IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本航空電子工業株式会社の特許一覧 ▶ 台湾航空電子股▲ふん▼有限公司の特許一覧

<>
  • 特許-コネクタ及びケーブルハーネス 図1
  • 特許-コネクタ及びケーブルハーネス 図2
  • 特許-コネクタ及びケーブルハーネス 図3
  • 特許-コネクタ及びケーブルハーネス 図4
  • 特許-コネクタ及びケーブルハーネス 図5
  • 特許-コネクタ及びケーブルハーネス 図6
  • 特許-コネクタ及びケーブルハーネス 図7
  • 特許-コネクタ及びケーブルハーネス 図8
  • 特許-コネクタ及びケーブルハーネス 図9
  • 特許-コネクタ及びケーブルハーネス 図10
  • 特許-コネクタ及びケーブルハーネス 図11
  • 特許-コネクタ及びケーブルハーネス 図12
  • 特許-コネクタ及びケーブルハーネス 図13
  • 特許-コネクタ及びケーブルハーネス 図14
  • 特許-コネクタ及びケーブルハーネス 図15
  • 特許-コネクタ及びケーブルハーネス 図16
  • 特許-コネクタ及びケーブルハーネス 図17
  • 特許-コネクタ及びケーブルハーネス 図18
  • 特許-コネクタ及びケーブルハーネス 図19
  • 特許-コネクタ及びケーブルハーネス 図20
  • 特許-コネクタ及びケーブルハーネス 図21
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-22
(45)【発行日】2022-03-30
(54)【発明の名称】コネクタ及びケーブルハーネス
(51)【国際特許分類】
   H01R 24/28 20110101AFI20220323BHJP
   H01R 24/30 20110101ALI20220323BHJP
【FI】
H01R24/28
H01R24/30
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2017234122
(22)【出願日】2017-12-06
(65)【公開番号】P2019102350
(43)【公開日】2019-06-24
【審査請求日】2020-09-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000231073
【氏名又は名称】日本航空電子工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】508104961
【氏名又は名称】台湾航空電子股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100117341
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 拓哉
(72)【発明者】
【氏名】大坂 純士
(72)【発明者】
【氏名】片柳 雅之
【審査官】高橋 裕一
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-114337(JP,A)
【文献】特開2014-107252(JP,A)
【文献】米国特許第09768568(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 24/28
H01R 24/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
相手側コネクタと前後方向に沿って嵌合するコネクタであって、
前記コネクタは、複数の第1群の端子と、複数の第2群の端子と、それらを保持する保持部材とを備えており、
前記第1群の端子の夫々は、前記相手側コネクタと前記コネクタとの嵌合の際に相手側端子と接触可能な一つの第1接触部と、ケーブルに接続可能な少なくとも一つの第1結線部とを備えており、
前記第1接触部は、前記前後方向において、前記第1結線部よりも前方に位置しており、
前記第2群の端子の夫々は、前記相手側コネクタと前記コネクタとの嵌合の際に相手側端子と接触可能な一つの第2接触部と、ケーブルに接続可能な一つの第2結線部とを備えており、
前記第2接触部は、前記前後方向において、前記第2結線部よりも前方に位置しており、
前記第1接触部と前記第2接触部は、前記前後方向と直交するピッチ方向に並んでおり、
前記ピッチ方向において、互いに隣り合う二つの前記第1接触部の間には、複数の前記第2接触部が位置しており、
前記第1結線部は、前記前後方向において前記第2結線部と異なる位置に位置していると共に、前記前後方向及び前記ピッチ方向の双方と直交する上下方向において前記第2結線部と異なる位置に位置しており、
前記第1群の端子の夫々は、二つの前記第1結線部を備えている
コネクタ。
【請求項2】
請求項1に記載のコネクタであって、
前記第1結線部及び前記第2結線部の一方は、残りの一方よりも、前記前後方向において前方又は後方に位置しており且つ前記上下方向において外側に位置している
コネクタ。
【請求項3】
請求項2に記載のコネクタであって、
前記第2結線部は、前記第1結線部よりも、前記前後方向において前方に位置しており且つ上下方向において外側に位置している
コネクタ。
【請求項4】
請求項2に記載のコネクタであって、
前記第2結線部は、前記第1結線部よりも、前記前後方向において後方に位置しており且つ上下方向において外側に位置している
コネクタ。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか一つに記載のコネクタであって、
前記第1結線部と前記第2結線部は、前記前後方向と前記ピッチ方向とで規定される面上に投影した位置において、互いに異なっている
コネクタ。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか一つに記載のコネクタであって、
前記コネクタは、少なくとも一つの第3群の端子をさらに備えており、
前記第3群の端子は、前記相手側コネクタと前記コネクタとの嵌合の際に相手側端子と接触可能な一つの第3接触部と、ケーブルに接続可能な一つの第3結線部とを備えており、
前記第3接触部は、前記前後方向において、前記第3結線部よりも前方に位置しており、
前記第3結線部は、前記前後方向において前記第1結線部と異なる位置に位置していると共に、前記上下方向において前記第1結線部と異なる位置に位置している
コネクタ。
【請求項7】
請求項1から請求項6までのいずれか一つに記載のコネクタであって、
前記コネクタはレセプタクルコネクタであり、前記相手側コネクタはプラグコネクタであり、
前記第1群の端子の前端は、前記第2群の端子の前端よりも前後方向において前方に位置している
コネクタ。
【請求項8】
請求項1から請求項までのいずれか一つに記載のコネクタであって、
前記第1群の端子と前記第2群の端子は、上列及び下列に配列されており、
前記上列の前記第1群の端子及び前記第2群の端子と前記下列の前記第1群の端子及び前記第2群の端子とは、前記上下方向及び前記ピッチ方向の双方の中心に対して点対称に配置されている
コネクタ。
【請求項9】
複数の第1種のケーブルと、複数の第2種のケーブルと、グランドバーと、請求項1から請求項までのいずれか一つに記載のコネクタとを備えるケーブルハーネスであって、
前記コネクタは、さらにシェルを備えており、
前記第1種のケーブルの夫々は、第1導体部を備えており、
前記第1導体部は、前記第1結線部に接続されており、
前記第2種のケーブルの夫々は、第2導体部とシールド部とを備えており、
前記第2導体部は、前記第2結線部に接続されており、
前記第2種のケーブルは、前記グランドバーに保持されており、
前記シールド部は、前記グランドバーに接続されており、
前記グランドバーは、前記シェルに接続されている
ケーブルハーネス。
【請求項10】
複数の第1種のケーブルと、複数の第2種のケーブルと、グランドバーと、請求項3又は請求項4に記載のコネクタとを備えるケーブルハーネスであって、
前記コネクタは、さらにシェルを備えており、
前記第1種のケーブルの夫々は、ディスクリート線であり、第1導体部を備えており、
前記第1導体部は、前記第1結線部に接続されており、
前記第2種のケーブルの夫々は、細線同軸ケーブルであり、第2導体部とシールド部とを備えており、
前記第2導体部は、前記第2結線部に接続されており、
前記第2種のケーブルは、前記グランドバーに保持されており、
前記第1種のケーブルは、前記グランドバーに保持されておらず、
前記シールド部は、前記グランドバーに接続されており、
前記グランドバーは、前記シェルに接続されている
ケーブルハーネス。
【請求項11】
請求項又は請求項10に記載のケーブルハーネスであって、
前記第1種のケーブルは、電源線であり、
前記第2種のケーブルは、信号線である
ケーブルハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタ及びコネクタを備えるケーブルハーネスに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、太さの異なる複数のケーブルが接続されるコネクタが開示されている。図21に示されるように、特許文献1に開示されたコネクタ90に接続される複数のケーブル92は、上下二列に並べられ、列ごとに金属クリップ94によって相互に固定されている。各列のケーブル92には、細い信号線921と太い電源線923とが含まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】中国実用新案公告第205543504号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
コネクタと基板とを接続するケーブルは、基板上に形成された接続パッドの配列ピッチに依存して、その外径サイズについて制限を受けることがある。そのようなサイズ制限の下では、大きな電流容量を確保するために、電源線として外径の大きいケーブルを採用することは難しい。そこで、このようなサイズ制限の下でも、電源線に大きな電流容量を確保するため、信号線に細線同軸ケーブルを用いるとともに、電源線にディスクリート線を用いることが行われている。即ち、信号伝送用のケーブルと電源用のケーブルを異種のケーブルとする技術が存在する。
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されたコネクタには、異種のケーブルを混在させて接続することが難しいという問題点がある。
【0006】
そこで、本発明は、異種のケーブルであっても接続可能な構造を有するコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、第1のコネクタとして、相手側コネクタと前後方向に沿って嵌合するコネクタであって、
前記コネクタは、複数の第1群の端子と、複数の第2群の端子と、それらを保持する保持部材とを備えており、
前記第1群の端子の夫々は、前記相手側コネクタと前記コネクタとの嵌合の際に相手側端子と接触可能な一つの第1接触部と、ケーブルに接続可能な少なくとも一つの第1結線部とを備えており、
前記第1接触部は、前記前後方向において、前記第1結線部よりも前方に位置しており、
前記第2群の端子の夫々は、前記相手側コネクタと前記コネクタとの嵌合の際に相手側端子と接触可能な一つの第2接触部と、ケーブルに接続可能な一つの第2結線部とを備えており、
前記第2接触部は、前記前後方向において、前記第2結線部よりも前方に位置しており、
前記第1接触部と前記第2接触部は、前記前後方向と直交するピッチ方向に並んでおり、
前記ピッチ方向において、互いに隣り合う二つの前記第1接触部の間には、複数の前記第2接触部が位置しており、
前記第1結線部は、前後方向において前記第2結線部と異なる位置に位置していると共に、前記前後方向及び前記ピッチ方向の双方と直交する上下方向において前記第2結線部と異なる位置に位置している
コネクタを提供する。
【0008】
また、本発明は第2のコネクタとして、第1のコネクタであって、
前記第1結線部及び前記第2結線部の一方は、残りの一方よりも、前記前後方向において前方又は後方に位置しており且つ前記上下方向において外側に位置している
コネクタを提供する。
【0009】
また、本発明は第3のコネクタとして、第2のコネクタであって、
前記第2結線部は、前記第1結線部よりも、前記前後方向において前方に位置しており且つ上下方向において外側に位置している
コネクタを提供する。
【0010】
また、本発明は第4のコネクタとして、第2のコネクタであって、
前記第2結線部は、前記第1結線部よりも、前記前後方向において後方に位置しており且つ上下方向において外側に位置している
コネクタを提供する。
【0011】
また、本発明は第5のコネクタとして、第1から第4までのコネクタのうちのいずれかであって、
前記第1結線部と前記第2結線部は、前記前後方向と前記ピッチ方向とで規定される面上に投影した位置において、互いに異なっている
コネクタを提供する。
【0012】
また、本発明は第6のコネクタとして、第1から第5までのコネクタのうちのいずれかであって、
前記コネクタは、少なくとも一つの第3群の端子をさらに備えており、
前記第3群の端子は、前記相手側コネクタと前記コネクタとの嵌合の際に前記相手側端子と接触可能な一つの第3接触部と、ケーブルに接続可能な一つの第3結線部とを備えており、
前記第3接触部は、前記前後方向において、前記第3結線部よりも前方に位置しており、
前記第3結線部は、前記前後方向において前記第1結線部と異なる位置に位置していると共に、前記上下方向において前記第1結線部と異なる位置に位置している
コネクタを提供する。
【0013】
また、本発明は第7のコネクタとして、第1から第6までのコネクタのうちのいずれかであって、
前記コネクタはレセプタクルコネクタであり、前記相手側コネクタはプラグコネクタであり、
前記第1群の端子の前端は、前記第2群の端子の前端よりも前後方向において前方に位置している
コネクタを提供する。
【0014】
また、本発明は第8のコネクタとして、第1から第7までのコネクタのうちのいずれかであって、
一つの前記第1接触部につながる前記第1結線部は、二つの第1結線部を備えている
コネクタを提供する。
【0015】
また、本発明は第9のコネクタとして、第1から第8までのコネクタのうちのいずれかであって、
前記第1群の端子と前記第2群の端子は、上列及び下列に配列されており、
前記上列の前記第1群の端子及び前記第2群の端子と前記下列の前記第1群の端子及び前記第2群の端子とは、前記上下方向及び前記ピッチ方向の双方の中心に対して点対称に配置されている
コネクタを提供する。
【0016】
また、本発明は、第1のケーブルハーネスとして、複数の第1種のケーブルと、複数の第2種のケーブルと、グランドバーと、第1から第9までのコネクタのうちのいずれかとを備えるケーブルハーネスであって、
前記コネクタは、さらにシェルを備えており、
前記第1種のケーブルの夫々は、第1導体部を備えており、
前記第1導体部は、前記第1結線部に接続されており、
前記第2種のケーブルの夫々は、第2導体部とシールド部とを備えており、
前記第2導体部は、前記第2結線部に接続されており、
前記第2種のケーブルは、前記グランドバーに保持されており、
前記シールド部は、前記グランドバーに接続されており、
前記グランドバーは、前記シェルに接続されている
ケーブルハーネスを提供する。
【0017】
また、本発明は、第2のケーブルハーネスとして、複数の第1種のケーブルと、複数の第2種のケーブルと、グランドバーと、第3又は第4のコネクタとを備えるケーブルハーネスであって、
前記コネクタは、さらにシェルを備えており、
前記第1種のケーブルの夫々は、ディスクリート線であり、第1導体部を備えており、
前記第1導体部は、前記第1結線部に接続されており、
前記第2種のケーブルの夫々は、細線同軸ケーブルであり、第2導体部とシールド部とを備えており、
前記第2導体部は、前記第2結線部に接続されており、
前記第2種のケーブルは、前記グランドバーに保持されており、
前記第1種のケーブルは、前記グランドバーに保持されておらず、
前記シールド部は、前記グランドバーに接続されており、
前記グランドバーは、前記シェルに接続されている
ケーブルハーネスを提供する。
【0018】
さらに、本発明は、第3のケーブルハーネスとして、第1又は第2のケーブルハーネスであって、
前記第1種のケーブルは、電源線であり、
前記第2種のケーブルは、信号線である
ケーブルハーネスを提供する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、コネクタにおいて、第1群の端子の第1結線部は、前後方向において第2群の端子の第2結線部と異なる位置に位置するとともに、上下方向において第2結線部と異なる位置に位置している。このように、第1結線部の位置と第2結線部の位置とが異なっているので、第1結線部に対するケーブル接続と第2結線部に対するケーブル接続とを分けて行うことができる。そのため、第1結線部と第2結線部とに互いに異なる種類のケーブルを接続することが容易に行える。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の第1の実施の形態によるケーブルハーネスを示す斜視図である。
図2図1のケーブルハーネスを示す別の斜視図である。
図3図1のケーブルハーネスを示す分解斜視図である。一部のケーブルの断面は、拡大して示されている。
図4図3のケーブルハーネスに含まれるコネクタ本体が備える上列の端子を示す斜視図である。
図5図4の上列の端子を示す平面図である。
図6図4の上列の端子を示す側面図である。
図7図1のケーブルハーネスに含まれるコネクタを示す背面図である。後シェルは、省略されている。また、一部の端子とその周辺部は、拡大して示されている。
図8図7のコネクタを示す平面図である。
図9図7のコネクタを示す正面図である。一部の端子とその周辺部が拡大して示されている。
図10図7のコネクタを示す底面図である。
図11図7のコネクタを示す斜視図である。
図12図11のコネクタと、それに接続された第1列のケーブルとを示す斜視図である。
図13図11のコネクタと、それに接続された第1列及び第2列のケーブルとを示す斜視図である。
図14図11のコネクタと、それに接続された第1列から第4列までのケーブルとを示す斜視図である。
図15図1のケーブルハーネスを示す背面図である。
図16図15のケーブルハーネスを示す底面図である。
図17図16のケーブルハーネスを示すA-A線断面図である。
図18図16のケーブルハーネスを示すB-B線断面図である。
図19】本発明の第2の実施の形態によるケーブルハーネスを示す斜視図である。後シェルは、省略されている。
図20図19のケーブルハーネスを示す別の斜視図である。
図21】特許文献1に記載されたコネクタを示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(第1の実施の形態)
図1及び図2を参照すると、本発明の第1の実施の形態によるケーブルハーネス10は、コネクタ20と複数のケーブル80とを有している。本実施の形態において、コネクタ20は、複数の相手側端子(図示せず)を備える相手側コネクタ(図示せず)と前後方向に沿って嵌合・分離可能なコネクタである。本実施の形態において、前後方向はY方向であり、-Y方向が前方、+Y方向が後方である。また、本実施の形態において、コネクタ20は、レセプタクルコネクタであり、相手側コネクタは、プラグコネクタである。
【0022】
図3を参照すると、コネクタ20は、コネクタ本体30と、前シェル40と、後シェル50と、取付部材60とを有している。前シェル40は、金属板から成る。前シェル40は、前後方向と直交する面内において、ピッチ方向に長い角丸四角形の断面を有する筒状である。前シェル40は、コネクタ本体30の前部を囲うようにコネクタ本体30に取り付けられる。本実施の形態において、ピッチ方向は、前後方向と直交するX方向である。また、後シェル50は、金属板から成る。後シェル50は、その前部を開いた状態でコネクタ本体30に取り付けられ、閉じた状態に変形させることでコネクタ本体30に固定される。後シェル50は、閉じた状態で箱状となり、コネクタ本体30の後部を囲う。また、後シェル50は、前シェル40に接続される。前シェル40と後シェル50とは、互いに接続されて単一のシェルを構成する。本実施の形態において、前シェル40と後シェル50とは別体であるが、これらは一体に形成されてもよい。取付部材60は、金属板から成り、前シェル40を部分的に覆うように前シェル40と組み合わされる。
【0023】
図3に示されるように、ケーブルハーネス10はさらに一対のグランドバー70を有している。グランドバー70の夫々は、一部のケーブル80を保持している。詳しくは、ケーブル80は、ピッチ方向に四列に並べられており、グランドバー70は、上下方向において外側に位置する二列のケーブル80、即ち、第2列84のケーブル80及び第4列88のケーブル80をそれぞれ保持している。上下方向において内側に位置する二列のケーブル80、即ち、第1列82のケーブル80及び第3列86のケーブル80は、グランドバー70によって保持されていない。本実施の形態において、上下方向は、前後方向及び上下方向の双方と直交するZ方向であり、+Z方向が上方であり、-Z方向が下方である。
【0024】
図3に示されるように、コネクタ本体30は、複数の端子32と、それらを保持する保持部材36とを備えている。端子32は、金属からなり、保持部材36は、絶縁樹脂からなる。端子32は、保持部材36によって一体に保持されている。換言すると、保持部材36は、端子32とともに一体成型されている。本実施の形態において、端子32は、上下二列に配列されている。以下、図面を参照して、主として上列の端子32について説明し、その後、下列の端子32について簡単に説明する。
【0025】
図4から図6までの図を参照すると、上列の端子32は、ピッチ方向に並べられている。上列の端子32は、複数の第1群の端子321と、複数の第2群の端子323と、少なくとも一つの第3群の端子325を含んでいる。本実施の形態において、第1群の端子321は電源端子であり、第2群の端子323は高速信号用端子であり、第3群の端子325は低速信号用端子である。また、本実施の形態において、第1群の端子321の数は四個、第2群の端子323の数は三対、第3群の端子325の数は二個である。但し、本発明において、端子32の数はこれに限られない。少なくとも二つの第1群の端子321と、その間に配置された複数の第2群の端子323があればよい。また、本発明において、第3群の端子325は、必須ではない。
【0026】
図4及び図5に示されるように、端子32の夫々は、その前端の近くに位置する一つの接触部(331,333,335)と、接触部につながる少なくとも一つの結線部(341,343,345)とを有している。詳しくは、第1群の端子321の夫々は、一つの第1接触部331を有するとともに、二つの第1結線部341を有している。また、第2群の端子323の夫々は、一つの第2接触部333を有するとともに、一つの第2結線部343を有している。さらに、第3群の端子325の夫々は、一つの第3接触部335を有するとともに、一つの第3結線部345を有している。ここで、第1接触部331、第2接触部333及び第3接触部335の夫々は、コネクタ20と相手側コネクタ(図示せず)とが互いに嵌合した際に、対応する相手側端子(図示せず)と接触する部分である。相手側コネクタが対応する相手側端子を有していない場合もあるので、第1接触部331、第2接触部333及び第3接触部335の夫々は、相手側端子のいずれか一つと接触する可能性のある部分である。第1結線部341、第2結線部343及び第3結線部345の夫々は、ケーブル80に接続可能な部分である。本実施の形態では、第1結線部341、第2結線部343及び第3結線部345の全てにケーブル80が接続されているが、コネクタ20の用途によっては第1結線部341、第2結線部343及び第3結線部345のいずれか一つ以上にケーブル80が接続されない場合もある。
【0027】
図4から図6までの図から理解されるように、前後方向において、第1群の端子321の前端の位置は、第2群の端子323及び第3群の端子325の前端の位置と異なっている。本実施の形態において、第1群の端子321の前端の位置は、第2群の端子323及び第3群の端子325の前端の位置よりも前後方向において前方に位置している。ただし、本発明はこれに限られない。第1群の端子321の前端の位置と第2群の端子323及び第3群の端子325の前端の位置は、前後方向において相互に一致していてもよい。
【0028】
図4から図6までの図に示されるように、前後方向において、第1接触部331、第2接触部333及び第3接触部335は、第1結線部341、第2結線部343及び第3結線部345よりも夫々前方に位置している。また、第1結線部341は、上下方向において第1接触部331と一致しており、第2結線部343及び第3結線部345は、上下方向において、第2接触部333及び第3接触部335よりも上方に位置している。
【0029】
図4及び図6から理解されるように、上下方向において、第1接触部331の位置は、第2接触部333及び第3接触部335の位置と一致している。また、図4及び図5から理解されるように、前後方向において、第1接触部331の位置は、第2接触部333及び第3接触部335の位置と少なくとも部分的に重なっている。換言すると、第1接触部331、第2接触部333及び第3接触部335は、ピッチ方向に並んでいる。第1接触部331のうちピッチ方向において互いに隣り合う二つの第1接触部331の間には、複数の第2接触部333が位置している。本実施の形態において、互いに隣り合う二つの第1接触部331の間には、対をなす二つの第2接触部333が位置している。
【0030】
図5に示されるように、第1結線部341、第2結線部343及び第3結線部345は、前記前後方向と前記ピッチ方向とで規定される面上に投影した位置において、互いに異なっている。換言すると、上下方向に沿って見た場合に、第1結線部341、第2結線部343及び第3結線部345は、互いに重なっていない。
【0031】
図4から図6までの図から理解されるように、第1結線部341の位置は、前後方向及び上下方向において、互いに同じ又は略同じである。また、第2結線部343及び第3結線部345の位置は、前後方向及び上下方向において、互いに同じ又は略同じである。第1結線部341の位置と第2結線部343及び第3結線部345の位置とは、前後方向及び上下方向において異なっている。本実施の形態において、第2結線部343及び第3結線部345は、前後方向において第1結線部341よりも前方に位置し、かつ上下方向において第1結線部341よりも上方(外側)に位置している。但し、本発明はこれに限られない。第2結線部343及び第3結線部345は、前後方向において第1結線部341よりも後方に位置し、かつ上下方向において第1結線部341よりも上方(外側)に位置してもよい。あるいは、第1結線部341が、前後方向において第2結線部343及び第3結線部345よりも前方又は後方に位置し、かつ上下方向において第2結線部343及び第3結線部345よりも上方(外側)に位置してもよい。いずれにしても、本発明において、第1結線部341及び第2結線部343のいずれか一方が、前後方向において他方の前方又は後方に位置し、かつ上下方向において他方の外側に位置していればよい。但し、後シェル50とグランドバー70との接続(図16及び図17参照)を容易にするため、第2結線部343及び第3結線部345は、上下方向において第1結線部341の外側に位置していることが好ましい。本実施の形態において、第3結線部345については、その前後方向及び上下方向の位置を、第2結線部343の位置と一致させている。しかしながら、第3結線部345の位置は、接続されるケーブル80に応じて第1結線部341の位置と一致させるようにしてもよい。なお、本発明において、上下方向における外側は、ケーブル80の取り付け方向に依存する。本実施の形態において、ケーブル80は、第1結線部341、第2結線部343及び第3結線部345の夫々の上面に接続されるので(図12及び図13参照)、上方が上下方向における外側である。
【0032】
図3及び図9から理解されるように、コネクタ本体30において、第1接触部331、第2接触部333及び第3接触部335は、外部に露出している。詳しくは、上列の端子32の第1接触部331、第2接触部333及び第3接触部335は、保持部材36の前部の上面上に露出している。また、図3図7図8及び図11に示されるように、第1結線部341、第2結線部343及び第3結線部345も、コネクタ本体30の外部に露出している。詳しくは、上列の端子32の第1結線部341、第2結線部343及び第3結線部345は、保持部材36の後部において上方へ向かって露出している。
【0033】
下列の端子32は、上列の端子32と同一に構成され、上下方向及びピッチ方向の中心に関して点対称に配置される。つまり、コネクタ20は、上下逆差し可能なリバーシブルコネクタ、例えば、USB-TypeCのコネクタである。
【0034】
図7図9及び図10から理解されるように、下列の端子32についても上列の端子32と同様に、第1接触部331、第2接触部333、第3接触部335、第1結線部341、第2結線部343及び第3結線部345が、コネクタ本体30の外部に露出している。詳しくは、下列の端子32の第1接触部331、第2接触部333及び第3接触部335は、保持部材36の前部の下面上に露出し、第1結線部341、第2結線部343及び第3結線部345は、保持部材36の後部において下方へ向かって露出している。
【0035】
図3に加え、図15を参照すると、ケーブル80は、上下方向に第1列82、第2列84、第3列86及び第4列88を形成している。上下方向において上側に位置する第1列82及び第2列84は上側グループを形成し、下側に位置する第3列86及び第4列88は下側グループを形成する。上側グループのケーブル80は、上列の端子32に対応し、下側グループのケーブル80は、下列の端子32に対応する。上下方向において内側に位置する第1列82及び第3列86のケーブル80の夫々は、第1種のケーブル801である。また、上下方向において外側に位置する第2列84及び第4列88のケーブル80の夫々は、第2種のケーブル803である。本実施の形態において、第1種のケーブル801は、電源線であり、第2種のケーブル803は、信号線である。図15から理解されるように、第1種のケーブル801と第2種のケーブル803とは同一又は略同一の外径を有している。
【0036】
図3に拡大して示されるように、本実施の形態において、第1種のケーブル801は、導体(第1導体部)811とそれを覆う外被813とを有している。即ち、本実施形態において、第1種のケーブル801は、ディスクリート線である。また、本実施の形態において、第2種のケーブル803は、中心導体(第2導体部)821と、その周囲を囲う絶縁体823と、絶縁体823の周囲に配置されたシールド部825と、それらを覆う外被827とを有している。即ち、本実施の形態において、第2種のケーブル803は、細線同軸ケーブルである。但し、本発明はこれに限られない。第1種のケーブル801と第2種のケーブル803は、同一の構成を有するケーブルであってもよい。
【0037】
図12及び図17に示されるように、第1列82の第1種のケーブル801の夫々は、上列の端子32の第1結線部341のいずれか一つに接続される。詳しくは、第1種のケーブル801の夫々の導体811は、上列の端子32の第1結線部341のいずれか一つに接続される。同様に、第3列86の第1種のケーブル801の夫々は、図14に示されるように、下列の端子32の第1結線部341のいずれか一つ接続される。このように、第1群の端子321の夫々に二本の第1種のケーブル801が接続されるので、一本の第1種のケーブル801が接続される場合に比べて、第1群の端子321の夫々へより多くの電力を供給することができる。換言すると、本実施の形態によれば、信号線の径よりも大きい径を持つ電源線を用いることなく、所望の電力を供給することが可能である。
【0038】
図13及び図18に示されるように、第2列84の第2種のケーブル803の夫々は、上列の端子32の第2結線部343及び第3結線部345のいずれか一つに接続される。詳しくは、第2種のケーブル803の夫々の中心導体821は、上列の端子32の第2結線部343及び第3結線部345のいずれか一つに接続される。同様に、第4列88の第2種のケーブル803の夫々は、図14に示されるように、下列の端子32の第2結線部343及び第3結線部345のいずれか一つに接続される。本実施の形態において、第2結線部343及び第3結線部345は、前後方向及び上下方向において第1結線部341と異なる位置にある。それゆえ、ピッチ方向に並ぶ端子32に対して、第1種のケーブル801の第1結線部341への接続と、第2種のケーブル803の第2結線部343及び第3結線部345への接続とを別々に行うことができる。また、第2種のケーブル803をグランドバー70に保持させる一方で、第1種のケーブル801をグランドバー70に保持させないようにすることができる。こうして、本実施の形態によれば、第1結線部341と第2結線部343とに互いに異なる種類のケーブル80を接続することを容易に行うことができる。
【0039】
図13に示されるように、第2列84の第2種のケーブル803を保持するグランドバー70は、保持部材36の後部上面側に形成された収容部に部分的に収容される。同様に、第4列88の第2種のケーブル803を保持するグランドバー70も、保持部材36の後部下面側に形成された収容部に部分的に収容される。図18に示されるように、グランドバー70の夫々は、第2列84又は第4列88の第2種のケーブル803のシールド部825を保持している。換言すると、第2列84及び第4列88の夫々の第2種のケーブル803のシールド部825は、グランドバー70に共通に接続されている。また、図16及び図17から理解されるように、グランドバー70の夫々は、半田付け等により接続部52を介して後シェル50に接続されている。こうして、すべての第2種のケーブル803のシールド部825は、後シェル50と同一の電位(グランド電位)に保たれる。
【0040】
(第2の実施の形態)
図19及び図20を参照すると、本発明の第2の実施の形態によるケーブルハーネスは、コネクタ20Aとケーブル80とを備えている。コネクタ20Aは、複数の端子32Aとそれらを保持する保持部材36Aとを有するコネクタ本体30Aを備えている。第1の実施の形態と同様に、端子32Aは、上下二列に配列され、各列の端子32Aは、第1群の端子321A、第2群の端子323A及び第3群の端子325Aを含んでいる。また、第1群の端子321Aの夫々は、第1接触部(図示せず)及び第1結線部341Aを有している。同様に、第2群の端子323Aの夫々は、第2接触部(図示せず)及び第2結線部343Aを有している。また、第3群の端子325Aの夫々は、第3接触部(図示せず)及び第3結線部345Aを有している。
【0041】
図19及び図20から理解されるように、端子32Aの各列において、第2結線部343A及び第3結線部345Aは、前後方向において第1結線部341Aの後方に位置している。また、第2結線部343A及び第3結線部345Aは、上下方向において第1結線部341Aの外側に位置している。第1結線部341Aの夫々に、第1種のケーブル801の導体811が接続される。また、第2結線部343A及び第3結線部345Aの夫々に、グランドバー70に保持された第2種のケーブル803の中心導体821が接続される。このように、本実施の形態においても、第2結線部343A及び第3結線部345Aが、前後方向及び上下方向において第1結線部341Aと異なる位置にあるので、ピッチ方向に並ぶ端子32Aに対して、第1種のケーブル801の第1結線部341Aへの接続と、第2種のケーブル803の第2結線部343A及び第3結線部345Aへの接続とを別々に行うことができる。また、第2種のケーブル803をグランドバー70に保持させる一方で、第1種のケーブル801をグランドバー70に保持させないようにすることができる。よって、本実施の形態においても、第1結線部341Aと第2結線部343Aとに互いに異なる種類のケーブル80を接続することを容易に行うことができる。
【0042】
以上、本発明について、複数の実施の形態を掲げて説明してきたが、本発明は、これらに限定されるものではない。たとえば、上記実施の形態においてコネクタ20は、レセプタクルコネクタであったが、本発明はプラグコネクタにも適用可能である。また、上記実施の形態において、端子32は上下二列に配列されているが、端子32は、一列に配置されていてもよい。換言すると、本発明は、非リバーシブルコネクタにも適用可能である。また、上記実施の形態において、第1種のケーブル801と第2種のケーブル803とは異種のケーブルであったが、これらは同種のケーブルであってもよい。
【符号の説明】
【0043】
10 ケーブルハーネス
20,20A コネクタ
30,30A コネクタ本体
32,32A 端子
321,321A 第1群の端子
323,323A 第2群の端子
325,325A 第3群の端子
331 第1接触部
333 第2接触部
335 第3接触部
341 第1結線部
343 第2結線部
345 第3結線部
36,36A 保持部材
40 前シェル(シェル)
50 後シェル(シェル)
52 接続部
60 取付部材
70 グランドバー
80 ケーブル
82 第1列
84 第2列
86 第3列
88 第4列
801 第1種のケーブル
803 第2種のケーブル
811 導体
813 外被
821 中心導体
823 絶縁体
825 シールド部
827 外被
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21