実公昭46-016875(JP,Y1)
【文献】特表平06-508068(JP,A)
【文献】米国特許第06299152(US,B1)
【文献】米国特許第06022010(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25B 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも3つの支持脚が支持体を支持面から一定の距離で支持する支持構造と、少なくとも2つのクランプジョーであって、前記ジョーの少なくとも1つが前記ジョーの他方に対して直線的に移動可能であり、前記ジョーの間に空間が画定され、前記空間で加工物が前記ジョーにより所定の位置に保持可能なクランプジョーと、レバー組立体であって、前記支持構造に枢支連結され、作業者によって、前記移動可能ジョーと係合し、前記移動可能ジョーを駆動してクランプ力を前記ジョー間に位置する加工物に加えるように枢動されるように設けられるレバー組立体と、前記少なくとも1つの移動可能ジョーを作業者
が選択
的に所定の位置にロックするためのロック手段と、を含むクランプ器具において、前記ロック手段は、前記作業者が足でロック手段作動装置
を移動させることによって作動可能であるクランプ器具。
【請求項2】
前記ロック手段作動装置は、前記作業者の足が接触するペダルを含む、又は前記ペダルに連結される、請求項1に記載の器具。
【請求項3】
前記ペダルは、前記レバー組立体を
所定の距離だけ移動させる操作もするように設けられる、請求項2に記載の器具。
【請求項4】
前記ロック手段作動装置は、前記レバー組立体に対して枢動可能であり、前記作動装置が第一の方向に移動したときの前記少なくとも1つのジョーの位置の選択的ロックと、前記作動装置が第二の方向に移動したときの前記少なくとも1つのジョーの前記位置のロック解除を行うことができる、請求項2又は3に記載の器具。
【請求項5】
前記第二の方向は前記第一の方向と反対である、請求項4に記載の器具。
【請求項6】
前記ペダルは、前記作業者が前記器具の前に立って前記器具を使用するときに作業者の足で操作されるように前記器具に取り付けられている、請求項2に記載の器具。
【請求項7】
前記ロック手段作動装置は、前記足ペダルと一体に形成される、請求項3に記載の器具。
【請求項8】
前記足ペダルは、前記作業者の足が接触して、前記レバー組立体を枢動させて前記移動可能ジョーを移動させる部分を含む、請求項7に記載の器具。
【請求項9】
前記ロック手段作動装置は、前記足ペダルの縁に位置する部分として形成され、前記部分は接触されると前記ロック手段をロックするための第一の面と、接触されると前記ロック手段を解除するための第二の面と、を含む、請求項7に記載の器具。
【請求項10】
前記ロック手段作動装置の前記第一の面は、前記作業者のつま先によって作用されて、前記ロック手段作動装置が第一の方向に移動するように設けられ、前記ロック手段作動装置の前記第二の面は、前記作業者の踵によって作用されて、前記ロック手段作動装置が反対方向に移動するように設けられる、請求項9に記載の器具。
【請求項11】
前記足ペダルは、前記レバー組立体により前記移動可能ジョーのための移動手段に連結され、前記ロック手段作動装置は、前記ペダルが連結される第一及び第二の部材を介して前記ロック手段に連結され、前記ペダルは前記レバー組立体とは独立して選択的に移動可能である、請求項10に記載の器具。
【請求項12】
前記部材及びロック手段は、前記ロック手段が係合しているときに前記レバー組立体の枢動を阻止する、請求項11に記載の器具。
【請求項13】
前記ロック手段がロック解除されると、前記レバー組立体の往復移動は駆動手段を繰り返し操作して、前記移動可能ジョーを固定ジョーに向かって漸次前進させる、請求項1に記載の器具。
【請求項14】
前記クランプ力は、前記作業者が前記レバー組立体と接触したままにする必要なく、加えられ、保持される、請求項
1に記載の器具。
【請求項15】
前記レバー組立体は、該レバー組立体が解放されると、レスト位置に付勢されて戻る、請求項1に記載の器具。
【請求項16】
前記支持構造は長尺の支持体を含み、該長尺の支持体の中にレールが画定され、該レールに沿って前記移動可能ジョーが固定ジョーに向かって、及び前記固定ジョーから離れるように移動可能である、請求項1に記載の器具。
【請求項17】
前記移動可能ジョーは、前記支持体に対して移動可能な運び台の一部として設けられる、請求項
16に記載の器具。
【請求項18】
前記支持脚及びレバー組立体は、前記支持体に対して保管状態と使用中の状態との間で移動可能に設けられる、請求項
16に記載の器具。
【請求項19】
前記保管状態にあるとき、前記支持脚及びレバー組立体は、前記支持体の長手方向軸と実質的に沿って並ぶ、請求項
18に記載の器具。
【請求項20】
前記レバー組立体とロック手段は、固定ジョーが位置する前記支持体の端に位置する、請求項1に記載の器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願の発明は、クランプ器具に関し、これは間に1つ又は複数の加工物を挟んで固定し、作業者が加工物に作業を実施できるような少なくとも1対のクランプジョーを備える万力を含む。
【背景技術】
【0002】
典型的に、ジョーは支持体フレーム上に設けられ、これは、ジョーとそれにより保持される加工物を、作業者が立ち姿勢で加工物に作業を実施するのに適した高さに位置するようにできる高さである。
【0003】
クランプ装置の1つの既知の形態は欧州特許第0573501号に示されており、これは貯蔵と輸送のための畳んだ状態と加工物の保持に使用される展開させた状態との間で変形可能なポータブル器具を開示している。
【0004】
同特許に示されているクランプ装置は、支持体を有し、ジョーの一方を他方の固定ジョーに向かって、及びそこから離れるように移動させて、ジョー間と支持体の上に位置する加工物の上の考えられるクランプ位置範囲内のあるクランプ場所に位置するようにすることができる。ジョーの移動は、作業者がジョーに連結されたペダル機構を操作することによって実現可能であり、足ペダルの移動により、前記ジョーは固定ジョーに向かって移動する。ジョーが求められている場所にあるとき、作業者は、支持体の上に設けられたロックアセンブリスイッチをロック位置に移動させて、ジョーをロック位置にロックする。ロックアセンブリスイッチは支持体上に設置され、それによって、必要なときに作業者の手でそれをロック位置へとスライドさせることによって操作されなければならず、またジョーを固定ジョーから離れるように移動させる必要があるときには、ロックアセンブリスイッチが作業者の手でロック解除位置へとスライドされなければならない。
【0005】
この形態の装置は、様々な用途で商業的に成功し、作業者にとって有利であることが分かっているものの、作業者が経験する問題があることも知られている。これらの問題の1つは、現在の作業システムにおいて、固定ジョーに向かうジョーの移動はペダルを足で動かすことにより実行されるが、ジョーの位置に関するロックアセンブリはそれとは別の機構であり、手で操作する必要があるという事実に関する。これはしたがって、作業者が別のロック機構を操作し忘れる可能性があることを意味し、また、作業者は、移動可能ジョーが所定の位置にロックされているときに、おそらくは加工物を反対の手で所定の位置に支持もしなければならない一方で、移動及びロック機構の両方を操作できるように片足と片手が空いていなければならないことも意味する。これは、時として難しく、作業者が実現するには危険である可能性がありうる。
【0006】
別の問題は、既知の種類の器具は様々な目的のために、様々なアクセサリと共に使用できるが、これらのアクセサリを所定の位置に取り付け、取り外すのに時間がかかりうる。実際に、作業者にとってフラストレーションの原因となり、及び/又はアクセサリが全く使用されなくなることを意味する可能性があることがわかっており、これは器具が不適切でおそらくは危険な方法で使用されることを意味する可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の目的は、手を使わない操作を増やすことのできる改良型のレバー式クランプ器具を提供することである。別の目的は、器具へのアクセサリの着脱を改良し、それによって器具の使いやすさと有用性を増大させることができるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第一の態様によれば、支持構造と、少なくとも2つのクランプジョーであって、ジョーの少なくとも一方がジョーの他方に対して直線的に移動可能であり、ジョーの間に空間が画定され、空間で加工物がジョーにより所定の位置に保持可能なクランプジョーと、レバー組立体であって、支持構造に枢支連結され、作業者によって、前記移動可能ジョーと係合し、前記移動可能ジョーを駆動してクランプ力をジョー間に位置する加工物に加えるように枢動されるように設けられるレバー組立体と、少なくとも1つの移動可能ジョーを作業者の選択位置にロックするためのロック手段と、を含むクランプ器具が提供され、ロック手段は、作業者が足でロック手段作動装置と接触することによって作動可能である。
【0009】
1つの実施形態において、ロック手段作動装置は、同じく作業者の足で作動可能なレバー組立体の一部として設けられる。典型的に、レバー組立体との接触は、作業者が足をレバー組立体の一部として設けられるペダルに載せることを通じて行われる。
【0010】
1つの実施形態において、ロック手段作動装置は、レバー組立体に対して枢動可能であり、作動装置が第一の方向に移動したときの移動可能ジョーの位置の選択的ロックと、作動装置が第二の方向に移動したときの移動可能ジョーの位置のロック解除を行うことができる。
【0011】
最も典型的に、第二の方向は第一の方向と反対である。
【0012】
1つの実施形態において、前記ロック手段作動装置とレバー組立体の足ペダルは器具に関して、作業者の同じ足で操作されように取り付けられる。
【0013】
典型的には、ロック手段作動装置とレバー組立体の足ペダルは、作業者が器具の前に立って器具を使用するときに操作できる。
【0014】
1つの実施形態において、ロック手段作動装置は、レバー組立体の足ペダルとは別に設けられる。
【0015】
好ましくは、前記ロック手段作動装置は足ペダルと一体に形成される。
【0016】
何れの実施形態においても、ロック手段がロック位置に移動すると、ロック手段が解放されるまで、レバー組立体の枢動が阻止され、したがって、移動可能ジョーの移動が阻止される。
【0017】
この実施形態において、足ペダルは作業者の足が接触して、レバー組立体を枢動させて、少なくとも一方のジョーを移動させる部分を含み、ロック手段作動装置は、足ペダルの縁に位置する部分として形成され、前記部分は接触されるとロック手段をロックするための第一の面と、接触されるとロック手段を解除するための第二の面と、を含む。
【0018】
典型的に、ロック手段作動装置の第一の面は、作業者のつま先が接触して、ロック手段作動装置を第一の方向に移動させるように設けられ、ロック手段作動装置の第二の面は、作業者の踵が接触して、ロック手段作動装置を反対方向に移動させるように設けられる。
【0019】
典型的には、足ペダルは、レバー組立体によりジョー移動手段に連結され、ロック手段作動装置は、レバー組立体とは独立して選択的に移動可能な第一及び第二の部材を介してロック手段に連結され、ペダルが位置決定される。典型的に、前記部材は固定ジョーに隣接して取り付けられたロック手段まで延びる。
【0020】
典型的に、固定ジョーと移動可能ジョーが設けられ、駆動手段は前記移動可能ジョーを前記固定ジョーに向かって移動させる。
【0021】
1つの実施形態において、移動可能ジョーは、運び台に取り付けられるか、運び台の一体部位として設けられ、運び台は、ロック手段がロック解除されたときに、レバー組立体の操作によって支持体に対して運び台の一部としての移動可能ジョーと共に移動する。
【0022】
1つの実施形態において、運び台は断面が実質的にn字形であり、支持体の一部分を運び台の壁間に画定される空間内に受ける。
【0023】
1つの実施形態において、移動可能ジョーは、レバー組立体の操作によって前記運び台と支持体との間のラチェット機構が操作された結果として移動され、それによって運び台と移動可能ジョーを固定ジョーに向かって漸次前進させる。
【0024】
1つの実施形態において、移動可能ジョーはステップ式に移動され、各移動ステップは、レバー組立体を枢動させるための足による操作1回に相当する。
【0025】
典型的に、レバー組立体は、ラチェットを解除して、移動可能ジョーをもう1ステップ移動させるために、所定の範囲まで移動させる必要がある。
【0026】
典型的に、ロック手段がロック解除されると、レバー組立体の往復移動は駆動手段を繰り返し操作して、移動可能ジョーを固定ジョーに向かって漸次前進させる。ロック手段がロックされると、移動可能ジョーは所定の位置に保持され、考えられるクランプ力の範囲内で選択されたクランプ力をジョー間に位置する加工物に加えることができ、作業者はレバー組立体との接触したままの状態でいる必要がない。
【0027】
典型的に、レバー組立体はばねによって付勢されて、レバー組立体を解放すると、レスト位置へと戻る。
【0028】
1つの実施形態において、支持構造は長尺の支持体を含み、それが画定するレールに沿って、運び台が可動ジョーと共に固定ジョーに向かって、及びそこから離れるように移動できる。典型的に、少なくとも3つの支持脚が支持体を支持面から一定の距離で支持する。1つの実施形態において、支持脚及びレバー組立体は、保管状態と使用中の状態との間で支持体に対して移動可能であるように設けられ、好ましくは、保管状態にあるとき、支持体の長手方向軸に実質的に沿って並ぶ状態となる。
【0029】
典型的に、解放可能ロックは、使用中の位置にあるときに脚をロックするために設けられる。
【0030】
1つの実施形態において、支持体は1つ又は複数のローラ、ホイール、又はキャスタを含み、少なくとも器具が保管状態にあるときに、ホイールが支持面に接触した状態で器具を移動させることができる。
【0031】
1つの実施形態において、ハンドルは、器具が運ばれるか、ことによって、ハンドルを握る作業者によって方向付けられるホイールによる動きが設けられる。
【0032】
典型的に、レバー組立体と作業者用ペダルのロック手段は、固定ジョーが位置する支持体の端に位置する。
【0033】
1つの実施形態において、支持体は少なくとも1つのアクセサリを位置決定できる位置決定手段を含む。1つの実施形態において、位置決定手段は、位置決定手段の中に形成された複数のオス及び/又はメス係合手段を有する第一の部位の形態で設けられ、第二の部位に設けられた他方の一致するオス及び/又はメス係合手段を選択的に受容する。
【0034】
1つの実施形態において、第一の部位は、支持構造に設けられ、第二の部位はアクセサリ部品に設けられる。
【0035】
1つの実施形態において、係合手段は部位の係合及び解除を、したがって、アクセサリと支持体との係合を滑り移動によって可能にする。
【0036】
1つの実施形態において、係合手段は鍵穴型のメススロットとマッシュルームピンとして形成される。
【0037】
1つの実施形態において、ロック手段は別の位置決定組立体を含み、位置決定組立体は第一及び第二の部位の滑り移動を阻止する位置へと移動可能である。1つの実施形態において、位置決定組立体は前記位置へと付勢される。
【0038】
1つの実施形態において、位置決定手段は、支持体の1端にある固定ジョーの一部として、又は支持体の1端にある固定ジョーの一部に隣接して設けられる。
【0039】
本発明の他の態様において、第一及び第二のクランプジョーが支持体の中に位置する支持体を含む支持構造により担持される、調節可能に離間された2つのジョーと、前記ジョーの少なくとも一方を他方に対して移動させる手段と、固定ジョーと、を含むクランプ器具が提供され、支持体は少なくとも1つのアクセサリ部品を位置決定できるようにする位置決定手段を含み、前記位置決定手段は、支持体の中に形成された複数のオス及び/又はメス係合手段を有する、支持体に設けられた第一の部位の形態で設けられ、アクセサリ部品に設けられる第二の部位に設けられた、他方の一致するオス及び/又はメス係合部を選択的に受容し、係合手段は、前記部位、したがって、アクセサリ部品と支持体の係合及び解除を可能にする。
【0040】
典型的に、係合及び解除は、相対的な滑り移動によって実現される。
【0041】
典型的に、位置決定手段は、第一及び第二の部位の滑り移動を阻止する位置へと移動可能な別の位置決定組立体を含む。1つの実施形態において、位置決定組立体は前記位置へと付勢される。
【0042】
ここで、本発明の具体的な実施形態を、下記のような添付の図面を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1a】使用中の状態と、一部が保管状態の本発明による器具を示す。
【
図1b】使用中の状態と、一部が保管状態の本発明による器具を示す。
【
図2a】本発明の1つの実施形態によるロック手段を示す。
【
図2b】本発明の1つの実施形態によるロック手段を示す。
【
図3a】本発明の他の実施形態によるロック手段を示す。
【
図3b】本発明の他の実施形態によるロック手段を示す。
【
図4a】本発明の1つの実施形態による位置決定手段を示す。
【
図4b】本発明の1つの実施形態による位置決定手段を示す。
【
図4c】本発明の1つの実施形態による位置決定手段を示す。
【
図4d】本発明の1つの実施形態による位置決定手段を示す。
【
図4e】本発明の1つの実施形態による位置決定手段を示す。
【発明を実施するための形態】
【0044】
まず
図1aを参照すると、本発明が関係する形態のクランプ器具が示されている。器具2は、支持体4を含み、支持体4には一体のレール6と固定ジョー8が組み込まれている。移動可能ジョー及び運び台の組立体10が設けられ、移動可能ジョーは立ち上がり、固定ジョーと実質的に平行であり、運び台は実質的にn字形であり、運び台の中にレール6を受け、移動可能ジョー及び運び台の組立体はレール6上に、それに沿って移動するように位置する。支持体は支持面12から一定の距離で、図のような使用中の状態へと移動され、また、それが実質的に長尺の支持体4と沿って並ぶ保管状態へと支持体4に対して旋回されることが可能な脚14、16、18によって位置決定される。
図1bは、保管状態におけるレバー組立体20とロック手段32の、支持体の長手方向軸34に関する設置状態を示しており、保管状態においては脚14、16、18(図示せず)も長手方向軸34に実質的に平行である。
【0045】
ジョー及び運び台の組立体10の移動は、作業者がレバー組立体20を足で操作することによって実現され、レバー組立体20は、組立体の端24に足ペダル22を含み、組立体は枢軸26において支持体4に枢動可能に位置決定される。
【0046】
足ペダル22を介したレバー組立体20の操作は、作業者が片足をペダルの部分28と接触させて、足ペダル22、したがってレバー組立体20を矢印25により示されるように前後に移動させることによって達成される。この移動は、ペダルをレバー組立体に連結する枢動点27を通じてレバー組立体に、及び枢軸26を介してレバー組立体により、次に、移動可能ジョー及び運び台の組立体10が連結されるラチェット機構へと伝えられて、前進移動作用を移動可能ジョー及び運び台の組立体10に提供し、固定ジョー8に向かって矢印11の方向へと移動させる。ジョー8及び10は、空間15をジョー8及び10の間に画定し、空間15に加工物64がセットされ、すると、ジョー10が移動して加工物と接触し、ジョー8と共に加工物を所定の位置に固定する。典型的に、レバー組立体が作業者の足によって所定の距離だけ移動するたびに、移動可能ジョー及び運び台の組立体10が固定ジョーに向かってステップ式に移動する。移動可能ジョー10が必要な位置にあり、必要なクランプ力が加えられると、移動可能ジョー10の位置は、ロック手段を後述のように使用してロックできる。
【0047】
図1bと
図2a及び
図2bは、本発明の1つの実施形態による器具のレバー組立体20とロック手段32をより詳しく示している。
【0048】
本発明によれば、レバー組立体の足ペダル22は、作業者の足が接触して、レバー組立体20の支持体4に関する枢動と、したがって、移動可能ジョー及び運び台の組立体10の移動を起こさせるための部分28を含むことに加えて、ロック手段作動装置部分30も含み、足ペダルはまた、ロック手段の一部として設けられる部材38及び40と枢支連結され36、これは、ロック位置にあると、レバー組立体の移動が阻止され、したがって、移動させる力が移動可能ジョー及び運び台の組立体10にかかるのを阻止し、したがって、これを固定されたロック位置に保持し、加工物に加えられているクランプ力を保持する。作業者は典型的に、2つのジョーが加工物をそれらの間に固定する位置にあり、十分なクランプ力が加えられて加工物が所定の位置に保持されているときにロック手段を操作し、作業者は加工物を手で保持する必要がない。それゆえ、またロック手段も足で操作できるため、作業者の手は両方とも空き、常に加工物への作業を実行できる。
【0049】
足ペダルのロック手段作動部分30は、第一の下面42と、第二の、それと対向する上面44を有する。下面42は、作業者の足のつま先が選択的に接触し、それによって矢印46により示されるように上方に反転又は移動するように設けられ、これはロック手段をロック位置へと移動させ、したがってジョー10を所定の位置にロックさせる。上面44は、作業者の足の踵が接触することによって選択的に移動され、矢印48により示されるように下方に移動されて、ロック手段をロック解除位置へと移動させ、したがってジョー10を自由に移動可能とするように設けられる。
【0050】
図3a、
図3bは、ロック手段の第二の実施形態を同じ参照番号を使って示しており、何れの場合も、ロック手段の動作は、上述のようにロック手段をペダル22の部分30の足による操作を利用して実現されると理解する。
【0051】
何れの実施形態においても、ロック手段はロックシャフト52と作動装置部材を含み、これらはペダルの移動の影響を受けて移動する。作動装置部材38、40はロックプレートに作用して、これをロックシャフトに対してロック位置とロック解除位置との間で移動させ、したがって、ひいてはロック手段がロック位置にあるときに移動可能ジョー10の移動が阻止され、解除されると、ジョー10の移動が再び可能となる。前記部材38、40とロックプレートは、ロック手段が係合しているとき、レバー組立体の枢動を阻止することにより、ジョーの移動を阻止するように作用する。
【0052】
したがって、移動機構のロックとロック解除の他に移動可能ジョーの移動の手を使わない操作が可能になる。
【0053】
次に、
図4a~
図4eを参照すると、本発明によるアクセサリ部品のための位置決定手段を設けることのできる器具のある実施形態が示されている。アクセサリは、器具を使って他の作業行動を実行できるように提供されても、器具の特定の機能を調整できるように提供されてもよい。
【0054】
図4a~
図4cにおいて、アクセサリ部品は厚板64の形態の加工物のための支持手段66の形態で示されている。一方の端にスタンド60が設けられ、それが厚板に固定され、スタンドは器具2から離間されて位置付する。支持体4に本発明による位置決定手段62が設けられている。位置決定手段は、この例において、アクセサリの一部として設けられる棒状部材66と係合するように設けられ、またスタンド60にも取り付けられている。
【0055】
棒状部材66は、
図4dにおいてより詳しく示されており、位置決定手段の1つの部位68はプレートとして示され、これはこの例では、棒状部材上の固定位置にねじ70により取り付けられている。位置決定手段68はオス係合ピン72を含み、これは図のようにマッシュルームピンである。位置決定手段のプレート68はまた、穴84も含む。
【0056】
位置決定手段の第二の部位74が
図4eに示されている。部位74は支持体の端に設けられ、そこには固定ジョー8が位置する。この部位は、ピン72を受容するための、それと一致するメス鍵穴型スロット76を含む。また、部位68の穴84に受容されることになるピン78も設けられ、ピンは第二の部位74の通路を位置決定組立体80から貫通し、面82の外側に突出するように付勢される。
【0057】
位置決定手段の2つの部位68、74を係合させるために、それぞれの部位の面86及び82は、部位68のピン72が部位74のそれぞれの鍵穴型スロット76のヘッド部分へと移動するように合わせられる。面を相互に向かってこのように移動させることにより、ピン78もまた、位置決定組立体80の中のピンの付勢力に対抗して移動し、面82と実質的に平らになる。
【0058】
ピン72がそれぞれの鍵穴型スロット76の中にあるとき、
図4eに示される矢印88の方向への部位68の相対的滑り移動によって、部位72は鍵穴型スロット76の、より狭い部分の中へと移動し、ピン72が完全に所定の位置にあると、部位68の穴84は部位74のピン78と整合し、それによってピン78は組立体80のバネの影響を受けて自由に移動し、穴84の中に突出して、2つの部位68、74を所定の位置にロックし、滑り移動を阻止する。
【0059】
部位68、74を解放するために、組立体80を握り、方向90に移動させて、ピン78を穴84から出るようにし、部品68、74が方向92へと滑り移動できるようにする。
【0060】
このように、本発明によって、加工物を加工するためにクランプ力で位置決定するための、操作の容易さと安全性の向上を可能にするクランプ器具が提供される。本発明は、また特定の加工要求に対して使用する器具で選択的に位置決定するために、様々なアクセサリ部品の位置と使用を提供する。