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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-22
(45)【発行日】2022-03-30
(54)【発明の名称】車両用スライドレール装置
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/90 20180101AFI20220323BHJP
   B60N 2/06 20060101ALI20220323BHJP
【FI】
B60N2/90
B60N2/06
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018068956
(22)【出願日】2018-03-30
(65)【公開番号】P2019177810
(43)【公開日】2019-10-17
【審査請求日】2021-03-23
(73)【特許権者】
【識別番号】590001164
【氏名又は名称】シロキ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井土 耕平
(72)【発明者】
【氏名】谷口 貢
【審査官】望月 寛
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-104798(JP,A)
【文献】特開2015-067137(JP,A)
【文献】特開2011-201435(JP,A)
【文献】特開平09-002109(JP,A)
【文献】特開平11-129789(JP,A)
【文献】実開平05-003023(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/00 - 2/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロアレールと、
前記ロアレールの長手方向に移動可能に前記ロアレールに取り付けられ、第1の壁と、前記第1の壁から第1の方向に並行に延びる二つの第2の壁と、前記第1の方向における前記第2の壁の端部に接続されるとともに前記二つの第2の壁から遠ざかる方向に延びる第3の壁と、前記第3の壁に接続されるとともに前記第3の壁が延びる方向と交差する方向に延びる第4の壁と、を有するアッパレールと、
前記長手方向における前記アッパレールの端部を覆うカバーと、前記カバーから突出する第1の突出部と、を有するエンドキャップと、
を具備し、
前記第1の突出部は、前記第3の壁及び前記第4の壁のうち一方に間隔を介して面する基面と、前記基面から前記第3の壁及び前記第4の壁のうち前記一方に向かって突出する第1の突起と、を有し、
前記エンドキャップは、前記第1の突起が前記第3の壁及び前記第4の壁のうち前記一方に接触する状態で、前記アッパレールに取り付けられた、
車両用スライドレール装置。
【請求項2】
前記第1の突起の一部が、前記第3の壁及び前記第4の壁のうち前記一方が延びる方向における前記基面の中央に位置する、請求項1の車両用スライドレール装置。
【請求項3】
前記アッパレールは、前記第3の壁と前記第4の壁とを接続する接続部を有し、
前記第3の壁は、前記第1の方向の反対の第2の方向に向かうに従って前記二つの第2の壁から遠ざかる方向に延び、
前記第4の壁は、前記第2の方向に向かうに従って前記二つの第2の壁に近づく方向に延び、
前記エンドキャップは、前記第1の突出部が前記第3の壁及び前記第4の壁のそれぞれに接触するとともに前記接続部から離間する状態で、前記アッパレールに取り付けられた、
請求項1又は請求項2の車両用スライドレール装置。
【請求項4】
前記エンドキャップは、前記カバーから突出する第2の突出部をさらに有し、
前記第4の壁は、当該第4の壁が延びる第3の方向における端面を有し、前記第1の突出部と前記第2の突出部との間に位置し、
前記端面は、前記第3の方向における前記第2の突出部の端部に対し、前記第3の方向において同一位置にあり、又は前記第3の方向の反対の第4の方向に離れる、
請求項1乃至請求項3のいずれか一つの車両用スライドレール装置。
【請求項5】
前記エンドキャップは、前記カバーから突出して前記第1の壁と前記二つの第2の壁とに囲まれる第3の突出部と、前記第3の突出部から前記二つの第2の壁のうち一方に向かって突出する第2の突起と、を有し、前記第2の突起が前記二つの第2の壁のうち前記一方に接触した状態で、前記アッパレールに取り付けられる、
請求項1乃至請求項4のいずれか一つの車両用スライドレール装置。
【請求項6】
前記第1の壁と前記二つの第2の壁とに囲まれて前記長手方向に延びるスクリューロッドをさらに具備し、
前記アッパレールは、前記スクリューロッドが回転することで前記ロアレールに対して前記長手方向に移動し、
前記エンドキャップは、前記カバーから突出し、前記長手方向における前記スクリューロッドの端部を支持する支持部を有する、
請求項1乃至請求項5のいずれか一つの車両用スライドレール装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、車両用スライドレール装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両のフロアに設けられるロアレールと、シートに固定されるとともにロアレールに対し移動可能に取り付けられるアッパレールとを備える車両用スライドレール装置が知られる。長手方向におけるアッパレールの端部は、エンドキャップにより保護される(特許文献1)。
【0003】
エンドキャップに振動のような外力が作用すると、アッパレールに対するエンドキャップのがたつきが生じることがある。このようながたつきを抑制するため、エンドキャップは、アッパレールにより形成された空間に長手方向に挿入され、当該空間内でアッパレールに密着する部分を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-067134号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の構成では、エンドキャップは、上記空間内でアッパレールに密着しながら当該アッパレールに取り付けられる。このため、エンドキャップとアッパレールとの間の摩擦が大きく、エンドキャップをアッパレールに取り付ける際に手間がかかる。
【0006】
そこで、本発明は上記に鑑みてなされたものであり、がたつきが少ないエンドキャップをアッパレールに容易に取り付け可能な車両用スライドレール装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態に係る車両用スライドレール装置は、一例として、ロアレールと、前記ロアレールの長手方向に移動可能に前記ロアレールに取り付けられ、第1の壁と、前記第1の壁から第1の方向に並行に延びる二つの第2の壁と、前記第1の方向における前記第2の壁の端部に接続されるとともに前記二つの第2の壁から遠ざかる方向に延びる第3の壁と、前記第3の壁に接続されるとともに前記第3の壁が延びる方向と交差する方向に延びる第4の壁と、を有するアッパレールと、前記長手方向における前記アッパレールの端部を覆うカバーと、前記カバーから突出する第1の突出部と、を有するエンドキャップと、を備え、前記第1の突出部は、前記第3の壁及び前記第4の壁のうち一方に間隔を介して面する基面と、前記基面から前記第3の壁及び前記第4の壁のうち前記一方に向かって突出する第1の突起と、を有し、前記エンドキャップは、前記第1の突起が前記第3の壁及び前記第4の壁のうち前記一方に接触する状態で、前記アッパレールに取り付けられる。よって、一例としては、第1の突出部と第3の壁及び第4の壁のうち前記一方との接触面積を低減することができ、エンドキャップをアッパレールに容易に取り付けることができる。さらに、第1の突起は、基面から突出する第1の突出部の一部分であるため、例えば基面よりも変形しやすい。このような第1の突起が第3の壁及び第4の壁のうち前記一方に接触するため、第1の突起が圧縮により弾性変形することで、エンドキャップとアッパレールとが押圧力を伴って密接することができる。このため、アッパレールに対するエンドキャップのがたつきが低減される。
【0008】
上記車両用スライドレール装置では、一例として、前記第1の突起の一部が、前記第3の壁及び前記第4の壁のうち前記一方が延びる方向における前記基面の中央に位置する。よって、一例としては、第3の壁及び第4の壁のうち前記一方に対し、基面が傾いていたとしても、第1の突起が第3の壁及び第4の壁のうち前記一方に接触できる。
【0009】
上記車両用スライドレール装置では、一例として、前記アッパレールは、前記第3の壁と前記第4の壁とを接続する接続部を有し、前記第3の壁は、前記第1の方向の反対の第2の方向に向かうに従って前記二つの第2の壁から遠ざかる方向に延び、前記第4の壁は、前記第2の方向に向かうに従って前記二つの第2の壁に近づく方向に延び、前記エンドキャップは、前記第1の突出部が前記第3の壁及び前記第4の壁のそれぞれに接触するとともに前記接続部から離間する状態で、前記アッパレールに取り付けられる。よって、一例としては、第1の突出部が接続部に向かって第3の壁と第4の壁との間に楔状に入り込むことで第1の突起が圧縮され、エンドキャップとアッパレールとが押圧力を伴って密接することができる。従って、アッパレールに対するエンドキャップのがたつきが低減される。
【0010】
上記車両用スライドレール装置では、一例として、前記エンドキャップは、前記カバーから突出する第2の突出部をさらに有し、前記第4の壁は、当該第4の壁が延びる第3の方向における端面を有し、前記第1の突出部と前記第2の突出部との間に位置し、前記端面は、前記第3の方向における前記第2の突出部の端部に対し、前記第3の方向において同一位置にあり、又は前記第3の方向の反対の第4の方向に離れる。よって、一例としては、第4の壁の端面の角が第2の突出部によって覆われ、車両用スライドレール装置の見栄えが良くなる。
【0011】
上記車両用スライドレール装置では、一例として、前記エンドキャップは、前記カバーから突出して前記第1の壁と前記二つの第2の壁とに囲まれる第3の突出部と、前記第3の突出部から前記二つの第2の壁のうち一方に向かって突出する第2の突起と、を有し、前記第2の突起が前記二つの第2の壁のうち前記一方に接触した状態で、前記アッパレールに取り付けられる。よって、一例としては、第2の突出部と第2の壁との接触面積を低減することができ、エンドキャップをアッパレールに容易に取り付けることができる。
【0012】
上記車両用スライドレール装置では、一例として、前記第1の壁と前記二つの第2の壁とに囲まれて前記長手方向に延びるスクリューロッドをさらに具備し、前記アッパレールは、前記スクリューロッドが回転することで前記ロアレールに対して前記長手方向に移動し、前記エンドキャップは、前記カバーから突出し、前記長手方向における前記スクリューロッドの端部を支持する支持部を有する。よって、一例としては、スクリューロッドの回転が生じても、アッパレールに対するエンドキャップのがたつきが低減される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、第1の実施形態のシート装置を概略的に示す例示的な斜視図である。
図2図2は、第1の実施形態のスライドレール装置を示す例示的な断面図である。
図3図3は、第1の実施形態のロアレール及びアッパレールを概略的に示す例示的な断面図である。
図4図4は、第1の実施形態のエンドキャップを示す例示的な斜視図である。
図5図5は、第1の実施形態のエンドキャップを示す例示的な正面図である。
図6図6は、第1の実施形態のエンドキャップの一部及びアッパレールの一部を示す例示的な断面図である。
図7図7は、第1の実施形態のエンドキャップの他の一部及びアッパレールの他の一部を示す例示的な断面図である。
図8図8は、第1の実施形態のエンドキャップの他の一部及び返し壁を示す例示的な斜視図である。
図9図9は、第2の実施形態に係るエンドキャップの一部及びアッパレールの一部を示す例示的な断面図である。
図10図10は、第2の実施形態のエンドキャップの他の一部及びアッパレールの他の一部を示す例示的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1の実施形態)
以下に、第1の実施形態について、図1乃至図8を参照して説明する。なお、本明細書においては基本的に、鉛直上方を上方向、鉛直下方を下方向と定義する。また、本明細書において、実施形態に係る構成要素及び当該要素の説明について、複数の表現が記載されることがある。複数の表現がされた構成要素及び説明は、記載されていない他の表現がされても良い。さらに、複数の表現がされない構成要素及び説明も、記載されていない他の表現がされても良い。
【0015】
図1は、第1の実施形態のシート装置10を概略的に示す例示的な斜視図である。シート装置10は、四輪自動車のような車両1に搭載され、スライドレール装置11と、シート12とを有する。シート12は、シートクッション12aと、当該シートクッション12aに対して回動可能に取り付けられたシートバック12bとを有する。
【0016】
各図面に示されるように、本明細書において、X軸、Y軸及びZ軸が定義される。X軸とY軸とZ軸とは、互いに直交する。X軸は、車両1の左右方向に沿う。Y軸は、車両1の前後方向に沿う。Z軸は、車両1の上下方向に沿う。
【0017】
本実施形態におけるスライドレール装置11は、いわゆるパワーシートスライド装置である。なお、スライドレール装置11はこの例に限られず、手動でシート12の位置を調整可能な装置であっても良い。スライドレール装置11は、二つのロアレール21と、二つのアッパレール22とを有する。
【0018】
ロアレール21は、Y軸方向(車両1の前後方向)に延びるように、図1の車両1のフロア1aに取り付けられる。すなわち、本実施形態において、ロアレール21の長手方向は、車両1の前後方向に等しい。Y軸方向は、Y軸の正方向(Y軸の矢印が示す方向、前方向)と、Y軸の負方向(Y軸の矢印の反対方向、後方向)とを含む。
【0019】
二つのロアレール21は、X軸方向(車両1の左右方向)に互いに離間して配置される。本実施形態において、ロアレール21の幅方向は、車両1の左右方向に等しい。X軸方向は、X軸の正方向(X軸の矢印が示す方向、左方向)と、X軸の負方向(X軸の矢印の反対方向、右方向)とを含む。
【0020】
アッパレール22は、Y軸方向に延びるとともに、Y軸方向にスライド移動可能に、ロアレール21に取り付けられる。例えば、ロアレール21とアッパレール22との間に転動体が配置されることで、アッパレール22はロアレール21に対して滑らかに移動可能である。
【0021】
二つのアッパレール22は、シート12を支持する。例えば、アッパレール22は、シートクッション12aを昇降させる昇降装置及びシートクッション12aを傾けるチルト装置を介して、シート12に取り付けられる。シート装置10は、シートクッション12aに対してシートバック12bを回動させるリクライニング装置をさらに有しても良い。
【0022】
図2は、第1の実施形態のスライドレール装置11を示す例示的な断面図である。図2に示すように、スライドレール装置11は、エンドキャップ24と、スクリューロッド25と、ナット部材26と、ナットハウジング27と、二つのボルト28と、ギヤボックス29とをさらに有する。スクリューロッド25は、スクリューの一例である。
【0023】
エンドキャップ24は、例えば、ポリアセタール(POM)のような合成樹脂によって作られる。なお、エンドキャップ24は、他の材料によって作られても良い。エンドキャップ24は、アッパレール22の後端22aに取り付けられる。後端22aは、Y軸の負方向におけるアッパレール22の端部である。
【0024】
スクリューロッド25は、Y軸方向に延び、雄ネジ部25aと、セレーション部25bと、被支持部25cとを有する。雄ネジ部25aは、例えば転造により雄ネジが形成された部分である。セレーション部25bは、スクリューロッド25のY軸の正方向における端部に設けられ、セレーションが形成される。被支持部25cは、スクリューロッド25のY軸の負方向における端部に設けられ、略円柱状に形成される。被支持部25cは、スクリューロッド25の中心軸まわりに回転可能にエンドキャップ24に支持される。
【0025】
ナット部材26に、ネジ孔26aが設けられる。ネジ孔26aは、Y軸方向にナット部材26を貫通し、内周面に雌ネジが設けられる。スクリューロッド25の雄ネジ部25aがネジ孔26aに嵌められる。
【0026】
ナットハウジング27は、ナット部材26を収容し、ナット部材26がY軸方向に移動することを制限する。ナットハウジング27とナット部材26との間の隙間には、ゴムシートのような振動を緩和する部材が設けられても良い。
【0027】
ナットハウジング27に、二つの貫通孔27aと二つのネジ孔27bとが設けられる。貫通孔27aは、ナット部材26のネジ孔26aに連通する。ネジ孔27bは、ロアレール21に向かって開く。
【0028】
ボルト28は、ロアレール21に設けられた貫通孔21aを通り、ナットハウジング27のネジ孔27bに嵌められる。これにより、ナット部材26は、ナットハウジング27に収容された状態でロアレール21に固定される。
【0029】
ギヤボックス29は、アッパレール22の前端22bの近傍において、アッパレール22に取り付けられる。前端22bは、Y軸の正方向におけるアッパレール22の端部である。
【0030】
ギヤボックス29は、例えば、回転方向が互いに異なる第1の歯車及び第2の歯車を有し、回転方向を変換する方向転換装置である。方向変換装置は、例えば、ウォームとウォームホイールとを有する歯車減速機構や歯車増速機構を含む。第1の歯車の内周面にセレーションが形成される。第1の歯車のセレーションとスクリューロッド25のセレーション部25bとが嵌り合うことで、第1の歯車とスクリューロッド25とは、一体回転可能となる。
【0031】
例えばモータにより、ギヤボックス29の第2の歯車が回転駆動される。第2の歯車の回転は、第1の歯車を介してスクリューロッド25に伝達され、スクリューロッド25が回転する。スクリューロッド25が回転することで、互いに嵌り合う雄ネジ部25a及びナット部材26のネジ孔26aによりスクリューロッド25がY軸方向に送られ、アッパレール22がロアレール21に対してY軸方向に移動する。
【0032】
図3は、第1の実施形態のロアレール21及びアッパレール22を概略的に示す例示的な断面図である。図3に示すように、アッパレール22は、上壁31と、二つの側壁32と、二つの返し壁33とを有する。上壁31は、第1の壁の一例である。側壁32は、第2の壁の一例である。
【0033】
アッパレール22は、Y軸方向に延びる略矩形(四角形)状の金属板を曲げることにより形成される。このため、上壁31、二つの側壁32、及び二つの返し壁33は、一体に作られ、略均一な厚さを有する。なお、アッパレール22はこの例に限らず、例えば、ロール成形、付加造形、又は他の製造方法によって作られても良い。
【0034】
上壁31は、X-Y平面上に広がるとともにY軸方向に延びる略矩形(四角形)状の壁である。二つの側壁32は、上壁31のX軸方向の両端から、Z軸の負方向(Z軸の矢印の反対方向、下方向)に延びる。二つの側壁32はそれぞれ、Y-Z平面上に広がるとともにY軸方向に延びる略矩形状の壁である。すなわち、二つの側壁32は、上壁31から並行に延びる。Z軸の負方向は、第1の方向の一例である。
【0035】
上壁31と二つの側壁32は、アッパレール22の内部空間34を囲む。内部空間34は、Z軸の負方向と、Y軸方向とに開放された空間である。図2に示すように、スクリューロッド25は、内部空間34に配置される。このため、スクリューロッド25は、上壁31と二つの側壁32に囲まれてY軸方向に延びる。
【0036】
上壁31は、内面31aと、外面31bとを有する。内面31aは、Z軸の負方向に向く略平坦な面であり、内部空間34の内側に向く。外面31bは、内面31aの反対側に位置し、Z軸の正方向(Z軸の矢印が示す方向、上方向)に向く略平坦な面である。外面31bは、例えば、シート12を支持する。
【0037】
側壁32はそれぞれ、内面32aと、外面32bとを有する。内面32aは、X軸の正方向又は負方向に向く略平坦な面であり、内部空間34の内側に向く。外面32bは、内面32aの反対側に位置し、X軸の負方向又は正方向に向く略平坦な面である。上壁31の内面31aと二つの側壁32の内面32aとが、内部空間34を形成(規定)する。
【0038】
返し壁33は、Z軸の負方向における側壁32の端部から折り返され、Y軸方向に延びるとともにZ軸の正方向及びY軸方向に開放された略筒状に形成される。なお、返し壁33の形状はこの例に限られない。
【0039】
二つの返し壁33はそれぞれ、第1の延部41と、第2の延部43と、接続部44とを有する。第1の延部41は、第3の壁の一例である。第2の延部43は、第4の壁の一例である。
【0040】
第1の延部41は、Z軸の負方向における側壁32の端部に接続される。なお、第1の延部41は、Z軸の負方向における側壁32の端部に他の部分を介して間接的に接続されても良い。
【0041】
第1の延部41は、Z軸の正方向に向かうに従って二つの側壁32から遠ざかる方向に延びる。Z軸の正方向は、Z軸の負方向の反対方向であり、第2の方向の一例である。別の表現によれば、第1の延部41は、Z軸の正方向に向かうに従って内部空間34から遠ざかる方向に延びる。例えば、図3において、右側の返し壁33の第1の延部41は右斜め上方向に延び、左側の返し壁33の第1の延部41は左斜め上方向に延びる。
【0042】
二つの側壁32から遠ざかる方向は、Z軸の正方向に向かうに従って二つの側壁32から遠ざかる方向に限られない。二つの側壁32から遠ざかる方向は、例えば、Z軸の負方向に向かうに従って二つの側壁32から遠ざかる方向(例えば、図3の斜め下方向)や、側壁32と直交するとともに二つの側壁32から遠ざかる方向(例えば、図3の左右方向)を含む。
【0043】
第2の延部43は、接続部44を介して、第1の延部41に接続される。接続部44は、第1の延部41と第2の延部43との間に介在する、アッパレール22の曲げられた一部である。言い換えると、接続部44は、第1の延部41と第2の延部43とを接続する。なお、第2の延部43は、第1の延部41に直接的に接続されても良い。
【0044】
第2の延部43は、Z軸の正方向に向かうに従って二つの側壁32に近づく方向に延びる。別の表現によれば、第2の延部43は、Z軸の正方向に向かうに従って内部空間34に近づく方向に延びる。例えば、図3において、右側の返し壁33の第2の延部43は左斜め上方向に延び、左側の返し壁33の第2の延部43は右斜め上方向に延びる。
【0045】
二つの側壁32に近づく方向は、Z軸の正方向に向かうに従って二つの側壁32に近づく方向に限られない。二つの側壁32に近づく方向は、例えば、Z軸の負方向に向かうに従って二つの側壁32に近づく方向(例えば、図3の斜め下方向)や、側壁32と直交するとともに二つの側壁32に近づく方向(例えば、図3の左右方向)を含む。
【0046】
第1の延部41が延びる方向と、第2の延部43が延びる方向とは、互いに交差する。すなわち、第1の延部41が延びる方向と、第2の延部43が延びる方向との間の角度は、0°より大きく、且つ180°よりも小さい。
【0047】
以上のように折り返された返し壁33は、内部空間34の外部に位置する。そして、側壁32と、当該側壁32に接続された返し壁33とは、収容空間45を囲む。収容空間45は、Z軸の正方向と、Y軸方向とに開放された空間である。
【0048】
第1の延部41は、内面41aと、外面41bとを有する。内面41aは、Z軸の正方向に向かうに従って二つの側壁32に近づく方向に向く略平坦な面であり、収容空間45の内側に向く。外面41bは、Z軸の負方向に向かうに従って二つの側壁32から遠ざかる方向に向く略平坦な面である。
【0049】
第2の延部43は、内面43aと、外面43bとを有する。内面43aは、Z軸の負方向に向かうに従って二つの側壁32に近づく方向に向く略平坦な面であり、収容空間45の内側に向く。外面43bは、Z軸の正方向に向かうに従って二つの側壁32から遠ざかる方向に向く略平坦な面である。側壁32の外面32bと、第1の延部41の内面41aと、第2の延部43の内面43aと、接続部44とが、収容空間45を形成(規定)する。
【0050】
第2の延部43は、端面43cをさらに有する。端面43cは、第2の延部43が延びる方向D1における第2の延部43の端面であるとともに、Y軸方向の平面視におけるアッパレール22の端面でもある。方向D1は、第3の方向の一例である。
【0051】
図4は、第1の実施形態のエンドキャップ24を示す例示的な斜視図である。図5は、第1の実施形態のエンドキャップ24を示す例示的な正面図である。図6は、第1の実施形態のエンドキャップ24の一部及びアッパレール22の一部を示す例示的な断面図である。図7は、第1の実施形態のエンドキャップ24の他の一部及びアッパレール22の他の一部を示す例示的な断面図である。
【0052】
図4に示すように、エンドキャップ24は、カバー51と、二つの第1の挿入部52と、二つの第1の突出壁53と、二つの第2の突出壁54と、第2の挿入部55と、二つの第3の突出壁56とを有する。第1の挿入部52は、第1の突出部の一例である。第2の突出壁54は、第2の突出部の一例である。第2の挿入部55は、第3の突出部の一例である。
【0053】
二つの第1の挿入部52は、互いに略同一である。二つの第1の突出壁53は、互いに略同一である。二つの第2の突出壁54は、互いに略同一である。二つの第3の突出壁56は、互いに略同一である。このため、図6及び図7は、一つずつの第1の挿入部52、第1の突出壁53、第2の突出壁54、及び第3の突出壁56を代表として示す。
【0054】
図2に示すように、カバー51は、アッパレール22の後端22aを覆う。カバー51は、Y軸の負方向における上壁31、二つの側壁32、二つの返し壁33のそれぞれの端部を覆う。さらに、カバー51は、Y軸の負方向に開放された内部空間34及び二つの収容空間45を覆う。なお、カバー51はこの例に限られない。
【0055】
図7に示すように、二つの第1の挿入部52は、カバー51からY軸の正方向に突出し、二つの収容空間45に挿入される。このため、第1の挿入部52は、側壁32と、第1の延部41と、第2の延部43とに囲まれる。
【0056】
第1の挿入部52は、Y軸と直交する平面(X-Z平面)において、略三角形状の断面を有する。なお、第1の挿入部52は、他の形状を有しても良い。第1の挿入部52は、第1の斜面52aと、第2の斜面52bと、接続面52cとを有する。第1の斜面52aは、基面の一例である。
【0057】
第1の斜面52aは、Z軸の正方向に向かうに従って二つの側壁32から遠ざかる方向に延びる略平坦な面である。第1の斜面52aが延びる方向は、第1の延部41が延びる方向と略平行である。第1の斜面52aは、間隔を介して第1の延部41の内面41aに面する。なお、第1の斜面52aが部分的に第1の延部41に接触しても良い。
【0058】
第2の斜面52bは、Z軸の正方向に向かうに従って二つの側壁32に近づく方向に延びる略平坦な面である。第2の斜面52bが延びる方向は、第2の延部43が延びる方向と略平行である。第2の斜面52bは、第2の延部43の内面43aに面する。
【0059】
接続面52cは、第1の斜面52aと第2の斜面52bとを接続する。接続面52cは、側壁32と直交するとともに二つの側壁32から遠ざかる方向における、第1の挿入部52の端部を形成する。接続面52cは、間隔を介して接続部44に面する。このため、第1の挿入部52は接続部44から離間する。また、側壁32と直交するとともに二つの側壁32から遠ざかる方向における、第1の挿入部52の端部が、アッパレール22から離間する。
【0060】
第1の挿入部52は、第1の突起52dをさらに有する。第1の突起52dは、第1の斜面52aから、第1の延部41に向かって突出し、Y軸方向に延びる。第1の突起52dは、第1の延部41の内面41aに当接する。
【0061】
本実施形態において、第1の突起52dは、第1の延部41が延びる方向における第1の斜面52aの略中央から突出する。なお、第1の突起52dは、その一部が、第1の延部41が延びる方向における第1の斜面52aの中央に位置していれば良い。また、第1の突起52dは、第1の斜面52aの他の位置や、第1の挿入部52の他の部分から突出しても良い。
【0062】
第1の突起52dは、Y軸方向の平面視において、略三角形の断面を有する。第1の突起52dは、第1の挿入部52の他の部分よりも小さく脆弱であり、第1の挿入部52よりも圧縮により弾性変形及び塑性変形しやすい。
【0063】
二つの第1の突出壁53は、カバー51からY軸の正方向に突出し、第1の延部41を覆う。第1の突出壁53は、内面53aを有する。内面53aは、Z軸の正方向に向かうに従って二つの側壁32から遠ざかる方向に延びる略平坦な面である。内面53aが延びる方向は、第1の延部41が延びる方向と略平行である。
【0064】
第1の突出壁53の内面53aは、間隔を介して第1の挿入部52の第1の斜面52aに向く。このため、第1の挿入部52の第1の斜面52aと、第1の突出壁53の内面53aとの間に、第1の溝62が形成される。
【0065】
第1の延部41は、第1の溝62に配置される。言い換えると、第1の延部41は、第1の挿入部52と第1の突出壁53との間に位置する。第1の突出壁53の内面53aは、間隔を介して第1の延部41の外面41bに面する。なお、内面53aが第1の延部41に部分的に接触しても良い。
【0066】
二つの第2の突出壁54は、カバー51からY軸の正方向に突出し、第2の延部43を覆う。第2の突出壁54は、内面54aを有する。内面54aは、Z軸の正方向に向かうに従って二つの側壁32に近づく方向に延びる略平坦な面である。内面54aが延びる方向は、第2の延部43が延びる方向と略平行である。
【0067】
第2の突出壁54の内面54aは、間隔を介して第1の挿入部52の第2の斜面52bに向く。このため、第1の挿入部52の第2の斜面52bと、第2の突出壁54の内面54aとの間に、第2の溝63が形成される。
【0068】
第2の延部43は、第2の溝63に配置される。言い換えると、第2の延部43は、第1の挿入部52と第2の突出壁54との間に位置する。第2の突出壁54の内面54aは、間隔を介して第2の延部43の外面43bに面する。
【0069】
図8は、第1の実施形態のエンドキャップ24の他の一部及び返し壁33を示す例示的な斜視図である。図8に示すように、第1の挿入部52は、第2の延部43の端面43cと内面43aとの角43dに沿ってカバー51から突出する。このため、第1の挿入部52は、第2の延部43の角43dを覆う。
【0070】
さらに、第2の突出壁54は、第2の延部43の端面43cと外面43bとの角43eに沿ってカバー51から突出する。このため、第2の突出壁54は、第2の延部43の角43eを覆う。
【0071】
図7に示すように、方向D1における第1の挿入部52の端部52eと、方向D1に置ける第2の突出壁54の端部54bとは、方向D1において略同一位置にある。さらに、第2の延部43の端面43cは、方向D1における第1の挿入部52の端部52e及び第2の突出壁54の端部54bに対し、方向D1において同一位置にあり、又は方向D1の反対の方向D2に離れる。方向D2は、第4の方向の一例である。別の表現によれば、端面43cは、第2の溝63の内部に位置する。このため、端面43c及び角43d,43eは、カバー51、第1の挿入部52、及び第2の突出壁54により覆われる。
【0072】
また、第2の延部43の角43eは、第2の突出壁54の上端54cよりもZ軸の負方向に離れている。さらに、第2の延部43の角43eは、側壁32と直交するとともに二つの側壁32に近づく方向における平面視において、第2の突出壁54に覆われる。
【0073】
図6に示すように、第2の挿入部55は、カバー51からY軸の正方向に突出し、内部空間34に挿入される。このため、第2の挿入部55は、上壁31と二つの側壁32とに囲まれる。図5に示すように、第2の挿入部55は、基部71と、二つの爪72と、支持部73とを有する。
【0074】
基部71は、上面71aと、二つの側面71bとを有する。図6に示すように、上面71aは、Z軸の正方向に向く略平坦な面であり、上壁31の内面31aに面する。側面71bは、X軸方向に向く略平坦な面であり、間隔を介して側壁32の内面32aに面する。なお、側面71bが部分的に側壁32の内面32aに接触しても良い。
【0075】
エンドキャップ24は、二つの第2の突起75をさらに有する。二つの第2の突起75は、基部71の二つの側面71bから、二つの側壁32に向かって突出する。このため、二つの第2の突起75は、基部71から互いに逆の方向に突出する。二つの第2の突起75は、二つの側壁32の内面32aに当接する。
【0076】
第2の突起75は、Y軸方向に延びる。このため、第1の突起52dと第2の突起75とは、略平行に延びる。Y軸方向において、第2の突起75の長さは、第1の突起52dの長さよりも長い。なお、第1の突起52d及び第2の突起75の長さは、この例に限られない。
【0077】
本実施形態において第2の突起75は、第1の挿入部52よりも基部71の上面71aに近い位置で、側面71bから突出する。なお、第2の突起75は、他の位置から突出しても良い。
【0078】
第2の突起75は、Y軸方向の平面視において、略三角形の断面を有する。第2の突起75は、第2の挿入部55よりも小さく脆弱であり、第2の挿入部55よりも圧縮により弾性変形及び塑性変形しやすい。
【0079】
図4に示す二つの爪72は、二つの側壁32の内面32aに沿って延び、内面32aに開く孔又は窪みに嵌め込まれる。これにより、エンドキャップ24がアッパレール22に取り付けられる。
【0080】
支持部73は、略円筒状に形成される。支持部73の内側に、Y軸の正方向に開く開口73aが設けられる。図2に示すように、開口73aにスクリューロッド25の被支持部25cが挿入されることで、支持部73は被支持部25cを支持する。
【0081】
図6に示すように、第3の突出壁56は、カバー51からY軸の正方向に突出し、上壁31と側壁32との角を覆う。第3の突出壁56は、内面56aを有する。内面56aは、Z軸方向に延びる略平坦な面である。内面56aが延びる方向は、基部71の側面71bが延びる方向と略平行である。第3の突出壁56の内面56aは、間隔を介して基部71の側面71bに向く。このため、第2の挿入部55と第3の突出壁56との間に、第3の溝77が形成される。
【0082】
側壁32は、第3の溝77に配置される。言い換えると、側壁32は、第2の挿入部55と第3の突出壁56との間に位置する。第3の突出壁56の内面56aは、側壁32の外面32bに面する。
【0083】
図7に示すように、エンドキャップ24がアッパレール22に取り付けられると、第1の挿入部52の第2の斜面52bが第2の延部43の内面43aに押圧されるとともに、第1の突起52dが第1の延部41の内面41aに押圧される。第1の突起52dは、第1の挿入部52の他の部分よりも変形しやすいため、押圧力により圧縮され弾性変形する。圧縮された第1の突起52dは、反力により第1の延部41の内面41aを押圧する。なお、第1の突起52dは、第1の延部41の内面41aに接触すれば、圧縮量がほぼ無い略自由状態であっても良い。
【0084】
第1の挿入部52は、第1の延部41及び第2の延部43の間において、接続部44に向かう楔状に形成される。このため、第1の挿入部52の第2の斜面52bが第2の延部43の内面43aに強く押し付けられるとともに、第1の突起52dが第1の延部41の内面41aに強く押し付けられる。第1の挿入部52の接続面52cが接続部44から離間するため、第1の挿入部52は、楔として接続部44に向かって進むことができる。
【0085】
図6に示すように、基部71の上面71aが上壁31の内面31aに押圧される。基部71の上面71aと、第1の突起52dとは、Z軸方向において互いに相対する方向に押圧される。第1の突起52dは、基部71よりも変形しやすい。このため、アッパレール22は、基部71の上面71aに支持されるとともに、第1の突起52dを圧縮する。別の表現によれば、アッパレール22は、基部71の上面71aと第1の突起52dとの間でエンドキャップ24をZ軸方向に圧縮し、エンドキャップ24をZ軸方向に挟持する。
【0086】
二つの第2の突起75が側壁32の内面32aに押圧されるとともに、第3の突出壁56の内面56aが側壁32の外面32bに押圧される。第2の突起75は、第3の突出壁56よりも変形しやすいため、押圧力により圧縮され弾性変形する。圧縮された第2の突起75は、反力により側壁32の内面32aを押圧する。
【0087】
第3の突出壁56の内面56aと、第2の突起75とは、X軸方向において互いに逆の方向に押圧される。第2の突起75は、第3の突出壁56よりも変形しやすい。このため、アッパレール22は、第3の突出壁56の内面56aに支持されるとともに、第2の突起75を圧縮する。別の表現によれば、第3の突出壁56と第2の突起75とが、側壁32をX軸方向に挟持する。
【0088】
二つの第3の突出壁56の間に、アッパレール22の上壁31及び二つの側壁32が配置される。二つの第3の突出壁56の内面56aは、二つの側壁32をX軸方向における互いに相対する方向に押圧する。このため、二つの第3の突出壁56の内面56aは、上壁31及び二つの側壁32をX軸方向に挟持する。
【0089】
二つの側壁32の内面32aに、二つの第2の突起75が押圧される。すなわち、二つの第2の突起75は、X軸方向において互いに相対する方向に押圧される。このため、二つの側壁32は、二つの側壁32の間でエンドキャップ24をX軸方向に圧縮し、エンドキャップ24をX軸方向に挟持する。
【0090】
以上のように、エンドキャップ24がアッパレール22に取り付けられた状態で、第1の挿入部52は、第2の斜面52bで第2の延部43の内面43aに接触し、第1の突起52dで第1の延部41の内面41aに接触するとともに、接続部44から離間する。さらに、二つの第2の突起75が、二つの側壁32の内面32aに接触する。
【0091】
第1の突起52d及び第2の突起75が圧縮により弾性変形することにより、エンドキャップ24とアッパレール22とが押圧力を伴って密接する。このため、アッパレール22に対するエンドキャップ24のがたつきが抑制される。
【0092】
また、第1の挿入部52が第1の突起52dで第1の延部41に接触することで、第1の挿入部52と第1の延部41との間の摩擦が低減される。さらに、第2の挿入部55が第2の突起75で側壁32に接触することで、第2の挿入部55と側壁32との間の摩擦が低減される。このため、エンドキャップ24をアッパレール22に取り付ける際に、摩擦抵抗が低減される。
【0093】
以上説明された第1の実施形態に係るスライドレール装置11において、エンドキャップ24の第1の挿入部52は、カバー51から突出し、第1の延部41に間隔を介して面する第1の斜面52aと、第1の斜面52aから第1の延部41に向かって突出する第1の突起52dと、を有する。そして、第1の突起52dが第1の延部41に接触した状態で、エンドキャップ24がアッパレール22に取り付けられる。これにより、第1の挿入部52と第1の延部41との接触面積を低減することができ、エンドキャップ24をアッパレール22に容易に取り付けることができる。さらに、第1の突起52dは、第1の斜面52aから突出する第1の挿入部52の一部分であるため、例えば第1の斜面52aよりも変形しやすい。このような第1の突起52dが第1の延部41に接触するため、例えばエンドキャップ24とアッパレール22との寸法にばらつきが生じたとしても、第1の突起52dが圧縮により変形することで、エンドキャップ24とアッパレール22とが押圧力を伴って密接することができる。このため、例えばエンドキャップ24が支持するスクリューロッド25の回転や車両1の悪路走行により、エンドキャップ24がアッパレール22に対してがたつくことが抑制される。
【0094】
第1の突起52dの一部が、第1の延部41が延びる方向における第1の斜面52aの中央に位置する。これにより、第1の延部41に対し、第1の斜面52aが傾いていたとしても、より確実に、第1の突起52dが第1の延部41に接触することができる。さらに、例えば第1の突起52dが第1の斜面52aの一方の端部に位置する場合に比べ、第1の挿入部52が捩れるように変形することが抑制される。
【0095】
第1の延部41は、Z軸の正方向に向かうに従って二つの側壁32から遠ざかる方向に延びる。第2の延部43は、Z軸の正方向に向かうに従って二つの側壁32に近づく方向に延びる。第1の挿入部52は、第1の延部41及び第2の延部43のそれぞれに接触するとともに第1の延部41と第2の延部43とを接続する接続部44から離間する状態で、アッパレール22に取り付けられる。これにより、第1の挿入部52が接続部44に向かって第1の延部41と第2の延部43との間に楔状に入り込み、第1の突起52dをより強く圧縮することができる。従って、エンドキャップ24がアッパレール22に対してがたつくことが抑制される。
【0096】
第2の延部43は、第1の挿入部52と第2の突出壁54との間に位置する。第2の延部43の端面43cは、第2の延部43が延びる方向D1における第2の突出壁54の端部に対し、方向D1において略同一位置にあり、又は方向D1の反対の方向D2に離れる。これにより、第2の延部43の端面43cの角43eが第2の突出壁54によって覆われ、スライドレール装置11の見栄えが良くなる。
【0097】
エンドキャップ24は、カバー51から突出して上壁31と二つの側壁32とに囲まれる第2の挿入部55と、第2の挿入部55から側壁32に向かって突出する第2の突起75と、を有し、第2の突起75が側壁32に接触した状態でアッパレール22に取り付けられる。これにより、第2の突出壁54と側壁32との接触面積を低減することができ、エンドキャップ24をアッパレール22に容易に取り付けることができる。
【0098】
エンドキャップ24は、カバー51から突出し、スクリューロッド25の被支持部25cを支持する支持部73を有する。第1の突起52dが第1の延部41に接触するため、エンドキャップ24とアッパレール22とが押圧力を伴って密接することができ、スクリューロッド25の回転が生じても、エンドキャップ24がアッパレール22に対してがたつくことが抑制される。
【0099】
(第2の実施形態)
以下に、第2の実施形態について、図9及び図10を参照して説明する。なお、以下の実施形態の説明において、既に説明された構成要素と同様の機能を持つ構成要素は、当該既述の構成要素と同じ符号が付され、さらに説明が省略される場合がある。また、同じ符号が付された複数の構成要素は、全ての機能及び性質が共通するとは限らず、各実施形態に応じた異なる機能及び性質を有していても良い。
【0100】
図9は、第2の実施形態に係るエンドキャップ24の一部及びアッパレール22の一部を示す例示的な断面図である。図10は、第2の実施形態のエンドキャップ24の他の一部及びアッパレール22の他の一部を示す例示的な断面図である。
【0101】
図9に示すように、第2の実施形態において、第3の突出壁56は、上内面56bを有する。上内面56bは、X軸方向に延びる略平坦な面である。上内面56bが延びる方向は、基部71の上面71aが延びる方向と略平行である。第3の突出壁56の上内面56bは、間隔を介して基部71の上面71aに向く。第3の突出壁56の上内面56bは、上壁31の外面31bに面する。一方、基部71の上面71aは、間隔を介して上壁31の内面31aに面する。
【0102】
図10に示すように、第2の実施形態において、第1の挿入部52の第1の斜面52aは、第1の延部41の内面41aに接触する。第2の斜面52bは、間隔を介して第2の延部43の内面43aに面する。第1の突起52dは、第1の挿入部52の第2の斜面52bから、第2の延部43に向かって突出する。第1の突起52dは、第2の延部43の内面43aに当接する。
【0103】
本実施形態において、第1の突起52dは、第2の延部43が延びる方向における第2の斜面52bの略中央から突出する。なお、第1の突起52dは、その一部が、第2の延部43が延びる方向における第2の斜面52bの中央に位置していれば良い。また、第1の突起52dは、第2の斜面52bの他の位置から突出しても良い。
【0104】
エンドキャップ24がアッパレール22に取り付けられると、第1の挿入部52の第1の斜面52aが第1の延部41の内面41aに押圧されるとともに、第1の突起52dが第2の延部43の内面43aに押圧される。第1の突起52dは、押圧力により圧縮され弾性変形する。圧縮された第1の突起52dは、反力により第2の延部43の内面43aを押圧する。なお、第1の突起52dは、第2の延部43の内面43aに接触すれば、圧縮量がほぼ無い略自由状態であっても良い。
【0105】
図9に示すように、第3の突出壁56の上内面56bが上壁31の外面31bに押圧される。第3の突出壁56の上内面56bと、第1の突起52dとは、Z軸方向において互いに逆の方向に押圧される。このため、アッパレール22は、第3の突出壁56の上内面56bに支持されるとともに、第1の突起52dを圧縮する。別の表現によれば、アッパレール22は、第3の突出壁56の上内面56bと第1の突起52dとの間でエンドキャップ24をZ軸方向に押し広げ、エンドキャップ24をZ軸方向に保持する。
【0106】
以上のように、エンドキャップ24は、第1の挿入部52が第1の斜面52aで第1の延部41の内面41aに接触し、第1の突起52dで第2の延部43の内面43aに接触する状態で、アッパレール22に取り付けられる。第1の突起52dが第2の延部43により圧縮されることで、アッパレール22に対するエンドキャップ24のがたつきが抑制される。
【0107】
以上、本発明の実施形態を例示したが、上記実施形態及び変形例はあくまで一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態や変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。また、各実施形態や各変形例の構成や形状は、部分的に入れ替えて実施することも可能である。
【符号の説明】
【0108】
11…スライドレール装置、21…ロアレール、22…アッパレール、22a…後端、24…エンドキャップ、25…スクリューロッド、31…上壁、32…側壁、41…第1の延部、43…第2の延部、43c…端面、44…接続部、51…カバー、52…第1の挿入部、52a…第1の斜面、52b…第2の斜面、52d…第1の突起、54…第2の突出壁、54b…端部、55…第2の挿入部、73…支持部、75…第2の突起、D1,D2…方向。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10