(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-22
(45)【発行日】2022-03-30
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
F21S 41/36 20180101AFI20220323BHJP
F21S 41/135 20180101ALI20220323BHJP
F21S 41/148 20180101ALI20220323BHJP
F21S 41/25 20180101ALI20220323BHJP
F21S 41/40 20180101ALI20220323BHJP
F21V 7/08 20060101ALI20220323BHJP
F21V 9/14 20060101ALI20220323BHJP
F21V 9/40 20180101ALI20220323BHJP
F21W 102/14 20180101ALN20220323BHJP
F21W 102/155 20180101ALN20220323BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20220323BHJP
F21Y 115/30 20160101ALN20220323BHJP
【FI】
F21S41/36
F21S41/135
F21S41/148
F21S41/25
F21S41/40
F21V7/08 100
F21V9/14
F21V9/40 400
F21W102:14
F21W102:155
F21Y115:10
F21Y115:30
(21)【出願番号】P 2018038247
(22)【出願日】2018-03-05
【審査請求日】2021-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【氏名又は名称】小林 淳一
(72)【発明者】
【氏名】小暮 真也
【審査官】當間 庸裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-243366(JP,A)
【文献】特開2013-073691(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 41/36
F21S 41/135
F21S 41/148
F21S 41/25
F21S 41/40
F21V 9/14
F21V 9/40
F21V 7/08
F21W 102/14
F21W 102/155
F21Y 115/10
F21Y 115/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の光を第1の集光倍率で集光させる第1の集光光学系と、
第2の光を第2の集光倍率で集光させる第2の集光光学系と、
前記第1の光及び前記第2の光を前方に向けて投影する投影光学系とを備え、
前記第1の集光光学系により集光される前記第1の光の集光点と、前記第2の集光光学系により集光される前記第2の光の集光点とが、それぞれ前記投影光学系の後方側焦点に合わせて調整されて
おり、
前記第1の集光光学系は、前記第1の光を集光しながら反射する第1のリフレクタであり、
前記第2の集光光学系は、前記第2の光を集光しながら反射する第2のリフレクタであり、
前記第1のリフレクタは、第1の楕円反射面を有し、
前記第2のリフレクタは、第2の楕円反射面を有し、
前記第1の光を前記第1の楕円反射面の第1焦点に向けて集光させると共に、前記第2の光を前記第2の楕円反射面の第1焦点に向けて集光させる第3の集光光学系を備え、
前記第1の光の集光点が前記第1の楕円反射面の第2焦点に位置し、前記第2の光の集光点が前記第2の楕円反射面の第2焦点に位置し、
前記第1の楕円反射面の第2焦点と前記第2の楕円反射面の第2焦点とを互いに一致させていることを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
光源と、
前記光源から出射された光を前記第1の光と前記第2の光とに分離する光分離素子を備えることを特徴とする請求項
1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記光分離素子は、偏光ビームスプリッタであることを特徴とする請求項
2に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記偏光ビームスプリッタと前記第2の集光光学系との間の光路中に配置されて、前記第2の光を前記第1の光と同じ偏光状態の光に変換する1/2波長板を備えることを特徴とする請求項
3に記載の車両用灯具。
【請求項5】
前記光源と前記偏光ビームスプリッタとの間の光路中に配置されて、前記光源から出射された光の偏光状態を変換する偏光変換素子を備え、
前記偏光変換素子により変換される光の偏光状態に応じて、前記偏光ビームスプリッタにより分離される前記第1の光と前記第2の光との割合が調整されていることを特徴とする請求項
3又は4に記載の車両用灯具。
【請求項6】
前記偏光変換素子は、前記光源から出射された光の偏光状態を可変に制御する可変偏光変換素子であり、
前記可変偏光変換素子により変換される光の偏光状態に応じて、前記偏光ビームスプリッタにより分離される前記第1の光と前記第2の光との割合が可変に調整されることを特徴とする請求項
5に記載の車両用灯具。
【請求項7】
前記投影光学系の後方側焦点に合わせて配置されて、前記投影光学系により投影される光の像を形成する画像形成素子を備えることを特徴とする請求項1~6の何れか一項に記載の車両用灯具。
【請求項8】
前記第1の集光光学系により集光される前記第1の光の一部を遮光するシェードを備え、
前記シェードの前端によって規定される光の像を前記投影光学系により反転投影することで、上端にカットオフラインを含むロービーム用配光パターンを形成することを特徴とする請求項1~7の何れか一項に記載の車両用灯具。
【請求項9】
前記第1の集光光学系により集光される前記第1の光の一部を遮光するシェードを備え、
前記シェードの前端と前記画像形成素子との間に隙間を有して、前記画像形成素子により形成される光の像を前記投影光学系により反転投影することで、上端にカットオフラインを含むロービーム用配光パターンを形成することを特徴とする請求項7に記載の車両用灯具。
【請求項10】
前記投影光学系から路面に向けて投影される光のうち、前記第1の光は、前記路面に対してP偏光の光成分がS偏光の光成分よりも多いことを特徴とする請求項8又は9に記載の車両用灯具。
【請求項11】
前記第1の集光倍率が前記第2の集光倍率よりも大きいことを特徴とする請求項1~10の何れか一項に記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、車両用前照灯(ヘッドランプ)などの車両用灯具は、光源と、光源から出射された光を車両進行方向に向けて反射するリフレクタと、リフレクタにより反射された光の一部を遮光(カット)するシェードと、シェードにより一部がカットされた光を車両進行方向に向けて投影する投影レンズとを備えている。
【0003】
このような車両用灯具では、すれ違い用ビーム(ロービーム)として、シェードの前端によって規定される光源像を投影レンズにより反転投影することで、上端にカットオフラインを含むロービーム用配光パターンを形成している。
【0004】
また、車両用灯具では、車両進行方向に向けて光を出射する別の光源をシェードの下方に配置し、走行用ビーム(ハイビーム)として、この光源が出射する光を投影レンズにより投影することで、ロービーム用配光パターンの上方にハイビーム用配光パターンを形成している。
【0005】
さらに、最近では、ハイビーム用配光パターンの配光を可変に制御する配光可変ヘッドランプ(ADB:Adaptive Driving Beam)の開発も進められている。ADBは、車載カメラで前走車や対向車、歩行者などを認識し、前方のドライバーや歩行者に眩しさを与える光を遮光することによって、夜間におけるドライバーの前方視界を拡大する技術である。
【0006】
ところで、上述したロービーム用配光パターンを形成する光源ユニットと、ハイビーム用配光パターンを形成する光源ユニットとは、それぞれ光の出射方向が異なるため、互いに別体に構成されている。
【0007】
そこで、部品点数の省略化及び組立工程の簡素化によるコストの削減を図るため、これらの光源ユニットを一体化(モジュール化)した車両用灯具の開発が進められている(例えば、下記特許文献1を参照。)。
【0008】
例えば、下記特許文献1には、光源(20)と、前記光源(20)から来る光を互いに異なるように偏光された2つの部分光路(S1、S2)に分割する、前記光源(20)の光路内に設けられた偏光ビームスプリッタ(30)と、第1部分光路(S1)内に設けられた第1液晶マスク(40)、第1偏光フィルタ(50)および第1レンズ(60)と、 第2部分光路(S2)内に設けられた第2液晶マスク(42)、第2偏光フィルタ(52)および第2レンズ(62)とを備えた自動車前照灯(10)において、前記第1部分光路(S1)内の前記第1レンズが前記第2部分光路(S2)内の前記第2レンズ(62)と異なる焦点距離f1を有する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、このような構成では、偏光された2つの部分光路(S1、S2)に合わせて、別々の液晶マスク(40、42)、偏光フィルタ(50、52)及びレンズ(60、62)を設けなければならず、モジュール全体が大きくなってしまう。また、意匠性や製造コストも悪化することになる。
【0011】
本発明は、このような従来の事情に鑑みて提案されたものであり、全体のモジュール化を図ることによって小型化を可能とした車両用灯具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
〔1〕 第1の光を第1の集光倍率で集光させる第1の集光光学系と、
第2の光を第2の集光倍率で集光させる第2の集光光学系と、
前記第1の光及び前記第2の光を前方に向けて投影する投影光学系とを備え、
前記第1の集光光学系により集光される前記第1の光の集光点と、前記第2の集光光学系により集光される前記第2の光の集光点とが、それぞれ前記投影光学系の後方側焦点に合わせて調整されており、
前記第1の集光光学系は、前記第1の光を集光しながら反射する第1のリフレクタであり、
前記第2の集光光学系は、前記第2の光を集光しながら反射する第2のリフレクタであり、
前記第1のリフレクタは、第1の楕円反射面を有し、
前記第2のリフレクタは、第2の楕円反射面を有し、
前記第1の光を前記第1の楕円反射面の第1焦点に向けて集光させると共に、前記第2の光を前記第2の楕円反射面の第1焦点に向けて集光させる第3の集光光学系を備え、
前記第1の光の集光点が前記第1の楕円反射面の第2焦点に位置し、前記第2の光の集光点が前記第2の楕円反射面の第2焦点に位置し、
前記第1の楕円反射面の第2焦点と前記第2の楕円反射面の第2焦点とを互いに一致させていることを特徴とする車両用灯具。
〔2〕 光源と、
前記光源から出射された光を前記第1の光と前記第2の光とに分離する光分離素子を備えることを特徴とする前記〔1〕に記載の車両用灯具。
〔3〕 前記光分離素子は、偏光ビームスプリッタであることを特徴とする前記〔2〕に記載の車両用灯具。
〔4〕 前記偏光ビームスプリッタと前記第2の集光光学系との間の光路中に配置されて、前記第2の光を前記第1の光と同じ偏光状態の光に変換する1/2波長板を備えることを特徴とする前記〔3〕に記載の車両用灯具。
〔5〕 前記光源と前記偏光ビームスプリッタとの間の光路中に配置されて、前記光源から出射された光の偏光状態を変換する偏光変換素子を備え、
前記偏光変換素子により変換される光の偏光状態に応じて、前記偏光ビームスプリッタにより分離される前記第1の光と前記第2の光との割合が調整されていることを特徴とする前記〔3〕又は〔4〕に記載の車両用灯具。
〔6〕 前記偏光変換素子は、前記光源から出射された光の偏光状態を可変に制御する可変偏光変換素子であり、
前記可変偏光変換素子により変換される光の偏光状態に応じて、前記偏光ビームスプリッタにより分離される前記第1の光と前記第2の光との割合が可変に調整されることを特徴とする前記〔5〕に記載の車両用灯具。
〔7〕 前記投影光学系の後方側焦点に合わせて配置されて、前記投影光学系により投影される光の像を形成する画像形成素子を備えることを特徴とする前記〔1〕~〔6〕の何れか一項に記載の車両用灯具。
〔8〕 前記第1の集光光学系により集光される前記第1の光の一部を遮光するシェードを備え、
前記シェードの前端によって規定される光の像を前記投影光学系により反転投影することで、上端にカットオフラインを含むロービーム用配光パターンを形成することを特徴とする前記〔1〕~〔7〕の何れか一項に記載の車両用灯具。
〔9〕 前記第1の集光光学系により集光される前記第1の光の一部を遮光するシェードを備え、
前記シェードの前端と前記画像形成素子との間に隙間を有して、前記画像形成素子により形成される光の像を前記投影光学系により反転投影することで、上端にカットオフラインを含むロービーム用配光パターンを形成することを特徴とする前記〔7〕に記載の車両用灯具。
〔10〕 前記投影光学系から路面に向けて投影される光のうち、前記第1の光は、前記路面に対してP偏光の光成分がS偏光の光成分よりも多いことを特徴とする前記〔8〕又は〔9〕に記載の車両用灯具。
〔11〕 前記第1の集光倍率が前記第2の集光倍率よりも大きいことを特徴とする前記〔1〕~〔10〕の何れか一項に記載の車両用灯具。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明によれば、全体のモジュール化を図ることによって小型化を可能とした車両用灯具を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る車両用灯具の概略構成を示す模式図である。
【
図2】
図1に示す車両用灯具において、第1の光及び第2の光によって仮想鉛直スクリーンの面上に形成された配光パターンを示す模式図である。
【
図3】本発明の第2の実施形態に係る車両用灯具の概略構成を示す模式図である。
【
図4】
図3に示す車両用灯具において、第1の光及び第2の光によって仮想鉛直スクリーンの面上に形成された配光パターンを示す模式図である。
【
図5】本発明の第3の実施形態に係る車両用灯具の概略構成を示す模式図である。
【
図6】
図5に示す車両用灯具において、第1の光及び第2の光によって仮想鉛直スクリーンの面上に形成された配光パターンを示す模式図である。
【
図7】本発明の第4の実施形態に係る車両用灯具の概略構成を示す模式図である。
【
図8】
図7に示す車両用灯具において、第1の光及び第2の光によって仮想鉛直スクリーンの面上に形成された配光パターンを示す模式図である。
【
図9】本発明の第5の実施形態に係る車両用灯具の概略構成を示す模式図である。
【
図10】
図9に示す車両用灯具において、第1の光及び第2の光によって仮想鉛直スクリーンの面上に形成された配光パターンを示す模式図である。
【
図11】本発明の第6の実施形態に係る車両用灯具の概略構成を示す模式図である。
【
図12】
図11に示す車両用灯具において、第1の光及び第2の光によって仮想鉛直スクリーンの面上に形成された配光パターンを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
なお、以下の説明で用いる図面においては、各構成要素を見やすくするため、構成要素によって寸法の縮尺を異ならせて示すことがあり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
【0016】
また、以下に示す図面では、XYZ直交座標系を設定し、X軸方向を車両用灯具の前後方向(長さ方向)、Y軸方向を車両用灯具の左右方向(幅方向)、Z軸方向を車両用灯具の上下方向(高さ方向)として、それぞれ示すものとする。
【0017】
また、以下の説明において、「前」「後」「左」「右」「上」「下」との記載は、特に断りのない限り、車両用灯具を正面(車両前方)から見たときのそれぞれの方向を意味するものとする。
【0018】
(第1の実施形態)
先ず、本発明の第1の実施形態として、例えば
図1に示す車両用灯具1Aについて説明する。なお、
図1は、車両用灯具1Aの概略構成を示す模式図である。
本実施形態の車両用灯具1Aは、例えば、車両(図示せず。)の前端側の両コーナー部に搭載される車両用前照灯(ヘッドランプ)に本発明を適用したものである。
【0019】
具体的に、この車両用灯具1Aは、
図1に示すように、光源2と、光分離素子3と、第1の集光光学系4と、第2の集光光学系5と、第3の集光光学系6と、投影光学系7とを概略備えている。
【0020】
光源2は、無偏光(非偏光)の光Lを出射するものである。本実施形態では、パッケージ内に発光ダイオード(LED)が搭載されたLEDモジュールを用いている。また、LEDモジュールには、白色光を発するLEDが用いられている。さらに、LEDには、車両照明用の高出力タイプのものが使用されている。光源2は、光Lを上方(+Z軸方向)に向けて放射状に出射する。
【0021】
なお、光源2には、上述したLED以外にも、後述するレーザーダイオード(LD)などの発光素子を用いることができる。また、上述した発光素子以外の光源を用いてもよい。さらに、発光素子の数については、1つ限らず、複数であってもよい。
【0022】
光分離素子3は、光源2から出射された光Lを第1の光L1と第2の光L2とに分離するものである。本実施形態では、光分離素子3として、偏光ビームスプリッタ(以下、偏光ビームスプリッタ3とする。)を用いている。偏光ビームスプリッタ3は、光源2から出射された光Lのうち、P偏光となる第1の光L1を上方(+Z軸方向)側に向けて透過し、S偏光となる第2の光L2を前方(+X軸方向)側に向けて反射する。なお、偏光ビームスプリッタ3については、
図1に示すような平板状のプレートタイプに限らず、2つの直角プリズムを組み合わせたキューブタイプであってもよい。
【0023】
第1の集光光学系4は、第1の光L1を投影光学系7側に向けて第1の集光倍率で集光させるものである。本実施形態では、第1の集光光学系4として、第1の光L1を集光しながら反射する第1のリフレクタ(以下、第1のリフレクタ4とする。)を用いている。
【0024】
第1のリフレクタ4は、その断面形状が楕円線を描くように形成された凹面状の第1の楕円反射面4aを有している。第1の楕円反射面4aは、2つの焦点fp1,fp2を持ち、第1焦点fp1を通過する第1の光L1を第1の集光倍率で第2焦点fp2に集光させる。第1のリフレクタ4は、第1の楕円反射面4aの第1焦点fp1を第1の光L1が入射する側に向けて配置されている。
【0025】
ここで、第1の集光倍率をM1とし、第1焦点fp1から第1の楕円反射面4aまでの距離をaとし、第1の楕円反射面4aから第2焦点fp2までの距離をbとした場合、第1の集光倍率M1は、下記式(1)で表される。
M1=b/a(但し、b>a) …(1)
【0026】
第2の集光光学系5は、第2の光L2を投影光学系7側に向けて第2の集光倍率で集光させるものである。本実施形態では、第2の集光光学系5として、第2の光L2を集光しながら反射する第2のリフレクタ(以下、第2のリフレクタ5とする。)を用いている。
【0027】
第2のリフレクタ5は、その断面形状が楕円線を描くように形成された凹面状の第2の楕円反射面5aを有している。第2の楕円反射面5aは、2つの焦点fs1,fs2を持ち、第1焦点fs1を通過する第2の光L2を第2の集光倍率で第2焦点fs2に集光させる。第2のリフレクタ5は、第2の楕円反射面5aの第1焦点fs1を第2の光L2が入射する側に向けて配置されている。
【0028】
ここで、第2の集光倍率をM2とし、第1焦点fs1から第2の楕円反射面5aまでの距離をa’とし、第2の楕円反射面5aから第2焦点fs2までの距離をb’とした場合、第2の集光倍率M2は、下記式(2)で表される。
M2=b’/a’(但し、b’>a’) …(2)
【0029】
本実施形態の車両用灯具1Aでは、上方(+Z軸方向)側に位置する第1のリフレクタ4と下方(-Z軸方向)側に位置する第2のリフレクタ5とが、互いの楕円反射面4a,5aを向かい合わせた状態で配置されている。また、本実施形態の車両用灯具1Aでは、第2の集光倍率M2よりも第1の集光倍率M1が大きくなるように設定されている(M1>M2)。
【0030】
第3の集光光学系6は、光源2と偏光ビームスプリッタ3との間の光路中に配置された少なくとも1つ又は複数(本実施形態では1つ)のレンズ(以下、集光レンズ6とする。)により構成されている。集光レンズ6は、第1の光L1を第1の楕円反射面4aの第1焦点fp1に向けて集光させると共に、第2の光L2を第2の楕円反射面5aの第1焦点fs1に向けて集光させる。
【0031】
これにより、第1のリフレクタ4により集光される第1の光L1の集光点は、第1の楕円反射面4aの第2焦点fp2に位置することになる。また、第2のリフレクタ5により集光される第2の光L2の集光点は、第2の楕円反射面5aの第2焦点fs2に位置することになる。
【0032】
本実施形態の車両用灯具1Aでは、第1の楕円反射面4aの第2焦点fp2と第2の楕円反射面5aの第2焦点fs2とを互いに一致させている。また、これら第1及び第2の楕円反射面4a,5aの第2焦点fp2,fs2は、投影光学系7の後方側焦点fb又はその近傍に位置している。
【0033】
投影光学系7は、第1のリフレクタ4及び第2のリフレクタ5よりも前方側に配置された少なくとも1つ又は複数(本実施形態では1つ)のレンズ(以下、投影レンズ7とする。)により構成されている。投影レンズ7は、第1のリフレクタ4及び第2のリフレクタ5より集光された第1の光L1及び第2の光L2を前方に向けて投影する。
【0034】
以上のような構成を有する車両用灯具1Aにおいて、投影レンズ7に正対した仮想鉛直スクリーンに対して、投影レンズ7の前方に照射される第1の光L1及び第2の光L2を投影したときの第1の光L1による第1の配光パターンP1及び第2の光L2による第2の配光パターンP2を
図2に示す。
【0035】
なお、
図2は、本実施形態の車両用灯具1Aにおいて、第1の光L1及び第2の光L2によって仮想鉛直スクリーンの面上に形成された第1の配光パターンP1及び第2の配光パターンP2を示す模式図である。
【0036】
本実施形態の車両用灯具1Aでは、第1のリフレクタ(第1の集光光学系)4により集光される第1の光L1の集光点と、第2のリフレクタ(第2の集光光学系)5により集光される第2の光L2の集光点とが、それぞれ投影レンズ7の後方側焦点fbに合わせて調整されている。
【0037】
すなわち、本実施形態の車両用灯具1Aでは、上述した第1の楕円反射面4aの第2焦点fp2と第2の楕円反射面5aの第2焦点fs2とを互いに一致させた状態で、これらの第2焦点fp2,fs2が投影レンズ7の後方側焦点fb又はその近傍に位置している。
【0038】
これにより、投影レンズ7から前方に向けて投影された第1の光L1は、第1の集光倍率M1に応じた第1の配光パターンP1を形成する。一方、投影レンズ7から前方に向けて投影された第2の光L2は、第2の集光倍率M2に応じた第2の配光パターンP2を形成する。
【0039】
ここで、本実施形態では、第1の集光倍率M1が第2の集光倍率M2よりも大きくなっている(M1>M2)。したがって、投影レンズ7から前方に向けて投影された第1及び第2の光L1,L2によって、比較的広い範囲に向けて投影された第1の配光パターンP1の内側に、比較的狭い範囲に向けて投影された第2の配光パターンP2が重なる配光パターンPが形成される。
【0040】
これにより、本実施形態の車両用灯具1Aでは、照射範囲を広げながら、この照射範囲の中央付近に照射される光の照度を高めることができ、車両用前照灯に適した配光パターンPを得ることが可能である。
【0041】
以上のように、本実施形態の車両用灯具1Aでは、第1の光L1を第1の集光倍率M1で集光させる第1のリフレクタ4と、第2の光L2を第2の集光倍率M2で集光させる第2のリフレクタ5と、第1の光L1及び第2の光L2を前方に向けて投影する投影レンズ7とを備え、第1のリフレクタ4により集光される第1の光L1の集光点と、第2のリフレクタ5により集光される第2の光L2の集光点とが、それぞれ投影レンズ7の後方側焦点fb又はその近傍に位置するように調整されている。
【0042】
これにより、本実施形態の車両用灯具1Aでは、第1のリフレクタ4により集光された第1の光L1と、第2のリフレクタ5により集光された第2の光L2とを共通の投影レンズ7により前方に向けて投影することができる。なお且つ、これら第1のリフレクタ4、第2のリフレクタ5及び投影レンズ7をモジュール化することによって、この車両用灯具1Aの小型化を図ることが可能である。
【0043】
また、本実施形態の車両用灯具1Aでは、第1の集光倍率M1で集光された第1の光L1と、第2の集光倍率M2で集光された第2の光L2とを用いて、上述した車両用前照灯に適した配光パターンPを得ることによって、車両前方の視認性を高めることが可能である。
【0044】
また、本実施形態の車両用灯具1Aでは、上述した偏光ビームスプリッタ(光分離素子)3を用いて、光源2から出射された光Lを第1の光L1と第2の光L2とに分離して用いることで、光源2の数を増やすことなく、この車両用灯具1Aの更なる小型化を図ることが可能である。
【0045】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態として、例えば
図3に示す車両用灯具1Bについて説明する。なお、
図3は、車両用灯具1Bの概略構成を示す模式図である。また、以下の説明では、上記車両用灯具1Aと同等の部位については、説明を省略すると共に、図面において同じ符号を付すものとする。
【0046】
本実施形態の車両用灯具1Bは、
図3に示すように、上記車両用灯具1Aの構成に加えて、光源2から出射された光L’の偏光状態を変換する偏光変換素子8を備えた構成となっている。
【0047】
具体的に、この車両用灯具1Bでは、光源2として、偏光した光L’を出射する偏光光源を用いている。偏光光源としては、例えば、レーザー光を出射するLDなどを用いることができる。また、偏光光源としては、上述した無偏光の光Lを出射する光源2と偏光板とを組み合わせたものを用いて偏光した光L’を出射するようにしてもよい。
【0048】
偏光変換素子8は、光源2と偏光ビームスプリッタ3との間の光路中に配置されている。偏光変換素子8としては、例えば、λ/2板や、1/4波長板(λ/4板)、液晶フィルム等の位相差板(光学補償板)などを用いることができる。このような偏光変換素子8を用いることで、光源2から出射された光L’の偏光状態を、変換前とは異なる直線偏光や、円偏光、楕円偏光といった偏光した光L’に変換することができる。
【0049】
本実施形態の車両用灯具1Bでは、偏光変換素子8により変換された光L’の偏光状態に応じて、偏光ビームスプリッタ3により分離される第1の光L1と第2の光L2との割合が調整されている。
【0050】
すなわち、偏光変換素子8では、光源2から出射された光L’の振動方向などの偏光状態を変えることで、上述した偏光ビームスプリッタ3を透過する方向に振動する光(第1の光L1)と、偏光ビームスプリッタ3で反射される方向に振動する光(第2の光L2)との割合を調整することができる。
【0051】
例えば、光源2から出射された直線偏光の光L’を偏光変換素子8により円偏光の光に変換した場合、偏光ビームスプリッタ3で分離される第1の光L1と第2の光L2との割合は、互いに等しくなる。一方、光源2から出射された直線偏光の光L’を偏光変換素子8により楕円偏光の光に変換した場合、偏光ビームスプリッタ3で分離される第1の光L1と第2の光L2との割合は、楕円偏光の傾き角に応じて互いに異なったものとなる。一方、光源2から出射された直線偏光の光L’を偏光変換素子8により変換前とは逆の直線偏光の光に変換した場合、偏光ビームスプリッタ3で第1の光L1と第2の光L2との何れか一方のみを透過又は反射させることができる。
【0052】
また、偏光変換素子8としては、光源2から出射された光L’の偏光状態を可変に制御する可変偏光変換素子(以下、可変偏光変換素子8とする。)を用いてもよい。可変偏光変換素子8としては、例えば、電気的な制御により光源2から出射された光L’の偏光状態を可変に変換する液晶素子やファラデー素子などを用いることができる。また、可変偏光変換素子8としては、上述した位相差板(光学補償板)の光L’の振動方向に対する向きを機械的な駆動により変えることで、光源2から出射された光L’の偏光状態を可変に変換する構成とすることも可能である。
【0053】
本実施形態の車両用灯具1Bでは、このような可変偏光変換素子8により変換された光L’の偏光状態に応じて、偏光ビームスプリッタ3により分離される第1の光L1と第2の光L2との割合を可変に調整することが可能である。
【0054】
以上のような構成を有する車両用灯具1Bにおいて、投影レンズ7に正対した仮想鉛直スクリーンに対して、投影レンズ7の前方に照射される第1の光L1及び第2の光L2を投影したときの第1の光L1による第1の配光パターンP1及び第2の光L2による第2の配光パターンP2を
図4に示す。
【0055】
なお、
図4は、本実施形態の車両用灯具1Bにおいて、第1の光L1及び第2の光L2によって仮想鉛直スクリーンの面上に形成された第1の配光パターンP1及び第2の配光パターンP2を示す模式図である。
【0056】
本実施形態の車両用灯具1Bでは、上記車両用灯具1Aと同様に、投影レンズ7から前方に向けて投影された第1の光L1によって、第1の集光倍率M1に応じた第1の配光パターンP1を形成する。一方、投影レンズ7から前方に向けて投影された第2の光L2によって、第2の集光倍率M2に応じた第2の配光パターンP2を形成する。これにより、比較的広い範囲に向けて投影された第1の配光パターンP1の内側に、比較的狭い範囲に向けて投影された第2の配光パターンP2が重なる配光パターンPが形成される。
【0057】
したがって、本実施形態の車両用灯具1Bでは、上記車両用灯具1Aと同様に、照射範囲を広げながら、この照射範囲の中央付近に照射される光の照度を高めることができ、車両用前照灯に適した配光パターンPを得ることが可能である。
【0058】
また、本実施形態の車両用灯具1Bでは、上述した偏光変換素子8により変換された光L’の偏光状態に応じて、偏光ビームスプリッタ3により分離される第1の光L1と第2の光L2との割合を調整することが可能である。これにより、第1の光L1により形成される第1の配光パターンP1の照度と、第2の光L2により形成される第2の配光パターンP2の照度とを調整することが可能である。
【0059】
さらに、本実施形態の車両用灯具1Bでは、上述した可変偏光変換素子8により偏光ビームスプリッタ3により分離される第1の光L1と第2の光L2との割合を可変に調整することで、第1の配光パターンP1の照度と第2の配光パターンP2の照度とを可変に調整することが可能である。
【0060】
この場合、例えば、高速道路などの高速走行時においては、可変偏光変換素子8により第2の光L2の割合(光量)が増加する方向に調整することで、第2の配光パターンP2の照度が増すことから、遠方に対する視認性に優れた配光パターンPを得ることができる。一方、市街路などの低速走行時においては、可変偏光変換素子8により第1の光L1の割合(光量)が増加する方向に調整することで、第1の配光パターンP1の照度が増すことから、広範囲での視認性に優れた配光パターンPを得ることができる。
【0061】
以上のように、本実施形態の車両用灯具1Bでは、上記車両用灯具1Aと同様の効果を得ることできる。すなわち、第1のリフレクタ4により集光された第1の光L1と、第2のリフレクタ5により集光された第2の光L2とを共通の投影レンズ7により前方に向けて投影することができる。なお且つ、これら第1のリフレクタ4、第2のリフレクタ5及び投影レンズ7をモジュール化することによって、この車両用灯具1Bの小型化を図ることが可能である。
【0062】
また、本実施形態の車両用灯具1Bでは、第1の集光倍率M1で集光された第1の光L1と、第2の集光倍率M2で集光された第2の光L2とを用いて、上述した車両用前照灯に適した配光パターンPを得ることによって、車両前方の視認性を高めることが可能である。
【0063】
また、本実施形態の車両用灯具1Bでは、上述した偏光ビームスプリッタ(光分離素子)3を用いて、光源2から出射された光L’を第1の光L1と第2の光L2とに分離して用いることで、光源2の数を増やすことなく、この車両用灯具1Bの更なる小型化を図ることが可能である。
【0064】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態として、例えば
図5に示す車両用灯具1Cについて説明する。なお、
図5は、車両用灯具1Cの概略構成を示す模式図である。また、以下の説明では、上記車両用灯具1Aと同等の部位については、説明を省略すると共に、図面において同じ符号を付すものとする。
【0065】
本実施形態の車両用灯具1Cは、
図5に示すように、上記車両用灯具1Aの構成に加えて、第1のリフレクタ(第1の集光光学系)4により集光される第1の光L1の一部を遮光(カット)するシェード9を備えた構成となっている。
【0066】
シェード9は、上向き反射面9a及び下向き反射面9bを有する平板状の反射部材からなる。シェード9は、その前端9cが投影レンズ7の後方側焦点fbの近傍に位置して、後方(-X軸方向)側に向かって延長して設けられている。
【0067】
以上のような構成を有する車両用灯具1Cにおいて、投影レンズ7に正対した仮想鉛直スクリーンに対して、投影レンズ7の前方に照射される第1の光L1及び第2の光L2を投影したときの第1の光L1による第1の配光パターンP1及び第2の光L2による第2の配光パターンP2を
図6に示す。
【0068】
なお、
図6は、本実施形態の車両用灯具1Cにおいて、第1の光L1及び第2の光L2によって仮想鉛直スクリーンの面上に形成された第1の配光パターンP1及び第2の配光パターンP2を示す模式図である。
【0069】
本実施形態の車両用灯具1Cでは、上記車両用灯具1Aと同様に、投影レンズ7から前方に向けて投影された第1の光L1によって、第1の集光倍率M1に応じた第1の配光パターンP1を形成する。一方、投影レンズ7から前方に向けて投影された第2の光L2によって、第2の集光倍率M2に応じた第2の配光パターンP2を形成する。
【0070】
また、本実施形態の車両用灯具1Cでは、上述したシェード9により第1のリフレクタ4により反射された第1の光L1の一部を遮光しながら、このシェード9の前端9cによって規定される第1の光L1の像を投影レンズ7により反転投影する。さらに、第1のリフレクタ4により反射された第1の光L1の一部は、シェード9の上向き反射面9aにより前方の斜め上方側に向けて反射された後、投影レンズ7に入射することになる。
【0071】
これにより、投影レンズ7から前方に向けて投影された第1の光L1は、すれ違い用ビーム(ロービーム)として、上端にカットオフラインCLを含むロービーム用配光パターン(第1の配光パターンP1)を形成している。
【0072】
一方、第2のリフレクタ5により反射された第2の光L2の一部は、シェード9の下向き反射面9bにより前方の斜め下方側に向けて反射された後、投影レンズ7に入射することになる。これにより、投影レンズ7から前方に向けて投影された第2の光L2は、走行用ビーム(ハイビーム)として、ロービーム用配光パターンの上方にハイビーム用配光パターン(第2の配光パターンP2)を形成している。
【0073】
したがって、投影レンズ7から前方に向けて投影された第1及び第2の光L1,L2によって、ロービーム用配光パターン(第1の配光パターンP1)の上方にハイビーム用配光パターン(第2の配光パターンP2)が位置する配光パターンPが形成される。
【0074】
ここで、投影レンズ7から路面に向けて投影される第1の光L1及び第2の光L2のうち、第1の光L1は、路面に対してP偏光の光成分がS偏光の光成分よりも多く、第2の光L2は、路面に対してS偏光の光成分がP偏光の光成分よりも多くなっている。この場合、ロービーム用配光パターン(第1の配光パターンP1)を形成するP偏光の光成分(第1の光L1)は、例えば路面が濡れているような状況でも、ブリュースター角の関係から路面からの反射(照り返し)を低く抑えることができる。したがって、このようなロービーム用配光パターン(第1の配光パターンP1)を形成するP偏光の光成分(第1の光L1)によって、路面に対する視認性を高めることが可能である。
【0075】
一方、ハイビーム用配光パターン(第2の配光パターンP2)を形成するS偏光の光成分(第2の光L2)は、対向車へのグレアとなり易いが、車両のフロントガラスに対する入射角がブリュースター角に近いため、通常に比べて反射が大きくなる。これにより、グレアの発生を低く抑えることが可能である。
【0076】
以上のように、本実施形態の車両用灯具1Cでは、上記車両用灯具1Aと同様の効果を得ることできる。すなわち、第1のリフレクタ4により集光された第1の光L1と、第2のリフレクタ5により集光された第2の光L2とを共通の投影レンズ7により前方に向けて投影することができる。なお且つ、これら第1のリフレクタ4、第2のリフレクタ5及び投影レンズ7をモジュール化することによって、この車両用灯具1Cの小型化を図ることが可能である。
【0077】
また、本実施形態の車両用灯具1Cでは、第1の集光倍率M1で集光された第1の光L1と、第2の集光倍率M2で集光された第2の光L2とを用いて、上述した車両用前照灯に適した配光パターンPを得ることによって、車両前方の視認性を高めることが可能である。
【0078】
また、本実施形態の車両用灯具1Cでは、上述した偏光ビームスプリッタ(光分離素子)3を用いて、光源2から出射された光Lを第1の光L1と第2の光L2とに分離して用いることで、光源2の数を増やすことなく、この車両用灯具1Cの更なる小型化を図ることが可能である。
【0079】
また、本実施形態の車両用灯具1Cでは、上述したシェード9を用いて、ロービーム用配光パターン(第1の配光パターンP1)の上方にハイビーム用配光パターン(第2の配光パターンP2)が位置する配光パターンPを形成することが可能である。
【0080】
また、本実施形態の車両用具1Cでは、上記車両用灯具1Bと同様の構成を加えることも可能である。すなわち、本実施形態の車両用具1Cでは、光源2から出射された光L’の偏光状態を可変に変換する可変偏光変換素子8(
図5中の破線で示す。)を備えた構成としてもよい。
【0081】
この場合、可変偏光変換素子8により変換された光L’の偏光状態に応じて、偏光ビームスプリッタ3により分離される第1の光L1と第2の光L2との割合が可変に調整できることから、上述したすれ違い用ビーム(ロービーム)と走行用ビーム(ハイビーム)との切り替えが可能となる。
【0082】
例えば、第1の光L1と第2の光L2との割合を100%:0%とした場合、投影レンズ7から前方に向けて投影された第1の光L1によって、ロービーム用配光パターン(第1の配光パターンP1)を形成することができる。一方、第1の光L1と第2の光L2との割合を50%:50%とした場合、投影レンズ7から前方に向けて投影された第1の光L1及び第2の光L2によって、ロービーム用配光パターン(第1の配光パターンP1)及びハイビーム用配光パターン(第2の配光パターンP2)を形成することができる。これにより、すれ違い用ビーム(ロービーム)と走行用ビーム(ハイビーム)との切り替えが可能となる。
【0083】
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態として、例えば
図7に示す車両用灯具1Dについて説明する。なお、
図7は、車両用灯具1Dの概略構成を示す模式図である。また、以下の説明では、上記車両用灯具1Aと同等の部位については、説明を省略すると共に、図面において同じ符号を付すものとする。
【0084】
本実施形態の車両用灯具1Dは、
図7に示すように、上記車両用灯具1Aの構成に加えて、第2の光L2を第1の光L1と同じ偏光状態の光に変換する1/2波長板(λ/2板)10を備えた構成となっている。
【0085】
1/2波長板10は、偏光ビームスプリッタ3と第2のリフレクタ5との間の光路中に配置されて、第2の光L2をS偏光からP偏光に変換する。これにより、第1の光L1及び第2の光L2の偏光状態を揃える(一致させる)ことが可能である。
【0086】
以上のような構成を有する車両用灯具1Dにおいて、投影レンズ7に正対した仮想鉛直スクリーンに対して、投影レンズ7の前方に照射される第1の光L1及び第2の光L2を投影したときの第1の光L1による第1の配光パターンP1及び第2の光L2による第2の配光パターンP2を
図8に示す。
【0087】
なお、
図8は、本実施形態の車両用灯具1Dにおいて、第1の光L1及び第2の光L2によって仮想鉛直スクリーンの面上に形成された第1の配光パターンP1及び第2の配光パターンP2を示す模式図である。
【0088】
本実施形態の車両用灯具1Dでは、上記車両用灯具1Aと同様に、投影レンズ7から前方に向けて投影された第1の光L1によって、第1の集光倍率M1に応じた第1の配光パターンP1を形成する。一方、投影レンズ7から前方に向けて投影された第2の光L2によって、第2の集光倍率M2に応じた第2の配光パターンP2を形成する。これにより、比較的広い範囲に向けて投影された第1の配光パターンP1の内側に、比較的狭い範囲に向けて投影された第2の配光パターンP2が重なる配光パターンPが形成される。
【0089】
したがって、本実施形態の車両用灯具1Dでは、上記車両用灯具1Aと同様に、照射範囲を広げながら、この照射範囲の中央付近に照射される光の照度を高めることができ、車両用前照灯に適した配光パターンPを得ることが可能である。
【0090】
以上のように、本実施形態の車両用灯具1Dでは、上記車両用灯具1Aと同様の効果を得ることできる。すなわち、第1のリフレクタ4により集光された第1の光L1と、第2のリフレクタ5により集光された第2の光L2とを共通の投影レンズ7により前方に向けて投影することができる。なお且つ、これら第1のリフレクタ4、第2のリフレクタ5及び投影レンズ7をモジュール化することによって、この車両用灯具1Dの小型化を図ることが可能である。
【0091】
また、本実施形態の車両用灯具1Dでは、第1の集光倍率M1で集光された第1の光L1と、第2の集光倍率M2で集光された第2の光L2とを用いて、上述した車両用前照灯に適した配光パターンPを得ることによって、車両前方の視認性を高めることが可能である。
【0092】
また、本実施形態の車両用灯具1Dでは、上述した偏光ビームスプリッタ(光分離素子)3を用いて、光源2から出射された光Lを第1の光L1と第2の光L2とに分離して用いることで、光源2の数を増やすことなく、この車両用灯具1Dの更なる小型化を図ることが可能である。
【0093】
また、本実施形態の車両用灯具1Dでは、上述した1/2波長板10により第1の光L1及び第2の光L2の偏光状態を揃える(一致させる)ことによって、例えば、路面に対して第1の光L1及び第2の光L2をP偏光の光とした場合、路面が濡れているような状況でも、ブリュースター角の関係から路面からの反射(照り返し)を低く抑えることができる。したがって、このようなP偏光の光(第1の光L1及び第2の光L2)によって、路面に対する視認性を高めることが可能である。
【0094】
(第5の実施形態)
次に、本発明の第5の実施形態として、例えば
図9に示す車両用灯具1Eについて説明する。なお、
図9は、車両用灯具1Eの概略構成を示す模式図である。また、以下の説明では、上記車両用灯具1Dと同等の部位については、説明を省略すると共に、図面において同じ符号を付すものとする。
【0095】
本実施形態の車両用灯具1Eは、
図9に示すように、上記車両用灯具1Dの構成に加えて、投影レンズ7により投影される第1の光L1及び第2の光L2の像を形成する画像形成素子11を備えた構成となっている。
【0096】
画像形成素子11は、投影レンズ7の後方側焦点fbに合わせて配置されている。画像形成素子11としては、例えば、液晶表示素子(LCD)を用いることができる。液晶表示素子については、セグメント方式であっても、ドットマトリックス方式であってもよい。また、本実施形態では、透過型の液晶表示素子を用いているが、反射型の液晶表示素子を用いることも可能である。画像形成素子11では、このような液晶表示素子により形成される画像に合わせて、投影レンズ7から前方に向けて投影される第1の光L1及び第2の光L2の配光を可変に制御することが可能である。
【0097】
なお、画像形成素子11については、上述した液晶表示素子以外にも、例えば、デジタルミラーデバイス(DMD)などを用いることができる。本実施形態では、比較的安価で信頼性の高い液晶表示素子を用いている。一方、DMDを使用する場合は、このDMDに入射する光Lを偏光方向が揃った偏光した光L’とする必要がないため、1/2波長板10が不要となる。さらに、偏光ビームスプリッタ3を省略することができる。
【0098】
以上のような構成を有する車両用灯具1Eにおいて、投影レンズ7に正対した仮想鉛直スクリーンに対して、投影レンズ7の前方に照射される第1の光L1及び第2の光L2を投影したときの第1の光L1による第1の配光パターンP1及び第2の光L2による第2の配光パターンP2を
図10に示す。
【0099】
なお、
図10は、本実施形態の車両用灯具1Eにおいて、第1の光L1及び第2の光L2によって仮想鉛直スクリーンの面上に形成された第1の配光パターンP1及び第2の配光パターンP2を示す模式図である。
【0100】
本実施形態の車両用灯具1Eでは、上記車両用灯具1Aと同様に、投影レンズ7から前方に向けて投影された第1の光L1によって、第1の集光倍率M1に応じた第1の配光パターンP1を形成する。一方、投影レンズ7から前方に向けて投影された第2の光L2によって、第2の集光倍率M2に応じた第2の配光パターンP2を形成する。これにより、比較的広い範囲に向けて投影された第1の配光パターンP1の内側に、比較的狭い範囲に向けて投影された第2の配光パターンP2が重なる配光パターンPが形成される。
【0101】
したがって、本実施形態の車両用灯具1Eでは、上記車両用灯具1Aと同様に、照射範囲を広げながら、この照射範囲の中央付近に照射される光の照度を高めることができ、車両用前照灯に適した配光パターンPを得ることが可能である。
【0102】
また、本実施形態の車両用灯具1Eでは、上述した画像形成素子11により形成された画像に合わせて、この画像形成素子11を通過する第1及び第2の光L1,L2の配光を切り替える。これにより、投影レンズ7から前方に向けて投影された第1及び第2の光L1,L2は、ADB用ビームとして、ADB用配光パターン(配光パターンP)を形成する。例えば、本実施形態では、配光パターンP(第1及び第2の配光パターンP1,P2)の一部を遮光したADB用配光パターンを形成している。また、画像形成素子11により形成される画像を切り替えることによって、このADB用配光パターン(配光パターンP)の配光を可変に制御することが可能である。
【0103】
以上のように、本実施形態の車両用灯具1Eでは、上記車両用灯具1Aと同様の効果を得ることできる。すなわち、第1のリフレクタ4により集光された第1の光L1と、第2のリフレクタ5により集光された第2の光L2とを共通の投影レンズ7により前方に向けて投影することができる。なお且つ、これら第1のリフレクタ4、第2のリフレクタ5及び投影レンズ7をモジュール化することによって、この車両用灯具1Eの小型化を図ることが可能である。
【0104】
また、本実施形態の車両用灯具1Eでは、第1の集光倍率M1で集光された第1の光L1と、第2の集光倍率M2で集光された第2の光L2とを用いて、上述した車両用前照灯に適した配光パターンPを得ることによって、車両前方の視認性を高めることが可能である。
【0105】
また、本実施形態の車両用灯具1Eでは、上述した偏光ビームスプリッタ(光分離素子)3を用いて、光源2から出射された光Lを第1の光L1と第2の光L2とに分離して用いることで、光源2の数を増やすことなく、この車両用灯具1Eの更なる小型化を図ることが可能である。
【0106】
また、本実施形態の車両用灯具1Eでは、上述した画像形成素子11により形成される画像を切り替えることによって、ADB用配光パターン(配光パターンP)の配光を可変に制御することが可能である。
【0107】
また、本実施形態の車両用具1Eでは、上記車両用灯具1Bと同様の構成を加えることも可能である。すなわち、本実施形態の車両用具1Eでは、光源2から出射された光L’の偏光状態を可変に変換する可変偏光変換素子8(
図9中に破線で示す。)を備えた構成としてもよい。
【0108】
この場合、可変偏光変換素子8により変換された光L’の偏光状態に応じて、偏光ビームスプリッタ3により分離される第1の光L1と第2の光L2との割合が可変に調整できることから、上述した第1の配光パターンP1の照度と第2の配光パターンP2の照度とを可変に調整することが可能である。
【0109】
(第6の実施形態)
次に、本発明の第6の実施形態として、例えば
図11に示す車両用灯具1Fについて説明する。なお、
図11は、車両用灯具1Fの概略構成を示す模式図である。また、以下の説明では、上記車両用灯具1C,1D,1Eと同等の部位については、説明を省略すると共に、図面において同じ符号を付すものとする。
【0110】
本実施形態の車両用灯具1Fは、
図11に示すように、上記車両用灯具1C,1D,1Eを組み合わせた構成となっている。すなわち、この車両用灯具1Fは、上記車両用灯具1Aの構成に加えて、シェード9、1/2波長板10及び画像形成素子11を備えた構成となっている。このうち、シェード9は、その前端9cと画像形成素子11(投影レンズ7の後方側焦点fb)との間に隙間Gを設けて配置されている。
【0111】
以上のような構成を有する車両用灯具1Fにおいて、投影レンズ7に正対した仮想鉛直スクリーンに対して、投影レンズ7の前方に照射される第1の光L1及び第2の光L2を投影したときの第1の光L1による第1の配光パターンP1及び第2の光L2による第2の配光パターンP2を
図12に示す。
【0112】
なお、
図12は、本実施形態の車両用灯具1Fにおいて、第1の光L1及び第2の光L2によって仮想鉛直スクリーンの面上に形成された第1の配光パターンP1及び第2の配光パターンP2を示す模式図である。
【0113】
本実施形態の車両用灯具1Fでは、上記車両用灯具1Aと同様に、投影レンズ7から前方に向けて投影された第1の光L1によって、第1の集光倍率M1に応じた第1の配光パターンP1を形成する。一方、投影レンズ7から前方に向けて投影された第2の光L2によって、第2の集光倍率M2に応じた第2の配光パターンP2を形成する。
【0114】
また、本実施形態の車両用灯具1Fでは、上述したシェード9により第1のリフレクタ4により反射された第1の光L1の一部を遮光しながら、このシェード9の前端9cによって規定される第1の光L1の像を投影レンズ7により反転投影する。また、第1のリフレクタ4により反射された第1の光L1の一部は、シェード9の上向き反射面9aにより前方の斜め上方側に向けて反射された後、投影レンズ7に入射することになる。
【0115】
これにより、投影レンズ7から前方に向けて投影された第1の光L1は、すれ違い用ビーム(ロービーム)として、上端にカットオフラインCLを含むロービーム用配光パターン(第1の配光パターンP1)を形成している。
【0116】
一方、第2のリフレクタ5により反射された第2の光L2の一部は、シェード9の下向き反射面9bにより前方の斜め下方側に向けて反射された後、投影レンズ7に入射することになる。これにより、投影レンズ7から前方に向けて投影された第2の光L2は、走行用ビーム(ハイビーム)として、ロービーム用配光パターンの上方にハイビーム用配光パターン(第2の配光パターンP2)を形成している。
【0117】
したがって、投影レンズ7から前方に向けて投影された第1及び第2の光L1,L2によって、ロービーム用配光パターン(第1の配光パターンP1)の上方にハイビーム用配光パターン(第2の配光パターンP2)が位置する配光パターンPが形成される。
【0118】
ここで、シェード9は厚みを有するため、ロービーム用配光パターン(第1の配光パターンP1)のカットオフラインCLと、ハイビーム用配光パターン(第2の配光パターンP2)との間には、このシェード9の厚みに応じた暗部(光が照射されない領域)が発生することがある。
【0119】
そこで、本実施形態の車両用灯具1Fでは、上述したシェード9の前端9cと画像形成素子11との間に隙間Gを設けて、第1のリフレクタ4により反射された第1の光L1の一部と、第2のリフレクタ5により反射された第2の光L2の一部とが、この隙間Gを通過するようにする。これにより、ロービーム用配光パターン(第1の配光パターンP1)のカットオフラインCLと、ハイビーム用配光パターン(第2の配光パターンP2)とを上下方向において重ね合わせることができ、シェード9の厚みに応じた暗部が生じるのを防ぐことが可能である。
【0120】
また、本実施形態の車両用灯具1Fでは、シェード9の前端9cが投影レンズ7の後方側焦点fbから離れ過ぎると、明瞭なカットオフラインCLを形成できなくなる。これに対して、画像形成素子11を用いて、このカットオフラインCLに対応した画像を形成する。これにより、明瞭なカットオフラインCLを含むロービーム用配光パターン(第1の配光パターンP1)を形成することが可能である。
【0121】
以上のように、本実施形態の車両用灯具1Fでは、上記車両用灯具1Aと同様の効果を得ることできる。すなわち、第1のリフレクタ4により集光された第1の光L1と、第2のリフレクタ5により集光された第2の光L2とを共通の投影レンズ7により前方に向けて投影することができる。なお且つ、これら第1のリフレクタ4、第2のリフレクタ5及び投影レンズ7をモジュール化することによって、この車両用灯具1Fの小型化を図ることが可能である。
【0122】
また、本実施形態の車両用灯具1Fでは、第1の集光倍率M1で集光された第1の光L1と、第2の集光倍率M2で集光された第2の光L2とを用いて、上述した車両用前照灯に適した配光パターンPを得ることによって、車両前方の視認性を高めることが可能である。
【0123】
また、本実施形態の車両用灯具1Fでは、上述した偏光ビームスプリッタ(光分離素子)3を用いて、光源2から出射された光Lを第1の光L1と第2の光L2とに分離して用いることで、光源2の数を増やすことなく、この車両用灯具1Fの更なる小型化を図ることが可能である。
【0124】
また、本実施形態の車両用灯具1Fでは、上述したシェード9、1/2波長板10及び画像形成素子11を用いて、ロービーム用配光パターン(第1の配光パターンP1)の上方にハイビーム用配光パターン(第2の配光パターンP2)が重なるように位置する良好な配光パターンPを形成することが可能である。
【0125】
また、本実施形態の車両用具1Fでは、上記車両用灯具1Bと同様の構成を加えることも可能である。すなわち、本実施形態の車両用具1Fでは、光源2から出射された光L’の偏光状態を可変に変換する可変偏光変換素子8(
図11中に破線で示す。)を備えた構成としてもよい。
【0126】
この場合、可変偏光変換素子8により変換された光L’の偏光状態に応じて、偏光ビームスプリッタ3により分離される第1の光L1と第2の光L2との割合が可変に調整できることから、上述した第1の配光パターンP1の照度と第2の配光パターンP2の照度とを可変に調整することが可能である。
【0127】
なお、本発明は、上記実施形態のものに必ずしも限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記実施形態では、光分離素子3として、偏光ビームスプリッタ3を用いた構成となっているが、ハーフミラーを用いて、光源2から出射された光L(L’)を第1の光L1と第2の光L2とに分離する構成としてもよい。
【0128】
また、上記実施形態では、第1の集光光学系4及び第2の集光光学系5として、第1のリフレクタ4及び第2のリフレクタ5を用いた構成となっているが、少なくとも1つ又は複数のレンズを用いて、第1の光L1及び第2の光L2を投影レンズ側に向けて集光させる構成としてもよい。
【0129】
また、上記実施形態では、第2の集光倍率M2よりも第1の集光倍率M1が大きくなっている(M1>M2)が、それとは逆に、第1の集光倍率M1よりも第2の集光倍率M2を大きくすることも可能である(M2>M1)。さらに、第1の集光倍率M1と第2の集光倍率M2とを等しくすることも可能である(M1=M2)。
【0130】
また、上記実施形態では、光源2と集光レンズ(第3の集光光学系)6とが別体に構成されているが、これら光源2と集光レンズ(第3の集光光学系)6とが一体に構成されていてもよい。
【0131】
また、上記実施形態では、上記集光レンズ(第3の集光光学系)6の代わりに、光源2から出射された光L(L’)を平行化するコリメートレンズ(コリメート光学系)を用いた構成とすることも可能である。この構成の場合、第1及び第2のリフレクタ4,5では、上述した楕円反射面4a,5bの代わりに、それぞれ断面形状が放物線を描くように形成された凹面状の放物反射面とすることが好ましい。
【0132】
なお、上記実施形態では、上述した車両用前照灯(ヘッドランプ)に本発明を適用した場合を例示したが、本発明が適用される車両用灯具については、上述したフロント側の車両用灯具に限らず、例えばリアコンビネーションランプなどのリア側の車両用灯具に本発明を適用することも可能である。また、光源が発する光の色については、上述した白色光に限らず、赤色光や橙色光など、その光源の用途に応じて適宜変更することも可能である。
【符号の説明】
【0133】
1A~1F…車両用灯具 2…光源 3…光分離素子(偏光ビームスプリッタ) 4…第1の集光光学系(第1のリフレクタ) 4a…第1の楕円反射面 fp1…第1の楕円反射面の第1焦点 fp2…第1の楕円反射面の第2焦点 5…第2の集光光学系(第2のリフレクタ) 5a…第2の楕円反射面 fs1…第2の楕円反射面の第1焦点 fs2…第2の楕円反射面の第2焦点 6…第3の集光光学系(集光レンズ) 7…投影光学系(投影レンズ) fs…投影光学系の後方側焦点 8…偏光変換素子(可変偏光変換素子) 9…シェード 10…1/2波長板 11…画像形成素子 L…光 L1…第1の光 L2…第2の光 P1…第1の配光パターン P2…第2の配光パターン