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  • 特許-圧縮機 図1
  • 特許-圧縮機 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-22
(45)【発行日】2022-03-30
(54)【発明の名称】圧縮機
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/056 20060101AFI20220323BHJP
【FI】
F04D29/056 B
【請求項の数】 7
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018072237
(22)【出願日】2018-04-04
(65)【公開番号】P2018193991
(43)【公開日】2018-12-06
【審査請求日】2020-11-09
(31)【優先権主張番号】10 2017 208 128.7
(32)【優先日】2017-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510153962
【氏名又は名称】マン・エナジー・ソリューションズ・エスイー
【氏名又は名称原語表記】MAN ENERGY SOLUTIONS SE
【住所又は居所原語表記】Stadtbachstr.1 86153 Augsburg,GERMANY
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル・ベシャート
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ・アンドリス
【審査官】井古田 裕昭
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0227079(US,A1)
【文献】特開昭62-244000(JP,A)
【文献】特開2003-166535(JP,A)
【文献】特開昭52-093816(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 29/056
F04D 17/12
F04D 29/058
F16C 32/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機(10)であって、
圧縮機ハウジング(13)と、
前記圧縮機ハウジング(13)内の圧縮機ローター(11)と、を備え、
前記圧縮機ローター(11)は、軸(14)と、複数の圧縮機段(16)を形成する動翼(15)と、を備え、
二つの圧縮機段(16)の間には、磁気ベアリング(17)および安全ベアリング(18)が配置されており、これらは、ぞれぞれ、一体型軸(14)として形成された前記軸上に、分割ベアリングとして搭載されており、
前記磁気ベアリング(17)および前記安全ベアリング(18)は共通のベアリングハウジング(19)内に収容されており、前記ベアリングハウジング(19)は、断面において、二つの前記圧縮機段(16)の間に流路(20)を画定することを特徴とする圧縮機(10)。
【請求項2】
前記ベアリングハウジング(19)は、前記圧縮機ハウジング(13)のリセス内に収容され、かつ、前記圧縮機ハウジング(13)に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の圧縮機。
【請求項3】
前記ベアリングハウジング(19)の上流側にはハウジング側ディフューザブレード(21)が、そして前記ベアリングハウジング(19)の下流側にはハウジング側再循環ブレード(22)が配置されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の圧縮機。
【請求項4】
前記磁気ベアリング(17)のステータ側要素が磁気ベアリングキャリア(25)上で、そして前記安全ベアリング(18)のステータ側要素が安全ベアリングキャリア(26)上で支持され、前記磁気ベアリングキャリア(25)および前記安全ベアリングキャリア(26)は互いに接続され、前記磁気ベアリングキャリア(25)および前記安全ベアリングキャリア(26)は、前記磁気ベアリングキャリア(25)および前記安全ベアリングキャリア(26)の一方を介して前記共通のベアリングハウジング(19)内に設けられることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の圧縮機。
【請求項5】
調整可能な支持要素(27)が前記磁気ベアリングキャリア(25)または前記安全ベアリングキャリア(26)に作用し、前記支持要素(27)を介して、磁気ベアリング(17)および安全ベアリング(18)の前記ステータ側要素は、前記ベアリングハウジング(19)に共同で搭載され、かつ、前記軸(14)に対して共同で位置合わせされることが可能であることを特徴とする請求項4に記載の圧縮機。
【請求項6】
前記磁気ベアリング(17)は、軸の振動を検出するためのセンサー(23)と、軸の振動を減衰させるためのアクチュエータ(24)と、を備えた能動磁気ベアリングであることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の圧縮機。
【請求項7】
前記磁気ベアリングキャリア(25)は、アクチュエータキャリア(29)およびセンサーキャリア(28)を備え、前記センサーキャリア(28)は、前記アクチュエータキャリア(29)に接続されており、前記アクチュエータキャリア(29)は前記安全ベアリングキャリア(26)に接続されていることを特徴とする請求項4を引用する場合の請求項6に記載の圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明に関する圧縮機は、特に工業プラント、例えば空気分離プラントにおいて使用される。圧縮機は、圧縮機ハウジングと、複数の圧縮機段を提供する圧縮機ハウジングに設置された圧縮機ローターとを備える。
【0003】
圧縮されるべき媒体の所望の圧縮を圧縮機で提供するために、圧縮されるべき媒体の流れ方向に見たときに前後に配置された多数の圧縮機段が、ある条件の下で必要とされるが、これは、圧縮機ローターの軸の比較的長い設計の原因となる。しかしながら、圧縮機ローターの長い軸は、振動を生じる傾向があり、その結果、圧縮機の動特性は悪影響を受ける。しかしながら、振動の影響を受けにくい圧縮機ローターの比較的長い軸のを提供するためには、それにもかかわらず、より大きな直径の軸を具現化することが実際には普通であり、この結果、全体として、より大きく、より重い圧縮機の設計がもたらされる。代替的には、複数の圧縮機が直列に接続される。
【0004】
より大きな直径を有する軸の実施形態および複数の圧縮機の直列接続の両方はコスト高を招き、したがって不利である。
【0005】
特に圧縮機の動特性に悪影響を及ぼすことなく、多数の圧縮機段を保証するために、その圧縮機ローターが比較的小さい直径を有する軸を備える圧縮機においてさえ、軸の長い設計を可能にする必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このことを起点として、本発明は、新しいタイプの圧縮機を創出するという目的に基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、請求項1に記載の圧縮機によって解決される。本発明によれば、磁気ベアリングおよび安全ベアリングが二つの圧縮機段の間に配置され、これは、各場合に、一体型軸として形成された軸上にスプリットベアリングとして搭載される。
【0008】
本発明では、二つの圧縮段の間に磁気ベアリングおよび安全ベアリングを形成することが提案され、磁気ベアリングおよび安全ベアリングは、圧縮機ローターの一体型軸に取り付けられた分割ベアリングとして具現化される。磁気ベアリングによって、圧縮機ローターの軸の振動を減衰させることができ、磁気ベアリングおよび安全ベアリングの分割された実施形態により、軸を一体的に具現化することができる。これは、圧縮機ローターの軸の小さな直径および軸の一体型実施形態と共に、長い設計の圧縮機ローターの軸を有する多数の圧縮機段を有する圧縮機を提供することを可能にする。
【0009】
本発明のさらなる展開によれば、磁気ベアリングおよび安全ベアリングは共通のベアリングハウジング内に収容され、ベアリングハウジングは断面に関して二つの圧縮ステージ間の流路を画定し、その間に磁気ベアリングおよび安全ベアリングが配置される。このため、磁気ベアリングおよび安全ベアリングのユニットを特に有利に圧縮機に組み込むことができる。
【0010】
好ましくは、磁気ベアリングのステータ側要素は磁気ベアリングキャリア上で、そして安全ベアリングのステータ側要素は安全ベアリングキャリア上で支持され、磁気ベアリングキャリアおよび安全ベアリングキャリアは互いに接続され、かつ、好ましくは、安全ベアリングキャリアを介して、または磁気ベアリングキャリアを介して、共通のベアリングハウジングに設けられる。好ましくは、調整可能な支持要素が安全ベアリングキャリアまたは磁気ベアリングキャリアに作用し、これを介して、磁気ベアリングおよび安全ベアリングのステータ側要素はベアリングハウジングに共同で搭載され、軸に対して共同で整列可能である。これにより、磁気ベアリングおよび安全ベアリングを共通のベアリングハウジングに簡単に組み付けることが可能となり、これに加えて、共通の支持部材を介した軸に対する磁気ベアリングおよび安全ベアリングの有利な位置合わせが可能になる。
【0011】
好ましくは、磁気ベアリングは、能動磁気ベアリングであり、軸振動を検出するセンサーと、軸振動を減衰させるアクチュエータとを備える。能動磁気ベアリングの助けを借りて、圧縮機ローターの軸の軸振動を特に有利に減衰させることができる。
【0012】
本発明のさらなる展開によれば、ベアリングハウジングは圧縮機ハウジングのリセス内に収容されかつ圧縮機ハウジングに接続され、好ましくは、ベアリングハウジングの上流側にはハウジング側ディフューザブレードが、そしてベアリングハウジングの下流側にはハウジング側再循環ブレードが配置される。ディフューザブレードおよび再循環ブレードは支持力を吸収し、これらを圧縮機ハウジングへ課す。
【0013】
本発明の好ましいさらなる発展は、従属請求項および以下の説明から得られる。本発明の例示的な実施形態について、これに限定されることなく、図面を用いてより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明による圧縮機の細部、すなわち本発明による圧縮機の圧縮機ローターローターを示す図である。
図2】本発明による圧縮機のさらなる細部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
ここで本発明は圧縮機に、例えば空気分離プラントのような工業プラント用の圧縮機に関する。
【0016】
図1および図2は、本発明による圧縮機10の細部を示しており、図1では、圧縮機10の圧縮機ローター11が示されている。圧縮機ローター11は、ベアリング12を介して、図1には示されていないが、抽出としての図2では認識可能な圧縮機ハウジング13内に設置されている。
【0017】
圧縮機11は、軸14と、軸14に取り付けられた複数の動翼15とを備え、動翼15は複数の動翼リングを形成し、したがって複数の圧縮機段16を形成する。図1に示す例示的な実施形態では、動翼15は、軸14の軸方向に見て、軸14上に前後に配置された合計六つの圧縮機段16を形成する。
【0018】
本発明に関しては、磁気ベアリング17および安全ベアリング18が二つの圧縮機段16の間に、図示の実施形態では、二つの圧縮機段16の間で軸14の概ね軸方向中心に配置されている。磁気ベアリング17および安全ベアリング18からなる装置は必ずしも軸14の軸心の領域に配置される必要はないが、磁気ベアリング17および安全ベアリング18からなるこの装置はまた、圧縮機ローター11の軸14の軸方向端部あるいは軸方向側の方向に移動させることができる。
【0019】
磁気ベアリング17および安全ベアリング18は、この場合、水平方向に分割された分割ベアリングとして具現化されており、したがって、それは、二つの圧縮機段16の間で一体型軸14として形成された圧縮機ローター11の軸上に搭載することができる。
【0020】
図2によれば、磁気ベアリング17および安全ベアリング18は、共通のベアリングハウジング19内に収容されている。ベアリングハウジング19は圧縮機ハウジング13のリセスに挿入され、ベアリングハウジング19は、断面に関して、二つの圧縮機段16の間に流路を画定し、二つの圧縮機段16の間には、ベアリングハウジング19が、したがって磁気ベアリング17および安全ベアリング18が配置されている。
【0021】
図2から、ベアリングハウジング19の上流側にハウジング側ディフューザブレード21が、そしてベアリングハウジング19の下流側にハウジング側再循環ブレード22が配置されており、これらは、ベアリングハウジング19によって断面内に画定された通路20内で一体化されていることは明らかである。磁気ベアリング17および安全ベアリング18から生じて、ベアリングハウジング19内に導入することができる支持力は、ハウジング側ディフューザブレード21およびハウジング側再循環ブレード22を介して、圧縮機ハウジング13に課すことができる。
【0022】
図示された好ましい例示的な実施形態では、磁気ベアリング17は、軸14の軸振動を検出するためのセンサー23と、軸振動を減衰させるためのアクチュエータ24とを備えた能動磁気ベアリングとして具現化される。磁気ベアリング17および安全ベアリング18の両方はローター側要素およびステータ側要素を備え、ローター側要素は、軸ローター11の軸14に割り当てられて軸14と共に回転し、磁気ベアリング17および安全ベアリング18のステータ側要素はステータ側ベアリングハウジング上に搭載される。
【0023】
磁気ベアリング17のステータ側要素は磁気ベアリングキャリア25上に、そして安全ベアリングキャリア18のステータ側要素は安全ベアリングキャリア26上に搭載される。磁気ベアリングキャリア25および安全ベアリングキャリア26は、この場合、好ましくは軸14の軸方向に延びる固定要素27を介して互いに結合されており、これらは、磁気ベアリング25を介して、あるいは図示のように、好ましくは安全ベアリングキャリア26を介して、支持要素27の助けにより、ベアリングハウジング19上に搭載されている。
【0024】
調整可能な支持要素として設計されかつ図2において安全ベアリングキャリア26に作用する共通の支持要素27によって、安全ベアリングキャリア26および磁気ベアリングキャリア25は、したがって磁気ベアリング17および安全ベアリング18のステータ側要素は、圧縮機ローター11の軸14に対して共同で位置合わせすることができる。
【0025】
既に説明したように、好ましい例示的実施形態の磁気ベアリング17は、センサー23およびアクチュエータ24を含む能動磁気ベアリングとして設計されている。センサー23のステータセンブリは、この場合、磁気ベアリングキャリア25のセンサーキャリア28に対して固定され、そしてアクチュエータ24のステータ側要素は磁気ベアリングキャリア25のアクチュエータキャリア29に固定され、安全ベアリングキャリア26に作用する支持要素27を介してベアリングハウジング19に取り付けられるために、センサーキャリア28はアクチュエータキャリア29に、そしてアクチュエータキャリア29は安全ベアリングキャリア26に固定される。
【0026】
さらに、図2は、ケーブル30,31を示しており、第1のケーブル30がアクチュエータ24につながり、第2のケーブル31が磁気ベアリング17のセンサー23につながっている。両方のケーブル30,31は、図示していない制御デバイスにコネクター32,33を介して接続できるが、当該制御デバイスは、センサー23によって検出された軸振動を評価し、これに応じて、軸振動を減衰させるために磁気ベアリング17のアクチュエータ24を作動させる。
【0027】
本発明によれば、圧縮機ローター11の動特性に不利な影響を及ぼすことなく、設計に関して小型の圧縮機を備えた多数の圧縮機段16を提供するために、その圧縮機ローター11が軸方向に比較的長くかつ半径方向に比較的細い軸14を有する圧縮機を提供することが可能である。このために、磁気ベアリング17および安全ベアリング18が、二つの圧縮機段16の間で圧縮機ローター11の一体型軸14に取り付けられており、これらは、各場合に、二つの圧縮機段16の間にそれを容易に取り付けることができるよう分割ベアリングとして具現化されている。
【符号の説明】
【0028】
10 圧縮機
11 圧縮機ローター
12 ベアリング
13 圧縮機ハウジング
14 軸
15 動翼
16 圧縮機段
17 磁気ベアリング
18 安全ベアリング
19 ベアリングハウジング
20 流路
21 ディフューザブレード
22 再循環ブレード
23 センサー
24 アクチュエータ
25 磁気ベアリングキャリア
26 安全ベアリングキャリア
27 固定手段
27 センサーキャリア
29 アクチュエータキャリア
30 ケーブル
31 ケーブル
32 コネクター
33 コネクター
図1
図2