(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-22
(45)【発行日】2022-03-30
(54)【発明の名称】電力供給システム
(51)【国際特許分類】
H02J 7/35 20060101AFI20220323BHJP
H02J 3/32 20060101ALI20220323BHJP
H02J 3/38 20060101ALI20220323BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20220323BHJP
【FI】
H02J7/35 K
H02J3/32
H02J3/38 130
H02J7/00 P
H02J7/00 303C
(21)【出願番号】P 2017171434
(22)【出願日】2017-09-06
【審査請求日】2020-06-15
(31)【優先権主張番号】P 2016177651
(32)【優先日】2016-09-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柳澤 俊彰
(72)【発明者】
【氏名】仲谷 剛史
(72)【発明者】
【氏名】塩見 徹
【審査官】坂東 博司
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-090535(JP,A)
【文献】国際公開第2016/059853(WO,A1)
【文献】特開2014-165998(JP,A)
【文献】特開2012-029533(JP,A)
【文献】国際公開第2013/039753(WO,A1)
【文献】中国実用新案第202353298(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/35
H02J 3/32
H02J 3/38
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定位置に設置された固定蓄電池の充放電を行う固定蓄電池用充放電コンバータと、この固定蓄電池用充放電コンバータの充放電を制御する第1制御装置とを有する固定蓄電池用充放電装置と、
移動体に搭載された移動蓄電池の充放電を行う移動蓄電池用充放電コンバータと、この移動蓄電池用充放電コンバータの充放電を制御する第2制御装置とを有する移動蓄電池用充放電装置と、
自然エネルギー発電システムとを備え、
前記第1制御装置と前記第2制御装置の制御によって、系統電源の系統電力または前記自然エネルギー発電システムの発電電力が前記固定蓄電池と前記移動蓄電池に充電可能であるとともに、この固定蓄電池及び移動蓄電池に充電された電力が宅内負荷へ供給可能な電力供給システムであって、
前記系統電源の電力供給線から前記固定蓄電池用充放電装置と前記移動蓄電池用充放電装置とに分かれる分岐点へ前記系統電源から供給される供給電力を検出する電力検出器が設けられ、
前記第1制御装置と前記第2制御装置は、前記電力検出器が検出する検出電力に基づいて、前記固定蓄電池及び移動蓄電池の充電制御または放電制御し、
前記第1制御装置による充電制御または放電制御および前記系統電源への電力逆潮を防止するための第1閾値
が、前記第2制御装置による充電制御または放電制御および前記系統電源への電力逆潮を防止するための第2閾値
よりも小さく設定され、
前記第1制御装置と前記第2制御装置は、前記電力検出器が検出する検出電力が前記第1閾値より小さい場合、前記固定蓄電池及び移動蓄電池を待機または充電させ、
前記電力検出器が検出する検出電力が前記第1閾値以上になった際、前記第2制御装置は前記移動蓄電池を待機または充電させたまま、前記第1制御装置は、前記電力検出器が検出する検出電力が前記第1閾値を維持するように前記固定蓄電池を放電させ、
前記電力検出器が検出する検出電力が前記第2閾値以上になった際、前記第1制御装置は前記固定蓄電池の放電を維持させたまま、前記第2制御装置は、前記電力検出器が検出する検出電力が前記第2閾値を維持するように前記移動蓄電池を放電させることを特徴とする電力供給システム。
【請求項2】
経済性を得る第1モードを有し、この第1モードが設定されているとき、
前記第1制御装置と前記第2制御装置は、前記電力検出器が検出する検出電力が前記第1閾値より小さい場合、前記固定蓄電池及び移動蓄電池を待機させ、
前記宅内負荷の消費電力の増加により前記電力検出器が検出する検出電力が前記第1閾値以上になった際、前記第2制御装置は前記移動蓄電池を待機させたまま、前記第1制御装置は、前記電力検出器が検出する検出電力が前記第1閾値を維持するように前記固定蓄電池を放電させ、
前記宅内負荷の消費電力のさらなる増加により前記電力検出器が検出する検出電力が前記第2閾値以上になった際、前記第1制御装置は前記固定蓄電池の放電を維持させたまま、前記第2制御装置は、前記電力検出器が検出する検出電力が前記第2閾値を維持するように前記移動蓄電池を放電させることを特徴とする請求項1に記載の電力供給システム。
【請求項3】
電力の自給自足を目的とする第2モードを有し、この第2モードが設定されているとき、
前記第1制御装置と前記第2制御装置は、前記電力検出器が検出する検出電力が前記第1閾値より小さい場合、前記固定蓄電池及び移動蓄電池を充電させ、
前記宅内負荷の消費電力の増加により前記電力検出器が検出する検出電力が前記第1閾値以上になった際、前記第2制御装置は前記移動蓄電池の充電を維持したまま、前記第1制御装置は、前記電力検出器が検出する検出電力が前記第1閾値を維持するように前記固定蓄電池を放電させ、
前記宅内負荷の消費電力のさらなる増加により前記電力検出器が検出する検出電力が前記第2閾値以上になった際、前記第1制御装置は前記固定蓄電池の放
電を維持させたまま、前記第2制御装置は、前記電力検出器が検出する検出電力が前記第2閾値を維持するように前記移動蓄電池を放電させることを特徴とする請求項1に記載の電力供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、固定蓄電池及び移動蓄電池の充放電を行う電力供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、住宅に設置された固定蓄電池及び電気自動車等に搭載された移動蓄電池を充電したり放電したりする電力供給システムが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
かかる電力供給システムは、建物内に設けられた操作部と、建物外に設けられた蓄電ユニットと、電気自動車の移動蓄電池の充放電を行う充電スタンドとを備えている。蓄電ユニットは、蓄電池と双方向パワーコンディショナなどを有し、交流電力線からの交流電力を双方向パワーコンディショナを介して蓄電池に充電したり、充電された直流電力を双方向パワーコンディショナを介して交流電力線へ放電したりするようになっている。
【0004】
この電力供給システムでは、移動蓄電池に次回の車両走行のために必要な蓄電量を上回る余剰の蓄電量があるか否かが操作部の表示部に表示され、余剰電力が蓄電されているときには操作部の操作スイッチを操作することにより、操作部から車載充放電器へ放電開始の指令信号が出力され、車載充放電器はその指令信号を受けることによって移動蓄電池を放電させ、固定蓄電池から放電される電力の不足分を賄うようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第5327248号公報
【文献】特開2012-191698号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような電力供給システムにあっては、操作部の操作スイッチが操作されることによって、移動蓄電池から放電を開始するものであり、移動蓄電池の放電が自動的に行われるものではない。特に、蓄電池と移動蓄電池の充放電を所定の優先順に自動的に行えるようにすると、例えば、蓄電ユニットや充電スタンドを監視する中央制御部などを設ける必要があり、構成がかなり複雑なものになってしまう。
【0007】
また、固定蓄電池と移動蓄電池の充電量を融通して、その充電量を適正化を自動的に行えるようにした電力供給システム(特許文献2参照)が提案されているが、数多くの充電回路や放電回路を用いるため、その電力供給システムの構成がかなり複雑なものになっている。
【0008】
この発明の目的は、移動蓄電池及び固定蓄電池の充放電が所定の優先順で自動的に行え、しかも簡単な構成で行える電力供給システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、所定位置に設置された固定蓄電池の充放電を行う固定蓄電池用充放電コンバータと、この固定蓄電池用充放電コンバータの充放電を制御する第1制御装置とを有する固定蓄電池用充放電装置と、
移動体に搭載された移動蓄電池の充放電を行う移動蓄電池用充放電コンバータと、この移動蓄電池用充放電コンバータの充放電を制御する第2制御装置とを有する移動蓄電池用充放電装置と、
自然エネルギー発電システムとを備え、
前記第1制御装置と前記第2制御装置の制御によって、系統電源の系統電力または前記自然エネルギー発電システムの発電電力が前記固定蓄電池と前記移動蓄電池に充電可能であるとともに、この固定蓄電池及び移動蓄電池に充電された電力が宅内負荷へ供給可能な電力供給システムであって、
前記系統電源の電力供給線から前記固定蓄電池用充放電装置と前記移動蓄電池用充放電装置とに分かれる分岐点へ前記系統電源から供給される供給電力を検出する電力検出器が設けられ、
前記第1制御装置と前記第2制御装置は、前記電力検出器が検出する検出電力に基づいて、前記固定蓄電池及び移動蓄電池の充電制御または放電制御し、
前記第1制御装置による充電制御または放電制御および前記系統電源への電力逆潮を防止するための第1閾値と、前記第2制御装置による充電制御または放電制御および前記系統電源への電力逆潮を防止するための第2閾値とが異なることにより、前記電力検出器が検出する検出電力に応じて自動で前記固定用蓄電池及び移動用蓄電池が所定の優先順に充放電されていくことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、移動蓄電池及び固定蓄電池の充放電が所定の優先順に自動的に、しかも簡単な構成で行える。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】この発明の実施例に係る電力供給システムの構成を概略的に示した説明図である。
【
図2】経済モードが設定された場合の電力供給システムの基本動作を示す説明図である。
【
図3】経済モードとグリーンモードの場合における買電(閾値)の大きさに対しての固定蓄電池及び移動蓄電池の充放電の状態を示す表である。
【
図4】グリーンモードが設定された場合の電力供給システムの基本動作を示す説明図である。
【
図5】経済モードが設定された場合の電力供給システムの具体的な動作を示すタイムチャートである。
【
図6】グリーンモードが設定された場合の電力供給システムの具体的な動作を示すタイムチャートである。
【
図7】移動蓄電池と固定蓄電池の充放電の制御と電力検出器の検出値との関係を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、この発明に係る電力供給システムの実施の形態である実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0013】
図1に示す電力供給システムSは、充放電ユニット10と、移動蓄電池用充放電装置20と、自然エネルギーシステムである太陽光発電システム30とを備えている。この実施例では太陽光発電システム30を使用しているがこれに限らず例えば風力発電システムなどを用いてもよい。
【0014】
充放電ユニット10と移動蓄電池用充放電装置20とは建物H外に設置され、建物H内には情報分電盤40と自立分電盤50等とが設けられている。
【0015】
充放電ユニット10は電力供給接続線1によって系統電源Eの系統電力供給線(電力供給線)2に接続され、移動蓄電池用充放電装置20は電力供給接続線3によって系統電力供給線2に接続されている。そして、電力供給接続線1と電力供給接続線3の接続点(分岐点)4には系統電源Eから交流電力が供給されるようになっており、系統電力供給線2には、系統電源Eから接続点4へ供給される電力を検出する電力検出器5,6が設けられている。また、電力供給接続線1には、系統電源Eから充放電ユニット10へ供給される電力や充放電ユニット10から接続点4へ放電される電力を検出する電力検出器7が設けられている。
【0016】
充放電ユニット10は、太陽光発電用パワーコンディショナ11と充放電コンバータ(固定電池用充放電コンバータ)12と制御装置(第1制御装置)13とを有している。太陽光発電用パワーコンディショナ11と充放電コンバータ12とは一体化されたパワコンとなっている。
【0017】
太陽光発電用パワーコンディショナ11は、太陽光発電パネルPV1で発電した直流電力を交流電力に変換して電力供給接続線1へ出力する。そして、太陽光発電パネルPV1と太陽光発電用パワーコンディショナ11とで太陽光発電システム(自然エネルギーシステム)を構成している。また、充放電コンバータ12と制御装置13とで固定蓄電池用充放電装置を構成している。
【0018】
充放電コンバータ12は、太陽光発電用パワーコンディショナ11から出力された交流電力や、後述する太陽光発電用パワーコンディショナ31から出力された交流電力や、系統電源Eから供給される交流電力を直流電力に変換して固定蓄電池14に充電したり、固定蓄電池14に充電された直流電力を交流電力に変換して電力供給接続線1へ供給(放電)させたりする。固定蓄電池14は所定位置に設置されている。
【0019】
制御装置13は、電力検出器6が検出する検出電力に基づいて、充放電コンバータ12の動作を充電制御や放電制御に切り換えるとともに、その検出電力が一定となるように充放電コンバータ12を制御して固定蓄電池14の充放電を行なわせるものである。ここでは、電力検出器6が第1閾値であるA(W)の買電を検出したとき、制御装置13は、買電のA(W)を維持するように固定蓄電池14を放電させる。
【0020】
また、制御装置13は、電力検出器6の検出電力がA(W)より小さいとき、経済モードの場合には充放電コンバータ12を動作させず、このため固定蓄電池14の充放電が行われず、すなわち、固定蓄電池14は待機される。グリーンモードの場合には、制御装置13は充放電コンバータ12を制御して固定蓄電池14を充電させる。つまり、
図3の表に示すように電力検出器6の検出電力がA(W)より小さいとき、電力検出器6の検出電力がA(W)となるように、制御装置13は充放電コンバータ12を制御して固定蓄電池14を充電させていく。この第1閾値は、買電する電力すなわち系統電源Eから供給される交流電力をA(W)とすることで、電力供給システムSから系統電源Eへと電力が流れる(戻る)売電状態となること、すなわち電力逆潮を防止するものである。
【0021】
経済モードやグリーンモードの設定は図示しないリモートコントロール装置(以下、リモコンと表記する)の操作によって行う。
【0022】
経済モードとは、電力会社から夜間の割安な電力を蓄電し、日中の割高な時間帯においてその蓄電した電気で賄い、また、日中の太陽光発電システムで発電した電力のうち余剰電力を充電することで経済性を得るモードのことである。
【0023】
グリーンモードとは、日中の太陽光発電システムで発電した電力のうち余剰電力を蓄電し、その蓄電した電力を朝夕に使用することで、電力会社からの買電を少なくし、電力の自給自足を目的とするモードのことである。
【0024】
太陽光発電システム30は、太陽光発電パネルPV2と太陽光発電用パワーコンディショナ31とを有し、太陽光発電パネルPV2で発電して直流電力を太陽光発電用パワーコンディショナ31が交流電力に変換して出力する。32は非常用コンセントである。
【0025】
移動蓄電池用充放電装置20は、電気自動車(移動体)EVに搭載された移動蓄電池21の充放電を行う充放電コンバータ(移動蓄電池用充放電コンバータ)22と、この充放電コンバータ22を制御する制御装置(第2制御装置)23等とを有している。充放電コンバータ22は、上述の電力供給接続線3に接続され、電力供給接続線3は電力供給接続線25を介して太陽光発電用パワーコンディショナ31に接続されている。また、電力供給接続線3は、電力供給接続線26を介して情報分電盤40に接続されている。
【0026】
これらにより、太陽光発電用パワーコンディショナ31から出力される交流電力が電力供給接続線25及び電力供給接続線3を介して充放電コンバータ22に供給されるようになっている他、さらに電力供給接続線26を介して情報分電盤40へ供給されるようになっている。
【0027】
電力供給接続線25には、太陽光発電用パワーコンディショナ31から出力される交流電力を検出する電力検出器28が設けられている。
【0028】
制御装置23は、電力検出器5が検出する検出電力に基づいて充放電コンバータ22の動作を充電制御や放電制御に切り換えるとともに、その検出電力が一定となるように充放電コンバータ22を制御して移動蓄電池21の充放電を行なわせるものである。ここでは、電力検出器5が第2閾値であるB(W)(B(W)>A(W))の買電を検出したとき、制御装置23は、買電のB(W)を維持するように移動蓄電池21を放電させる。
【0029】
また、制御装置23は、電力検出器5の検出電力がB(W)より小さいとき、経済モードの場合には充放電コンバータ22を動作させず、このため移動蓄電池21は待機される。グリーンモードの場合には、充放電コンバータ22を制御して移動蓄電池21を充電させる。つまり、
図3の表に示すように電力検出器5の検出電力がB(W)より小さいとき、電力検出器5の検出電力(買電)がB(W)となるように、制御装置23は充放電コンバータ22を制御して移動蓄電池21を充電させていく。また、制御装置23は、電力検出器5の検出電力がB(W)になると検出電力がB(W)を維持するように移動蓄電池21を放電させる。この第2閾値は、買電する電力すなわち系統電源Eから供給される交流電力をB(W)とすることで、電力供給システムSから系統電源Eへと電力が流れる売電状態となること、すなわち電力逆潮を防止するものである。
【0030】
移動蓄電池21の最大充放電電力は固定蓄電池14の最大充放電電力よりも大きく設定されている。
【0031】
情報分電盤40には、複数の宅内負荷Q1~Qnが接続されている。ここでは、コンセントなどは説明の便宜上省略してあり、各コンセントには宅内負荷が接続されているものとして説明する。
【0032】
自立分電盤50には、複数の宅内負荷R1~R3が接続されている。ここでは、宅内負荷R1~R3を3つだけ図示してあるが、これに限らず、停電時に必要最小限の宅内負荷に電力を供給するようになっていれば、いくつでもよい。
【0033】
自立分電盤50は切換スイッチS4を介して情報分電盤40に接続されており、この切換スイッチS4を介して情報分電盤40に供給された電力の一部が自立分電盤50へ供給されるようになっている。
【0034】
切換スイッチS4は、通常時と、停電時に電気自動車EVが移動蓄電池用充放電装置20に接続されている場合に端子S4aに接続され、電気自動車EVが移動蓄電池用充放電装置20に接続されていない場合の停電時に端子S4bに接続される。切換スイッチS4の切り換えは、情報分電盤40が行うものであり、ユーザが図示しないリモコンの「自立運転ボタン」を押すことにより、切り換えを行うようになっている。
【0035】
[動 作]
次に、上記のように構成される電力供給システムSの動作について説明する。先ず、電力供給システムSの基本動作から説明する。
【0036】
経済モードが設定されている場合、
図2に示すように、太陽光発電による発電電力(PV1+PV2の発電電力)がF1(W)のとき、時点T0から宅内負荷Q,Rの消費電力がゼロから増加していき、時点T1で消費電力がF1(W)になった場合、時点T0から時点T1までの期間では、太陽光発電による発電電力が消費電力より大きいので、売電状態となる。このため、電力検出器6が検出する検出電力は、買電のA(W)以下の電力を検出することになる。このため、
図3の表に示すように、固定蓄電池14は待機状態すなわち固定蓄電池14の充放電は行われないことになる。この際、電力検出器5が検出する検出電力はB(W)以下であるから、移動蓄電池21の放電は行われず、待機している。
【0037】
時点T1を過ぎると、宅内負荷Q,Rの消費電力が太陽光発電の発電電力F1より大きくなり、買電状態となる。そして、消費電力の増加により電力検出器6が検出する検出電力がA(W)以上になると、充放電ユニット10の制御装置13は、電力検出器6が検出する検出電力が一定となるように、すなわち検出電力がA(W)を維持するように、充放電コンバータ12を制御して固定蓄電池14を放電させていく。その放電量は消費電力の増加に応じて増加していくことになる。このときも、移動蓄電池21は待機している。すなわち、固定蓄電池14の放電が優先的に行われることになる。
【0038】
固定蓄電池14の放電量が最大放電量に達し、さらに、消費電力が増加していくと、系統電源Eから供給(買電)される電力がさらに増加していくことになり、その買電量がB(W)以上になると(時点T2)、すなわち、電力検出器5が検出する検出電力がB(W)以上になると、移動蓄電池用充放電装置20の制御装置23が充放電コンバータ22を制御して、電気自動車EVの移動蓄電池21を放電させていく。この際、制御装置23は電力検出器5が検出する検出電力がB(W)を維持するように充放電コンバータ22を制御していく。このとき、固定蓄電池14は最大放電量で放電されていくことになる。
【0039】
さらに、消費電力が増加して移動蓄電池21の放電量が最大放電量に達すると(時点T3)、これ以上の消費電力の増加に対して固定蓄電池14及び移動蓄電池21の放電量では賄うことができないので、系統電源Eから買電を行うことになる。
【0040】
上述のように、固定蓄電池14の放電は優先的に行われ、固定蓄電池14及び移動蓄電池21の待機から放電動作への切り換わりは、電力検出器5,6が検出する検出電力に基づいて、所定の順番で自動的に行われる。すなわち、制御装置13が用いる第1閾値A(W)と制御装置23が用いる第2閾値B(W)とを異なるものとしているので、固定蓄電池14及び移動蓄電池21の充放電の動作の開始を異なるものにでき、所定の優先順での充放電が可能となる。このため、充放電ユニット(蓄電ユニット)10や移動蓄電池用充放電装置(充電スタンド)20を監視する中央制御部などを設ける必要がなく、このため、電力供給システムSの構成を簡単にすることができる。
【0041】
次に、
図4に示すように、グリーンモードが設定されている場合について説明する。
【0042】
図4において、時点T0のとき、太陽光発電による発電電力がF2であり、移動蓄電池21の最大充電電力がF3(<F2)とする。
【0043】
時点T0~T1aでは充放電ユニット10の制御装置13は、太陽光発電による発電電力が消費電力より大きいことにより、売電状態となる。このため、電力検出器6が検出する検出電力は、買電のA(W)以下の電力を検出することになる。このため、
図3の表に示すように、固定蓄電池14は充電されていく。また、電力検出器5が検出する検出電力も買電のA(W)以下の電力を検出することになるため、移動蓄電池21も充電されていく。
【0044】
この場合、移動蓄電池21が先に充電され、固定蓄電池14には、太陽光発電の余剰電力と移動蓄電池21の充電量の差分だけ充電されていく。これは、太陽光発電による発電電力が消費電力量より大きい場合、一時的に売電状態となり、この売電状態の際、電力検出器5,6が系統電源Eに売電する方向の電力を検出するが、
図7に示すように、系統へ売電する方向(負の方向)に対して、検出閾値(A(W))より検出閾値(B(W))が小さくなるので移動蓄電池21の充電が優先される。
つまり、検出閾値(B(W))と電力検出器5が検出する電力(売電電力)との差が、検出閾値(A(W))と電力検出器6が検出する電力(売電電力)との差より大きいので、移動蓄電池21の充電電流が固定蓄電池14の充電電流よりも相当大きくなり、この結果、移動蓄電池21の充電が優先され、実際には移動蓄電池21のみが充電されることになる。
移動蓄電池21の最大充電電力を上回る余剰電力がある場合には移動蓄電池21が最大充電電力で充電されながら固定蓄電池14も充電されていく。
時点T0~T1aの期間では、移動蓄電池21の最大充電電力F3以上の太陽光発電の余剰電力があるため、移動蓄電池21の検出電力値B(W)から固定蓄電池14の検出電力値A(W)に移行し、太陽光発電の余剰電力量と移動蓄電池21の最大充電量との差分が固定蓄電池14に充電されていく。
【0045】
そして、消費電力の増加に対応して固定蓄電池14の充電量が減少していく。消費電力と太陽光発電の余剰電力とが一致すると(時点T1a)、固定蓄電池14の充電は停止される。さらに、消費電力の増加により、電力検出器6の検出電力がA(W)を越えることになり、これにより、制御装置13は固定蓄電池14を放電させていく。制御装置13は、電力検出器6が検出する検出電力がA(W)を維持するように固定蓄電池14を放電させていく。このとき、移動蓄電池21は最大充電電力で充電されていく。
すなわち、制御装置13は買電A(W)を維持させながら固定蓄電池14を放電させるため、電力検出器5が買電A(W)を検出し、このため移動蓄電池21は充電されていく。移動蓄電池21の充電動作は、固定蓄電池14から見ると負荷量が増加したように見えるため(実際の負荷量+移動蓄電池充電量)、制御装置13は、その増加した負荷に対して固定蓄電池14を放電させようと動作する。また、移動蓄電池21の電力検出器5が検出している検出電力はA(W)であるが、制御装置23は電力検出器5の検出電力がB(W)となるように充電動作をしようとするため、移動蓄電池21は最大充電電力で充電されていく。
つまり、制御装置13,23は、電力検出器6,5が検出する検出電力が閾値(A(W),B(W))でない場合、その検出電力がA(W),B(W)となるように最大電力で充放電動作を行うことになる。
【0046】
また、時点T1a~T2aの期間では、消費電力が増加していくが、この増加分は固定蓄電池14の放電で賄われることになり、電力検出器5の検出電力がA(W)を維持する。このため、移動蓄電池21はそのまま充電されていく。
【0047】
時点T2a~T3aの期間では、消費電力の増加により、固定蓄電池14の放電では賄われなくなるため、系統電源Eからの買電が増加してその買電量がB(W)になると、移動蓄電池用充放電装置20の制御装置23は、電力検出器5の検出電力がB(W)を維持するように移動蓄電池21の充電量を減少させていく。
【0048】
時点T3aになると、消費電力=太陽光発電の発電電力+固定蓄電池14の放電電力であることにより、移動蓄電池21の充電量はゼロとなる。これ以後の消費電力の増加により、さらに買電が増加し、電力検出器5が検出する検出電力がB(W)を越えることになる。電力検出器5が検出する検出電力がB(W)を越えると、
図3の表に示すように、制御装置23は、移動蓄電池21の充電制御から放電制御に切り換え、移動蓄電池21を放電させていく。このとき、制御装置23は、電力検出器5が検出する検出電力がB(W)を維持するように、蓄電池21を放電させていく。
【0049】
上述のように、充放電コンバータ12,22の充電動作から放電動作への切り換わりは、電力検出器5,6が検出する検出電力に基づいて、所定の順番で自動的に行われるので、充放電ユニット(蓄電ユニット)10や移動蓄電池用充放電装置(充電スタンド)20を監視する中央制御部などを設ける必要がなく、このため、電力供給システムSの構成を簡単にすることができる。
【0050】
また、固定蓄電池14の放電が移動蓄電池21の放電より優先的に行われるので、電気自動車EVは走行可能な状態に維持されることになり、使用したいときにいつでも使用可能な状態となる。
【0051】
[具体的な動作説明]
次に、電力供給システムSの具体的な動作を
図5及び
図6に示すタイムチャートに基づいて説明していく。
【0052】
[経済モード]
図5は、リモコン(図示せず)により経済モードを設定した場合の電力供給システムSのタイムチャートの具体的な一例を示す。なお、経済モードやグリーンモードでは、23時から7時までの期間において優先的に系統電源Eから最大出力で固定蓄電池14及び移動蓄電池21の充電動作を行うようになっている。この充電動作により、
図5に示すように、2時に移動蓄電池21が満充電となり、3時に固定蓄電池14が満充電となっている。また、23時から6時までの期間では系統電源Eの電力で宅内の消費電力を賄うようになっている。
固定蓄電池14の満充電の判断は、固定蓄電池14の電圧に基づいて制御装置13が判断する。同様に、移動蓄電池21の満充電の判断も移動蓄電池21の電圧に基づいて制御装置23が判断する。また、固定蓄電池14及び移動蓄電池21の放電下限値の判断もそれらの電圧に基づいて制御装置13,23が判断する。
【0053】
また、
図5のグラフG1は宅内の消費電力を示すグラフであり、グラフG2は太陽光発電(PV1+PV2)による発電電力を示す。
【0054】
図5に示すように、6時から太陽光発電による発電が開始され、7時では、宅内の消費電力が太陽光発電の発電電力より大きいので、固定蓄電池14が放電されて賄われることになる。
【0055】
すなわち、消費電力の増加により買電が行われ、その買電が増加することにより、電力検出器6が検出する検出電力がA(W)になると、充放電ユニット10の制御装置13は、電力検出器6が検出する検出電力がA(W)を維持するように固定蓄電池14を放電させていく。この放電によりその消費電力を賄っていくことになる。
【0056】
8時から16時までの期間では、宅内の消費電力よりも太陽光発電の発電電力の方が大きいので、太陽光発電の余剰電力は売電されることになる。これは、太陽光発電に余剰電力が発生すると、電力検出器5,6は売電値を検出することになり、この場合、固定蓄電池14及び移動蓄電池21の充放電動作は行われないためである。すなわち、電力検出器5,6の検出電力がA(W)以下であることにより、
図3の表に示すように、固定蓄電池14及び移動蓄電池21は待機するからである。
【0057】
17時になると、宅内の消費電力が太陽光発電の発電電力よりも大きいので、固定蓄電池14が放電されて消費電力が賄われることになる。この場合も、上記と同様に、消費電力の増加により買電が行われ、その買電が増加することにより、電力検出器6が検出する検出電力がA(W)になると、充放電ユニット10の制御装置13は、電力検出器6が検出する検出電力がA(W)を維持するように固定蓄電池14を放電させていく。この場合、買電がB(W)以下なので移動蓄電池21は放電されない。すなわち、固定蓄電池14が優先的に放電されていくことになる。
【0058】
19時になると、固定蓄電池14の残量が放電下限値に達したため、固定蓄電池14の放電は停止される。この放電の停止により、買電が増加されていき、電力検出器5の検出電力がB(W)になると、移動蓄電池用充放電装置20の制御装置23は、移動蓄電池21を放電させていく。この場合、制御装置23は電力検出器5の検出電力がB(W)を維持するように移動蓄電池21を放電させていく。
【0059】
固定蓄電池14の残量が放電下限値に達しない場合でも、消費電力の増加により、固定蓄電池14の放電だけでは賄えない場合、買電が増加して電力検出器5の検出電力がB(W)になり、制御装置23は移動蓄電池21の放電を開始させる。この場合、制御装置23は、電力検出器5の検出電力がB(W)を維持するように移動蓄電池21を放電させていく。
【0060】
この移動蓄電池21の放電動作は22時まで行われ、23時になると停止されて系統電源Eから最大出力で固定蓄電池14及び移動蓄電池21の充電動作が行われていく。経済モードが設定されている間、これら動作が繰り返し行われることになる。
【0061】
上述のように、宅内の消費電力が太陽光発電の発電電力だけでは賄えきれないとき、制御装置13,23は、電力検出器6,5の検出電力に基づいて、固定蓄電池14及び移動蓄電池21の充放電を制御するようにするだけで、固定蓄電池14を優先的に放電させることができるので、充放電ユニット10や移動蓄電池用充放電装置20を監視する中央制御部などを設ける必要がなく、このため、電力供給システムSの構成を簡単にすることができる。また、固定蓄電池14が優先的に放電されるので、移動蓄電池21の残量が少なくなってしまうことが防止され、このため、いつでも電気自動車EVを利用することができることになる。
【0062】
[グリーンモード]
次に、グリーンモードが設定された場合について、電力供給システムSの動作を説明する。
【0063】
図6は、リモコン(図示せず)によりグリーンモードを設定した場合の電力供給システムSのタイムチャートの具体的な一例を示す。なお、この例では、夜間電力利用(夜間充電:23時から7時までの充電)を設定しない例を示す。また、
図6のグラフG3は宅内の消費電力を示すグラフであり、グラフG4は太陽光発電(PV1+PV2)による発電電力を示す。
【0064】
図6に示す0時から6時の期間では、充放電ユニット10の固定蓄電池14の残量が放電下限値に達しているため、電気自動車EVの移動蓄電池21から放電されて宅内の消費電力が賄われることになる。6時になると太陽光発電による発電が開始され、太陽光発電の発電電力によって宅内の消費電力の一部が賄われるとともに、不足分が移動蓄電池21からの放電によって賄われることになる。
【0065】
7時になると、太陽光発電の発電電力が宅内の消費電力よりも大きくなり、太陽光発電の余剰電力によって移動蓄電池21の充電が行われることになる。この場合、グリーンモードが設定されていることにより、移動蓄電池用充放電装置20の制御装置23は、電力検出器5が検出する検出電力が買電のB(W)となるように移動蓄電池21を充電させていく。すなわち、移動蓄電池21の充電が優先的に行われることになる。この際、固定蓄電池14の残量が放電下限値に達していることにより、固定蓄電池14の放電は行われない。
【0066】
8時になると、電気自動車EVは外出するので、固定蓄電池14が充電されていくことになる。電気自動車EVの外出時では、グリーンモードや経済モードは解除されることにより、通常の動作である太陽光発電の発電電力で固定蓄電池14の充電が行われ、余剰電力で売電が行われることになる。
【0067】
9時になると、電気自動車EVが戻り、移動蓄電池用充放電装置20に接続され、グリーンモードがユーザにより再度設定される。また、9時では、太陽光発電の余剰電力によって移動蓄電池21の充電が行われていく。
【0068】
この場合、移動蓄電池用充放電装置20の制御装置23は、電力検出器5が検出する検出電力が買電のA(W)となるように移動蓄電池21を充電させていくので、電力検出器6の検出電力もA(W)となる。これは、固定蓄電池14が充電されていて、太陽光発電の発電電力と固定蓄電池14の放電とで、宅内の消費電力(負荷)と移動蓄電池21を最大充電電力で充電することが可能な状態(
図4のT1aからT2aに相当する)であることによる。なお、太陽光発電の発電電力と負荷の大小関係によっては電力検出器6の検出電力がB(W)になる場合もある(
図4のT2aからT3aに相当する)。
充放電ユニット10の制御装置13は、電力検出器6がA(W)を検出することにより、
図3の表に示すように、固定蓄電池14を放電させていく。この放電により移動蓄電池21は充電されていく。電力検出器6がB(W)を検出する場合も同様である。すなわち、移動蓄電池21は、太陽光発電の余剰電力と固定蓄電池14の放電電力とで充電されていくことになる。つまり、移動蓄電池21が優先的に充電される。
【0069】
11時になると、移動蓄電池21が満充電となり、移動蓄電池21の充電が停止される。そして、12時では、充放電ユニット10の制御装置13は、電力検出器6の検出電力に基づいて、売電状態とならないように固定蓄電池14を充電させていく。すなわち、電力検出器6が検出する検出電力が買電のA(W)となるように固定蓄電池14を充電させていく。
【0070】
また、12時では、太陽光発電の発電電力は、宅内の消費電力に固定蓄電池14の充電電力を加算したものよりも大きいので、その発電電力の余剰電力は売電されることになる。つまり、宅内の消費電力量に固定蓄電池14の最大充電電力量を加算したものより、太陽光発電の発電電力量の方が大きい場合、その余剰電力が売電される。
【0071】
このように、12時では固定蓄電池14の充電と太陽光発電の余剰電力の売電とが行われることになる。この場合、電力検出器6の検出電力が買電のA(W)にならないことにより、固定蓄電池14は最大充電電力で充電されていくことになる。同様に、13時でも固定蓄電池14の充電と太陽光発電の余剰電力の売電とが行われる。
【0072】
14時では、電気自動車EVが外出することにより、また、固定蓄電池14が満充電になっていることにより、太陽光発電の余剰電力の全てが売電されることになる。
【0073】
15時では、電気自動車EVが戻り、グリーンモードがユーザにより再度設定されることにより、移動蓄電池21の充電が行われる。これは、その外出によって移動蓄電池21が放電されて満充電が解消されたことにより、移動蓄電池21が充電されるものである。この場合、グリーンモードにより電力検出器5が検出する検出電力が買電のB(W)となるように、制御装置23は移動蓄電池21を充電させていくが、太陽光発電の余剰電力があることにより売電状態となる。詳細には、電気自動車EVが戻ると買電のB(W)として移動蓄電池21を充電し、13時の時点で固定蓄電池14が満充電とされているので、移動蓄電池21を満充電とした後に太陽光発電の余剰電力を売電している。このため、電力検出器6の検出電力はA(W)以下となり、制御装置13は固定蓄電池14を充電することになるが、固定蓄電池14が満充電であることにより、固定蓄電池14の充電は行われない。
【0074】
15時では、太陽光発電の余剰電力の売電が行われる。すなわち、売電と移動蓄電池21の充電とが行われることになる。
【0075】
16時になると、太陽光発電の発電電力が宅内の消費電力より小さくなり、買電状態となる。このため、制御装置13は電力検出器6の検出電力が買電のA(W)を維持するように固定蓄電池14を放電して、太陽光発電の発電電力の不足分を賄うことになる。この際、電気自動車EVは外出し、グリーンモードは解除されている。
【0076】
そして、18時に電気自動車EVは戻り、グリーンモードが再度設定される。このグリーンモードが設定されることにより、移動蓄電池用充放電装置20の制御装置23は、電力検出器5が検出する検出電力が買電のB(W)を維持するように移動蓄電池21を充電させていく。他方、充放電ユニット10の制御装置13は、電力検出器6の検出電力がB(W)となるため、固定蓄電池14を最大電力で放電させていく。これらにより、宅内の消費電力と移動蓄電池21の充電とを固定蓄電池14の放電で賄うことになり、移動蓄電池21の充電が優先的に行われることになる。
【0077】
また、18時の段階では移動蓄電池21は満充電になり、その充電は停止される。19時では、固定蓄電池14の放電によって宅内の消費電力のみを賄うことになる。
【0078】
20時になると、固定蓄電池14の残量が放電下限値に達し、これにより固定蓄電池14の放電が停止される。このため、電気自動車EVの移動蓄電池21から放電されて宅内の消費電力が賄われることになる。この場合、固定蓄電池14の放電の停止にともない、A(W)の買電状態からさらに買電が増加して電力検出器5が検出する検出電力がB(W)に達し、移動蓄電池用充放電装置20の制御装置23は、電力検出器5が検出する検出電力が買電のB(W)を維持するように移動蓄電池21を放電させて、宅内の消費電力が賄われていく。
【0079】
21時~23時の期間も上記と同様にして移動蓄電池21が放電されて宅内の消費電力が賄われる。
【0080】
グリーンモードが設定されている間、上記の動作が繰り返し行われることになる。
【0081】
上述したように、制御装置13,23は、電力検出器6,5が検出する検出電力に基づいて固定蓄電池14及び移動蓄電池21の充放電を制御するようにするだけで、移動蓄電池21を優先的に充電させていくことや固定蓄電池14を優先的に放電させていくことができ、充放電ユニット10や移動蓄電池用充放電装置20を監視する中央制御部などを設ける必要がない。このため、電力供給システムSの構成を簡単にすることができる。また、移動蓄電池21が優先的に充電されていくので、必要なときに電気自動車EVを使用(走行)することができないという事態の発生を防止することができる。
【0082】
上記実施例では、経済モードでは固定蓄電池14の放電を優先させ、グリーンモードでは移動蓄電池21の充電を優先させるようにしたが、必ずしもこれに限らず、例えば、移動蓄電池21の容量が相当大きい場合には、その逆であってもよい。この場合、閾値を逆にすればよい。また、2つの太陽光発電システムを設けているがどちらか一方だけでもよい。
【0083】
また、上記実施例では、2つの電力検出器5,6を設けているが、どちらかの一方の電力検出器を設けて、兼用するようにしてもよい。
【0084】
この発明は、上記実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【符号の説明】
【0085】
2 電力供給線
4 分岐点
5,6 電力検出器
12 充放電コンバータ(固定蓄電池用充放電コンバータ)
13 制御装置(第1制御装置)
14 固定蓄電池
21 移動蓄電池
20 移動蓄電池用充放電装置
22 充放電コンバータ(移動蓄電池用充放電コンバータ)
23 制御装置(第2制御装置)
30 太陽光発電システム(自然エネルギー発電システム)
S 電力供給システム
Q1~Qn 宅内負荷
R1~R3 宅内負荷
E 系統電源
EV 電気自動車