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7044481インプリンティング方式を用いた磁化状態制御方法
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  • -インプリンティング方式を用いた磁化状態制御方法 図1
  • -インプリンティング方式を用いた磁化状態制御方法 図2
  • -インプリンティング方式を用いた磁化状態制御方法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-22
(45)【発行日】2022-03-30
(54)【発明の名称】インプリンティング方式を用いた磁化状態制御方法
(51)【国際特許分類】
   G11B 5/86 20060101AFI20220323BHJP
   G11B 5/84 20060101ALI20220323BHJP
【FI】
G11B5/86 101
G11B5/86 101B
G11B5/84 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2017094014
(22)【出願日】2017-05-10
(65)【公開番号】P2017216032
(43)【公開日】2017-12-07
【審査請求日】2020-05-01
(31)【優先権主張番号】10-2016-0066465
(32)【優先日】2016-05-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】512328201
【氏名又は名称】コリア リサーチ インスティチュート オブ スタンダーズ アンド サイエンス
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ムン,ギョン ウン
(72)【発明者】
【氏名】ファン,チャン ヨン
【審査官】川中 龍太
(56)【参考文献】
【文献】特開昭52-050203(JP,A)
【文献】特開2000-251426(JP,A)
【文献】特開昭56-007243(JP,A)
【文献】特開2010-086606(JP,A)
【文献】特開2002-100079(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11B 5/86
G11B 5/84 - 5/858
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに異なる磁化状態を有する第1磁性構造体と第2磁性構造体が互いに隣接するように移動させる段階と、
前記第1磁性構造体と前記第2磁性構造体が隣接すると、前記第1磁性構造体の磁化状態又は前記第2磁性構造体の磁化状態が変化する段階と、
を含むインプリンティング方式を用いた磁化状態制御方法であって
前記第1磁性構造体の磁化状態又は前記第2磁性構造体の磁化状態が変化する段階は、前記第1磁性構造体と前記第2磁性構造体のうち、いずれか一つの磁化状態で発生した磁場によって、残り一つの磁化状態が整列される段階であり、
前記磁化状態制御方法は、
前記互いに異なる磁化状態を有する第1磁性構造体と第2磁性構造体が互いに隣接するように移動させる段階以前に、
前記第1磁性構造体と前記第2磁性構造体が互いに異なる磁化方向を有するように前記第1磁性構造体と前記第2磁性構造体それぞれ磁場を印加することによって、前記第1磁性構造体の磁化状態と前記第2磁性構造体の磁化状態を変化させる段階を含み、
前記第1磁性構造体と第2磁性構造体のいずれか一方の構造体が、パターン化され、且つ他方の構造体より相対的に強い保磁力を有していることを特徴とする磁化状態制御方法。
【請求項2】
互いに異なる磁化状態を有する第1磁性構造体と第2磁性構造体が互いに隣接するように移動させる段階は、
前記第1磁性構造体と前記第2磁性構造体が原子サイズくらい近く離隔して配置されるように移動させる段階又は前記第1磁性構造体と前記第2磁性構造体が互いに重なって配置されるように移動させる段階を含むことを特徴とする請求項1に記載の磁化状態制御方法。
【請求項3】
前記第1磁性構造体又は前記第2磁性構造体がパターン化された形を有する場合、前記第1磁性構造体と前記第2磁性構造体が互いに隣接するか、又は重なる部分のみで前記第1磁性構造体又は前記第2磁性構造体の磁化状態が変化することを特徴とする請求項1に記載の磁化状態制御方法。
【請求項4】
前記第1磁性構造体と前記第2磁性構造体が隣接すると、前記第1磁性構造体の磁化状態又は前記第2磁性構造体の磁化状態が変化する段階以降に、
前記第1磁性構造体の磁化状態又は前記第2磁性構造体の磁化状態の変化が完了した後、前記第1磁性構造体と前記第2磁性構造体が互いに離れるように移動させる段階を含むことを特徴とする請求項1に記載の磁化状態制御方法。
【請求項5】
前記第1磁性構造体及び前記第2磁性構造体は、薄膜形態を有することを特徴とする請求項1ないし請求項のうちいずれか1項に記載の磁化状態制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁化状態制御方法に関するものとして、より詳細には、インプリンティング方式を用いて簡単な方法で磁化状態を制御する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近は、情報産業の飛躍的な発展によって、既存の磁気貯蔵媒体(magnetic storage medium)より高容量の情報を貯蔵することができる磁気貯蔵媒体に対する開発の必要性が要求されている。これによって、磁気貯蔵媒体は、磁気抵抗電気伝導性又は磁性を有する微細パターンの形成を通じて磁気抵抗効果膜を製造することによって、素子の抵抗を減らし、これを通じて、磁気抵抗効果型ヘッドの再生信号の出力を増加させる方法が考えられている。
【0003】
したがって、このような方式の磁気貯蔵媒体は、限られた空間に多くの量のデータを貯蔵するために、その情報を貯蔵する単位間隔のサイズを減らす方法を使用しているが、従来の単位間隔のサイズを減らす方法は、ある程度の限界を有していて、限界以上になると、情報貯蔵に対する安定性の確保が難しいという問題点がある。
【0004】
また、このような磁気貯蔵媒体の高容量情報を貯蔵する特性を維持する同時に、安定的な記録及び情報の維持も可能になるように、基板上のマグネティク層に人為的なパターニングを通じて、記録の最小単位であるビットを所定のピッチの間隔を置いて物理的に分離したパターンドメディアに対する研究が活発に研究されている。しかし、このようなパターンドメディアは、磁性パターンを作ろうとする形で基板上にマスクパターン形成、エッチング及び充填工程などの複雑な工程を経て製作していて、この過程で欠陥が発生する可能性が高い問題点がある。また、エッチング工程と充填工程を経たパターンが形成されたマグネティク層の表面はかなり不規則で、平坦化工程も要求されて製作工程がさらに複雑になる問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前記のような問題点を含み、様々な問題を解決するためのものとして、パターン形成、エッチング、充填工程及び平坦化工程などの複雑な製造過程を経なくても、安定的に高容量のデータ処理特性を有するようにインプリンティング方式を用いてマグネティク層の磁化状態制御方法を提供することを目的とする。しかし、このような課題は、例示的なもので、これによって本発明の範囲が限定されるものではない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一観点によると、インプリンティング方式を用いた磁化状態制御方法を提供する。前記インプリンティング方式を用いた磁化状態制御方法は、互いに異なる磁化状態を有する第1磁性構造体と第2磁性構造体が互いに隣接するように移動させる段階と、前記第1磁性構造体と前記第2磁性構造体が隣接すると、前記第1磁性構造体の磁化状態又は前記第2磁性構造体の磁化状態が変化する段階と、を含み、前記第1磁性構造体の磁化状態又は前記第2磁性構造体の磁化状態が変化する段階は、前記第1磁性構造体と前記第2磁性構造体のうち、いずれか一つの磁化状態で発生した磁場によって、残り一つの磁化状態が整列される段階である。
【0007】
前記インプリンティング方式を用いた磁化状態制御方法において、互いに異なる磁化状態を有する第1磁性構造体と第2磁性構造体が互いに隣接するように移動させる段階は、前記第1磁性構造体と前記第2磁性構造体が原子サイズくらい近く離隔して配置されるように移動させる段階又は前記第1磁性構造体と前記第2磁性構造体が互いに重なって配置されるように移動させる段階を含む。
【0008】
前記インプリンティング方式を用いた磁化状態制御方法において、前記第1磁性構造体が前記第2磁性構造体より相対的に強い保磁力を有する場合、前記第1磁性構造体によって前記第2磁性構造体の磁化状態が変化する。
【0009】
前記インプリンティング方式を用いた磁化状態制御方法において、 前記第2磁性構造体が前記第1磁性構造体より相対的に強い保磁力を有する場合、前記第2磁性構造体によって前記第1磁性構造体の磁化状態が変化する。
【0010】
前記インプリンティング方式を用いた磁化状態制御方法において、前記第1磁性構造体又は前記第2磁性構造体がパターン化された形を有する場合、前記第1磁性構造体と前記第2磁性構造体が互いに隣接するか、又は重なる部分のみで前記第1磁性構造体又は前記第2磁性構造体の磁化状態が変化する。
【0011】
前記インプリンティング方式を用いた磁化状態制御方法において、前記第1磁性構造体と前記第2磁性構造体が隣接すると、前記第1磁性構造体の磁化状態又は前記第2磁性構造体の磁化状態が変化する段階以降に、前記第1磁性構造体の磁化状態又は前記第2磁性構造体の磁化状態の変化が完了した後、前記第1磁性構造体と前記第2磁性構造体が互いに離れるように移動させる段階を含む。
【0012】
前記インプリンティング方式を用いた磁化状態制御方法において、前記互いに異なる磁化状態を有する第1磁性構造体と第2磁性構造体が互いに隣接するように移動させる段階以前に、第1磁性構造体と第2磁性構造体が互いに異なる磁化方向を有するように前記第1磁性構造体と前記第2磁性構造体それぞれ磁場を印加することによって、前記第1磁性構造体の磁化状態と前記第2磁性構造体の磁化状態を変化させる段階を含む。
【0013】
前記インプリンティング方式を用いた磁化状態制御方法において、前記第1磁性構造体及び前記第2磁性構造体は薄膜形態を有する。
【発明の効果】
【0014】
上述の本発明の一実施例によると、コストが低くて、複雑な製造工程が不要で、欠陥を防止し、磁性体の磁化状態を安定的に制御できるインプリンティング方式を用いた磁化状態制御方法を具現する。このような効果によって本発明の範囲が限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施例による磁性構造体で発生する磁場分布を概略的に示した図面である。
図2】本発明の一実施例によるインプリンティング方式を用いた磁化状態制御方法を概略的に示した図面である。
図3】本発明の他の実施例によるインプリンティング方式を用いた磁化状態制御方法を概略的に示した図面である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施例について詳細に説明する。しかし、本発明は、以下で開示される実施例に限られず、互いに異なる多様な形態で具現されるものである。以下の実施例は、本発明の開示が完全になるようにし、通常の知識を有した者に発明の範囲を完全に知らせるために提供される。また、図面において、構成要素は、説明の便宜のために、その大きさが誇張又は縮小される。
【0017】
図1は、本発明の一実施例による磁性構造体で発生する磁場分布を概略的に示した図面である。
【0018】
図1に示すように、磁性体は、構成原子がそれぞれ棒磁石と同じ特性を有する。前記の棒磁石はS極からN極への方向があり、この方向は任意の方向に向ける自由度がある。磁性体の原子もまた棒磁石のように自由度があるが、それを‘磁化方向’又は‘スピン方向’という。それぞれの磁性原子の磁化方向が配列されている状態を‘磁化状態’又は‘スピン状態’という。磁性体が存在する場合、隣接した原子の磁化方向が互いに平行に整列する性質を有した物質を‘強磁性’という。この場合、強磁性が十分に大きいため、隣接した原子の磁化方向が平行になっている磁性体を‘強磁性体’という。磁化方向が平行になっている領域を‘磁区(magnetic domain)’という。また、平面上に磁性体を薄く積み上げる構造を‘磁性薄膜(以下、磁性構造体10という)’という。
【0019】
磁性構造体10は、磁性構造体10を構成する磁性物質の磁化状態に応じて周辺に磁場が存在する。例えば、S極からN極へ磁化方向が整列された第1磁性構造体10に第2磁性構造体20と第3磁性構造体30を近くに移動させる。第1磁性構造体10は、第2磁性構造体20と第3磁性構造体30より相対的に強い保磁力(coercive force)を示す磁性薄膜であると仮定する。この時、第2磁性構造体20及び第3磁性構造体30がそれぞれ第1磁性構造体10に原子サイズ程度の距離で接近すると、第1磁性構造体10から発生する磁場によって第2磁性構造体20と第3磁性構造体30の磁性を有した原子が互いに整列しようとする磁力(磁場E)の影響を受ける。第2磁性構造体20と第3磁性構造体30の磁化状態は、第1磁性構造体10と同一の方向に整列する。また、第1磁性構造体10と第2磁性構造体20の距離又は第1磁性構造体10と第3磁性構造体30の距離が原子サイズより遥かに遠く離れている場合は、各磁性構造体10、20、30の磁化状態で発生した磁場Eが互いに影響を及ぼしている。ここで、磁場Eは、双極磁場(dipolar magnetic field)という。
【0020】
つまり、強磁性を示す第1磁性構造体10の側に相対的に弱い保磁力を有する第2磁性構造体20と第3磁性構造体30を置くと、強い保磁力を有する第1磁性構造体10で発生した磁力Eによって、弱い保磁力を示す第2磁性構造体20と第3磁性構造体30の磁化方向が変わる。この時、弱い保磁力を示す第2磁性構造体20と第3磁性構造体30は、強い保磁力を示す第1磁性構造体10の磁力Eの方向に平行に整列する力を用いて、初期の磁化状態と異なるの磁化状態に再整列する。ここで、磁力Eは、交換相互作用(exchange interaction)によって発生した力を意味する。
【0021】
図2は、本発明の一実施例によるインプリンティング方式を用いた磁化状態制御方法を概略的に示した図面である。
【0022】
図2に示すように、本発明の一実施例によるインプリンティング方式を用いた磁化状態制御方法は、互いに異なる磁化状態を有する第1磁性構造体10と第2磁性構造体20が互いに隣接するように矢印P1方向に移動させる段階及び第1磁性構造体10と第2磁性構造体20が隣接すると、第1磁性構造体10の磁化状態M又は第2磁性構造体20の磁化状態Mが変化する段階を含む。ここで、第1磁性構造体10の磁化状態M又は第2磁性構造体20の磁化状態Mが変化する段階は、第1磁性構造体10と第2磁性構造体20のうち、いずれか一つの磁化状態Mで発生した磁場によって、残り一つの磁化状態Mが整列される段階を意味する。
【0023】
具体的に、本発明の一実施例によるインプリンティング方式を用いた磁化状態制御方法は、第1磁性構造体10及び第2磁性構造体20は、例えば、薄膜形態を有するが、これに限定されるものではない。薄膜形態の第1磁性構造体10と第2磁性構造体20が互いに異なる磁化方向を有するように第1磁性構造体10と第2磁性構造体20に磁場をそれぞれ印加することによって、第1磁性構造体10と第2磁性構造体20の初期磁化状態Mをそれぞれ変化させる。ここで、第1磁性構造体10が第2磁性構造体20より相対的に強い保磁力を有すると仮定する。
【0024】
互いに異なる磁化状態Mを有する第1磁性構造体10と第2磁性構造体20が原子サイズくらい近く離隔して配置される。この時、第1磁性構造体10によって第2磁性構造体20の磁化状態が図2の(b)のように、第1磁性構造体10の磁化方向と同一の形に変化する。第2磁性構造体20の磁化状態Mの変化が完了した後、第1磁性構造体10と第2磁性構造体20が互いに離れるように移動させることによって、第2磁性構造体20の磁化状態Mを維持する。
【0025】
また、本発明の他の実施例によるインプリンティング方式を用いた磁化状態制御方法は、第1磁性構造体10及び第2磁性構造体20は、例えば、薄膜形態を有するが、これに限定されるものではない。薄膜形態の第1磁性構造体10と第2磁性構造体20が互いに異なる磁化方向を有するように第1磁性構造体10と第2磁性構造体20に磁場をそれぞれ印加することによって、第1磁性構造体10と第2磁性構造体20の初期磁化状態Mをそれぞれ変化させる。ここで、第1磁性構造体10が第2磁性構造体20より相対的に強い保磁力を有すると仮定する。
【0026】
互いに異なる磁化状態Mを有する第1磁性構造体10と第2磁性構造体20が互いに重なって配置される。この場合、第1磁性構造体10によって第2磁性構造体20の磁化状態Mも図2の(b)のように、第1磁性構造体10の磁化方向と同一の形で複写される。以降に、第1磁性構造体10と第2磁性構造体20が矢印P2方向に互いに離れるように移動させることによって、第2磁性構造体20の磁化状態を維持する。
【0027】
反面、本発明のまた他の実施例によるインプリンティング方式を用いた磁化状態制御方法は、第1磁性構造体10及び第2磁性構造体20は、例えば、薄膜形態を有するが、これに限定されるものではない。薄膜形態の第1磁性構造体10と第2磁性構造体20が互いに異なる磁化方向を有するように、第1磁性構造体10と第2磁性構造体20に磁場をそれぞれ印加することによって、第1磁性構造体10と第2磁性構造体20の初期磁化状態Mをそれぞれ変化させる。ここで、第2磁性構造体20が第1磁性構造体10より相対的に強い保磁力を有すると仮定する。
【0028】
互いに異なる磁化状態を有する第1磁性構造体10と第2磁性構造体20が原子サイズくらい近く離隔して配置される。この時、第2磁性構造体20によって第1磁性構造体10の磁化状態は図示されなかったが、第2磁性構造体20の磁化方向と同一の形に変化する。一方、互いに異なる磁化状態を有する第1磁性構造体10と第2磁性構造体20が互いに重なって配置される場合も、第2磁性構造体20によって、第1磁性構造体10の磁化状態は、第2磁性構造体20の磁化方向と同一の形に変化する。
【0029】
図3は、本発明の他の実施例によるインプリンティング方式を用いた磁化状態制御方法を概略的に示した図面である。
【0030】
図3に示すように、本発明の他の実施例によるインプリンティング方式を用いた磁化状態制御方法は、第1磁性構造体10又は第2磁性構造体20がパターン化された形を有する。例えば、第1磁性構造体10がパターン化された形の磁性薄膜である場合、基板40上にパターン化された第1磁性構造体10が固定される。ここで、基板40は、第1磁性構造体10の磁化状態の変化をもたらさない材質であれば、いかなるものを使用しても構わない。第1磁性構造体10と第2磁性構造体20が互いに異なる磁化方向を有するように、第1磁性構造体10と第2磁性構造体20に磁場Eを矢印方向にそれぞれ印加することによって、第1磁性構造体10と第2磁性構造体20の初期磁化状態Mをそれぞれ変化させる。
【0031】
互いに異なる磁化状態Mを有する第1磁性構造体10と第2磁性構造体20が矢印P1方向に原子サイズくらい近く離隔して配置されるか、又は重ねて配置されるように移動させる。ここで、パターン化された形の第1磁性構造体10がパターン化されなかった第2磁性構造体20より相対的に強い保磁力を有しなければならない。もし、強い保磁力を有し、パターン化されなかった第1磁性構造体10と第1磁性構造体10より相対的に弱い保磁力を有し、パターン化された形の第2磁性構造体20が互いに隣接する場合、相対的に強い保磁力を有する第1磁性構造体10の磁化状態は変化がないため、第1磁性構造体10に磁性パターンを形成しない。したがって、第2磁性構造体20がパターン化された形を有する場合、第2磁性構造体20が第1磁性構造体10より相対的に強い保磁力を有しなければならない。
【0032】
すなわち、第1磁性構造体10によって第2磁性構造体20の磁化状態が図3の(c)のように、第1磁性構造体10と第2磁性構造体20が互いに隣接する部分又は重なる部分のみで第2磁性構造体20の磁化状態Mが第1磁性構造体10の磁化方向と同一の形に変化する。第2磁性構造体20の磁化状態M変化が完了した後、第1磁性構造体10と第2磁性構造体20が矢印P2方向に互いに離れるように移動させることによって、第2磁性構造体20は、磁性パターンが形成されて高容量のデータ処理装置として適用される。
【0033】
上述のように、本発明の実施例によるインプリンティング方式を用いた磁化状態制御方法は、互いに異なる磁化状態を有する第1磁性構造体10と第2磁性構造体20を隣接させて、第1磁性構造体10と第2磁性構造体20のうち、いずれか一方の磁化状態を残り一方の磁化状態と同一に変化させて、複雑な製造工程を使用しなくてもインプリンティング方式で磁性薄膜のマグネティックパターンを自由に形成することができる。
【0034】
また、本発明の実施例では、便宜上2つの磁性構造体のみで磁化状態を制御したが、マグネティックパターンの形状や磁性構造体の長さ、形状等によって磁性構造体の数を調整するか、又は磁性構造体の初期磁化状態を整列させる磁場の強さや印加方向などを制御することによって、多様なマグネティック形状を作り出す。
【0035】
したがって、特定の位置にマグネティックパターンを容易に形成できるため、磁化状態を調節することによって、オーン状態とオフ状態を調節することができ、このような技術を応用して開発されるメモリ素子を含む全ての磁性素子に適用することが可能である。
【0036】
本発明は、図面に示した実施例を参考して説明したが、これは例示的なものに過ぎず、当該技術分野において通常の知識を有する者であれば、これより多様な変形及び均等な他の実施例が可能であることを理解する。したがって、本発明の真の技術的保護範囲は、添付の特許請求の範囲の技術的思想によって決まらなければならない。
【符号の説明】
【0037】
10 第1磁性構造体
20 第2磁性構造体
30 第3磁性構造体
40 基板

図1
図2
図3