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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-22
(45)【発行日】2022-03-30
(54)【発明の名称】落し玉網
(51)【国際特許分類】
   A01K 77/00 20060101AFI20220323BHJP
【FI】
A01K77/00 A
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2018009184
(22)【出願日】2018-01-05
(65)【公開番号】P2019118337
(43)【公開日】2019-07-22
【審査請求日】2020-12-28
(73)【特許権者】
【識別番号】518025043
【氏名又は名称】大浦 直毅
(74)【代理人】
【識別番号】110002882
【氏名又は名称】白浜国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】大浦 直毅
【審査官】吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-025739(JP,A)
【文献】特開平07-059489(JP,A)
【文献】特表2017-528161(JP,A)
【文献】特公昭34-002819(JP,B1)
【文献】実開平03-022652(JP,U)
【文献】実開平01-163960(JP,U)
【文献】実開昭56-081671(JP,U)
【文献】実開昭57-119689(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2015/0013208(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 77/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
道糸伝いに、引き紐を付けた玉網を落下させ、魚を捕獲する落し玉網において、上部開口と、底部と、前記底部に位置する底部中央孔とを有する玉網本体と、前記玉網本体の内部において上下方向へ伸縮可能に配置されたスプリング材と、前記底部中央孔の開孔縁部を形成する第1部分と、前記玉網本体の外周面に沿って前記上下方向へ延びる一対の第2部分とを有するワイヤーとを備え、
前記スプリング材を収縮させることによって前記玉網本体が折り畳まれるとともに前記ワイヤーの伸長状態が解除されて前記底部中央孔が拡張し、前記玉網本体の折り畳まれた状態から前記スプリング材を伸長させることによって前記玉網本体が展開されるとともに前記ワイヤーが伸長されて前記底部中央孔が収縮されることを特徴とする前記落し玉網。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、魚釣りにおいて高い場所より魚を針に掛けた際、引き紐を付けた玉網を道糸伝いに落下させ、魚に被せ引き紐で引き上げ捕獲する落し玉網に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、高い場所での魚釣りで、魚を釣り針に掛けた際、小型の魚であれば、リールで巻き上げ魚を捕獲出来るが、それが出来ない大きさの魚の場合、暴れる魚を弱らせ、安全に取り込める場所迄魚を誘導し、柄の付いた玉網を使って魚を掬い上げ捕獲する。しかし柄の長さが長くなる程扱い辛くなり、技量を必要とし、柄の長さにも制限が有る。
【0003】
柄の無い玉網に引き紐を付けて水面迄降ろし、その中へ魚を誘導し掬い引き上げる物も有るが、波の影響を受ける場所では、波により玉網も魚も揺られ、距離の離れた高い場所から、玉網の中へ魚を誘導し取り込むには困難を極める。
【0004】
波の影響を受ける場所であっても、高い場所より針に掛けた魚を高い確率で魚を傷めず捕獲出来る器具として、道糸伝いに引き紐を付けた網や籠を落下させ、釣り針に掛けた魚に被せ引き紐で引き上げ魚を捕獲する方法の物がある(市販されている物では見た事が無い)。
【0005】
今回の本発明はこの器具に関する物であり、先行技術調査の結果、幾つかの資料があったので下記に記す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特公昭34-002819
【文献】特開昭52-030684
【文献】特開昭55-064733
【文献】特開昭59-232042
【文献】特開平07-059489
【文献】特開2001-269082
【文献】特開2011-041492
【文献】特開2006-025739
【実用文献】
【0004】
【実用文献1】
実公昭12-005976
【実用文献2】
実開昭53-087289
【実用文献3】
実開昭53-087290
【実用文献4】
実開昭55-045776
【実用文献5】
実開昭55-069982
【実用文献6】
実開昭57-119689
【実用文献7】
実開昭58-115970
【実用文献8】
実開昭59-101677
【実用文献9】
実開昭60-190278
【実用文献10】
実開昭62-139263
【実用文献11】
実開平01-163960
【実用文献12】
実開平03-022652
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
先行技術文献の中で、道糸を通す為に開けておく穴の呼びが様々であるが、以下、底部中央孔と称させて頂く(特開2011-041492は例外)。これらの物には、次の様な欠点があった。
【0006】
底部中央孔の穴の大きさが固定されており、本体が開く構造で無い物は、リールを用いた釣りには使用出来ない。
【0007】
本体が開く構造の物は、装着する際、骨材や網部を閉じる必要があり、扱い辛く時間も掛かる。
【0008】
筒状に形状を保持する物は、携帯、保管に嵩張り不便であり、片手では装着し辛い。
【0009】
スカリ状に形状を保持しない物は、使用時、畳まり撓んだ網の部分が、リールやガイドやウキなどに触り、引っ掛かり易い。着水した後も自重により広がる為、ゆっくりとなり、波の影響を受け歪み易く、広がるまでに魚の鰭などにも網が引っ掛かり、上手く広がらないといったトラブルの原因にもなる。
【0010】
底部中央孔を紐で絞る物は、絞った後の余った紐が底部中央孔の近くにある為、引っ掛かりの原因にもなり、魚を引き上げる際、絞った所が開くトラブルも起こる。紐で網を絞る動作も片手では困難である。
【0011】
ファスナーを用いた物は、片手では閉め辛く、ファスナーは少々の糸屑やゴミなどでも引っ掛かり、動かなくなる事が多い。閉めた部分が開くなど壊れ易い。
【0012】
本体に2本の紐やロープを有する物は、本体が回転してしまうと、絡まるトラブルも起こる。
【0013】
玉網本体を道糸に装着する物は、道糸を掴む必要があり、短い竿でないと困難であり、時間も掛かってしまう。
【0014】
本発明は、以上の様な欠点を無くす為になされた物である。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本願に係る発明は、道糸伝いに、引き紐を付けた玉網を落下させ、魚を捕獲する落し玉網に関する。本願に係る落し玉網は、上部開口と、底部と、前記底部に位置する底部中央孔とを有する玉網本体と、前記玉網本体の内部において上下方向へ伸縮可能に配置されたスプリング材と、前記底部中央孔の開孔縁部を形成する第1部分と、前記玉網本体の外周面に沿って前記上下方向へ延びる一対の第2部分とを有するワイヤーとを備え、前記スプリング材を収縮させることによって前記玉網本体が折り畳まれるとともに前記ワイヤーの伸長状態が解除されて前記底部中央孔が拡張し、前記玉網本体の折り畳まれた状態から前記スプリング材を伸長させることによって前記玉網本体が展開されるとともに前記ワイヤーが伸長されて前記底部中央孔が収縮されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
落し玉網本体の骨材にスプリング材(1)を用いる事で、縮めて折り畳む事を可能とし、ロック材(C)を使い、折り畳んだ状態(図7)を保持でき、携帯、保管に嵩張る事は無い。また、骨材の間隔が狭くなる為、網(11)と固縛(27)する事で、折り畳んだ状態での網の撓みも少ない。(図7)。
【0017】
底部中央孔(A)の摺動部に、被覆ワイヤー(2)などの弾性材を用いて、底部中央孔(A)拡張時の開口を円形に保持出来る。(図7
【0018】
折り畳んだ状態(図7)で竿尻よりリール(20)部を通せる為、引っ掛からずに容易に素早く通す事が可能(図8、9)である。
【0019】
片手で取手となる管材(18)を引くだけで、折り畳んだ状態(図9)からロックが解除され、スプリング材(1)の伸びる力で、瞬時に本体が筒状(図10)となり、同時に上端リング部に留めたワイヤー(2)が引かれ、底部中央孔(A)も縮める事を可能とした。
【0020】
骨材となるスプリング材(1)を縮めるか、ワイヤー(2)が切れない限り、底部中央孔(A)は広がらない構造となっている。
【0021】
底部中央孔(A)の拡張、収縮に、紐やファスナーを用い無い為、底部中央孔(A)の周りに、余計な紐なども残らず、竿(23)を通し落下させる時の引っ掛かりや、縮めた底部中央孔(A)などが広がるといったトラブルも無く、より壊れ難く、誰でも容易に片手のみで素早く扱う事が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】 本発明の落し玉網の底部中央孔を上とした斜視図である。
図2】 本発明の落し玉網の底部中央孔を下とした斜視図である。
図3】 本発明の落し玉網のロック材の斜視図である。
図4】 本発明の落し玉網のロック部の使用説明図であり、使用状態を示す斜視図である。
図5】 本発明の落し玉網のロック部の使用説明図であり、使用状態を示す斜視図である。
図6】 本発明の落し玉網のロック部の使用説明図であり、使用状態を示す斜視図である。
図7】 本発明の落し玉網を折り畳んだ状態を示す斜視図である。
図8】 本発明の落し玉網の使用説明図であり、装着前の状態を示す斜視図である。
図9】 本発明の落し玉網の使用説明図であり、装着途中の状態を示す斜視図である。
図10】 本発明の落し玉網の使用説明図であり、装着後の状態を示す斜視図である。
図11】 本発明の落し玉網の使用説明図であり、着水時を示す斜視図である。
図12】 本発明の落し玉網の使用説明図であり、着水後を示す斜視図である。
図13】 本発明の落し玉網の使用説明図であり、魚捕獲状況を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を実施する為の形態について説明する。
【0024】
錆に強い材質のスプリング材(1)の両端をリング状にする。別のリング材を用いても良いが、スプリング材と強固に繋げる必要がある。
【0025】
スプリング材(1)の外側に円筒状にした網(11)を被せ、上端を開放し、上部開口(B)とする。下端に摺動可能なる底部中央孔(A)を設ける。
【0026】
上下リング部を擦れに強い耐久性の生地(6)で、リング部を覆う様に網を挟んで強固に縫い付け、更に補強バンド(8)をリング部から回し、ワイヤー用Dカン(7、9)、ロック部(3、4)、引き紐取り付け用Dカン(15)を設ける。金具はDカンで無くても問題ない。ロック用紐(3)も紐でなく、穴を開けたバンド状の物でも問題ない。
【0027】
被覆ワイヤー(2)などの弾性材を底部中央孔(A)周縁なる網に回し通し、その両端を上部開口(B)側に設けたワイヤー留め用Dカン(9)にワイヤー留め金具(10)にて留める。底部中央孔(A)となる穴は、縮まった状態時、ガイドや仕掛けのウキなどは容易に通り抜け、魚は抜け出ない大きさになる様、調整が必要である。被覆ワイヤー(2)でなくても良いが、錆びなく、網部を傷つけず、折れ癖の付かない物が好ましい。
【0028】
底部中央孔(A)周縁の網に通した被覆ワイヤー(2)部を、軟性生地(5)で被覆ワイヤー(2)を覆う様に網を挟んで縫い付ける。被覆ワイヤー(2)の通る部分は縫い付けずに開けておく。
【0029】
上部開口(B)の外側に設けた引き紐取り付け用Dカン(15)に、スイベルスナップフック(16)を付けた引き紐(12)を取り付け、その対側に取り外し可能なる様、ウキ材取り付け用バンド(14)にて、ウキ材(13)を取り付ける。ウキ材は浮力調整が必要である。
【0030】
ロック材(C)として、テーパーをつけた止め具(17)に、止め具引き外し用紐(19)を付け、取手となる管材(18)に取り付ける。
【0031】
本発明は、以上の様な構造である。
【0032】
これを使用する時は、落し玉網本体を折り畳んだ状態で、底部中央孔(A)側より腕に通して、肘の辺りに掛けて持ち、その手に竿(23)を持つ(図8)。
【0033】
空いているもう片方の手で、竿尻よりリール(20)上部まで本体に通し移動さる(図9)。
【0034】
ロック材(C)の取手部となる管材(18)を握り、一気に引く(図10)。
【0035】
リール(20)を巻きながら竿(23)を倒していき、一気に落し玉網本体を落下させる。
【0036】
魚が落し玉網本体に入っている事を確認し(図12)、引き紐(12)を引き上げ(図13)魚を捕獲する。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は魚釣りにおいて、高い場所からでも釣り針に掛けた魚を傷めず、高い確率で捕獲でき、誰でも容易に素早く扱える落し玉網を提供する。
【符号の説明】
【0038】
1 スプリング材
2 被覆ワイヤー
3 ロック用紐
4 ロック用Dカン
5 軟性生地
6 耐久性生地
7 ワイヤー用Dカン
8 補強バンド
9 ワイヤー留め用Dカン
10 ワイヤー留め金具
11 網
12 引き紐
13 ウキ材
14 ウキ材取り付け用バンド
15 引き紐取り付け用Dカン
16 スイベルスナップフック
17 止め具
18 管材
19 止め具引き外し用紐
20 リール
21 道糸
22 ガイド
23 竿
24 釣り人
25 水面
26 魚
27 網とスプリング材固縛部
28 ハリス
A 底部中央孔
B 上部開口
C ロック材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13